説明

高圧洗浄用ノズル部材

【課題】 本発明は、配管の内壁に沿いノズル部材が螺旋状に摺動できるように複数のノズル孔の配置および口径について配慮するとともに、同ノズル孔の傾斜角にも配慮して、十分な洗浄作用が行われるようにした高圧洗浄用ノズル部材を提供することを課題とする。
【解決手段】 丸味を帯びた前進抵抗の少ない前面を有するノズル本体10aの背面10cの中心部には、配管内洗浄用高圧ホースの先端外周の雄ねじ部に螺合しうる雌ねじ孔11が形成され、ノズル本体10aの内部液溜からノズル本体背面10cの周縁部まで外方へ傾斜するように直線状に配設された大径と小径のノズル孔14a,14b;15a,15b;16a,16bが2個ずつ対をなすようにして設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンションのキッチンにおける排水管などについて、管内の壁部に付着した汚れを高圧水で清掃する場合などに用いられる高圧洗浄用ノズル部材に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用のキッチンにおいて、シンク(流し)の排水管接続部には生ゴミ集積部が設けられているが、微細なゴミ成分は、排水用配管の内壁に付着して積層し、排水の妨げになるという不具合がある。
そこで、配管の内壁を清掃する手段として、図4に示すような高圧洗浄用ノズル部材1が用いられている。すなわち、配管2内に挿入された可撓性の高圧ホース3の先端にノズル部材1が螺合しており、同ノズル部材1の背面の周縁部に開口した複数のノズル4から斜め後方へ末広がりに噴出するジェット水5により、ノズル部材1および高圧ホース3の前進力を得るようにしながら配管2の内壁面の洗浄が行われるようになっている。そして、高圧ホース3は、その図示しない繰出し部分で、高圧ホース3の中心軸線に関し旋回させるようになっており、このようにして配管2の内壁面を一様に洗浄できるように配慮されている。
【特許文献1】特開2001−342661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述のような従来の高圧洗浄用ノズル部材1を用いる場合、配管2の内壁に吹き付ける洗浄水を一様にしても、なお十分には汚れを落とし得ない場合がある。その原因の一つとして配管内の汚れの層が厚い場合や一様でない場合が考えられる。
そこで、本発明は、配管の内壁に沿いノズル部材が螺旋状に摺動できるように複数のノズル孔の配置および口径について配慮するとともに、同ノズル孔の傾斜角にも配慮して、十分な洗浄作用が行われるようにした高圧洗浄用ノズル部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するため、本発明の高圧洗浄用ノズル部材は、配管内洗浄用高圧ホースの先端に装着されるノズル部材において、円形横断面を有するノズル本体が、丸味を帯びた前進抵抗の少ない前面と、同本体の背面の中心部に開口するように穿設された高圧ホース連結用雌ねじ孔とを備えるとともに、同雌ねじ孔に連通した内部液溜から上記ノズル本体の背面の周縁部まで外方へ傾斜するように直線状に穿設されて同背面に開口する複数のノズル孔を備え、同ノズル孔が上記雌ねじ孔の中心に関し対称となる位置に対をなすようにして4個以上設けられており、上記の対をなすノズル孔のうちの一方が他方よりも大径に形成されていることを特徴としている。
【0005】
また、本発明の高圧洗浄用ノズル部材は、上記ノズル孔のうち、大径のノズル孔どうしが、互いに隣接するように配設されていることを特徴としている。
【0006】
さらに、本発明の高圧洗浄用ノズル部材は、上記の対をなすノズル孔が、他の対をなすノズル孔と比べて、上記雌ねじ孔の中心軸線に対する傾斜角を異ならせるようにして形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上述の本発明の高圧洗浄用ノズル部材では、高圧ホースの先端に装着されて洗浄すべき配管内に挿入され高圧水の供給を受けると、背面に開口する4個以上のノズル孔から後方へ噴出するジェット水の反力で同ノズル部材は前進するが、その際、対をなすノズル孔のうちの一方が他方よりも大径に形成されているため、噴出するジェット水が多様化して、管内壁面の汚れを効率よく洗浄できるようになる。
