説明

高所作業車の過積載防止装置

【課題】作業台の過積載状態において正常に警報作動が発せられるか否かの点検を簡便に行うことができるようにする。
【解決手段】供給電流検出器62により検出された電動モータMへの供給電流Imが電動モータMへの許容供給電流Imを超えた状態となっているとき、作業台30が過積載状態になっているとの判断を行う過積載判断手段(コントローラ50の過積載判断部54)を備えるほか、作業台固定パイプFPにより作業台30を所定の昇降高さ位置に固定した状態で昇降シリンダ操作レバー43による昇降シリンダ18の伸長作動入力を行い、過積載判断手段により作業台が過積載状態となっていると判断されたときに、供給電流検出器62により検出された電動モータMへの供給電流Iを電動モータMへの許容供給電流Imと比較可能な状態で表示する表示装置72を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行体に設けられたシザースリンク機構を油圧シリンダにより上下方向に伸縮作動させて作業台を昇降移動させる構成の高所作業車の過積載防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行体に設けられたシザースリンク機構の上下方向の伸縮作動により作業台を垂直昇降させる構成の高所作業車は従来知られており、シザースリンク機構は油圧シリンダによって伸縮作動されるようになっている。油圧シリンダは油圧ポンプからの圧油を制御することによって作動させることができ、油圧ポンプは電動モータやエンジン等によって駆動されるが、屋内で用いられる小型の高所作業車では、電動モータにより油圧ポンプが駆動されるものが多い。このような高所作業車には、作業台の積載荷重が過大になって垂直昇降機構或いは油圧シリンダの駆動回路が破損しないようにするための過積載防止装置が備えられており、作業台の積載荷重が許容される最大積載荷重を超えて過積載になったと判断されたときには作業者にブザーやランプ等による警報が発せられるほか、作業台の昇降移動が規制されるようになっている。過積載防止装置における作業台の昇降移動が規制される仕組みは、油圧シリンダの圧力が過積載状態に対応する値に達したことが圧力スイッチにより検出されたときに、リリーフバルブが電磁駆動されて回路内の圧油が逃がされるものであり(例えば、下記の特許文献1参照)、構成が簡単であるとともに、リリーフ圧を変化させることによって作業台に許容される最大積載荷重を容易に変えることができるという利点がある。
【0003】
ところで、上記高所作業車における油圧シリンダは走行体に対して垂直に設けることはできず、走行体に対して斜めに傾斜した状態で設けざるを得ないため、油圧シリンダの作動圧(油圧シリンダを作動させるための圧力)は油圧シリンダの伸縮長さ(すなわち作業台の昇降高さ)によって変動し、油圧シリンダの作動圧は油圧シリンダが全縮又は全伸付近にあるときには高く、両者の中間部では低くなる傾向にある。このため、油圧シリンダの全縮又は全伸付近で過積載規制が働くようにしていても、作業台を格納位置(このとき油圧シリンダはほぼ全縮状態にある)から或る程度上昇させた位置において作業台に積載を行った場合には、実際には過積載状態にあるにも拘らず作業台の昇降移動が可能となるという不都合が生じる。このような不都合を解消するため、油圧シリンダの中間伸張状態における作動圧を基準にリリーフ圧を設定することも可能であるが、この場合には油圧シリンダの全縮及び全伸付近のみで作業を行う場合の許容荷重が小さくなり過ぎてしまい、作業効率を低下させてしまうことになる。また、作業台の昇降高さを複数の領域に分けて作業台がどの領域にあるかを検出器(例えばシザースリンクの姿勢に応じてオンオフされる複数のリミットスイッチの組み合わせ)により検出するとともに、それぞれの領域において異なるリリーフ圧を設定するようにした技術が知られており(例えば、下記の特許文献1参照)、この技術によれば、油圧シリンダの作動圧が低くなる領域では油圧シリンダの作動圧が高くなる領域よりも小さいリリーフ圧を設定することにより、油圧シリンダの作動圧が低くなる領域においても過積載の状態を検出することが可能となる。
【特許文献1】特開2000−72395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の過積載防止装置では、作業台の過積載状態が正しく判断されるか否かの作動点検を行うときには、作業台に荷物や錘等を実際に積載して過積載状態を作り出す必要があり、多くの時間と労力とを要していた。また、上記従来の過積載防止装置では、分割した領域ごとにしか異なるリリーフ圧を設定することができないため、分割領域数が少ないときには、作業台の昇降高さに応じた過積載判断は大雑把なものとならざるを得なかった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、作業台の過積載状態が正しく判断されるか否かの作動点検を簡便に行うことが可能な構成の高所作業車の過積載防止装置を提供することを目的としている。