説明

高能力の物理的吸着剤からなる流体貯蔵ならびに搬送システム

【課題】収着質流体、例えば流体混合物と単一成分流体を含む気体、蒸気、液体、多相流体などの貯蔵ならびに計量分配用システムを提供する。
【解決手段】吸着性流体の吸着親和性を有する固相物理的吸着媒体を保持するよう、また吸着性流体を選択的に流入ならびに流出させるよう構成、配置された貯蔵ならびに計量分配用容器からなる。この流体の吸着親和性を備える固相物理的吸着媒体は、内部気体圧力で貯蔵ならびに計量分配用容器に配置し、そして流体を固相物理的吸着媒体上に物理的に吸着させる。計量分配アセンブリーは貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結される。この計量分配アセンブリーは、貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に、内圧以下の圧力を供給して、固相物理的吸着媒体からの流体の脱着と、脱着流体の計量分配アセンブリーを通る流体に流れを起こさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体成分が固体吸着媒体と吸着関係に保持する容器もしくは貯蔵容器から流体を選択的に計量分配し、かつ計量分配作業中に吸着媒体を脱着可能に放出するための貯蔵ならびに計量分配システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
広範な種類の工業的方法ならびに応用にあっては、確実なプロセス流体の原料を必要としている。
【0003】
このような方法と応用の領域は半導体製造、イオン注入、フラット・パネル・ディスプレー、医療参加と治療、水質処理、救急救命装置、溶接作業、液体ならびに気体の空間利用の搬送などを含む。
【0004】
1988年5月17日付けでカールO.クノールミューラー(Knollmueller)に発行された特許文献1は、アルシンの貯蔵、続いてアルシンを約−30℃乃至約+30℃の温度で、約5乃至約15オングストロームの範囲の気孔の寸法のゼオライトと接触させることによりアルシンをこのゼオライトに吸着させ、その後ゼオライトを、アルシンをゼオライト材料から放出するだけの十分な時間をかけて最高約175℃の高温に昇温して加熱して計量分配する。
【0005】
クノールミューラーの前記特許文献1に開示された方法は、先に吸着したアルシンをゼオライトから所望の量で吸着するだけの十分な温度に加熱するよう構成、配置させる必要のあるゼオライト材料の加熱手段を設置する必要がある点で不利である。
【0006】
アルシン担持ゼオライトを保持する容器の外部に加熱ジャケットあるいは他の手段を用いることは、容器が典型的例としてかなりの熱容量をもち、従って著しい浪費時間を計量分配作業に導入する点で問題がある。さらにアルシンの加熱はその分解の原因となり、その結果処理システムに爆発の危険を導く水素ガスを発生させることになる。その上このようなアルシンの熱媒介による分解がこの処理システムにある気体の圧力をかなり増大させ、システムの耐用年数と作業効率と同様に安全性に対する関心という見地から極めて不利となり得る。
【0007】
内部配置した加熱コイルもしくは他の加熱素子をゼオライト・ベッドそれ自体に設けることは、このような手段を用いてこのゼオライト・ベッドを均一に加熱して所望のアルシンガスの所望の均一放出を達成することが困難であるので問題である。
【0008】
その収納容器内でゼオライト・ベッドを通過させた加熱ずみキャリヤ・ガス流れは、前述の欠点を克服できるが、しかしアルシンの加熱ずみキャリヤ・ガスの吸着の達成に必要な温度が、アルシンガスの最終用途には好ましくないほどに高いか、あるいは他の状態で不適当であるので、冷却もしくは他の処理が計量分配ずみ気体を最終用途に合う状態になるよう要求される。
【0009】
次に、1996年5月21日付けでグレン.M.トム(Tom)とジェームス.V.マックマナス(McManus)の名義で発行された特許文献2は気体貯蔵ならびに計量分配用システムを開示し、上述の特許文献1に開示された気体供給方法の諸欠点を克服するものである。前記特許文献2の気体貯蔵ならびに計量分配システムは、気体、例えば水素化気体、ハロゲン化気体ならびに有機金属族V化合物からなる群より選ばれる気体の貯蔵ならびに計量分配用であって、固相物理的吸着媒体を貯蔵ならびに計量分配用容器に内部気体圧力で保持するよう、またその容器に対して選択的に流入、流出させるよう構成、配置した貯蔵ならびに計量分配用容器と、前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置した固相物理的吸着媒体と、前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結し、かつ計量分配用容器の外部で前記内圧以下の圧力を供給して、収着質気体の固相物理的吸着媒体からの脱着と、脱着ずみ気体の気体流れを内部に通すよう構成、配置した計量分配アセンブリーとを備える吸着・脱着装置からなり、前記固相物理的吸着媒体が、水、金属および前記貯蔵ならびに計量分配用容器内で収着質気体を別の仕方で分解させる酸化遷移金属種(例えばオキシド、スルフィットおよび/またはニトレート)のような微量成分が全くないことを特徴とする。
【0010】
このような微量成分を固相物理的吸着媒体から除去することにより、前記収着質気体の1年後、温度25℃における分解ならびに内圧条件を極めて低いレベル、例えば収着質気体の1.5%重量以下が分解されるように維持できる。
【0011】
前記特許文献2の貯蔵ならびに計量分配用容器はこのようにして先行技術による高圧気体用ボンベの利用に対し事実上の利点を具体化できる。従来の高圧気体用ボンベは損傷を受けたか、あるいは性能低下している減圧弁アセンブリーからの漏れと同様に、気体の内部分解がボンベ内の内部気体圧力を急速に増大した場合の破裂と、ボンベ破裂もしくは他の好ましくないボンベからの気体の大量放散に対しても感受性がある。
【0012】
前記特許文献2の気体貯蔵ならびに計量分配用容器は、貯蔵された収着質気体の圧力をその気体をキャリヤ吸着媒体、例えばゼオライトもしくは活性炭素材料上に逆吸着させて低下させる。本発明の他の目的ならびに利点は後述の開示ならびに請求の範囲からさらに十分に明白となるであろう。
【0013】
上述の形式の流体貯蔵ならびに搬送システムにおける改良された吸着材料の確認と利用の絶えることのない需要が技術上あるので、本発明の目的は、原価、使用の容易性ならびに性能特徴に著しい利点を提供する高効率吸着材料を利用する流体貯蔵ならびに計量分配システムの提供にある。
【0014】
本発明の他の目的ならびに利点は後述の開示ならびに請求の範囲からさらに十分明白になるであろう。
【特許文献1】米国特許第4,744,221号明細書
【特許文献2】米国特許第5,518,528号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は収着質流体、例えば流体混合物と単一成分流体を含む気体、蒸気、液体、多相流体などの貯蔵ならびに計量分配用システムを企図している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムは、吸着性流体の吸着親和性を有する固相物理的吸着媒体を保持するよう、また吸着性流体を選択的に流入ならびに流出させるよう構成、配置された貯蔵ならびに計量分配用容器からなる。この流体の吸着親和性を備える固相物理的吸着媒体は、内部気体圧力で前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置し、そして流体を前記固相物理的吸着媒体上に物理的に吸着させる。計量分配アセンブリーは前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結される。この計量分配アセンブリーは、前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に、内圧以下の圧力を供給して、前記固相物理的吸着媒体からの流体の脱着と、脱着流体の前記計量分配アセンブリーを通る流体に流れを起こさせる。別の方法として、貯蔵ならびに前記計量分配システムが、吸着材料を選択的に加熱して流体の固相物理的吸着媒体からの脱着を起こさせる手段と、熱的脱着の時、脱着流体を、計量分配アセンブリーを通すよう流体流れを収容するよう構成、配置した貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結された計量分配アセンブリーと共に構成されることもできる。なお、別の実施例として、本発明の貯蔵と計量分配システムは、流体の固相物理的吸着媒体からの差熱ならびに差圧脱着を組合せるよう構成、配置することも可能である。
【0017】
この計量分配アセンブリーは、本発明の流体貯蔵ならびに計量分配アセンブリーの特定の最終用途に適切なものとして、どのような種類の導管、管、チューブ、流路、弁調節、計装、監視手段、流量調節器、ポンプ、送風機、アスピレーターまたは同種の他のものからもなることができる。本発明は適当であればどのような構造もしくは寸法の貯蔵ならびに計量分配用容器、例えば約0.01リットル乃至約20リットルといった内容積を有する容器に構成できる。
【0018】
特定の実施態様にあっては、本発明は上述の形式で、固相物理的吸着媒体として炭素吸着材料を利用する流体貯蔵ならびに計量分配システムに関するものである。広範な種類の炭素吸着剤は本発明の貯蔵ならびに計量分配システムで有効な吸着媒体として使用できる。
【0019】
一実施態様における本発明は高性能吸着媒体上に1200トル以下の内圧で物理的に吸着された流体を含む小型で、ポータブルの使用場所で使える流体貯蔵ならびに計量分配システムに関するものである。
【0020】
この明細書で用いられている用語「小型で、ポータブルの使用場所で使える原料貯蔵ならびに計量分配システム」は上記のように広範囲に説明されたシステムであって、その貯蔵ならびに計量分配用容器の内容積が約0.01リットル乃至約20リットルのものである。
【0021】
本発明は、まさに小型低圧流体源を設けることに技術上の最大の進歩を有し、従来のあらゆる種類の気体を必要とする用途、例えば溶接ガス、麻酔ガス、酸素もしくは酸素富化救命ガス、半導体製造用ガス、不活性シール用ガス、例えば燃焼もしくは化学反応抑制用の窒素などを必要とする用途にいたるところで用いられてきた高圧流体用ボンベに十分取替えがきく能力を達成できる。
【0022】
特に工業用途、例えばイオン注入、ドーピング用などの試薬ガスの量が非常に少量であり、かつ半導体製造用二次加工設備が極めて小型で据付面積がプレミアム付きであるような半導体製造の場合に、低圧気体源の設置は現在の種々の欠点を伴う高圧ガスボンベの使用全体に亘る主要な改良である。
【0023】
本発明の低圧貯蔵ならびに計量分配システムの吸着剤を含む容器内の内圧が約1200トル以下である。その圧力は800トルが好ましく、最も好ましくは700トル以下である。減圧した吸着流体を貯蔵ならびに計量分配用容器に供給することで、吸収された流体が周囲環境に漏れたり、大量分散する危険は、流体の高圧収納が絶えることのない、またかなりの危険と、それに対応する安全策と処理問題を必然的に伴うのと対照的に、未然に防ぐことができる。
【0024】
他の特定の実施態様にあっては、本発明は上記に広範に亘って述べた種類であって、高作業能力吸着材料からなる流体貯蔵ならびに計量分配システムに関するものである。
【0025】
本発明の貯蔵ならびに計量分配に応用する吸着剤に適応できる性能特性は、吸着充填能力(吸着材料の単位重量当りの吸着剤に貯蔵される吸収流体の量)と、吸着材料の単位容積当りの、所定の圧力と温度条件で流体計量分配作業中に吸着媒体から除去できる吸着材料に初めに充填された収着質の重量として規定される吸着作業能力Cwを含む。すなわちCw=[収着質の重量−脱着後に残留する収着質の重量]/[吸着剤の容積]
【0026】
上記の収着質の重量ならびに脱着後に残留する重量をグラムで測り、また吸着材料の容積をリットルで測る。このような測定に用いられる吸着材料の容積は吸着材料のベッドの容積である。この吸着材料は典型的例としてペレット、粒子、押出物、粒状もしくは他の分割体にして供給し、従って作業能力の測定における容積は充填密度と吸着材料の空隙(間空隙)容積を考慮に入れる。
【0027】
本発明の広範な実施に総体的に有用に利用できる吸着材料の効力の別の目安は、吸着材料に圧力760トルで最初に充填され、その後圧力を、25βCで10トルに下げた圧力脱着だけにより脱着できる収着質気体の割合として規定される吸着材料の「脱着可能の収着質の割合」である。すなわち:
脱着可能な収着質の割合={(収着質の重量−脱着後に残留する収着質の重量)/(収着質の重量)}×100%
前記脱着可能の収着質の割合は少なくとも15%くらいで、少なくとも25%くらいが好ましく、さらに好ましくは少なくとも50%くらい、最も好ましくは少なくとも60%くらいである。
【0028】
さらに本発明の実施に用いられる吸着材料は有利なことには第1例として収着質流体を適切な高効率で容易に吸着し、先に吸着ずみ流体を、(1)貯蔵ならびに計量分配用容器の内容積と外部位置の間の比較的低い圧力での差圧、および/または(2)貯蔵ならびに計量分配システムが流体計量分配作業モードである時の吸着剤の加熱に応答して、迅速に対応して放出する特徴を備える。
【0029】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムで有用な好ましい吸着材料は、吸着材料の1g当り約0.1乃至約5.0cmの範囲、好ましくは吸着材料1g当り約0.5乃至約2.0cmの範囲の気孔容積(累積気孔容積)を具える材料を含む。
【0030】
