魚群探知機
【課題】魚探画面において、魚群と水底の堆積層の詳細な状態を同時に把握することは困難だった。
【解決手段】対象を探知する探知信号を送信し、反射信号を受信する送受信部と、反射信号に基づいて水深または水底を検出する検出部と、反射信号を可視化する際、反射信号のうち、水深または水底を基準としてユーザからの設定により定まる境界の上方の反射信号からユーザからの設定による第一の感度で第一の対象を選別可能とし、境界の下方の反射信号から第一の感度とは異なるユーザからの設定による第二の感度で第二の対象を選別可能とし、表示処理部は、境界の上方を一つの探知画像の第一表示領域に表示させ、境界の下方を一つの探知画像の第一表示領域より下方の第二表示領域に表示させる魚群探知機とする。
【解決手段】対象を探知する探知信号を送信し、反射信号を受信する送受信部と、反射信号に基づいて水深または水底を検出する検出部と、反射信号を可視化する際、反射信号のうち、水深または水底を基準としてユーザからの設定により定まる境界の上方の反射信号からユーザからの設定による第一の感度で第一の対象を選別可能とし、境界の下方の反射信号から第一の感度とは異なるユーザからの設定による第二の感度で第二の対象を選別可能とし、表示処理部は、境界の上方を一つの探知画像の第一表示領域に表示させ、境界の下方を一つの探知画像の第一表示領域より下方の第二表示領域に表示させる魚群探知機とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は魚群探知技術、とくに音波を利用する魚群探知機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、魚群探知機は超音波を探知波として水中に射出し、その反射波に基づいて魚群や海底の状態を可視化する。典型的な魚群探知機は、水中へ探知波を射出し、水中からの反射波を受波するトランスジューサと、トランスジューサを駆動する送信部と、トランスジューサからの信号を増幅、検波する受信部と、トランスジューサへの送波を指示するとともに、受波した反射波に基づいて海中の状態を検出する処理部と、その検出結果を可視化するための可視化部とを備える。処理部は、探知波の送波から反射波の受波までの経過時間に基づいて物体までの距離を測定する。可視化部は、反射波の強度、物体の大きさや距離をユーザが認識できるよう表示装置に描画する。
【0003】
トランスジューサは、この送波と受波のための音響電気変換器であり、通常、船底に取り付けられる。トランスジューサは電歪振動子、磁歪振動子などの振動子が用いられる。探知波の周波数は探知目的による。周波数を高くすると減衰しやすくなり音波の到達距離は短くなるが、物体の識別解像度は上がる。周波数を低くすると識別解像度は下がるが、到達距離が長くなり深い水深まで探知できる。したがって、探知波の周波数は、探知対象魚種や操業水域の水深に応じて決められる。高周波、低周波双方の特長を生かすべく、複数周波数の探知波を使うこともあり、その場合、各周波数に対応するトランスジューサ、送信部および受信部を設ける。
【0004】
前述した可視化部は、反射信号の強度に応じて対象物、すなわち魚群や水底に色を割り当て、識別しやすくする。反射信号は魚群だけでなく、水底の堆積層に対しても生じるので、ユーザは、魚探画面に基づいて魚群を探知することの他に、海底に堆積する砂や岩盤などの層を探知することもできる。また、これらも漁における情報になる。さらには、水底に堆積したヘドロやその他の堆積物の堆積状況を調査する目的でも利用できる(特許文献1)。また、広いダイナミックレンジを有する受信部を使い反射波を取得し、利得調整を行うことで可視化範囲を調整するものもある(特許文献2)。
【特許文献1】特開平3−248082号公報
【特許文献2】特許第3234988号公報
【特許文献3】特開平3−20689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、魚群による反射信号(以下単に「魚群反射信号」という)の強度は、水底による反射信号(以下単に「水底反射信号」という)より弱い。このため、そのままの強度に基づいてそれぞれの反射信号に色を割り当てると、いずれか一方が目立たなくなってしまったり、飽和状態になり強度の変化があるにも拘わらず単一の色で表現されてしまったりする可能性がある。
【0006】
図1(a)は、魚群反射信号Aの強度が最大レベルを示す表示色になるように感度を調整した場合を示す図である。本図では、魚群反射信号Aに対する色の割り当ては適切に行われるが、水底反射信号Bに対する割り当ては、飽和状態になり、魚群反射信号Aより強い信号であるにも係らず、その強度は魚群反射信号Aと同じ色で表現されてしまう。
【0007】
図1(b)は、水底反射信号Bの強度が最大レベルを示す表示色になるように感度を調整した場合を示す図である。この場合、水底反射信号Bに対する色の割り当ては適切に行われるが、魚群反射信号Aが目立たなくなってしまう。このように、いずれか一方に合わせて感度を調整すると、他方の識別性が落ちてしまう。ユーザは注目したい対象物、例えば魚群や水底の反射信号の強度に合わせて、頻繁に感度を調整する必要がある。
【0008】
本発明者はそうした点を認識して本発明をなしたものであり、その目的は、同一の魚探画面における魚群および堆積層の識別性を高める技術を提供することにある。また、そうした技術を利用するためのユーザーインターフェイスを提供することにある。さらに、魚群探知機の操作性、利便性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は魚群を探知する装置である。この装置は、探知信号を送信し、反射信号を受信する送受信部と、前記反射信号に基づいて水底を検出する検出部と、前記反射信号を可視化する際、前記水底を基準として定まる境界の上方と下方で感度を変えた表示を行う表示処理部とを備える。これにより、境界の上下、例えば魚群と堆積層のそれぞれの反射強度に応じた感度で可視化できる。
【0010】
前記表示処理部は、前記境界の上方と下方で表示対象レンジを変えた表示を行ってもよい。これにより、境界の上方と下方でそれぞれに独立した表示対象レンジを設定することで、魚群による反射波を可視化する強度範囲と、堆積層による反射波を可視化する強度範囲を別々に設定できる。
【0011】
この装置は、前記境界の上方と下方で異なる2通りの設定をするための操作部を有してもよい。すなわち、感度についても、表示対象レンジについても、2通りの設定を認めてもよい。感度と表示対象レンジについてそれぞれ2通りの設定をするために、それぞれ2個のつまみその他の手段を設ける場合、合計4個の設定手段となる。ただし、感度も表示対象レンジも、それぞれ1個の設定手段を時分割その他の方法で兼用することができ、その場合、合計2個となる。さらに、感度と表示対象レンジの設定を時分割等の方法で行えば、設定手段は合計1個でも足りる。
【0012】
本発明の別の態様は、魚群を探知する方法である。この方法は、水底を基準として定まる境界の上方と下方で、異なる規則に基づいて色を割り当てるための設定を受け付けるステップと、探知信号を送信し、受信した反射信号に基づいて水底を検出するステップと、前記設定にしたがった可視化処理を施すステップとを含む。
【0013】
本発明の更に別の態様は、魚群を探知する装置である。この装置は、単一の受信部から得られた反射信号を第1感度および第2感度で可視化する表示処理部と、第1感度を設定する第1感度調整部と、第1感度とは独立して第2感度を設定する第2感度調整部とを備える。これにより、異なる感度で反射信号を可視化する場合に、ユーザが探知対象に応じていちいち感度を調節する手間を省くことができる。「探知対象」は、可視化する対象物である。
【0014】
本発明の更に別の態様も、魚群を探知する装置である。この装置は、単一の受信部から得られた反射信号を第1表示対象レンジおよび第2表示対象レンジで可視化する表示処理部と、第1表示対象レンジを設定する第1レンジ調整部と、第1表示対象レンジとは独立して第2表示対象レンジを設定する第2レンジ調整部とを備える。これにより、異なる表示対象レンジで反射信号を可視化する場合に、ユーザが探知対象に応じていちいち表示対象レンジを調節する手間を省くことができる。
【0015】
本発明の更に別の態様も、魚群を探知する装置である。この装置は、反射信号を受信する受信部と、反射信号に対して第1の可視化処理を施した画像を表示する第1表示領域と、反射信号に対して第1の可視化処理とは独立して、第2の可視化処理を施した画像を表示する第2表示領域と、第1表示領域と第2表示領域とを同時に表示画面に表示するための表示処理部とを備える。これにより、単一の反射信号に対して同時に複数の可視化処理を施して生成された画像を同時に表示することができる。
【0016】
また、この発明にかかる魚群探知機は、対象を探知する探知信号を送信し、反射信号を受信する送受信部と、反射信号に基づいて水深または水底を検出する検出部と、反射信号を可視化する際、反射信号のうち、水深または水底を基準としてユーザからの設定により定まる境界の上方の反射信号からユーザからの設定による第一の感度で第一の対象を選別可能とし、境界の下方の反射信号から第一の感度とは異なるユーザからの設定による第二の感度で第二の対象を選別可能とし、第一の対象を含む境界の上方を第一の感度で表示させ、第二の対象を含む境界の下方を第二の感度で表示させる表示処理部とを備え、表示処理部は、反射信号のうち、境界の上方の反射信号からユーザからの設定による第一の表示対象レンジで第一の対象を選別し、境界の下方の反射信号からユーザからの設定による第二の表示対象レンジで第二の対象を選別し、第一の対象を含む境界の上方を第一の表示対象レンジで表示させ、第二の対象を含む境界の下方を第二の表示対象レンジで表示させ、境界の上方と下方で、少なくとも2通りの異なる表示対象レンジを設定をするための操作部を有し、表示処理部は、境界の上方を一つの探知画像の第一表示領域に表示させ、境界の下方を一つの探知画像の第一表示領域より下方の第二表示領域に表示させる。
