説明

鬱病の処置のための蘇生薬モダフィニルおよび抗鬱薬の組み合わせ

モダフィニルを抗鬱薬とともに投与することにより鬱障害を処置するための組成物および方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1.モダフィニル(modafinil)
2−(ベンズヒドリルスルフィニル)アセトアミドまたは2−[(ジフェニルメチル)スルフィニル]アセトアミドとしても知られるモダフィニル、C1515NOS、は覚醒−促進活性を有する合成アセトアミド誘導体であり、その構造は特許文献1および特許文献2に記載されており、そしてそれはナルコレプシーに伴う過度の日中眠気の処置における使用に関して米国食品医薬品庁により認可されていた。ラセミ体混合物の製造方法は特許文献2に記載されており、そして左旋性異性体の製造方法は特許文献3に記載されている(両者とも引用することにより本発明の内容となる)。左旋性異性体は過睡眠、鬱病、アルツハイマー病の処置に有用でありそして、特に老人における、認知症および記憶喪失の症候に対する活性を有することが報告されている。
【0002】
モダフィニルの主要な薬理学的活性は覚醒を促進することである。モダフィニルはラット(非特許文献1、非特許文献2)、猫(非特許文献3)、犬(非特許文献4)およびヒト以外の霊長類(非特許文献5)において並びに臨床症状を模するモデル、例えば睡眠時無呼吸(英国ブルドッグ睡眠障害呼吸モデル)(非特許文献6)およびナルコレプシー(ナルコレプシー犬)(非特許文献4)において覚醒(wakefulness)を促進する。
【0003】
モダフィニルは、中枢神経系における活性を有する薬剤として、そしてパーキンソン病の処置における(特許文献4)、脳組織の虚血からの保護における(特許文献5)、尿および便失禁の処置における(特許文献6)、並びに睡眠時無呼吸および脳起点障害の処置における(特許文献7)有用な薬剤としても記載されている。特許文献8は約200ミクロンより小さい規定された粒子寸法のモダフィニル調剤を記載している。さらに、モダフィニルは摂食障害の処置において、またはヒトもしくは動物における体重増加を促進するもしくは食欲を刺激するために(引用することにより本発明の内容となる特許文献9)、または注意力不足過剰活動障害(ADHD)(引用することにより本発明の内容となる特許文献10)、もしくは疲労、特に多発性硬化症に伴う疲労、(引用することにより本発明の内容となる特許文献11)の処置において使用することもできる。
【0004】
モダフィニルは、ナルコレプシー、眠気、過度の眠気(例えば、睡眠および覚醒障害に伴う眠気)、ナルコレプシーに伴う過度の日中眠気、パーキンソン病、尿失禁、多発性硬化症疲労、ADHD、アルツハイマー障害、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、鬱病、および虚血の処置において有効であることが示された。
【0005】
ナルコレプシーは、間欠性の睡眠発作、持続性の過度の日中眠気および異常な急速眼球運動(「REM」)睡眠発現、例えば睡眠−作用REM期、脱力発作、睡眠麻痺および半眠幻覚、または両者により特徴づけられる慢性障害である。ナルコレプシーのあるほとんどの患者は夜行性睡眠も中断していた。ナルコレプシーによろうとまたは他の原因によろうとも、病理学的傾眠は廃失性であり且つ潜在的に危険である。ナルコレプシー以外の病理学的傾眠の原因は、慢性睡眠不足、睡眠時無呼吸、および他の睡眠障害を包含する。ナルコレプシーによろうとまたは他の原因によろうとも、病理学的傾眠は意図せぬ睡眠、注意力低下、および行動の間違いの事象を生ずる。従って、それは種々の輸送および工業事故と関連する。病理学的傾眠を減ずるかまたは排除する治療剤は個々の患者にとってだけでなく公衆衛生および安全に関しても重要な意味を有するであろう。
【0006】
モダフィニルの他の用途が発表されている。特許文献4はヒトにおける神経保護効果を与えるための、そして特にパーキンソン病治療のための、モダフィニルの使用を開示している。モダフィニルの左旋性形態、すなわち、(−)ベンズヒドリルスルフィニル−アセトアミドは鬱病、睡眠過剰およびアルツハイマー病の治療に関して有効な利点を有しうる(特許文献3)。特許文献12は抗虚血剤としてのモダフィニルの使用を開示している。特許文献13は尿失禁を処置するためのモダフィニルの使用を開示している。
【0007】
特許文献14は、規定された粒子寸法を有する製薬学的組成物、そして特に組成物中の有効量のモダフィニル粒子の累積合計の95%が約200ミクロンより小さい直径を有する組成物、を開示している。
2.抗鬱薬
選択的セロトニン再吸収阻害剤(selective serotonin reuptake inhibitor)(SSRI)を包含する抗鬱薬は、鬱病、ある種の形態の不安症および社会恐怖症の治療における第一選択療法となってきている。ある場合には、SSRIはそれらが有効であり、耐性がよく且つ従来の三環式抗鬱薬と比べて好ましい安全性特徴を有するためさらに好ましくなりうる。
【0008】
しかしながら、抗鬱薬に伴う問題が生じうる。最近の抗鬱薬療法は応答または寛解を得る際に遅い作用および控えめな割合を示しうる。例えば、選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)であるフルオキセチン(fluoxetine)に対する6週における応答は約50%である。8週間におけるSSRIを用いる寛解割合は約35%である。抗鬱薬療法に対する主な鬱障害の応答の遅延、不完全さおよび不足は早期の処置中止を包含する多くの理由のために問題となりうる。時には、症候は療法が最初の数週間で悪化さえする。他の場合には、非コンプライアンスは性機能不全を包含する副作用とも関連しうる。
【0009】
疲労および過度の眠気が主な鬱障害の症候にあり、そして抗鬱薬療法に伴う有害な体験となることもあり、そしてしばしばSSRI抗鬱薬療法で不適切に処置された残存症候である。
