説明

高機能端末を備えるネットワークにおいて中継効率を改良するための装置及び方法

本発明の実施形態では、高機能化された移動体加入者装置を通信ネットワークに対して割当てるための方法及び装置を提供する。第1の実施形態では、ネットワーク(100)は移動体加入者装置(117)の等級符号を識別し(801)、例えば干渉キャンセル能力など高機能化された性能を移動体が有するか否かを判定する(083)。移動体(117)が高機能化されている場合、その移動体は高い負荷比のタイムスロットに対して割当てられる(807)。高機能化されていない場合、低い負荷比のタイムスロットが割当てられる(805)。同様の方式でハンドオーバ手続が制御され、ハンドオーバ中にタイムスロットを割当てる前に移動体の能力が判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディジタル・セルラー通信ネットワークに関する。より詳細には、本発明は、高機能移動体加入者装置を備えるTDMA通信ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
より古い世代の従来の移動局を依然として所有し動作させる加入者の存在するネットワークに高機能化された移動局を配備する時、ネットワーク運営者は幾つかの問題に直面する。そのような問題の1つは、例えば、干渉キャンセル能力を有する移動体など、改良された受信機性能を有する移動局の配備において生じる。より新しい移動体とより古い移動体との特性は異なるため、両方の種類の移動体が混在するネットワークにおいては、順方向リンク上で許容可能なキャリア対干渉(C/I)比を維持することが問題となる。
【0003】
この問題に対して考えられる第1の解決策は、信号対雑音比又はキャリア対干渉比の分布がより大きなシステム無線カバレッジ領域内の周波数に対して従来のユーザを割当てることである。例えば、GSM(グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ)ネットワークにおいては、周波数ホッピングの対象でないチャネルが用いられ得る。例えば、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)すなわち「c0」周波数層を用いることが可能であり、その場合、例えば、4×3×12(4サイト、3セクタ、12キャリア周波数群)のBCCH周波数再利用パターンが適用される。
【0004】
周波数ホッピングを用いる第2のネットワーク層である周波数ホッピング(FH)層は、干渉抑制が可能な移動局における目標システム周波数層として用いられる。干渉抑制が可能な移動局がそのように割当てられる時には、周波数ホッピング層は、より高い負荷比(fractional load)を有する(すなわち、FH層に対して割当てられたキャリアの各キャリア周波数は、任意の特定の時間においてより高い確率で実際に使用される)ように設計されることが可能であり、優れた移動局能力によって依然として許容可能なC/Iのレベルを達成する。
【0005】
しかしながら、従来の移動体にはBCCH層が強制されることになり、干渉キャンセルを行う移動局には周波数ホッピング層が強制されることになるため、そのような解決策には中継効率に関する問題が存在する。したがって、いずれの等級の移動局でも、システムにおける全ての周波数資源へアクセスすることは不可能である。
【0006】
考えられる第2の解決策は、初期に従来の移動体を周波数ホッピング層に対して割当てることである。時間の負荷比の増大につれて、従来の移動体は干渉制御において負荷比のみに依存することになるため、そうした従来の移動体の通信の品質は低下する。この時、従来の移動局がBCCH層にハンドオーバされて、許容可能なC/I特性を維持することが可能である。しかしながら、最終的にはBCCH層及び周波数ホッピング層の間で依然として移動局が硬直的に分割される結果となり、やはり中継の非効率が生じる。
【0007】
一般に、ネットワークにおいて新たな世代の端末の配備が増大しつつあるが、上述の解決策のいずれによっても、無線スペクトル資源を最適化するための柔軟性は提供されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、異なる干渉排除特性を有する移動局をネットワークの周波数ホッピング層へ同時に割当てるための装置及び方法の必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
高機能化された性能を有する移動端末を通信タイムスロットに対して割当てる方法及び装置を本明細書に開示する。本発明の一部の実施形態では、無線基地局(BTS)を介して、例えばGSMネットワークなど、TDMAネットワークと通信する移動端末からなる第1の群は、従来の移動体からなる第2の群より高機能化された性能を有し得る。例えば、高機能化された群の移動体は、単一アンテナ干渉キャンセル(SAIC)能力など、干渉キャンセル能力を有する。
