説明

高パワー動作のためのホイールカバーを有するガス放電光源のための回転ホイール電極

本発明は、ガス放電光源のための電極素子1、2及び電極素子1、2の一方又は双方を持つガス放電光源に関する。電極素子1、2は、回転軸22のまわりに回転方向に回転可能な電極ホイール7であって、2つの側面25の間に外周面24を持つ電極ホイール7を有する。電極ホイール7の外周面24及び側面25の一部をカバーする電極ホイールカバー8が備えられる。カバー8は、カバー8と、外周面24及び側面25の径方向外側部分との間に、円周方向に冷却チャネル12を形成するように構成され、更に、カバー8と前記円周方向に冷却チャネル12を延長した位置における外周面24との間にギャップ23を形成するように構成される。ギャップ23は、冷却チャネル12よりも小さな流れ断面を持ち、電極ホイール7の回転の間に、外周面24に形成される液体物質の膜の厚さを制限する。ギャップ23の代わりに、カバー8は、冷却チャネル12を通って流れる該液体物質からの斯かる膜の形成を抑制するように構成されても良い。冷却チャネル12は同時に、冷却チャネル12を通って循環する該液体物質により、電極ホイール7の冷却を可能とする。カバー8の提案される設計により、電極ホイール7の効率的な冷却が実現され、斯かる電極素子を持つガス放電光源を動作させるための高い電力を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸のまわりに回転可能な、2つの側面の間に外周面を持つ、少なくとも1つの電極ホイールを有する、ガス放電光源のための電極素子に関する。本発明は更に、斯かる電極素子を有するガス放電光源、及び該電極素子を備えたガス放電光源を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス放電光源は、例えばEUV(極端紫外線、extreme ultra violet)放射又は軟X線のための光源として利用される。EUV放射及び/又は軟X線を発する放射源は、とりわけEUVリソグラフィの分野において必要とされる。パルス電流により生成された高温プラズマから、放射が発せられる。既知の強力なEUV放射源は、必要とされるプラズマを生成するために金属蒸気により動作させられる。斯かるEUV放射源の一例は、国際特許出願公開WO2006/123270A2に示されている。該既知の放射源においては、放電空間における表面に塗布され、且つエネルギービーム、とりわけレーザビームによって少なくとも部分的に蒸発させられた金属融液から、金属蒸気が生成される。この目的のため、2つの電極が回転可能に装着され、放射源の動作の間に回転させられる電極ホイールを形成する。金属融液は、該金属融液を収容する容器と電極ホイールとの間に配置された接続素子を介して、各電極ホイールの円周面に塗布される。接続素子は、電極ホイールの円形の周縁の一部に亘って、外周面と電極ホイールとの間にギャップを形成するように設計される。電極ホイールの回転の間、金属融液が前記容器から該ギャップへと浸透し、それにより電極の外周面に液体金属の望ましい薄膜を形成する。金属蒸気を生成する金属融液の一部を蒸発させるため及び放電を引き起こすため、パルスレーザビームが、放電領域中の電極の1つの表面に向けられる。金属蒸気は、数kAから数10kAの電流によって加熱され、それにより所望のイオン化段が励起され、所望の波長の光が発せられる。電極の外周面に形成された液体金属膜は、幾つかの機能を果たす。該液体金属膜は、放電における放射媒体として働き、再生膜としてホイールを腐食から保護する。該液体金属膜はまた、導電性の接続素子に接続された電源に、電極ホイールを電気的に接続させる。更に、液体金属は、ガス放電によって電極にもたらされた熱を放散させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
将来の半導体素子の大量生産(HVM)に必要とされる斯かるガス放電光源又はランプの高パワー動作のためには、高い電気入力パワーが適用される必要がある。必要とされる約100ウエハー/hのウエハースループットを保証するためには、大量生産用EUV光源は、50kW以上の入力電気パワーで動作させられる必要がある。この入力パワーのうちの約50%は、回転電極により吸収される。上述した既知のガス放電光源を用いると、電極ホイールからの放熱は十分に高くはなく、高いパワーにおいて電極の過熱に帰着する。この理由により、既知のガス放電光源は、大量生産用EUV光源に必要とされる電気入力パワーで動作させられることができない。
【0004】
本発明の目的は、電極ホイールを過熱させずに高い入力パワーでのガス放電光源の動作を可能とする、ガス放電光源における使用のための電極素子、及び対応するガス放電光源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
該目的は、請求項1及び15に記載の電極素子及びガス放電光源により達成される。電極素子及びガス放電光源の有利な実施例は、従属請求項の主題であり、本明細書の以降の部分に開示される。請求項16は、斯かるガス放電光源を動作させる好適な方法に関する。
【0006】