吸着材料は好ましくは直径が約2オングストローム乃至100オングストロームの範囲の気孔からなる主要部分、すなわちその気孔容積の50%以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは吸着剤の気孔容積のほぼ全てを有することである。
【0031】
好ましい材料は平均気孔直径が約2乃至20オングストロームの範囲内であり、また気孔の主要部分が前記範囲内にあること、前記直径範囲内で、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは気孔容積のほぼ全てである吸着剤を含むことである。
【0032】
本発明の広範な実施で有用な高性能吸着剤は、アルシンガスを40トルと650トルの圧力で測定し、吸着材料1リットル当り少なくとも50、好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも150、そして最も好ましくは少なくとも200gの「吸着剤作業能力、Cw」を有するものを含み、次のように測定される:
Cw=(圧力650トル、温度25℃における1リットルの吸着剤に対するアルシンガスのgで示す重量)−(圧力50トル、温度25℃における1リットルの吸着剤に対するアルシンガスのgで示す重量)
[式中、アルシンはこのようなCw特徴に対する基準流体であり、そして吸着剤のリットル基準は説明の通り、空隙もしくは間空隙を含む吸着媒体のベッドのベッド形態におけるリットル容積である]。この点で、増大する作業能力は圧力を1トルという低い値に下げることで可能であることを注目すべきである。
【0033】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムで有用な吸着材料は、ビーズ、顆粒、ペレット、タブレット、粉末、粒子、押出物、布もしくはウエブ状材料、ハニカム・マトリックス・モノリスならびに(吸着剤と他の成分との)複合材料、同様に前述の吸着材料の形態をとる微粉砕もしくは圧潰形状を含む適切であればどのような寸法、形状および形態のものでもよい。
【0034】
吸着材料は重合体(例えば微孔質テフロン、大型網状重合体、ガラス状ドメイン重合体など)、ホスホシリケートアルミニウム(ALPOS)、クレー、ゼオライト、多孔質珪素、ハニカム・マトリックス材料、炭素材料などを含む適切であればどのような材料からでもなることができる。
【0035】
最も好ましい吸着材料はゼオライト吸着材料と炭素吸着剤を含む。好ましい炭素吸着剤の中には、高均一性球面形状をもち、直径が約0.1mm乃至1cmの範囲、さらに好ましくは直径が約0.25乃至約2mmの粒径をもつビーズ活性炭素材料がいちばん好ましいものである。
【0036】
さらに他の実施態様では、アルシンを特徴づける基準ガスとして用いて、本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムで有用な吸着材料は、吸着剤1リットル当りの吸着ずみアルシンのg数で測定し、トルで示す圧力の関数として、温度25℃におけるアルシンガス吸着等温線をもつ材料からなり、次の吸着充填特性を有する:
【0037】
圧力 最小限の充填量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 30
50 62
100 105
200 145
300 168
400 177
500 185
550 188
650 〜192
【0038】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムで用いられる吸着材料が、貯蔵され続いて吸着剤から計量分配されることになる吸着流体にとって著しい充填特性を有することが一般に好ましいことであるが、極めて高い吸着剤充填能力が、いくつかの事例では貯蔵ならびに計量分配システムに関して吸着熱の見地から不利となり得る。吸着剤上での吸着性流体の吸着は典型的例として発熱性である。アルシンやホスフィンのような気体にとっては、気体の吸着剤上での充填速度によって、発熱量は100βC以上くらいの温度上昇を必然的に伴うものである。従って、吸着剤に後続計量分配のため貯蔵されることになる流体で吸着媒体を最初に充填している間に、吸着作用のかなりの熱を伴わない範囲内の高い吸着能力を有する吸着媒体を使用することが好ましい。
【0039】
従って、本発明の実施に有用な吸着材料は、吸着剤1リットル当り吸着されたアルシンのg数で測定され、トルで示す圧力の関数として測定される25℃の温度におけるアルシンガスの吸着等温線を有し、それが図1の曲線G1とG0に囲まれた等温線の範囲内である材料を含む。このような吸着材料は次の吸着充填特性をもつ。
【0040】
圧力 充 填 量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 30−106
50 62−138
100 105−185
200 145−232
300 168−263
400 177−288
500 185−308
550 188−315
650 192−330

【0041】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムに用いられる吸着剤は好ましくは上記で様々に述べられた吸着剤特性の適当であればどのような組合せもしくは入替えによっても特徴づけられる吸着剤であることができる。
【0042】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムに適切な炭素吸着材料は、例えば、温度が25℃で下記の吸着充填特性を有するものである。
【0043】
圧力 最小限の充填量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 35− 60
50 75−100
100 100−115
200 160−175
300 200−220
400 225−245
500 240−260
550 250−275
650 260−300

【0044】
本発明の広範な実施に有用な極めて好ましい炭素吸着材料は、吸着剤1リットル当り吸着されたアルシンのg数として測定され、トルで示す圧力の関数としての、温度25℃におけるアルシンガスの、図1の曲線Aの特性をもつ吸着等温線を備える材料を含む(吸着等温線特性というのは図1にある吸着等温線の事実上の形状を言うのであって、それは吸着等温線が温度レベルの変化に伴いxとyの方向に移動するためであるが、その全体の形状は事実上同一である)。
【0045】
本発明の気体貯蔵ならびに計量分配システムに用いることができる炭素吸着剤は、上記様々に述べられた吸着剤特性の適切であればどのような組合せもしくは入替えにより特徴づけられる吸着剤を含む。
【0046】
一実施態様における本発明は流体の貯蔵ならびに計量分配用の小型でポータブルの使用場所で使用できる流体貯蔵ならびに計量分配用の吸着・脱着装置を企図しており:
・固相物理的吸着媒体を保持し、該吸着媒体を選択的に流入、流出させるよう構成、配置した貯蔵ならびに計量分配用容器と;
・1200トル以下の内部流体圧力で該貯蔵ならびに計量分配用容器に配置した吸着材料と;
・前記吸着材料上に物理的に吸着された収着質流体と;
前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結され、吸着材料からの流体の差熱および/または差圧脱着の後、脱着ずみ流体の選択的求めに応じて計量分配できるように構成、配置された計量分配アセンブリーと;
からなり、前記計量分配アセンブリーが:
(I)前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に、前記内圧以下の圧力を供給して流体を吸着材料から脱着させ、また脱着ずみ流体の流れを前記計量分配アセンブリーを通して前記容器から流させ;および/または
(II)熱的に脱着させた流体をそれに通して流せるよう、かつ吸着材料を加熱して流体を脱着させて、脱着ずみ流体が容器から前記計量分配アセンブリーに流入するようにさせる手段を構成するよう、構成、配置していることを特徴とする。
【0047】
他の実施態様において、本発明は気体の貯蔵ならびに計量分配用の吸着・脱着装置において、
・固相物理的吸着媒体を保持し、気体を選択的に流入ならびに流出させるよう構成、配置した貯蔵ならびに計量分配用容器と;
・内部気体圧力で前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置された吸着材料と;
・前記吸着材料上に物理的に吸着された収着質流体と;
・前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結し、かつ前記吸着材料からの流体の差熱および/または差圧媒介脱着の後、脱着ずみ流体の選択的求めに応じて計量分配するよう構成、配置された計量分配アセンブリーと;
からなり、前記計量分配アセンブリーが:
(I)前記貯蔵ならび計量分配用容器の外部に、前記内圧以下の圧力を供給して流体を吸着剤材料から脱着し、また脱着ずみ流体の流れを前記計量分配アセンブリーに通して前記容器から流させ;および/または
(II)熱的に脱着した流体をそれに通して流せるよう、かつ吸着材料を加熱して流体をそれから脱着させて、脱着ずみ流体が容器から前記計量分配アセンブリーに流入するようにさせる手段からなるよう、構成、配置したことを特徴とする。
【0048】
前記吸着材料は微量成分、例えば、水、金属および酸化遷移金属種(例えば、オキシド、スルフィットおよび/またはニトレート)からなる群より選ばれるものに避け、前記貯蔵ならびに計量分配用容器で収着質流体を分解させるだけ十分に濃縮されていることが好ましい。
【0049】
本発明の貯蔵ならびに計量分配装置にあって、水と酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の吸着材料の濃度(吸着材料の重量に対し)は好ましくは温度25℃で1年後、25℃の温度と、前記内圧での収着質流体の5重量%以上、好ましくは1%重量以上の分解に不十分であることである。吸着剤上でのこのような拘束は、水素化物気体、例えばアルシン、ホスフィンなどのような流体で、水、金属ならびに酸化遷移金属種(例えばオキシド、スルフィットおよび/またはニトレート)の存在下においての分解に感受性のある取着質流体をこのような種に事実上曝すことなく維持して、前記収着質気体の相当なレベルの分解とその結果生ずる圧力増大問題を未然に防ぐことを保証する。
【0050】
好ましくは、水、金属および酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の吸着材料の重量に対する濃度は、増大が結果として25%以上、好ましくは10%以上になる収着質流体の分解を貯蔵ならびに計量分配用容器内で25℃の温度で1週間後に起こさせるには不十分であるものである。
【0051】
本発明の実施に有利に用いられる炭素吸着材料は、水と酸化遷移金属種からなる群から選ばれる微量成分の350重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、さらに好ましくは、10重量ppm以下、そして最も好ましくは1重量ppm以下を吸着媒体の重量に対して含む炭素材料を含む。
【0052】
本発明の実施での好ましい炭素吸着剤をさらにその灰分の点でも条件として規定することができる。好ましい炭素は約7%以下、好ましくは約5%以下、最も好ましくは約0.1%の灰分を含んでいる。様々な炭素吸着剤の灰分は15%という高いものである。灰分は特定の炭素材料源に広く左右されて変化できる。
【0053】
灰は弗化水素や三弗化硼素のような、これらの種類の化合物に不可逆的に化学吸着することになる吸着性流体を必要とする用途に有害となり得るシリカのような成分を含む無機材料である。このような化学吸着は、それが結果として化学吸着化合物を失うことになるので極めて不利である。従って、低灰分炭素吸着剤が実施の上でとりわけ好ましい。
【0054】
上記で討議した高灰分炭素吸着剤の使用で起り易い問題は弗化物の場合に特に厳しい。弗化物の高灰分炭素吸着剤による吸収は実際には貯蔵ならびに計量分配用容器での内圧が収着質と高灰分吸着剤中の不純物の間の反応の生成物が不揮発性生成物を生成するに従って低下する。
【0055】
好ましくは水、金属および酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の、吸着材料の重量に対する濃度は、貯蔵ならびに計量分配用容器内での25℃の温度で1週間後の内圧の25%以上、好ましくは10%以上の最大に結果としてなる収着質物流体の分解を起こさせるには不十分なものである。
【0056】
本発明の実施で有利に用いられる吸着材料は、水と酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の350重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、さらに好ましくは10重量ppm以下、そして最も好ましくは1重量ppm以下を吸着媒体の重量に対して含む炭素材料を含むものである。
【0057】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムを容器からの流体の差圧による計量分配に主として関連し以下に述べるが、本発明の貯蔵ならびに計量分配システムが収着質流体の差圧脱着だけにより、また同様に流体を上述した吸着された吸着材料から熱的に脱着させて計量分配を行えることがわかるであろう。別の例として、充填する吸着媒体からの収着質流体の脱着は、差圧と収着質の収着質媒体からの熱媒介放出との組合せで有用に実施できる。
【0058】
(圧力および/または熱的な)脱着およびそのための付随する方法の条件の特殊な様式の選択は、吸着材料、特殊な収着質流体、および特に脱着流体を使用する最終用途に基づいて不必要な経験なしに当業者によって容易に選択かつ調べることができる。