【0010】
本発明の第1の実施形態では、移動端末が干渉キャンセル能力を有するか否かを判定するために、ネットワークはその移動端末の等級符号(classmark)を用いる。本発明の第2の実施形態では、移動局の性能は移動局の特性から推測され得る。例えば、呼設定手続及びチャネル割当手続中に基地局による移動局への出力割当が観測されてもよい。第3の実施形態では、移動局の性能は、ホーム・ロケーション・レジスタ(HLR)のデータベースなど、データベースに格納され得るとともに、ネットワークのアクセス手続中に読出され得る。
【0011】
干渉キャンセル能力などの高機能化された性能を移動局が有する場合、その移動局は高負荷比タイムスロットに対し割当てられる。反対に、移動局が以前の世代の移動局であるなど、移動局が干渉キャンセル能力を有しない場合、その移動局は低負荷比タイムスロットに対し割当てられる。
【0012】
本発明の一部の実施形態では、同様の方式でハンドオーバが処理される。ネットワークは、ネットワークのハンドオーバ・ルーチンに従って、例えば、推定されるビット誤り率(BER、すなわちGSMネットワークにおける「RXQUAL」測定値と同等)又は推定される受信出力レベル(GSMネットワークにおける「RXLEV」)など、移動局のリンク品質パラメータを測定する。一部の実施形態の例では、測定されたパラメータ又はパラメータの組合せが、設定された閾値より大きい時など、ハンドオーバが必要であるとネットワークが判定した場合、ネットワークは移動局が干渉キャンセルをサポートするか否かを判定する。移動局が干渉キャンセルをサポートする場合、その移動局は代替の高負荷比タイムスロットにハンドオーバされる。初期割当の場合と同様に、移動局が干渉キャンセルをサポートせず、したがってより古い世代の移動局である場合、その移動局は低負荷比タイムスロットに割当てられる。
【0013】
本発明の第1の態様は、タイムスロットに対し移動局の性能特性に応じて移動局を割当てるために適切な1つ以上の基地局を含む通信ネットワークである。
本発明の第2の態様は、複数の負荷比に対して設定が可能なタイムスロットを備えた周波数ホッピング無線カバレッジ層を含む通信ネットワークである。この態様では、高機能化された性能を有する移動体は、以前の世代の性能の移動局と共にホッピング層に割当てられてよい。適切な負荷比を有するタイムスロットに対し移動局を割当てることによって、移動局により経験される干渉レベルを制御する。
【0014】
本発明の第3の態様は、複数の負荷比に対して設定可能なタイムスロットを備えた疑似ランダム周波数ホッピング無線ネットワークをサポートするように設定が可能な無線基地局である。この無線基地局は、適切な負荷比を有するタイムスロットに対する移動局の性能に基づく移動局のハンドオーバもサポートする。
【0015】
本発明の第4の態様は、周波数ホッピングと、複数の負荷比を有するタイムスロットの設定をサポートするように設定可能な無線送受信機装置である。
本発明の第5の態様は、移動端末の性能に基づく移動端末に対するタイムスロット割当方法である。
【0016】
本発明の第6の態様は、移動端末の性能に基づくハンドオーバ中の移動端末に対するタイムスロット割当方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここで、類似の番号が類似の要素を示す図面を参照する。図1には、本発明の一部の実施形態による典型的なネットワークを示す。図1において、ネットワーク100は、ネットワーク101に各々接続された複数の基地局制御装置(BSC)105,107を備える。典型的には、ネットワーク101は移動体交換局(MSC)を含む。ネットワーク100は、例えば、運用管理センター(OMC)103など、ネットワーク101によって代表される他のネットワーク要素を含んでもよい。これに加えて、ネットワーク101はインターネットを介する通信に適切な、パケット・ベースのプロトコルをサポートしてもよい。
【0018】
各BSC105,107は、複数の無線基地局(BTS)とも接続されている。例えば、BSC105はBTS109,111,113に接続されている。例えば、BSC105及びBTS109,111,113など、複数のBSC及びそれぞれのBTSは、無線アクセス・ネットワーク(RAN)を形成する。
【0019】
RANの各BTSは、エア・インタフェース無線チャネルを介して、複数の移動局(MS)との双方向通信を確立させることが可能である。例えば、MS115はチャネル121を介してBTS111と通信し、MS117はチャネル119を介してBTS113と通信する。
【0020】