【0017】
また、この発明にかかる魚群探知機は、さらに好ましくは境界が水底であることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる他の魚群探知機は、第一の感度を設定する第一感度調整部と、第一の感度とは独立に第二の感度を設定する第二感度調整部と、第一の感度と第二の感度とを切り替える境界深度を設定する境界設定部と、単一の受信部から得られた反射信号のうち、境界深度の上方の反射信号から第一の感度で第一の対象を選別し、境界深度の下方の反射信号から第一の感度とは異なる第二の感度で第二の対象を選別し、第一の対象を含む境界深度の上方を第一の感度で表示させ、第二の対象を含む境界深度の下方を第二の感度で表示させる表示処理部とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる他の魚群探知機は、好ましくは第一の表示対象レンジを設定する第一レンジ調整部と、第一の表示対象レンジとは独立に第二の表示対象レンジを設定する第二レンジ調整部とを備え、表示処理部は、反射信号のうち、境界深度の上方の反射信号から第一の表示対象レンジで第一の対象を選別し、境界深度の下方の反射信号から第二の表示対象レンジで第二の対象を選別し、第一の対象を含む境界深度の上方を第一の表示対象レンジで表示させ、第二の対象を含む境界深度の下方を第二の表示対象レンジで表示させる表示処理部であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる他の魚群探知機は、さらに好ましくは表示処理部が、境界深度の上方の画像を表示する第一表示領域と、境界深度の下方の画像を表示する第二表示領域と、を同時に連続した一画面として、画面表示させる表示処理部であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる魚群探知方法は、第一の可視化レンジと、第一の可視化レンジとは異なる第二の可視化レンジと、の設定を受け付ける設定ステップと、探知信号を送信し、受信した反射信号に基づいて水底を検出するステップと、反射信号のうち、水底を基準として定まる境界の上方の反射信号から第一の可視化レンジに従って第一の探知対象を選別し、境界の下方の反射信号から第二の可視化レンジに従って第二の探知対象を選別するステップと、第一の探知対象と第二の探知対象とに対して各々、第一及び第二の探知対象を明確にするように、反射信号の強度に応じて表示色を割り当てるステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる魚群探知方法は、好ましくは設定ステップが、さらに、境界の設定を受け付けることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる魚群探知機は、反射信号を受信する単一の受信部と、単一の受信部から得られた反射信号を、第一感度と第一表示対象レンジとで第一の可視化処理を施し、第二感度と第二表示対象レンジとで第二の可視化処理を施し、第一の可視化処理を施した画像を表示する第一表示領域と、第二の可視化処理を施した画像を表示する第二表示領域と、を同時に表示画面に表示するための表示処理部と、第一感度を設定する第一感度調整部と、第一感度とは独立して第二感度を設定する第二感度調整部と、第一表示対象レンジを設定する第一レンジ調整部と、第一表示対象レンジとは独立して第二表示対象レンジを設定する第二レンジ調整部とを備えることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる魚群探知機は、好ましくは表示処理部が、第一の探知対象が第一表示領域に明確に表示されるように、第一の可視化処理を施し、第一の探知対象とは異なる深度に探知される第二の探知対象が、第二表示領域に明確に表示されるように、第二の可視化処理を施すことを特徴とする。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラムの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、水底を基準とする境界の上方と下方とで2つの異なる感度および表示対象レンジで水中の状態をユーザに提供できる。また、ユーザがその感度および表示対象レンジを任意に設定できる。また、2つの異なる感度および表示対象レンジで可視化した探知画像を同時に表示できる。また、過去の探知場所に戻ることなく探知画面を再描画できる。また、魚群探知機の利便性、操作性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第1の実施形態>
図2は、第1の実施形態に係る反射信号の強度に応じた色の割り当て方法を概念的に説明するための図である。本実施の形態では、水底Pを境界として、魚群検出用の感度および表示対象レンジと、底質検出用の感度および表示対象レンジとを独立に設定できる。以下、感度と表示対象レンジで決まる表示対象すなわち可視化すべき反射信号の強度範囲を「可視化レンジ」と表現し、とくに魚群検出用の可視化レンジを「魚群レンジ」といい、底質検出用の可視化レンジを「底質レンジ」という。「感度」は、例えば受信部のダイナミックレンジすなわち測定可能な強度範囲のうち、可視化の対象とする強度範囲の最低強度のことである。また、可視化する強度の幅を「表示対象レンジ」という。実際に可視化される反射波の強度範囲は、感度と表示対象レンジの2つのパラメータにより定まる。例えば、感度をS、表示対象レンジをTとすれば、可視化の対象となる強度範囲Xは、
S≦X≦(S+T)
となる。こうして定まる強度範囲にある反射波が可視化される。
【0028】
本図では、それぞれ異なる魚群から生じた第1魚群反射信号A1、第2魚群反射信号A2、第3魚群反射信号A3、および堆積層から生じた第1水底反射信号B1ならびに第2水底反射信号B2が示されている。3つの魚群反射信号は、魚群レンジで可視化対象が選別され、魚群レンジ内の第2魚群反射信号A2および第3魚群反射信号A3が魚探画面の表示対象となる。そして、第2魚群反射信号A2および第3魚群反射信号A3の強度に応じて色が割り当てられて魚探画面に表示される。
【0029】
2つの水底反射信号は、底質レンジで可視化対象が選別され、底質レンジ内の第1水底反射信号B1および第2水底反射信号B2が魚探画面の表示対象となる。そして、第1水底反射信号B1および第2水底反射信号B2の強度に応じて色が割り当てられて魚探画面に表示される。これにより、魚群と堆積層のいずれも、反射信号の強度に応じて適切な色が割り当てられる。
【0030】
図3は、実施の形態に係る魚群探知機100の構成図である。タイミング生成部34は、探知波の送信を送信部12に指示するとともに、サンプリングクロック生成部22にサンプリング開始タイミングおよびサンプリング終了タイミングを出力する。送信部12は、送受波器16を駆動するための電気信号を送受波器16に出力する。送受波器16は、例えばトランスジューサであって、送信部12から供給された電気信号に基づいて探知波を水中に射出する。その探知波は、魚群18および海底20に衝突してそれぞれ反射波となる。送受波器16は、それらの反射波を受波して電気信号である反射信号に変換して受信部14に出力する。
【0031】
受信部14は、送受波器16から供給された反射信号を増幅、検波し、例えば対数増幅回路などにより信号に圧縮処理を施す。これにより受信部14は、広範囲なダイナミックレンジを有する。音波は水中を伝搬する間に減衰してしまう。その減衰量は、伝搬距離が長くなるほど大きくなる。これにより、同一サイズの物体でも、音源からの距離が離れるほどその反射波の強度は弱くなってしまう。そこで、反射波の到達時間に応じて増幅率を変えることで減衰の影響を抑えるSTC(Sensitivity Time Control)が施される。
【0032】
STCを行うために、タイミング生成部34は、STC信号生成部44にSTC起動タイミングを出力する。STC信号生成部44は、STC調整部32からSTC特性指示値を取得し、STC信号をSTCタイミングで受信部14に出力する。受信部14は、STC信号に基づいて、探知距離が近いほど増幅率を小さくし、探知距離が遠いほど増幅率を大きくする。
【0033】
A/D変換部26は、増幅された反射信号をサンプリングクロック生成部22から供給されるサンプリングタイミングでデジタル値(以下、単に「探知情報」という)に変換し、バッファメモリ24に格納する。さらにA/D変換部26は、その探知情報を表示処理部70に出力する。探知情報は、反射信号の強度および探知波を送信してからの到達時間を含むものとする。
【0034】
表示処理部70は、探知情報に所定の可視化処理を施して、探知画像を表示部46に表示させる。表示処理部70は、海底検出部36、探知画像生成部102、描画プロセッサ48、およびビデオメモリ50を有する。海底検出部36は、バッファメモリ24に保持されている探知情報、すなわち反射波の強度に基づいて水底を検出し、その反射波の到達時間から水底の深度すなわち水深を算出し、探知画像生成部102に出力する。探知画像生成部102は、探知情報から反射波の強度や対象物の深度を算出する。そして、探知画像生成部102は、水底より上方の対象物による反射波を魚群レンジで選別し、水底より下方の対象物による反射波を底質レンジで選別して探知ラインを生成する。また探知画像生成部102は、深度に基づいて探知ライン上の表示位置を決め、強度に応じて表示色を決める。探知画像生成部102は、描画プロセッサ48を介して生成した探知ラインをビデオメモリ50に格納する。描画プロセッサ48は、ビデオメモリ50に保持された探知ラインを順に表示部46に並べて探知画像を表示させる。