【0059】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムを流体の容器中の吸着材料からの熱脱着が実施できるよう構成、配置する時、加熱手段を貯蔵ならびに計量分配用容器に関連して動作的に配置して、収着質気体を吸着材料から熱強化脱着をすることができる。この加熱手段は電気抵抗加熱素子、エキステンド熱伝達面部材、放射加熱部材、もしくは貯蔵ならびに計量分配用容器の吸着ベッドに配置されるか、あるいは他の方法で吸着材料に対する熱伝達もしくは現場発熱用に配置された他の熱作動性加熱手段を備え、吸着剤の温度の上昇と、収着質流体の脱着を実施させる。
【0060】
本発明の実施に用いられる吸着材料は適切に加工もしくは処理されて、それが成分もしくは汚染物、例えば上記に討議した微量成分に欠けることを保証するものであり、該微量成分は収着質流体の吸着と脱着に関する気体貯蔵ならびに計量分配システムの性能に有害に影響するものである。例えば、吸着剤を、弗化水素酸を用いて洗浄処理にかけて、それを微量成分、例えば金属や酸化遷位金属種が十分にないようにすることができる。
【0061】
吸着材料はさらに様々に処理して吸着剤の吸着能力および/または他の性能特性を強化させることができる。例えば、吸着剤が処理もしくは吸着剤の表面を、(1)吸着剤が続いて計量分配されることになる流体をはじめに充填する時、特定の流体の吸着媒体での吸着、および/または(2)吸着剤が流体を貯蔵ならびに計量分配用容器から計量分配するための処理条件にある時、流体の脱着、を容易にするか、あるいは高める化学成分でより機能的にすることができる。
【0062】
そのうえ、前記の処理は脱着物の純度を向上させることができる。例えば、表面酸化物類の還元的処理は脱着物中のCO、COならびに炭化水素不純物の量を減少するために用いることができる。
【0063】
またさらに、様々の温度範囲をガス抜き工程中に用いることができる。典型的例として炭素材料はそれ以上の温度処理も適用できるが、最高500℃でガス抜きされる。
【0064】
吸着材料の特別な追加の修正方法は材料の内部気孔表面を含む表面上の吸着強化材料の適用を含め、本発明の広範な実施に様々に用いることができる。例えば、吸着強化液状、固体状もしくは半固体状材料、例えばカルボワックス(Carbowax)を吸着剤に施して、吸着剤の表面上の固体吸着部位の流体の物理的吸着と、吸着剤の表面に施された吸着強化材料それ自体上の吸着もしくはそれ自体内での可溶化を容易にすることができる。
【0065】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムはさらに、貯蔵ならびに計量分配用容器に入った吸着材料と、前記容器に入った収着質気体の汚染物、例えば分解生成物に対する親和力を具える化学吸着材料と共になる。このような科学吸着剤は非還元雰囲気ガスに対する化学吸着剤親和力を有する固体吸着剤組成物からなる。
潜在的に適切な化学吸着剤材料の例は、
(A)共有結合しないが、それと関連した支持体と、前記汚染物の存在下で反応性がある陰イオンを供給してこのような汚染物を除去させる効果がある化合物とを含み該化合物が、
(i)対応プロトン化カルボアニオン化合物が約22乃至約36のpKa値を有するカルボアニオン源化合物と、
(ii)前記カルボアニオン源化合物の収着質気体との反応により形成された陰イオン源化合物と、からなる群の1種以上より選ばれる掃去剤と、
(B)
(i)1g当り約50乃至約1000mの範囲の表面面積を有し、最高少なくとも約250℃の温度まで熱的に安定した不活性支持体と、
(ii)前記支持体上に、支持体1リットル当り約0.01乃至約1.0モルの濃度で存在し、ナトリウム、カリウム、ルビジウムならびにセシウムと、その混合物および合金から選ばれる族IA金属の支持体上の脱着と、前記支持体上のその熱分解により形成された活性掃去種とからなる掃去剤、
からなる群より選ばれる掃去剤を含む。
【0066】
更なる実施例として、前記化学吸着材料はトリチルリチウムおよび砒化カリウムからなる群より選ばれる掃去剤成分から有利になる。
【0067】
このような化学吸着材料を計量分配されることになる収着質流体の汚染物除去に対する使用に関し、広範な種類の掃去剤もしくは化学吸着材料のどれをも利用でき、それには1988年8月2日付けグレン.M.トム(Tom)他に発行された米国特許第4,761,395号と、1994年6月29日付けグレン.M.トムとジェームス.V.マクマナス(McManus)の名儀の米国特許願第08/084,414号で開示ならびに請求された形態の掃去剤組成物を含む。
【0068】
上記開示は本明細書では参考として取入れている。
化学吸着材料はそれを用いる時、別のベッドとして吸着材料のベッドと流体流れ連通して利用できるか、あるいは別の方法として、化学吸着剤を貯蔵ならびに計量分配用容器に、吸着材料のベッドを無作為あるいは選択的に通して分散できる。
【0069】
本発明はさらに、流体試薬を供給し、次の工程からなる方法を企図している、
・物理的に前記流体試薬の吸着親和力を有する吸着材料を含む貯蔵ならびに計量分配用容器を準備する工程と;
・流体試薬を吸着材料上に物理的吸着的に充填させて収着質流体充填の吸着材料を生成する工程と;
・減圧(差圧)脱着および/または吸着材料の加熱により収着質流体充填の吸着材料から収着質流体を脱着する工程と;
・脱着ずみ流体を貯蔵ならびに計量分配用容器から計量分配する工程と;
からなる。
さらなる好ましい実施態様にあって、吸着材料はどのような特定形態(例えば、ビーズ、顆粒、ペレット、粉末、押出物など)のもので、上記様々に述べられた吸着剤特性を有するものである。
【0070】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムに有用に貯蔵して、続いて計量分配できる流体は、適切であればどのような種類の流体で吸着材料にとって吸着性親和力のある、例えば気体、蒸気、液体、多相流体ならびに流体混合物も含む。その例としては、酸性および水素化物気体、ハロゲン化物気体、水蒸気相有機金属化合物、酸化気体などを含む。
【0071】
本発明の実施で有用に貯蔵でき、かつ計量分配できる収着質気体種の特定の実施例は、シラン、ゲルマン、アルシン、ホスフィン、ホスゲン、ジボラン、ゲルマン、アンモニア、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、亜酸化窒素、シアン化水素、酸化エチレン、重水素化水素化物、ハロゲン化物(塩素、臭素、弗素および沃素)化合物でF、SiF、Cl、ClF、GeF、SiF、硼化水素などのような化合物ならびに金属の有機金属化合物、例えばアルミニウム、バリウム、ストロンチウム、ガリウム、インジウム、タングステン、アンチモニ、銀、金、パラジウム、ガドリニウムなどの化合物を含む。
【0072】
さらに他の特定の実施態様にあっては、本発明は上述の一般形態のものであって、吸着剤流体としての三弗化硼素からなる貯蔵ならびに計量分配システムに関するもので、貯蔵ならびに計量分配システムから計量分配された前記三弗化硼素を水素化剤と接触させて前記三弗化硼素ガスをジボランに変換させる。この水素化剤はこのような変換実施に有用で、適当であればどのような水素化反応体、例えば重水素化マグネシウムからなっても差支えない。
【0073】
また、別の実施態様における本発明は、炭素吸着材料で吸着可能な流体の貯蔵ならびに計量分配用の吸着・脱着装置に関するものである。前記装置は:
・炭素吸着材料を保持し、容器に対し流入ならびに流出させる流体を選択的に流すよう構成、配置された貯蔵ならびに計量分配用容器と;
・内部流体圧力で前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置された炭素吸着材料と;
・炭素吸着材料上に物理的に吸着された収着質流体と;
・前記貯蔵ならびに計量分配用容器と流体流れ連通して連結し、かつ前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に前記内圧以下の圧力を供給して、収着質気体の前記炭素吸着材料からの脱着と、その内部を通る脱着ずみ気体の気体流れを行うよう構成、配置された計量分配アセンブリーと;
・前記計量分配アセンブリーに連結して、脱着ずみ気体の加圧と、結果として加圧された気体の排出用クライオポンプと;
からなる。
【0074】
さらなる方法の態様にあっては、本発明は炭素吸着材料上で吸着可能な流体の貯蔵ならびに計量分配の方法に関し、下記の工程、すなわち
・炭素吸着材料を保持する貯蔵ならびに計量分配用容器を準備する工程と;
・前記流体を炭素吸着材料上で吸着させる工程と;
・前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に、内圧以下の圧力を発生させて、収着質流体の炭素吸着材料からの脱着と、前記貯蔵ならびに計量分配用容器からの脱着ずみ流体を流出させる工程と;
・脱着ずみ流体を貯蔵ならびに計量分配用容器から、貯蔵ならびに計量分配用容器から流出させた脱着ずみ流体の圧力以上の所定の圧力でクライオポンプする工程と;
からなる。
【発明の効果】
【0075】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムを、イオン注入、珪素半導体製造、化合物半導体製造、フラット・パネル・ディスプレーの製造、有機合成への気体供給、滅菌ガス、例えば酸化エチレンの計量分配、燻蒸と害虫管理、麻酔ガス搬送、水ならびに気液接触を必要とする他の流体の処理、溶接、園芸用ならびに作物保護用製剤、調理用ガス供給、スペース・ボーン・アプリケーションズ(space−borne applications)、大量薬品および気体搬送、救命用酸素供給ならびにO試薬の応用などを含む。
【0076】
本発明の他の実施態様、特徴ならびに実施例は次の開示と請求の範囲から十分に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
米国を指定国として指定し、1995年10月13日付けで提出された国際特許願第PCT/US95/13040号の開示と、1994年10月13日付けで提出された米国特許願第08/322,224号、そして1996年5月21日付けで発行された米国特許第5,518,528号の開示と、1996年5月20日付けで提出された米国特許願第08/650,634号の開示ならびに1996年5月20日付けで提出された米国特許願第08/650,633号の開示をこの明細書で参考として取入れている。
【0078】
本発明は、水素化物ならびにハロゲン化物気体および有機金属族V化合物のイオン注入のような用途に使用される流体供給源手段としての新しい低圧貯蔵ならびに搬送システムを提供する。前述の例証となる実施例は、アルシン、ホスフィン、ゲルマン、塩素、NF、BF、BClジボラン(Bとその重水素類似化合物であるB)、HCl、HBr、HF、HI、六弗化タングステンおよび(CHSbを含む。本発明はさらに小型で、ポータブルの使用場所で使える流体供給源手段としての新しい低圧貯蔵ならびに搬送システムを提供する。
【0079】
この明細書で用いられる用語「低圧」は、本質的には1気圧を上回らない圧力、例えば1.25気圧に等しいかまたはそれ以下の圧力、さらに好ましくは1気圧に等しいかそれ以下の圧力、そして最も好ましくは約0.15乃至約0.8気圧の範囲内の圧力をいう。
【0080】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムは、本発明の広範な実施にあって上述の低圧の一定の型におけるよりも高い圧力で運転できるが、このような貯蔵ならびに計量分配システムは、流体を減圧で用いる用途、例えばイオン注入の用途で特別に使用の効果をもつ。このような最終使用では、本発明の装置は流体の低圧での貯蔵および計量分配を可能にする。
【0081】
このような低圧作業により、本発明のシステムは先行技術の高圧液体容器用などの従来用いられてきた多数の用途での必要性を事前に除去するものである。特に危険な気体が関連する場合、高圧容器の使用が漏れの危険や、人および/または財産に及ぼす損傷が大きくなるものであるのに対して、本発明の低圧システムは流体媒体をほぼ大気圧レベルで貯蔵し、手早くかつ自在の方法で計量分配できるものである。
【0082】
本発明の流体源システムは漏れ止め容器、例えば計量分配され、物理的吸着材料からなる吸着材料に吸着されることになる流体を入れる気体用ボンベからなる。気体状収着質、例えばアルシンとホスフィンの場合、吸着剤は収着質気体の蒸気圧を1気圧に等しいか小さくなるまで低下させる。
【0083】
本発明をアルシンとホスフィンガスの貯蔵ならびに搬送の点で主として以下に討議するが、本発明の使用効果はこのようにして制限されず、むしろ広範囲の種類の他の気体と同様に液体、気−液混合物なども含まれることがわかるであろう。例証となる実施例はシラン、ジボラン、アルシン、ホスフィン、ホスゲン、塩素、BCl、BF、B、六弗化タングステン、弗化水素、塩化水素、沃化水素、臭化水素、ゲルマン、アンモニア、スチビン、硫化水素、シアン化水素、セレン化水素、テルル化水素、重水素化水素化物、ハロゲン化物(塩素、臭素、沃素および弗素)気体化合物、例えばNF、ClF、GeF、SiF、有機化合物ならびに有機金属族G化合物、例えば(CHSbを含む。
【0084】
本発明の液体を0psigに等しいかそれ以下の圧力で貯蔵ならびに搬送する新規な手段と方法は、これらの流体で提起される危険を大きく低減させる。この創意ある技術はこれらの流体を炭素質物理的吸着剤に吸着させる必要がある。流体の炭素質物理的吸着剤への吸着により、流体の蒸気圧を0psigに等しいかそれ以下の圧力に低下させることができる。このシステムからの放出潜在能力は圧力の駆動力を排除するに従って大いに低下する。
【0085】