【0010】
さらに、患者は時には抗鬱薬療法および抗鬱薬療法中止に伴う副作用も受ける。
【0011】
抗鬱薬療法に対する残存症候は鬱病患者に対してより大きい回帰の危険性およびより大きい再発の可能性を与えるため、寛解の急速な達成は最適な処置戦略の選択における重要な考察点である。
【0012】
これらの問題の1つもしくはそれ以上を処理する新規な療法が要求される。
【特許文献1】仏国特許第7805510号明細書
【特許文献2】米国特許第4,177,290(’290)号明細書
【特許文献3】米国特許第4,927,855号明細書
【特許文献4】米国特許第5,180,745号明細書
【特許文献5】米国特許第5,391,576号明細書
【特許文献6】米国特許第5,401,776号明細書
【特許文献7】米国特許第5,612,379号明細書
【特許文献8】米国特許第5,618,845号明細書
【特許文献9】米国特許第6,455,588号明細書
【特許文献10】米国特許第6,346,548号明細書
【特許文献11】米国特許第6,488,164号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第547952号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第594507号明細書
【特許文献14】米国特許第RE37,516号明細書
【非特許文献1】Touret et al.,1995
【非特許文献2】Edgar and Seidel,1997
【非特許文献3】Lin et al.,1992
【非特許文献4】Shelton et al.,1995
【非特許文献5】Hermant et al.,1991
【非特許文献6】Panckeri et al,1996
【発明の開示】
【0013】
発明の要旨
1つの態様において、本発明は、動物患者における抗鬱薬の開始時間を短縮する方法を包含する。この方法は患者を有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬(analeptics)で予備処理し、および/または有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬を抗鬱薬と共投与する段階を包含する。
発明の詳細な記述
1.蘇生剤
蘇生薬は、中枢神経系刺激剤として主に作用するかまたは使用される薬品である。脳の睡眠−覚醒中心に対して作用しそしてアンフェタミン類(amphetamines)の薬理学的影響のない蘇生薬が、本発明の実施における使用にとって好ましい。好ましい蘇生剤はモダフィニルの薬理学的特性を有する。それ故、本発明の好ましい態様では、本発明の実施において使用される蘇生薬はプロビギル(Provigil)(R)(モダフィニル)である。
2.抗鬱薬
有用な抗鬱薬は三環式抗鬱薬(「TCA」)、選択的セロトニン再吸収阻害剤(「SSRI」)、セロトニンおよびノルアドレナリン再吸収阻害剤(「SNRI」)、ドーパミン再吸収阻害剤(「DRI」)、ノルアドレナリン再吸収阻害剤(「NRU」)、ドーパミン、セロトニンおよびノルアドレナリン再吸収阻害剤(「DSNRI」)、並びにモノアミンオキシダーゼタイプAの可逆性阻害剤(「RIMA」)を包含するモノアミンオキシダーゼ阻害剤(「MAOI」)を包含するが、それらに限定されない。
【0014】
ある種の態様では、適する抗鬱薬は下記の抗鬱薬の1種もしくはそれ以上を包含するがそれらに限定されない:アダタンセリン(adatanserin)塩酸塩、アジナゾラム(adinazolam)、アジナゾラム・メシラート(adinazolam mesylate)、アラプロクレート(alaproclate)、アレセタミン(aletamene)塩酸塩、アメダリン(amedalin)塩酸塩、アミトリプチリン(amitriptyline)塩酸塩、アモキサピン(amoxapine)、マレイン酸アプタザピン(aptazapine maleate)、フマル酸アザロキサン(azaloxan fumarate)、アゼピンドール(azepindole)、アジプラミン(azipramine)塩酸塩、ビペナルノール(bipenarnol)塩酸塩、ブプロピオン(bupropion)塩酸塩、ブタセチン(butacetin)、ブトリプチリン(butriptyline)塩酸塩、カロキサゾン(caroxazone)、カルタゾレート(cartazolate)、シクラジンドール(ciclazindol)、シドキセピン(cidoxepin)塩酸塩、シロバミン・メシラート(cilobamine mesylate)、シタリプラム(citalipram)、クロダゾン(clodazon)塩酸塩、クロミプラミン(clomipramine)塩酸塩、フマル酸コチニン(cotinine fumarate)、シクリンドール(cyclindole)、シペナミン(cypenamine)塩酸塩、シプロリドール(cyprolidol)塩酸塩、シプロキシミド(cyproximide)、ダレダリン・トシレート(daledalin tosylate)、ダポキセチン(dapoxetine)塩酸塩、マレイン酸ダザドロール(dazadrol maleate)、ダゼピニル(dazepinil)塩酸塩、デシプラミン(desipramine)塩酸塩、デキサミソール(dexamisole)、デキシマフェン(deximafen)、ジベンゼピン(dibenzepin)塩酸塩、ジオキサドロール(dioxadrol)塩酸塩、ドチエピン(dothiepin)塩酸塩、ドキセピン(doxepin)塩酸塩、ジュロキセチン(duloxetine)塩酸塩、マレイン酸エクラナミン(eclanamine maleate)、エンシプレート(encyprate)、エトペリドン(etoperidone)塩酸塩、ファントリドン(fantridone)塩酸塩、フェーメトゾール(fehmetozole)塩酸塩、フェンメトラミド(fenmetramide)、フマル酸フェゾラミン(fezolamine