説明

高分子アクチュエータ及び高分子アクチュエータにより駆動されるロボットアーム及びロボットアームを有するロボット

【課題】薄型化が可能で、大きな変位を得ることができる高分子アクチュエータ、前記高分子アクチュエータにより駆動されるロボットアーム、前記ロボットアームを有するロボットを提供することを目的とする。
【解決手段】板状の基盤部材と、導電性高分子を含む伸縮部材と、前記基盤部材と角度変化が可能である可動部材と、前記伸縮部材との間に電圧印加するための電極と、前記伸縮部材と前記電極の間に挟まれた電解質托体層とを備え、前記基盤部材と前記伸縮部材と前記可動部材は、それぞれを一辺とする三角形を形成するように配置され、かつ前記伸縮部材の伸縮により前記可動部材の角度が変化する高分子アクチュエータを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型で大きな変位が得られる高分子アクチュエータ、その高分子アクチュエータにより駆動されるロボットアーム、及びロボットアームを有するロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用ロボットなど人間に近い場所において動作する機械に対する要求の高まりに伴い、人間の筋肉のようにしなやかな動作をする人工筋肉アクチュエータへの期待も大きくなっている。人工筋肉アクチュエータの候補として、これまでに様々な方式のアクチュエータが提案されているが、それらの中の一つとして、導電性高分子を用いたアクチュエータが提案されている。
【0003】
導電性高分子を用いた人工筋肉アクチュエータの一例としては、図19(A)、(B)、(C)に示すようなたわみ変形を発生させるアクチュエータが提案されている。このアクチュエータは、導電性高分子膜であるポリアニリン膜体35a、35bで固体電解質成形体32を挟む構造となっている。スイッチ37をオンすることで、電源36において設定された電位差がポリアニリン膜体35a、35b間に与えられる。その結果、図19(B)に示されるように、固体電解質成形体32から一方のポリアニリン膜体35bに陰イオンが移動して伸長し、他方のポリアニリン膜体35aから固体電解質成形体32へ陰イオンが移動して縮小し、結果としてたわみ変形が発生するようになる(特許文献1参照)。
【0004】
この構成では、電極として作用する二つの導電性高分子膜35a、35bの変位量の差によりたわみ変形を発生させている。また、電解質托体層を液体もしくはゲル状の物質とすることで、両電極の変形がお互いに影響しないようにし、片方の導電性高分子膜35a、35bの変位のみを取り出して伸縮変形を行うアクチュエータとする構成も知られている。この場合、変位を利用しない電極は導電性高分子である必要はなく、主に金属が用いられている。金属電極上に導電性高分子を設けることで変位が増加することも示されている(非特許文献1参照)。上記のような導電性高分子アクチュエータは、2〜3Vの低電圧で数%の歪みを発生することから、人工筋肉としての実用化が期待されている。
【0005】
しかし、人工筋肉、ロボットアーム、義手、ベッドの背もたれの調節、ベッドの高さ調節等を駆動するためのアクチュエータとして用いるためには、より多くの変位を発生することが必要である。
【0006】
このような課題に対しては、導電性高分子アクチュエータが発生する変位が導電性高分子膜の長さに依存するので、導電性高分子膜を折り返し構造とすることで、変位を増加させることが考えられる。
【0007】
しかし、折り返し部分における抵抗などにより、実用的には導電性高分子膜を折り返すことができる回数には限界があり、必要とする変位が得られない場合がある。したがって、大きな変位を得るために、下記の2点の機構が提案されている。
【0008】
図20に示すように、たわんだ導電性高分子膜502が収縮して平面状になることを利用して、押圧部501を変位させる機構により、導電性高分子の伸縮より大きな変位が得られる。また、前記機構を積層することにより、さらに大きな変位を得ることができる(特許文献2参照)。
【0009】
図21に示すように、導電性高分子チューブ602の変位から、ピストンシリンダ機構により、大きな変位が得られる(特許文献3参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開平11−169393号公報
【特許文献2】特開2005−39996号公報
【特許文献3】特開2005−86982号公報
【非特許文献1】Proceedings of SPIE,Vol.4695の8〜16ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の大きな変位が得られる機構を備えた導電性高分子アクチュエータでは、アクチュエータの薄型化が困難であるといった課題がある。
【0011】
すなわち、図20に示す特許文献2に記載のアクチュエータでは、導電性高分子膜の伸長時に押圧部501を内部に備えることを可能とする空間を有した部材503を有する。
【0012】
したがって、アクチュエータは図20に示す押圧部501の変位方向である厚み方向に前記部材のサイズ以下には薄くすることができない。また、図21に示す特許文献3に記載のアクチュエータではピストンシリンダ機構を有する。したがって、アクチュエータは図21に示す、ピストン601の変位方向である厚み方向に前記機構のサイズ以下には薄くすることができない。