更に本発明は、作業台の昇降高さの連続的な変化に応じたきめ細かな過積載判断をし得る構成の高所作業車の過積載防止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る高所作業車の過積載防止装置は、走行体と、走行体に設けられたシザースリンク機構と、シザースリンク機構に支持された作業台と、シザースリンク機構を上下方向に伸縮作動させて作業台を昇降移動させる油圧シリンダ(例えば、実施形態における昇降シリンダ18)と、油圧シリンダの作動操作を行う油圧シリンダ操作手段(例えば、実施形態における昇降シリンダ操作レバー43)とを備えて構成される高所作業車の過積載防止装置であって、油圧シリンダの負荷を検出する負荷検出手段(例えば、実施形態における供給電流検出器62)と、負荷検出手段により検出された油圧シリンダの負荷が油圧シリンダの許容負荷を超えた状態となっているとき、作業台が過積載状態になっているとの判断を行う過積載判断手段(例えば、実施形態におけるコントローラ50の過積載判断部54)とを備え、更に、作業台を所定の昇降高さ位置に固定することが可能な作業台固定手段(例えば、実施形態における作業台固定パイプFP)により作業台を所定の昇降高さ位置に固定した状態で油圧シリンダ操作手段による油圧シリンダの伸長作動入力が行われ、過積載判断手段により作業台が過積載状態となっていると判断されたときに、負荷検出手段により検出された油圧シリンダの負荷を油圧シリンダの許容負荷と比較可能な状態で表示する表示手段(例えば、実施形態における表示装置72)を具備する。なお、上記「比較可能な状態で」とは、検出された油圧シリンダの負荷と作業台の所定の昇降高さ位置に対応して設定された油圧シリンダの許容負荷との大小関係が容易に分かる状態で、という意味である。
【0007】
ここで、上記高所作業車の過積載防止装置においては、作業台の昇降高さを検出する昇降高さ検出手段(例えば、実施形態における昇降高さ検出器61)を備え、油圧シリンダの許容負荷は、昇降高さ検出手段により検出された作業台の昇降高さに応じて設定されるようになっており、過積載判断手段は、負荷検出手段により検出された油圧シリンダの負荷が昇降高さ検出手段により検出された作業台の昇降高さに応じて設定された油圧シリンダの許容負荷を超えたとき、作業台が過積載状態となっているとの判断を行うようになっていることが好ましい。
【0008】
更に、上記高所作業車の過積載防止装置においては、油圧シリンダに圧油を供給する油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動する電動モータとを備え、負荷検出手段は油圧シリンダの負荷を電動モータへの供給電流として検出し、油圧シリンダの許容負荷は電動モータへの許容供給電流として定められており、過積載判断手段は、負荷検出手段により検出された電動モータへの供給電流と電動モータへの許容供給電流とを比較し、負荷検出手段により検出された電動モータへの供給電流が電動モータへの許容供給電流を上回ったときに作業台が過積載状態になっているとの判断を行うようになっていることが好ましい。
【0009】
また、上記高所作業車の過積載防止装置においては、作業台の昇降高さと電動モータへの許容供給電流との関係は電動モータの駆動電圧(或いは電動モータを駆動する電源の電圧)ごとに定められており、電動モータの駆動電圧を検出する駆動電圧検出手段(例えば、実施形態における駆動電圧検出器63)を備え、電動モータへの許容供給電流は、昇降高さ検出手段により検出された作業台の昇降高さ及び駆動電圧検出手段により検出された電動モータの駆動電圧(電源電圧)に応じて設定されるようになっていることが好ましい。
【0010】
また、上記高所作業車の過積載防止装置においては、作業台の昇降高さと電動モータへの許容供給電流との関係は高所作業車が作業を行うエリアとして予め設定した作業エリアごとに定められており、予め定められた複数の作業エリアから1つの作業エリアを指定する作業エリア指定手段(例えば、実施形態における作業エリア指定スイッチ44)を備え、電動モータへの許容供給電流は、昇降高さ検出手段により検出された作業台の昇降高さ及び作業エリア指定手段により指定された作業エリアに応じて設定されるようになっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る高所作業車の過積載防止装置によれば、作業台固定手段により作業台を所定の昇降高さ位置に固定した状態で油圧シリンダの伸長作動入力を行い、その後過積載判断手段により作業台が過積載状態にあるとの判断が行われたときに、表示手段に表示される油圧シリンダの負荷(負荷検出手段により検出された油圧シリンダの負荷)と油圧シリンダの許容負荷(作業台の上記所定の昇降高さに対応して設定された油圧シリンダの許容負荷)との比較を行うだけで、過積載判断手段が正しい過積載判断を行ったか否かの確認を行うことができるので、作業台に荷物や錘等を実際に積載して過積載状態を作り出す必要がなく、簡便に作動点検を行うことが可能である。
【0012】
ここで、作業台の昇降高さを検出する昇降高さ検出手段を備え、油圧シリンダの許容負荷は、昇降高さ検出手段により検出された作業台の昇降高さに応じて設定されるようになっており、過積載判断手段は、負荷検出手段により検出された油圧シリンダの負荷が昇降高さ検出手段により検出された作業台の昇降高さに応じて設定された油圧シリンダの許容負荷を超えたとき、作業台が過積載状態となっているとの判断を行うようになっているのであれば、油圧シリンダの許容負荷が作業台の昇降高さに応じて変化する場合においても確実な過積載防止機能を発揮することが可能となる。
【0013】