fumarate)、フルオトラセン(fluotracen)塩酸塩、フルオキセチン(fluoxetine)、フルオキセチン塩酸塩、フルパロキサン(fluparoxan)塩酸塩、ガムフェキシン(gamfexine)、硫酸グアノキシフェン(guanoxyfen sulfate)、イマフェン(imafen)塩酸塩、イミロキサン(imiloxan)塩酸塩、イミプラミン(imipramine)塩酸塩、インデロキサジン(indeloxazine)塩酸塩、イントリプチリン(intriptyline)塩酸塩、イプリンドール(iprindole)、イソカルボキサジド(isocarboxazid)、フマル酸ケチプラミン(ketipramine fumarate)、ロフェプラミン(lofepramine)塩酸塩、ロルタラミン(lortalamine)、マプロチリン(maprotiline)、マプロチリン塩酸塩、メリトラセン(melitracen)塩酸塩、ミラセミド(milacemide)塩酸塩、ミナプリン(minaprine)塩酸塩、ミルタザピン(mirtazapine)、モクロベミド(moclobemide)、硫酸モダリン(modaline sulfaet)、ナパクタジン(napactadine)塩酸塩、ナパメゾール(napamezole)塩酸塩、ネファゾドン(nefazodone)塩酸塩、ニソキセチン(nisoxetine)、ニトラフダム(nitrafudam)塩酸塩、マレイン酸ノミフェンシン(nomifensine maleate)、ノルトリプチリン(nortriptyline)塩酸塩、燐酸オクトリプチリン(octriptyline phosphate)、オピプラモル(opipramol)塩酸塩、オキサプロチリン(oxaprotiline)塩酸塩、オキシペルチン(oxypertine)、パロキセチン(paroxetine)、硫酸フェネルジン(phenelzine sulfate)、ピランダミン(pirandamine)塩酸塩、ピゾチリン(pizotyline)、プリデフィン(pridefine)塩酸塩、プロリンタン(prolintane)塩酸塩、プロトリプチリン(protriptyline)塩酸塩、マレイン酸キパジン(quipazine maleate)、ロリシプリン(rolicyprine)、セプロキセチン(seproxetine)塩酸塩、セルトラリン(sertraline)塩酸塩、シブトラミン(sibutramine)塩酸塩、スルピリド(sulpiride)、スリトゾール(suritozole)、タメトラリン(tametraline)塩酸塩、フマル酸タムプラミン(tampramine fumarate)、タンダミン(tandamine)塩酸塩、チアゼシム(thiazesim)塩酸塩、トザリノン(thozalinone)、トモキセチン(tomoxetine)塩酸塩、トラゾドン(trazodone)塩酸塩、トレベンゾミン(trebenzomine)塩酸塩、トリミプラミン(trimipramine)、マレイン酸トリミプラミン(trimipramine maleate)、ベンラファキシン(venlafaxine)塩酸塩、ビロキサジン(viloxazine)塩酸塩、ジメルジン(zimeldine)塩酸塩、ゾメタピン(zometapine)。
【0015】
ある種の態様では、抗鬱薬はシタリプラム、フルオキセチン、フルオキセチン塩酸塩、パロキセチン、パロキセチン塩酸塩、および/またはクロミプラミン塩酸塩を包含し、シタリプラム、パロキセチン、フルオキセチンおよびフルオキセチン塩酸塩が好ましく、シタリプラムが最も好ましい。
【0016】
鬱障害の処置において有用である他の薬品、例えば、チアガビン(tiagabine)、も本発明の実施において使用することができる。
3.変種、同族体、塩、異なる形態
安全であり且つ有効な、上記化合物の構造同族体を包含するがそれらに限定されない、以上で挙げられていない薬品も本発明の実施において有用である。
【0017】
ジアステレオマーおよびエナンチオマー(例えば、モダフィニルのLおよび/またはR−異性体)を包含する種々の個々の立体異性体並びにそれらの混合物が本発明の範囲内に包含される。さらに、本発明において有用な化合物は、製薬学的に許容可能な塩、例えば、アルカリ金属塩、例えばナトリウムおよびカリウム、アンモニウム塩、モノアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、並びにトロメタミン塩も包含する。上記化合物の水和物、溶媒和物、および多形相が本発明の範囲内に包含される。蘇生薬および抗鬱薬の組み合わせを使用することもできる。化合物は実質的に純粋であってもまたは他の成分と混合されていてもよい。
4.鬱障害
本発明は、例えばアルコールまたは薬品乱用に伴う鬱病を包含する多くの因子のいずれかにより引き起こされうる中程度ないし重篤なまたは急性の鬱病を包含する鬱病の処置において有用である。本発明はまた、抗鬱薬が時々処方される他の障害の処置においても有用である。これらは、例えば、不安、ストレス、社会恐怖症、パニック、強迫観念、強迫行動、疼痛(例えば、神経障害的および炎症性疼痛)などを包含する。抗鬱薬が臨床的に有利な効果を有することが示されたそのような障害をここではまとめて「鬱障害」(“depressive disorders”)と称する。
5.蘇生薬および抗鬱薬の治療的に有効な量
