説明

高増殖性障害を処置する組成物および方法

高増殖性障害の処置を必要としている対象の高増殖性障害を処置する方法であって、該対象に、処置有効量の(a)フェンレチニド(フェンレチニド)などのセラミド増加性レチノイドまたはその薬学的に許容しうる塩;および(b)少なくとも一つ(および特定の態様において、少なくとも二つ)の化合物であって、(i)一つまたは複数の非18炭素鎖長さL−threo−スフィンガニンまたはそれらの薬学的に許容しうる塩、(ii)一つまたは複数のグルコシルセラミドまたはグルコシル(ジヒドロ)セラミド合成阻害剤、および(iii)一つまたは複数のスフィンゴミエリンまたはジヒドロスフィンゴミエリンシンターゼ阻害剤から成る群より選択される化合物を組み合わせで投与することを含む方法。好ましいL−threo−スフィンガニンは、17炭素、19炭素または20炭素の炭素鎖長さを有する。好ましいグルコシルセラミドまたはグルコシル(ジヒドロ)セラミド合成阻害剤は、D−threo−1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノールである。好ましいスフィンゴミエリンまたはジヒドロスフィンゴミエリン合成阻害剤は、D−threo−1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノールである。好ましい高増殖性障害は、脳癌である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、新規なスフィンゴイド塩基の組み合わせ、および高増殖性障害の処置のための化学療法計画におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]開示されている方法の範囲を制限することなく、高増殖性障害の処置における新規なアプローチに関連して、背景を記載する。
[0003]スフィンガニンは、一群の関連した長鎖脂肪族2−アミノ−1,3−ジオールを構成しているが、その18炭素長さスフィンガニンであるD−erythro−スフィンガニン(すなわち、D−erythro−ジヒドロスフィンゴシン=(2S,3R)−2−アミノオクタデカン−1,3−ジオール=D−erythro−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオール=(2S,3R)−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオール)は、哺乳動物において最もしばしば天然に存在するスフィンガニンである。20炭素鎖長さD−erythro−スフィンガニンも、哺乳動物において限られた量で用いられ、概して、中枢神経系に限定されている。スフィンガニンは、それらのC2−アミノ基のアシル化により、いろいろな鎖長さ、概して、14炭素〜30炭素鎖長さを有する脂肪酸で、ジヒドロセラミドへと変換される。ジヒドロセラミドは、更に、スフィンガニン主鎖の炭素4と炭素5との間の結合の脱飽和、すなわち、炭素−炭素二重結合の配置により、セラミドへと変換される。セラミドは、細胞膜の製造および修復のためにおよびシグナリング分子として、より高級なスフィンゴ脂質、すなわち、ろうを作るのに優先的に用いられる。歴史的に、「セラミド」という用語は、ジヒドロセラミドおよびセラミド双方を意味する。二重結合した炭素4,5は、更に、スフィンガニンとスフィンゴシンとを区別する。歴史的に、スフィンガニンおよびスフィンゴシンは、集合的に、「スフィンゴイド塩基」と称される。天然に存在する哺乳動物のスフィンガニンおよびスフィンゴシンは全て、C2−炭素アミノ基およびC3−炭素ヒドロキシル基のキラリティーに関してD−erythro 立体化学を有する。
【0003】
[0004]サフィンゴール(safingol)は、天然の18炭素鎖長さD−erythro−スフィンガニンの人工L−threo−立体化学(ジアステレオマー)変異型である。サフィンゴールは、いろいろに、L−threo−スフィンガニン=L−threo スフィンガニン(2S,3S)=L−threo−ジヒドロスフィンゴシン=L−threo−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオールとも称される。サフィンゴールは、フェンレチニド(fenretinide)であるレチノイド(ビタミンA誘導体)の抗癌活性を増加させると報告された。
【0004】
[0005]フェンレチニド[HPR;全−trans−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチナミド;CAS登録番号65646−68−6]は、現在、癌細胞において、反応性酸素種を生成することによっておよびジヒドロセラミドの増加によって細胞障害性を及ぼすと考えられている。例えば、D. Delia et al., Carcinogenesis 18, 943-948 (1997); N. Oridate et al., J. Natl. Cancer Inst. 89, 1191-1198 (1997) を参照されたい。
【0005】
[0006]Gibbs による米国特許第4,665,098号は、フェンレチニドの医薬組成物を、乳癌および膀胱癌の処置に有用と記載している。
[0007]Gupta et al. による米国特許第7,169,819号は、癌を含めた高増殖性障害の処置に適するフェンレチニドの医薬組成物を記載している。
【0006】
[0008]Schwartz et al. による米国特許第5,821,072号は、腫瘍細胞においてアポトーシスを増強可能な、サフィンゴールを含めたプロテインキナーゼC阻害剤をスクリーニングする方法を、腫瘍細胞においてアポトーシスを増強可能なプロテインキナーゼC阻害剤との組み合わせ療法に適する抗腫瘍治療薬をスクリーニングする方法と一緒に提供している。
【0007】
[0009]Maurer et al. による米国特許第6,352,844号は、癌を含めた高増殖性障害を処置する方法であって、処置を必要としている患者を、サフィンゴールと一緒に、フェンレチニドなどのセラミド生成性レチノイドで処置することによる方法を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,665,098号
【特許文献2】米国特許第7,169,819号
【特許文献3】米国特許第5,821,072号
【特許文献4】米国特許第6,352,844号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】D. Delia et al., Carcinogenesis 18, 943-948 (1997)
【非特許文献2】N. Oridate et al., J. Natl. Cancer Inst. 89, 1191-1198 (1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0010]本発明は、高増殖性障害を処置する新規な方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011]したがって、本発明は、高増殖性障害を処置する方法を提供する。
[0012]本発明は、次の式I:
【0012】
【化1】