本発明の広範な実施に用いられる吸着剤は貯蔵ならびに本発明の実施に用いられる吸着剤から貯蔵され計量分配されることになる流体に対し吸着親和力をもつ適当なものであればどのような形態のものでも差支えない。例えば吸着剤は多孔質珪素材料、燐酸アルミニウム、クレー、ゼオライト、重合体(多孔質テフロン、大型網状重合体およびガラス状ドメイン重合体を含む)、ホスホシリケート・アルミニウム、炭素材料などからなる。
【0086】
本発明の実施で好ましい吸着材料はゼオライトと炭素吸着剤を含む。
【0087】
炭素吸着材料の好ましい種類は、合成炭化水素樹脂、例えばポリアクリロニトリル、スルホン化ポリスチレン−ジビニルベンゼンなどの熱分解により形成された炭素、セルロース木炭、木炭、天然材料源、例えば椰子殻、ピッチ、木材、石油、石炭などから形成された活性炭素を含む。
【0088】
炭素吸着材料はそれ自体周知のものであり、また、例えば広範な種類の工業的方法、例えば半導体工業で、炭素の極めて大きいベッドへの流出流れからのVOCの吸着によるVOC減少度に対する処理に用いられてきたが、それにもかかわらず炭素吸着性材料を基剤にした流体試薬とプロセス気体を最初に供給する貯蔵ならびに計量分配システムはなかった。したがって本発明は寸法、形状、表面積、組成とも広範な種類で、容易に市場で入手できる炭素吸着材料を活用し、加圧ボンベからプロセス気体と流体試薬を供給する先行技術による実施の危険、欠点ならびに不利益を事前に除去できる有効な流体供給システムを提供することで技術上本質的なれ利点を示す。
【0089】
先行技術は溶接用ガス、麻酔用ガス、酸素化学プロセス試薬ガスなどを供給する気体ボンベを広範囲に活用し、また関連する高圧を含むための極めて厚肉のボンベ容器を用いてきた。それは、ボンベの供給能力(計量分配できる流体の量)がボンベ内の圧力レベルの関数であり、増加圧力レベルが増加ボンベ計量分配容量と一致するからである。
【0090】
吸着性媒体、すなわち炭素質吸着剤を用いることにより本発明は方法上の問題点(高圧気体ボンベ破裂の危険、現場での気体分解による過圧の危険、ならびに極めて高い圧力の気体の監視ならびに調整に関連し、危険性気体の場合、関連する危険と比例する特別の安全ならびに処理対策を必要とする問題点を含む)を事前に除去する。本発明の吸着性媒体は流体の早急な貯蔵と容易に効果をもたらす差圧および/または熱脱着計量分配を可能にする。
【0091】
ここで用いられている本発明の物理的吸着材料に関連する用語「炭素質の」は吸着材料が吸着素材中の主要成分として炭素元素からなることを意味する。炭素吸着材料の好ましい種類は合成炭化水素樹脂、例えばポリアクリロニトリル、スルホン化ポリスチレンジビニルベンゼンなど熱分解により形成された炭素、セルロース炭、木炭、天然源材料、例えば椰子殻、ピッチ、木材、石油、石炭などで形成された活性炭を含む。
【0092】
好ましい炭素吸着材料は活性化炭素、すなわち粒状木炭を高温で加熱して生成される高吸着性の炭素形態のものである。最も好ましいものは、活性化炭素のいわゆるビーズ炭素の形態をとり、その場合極めて均一性のある直径の球状粒子のビーズは、直径が約0.1乃至約1cm、好ましくは約0.25乃至約2mmの範囲にあるものである。
【0093】
本発明の広範な実施で好ましい市場で入手できる炭素吸着材料は、米国.ニューヨーク州.ニューヨークのクレハ.コーポレーション.オブ.アメリカの市販になる「BAC−MP」、「BAC−LP」ならびに「BAC−G−70R」として示されるビーズ炭素材料と;米国.ペンシルバニア州.フィラデルフィアのローム.アンド.ハース.コンパニーの市販になる「Ambersorb(R)」の炭素質吸着剤で、銘柄として「Ambersorb(R)563」、「Ambersorb(R)564」、「Ambersorb(R)348F」、「Ambersorb(R)575」、「Ambersorb(R)572」と「Ambersorb(R)1500」があり、またカルゴン.カーボン.コーポレーションから市販される「ColgonFiltrasorb 400(R)」と「BPLGAC」の炭素吸着材料があり、またドイツ連邦共和国.エルクラットのブルハー.ゲー.エム.ベー.ハーの市販になるビーズ活性化炭素吸着材料を含む。上述の炭素吸着剤の中で、「Ambersorb」材料は、気孔中に50オングストローム以上のかなりの気孔容積を有し、また一般にこのような大きい気孔を有する材料は、約40オングストロームを超えない気孔をもつものに比べて余り好まれない。
【0094】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムで用いられる吸着剤は、最終用途と必要とされる特定収着質流体種に適当なものであればどのような寸法、形状ならびに形態を有していてもよい。吸着材料は、例えばビーズ、顆粒、ペレット、タブレット、粉末、粒子、押出物、布もしくはウエブ状材料、ハニカム・マトリックス・モノリス、(吸着剤と他の成分の)複合体もしくは前述形態の微粉砕または圧潰形状にすることができる。
【0095】
集合的には、本発明の貯蔵ならびに搬送システムは標準的気体用で炭素吸着材料を入れるボンベと、そのボンベに連結されたボンベ用弁もしくは他の流れ計量分配アセンブリー(調圧弁、監視器、検出器、流れ方向づけ手段、圧力制御器、マス・フロー制御器、配管、弁調整、計装、自動始動ならびに遮断装置など)からなる。吸着剤の貯蔵ならびに計量分配用容器への充填の後、ボンベに引続き、例えば1気圧以下の圧力に収着質流体を充填して生成物貯蔵ならびに計量分配システムを製造する。
【0096】
使用中、本発明の貯蔵ならびに計量分配システムからの差圧脱着を用いる流体流れは、前記貯蔵ならびに搬送システムの内容積における圧力と、吸着剤を含む容器の外部にある比較的低い圧力との間の差圧を用いることで容易に起こすことができる。
【0097】
例えば、吸着剤を含む容器は、ホスフィンのような試薬気体を減圧、例えば600トルでイオン注入工程での使用のため保持することができ、そこでは燐成分注入用のイオン注入室を真空条件にかけるか、別の例として低圧、例えば100トル以下で、かつ貯蔵ならびに計量分配用容器内の内容積の圧力以下で維持する。その結果、ホスフィンガスは容器内の吸着剤から脱着して、気体流れ連通が前記イオン注入室と、収着質ホスフィンガスを含む貯蔵ならびに計量分配用容器との間につくられると、イオン注入室に流れる。貯蔵ならびに計量分配システムはこのようにしてホスフィンガスの流れを接続用配管、弁調整ならびに計装を通して発生させ、所望の流量で容易に制御できる。装置、例えばマス・フロー制御器を用いると、一定の流れは吸着剤容器圧力が間断のない計量分配作業と共に減少するに従って達成できる。
【0098】
さらに、あるいは別の方法として、本発明の貯蔵ならびに計量分配の流体計量分配アセンブリーは、吸着材料を加熱して収着質流体をそれから熱的に脱着する手段を備えることができる。このような加熱手段は吸着材料と動作的に作用するよう関連し、収着質の吸着材料からの熱脱着に適するどのような熱伝達もしくは熱交換装置、構成部材もしくは装置を備えても差支えない。このようにして、本発明は収着質流体を上に貯蔵した吸着剤からそれを熱および/または圧力媒介計量分配することを企図している。
【0099】
ここで図面を参照すると、図1はアルシンに対し、吸着材料1リットル当りアルシンのg数で測定されたアルシン充填をトルで測定された圧力の関数としてプロットで示され、また例証となる炭素吸着剤(曲線A、データポイント符号△)の各々に対し、そしてゼオライト5A分子篩(曲線B、データポイント符号■)に対する吸着等温線のグラフである。炭素吸着材料はクレハ社製の「BAC−G−70R」炭素材料であり、下表1に詳述された次の特定をもつ:
【0100】
【表1】

【0101】
このビーズ炭素材料の水分は、もともと市場で供給された炭素の加熱と排気により0.01%以下という低いレベルにさらに下げることができる。炭素吸着剤のこのような予備処理は、さらに受け入れたままの炭素材料中の他の好ましくない吸着された不純物のためにもなるという前述に関し注意すべきである。
【0102】
図2は、オングストロームで示す気孔の寸法の関数として、1g当りcmで示す累積気孔容積を先ず表1(曲線C)のビーズ炭素吸着材料に対し、そして本発明の広範な実施に有用ないくつかの特別の例証となる市販の活性炭素吸着剤(曲線D、EおよびF)に対し示すプロットである。図示された曲線Cのビーズ炭素材料は10乃至10,000オングストロームの気孔の寸法の範囲全体に亘って約0.3乃至約0.7の累積気孔容積をもつ。曲線D、EおよびFのその他の炭素吸着材料は比較的広い累積気孔容積を有する。
【0103】
一般に、約10乃至1000オングストロームの寸法の範囲の気孔のかなりの部分、好ましくは少なくとも50%を備える吸着剤材料を利用する。さらに好ましくは、吸着材料がその気孔容積の主要部分、すなわち50%以上、好ましくは80%以上、最も好ましくはほぼ全てが約2オングストローム乃至100オングストロームの範囲の直径の気孔からなることである。
【0104】
好ましい吸着材料は約10乃至20オングストロームの範囲の平均気孔直径を有する吸着剤を含むことで、また気孔容積の大部分がこのような範囲をもち、好ましくは80%以上、最も好ましくはほぼ全てがこのような範囲にあることである。
【0105】
望ましい吸着剤は、吸着材料1g当り0.2乃至約2.0cmの範囲の気孔容積(累積気孔容積)をもつ材料を含むことである。
【0106】
本発明の低圧貯蔵ならびに計量分配システムの吸着剤を入れる容器内の内圧が約1200トル以下である。好ましくは圧力が800トル以下、そして最も好ましくは700トル以下であることである。貯蔵ならびに計量分配用容器内の吸着ずみ流体を減圧することによって収着質流体の周囲環境への漏れならびに大量分散の危険は、流体の高圧収納が絶えることない、かつ著しい危険と、それに対応する安全性と処理問題を伴う先行技術による実施とは対照的に未然に防げる。
【0107】
さらに別の実施態様にあって、本発明はすでに上記に広範に説明した種類の高吸着充填能力、高率脱着性収着質の割合、および高吸着作業能力からなる流体貯蔵ならびに計量分配システムに関するものである。
【0108】
この脱着性収着質の割合は望ましくは少なくとも15%くらい、好ましくは少なくとも25%くらい、さらに好ましくは少なくとも50%くらい、そして最も好ましくは少なくとも60%くらいである。
【0109】
吸着材料は、好ましくは第1の例では収着質流体を容易に、また適切に高速度で吸着し、また前もって吸着した流体を、(1)貯蔵ならびに計量分配用容器の内容積と低圧の外部との間の差圧、および/または(2)前記貯蔵ならびに計量分配システムが流体計量作業モードにある時の吸着剤の加熱、に応答して迅速な方法で対応して放出するという特徴を備えることである。
【0110】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムで有用な好ましい吸着材料は、吸着材料の1g当り気孔容積の約0.1乃至約5.0cmの範囲の気孔容積(累積気孔容積)をもつ材料を含むことである。
【0111】
極めて好ましい材料は、約2乃至約20オングストロームの範囲の平均気孔直径と、気孔容積の大部分が前記範囲内、さらに好ましくは80%以上、そして最も好ましくは気孔容積のほぼ全てが前記範囲内である吸着剤を有することである。
【0112】
本発明の幅広い実施に有用な高性能炭素吸着剤は、吸着剤1リットル当り少なくとも50g、好ましくは少なくとも100g、さらに好ましくは少なくとも150g、そして最も好ましくは少なくとも200gのアルシンガス(基準流体として)の圧力40トルと650トルで測定された吸着作業能力を備えるものを含むことである。脱着性収着質の割合は、望ましくは少なくとも15%くらい、好ましくは少なくとも25%くらい、さらに好ましくは少なくとも50%くらい、そして最も好ましくは少なくとも60%くらいである。
【0113】
極めて均一性のある球体形状を有し、粒径が約0.1mm乃至1cmの直径、さらに好ましくは約0.25乃至約2mm直径の範囲のビーズ活性炭材料が本発明の実施に極めて有利である。吸着剤の粒径、形状ならびに気孔寸法の分布を本発明の実施には個々にかつ著しく変動させて、吸着剤の粒子の充填ならびに吸着材料のベッド中の充填密度を調整する。
【0114】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムで有用な吸着材料は一般に、適当であればどのような寸法、形状ならびに形態のもので、ビーズ、顆粒、ペレット、タブレット、粉末、粒子、押出物、布またはウエブ形態の材料、ハニカム・マトリックス・モノリス、および(吸着剤と他の成分の)複合材料、ならびに細砕もしくは粉砕された前述の吸着材料の形態のものでもよい。
【0115】
吸着材料は適切であればどのような材料で重合体(例えば微孔質テフロン、大型網状重合体、ガラス状ドメイン重合体など)、燐酸アルミニウム、クレー、ゼオライト、多孔質シリコン、ハニカム・マトリックス材料、炭素材料などを含むものでもよい。
【0116】
最も好ましい吸着材料はゼオライト吸着材料と炭素吸着剤を含む。好ましい炭素吸着材料の中で、極めて均一性のある球体形状を有し、粒径が約0.1mm乃至1cmの直径、さらに好ましくは約0.25乃至約2mmの直径の範囲のビーズ活性化炭素材料が最も好まれる。
【0117】
アルシンを特徴化の基準気体としてここでも用い、本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムに特に有用な吸着材料は、吸着剤1リットル当り吸着されたアルシンのg数で測定され、トル表示の圧力の関数としての25℃の温度でのアルシンガス吸着等温線を有する材料からなり、次の吸着充填特性を有する。
【0118】
圧力 最小限の充填量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 30
50 62
100 105
200 145
300 168