本発明の1つの態様において、患者に投与される蘇生薬、例えばモダフィニルの量は5、10、15、20、30、40、50、60、70、75、80、90、100、200、300および/または400mg、のモダフィニル、またはその組み合わせを包含しうる。典型的には、モダフィニルは50、75、100および200mgの量で投与されうる。しかしながら、ここに記載されるように、1種もしくはそれ以上の抗鬱薬と組み合わせて使用される場合には、抗鬱薬療法に伴う症候の全てまたは一部を緩和するために必要なモダフィニルの量を減少させることができる。従って、本発明の1つの態様は、抗鬱薬と共に投与される場合には、抗鬱薬と組み合わされた単位服用量(unit dose)としてまたは別個の服用量として、100mgもしくはそれより少ないモダフィニルを包含する。モダフィニルおよび抗鬱薬の両者を含有する単一単位服用量が、以下で記載されるように、本発明の好ましい組成物である。
【0018】
典型的には、1種もしくはそれ以上の抗鬱薬は各抗鬱薬に関して有効であるとして知られる量で投与することができる。より具体的には、本発明においては、抗鬱薬は動物患者の症状を変えるのに有効な量で、すなわち、抗鬱薬が単独投与される場合に動物患者に投与されるであろう抗鬱薬の量で、投与することができる。適量は、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300および/または400mgの特定抗鬱薬またはその組み合わせを包含しる。しかしながら、本発明においては、1種もしくはそれ以上の蘇生薬、例えばモダフィニルと組み合わせて使用される場合には、抗鬱薬効果を依然として与えながら、投与される抗鬱薬の合計量は10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%または80%ほど減ずることができる。従って、本発明の1つの態様は単独投与される場合に動物に投与される抗鬱薬の量に比べて少ない量の抗鬱薬の投与を包含する。
【0019】
一般的に、活性化合物の1日経口服用量に関しては、1種もしくはそれ以上の蘇生薬および1種もしくはそれ以上の抗鬱薬の組み合わせ合計量は1日当たり約0.01mg/kg〜1日当たり約2000mg/kgであろう。1日当たり約1〜1000mg/cmの範囲内のIV服用量が有効であろうことが予期される。
【0020】
本発明のいくつかの態様では、蘇生薬対抗鬱薬のそれぞれの重量比は0.01:1〜1:1〜100:1、可能なら1000:1であることができる。いくつかの態様では、重量比は1:1〜7:1または10:1、最も好ましくは1:1〜5:1であることができる。
【0021】
上記量の蘇生薬(例えば、モダフィニル)および1種もしくはそれ以上の抗鬱薬を含有する薬用量(dosage)形態を患者に与えて、疲労、エネルギー、機敏性および認識機能(例えば精神運動遅延)の影響により示されるように、疲労症候を改良し且つ覚醒機能を改良することができる。
6.本発明の組成物の製造
本発明の製薬学的組成物を製造するために、モダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬と1種もしくはそれ以上の上記の抗鬱薬を包含するがそれらに限定されない抗鬱薬とを密に混合することができる。混合物は場合により製薬学的担体を従来の製薬学的混和技術に従いさらに包含することもでき、その担体は投与、例えば、経口的、坐薬、または非経口的、にとって所望される調剤形態によって広範囲の形態をとりうる。組成物中の各活性成分の量は上記量に対応しうる。製薬学的に許容可能な担体は、例えば、安定剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香味剤、着色剤、希釈剤などを包含する。そのような組成物は、鬱障害の治療に使用される場合には、好ましくは治療的に有効な量の蘇生薬および抗鬱薬を包含しうる。
【0022】
経口薬用量形態での組成物の製造においては、一般的な製薬学的媒体のいずれも使用しうる。それ故、液体経口調剤、例えば、懸濁剤、エリキシル剤および液剤、に関しては、適する担体および添加剤は水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤などを包含し、固体経口調剤、例えば、粉剤、カプセル剤および錠剤、に関しては、適する担体および添加剤はデンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを包含する。投与における容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口薬用量単位形態であり、その場合にはもちろん固体の製薬学的担体が使用される。所望するなら、錠剤を標準的技術により糖コーティングまたは腸溶コーティングすることができる。
【0023】
非経口剤に関しては、担体は普通は殺菌水を含んでなるであろうが、例えば、溶解を助けたりまたは保存用の目的のために、他の成分を含むことができる。注射懸濁剤を製造することもでき、その場合には適当な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。
【0024】
1つの態様では、本発明の製薬学的組成物は錠剤もしくはカプセル剤形態でまたは他の適当な単位服用量形態で投与することができる。本発明の錠剤またはカプセル剤は1種もしくはそれ以上の下記の不活性成分を含有しうる:含水ラクトース、予備ゼラチン化されたデンプン、微結晶性セルロース、グリコール酸ナトリウムデンプン、ステアリン酸マグネシウム、精製水、カルナウバ蝋、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、合成酸化鉄、およびポリソルベート80など。
【0025】
従って、製薬学的組成物はここでは薬用量単位、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末注入剤、茶匙1杯分、坐薬など、当たり約5〜約1000mgもしくはそれ以上の蘇生薬および抗鬱薬を含有するであろう。本発明の1つの態様では、各々の単一薬用量単位(または単位服用量)はある量の蘇生薬およびある量の抗鬱薬の両者を含む。そのような態様では、患者に投与される薬品の合計量が各々の有効量である限り、各々の単一薬用量単位が有効量を含むことは必ずしも必要でない。従って、例えば、患者は有効量の両方の剤を受容するために2種もしくはそれ以上の単一薬用量単位を必要とするかもしれない。