【0035】
操作部108の感度調整部104は、例えばつまみ、スイッチ、ボリウムなどの入力インターフェイスを有し、魚群検出用の感度と、底質検出用の感度とをユーザから受け付け、探知画像生成部102に出力する。操作部108の表示対象レンジ調整部106は、感度調整部104と同様の入力インターフェイスを有し、魚群検出用の表示対象レンジと底質検出用の表示対象レンジとをユーザから受け付け、探知画像生成部102に出力する。
【0036】
タイミング生成部34、海底検出部36、探知画像生成部102、およびSTC信号生成部44は、CPU56にプログラムを実行させることで構成される機能ブロックである。プログラムメモリ54は、それらの機能ブロックを構成するためのプログラムを格納する。メインメモリ52は、プログラムを実行する際にCPU56により利用される。他の例では、これらの機能ブロックがハードウエアで実現されてもよい。
【0037】
図4は、図3の探知画像生成部102の内部構成図である。水深算出部124は、A/D変換部26から供給された探知情報に基づいて、反射波のピークを検出し、その水深をそれぞれ算出する。水深算出部124は、その水深値と強度を蓄積部110に出力する。蓄積部110は、1回の探知シーケンスにより取得した対象物の水深値と、反射波の強度と、海底検出部36から供給される水底深度とを対応付けて格納する。図5は、蓄積部110のデータ構造の一例を概念的に示す。蓄積部110は、図3の表示部46が有するそれぞれの画素に対応するように強度および水深を保持する。本図は、表示部46の画素数が640×480の場合のデータ構造を示すが、この画素数に限定する趣旨ではない。また、他の例では、探知時間や探知番号などの探知シーケンスを特定する情報に対応付けて、強度、水深、および水底深度を保持してもよい。
【0038】
図4に戻り、感度情報格納部120は、魚群検出用の感度と水底検出用の感度とを保持する。表示対象レンジ格納部122は、魚群検出用の表示対象レンジと底質検出用の表示対象レンジとを保持する。取込部128は、図3の感度調整部104および表示対象レンジ調整部106から、ユーザに設定された感度と表示対象レンジとを取り込み、感度情報格納部120ならびに表示対象レンジ格納部122に保持させる。取込部128は、この取込処理を所定の間隔で行う。これにより、常に最新の感度および表示対象レンジが感度情報格納部120ならびに表示対象レンジ格納部122に保持される。
【0039】
選別部112は、感度情報格納部120および表示対象レンジ格納部122に保持されている、感度ならびに表示対象レンジにより決まる魚群レンジと底質レンジに基づいて、蓄積部110から可視化すべき反射波の強度を選別する。その選別の際、各探知ラインにおける、水底深度より浅い位置からの反射信号については魚群レンジが適用され、水底深度より深い位置からの反射信号については底質レンジが適用される。
【0040】
配色部126は、選別部112により選別された反射波の強度に応じて表示色を割り当てる。配色部126は、可視化レンジを配色に使う色の数で等分または不等分して、相対的に色を割り当ててもよい。それにより、魚群レンジまたは底質レンジのそれぞれにおける強度を明確にできる。また、魚群レンジおよび底質レンジごとに配色のためのテーブルを有してもよい。これにより、ユーザはレンジごとに配色を設定できる。このように、配色部126は、例えば前述の感度や表示対象レンジの組み合わせごとに配色規則を設定できる。
【0041】
蓄積部110は、広範囲のダイナミックレンジで探知情報を保持するので、ユーザによる感度調整部104または表示対象レンジ調整部106の操作により可視化レンジが変わった場合でも、選別部112は、その可視化レンジに応じて再度可視化処理を行うことができる。これにより、ユーザは、過去の探知場所に実際に戻ることなく、感度および表示対象レンジの少なくとも一方を変更した探知画面を再び参照できる。
【0042】
図6(a)は、一本の探知ラインの表示処理のフローチャートである。まず、選別部112は、描画すべきラインの水底深度を図4の蓄積部110から読み込む(S10)。次に、図4の選別部112は、読み込んだ水底深度より浅い深度の対象物を魚群レンジに基づいて選別し、それぞれに配色処理を施す(S12)。そして、選別部112は水底深度より深い深度の対象物を底質レンジに基づいて選別し、それぞれに配色処理を施す(S14)。この一連の処理を全ての探知ラインにわたり繰り返すことで魚探画面が構成される。
【0043】
図6(b)は、感度と表示対象レンジを、それぞれ図4の感度情報格納部120と図4の表示対象レンジ格納部122に格納する処理のフローチャートである。本実施の形態における魚群探知機100が起動すると、この処理は開始される。図4の取込部128は、図3の感度調整部104から魚群検出用の感度および底質検出用の感度を取り込み(S20)、感度情報格納部120に格納する。また、取込部128は、表示対象レンジ調整部106から魚群検出用の表示対象レンジおよび底質検出用の表示対象レンジを取り込み、表示対象レンジ格納部122に格納する。また、取込部128は図3の操作部108を介してユーザに設定された、他の設定値を取り込む(S24)。取込部128は所定時間、例えば50msが経過するまで待機し(S26のN)、経過した場合に(S26のY)、S20に戻る。このため、常に最新の設定値がそれぞれの格納部に格納された状態になる。
【0044】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る魚群探知機200の構成図である。図3を用いて説明した構成と同一の符号を付した構成は、図3を用いて説明した同一の符号を付した構成と機能または動作が同一である。以下の説明では、機能または動作が異なる構成について主として説明する。LOG受信部164は、例えば対数増幅回路などの広ダイナミックレンジ増幅回路を有する受信部である。こうした広範囲なダイナミックレンジを有する受信部は現在も利用されている。しかし、ユーザの使い勝手を維持するために、魚群探知機が利用され始めた当初、すなわち現在の受信機ほど広範囲なダイナミックレンジを有していない頃の色表現を引き継ぐことを目的として実際には20数dB程度しか使われていなかった。本発明者はこの点に着目して、従来利用されていなかったレンジを有効的に活用することで、単一の受信部から得られた反射信号を複数の感度で可視化する技術に想到した。
【0045】
A/D変換部26は、サンプリングクロック生成部22から供給されるサンプリングクロックの立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングでLOG受信部164からの反射波をサンプリングしてデジタルデータの探知情報に変換する。表示処理部165は、探知情報に所定の可視化処理を施して、探知画像を表示部46に表示させる。表示処理部165は、海底検出部36、探知画像生成部102、画面モード制御部158、補助情報生成部160、描画プロセッサ162、およびビデオメモリ50を有する。探知画像生成部102は、操作部166を介してユーザに指示された感度および表示対象レンジに基づいて、反射信号をその強度に応じて配色する。
【0046】
第1感度調整部150aおよび第2感度調整部150b(以下、単に「感度調整部150」ということもある)は、例えばボリウムなどの入力インターフェイスを有し、第1感度ならびに第2感度をそれぞれユーザから受け付け、探知画像生成部102に出力する。これによりユーザは、第1感度および第2感度をそれぞれ独立に設定できる。第1レンジ調整部152aおよび第2レンジ調整部152b(以下、単に「レンジ調整部152」ということもある)は、例えばボリウムなどの入力インターフェイスを有し、第1表示対象レンジならびに第2表示対象レンジをそれぞれユーザから受け付け、探知画像生成部102に出力する。これによりユーザは、第1表示対象レンジおよび第2表示対象レンジを独立に設定できる。これらの感度および表示対象レンジは、図4の取込部128により取り込まれて、図4の感度情報格納部120ならびに表示対象レンジ格納部122に格納される。感度調整部150およびレンジ調整部152は、予め所定の感度ならびに表示対象レンジをプリセット値として保持してもよい。例えばプリセット値として、従来の魚群探知機の感度および表示対象レンジが設定されてもよい。
【0047】
探知画像生成部102は、第1感度および第1表示対象レンジの組合せ(以下、単に「第1可視化レンジ」という)と、第2感度ならびに第2表示対象レンジの組合せ(以下、単に「第2可視化レンジ」という)とで別々に反射信号を可視化する。すなわち、探知画像生成部102は、同一の反射信号を2通りの可視化レンジに基づいて表示用のデータを生成する。他の例では、感度調整部150およびレンジ調整部152は、可視化レンジの数に応じて更に複数個ずつ設けられてもよい。
【0048】
画面モード制御部158は、モード切替部154からの画面モードの切り替え指示、および境界設定部156からの境界の指示に基づいて、探知画像の表示形態を制御する。画面モード制御部158は、描画プロセッサ162に対して表示形態を指示する。
【0049】
図8(a)は、探知画像の表示形態の一例を示す図である。表示画面170は、表示部46に表示される。この表示画面170は、第1表示領域170aおよび第2表示領域170bを有し、それぞれ異なる表示対象レンジで可視化を行った場合の探知画像を表示する。図9(a)は、このときの第1可視化レンジと第2可視化レンジの関係を示す図である。図9(a)では、第1可視化レンジには広範囲の表示対象レンジが設定され、第2可視化レンジには例えば従来機と同程度の表示対象レンジが設定されている。このような設定にすることで、図8(a)のように、第1表示領域170aにはプランクトンなどの反射信号の強度が微弱な物体から、魚類、海底などの反射信号の強度が強い物体まで網羅的に表示され、第2表示領域170bには、プランクトンなどを除いた探知画像が表示される。このように同時に複数の可視化レンジに基づいて生成された魚探画面が表示されるので、例えば、一方の魚探画面で大型魚の餌になるプランクトンや小魚などの分布を把握しながら、他方の画面で大型魚を探し出すということもできる。また、一方の表示領域に従来機と同等の可視化レンジで可視化した探知画像を表示し、他方の表示領域にユーザが任意に設定した可視化レンジで可視化した探知画像を表示することもできる。
