高周波電力増幅装置、高周波電力増幅方法、送信装置
【課題】エネルギ効率の優れた歪の少ない高周波電力増幅装置を提供する。
【解決手段】高周波電力増幅装置3は、高周波の入力信号を増幅する電力増幅器PAと、電力増幅器PAと電力増幅器PAに電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、電源部からの電源電圧を制御する制御回路31とを含む。制御回路31は、電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号を電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成し、生成した制御信号により電源電圧を制御することにより供給電源電圧Vdd1を生成し、生成した供給電源電圧Vdd1を電力増幅器PAに供給する。
【解決手段】高周波電力増幅装置3は、高周波の入力信号を増幅する電力増幅器PAと、電力増幅器PAと電力増幅器PAに電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、電源部からの電源電圧を制御する制御回路31とを含む。制御回路31は、電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号を電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成し、生成した制御信号により電源電圧を制御することにより供給電源電圧Vdd1を生成し、生成した供給電源電圧Vdd1を電力増幅器PAに供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電力増幅装置、高周波電力増幅方法、送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線インターフェイスを備えた情報処理装置においては、送信機の消費電力を削減することが求められる。この時、送信電力や送信品質を低下させることなく、送信機の消費電力を削減することが求められる。このため、送信機のエネルギ効率を向上させることが重要である。
【0003】
送信機に含まれる高周波電力増幅装置のエネルギ効率は、高周波電力増幅装置に含まれるMOSFETの動作状態に依存する。換言すれば、信号電力に対して電源電圧が高すぎず、高周波電力増幅装置に含まれるMOSFETは飽和状態となる時、エネルギ効率を高くする事ができる。従って、エネルギ効率は、出力電圧振幅と電源電圧との相対的な大小関係に依存する。
【0004】
そこで、例えば、図10に示すように、高周波電力増幅装置の出力電圧振幅が小さい場合には、電源電圧を下げることが知られている。
【0005】
図10において、高周波電力増幅装置に含まれ、高周波信号を増幅する電力増幅器PAと電源電圧Vddを供給する電源端子との間には、電源制御回路が設けられる。電源制御回路は、MOSFET・Q101、インダクタンスL101、キャパシタンスC101、電圧比較器COMを含む。電力増幅器PAには、入力inとして、高周波信号(RF signal)が入力される。電源電圧Vddは、MOSFET・Q101とインダクタンスL101とを介して、電力増幅器PAの電源端子に電圧Vdd0として供給される。電力増幅器PAへの入力inとは別に、入力inの包絡線信号Venvが包絡線検出器により生成される。包絡線信号Venvは、抵抗R101を介して、インダクタンスL101と電力増幅器PAの電源端子との接続点に供給される。インダクタンスL101と電力増幅器PAの電源端子との接続点は、キャパシタンスC101を介して、接地電位に接続される。抵抗R101の両端には電圧比較器COMの2個の入力端子が接続される。電圧比較器COMの出力は、MOSFET・Q101のゲート電極に供給される。
【0006】
包絡線信号Venvと電力増幅器PAに供給されている電圧Vdd0との間に生じた差分は、電圧比較器COMにより検出される。これにより、検出された差分に応じた制御信号が、MOSFET・Q101に供給される。この結果、包絡線信号Venvの変動に応じて、電力増幅器PAに供給されている電圧Vdd0を制御することができる。換言すれば、電力増幅器の出力電圧振幅が小さい場合に、電力増幅器PAに供給される電源電圧Vdd0を下げることができる。
【0007】
なお、例えば、増幅器と、前記増幅器に供給する電圧信号を送信信号に応じて制御する電圧制御部と、前記送信信号に前記増幅器の入力対出力特性の逆特性を予め与えて歪補償処理を行う歪補償部とを備え、前記歪補償部の出力信号を前記増幅器に入力して増幅する電力増幅装置であって、前記送信信号の振幅を検出する振幅検出部と、前記送信信号の振幅の検出値が所定値未満のときの、前記送信信号に対する前記歪補償部の出力信号の振幅を低減するように、前記歪補償部の出力信号と前記電圧信号のタイミングを調整するタイミング調整部と、を備えることが提案されている。
【0008】
また、例えば、送信すべきRF入力信号を発生する発振器をRF増幅器が含み、前記RF入力信号を電力増幅回路が受信し、該RF入力信号を増幅してRF出力信号を発生し、前記発振器および前記電力増幅回路には増幅器制御回路が作動的に関連しており、この増幅制御回路はRF出力信号の所望する振幅を示す制御信号を発生するための手段を含み、メモリ手段は前記制御信号に対しRF出力信号の実際の振幅を相関化する補正情報を記憶し、所望する振幅に対する補正情報に応答して変更された制御信号を使って制御手段が電力増幅回路の電源電圧を変えるようにすることが提案されている。
【0009】
また、振幅変調回路が、可能性として変調された電圧(VPA)と組み合わせられた変調された供給電流(IPA)を無線周波数電力増幅器に提供するとともに、該増幅器のAM変調インピーダンスとして説明される、変調された供給電流(IPA)とその電圧(VPA)の比の変化に応答する検出回路を含み、インピーダンス(抵抗)の変化が電力増幅器によって駆動されるアンテナアセンブリの結合特性を変化させることに起因して発生され、利得制御回路が検出回路に付随して該回路に応答することにより、AM変調インピーダンスの変化に応答して変調利得制御の調整を可能にすることが提案されている。
【0010】
また、変調波を入力信号とする電力増幅器と、この電力増幅器に直流バイアス電圧を供給するバイアス手段と、このバイアス手段の出力電圧を前記変調波の包絡線信号レベルより制御する電圧制御手段とを備えた線形送信装置において、前記電力増幅器の入力信号を前記包絡線信号レベルと前記電力増幅器の出力信号の包絡線信号レベルとの差により制御する入力制御手段を備え、前記電圧制御手段は、変調波から求めた包絡線の振幅および位相を等化して前記バイアス手段に供給する周波数等化回路を含むことが提案されている。
【0011】
また、送出すべきベースバンドデータが、歪補償部、D/A変換部、直交変調器、周波数変換器を経て送信信号に変換され、電力増幅器にて電力増幅されてアンテナ部より出力され、電力増幅器の出力の一部は、方向性結合器、周波数変換器、直交復調器、A/D変換部を経て帰還系ベースバンドデータにディジタル変換され、帰還系ベースバンドデータと送出すべきベースバンドデータとは、比較部で比較され、歪量演算部で、送信信号の歪量が算出され、この歪量に基づき、バイアス制御部において、電力増幅器のバイアス電圧を制御することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−226198号公報
【特許文献2】特表2002−530917号公報
【特許文献3】特表2005−518745号公報
【特許文献4】特許第2689011号公報
【特許文献5】特開2002−176321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図10に示すように、電源制御回路を包絡線信号Venvにより駆動する場合、電力増幅器PAの電源端子に供給される電圧Vdd0には、入力inと比較して、位相遅れが生じる。電圧Vdd0の位相遅れの量は、入力inの振幅の時間的な変化の履歴に依存する。換言すれば、電圧Vdd0は、入力inにより振幅変調された信号であると考えることができる。
【0014】
このため、電圧Vdd0が電力増幅器PAの電源端子に供給される場合、電圧Vdd0は、入力inに正確に追従することができない。従って、電圧Vdd0の瞬間的な値、換言すれば、瞬時電源電圧を、電力増幅器PAのエネルギ効率が最良となる値に制御することができない。
【0015】
また、電力増幅器PAの利得は、一般に電源電圧に依存する。しかし、前述したように、電圧Vdd0が位相遅れを含むために、歪を生じてしまう。
【0016】
本発明は、エネルギ効率の優れた歪の少ない高周波電力増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
開示される高周波電力増幅装置は、高周波の入力信号を増幅する電力増幅器と、電力増幅器と電力増幅器に電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、電源部からの電源電圧を制御する制御回路とを含む。制御回路は、電力増幅器への入力信号から得られる信号を電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成し、生成した制御信号により電源電圧を制御することにより供給電源電圧を生成し、生成した供給電源電圧を電力増幅器に供給する。
【発明の効果】
【0018】
開示される高周波電力増幅装置によれば、エネルギ効率が良く、歪が少ない高周波電力の増幅を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】高周波電力増幅装置を備える送信装置の一例を示す図である。
【図2】高周波電力増幅装置の一例を示す図である。
【図3】高周波電力増幅装置の説明図である。
【図4】高周波電力増幅装置の説明図である。
【図5】高周波電力増幅装置の説明図である。
【図6】高周波電力増幅装置の説明図である。
【図7】カルテシアンフィードバックループへの適用の説明図である。
【図8】高周波電力増幅装置の他の一例を示す図である。
【図9】高周波電力増幅装置の更に他の一例を示す図である。
【図10】高周波電力増幅装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、高周波電力増幅装置を備える送信装置の一例を示す図である。
【0021】
送信装置は、信号生成部1と、包絡線信号生成部(env)2と、高周波電力増幅装置3とを含む。信号生成部1は、例えばデジタルプロセッシング部(DPU)であり、高周波(RF signal)の送信信号inを生成する。送信信号inは、変調された送信信号である。送信信号inは、包絡線信号生成部(env)2及び高周波電力増幅装置3に入力される。
【0022】
包絡線信号生成部2は、送信信号inの包絡線を検出することにより包絡線信号を生成する。包絡線信号は、高周波電力増幅装置3に入力される。
【0023】
高周波電力増幅装置3は、送信信号を増幅する。高周波電力増幅装置3は、電力増幅器PAと、制御回路31とを含む。電力増幅器PAは、高周波の入力信号、換言すれば、入力された送信信号inを増幅して、信号outとして出力する。信号outは、所定の信号処理を施された後に、送信部から送信される。電力増幅器PAの電源端子には、動作電源として、供給電源電圧Vdd1が、制御回路31から供給される。