【0013】
以上のことから、特許文献2、3に記載のアクチュエータの厚み方向には、変位拡大機構を得るために構成された前記部材、前記機構の厚みにより、アクチュエータ全体の薄型化が困難となる。
【0014】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、薄型化が可能な構成でありながら、大きな変位を得られる機構を備えた高分子アクチュエータ、前記高分子アクチュエータにより駆動されるロボットアーム、前記ロボットアームを有するロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0016】
本発明の第1態様によれば、板状の基盤部材と、導電性高分子を含む伸縮部材と、可動部材と、電極と、前記伸縮部材と前記電極の間に挟まれた電解質托体層とを備え、前記基盤部材と前記伸縮部材と前記可動部材は、それぞれを一辺とする三角形を形成し、前記基盤部材と前記可動部材とのなす角度の変化が可能であるように配置され、かつ前記伸縮部材と前記電極との間に電圧を印加することで生じる前記伸縮部材の伸縮により前記基盤部材と前記可動部材の角度が変化する高分子アクチュエータを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、薄型化が可能な構成でありながら、大きな変位が得られる高分子アクチュエータが提供できる。すなわち、上記のような構成により、導電性高分子を含む伸縮部材の伸縮によって、基盤部材と可動部材の角度が変化することで変位が得られる。そして、本発明の構成はアクチュエータの厚み方向に図20、21に示す従来の変位拡大機構を備えた高分子アクチュエータと比較して、変位方向の厚みを薄くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
【0019】
本発明の第1態様によれば、板状の基盤部材と、導電性高分子を含む伸縮部材と、電極と、前記伸縮部材と前記電極の間に挟まれた電解質托体層とを備え、前記基盤部材と前記伸縮部材と前記可動部材は、それぞれを一辺とする三角形を形成し、前記基盤部材と前記可動部材とのなす角度の変化が可能であるように配置され、かつ前記伸縮部材と前記電極との間に電圧を印加することで生じる前記伸縮部材の伸縮により前記基盤部材と前記可動部材の角度が変化する高分子アクチュエータを提供する。
【0020】
このような構成によれば、前記導電性高分子を含む伸縮部材と前記電極との間への電圧印加による前記導電性高分子の伸縮により、前記基盤部材と前記伸縮部材の角度が変化することで変位が得られる。
【0021】
本発明の第2態様によれば、前記基盤部材と前記可動部材の両方又は一方が、導電体であることを特徴とする第1態様に記載の高分子アクチュエータを提供する。
【0022】
このような構成によれば、導電性高分子を含む伸縮部材に対する通電を容易にすることができ、配線のためのスペースを削減することが可能になるので、より薄型化を実現しやすい高分子アクチュエータが得られるようになる。
【0023】
本発明の第3態様によれば、前記基盤部材と前記可動部材が一体成形されていることを特徴とする第1又は2態様に記載の高分子アクチュエータを提供する。
【0024】
このような構成によれば、基盤部材と可動部材を接続するための部品を付加する必要が無くなるので、より薄型化を実現しやすい高分子アクチュエータが得られるようになる。
【0025】
本発明の第4態様によれば、前記導電性高分子を含む伸縮部材が、前記基盤部材と前記可動部材を接続する環状構造であることを特徴とする第1から3態様のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータを提供する。
【0026】
このような構成によれば、基盤部材と可動部材に棒状の保持部分を設けるだけで容易に導電性高分子を含む伸縮部材を保持することが可能になり、保持に用いる部品を付加する必要がなくなるので、より薄型化を実現しやすい高分子アクチュエータが得られるようになる。
【0027】
本発明の第5態様によれば、前記基盤部材と前記可動部材の両方又は一方の側端部に図7の5a、16aに示すように、折り曲げ部が有ることを特徴とする第1から4態様のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータを提供する。
【0028】
このような構成によれば、基盤部材や可動部材をより薄い部材で作成しても曲げたことにより、強度が保てるようになるので、より薄型の高分子アクチュエータが得られるようになる。
【0029】
本発明の第6態様によれば、第1から5態様のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータを変位方向に複数連結したことを特徴とする高分子アクチュエータ連結体を提供する。
【0030】
このような構成によれば、それぞれの高分子アクチュエータの変位を積算した、より変位の大きな高分子アクチュエータが得られるようになる。
【0031】
本発明の第7態様によれば、第1から5態様のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータを変位方向と直角な方向に複数連結したことを特徴とする高分子アクチュエータ連結体を提供する。