チャネル119,121の無線キャリアは時分割多元接続(TDMA)の無線キャリアであり、例えば、GSMのRANにおける8つのタイムスロットなど、幾つかのタイムスロットに分割されている。さらに、チャネル119,121の無線キャリアは本発明の実施形態による任意の数の手法を用いて変調されてよい。例えば、ネットワークは、GSM規格によるGMSKを利用してもよく、GSMエボリューション(GSM Evolution)のためのエンハンスト・データ・レート(EDGE)の規格による8PSKを利用してもよい。これに加えて、各セルラ・セクタにおいて幾つかのタイムスロットがゼネラル・パケット無線サービス(GPRS)用に予約されてもよい。
【0021】
移動局115,117の種類は様々であってよい。例えば、MS117は、単一アンテナ干渉キャンセル(SAIC)能力など、干渉キャンセル能力を有する。
図2は、例えばGSMネットワークなどのTDMAネットワークの周波数計画において用いられる「4掛ける12」(4×12)周波数群分類の一例である。図2には79のチャネルを示すが、これは例示のみを目的としており、大抵の場合、運営者に利用可能な周波数の数はより小さなスペクトルに限定される。図2は、ネットワーク運営者に利用可能なスペクトルに限定される行数の行と、1つの列の周波数が1つのBTSセクタに対し割当てられる12の列とで構成される。
【0022】
このような表に従ってBTSセルラ・セクタに対し周波数を割当てることは、無線アクセス・ネットワークの計画中の同一チャネル(co−channel)の最小化及び隣接チャネル間隔の最小化の維持に有用である。最小のチャネル間隔は、隣接するセル及びセクタの送受信機間における無線干渉を最小化するために必要である。図2に示した4×12周波数割当は例示のみを目的とするものであり、本発明の実施形態において用いられる周波数割当を限定するものでないことは理解されるであろう。例えば「3×9」、又は他のパターンが用いられることも可能である。
【0023】
「4掛ける12」(4×12)又は「4掛ける3」(4×3)の周波数再利用パターン300を示す図3を参照することによって、さらに容易に図2が理解される。図3では、各々3つのセクタを有する4つのセルの各々が、示したパターンのように配列される。したがって、図3のパターンは4×3と称される。これに代えて、図2の表200において割当てられた12の周波数の列に基づき、図3のパターンが4×12のパターンと称される場合もある。図3の基本パターンは、無線アクセス・ネットワークにおける最終的なBTSセルの数に対して必要なだけ繰り返される。
【0024】
図2を参照すると、各列の幾つかの周波数をそれぞれ代表する各列の見出し201が認められ、図3に示す各セクタは複数の周波数を利用してよいことが留意される。例えば、列「a1」は、周波数1,13,25,37,49,61,73に相当する。したがって、図3におけるセル301のセクタa1は、表200の列a1の任意の周波数を含んでよい。図3に示した周波数計画は例示のみを目的としており、セル間の同一チャネル及び隣接チャネルの干渉などの効果、並びにコンピュータ・シミュレーション、現地測定、又は手法の組合せを介する実環境の伝搬効果を考慮することによって、実際の事例(scenario)において周波数計画が改良されてよいことが理解される。
【0025】
セクタ毎に複数の周波数割当を有するセルラー・サイトは、典型的には、割当てられる周波数の番号で称される。例えば、セル301のセクタa1には周波数1,13が割当てられ、セクタa2には周波数5,17が割当てられ、セクタa3には周波数9,21が割当てられる。この場合、各セクタは2つの周波数を有する。したがって、セル301は、「2−2−2」セル・サイトと称される。GSMのセル・サイトにおいては、1つの周波数が、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)として割当てられるタイムスロットを有する必要がある。BCCHは移動局によって観測され、ネットワークへのアクセスを試行する移動局に対する参照として機能する。
【0026】
周波数ホッピングは、GSMネットワークなどのTDMAネットワークにおいて利用される、代替の周波数再利用手法である。図4の表400には、周波数ホッピングのスキームを用いた、セルラ・セクタに対する周波数の割当を概念的に示す。図4の表400において、各セクタにはBCCHキャリア用の周波数が割当てられる。BCCHキャリアは、ネットワークへのアクセスを試行するMSに対する参照であるため、静的に保持される必要があり、ホッピングには使用不可能である。したがって、図2における4×12の再利用パターンを用いてBCCH周波数をセクタに対して割当てることが依然として可能である。図4では、この4×12のパターンが周波数の第1の行405において再現されているが、この第1の組はBCCHキャリアとして割当てられる。追加の静的なキャリアも同様に割当てられてよい。ホッピングに用いられない任意の静的なキャリアは「BCCH層」と称される。
【0027】