【0026】
投与時に、本発明の調剤は製薬学的に許容可能な量で且つ製薬学的に許容可能な組成で適用される。そのような調剤は慣習的に塩、緩衝剤、防腐剤、相容性担体、および場合により他の治療成分を含有しうる。薬品中での使用時には、塩は製薬学的に許容可能でなければならないが、製薬学的に許容可能でない塩を製薬学的に許容可能な塩を製造するために簡便に使用することができそして本発明の範囲から除外されない。そのような薬理学的および製薬学的に許容可能な塩は下記の酸から製造されるものを包含するが、それらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、マロン酸、琥珀酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、製薬学的に許容可能な塩をアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩、として製造することもできる。
【0027】
適する緩衝剤は、酢酸および塩(1〜2%W/V)、クエン酸および塩(1〜3%W/V)、ホウ酸および塩(0.5〜2.5%W/V)、並びに燐酸および塩(0.8〜2%W/V)を包含する。適する防腐剤は、塩化ベンズアルコニウム(0.003〜0.03%W/V)、クロロブタノール(0.3〜0.9%W/V)、パラベン類(0.01〜0.25%W/V)およびチメロサル(0.004〜0.02%W/V)を包含する。
【0028】
薬用量は所望する薬品水準を局部的にまたは全身的に得るように適切に調節しうる。上記のように、一般的には、活性化合物の1日経口服用量は1日当たり約0.01mg/kg〜1日当たり2000mg/kgであろう。患者における応答がそのような服用量で不充分である場合には、それより高い服用量(または別のさらに局部に集中させた分配方式によるより高い有効服用量)を患者の耐性が許容する程度まで使用することができる。化合物の適切な全身的水準を得るために、例えば24時間にわたる連続的なIV投与または1日当たり複数回の服用が考えられる。
【0029】
種々の投与方式を利用できる。選択される特定方式は、選択される特定薬品、処置しようとする1種もしくは複数の疾病症状の重篤度、および治療効果に関して必要な薬用量にもちろん依存するであろう。本発明の方法は、一般的に述べると、医学的に許容可能である投与方式、すなわち臨床的に許容できない有害な影響を引き起こさずに活性化合物の有効な水準を生ずる方式、を用いて実施することができる。そのような投与方式は経口、直腸、舌下、局部、鼻、経皮または非経口的方式を包含する。用語「非経口的」は皮下、静脈内、筋肉内、または注入を包含する。
【0030】
組成物は簡便には単位薬用量形態であることができ、そして薬品技術で既知の方法のいずれかにより製造することができる。一般的には、化合物を液体担体、微細分割状固体担体、または両者と均一に且つ密に混合し、そして次に、所望するなら、製品に成形することにより、組成物が製造される。
【0031】
経口投与に適する組成物は、各々が予め決められた量の活性化合物を含有する個別単位、例えばカプセル剤、カシェ剤、錠剤、またはロゼンジ剤として提供されうる。他の組成物は、水性液中懸濁剤、または非水性液体、例えばシロップ剤、エリキシル剤、もしくは乳剤、を包含する。
【0032】
他の分配システムは、時間−放出性、遅延放出性または持続放出性分配システムを包含しうる。そのようなシステムは本発明の活性化合物の繰り返し投与を回避して、患者および医師にとって簡便性を増加させうる。それらは、重合体をベースとしたシステム、例えばポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリ無水物並びにポリカプロラクトン;ステロール、例えばコレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸または中性脂肪、例えばモノ−、ジおよびトリグリセリドを包含する脂質である非重合体システム;ヒドロゲル放出システム;シラスチックシステム、ペプチドをベースとしたシステム;ワックスコーティング、一般的な結合剤および賦形剤を使用する圧縮錠剤、部分的に融合された移植片などを包含する。さらに、ポンプをベースとしたハードウエア分配システムを使用することもでき、それらのあるものは移植用に適用される。
【0033】
本発明の別の態様は、鬱障害を処置するための量の蘇生薬および抗鬱薬の投与を促進させうるキットまたは装置を提供する。具体的には、本発明に従うキットはモダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬を含有する少なくとも1種の薬用量形態および少なくとも1種の抗鬱薬を含有する別個の薬用量形態を包含する。本発明の1つの適するキットは、単位服用量のモダフィニルおよび別個の単位服用量の抗鬱薬を有するブリスターパックを包含する。最も好ましくは、モダフィニルの単位服用量は50、75、100または200mgのモダフィニルの錠剤を含み、そして抗鬱薬の単位服用量は10、20、30、40または50mgの抗鬱剤の錠剤を含む。キットまたは装置は、蘇生薬および抗鬱薬の投与に関する指示書も包含しうる。好ましくは、指示所は以下に示される投与スキームの1つもしくはそれ以上に従う投与指針を与える。
【0034】
蘇生薬および/または抗鬱薬は、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤、カシェ剤などを包含する固体薬用量形態および/または例えば経口エリキシル剤もしくはIV流体の如き液体薬用量形態を包含するがそれらに限定されない適当な薬用量形態でありうる。蘇生薬の薬用量形態は抗鬱薬と同じタイプまたは別のタイプでありうる。
【0035】