更に、油圧シリンダに圧油を供給する油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動する電動モータとを備え、負荷検出手段は油圧シリンダの負荷を電動モータへの供給電流として検出し、油圧シリンダの許容負荷は電動モータへの許容供給電流として定められており、過積載判断手段は、負荷検出手段により検出された電動モータへの供給電流と電動モータへの許容供給電流とを比較し、負荷検出手段により検出された電動モータへの供給電流が電動モータへの許容供給電流を上回ったときに作業台が過積載状態になっているとの判断を行うようになっているのであれば、連続的に変化する油圧シリンダの負荷を簡単な構成でモニターすることができるようになるので、精度の良い過積載判断が可能となる。なお、電動モータへの供給電流が正しく検出されているか否かの点検は、上述の過積載防止装置の作動点検と同時に行うことができる。
【0014】
また、作業台の昇降高さと電動モータへの許容供給電流との関係は電動モータの駆動電圧ごとに定められており、電動モータの駆動電圧を検出する駆動電圧検出手段を備え、電動モータへの許容供給電流は、昇降高さ検出手段により検出された作業台の昇降高さ及び駆動電圧検出手段により検出された電動モータの駆動電圧に応じて設定されるようになっているのであれば、作業台の昇降高さのみならず、電動モータの駆動電圧にも応じた適切な過積載判断をすることが可能となる。
【0015】
また、作業台の昇降高さと電動モータへの許容供給電流との関係は高所作業車が作業を行うエリアとして予め設定した作業エリアごとに定められており、予め定められた複数の作業エリアから1つの作業エリアを指定する作業エリア指定手段を備え、電動モータへの許容供給電流は、昇降高さ検出手段により検出された作業台の昇降高さ及び作業エリア指定手段により指定された作業エリアに応じて設定されるようになっているのであれば、作業台の昇降高さのみならず、作業エリアにも応じた適切な過積載判断をすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図2は本発明の一実施形態に係る過積載防止装置を備えた垂直昇降式の高所作業車1を示している。この高所作業車1は左右のクローラ装置11,12を備えた走行体10と、走行体10の上部に設けられたシザースリンク機構17と、このシザースリンク機構17に支持された作業者搭乗用の作業台30と、シザースリンク機構17と走行体10との間に跨設され、シザースリンク機構17を上下方向に伸縮作動させて作業台30を昇降移動させる昇降シリンダ(油圧シリンダ)18とを有して構成される。
【0017】
左側クローラ装置11は走行体10に内蔵された左側走行モータ(油圧モータ)21を回転駆動することにより作動させることができるようになっており、右側クローラ装置12は同じく走行体10に内蔵された右側走行モータ(油圧モータ)22を回転駆動することにより作動させることができるようになっている。
【0018】
シザースリンク機構17は、互いの中央部において枢結ピン17bにより枢結されて「X」字形状を形成する2本のリンク部材17aが上下方向及び走行体10の左右方向に複数ずつ配設された構成を有している。上側に位置するリンク部材17aの下端部と下側に位置するリンク部材17aの上端部とは枢結ピン17cによって枢結されており、左側に位置するリンク部材17aと右側に位置するリンク部材17aとは水平面内を走行体10の左右方向に延びた連結棒17dによって連結されている。シザースリンク機構17を構成する最下方のリンク部材17aのうち、走行体10の前方に位置する側の下端部は走行体10の上部に枢結されており、シザースリンク機構17を構成する最下方のリンク部材17aのうち、走行体10の後方に位置する側の下端部は走行体10の上部に設けられたレール19の上面を転動するローラ17eに結合されている。また、シザースリンク機構17を構成する最上方のリンク部材17aのうち、走行体10の前方に位置する側の上端部は作業台10の下部に枢結されており、シザースリンク機構17を構成する最上方のリンク部材17aのうち、走行体10の後方に位置する側の上端部は作業台30の下面に設けられたレール32の下面を転動するローラ17fに結合されている。
【0019】
作業台30には作業者の転落防止用のための手摺31が設けられており、この手摺31に取付けられた操作ボックス40内には左側クローラ装置11の作動操作を行うための左クローラ操作レバー41と、右側クローラ装置12の作動操作を行うための右クローラ操作レバー42と、作業台30の昇降操作を行うための昇降シリンダ操作レバー43とが備えられている(図1参照)。左クローラ操作レバー41の操作により出力された操作信号は左側クローラ装置11の操作信号としてコントローラ50のバルブ制御部51に入力され、右クローラ操作レバー42の操作により出力された操作信号は右側クローラ装置12の操作信号としてコントローラ50のバルブ制御部51に入力される。また、昇降シリンダ操作レバー43の操作により出力された操作信号は作業台30の操作信号としてコントローラ50のバルブ制御部51に入力される。
【0020】