図4の行407以下には、BCCH層に加え各セクタにおいて用いられ得る、幾つかのホッピング周波数を示す。これらの周波数割当は、ネットワークにおける「ホッピング層」を構成する。ホッピング層においては、各セクタに周波数の同じ組が割当てられることが可能である。しかしながら、近いセクタが異なる疑似ランダム系列に従うように、各セクタには追加でホッピング系列番号(HSN)が割当てられる。
【0028】
図5には、GSMネットワークにおいて用いられる疑似ランダム・ホッピング系列の簡略化した例を示す。第1のホッピング系列であるHS0 501は、原則的に順序通りの周波数の組を用いる。HS63までの多数の疑似ランダム系列が、セクタに対して割当てられ得る。図5において、HS1 503に例示的な目的の系列を示すが、この系列はHS0と異なる。同様に、HS2 505〜HS63 507においては、異なる系列が用いられる。これらの系列は、無線干渉を理論的に回避するために、数学的に直交するように設計される。図3を参照すると、セル301のセクタa3にHS2が割当てられる場合、干渉し得るセル302のセクタb1にはHS32が割当てられる。
【0029】
BTSは、典型的には、所与の割当てられたキャリア周波数に対して調整可能な幾つかの送受信機装置を備える。例えば、セル301のセクタa1の送受信機は、周波数1に対して割当てられる、セクタa1のBCCHキャリア送受信機であってよい。ホッピング・キャリアに対して割当てられるセクタにおける他の送受信機装置には、上述のように送受信機のホッピングの際の疑似ランダム系列を決定する、ホッピング系列番号(HSN)も割当てられる。この送受信機装置は「合成(synthesize)」し、必要な時間間隔内で適切な周波数に対して再調整することが可能であるため、この手法は合成器(synthesizer)周波数ホッピングと称される。合成器周波数ホッピングは、送受信機装置が単一の周波数に対して調整されたままであるベースバンド周波数ホッピングとは区別される。本発明の実施形態における利点を得るためには、合成器周波数ホッピングが必要である。
【0030】
さらに、本発明の実施形態では同期ネットワークが利用される。合成器周波数ホッピングを用いる同期ネットワークにおいては、全てのセル・セクタのタイムスロットが共通の参照点を有する。この共通の参照点により、隣接する各セルのホッピング系列が同一の時間間隔中に同一周波数又は隣接周波数を用いることを回避して、ネットワークの干渉レベルを減少することが可能となる。周波数ホッピングのネットワークにおいては、発信周波数の平均使用量である負荷比は、ホッピング送受信機の数をホッピング周波数の数で除したものとして定義される。一例として図4を参照すると、セクタa1が、5つの周波数を通じたホッピングの単一の送受信機を備える場合、負荷比は1/5となる。
【0031】
しかしながら、タイムスロットを基準として負荷比を割当てることも可能である。図6には、8つのタイムスロットに分割された単一のキャリア周波数を、送受信機フレーム605として示す。図6において、各タイムスロットは独立の負荷比を有し得る。したがって、タイムスロットの負荷比に基づき、移動局がタイムスロットに対して割当てられ得る。図7には、図6の送受信機フレーム605と、タイムスロット基準による例示的な負荷比とを示す。図7において、垂直軸は、所与のネットワーク運営者のスペクトルにおいて利用可能なキャリア周波数に相当する、離散周波数を表す。図7における水平な棒は、個々のタイムスロットに対して割当てられるホッピング・キャリアを表す。例えば、図7において、タイムスロット1は2つのホッピング・キャリアを有しており、そのうちの1つは、周波数F2 705である。同様に、タイムスロット0は2つのホッピング・キャリアを有しており、そのうちの1つは、周波数Fn 707である。図7において、タイムスロット4及び5は、タイムスロット0及び1より多くのアクティブなホッピング・キャリアを有する。したがって、タイムスロット0及び1の負荷比はタイムスロット4及び5の負荷比よりも大きいと見なすことが可能である。図7の例によれば、タイムスロットの負荷比はタイムスロットあたりの利用可能な全てのスペクトル・キャリアに対するアクティブなキャリアの比と見なすことが可能である。
【0032】
したがって、例えば、干渉キャンセル能力を有する移動局など、性能が高機能化された移動局は、干渉低減において負荷比のみに依存する移動体より高いレベルの負荷比を収容することが可能である。本発明の一部の実施形態では、この特性が有利に利用されて、干渉キャンセル可能な移動局及び従来の移動局がネットワークにおける周波数ホッピング層を同時に利用することによって、ネットワークのキャリア対干渉レベル(C/I)を減少させ且つネットワークの中継効率を改良する。
【0033】