【0050】
図8(b)は、異なる感度で可視化を行った場合の表示画面172の一例を示す図である。この表示画面172は、第1表示領域172aおよび第2表示領域172bを有し、それぞれ異なる感度で可視化を行った場合の探知画像を表示する。図9(b)は、このときの第1可視化レンジと第2可視化レンジの関係を示す図である。また、図8(a)、図8(b)のそれぞれの探知画像には、可視化に利用した可視化レンジに応じて配色処理が施される。この配色処理は、図4の配色部126により行われる。
【0051】
図8(c)は、ひとつの探知画像を第1表示領域180aと第2表示領域180bとに分けて、それぞれの領域に異なる可視化レンジによる探知画像を表示した状態を示す図である。探知画像としては、1枚であり、それを上方と下方に分割している。すなわち、この探知画像は、水深または水底を基準として定まる境界の上方と下方で可視化レンジを変えて可視化したものである。図9(c)は、このときの第1可視化レンジと第2可視化レンジの関係を示す図である。図9(c)では境界Lの上方と下方でそれぞれ独立して可視化レンジが設定されている。これにより、例えば水面に近い位置に多く存在するプランクトンなどのノイズの影響を避けるために、上方はプランクトンを避けるように感度を設定し、下方は微弱な反射信号も可視化するように感度を設定することができる。
【0052】
このような表示をする場合、第1表示領域180aと第2表示領域180bとで、可視化に使う配色を変えてもよい。図4の配色部126は、例えば、第1表示領域180aには、一般的な魚群探知機の配色で表示するための処理を施し、第2表示領域180bには、一般的な魚群探知機の配色で網掛け表示するための処理を施してもよい。例えば、一方の表示領域における赤色は、他方の表示領域では、赤色の網掛けとして表示される。つまり、配色部126は、第1可視化レンジと第2可視化レンジのいずれで可視化されているのかをユーザが認識できるような配色処理を施す。このように、配色部126は、探知画像の表示形態、すなわち表示モードに応じて配色を変更してもよい。
【0053】
図7に戻り、境界設定部156は、可視化レンジを切り替える境界Lをユーザから受け付ける。境界Lは、水面を基準として設定されてもよいし、水底を基準として設定されてもよい。画面モード制御部158は、境界設定部156に設定された境界Lの上方と下方で可視化レンジを変えた表示を行うことを描画プロセッサ162に指示する。これにより、図8(c)を用いて説明した表示画面180が表示部46に表示される。補助情報生成部160は、探知画像に付加する例えば深度スケールや文字情報など補助的な情報を生成する。描画プロセッサ162は、探知画像に重ねて補助情報を表示部に表示させる。
【0054】
図10は、図7の魚群探知機200における処理のフローチャートの一例を示す図である。魚群探知機200は、図7の操作部166から各種設定値を読み込むための設定値取得処理190と探知信号を可視化するための可視化処理192とを主に実行している。設定値取得処理190は、例えば50ms間隔の定周期で実行される。可視化処理192は、探知信号ごとに実行される。
【0055】
設定値取得処理190は、まず図4の取込部128は、第1感度調整部150aから第1感度を取り込む(S52)。同様に、取込部128は、第2感度調整部150bから第2感度を取り込む(S54)。次に取込部128は、第1レンジ調整部152aから第1表示対象レンジを取り込む(S56)。同様に、取込部128は、第2レンジ調整部152bから第2表示対象レンジを取り込む(S58)。また、取込部128は、例えば、画面モード等、感度および表示対象レンジ以外のユーザに設定された設定値を操作部166から取り込む(S60)。取込部128は、取込処理を終了するか否かを判定する(S62)。取込処理を続ける場合(S62のN)、例えば50ms間待機し(S50)、S52に戻る。取込処理を終了する場合(S62のY)、取込を終了する。このように、定期的に設定値を読み取ることで、ユーザが設定値に変えた場合でもほぼリアルタイムにその設定を可視化処理に反映することができる。
【0056】
可視化処理192は、探知信号ごとに実行される。まず、図7のLOG受信部164が探知信号を受信する(S63)。図7の探知画像生成部102は、受信した探知信号に対して第1可視化レンジに基づいて可視化処理を施す(S64)。次に探知画像生成部102は、受信した探知信号に対して第2可視化レンジに基づいて可視化処理を施す(S66)。そして、探知画像生成部102は、可視化処理を終了するか否かを判定する(S68)。可視化処理を続ける場合(S68のN)、S64に戻る。可視化処理を終了する場合(S68のY)、探知画像生成部102は処理を終了する。
【0057】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来の魚群探知機における反射信号の強度に応じた表示色の割り当て方法を説明するための図である。
【図2】第1の実施形態に係る魚群探知機における反射信号の強度に応じた表示色の割り当て方法を説明するための図である。
【図3】第1の実施形態に係る魚群探知機の構成図である。
【図4】図3の探知画像生成部の内部構成図である。
【図5】図4の蓄積部のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図3の魚群探知機における探知画面の生成処理のフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る魚群探知機の構成図である。
【図8】(a)は、異なる可視化レンジに基づいて描画された探知画像をそれぞれ異なる領域に分けて表示した一例を示す図である。(b)は、異なる可視化レンジに基づいて描画された探知画像をそれぞれ異なる領域に分けて表示した他の一例を示す図である。(c)は、1枚の探知画像を境界の上下で分割して、異なる可視化レンジに基づいた画像を表示した一例を示す図である。
【図9】(a)は、第1可視化レンジと第2可視化レンジの一例を示す図である。(b)は、第1可視化レンジと第2可視化レンジの他の一例を示す図である。(c)は、第1可視化レンジと第2可視化レンジを境界の上方と下方で設定した状態の一例を示す図である。
【図10】図7の魚群探知機における処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
12 送信部、14 受信部、16 送受波器、100 魚群探知機、102 探知画像生成部、104 感度調整部、106 表示対象レンジ調整部、110 蓄積部、112 選別部、126 配色部、150a 第1感度調整部、150b 第2感度調整部、152a 第1レンジ調整部、152b 第2レンジ調整部、154 モード切替部、156 境界設定部、158 画面モード制御部。
【技術分野】
【0001】
この発明は魚群探知技術、とくに音波を利用する魚群探知機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、魚群探知機は超音波を探知波として水中に射出し、その反射波に基づいて魚群や海底の状態を可視化する。典型的な魚群探知機は、水中へ探知波を射出し、水中からの反射波を受波するトランスジューサと、トランスジューサを駆動する送信部と、トランスジューサからの信号を増幅、検波する受信部と、トランスジューサへの送波を指示するとともに、受波した反射波に基づいて海中の状態を検出する処理部と、その検出結果を可視化するための可視化部とを備える。処理部は、探知波の送波から反射波の受波までの経過時間に基づいて物体までの距離を測定する。可視化部は、反射波の強度、物体の大きさや距離をユーザが認識できるよう表示装置に描画する。
【0003】
トランスジューサは、この送波と受波のための音響電気変換器であり、通常、船底に取り付けられる。トランスジューサは電歪振動子、磁歪振動子などの振動子が用いられる。探知波の周波数は探知目的による。周波数を高くすると減衰しやすくなり音波の到達距離は短くなるが、物体の識別解像度は上がる。周波数を低くすると識別解像度は下がるが、到達距離が長くなり深い水深まで探知できる。したがって、探知波の周波数は、探知対象魚種や操業水域の水深に応じて決められる。高周波、低周波双方の特長を生かすべく、複数周波数の探知波を使うこともあり、その場合、各周波数に対応するトランスジューサ、送信部および受信部を設ける。
【0004】
前述した可視化部は、反射信号の強度に応じて対象物、すなわち魚群や水底に色を割り当て、識別しやすくする。反射信号は魚群だけでなく、水底の堆積層に対しても生じるので、ユーザは、魚探画面に基づいて魚群を探知することの他に、海底に堆積する砂や岩盤などの層を探知することもできる。また、これらも漁における情報になる。さらには、水底に堆積したヘドロやその他の堆積物の堆積状況を調査する目的でも利用できる(特許文献1)。また、広いダイナミックレンジを有する受信部を使い反射波を取得し、利得調整を行うことで可視化範囲を調整するものもある(特許文献2)。
【特許文献1】特開平3−248082号公報
【特許文献2】特許第3234988号公報