【0024】
制御回路31は、電力増幅器PAと、電力増幅器PAに電源電圧Vddを供給する電源部との間に設けられ、電源部からの電源電圧Vddを制御する。電源部は、例えば送信装置に電源電圧Vddの電力を供給する電源装置であり、例えば制御回路31に電源電圧Vddを供給する。これにより、電源部は、電力増幅器PAに電源電圧を供給する。制御回路31は、包絡線信号生成部2から入力された包絡線信号に基づいて、供給された電源電圧Vddから供給電源電圧Vdd1を生成して、電力増幅器PAに供給する。
【0025】
図2は、主として、高周波電力増幅装置の一例を示す図である。
【0026】
信号生成部1の最終段の回路である乗算器101には、直交ベースバンド信号txiが入力される。また、乗算器101には、変調信号として直交ローカル信号loiが入力される。これにより、直交ベースバンド信号txiは直交ローカル信号loiで直交変調される。同様にして、信号生成部1の最終段の回路である乗算器102により、直交ベースバンド信号txqが直交ローカル信号loqで直交変調される。
【0027】
直交ベースバンド信号txiは、例えば、直交周波数分割多重方式(orthogonal frequency-division multiplexing、以下、OFDMと言う)において互いに直交するサブキャリアの一方の信号である。直交ベースバンド信号txqは、例えば、OFDMにおいて互いに直交するサブキャリアの他方の信号である。OFDMは、広帯域デジタル通信において広く使用され、例えば、デジタルテレビ放送、ブロードバンドインターネットにおいて使用される。従って、送信装置は、デジタルテレビ放送、ブロードバンドインターネット等において使用される送信装置である。
【0028】
乗算器101で直交変調された送信信号及び乗算器102で直交変調された送信信号は、共に、包絡線信号生成部2に入力され、また、乗算器4に入力される。乗算器101で直交変調された送信信号及び乗算器102で直交変調された送信信号が、入力信号inである。
【0029】
乗算器4、DAC(デジタルアナログ変換器)5、乗算器6、電力増幅器PA、及び、非線形要素回路(nla)8が、電力増幅回路を構成する。乗算器4、DAC(デジタルアナログ変換器)5、乗算器6、電力増幅器PA、及び、非線形要素回路(nla)8以外の回路が、制御回路31を構成する。
【0030】
電力増幅回路において、乗算器4には、乗算器101で直交変調された送信信号及び乗算器102で直交変調された送信信号、換言すれば、入力信号inが入力される。また、乗算器4には、非線形要素回路(nla)8から出力された歪信号が入力される。これにより、入力信号inは、非線形要素回路(nla)8から出力された歪信号により歪まされる。
【0031】
従って、乗算器4と非線形要素回路(nla)8とが、プレディストータ回路を構成する。プレディストータ回路は、後述するように、制御回路31が電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて入力信号inから得られる信号を補正することに対応して、電力増幅器PAにおいて発生する歪を補償する。
【0032】
乗算器4の出力はDAC5に入力される。これにより、乗算器4の出力、換言すれば、プレディストータ回路の出力は、アナログ信号に変換される。DAC5の出力は乗算器6に入力される。また、乗算器6には、変調信号として直交ローカル信号lo2が入力される。これにより、DAC5の出力は直交ローカル信号lo2で直交変調される。
【0033】
乗算器6の出力は電力増幅器PAに入力される。これにより、プレディストータ回路により歪まされた入力信号inから生成されたアナログ信号は増幅されて、出力信号outとして出力される。
【0034】
一方、前述したように、乗算器101で直交変調された送信信号及び乗算器102で直交変調された送信信号、換言すれば、入力信号inは、包絡線信号生成部2に入力される。これにより、包絡線信号生成部2は、送信信号inの包絡線を検出することにより包絡線信号を生成する。包絡線信号は、高周波電力増幅装置3の非線形要素回路(nls)9に入力される。
【0035】
制御回路31において、非線形要素回路(nls)9には、包絡線信号が入力される。非線形要素回路(nls)9は、電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号、具体的には、包絡線信号を電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正する。非線形要素回路(nls)9の出力が、電源電圧Vddを制御するための制御信号として用いられる。換言すれば、非線形要素回路(nls)9の出力は、電源電圧Vddの補正信号である。
【0036】
従って、制御回路31は、非線形要素回路(nls)9により、電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号を電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成する。具体的には、制御回路31が、非線形要素回路(nls)9により、包絡線信号を電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成する。
【0037】
この後、制御回路31は、後述するように、生成した制御信号により電源電圧Vddを制御することにより供給電源電圧Vdd1を生成する。そして、制御回路31は、生成した供給電源電圧Vdd1を電力増幅器PAに供給する。
【0038】
ここで、非線形要素回路(nls)9について、図3〜図6を参照して説明する。
【0039】
図3は、高周波電力増幅装置の説明図であり、電力増幅器PAのエネルギ効率PAEと出力Poutとの関係を表す。図3において、横軸は出力Pout(dBm)であり、縦軸はエネルギ効率PAE(%)である。出力Poutの単位としては、電力の単位であるミリワット(mW)ではなく、1mWを0dBとして電力の絶対レベルを表すdBmが用いられる。エネルギ効率としては、電力増幅器PAのエネルギ変換効率の指標である電力付加効率PAE(%)が用いられる。換言すれば、エネルギ効率PAE(%)は、エネルギ付加効率を表す。パラメータである供給電源電圧Vdd1(V)は、2V刻みで、2V〜28Vの範囲の値をとる。なお、図3において、最も左側の曲線がVdd1=2Vの場合の曲線であり、最も右側の曲線がVdd1=28Vの場合の曲線である。
【0040】
電力増幅器PAのエネルギ効率PAEと出力Poutとの関係は、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測により得ることができる。図3に示すように、基本的には、出力Poutが大きくなるにつれて、エネルギ効率PAEが良くなることが判る。また、図3から、最もエネルギ効率PAEが良いときの出力Poutと供給電源電圧Vdd1とを、知ることができる。
【0041】
図4は、高周波電力増幅装置の説明図であり、電力増幅器PAの入力Pinと出力Poutとの関係を表す入出力特性図である。図4において、横軸は出力Pout(dBm)であり、縦軸は入力Pin(dBm)である。パラメータである供給電源電圧Vdd1(V)は、2V刻みで、2V〜28Vの範囲の値をとる。なお、図4において、最も左側の曲線がVdd1=2Vの場合の曲線であり、最も右側の曲線がVdd1=28Vの場合の曲線である。
【0042】
電力増幅器PAの入力Pinと出力Poutとの関係は、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測により得ることができる。図4に示すように、入力Pin及び出力Poutが比較的小さいときには、出力Poutは入力Pinに比例し、入力Pin及び出力Poutがある程度大きくなると、出力Poutは飽和して、入力Pinに比例しなくなる。
【0043】
図5は、高周波電力増幅装置の説明図であり、電力増幅器PAの供給電源電圧Vdd1(V)と出力Pout(dBm)との関係を表す。図5において、横軸は出力Pout(dBm)であり、縦軸は供給電源電圧Vdd1(V)である。
【0044】
図5は図3に基づいて得ることができる。図5は、前述したように、図3から求めた、最もエネルギ効率PAEが良いときの出力Poutと供給電源電圧Vdd1とを示す。従って、図5によれば、出力Poutが与えられた場合に、最も良いエネルギ効率PAEが得られる供給電源電圧Vdd1を得ることができる。
【0045】
図6は、高周波電力増幅装置の説明図であり、電力増幅器PAのエネルギ効率PAEが最大となる時の入力Pinと出力Poutとの関係を表す。図6において、横軸は出力Pout(dBm)であり、縦軸は入力Pin(dBm)である。なお、図6に示す2本の線分において、直線でない線分は電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測により得られる結果であり、直線は直線でない線分を当該直線により近似した結果である。
【0046】
図6は図3及び図4に基づいて得ることができる。図6は、図3から求めた最もエネルギ効率PAEが良いときの出力Poutを用いて図4を参照することにより得た、当該出力Poutに対応する入力Pinを示す。従って、図6によれば、入力Pinが与えられた場合に、最も良いエネルギ効率PAEが得られる出力Poutを求めることができ、求めた出力Poutに基づいて、最も良いエネルギ効率PAEが得られる供給電源電圧Vdd1を得ることができる。
【0047】
以上のように、入力Pinに応じて、前述したように、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測に基づいて、最も良いエネルギ効率PAEが得られる出力Poutは予め定められる。出力Poutに応じて、前述したように、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測に基づいて、最も良いエネルギ効率PAEが得られる供給電源電圧Vdd1は予め定められる。入力Pinは、包絡線信号生成部2から、送信信号inの包絡線信号として得られる。従って、非線形要素回路(nls)9は、与えられた入力Pinから最も良いエネルギ効率PAEが得られる出力Poutを求め、求めた出力Poutから最も良いエネルギ効率PAEが得られる供給電源電圧Vdd1を得る。
【0048】
入力Pin、出力Pout、エネルギ効率PAE、及び、これらから求められる供給電源電圧Vdd1は、個々の電力増幅器PAに応じて定まる固有の値である。また、図4に示すように、最も良いエネルギ効率PAEが得られる場合、入力Pinと出力Poutとの関係は非線形である。従って、包絡線信号は、電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正されると言うことができる。
【0049】