提案される電極素子は、少なくとも、回転軸のまわりに回転可能な電極ホイールであって2つの側面の間の外周面を持つ電極ホイールと、前記外周面及び前記側面の一部を円周方向にカバーする電極ホイールカバーと、を有する。提案されるカバーは、液体物質、とりわけ金属融液により電極ホイールを冷却するため、カバーと、前記外周面及び前記側面の径方向の外側部分との間で、前記円周方向に冷却チャネルを形成するように設計される。該カバーは、冷却チャネルを通した液体物質の流れを可能とするため、冷却チャネルのための入口開口及び出口開口を有する。一代替例においては、該カバーは更に、該カバーと、前記外周面及び円周方向に冷却チャネルを延長した部分における側面の一部との間でギャップを形成するように設計され、前記ギャップが、電極ホイールの回転の間に、外周面及び側面に形成された液体物質膜の厚さを制限する。他の代替例においては、該カバーは更に、円周方向に前記冷却チャネルを延長した部分において冷却チャネルを流れる液体物質からの斯かる膜の形成を防ぐように設計される。好適には、出口開口は、冷却チャネルと液体物質に対して冷却チャネルよりもかなり小さな流れ断面を持つギャップとの間の遷移において、余剰液体物質を排出するために、冷却チャネルとギャップとの間に配置される。
【0007】
提案される電極素子を用いると、カバーの設計に依存して、動作の2つのモードが実現され得る。第1のモードにおいては、斯かる電極素子を持つガス放電光源におけるガス放電のための燃料として利用される適用される液体物質が、加熱された電極ホイールを、より効率的に冷却する。冷却チャネルは、外周面及び側面の径方向に外側の部分を含む電極ホイールの外側部分が、十分な量の液体物質により囲まれ、該液体物質への放熱を実現するように設計される。冷却チャネル(回転方向における)は、ホイールカバーと電極ホイールの外周面及び側面との間の小さなギャップチャネルへと同化し、回転電極ホイールの外周面及び側面における液体物質膜の厚さを制限する。好適には、少なくとも1つのワイパユニットが、回転方向においてギャップチャネルの背後及び/又は前方に配置され、それにより、該液体物質膜に対して働く遠心力による小滴形成の危険を伴うことなく、放電位置における蒸発のために必要とされる厚さ及び形状に該液体物質膜を更に制約する。
【0008】
第2のモードにおいては、該膜の厚さがとり得る最小の厚さに制限されるか、又は膜の形成がカバーの設計により完全に抑制される。冷却チャネルはまた、外周面及び側面の径方向の外側部分を含む電極ホイールの外側部分が、十分な量の液体物質により囲まれ、それにより該液体物質への放熱が実現されるように設計される。該モードの動作は、ガス放電のための燃料として利用される液体物質を塗布するための、別個の液体物質塗布ユニットを必要とする。該塗布又は噴射ユニットは、前記カバーとガス放電生成の位置との間の電極ホイールの外周面に前記液体物質を塗布するように構成され、放電による腐食から回転電極を保護するために十分な液体物質の範囲を適用する必要がある。例えば、1つ又は幾つかのノズルが利用されても良い。
【0009】
該第2のモードの動作は、放電位置における液体膜の厚さ及び/又は液体膜物質の量の微調整を可能とする。液体物質塗布又は噴射ユニットは冷却チャネルから分離されているため、第1のモードの動作に比べて、放電位置における電極ホイール上の液体物質範囲を制御することは、かなり容易である。例えば、液体物質膜の厚さは、塗布ユニットを通る液体物質の流量を変更することにより、数マイクロメートルから数百マイクロメートルまでの範囲で調節されることができる。液体物質電極範囲は、電極が保護される必要がある位置に薄膜を横方向に制限することにより最適化されることができ、電極の残りの部分はカバーされないままでも良い。電極上の液体物質の量の更なる削減は、例えば小滴生成器を利用して、液体物質を間欠的に出して、該物質の分離された島状部又は領域が形成されるようにすることにより達成され得る。これらの手段は、電極上の液体物質の量を最小化し、従ってとり得る最高の電極周速を得ることを可能とする。放電により生成される破片の量も最小化される。
【0010】
第2のモードの動作のため、カバーは好適には、とり得る最小の厚さに薄膜の厚さを制限すること、又は斯かる膜の形成を抑制することを達成するため、ワイパユニットを有する。理想的なワイパは、冷却チャネルからの液体物質の漏れを防止するべきである。実際には、ワイパユニットを通過した後の残りの液体物質膜の厚さは、5マイクロメートルを超えるべきではない。このことは例えば、電極の形状を正確に再現する成形した部分を用いることにより達成され得る。該部分は、弾性素子により電極と接触したままに保たれても良い。この場合には、液体物質は、該成形した部分と電極との間の潤滑媒体として働き、ワイパ及び/又は回転電極の腐食を防止する。しかしながら、該効果は、電極ホイールの周速に依存し得る。該動的な潤滑の失敗は、ホイール及びワイパの拡大した腐食、制御されない液体物質膜、又は回転電極の閉塞さえも導き得る。それ故、ワイパは好適には、自己潤滑材料から形成されるか、又は乾式運転動作に適した物質で被覆される。更に、熱的に安定したものであり、液体物質に対して化学的耐性を有する必要がある。グラファイトのような物質が、これら要件を満たす。