【特許文献3】特開平3−20689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、魚群による反射信号(以下単に「魚群反射信号」という)の強度は、水底による反射信号(以下単に「水底反射信号」という)より弱い。このため、そのままの強度に基づいてそれぞれの反射信号に色を割り当てると、いずれか一方が目立たなくなってしまったり、飽和状態になり強度の変化があるにも拘わらず単一の色で表現されてしまったりする可能性がある。
【0006】
図1(a)は、魚群反射信号Aの強度が最大レベルを示す表示色になるように感度を調整した場合を示す図である。本図では、魚群反射信号Aに対する色の割り当ては適切に行われるが、水底反射信号Bに対する割り当ては、飽和状態になり、魚群反射信号Aより強い信号であるにも係らず、その強度は魚群反射信号Aと同じ色で表現されてしまう。
【0007】
図1(b)は、水底反射信号Bの強度が最大レベルを示す表示色になるように感度を調整した場合を示す図である。この場合、水底反射信号Bに対する色の割り当ては適切に行われるが、魚群反射信号Aが目立たなくなってしまう。このように、いずれか一方に合わせて感度を調整すると、他方の識別性が落ちてしまう。ユーザは注目したい対象物、例えば魚群や水底の反射信号の強度に合わせて、頻繁に感度を調整する必要がある。
【0008】
本発明者はそうした点を認識して本発明をなしたものであり、その目的は、同一の魚探画面における魚群および堆積層の識別性を高める技術を提供することにある。また、そうした技術を利用するためのユーザーインターフェイスを提供することにある。さらに、魚群探知機の操作性、利便性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は魚群を探知する装置である。この装置は、探知信号を送信し、反射信号を受信する送受信部と、前記反射信号に基づいて水底を検出する検出部と、前記反射信号を可視化する際、前記水底を基準として定まる境界の上方と下方で感度を変えた表示を行う表示処理部とを備える。これにより、境界の上下、例えば魚群と堆積層のそれぞれの反射強度に応じた感度で可視化できる。
【0010】
前記表示処理部は、前記境界の上方と下方で表示対象レンジを変えた表示を行ってもよい。これにより、境界の上方と下方でそれぞれに独立した表示対象レンジを設定することで、魚群による反射波を可視化する強度範囲と、堆積層による反射波を可視化する強度範囲を別々に設定できる。
【0011】
この装置は、前記境界の上方と下方で異なる2通りの設定をするための操作部を有してもよい。すなわち、感度についても、表示対象レンジについても、2通りの設定を認めてもよい。感度と表示対象レンジについてそれぞれ2通りの設定をするために、それぞれ2個のつまみその他の手段を設ける場合、合計4個の設定手段となる。ただし、感度も表示対象レンジも、それぞれ1個の設定手段を時分割その他の方法で兼用することができ、その場合、合計2個となる。さらに、感度と表示対象レンジの設定を時分割等の方法で行えば、設定手段は合計1個でも足りる。
【0012】
本発明の別の態様は、魚群を探知する方法である。この方法は、水底を基準として定まる境界の上方と下方で、異なる規則に基づいて色を割り当てるための設定を受け付けるステップと、探知信号を送信し、受信した反射信号に基づいて水底を検出するステップと、前記設定にしたがった可視化処理を施すステップとを含む。
【0013】
本発明の更に別の態様は、魚群を探知する装置である。この装置は、単一の受信部から得られた反射信号を第1感度および第2感度で可視化する表示処理部と、第1感度を設定する第1感度調整部と、第1感度とは独立して第2感度を設定する第2感度調整部とを備える。これにより、異なる感度で反射信号を可視化する場合に、ユーザが探知対象に応じていちいち感度を調節する手間を省くことができる。「探知対象」は、可視化する対象物である。
【0014】
本発明の更に別の態様も、魚群を探知する装置である。この装置は、単一の受信部から得られた反射信号を第1表示対象レンジおよび第2表示対象レンジで可視化する表示処理部と、第1表示対象レンジを設定する第1レンジ調整部と、第1表示対象レンジとは独立して第2表示対象レンジを設定する第2レンジ調整部とを備える。これにより、異なる表示対象レンジで反射信号を可視化する場合に、ユーザが探知対象に応じていちいち表示対象レンジを調節する手間を省くことができる。
【0015】
本発明の更に別の態様も、魚群を探知する装置である。この装置は、反射信号を受信する受信部と、反射信号に対して第1の可視化処理を施した画像を表示する第1表示領域と、反射信号に対して第1の可視化処理とは独立して、第2の可視化処理を施した画像を表示する第2表示領域と、第1表示領域と第2表示領域とを同時に表示画面に表示するための表示処理部とを備える。これにより、単一の反射信号に対して同時に複数の可視化処理を施して生成された画像を同時に表示することができる。
【0016】
また、この発明にかかる魚群探知機は、対象を探知する探知信号を送信し、反射信号を受信する送受信部と、反射信号に基づいて水深または水底を検出する検出部と、反射信号を可視化する際、反射信号のうち、水深または水底を基準としてユーザからの設定により定まる境界の上方の反射信号からユーザからの設定による第一の感度で第一の対象を選別可能とし、境界の下方の反射信号から第一の感度とは異なるユーザからの設定による第二の感度で第二の対象を選別可能とし、第一の対象を含む境界の上方を第一の感度で表示させ、第二の対象を含む境界の下方を第二の感度で表示させる表示処理部とを備え、表示処理部は、反射信号のうち、境界の上方の反射信号からユーザからの設定による第一の表示対象レンジで第一の対象を選別し、境界の下方の反射信号からユーザからの設定による第二の表示対象レンジで第二の対象を選別し、第一の対象を含む境界の上方を第一の表示対象レンジで表示させ、第二の対象を含む境界の下方を第二の表示対象レンジで表示させ、境界の上方と下方で、少なくとも2通りの異なる表示対象レンジを設定をするための操作部を有し、表示処理部は、境界の上方を一つの探知画像の第一表示領域に表示させ、境界の下方を一つの探知画像の第一表示領域より下方の第二表示領域に表示させる。
【0017】
また、この発明にかかる魚群探知機は、さらに好ましくは境界が水底であることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる他の魚群探知機は、第一の感度を設定する第一感度調整部と、第一の感度とは独立に第二の感度を設定する第二感度調整部と、第一の感度と第二の感度とを切り替える境界深度を設定する境界設定部と、単一の受信部から得られた反射信号のうち、境界深度の上方の反射信号から第一の感度で第一の対象を選別し、境界深度の下方の反射信号から第一の感度とは異なる第二の感度で第二の対象を選別し、第一の対象を含む境界深度の上方を第一の感度で表示させ、第二の対象を含む境界深度の下方を第二の感度で表示させる表示処理部とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる他の魚群探知機は、好ましくは第一の表示対象レンジを設定する第一レンジ調整部と、第一の表示対象レンジとは独立に第二の表示対象レンジを設定する第二レンジ調整部とを備え、表示処理部は、反射信号のうち、境界深度の上方の反射信号から第一の表示対象レンジで第一の対象を選別し、境界深度の下方の反射信号から第二の表示対象レンジで第二の対象を選別し、第一の対象を含む境界深度の上方を第一の表示対象レンジで表示させ、第二の対象を含む境界深度の下方を第二の表示対象レンジで表示させる表示処理部であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる他の魚群探知機は、さらに好ましくは表示処理部が、境界深度の上方の画像を表示する第一表示領域と、境界深度の下方の画像を表示する第二表示領域と、を同時に連続した一画面として、画面表示させる表示処理部であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる魚群探知方法は、第一の可視化レンジと、第一の可視化レンジとは異なる第二の可視化レンジと、の設定を受け付ける設定ステップと、探知信号を送信し、受信した反射信号に基づいて水底を検出するステップと、反射信号のうち、水底を基準として定まる境界の上方の反射信号から第一の可視化レンジに従って第一の探知対象を選別し、境界の下方の反射信号から第二の可視化レンジに従って第二の探知対象を選別するステップと、第一の探知対象と第二の探知対象とに対して各々、第一及び第二の探知対象を明確にするように、反射信号の強度に応じて表示色を割り当てるステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる魚群探知方法は、好ましくは設定ステップが、さらに、境界の設定を受け付けることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる魚群探知機は、反射信号を受信する単一の受信部と、単一の受信部から得られた反射信号を、第一感度と第一表示対象レンジとで第一の可視化処理を施し、第二感度と第二表示対象レンジとで第二の可視化処理を施し、第一の可視化処理を施した画像を表示する第一表示領域と、第二の可視化処理を施した画像を表示する第二表示領域と、を同時に表示画面に表示するための表示処理部と、第一感度を設定する第一感度調整部と、第一感度とは独立して第二感度を設定する第二感度調整部と、第一表示対象レンジを設定する第一レンジ調整部と、第一表示対象レンジとは独立して第二表示対象レンジを設定する第二レンジ調整部とを備えることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる魚群探知機は、好ましくは表示処理部が、第一の探知対象が第一表示領域に明確に表示されるように、第一の可視化処理を施し、第一の探知対象とは異なる深度に探知される第二の探知対象が、第二表示領域に明確に表示されるように、第二の可視化処理を施すことを特徴とする。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラムの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、水底を基準とする境界の上方と下方とで2つの異なる感度および表示対象レンジで水中の状態をユーザに提供できる。また、ユーザがその感度および表示対象レンジを任意に設定できる。また、2つの異なる感度および表示対象レンジで可視化した探知画像を同時に表示できる。また、過去の探知場所に戻ることなく探知画面を再描画できる。また、魚群探知機の利便性、操作性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第1の実施形態>