図1に示すように、左側走行モータ21には左側走行モータ操作バルブ21v経由で、右側走行モータ22には右側走行モータ操作バルブ22v経由で、昇降シリンダ18には昇降シリンダ操作バルブ18v経由で、走行体10に設けられた油圧ポンプPより吐出された圧油が供給されるようになっている。左側走行モータ操作バルブ21v、右側走行モータ操作バルブ22v及び昇降シリンダ操作バルブ18vはいずれも電磁比例式の方向流量制御バルブであり、コントローラ50のバルブ制御部51は左クローラ操作レバー41の操作により出力された操作信号に基づいて左側走行モータ操作バルブ21vのスプール(図示せず)を駆動し、右クローラ操作レバー42の操作により出力された操作信号に基づいて右側走行モータ操作バルブ22vのスプール(図示せず)を駆動し、昇降シリンダ操作レバー43の操作により出力された操作信号に基づいて昇降シリンダ操作バルブ18vのスプール(図示せず)を駆動する。このため、左側走行モータ21、右側走行モータ22はそれぞれ左クローラ操作レバー41、右クローラ操作レバー42の操作状態に応じた方向及び速度で作動し、昇降シリンダ18は昇降シリンダ操作レバー43の操作状態に応じた方向及び速度で作動する。なお、上記油圧ポンプPは走行体10内に設けられた電動モータMによって駆動されるようになっており、この電動モータMは同じく走行体10内に設けられたバッテリBからの電力供給を受けて作動するようになっている。
【0021】
このような構成により、作業台30に搭乗した作業者は、左クローラ操作レバー41を操作することによって左側走行モータ21を回転作動させることができ、また右クローラ操作レバー42を操作することによって右側走行モータ22を回転作動させることができるので、左右のクローラ装置11,12を作動させて走行体10の前進、後進、停止等を行うことができる。また、作業台30に搭乗した作業者は、昇降シリンダ操作レバー43を操作することによって昇降シリンダ18を伸縮作動させることができ、これによりシザースリンク機構17を上下方向に伸縮させて作業台30を昇降移動させることができる。なお、シザースリンク機構17が上下方向に伸縮する際には、シザースリンク機構17を構成する最下方のリンク部材17aのうち、走行体10の後方に位置する側の下端部はローラ17eをレール19に沿って転動させて走行体10の前後方向に移動し、シザースリンク機構17を構成する最上方のリンク部材17aのうち、走行体10の後方に位置する側の上端部はローラ17fをレール32に沿って転動させて作業台10の前後方向に移動することになる。
【0022】
また、この高所作業車1には作業台30の積載荷重が過大になってシザースリンク機構17或いは昇降シリンダ18の駆動回路が破損しないようにするための過積載防止装置が備えられており、以下にその構成を説明する。
【0023】
高所作業車1には図1に示すように、昇降高さ検出器61、供給電流検出器62及び駆動電圧検出器63が備えられており、操作ボックス40内には作業エリアを指定する作業エリア指定スイッチ44が備えられている。昇降高さ検出器61はシザースリンク機構17を構成する1つの枢結ピン17c(枢結ピン17bでもよい)まわりに設けられたポテンショメータ(図3参照)からなっており、その枢結ピン17cが結合する2つのリンク部材17aのなす角度θ(図3参照)を検出してコントローラ50の許容供給電流読出し部52に出力するようになっている。昇降高さ検出器61が直接検出するのはこのように2つのリンク部材17aがなす角度θであるが、2つのリンク部材17aがなす角度θとシザースリンク機構17の伸縮姿勢とは一対一に対応し、またシザースリンク機構17の伸縮姿勢と作業台30の昇降高さHとは一対一に対応するので(これらの対応関係はコントローラ50の記憶部53に予め記憶されている)、コントローラ50の許容供給電流読出し部52は昇降高さ検出器61が検出した2つのリンク部材17aがなす角度θから作業台30の昇降高さHを把握することが可能である。なお、作業台30の昇降高さHは、本実施形態では図3に示すように作業台30の格納位置からの高さとしているが、地面からの高さ等としてもよい。
【0024】
供給電流検出器(電流計)62は昇降シリンダ18の負荷を電動モータMへ供給される電流として検出する負荷検出手段であり、直接的にはバッテリBから電動モータMへの供給電流Iを検出する。供給電流検出器62が検出した電動モータMへの供給電流Iの値はコントローラ50の過積載判断部54に入力される。駆動電圧検出器(電圧計)63は、バッテリBによる電動モータMの駆動電圧Vを検出する駆動電圧検出手段であり、駆動電圧検出器62が検出した電動モータMの駆動電圧Vの値はコントローラ50の許容供給電流読出し部52に入力される。作業エリア指定スイッチ44は高所作業車1を用いて作業を行う作業エリアを指定することができる作業エリア指定手段であり、ここではインドア(屋内での作業)とアウトドア(屋外での作業)との切換え指定が可能である。作業エリア指定スイッチ44の切換え位置に対応した信号は、作業エリア指定信号としてコントローラ50の許容供給電流読出し部52に入力される。
【0025】
コントローラ50の記憶部53には、作業台30の最大積載時に電動モータMに供給される電流(許容供給電流Im)の値を作業台30の昇降高さHごとに表したデータがマップの形で記憶されている。この許容供給電流Imは作業台30の昇降高さHに応じて設定される昇降シリンダ18の許容負荷に対応するものであり、昇降シリンダ18に許容負荷が作用しているときに電動モータMに供給される電流である。このマップは電動モータMの駆動電圧(或いは電動モータMを駆動する電源の電圧)ごとに用意され、各マップには作業エリアごとの(ここではインドアとアウトドアそれぞれに対して)データが記載されている。
【0026】
コントローラ50の許容供給電流読出し部52は、昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さH(直接的には角度θ)の情報と、駆動電圧検出器63により検出された電動モータMの駆動電圧V(電源電圧)の情報、更には作業エリア指定スイッチ44から出力されている作業エリア指定信号とから、作業台30の昇降高さH、電動モータMの駆動電圧V及び指定された作業エリアに対応する許容供給電流Imを記憶部53から読出す。