【0013】
によって表される非18炭素鎖長さ(すなわち、サフィンゴールを除いた)L−threo−スフィンガニン組成物に関する。
[0013](式中、R=14炭素鎖長さを除いた直鎖飽和C6−26炭化水素鎖、そしてここにおいて、組成物は、C2−アミノ基およびC3−ヒドロキシル基に関してL−threo 立体化学、すなわち、(2S,3S)立体配置を有する)。
【0014】
[0014]このようなL−threo−スフィンガニン組成物の例には、次が含まれるが、これに制限されるわけではない。L−threo−イコサスフィンガニン=L−threo−エイコサスフィンガニン=L−threo−2−アミノ−1,3−イコサンジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−イコサンジオール=L−threo−2−アミノ−1,3−エイコセジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−エイコセジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−ジヒドロキシエイコサン=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−ジヒドロキシエイコサンとも称されるL−threo−C20−スフィンガニン;
[0015]L−threo−2−アミノ−1,3−ノナデカンジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−ノナデカンジオールとも称されるL−threo−C19−スフィンガニン;およびL−threo−2−アミノ−1,3−ヘプタデカンジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−ヘプタデカンジオールとも称されるL−threo−C17−スフィンガニン。
【0015】
[0016]本発明は、更に、このようなL−threo−スフィンガニンが、ヒト癌細胞系においてフェンレチニドの抗癌性を増加させるという予期しない発見に関する。したがって、セラミド(すなわち、ジヒドロセラミドまたはセラミド)を増加させるフェンレチニドおよび他のこのようなレチノイン酸誘導体の、癌などの高増殖性障害に対する活性は、このようなL−threo−スフィンガニンを接近して投与することによって増強することができる。このような投与は、有益な作用が得られる限りは、逐次的に、一つまたは複数のL−threo−スフィンガニンをセラミド増加性レチノイドまたはフェンレチニドの前に投与することができるし、または同時に、L−threo−スフィンガニンをセラミド増加性レチノイドまたはフェンレチニド投与期間の一部分または全期間中に投与することができるし、またはL−threo−スフィンガニンをセラミド増加性レチノイドまたはフェンレチニド後に投与することができる。本発明は、更に、高増殖性障害の処置であって、このような一つまたは複数のL−threo−スフィンガニンを、記載のようなセラミド増加性レチノイドまたはフェンレチニドと、セラミドで生じる細胞障害性の細胞性代謝および細胞性制御を操作する追加の物質(例えば、セラミド分解阻害剤)と一緒に投与する処置に関する。このような物質には、グルコシルセラミドおよびグルコシル(ジヒドロ)セラミドシンターゼ阻害剤およびスフィンゴミエリンおよび(ジヒドロ)スフィンゴミエリンシンターゼ阻害剤が含まれ、そしてそれらは、単独でまたは互いの組み合わせで投与することができる。具体的な例を下に与える。好ましくは、レチノイン酸誘導体またはフェンレチニドは、腫瘍細胞において壊死、アポトーシス、オートファジーまたは他の致死誘発性過程を生じる有効量で与えられ、そしてセラミド分解阻害剤を含むまたは不含のL−threo−スフィンガニンは、腫瘍細胞における壊死、アポトーシス、オートファジーまたは他の致死誘発性過程を、レチノイン酸誘導体またはフェンレチニド単独で生じると考えられるよりも、または別々に与えられる場合のレチノイン酸誘導体またはフェンレチニドとセラミド分解阻害剤を含むまたは不含のL−threo−スフィンガニンとの合計によって生じると期待されるよりも増加させる有効量で与えられる。
【0016】
[0017]本発明は、更に、高増殖性障害の処置を必要としている対象の高増殖性障害を処置する方法であって、その対象に、処置有効量の(a)ジヒドロセラミドまたはセラミドを増加させるレチノイン酸誘導体であって、フェンレチニドまたはその薬学的に許容しうる塩などのもの;および(b)一つまたは複数の非18炭素鎖長さL−threo−スフィンガニンまたはそれらの薬学的に許容しうる塩、そして場合により、(c)グルコシルセラミドまたはグルコシル(ジヒドロ)セラミド合成阻害剤(その薬学的に許容しうる塩を含めた)であって、D−threo−1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノールまたはその薬学的に許容しうる塩などのもの、そして場合により、(d)スフィンゴミエリンまたは(ジヒドロ)スフィンゴミエリンシンターゼ阻害剤を組み合わせで投与することを含む方法に関する。一つまたは複数の合成阻害剤は、レチノイン酸誘導体およびL−threo−スフィンガニンの活性を、化合物が互いに効果的な活性を有するように増強する有効量で投与する。好ましくは、レチノイン酸誘導体およびL−threo−スフィンガニンは、腫瘍細胞において壊死、アポトーシスまたはオートファジー、他の細胞死過程を生じる有効量で与えられ、そして合成阻害剤は、腫瘍細胞において生じる壊死、アポトーシスまたはオートファジーまたは他の細胞死過程を、組み合わせのレチノイン酸誘導体およびL−threo−スフィンガニンによって期待されると考えられるよりも、または別々に与えられる場合のレチノイン酸誘導体およびL−threo−スフィンガニン組み合わせおよび合成阻害剤の合計によって生じると期待されるよりも増加させる有効量で与えられる。本明細書中に記載の化合物を含めた他の化合物を投与することもできる。
【0017】
[0018]作用の理論は、ヒトおよびイヌの高増殖性障害におけるセラミド増加性レチノイドへのL−threo−スフィンガニンの有益な作用は、このようなレチノイドが、癌などの感受性高増殖性障害における細胞性D−erythro−ジヒドロセラミドを増加させることであるということであり、L−threo−スフィンガニンは、L−threo−ジヒドロセラミドへと代謝変換されて、それらの有益な作用を及ぼす。その有益な作用は、L−threo−スフィンガニンがL−threo−セラミドへと代謝変換される齧歯類動物などの全ての哺乳動物において認められるであろうと結論されることはない。L−threo−スフィンガニンが、L−threo−ジヒドロセラミドへのその変換とは異なる本発明の機能の原因となる一つまたは複数の機能を果たしているということは除外されない。したがって、この一つまたは複数の機能を果たす非18炭素鎖長さL−threo−スフィンガニンおよび他の化合物は、本発明の特定の基本的理論に出願者を拘束することなく、本発明において活性であり且つ本発明に包含される。事実上、哺乳動物スフィンゴ脂質は全て、C−18およびC−20炭素長さスフィンゴイド主鎖を用いて作られているので、いずれの立体化学の非C18およびC20スフィンガニンも、機能するとは期待されないと考えられた。更に、C−20主鎖スフィンゴ脂質は、CNS以外では、かなりの量で見出されることはないので、C−20−L−threo−スフィンガニンは、本明細書中に示されるように、実際に認められるように機能するとは期待されないと考えられた。
【0018】
[0019]前述の処置を行うための、単一医薬担体またはビヒクル中の化合物の前述の組み合わせの一部分を含む製剤も、本発明の側面である。前述の処置を行うための薬剤の製造のための前述の化合物の使用も、本発明の側面である。
【0019】
[0020]前述のことは、本発明を詳しく説明するものであり、それを制限すると解釈されるべきではない。本発明は、請求の範囲によって、そこに包含される請求の範囲の均等物で定義される。要約すると、本発明は、高増殖性障害を処置するための改善された方法を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[0021]本発明のより完全な理解のために、ここで、本発明の詳細な説明を、添付の図面と一緒に論及する。
【図1】[0022]図1は、薬物耐性CHLA−90神経芽細胞腫癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図2】[0023]図2は、2%酸素中のCHLA−266脳癌(PNET)細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図3】[0024]図3は、GBM2グリア芽細胞腫脳癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図4】[0025]図4は、2%酸素中のHT−29結腸癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図5】[0026]図5は、5%酸素中のCOG−LL−317急性リンパ芽球性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)(ALL)癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図6】[0027]図6は、MOLT−4ALL白血病細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図7】[0028]図7は、薬物耐性CHLA−90神経芽細胞腫癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図8】[0029]図8は、2%酸素中のCHLA−266脳癌(PNET)細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図9】[0030]図9は、GBM2グリア芽細胞腫脳癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図10】[0031]図10は、HT−29結腸癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図11】[0032]図11は、5%酸素中のCOG−LL−317ALL白血病細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図12】[0033]図12は、薬物耐性CHLA−90神経芽細胞腫細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図13】[0034]図13は、2%酸素中のCHLA−266脳癌(PNET)細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図14】[0035]図14は、GBM2グリア芽細胞腫脳癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図15】[0036]図15は、HT−29結腸癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図16】[0037]図16は、2%酸素中のMCF−7/ADR(OVCAR−8/ADR)卵巣癌細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図17】[0038]図17は、5%酸素中のCOG−LL−317ALL細胞系において一つまたはそれを超える用量で細胞障害性を示す、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図18】[0039]図18は、2%酸素中のGBM2脳癌細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図19】[0040]図19は、2%酸素中のGBM2脳癌細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図20】[0041]図20は、2%酸素中のGBM2脳癌細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図21】[0042]図21は、20%酸素中のHT−29結腸癌細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図22】[0043]図22は、20%酸素中のHT−29結腸癌細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図23】[0044]図23は、2%酸素中のHT−29結腸癌細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図24】[0045]図24は、2%酸素中のMOLT−4ALL白血病細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図25】[0046]図25は、2%酸素中のMOLT−4ALL白血病細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図26】[0047]図26は、2%酸素中のMOLT−4ALL白血病細胞系において大部分の用量で相乗的に増加した細胞障害性を示す、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。
【図27A】[0048]図27A〜27Dは、正常ヒト線維芽細胞(正常皮膚細胞)細胞系CRL−2091およびCRL−2076において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図27B】図27A〜27Dは、正常ヒト線維芽細胞(正常皮膚細胞)細胞系CRL−2091およびCRL−2076において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図27C】図27A〜27Dは、正常ヒト線維芽細胞(正常皮膚細胞)細胞系CRL−2091およびCRL−2076において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図27D】図27A〜27Dは、正常ヒト線維芽細胞(正常皮膚細胞)細胞系CRL−2091およびCRL−2076において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図28A】[0049]図28A〜28Dは、ヒト多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)(血液および骨髄の癌)細胞系RPMI−8226において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図28B】図28A〜28Dは、ヒト多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)(血液および骨髄の癌)細胞系RPMI−8226において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図28C】図28A〜28Dは、ヒト多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)(血液および骨髄の癌)細胞系RPMI−8226において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図28D】図28A〜28Dは、ヒト多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)(血液および骨髄の癌)細胞系RPMI−8226において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図29A】[0050]図29A〜29Dは、ヒト Multiple Myeloma(血液および骨髄の癌)細胞系U−266において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図29B】図29A〜29Dは、ヒト Multiple Myeloma(血液および骨髄の癌)細胞系U−266において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図29C】図29A〜29Dは、ヒト Multiple Myeloma(血液および骨髄の癌)細胞系U−266において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図29D】図29A〜29Dは、ヒト Multiple Myeloma(血液および骨髄の癌)細胞系U−266において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図30A】[0051]図30A〜30Dは、ヒト多形性グリア芽細胞腫(Glioblastoma multiforme)(脳癌)細胞系A−172において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図30B】図30A〜30Dは、ヒト多形性グリア芽細胞腫(Glioblastoma multiforme)(脳癌)細胞系A−172において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図30C】図30A〜30Dは、ヒト多形性グリア芽細胞腫(Glioblastoma multiforme)(脳癌)細胞系A−172において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図30D】図30A〜30Dは、ヒト多形性グリア芽細胞腫(Glioblastoma multiforme)(脳癌)細胞系A−172において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図31A】[0052]図31A〜31Dは、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系U−118において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図31B】図31A〜31Dは、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系U−118において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図31C】図31A〜31Dは、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系U−118において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図31D】図31A〜31Dは、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系U−118において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図32A】[0053]図32A〜32Dは、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系T98Gにおいて調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図32B】図32A〜32Dは、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系T98Gにおいて調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図32C】図32A〜32Dは、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系T98Gにおいて調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図32D】図32A〜32Dは、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系T98Gにおいて調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図33A】[0054]図33A〜33Dは、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−GBM2において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図33B】図33A〜33Dは、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−GBM2において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図33C】図33A〜33Dは、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−GBM2において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図33D】図33A〜33Dは、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−GBM2において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図34A】[0055]図34A〜34Dは、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−G2において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図34B】図34A〜34Dは、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−G2において