【0011】
第2のモードの動作において、とり得る最高の電極周速を得るためには、液体物質塗布又は噴射システムは、放電位置に可能な限り近くに配置されるべきである。回転電極における液体物質の量は最小化されるべきであり、即ち、体積流束
【数1】

により表現される付着量は好適には、2σ/ρωよりも小さくなるよう選択され、即ち
【数2】

であり、ここでωはホイールの角速度を示し、ρ及びσは液体物質の密度及び表面張力を示す。液体物質膜の不安定さを回避するため、電極幅DはD<D<10・Dの範囲内であるべきであり、ここで
【数3】

であり、Rは電極ホイールの半径を示す。
【0012】
提案されるホイールカバーの設計による電極ホイールの冷却の高い効率により、斯かる電極素子を持つガス放電光源は、電極を過熱させることなく数十kW以上の範囲における高い電力で動作させられることができる。このことは、適切な液体物質、とりわけ液体錫のような金属融液を用いた場合に、大量生産用EUV光源としてのガス放電光源の動作を可能とする。
【0013】
以下に説明されるように、電極ホイールカバーの提案される設計は、電極ホイールの回転速度を増大させることも可能とする。高い入力パワーは、10kHz以上の高い放電繰り返し率を必要とする。ガス放電光源又はランプの安定した光出力、とりわけEUV放射の出力のためには、連続する放電パルスが回転電極表面のフレッシュな平滑部分に常に当たることが必要とされる。移動する電極表面における連続する放電パルスの距離は、数十ミリメートルから数ミリメートルのオーダーである必要がある。それ故、それに応じて電極回転速度が増大させられる必要があり、必要とされる約10m/sのオーダーの周速に帰着する。実際には、電極ホイールの斯かる高い周速は、液体物質の表面波を引き起こし、それ故放電位置における不安定な液体物質膜をもたらし得る。このことは、不安定なEUV出力に導き、最悪の場合、液体物質の散在及び小滴形成によるランプ故障に導く。この問題は、ホイールにより設計された電極ホイールカバーにより回避される。電極ホイール上の自由な液体物質表面が最小化される。この手法により、乱れた液体物質の表面波及び小滴の形成が防止される。冷却チャネルにおける及びギャップチャネルを形成するホイールのカバーされた部分における液体物質の流れはより安定したものとなり、放電位置における、より好適な液体物質膜安定性に帰着する。
【0014】
好適な実施例においては、ホイールカバーの冷却チャネルの出口開口は、供給線及び冷却装置を介して入口開口に接続され、それにより冷却回路を形成する。ここで冷却素子は熱交換器であっても良く、カバーの入口開口に供給される前記液体物質を冷却するような大きさにされる。本実施例の更なる改良例においては、該冷却回路において液体物質を能動的に循環させるポンプが、該冷却回路中に配置される。斯かるポンプの具備がなくとも、回転ホイール自体のポンプ効果が、冷却チャネルを通した液体物質の十分な循環又は流れを実現するために利用され得る。しかしながら、ポンプによって液体物質を能動的に動かすことにより、改善された、より信頼性の高い冷却が実現される。とりわけ、ポンプのパワーは、最適な冷却及び放電生成のために必要とされる時間当たりの量の液体物質を正確に塗布するように調節されても良い。
【0015】
冷却チャネルを延長した位置に形成されるギャップチャネルは好適には、ギャップの幅が電極ホイールの外周面の幅を超えないような大きさとされる。一実施例においては、該ギャップチャネルは、冷却チャネルの長さの少なくとも4分の1である円周長さに亘って延在する。カバー全体は好適には、円周方向に電極ホイールの大部分の円周部分に亘って延在し、円周面の大部分の円周部分をカバーする。大部分とは、電極ホイールの円周長さの半分よりも多くがカバーされることを意味する。好適には、電極ホイールの円周長さの4分の3よりも多くが、電極ホイールカバーによってカバーされる。
【0016】
ホイールカバーからの液体物質の漏れを防止するため、冷却チャネル領域内に位置しない部分において、カバーは、ホールの外周面及び側面に対してとり得る最小の距離を持つホイールの形態を形成するべきである。実験によって、ホイールの外周面とホイールカバーとの間のギャップは、カバーされた部分においては、即ちギャップチャネルにおいては、0.5mmを超えないべきであることが分かった。好適には、ギャップ高は、数十マイクロメートルから100マイクロメートルであるべきである。液体物質の漏れを回避するため、ホイールの側面及びカバーの内側面に乾燥物質又は被覆が更に塗布されても良い。
【0017】
第1のモードの動作のために、ホイールカバーは、外側のホイール面に対する制御された距離hにおける固体のワイパにより付随された、かなり大きな側面から全ての液体物質を取り除くワイパの対を有しても良い。回転電極からの液体物質の小滴を回避するため、条件h<2σ/(ρωRD)が満たされるべきであり、ここでωはホイールの角速度を示し、R及びDは電極の半径及び幅を示し、ρ及びσは液体物質の密度及び表面張力を示す。外側面からの余剰の液体物質は、液体金属がホイールの側に戻るように、固体ワイパによって取り除かれる必要がある。