また、制御回路31の非線形要素回路(nls)9は、包絡線信号生成部2からの包絡線信号を入力として、制御信号を生成して出力する。換言すれば、非線形要素回路(nls)9は、包絡線信号を入力信号inから得られる信号として用いて、包絡線信号を補正することにより制御信号を生成する。包絡線信号に追従して制御信号を生成するために、非線形要素回路(nls)9は、実際には、包絡線信号を入力として制御信号を生成して出力する回路モデルを実現する回路とされ、種々の構成を採ることができる。
【0050】
例えば、非線形要素回路(nls)9は、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)により実現することができる。ベースバンド信号は、DSPによっても十分に追従することができる。この場合、DSPは、出力Poutから最も良いエネルギ効率PAEとなる供給電源電圧Vdd1が得られる制御信号を出力する。出力Poutと制御信号との間の関係は、電力増幅器PAのシミュレーション又は実測に基づいて、DSPに予め与えられる。なお、出力Poutと制御信号との間の関係としては、実際には、電力増幅器PAのシミュレーション又は実測の結果を多項式近似した近似的な関係が、DSPに予め与えられる。DSPに代えて、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いるようにしても良い。
【0051】
一方、前述したように、電力増幅回路において、乗算器4と非線形要素回路(nla)8とを含むプレディストータ回路により、非線形要素回路(nls)9により電源電圧Vddの制御信号に含まれる歪が補償される。非線形要素回路(nla)8は、非線形要素回路(nls)9により電源電圧Vddの制御信号に導入される歪の量と等しい量の歪を与えるように、入力信号inを補正する。従って、非線形要素回路(nla)8は、非線形要素回路(nls)9と同様に、包絡線信号を入力として信号を生成して出力する回路モデルを実現する回路とされ、種々の構成を採ることができる。具体的には、非線形要素回路(nla)8は、非線形要素回路(nls)9と同様に、DSP又はFPGAにより実現することができる。
【0052】
非線形要素回路(nla)8の出力が、入力信号inの振幅を補正するための信号として用いられる。非線形要素回路(nla)8の出力は、入力信号inの振幅の補正信号である。非線形要素回路(nla)8により、供給電源電圧Vdd1の制御信号の補正と同様の補正が入力信号inに導入されるので、電力増幅器PAに歪が生じることを防止することができる。
【0053】
非線形要素回路(nls)9の出力は、インターポレーション回路10により補間された上で、2次のΔΣ変調回路に入力される。従って、制御回路31は、電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて入力信号inから得られる信号、換言すれば、包絡線信号を補正することにより生成した信号をΔΣ変調する。
【0054】
2次のΔΣ変調回路は、図2に示すように、加算器(減算器)11、加算器12、加算器(減算器)13、加算器14、比較器15、ダイオード16及び17、DAC(デジタルアナログ変換器)18を含む。比較器15は、入力信号と例えば相互に値の異なる3個の閾値とを比較することにより、2ビットの出力信号を得ることができるような比較器である。インターポレーション回路10は、非線形要素回路(nls)9の出力を補間することにより、サンプリング周波数を見かけ上高くする。2次のΔΣ変調回路は、量子化雑音を整形、換言すれば、ノイズシェーピングする。これにより、見かけ上高い周波数でオーバーサンプリングして再量子化雑音の分布を広い帯域に分布させ、再量子化雑音を整形することができる。
【0055】
なお、「加算器(減算器)」は、図2において「−」を付して示すように、入力信号の符号を反転した信号を加算器に入力することにより、加算器を減算器として用いることを表す。一方、「加算器」は、図2において「+」を付して示すように、入力信号をそのまま加算器に入力することにより、加算器を加算器として用いることを表す。図9においても同様である。
【0056】
制御回路31は、生成した制御信号から量子化ノイズを除去した上で、生成した制御信号により電源電圧Vddを制御することにより供給電源電圧Vdd1を生成する。具体的には、2次のΔΣ変調回路の出力は、スイッチング回路に入力される。スイッチング回路は、図2に示すように、比較器19、スイッチング用のMOSFET・Q1、スイッチング用のMOSFET・Q2、インダクタンスL1、キャパシタンスC1を含む。
【0057】
比較器19には、ΔΣ変調された信号が入力され、後述するように、供給電源電圧Vdd1が入力される。比較器19は、2つの入力を比較する比較器であって、ΔΣ変調された信号と供給電源電圧Vdd1とを比較して、スイッチング信号を生成して出力する。従って、スイッチング回路は、ΔΣ変調された信号により駆動される。これにより、電力増幅器PAの電源端子に供給される供給電源電圧Vdd1について、良好にノイズシェーピングすることができる。
【0058】
スイッチング信号は、MOSFET・Q1のゲート電極に供給される正のスイッチング信号と、MOSFET・Q2のゲート電極に供給される負のスイッチング信号とを含む。直列に接続されたMOSFET・Q1及びMOSFET・Q2は、電源電圧Vddと設置電位との間に接続される。MOSFET・Q1とMOSFET・Q2との接続点から出力された信号が、インダクタンスL1を介して、電力増幅器PAの電源端子に供給電源電圧Vdd1として供給される。インダクタンスL101と電力増幅器PAの電源端子との接続点は、キャパシタンスC1を介して接地電位に接続され、また、前述したように、比較器19に接続される。
【0059】
以上のように、制御回路31は、ΔΣ変調された信号と供給電源電圧Vdd1とを比較して、比較の結果に基づいて電力増幅器PAに供給する供給電源電圧Vdd1を制御する。これにより、制御信号により電源電圧Vddを制御することにより、供給電源電圧Vdd1が生成される。制御回路31は、生成した供給電源電圧Vdd1を電力増幅器PAに供給する。これにより、電力増幅器PAの消費電流が信号振幅に応じて変化して電源電圧が変動しないようにすることができる。
【0060】
例えば、ΔΣ変調された信号が供給電源電圧Vdd1よりも大きい場合には、正のスイッチング信号がより大きな値とされ、MOSFET・Q1にはより大きな電圧が印加される。また、負のスイッチング信号はより小さな値とされ、MOSFET・Q2にはより小さな電圧が印加される。この結果、電源部からMOSFET・Q1とインダクタンスL1とを介して、電力増幅器PAの電源端子に、それまでより大きな供給電源電圧Vdd1が供給される。
【0061】
一方、ΔΣ変調された信号が供給電源電圧Vdd1よりも小さい場合には、正のスイッチング信号がより小さな値とされ、MOSFET・Q1にはより小さな電圧が印加される。また、負のスイッチング信号はより大きな値とされ、MOSFET・Q2にはより大きな電圧が印加される。この結果、電源部からMOSFET・Q1とインダクタンスL1とを介して、電力増幅器PAの電源端子に、それまでより小さな供給電源電圧Vdd1が供給される。
【0062】
以上により、電力増幅器PAに供給する供給電源電圧Vdd1を、高速で変化する包絡線信号、換言すれば、入力信号inに追従して変化させることができる。これにより、電力増幅器PAのエネルギ効率を最良の値に制御することができる。
【0063】
次に、高周波電力増幅装置の他の例について説明する。
【0064】
図7は、カルテシアンフィードバックループへの適用の説明図である。
【0065】
カルテシアンフィードバックループにおいては、図7に示すように、歪補償のためのフィードバックループが、直交座標成分i及びqに分けられる。具体的には、電力増幅器PAの出力信号が抵抗R151及びR152で分割される。そして、抵抗R151及びR152の接続点の信号が、各々、乗算器155を介して直交座標成分qの入力用の加算器152に入力され、乗算器156を介して直交座標成分iの入力用の加算器151に入力される。
【0066】
このようなカルテシアンフィードバックループへ、電源電圧制御回路dVcを適用することを考える。電源電圧制御回路dVcは、図10に示すMOSFET・Q101、電圧比較器COM、抵抗101を含む。インダクタンスL152は図10のインダクタンスL101に対応し、キャパシタンスC152は図10のキャパシタンスC101に対応する。電源電圧制御回路dVcにおいて、電圧比較器COMには、図10に示すように、入力信号inの包絡線信号Venvの抵抗101の両端における電圧が入力される。従って、包絡線信号は、カルテシアンフィードバックループを構成する乗算器153及び乗算器154の出力から検出される。換言すれば、カルテシアンフィードバックループの内部で包絡線信号を検出することになる。
【0067】
ここで、電力増幅器PAの利得は、一般に電源電圧に対して正の依存性を持つ。このため、包絡線信号をカルテシアンフィードバックループ内で検出すると、電源回路を経由してベースバンド信号の位相が回転してしまうため、電力増幅器PAの動作が不安定となることが予想される。
【0068】
そこで、制御回路31が、カルテシアンフィードバックループにより電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号を補正すると共に、カルテシアンフィードバックループの外で包絡線信号を検出するようにする。
【0069】
図8は、高周波電力増幅装置の他の一例を示す図である。
【0070】
図8の高周波電力増幅装置3においては、図2の高周波電力増幅装置3と異なり、直交ベースバンド信号txi及びtxqが、送信信号inとして、包絡線信号生成部(env)2と及び高周波電力増幅装置3に入力される。包絡線信号生成部2は、ベースバンド信号txi及びtxqを合成した信号の包絡線を検出することにより、包絡線信号を生成する。図8において、非線形要素回路(nls)9から電力増幅器PAの供給電源電圧Vdd1が印加される電源端子までの構成、換言すれば、図8の制御回路31の構成は、図2との比較から判るように、図2の制御回路31の構成と同じである。従って、包絡線信号は、カルテシアンフィードバックループを構成する乗算器24及び乗算器25の出力から検出されることはない。換言すれば、カルテシアンフィードバックループの外部で包絡線信号が検出される。
【0071】
また、図8の高周波電力増幅装置3においては、図2の高周波電力増幅装置3と異なり、非線形要素回路(nla)8が省略される。これは、信号の歪がカルテシアンフィードバックループにより補正されるためである。従って、包絡線信号は、高周波電力増幅装置3に入力されない。
【0072】
一方、電力増幅器PAの出力信号が抵抗R1及びR2で分割される。そして、抵抗R1及びR2の接続点の信号が、各々、乗算器26を介して直交座標成分iの入力用の加算器22に入力され、乗算器27を介して直交座標成分qの入力用の加算器23に入力される。乗算器26には復調信号として直交ローカル信号loidが入力され、乗算器27には復調信号として直交ローカル信号loqdが入力される。
【0073】