【0008】
また、上記の対をなすノズル孔のうち、大径のノズル孔どうしが、互いに隣接するように配設されていると、上記ノズル部材を前進させる力が偏って働くようになり、このため、同ノズル部材は洗浄すべき配管の内面に擦りつけるようにしながら前進し、しかも上記ノズル部材に接続された高圧ホースの繰り出し部で同ホースに捩り力を働かせることによって、上記ノズル部材は螺旋を画きながら前進するので、同ノズル部材の各ノズル孔から噴出するジェット水が管内壁に当たる位置も螺旋を画くようになって、洗浄効果が著しく高められるようになる。
【0009】
さらに、上記の対をなすノズル孔が、互いに他の対をなすノズル孔と比べて、上記雌ねじ孔の中心軸線に対する傾斜角を異ならせるようにして形成されている場合は、傾斜角の大きいノズル孔からのジェット水で洗浄作用を受けた配管内壁が、ノズル部材の前進に伴い、傾斜角の小さいノズル孔からのジェット水で繰返し洗浄作用を受けるようになるので、配管内壁の洗浄作用が一層効率よく的確に行われるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
一般に使用されているノズル本体の外径は21mm程度とされているが、本発明のノズル部材においてノズル本体の内部液溜からノズル本体背面に到るノズル孔の噴出口は、大径のもので1.2〜1.5mmφとされ、小径のものは0.9〜1.2mmとされるのが好ましいので、上記ノズル孔における洗浄水の流通抵抗を減少させるため、同ノズル孔の先端開口部に、ねじ止めまたは焼嵌めにより所要内径のノズル先端開口部材を装着するとよい。
【実施例】
【0011】
図1は本発明の一実施例としての高圧洗浄用ノズル部材を拡大して示す背面図、図2は図1の高圧洗浄用ノズル部材の縦断面を示すもので、(a)図は図1のA−A矢視縦断面図、(b)図は図1のB−B矢視縦断面図、(c)図は図1のC−C矢視縦断面図であり、図3は図1,2の高圧洗浄用ノズル部材の使用態様を模式的に示す説明図である。
【0012】
図1,2に示すように、ノズル部材10は、円形横断面を有する金属製ノズル本体10aにおいて、丸味を帯びた前進抵抗の少ない前面10bを有するとともに、同本体10aの背面10cの中心部に穿設された雌ねじ孔11を介し、配管内洗浄用高圧ホース12の先端の雄ねじ部に装着可能に構成されている。
【0013】
また、ノズル本体10aの内部には、雌ねじ孔11に連通した内部液溜13が形成されるとともに、同内部液溜13からノズル本体背面10cの周縁部まで外方へ傾斜するように直線状に穿設されて同背面10cに開口する4個以上(本実施例では6個)のノズル孔14a,14b,15a,15b,16a,16bが、雌ねじ孔11の中心に関し対称となる位置に対をなすようにして60度間隔で設けられている。
【0014】
そして、上記の対をなすノズル孔のうちの一方14a(15a,16a)が、他方14b(15b,16b)よりも大径に形成されていて、大径のノズル孔14a,15a,16aどうしは互いに隣接するように配設されている。
さらに、上記の対をなすノズル孔14a,14b,15a,15b,16a,16bは、互いに他の対をなすノズル孔と比べて、雌ねじ孔11の中心軸線に対する傾斜角を異ならせるようにして形成されている。
【0015】
上述の本実施例の高圧洗浄用ノズル部材10では、高圧ホース12の先端に装着されて洗浄すべき配管H(図3参照)内に挿入され高圧水の供給を受けると、背面10cに開口する6個のノズル孔14a,14b,15a,15b,16a,16bから後方へ噴出するジェット水の反力で同ノズル部材10は前進するが、その際、対をなすノズル孔のうちの一方14a(15a,16a)が他方14b(15b,16b)よりも大径に形成されているため、噴出するジェット水J1,J2,J3が多様化して、配管Hの内壁面の汚れを効率よく洗浄できるようになる。
【0016】