図8には、本発明の一部の実施形態によるネットワーク動作を示す。図8において、例えば、ユーザが呼設定手続を開始する時、移動局はネットワークへのアクセスの取得を試行する。ブロック801にて、ネットワークは移動局の等級符号を識別する。この等級符号は、ブロック803にて、移動局が干渉キャンセルをサポートするか否かを判定するために用いられる。移動局が干渉キャンセルをサポートしない場合、ブロック805にて、その移動局は低い負荷比のタイムスロットに対して割当てられる。このタイムスロット割当によって、一般により低い負荷比によって達成されるより高いC/I特性を、移動局が利用することが可能となる。
【0034】
移動局が干渉キャンセルをサポートする場合、ブロック807にて、その移動局は高い負荷比のタイムスロットに対して割当てられる。高い負荷比のタイムスロットを移動局の干渉キャンセル特性と組合わせることによって、許容可能なレベルの性能を移動局が達成することが可能となる。
【0035】
図9には、第2の実施形態を示す。この実施形態では、ブロック901にて移動局の性能が観測される。観測される移動局の性能には、GSMネットワークにおけるRXLEVなど出力レベルのパラメータ、又はGSMネットワークにおけるRXQUALのような推定されるビット誤り率などの品質メトリック、若しくはそのようなパラメータ又はメトリックの組合せが含まれてよい。この観測は、初期チャネル割当中に行われてもよく、ネットワークにおける認証間隔中に行われてもよい。
【0036】
ブロック903にて、ネットワークは移動局の能力を判定し、移動局が干渉キャンセルをサポートしない場合、ブロック905にて、移動局を低い負荷比のタイムスロットに対して割当てる。移動局が干渉キャンセルをサポートする場合、ブロック907にて、その移動局はより高い負荷比のタイムスロットに対して割当てられる。
【0037】
本発明の第3の実施形態では、移動局の性能は、ホーム・ロケーション・レジスタ(HLR)のデータベースなど、データベースに記録されるとともに、所与のハードウェア識別子又は加入者識別子に関連付けられる。この事例では、移動局の能力は移動局及び加入者の認証手続中に判定される。ネットワークは初期のチャネル割当を維持してもよく、必要な認証済み移動局に再割当を行ってもよい。
【0038】
図10には、本発明の一部の実施形態によるネットワークのハンドオーバ動作を示す。ブロック1001にて、ハンドオーバ動作の要件に従って、移動局及びネットワークの間の通信リンクが測定される。例えば、GSMネットワークにおけるRXQUALパラメータに相当する、ビット誤り率(BER)などが監視されてよい。例えばRXQUALの値が増大する場合、より低いリンク品質に相当する、BERの増大が示される。一部の実施形態では、測定されたリンク品質パラメータがネットワークの閾値を越え且つ所定の期間その上に留まる時にハンドオーバ手続が開始されるように、ネットワークの閾値が設定される。そのようなスキーム、又はハンドオーバが必要であるか否かの判定に適切な他のスキームによって、ブロック1003にてネットワークは判定を行う。ハンドオーバが必要でない場合、ブロック1001におけるように、ネットワークはリンクの監視を継続する。ハンドオーバが必要であるとネットワークが判定した場合、ブロック1005にて、ネットワークは移動局が干渉キャンセルをサポートするか否かを判定する。
【0039】
移動局が干渉キャンセルをサポートしない場合、ブロック1007に示すように、移動局は低い負荷比のタイムスロットに対して割当てられる。移動局が干渉キャンセルをサポートする場合、ブロック1009に示すように、適切なハンドオーバ・スキームが適用される。このスキームでは、移動局の能力及び他のネットワーク基準に基づき、移動局は高い負荷比のタイムスロットに対して割当てられる。
【0040】
本発明の好適な実施形態を図示し説明してきたが、本発明がそのように限定されないことは理解される。添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者には、多数の修正、変更、変形、置換、及び均等物が想到される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一部の実施形態によるネットワークのブロック図。
【図2】4×12周波数計画における周波数割当を示す表。
【図3】4×12周波数割当によるネットワーク・セル配置を示す図。
【図4】BCCH層及び周波数ホッピング層を有する層による周波数割当を示す表。
【図5】セル・セクタに対し割当てられ得るホッピング系列及び相当するホッピング系列番号の図。
【図6】本発明の一部の実施形態によるタイムスロット割当を示す図。
【図7】本発明の一部の実施形態によるタイムスロット負荷比を示す図。
【図8】本発明の一部の実施形態によるネットワーク動作の流れ図。
【図9】本発明の一部の実施形態によるネットワーク動作の流れ図。