【0018】
冷却効率を最大化するため、カバーの液体物質の入口は、放電位置に可能な限り近くに配置されるべきである。入口開口を通して冷却チャネルへと供給された冷たい液体物質が、放電位置に可能な限り近いホイールの熱い部分に当たる場合、冷却効果は大きくなる。このことは、冷却チャネルを通して冷却流がホイールの回転に沿って、即ち回転方向に導かれる場合に達成される。冷却チャネルにおける圧力勾配は、ホイール回転の方向における液体物質の流れについては小さく、そのため逆方向の流れよりもこの実施化が好適である。
【0019】
冷却チャネルが液体物質により略完全に満たされることを確実にするため、液体金属スループットが優先的に調節されるべきである。このことは、調節可能なポンプパワーを持つ上述した外部ポンプの仕様により達成される。局所的な液体物質圧力極大値及び関連する液体物質の漏れを低減するため、冷却チャネルの設計において捩れが回避されるべきである。好適な設計においては、冷却チャネルの入口及び出口開口は、ホイールの周縁に略接線方向に向けられる。
【0020】
好適には、第1のモードの動作のため、カバーと外周面との間に形成されたギャップチャネルの出口にワイパユニットが配置される。ワイパユニットは、本明細書においては最終ワイパとも呼ばれ、放電位置において所望のフィルム厚及び形状が達成されるような態様で、電極ホイールの回転の間、外周面上の液体物質膜の厚さを更に制限するように設計される。該所望のフィルム厚及び形状は、最適な蒸発及び放電位置における放電生成を達成するように選択される。
【0021】
最終ワイパは、単一のワイパ素子から形成されても良いし、又は共に動作する幾つかのワイパ素子から形成されても良く、好適には、電極ホイールの回転の間、側面から円周面への液体物質の移動を抑制する又は少なくとも低減させるように設計される。このことは、電極ホイールの回転の間、円周面に隣接する前記側面に残る液体物質を取り除く、例えばフォーク状の形状を持つ、ワイパユニットを利用することにより達成され得る。好適な実施例においては、斯かる最終ワイパの具備と併せて、該最終ワイパの効果により生成される余剰の液体物質を取り入れるために、オーバフローチャネルがカバーに形成される。該オーバフローチャネルは、最終ワイパにおける過度に高い液体物質圧力を防止する。
【0022】
第1のモードの動作に関連する更なる好適な実施例においては、冷却チャネルとギャップチャネルとの間に更なるワイパユニットが配置され、該ワイパユニットは、本明細書においてプレワイパとも呼ばれ、外周面上の液体物質膜の厚さを制限し、電極ホイールの回転の間、側面から液体物質を取り除くように設計される。該プレワイパは、冷却チャネルから、電極ホイールカバーにより形成されるギャップチャネルへの、液体物質の通過を制御する。
【0023】
電極ホイールへの電流の供給を可能とするため、電気ホイールカバーの少なくとも一部又は前記カバーの一部であるワイパユニットは、導電性物質からつくられる。このとき、電極ホイールカバーの該導電性部分に高電圧が印加されることができ、好適には液体錫のような金属融液である同様に導電性である適用される液体物質を通して、電極ホイールとの電気的な接続を生成する。
【0024】
遠心力、粘性力及び表面張力の下での、電極の外周面のカバーされていない部分における液体物質プロファイルの漸進的変化は、特定の時間τの経過後に、ホイールから液体金属小滴が離れることに導き得る。該時間は、回転速度を増大させるにつれて減少する。斯くして、高い回転速度を達成するため、第1のモードの動作においては、最終ワイパとカバー入口(即ちカバーの対向する端)との間の距離が最小化されるべきである。このことは、最終ワイパ及びカバー入口が、放電位置に可能な限り近く配置されるべきであることを意味する。しかしながら、ガス放電光源によって大きな立体角へと発せられる放射の自由な放出が許容される必要がある。この理由のため、放電位置に近いホイールカバーの薄型の設計が好適である。
【0025】
電極ホイールの高い回転速度においては、強力な遠心力のために、ホイールの側面には液体物質が略なくなり、ホイールの中央領域におけるカバーとホイールの側面との間のギャップを通した液体物質の漏れを回避する。ホイールの側面からの液体物質の除去は、径方向に対して、プレワイパ及び最終ワイパ又は他のいずれかのワイパを傾けることにより改善され得る。これらの理由によりホイールの側面には略液体物質がなくなるため、ホイールの回転速度は、ホイールの外側面における液体物質膜の厚さの許容不可能な増大のリスクなく、増大させられることができる。この概念の他の利点は、冷却チャネルにおけるかなりの液体物質圧力が中央領域において遠心力により補償され得、中央領域における液体物質の流出なく、冷却チャネルを通した高い液体物質スループットを可能とする点である。同時に、液体物質とホイールとの間の接触面積は、電極素子の先行技術による設計に比べて増大させられ得る。このことは、電極ホイールの、より好適な冷却に帰着する。
【0026】