【0032】
このような構成によれば、それぞれの高分子アクチュエータの発生力を積算した、より駆動力の大きな高分子アクチュエータが得られるようになる。また、変位方向と直角な方向に高分子アクチュエータが複数になることから、アクチュエータの変位方向への積層をより容易に実現することもできるようになる。
【0033】
本発明の第8態様によれば、第6又は7態様に記載の高分子アクチュエータ連結体において、単一の導電性高分子を含む伸縮部材が高分子アクチュエータ連結体を構成する高分子アクチュエータのうちの複数の前記高分子アクチュエータにまたがるように構成された高分子アクチュエータ連結体を提供する。
【0034】
このような構成によれば、単一の導電性高分子を含む伸縮部材により、複数の可動部材を同時に動作させることが可能になるので、高分子アクチュエータの駆動が容易になるとともに、アクチュエータ連結体全体における導電性高分子を含む伸縮部材の保持部分が少なくなるので、より薄型化を実現しやすい高分子アクチュエータ連結体が得られるようになる。
【0035】
本発明の第9態様によれば、第1から5態様のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ、又は第6から8態様のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ連結体により駆動されるロボットアームを提供する。
【0036】
このような構成によれば、第1から5態様のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ、又は第6から8態様のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ連結体により駆動されるロボットアームを構成することができて、前記高分子アクチュエータ又は高分子アクチュエータ連結体の作用効果を奏することができるロボットアームを得ることができる。
【0037】
本発明の第10態様によれば、第9態様に記載のロボットアームを有するロボットを提供する。
【0038】
このような構成によれば、前記第9態様に記載の高分子アクチュエータ又は高分子アクチュエータ連結体により駆動されるロボットアームを有するロボットを構成することができて、前記高分子アクチュエータ又は高分子アクチュエータ連結体の作用効果を奏することができるロボットを得ることができる。
【0039】
以下、本発明の種々の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0040】
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかる第1実施形態の高分子アクチュエータの一例としての人工筋肉アクチュエータ1の概略を示した斜視図である。図1において、電極の一例である金属膜4は、電解質托体層の一例であるゲル状電解質3を介して導電性高分子を含む伸縮部材の一例である有機導電性高分子である伸縮板2と接続されている。有機導電性高分子である伸縮板2は、矩形たとえば長方形の伸縮体である膜状の伸縮板であり、金属膜4との間に電位差を与えることで、酸化還元反応に伴う伸長収縮変形するようになる。有機導電性高分子である伸縮板2を構成する有機導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、又はポリメトキシアニリン等が利用可能だが、ポリピロールは変位が大きい点で望ましい。また、有機導電性高分子の伸縮板2における導電性高分子の厚みは、数十μm程度であるのが望ましい。数十μmより薄いと強度的に弱く、数十μmより厚いとゲル状電解質3から有機導電性高分子の伸縮板2の内部まで十分にイオンが移動できなくなるので望ましくない。ゲル状電解質3については、水溶液系、有機溶媒系、若しくはイオン性液体系などの様々な電解液を含有したゲルが使用可能であるが、イオン性液体系が不揮発性の特徴を持つ面で望ましい。また、有機導電性高分子である伸縮板2との間に電位差が与えられる金属膜4については、白金、ステンレス、チタン、ニッケルなどの様々な金属が利用可能であるが、電極としての安定性の面で白金が、価格の面でステンレスが望ましい。なお、電極については金属に限る物ではなく、導電性高分子や炭素、及びそれらと金属の複合物なども利用可能である。
【0041】
有機導電性高分子である伸縮板2の一端は、第1クランプ部材9aにより板状の可動部材ベース16に固定され、有機導電性高分子である伸縮板2の他端は、第2クランプ部材9bにより板状の基盤部材5に固定されている。可動部材ベース16と基盤部材5は、弾性ヒンジを備え、導電性を有する金属により一体成形されている。可動部材ベース16は、無負荷状態において基盤部材5と所定の角度を有するように構成され、角度の変化に対して、所定の角度に戻すような復元力が発生するようになっている。そして、有機導電性高分子である伸縮板2は、伸長状態においても弾性ヒンジの復元力が、常に有機導電性高分子である伸縮板2の伸長方向へ加わるような長さでクランプ部材9a、9bにより可動部材ベース16と基盤部材5にクランプされている。
【0042】