400 177
500 185
550 188
650 192
【0119】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムに用いられる吸着材料は、貯蔵され、続いて吸着剤から計量分配されることになる吸着流体にとって可能な限り高い充填特性を有することが好ましいが、極端に高い吸着充填能力がいくつかの場合、貯蔵ならびに計量分配システムの製造に関し、吸着熱の見地から不利なこともある。吸着性流体の吸着剤での吸着は、典型的例として発熱性のものであり、気体、例えばアルシンやホスフィンにとっては、気体の吸着剤への充填速度により、発熱量は100βC以上の桁の温度上昇を必要的に伴うものである。従って、高い吸着能力を、後続の計量分配のため吸着剤の上に貯蔵することになる流体を充填する間に吸着実施により大量の熱を伴わない範囲内に備える吸着剤を利用することが好ましい。
【0120】
従って、本発明の実施に有用な吸着材料はアルシンガスに対し、吸着剤1リットル当り吸着されたアルシンのg数として測定され、トル表示の圧力の関数としての25℃の温度での吸着等温線が図1の曲線G1とG0で囲まれた吸着等温線範囲内にある材料を含むことができる。このような吸着材料は次掲の吸着充填特性を有する。
【0121】
圧力 充 填 量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 30−60
50 62−138
100 105−185
200 145−232
300 168−263
400 177−288
500 185−308
550 188−315
650 192−330

【0122】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムでの好ましい炭素吸着材料は、25℃の温度でのアルシンガス吸着等温線を、吸着剤1リットル当りの吸着されたアルシンのg数で測定され、トル表示の圧力の関数として有する炭素材料からなり、下記の吸着充填特性を有する。
【0123】
圧力 最小限の充填量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 35
50 75
100 100
200 160
300 200
400 225
500 240
550 250
650 〜300
【0124】
適切な炭素吸着材料は、例えば25℃の温度で次の吸着充填特性を有する;
圧力 充 填 量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 35− 60
50 75−100
100 100−115
200 160−175
300 200−220
400 225−245
500 240−260
550 250−275
650 260−300

【0125】
本発明の幅広い実施で有用な極めて好ましい炭素吸着材料は、アルシンガスの25℃の温度での等温線を有し、吸着剤1リットル当り吸着されたアルシンのg数で測定され、トル表示の圧力の関数として有する材料を含み、図1の曲線Aの吸着等温線特性をもつ。
【0126】
吸着剤の気孔の寸法、気孔容積ならびに表面積特性が本発明の広範な実施で広く変わることと、熟練者が本発明の貯蔵ならびに計量分配システムの所定の最終用途の適切な吸着特性を、表面積と多孔度測定を用いる不必要な実験を必要としない、例えば、水銀多孔度測定技術と、特定の候補吸着材料上の貯蔵ならびにそれからの計量分配を必要とする特定の流体の親和性の研究と共に容易に決定できること、とが容認されるであろう。
【0127】
図1を再度参照すると、吸着材料の等温線と特定収着質気体は一定の圧力で除去できる収着質の量の予見に総体的に有用である。これは物理吸着された流体種に対する吸着/脱着工程の可逆性のためである。例えば、曲線Aのビーズ炭素吸着材料に対し、アルシン流体を上に吸着させる吸着剤を650トルの圧力から100トルの圧力に脱着させる場合、吸着材料1リットル当りのアルシン140g(275g−135g=140g)をそこで脱着させるはずである。対照的にゼオライト5A分子篩は、同じ差圧で脱着する場合、わずか87.5gだけの収着質流体(215g−127.5g=87.5g)の脱着を示す。
【0128】
このようにして、本発明の貯蔵ならびに計量分配システムにある炭素吸着剤から回収できる収着質の量は、650トル乃至100トルの特定圧力範囲以上の圧力脱着による運転の時、先行技術の貯蔵ならびに計量分配システムのゼオライト5A材料より60%高い。従って、図1の曲線Aの炭素吸着材料の性能は、本発明の広範な実施で用いる炭素吸着媒体の性能の典型として、計量分配の吸着材料から収着質流体を脱着する能力の驚くべき意外な向上を証明している。
【0129】
図3は本発明の一実施例による貯蔵ならびに計量分配システムの概略図である。
【0130】
図3に示された概略図による貯蔵ならびに搬送装置システムでは、適切な物理的吸着材料、例えばさらに上記詳述したような種類のビーズ活性化炭素物理的吸着媒体のベッド17を充填できる気体貯蔵用ボンベ10を設けることができる。
前記ガスボンベ10は、物理的に吸着された気体成分、例えばその表面(気孔と同様に吸着媒体の外面も含む)で吸着されたアルシンもしくはホスフィンを入れる。
【0131】
前記ボンベ10をマニホールド12に接続し、ボンベ用弁14を中に配置してボンベ10を閉鎖するよう選択的に作動させてマニホールド12に連通させることができる気体用ボンベ隔離弁16の上流にボンベ10から気体を制御可能に放出する。
【0132】
前記マニホールドはその中に分岐取付け体18を備え、それにより前記マニホールド12を、不活性気体パージ隔離弁22を中に備える分岐パージ管路20と気体流れ連通して連結することで、前記マニホールドを不活性気体で、ボンベ10からの気体の積極的動作搬送に先立ってパージできる。
【0133】
前記取付け体18から下流のマニホールドは2つの連続する濾過器28と30を入れ、その中間に、例えば圧力作業範囲が約0乃至約25psiaの圧力変換器32を配置する。
【0134】
前記マニホールド12を気体濾過器30の下流で分岐取付け体34と接続、それにバイパス隔離弁38を中に備えるバイパス導管36を連結する。取付け体34の下流のマニホールド12は気体流れオン/オフ弁40を中に備え、その下流にマス・フロー制御器42を配置してマニホールド12を通って計量分配される気体の流量を制御自在に調整する。マス・フロー制御器42の末端下流で、マニホールド12を連結取付け体44により流量制御弁48を中にうめた排出管路46に接続し、また連結取付け体50を介してバイパス導管36と気体流れ連通して連結させる。排出管路46を図示のようにイオン源発生手段に素子52として概略図で示すように接合する。排出管路46の他端54を、図3の貯蔵ならびに搬送システム装置の所定の最終用途での所望もしくは必要なものとして他の気体計量分配手段と気体流れ連通して連結できる。
【0135】
図3の実施例における貯蔵ならびに計量分配用ボンベ10の任意の特性として、吸着材料のベッド17を通って垂直で上方に伸びる熱交換通路11が示される。この熱交換通路をそのそれぞれの下端と上端で熱交換流体供給入口管路13と熱交換流体放流排出管路15に接合する。この熱交換流体供給入口管路13を順番に、流体の容器10からの計量分配が好ましい時、吸着材料のベッド17の選択的加熱に役立つバーナー、抵抗加熱器もしくは、他の加熱手段と動作的に関連させ得る熱交換流体の適当な源(図示せず)に接合できる。熱的脱着はこのようにして適当な熱交換流体を熱交換回路に通す再循環(例えば図示していないが、ポンプと溜め手段により)用の供給入口管路13、熱交換通路11ならびに流体放流排出管路15を通す通路によって行うことができる。このような加熱手段が機能することによりベッド17にある吸着媒体を熱助成脱着が行われるだけの十分な高温に加熱する。
【0136】
図3に概略図で示された配置により、収着質流体の熱助成脱着と計量分配を、収着質流体の圧力差圧媒介計量分配の別法とするか、あるいは組み合わせにして、特定の脱着様式の選択を当業者による不必要な実験なしに容易および/または至決定できる。
【0137】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムの製造において、貯蔵ならびに計量分配用容器は必要に応じて洗浄され、容器を用いて続いて行われる貯蔵ならびに計量分配作業に不都合な衝撃を与えることのできる容器の壁体内の除気性種を含む僅かな汚染物もしくは種を無くすことを保証する。このため、焼出し、溶剤脱脂もしくは別の仕方で、容器とその内面を洗浄、除去もしくは処理工程にかけて、続いて仕込まれた吸着材料用に適切に清浄な容器を提供することが好ましい。
【0138】
吸着材料はその後、貯蔵ならびに計量分配用容器の内容積の中に充填され、容器を最終的に組立てて封止する。吸着材料は洗浄もしくは加工されてからそれを容器に導入し、吸着媒体の吸着能力を最大化する。さらに、もしくは別の方法で、吸着媒体は洗浄するか、あるいは現場加工されて最大限の吸着能力を、例えば吸着剤を含む容器の焼出しを十分な高温で、また外来の収着質種の吸着材料の脱着と洗浄に十分な時間をかけて行うことにより確実にする。例えば、容器は長時間、例えば48時間の間、適当な高温、例えば200乃至400℃で適当な真空ポンプもしくは他の排気手段を用いて排気(ガス抜き)されることができる。排気の後、容器は適当な時間、例えば6乃至12時間に亘って室温まで冷却される。
【0139】
排気/ガス抜き手順の後、排気された吸着剤容器は収着質流体充填マニホールドに接続される。流体種の吸着は、吸着作用の熱のため著しい発熱量を伴うので、容器と吸着材料を適当な温度で維持し、収着質流体を吸着材料によるその最初の吸収の後、このような熱作用により脱着させないようにすることが好ましい。
【0140】
近似等温状態を維持するため、ボンベは、例えば25℃の一定温度で維持された水性エチレングリコール混合物のような熱バラスト液に、例えば浸漬される。
【0141】
収着質流体充填マニホールドは排気してから収着質流体を適当に低い圧力、例えば10−3トル以下に計量分配して、前記充填マニホールドの流路に存在する非凝縮性気体を除去する。このような排気の後、炭素吸着剤を含む容器は収着質流体を所望の圧力レベルに達するまで適当な速度で充填される。効率をよくするために、充填作業中、容器の圧力を適当な圧力監視器もしくは他の(例えば変換器に設ける)検出手段を用いる監視が望ましい。
【0142】
充填工程中、容器の温度と熱バラストタンクは個々に、収着質流体温度と共にプロセス制御のため整視される。圧力を監視して充填工程の終点を決定する。
【0143】
容器に収着質流体を、段階を踏んで充填し、装置を平衡化して温度効果を少なくとも部分的に周囲環境に、もしくは熱伝達媒体、例えば上述の熱バラスト液に散逸させることが好ましい。
【0144】
別の方法として、容器を特定の圧力に充填し、その後、容器が吸着剤ベッドと関連容器の最終温度と圧力条件になるまで冷却させることが適当であろう。
【0145】
従って、収着質流体の計量充填もしくは連続充填を行って、収着質流体を容器に導入してその中の吸着材料により吸着吸収させる。充填シーケンスに続いて、容器をその充填マニホールドから外した後、積出し、貯蔵または計量分配現場で配管、連結と計量分配回路構成に取付けて続く計量分配用に配置する。
【0146】
図4は時間表示の時の関数としてトル表示のボンベ圧力のプロットで、本発明による貯蔵ならびに計量分配システムにあって、アルシン充填作業が終った後の炭素吸着剤上のアルシンガスの圧力減衰をグラフで示す。図示ように、吸着剤を含む容器内の圧力は750トルの初期圧力レベル(時間ゼロで)から10時間後688トルに減衰される。
【0147】
図4のプロットは容器内にアルシン充填作業の終った時点で存在する非平衡状態を示す。このような時点で、吸着作業の熱は比較的高い圧力を出す(冷却後の最終平衡圧力レベルとの比較で)。続く圧力減衰は、充填作業終了後の吸着剤ベッドと容器の冷却のためである。従って、充填工程に続いて、吸着作用の熱の散逸後に貯蔵ならびに計量分配用容器内の圧力レベルを算定することが適当である。
【0148】
図5は本発明によるアルシン貯蔵ならびに搬送システムに対する、時間表示の時の関数として、トル/時間で表示する圧力減衰速度のプロットであって、その充填後の圧力特性を図4に示す。図5は図4に示された曲線の導関数として測定される減衰速度曲線を示す。図5の速度曲線は、約2時間後に減衰速度がゼロに接近するに従って、貯蔵ならびに計量分配用容器内の圧力変動が安定レベルに落着くことを示す。
【0149】
さらに、図4と図5のプロットは、貯蔵ならびに計量分配用容器内の圧力が収着質気体充填後に増大しないで減少し、そのことからアルシン収着質が現場の容器内では分解しないことが推断できる。これは吸着材料が収着質気体、例えばアルシンの分解を媒介もしくは促進するに役立ち得る汚染物もしくは微量種を含むことがあるとする点で有意である。
【0150】
アルシンもしくは他の収着質気体種の過度の分解が共存しないことを確めるために、本発明の実施にあたって炭素吸着媒体に微量成分、例えば水、金属ならびに酸化遷移金属種(例えばオキシド、スルフィットおよび/またはニトレート)からなる群より選ばれるもので、前記貯蔵ならびに計量分配用容器中で収着質流体を分解させるだけの十分な濃度をもつ微量成分が全くないことが望ましい。
【0151】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムにおいて、水と酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の炭素吸着材料の濃度(炭素吸着材料の重量に対し)は1年後、25℃の温度と前記内圧で、収着質流体の5重量%以上、好ましくは1重量%以上の分解に不十分であることが望ましい。
【0152】