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図34C】図34A〜34Dは、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−G2において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図34D】図34A〜34Dは、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−G2において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図35A】[0056]図35A〜35Bは、ヒト原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)(脳癌)細胞系CHLA−266において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図35B】図35A〜35Bは、ヒト原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)(脳癌)細胞系CHLA−266において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図36A】[0057]図36A〜36Dは、ヒト結腸直腸腺癌(結腸癌)細胞系HT−29において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図36B】図36A〜36Dは、ヒト結腸直腸腺癌(結腸癌)細胞系HT−29において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図36C】図36A〜36Dは、ヒト結腸直腸腺癌(結腸癌)細胞系HT−29において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図36D】図36A〜36Dは、ヒト結腸直腸腺癌(結腸癌)細胞系HT−29において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図37A】[0058]図37A〜37Dは、ヒト黒色腫(皮膚癌)細胞系A−2058において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図37B】図37A〜37Dは、ヒト黒色腫(皮膚癌)細胞系A−2058において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図37C】図37A〜37Dは、ヒト黒色腫(皮膚癌)細胞系A−2058において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図37D】図37A〜37Dは、ヒト黒色腫(皮膚癌)細胞系A−2058において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図38A】[0059]図38A〜38Bは、ヒト肺腺癌(肺癌)細胞系NCI−H−1792において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図38B】図38A〜38Bは、ヒト肺腺癌(肺癌)細胞系NCI−H−1792において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図39A】[0060]図39A〜39Dは、ヒト肺腺癌(肺癌)細胞系A−549において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図39B】図39A〜39Dは、ヒト肺腺癌(肺癌)細胞系A−549において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図39C】図39A〜39Dは、ヒト肺腺癌(肺癌)細胞系A−549において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図39D】図39A〜39Dは、ヒト肺腺癌(肺癌)細胞系A−549において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図40A】[0061]図40A〜40Dは、ヒト乳房腺癌(乳癌)細胞系MCF−7およびMDA−MB−231において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図40B】図40A〜40Dは、ヒト乳房腺癌(乳癌)細胞系MCF−7およびMDA−MB−231において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図40C】図40A〜40Dは、ヒト乳房腺癌(乳癌)細胞系MCF−7およびMDA−MB−231において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図40D】図40A〜40Dは、ヒト乳房腺癌(乳癌)細胞系MCF−7およびMDA−MB−231において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図41A】[0062]図41A〜41Dは、ヒト卵巣腺癌(卵巣癌)細胞系OVCAR−8において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図41B】図41A〜41Dは、ヒト卵巣腺癌(卵巣癌)細胞系OVCAR−8において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図41C】図41A〜41Dは、ヒト卵巣腺癌(卵巣癌)細胞系OVCAR−8において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図41D】図41A〜41Dは、ヒト卵巣腺癌(卵巣癌)細胞系OVCAR−8において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図42A】[0063]図42A〜42Bは、ヒト前立腺腺癌(前立腺癌)細胞系LNCaPにおいて調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図42B】図42A〜42Bは、ヒト前立腺腺癌(前立腺癌)細胞系LNCaPにおいて調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図43A】[0064]図43A〜43Dは、ヒト前立腺腺癌(前立腺癌)細胞系PC−3において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図43B】図43A〜43Dは、ヒト前立腺腺癌(前立腺癌)細胞系PC−3において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図43C】図43A〜43Dは、ヒト前立腺腺癌(前立腺癌)細胞系PC−3において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図43D】図43A〜43Dは、ヒト前立腺腺癌(前立腺癌)細胞系PC−3において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図44A】[0065]図44A〜44Dは、ヒト膵臓腺癌(膵臓癌)細胞系PANC−1において調べたFenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図44B】図44A〜44Dは、ヒト膵臓腺癌(膵臓癌)細胞系PANC−1において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図44C】図44A〜44Dは、ヒト膵臓腺癌(膵臓癌)細胞系PANC−1において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図44D】図44A〜44Dは、ヒト膵臓腺癌(膵臓癌)細胞系PANC−1において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図45A】[0066]図45A〜45Dは、ヒト食道腺癌(食道癌)細胞系OE−19およびOE−33において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図45B】図45A〜45Dは、ヒト食道腺癌(食道癌)細胞系OE−19およびOE−33において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図45C】図45A〜45Dは、ヒト食道腺癌(食道癌)細胞系OE−19およびOE−33において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図45D】図45A〜45Dは、ヒト食道腺癌(食道癌)細胞系OE−19およびOE−33において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図46A】[0067]図46A〜46Dは、ヒト急性リンパ芽球性白血病(小児ALL、血液癌)細胞系COG−LL−317およびMOLT−4において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図46B】図46A〜46Dは、ヒト急性リンパ芽球性白血病(小児ALL、血液癌)細胞系COG−LL−317およびMOLT−4において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図46C】図46A〜46Dは、ヒト急性リンパ芽球性白血病(小児ALL、血液癌)細胞系COG−LL−317およびMOLT−4において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図46D】図46A〜46Dは、ヒト急性リンパ芽球性白血病(小児ALL、血液癌)細胞系COG−LL−317およびMOLT−4において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図47A】[0068]図47A〜47Bは、ヒト小児神経芽細胞腫(神経関連の充実性腫瘍癌)細胞系CHLA−90において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【図47B】図47A〜47Bは、ヒト小児神経芽細胞腫(神経関連の充実性腫瘍癌)細胞系CHLA−90において調べた Fenretinide およびL−threo−スフィンガニンの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0069]本明細書中に開示されているのは、新規なスフィンゴイド塩基、および高増殖性障害の処置のための組み合わせ化学療法計画におけるそれらの使用である。本発明の多数の革新的内容は、(例としてであって、制限するものではない)いくつかの態様の具体的な論及で記載されるであろう。
【0022】
[0070]新規なスフィンゴイド塩基および高増殖性障害の処置のための化学療法計画におけるそれらの使用の開示されている組み合わせは、概して、本発明の具体的な態様としておよびそれらの実施および利点を示すために包含される実施例で記載される。それら実施例は、詳しく説明するものとして与えられており、いずれにせよ、本明細書または請求の範囲を制限するためのものではないということは理解される。
【0023】
[0071]本発明の方法は、本明細書中においていずれも一緒に、高増殖性障害または過形成性障害と称される、腫瘍、癌、腫瘍性組織および他の前悪性および非腫瘍性(noneoplastic)高増殖性障害の成長を阻害するまたは妨げるために、本明細書中に増強剤として記載されている新規なスフィンゴイド塩基と共役したフェンレチニドなどのレチノイン酸誘導体の組み合わせ作用を利用して、セラミドで生じる毒性の細胞性代謝および細胞性制御を操作する。本明細書中で用いられる処置は、概して、(前悪性および非腫瘍性または非悪性高増殖性障害に加えて、腫瘍、癌および腫瘍性組織を含めた)高増殖性細胞である標的細胞において(壊死またはアポトーシス機構または双方によって)成長を阻害するおよび/または細胞障害性を誘発するのに用いることができる。
【0024】
[0072]本発明によって処置することができる腫瘍、癌および腫瘍性組織の例には、乳癌;骨肉腫;血管肉腫;線維肉腫および他の肉腫;白血病;リンパ腫;洞腫瘍;卵巣、子宮頸部、尿管、膀胱、前立腺および他の尿生殖器の癌;結腸、食道および胃の癌および他の胃腸癌;肺癌;骨髄腫;膵臓癌;肝臓癌;腎臓癌;内分泌性癌;皮膚癌;およびグリオーマおよび神経芽細胞腫を含めた、悪性または良性の脳または中枢および末梢神経(CNS)系の腫瘍などの悪性障害が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0025】
[0073]前悪性および非腫瘍性または非悪性の高増殖性障害の例には、骨髄異形成性障害;子宮頸部上皮内癌;ガードナー症候群などの家族性腸ポリポーシス;口腔白斑症;組織球増殖症;ケロイド;血管腫;高増殖性動脈狭窄、炎症性関節炎;関節炎を含めた角質増殖症および丘疹鱗屑状発疹が含まれるが、これに制限されるわけではない。更に含まれるのは、いぼおよびEBVで誘発される疾患(すなわち、伝染性単核球症)などのウイルスで誘発される高増殖性疾患、瘢痕形成等である。本明細書中に開示されている処置方法は、本明細書中に定義の高増殖性障害を有することが知られているまたは有すると疑われるまたは発症するリスクがあるいずれの対象についても用いることができる。
【0026】
[0074]本明細書中で用いられる高増殖性障害の「処置」は、一体のまたは集団の高増殖性細胞または腫瘍の成長またはサイズ増加または癌性成長を死滅させる、阻害するまたは遅らせる方法;高増殖性細胞数を減少させる方法;または他の解剖学的部位への拡散を妨げる方法;更には、高増殖性成長のサイズまたは高増殖性(hyperpproliferative)細胞の数を減少させる方法を意味する。本明細書中で用いられる「処置」は、必ずしも、高増殖性成長の治癒または完全な撲滅を意味するものではない。本明細書中で用いられる処置有効量は、高増殖性細胞を死滅させること、その成長速度を遅らせること、一体の高増殖性細胞のサイズの減少および/または高増殖性細胞の数の減少を引き起こすのに有効な量である。一つ(または複数)の増強剤は、二つの(またはそれを超える)化合物が互いに、(例えば、相乗的相互作用;減少した組み合わせ毒性等によって)単独で与えられた個々の化合物よりも大きい治療的効力を有するように、第一化合物の活性を増強する十分な量で包含される。
【0027】
[0075]本明細書中で用いられる二つまたはそれを超える化合物の「組み合わせでの」投与は、それら二つの化合物を、一方の存在が、他方の生物学的作用を変更する十分に接近した時間内に投与することを意味する。それら二つの化合物は、同時に(simultaneously)(同時存在的に(concurrently))または逐次的に投与することができる。同時投与は、それら化合物を投与前に混合することによって、またはそれら化合物を同時点ではあるが異なった解剖学的部位にまたは異なった投与経路を用いて投与することによって行うことができる。
【0028】
[0076]本明細書中で用いられる「同時存在的投与」、「組み合わせでの投与」、「同時投与」または「同時に投与する」という句は、それら化合物を、同時点にまたは互いの直後に投与することを意味する。後者の場合、二つの化合物は、認められる結果が、それら化合物を同時点に投与した時に達せられる結果と区別できない十分に接近した時点に投与する。
【0029】
[0077]本発明の方法によって処置される対象には、ヒト対象および獣医学的目的の動物対象双方が含まれる。動物対象は、好ましくは、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ、ヒツジ等を含めた哺乳動物対象である。
【0030】
[0078]いろいろな細胞内分子は、細胞死を引き起こすまたは阻害することが知られている(S. Rowan and D. Fisher, Leukemia 11, 457 (1997); K. Saini and N. Walker, Mol. Cell Biochem. 178, 9 (1998))。最新の研究は、プログラム細胞死(アポトーシス)の経路を解明することに集中しているが、この場合、アポトーシスのトリガー(DNA損傷など)は、いろいろな経路(例えば、p53、Fasおよびその他)を活性化することができ、それらは、更に他の分子(前および抗アポトーシスタンパク質のBcl−2ファミリーなど)によって、アポトーシス細胞死に至る最終イベントの後期段階であるカスパーゼ活性化でモジュレーションすることができる。しかしながら、全ての細胞死がアポトーシスによって起こるわけではなく、4−HPRで誘発される細胞死は、アポトーシスおよび壊死双方(J. Clifford et al., Cancer Res. 59, 14 (1999))またはオートファジー(Zheng, W., et al., Biochim Biophys Acta. 1758:1864-84 (2006), Tiwari, M., et al., Carcinogenesis 29:600-9, (2008), Fazi, B., et al., Autophagy.4:435-41, (2008))を必要とする。細胞内脂質セラミドは、アポトーシス(L. Obeid et al., Science 259, 1769 (1993)(FIG. 1)および壊死(Guo et al., Am. J. Physiol. 276, F390 (1999); Condorelli et al., Br. J. Pharmacol. 137, 75 (1999))を媒介することが知られている。それは、ミトコンドリア膜のアポトーシス誘発性透過性遷移を引き起こす(S. Susin et al., J. Exp. Med. 186, 25 (1997))、ミトコンドリア複合体III阻害によるアポトーシス誘発性ROS生成を引き起こす(A. Quillet-Mary et al., J. Biol. Chem. 272, 21388 (1997))、そして前死(pro-death)JNK/SAPK経路を活性化することが分かった(S. Basu et al., Oncogene 17, 3277 (1998); T. Okazaki et al., Cell. Signal. 10, 685 (1998); W. Jarvis, Curr. Opin. Oncol. 10, 552 (1998))。セラミドは、更に、プロテインキナーゼ(CAPK)(S. Mathias et al., Biochem. J. 335(Pt 3), 465 (1998))およびホスホリラーゼ(PP2A)(L. Leoni et al., Biochem. Pharmacol. 55, 1105 (1998))を活性化し、そして核転写因子NFκBの活性化をもたらすことができる(L. Johns et al., J. Immunol. 152, 5877 (1998); C. Gamard et al., J. Biol. Chem. 272, 1682 (1997))。癌細胞がセラミドの細胞障害作用を免れる機構には、無毒性グルコシルセラミド(Y. Lavie et al., J. Biol. Chem. 272, 1682 (1997); Y. Lavie et al., J. Biol. Chem. 271, 19530 (1996); L. Yong-Yu et al., J. Biol. Chem. 274, 1140 (1999))およびスフィンゴシン−1−ホスフェートを含めた他の形への代謝が含まれうる。スフィンゴシン−1−ホスフェートは、前生存(pro-life)ERK1/2経路を活性化することにより、セラミドで誘発される細胞死に対向する(O. Cuvillieret al., Nature 381, 800 (1996); O. Cuvillieret al., J. Biol. Chem. 273, 2910 (1998))。したがって、セラミド代謝のモジュレーションは、4−HPR(フェンレチニド)および他のセラミド生成性レチノイドの細胞障害性効力を増強する手段を与える。
【0031】
[0079]セラミドは、de novo 合成経路であるセラミドシンターゼの活性化によって、または中性または酸性スフィンゴミエリナーゼの活性化によって細胞内に生じて、スフィンゴミエリンの分解をもたらす。セラミドは、グルコシルセラミドシンターゼによって非細胞障害性グルコシルセラミドへ代謝され;そしてアルカリ性または酸性セラミダーゼによって細胞障害性スフィンゴシンへと変換される。スフィンゴシンは、更に、スフィンゴシンキナーゼによって抗アポトーシススフィンゴシン−1−ホスフェートへ変換される。本発明者は、これら経路のモジュレーションが、4−HPR(フェンレチニド)などのセラミド生成性レチノイドの細胞障害性を増強する、相乗的にも増強することができるということを下に示している。
【0032】
[0080]本発明を実施するのに用いることができる化合物およびそれらの製剤およびそれらを投与する方式を、下に詳細に記載する。
[0081]1.セラミド生成性レチノイド。
【0033】
[0082]本発明を実施するのに用いることができるセラミド生成性レチノイドまたはレチノイン酸誘導体は、それらが投与される宿主細胞中においてセラミドを生成するものであり、それには、Gander による米国特許第4,190,594号に記載のものが含まれる(本明細書中に引用される全ての特許参考文献の開示は、本明細書中に援用される)。セラミド生成性レチノイドには、全 trans−レチノイン酸(ATRA)およびレチノイン酸誘導体が含まれ、それには、次が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0034】
[0083](A)次の式II:
【0035】
【化2】