さらに別の態様では、本発明は経皮薬剤輸送システム(transdermal drug delivery system)(「TDDS」)を包含する。パッチ剤形態での本発明の使用に適するTDDSは、典型的には、(1)裏打ち層並びに(2)有効量の抗鬱薬および場合によりモダフィニルと共に調合される担体を少なくとも含有する。
【0036】
好ましいパッチ剤は(1)マトリックスタイプパッチ剤、(2)受器タイプパッチ剤、(3)多層接着剤中薬品タイプパッチ剤、および(4)単層接着剤中薬品タイプパッチ剤を包含する(Ghosh,T.K.;Pfister,W.R.;Yum,S.I.Transdermal and Topical Drug Delivery Systems,Interpharm Press,Inc.p.249−297,引用を以て本明細書に加入される)。これらのパッチ剤は一般的に市販されている。
【0037】
本発明の実施のためには、マトリックスタイプおよび接着剤中薬品タイプパッチ剤が特に好ましい。より好ましい接着剤中薬品パッチ剤は単層タイプである。
【0038】
標準的パッチ剤以外の経皮薬剤輸送システムを使用することもできる。これらは、例えば、浸透ポンプシステム、超音波システム、軟膏剤、ペースト剤、ゲル剤、薬用粉剤、クリーム剤、ローション剤、エーロゾル剤、噴霧剤、泡剤、薬用接着剤などを包含する。
7.処置/治療の方法
A.蘇生薬および抗鬱薬の処置の投与スキームおよび時機
蘇生薬および抗鬱薬を一緒に組み合わせて単一単位服用量にすることができるが、2つもしくはそれ以上の個別服用量として別個に投与することもできる。
【0039】
それ故、本発明のいくつかの態様では、鬱病に関連する障害の処置は別個の薬用量形態、すなわち1つもしくはそれ以上の蘇生薬服用量および1つもしくはそれ以上の抗鬱薬服用量、の使用により行うことができる。従って、蘇生薬の服用量を抗鬱薬服用量とは別の時にまたは同時に投与することができる(すなわち、抗鬱薬の投与前後1時間以内の蘇生薬服用量投与)。しかしながら、同時投与が望まれる場合には、蘇生薬および抗鬱薬の投与は蘇生薬および抗鬱薬の両者を含む単一単位服用量の使用によって行うこともできる。
【0040】
抗鬱薬療法を始めようとする患者、すなわち抗鬱薬を実質的に含まない患者または約1週間、2週間、より好ましくは約4週間もしくはそれ以上にわたり抗鬱薬療法を受けていない患者においては、蘇生薬を含有する薬用量形態を抗鬱薬の最初の投与の前におよび/またはほぼ同時に投与することができる。そのような態様では、蘇生薬の1回もしくはそれ以上の投与は抗鬱薬の最初の投与/服用前の72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、最も好ましくは1時間以内またはすぐに行うことができる。蘇生薬および抗鬱薬の最初の投与後に、蘇生薬および抗鬱薬のその後の服用を典型的な割合で、例えば典型的には1日当たり1回もしくは2回の50、75、100〜200mgのモダフィニルの服用量および1日当たり10、20、30、40、50mgの抗鬱薬で、続けることができる。さらに、抗鬱薬の最初の投与後に、蘇生薬および抗鬱薬の服用を別個の薬用量形態でまたは単一単位服用量で行うことができる。しかしながら、蘇生薬の服用量が抗鬱薬のその後の服用前に投与される場合には、各々に関する別個の薬用量形態が好ましい。
【0041】
さらに、抗鬱薬を実質的に含まない患者においては、蘇生薬の最初の投与を抗鬱薬の最初の投与と同時にまたはほぼ同時に行うことができる。これは、その後に同時に(すなわち、抗鬱薬の前後1時間以内に)一緒に投与できる蘇生薬および抗鬱薬の別個の薬用量形態の使用により、または上記のように蘇生薬および抗鬱薬の両者を含む単一単位服用量の使用により行うことができる。
【0042】
さらに、モダフィニルを包含するがそれに限定されない蘇生薬をすでに抗鬱薬の少なくとも最初の服用量を受容した患者に投与することもできる。1つの態様では、蘇生薬の最初の投与は抗鬱薬の最初の投与後72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、最も好ましくは1時間以内またはすぐに行うことができる。この時機スキームでは、モダフィニルは抗鬱薬とほぼ同時であるが抗鬱薬の少なくとも1回の投与後に投与される。蘇生薬の最初の服用後に、蘇生薬および抗鬱薬の服用を典型的な方法で続けることができる。1つの特に好ましい態様では、蘇生薬の最初の投与および蘇生薬のその後の投与を蘇生薬および抗鬱薬の両者を含む単一単位服用量の使用により行うことができる。
【0043】
別の態様では、患者に対する蘇生薬の最初の投与を抗鬱薬療法が終了した後に行いおよび/または続けることができる。好ましくは、これは患者に対するある量の蘇生薬の投与により行われ、そしてその投与は抗鬱薬療法停止後に1、2、5、10、20、または30日間にわたり続けることができる。
【0044】
蘇生薬および抗鬱薬が別個の薬用量形態である態様では、以下の特定の処置方法で指示されない限り、蘇生薬の投与は好ましくは抗鬱薬の投与前後すぐに、1時間以内、または5時間以内、または24時間以内、または48時間以内、または72時間以内に行うことができる。
B.抗鬱薬効果の開始時間の短縮
抗鬱薬療法の開始と鬱症候の緩和との間の時間経過を短縮することができる。本発明の1つの態様では、モダフィニルを包含するがそれに限定されない抗鬱薬の投与開始後、抗鬱薬両方前もしくは最中、または以上で示された時機スキームの1つもしくはそれ以上に従うことにより、鬱症候を改良することができる。
【0045】
改良時間は抗鬱薬療法だけに関しては1、2、4、7、10、および14日間でありうる。
【0046】