加算器22には、ベースバンド信号txiがDAC(デジタルアナログ変換器)20を介して、換言すれば、ベースバンド信号txiを変換したアナログ信号が入力される。加算器23には、ベースバンド信号txqがDAC21を介して、換言すれば、ベースバンド信号txqを変換したアナログ信号が入力される。
【0074】
乗算器24には、加算器22の出力、換言すれば、直交ベースバンド信号txiに基づく信号が入力される。また、乗算器24には、変調信号として直交ローカル信号loimが入力される。これにより、直交ベースバンド信号txiに基づく信号は直交ローカル信号loimで直交変調される。同様にして、乗算器25により、加算器23の出力、換言すれば、直交ベースバンド信号txqに基づく信号が直交ローカル信号loqmで直交変調される。乗算器24の出力及び乗算器25の出力は、電力増幅器PAに入力される。これにより、カルテシアンフィードバックループが構成される。
【0075】
以上により、カルテシアンフィードバックループにより電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号が補正される。また、カルテシアンフィードバックループの外部で包絡線信号が検出されるので、ベースバンド信号の位相が回転して電力増幅器PAの動作が不安定となることを防止することができる。
【0076】
図9は、高周波電力増幅装置の更に他の一例を示す図である。
【0077】
図9の高周波電力増幅装置3は、電力増幅器PA以外の回路をデジタル回路により構成した例である。従って、電力増幅器PAの前段にDAC(デジタルアナログ変換器)39が設けられる。また、制御回路31において、DAC18に代えて、比較回路52が設けられる。
【0078】
図9の高周波電力増幅装置3においては、図8の高周波電力増幅装置3と異なり、非線形要素回路(nls)9に加えて、非線形要素回路(nlcdd)40、非線形要素回路(nlc)41が設けられる。これらの回路40〜41は、非線形要素回路(nls)9と同様にして、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測に基づいて、DSP又はFPGAにより実現することができる。非線形要素回路(nlcdd)40は、包絡線信号を入力として、電力増幅器PAの消費する消費電流を与える。非線形要素回路(nlc)41は、包絡線信号を入力として、電力増幅器PAの電源コンダクタンスを与える。
【0079】
非線形要素回路(nls)9の出力は、インターポレーション回路44により補間された上で、信号ds1として逆モデル回路に入力される。逆モデル回路は、図9に示すように、加算器又は減算器46〜51及び54、比較回路52、ダイオード53及び55、乗算器56を含む。
【0080】
逆モデル回路には、電力増幅器PAの消費電流を与える非線形要素回路(nlcdd)40の出力が、インターポレーション回路43により補間された上で入力される。また、逆モデル回路には、電力増幅器PAの電源コンダクタンスを与える非線形要素回路(nlc)41の出力が、インターポレーション回路45により補間された上で入力される。従って、逆モデル回路は、電力増幅器PAの消費する消費電流と、電力増幅器PAのコンダクタンスとに基づいて得られる逆モデルである。制御回路31において、電力増幅器PAの出力Poutから入力Pinを算出する逆モデル回路に基づいて、電力増幅器PAに応じて定まる歪特性が算出される。
【0081】
逆モデル回路は、図8の2次のΔΣ変調回路との比較から判るように、2次のΔΣ変調回路を含む。そして、逆モデル回路は、内部に含む2次のΔΣ変調回路に、電力増幅器PAの消費電流を与え、かつ、((非線形要素回路(nlc)41の出力)―(非線形要素回路(nlcdd)40の出力))×電源電圧変動分を与える。これにより、電力増幅器PAの消費電流の時間変動を抑えることができる。
【0082】
前述したように、制御回路31は、包絡線信号を入力信号inから得られる信号として用いて、包絡線信号を補正することにより制御信号を生成する。従って、制御回路31は、包絡線信号の関数として表された電力増幅器PAの消費する消費電流と、包絡線信号の関数として表された電力増幅器PAのコンダクタンスとに基づいて得られる逆モデル回路であって、電力増幅器PAの出力Poutから入力Pinを算出する逆モデル回路に基づいて、電力増幅器PAに応じて定まる歪特性を算出する。
【0083】
また、図9の高周波電力増幅装置3においては、図8の高周波電力増幅装置3と異なり、図2の高周波電力増幅装置3と同様の非線形要素回路(nla)8が設けられる。これに加えて、図9の高周波電力増幅装置3においては、非線形要素回路(nlp)42が設けられる。非線形要素回路(nlp)42は、非線形要素回路(nls)9と同様にして、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測に基づいて、DSP又はFPGAにより実現することができる。非線形要素回路(nlp)42は、包絡線信号を入力として、電力増幅器PAの位相歪の補正の量を与える。
【0084】
電力増幅回路において、非線形要素回路(nla)8の出力は、乗算器30及び乗算器31に入力される。乗算器30には直交ベースバンド信号txiが入力され、乗算器31には直交ベースバンド信号txqが入力される。これにより、直交ベースバンド信号txiの振幅及び直交ベースバンド信号txqの振幅が、非線形要素回路(nla)8の出力で補正される。
【0085】
乗算器30の出力及び乗算器31の出力は、座標回転回路(rot)32に入力されて座標回転された後、インターポレーション回路33及び34により補間された上で、乗算器35及び乗算器36に入力される。また、非線形要素回路(nlp)42の出力は、座標回転回路(rot)32に入力される。座標回転回路(rot)32における座標回転の量は、非線形要素回路(nlp)42の出力により定まる。これにより、直交ベースバンド信号txiの位相及び直交ベースバンド信号txqの位相が、非線形要素回路(nlp)42の出力で補正される。
【0086】
乗算器35には、変調信号として直交ローカル信号loiが入力される。これにより、直交ランダム変換された直交ベースバンド信号txiは直交ローカル信号loiで直交変調される。同様に、乗算器36により、直交ランダム変換された直交ベースバンド信号txqは直交ローカル信号loqで直交変調される。
【0087】
乗算器35の出力及び乗算器36の出力は、加算器37において加算された後、遅延回路(Del)38により遅延時間を調整された後、DAC39に入力され、アナログ信号に変換される。遅延回路(Del)38は省略するようにしても良い。DAC39の出力は、電力増幅器PAに入力される。
【0088】
以上により、非線形要素回路(nls)9により制御信号を生成して、供給電源電圧Vdd1を、高速で変化する包絡線信号、換言すれば、入力信号inに追従して変化させることができる。これに加えて、非線形要素回路(nla)8により振幅を補正することができ、非線形要素回路(nlcdd)40及び非線形要素回路(nlc)41により消費電流の時間変動を抑えることができ、非線形要素回路(nlp)42により位相を補正することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 信号生成部
2 包絡線信号生成部(env)
3 高周波電力増幅装置
4、6 乗算器
5、18 DAC(デジタルアナログ変換器)
8 非線形要素回路(nla)
9 非線形要素回路(nls)
10 インターポレーション回路
11、13 加算器(減算器)
12、14 加算器
15、19 比較器
16、17 ダイオード
31 制御回路
101、102 乗算器
PA 電力増幅器
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電力増幅装置、高周波電力増幅方法、送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線インターフェイスを備えた情報処理装置においては、送信機の消費電力を削減することが求められる。この時、送信電力や送信品質を低下させることなく、送信機の消費電力を削減することが求められる。このため、送信機のエネルギ効率を向上させることが重要である。
【0003】
送信機に含まれる高周波電力増幅装置のエネルギ効率は、高周波電力増幅装置に含まれるMOSFETの動作状態に依存する。換言すれば、信号電力に対して電源電圧が高すぎず、高周波電力増幅装置に含まれるMOSFETは飽和状態となる時、エネルギ効率を高くする事ができる。従って、エネルギ効率は、出力電圧振幅と電源電圧との相対的な大小関係に依存する。
【0004】
そこで、例えば、図10に示すように、高周波電力増幅装置の出力電圧振幅が小さい場合には、電源電圧を下げることが知られている。
【0005】
図10において、高周波電力増幅装置に含まれ、高周波信号を増幅する電力増幅器PAと電源電圧Vddを供給する電源端子との間には、電源制御回路が設けられる。電源制御回路は、MOSFET・Q101、インダクタンスL101、キャパシタンスC101、電圧比較器COMを含む。電力増幅器PAには、入力inとして、高周波信号(RF signal)が入力される。電源電圧Vddは、MOSFET・Q101とインダクタンスL101とを介して、電力増幅器PAの電源端子に電圧Vdd0として供給される。電力増幅器PAへの入力inとは別に、入力inの包絡線信号Venvが包絡線検出器により生成される。包絡線信号Venvは、抵抗R101を介して、インダクタンスL101と電力増幅器PAの電源端子との接続点に供給される。インダクタンスL101と電力増幅器PAの電源端子との接続点は、キャパシタンスC101を介して、接地電位に接続される。抵抗R101の両端には電圧比較器COMの2個の入力端子が接続される。電圧比較器COMの出力は、MOSFET・Q101のゲート電極に供給される。
【0006】
包絡線信号Venvと電力増幅器PAに供給されている電圧Vdd0との間に生じた差分は、電圧比較器COMにより検出される。これにより、検出された差分に応じた制御信号が、MOSFET・Q101に供給される。この結果、包絡線信号Venvの変動に応じて、電力増幅器PAに供給されている電圧Vdd0を制御することができる。換言すれば、電力増幅器の出力電圧振幅が小さい場合に、電力増幅器PAに供給される電源電圧Vdd0を下げることができる。
【0007】
なお、例えば、増幅器と、前記増幅器に供給する電圧信号を送信信号に応じて制御する電圧制御部と、前記送信信号に前記増幅器の入力対出力特性の逆特性を予め与えて歪補償処理を行う歪補償部とを備え、前記歪補償部の出力信号を前記増幅器に入力して増幅する電力増幅装置であって、前記送信信号の振幅を検出する振幅検出部と、前記送信信号の振幅の検出値が所定値未満のときの、前記送信信号に対する前記歪補償部の出力信号の振幅を低減するように、前記歪補償部の出力信号と前記電圧信号のタイミングを調整するタイミング調整部と、を備えることが提案されている。
【0008】
また、例えば、送信すべきRF入力信号を発生する発振器をRF増幅器が含み、前記RF入力信号を電力増幅回路が受信し、該RF入力信号を増幅してRF出力信号を発生し、前記発振器および前記電力増幅回路には増幅器制御回路が作動的に関連しており、この増幅制御回路はRF出力信号の所望する振幅を示す制御信号を発生するための手段を含み、メモリ手段は前記制御信号に対しRF出力信号の実際の振幅を相関化する補正情報を記憶し、所望する振幅に対する補正情報に応答して変更された制御信号を使って制御手段が電力増幅回路の電源電圧を変えるようにすることが提案されている。