【0036】
を有する全−trans−レチノイン酸のエステル。
[0084]式中、Xは、次(式IIIおよび式IV):
【0037】
【化3】

【0038】
から成る群より選択されるメンバーである。
[0085]2−シクロヘキシルエチル;10−カルボメトキシデシル;4−ヒドロキシブチル;コレステリル;混合m−およびp−ビニルベンジル;および4−ブロモベンジル;
[0086](B)次の式V:
【0039】
【化4】

【0040】
を有する全−trans−レチノイン酸のエステル。
[0087]式中、Yは、コレステリルオキシ;フェニル;4−ブロモフェニル;4−メトキシフェニル;4−ニトロフェニル;4−ヒドロキシフェニル;4−メチルフェニル;4−シアノフェニル;4−エトキシフェニル;4−アセトキシフェニル;2−ナフチル;4−ビフェニル;2,5−ジメトキシフェニル;2,4−ジクロロフェニル;2,4−ジメチルフェニル;3,4−ジアセトキシフェニル;3,4,5−トリメトキシフェニル;および2,4,6−トリメチルフェニルから成る群より選択されるメンバーである;および
[0088](C)次の式VI:
【0041】
【化5】

【0042】
を有する全−trans−レチノイン酸のアミド。
[0089]式中、Zは、n−プロピルアミノ;tert−ブチルアミノ;1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ;1−モルホリノ;4−ヒドロキシフェニルアミノ;4−カルボメトキシ−2−ヒドロキシフェニルアミノ;β−(3,4−ジメトキシフェニル)−エチルアミノ;2−ベンゾチアゾリルアミノ;1−イミダゾリル;1−(2−ニコチノイルヒドラゾリル);1−ベンゾトリアゾリル;1−(1,2,4−トリアゾリル)(式VII、式VIIIおよび式IX)
【0043】
【化6】

【0044】
から成る群より選択されるメンバーである。
[0090]特に好ましいのは、フェンレチニドとも称される全−trans−N−(4−ヒドロキシフェニル)レチナミドであり、それは、CAS登録番号65646−68−6を有し且つ構造(式X):
【0045】
【化7】

【0046】
を有する。
[0091]前述の化合物は、既知の技法にしたがって製造することができる。例えば、Gander et al. による米国特許第4,190,594号;Gibbs による米国特許第4,665,098号を参照されたい。
【0047】
[0092]本発明を実施するのに用いることができる追加のレチノイン酸誘導体には、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチナミド−O−グルクロニドのC−グリコシド類似体が含まれる。このような化合物およびそれらの製造は知られており、双方とも Curley et al., による米国特許第5,663,377号および同第5,599,953号に記載され、それらの開示は、本明細書中にそのまま援用される。このような化合物は、一般式(式XI):
【0048】
【化8】