さらに、電源6とスイッチ7からの配線の一端は基盤部材5を介して有機導電性高分子である伸縮板2に接続され、配線の他端は金属膜4に接続されており、電源6で与えられる電位差が、有機導電性高分子である伸縮板2と金属膜4との間に印加され、有機導電性高分子である伸縮板2が伸縮するようになっている。
【0043】
次に、この人工筋肉アクチュエータ1の作用を説明する。
【0044】
有機導電性高分子の伸縮板2が収縮する原因としては、アニオン(陰イオン)の移動、カチオン(陽イオン)の移動、高分子構造の変化等があるが、図3(A)、図3(B)による動作原理の説明では、ポリピロールなどの材料系においてアニオンのドープ、アンドープが主たる変形のメカニズムとされていることから、アニオンの移動について述べる。図2(A)、図2(B)、図2(C)に有機導電性高分子の伸縮板2が収縮するときの人工筋肉アクチュエータ1の状態変化を表す正面図を示し、図3(A)に図2(A)において丸で囲んだ部分の拡大図を示す。
【0045】
図2(C)は有機導電性高分子の伸縮板2に電位を印加していない状態を示している。図2(A)、図3(A)は有機導電性高分子の伸縮板2に正の電位を印加し、金属膜4に負の電位を印加した場合を示している。また、図2(B)、図3(B)は有機導電性高分子の伸縮板2に負の電位を印加し、金属膜4に正の電位を印加した場合を示している。
【0046】
図3(A)、図3(B)に示すように、有機導電性高分子の伸縮板2は、アニオンがゲル状電解質3から内部に移動することで伸長し、アニオンが内部からゲル状電解質3に移動することで収縮するようになる。ちなみにスイッチオフの状態では、有機導電性高分子の伸縮板2と金属膜4との電位差が変化しない。したがって、ゲル状電解質3と有機導電性高分子の伸縮板2の間のアニオンの移動は起こらなくなり、スイッチオフとなる前の状態が保持されることになる。すなわち、図3(A)、図3(B)に示される状態でスイッチオフした場合には、それぞれの状態が保持され、図3(A)から図3(B)に変化する過程もしくはその逆の過程においてスイッチオフした場合には、図3(A)と図3(B)の中間的な状態となる。
【0047】
有機導電性高分子の伸縮板2が伸長する場合には、弾性ヒンジの復元力により基盤部材5と可動部材8のなす角度が、有機導電性高分子の伸縮板2が張った状態になるまで増加し、図2(A)に示すように、人工筋肉アクチュエータ1としての変位である伸縮板2と可動部材8の接合部分の高さが高くなる。逆に、有機導電性高分子の伸縮板2が収縮する場合には、有機導電性高分子の伸縮板2により可動部材ベース16とクランプ部材9aからなる可動部材8が引っ張られ、基盤部材5と可動部材8のなす角度が減少し、図2(B)に示すように、伸縮板2と可動部材8接合部分の高さが低くなる。
【0048】
このときの変位拡大効果について簡単に説明する。図2(A)、図2(B)から、この人工筋肉アクチュエータ1の動作は、図4に示す基盤部材5を底辺とする基盤部材5と可動部材8と伸縮板2とが、それぞれ一辺として形成される三角形の前記伸縮板2の伸縮による高さの変化としてモデル化することができる。
【0049】
ここで、aは可動部材8に相当する辺の長さ、dは基盤部材5に相当する辺の長さ、bは有機導電性高分子の伸縮板2に相当する辺の長さ、θは可動部材8に相当する辺aと基盤部材5に相当する辺のなす角度とする。
【0050】
辺の長さbは、b=sqrt((d−a*cosθ)+(a*sinθ))で表され、三角形の高さはh=a*sinθで表されることになる。基盤部材5を底辺とする前記三角形の高さ変化は人工筋肉アクチュエータ1の変位に相当する。
【0051】
有機導電性高分子の伸縮板2の変位に対する人工筋肉アクチュエータ1の変位の比率を示す変位倍率はdh/db=ab+bd−b/[d{sqrt(2a+2a+2b−a−b−d)}]で表される。ここで、D=d/a、B=b/aとおくと、dh/db=B/(D*tanθ)と表される。
【0052】
この関係を基に計算した角度θにおける変位倍率を図5に示す。この図より、θが小さくなるほど、またd/aが大きくなるほど変位倍率が大きくなる傾向にあることがわかる。
【0053】
目的とする変位倍率に応じてd/aとθの組み合わせが選択されるので、使用する有機導電性高分子の伸縮板2のサイズbに応じて、dとaのサイズが決定されることになる。
【0054】
また、このときの力の倍率についても考える。前記三角形の頂点における力の釣り合いから、長さbの辺に沿った収縮力に対する前記三角形の頂点における垂直下方への力の比は、sinφ+cosφ*tanθで求められる。ここでφは、有機導電性高分子の伸縮板2に相当する辺と基盤部材5に相当する辺のなす角度である。
【0055】
sinφ+cosφ*tanθにおける、sinφは有機導電性高分子の収縮に対するbに沿った力に基づく前記三角形の頂点における垂直下方への寄与分であり、cosφ*tanθはbに沿った力の水平成分と可動部材8に沿った力に基づく前記三角形の頂点における垂直下方への寄与分を表している。ここで、sinφ+cosφ*tanθはD=d/a、B=b/aとおくと、(D*tanθ)/Bと表される。
【0056】
この関係を基に計算した角度θにおける力倍率を図6に示す。この図より、変位倍率とは逆に、θが小さくなるほど、またd/aが大きくなるほど力倍率が小さくなる傾向にあることがわかる。
【0057】