ホイールの回転速度が十分に高く設定される場合には、遠心力が重力を超過する。斯くして、ホイールカバーの動作性能は、重力とは独立したものとなる。基準として、ω・R(ω=角振動数、R=ホイール半径)として与えられる遠心加速度は、重力加速度g=9.81m/sよりも大きいべきである。このようにして、とりわけホイールの任意の配向、更には水平方向の位置さえもが実現されることができる。
【0027】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【0028】
提案される電極素子及びガス放電光源は、請求項により定義される保護の範囲を限定することなく、添付図面と共に例として以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施例による電極素子を持つガス放電光源の模式図である。
【図2】本発明による電極素子の第1の例の断面図である。
【図3】本発明の更なる実施例による電極素子を持つガス放電光源の模式図である。
【図4】本発明による電極素子の第2の例の断面図である。
【図5】液体物質の塗布のとり得る方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明による2つの電極1、2を持つガス放電光源の例の模式図を示す。電極1、2は、回転電極ホイール7の特別に設計されたカプセル化即ちカバー8、及びガス放電の生成のための該ガス放電光源において使用される液体金属の強制流動を特徴とする。
【0031】
改善されたガス放電光源は、電源4により充電されるコンデンサバンク3に接続された、2つの回転電極1、2から成る。ガス放電光源の動作の間、電極ホイール7の外周面に液体金属が塗布され、放電位置6において該面における薄い液体金属膜を形成する。例えばレーザビームのようなエネルギービームが回転電極ホイール7の一方の外周面に導かれ、放電位置6において液体金属の一部を蒸発させ、電極素子1、2の間の放電を誘発する。電極ホイール7における液体金属として液体錫のような適切な金属融液を適用した場合には、放電はEUV放射を生成し、即ち図1によるガス放電光源がEUVランプとして動作する。
【0032】
電極素子1、2のそれぞれは、回転軸22のまわりに回転しカバー構成即ちホイールカバー8によりカプセル化された電極ホイール7と、液体金属ポンプ9と、冷却装置10とから成る。ホイールカバー8の設計は、提案される電極素子及びガス放電の重要な部分である。該ホイールカバー8の主な特徴は、図2を参照しながら以下に説明される。
【0033】
図2は、ホイールカバー8によりカバーされた電極ホイール7の断面図を示す。回転方向は、電極ホイール7の中央領域21における曲線矢印により示される。電極ホイールカバー8は、電極ホイール7の円周のダイブ部分に亘って電極ホイール7をカプセル化するものであり、2つの部分を有する。第1の部分において、電極ホイール7の外周面24及び側面25の径方向外側部分とホイールカバー8との間に、冷却チャネル12が形成される。カバーされた部分16とも呼ばれる第2の部分において、冷却チャネル12を延長した部分において、カバー8は、外周面24に対するより短い距離を持つホイール形状をとり、外周面24とホイールのカバーされた部分16との間の小さなギャップ23を形成する。
【0034】
冷却チャネルと該小さなギャップ23との間の遷移において、ホイール7の外周面24における液体金属の膜厚を制限し、側面25から液体金属の少なくとも一部を取り除くための、プレワイパ15が配置される。冷却チャネル12の出口14は、冷却チャネル12のこの端部に配置される。冷却チャネル12への液体物質の入口13は、図2から分かるように、ホイールカバー入口11の近くに配置される。
【0035】
最終ワイパ17がギャップ23の開口端に配置され、電極ホイール7の外周面24における液体金属膜を制限及び形づくる。該最終ワイパ17の位置において、ホイールカバー8中にいわゆるオーバフローチャネル18が形成され、該位置における過剰な液体物質を排出する。最終ワイパ17の前においては、ギャップチャネル23が広くなり、過剰な液体物質のオーバフローチャネル18への基本的に制限されない流れを可能とするように、カバー8、16が組み立てられる。
【0036】
電極ホイールの領域19は、液体金属膜のパルス状の蒸発、放電位置20における放電の形成、及びEUV光の自由放射を可能とするため、カバーされない。
【0037】
図2はまた、冷却チャネル12の線A−Aに沿ってとられた拡大断面図、プレワイパ15を含むギャップ23の線B−Bに沿ってとられた拡大断面図、及び最終ワイパ位置における線C−Cに沿ってとられた拡大断面図を示す。これらの拡大された断面図から明らかであるように、電極ホイールカバー8と、冷却チャネル12を延長した部分における電極7の外周面24との間のギャップ23の断面は、冷却チャネル12の断面よりも、かなり小さい。線C−Cに沿ってとられた拡大断面図においては、オーバフローチャネル18も認められる。
【0038】