図2は、第1の実施形態に係る反射信号の強度に応じた色の割り当て方法を概念的に説明するための図である。本実施の形態では、水底Pを境界として、魚群検出用の感度および表示対象レンジと、底質検出用の感度および表示対象レンジとを独立に設定できる。以下、感度と表示対象レンジで決まる表示対象すなわち可視化すべき反射信号の強度範囲を「可視化レンジ」と表現し、とくに魚群検出用の可視化レンジを「魚群レンジ」といい、底質検出用の可視化レンジを「底質レンジ」という。「感度」は、例えば受信部のダイナミックレンジすなわち測定可能な強度範囲のうち、可視化の対象とする強度範囲の最低強度のことである。また、可視化する強度の幅を「表示対象レンジ」という。実際に可視化される反射波の強度範囲は、感度と表示対象レンジの2つのパラメータにより定まる。例えば、感度をS、表示対象レンジをTとすれば、可視化の対象となる強度範囲Xは、
S≦X≦(S+T)
となる。こうして定まる強度範囲にある反射波が可視化される。
【0028】
本図では、それぞれ異なる魚群から生じた第1魚群反射信号A1、第2魚群反射信号A2、第3魚群反射信号A3、および堆積層から生じた第1水底反射信号B1ならびに第2水底反射信号B2が示されている。3つの魚群反射信号は、魚群レンジで可視化対象が選別され、魚群レンジ内の第2魚群反射信号A2および第3魚群反射信号A3が魚探画面の表示対象となる。そして、第2魚群反射信号A2および第3魚群反射信号A3の強度に応じて色が割り当てられて魚探画面に表示される。
【0029】
2つの水底反射信号は、底質レンジで可視化対象が選別され、底質レンジ内の第1水底反射信号B1および第2水底反射信号B2が魚探画面の表示対象となる。そして、第1水底反射信号B1および第2水底反射信号B2の強度に応じて色が割り当てられて魚探画面に表示される。これにより、魚群と堆積層のいずれも、反射信号の強度に応じて適切な色が割り当てられる。
【0030】
図3は、実施の形態に係る魚群探知機100の構成図である。タイミング生成部34は、探知波の送信を送信部12に指示するとともに、サンプリングクロック生成部22にサンプリング開始タイミングおよびサンプリング終了タイミングを出力する。送信部12は、送受波器16を駆動するための電気信号を送受波器16に出力する。送受波器16は、例えばトランスジューサであって、送信部12から供給された電気信号に基づいて探知波を水中に射出する。その探知波は、魚群18および海底20に衝突してそれぞれ反射波となる。送受波器16は、それらの反射波を受波して電気信号である反射信号に変換して受信部14に出力する。
【0031】
受信部14は、送受波器16から供給された反射信号を増幅、検波し、例えば対数増幅回路などにより信号に圧縮処理を施す。これにより受信部14は、広範囲なダイナミックレンジを有する。音波は水中を伝搬する間に減衰してしまう。その減衰量は、伝搬距離が長くなるほど大きくなる。これにより、同一サイズの物体でも、音源からの距離が離れるほどその反射波の強度は弱くなってしまう。そこで、反射波の到達時間に応じて増幅率を変えることで減衰の影響を抑えるSTC(Sensitivity Time Control)が施される。
【0032】
STCを行うために、タイミング生成部34は、STC信号生成部44にSTC起動タイミングを出力する。STC信号生成部44は、STC調整部32からSTC特性指示値を取得し、STC信号をSTCタイミングで受信部14に出力する。受信部14は、STC信号に基づいて、探知距離が近いほど増幅率を小さくし、探知距離が遠いほど増幅率を大きくする。
【0033】
A/D変換部26は、増幅された反射信号をサンプリングクロック生成部22から供給されるサンプリングタイミングでデジタル値(以下、単に「探知情報」という)に変換し、バッファメモリ24に格納する。さらにA/D変換部26は、その探知情報を表示処理部70に出力する。探知情報は、反射信号の強度および探知波を送信してからの到達時間を含むものとする。
【0034】
表示処理部70は、探知情報に所定の可視化処理を施して、探知画像を表示部46に表示させる。表示処理部70は、海底検出部36、探知画像生成部102、描画プロセッサ48、およびビデオメモリ50を有する。海底検出部36は、バッファメモリ24に保持されている探知情報、すなわち反射波の強度に基づいて水底を検出し、その反射波の到達時間から水底の深度すなわち水深を算出し、探知画像生成部102に出力する。探知画像生成部102は、探知情報から反射波の強度や対象物の深度を算出する。そして、探知画像生成部102は、水底より上方の対象物による反射波を魚群レンジで選別し、水底より下方の対象物による反射波を底質レンジで選別して探知ラインを生成する。また探知画像生成部102は、深度に基づいて探知ライン上の表示位置を決め、強度に応じて表示色を決める。探知画像生成部102は、描画プロセッサ48を介して生成した探知ラインをビデオメモリ50に格納する。描画プロセッサ48は、ビデオメモリ50に保持された探知ラインを順に表示部46に並べて探知画像を表示させる。
【0035】
操作部108の感度調整部104は、例えばつまみ、スイッチ、ボリウムなどの入力インターフェイスを有し、魚群検出用の感度と、底質検出用の感度とをユーザから受け付け、探知画像生成部102に出力する。操作部108の表示対象レンジ調整部106は、感度調整部104と同様の入力インターフェイスを有し、魚群検出用の表示対象レンジと底質検出用の表示対象レンジとをユーザから受け付け、探知画像生成部102に出力する。
【0036】
タイミング生成部34、海底検出部36、探知画像生成部102、およびSTC信号生成部44は、CPU56にプログラムを実行させることで構成される機能ブロックである。プログラムメモリ54は、それらの機能ブロックを構成するためのプログラムを格納する。メインメモリ52は、プログラムを実行する際にCPU56により利用される。他の例では、これらの機能ブロックがハードウエアで実現されてもよい。
【0037】
図4は、図3の探知画像生成部102の内部構成図である。水深算出部124は、A/D変換部26から供給された探知情報に基づいて、反射波のピークを検出し、その水深をそれぞれ算出する。水深算出部124は、その水深値と強度を蓄積部110に出力する。蓄積部110は、1回の探知シーケンスにより取得した対象物の水深値と、反射波の強度と、海底検出部36から供給される水底深度とを対応付けて格納する。図5は、蓄積部110のデータ構造の一例を概念的に示す。蓄積部110は、図3の表示部46が有するそれぞれの画素に対応するように強度および水深を保持する。本図は、表示部46の画素数が640×480の場合のデータ構造を示すが、この画素数に限定する趣旨ではない。また、他の例では、探知時間や探知番号などの探知シーケンスを特定する情報に対応付けて、強度、水深、および水底深度を保持してもよい。
【0038】
図4に戻り、感度情報格納部120は、魚群検出用の感度と水底検出用の感度とを保持する。表示対象レンジ格納部122は、魚群検出用の表示対象レンジと底質検出用の表示対象レンジとを保持する。取込部128は、図3の感度調整部104および表示対象レンジ調整部106から、ユーザに設定された感度と表示対象レンジとを取り込み、感度情報格納部120ならびに表示対象レンジ格納部122に保持させる。取込部128は、この取込処理を所定の間隔で行う。これにより、常に最新の感度および表示対象レンジが感度情報格納部120ならびに表示対象レンジ格納部122に保持される。
【0039】
選別部112は、感度情報格納部120および表示対象レンジ格納部122に保持されている、感度ならびに表示対象レンジにより決まる魚群レンジと底質レンジに基づいて、蓄積部110から可視化すべき反射波の強度を選別する。その選別の際、各探知ラインにおける、水底深度より浅い位置からの反射信号については魚群レンジが適用され、水底深度より深い位置からの反射信号については底質レンジが適用される。
【0040】
配色部126は、選別部112により選別された反射波の強度に応じて表示色を割り当てる。配色部126は、可視化レンジを配色に使う色の数で等分または不等分して、相対的に色を割り当ててもよい。それにより、魚群レンジまたは底質レンジのそれぞれにおける強度を明確にできる。また、魚群レンジおよび底質レンジごとに配色のためのテーブルを有してもよい。これにより、ユーザはレンジごとに配色を設定できる。このように、配色部126は、例えば前述の感度や表示対象レンジの組み合わせごとに配色規則を設定できる。
【0041】
蓄積部110は、広範囲のダイナミックレンジで探知情報を保持するので、ユーザによる感度調整部104または表示対象レンジ調整部106の操作により可視化レンジが変わった場合でも、選別部112は、その可視化レンジに応じて再度可視化処理を行うことができる。これにより、ユーザは、過去の探知場所に実際に戻ることなく、感度および表示対象レンジの少なくとも一方を変更した探知画面を再び参照できる。
【0042】