また、上記の対をなすノズル孔のうち、大径のノズル孔14a,15a,16aどうしが、互いに隣接するように配設されているので、ノズル部材10を前進させる力が偏って働くようになり、このため、同ノズル部材10は図3に示すごとく配管Hの内面に擦りつけるようにしながら前進し、しかもノズル部材10に接続された高圧ホース12の繰り出し部で同ホース12に捩り力を働かせることによって、ノズル部材10は螺旋を画きながら前進し、同ノズル部材10の各ノズル孔14a,14b,15a,15b,16a,16bから噴出するジェット水J1,J2,J3が管内壁に当たる位置も螺旋を画くようになって、洗浄効果が著しく高められるようになる。
【0017】
さらに、上記の対をなすノズル孔14a,14b;15a,15b;16a,16bが、互いに他の対をなすノズル孔と比べて、雌ねじ孔11の中心軸線に対する傾斜角を異ならせるようにして形成されているので、図3に示すように、傾斜角の大きいノズル孔からのジェット水J1で洗浄作用を受けた配管内壁が、ノズル部材10の前進に伴い、傾斜角の小さいノズル孔からのジェット水J2,J3で繰返し洗浄作用を受けるようになるので、配管内壁の洗浄作用が一層効率よく的確に行われるようになる。
【0018】
なお、本実施例では、各ノズル孔14a,14b,15a,15b,16a,16bが、内部液溜13からノズル本体背面10cにおける開口まで一様な内径を有しているが、上記開口を所要の内径に絞りながらノズル孔内部では内径を大きくして、流通抵抗の減少を図ることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
ノズル本体の前面に開口する傾斜ノズル孔を多数設けて、高圧ホースを通じ塗料を供給酢ながら、ノズル本体を後退させるようにすれば、配管内壁に銹止め用の塗装を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例としての高圧洗浄用ノズル部材を拡大して示す背面図である。
【図2】図1の高圧洗浄用ノズル部材の縦断面を示すもので、(a)図は図1のA−A矢視縦断面図、(b)図は図1のB−B矢視縦断面図、(c)図は図1のC−C矢視縦断面図である。
【図3】図1,2のノズル部材の使用状態を模式的に示す説明図である。
【図4】従来の高圧洗浄用ノズル部材の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ノズル部材
2 配管
3 高圧ホース
4 ノズル孔
5 ジェット水
10 ノズル部材
10a ノズル本体
10b ノズル本体前面
10c ノズル本体背面
11 雌ねじ孔
12 高圧ホース
13 内部液溜
14a,14b,15a,15b,16a,16b ノズル孔
H 配管
J1,J2,J3 ジェット水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内洗浄用高圧ホースの先端に装着されるノズル部材において、円形横断面を有するノズル本体が、丸味を帯びた前進抵抗の少ない前面と、同本体の背面の中心部に開口するように穿設された高圧ホース連結用雌ねじ孔とを備えるとともに、同雌ねじ孔に連通した内部液溜から上記ノズル本体の背面の周縁部まで外方へ傾斜するように直線状に穿設されて同背面に開口する複数のノズル孔を備え、同ノズル孔が上記雌ねじ孔の中心に関し対称となる位置に対をなすようにして4個以上設けられており、上記の対をなすノズル孔のうちの一方が他方よりも大径に形成されていることを特徴とする、高圧洗浄用ノズル部材。
【請求項2】
上記ノズル孔のうち、大径のノズル孔どうしが、互いに隣接するように配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の高圧洗浄用ノズル部材。
【請求項3】
上記の対をなすノズル孔が、他の対をなすノズル孔と比べて、上記雌ねじ孔の中心軸線に対する傾斜角を異ならせるようにして形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の高圧洗浄用ノズル部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−21175(P2006−21175A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203898(P2004−203898)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(504265064)
【Fターム(参考)】