ホイールカバー8の冷却チャネル12、液体金属ポンプ9及び冷却器10は、図1に示されるように、循環する液体金属流を実現するループを形成する。該ループにおいて、液体金属ポンプ9を介して、回転する電極ホイール7から冷却装置10への連続的な熱の移送が達成される。電極ホイールが浸される液体金属槽を利用する先端技術の概念に比べて、冷却装置の形状は、いずれの槽の大きさにも制約されないため、非常に高い放熱能力のため効果的な熱移送を確実にするよう任意に選択されることができる。液体金属の流れはポンプ9により強制されるため、ホイール表面に沿った冷たい液体金属の流速は、ホイール速度のみが影響する先端技術に比べて、非常に増大させられ得る。このことは、非常に高い熱移送、非常に効果的な冷却、及び低い平均ホイール温度に帰着する。
【0039】
ホイールカバー8の動作原理が、以下に説明される。電極ホイール7が放電により加熱される放電領域6、20から開始して、熱いホイールが、ホイールカバー入口11を通って、液体金属流により冷却された冷却チャネル12へと入る。液体金属流はポンプ9により駆動され、液体金属入口13により冷却チャネル12へと注入される。液体金属の流れは、矢印により示されている。図2における線A−Aに沿ってとられた拡大断面図において明らかに認識され得るように、冷却チャネル12は、電極チャネル7の外周面24の冷却、及び液体金属により囲まれた側面25の外側部分の冷却を可能とする。冷却効率を上げるため、液体金属の流速は好適には、電極ホイール7の周速よりも高い。冷却チャネル12を通過した後、殆どの液体金属はプレワイパ15によりホイール表面から除去される。この液体金属の一部は出口14において冷却チャネル12を離れ、大部分の液体金属流は外部の熱交換器(冷却装置10)に導かれ、液体金属の僅かな一部のみがホイール表面に残り、カバーされた部分16のギャップ領域23に入る。圧力蓄積を回避するため、冷却チャネルがカバーの出口14に向かって外周面24及び側面25の径方向外側部分を離れる遷移は、淀み点が生じ得ないように設計される必要がある。カバーされた部分16は、外周面24に残った液体金属膜が最終ワイパ17へ移動する間、液体金属の小滴がホイールから離れることを防ぐ。最終ワイパ17は、ホイール7の外周面24における液体金属膜を形成し、放電位置20における必要とされる膜厚を確保する。余分な液体物質はオーバフローチャネル18により除去され、最終ワイパ17の前における高過ぎる液体金属圧力を防止する。このことは、最終ワイパ17の後の外周ホイール面における液体金属量を制御することを可能とする。動圧力を最小化するため、オーバフローチャネル18は、流れ方向の急速な変化を回避するような方法で設計又は装着されるべきである。このことは図2において、ギャップチャネル23がワイパ17の前方で広くなり、オーバフローチャネル18への余分な液体金属の基本的に制約されない流れを可能とするようにすることによって実現されている。
【0040】
オーバフローチャネル18は、冷却ループ内の付加的なポートに接続されても良く、これによりオーバフロー液体物質を再利用し、冷却回路における液体物質損失を防止しても良い。電極ホイール7のカバーされていない部分19において、接着力及び表面張力によって、液体金属はホイール表面に残る。放電領域20を通過した後、ホイールは再び冷却チャネル12に入り冷却され、ホイール表面における液体金属膜が再生成される。以上の説明から、電極ホイール7は、固定して装着された電極ホイールカバー8内を回転することは明らかである。
【0041】
以上の図において、液体金属のための付加的な容器は示されていないが、冷却回路の中の液体金属の総量に応じて、放電光源の十分に長い連続動作を確実にするために、冷却ループにおいて斯かる容器が利用されても良い。更に、ホイールカバー8及びワイパ15、17の材質は、構造的に安定したものであり、液体金属に対して化学的耐性を有するものである必要があることは、言うまでもない。電極ホイール7に対する電気的接触を可能とするため、ホイールカバー8の少なくとも一部は導電性である必要がある。
【0042】
図3は、本発明による2つの電極素子1、2を持つガス放電光源の更なる実施例の模式図を示す。該ガス放電光源は、電源4により充電されたコンデンサバンク3に接続された、2つの回転電極1、2を有する。例えばレーザビームのようなエネルギービームが照射され、放電位置6において回転電極からの幾分かの液体金属を蒸発させ、電極素子1、2間の放電を誘発し、斯くして所望のEUV放射を生成する。
【0043】
電極素子1、2のそれぞれは、本明細書においてホイールカバー8と呼ばれるカバー構成によりカプセル化された電極ホイール7と、液体金属ポンプ9と、冷却装置10と、液体金属注入ユニット26から成る。ホイールカバー8、液体金属ポンプ9及び冷却装置10は、循環する液体金属流を実現する閉じたループを形成する。該ループにおいて、液体金属ポンプ9を介して、回転する電極ホイール7から冷却装置10への連続的な熱の移送がある。液体金属注入ユニット26は、いずれの場合においても液体錫であっても良い液体金属物質を、回転電極ホイール7に提供する。液体金属注入ユニット26は、EUV光源の必要とされる動作時間を実現するのに十分な容量を持つ液体金属用容器を含んでも良い。
【0044】