図6(a)は、一本の探知ラインの表示処理のフローチャートである。まず、選別部112は、描画すべきラインの水底深度を図4の蓄積部110から読み込む(S10)。次に、図4の選別部112は、読み込んだ水底深度より浅い深度の対象物を魚群レンジに基づいて選別し、それぞれに配色処理を施す(S12)。そして、選別部112は水底深度より深い深度の対象物を底質レンジに基づいて選別し、それぞれに配色処理を施す(S14)。この一連の処理を全ての探知ラインにわたり繰り返すことで魚探画面が構成される。
【0043】
図6(b)は、感度と表示対象レンジを、それぞれ図4の感度情報格納部120と図4の表示対象レンジ格納部122に格納する処理のフローチャートである。本実施の形態における魚群探知機100が起動すると、この処理は開始される。図4の取込部128は、図3の感度調整部104から魚群検出用の感度および底質検出用の感度を取り込み(S20)、感度情報格納部120に格納する。また、取込部128は、表示対象レンジ調整部106から魚群検出用の表示対象レンジおよび底質検出用の表示対象レンジを取り込み、表示対象レンジ格納部122に格納する。また、取込部128は図3の操作部108を介してユーザに設定された、他の設定値を取り込む(S24)。取込部128は所定時間、例えば50msが経過するまで待機し(S26のN)、経過した場合に(S26のY)、S20に戻る。このため、常に最新の設定値がそれぞれの格納部に格納された状態になる。
【0044】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る魚群探知機200の構成図である。図3を用いて説明した構成と同一の符号を付した構成は、図3を用いて説明した同一の符号を付した構成と機能または動作が同一である。以下の説明では、機能または動作が異なる構成について主として説明する。LOG受信部164は、例えば対数増幅回路などの広ダイナミックレンジ増幅回路を有する受信部である。こうした広範囲なダイナミックレンジを有する受信部は現在も利用されている。しかし、ユーザの使い勝手を維持するために、魚群探知機が利用され始めた当初、すなわち現在の受信機ほど広範囲なダイナミックレンジを有していない頃の色表現を引き継ぐことを目的として実際には20数dB程度しか使われていなかった。本発明者はこの点に着目して、従来利用されていなかったレンジを有効的に活用することで、単一の受信部から得られた反射信号を複数の感度で可視化する技術に想到した。
【0045】
A/D変換部26は、サンプリングクロック生成部22から供給されるサンプリングクロックの立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングでLOG受信部164からの反射波をサンプリングしてデジタルデータの探知情報に変換する。表示処理部165は、探知情報に所定の可視化処理を施して、探知画像を表示部46に表示させる。表示処理部165は、海底検出部36、探知画像生成部102、画面モード制御部158、補助情報生成部160、描画プロセッサ162、およびビデオメモリ50を有する。探知画像生成部102は、操作部166を介してユーザに指示された感度および表示対象レンジに基づいて、反射信号をその強度に応じて配色する。
【0046】
第1感度調整部150aおよび第2感度調整部150b(以下、単に「感度調整部150」ということもある)は、例えばボリウムなどの入力インターフェイスを有し、第1感度ならびに第2感度をそれぞれユーザから受け付け、探知画像生成部102に出力する。これによりユーザは、第1感度および第2感度をそれぞれ独立に設定できる。第1レンジ調整部152aおよび第2レンジ調整部152b(以下、単に「レンジ調整部152」ということもある)は、例えばボリウムなどの入力インターフェイスを有し、第1表示対象レンジならびに第2表示対象レンジをそれぞれユーザから受け付け、探知画像生成部102に出力する。これによりユーザは、第1表示対象レンジおよび第2表示対象レンジを独立に設定できる。これらの感度および表示対象レンジは、図4の取込部128により取り込まれて、図4の感度情報格納部120ならびに表示対象レンジ格納部122に格納される。感度調整部150およびレンジ調整部152は、予め所定の感度ならびに表示対象レンジをプリセット値として保持してもよい。例えばプリセット値として、従来の魚群探知機の感度および表示対象レンジが設定されてもよい。
【0047】
探知画像生成部102は、第1感度および第1表示対象レンジの組合せ(以下、単に「第1可視化レンジ」という)と、第2感度ならびに第2表示対象レンジの組合せ(以下、単に「第2可視化レンジ」という)とで別々に反射信号を可視化する。すなわち、探知画像生成部102は、同一の反射信号を2通りの可視化レンジに基づいて表示用のデータを生成する。他の例では、感度調整部150およびレンジ調整部152は、可視化レンジの数に応じて更に複数個ずつ設けられてもよい。
【0048】
画面モード制御部158は、モード切替部154からの画面モードの切り替え指示、および境界設定部156からの境界の指示に基づいて、探知画像の表示形態を制御する。画面モード制御部158は、描画プロセッサ162に対して表示形態を指示する。
【0049】
図8(a)は、探知画像の表示形態の一例を示す図である。表示画面170は、表示部46に表示される。この表示画面170は、第1表示領域170aおよび第2表示領域170bを有し、それぞれ異なる表示対象レンジで可視化を行った場合の探知画像を表示する。図9(a)は、このときの第1可視化レンジと第2可視化レンジの関係を示す図である。図9(a)では、第1可視化レンジには広範囲の表示対象レンジが設定され、第2可視化レンジには例えば従来機と同程度の表示対象レンジが設定されている。このような設定にすることで、図8(a)のように、第1表示領域170aにはプランクトンなどの反射信号の強度が微弱な物体から、魚類、海底などの反射信号の強度が強い物体まで網羅的に表示され、第2表示領域170bには、プランクトンなどを除いた探知画像が表示される。このように同時に複数の可視化レンジに基づいて生成された魚探画面が表示されるので、例えば、一方の魚探画面で大型魚の餌になるプランクトンや小魚などの分布を把握しながら、他方の画面で大型魚を探し出すということもできる。また、一方の表示領域に従来機と同等の可視化レンジで可視化した探知画像を表示し、他方の表示領域にユーザが任意に設定した可視化レンジで可視化した探知画像を表示することもできる。
【0050】
図8(b)は、異なる感度で可視化を行った場合の表示画面172の一例を示す図である。この表示画面172は、第1表示領域172aおよび第2表示領域172bを有し、それぞれ異なる感度で可視化を行った場合の探知画像を表示する。図9(b)は、このときの第1可視化レンジと第2可視化レンジの関係を示す図である。また、図8(a)、図8(b)のそれぞれの探知画像には、可視化に利用した可視化レンジに応じて配色処理が施される。この配色処理は、図4の配色部126により行われる。
【0051】
図8(c)は、ひとつの探知画像を第1表示領域180aと第2表示領域180bとに分けて、それぞれの領域に異なる可視化レンジによる探知画像を表示した状態を示す図である。探知画像としては、1枚であり、それを上方と下方に分割している。すなわち、この探知画像は、水深または水底を基準として定まる境界の上方と下方で可視化レンジを変えて可視化したものである。図9(c)は、このときの第1可視化レンジと第2可視化レンジの関係を示す図である。図9(c)では境界Lの上方と下方でそれぞれ独立して可視化レンジが設定されている。これにより、例えば水面に近い位置に多く存在するプランクトンなどのノイズの影響を避けるために、上方はプランクトンを避けるように感度を設定し、下方は微弱な反射信号も可視化するように感度を設定することができる。
【0052】
このような表示をする場合、第1表示領域180aと第2表示領域180bとで、可視化に使う配色を変えてもよい。図4の配色部126は、例えば、第1表示領域180aには、一般的な魚群探知機の配色で表示するための処理を施し、第2表示領域180bには、一般的な魚群探知機の配色で網掛け表示するための処理を施してもよい。例えば、一方の表示領域における赤色は、他方の表示領域では、赤色の網掛けとして表示される。つまり、配色部126は、第1可視化レンジと第2可視化レンジのいずれで可視化されているのかをユーザが認識できるような配色処理を施す。このように、配色部126は、探知画像の表示形態、すなわち表示モードに応じて配色を変更してもよい。
【0053】
図7に戻り、境界設定部156は、可視化レンジを切り替える境界Lをユーザから受け付ける。境界Lは、水面を基準として設定されてもよいし、水底を基準として設定されてもよい。画面モード制御部158は、境界設定部156に設定された境界Lの上方と下方で可視化レンジを変えた表示を行うことを描画プロセッサ162に指示する。これにより、図8(c)を用いて説明した表示画面180が表示部46に表示される。補助情報生成部160は、探知画像に付加する例えば深度スケールや文字情報など補助的な情報を生成する。描画プロセッサ162は、探知画像に重ねて補助情報を表示部に表示させる。
【0054】
図10は、図7の魚群探知機200における処理のフローチャートの一例を示す図である。魚群探知機200は、図7の操作部166から各種設定値を読み込むための設定値取得処理190と探知信号を可視化するための可視化処理192とを主に実行している。設定値取得処理190は、例えば50ms間隔の定周期で実行される。可視化処理192は、探知信号ごとに実行される。
【0055】