【0027】
図4はコントローラ50の記憶部53に記憶されたマップの例であり、横軸に作業台30の昇降高さH、縦軸に許容供給電流Imを示している。各マップは電動モータMの駆動電圧V(V1,V2,V3,・・・)ごとに用意されており、コントローラ50の許容供給電流Imは、駆動電圧検出器63により検出された電動モータMの駆動電圧Vに基づいて適切なマップを選択した後、昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さHに基づいて許容供給電流Imを読出す。なお、図4中に示す昇降高さHminは昇降シリンダ18のほぼ全縮状態に対応する作業台30の最小昇降高さを示しており、図4中に示す昇降高さHmaxは昇降シリンダ18のほぼ全伸状態に対応する作業台30の最大昇降高さを示している。
【0028】
図4に示すように、昇降シリンダ18の作動圧(昇降シリンダ18を作動させるための圧力)は昇降シリンダ18の伸縮長さによって変動し、昇降シリンダ18の全縮及び全伸付近においては作動圧が高く、全縮と全伸との中間では作動圧が低くなる傾向にある。このため許容供給電流Imは、作業台30の揚程の中間部では、揚程の最小値(作業台30の格納位置付近)及び最大値付近よりも小さくなっている。また、屋外(アウトドア)での作業時には風等による高所作業車1の転倒に対する不安定度が増大し、許容し得る最大積載荷重を小さく設定する必要があるため、アウトドアに対応する許容供給電流Imの値はインドアに対応する許容供給電流Imの値よりも全体的に低くなっている。
【0029】
コントローラ50の過積載判断部54は、供給電流検出器62により検出された電動モータMへの供給電流Iと許容供給電流読出し部52により読出された許容供給電流Imとを比較し、供給電流検出器62により検出された電動モータMへの供給電流Iが許容供給電流読出し部52により読出された許容供給電流Imを上回ったときに作業台30が現在過積載状態にあると判断して規制警報作動信号を出力する。コントローラ50の規制警報作動部55は、過積載判断部54から規制警報作動信号が出力されたときには、昇降シリンダ制御バルブ18vのスプールを中立位置に位置させるようにバルブ制御部51に規制信号を出力することによって昇降シリンダ18の伸縮作動、すなわち作業台30の昇降移動を規制するとともに、操作ボックス40内及び走行体10上に設けられた警報装置71(ディスプレイ、ブザー、ランプなど)を作動させて作業者に注意を喚起する警報作動を行う。
【0030】
高所作業車1に備えられた過積載防止装置は、上記のように、作業台30の最大積載時に電動モータMに供給される電流である許容供給電流Imを作業台30の昇降高さHごとに記憶部53に記憶しており、昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さHに対応する許容供給電流Imを記憶部53から読出すとともに、検出された電動モータへの供給電流Iと読出した許容供給電流Imとを比較し、検出された電動モータMへの供給電流Iが読出した許容供給電流Imを上回ったときに作業台30が過積載状態にあると判断して作業者に警報作動を行い、かつ作業台30の昇降移動を規制するようになっている。このような構成の過積載防止装置では、作業台30が過積載の状態にあるときには作業台30の昇降高さの如何によらず常に警報が発せられることになるので、昇降シリンダ18の作動圧が高くなる昇降高さでは過積載と判断される積載荷重が昇降シリンダ18の作動圧が低くなる昇降高さにおいては積載可能となってしまい、過積載状態であるにも拘らず警報が発せられないという不都合がない。また、このような構成を採ることによって作業台30に許容される最大積載荷重が小さくなるわけではないので、作業効率を低下させることもない。
【0031】
また、作業台30の昇降高さごとに表された許容供給電流Imが電動モータMの駆動電圧(電源電圧)ごとに記憶されており、コントローラ50の許容供給電流読出し部52が昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さのほか、駆動電圧検出器63により検出された電動モータMの駆動電圧Vにも対応する許容供給電流Imを記憶部53から読出すようになっているので、電動モータMの駆動電圧に応じて許容し得る許容供給電流Imの値が異なる場合であっても、精度のよい過積載防止機能が発揮される。しかし、電動モータMの駆動電圧Vに応じて許容し得る許容供給電流Imの値が大きく異なるようなことがないのであれば、必ずしも電動モータMの駆動電圧ごとにデータを記憶しておく必要はない。
【0032】
また、上記実施形態に示したように、作業台30の昇降高さごとに表された許容供給電流Imが作業エリアごとに記憶されており、コントローラ50の許容供給電流読出し部52が昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さのほか、作業エリア指定スイッチ44により指定された作業エリアにも対応する許容供給電流Im記憶部53から読出すようになっているので、作業エリアに応じた適切な過積載防止機能が発揮される。しかし、作業エリアに応じて許容し得る許容供給電流Imの値(許容し得る最大積載荷重の値)を変える必要のない仕様の高所作業車であるのであれば、このような機能は不要である。