【0009】
また、振幅変調回路が、可能性として変調された電圧(VPA)と組み合わせられた変調された供給電流(IPA)を無線周波数電力増幅器に提供するとともに、該増幅器のAM変調インピーダンスとして説明される、変調された供給電流(IPA)とその電圧(VPA)の比の変化に応答する検出回路を含み、インピーダンス(抵抗)の変化が電力増幅器によって駆動されるアンテナアセンブリの結合特性を変化させることに起因して発生され、利得制御回路が検出回路に付随して該回路に応答することにより、AM変調インピーダンスの変化に応答して変調利得制御の調整を可能にすることが提案されている。
【0010】
また、変調波を入力信号とする電力増幅器と、この電力増幅器に直流バイアス電圧を供給するバイアス手段と、このバイアス手段の出力電圧を前記変調波の包絡線信号レベルより制御する電圧制御手段とを備えた線形送信装置において、前記電力増幅器の入力信号を前記包絡線信号レベルと前記電力増幅器の出力信号の包絡線信号レベルとの差により制御する入力制御手段を備え、前記電圧制御手段は、変調波から求めた包絡線の振幅および位相を等化して前記バイアス手段に供給する周波数等化回路を含むことが提案されている。
【0011】
また、送出すべきベースバンドデータが、歪補償部、D/A変換部、直交変調器、周波数変換器を経て送信信号に変換され、電力増幅器にて電力増幅されてアンテナ部より出力され、電力増幅器の出力の一部は、方向性結合器、周波数変換器、直交復調器、A/D変換部を経て帰還系ベースバンドデータにディジタル変換され、帰還系ベースバンドデータと送出すべきベースバンドデータとは、比較部で比較され、歪量演算部で、送信信号の歪量が算出され、この歪量に基づき、バイアス制御部において、電力増幅器のバイアス電圧を制御することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−226198号公報
【特許文献2】特表2002−530917号公報
【特許文献3】特表2005−518745号公報
【特許文献4】特許第2689011号公報
【特許文献5】特開2002−176321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図10に示すように、電源制御回路を包絡線信号Venvにより駆動する場合、電力増幅器PAの電源端子に供給される電圧Vdd0には、入力inと比較して、位相遅れが生じる。電圧Vdd0の位相遅れの量は、入力inの振幅の時間的な変化の履歴に依存する。換言すれば、電圧Vdd0は、入力inにより振幅変調された信号であると考えることができる。
【0014】
このため、電圧Vdd0が電力増幅器PAの電源端子に供給される場合、電圧Vdd0は、入力inに正確に追従することができない。従って、電圧Vdd0の瞬間的な値、換言すれば、瞬時電源電圧を、電力増幅器PAのエネルギ効率が最良となる値に制御することができない。
【0015】
また、電力増幅器PAの利得は、一般に電源電圧に依存する。しかし、前述したように、電圧Vdd0が位相遅れを含むために、歪を生じてしまう。
【0016】
本発明は、エネルギ効率の優れた歪の少ない高周波電力増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
開示される高周波電力増幅装置は、高周波の入力信号を増幅する電力増幅器と、電力増幅器と電力増幅器に電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、電源部からの電源電圧を制御する制御回路とを含む。制御回路は、電力増幅器への入力信号から得られる信号を電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成し、生成した制御信号により電源電圧を制御することにより供給電源電圧を生成し、生成した供給電源電圧を電力増幅器に供給する。
【発明の効果】
【0018】
開示される高周波電力増幅装置によれば、エネルギ効率が良く、歪が少ない高周波電力の増幅を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】高周波電力増幅装置を備える送信装置の一例を示す図である。
【図2】高周波電力増幅装置の一例を示す図である。
【図3】高周波電力増幅装置の説明図である。
【図4】高周波電力増幅装置の説明図である。
【図5】高周波電力増幅装置の説明図である。
【図6】高周波電力増幅装置の説明図である。
【図7】カルテシアンフィードバックループへの適用の説明図である。
【図8】高周波電力増幅装置の他の一例を示す図である。
【図9】高周波電力増幅装置の更に他の一例を示す図である。
【図10】高周波電力増幅装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、高周波電力増幅装置を備える送信装置の一例を示す図である。
【0021】
送信装置は、信号生成部1と、包絡線信号生成部(env)2と、高周波電力増幅装置3とを含む。信号生成部1は、例えばデジタルプロセッシング部(DPU)であり、高周波(RF signal)の送信信号inを生成する。送信信号inは、変調された送信信号である。送信信号inは、包絡線信号生成部(env)2及び高周波電力増幅装置3に入力される。
【0022】
包絡線信号生成部2は、送信信号inの包絡線を検出することにより包絡線信号を生成する。包絡線信号は、高周波電力増幅装置3に入力される。
【0023】
高周波電力増幅装置3は、送信信号を増幅する。高周波電力増幅装置3は、電力増幅器PAと、制御回路31とを含む。電力増幅器PAは、高周波の入力信号、換言すれば、入力された送信信号inを増幅して、信号outとして出力する。信号outは、所定の信号処理を施された後に、送信部から送信される。電力増幅器PAの電源端子には、動作電源として、供給電源電圧Vdd1が、制御回路31から供給される。
【0024】
制御回路31は、電力増幅器PAと、電力増幅器PAに電源電圧Vddを供給する電源部との間に設けられ、電源部からの電源電圧Vddを制御する。電源部は、例えば送信装置に電源電圧Vddの電力を供給する電源装置であり、例えば制御回路31に電源電圧Vddを供給する。これにより、電源部は、電力増幅器PAに電源電圧を供給する。制御回路31は、包絡線信号生成部2から入力された包絡線信号に基づいて、供給された電源電圧Vddから供給電源電圧Vdd1を生成して、電力増幅器PAに供給する。
【0025】
図2は、主として、高周波電力増幅装置の一例を示す図である。
【0026】
信号生成部1の最終段の回路である乗算器101には、直交ベースバンド信号txiが入力される。また、乗算器101には、変調信号として直交ローカル信号loiが入力される。これにより、直交ベースバンド信号txiは直交ローカル信号loiで直交変調される。同様にして、信号生成部1の最終段の回路である乗算器102により、直交ベースバンド信号txqが直交ローカル信号loqで直交変調される。
【0027】
直交ベースバンド信号txiは、例えば、直交周波数分割多重方式(orthogonal frequency-division multiplexing、以下、OFDMと言う)において互いに直交するサブキャリアの一方の信号である。直交ベースバンド信号txqは、例えば、OFDMにおいて互いに直交するサブキャリアの他方の信号である。OFDMは、広帯域デジタル通信において広く使用され、例えば、デジタルテレビ放送、ブロードバンドインターネットにおいて使用される。従って、送信装置は、デジタルテレビ放送、ブロードバンドインターネット等において使用される送信装置である。
【0028】
乗算器101で直交変調された送信信号及び乗算器102で直交変調された送信信号は、共に、包絡線信号生成部2に入力され、また、乗算器4に入力される。乗算器101で直交変調された送信信号及び乗算器102で直交変調された送信信号が、入力信号inである。
【0029】
乗算器4、DAC(デジタルアナログ変換器)5、乗算器6、電力増幅器PA、及び、非線形要素回路(nla)8が、電力増幅回路を構成する。乗算器4、DAC(デジタルアナログ変換器)5、乗算器6、電力増幅器PA、及び、非線形要素回路(nla)8以外の回路が、制御回路31を構成する。
【0030】
電力増幅回路において、乗算器4には、乗算器101で直交変調された送信信号及び乗算器102で直交変調された送信信号、換言すれば、入力信号inが入力される。また、乗算器4には、非線形要素回路(nla)8から出力された歪信号が入力される。これにより、入力信号inは、非線形要素回路(nla)8から出力された歪信号により歪まされる。
【0031】
従って、乗算器4と非線形要素回路(nla)8とが、プレディストータ回路を構成する。プレディストータ回路は、後述するように、制御回路31が電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて入力信号inから得られる信号を補正することに対応して、電力増幅器PAにおいて発生する歪を補償する。
【0032】
乗算器4の出力はDAC5に入力される。これにより、乗算器4の出力、換言すれば、プレディストータ回路の出力は、アナログ信号に変換される。DAC5の出力は乗算器6に入力される。また、乗算器6には、変調信号として直交ローカル信号lo2が入力される。これにより、DAC5の出力は直交ローカル信号lo2で直交変調される。
【0033】
乗算器6の出力は電力増幅器PAに入力される。これにより、プレディストータ回路により歪まされた入力信号inから生成されたアナログ信号は増幅されて、出力信号outとして出力される。
【0034】
一方、前述したように、乗算器101で直交変調された送信信号及び乗算器102で直交変調された送信信号、換言すれば、入力信号inは、包絡線信号生成部2に入力される。これにより、包絡線信号生成部2は、送信信号inの包絡線を検出することにより包絡線信号を生成する。包絡線信号は、高周波電力増幅装置3の非線形要素回路(nls)9に入力される。
【0035】
制御回路31において、非線形要素回路(nls)9には、包絡線信号が入力される。非線形要素回路(nls)9は、電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号、具体的には、包絡線信号を電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正する。非線形要素回路(nls)9の出力が、電源電圧Vddを制御するための制御信号として用いられる。換言すれば、非線形要素回路(nls)9の出力は、電源電圧Vddの補正信号である。
【0036】
従って、制御回路31は、非線形要素回路(nls)9により、電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号を電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成する。具体的には、制御回路31が、非線形要素回路(nls)9により、包絡線信号を電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成する。