【0049】
を有することができる。
[0093]式中、Rは、COOH、CH.sub.2OHまたはHであり、そしてnは、0または1である。
【0050】
[0094]このような化合物の具体的な例には、4−(レチナミド)フェニル−C−グルクロニド;4−(レチナミド)フェニル−C−グルコシド;4−(レチナミド)フェニル−C−キシロシド;4−(レチナミド)ベンジル−C−グルクロニド;4−(レチナミド)ベンジル−C−グルコシド;4−(レチナミド)ベンジル−C−キシロシド;1−(.beta.−D−グルコピラノシル)レチナミド;および1−(D−グルコピラノシルウロノシル)レチナミドが含まれる。
【0051】
[0095]2.グルコシルセラミド合成阻害剤。
[0096]グリコシルセラミドまたはグリコシル(ジヒドロ)セラミド合成を阻害するいずれかの化合物、特に、グルコシルセラミドシンターゼ阻害剤を用いることができる。このような化合物の例には、式(式XII):
【0052】
【化9】

【0053】
を有する化合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。
[0097]式中、Rは、フェニルなどの芳香環、シクロヘキシル基、または10〜15個の炭素原子を有する脂肪族基(alpiphatic group)であり、R.sub.1は、モルホリノ基などのアミン基であり;そしてnは、4〜18の整数である(それらの官能性同族体、異性体および薬学的に許容しうる塩を含めた)。好ましくは、nは、4、6、8、10、12または14であり、このような化合物のD鏡像異性体が好適である。このような化合物は知られており、例えば、Shayman and Radin による米国特許第5,302,609号;Radin et al. による米国特許第5,041,441号;および Inokuchi et al による米国特許第5,707,649号に開示されている。グルコシルセラミドシンターゼ阻害剤の具体的な例には、nが6〜12である1−フェニル−2−アシルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノール;1−フェニル−2−デカノイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノール(PDMP);および1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノール(PPMP)が含まれる。
【0054】
[0098]3.追加の活性化合物およびスクリーニング。
[0099]追加の活性化合物は、論理的薬物設計技法および/またはランダム薬物設計技法(または組み合わせ化学技法)を含めた既知の技法によって生成することができる。
【0055】
[00100]受容体と相互作用する活性化合物の場合、その相互作用は、安定な三次元分子中の表面に接近可能な部位で起こる。臨界的結合部位残基を適当な立体配座で配置することにより、活性化合物結合領域の本質的表面特性を模擬する化合物を、既知の技法にしたがって設計し且つ合成することができる。活性化合物の結合表面への本質的に同じ分子トポロジーで表面領域を有する分子は、その活性化合物とその対応する受容体との相互作用を模擬することができるであろう。活性化合物の三次元構造を決定するおよびそれらの活性類似体を製造する方法は知られており、論理的薬物設計技法と称される。例えば、Chen による米国特許第5,593,853号;Balaji et al. による米国特許第5,612,895号および同第5,331,573号;Geysen による米国特許第4,833,092号;Nestor による米国特許第4,859,765号;Pantoliano による米国特許第4,853,871号;および Blalock による米国特許第4,863,857号を参照されたい(本明細書中に引用される全ての米国特許参考文献の開示は、本明細書中に援用されるはずである)。
【0056】
[00101]組み合わせ化学(またはランダム薬物設計)技法の場合、候補化合物の大きい組み合わせライブラリーを、その中の活性化合物についてスクリーニングする。本発明を実施するのに用いられるライブラリーは、いろいろなスプリット合成法のいずれかによって作成することができる。目的の有機化合物と一緒に解放可能タグを粒子に取り付けるスプリット合成法は、共合成法としても知られている。いろいろなこのような方法が知られている。例えば、A. Furka et al., J. Pept. Protein Res. 37, 487 (1991); K. Lam et al., Nature 354, 82 (1991); R. Zuckermann et al., Int. J. pept. Protein Res. 40, 498 (1992); F. Sebestyen et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 3, 413 (1993); K. Lam et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 3, 419 (1993) を参照されたい。例えば、ライブラリーは、有機金属化合物のライブラリーであってよく、この場合の化合物は、金属−リガンド複合体である。その複合体中の金属は、高い、低いまたはゼロ酸化状態の初期または後期遷移金属であってよい。その金属は、主要群金属、アルカリ金属、アルカリ土類、ランタニドまたはアクチニドのいずれであってもよい。金属−リガンド複合体中のリガンドは、キラル形またはアキラル形のシクロペンタジエン、アミノエステル、オキサゾリジノン(oxazolidoinones)、ヒドロキシ酸、ヒドロキシエステル、ヒドロキシアミド、ピリジン、縮合ピリジン、窒素複素環、オキサゾール、イミダゾール、ピロール、クラウンエーテル、クリプタンド、カルセランド(carcerands)、ホスフィン、ジホスフィン、ポリホスフィン、キヌクリジン、キニン、アルカロイド、デキストリン、シクロデキストリン、サレン(salens)、ポルフィリン、ビアリール、スルホンアミド、シッフ塩基、メタロセン、モノオール、ジオール、ポリオール、アミン、ジアミン、ポリアミン、アンモニウム塩、ペプチド、タンパク質、核酸等から構成されてよいまたは誘導されてよい。
【0057】
[00102]もう一つの例として、ライブラリーは、キラル形またはアキラル形のシクロペンタジエン、アミノエステル、オキサゾリジノン、ヒドロキシ酸、ヒドロキシエステル、ヒドロキシアミド、ピリジン、縮合ピリジン、窒素複素環、オキサゾール、イミダゾール、ピロール、クラウンエーテル、クリプタンド、カルセランド、ホスフィン、ジホスフィン、ポリホスフィン、キヌクリジン、キニン、アルカロイド、デキストリン、シクロデキストリン、サレン、ポルフィリン、ビアリール、スルホンアミド、シッフ塩基、メタロセン、モノオール、ジオール、ポリオール、アミン、ジアミン、ポリアミン、アンモニウム塩、ペプチド、タンパク質、核酸等が含まれるがこれに制限されるわけではない非金属化合物のライブラリーであってよい。
【0058】
[00103]固体支持体は、互いに隔てられていてよいし、または単一基体の表面部分上の異なった領域であってよく、その表面部分は、複数の異なった領域が界面に位置するように界面に位置していてよい。このような「チップ型」または「ピン型」固体支持体は知られている。例えば、Ellman による米国特許第5,288,514号(ピンに基づく支持体);Fodor et al. による米国特許第5,510,270号(チップに基づく支持体)を参照されたい。現在のところ、別々の異なった支持体(例えば、粒子またはビーズ)が好適である。触媒ライブラリーの合成および異なった固体支持体へのそれらの連結は、米国特許第5,565,324号(その開示は、本明細書中にそのまま援用される)に記載のような既知の技法または当業者に明らかでろうそれらの変法にしたがって行うことができる。
【0059】
[00104]いずれかの手段によって選択される、上記のものが含まれるがこれに制限されるわけではない化合物は、腫瘍細胞(または他の高増殖性細胞)中においてセラミド生成性レチノイドの細胞分裂抑制活性または細胞障害活性を相加的に且つ相乗的に増加させるが、好ましくは、相乗的に増加させることを含めた増加させる場合の活性について、(a)第一対照腫瘍細胞と、一定量のセラミド生成性レチノイド(例えば、これら腫瘍細胞の成長を阻害するのにそれ自体で有効であってよいしまたは有効でなくてよい量)とを接触させ;(b)第二対照腫瘍細胞と、一定量の試験化合物(例えば、これら腫瘍細胞の成長を阻害するのにそれ自体で有効であってよいしまたは有効でなくてよい量)とを接触させ;そして(c)実験腫瘍細胞と、上の工程(a)のセラミド生成性レチノイドのこの量および上の工程(b)の試験化合物のこの量の双方とを接触させ;そして(d)上の工程(a)、(b)および(c)のこれら腫瘍細胞の成長阻害を決定し;そして次に、(e)工程(c)の実験腫瘍細胞における成長阻害または細胞障害活性と、工程(a)および(b)の対照腫瘍細胞の成長阻害とを比較することを含む方法によってスクリーニングすることができ、工程(c)の実験腫瘍細胞において決定される成長阻害の、工程(b)および(c)の対照腫瘍細胞の組み合わせ成長阻害よりも大きい程度は、試験化合物が、セラミド生成性レチノイドの活性を増強するということを示している。
【0060】
[00105]比較工程は、Combination Index を計算することによるなどのいずれか適する手段によって行うことができ、この場合、1未満の値(例えば、0.9未満)は、それら化合物が相乗的であることを示している。神経芽細胞腫、肺、黒色腫、前立腺、白血病、結腸、乳房および膵臓の腫瘍細胞が含まれるがこれに制限されるわけではないいずれの腫瘍細胞も用いることができる。フェンレチニドなどのいずれのセラミド生成性レチノイドも用いることができる。前悪性および非悪性細胞を含めた他の高増殖性細胞は、上の処置条件に関して示されるように、腫瘍細胞の代わりに用いることができる。好ましい態様において、試験化合物は、セラミド分解阻害剤;またはセラミドで生じる細胞障害性の細胞性代謝または細胞性制御を操作する他の物質である。決定する工程は、成長阻害または細胞障害性を一般的に探求することによって、または壊死、アポトーシスまたは双方を具体的に決定することによって行うことができる。その方法は、セラミド分解阻害剤;セラミドで生じる細胞障害性の細胞性代謝または細胞性制御を操作する他の化合物;または本明細書中に記載のものに加えた更に他の機構によって機能する化合物である活性化合物を識別するのに用いることができる。
【0061】
[00106]セラミド生成性レチノイドとの組み合わせで高増殖性疾患を処置する方法において有用であると従来知られていなかった化合物(それらの薬学的に許容しうる塩を含めた)は、本明細書中に記載のセラミド分解阻害剤に加えてまたはその代わりに、本明細書中に記載の方法において製造し、製剤化し、そして用いることができる。スクリーニング用に選択される化合物に依存して、このような化合物は、新規な化合物であってよいし;既知の化合物であってよいが、医学的または薬学的使用について従来知られていなくてよいし;医学的または薬学的使用について従来知られていないが、本明細書中に記載のセラミド生成性レチノイドとの組み合わせでの使用について従来知られていない化合物であってよい。
【0062】
[00107]4.製剤および投与
[00108]上記の活性化合物は、いろいろな状態の処置のために、単一医薬担体中でまたは別々の医薬担体中で投与用に製剤化することができる。本発明による医薬製剤の製造において、それらの生理学的に許容しうる塩を含めた活性化合物またはそれらの酸誘導体は、典型的に、特に許容しうる担体と混合される。その担体は、当然ながら、製剤中のいずれか他の成分と相溶性であるという意味で許容しうる必要があるし、そして患者に有害でない必要がある。担体は、固体または液体または双方であってよく、そして好ましくは、化合物と一緒に、0.5重量%〜95重量%の活性化合物を含有してよい単位用量製剤、例えば、錠剤として製剤化される。一つまたはそれを超える活性化合物は、本発明の製剤中に包含されてよく、それは、一つまたはそれを超える補助成分を包含してよいそれら成分を混合することから本質的に成るいずれか周知の調剤技法によって製造することができる。
【0063】
[00109]本発明の製剤には、経口、直腸、局所、口腔内(例えば、舌下)、膣内、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内または静脈内)、局所(すなわち、気道表面を含めた皮膚および粘膜双方の表面)および経皮投与に適するものが含まれるが、いずれか与えられた場合の最も適する経路は、処置されている状態の性状および重症度、および用いられている具体的な活性化合物の性状に依存するであろう。
【0064】
[00110]経口投与に適する製剤は、所定量の活性化合物を各々含有するカプセル剤、カシェ剤、ロゼンジまたは錠剤などの個々別々の単位で;散剤または顆粒剤として;水性または非水性液中の液剤または懸濁剤として;または水中油または油中水エマルジョンとして与えることができる。このような製剤は、活性化合物および適する担体(上記の一つまたはそれを超える補助成分を含有してよい)を会合させる工程を包含するいずれか適する調剤方法によって製造することができる。概して、本発明の製剤は、活性化合物を、液体または微粉固体の担体または双方と一様に且つ十分に混合後、必要ならば、得られた混合物を造形することによって製造する。例えば、錠剤は、活性化合物を、場合により、一つまたはそれを超える補助成分と一緒に含有する粉末または顆粒を圧縮するまたは成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、適する機械において、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、および/または一つまたは複数の界面活性剤/分散助剤と混合されていてよい粉末または顆粒などのさらさらした形の化合物を圧縮することによって製造することができる。成形錠剤は、適する機械において、不活性液状結合剤で湿潤した粉末化合物を成形することによって製造することができる。
【0065】
[00111]口腔内(舌下)投与に適する製剤には、着香基剤、通常は、スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント中に活性化合物を含むロゼンジ;およびゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中に化合物を含むパステル剤が含まれる。
【0066】
[00112]非経口または膣内投与に適する本発明の製剤は、好都合には、活性化合物の滅菌水性調製剤を含み、それら調製剤は、好ましくは、予定のレシピエントの血液と等張である。これら調製剤は、皮下、静脈内、筋肉内または皮内注射によって投与することができる。このような調製剤は、好都合には、化合物を水またはグリシン緩衝液と混合し、そして得られた溶液を無菌に且つ血液と等張にすることによって製造することができる。
【0067】
[00113]直腸投与に適する製剤は、好ましくは、単位用量坐剤として与えられる。これらは、活性化合物を、一つまたはそれを超える慣用的な固体担体、例えば、カカオ脂と混合後、得られた混合物を造形するによって製造することができる。
【0068】
[00114]皮膚への局所適用に適する製剤は、好ましくは、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、ゲル剤、噴霧剤、エアゾル剤または油剤の形をとる。用いることができる担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮増強剤、および二つまたはそれを超えるそれらの組み合わせが含まれる。
【0069】
[00115]経皮投与に適する製剤は、レシピエントの表皮と長時間密に接触した状態にあるように適合した個々別々のパッチとして与えることができる。経皮投与に適する製剤は、更に、イオン導入(例えば、Pharmaceutical Research 3 (6):318 (1986) を参照されたい)によって送達することができ、そして典型的には、活性化合物の緩衝化されていてよい水溶液の形をとる。適する製剤は、クエン酸またはビストリス緩衝液(pH6)またはエタノール/水を含み且つ0.1〜0.2M活性成分を含有する。
【0070】
[00116]上述のように、本発明は、経口、直腸、局所、口腔内、非経口、筋肉内、皮内または静脈内および経皮投与のための薬学的に許容しうる担体中に活性化合物(それらの薬学的に許容しうる塩を含めた)を含む医薬製剤を提供する。
【0071】
[00117]いずれか一つの活性剤の治療的有効投薬量、すなわち、本発明の範囲内であるその使用は、化合物毎に、患者毎に多少変動するであろうし、しかも患者の状態および送達経路などの因子に依存するであろう。このような投薬量は、当業者に知られている常套の薬理学的手順にしたがって、具体的には、本明細書中に与えられている開示に照らして決定することができる。
【0072】
[00118]フェンレチニドについて、全身処置には、約1、2または3μM(mu. M)〜10または20μMの血漿レベルに達する用量が用いられるであろう;典型的には、(経口投与用に)1日につき50または100〜500または1000、2000または3000mg/m.sup.2体表面積。
【0073】
[00119]本発明を、次の非制限一般実施例の後、より具体的な実施例に一層詳細に説明する。
