説明

(メタ)アクリル樹脂組成物及びそのフィルム

2種類以上のポリマー、特にカルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーと、ピペリジニル基含有ポリマーと、を含む(メタ)アクリル樹脂組成物及びフィルムが、本明細書において開示される。カルボキシル基及びピペリジニル基は、酸塩基のイオン結合を形成するので、2つのポリマー間の親和性が改善され、フィルムは良好な強靱性を示す。本明細書に開示されるフィルムは、静電トナー印刷及びインクジェット印刷などの印刷プロセスの受容シートとして使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル樹脂組成物及びそのフィルムに関する。本発明によるフィルムは、ハウジング及びその他の構造体の内部及び外部トリム、付属部品の表皮面材、自動車用内部及び外部トリムなどにおける、マーキングフィルム又は受容シートの基礎として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
引張り強度と伸長性とをうまく両立させる塩化ビニル系樹脂が、表面装飾の目的に使用されるフィルムとして過去に広く使用されてきた。しかしながら、近年、広く報告されている塩化ビニル系樹脂に関する環境への懸念が、アクリル樹脂代替物の開発に拍車をかけている。優れた透明性、光安定性、及び耐応力白化性を有するアクリル樹脂が、開示されている(特開平10−101748号明細書を参照)。更に、アクリル樹脂は一般的に、過去に使用されてきた塩化ビニル樹脂などの他の樹脂よりも耐候性が高い。
【0003】
国際公開第2005/023916 A1号によると、アクリル樹脂がフィルムに作製されると、硬く脆性になることが多く、装飾用シートなどとしての使用に耐えることができない。その結果、本特許出願は、可撓性を付与しアクリル樹脂の脆性を低減する手段として、高いガラス転移点を有する(メタ)アクリルポリマーと、低いガラス転移点を有する(メタ)アクリルポリマーと、を含有するフィルムを開示する。これらのフィルムにより、高いガラス転移点を有する(メタ)アクリルポリマーが、フィルムに高い引張り強度を与え、一方、低いガラス転移点を有する(メタ)アクリルポリマーは、低温度でフィルムに良好な伸長性を与える。したがって、高い引張り強度及び良好な伸長性を有するアクリル樹脂フィルムを提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それでも尚、アクリル樹脂フィルムに関する問題は、フィルムが野外で長期間使用されたり、又は加熱を必要とする溶融押出成形によって製造されるなどの、適用又は製造方法に応じた、フィルム強度の低下及び黄変を含む。それ故に、改善された耐候性及び耐熱性を有し、しかも高い引張り強度及び良好な伸長性を有する、アクリル樹脂フィルムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(メタ)アクリル樹脂組成物及びフィルムは、フィルムが、改善された耐熱性及び耐候性、並びに高い引張り強度及び良好な伸長性を有するように、上述の問題を解決するという目的で考え出された。(メタ)アクリル樹脂組成物及びフィルムは、2種類以上のポリマー、特にカルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーと、ピペリジニル基含有ポリマーと、を含む。カルボキシル基及びピペリジニル基は、酸塩基のイオン結合を形成するので、2つのポリマー間の親和性が改善され、フィルムは良好な強靱性を示す。
【0006】
更に、上記の(メタ)アクリル樹脂フィルムのいずれかを含む受容シートも本明細書に開示される。受容シートは、フィルム上の0〜100℃のガラス転移温度を有する樹脂を含む受容層を有し得る。所望により、受容シートは、フィルム上で受容層の反対側に接着層を含む。受容シートの1つに沈着し画像を形成する1以上の着色剤を含み、1以上の着色剤の上に保護フィルムを更に含むマーキングフィルムも、本明細書で開示される。保護フィルムは樹脂を含み、少なくとも60%の光学透過率を有する。
【0007】
画像を形成する方法も本明細書に開示され、本方法は、本明細書に記載される受容シートの1つを準備する工程と、1以上の着色剤を装備するプリンタを準備する工程と、1以上の着色剤が受容シート上に沈着して画像を形成するように、プリンタを使用して受容シート上に印刷する工程と、を含む。
【0008】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、上記要約は、請求項に記載された主題に関する限定として決して解釈されるべきではなく、この主題は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、出願中に補正され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下に記載される図面と関連して次の「発明を実施するための形態」及び「実施例」を考慮することにより、本発明をより完全に理解し得る。図面は、請求項に記載された主題に関する限定として決して解釈されるべきではなく、その主題は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図1】代表的なマーキングフィルムの一実施形態を概略的に示す断面図。
【図2】本発明の受容シートの一実施形態を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(メタ)アクリル樹脂組成物