【0037】
この後、制御回路31は、後述するように、生成した制御信号により電源電圧Vddを制御することにより供給電源電圧Vdd1を生成する。そして、制御回路31は、生成した供給電源電圧Vdd1を電力増幅器PAに供給する。
【0038】
ここで、非線形要素回路(nls)9について、図3〜図6を参照して説明する。
【0039】
図3は、高周波電力増幅装置の説明図であり、電力増幅器PAのエネルギ効率PAEと出力Poutとの関係を表す。図3において、横軸は出力Pout(dBm)であり、縦軸はエネルギ効率PAE(%)である。出力Poutの単位としては、電力の単位であるミリワット(mW)ではなく、1mWを0dBとして電力の絶対レベルを表すdBmが用いられる。エネルギ効率としては、電力増幅器PAのエネルギ変換効率の指標である電力付加効率PAE(%)が用いられる。換言すれば、エネルギ効率PAE(%)は、エネルギ付加効率を表す。パラメータである供給電源電圧Vdd1(V)は、2V刻みで、2V〜28Vの範囲の値をとる。なお、図3において、最も左側の曲線がVdd1=2Vの場合の曲線であり、最も右側の曲線がVdd1=28Vの場合の曲線である。
【0040】
電力増幅器PAのエネルギ効率PAEと出力Poutとの関係は、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測により得ることができる。図3に示すように、基本的には、出力Poutが大きくなるにつれて、エネルギ効率PAEが良くなることが判る。また、図3から、最もエネルギ効率PAEが良いときの出力Poutと供給電源電圧Vdd1とを、知ることができる。
【0041】
図4は、高周波電力増幅装置の説明図であり、電力増幅器PAの入力Pinと出力Poutとの関係を表す入出力特性図である。図4において、横軸は出力Pout(dBm)であり、縦軸は入力Pin(dBm)である。パラメータである供給電源電圧Vdd1(V)は、2V刻みで、2V〜28Vの範囲の値をとる。なお、図4において、最も左側の曲線がVdd1=2Vの場合の曲線であり、最も右側の曲線がVdd1=28Vの場合の曲線である。
【0042】
電力増幅器PAの入力Pinと出力Poutとの関係は、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測により得ることができる。図4に示すように、入力Pin及び出力Poutが比較的小さいときには、出力Poutは入力Pinに比例し、入力Pin及び出力Poutがある程度大きくなると、出力Poutは飽和して、入力Pinに比例しなくなる。
【0043】
図5は、高周波電力増幅装置の説明図であり、電力増幅器PAの供給電源電圧Vdd1(V)と出力Pout(dBm)との関係を表す。図5において、横軸は出力Pout(dBm)であり、縦軸は供給電源電圧Vdd1(V)である。
【0044】
図5は図3に基づいて得ることができる。図5は、前述したように、図3から求めた、最もエネルギ効率PAEが良いときの出力Poutと供給電源電圧Vdd1とを示す。従って、図5によれば、出力Poutが与えられた場合に、最も良いエネルギ効率PAEが得られる供給電源電圧Vdd1を得ることができる。
【0045】
図6は、高周波電力増幅装置の説明図であり、電力増幅器PAのエネルギ効率PAEが最大となる時の入力Pinと出力Poutとの関係を表す。図6において、横軸は出力Pout(dBm)であり、縦軸は入力Pin(dBm)である。なお、図6に示す2本の線分において、直線でない線分は電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測により得られる結果であり、直線は直線でない線分を当該直線により近似した結果である。
【0046】
図6は図3及び図4に基づいて得ることができる。図6は、図3から求めた最もエネルギ効率PAEが良いときの出力Poutを用いて図4を参照することにより得た、当該出力Poutに対応する入力Pinを示す。従って、図6によれば、入力Pinが与えられた場合に、最も良いエネルギ効率PAEが得られる出力Poutを求めることができ、求めた出力Poutに基づいて、最も良いエネルギ効率PAEが得られる供給電源電圧Vdd1を得ることができる。
【0047】
以上のように、入力Pinに応じて、前述したように、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測に基づいて、最も良いエネルギ効率PAEが得られる出力Poutは予め定められる。出力Poutに応じて、前述したように、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測に基づいて、最も良いエネルギ効率PAEが得られる供給電源電圧Vdd1は予め定められる。入力Pinは、包絡線信号生成部2から、送信信号inの包絡線信号として得られる。従って、非線形要素回路(nls)9は、与えられた入力Pinから最も良いエネルギ効率PAEが得られる出力Poutを求め、求めた出力Poutから最も良いエネルギ効率PAEが得られる供給電源電圧Vdd1を得る。
【0048】
入力Pin、出力Pout、エネルギ効率PAE、及び、これらから求められる供給電源電圧Vdd1は、個々の電力増幅器PAに応じて定まる固有の値である。また、図4に示すように、最も良いエネルギ効率PAEが得られる場合、入力Pinと出力Poutとの関係は非線形である。従って、包絡線信号は、電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて補正されると言うことができる。
【0049】
また、制御回路31の非線形要素回路(nls)9は、包絡線信号生成部2からの包絡線信号を入力として、制御信号を生成して出力する。換言すれば、非線形要素回路(nls)9は、包絡線信号を入力信号inから得られる信号として用いて、包絡線信号を補正することにより制御信号を生成する。包絡線信号に追従して制御信号を生成するために、非線形要素回路(nls)9は、実際には、包絡線信号を入力として制御信号を生成して出力する回路モデルを実現する回路とされ、種々の構成を採ることができる。
【0050】
例えば、非線形要素回路(nls)9は、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)により実現することができる。ベースバンド信号は、DSPによっても十分に追従することができる。この場合、DSPは、出力Poutから最も良いエネルギ効率PAEとなる供給電源電圧Vdd1が得られる制御信号を出力する。出力Poutと制御信号との間の関係は、電力増幅器PAのシミュレーション又は実測に基づいて、DSPに予め与えられる。なお、出力Poutと制御信号との間の関係としては、実際には、電力増幅器PAのシミュレーション又は実測の結果を多項式近似した近似的な関係が、DSPに予め与えられる。DSPに代えて、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いるようにしても良い。
【0051】
一方、前述したように、電力増幅回路において、乗算器4と非線形要素回路(nla)8とを含むプレディストータ回路により、非線形要素回路(nls)9により電源電圧Vddの制御信号に含まれる歪が補償される。非線形要素回路(nla)8は、非線形要素回路(nls)9により電源電圧Vddの制御信号に導入される歪の量と等しい量の歪を与えるように、入力信号inを補正する。従って、非線形要素回路(nla)8は、非線形要素回路(nls)9と同様に、包絡線信号を入力として信号を生成して出力する回路モデルを実現する回路とされ、種々の構成を採ることができる。具体的には、非線形要素回路(nla)8は、非線形要素回路(nls)9と同様に、DSP又はFPGAにより実現することができる。
【0052】
非線形要素回路(nla)8の出力が、入力信号inの振幅を補正するための信号として用いられる。非線形要素回路(nla)8の出力は、入力信号inの振幅の補正信号である。非線形要素回路(nla)8により、供給電源電圧Vdd1の制御信号の補正と同様の補正が入力信号inに導入されるので、電力増幅器PAに歪が生じることを防止することができる。
【0053】
非線形要素回路(nls)9の出力は、インターポレーション回路10により補間された上で、2次のΔΣ変調回路に入力される。従って、制御回路31は、電力増幅器PAに応じて定まる歪特性に基づいて入力信号inから得られる信号、換言すれば、包絡線信号を補正することにより生成した信号をΔΣ変調する。
【0054】
2次のΔΣ変調回路は、図2に示すように、加算器(減算器)11、加算器12、加算器(減算器)13、加算器14、比較器15、ダイオード16及び17、DAC(デジタルアナログ変換器)18を含む。比較器15は、入力信号と例えば相互に値の異なる3個の閾値とを比較することにより、2ビットの出力信号を得ることができるような比較器である。インターポレーション回路10は、非線形要素回路(nls)9の出力を補間することにより、サンプリング周波数を見かけ上高くする。2次のΔΣ変調回路は、量子化雑音を整形、換言すれば、ノイズシェーピングする。これにより、見かけ上高い周波数でオーバーサンプリングして再量子化雑音の分布を広い帯域に分布させ、再量子化雑音を整形することができる。
【0055】
なお、「加算器(減算器)」は、図2において「−」を付して示すように、入力信号の符号を反転した信号を加算器に入力することにより、加算器を減算器として用いることを表す。一方、「加算器」は、図2において「+」を付して示すように、入力信号をそのまま加算器に入力することにより、加算器を加算器として用いることを表す。図9においても同様である。
【0056】
制御回路31は、生成した制御信号から量子化ノイズを除去した上で、生成した制御信号により電源電圧Vddを制御することにより供給電源電圧Vdd1を生成する。具体的には、2次のΔΣ変調回路の出力は、スイッチング回路に入力される。スイッチング回路は、図2に示すように、比較器19、スイッチング用のMOSFET・Q1、スイッチング用のMOSFET・Q2、インダクタンスL1、キャパシタンスC1を含む。
【0057】
比較器19には、ΔΣ変調された信号が入力され、後述するように、供給電源電圧Vdd1が入力される。比較器19は、2つの入力を比較する比較器であって、ΔΣ変調された信号と供給電源電圧Vdd1とを比較して、スイッチング信号を生成して出力する。従って、スイッチング回路は、ΔΣ変調された信号により駆動される。これにより、電力増幅器PAの電源端子に供給される供給電源電圧Vdd1について、良好にノイズシェーピングすることができる。
【0058】
スイッチング信号は、MOSFET・Q1のゲート電極に供給される正のスイッチング信号と、MOSFET・Q2のゲート電極に供給される負のスイッチング信号とを含む。直列に接続されたMOSFET・Q1及びMOSFET・Q2は、電源電圧Vddと設置電位との間に接続される。MOSFET・Q1とMOSFET・Q2との接続点から出力された信号が、インダクタンスL1を介して、電力増幅器PAの電源端子に供給電源電圧Vdd1として供給される。インダクタンスL101と電力増幅器PAの電源端子との接続点は、キャパシタンスC1を介して接地電位に接続され、また、前述したように、比較器19に接続される。