この基準は収着質流体、例えば、水、金属および酸化遷移金属種(例えばオキシド、スルフィットおよび/またはニトレート)の存在下で分解に別の仕方で感受性のある水素化気体、例えばアルシン、ホスフィンなどを前記種に事実上曝すことなく維持して、収着質気体のかなりのレベルの分解と、それが原因の圧力発生の諸問題を防ぐことができる。
【0153】
好ましくは水、金属および酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の炭素吸着材料の重量に対する濃度は、1週間後、25℃の温度で貯蔵ならびに計量分配用容器内の内圧に25%の上昇以上、なるべくなら10%の上昇以上となる収着質流体の分解を起こすには不十分であることが好ましい。
【0154】
本発明の実施に有利に用いられる炭素吸着材料は、炭素吸着媒体の重量に対して水と酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の350重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、さらに好ましくは10重量ppm以下、最も好ましくは1重量ppm以下を含むことが好ましい炭素材料を含む。
【0155】
図6はg/リットル表示のアルシンのビーズ炭素吸着材料上の充填を貯蔵ならびに計量分配用容器のトルで示す圧力の関数としてプロットしたアルシン吸着等温線のプロットである。図1のアルシン吸着等温線(曲線A)と事実上同一の形状を有するこの吸着等温線から、40トルと650トルの圧力とでアルシンガスに対して測定され、また、
Cw=(650トルの圧力と25℃の温度で1リットルの吸着剤上のgで表示するアルシンガスの重量)−(50トルの圧力と25℃の温度で1リットルの吸着剤上のg表示のアルシンガスの重量)、として測定された吸着作業能力、Cwは、
(278−70=吸着剤1リットル当り208gのアルシン)
となる。
【0156】
上記に述べた通り、本発明の実施における好ましい炭素吸着媒体は、図6に示された吸着等温線形状である図1の曲線Aの吸着等温線特性の形状に対応する形状をもつ(基準測定気体収着質種として使用された)アルシン吸着等温線をもつ吸着剤を含む。
【0157】
図7は本発明の他の実施例による貯蔵ならびに計量分配システム200の概略斜視図である。
【0158】
図示のように、貯蔵ならびに計量分配システム200はその上部で弁ヘッド206に接合される貯蔵ならびに計量分配用容器204からなり、前記弁ヘッドがボンベ上の弁ヘッドの手動作動器208を備える計量分配アセンブリーの一部からなる。前記弁ヘッドをカップリング210により、圧力変換器214を、中に配置した計量分配導管212と、計量分配アセンブリーを不活性ガスでパージする不活性パージ装置216と、計量分配作業中に計量分配導管212により定流量を維持するマス・フロー制御器220と、粒子を計量分配した気体から除去してからそれを計量分配アセンブリーから排出させる濾過器222とに接合する。
【0159】
計量分配アセンブリーは、計量分配アセンブリーを下流配管、弁調整もしくは吸着ずみ流体の使用の場所と関連する他の構成部材と噛合い自在に係合させるカップリング224からさらになる。
【0160】
図8は本発明の一実施例による計量分配ずみ気体をイオン注入に用いる気体搬送用の貯蔵ならびに計量分配装置を含む方法システム300である。
【0161】
図示のようにこの装置は、手動弁作動器ホイール306と連結させた弁ヘッド304にその上端で接合させた貯蔵ならびに計量分配用容器302を備える。前記弁ヘッドはVCR濾過ガスケット308に連結され、それを順番に流れ導管312と連結する。流れ導管312は圧力変換器310と、逆止め弁314と窒素パージ入口とも同様にも連通する。前記窒素パージ入口は計量分配アセンブリー流路の間隙への窒素もしくは他のパージガスの導入と、容器302からの気体の次の計量分配のために用いられる。
【0162】
流れ導管312は、流量制御弁307、スパン・ゲージ320、流量制御器322と、流量制御弁309をその中にさらに配置した。この流れ導管312はさらに、バイパス弁324を中に有するバイパス導管325と流れ回路形成関係で連絡される。この流れ導管312は図示する右手端部で、気体ボックス・マニホールド導管326に接合される。導管326がその中に配置された弁311を備え、また前記気体ボックス・マニホールドと連通する端部と相対して、貯蔵ならびに計量分配システムのイオン注入室との連結用のカップリング330を有する。
【0163】
操業中、貯蔵ならびに計量分配用容器302の吸着剤ベッド(図示せず)からの気体は流れ導管312と気体ボックス・マニホールド導管326の中を、流量制御器322で制御されるように制御可能な速度でイオン注入室に流される。圧力変換器310は流量制御器322および他の素子、例えば弁と関係して流れ回路の中で動作的に連結し、イオン注入用の気体の計量分配を適当な方法で行うことができる。
【0164】
図9は図8の貯蔵ならびに計量分配用容器302の断面斜視図で、このような容器の内部構造を示す。
【0165】
図示のように、容器302は容器の内容積352を囲繞し、また粒状の吸着材料350をその中に入れる壁体346からなる。容器の上端で、弁ヘッド304が接合する入口で、入口は多孔質中心チューブ360もしくは他の小孔を有するもしくは換言すると粒状固形物が吸着材料のベッドからの計量分配ずみ気体中に連行されないよう役立つ気体透過性構造を特徴とするものである。
【0166】
図10は本発明のさらなる実施例によるクライオポンプ貯蔵ならびに搬送システム装置の概略斜視図である。
【0167】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムは、脱着ずみ収着質気体を用いる場所が減圧かあるいは極めて低い圧力レベルにある低圧計量分配の用途、例えばイオン注入であっても、本発明の使用効果がこのように限定されるだけでなく、貯蔵ならびに計量分配用容器が大気圧より高い圧力で下流使用点まで収着質気体を供給する必要がある応用も含む。
【0168】
貯蔵ならびに搬送システムの吸着剤を含む容器から排出圧力より高い圧力で使用する気体を供給することが好ましい用途では、様々な圧力発生回路、加圧装置もしくは他の手段あるいは方法を有利に利用できる。
【0169】
例えば、ベンチュリポンプを配設して、供給された気体の圧力とボンベヘッド(計量分配される気体を結合させる吸着剤を含むボンベの)圧力を上回る選択された圧力レベルに上げることができる。このようなベンチュリポンプ装置が計量分配ずみ気体を選択された比較的高い圧力レベルで生成するが、それにもかかわらず、それはキャリヤ・ガスをボンベからの計量分配ずみ気体で連行するので、このような装置は計量分配される気体のキャリヤ・ガスでの希釈を必然に伴う。
【0170】
前記キャリヤ・ガス希釈効果はいくつかの用途で満足を与えるが、しかしながらいくつかの使用では、これらの希釈効果は全体にわたる方法システム、例えば高純度の生の気体が貯蔵ならびに計量分配システムから供給されることが好ましい場合に著しい拘束を示すことができる。メカニカル・ポンプをベンチュリポンプ手段の代りに用いることができるが、メカニカル・ポンプは著しい数の可動部の不利益を必然的に伴い、ポンプ中の粒子形成および/または気体流れに潤滑剤の連行に関連する諸問題の原因となり得る。ここでも、これらのことはいくつかの用途では許容できる付随効果となり得るが、他の用途では供給された気体を高い純度に、また粒子もしくは他の外来物質のない状態に維持する必要がある。
【0171】
貯蔵ならびに計量分配システムにより供給される気体を高圧で高純度、生の状態で供給する必要がある場合、クライオポンプアセンブリーの貯蔵ならびに搬送装置における設置は有利であり得る。
【0172】
図10は本発明のさらなる実施例によるクライオポンプ式貯蔵ならびに搬送システム装置400の概略斜視図である。
【0173】
このクライオポンプ・システムにあっては、主ボンベ402は、続いて計量分配される適当な収着質気体を上に充填した適切な炭素吸着材料(図示せず)を含む。ボンベ402は、計量分配方法の初期で「オフ」の位置にある主ボンベ隔離弁406を備える弁ヘッドアセンブリー404が取付けられている。
【0174】
前記弁ヘッド404は隔離弁410、マス・フロー制御器412、隔離弁414およびクライオポンプ416の入った導管408と連結される。導管408は隔離弁418と422および下流の方法システムと連結できる排出口434を備える製品計量分配調整器アセンブリー430を含む導管に順番に連結される。導管409は中圧ボンベ420に連結される。
【0175】
導管408に連結された前記クライオポンプは、液体窒素(もしくは他の適当な極低温液または流体)入口428と液体窒素出口426を設けられ、この入口428と出口426の中間に低温液体流路が図示するように加熱素子424により限界を画して配設される。前記クライオポンプの低温液体入口と出口は低温液体源に実施例に関する限り、極低温空気分離装置もしくは液体窒素または他の冷媒の極低温ボンベ源に適切に連結されることができる。それによりクライオポンプはクライオトラップ装置を形成する。このようにしてクライオポンプの出口は隔離弁422を設けると、前記中圧ボンベ420は前記隔離弁422によって隔離できるものとなる。
【0176】
圧力変換器411は導管408に配設され、ボンベ402に圧力監視関係に連結してボンベ内の圧力を監視し、また隔離弁418をそれぞれ調整する。
【0177】
図10に概略図で示された貯蔵ならびに搬送システムの作業は、ボンベ402に入っている炭素吸着剤上で吸着され適当な高圧化された圧力で搬送される気体としてのシランと、クライオポンプ416に入った動作流体として用いられることになる低温源としての窒素に関して以下に具体的に説明する。シランは−111.5℃の沸点と185℃の融点を有し、窒素は−198.5℃の沸点をもつ。
【0178】
シランは適当な昇圧での搬送が(比較的に高い沸点ならびに凍結点をもち、従って必要となる極低温冷却が少くてすむ容易にクライオポンプできるアルシンのような他の水素化物に対して)比較的困難であるので説明上選ばれた。
【0179】
最初に弁410、414ならびに406が開放され、一方弁418ならびに422が閉鎖されて減圧され、極低温ポンプ内の温度が液体窒素の温度にまで下げられた場合、シランはクライオポンプ内で、たとえ相対的に低い内圧が供給ボンベ402内にあっても凝固凍結することになる。
【0180】
マス・フロー制御器412はクライオポンプ416に移送される気体の量の正確な測定を可能にする。このような正確な測定はクライオポンプの過加圧が好ましく防げるので重要である。このような作業条件下でのシランはその臨界温度を上回って、クライオポンプ内の極限温度は極めて高くなることがある。
【0181】
正しい量の気体がクライオポンプ416に移送されてから、弁410と414は閉鎖される。凝縮シランはその後、ほぼ近周囲温度に加熱される。この加熱は、実施例に示されこのような用途に適した適当なものであればどのような加熱素子でも差支えないがバンドヒーターからなる加熱素子424により実施される。シランガスはそれにより高温に加熱する必要があり、またこの加熱がその純度とさらなる安定性に結果として悪影響を与えるシランガラスの崩壊を起こさせるので、計量分配されることになる製品気体の安定性と純度は増大させられる。
【0182】
シランガスの圧力は、それを使用すると別の仕方で結果的に製品気体が汚染されることになる多数の可動部を備えるメカニカル・ポンプに曝されることなく、クライオポンプで加熱してから著しく高くなり、効果的にガスはそれにより高純度状態に圧縮されたものになる。
【0183】
システム全体に亘るこの時点での気体の残留量は極めて少量で、大部分のシランが吸着剤容器、すなわちボンベ402に低圧で残留している。
【0184】
弁418が開放されると気体が中圧ボンベ402に流入する。すなわち弁422が開放された場合、そこで製品シランガスは排出口434を通って、調整器アセンブリー430に関連する監視手段(例えば流れ圧力)で監視されるように下流に流れることができる。この調整器アセンブリー430は圧力変換器432と関連し、該圧力変換器はシステム全体に亘ってその他の弁とクライオポンプ構成部材と動作的に連結して製品気体を選択圧力と容量流量で搬送できる。
【0185】
対応して様々な弁、マス・フロー制御器、クライオポンプ、変換器ならびに調整器も適当であればどんな方法ででも、例えばサイクルタイマーや方法安全システムを備えて動作的に相互接続されて、シランもしくは他の吸着気体の需要に基く搬送を制御可能、また再生可能の方法で容易に実施することができる。
【0186】
従って、図10に概略図で示されたシステムの作業に好ましいように時間をかけて下流のプロセス流れに分裂が起きないようにする。マス・フロー制御器と圧力変換器からクライオポンプならびに中圧タンクに入る信号は自動化プロセスシステムに用いることができる。クライオポンプは気体を貯蔵ならびに搬送システムから中圧ボンベ420に循環させて調整器の出口で一定圧力を維持する。
【0187】
図11は本発明による貯蔵ならびに計量分配システム502の性能を評価する搬送測定装置の概略図である。この貯蔵ならびに計量分配システム502は吸着材料(図示せず)を含む貯蔵ならびに計量分配用容器504と、ボンベ弁506、気体ボンベ隔離弁508および図示のように配置された(0〜1000トル)圧力変換器510を備える排出流れ管路512からなる流体計量分配アセンブリーとからなる。
【0188】
管路512は適当なコネクター手段により、不活性パージ気体源514に接続された不活性気体パージ隔離弁520を含む不活性気体パージ管路518に連結されたT字型コネクター516を有する接続管路522と接続される。管路512はさらにマス・フロー制御器524を含み接続管路522内に一定圧力と一定流量を維持させる。管路512にある気体オン/オフ弁526はコネクター手段により管路522に連結される管路530に管路522を通って気体を選択的に流すのに役立つ。