また、変位倍率と力倍率の積はちょうど1となり、行われる仕事に変化がないことがわかる。ただし、人工筋肉アクチュエータ1が発生する力は、この有機導電性高分子の伸縮板2の収縮力に弾性ヒンジによる伸縮板の伸長方向への復元力が加わることになる。弾性ヒンジの剛性が高いほど復元力、すなわち人工筋肉アクチュエータ1が伸長する力は大きくなるが、有機導電性高分子の伸縮板2により人工筋肉アクチュエータ1を収縮させるのが困難になる。よって、変位拡大効果を発揮するためには、弾性ヒンジの剛性は有機導電性高分子の伸縮板2の収縮力により変形可能な程度まで小さいことが望ましい。
【0058】
なお、第1実施形態では、可動部材8と基盤部材5として平らな部材を用いていたが、図7の5a、16aで示すように側端部に曲げ部を設けても良い。このようにすることで、基盤部材の曲げ強度を上げることができるので、より薄い部材を用いることも可能になる。また、有機導電性高分子の伸縮板2をクランプする部分が、可動部材8の先端近くである必要もなく、図8に示すようにクランプした部分より先に可動部材8を延長することで、さらに変位拡大効果を顕著にしても良い。
【0059】
また、第1実施形態では、可動部材16と基盤部材5とが一体成形されており、弾性ヒンジにより復元力が発生する構成としていたが、可動部材8と基盤部材5とは完全に別な部品であってもよく、また復元力発生手段も弾性ヒンジに限るものではなく、板バネやねじりバネを基盤部材5と可動部材8との間に配置することで、弾性力より復元力を発生させるようにしても良い。さらに、復元力の発生手段は弾性力に限るものでもなく、基盤部材5と可動部材8に同極の磁石を配置することにより、磁石の反発を利用するなどしても良い。また、復元力を発生する手段を有していなくても、伸縮板2が常に前記三角形の状態を維持できる程度の剛性を有していれば、アクチュエータとしての変位を得ることができる。いずれの場合についても本発明に含まれる。
【0060】
(第2実施形態)
図9は、本発明にかかる第2実施形態の高分子アクチュエータの一例としての人工筋肉アクチュエータ1Bの概略を示した斜視図である。なお、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0061】
第2実施形態では、第1実施形態におけるクランプ部材9a、9bを用いた固定の代わりに、環状の有機導電性高分子の伸縮板2aを導電性の軸10a、10bに架けるように配置している。また、人工筋肉アクチュエータ1Bは電解液容器11(図9では省略、図11に例を図示)で覆われ、その内部に電解質托体層の一例である液体電解質23が満たされている。電極の一例である金属板24aは、液体電解質23を介して有機導電性高分子である伸縮板2aと接続されるとともに、絶縁板12を介して基盤部材5と接続されている。次に、この人工筋肉アクチュエータ1Bの作用を説明する。図10(A)は有機導電性高分子の伸縮板2aに正の電位を印加し、金属板24aに負の電位を印加した場合を示している。また、図10(B)は有機導電性高分子の伸縮板2aに負の電位を印加し、金属板24aに正の電位を印加した場合を示している。第1実施形態のときと同様に、有機導電性高分子の伸縮板2aは、図10(A)においてアニオン(図示せず)が液体電解質23から内部に移動することにより伸張し、図10(B)においてアニオンが内部から液体電解質23に移動することにより収縮するようになる。この有機導電性高分子の伸縮板2aの伸縮に伴い、基盤部材5と可動部材8のなす角度は変化し、人工筋肉アクチュエータ1Bの変位が発生することになる。
【0062】
この人工筋肉アクチュエータ1Bを大気中において利用するように構成した場合の断面図を図11(A)、図11(B)に示す。人工筋肉アクチュエータ1Cは、人工筋肉アクチュエータ1Bをフタ21、ケース22、リンク25、カバー26からなる電解液容器11で覆ったものである。また、変位出力を取り出すための変位取り出し部材14が、液体電解質23が漏れないようにフタ21と一体化した状態で電解液容器11を貫通している。変位取り出し部材14とフタ21を一体化する方法としては、しまりばめ、接着、シールしてのネジ止め等が利用可能である。また、電源6、スイッチ7に至る配線も、それぞれシール部材13a、13bによりシールされた状態で電解液容器11を貫通している。シール部材としては、フッ素樹脂などが低摩擦特性、耐薬品性などを備える点で望ましい。変位取り出し部材14は軸10aとリンク15により連結されており、基盤部材5と可動部材8との角度の変化に伴う軸10aの横方向の変位が変位取り出し部材14に影響しないようにしている。フタ21とケース22はリンク25により構造的に連結されており、フタ21がケース22に対して相対的な上下動が可能なようになっている。また、フタ21とケース22はカバー26によっても連結されている。カバー26は電解液によって侵されない材質からなる柔軟な膜であり、電解液が電解液容器11の外部に漏れないようにシールするとともに、フタ21が上下動する際に電解液容器11の内部容積を確保し、液体電解質23によりフタ21の上下動が阻害されるのを防ぐ構造となっている。カバー26の材質としては、ブチルゴム、プロピレンゴム、シリコーンゴムなどが利用可能である。このような構成により、有機導電性高分子の伸縮板2aが伸長する場合には図11(A)のように変位取り出し部材14は上昇し、有機導電性高分子の伸縮板2aが縮小する場合には図11(B)のように変位取り出し部材14は下降するようになる。