【0033】
次に、この過積載防止装置の作動点検手順について説明する。過積載防止装置の作動点検を行うには、先ず、作業台30を格納位置に位置させた状態でシザースリンク機構17を走行体10に結合することによって、作業台30を所定の昇降高さ位置(ここでは最小昇降高さ位置(格納位置)とする)に固定する。図3及び図5に示すように、走行体10の上面側には前後壁14a,14b及び左右壁14c,14dを有して構成される枠部材14が設けられており、この枠部材14を構成する左右壁14c,14dのそれぞれには固定パイプ挿通穴15が設けられている。これら左右壁14c,14dそれぞれに設けられた固定パイプ挿通穴15には別途用意した作業台固定パイプFPを挿通することができるようになっており、作業台30を最小昇降高さ位置(格納位置)に位置させた状態で両固定パイプ挿通穴15に作業台固定パイプFPを挿通すると、シザースリンク機構17の最下方に位置するリンク部材17aのうち、走行体10の後方に位置する側の端部(ローラ17eが設けられている側の端部)に設けられた端部穴17gに固定パイプ17が貫通するようになっている。上記リンク部材17aの端部穴17gに固定パイプ17が貫通すると、そのリンク部材17aは走行体10に対して移動することができなくなるので、シザースリンク機構17は上下方向に伸縮作動することができなくなり、結果として作業台30は最小昇降高さ位置(格納位置)に固定される。なお、図5では固定パイプ挿通穴15やリンク部材17aの端部穴17gを見易くする関係上、ローラ17e及びレール19の図示は省略している。なお、作業台固定パイプFPは、特許請求の範囲における作業台固定手段に相当する。
【0034】
上記手順により作業台30を最小昇降高さ位置に固定したら、作業者は作業台30に搭乗して、昇降シリンダ操作レバー43により作業台30を上昇させる操作を行う。これにより昇降シリンダ18は伸張作動しようとするが、作業台30は作業台固定パイプFPによって走行体10に固定されているため、実際には昇降シリンダ18は伸張作動することはできず、電動モータMの負荷は増大していき、バッテリBから電動モータMへ供給される電流Iは上昇する(昇降シリンダ18の駆動回路内の圧力も上昇する)。一方、昇降高さ検出器61により検出される作業台30の昇降高さHは作業台30の格納位置に対応する値が維持されることから、コントローラ50の許容供給電流読出し部52が記憶部53から読出す許容供給電流Imは作業台30の格納位置高さ相当の値から変化せず、供給電流検出器62により検出される電動モータMへの供給電流Iは昇降シリンダ操作レバー43による作業台30を上昇させる方向への操作が行われてからしばらく後には許容供給電流Imに達してしまう。供給電流検出器62により検出される電動モータMへの供給電流Iが許容供給電流Imに達したら、コントローラ50の過積載判断部54は作業台30が過積載状態にあると判断して規制警報作動信号を出力するので、この規制警報作動信号を受けた規制警報作動部55は警報装置71を作動させて作業者に警報作動を行う。なお、警報作動が開始された後、昇降シリンダ18の駆動回路内の圧力が設定したリリーフ圧に達したときには、図示しないリリーフバルブによって駆動回路内の圧油が逃がされるようになっている。
【0035】
作業台30の操作ボックス40内には表示装置72が設けられており、供給電流検出器62により検出された電動モータMへの供給電流Iの値と、作業台30の最小昇降高さ位置に対応して設定される許容供給電流Imの値とが比較可能な状態で作業者に表示されるようになっている。「比較可能な状態で」とは、検出された電動モータMへの供給電流I(昇降シリンダ18の負荷)と作業台30の最小昇降高さ位置に対応して設定される許容供給電流Im(昇降シリンダ18の許容負荷)との大小関係が容易に(一目で)分かる状態で、という意味であり、表示装置72の例として、検出された電動モータMへの供給電流Iと作業台30の最小昇降高さ位置に対応して設定される許容供給電流Imとを双方同じ単位で表示するディスプレイ(許容供給電流Imの値は固定値なのでシールなどに記載してディスプレイの近傍に貼り付けておいてもよい)や、許容供給電流Imを示す部分に明確な印が付けられたスケールと、検出された電動モータMへの供給電流Iの大きさに応じて移動する針との組み合わせからなるメータ等が挙げられる。コントローラ50の過積載判断部54によって作業台30が過積載状態にあると判断されたとき、すなわち警報装置71により警報作動がなされたときに、検出された電動モータMへの供給電流Iが作業台30の最小昇降高さ位置に対応した許容供給電流Imの値と一致していれば、コントローラ50の過積載判断部54(及び警報装置71)は正常に作動したといえる。なお、許容供給電流Imは一定の範囲を有するものであってもよい。
【0036】
このように高所作業車1に備えられた過積載防止装置では、作業台30を最小昇降高さ位置に固定することが可能な作業台固定パイプFPにより作業台30を最小昇降高さ位置に固定した状態で昇降シリンダ18の伸長作動入力を行い、その後過積載判断手段により作業台が過積載状態にあるとの判断が行われたとき(警報装置71により警報作動が行われたとき)に、表示装置72に表示される電動モータMへの供給電流I(これは昇降シリンダ18の負荷を表す)と作業台30の最小昇降高さに対応して設定された許容供給電流Im(これは昇降シリンダ18の許容負荷を表す)との比較を行うだけで、コントローラ50の過積載判断部54(及び警報装置71)が正常に作動したか否かの確認を行うことができるので、作業台30に荷物や錘等を実際に積載して過積載状態を作り出す必要がなく、簡便に作動点検を行うことが可能である。なお、上述の実施形態では、作業台30を最小昇降高さ位置に固定する例を示したが、これは一例であり、作業台30を固定する位置は必ずしも最小昇降高さ位置に限られない。