【0059】
以上のように、制御回路31は、ΔΣ変調された信号と供給電源電圧Vdd1とを比較して、比較の結果に基づいて電力増幅器PAに供給する供給電源電圧Vdd1を制御する。これにより、制御信号により電源電圧Vddを制御することにより、供給電源電圧Vdd1が生成される。制御回路31は、生成した供給電源電圧Vdd1を電力増幅器PAに供給する。これにより、電力増幅器PAの消費電流が信号振幅に応じて変化して電源電圧が変動しないようにすることができる。
【0060】
例えば、ΔΣ変調された信号が供給電源電圧Vdd1よりも大きい場合には、正のスイッチング信号がより大きな値とされ、MOSFET・Q1にはより大きな電圧が印加される。また、負のスイッチング信号はより小さな値とされ、MOSFET・Q2にはより小さな電圧が印加される。この結果、電源部からMOSFET・Q1とインダクタンスL1とを介して、電力増幅器PAの電源端子に、それまでより大きな供給電源電圧Vdd1が供給される。
【0061】
一方、ΔΣ変調された信号が供給電源電圧Vdd1よりも小さい場合には、正のスイッチング信号がより小さな値とされ、MOSFET・Q1にはより小さな電圧が印加される。また、負のスイッチング信号はより大きな値とされ、MOSFET・Q2にはより大きな電圧が印加される。この結果、電源部からMOSFET・Q1とインダクタンスL1とを介して、電力増幅器PAの電源端子に、それまでより小さな供給電源電圧Vdd1が供給される。
【0062】
以上により、電力増幅器PAに供給する供給電源電圧Vdd1を、高速で変化する包絡線信号、換言すれば、入力信号inに追従して変化させることができる。これにより、電力増幅器PAのエネルギ効率を最良の値に制御することができる。
【0063】
次に、高周波電力増幅装置の他の例について説明する。
【0064】
図7は、カルテシアンフィードバックループへの適用の説明図である。
【0065】
カルテシアンフィードバックループにおいては、図7に示すように、歪補償のためのフィードバックループが、直交座標成分i及びqに分けられる。具体的には、電力増幅器PAの出力信号が抵抗R151及びR152で分割される。そして、抵抗R151及びR152の接続点の信号が、各々、乗算器155を介して直交座標成分qの入力用の加算器152に入力され、乗算器156を介して直交座標成分iの入力用の加算器151に入力される。
【0066】
このようなカルテシアンフィードバックループへ、電源電圧制御回路dVcを適用することを考える。電源電圧制御回路dVcは、図10に示すMOSFET・Q101、電圧比較器COM、抵抗101を含む。インダクタンスL152は図10のインダクタンスL101に対応し、キャパシタンスC152は図10のキャパシタンスC101に対応する。電源電圧制御回路dVcにおいて、電圧比較器COMには、図10に示すように、入力信号inの包絡線信号Venvの抵抗101の両端における電圧が入力される。従って、包絡線信号は、カルテシアンフィードバックループを構成する乗算器153及び乗算器154の出力から検出される。換言すれば、カルテシアンフィードバックループの内部で包絡線信号を検出することになる。
【0067】
ここで、電力増幅器PAの利得は、一般に電源電圧に対して正の依存性を持つ。このため、包絡線信号をカルテシアンフィードバックループ内で検出すると、電源回路を経由してベースバンド信号の位相が回転してしまうため、電力増幅器PAの動作が不安定となることが予想される。
【0068】
そこで、制御回路31が、カルテシアンフィードバックループにより電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号を補正すると共に、カルテシアンフィードバックループの外で包絡線信号を検出するようにする。
【0069】
図8は、高周波電力増幅装置の他の一例を示す図である。
【0070】
図8の高周波電力増幅装置3においては、図2の高周波電力増幅装置3と異なり、直交ベースバンド信号txi及びtxqが、送信信号inとして、包絡線信号生成部(env)2と及び高周波電力増幅装置3に入力される。包絡線信号生成部2は、ベースバンド信号txi及びtxqを合成した信号の包絡線を検出することにより、包絡線信号を生成する。図8において、非線形要素回路(nls)9から電力増幅器PAの供給電源電圧Vdd1が印加される電源端子までの構成、換言すれば、図8の制御回路31の構成は、図2との比較から判るように、図2の制御回路31の構成と同じである。従って、包絡線信号は、カルテシアンフィードバックループを構成する乗算器24及び乗算器25の出力から検出されることはない。換言すれば、カルテシアンフィードバックループの外部で包絡線信号が検出される。
【0071】
また、図8の高周波電力増幅装置3においては、図2の高周波電力増幅装置3と異なり、非線形要素回路(nla)8が省略される。これは、信号の歪がカルテシアンフィードバックループにより補正されるためである。従って、包絡線信号は、高周波電力増幅装置3に入力されない。
【0072】
一方、電力増幅器PAの出力信号が抵抗R1及びR2で分割される。そして、抵抗R1及びR2の接続点の信号が、各々、乗算器26を介して直交座標成分iの入力用の加算器22に入力され、乗算器27を介して直交座標成分qの入力用の加算器23に入力される。乗算器26には復調信号として直交ローカル信号loidが入力され、乗算器27には復調信号として直交ローカル信号loqdが入力される。
【0073】
加算器22には、ベースバンド信号txiがDAC(デジタルアナログ変換器)20を介して、換言すれば、ベースバンド信号txiを変換したアナログ信号が入力される。加算器23には、ベースバンド信号txqがDAC21を介して、換言すれば、ベースバンド信号txqを変換したアナログ信号が入力される。
【0074】
乗算器24には、加算器22の出力、換言すれば、直交ベースバンド信号txiに基づく信号が入力される。また、乗算器24には、変調信号として直交ローカル信号loimが入力される。これにより、直交ベースバンド信号txiに基づく信号は直交ローカル信号loimで直交変調される。同様にして、乗算器25により、加算器23の出力、換言すれば、直交ベースバンド信号txqに基づく信号が直交ローカル信号loqmで直交変調される。乗算器24の出力及び乗算器25の出力は、電力増幅器PAに入力される。これにより、カルテシアンフィードバックループが構成される。
【0075】
以上により、カルテシアンフィードバックループにより電力増幅器PAへの入力信号inから得られる信号が補正される。また、カルテシアンフィードバックループの外部で包絡線信号が検出されるので、ベースバンド信号の位相が回転して電力増幅器PAの動作が不安定となることを防止することができる。
【0076】
図9は、高周波電力増幅装置の更に他の一例を示す図である。
【0077】
図9の高周波電力増幅装置3は、電力増幅器PA以外の回路をデジタル回路により構成した例である。従って、電力増幅器PAの前段にDAC(デジタルアナログ変換器)39が設けられる。また、制御回路31において、DAC18に代えて、比較回路52が設けられる。
【0078】
図9の高周波電力増幅装置3においては、図8の高周波電力増幅装置3と異なり、非線形要素回路(nls)9に加えて、非線形要素回路(nlcdd)40、非線形要素回路(nlc)41が設けられる。これらの回路40〜41は、非線形要素回路(nls)9と同様にして、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測に基づいて、DSP又はFPGAにより実現することができる。非線形要素回路(nlcdd)40は、包絡線信号を入力として、電力増幅器PAの消費する消費電流を与える。非線形要素回路(nlc)41は、包絡線信号を入力として、電力増幅器PAの電源コンダクタンスを与える。
【0079】
非線形要素回路(nls)9の出力は、インターポレーション回路44により補間された上で、信号ds1として逆モデル回路に入力される。逆モデル回路は、図9に示すように、加算器又は減算器46〜51及び54、比較回路52、ダイオード53及び55、乗算器56を含む。
【0080】
逆モデル回路には、電力増幅器PAの消費電流を与える非線形要素回路(nlcdd)40の出力が、インターポレーション回路43により補間された上で入力される。また、逆モデル回路には、電力増幅器PAの電源コンダクタンスを与える非線形要素回路(nlc)41の出力が、インターポレーション回路45により補間された上で入力される。従って、逆モデル回路は、電力増幅器PAの消費する消費電流と、電力増幅器PAのコンダクタンスとに基づいて得られる逆モデルである。制御回路31において、電力増幅器PAの出力Poutから入力Pinを算出する逆モデル回路に基づいて、電力増幅器PAに応じて定まる歪特性が算出される。
【0081】
逆モデル回路は、図8の2次のΔΣ変調回路との比較から判るように、2次のΔΣ変調回路を含む。そして、逆モデル回路は、内部に含む2次のΔΣ変調回路に、電力増幅器PAの消費電流を与え、かつ、((非線形要素回路(nlc)41の出力)―(非線形要素回路(nlcdd)40の出力))×電源電圧変動分を与える。これにより、電力増幅器PAの消費電流の時間変動を抑えることができる。
【0082】
前述したように、制御回路31は、包絡線信号を入力信号inから得られる信号として用いて、包絡線信号を補正することにより制御信号を生成する。従って、制御回路31は、包絡線信号の関数として表された電力増幅器PAの消費する消費電流と、包絡線信号の関数として表された電力増幅器PAのコンダクタンスとに基づいて得られる逆モデル回路であって、電力増幅器PAの出力Poutから入力Pinを算出する逆モデル回路に基づいて、電力増幅器PAに応じて定まる歪特性を算出する。
【0083】
また、図9の高周波電力増幅装置3においては、図8の高周波電力増幅装置3と異なり、図2の高周波電力増幅装置3と同様の非線形要素回路(nla)8が設けられる。これに加えて、図9の高周波電力増幅装置3においては、非線形要素回路(nlp)42が設けられる。非線形要素回路(nlp)42は、非線形要素回路(nls)9と同様にして、電力増幅器PAのシミュレーション又は電力増幅器PAの実測に基づいて、DSP又はFPGAにより実現することができる。非線形要素回路(nlp)42は、包絡線信号を入力として、電力増幅器PAの位相歪の補正の量を与える。
【0084】
電力増幅回路において、非線形要素回路(nla)8の出力は、乗算器30及び乗算器31に入力される。乗算器30には直交ベースバンド信号txiが入力され、乗算器31には直交ベースバンド信号txqが入力される。これにより、直交ベースバンド信号txiの振幅及び直交ベースバンド信号txqの振幅が、非線形要素回路(nla)8の出力で補正される。
【0085】