【0189】
管路530は一方の端部で真空装置538に、またその相対端部において液体窒素で冷却された受け容器534に接続される。それぞれの端部の中間に弁536と532を図示されたように配置する。
【0190】
図11に示された搬送測定装置は貯蔵ならびに計量分配用容器504から吸着流体をマス・フロー制御器524により制御された速度で流させる。脱着・計量分配ずみ気体はその後、液体窒素冷却受け容器534に、全システムの様々な管路の適当な弁の閉/開設定によって管路512、522と530を通す流れの後に、収集される。
【0191】
液体窒素の温度で、収着質気体の蒸気圧はほぼ0トルで、前記収着質流体の炭素吸着媒体からの脱着を低い貯蔵ならびに計量分配用容器圧力でも可能にする。実験は典型的例として試験用容器504が50トル以下くらいの圧力になるまで続けられる。このような時点で典型的例として、適当な流量(5sccm以下)をマス・フロー制御器により維持するには不十分な差圧がある。
【0192】
容器504から冷却受け容器534に流入した収着質流体の量は(マス・フロー制御器524を用いて)マス・フローの個々の合計により、また貯蔵ならびに計量分配用容器504を、脱着を行った前後に計量することで測定できる。
【0193】
図11の搬送測定システムを用いる例証となる実験で、アルシンガスを、本明細書の表1の特性をもつ炭素材料を吸着剤として含む貯蔵ならびに計量分配用容器から計量分配する。この実験の結果を下記した表2に示す。
【0194】
【表2】

【0195】
上述の吸着/脱着能力のデータは典型的分子篩吸着材料、例えば5オングストローム分子篩を用いる対応する貯蔵ならびに搬送システムを、ほぼ2倍を上回る改善を反映し、また本発明の先行技術に対し相当かつ予期しない特性をさらに証明する。
【0196】
図12は吸着材料としての5オングストローム分子篩からなる貯蔵ならびに搬送システム(曲線M、データポイント符号△)と、吸着材料としてのビーズ活性炭からなる貯蔵ならびに計量分配システム(曲線N、データポイント符号□)の性能で、トル表示の貯蔵ならびに計量分配用容器内の圧力を作業中の時間の関数として1分間当りの1標準cmのアルシンの流量で示すグラフである。これらの曲線は、アルシンの1sccm計量分配の一定流量で、ビーズ活性炭(曲線N)からなる貯蔵ならびに計量分配システムが2000時間に達する計量分配有効寿命の改良を提供することと、曲線Mの貯蔵ならびに計量分配システムが1000時間に達する計量分配有効寿命を有することを示す。
【0197】
本発明の貯蔵ならびに搬送システム装置と方法が高圧気体ボンベを吸着性気体の貯蔵ならびに計量分配に対する現在の用法に代る著しく安全な代替を提供する。本発明は吸着性流体をボンベまたは他の容器から0psigの圧力で輸送、貯蔵および搬送する能力を提供する。
【0198】
本発明の実施において、いわゆる熱助成搬送による吸着材料の実に低いレベルの加熱だけで、脱着気体の搬送速度を増大させて、最高500sccmの流量を容易に達成することができる。それにもかかわらず、気体搬送の高い速度は本発明の断熱動作を用い(熱もしくは熱エネルギーを収着質充填吸着媒体に補足的に投入しない)、吸着容器と、外部の計量分配場所、例えば半導体もしくは他の工業あるいは製造工程設備、例えばイオン注入室、分子ビームエピタキシー装置または化学蒸着反応器との間に存在する差圧だけで達成できる。
【0199】
本発明の装置は一体的装置の形態、例えば本発明の1つ以上の貯蔵ならびに計量分配システムを気体キャビネット内に配置して容易に配設できる。多数の吸着容器を必要とするこのような気体キャビネットでは容器の各々が、1つ以上のこのような容器から収着質気体の選択搬送のため共に分岐される。このキャビネットは個々のサーモカップルと、他の温度検知/監視装置と部品を容器および/または気体キャビネットの他の部材のその使用中の過熱を防ぐためにさらに備えることができる。
【0200】
このような気体源キャビネットは容器とその中に入れる吸着剤の選択的増加的加熱用の可溶性リンクヒーター素子と、スプリンクラーシステムと、排気熱検出器と、毒性気体を検知した時、装置の運転停止を機能させる毒性気体監視器と、スクラバーもしくは大量吸着装置と、そして余剰圧力ならびに温度制御手段とを特別に備えることができる。このような貯蔵ならびに搬送システム装置を用いると、500sccmの気体の15psig圧力での搬送速度は容易に達成できる。
【0201】
本発明の好ましい実施において、固相炭素物理的吸着媒体は、貯蔵ならびに計量分配用容器中の収着質流体を分解させるには不十分な濃度の水、金属と、酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分に全く欠けている。この点に関し、わずかな水、金属もしくは遷移金属酸化物が吸着材料に著しく存在していると、収着質気体の好ましくない高いレベルの分解を促進させる傾向がある。
【0202】
本発明の好ましい実施における固相炭素物理的吸着媒体は従って、水と酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の、物理的吸着媒体の重量に対し、350重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、さらに好ましくは10重量ppm以下、最も好ましくは水と酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の、物理的吸着媒体の重量に対し、1重量ppm以下を含むことである。
【0203】
対応して、水と酸化遷移金属種(例えばオキシド、スルフィットとニトレート)からなる群より選ばれる微量成分の固相炭素物理的吸着媒体濃度は、物理的吸着媒体の重量に対して、1年後、25℃の温度と、内圧条件で収着質気体の重量比で5%以上の分解には好ましくは不十分である。
【0204】
本発明の特性と利点は下記の非制限的実施例によりさらに十分示される。
【実施例1】
【0205】
74.7g(130ml)のクレハ社製炭素が清浄150mlフックステンレス鋼試料ボンベに充填された。このボンベにはヌプロ(Nupro)DSシリーズダイヤフラム弁が取付けられていた。弁の入口を改良して30ミクロンの「モット・メタロジカル(MottMetallurgical)」焼結金属重合体濾過器を取付けた。この重合体濾過器は炭素粒子が試料ボンベの内側に入れるのに役立った。
【0206】
ボンベをそこで48時間かけて300℃の温度で排気(ガス抜き)した。ガス抜きに使用する真空ポンプ(アルカテル・モレキュラー・ドラッグ・ポンプ(Alcatel Molecular Drag Pump)は1×10−6トルの極限圧力をもっていた。ガス抜きの期間の後、ボンベは室温で6時間以内の間冷却した。
【0207】
前記使用されたクレハ社製炭素の一般特性を上記した表1に示す。
【0208】
ガス抜き手順の結果を下記表3に示す:
【0209】
【表3】

【実施例2】
【0210】
実施例1のガス抜き手順の後、排気ずみ炭素試料ボンベはアルシン充填マニホールドのアルシン充填部分に接続された。ほぼ等温条件を維持するため、ボンベはエチレングリコール混合物を25℃で一定に保持して含むジュワーフラスコ内に浸漬された。その流体はジュワールフラスコに通し、ネスラブ(Neslab)RTE−100循環定温浴を用いて循環した。
【0211】
全マニホールドはその後、10−3トル以下の圧力になるまで排気され非凝縮気体を除去した。排気後、炭素試料はアルシンを25sccmの速度で、圧力が760トルに達するまで充填された。圧力はMKS0−1000トル バラトロン(Baratron)圧力変換器を用いて監視された。充填工程中、前記ジュワーフラスコ温度、炭素ボンベ圧力ならびに(充填が行われるフード環境の)周囲フード温度が監視されてフルーク(Fluke)電子データ自己計測器を用いて計測された。
【0212】
25sccmの充填速度を選んで吸着能力の測定にかかる時間を短縮させた。
しかしながら、吸着作用の熱のため真等温線の達成はできなかった。ボンベは定温度流体に浸漬されたとはいえ、前記流体と吸着剤の間の熱交換の速度は十分に速くなく、充填工程中は人工的に高圧をつくり出す結果となった。このことは図4に示され、充填の後の非平衡状態を明示している。
【0213】
この圧力減衰の原因は、アルシンの流れが終った後、吸着ベッドの冷却にあった。充填工程中のベッドに放出された熱は、吸着による熱のためであった。典型的例として、真等温線は圧力データポイントに達する前に吸着工程が平衡状態に達することで得られる。図5は図4からの曲線の導関数を示し、それが圧力減衰速度を生じる。速度曲線は、減衰速度が約2時間のうちにゼロに達するので、圧力変動が安定レベルに落着くことを示している。決定的に重要なことは、アルシンが分解していないことを証明する圧力が増大していないことである。
【0214】
近似の等温線を構成して、それについて図4に示す。
【0215】
吸着能力はアルシンのマス・フロー速度を実験の期間に対し積分することにより計量された。吸着測定のエンドポイントは760トルもしくは1気圧の圧力として取られた。吸着能力もマスにより、未充填ボンベの重量と、760トルでのアルシン充填で満たされたボンベとの差をとることにより立証された。吸着能力測定の結果を表4に示す。
【0216】
【表4】

【0217】
ゼオライト分子篩吸着剤で吸着されたアルシンの吸着に対する先行技術によるアルシン貯蔵ならびに計量分配システム技術が1日当り約5トルの水素生成速度をもつことを実証した。本発明は組成的にまた機能的にもゼオライト分子篩材料から区別でき、また収着質種の分解作用に対する高い安定度と自由度を示した炭素吸着材料を用いている。
【0218】
従って、改良された作業能力、脱着および本発明の貯蔵ならびに計量分配システムにおける炭素吸着剤の他の機能的特性と一致して、本発明のシステムは、ゼオライトを基剤とした貯蔵ならびに計量分配システムおよび先行技術による気体材料を高圧ボンベから計量分配する実施を上回る著しい進歩を達成したことが分かる。
【0219】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムは、計量分配ずみ気体の利用のため、適当であればどのような下流プロセスとも動作的に接続されることができる。例えば、貯蔵ならびに計量分配システムは流れ供給関係にして、イオン注入室、シリコン半導体処理工場、化合物半導体処理工場、フラット・パネル・ディスプレー製造設備、有機合成設備、薬剤製造設備、麻酔ガス用の小出しマスクならびに空気処理もしくは水質汚染排除設備、調理用ガスの場合のレンジもしくはバーナー、あるいは本発明の貯蔵ならびに計量分配システムから計量分配された気体の最終用途のための他の適当な下流手段もしくは方法設備ならどのようなものにも接続できる。
【0220】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムは広範な種類の気孔の寸法、多孔性、形態ならびに化学組成の広範な種類の吸着剤を用いて実施できる。
【0221】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムは液体、気体、蒸気、多成分と多相の流体流れなど搬送に利用できる。この貯蔵ならびに計量分配システムはさらに、昇華性の固形物の計量分配用にも用いることができ、またこの貯蔵ならびに計量分配システムに反応容器を連結して計量分配ずみ流体を中間製品もしくは最終製品に対して反応させるのに役立つ。例えば、貯蔵ならびに計量分配システムは三弗化ボランガスを下流水素化室に計量分配し、該水素化室で三弗化ボランを水素化剤、例えば水酸化マグネシウムと適当な反応条件下で接触させてジボランを後続使用、例えばイオン注入、ドーピングまたはその他の使用法のために生成する。
【0222】
イオン注入は本発明の貯蔵ならびに計量分配システムの特に好ましい用途であって、ジボラン、ゲルマン、四弗化珪素ならびにアンチモン含有気体の計量配分に好ましい。
【0223】
貯蔵ならびに計量分配用容器にある吸着剤ベッドからの収着質流体の熱助成脱着に対しては、適当なエネルギー源を用いることができ、それはRF、IRとUV照射、また超音波とマイクロ波照射と、また他の直接もしくは間接手段と方法、例えば電気抵抗加熱、吸着剤ベッドにあるいっぱいに拡がった熱伝達面もしくは熱交換通路の展開などによる加熱である。
【産業上の利用可能性】
【0224】
本発明は半導体材料と装置の製造ならびに他の気体消費プロセス作業に実用性をもち、気体、例えば水素化物気体、ハロゲン化気体、気体有機金属族V化合物など、例えばシラン、ジボラン、ゲルマン、弗素、アンモニア、ホスフィン、アルシン、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、三弗化臭素、六弗化タングステン、塩素、塩化水素、臭化水素、沃化水素および弗化水素を含む信頼できる「要求次第」に供給できる気体源を提供する。
【0225】
気体が安全に、炭素吸着媒体上に脱着された状態に比較的低い圧力で保持され、その後、気体の使用場所に容易に計量分配される気体の経済的かつ確実な供給源を提供することで、本発明は従来の高圧気体ボンベの使用に関連する危険と気体取扱の問題の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】アルシンに対する吸着等温線を吸着剤材料の1リットル当りのアルシンをg数で示したアルシン充填のプロットとして、また炭素吸着剤(曲線A)に対し、またゼオライト5A(曲線B)に対してトルで示した圧力の関数として、さらに本発明の一実施態様での実施に対する等温線様式を区別する等温線帯域G0ならびにG1とともに示すグラフ図である。