【0063】
第2実施形態における人工筋肉アクチュエータ1Bを複数用いた人工筋肉アクチュエータ1Dの構成例を図12に示す。この構成では、金属板24aを4個の人工筋肉アクチュエータで共有している。並列に2個の人工筋肉アクチュエータを並べることで、発生力が2倍になり、直列に2個並べることで変位が2倍となる。このように、複数のアクチュエータで構成部品を共有して連結することで、発生力の増加または変位の増大といった性能の向上が実現でき、さらに、板状の部材を共有することにより、共有しない場合と比較してアクチュエータ全体の占有スペースの削減、配線の簡略化が可能となる。なお、図12において示した構成では、金属板24aのみを共有して電極側の配線のみを削減していたが、基盤部材5b、5c、5d、5eが電気的に導通するようにして、作用電極側の配線も削減するようにすれば、配線簡略化の面でなお望ましい。
【0064】
また、第2実施形態における人工筋肉アクチュエータ1Bを複数用いた別の構成例である人工筋肉アクチュエータ1Eの斜視図を図13に示し、正面断面図を図14に示す。この構成では、金属板24a、24b、24cを共有するだけでなく、可動部材8aと8cで軸10c、可動部材8bと8dで軸10d、可動部材8eと8gで軸10i、可動部材8fと8hで軸10jを共有し、互いに導通するようにしている。また、有機導電性高分子の伸縮板2aは10a、10b、10c、10d、10e、10fを繋ぐように、2bは10g,10h,10i,10j,10k,10lを繋ぐように、単一の有機導電性高分子の伸縮板2が複数の人工筋肉アクチュエータBにまたがって構成されている。このようにすることで、さらに単一の伸縮板2aにより複数の可動部材8を動作させることができるために、伸縮板の占有スペースが削減できるとともに、有機導電性高分子の伸縮板の数が削減できるので、製作が容易になり、制御も簡単になる。また、人工筋肉アクチュエータ1Eの上下端である金属板24a、24cは平板であり、上下動のみを行うことから、図11(a)、図11(b)の場合のようにリンク機構を使わなくても直線状の変位を取り出すことが可能になる。
【0065】
さらに、第2実施形態における人工筋肉アクチュエータ1を複数本用いたロボットアームの構成例を図15に示す。人工筋肉アクチュエータ1とそれぞれ同様な構造の人工筋肉アクチュエータ1a〜1hに固定壁301、支持体302,307,309,310,312と接続するための機構を備えたものを2本1組として拮抗筋構造として、各ロボットアームの一対の駆動部を構成する。各ロボットアームの一対の駆動部のうちの一方の駆動部を伸張、他方の駆動部を収縮することで、また、それらとは逆に動作させることで、ロボットアームの一対の駆動部が連結された軸101〜104に正逆回転運動を発生させることができる。具体的には、図10の構成では、人工筋肉アクチュエータ1a、1bの伸張及び収縮動作によって上下軸101が正逆回転し、以下同様に、人工筋肉アクチュエータ1c、1dの伸張及び収縮動作によって軸102が、人工筋肉アクチュエータ1e、1fの伸張及び収縮動作によって軸103が、人工筋肉アクチュエータ1g、1hの伸張及び収縮動作によって軸104がそれぞれ正逆回転するようになっている。
【0066】
詳しくは、4自由度のロボットアームは、固定壁301に対して、上下方向軸沿いに横方向沿いの平面内で正逆回転する第1関節の上下軸101と、上下方向沿いの平面内で正逆回転する第2関節の軸102と、第2腕308と第1腕311との間で相互に正逆回転とする第3関節の軸103と、第1腕311と手313との間で相互に正逆回転とする第4関節の軸104とより構成されている。
【0067】
第1関節101では、上下端部が軸受け304と305で回転自在にかつ上下方向沿いに支持された回転軸303の上端部の両側に円形支持体302,302が回転自在に連結され、かつ、人工筋肉アクチュエータ1a、1b(ただし、人工筋肉アクチュエータ1bは人工筋肉アクチュエータ1aの背後に配設されるため図示せず。)の各一端部が固定壁301に連結されるとともに各他端部が上記各円形支持体302の支持軸102(第2関節の軸102)に連結されている。よって、人工筋肉アクチュエータ1a、1bの拮抗駆動により、第1関節の上下軸101回りに横方向沿いの平面内でロボットアームの第1腕311と第2腕308と手313とを一体的に正逆回転運動させることができる。なお、上側の軸受け305は支持棒306で固定壁301に支持されている。
【0068】
第2関節では、回転軸303の両側に固定された2つの円形支持体302,302に、第2腕用リンク308の一端が固定されている。第2腕用リンク308の円形支持体302,302と、回転軸303の一端に直交して固定された支持体307,307との間には、人工筋肉アクチュエータ1c、1dが連結されて、人工筋肉アクチュエータ1c、1dの拮抗駆動により、第2関節の支持軸102である横軸回りに上下方向沿い面内でロボットアームの第1腕311と第2腕308と手313とを一体的に正逆回転させる。
【0069】