別の態様では、本発明は動物患者における抗鬱薬の開始時間を短縮する方法を包含する。この方法は患者を有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬を予備処理し、および/または有効量のモダフィニルを包含するがそれに限定されない1種もしくはそれ以上の蘇生薬を抗鬱薬と共投与する段階を包含する。蘇生薬の量および予備療法の期間は患者毎に変動しうる。しかしながら、蘇生薬の投与時機が以上で示された時機スキームの1つもしくはそれ以上に従うことが好ましい。
【0047】
1つの態様では、蘇生薬の量は典型的には、開始時間における短縮が所望される抗鬱薬の療法開始前の2日間以内、好ましくは10日間以内の期間にわたり1日に1回もしくは2回投与される約100mg〜約200mgの有効量のモダフィニルを含む。別の態様では、蘇生薬の第1回投与は、抗鬱薬の最初の投与前72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、最も好ましくは1時間以内またはすぐであることができる。上記のように、蘇生薬の投与は場合により抗鬱薬療法中も続けることができる。
【0048】
蘇生薬は経口的に、鼻に、直腸に、静脈内に、硬膜外に、腹腔内に、皮下に、筋肉内にまたは鞘内に投与することができる。
定義
ここで使用される「粒子」は、アセトアミド化合物の集合した物理的単位、すなわちアセトアミドの片または粒子をさす。
【0049】
ここで使用される「約」は、示された値のプラスもしくはマイナス10%を意味し、例えば「約20mg」は18〜22mgを示す。
【0050】
ここで使用される「本質的に・・・よりなる」は、他の活性成分を含まないが、賦形剤および分解もしくはその他を相殺するための追加量の活性成分を包含することをさす。
【0051】
ここで使用される「有効量」は、鬱症状の処置に有効であるモダフィニルおよび/または抗鬱薬の量、すなわち、鬱病および/または抗鬱療法に伴われるある種の症候を軽減、緩和または排除しうるモダフィニルおよび/または抗鬱薬の量である。
【0052】
ここで使用される「製薬学的組成物」は、哺乳動物に対する投与に適する方法で製造されるモダフィニルを含んでなる哺乳動物の処置における使用のための薬品を意味する。本発明に従う製薬学的組成物は無毒の製薬学的に許容可能な担体を包含しうるが、必ずしも必要ではない。製薬学的組成物は薬用量形態の製造における使用のための大量の活性モダフィニルも包含しうる。製薬学的組成物はモダフィニルを別の活性物質、好ましくは抗鬱薬、より好ましくはSSRIと組み合わせて含むこともできる。
【実施例】
【0053】
適格の患者は予めMDD(単一事象または再発)と診断されており、4人の患者は有意な疲労(4もしくはそれより高い疲労重篤度目盛り(Fatigue Severity Scale)[FSS]得点)を有し、そして4週もしくはそれより長く抗鬱薬療法を受けていなかった。患者をスクリーニング、基線(表1に示される)、並びに1、2、3、4、5および6週において評価した。
【0054】

表1.基線患者特性
モダフィニル+フレオキセチンまたはパロキセチン
(N=29)
平均年令、才(SD) 36.2(8.6)
平均体重、ポンド(SD) 173.1(57.5)
性別、n(%)
女性 21(72.4)
人種、n(%)
白人 19(65.5)
平均疾病年数(SD) 2.7(3.9)
平均HAMD−21得点(SD) 22.6(4.9)
平均HAMD−31得点(SD) 29.9(7.4)
平均FSS得点(SD) 5.2(0.8)
平均ESS得点(SD) 10.3(4.9)
N=28
ESS=エプワース眠気目盛り(Epworth Sleepiness Scale);FSS=疲労重篤度目盛り;HAMD=鬱病に関するハミルトン評価目盛り(Hamilton Rating Scale for Depression);SD=標準偏差;VAS=視覚的アナログ目盛り(Visual Analogue Scale)

患者を次にSSRIおよびモダフィニルの組み合わせに関して開始させた。
【0055】
モダフィニルは100mg/日で3日間にわたり開始されそして次に、応答および耐性により、200mg/日まで滴定された。SSRI療法は20mg/日で6週間にわたり投与されるフレオキセチンまたはパロキセチンのいずれかであった。
1.症候評価
鬱症候変化は、各々がビデオテープに撮られそして独立して評価されるHAMD−31、およびHAMD−21合計得点評価を用いて分析された。HAMD−21合計得点分析は応答および寛解割合を評価するために行われた。疲労における変化はFSSを用いて評価された。疲労応答は基線後滞在(visit)時の4より低いFSS目盛りとして規定された。4もしくはそれより高いFSS得点は疲労の病的水準を示す。自覚眠気はエプワース眠気目盛り(ESS)を用いて評価された。10もしくはそれより高いESS得点は眠気の病的水準を示す。疲労、気分、動機付け、および集中を包含する鬱病に伴う症候は患者が評価した(patient−assessed)視覚的アナログ目盛り(VAS)を用いて評価された。
2.安全性監視
開始日、タイプ、重篤度および薬物治療を試験するための関係毎に全ての報告された有害な事象を記録することにより、安全性が評価された。身体試験、生命徴候、および臨床研究試験が試験中に行われた。
3.統計法
連続的な変数は正常に分布されたデータに関する対になったt−試験または非−正常データに関するウィルコキソン・サインド・ランク試験(Wilcoxon signed rank test)を用いて分析された。
【0056】
応答者(HAMD−21における>50%減少として定義される)および寛解者(基線後滞在時のHAMD−21における7もしくはそれより低い得点として定義される)の数はウィルコキソン・サインド・ランク試験を用いて分析された。少なくとも1回服用量の試験薬品を受容する患者は安全性分析に含まれた。
【0057】
安全性測定値をまとめるために記述統計法が使用された。全ての患者の基線特徴は表1にまとめられている。少なくとも1回服用量のモダフィニルを受容しそして少なくとも1回の基線後効果測定を受けた患者は効果に関して評価された(N=28).29人の患者が安全性評価に関して利用可能であった。