【実施例】
【0074】
実施例A1〜A26
[00120]細胞障害性検定:細胞系における細胞障害性は、ディジタル画像化顕微鏡検査(DIMSCAN)(Fragala, et al, Mol Cancer Ther, 6:886-897, 2007 にしたがう)を用いた、蛍光に基づく検定を用いて決定した。DIMSCANは、フルオレセインジアセテートを選択的に蓄積する生存可能細胞を定量し、そしてディジタル閾値およびエオシンY消光を用いてバックグラウンド蛍光を排除後に(生存可能なクローン産生性細胞に比例する)ウェル当たりの全蛍光を定量化することによって、細胞障害性を4〜5log動的範囲にわたって測定することが可能である。簡単にいうと、細胞系を、96ウェルプレート中に、1ウェルにつき100Lの完全培地(10〜20%血清)中で播種した。細胞を、2%、5%または20%酸素(室内空気)中において一晩インキュベート後、50L容量の完全培地中のいろいろな最終薬物濃度への薬物を、1濃度につき12ウェルの反復試験で加えた。D−threo−PPMPを用いた検定において、PPMPは、各々のウェル中に10μMの一定の最小毒性最終濃度で用いた。対照ウェルには、薬物被処置ウェルの最大最終エタノール濃度と同等の完全培地中のエタノール(最終濃度=0.12%〜0.20%)を入れた。プレートを、いろいろな酸素濃度でインキュベートして、生理学的低酸素(すなわち、2%酸素=典型的な充実性腫瘍酸素レベル;5%=白血病の骨髄酸素レベル;20%室内空気=典型的な実験室培養条件との比較のための超生理学的酸素)を模擬した。プレートを、各々の細胞系の成長性に依存して、薬物暴露開始後3〜4日目に検定して、最大細胞死および生存している細胞の成長物を考慮した。細胞障害性を測定するために、FDA(DMSO中の1mg/mlの原液)を、1ウェルにつき50Lの完全培地中で10g/mlの最終濃度へと加えた。それらプレートを、37Cで更に15〜30分間インキュベート後、1ウェルにつき30LのエオシンY(規定食塩水中0.5%)を加えた。次に、各々のウェルの全蛍光を、ディジタル画像化顕微鏡検査を用いて測定した。
【0075】
[00121]図1〜26は、請求の範囲に記載の発明の作用(実施例A1〜A26)を示しているが、本明細書中に開示の手順を用いて行った。
[00122]図1は、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C17−L−threo−スフィンガニンは、薬物耐性CHLA−90神経芽細胞腫癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00123]図2は、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C17−L−threo−スフィンガニンは、2%酸素中のCHLA−266脳癌(PNET)細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00124]図3は、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C17−L−threo−スフィンガニンは、GBM2グリア芽細胞腫脳癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00125]図4は、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C17−L−threo−スフィンガニンは、2%酸素中のHT−29結腸癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00126]図5は、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C17−L−threo−スフィンガニンは、5%酸素中のCOG−LL−317 Acute Lymphoblastic Leukemia(ALL)癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00127]図6は、フェンレチニドとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C17−L−threo−スフィンガニンは、MOLT−4ALL白血病細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00128]図7は、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C19−L−threo−スフィンガニンは、薬物耐性CHLA−90神経芽細胞腫癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00129]図8は、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C19−L−threo−スフィンガニンは、2%酸素中のCHLA−266脳癌(PNET)細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00130]図9は、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C19−L−threo−スフィンガニンは、GBM2グリア芽細胞腫脳癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00131]図10は、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C19−L−threo−スフィンガニンは、HT−29結腸癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00132]図11は、フェンレチニドとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C19−L−threo−スフィンガニンは、5%酸素中のCOG−LL−317ALL白血病細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00133]図12は、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C20−L−threo−スフィンガニンは、薬物耐性CHLA−90神経芽細胞腫細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00134]図13は、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C20−L−threo−スフィンガニンは、2%酸素中のCHLA−266脳癌(PNET)細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00135]図14は、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C20−L−threo−スフィンガニンは、GBM2グリア芽細胞腫脳癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00136]図15は、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C20−L−threo−スフィンガニンは、HT−29結腸癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00137]図16は、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C20−L−threo−スフィンガニンは、2%酸素中のMCF−7/ADR(OVCAR−8/ADR)卵巣癌細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00138]図17は、フェンレチニドとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。Chou, et al. の Combination Index Method で評価した相乗作用。C20−L−threo−スフィンガニンは、5%酸素中のCOG−LL−317ALL細胞系において一つまたはそれを超える用量でフェンレチニド細胞障害性に相乗作用を示した(C.I.<1);
[00139]図18は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、2%酸素中のGBM2脳癌細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1);
[00140]図19は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、2%酸素中のGBM2脳癌細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1);
[00141]図20は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、2%酸素中のGBM2脳癌細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1);
[00142]図21は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、20%酸素中のHT−29結腸癌細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1);
[00143]図22は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、20%酸素中のHT−29結腸癌細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1);
[00144]図23は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、2%酸素中のHT−29結腸癌細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1);
[00145]図24は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC17−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、2%酸素中のMOLT−4ALL白血病細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1);
[00146]図25は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC19−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、2%酸素中のMOLT−4ALL白血病細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1);
[00147]図26は、フェンレチニドおよびD−threo−PPMPとの組み合わせでのC20−L−threo−スフィンガニンの用量反応である。DimScan 方法により、+96時間に検定。三薬物組み合わせには、グルコシルセラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリンシンターゼの阻害剤である一定の最小毒性濃度のD−threo−PPMP(10uM)を用いた。PPMPは、Chou, et al. の Combination Index Analysis Method により、2%酸素中のMOLT−4ALL白血病細胞系において大部分の用量でフェンレチニド+L−threo−スフィンガニンの細胞障害性を相乗的に増加させた(C.I.<1)。
【0076】
実施例B1〜B21
[00148]細胞障害性検定−再度、細胞障害性を、DIMSCAN検定システム(R. Proffitt et al., Cytometry 24, 204-213 (1996); T. Frgala et al., Mol Cancer Ther. 6:886-97, 2007)を用いて決定する。そのシステムは、ディジタル画像化顕微鏡検査を用いて、フルオレセインジアセテートを選択的に蓄積して鮮明な蛍光色になる生存可能細胞を定量する。そのシステムは、死亡細胞および瀕死の細胞の残留蛍光をエオシンYで消光し且つ生存可能細胞の全蛍光をディジタル閾値を用いて定量化することによって、細胞障害性を4〜5log動的範囲にわたって測定することが可能である。測定される蛍光は、生存可能細胞の数に正比例する。薬物被処置細胞集団の全蛍光対同様の数の未処置細胞の蛍光の比較は、生存率を生じる。簡単にいうと、2000〜10,000個/ウェルの細胞(サイズおよび成長速度に依存して)を、96ウェル組織培養プレートの60ウェル中に、0.1mLの全培地中で反復プレーティングし、一晩付着させる。次に、一つまたは複数の薬物を、0.05mLの全培地中で指定の最終濃度へと加える。薬物(フェンレチニドおよびいろいろな鎖長さL−threo−スフィンガニン)は、単一物質としても、3:1比率のフェンレチニド:スフィンガニン中でも調べた。C18−L−threo−スフィンガニンまたは「サフィンゴール」も調べ、結果を参考のために示した。1薬物濃度につき被処置12ウェルである。12ウェルには、薬物ビヒクルのみを適当な最終濃度へと入れ、それらをそのプレートの対照とする。細胞を、5%COを含む周囲空気中において37℃で96時間インキュベートする。次に、フルオレセインジアセテートを、各々のウェルに0.05mL培地中で8マイクログラム/mLの最終濃度へと加える。細胞を、37℃で更に15分間インキュベートし、そして0.03mLの0.5%エオシンYを、各々のウェルに加える。次に、生存可能細胞の全蛍光を、ディジタル画像化顕微鏡検査によって測定する。結果を、薬物被処置ウェル対非薬物被処置対照ウェルの蛍光(fluoresecence)比率(すなわち、生存率)としてグラフに示した。試験は全て、少なくとも2回行った。代表的な結果を示している。
【0077】
[00149]実施例は、更に、フェンレチニドで調べたL−threo−スフィンガニンの薬物相乗作用の尺度として、CalcuSyn バージョン2.0ソフトウェアBIOSOFT(登録商標),Cambridge, UK,(Chou-Talalay “dose-effect” analysis, Trends Pharmacol. Sci. 4, 450-454, 1983, Chou, Cancer Res; 70:440-446, 2010)を用いて計算した Combination Index(CI)が入っている表を示す。その Combination Index(CI)は、基本の組み合わせでの二つの薬物の細胞障害性(細胞死)への薬理作用の数学的モデル作成を記載する用語である。細胞障害性「相乗作用」は、単一物質細胞障害性の簡単な製品単独から期待されると考えられる(すなわち、「相加的」作用)よりも大きい細胞死影響(cell death affect)として定義される。Chou-Talalay 分析により、影響率(Fraction Affected)(「F」、すなわち、死滅した細胞の割合)についてのCI<0.9は、より少ない数でより大きい相乗作用を示している相乗作用を示す;0.9〜1.1のCIは、相加的または近相加的作用を意味する;そしてCI>1.1は、薬物組み合わせが拮抗的であることを意味する。
【0078】
[00150]マルチログ(multi-log)細胞障害性が、p53ヌルまたは突然変異体であった細胞系において、およびアルキル化剤に極めて耐性である細胞系において達せられたということは注目に値する。
【0079】
[00151]結果は、全てが、全てのヒト癌細胞系において等しく活性であるわけではないが、非C18−L−threo−スフィンガニンは全て、充実性および造血性双方の癌および成人および小児の癌を含めた広範囲のヒト癌細胞タイプにおいて、フェンレチニド細胞障害性を相加的にかまたは相乗的に増加させることができるということを示している。
【0080】
実施例B1
[00152]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、正常ヒト線維芽細胞(正常皮膚細胞)細胞系CRL−2091およびCRL−2076において調べた。結果は、L−threo−スフィンガニンおよびフェンレチニド組み合わせが、正常ヒト細胞において最小限に細胞障害性であるということを示している。それら結果をプロットしている図27A〜27Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表1.1および表1.2に報告する。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
実施例B2
[00153]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)(血液および骨髄の癌)細胞系RPMI−8226において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図28A〜28Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表2.1に報告する。
【0084】
【表3】