第3関節では、第2腕308沿いでかつ第2腕308の先端に第2腕308と交差して回転自在に連結されかつ第1腕311の基端が固定された支持体310と、第2腕308の基端に直交して固定された支持体309,309との間に人工筋肉アクチュエータ1e、1fが連結されて、人工筋肉アクチュエータ1e、1fの拮抗駆動により、第3関節の支持軸103である横軸回りに上下方向沿い面内で第1腕311と手313とを一体的に正逆回転させる。
【0070】
第4関節では、第1腕311沿いでかつ第2腕308の先端と第1腕311の基端との間に第1腕311と交差しかつ第1腕311の基端に固定された支持体310と、第1腕311の先端と手313の基端との間に第1腕311と交差しかつ手313の基端に固定された支持体312との間に人工筋肉アクチュエータ1g、1hが連結されて、人工筋肉アクチュエータ1g、1hの拮抗駆動により、第3関節の支持軸103である横軸回りに上下方向沿い面内で手313を正逆回転させる。
【0071】
人工筋肉アクチュエータ1a、1b、人工筋肉アクチュエータ1c、1d、人工筋肉アクチュエータ1e、1f、人工筋肉アクチュエータ1g、1hのそれぞれは、制御装置の一例としての制御コンピュータにより、それぞれの移動体4と第2終端部材5bとの距離に応じて電源6の電圧やスイッチ7の状態が適宜制御され、人工筋肉アクチュエータ1a、1b、人工筋肉アクチュエータ1c、1d、人工筋肉アクチュエータ1e、1f、人工筋肉アクチュエータ1g、1hのそれぞれの収縮・伸張動作が制御される。
【0072】
このような構成とすることで、多自由度を生かし、人間の腕のようにしなやかな動きをするロボットアームが得られる。これにより、特に家庭用途に適したロボットアームを実現することができる。
【0073】
(第3実施形態)
図16は、本発明にかかる第3実施形態の高分子アクチュエータの一例としての人工筋肉アクチュエータ1Fの概略を示した斜視図である。なお、前述した第2実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0074】
第3実施形態では、第2実施形態では基盤部材5より短かった可動部材8が、前記基盤部材5より長くなるとともに、可動部材8にも絶縁板12bを介して金属板24bが接続されている。可動部材8、絶縁板12bには、基盤部材5、絶縁板12aと同様に金属板24bに至る貫通穴が設けられている。このような構成とすることで、有機導電性高分子の伸縮板2aに対応する電極の面積が増大するとともに、有機導電性高分子の伸縮板2aの各部から電極までの距離を短くすることができる。
【0075】
この構成における変位拡大効果について簡単に説明する。この人工筋肉アクチュエータ1の動作は、第1実施形態の場合と同様にa>dの場合として、図4に示す基盤部材5を底辺として、基盤部材5と可動部材8と有機導電性高分子の伸縮板2とが、それぞれを一辺として形成される三角形の伸縮板2の伸縮による高さの変化としてモデル化することができる。変位倍率、力倍率の式は、第1実施形態と同様に表される。変位倍率と力倍率を計算した結果をそれぞれ図17、図18に示す。図17より、θが小さくなるほど、またd/aが小さくなるほど変位倍率が大きくなる傾向にあることがわかる。しかし、図18で示す力倍率は変位倍率の増加に対応して減少しているので、駆動力が必要な場合には、d/aは小さくしないのが望ましいことがわかる。
【0076】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明にかかる高分子アクチュエータは、薄型化が可能な構成でありながら、大きな変位を得られる機構を備えた高分子アクチュエータを得ることができるものであり、人工筋肉アクチュエータ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態による人工筋肉アクチュエータの概略を示す斜視図
【図2】本発明の第1実施形態による人工筋肉アクチュエータの動作を示す正面図
【図3】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第1実施形態による人工筋肉アクチュエータの動作を示す拡大断面図
【図4】本発明の第1実施形態による人工筋肉アクチュエータの動作モデルを示す図
【図5】本発明の第1実施形態による人工筋肉アクチュエータの変位倍率を示すグラフ
【図6】本発明の第1実施形態による人工筋肉アクチュエータの力倍率を示すグラフ
【図7】図1とは異なる本発明の第1実施形態による人工筋肉アクチュエータの概略を示す斜視図
【図8】図1、図7とは異なる本発明の第1実施形態による人工筋肉アクチュエータの概略を示す斜視図
【図9】本発明の第2実施形態による人工筋肉アクチュエータの概略を示す斜視図
【図10】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第2実施形態による人工筋肉アクチュエータの動作を示す正面図
【図11】(A)、(B)はそれぞれ図10とは異なる本発明の第2実施形態による人工筋肉アクチュエータの動作を示す正面断面図
【図12】本発明の第2実施形態による人工筋肉アクチュエータを複数組み合わせた構成形態の概略を示す斜視図
【図13】本発明の第2実施形態による人工筋肉アクチュエータを複数組み合わせた図12とは異なる構成例の概略を示す斜視図
【図14】本発明の第2実施形態による人工筋肉アクチュエータを複数組み合わせた図12とは異なる構成例の概略を示す正面図