【0037】
また、高所作業車1に備えられた過積載防止装置では、昇降シリンダ18の負荷を電動モータMへの供給電流Iとして検出するとともに、昇降シリンダ18の許容負荷を電動モータMへの許容供給電流Imとして定めており、コントローラ50の過積載判断部54は、供給電流検出器62により検出された電動モータMへの供給電流Iと電動モータMへの許容供給電流Imとを比較し、供給電流検出器62により検出された電動モータMへの供給電流Iが電動モータMへの許容供給電流Imを上回ったときに作業台30が過積載状態になっているとの判断を行うようになっているので、連続的に変化する昇降シリンダ18の負荷を簡単な構成でモニターすることができ、精度の良い過積載判断が可能になっている。特に本実施形態では、電動モータMへの許容供給電流Imが、昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さに応じて設定されるようになっているので、作業台30の昇降高さの連続的な変化に応じたきめ細かな過積載判断が可能である。なお、電動モータMへの供給電流Iが正しく検出されているか否か点検は、上述の過積載防止装置の作動点検と同時に行うことができる。
【0038】
また、高所作業車1に備えられた過積載防止装置では、作業台30の昇降高さHと電動モータMへの許容供給電流Imとの関係が電動モータMの駆動電圧V(或いは電動モータを駆動する電源の電圧)ごとに定められており、電動モータMへの許容供給電流Imは、昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さH及び駆動電圧検出器63により検出された電動モータMの駆動電圧Vに応じて設定されるようになっているので、作業台30の昇降高さHのみならず、電動モータMの駆動電圧V(電源電圧)にも応じた適切な過積載判断をすることが可能になっている。
【0039】
また、高所作業車1に備えられた過積載防止装置では、作業台30の昇降高さHと電動モータMへの許容供給電流Imとの関係が、高所作業車1が作業を行うエリアとして予め設定した作業エリアごとに定められており、電動モータMへの許容供給電流Imは、昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さH及び作業エリア指定スイッチ44により指定された作業エリアに応じて設定されるようになっているので、作業台30の昇降高さHのみならず、作業エリアにも応じた適切な過積載判断をすることが可能となっている。
【0040】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、作業台30の昇降高さを検出する昇降高さ検出手段(昇降高さ検出器61)は、上述の実施形態では、結合された2つのリンク部材17aのなす角度から間接的に作業台30の昇降高さを検出する構成であったが、このような構成に替えて、走行体10と作業台30との間の距離を直接計測する構成のものであってもよい。また、高所作業車1が作業を行うエリアとして予め設定する作業エリアは、上述の実施形態ではインドアとアウトドアとの2つであったが、これは一例であり、2つ以上の作業エリアを選択して設定し得るようにしてもよい。また、上述の実施形態では、昇降高さ検出手段(昇降高さ検出器61)により検出された作業台の昇降高さのほか、駆動電圧検出手段(駆動電圧検出器63)により検出された電動モータの駆動電圧や、作業エリア指定手段(作業エリア指定スイッチ44)により指定された作業エリアに基づいて許容供給電流Imが設定される構成であったが、その他の検出情報(例えば走行体10の水平面からの傾斜角度)に基づいて許容供給電流Imが設定される構成であってもよい。
【0041】
また、上述の実施形態では、昇降シリンダ18の負荷を電動モータMへの供給電流Iとして検出するとともに、この検出した電動モータMへの供給電流Iを昇降シリンダ18の許容負荷に対応させた電動モータMへの許容供給電流Imと比較する構成となっていたが、昇降シリンダ18の負荷を圧力センサなどによって直接検出し、これを昇降シリンダ18の許容負荷と比較する構成としてもよい。また、油圧ポンプPを駆動する動力源を電動モータMとした構成を採る場合には前述の利点が得られるが、上述の作動点検手順を実施し得る過積載防止装置に限定するならば電動モータMは必須ではなく、エンジン等の他の動力源に替えることが可能である。
【0042】
また、本発明に係る過積載防止装置(及び上述した作動点検手順)は、昇降シリンダ18の許容負荷が作業台30の昇降高さに応じて変化しない構成の高所作業車1に対しても適用することが可能であるが、上述の実施形態に示したように、作業台30の昇降高さを検出する昇降高さ検出器61を備えるとともに、昇降シリンダ18の許容負荷が、昇降高さ検出器61により検出された作業台30の昇降高さに応じて設定される構成となっていれば、昇降シリンダ18の許容負荷が作業台30の昇降高さに応じて変化する場合においても確実な過積載防止機能を発揮することが可能となる。また、