回転電極素子1、2の設計は、簡単のために電極素子の一方のみを示した図4を参照しながら以下に説明される。本実施例においては、図1及び2の実施例の効率的な電極冷却概念が、別個の液体金属電極被覆系と組み合わせられる。回転電極素子は、
−ホイールカバー入口11と、
−液体金属入口13及び出口14を持つ冷却チャネル12と、
−冷却チャネル12の直後に配置されたワイパ17と、
−液体金属注入ユニット26と、
−放電位置20に露出された液体金属カバー部分28と、
を有する。
【0045】
該回転電極素子の動作原理が、以下に説明される。電極ホイール7が放電により加熱される放電領域20から開始して、熱いホイールが、ホイールカバー入口11を通って、液体金属流により冷却された冷却チャネル12へと入る。冷却チャネルを通過し出口14において冷却チャネルから離れた後、液体金属流は外部の熱交換器即ち冷却装置10に導かれる。ワイパ27は、ホイール表面から液体金属を完全に除去する。ホイールカバー8と放電領域20との間で、液体金属注入ユニット26は電極表面へと液体金属を出す。結果として、放電の前の電極表面上に、放電装着の位置に対応する、連続的な薄い液体金属膜又は液体金属の「島状部」が形成される。電極表面における液体金属は、放電位置20における放電のための燃料として後に利用される。
【0046】
液体金属注入ユニット26は冷却チャネル12とは分離されているため、上述した第1の実施例に比べて、放電位置20における電極における液体金属の範囲を制御することがかなり容易である。例えば、液体物質膜の厚さは、液体金属流量を変更することにより、数マイクロメートルから数百マイクロメートルまでの範囲で調節されることができる。液体物質電極範囲はまた、電極が保護される必要がある位置に液体金属ビーズ29を配置することにより最適化されることができ、一方で図5に模式的に示されたように、電極の残りの部分はカバーされないままでも良い(カバーされない部分30)。これらの手段は、電極上の液体金属の量を最小化し、従ってとり得る最高の電極周速を得ることを可能とする。放電により生成される破片の量も最小化される。
【0047】
電極上の液体物質の量の更なる削減は、例えば注入ユニット26において又は注入ユニット26として小滴生成器を利用して、液体金属を間欠的に出して、分離された領域即ち「島状部」を電極表面に形成することにより達成され得る。トリガエネルギービーム5を液体金属島状部に当てるため、光学的な検出方法が適用されても良い。
【0048】
例えば錫のような通常の室温で固体である液体金属を用いた使用のため、カバー8及び冷却回路における液体錫の溶融を可能とするため、カバー9及び液体金属冷却回路(ユニット9及び10並びに接続管)において付加的な加熱素子が一体化されても良いし又は適用されても良い。この手段により、システムが静止状態である後に、適切な動作条件が到達され得る。
【0049】
低パワー動作のために、ホイールカバー8は、例えば熱伝導により油又はその他の液体金属を用いて、又は例えば油又はその他の液体金属を用いる一体化された冷却チャネルを用いて、直接冷却されても良い。
【0050】
本発明は以上の記述において図面で詳細に説明され記載されたが、斯かる説明及び記載は説明するもの又は例示的なものとみなされるべきであり、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。上述した及び請求項における種々の実施例は組み合わせられても良い。図面、説明及び添付される請求項を読むことにより、請求される本発明を実施化する当業者によって、開示された実施例に対する他の変形が理解され実行され得る。例えば、図1及び3に示されたものとは異なる角度で電極ホイールを配置することも可能である。更に、上述した冷却チャネル及び冷却チャネルを延長した位置にあるギャップ又はワイパの機能が保たれる限り、電極ホイールカバーの構成は、図面に示されたものとは形状的に異なるものであっても良い。動作の第1のモードか第2のモードかを言及しない本明細書の節は、両方のモードに適用され得る。
【0051】
請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「1つの(a又はan)」は複数を除外するものではない。手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。請求項における参照記号は、これら請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0052】
1 電極素子
2 電極素子
3 コンデンサバンク
4 電源
5 エネルギービーム
6 放電位置
7 回転電極ホイール
8 ホイールカバー
9 液体金属ポンプ
10 冷却装置
11 カバー入口
12 冷却チャネル
13 液体金属入口
14 液体金属出口
15 プレワイパ
16 カバーされた部分
17 最終ワイパ
18 オーバフローチャネル
19 カバーされない部分
20 放電位置
21 中央領域
22 回転軸
23 ギャップ
24 外周面
25 側面
26 液体金属注入ユニット
27 ワイパ
28 液体金属カバー部分
29 液体金属ビーズ