【図15】本発明の第2実施形態における人工筋肉アクチュエータを用いたロボットアームの概略図
【図16】本発明の第3実施形態による人工筋肉アクチュエータの概略を示す斜視図
【図17】本発明の第3実施形態による人工筋肉アクチュエータの変位倍率を示すグラフ
【図18】本発明の第3実施形態による人工筋肉アクチュエータの力倍率を示すグラフ
【図19】(A)、(B)、(C)はそれぞれ従来構成の人工筋肉アクチュエータの概略を示す図
【図20】特許文献2に記載の従来技術のアクチュエータの断面図
【図21】特許文献3に記載の従来技術の車高調整用アクチュエータの縦断面図
【符号の説明】
【0079】
1,1B,1C,1D,1E,1F,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h 人工筋肉アクチュエータ
2,2a,2b,2c,2d 有機導電性高分子である伸縮板
3 ゲル状電解質
4 金属膜
5,5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5h,5i 基盤部材
6 電源
7 スイッチ
8,8a,8b,8c,8d,8e,8f,8g,8h 可動部材
9a,9b クランプ部材
10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i,10j,10k,10l 軸
11 電解液容器
12,12a,12b,12c,12d 絶縁板
13a,13b,13c シール部材
14 変位取り出し部材
15 リンク
16,16a 可動部材ベース
21 フタ
22 ケース
23 液体電解質
24a,24b,24c 金属板
25 リンク
26 カバー
32 固体電解質成形体
35a,35b ポリアニリン膜体
36 電源
37 スイッチ
101,102,103,104 回転軸
301 固定壁
302 円形支持体
303 回転軸
304,305 軸受け
306 支持棒
307 支持体
308 第2腕
309,310 支持体
311 第1腕
312 支持体
313 手
501 押圧部
502 導電性高分子膜
503 押圧部501を内部に備えることを可能とする空間を有した部材
601 ピストン
602 導電性高分子チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基盤部材と、導電性高分子を含む伸縮部材と、可動部材と、電極と、前記伸縮部材と前記電極の間に挟まれた電解質托体層とを備え、前記基盤部材と前記伸縮部材と前記可動部材は、それぞれを一辺とする三角形を形成し、前記基盤部材と前記可動部材とのなす角度の変化が可能であるように配置され、かつ前記伸縮部材と前記電極との間に電圧を印加することで生じる前記伸縮部材の伸縮により前記基盤部材と前記可動部材の角度が変化する高分子アクチュエータ。
【請求項2】
前記導電性高分子の伸縮方向への力に対して、前記基盤部材と前記可動部材とがなす角度を所定の角度に戻すような復元力を与える復元手段を有する請求項1に記載の高分子アクチュエータ。
【請求項3】
前記復元手段が、弾性ヒンジである請求項1又は2に記載の高分子アクチュエータ。
【請求項4】
前記基盤部材と前記可動部材の両方又は一方が、導電体である請求項1から3のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ。
【請求項5】
前記基盤部材と前記可動部材が一体成形である請求項1から4のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ。
【請求項6】
前記導電性高分子を含む伸縮部材が、前記基盤部材と前記可動部材を接続する環状構造である請求項1から5のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ。
【請求項7】
前記基盤部材と前記可動部材の両方又は一方の側端部に折り曲げ部が有る請求項1から6のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータを変位方向に複数連結した高分子アクチュエータ連結体。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータを変位方向と直角な方向に複数連結した高分子アクチュエータ連結体。
【請求項10】
単一の導電性高分子を含む伸縮部材が高分子アクチュエータ連結体を構成する高分子アクチュエータのうちの複数の前記高分子アクチュエータにまたがるように構成された請求項8又は9に記載の高分子アクチュエータ連結体。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ、又は請求項8から10のいずれか一つに記載の高分子アクチュエータ連結体により駆動されるロボットアーム。
【請求項12】
請求項11に記載のロボットアームを有するロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−159222(P2007−159222A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349021(P2005−349021)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】