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る過積載防止装置を備えた高所作業車における作業台の昇降作動系統を示すブロック図である。
【図2】上記高所作業車の斜視図である。
【図3】上記高所作業車の側面図であり、実線で示すシザースリンク機構及び作業台は格納位置(最小昇降高さ位置)を示しており、二点鎖線で示すシザースリンク機構及び作業台は上動位置を示している。
【図4】コントローラの記憶部に記憶されたマップの一例を示す図である。
【図5】作業台を最小昇降高さ位置に固定する固定パイプが挿通される走行体上の固定パイプ挿通穴の位置を固定パイプとともに示す走行体上部の斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 高所作業車
10 走行体
17 シザースリンク機構
18 昇降シリンダ(油圧シリンダ)
30 作業台
43 昇降シリンダ操作レバー(油圧シリンダ操作手段)
44 作業エリア指定スイッチ(作業エリア指定手段)
50 コントローラ
54 過積載判断部(過積載判断手段)
61 昇降高さ検出器(昇降高さ検出手段)
62 供給電流検出器(負荷検出手段)
63 駆動電圧検出器(駆動電圧検出手段)
71 警報装置
72 表示装置(表示手段)
M 電動モータ
P 油圧ポンプ
FP 作業台固定パイプ(作業台固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、前記走行体に設けられたシザースリンク機構と、前記シザースリンク機構に支持された作業台と、前記シザースリンク機構を上下方向に伸縮作動させて前記作業台を昇降移動させる油圧シリンダと、前記油圧シリンダの作動操作を行う油圧シリンダ操作手段とを備えて構成される高所作業車の過積載防止装置であって、
前記油圧シリンダの負荷を検出する負荷検出手段と、
前記負荷検出手段により検出された前記油圧シリンダの負荷が前記油圧シリンダの許容負荷を超えた状態となっているとき、前記作業台が過積載状態になっているとの判断を行う過積載判断手段とを備え、更に、
前記作業台を所定の昇降高さ位置に固定することが可能な作業台固定手段により前記作業台を前記所定の昇降高さ位置に固定した状態で前記油圧シリンダ操作手段による前記油圧シリンダの伸長作動入力が行われ、前記過積載判断手段により前記作業台が前記過積載状態となっていると判断されたときに、前記負荷検出手段により検出された前記油圧シリンダの負荷を前記油圧シリンダの前記許容負荷と比較可能な状態で表示する表示手段を具備したことを特徴とする高所作業車の過積載防止装置。
【請求項2】
前記作業台の昇降高さを検出する昇降高さ検出手段を備え、
前記油圧シリンダの許容負荷は、前記昇降高さ検出手段により検出された前記作業台の昇降高さに応じて設定されるようになっており、
前記過積載判断手段は、前記負荷検出手段により検出された前記油圧シリンダの負荷が前記昇降高さ検出手段により検出された前記作業台の昇降高さに応じて設定された前記油圧シリンダの許容負荷を超えたとき、前記作業台が前記過積載状態となっているとの判断を行うことを特徴とする請求項1記載の高所作業車の過積載防止装置。
【請求項3】
前記油圧シリンダに圧油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動モータとを備え、
前記負荷検出手段は前記油圧シリンダの負荷を前記電動モータへの供給電流として検出し、
前記油圧シリンダの前記許容負荷は前記電動モータへの許容供給電流として定められており、
前記過積載判断手段は、前記負荷検出手段により検出された前記電動モータへの供給電流と前記電動モータへの許容供給電流とを比較し、前記負荷検出手段により検出された前記電動モータへの供給電流が前記電動モータへの許容供給電流を上回ったときに前記作業台が過積載状態になっているとの判断を行うようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の高所作業車の過積載防止装置。
【請求項4】
前記作業台の昇降高さと前記電動モータへの許容供給電流との関係は前記電動モータの駆動電圧ごとに定められており、
前記電動モータの駆動電圧を検出する駆動電圧検出手段を備え、
前記電動モータへの許容供給電流は、前記昇降高さ検出手段により検出された前記作業台の昇降高さ及び前記駆動電圧検出手段により検出された前記電動モータの駆動電圧に応じて設定されることを特徴とする請求項3記載の高所作業車の過積載防止装置。
【請求項5】
前記作業台の昇降高さと前記電動モータへの許容供給電流との関係は前記高所作業車が作業を行うエリアとして予め設定した作業エリアごとに定められており、
予め定められた複数の前記作業エリアから1つの作業エリアを指定する作業エリア指定手段を備え、
前記電動モータへの許容供給電流は、前記昇降高さ検出手段により検出された前記作業台の昇降高さ及び前記作業エリア指定手段により指定された前記作業エリアに応じて設定されることを特徴とする請求項3又は4記載の高所作業車の過積載防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−99439(P2007−99439A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290800(P2005−290800)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】