30 カバーされない部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス放電光源のための電極素子であって、前記電極素子は少なくとも、
回転軸のまわりに回転方向に回転可能な電極ホイールであって、2つの側面の間に外周面を持つ電極ホイールと、
前記外周面及び前記側面の一部をカバーする電極ホイールカバーと、
を有し、前記カバーは、前記カバーと、前記外周面及び前記側面の径方向外側部分との間に、円周方向に冷却チャネルを形成するように構成され、前記冷却チャネルは、前記冷却チャネルを通る液体物質の流れを実現して、前記液体物質により前記電極ホイールを冷却するための、前記カバーにおいて入口及び出口開口を有し、前記カバーは更に、
前記カバーと、前記円周方向に前記冷却チャネルを延長した位置における前記外周面との間にギャップを形成するように構成され、前記ギャップが、前記冷却チャネルよりも小さな流れ断面を持ち、前記電極ホイールの回転の間に、前記外周面に形成される前記液体物質の膜の厚さを制限するように構成されるか、又は
前記冷却チャネルを通って流れる前記液体物質からの、前記円周方向に前記冷却チャネルを延長した位置における斯かる膜の形成を抑制するように構成された、電極素子。
【請求項2】
前記電極ホイールカバーは、前記膜の形成を抑制するための又はとり得る最小の厚さに前記膜の厚さを制限するための少なくとも1つのワイパユニットを有する、請求項1に記載の素子。
【請求項3】
前記カバーとガス放電生成の位置との間で前記外周面に液体物質を塗布するように構成された液体物質塗布ユニットを更に有する、請求項1又は2に記載の素子。
【請求項4】
前記液体物質塗布ユニットは、前記外周面に形成される前記物質の薄いビーズが前記面の幅全体をカバーしないように前記液体物質を塗布するように構成された、請求項3に記載の素子。
【請求項5】
前記出口開口は、供給線及び冷却装置を介して前記入口開口に接続されて冷却回路を形成し、前記冷却装置は、前記カバーの前記入口開口に供給される前記液体物質を冷却するように構成された、請求項1に記載の素子。
【請求項6】
前記冷却回路中にポンプが配置され、前記ポンプは前記冷却回路において前記液体物質を循環させるように構成された、請求項5に記載の素子。
【請求項7】
前記冷却回路は、前記冷却チャネルを通る前記電極ホイールの回転方向における前記液体物質の流れを提供するように構成された、請求項5又は6に記載の素子。
【請求項8】
前記入口及び出口開口は、前記電極ホイールの円周に対して基本的に接線方向に延在するように構成された、請求項1に記載の素子。
【請求項9】
前記カバーは、前記電極ホイールの大部分の周縁部に亘って延在する、請求項1に記載の素子。
【請求項10】
前記ギャップの開口端においてワイパユニットが配置され、前記ワイパユニットは、前記電極ホイールの回転の間、前記外周面における液体物質膜の厚さを更に制限するように構成された、請求項1に記載の素子。
【請求項11】
前記ワイパユニットは、前記電極ホイールの回転の間、前記外周面に隣接する前記側面の部分における前記液体物質を取り除くように構成された、請求項10に記載の素子。
【請求項12】
余分な液体物質を排出するため、前記ギャップの前記開口端にオーバフローチャネルが形成された、請求項10に記載の素子。
【請求項13】
前記冷却チャネルと前記ギャップとの間にワイパユニットが配置され、前記ワイパユニットは、前記外周面における前記液体物質膜の厚さを制限し、前記電極ホイールの回転の間に前記側面から液体物質を取り除くように構成された、請求項1に記載の素子。
【請求項14】
前記カバーの少なくとも一部が導電性であり、前記カバー及び前記液体物質を介して、前記電極ホイールへの電流の供給を可能とする、請求項1に記載の素子。
【請求項15】
請求項1に記載の電極素子を有するガス放電光源であって、前記電極素子は、放電領域において最小の距離を持つように構成された、前記ガス放電光源の2つの電極のうちの少なくとも一方を形成する、ガス放電光源。
【請求項16】
請求項15に記載のガス放電光源を動作させる方法であって、前記冷却チャネルにおける前記液体物質の流速が前記電極ホイールの周速ω・Rよりも高く、ここでω=2πfは角回転振動数であり、Rは電極ホイールの半径である方法。
【請求項17】
請求項15に記載のガス放電光源を動作させる方法であって、前記電極ホイールは角振動数ωで駆動され、回転の間に前記外周面における前記液体物質に作用する遠心力ω・Rが、重力加速度g=9.81m/sよりも大きいことを確実にし、ここでRは前記電極ホイールの半径である方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−541123(P2010−541123A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523611(P2010−523611)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053262
【国際公開番号】WO2009/031059
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】