本明細書に開示される(メタ)アクリル樹脂組成物は、カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーと、ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーと、を含む。本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリル」とは、アクリル、又はメタクリルのいずれかを意味する。上述のカルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーは、カルボキシル基含有モノマー由来の単位を含み、カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーを得るための一方法は、モノエチレン不飽和モノマーとカルボキシル基を含有する不飽和モノマーとを共重合することである。上記のピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーを得るための一方法は、モノエチレン不飽和モノマーとピペリジニル基を含有する不飽和モノマーとを共重合することである。
【0011】
共重合は、通常、ラジカル重合によって行われる。この目的には、溶液重合、懸濁重合、エマルション重合、又はブロック重合など、既知のどの重合方法も用いることができる。反応開始剤として、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、若しくは別のそのような有機ペルオキシド、又は2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(AVN)、若しくは別のそのようなアゾ系重合開始剤を使用することができる。この反応開始剤が使用される量は、通常、モノマー混合物100重量部あたり0.05〜5重量部である。
【0012】
(メタ)アクリル樹脂組成物の場合、カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーのTgが0℃以上であるなら、ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーのTgは0℃以下であるのが望ましい場合がある。同様に、カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーのTgが0℃以下であるなら、ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーのTgは0℃以上であるのが望ましい場合がある。理論に束縛されるものではないが、高いTgを有する(メタ)アクリルポリマーは、フィルムに高い引張り強度を与え、低いTgを有する(メタ)アクリルポリマーは、低温度でフィルムに良好な伸長性を与える、と考えられている。
【0013】
上述のポリマーの重量平均分子量(Mw)は、樹脂及びそれから作られるフィルムの様々な特性のバランスを保つように選択される。分子量が高過ぎると、樹脂は粘稠になり過ぎる可能性があり、その結果フィルム製造中にコーティングが困難となり得る。反対に、分子量が低過ぎると、樹脂及びそれで作られるフィルムの破断点伸び、破断点強度、並びに耐候性に悪影響を及ぼし得る。これらのパラメータ内で、少なくとも10,000、例えば少なくとも50,000、又は少なくとも100,000のMwを有するポリマーが、有用であることがわかった。用語「重量平均分子量(Mw)」とは、本明細書において、スチレンに関してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量を意味する。
【0014】
(メタ)アクリルポリマーを構成するモノエチレン不飽和モノマーは、ポリマーの主要構成要素である。好適なモノエチレン不飽和モノマーには、芳香族ビニルモノマー(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン)、及びビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)が挙げられ、式CH=CRCOOR(式中、Rは、水素又はメチル基であり、Rは、直鎖、分枝状、又は環状アルキル基(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート)に相当するモノマー、フェニル基、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート)、フェノキシアルキル基(例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート)、環状エーテル基(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート)などが使用できる。これらは、望まれるガラス転移温度、引張り強度、及び伸長性を得るために、意図する用途に従って単一で、又は2つ以上を組み合わせて使用される。
【0015】
上述のモノエチレン不飽和モノマーと共重合されるときにカルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーを構成するカルボキシル基含有不飽和モノマーの例には、不飽和モノカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、イタコン酸)、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸が挙げられる。