【0085】
実施例B3
[00154]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト Multiple Myeloma(血液および骨髄の癌)細胞系U−266において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図29A〜29Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表3.1に報告する。
【0086】
【表4】

【0087】
実施例B4
[00155]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト多形性グリア芽細胞腫(Glioblastoma multiforme)(脳癌)細胞系A−172において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図30A〜30Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表4.1に報告する。
【0088】
【表5】

【0089】
実施例B5
[00156]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系U−118において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図31A〜31Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表5.1に報告する。
【0090】
【表6】

【0091】
実施例B6
[00157]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系T98Gにおいて調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図32A〜32Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表6.1に報告する。
【0092】
【表7】

【0093】
実施例B7
[00158]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト多形性 Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−GBM2において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図33A〜33Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表7.1に報告する。
【0094】
【表8】

【0095】
実施例B8
[00159]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト Glioblastoma(脳癌)細胞系SJ−G2において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図34A〜34Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表8.1に報告する。
【0096】
【表9】

【0097】
実施例B9
[00160]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)(脳癌)細胞系CHLA−266において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図35Aおよび35Bに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表9.1に報告する。
【0098】
【表10】

【0099】
実施例B10
[00161]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト結腸直腸腺癌(結腸癌)細胞系HT−29において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図36A〜36Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表10.1に報告する。
【0100】
【表11】

【0101】
実施例B11
[00162]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト黒色腫(皮膚癌)細胞系A−2058において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図37A〜37Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表11.1に報告する。
【0102】
【表12】