設定値取得処理190は、まず図4の取込部128は、第1感度調整部150aから第1感度を取り込む(S52)。同様に、取込部128は、第2感度調整部150bから第2感度を取り込む(S54)。次に取込部128は、第1レンジ調整部152aから第1表示対象レンジを取り込む(S56)。同様に、取込部128は、第2レンジ調整部152bから第2表示対象レンジを取り込む(S58)。また、取込部128は、例えば、画面モード等、感度および表示対象レンジ以外のユーザに設定された設定値を操作部166から取り込む(S60)。取込部128は、取込処理を終了するか否かを判定する(S62)。取込処理を続ける場合(S62のN)、例えば50ms間待機し(S50)、S52に戻る。取込処理を終了する場合(S62のY)、取込を終了する。このように、定期的に設定値を読み取ることで、ユーザが設定値に変えた場合でもほぼリアルタイムにその設定を可視化処理に反映することができる。
【0056】
可視化処理192は、探知信号ごとに実行される。まず、図7のLOG受信部164が探知信号を受信する(S63)。図7の探知画像生成部102は、受信した探知信号に対して第1可視化レンジに基づいて可視化処理を施す(S64)。次に探知画像生成部102は、受信した探知信号に対して第2可視化レンジに基づいて可視化処理を施す(S66)。そして、探知画像生成部102は、可視化処理を終了するか否かを判定する(S68)。可視化処理を続ける場合(S68のN)、S64に戻る。可視化処理を終了する場合(S68のY)、探知画像生成部102は処理を終了する。
【0057】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来の魚群探知機における反射信号の強度に応じた表示色の割り当て方法を説明するための図である。
【図2】第1の実施形態に係る魚群探知機における反射信号の強度に応じた表示色の割り当て方法を説明するための図である。
【図3】第1の実施形態に係る魚群探知機の構成図である。
【図4】図3の探知画像生成部の内部構成図である。
【図5】図4の蓄積部のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図3の魚群探知機における探知画面の生成処理のフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る魚群探知機の構成図である。
【図8】(a)は、異なる可視化レンジに基づいて描画された探知画像をそれぞれ異なる領域に分けて表示した一例を示す図である。(b)は、異なる可視化レンジに基づいて描画された探知画像をそれぞれ異なる領域に分けて表示した他の一例を示す図である。(c)は、1枚の探知画像を境界の上下で分割して、異なる可視化レンジに基づいた画像を表示した一例を示す図である。
【図9】(a)は、第1可視化レンジと第2可視化レンジの一例を示す図である。(b)は、第1可視化レンジと第2可視化レンジの他の一例を示す図である。(c)は、第1可視化レンジと第2可視化レンジを境界の上方と下方で設定した状態の一例を示す図である。
【図10】図7の魚群探知機における処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
12 送信部、14 受信部、16 送受波器、100 魚群探知機、102 探知画像生成部、104 感度調整部、106 表示対象レンジ調整部、110 蓄積部、112 選別部、126 配色部、150a 第1感度調整部、150b 第2感度調整部、152a 第1レンジ調整部、152b 第2レンジ調整部、154 モード切替部、156 境界設定部、158 画面モード制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を探知する探知信号を送信し、反射信号を受信する送受信部と、
前記反射信号に基づいて水深または水底を検出する検出部と、
前記反射信号を可視化する際、
前記反射信号のうち、前記水深または水底を基準としてユーザからの設定により定まる境界の上方の前記反射信号から前記ユーザからの設定による第一の感度で第一の対象を選別可能とし、前記境界の下方の前記反射信号から前記第一の感度とは異なる前記ユーザからの設定による第二の感度で第二の対象を選別可能とし、
前記第一の対象を含む前記境界の上方を前記第一の感度で表示させ、前記第二の対象を含む前記境界の下方を前記第二の感度で表示させる表示処理部と、
を備え、
前記表示処理部は、
前記反射信号のうち、前記境界の上方の前記反射信号から前記ユーザからの設定による第一の表示対象レンジで前記第一の対象を選別し、前記境界の下方の前記反射信号から前記ユーザからの設定による第二の表示対象レンジで前記第二の対象を選別し、前記第一の対象を含む前記境界の上方を前記第一の表示対象レンジで表示させ、前記第二の対象を含む前記境界の下方を前記第二の表示対象レンジで表示させ、
前記境界の上方と下方で、少なくとも2通りの異なる表示対象レンジを設定をするための操作部を有し、
前記表示処理部は、
前記境界の上方を一つの探知画像の第一表示領域に表示させ、前記境界の下方を前記一つの探知画像の前記第一表示領域より下方の第二表示領域に表示させる
ことを特徴とする魚群探知機。
【請求項2】
反射信号を受信する単一の受信部と、
前記単一の受信部から得られた反射信号を、
第一感度と第一表示対象レンジとで第一の可視化処理を施し、第二感度と第二表示対象レンジとで第二の可視化処理を施し、前記第一の可視化処理を施した画像を表示する前記第一表示領域と、前記第二の可視化処理を施した画像を表示する前記第二表示領域と、を同時に表示画面に表示するための表示処理部と、
前記第一感度を設定する第一感度調整部と、
前記第一感度とは独立して前記第二感度を設定する第二感度調整部と、
前記第一表示対象レンジを設定する第一レンジ調整部と、
前記第一表示対象レンジとは独立して前記第二表示対象レンジを設定する第二レンジ調整部と、
を備えることを特徴とする魚群探知機。
【請求項3】
請求項2に記載の魚群探知機において、
前記表示処理部は、
第一の探知対象が前記第一表示領域に明確に表示されるように、前記第一の可視化処理を施し、
前記第一の探知対象とは異なる深度に探知される第二の探知対象が、前記第二表示領域に明確に表示されるように、前記第二の可視化処理を施す
ことを特徴とする魚群探知機。
【請求項1】
対象を探知する探知信号を送信し、反射信号を受信する送受信部と、
前記反射信号に基づいて水深または水底を検出する検出部と、
前記反射信号を可視化する際、
前記反射信号のうち、前記水深または水底を基準としてユーザからの設定により定まる境界の上方の前記反射信号から前記ユーザからの設定による第一の感度で第一の対象を選別可能とし、前記境界の下方の前記反射信号から前記第一の感度とは異なる前記ユーザからの設定による第二の感度で第二の対象を選別可能とし、
前記第一の対象を含む前記境界の上方を前記第一の感度で表示させ、前記第二の対象を含む前記境界の下方を前記第二の感度で表示させる表示処理部と、
を備え、
前記表示処理部は、
前記反射信号のうち、前記境界の上方の前記反射信号から前記ユーザからの設定による第一の表示対象レンジで前記第一の対象を選別し、前記境界の下方の前記反射信号から前記ユーザからの設定による第二の表示対象レンジで前記第二の対象を選別し、前記第一の対象を含む前記境界の上方を前記第一の表示対象レンジで表示させ、前記第二の対象を含む前記境界の下方を前記第二の表示対象レンジで表示させ、
前記境界の上方と下方で、少なくとも2通りの異なる表示対象レンジを設定をするための操作部を有し、
前記表示処理部は、
前記境界の上方を一つの探知画像の第一表示領域に表示させ、前記境界の下方を前記一つの探知画像の前記第一表示領域より下方の第二表示領域に表示させる
ことを特徴とする魚群探知機。
【請求項2】
反射信号を受信する単一の受信部と、
前記単一の受信部から得られた反射信号を、
第一感度と第一表示対象レンジとで第一の可視化処理を施し、第二感度と第二表示対象レンジとで第二の可視化処理を施し、前記第一の可視化処理を施した画像を表示する前記第一表示領域と、前記第二の可視化処理を施した画像を表示する前記第二表示領域と、を同時に表示画面に表示するための表示処理部と、
前記第一感度を設定する第一感度調整部と、
前記第一感度とは独立して前記第二感度を設定する第二感度調整部と、
前記第一表示対象レンジを設定する第一レンジ調整部と、
前記第一表示対象レンジとは独立して前記第二表示対象レンジを設定する第二レンジ調整部と、
を備えることを特徴とする魚群探知機。
【請求項3】
請求項2に記載の魚群探知機において、
前記表示処理部は、
第一の探知対象が前記第一表示領域に明確に表示されるように、前記第一の可視化処理を施し、
前記第一の探知対象とは異なる深度に探知される第二の探知対象が、前記第二表示領域に明確に表示されるように、前記第二の可視化処理を施す
ことを特徴とする魚群探知機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−69164(P2009−69164A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334738(P2008−334738)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【分割の表示】特願2002−348051(P2002−348051)の分割
【原出願日】平成14年11月29日(2002.11.29)
【出願人】(000001177)株式会社光電製作所 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【分割の表示】特願2002−348051(P2002−348051)の分割
【原出願日】平成14年11月29日(2002.11.29)
【出願人】(000001177)株式会社光電製作所 (32)
【Fターム(参考)】
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