【0016】
カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーは、主要構成要素としてのモノエチレン不飽和モノマー、より具体的には、80〜95.5重量部の量のモノエチレン不飽和モノマーを、モノエチレン不飽和モノマーの重量部の0.5〜20重量部の量のカルボキシル基を含有する不飽和モノマーと共重合させることにより得られるのが好ましい。本発明の効果が失われない範囲で、他のモノマーを追加し、共重合することもできる。
【0017】
ピペリジニル基を含有し、上述のモノエチレン不飽和モノマーと共重合されるときにピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーを構成する不飽和モノマーの例には、ピペリジニル基含有(メタ)アクリレートモノマー、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げられる。
【0018】
ピペリジニル基以外のアミノ基を含有するモノマーも、ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーと共重合することができる。アミノ基を含有するこれらのモノマーの例としては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMA)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMM)、及びその他のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートなど、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びその他のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなど、並びにビニルイミダゾールなどの窒素含有複素環を有するビニルモノマーにより代表される三級アミノ基を有するモノマーが挙げられる。
【0019】
ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーは、主要構成要素としてのモノエチレン不飽和モノマー、より具体的には、80〜95.5重量部の量のモノエチレン不飽和モノマーを、モノエチレン不飽和モノマーの重量部の0.5〜20重量部の量のピペリジニル基を含有する不飽和モノマーと共重合させることにより得られるのが好ましい。理論に束縛されるものではないが、ピペリジニル基を含有する不飽和モノマーの量が小さ過ぎると、十分な耐候性及び耐熱性が得られないと考えられている。本発明の効果が失われない範囲で、他のモノマーを追加し、共重合することもできる。
【0020】
アミノ基含有(メタ)アクリルポリマーは、モノエチレン不飽和モノマーを、ピペリジニル基以外のアミノ基を含有するモノマーと共重合させることにより得ることが可能で、また、別個に調製し、カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマー及びピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーに加えることもできる。
【0021】
アミノ基含有(メタ)アクリルポリマーは、主要構成要素としてのモノエチレン不飽和モノマー、より具体的には、80〜95.5重量部の量のモノエチレン不飽和モノマーを、モノエチレン不飽和モノマーの重量部の0.5〜20重量部の量のピペリジニル基以外のアミノ基を含有する不飽和モノマーと共重合させることにより得ることができる。これは、アミノ基を含有する不飽和モノマーの量が小さ過ぎると、カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーとの混和性が悪くなるためである。
【0022】
カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマー、ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマー、又はアミノ基含有(メタ)アクリルポリマーの共重合には、紫外線吸収モノマーも加えられてそれらのポリマーと共重合されてもよい。このモノマーを様々なポリマーと共重合させると、更に良好な長期耐候性を有する(メタ)アクリル樹脂組成物をもたらすことができ、紫外線吸収モノマーが、(メタ)アクリル樹脂組成物の表面上に滲み出すのを低減することができる。
【0023】
本明細書において、用語「紫外線吸収モノマー」とは、紫外線を吸収するモノマーを指す。ベンゾトリアゾールモノマー、ベンゾフェノンモノマー、トリアジンモノマーなどを、紫外線吸収モノマーとして使用することができる。ベンゾトリアゾールモノマーの例には、5−(2−メタクリルオキシエチル)−2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール(MAEHPB)、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシへキシル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、及び2−[2’−ヒドロキシ−5’−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3’−t−ブチルフェニル]−4−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾールが挙げられるが、このリストは包括的なものではない。また、2種類以上のこれらの紫外線吸収モノマーを共に使用することもできる。