4.処置結果
SSRIと組み合わされたモダフィニルは、平均合計HAMD−21得点における基線からの減少により示されるように、開始1週間以内に鬱病を有意に改良した(図1A)。平均合計HAMD−21得点における統計学的に有意な減少は基線から6週まで進行した。SSRIと組み合わされたモダフィニルは平均合計HAMD−31得点を基線から開始1週間以内に有意に減少させそして6週まで進行した(図1B)。
【0058】
14人の評価可能患者の平均HAMD−31得点は31.72+/−7.28であった。フルオキセチンまたはパロキセチンと組み合わされたモダフィニルは合計HAMD−31得点を開始1週間以内に有意に改良した(平均−9.47+/−12.06;p<0.01)。改良は試験中ずっと保たれた(平均−23.06+/−13.55;p<0.01)。
【0059】
図2に示されているように、基線HAMD−21得点における50%より大きい減少として定義される応答は、2週において患者の42%、4週において65%、そして6週において79%により達成された。AMD−21に関して7に等しいかもしくはそれより低いと定義される鬱症状の寛解は、1週において患者の12%、2週において患者の39%、4週において44%、そして6週において約58%により達成された(図2)。
5.安全性および耐性
助剤モダフィニルはかなり耐性があった。患者の59%(17/29)は少なくとも1回の有害な事象を報告した。最も頻繁に報告された有害な事象は吐き気(41%)および頭痛(24%)であった。
【0060】
有害な事象は重篤度において穏やかないし中程度であり、試験中に重篤な有害な事象は報告されなかった。生存徴候、体重変化、ECG、または研究パラメーターにおいては臨床的に有意な差異は見られなかった。29人のうちの23人の患者(79%)は試験を完了した。モダフィニルおよびフルオキセチン群の3人の患者は処置に関連する有害な事象のために中止し、一人は動揺、食欲不振、および頭痛を報告し、別の人は頭痛および異常思考を報告し、そして三人目は不眠症、吐き気、および神経質を報告した。一人の患者は処方の非コンプライアンスのために中止した。二人の患者は追跡できなかった。
【0061】
モダフィニルは、疲労、または抗鬱薬効果を低下させるその他の残存症候を進行させる患者に対する処置評価として有効であることも証明できる。この6週試験からの結果は、有意な疲労のあるMDD患者で達成される症候緩和の程度および速度を増加させうることを示している。
【0062】
本発明を具体的な態様を参照しながら開示してきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱しない本発明の別の態様および変更を当業者は推量しうる。添付された請求項は全てのそのような態様および同等な変更を包含すると解釈すべきである。さらに、ここに引用された全ての参考文献の内容は引用することにより本発明の内容となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1A】図1Aは基線および1〜6週に関する平均21−項目HAMD−21合計得点である。
【図1B】図2Aは基線および1〜6週に関する平均31−項目HAMD−31合計得点である。
【図2】図2は基線および1〜6週に関する応答および寛解のある患者の百分率である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物患者を有効量のモダフィニル(modafinil)で予備処置する段階を含んでなる患者における抗鬱薬の開始時間を短縮する方法。
【請求項2】
抗鬱薬が三環式化合物、選択的セロトニン再吸収阻害剤、セロトニンおよびノルアドレナリン再吸収阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、並びにモノアミンオキシダーゼタイプAよりなる群から選択される請求項1の方法。
【請求項3】
抗鬱薬がシタリプラム(citalipram)、フルオキセチン(fluoxetine)、フルオキセチン塩酸塩、パロキセチン(paroxetine)、パロキセチン塩酸塩、およびクロミプラミン(clomipramine)塩酸塩よりなる群から選択される請求項2の方法。
【請求項4】
抗鬱薬がシタリプラム、フルオキセチンまたはパロキセチンである請求項3の方法。
【請求項5】
モダフィニルを抗鬱薬療法中に投与することをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項6】
投与される抗鬱薬の量が5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300または400mgの抗鬱薬を含む請求項1の方法。
【請求項7】
モダフィニルの量が5、10、15、20、30、40、50、60、70、75、80、90、100、200、300または400mgのモダフィニルを含む請求項6の方法。
【請求項8】
モダフィニルを抗鬱薬投与前の72時間、48時間、24時間、1時間またはすぐに1回もしくはそれ以上投与する請求項1の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−505156(P2007−505156A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533080(P2006−533080)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/015194
【国際公開番号】WO2004/100937
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505158024)セフアロン・インコーポレーテツド (21)
【Fターム(参考)】