【図10】本発明の一部の実施形態によるハンドオーバに関するネットワーク動作の流れ図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
区分された無線ネットワークの無線資源に対し移動局の性能特性に応じて移動局を割当てるために適切な1つ以上の基地局を含む通信ネットワーク。
【請求項2】
無線資源はタイムスロットである請求項1に記載の通信ネットワーク。
【請求項3】
性能特性は干渉キャンセル能力である請求項1に記載の通信ネットワーク。
【請求項4】
干渉キャンセル能力は単一アンテナ干渉キャンセル能力である請求項3に記載の通信ネットワーク。
【請求項5】
複数の負荷比を有するタイムスロットを備えた周波数ホッピング無線カバレッジ層を含む通信ネットワークにおいて、
第1の性能を有する移動局からなる第1の群と、第2の性能を有する移動局からなる第2の群とを備え、
移動局は移動局の性能に基づき周波数ホッピング無線カバレッジ層のタイムスロットに対し割当てられ且つハンドオーバされる通信ネットワーク。
【請求項6】
第1の群の周波数ホッピング無線カバレッジ層のタイムスロットには、第2の群の周波数ホッピング無線カバレッジ層のタイムスロットより高い負荷比が割当てられることと、
移動局は移動局の干渉キャンセル能力に基づき第1の群及び第2の群に対し割当てられることとを含む請求項5に記載の通信ネットワーク。
【請求項7】
性能特性は干渉キャンセル能力である請求項5に記載の通信ネットワーク。
【請求項8】
干渉キャンセル能力は単一アンテナ干渉キャンセル能力である請求項7に記載の通信ネットワーク。
【請求項9】
複数の負荷比を有するタイムスロットを備えた疑似ランダム周波数ホッピング層をサポートするように設定が可能であり、且つタイムスロット基準により疑似ランダム周波数ホッピング層に対し移動局の割当及びハンドオーバが可能である1つ以上の無線送受信機装置を含む無線基地局。
【請求項10】
周波数ホッピングをサポートするように設定可能な無線回路と、複数の負荷比をサポートするように設定可能なタイムスロットとを含む無線送受信機装置。
【請求項11】
ネットワークに対する移動端末の割当方法において、
移動端末の性能を判定する性能判定工程と、
性能に基づき移動端末に対しタイムスロットを割当てるタイムスロット割当工程とからなる方法。
【請求項12】
性能は干渉キャンセル能力である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
干渉キャンセル能力は単一アンテナ干渉キャンセル能力である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
タイムスロット割当工程は、
移動端末が干渉キャンセル能力を有する場合、高負荷比タイムスロットを割当てる高負荷比タイムスロット割当工程と、
移動端末が干渉キャンセル能力を有しない場合、低負荷比タイムスロットを割当てる低負荷比タイムスロット割当工程とを含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
性能判定工程は移動端末の等級符号を判定する等級符号判定工程を含む請求項11に記載の方法。
【請求項16】
性能判定工程は、
移動端末の性能パラメータを測定する性能パラメータ測定工程と、
性能パラメータにより性能を判定する性能パラメータ判定工程とを含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
性能判定工程は、
データベースにアクセスするデータベース・アクセス工程と、
データベースの記録により性能を判定するデータベース記録判定工程とを含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
タイムスロットに対する移動局の割当方法において、
移動局のハンドオーバが必要であることを判定するハンドオーバ必要性判定工程と、
移動局が干渉キャンセル能力をサポートするか否かを判定するサポート判定工程と、
移動局が干渉キャンセル能力をサポートしない場合、移動局を低負荷比タイムスロットに対しハンドオーバする低負荷比ハンドオーバ工程と、
移動局が干渉キャンセル能力をサポートする場合、移動局を高負荷比タイムスロットに対しハンドオーバする高負荷比ハンドオーバ工程とからなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−502089(P2007−502089A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532880(P2006−532880)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/014428
【国際公開番号】WO2005/002252
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】