【図2】本発明の広範な実施で有用ないくつかの例証となる活性化炭素吸着剤に対する気孔の寸法の関数として累積気孔容積を1g当りcmでプロットしたグラフ図である。
【図3】本発明の一実施例による貯蔵ならびに搬送システムの概略図である。
【図4】トルで示すボンベ圧力を時間で示す時の関数として図3の実施例による貯蔵ならびに計量分配システムにおける炭素吸着剤上のアルシンガスのアルシン充填作業の終了後の圧力減衰をプロットして示すグラフ図である。
【図5】1時間当りのトルで示す本発明によるアルシン貯蔵ならびに搬送システムに対する時間で示す時の関数として圧力減衰速度のプロットであって、その充填後の圧力特性が図4に示されるグラフ図である。
【図6】アルシン吸着等温線を1リットル当りのg数でアルシン充填としてプロットし、トルで示すビーズ炭素吸着材料上の貯蔵ならびに計量分配用容器圧力の関数としてプロットしたグラフ図である。
【図7】本発明の他の実施例による貯蔵ならびに計量分配システムの概略斜視図である。
【図8】本発明の一実施例による計量分配した気体のイオン注入に用いる気体搬送用の貯蔵ならびに計量分配システムを備える方法システムの概略斜視図である。
【図9】図8の貯蔵ならびに計量分配用容器の斜視横断面図で、前記容器の内部構造を示す図である。
【図10】本発明のさらに他の実施例によるクライオポンプ貯蔵ならびに搬送システムの概略斜視図である。
【図11】本発明による貯蔵ならびに計量分配システムの性能評価用の搬送測定装置の概略図である。
【図12】吸着剤材料(曲線M、データポイント符号△)としての5A分子篩からなる貯蔵ならびに搬送システムと、吸着材料(曲線N、データポイント符号□)としてのビーズ活性化炭素からなる貯蔵ならびに計量分配システムの性能の比較を示すもので、トルで示す貯蔵ならびに計量用容器の圧力を1分間当りの1標準cmアルシンの流量で、作業の時間の関数として示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0227】
10 気体貯蔵用ボンベ
11 熱交換通路
12 マニホールド
13 入口管路
14 ボンベ用弁
15 排出管路
16 ボンベ隔離弁
17 ベッド
20 分岐パージ管路
22 パージ隔離弁
30 気体濾過器
32 圧力変換器
34 分岐取付け体
36 バイパス導管
38 バイパス隔離弁
40 気体流れオン/オフ弁
42 マス・フロー制御器
44 連結取付け体
46 排出管路
48 流量制御器
50 連結取付け体
52 素子
54 他端
200 貯蔵並びに計量分配システム
204 貯蔵並びに計量分配用容器
206 弁ヘッド
208 手動作動器
210 カップリング
212 計量分配導管
214 圧力変換器
220 マス・フロー制御器
222 濾過器
224 カップリング
300 貯蔵並びに計量分配システム
302 貯蔵並びに計量分配用容器
304 弁ヘッド
306 手動作動器ホイール
307 流量制御弁
308 VCR濾過ガスケット
309 流量制御弁
310 圧力変換器
311 弁
312 流れ導管
314 逆止め弁
320 スパン・ゲージ
322 流量制御器
324 バイパス弁
325 バイパス導管
326 マニホールド導管
330 カップリング
346 壁体
350 吸着材料
352 内容積
360 多孔質中心チューブ
400 クライオポンプ式貯蔵並びに搬送システム装置
402 ボンベ
404 弁ヘッドアセンブリー
406 隔離弁
408、409 導管
410 隔離弁
412 マス・フロー制御器
414 隔離弁
415、416 クライオポンプ
418 隔離弁
420 中圧ボンベ
422 隔離弁
424 加熱素子
426 液体窒素出口
428 入口
430 製品計量分配調整器アセンブリー
434 排出口
502 貯蔵並びに計量分配システム
504 貯蔵並びに計量分配用容器
506 ボンベ弁
508 気体ボンベ隔離弁
510 圧力変換器
512 流れ管路
514 不活性パージ気体源
516 T字型コネクター
518 不活性気体パージ管路
520 気体パージ隔離弁
522 接続管路
524 マス・フロー制御器
526 気体オン/オフ弁
530 管路
532、536 弁
534 冷却受け容器
538 真空装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着性流体の貯蔵ならびに計量分配用の吸着・脱着装置であって、
・炭素吸着剤を保持するように、また流体を選択的に容器に流入また容器から流出させるよう構成、配置した貯蔵ならびに計量分配用容器と;
・内部気体圧力で、前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置され、吸着性流体の炭素吸着剤への物理的吸着に適し前記吸着性流体が炭素吸着剤に固定されるような炭素吸着剤と;
・前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結された分配アセンブリーと;からなり、該分配アセンブリーは
(I)前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部で、前記内圧以下の圧力を供給して、前記炭素吸着剤からの吸着性流体の脱着と、脱着ずみ流体を前記計量分配アセンブリーを通す流体流れとを供給するか、および/または、
(II)熱的に脱着ずみ流体にそれに通す流れをつくり、かつ炭素吸着剤を加熱して、それからの流体の脱着を行い、脱着ずみ流体が前記容器から前記計量分配アセンブリーに流入させる手段からなるように、構成、配置され;
前記炭素吸着剤が、
(1)アルシンガスに対して40トルと650トルの圧力で測定した少なくとも50の、吸着作業能力、Cwを備え;
(2)アルシンガスに対する脱着性ソルベートの割合が少なくとも15%である
という特徴を有する吸着・脱着装置。
【請求項2】
前記炭素吸着剤が、アルシンガスに対して40トルと650トルの圧力で測定した少なくとも100の吸着作業能力、Cwを備えることを特徴とする請求項1記載の吸着・脱着装置。
【請求項3】
前記炭素吸着剤が、アルシンガスに対して40トルと650トルの圧力で測定した少なくとも180の吸着作業能力、Cwを備えることを特徴とする請求項1記載の吸着・脱着装置。
【請求項4】
前記炭素吸着剤が、アルシンガスに対して40トルと650トルの圧力で測定した少なくとも200の吸着作業能力、Cwを備えることを特徴とする請求項1記載の吸着・脱着装置。
【請求項5】
前記炭素吸着剤が、モノリス構造を有することを特徴とする請求項1記載の吸着・脱着装置。
【請求項6】
前記炭素吸着剤の水分含量が0.01%以下であることを特徴とする請求項1記載の吸着・脱着装置。
【請求項7】
前記炭素吸着剤が、その吸着剤上に吸着される吸着性流体を有することを特徴とする請求項1記載の吸着・脱着装置。
【請求項8】
前記吸着性流体が、シラン、ジボラン、アルシン、ホスフィン、ホスゲン、塩素、BCl3、BF3、B26、六弗化タングステン、弗化水素、塩化水素、沃化水素、臭化水素、ゲルマン、アンモニア、スチビン、硫化水素、シアン化水素、セレン化水素、テルル化水素、重水素化水素化物、水素化物気体混合物、オルガノ化合物、ならびに有機金属化合物からなる群より選ばれることを特徴とする請求項7記載の吸着・脱着装置。
【請求項9】
前記吸着性流体が、有機金属化合物からなり、前記有機金属化合物が、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、ガリウム、インジウム、タングステン、アンチモン、銀、金、パラジウム、ガドリニウム、カルシウム、リチウム、カリウム、セシウム、チタン、イットリウム、ジルコニウム、鉛、タンタリウム、ニオビウム、バナジウム、白金、タリウム、ビスマス、錫、テルル、セレン、ニッケル、亜鉛、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、モリブデン、マグネシウム、スカンジウム、クローム、銅、カドミウム、ランタンならびにセリウムからなる群より選ばれる金属成分からなることを特徴とする請求項7記載の吸着・脱着装置。
【請求項10】
前記炭素吸着剤が、25℃の温度で圧力(トル)の関数として、吸着剤1リットル当りのアルシンのグラム数において、次の吸着充填特性:
圧力 最小限の充填量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 30
50 62
100 105
200 145
300 168
400 177
500 185
550 188
650 192;
を有するアルシンガスの吸着等温線を有することを特徴とする請求項1記載の吸着・脱着装置。
【請求項11】
流体供給用装置の製造方法であって、前記製造方法が下記の方法:
・ 炭素吸着剤の保持に適し、かつ流体を選択的に前記容器に流入また容器から流出させるのに適した、貯蔵ならびに計量分配用容器を構成し、
・ 内部気体圧力で吸着性流体が炭素吸着剤に固定されるように吸着性流体の炭素吸着剤上への物理的吸着に適した炭素吸着剤を、前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置し、
・ 分配アセンブリーを前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結する方法からなり、該分配アセンブリーは;
(I)前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部で、前記内圧以下の圧力を供給して、前記炭素吸着剤からの吸着性流体の脱着と、脱着ずみ流体を前記計量分配アセンブリーを通す流体流れとを供給するか、および/または、
(II)熱的に脱着ずみ流体にそれに通す流れをつくり、かつ炭素吸着剤を加熱して、それからの流体の脱着を行い、脱着ずみ流体が前記容器から前記計量分配アセンブリーに流入させる手段からなるように、構成、配置され;
前記炭素吸着剤は:
・ アルシンガスに対して40トルと650トルの圧力で測定した少なくとも50の吸着作業能力、Cwを備え;そして
・ アルシンガスに対する脱着性ソルベートの割合が少なくとも15%である
ことを特徴とする流体供給用装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1記載の吸着・脱着装置の貯蔵ならびに計量分配用容器内の炭素吸着剤上に流体を吸着的に充填する方法からなる流体源の製造方法。
【請求項13】
使用する流体の供給方法において、請求項1記載の吸着・脱着装置の貯蔵ならびに計量分配用容器内の炭素吸着剤上に予め吸着的に充填した流体を脱着し、分配アセンブリーを通る流れによって前記吸着・脱着装置から脱着した流体を計量分配する方法からなる、流体の供給方法。
【請求項14】
流体を含んだ請求項1記載の吸着・脱着装置から前記流体を計量分配する方法からなる、製品内の流体を用いた半導体製品の製造方法。
【請求項15】
流体を含んだ請求項1記載の吸着・脱着装置から前記流体を計量分配する方法からなる、イオン注入源流体を用いたイオン注入方法。
【請求項16】
流体を含んだ請求項1記載の吸着・脱着装置から前記流体を計量分配する方法からなる、製品内の流体を用いたフラットパネル表示製品の製造方法。
【請求項17】
前記炭素吸着剤が、25℃の温度で圧力(トル)の関数として、吸着剤1リットル当りのアルシンのグラム数において、次の吸着充填特性:
圧力 充填量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 35−106
50 62−138
100 100−185
200 145−232
300 168−263
400 177−288
500 185−308
550 188−315
650 192−330;
を有するアルシンガスの吸着等温線を有することを特徴とする請求項1記載の吸着・脱着装置。
【請求項18】
前記炭素吸着剤が、25℃の温度で圧力(トル)の関数として、吸着剤1リットル当りのアルシンのグラム数において、次の吸着充填特性:
圧力 最小限の充填量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 30
50 62
100 105
200 145
300 168
400 177
500 185
550 188
650 192;
を有するアルシンガスの吸着等温線を有することを特徴とする請求項11記載の流体供給用装置の製造方法。
【請求項19】
前記炭素吸着剤が、25℃の温度で圧力(トル)の関数として、吸着剤1リットル当りのアルシンのグラム数において、次の吸着充填特性:
圧力 充填量
(トル) (吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 35−106
50 62−138
100 100−185
200 145−232
300 168−263
400 177−288
500 185−308
550 188−315
650 192−330;
を有するアルシンガスの吸着等温線を有することを特徴とする請求項11記載の流体供給用装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−196689(P2008−196689A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2588(P2008−2588)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【分割の表示】特願平9−540701の分割
【原出願日】平成9年5月20日(1997.5.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【復代理人】
【識別番号】100046719
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良輝
【Fターム(参考)】