【0103】
実施例B12
[00163]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト肺腺癌(肺癌)細胞系NCI−H−1792において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図38A〜38Bに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表12.1に報告する。
【0104】
【表13】

【0105】
実施例B13
[00164]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト肺腺癌(肺癌)細胞系A−549において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図39A〜39Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表13.1に報告する。
【0106】
【表14】

【0107】
実施例B14
[00165]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト乳房腺癌(乳癌)細胞系MCF−7およびMDA−MB−231において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図40A〜40Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表14.1および表14.2に報告する。
【0108】
【表15】

【0109】
【表16】

【0110】
実施例B15
[00166]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト卵巣腺癌(卵巣癌)細胞系OVCAR−8において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図41A〜41Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表15.1に報告する。
【0111】
【表17】

【0112】
実施例B16
[00167]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト前立腺腺癌(前立腺癌)細胞系LNCaPにおいて調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図42A〜42Bに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表16.1に報告する。
【0113】
【表18】

【0114】
実施例B17
[00168]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト前立腺腺癌(前立腺癌)細胞系PC−3において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図43A〜43Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表17.1に報告する。
【0115】
【表19】

【0116】
実施例B18
[00169]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト膵臓腺癌(膵臓癌)細胞系PANC−1において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図44A〜44Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表18.1に報告する。
【0117】
【表20】

【0118】
実施例B19
[00170]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト食道腺癌(食道癌)細胞系OE−19およびOE−33において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図45A〜45Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表19.1および表19.2に報告する。
【0119】
【表21】

【0120】
【表22】

【0121】
実施例B20
[00171]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト急性リンパ芽球性白血病(小児ALL、血液癌)細胞系COG−LL−317およびMOLT−4において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図46A〜46Dに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表20.1および表20.2に報告する。
【0122】
【表23】

【0123】
【表24】

【0124】
実施例B21
[00172]フェンレチニドおよびL−threo−スフィンガニンを、ヒト小児神経芽細胞腫(神経関連の充実性腫瘍癌)細胞系CHLA−90において調べた。結果は、少なくとも若干のL−threo−スフィンガニンが、フェンレチニド細胞障害性を、調べた薬物濃度に依存して相加的にまたは相乗的に増加させたということを示している。それら結果をプロットしている図47A〜47Bに示されたグラフを参照するが、それら結果を、下の表21.1に報告する。
【0125】
【表25】

【0126】
[00173]前述のことは、本発明を詳しく説明するものであり、それを制限すると解釈されるべきではない。本発明は、請求の範囲によって、そこに包含される請求の範囲の均等物で定義される。
【0127】
[00174]本発明の理解を容易にするために、多数の用語を下に定義することができる。本明細書中に定義の用語は、本発明に関係のある分野の業者によって一般的に理解される意味を有する。「ある」および「その」などの用語は、単一物質だけを意味するものではなく、例示のために具体例を用いることができる一般的なクラスを包含する。本明細書中の専門用語は、本発明の具体的な態様を記載するのに用いられるが、それらの使用は、請求の範囲に概説することができる以外は、開示されている方法に限界を定めることはない。
【0128】
[00175]本明細書中に記載の具体的な態様が、詳しく説明するために示され、本発明の制限として示されていないということは理解されるであろう。本発明の主な特徴は、いろいろな態様において、本発明の範囲から逸脱することなく用いることができる。当業者は、常套実験だけを用いて、本明細書中の手順への多数の均等物を理解するであろうまたは確かめることができるであろう。このような均等物は、本発明の範囲内であると考えられ、そして請求の範囲によって包含される。
【0129】
[00176]本明細書中に挙げられている公報および特許出願は全て、本発明が関する当業者のレベルを示すものである。公報および特許出願は全て、個々の公報または特許出願が各々、具体的に且つ個々に援用されると示された場合と同程度に、本明細書中に援用される。
【0130】
[00177]請求の範囲において、「を含む」、「を包含する」、「を支持する」、「を有する」、「を含有する」、「を伴う」等などの変換句は全て、はっきりした制限がない、すなわち、が含まれるがそれに制限されるわけではないを意味すると理解されるはずである。「から成る」および「から本質的に成る」という変換句のみが、それぞれ、限定または半限定変換句となる。
【0131】
[00178]本明細書中に開示の且つ請求の範囲に記載の組成物および方法は全て、過度の実験を伴うことなく、本開示に照らして製造し且つ実行することができる。本発明の組成物および方法を、好ましい態様に関して記載してきたが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載の装置および/または方法に、および方法の工程または工程の配列順序において変更を加えることができるということは当業者に明らかであろう。
【0132】
[00179]より具体的には、形状および材料双方が関連している特定の成分を、本明細書に記載の成分の代わりに置き換えることができ、同じまたは類似の結果を達成すると考えられるということは明らかであろう。当業者に明らかなこのような類似の代替物および修飾は全て、請求の範囲によって定義されるような発明の精神、範囲および概念の範囲内であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非18炭素鎖長さL−threo−スフィンガニンおよびそれらの薬学的塩。
【請求項2】
高増殖性障害の処置を必要としている対象の高増殖性障害を処置する方法であって、該対象に、処置有効量の
(a)セラミド増加性レチノイドまたはその薬学的に許容しうる塩;および
(b)一つまたは複数の非18炭素鎖長さL−threo−スフィンガニンまたはそれらの薬学的に許容しうる塩
を組み合わせで投与することを含む方法。
【請求項3】
前記セラミド増加性レチノイドが、フェンレチニド(フェンレチニド)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記一つまたは複数のL−threo−スフィンガニンが、17炭素、19炭素または20炭素の炭素鎖長さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記高増殖性障害が、癌である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
高増殖性障害の処置を必要としている対象の高増殖性障害を処置する方法であって、該対象に、処置有効量の
(a)セラミド増加性レチノイドまたはその薬学的に許容しうる塩;および
(b)少なくとも一つの化合物であって、(i)一つまたは複数の非18炭素鎖長さL−threo−スフィンガニンまたはそれらの薬学的に許容しうる塩、および(ii)グルコシルセラミドまたはグルコシル(ジヒドロ)セラミド合成阻害剤から成る各々の群より選択される化合物
を組み合わせで投与することを含む方法。
【請求項7】
前記セラミド生成性レチノイドが、フェンレチニドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一つまたは複数のL−threo−スフィンガニンが、17炭素、19炭素または20炭素の炭素鎖長さを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記グルコシルセラミドまたはグルコシル(ジヒドロ)セラミド合成阻害剤が、1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノールである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記グルコシルセラミドまたはグルコシル(ジヒドロ)セラミド合成阻害剤が、D−threo−1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノールである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記高増殖性障害が、癌である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
高増殖性障害の処置を必要としている対象の高増殖性障害を処置する方法であって、該対象に、処置有効量の
(a)セラミド増加性レチノイドまたはその薬学的に許容しうる塩;および
(b)少なくとも一つの化合物であって、(i)一つまたは複数の非18炭素鎖長さL−threo−スフィンガニンまたはそれらの薬学的に許容しうる塩、および(ii)一つまたは複数のスフィンゴミエリンまたは(ジヒドロ)スフィンゴミエリン合成阻害剤から成る各々の群より選択される化合物
を組み合わせで投与することを含む方法。
【請求項13】
前記セラミド生成性レチノイドが、フェンレチニドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記一つまたは複数のL−threo−スフィンガニンが、17炭素、19炭素または20炭素の炭素鎖長さから成る、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記一つまたは複数のスフィンゴミエリンまたは(ジヒドロ)スフィンゴミエリン合成阻害剤が、D−threo−1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノールである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記高増殖性障害が、癌である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
一つまたは複数のL−threo−スフィンガニンが、L−threo−C20−スフィンガニン=L−threo−イコサスフィンガニン=L−threo−エイコサスフィンガニン=L−threo−2−アミノ−1,3−イコサンジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−イコサンジオール=L−threo−2−アミノ−1,3−エイコセジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−エイコセジオール=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−ジヒドロキシエイコサン=(2S,3S)−2−アミノ−1,3−ジヒドロキシエイコサンを包含し、そして高増殖性障害が、脳癌である、請求項2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図29D】
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【図30A】
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【図30B】
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【図30C】
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【図30D】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図31D】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図32D】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図33D】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【図34D】
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【図35A】
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【図35B】
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【図36A】
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【図36B】
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【図36C】
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【図36D】
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【図37A】
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【図37B】
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【図37C】
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【図37D】
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【図38A】
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【図38B】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図39D】
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【図40A】
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【図40B】
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【図40C】
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【図40D】
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【図41A】
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【図41B】
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【図41C】
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【図41D】
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【図42A】
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【図42B】
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【図43A】
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【図43B】
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【図43C】
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【図43D】
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【図44A】
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【図44B】
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【図44C】
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【図44D】
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【図45A】
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【図45B】
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【図45C】
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【図45D】
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【図46A】
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【図46B】
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【図46C】
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【図46D】
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【図47A】
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【図47B】
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【公表番号】特表2013−510878(P2013−510878A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539046(P2012−539046)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056626
【国際公開番号】WO2011/060332
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500480012)テキサス テック ユニバーシティー (3)
【Fターム(参考)】