乗算器30の出力及び乗算器31の出力は、座標回転回路(rot)32に入力されて座標回転された後、インターポレーション回路33及び34により補間された上で、乗算器35及び乗算器36に入力される。また、非線形要素回路(nlp)42の出力は、座標回転回路(rot)32に入力される。座標回転回路(rot)32における座標回転の量は、非線形要素回路(nlp)42の出力により定まる。これにより、直交ベースバンド信号txiの位相及び直交ベースバンド信号txqの位相が、非線形要素回路(nlp)42の出力で補正される。
【0086】
乗算器35には、変調信号として直交ローカル信号loiが入力される。これにより、直交ランダム変換された直交ベースバンド信号txiは直交ローカル信号loiで直交変調される。同様に、乗算器36により、直交ランダム変換された直交ベースバンド信号txqは直交ローカル信号loqで直交変調される。
【0087】
乗算器35の出力及び乗算器36の出力は、加算器37において加算された後、遅延回路(Del)38により遅延時間を調整された後、DAC39に入力され、アナログ信号に変換される。遅延回路(Del)38は省略するようにしても良い。DAC39の出力は、電力増幅器PAに入力される。
【0088】
以上により、非線形要素回路(nls)9により制御信号を生成して、供給電源電圧Vdd1を、高速で変化する包絡線信号、換言すれば、入力信号inに追従して変化させることができる。これに加えて、非線形要素回路(nla)8により振幅を補正することができ、非線形要素回路(nlcdd)40及び非線形要素回路(nlc)41により消費電流の時間変動を抑えることができ、非線形要素回路(nlp)42により位相を補正することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 信号生成部
2 包絡線信号生成部(env)
3 高周波電力増幅装置
4、6 乗算器
5、18 DAC(デジタルアナログ変換器)
8 非線形要素回路(nla)
9 非線形要素回路(nls)
10 インターポレーション回路
11、13 加算器(減算器)
12、14 加算器
15、19 比較器
16、17 ダイオード
31 制御回路
101、102 乗算器
PA 電力増幅器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波の入力信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器と前記電力増幅器に電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、前記電源部からの電源電圧を制御する制御回路とを含み、
前記制御回路が、前記電力増幅器への前記入力信号から得られる信号を前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成し、生成した前記制御信号により前記電源電圧を制御することにより供給電源電圧を生成し、生成した前記供給電源電圧を前記電力増幅器に供給する
ことを特徴とする高周波電力増幅装置。
【請求項2】
前記制御回路が、前記入力信号の包絡線を検出することにより前記入力信号から得られた信号である包絡線信号を、前記入力信号から得られる信号として用いて、前記包絡線信号を補正することにより前記制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項3】
前記電力増幅器が、前記制御回路が前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて前記入力信号から得られる信号を補正することに対応して、前記電力増幅器において発生する歪を補償するプレディストータ回路を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項4】
前記制御回路が、前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて前記入力信号から得られる信号を補正することにより生成した信号をΔΣ変調し、前記ΔΣ変調された信号と前記供給電源電圧とを比較して、前記比較の結果に基づいて前記電力増幅器に供給する前記供給電源電圧を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項5】
前記制御回路が、カルテシアンフィードバックループにより前記電力増幅器への前記入力信号から得られる信号を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項6】
前記制御回路が、前記電力増幅器の出力から入力を算出する逆モデルに基づいて、前記電力増幅器に応じて定まる歪特性を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項7】
高周波の入力信号を増幅する電力増幅器と、前記電力増幅器に電源電圧を供給する電源部と、前記電力増幅器と前記電力増幅器に電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、前記電源部からの電源電圧を制御する制御回路とを含む高周波電力増幅装置における高周波電力増幅方法であって、
前記制御回路が、
前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて前記電力増幅器への前記入力信号から得られる信号を補正することにより制御信号を生成し、
生成した前記制御信号により前記電源電圧を制御することにより供給電源電圧を生成し、
生成した前記供給電源電圧を前記電力増幅器に供給する
ことを特徴とする高周波電力増幅方法。
【請求項8】
高周波の送信信号を生成する信号生成部と、
前記送信信号の包絡線を検出することにより包絡線信号を生成する包絡線信号生成部と、
前記送信信号を増幅する高周波電力増幅装置とを含み、
前記高周波電力増幅装置が、更に、
前記送信信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器と前記電力増幅器に電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、前記電源部からの電源電圧を制御する制御回路とを含み、
前記制御回路が、前記包絡線信号を前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成し、生成した前記制御信号により前記電源電圧を制御することにより供給電源電圧を生成し、生成した前記供給電源電圧を前記電力増幅器に供給する
ことを特徴とする送信装置。
【請求項1】
高周波の入力信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器と前記電力増幅器に電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、前記電源部からの電源電圧を制御する制御回路とを含み、
前記制御回路が、前記電力増幅器への前記入力信号から得られる信号を前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成し、生成した前記制御信号により前記電源電圧を制御することにより供給電源電圧を生成し、生成した前記供給電源電圧を前記電力増幅器に供給する
ことを特徴とする高周波電力増幅装置。
【請求項2】
前記制御回路が、前記入力信号の包絡線を検出することにより前記入力信号から得られた信号である包絡線信号を、前記入力信号から得られる信号として用いて、前記包絡線信号を補正することにより前記制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項3】
前記電力増幅器が、前記制御回路が前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて前記入力信号から得られる信号を補正することに対応して、前記電力増幅器において発生する歪を補償するプレディストータ回路を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項4】
前記制御回路が、前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて前記入力信号から得られる信号を補正することにより生成した信号をΔΣ変調し、前記ΔΣ変調された信号と前記供給電源電圧とを比較して、前記比較の結果に基づいて前記電力増幅器に供給する前記供給電源電圧を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項5】
前記制御回路が、カルテシアンフィードバックループにより前記電力増幅器への前記入力信号から得られる信号を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項6】
前記制御回路が、前記電力増幅器の出力から入力を算出する逆モデルに基づいて、前記電力増幅器に応じて定まる歪特性を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅装置。
【請求項7】
高周波の入力信号を増幅する電力増幅器と、前記電力増幅器に電源電圧を供給する電源部と、前記電力増幅器と前記電力増幅器に電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、前記電源部からの電源電圧を制御する制御回路とを含む高周波電力増幅装置における高周波電力増幅方法であって、
前記制御回路が、
前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて前記電力増幅器への前記入力信号から得られる信号を補正することにより制御信号を生成し、
生成した前記制御信号により前記電源電圧を制御することにより供給電源電圧を生成し、
生成した前記供給電源電圧を前記電力増幅器に供給する
ことを特徴とする高周波電力増幅方法。
【請求項8】
高周波の送信信号を生成する信号生成部と、
前記送信信号の包絡線を検出することにより包絡線信号を生成する包絡線信号生成部と、
前記送信信号を増幅する高周波電力増幅装置とを含み、
前記高周波電力増幅装置が、更に、
前記送信信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器と前記電力増幅器に電源電圧を供給する電源部との間に設けられ、前記電源部からの電源電圧を制御する制御回路とを含み、
前記制御回路が、前記包絡線信号を前記電力増幅器に応じて定まる歪特性に基づいて補正することにより制御信号を生成し、生成した前記制御信号により前記電源電圧を制御することにより供給電源電圧を生成し、生成した前記供給電源電圧を前記電力増幅器に供給する
ことを特徴とする送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−74568(P2013−74568A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213752(P2011−213752)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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