【0024】
紫外線を吸収する能力はないが、紫外線吸収剤のものとは異なる作用により紫外線安定性を示す紫外線安定モノマーも、カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーと共重合することができる。ピペリジニル基を含有する不飽和モノマーは、この紫外線安定モノマーの典型的な例であるが、これは塩基性構成要素であるため、他の(メタ)アクリルポリマーとの混和性に影響を及ぼさないほどの少量で共重合されなければならない。
【0025】
Tgが0℃以上の(メタ)アクリルポリマーを得るために、Tgが0℃以上の(メタ)アクリルモノマー、例えば、メチルメタクリレート(MMA)又はn−ブチルメタクリレート(BMA)が、主要構成要素として共重合され得る。
【0026】
また、主要構成要素としてTgが0℃以下のホモポリマー、例えば、エチルアクリレート(EA)、n−ブチルアクリレート(BA)、又は2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)を共重合することにより、Tgが0℃以下の(メタ)アクリルポリマーを得ることができる。
【0027】
(メタ)アクリル樹脂組成物及びフィルム
上述のように(メタ)アクリルポリマーがそれぞれ別個に共重合された後、それらを(メタ)アクリル樹脂組成物及びフィルムの形成に使用することができる。フィルムを形成するために、溶媒キャスト法及び溶融押出成形法を含む、従来の様々なフィルム形成技術を使用することができる。便利な溶媒キャスト法は、例えば、これらのポリマーの溶液を混合し、必要であればトルエン、エチルアセテート、又は別の揮発性溶媒などを加えて粘度を調整し、ライナーの剥離面をコーティングし、乾燥させることによってポリマー溶液の揮発性溶媒を除去することにより、樹脂組成物及びフィルムを形成することができる方法を伴う。このコーティング装置には、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、又はダイコーターなど、普通のコーターのいずれかを使用することができる。
【0028】
樹脂組成物及びフィルムは、溶融押出成形によっても形成することができる。溶融押出成形が用いられる場合、コーティング中のポリマーの粘度を下げるために、ポリマーは、高温(例えば、180℃以上)で溶融されなければならない。フィルムの厚さが約40μm以上の厚いフィルムを製造するときに、揮発性溶媒を必要としない溶融押出成形を、特に有利に使用することができる。これは、乾燥による溶媒除去は時間がかかり、溶媒の乾燥中に気泡が形成されるとフィルムの外観が劣化するなど、揮発性溶媒が使用されるときに問題が起こる傾向があるためである。
【0029】
溶融押出成形が用いられる場合、様々な(メタ)アクリルポリマーをそれぞれ別個に調製し、押出成形機に入れ、押出成形機内で溶融混合することもできる。
【0030】
溶融押出成形には、単軸押出成形機又は二軸押出成形機など、普通の押出成形機のいずれかを使用することができる。支持体は、押出成形機内で溶融されたポリマーでコーティングすることができ、次に温度が下げられて、溶融したポリマーを固化させ、それにより支持体上に(メタ)アクリルポリマーのフィルム、この場合は層を形成する。
【0031】
これらのフィルムの形成において、(メタ)アクリルポリマーがブレンドされる比を変化させることにより、望まれる引張り強度及び伸長性を有するフィルムを得ることができる。より具体的には、Tgが0℃を超える(メタ)アクリルポリマーとTgが0℃未満のポリマーとのブレンド比は、10:90〜90:10、例えば、20:80〜90:10、30:70〜90:10、又は50:50〜90:10である。一般的に、より高いTgを有するポリマーが多いほうが好ましい。これは、低いTgのポリマーの量が多過ぎると、そのように製造されたフィルムが積み重ねられて保管されるときに、互いにくっつく(ブロッキング)か、又は引き離すのが困難になるからである。
【0032】
本発明に関連する(メタ)アクリル樹脂組成物及びフィルムは、1種類以上のカルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーを1種類以上のピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーと混合することによっても形成することができる。
【0033】
(メタ)アクリル樹脂組成物は、カルボキシル基又はアミノ基と反応する架橋剤を含んでもよい。カルボキシル基と反応することができる官能基を有する架橋剤の具体的な例には、ビスアミド系架橋剤、例えば、イソフタロイルビス(2−メチルアジリジン)、アジリジン系架橋剤(例えば、日本触媒(Nippon Shokubai)製のケミタイト(Chemitite)PZ33、又はアベシア(Avecia)製のネオクリル(NeoCryl)CX−100)、カルボジイミド系架橋剤(例えば、日清紡(Nisshinbo)製のカルボジライト(Carbodilite)V−03、V−05、又はV−07)、エポキシ系架橋剤(例えば、創建化学(Soken Kagaku)製のE−AX、E−5XM、又はE5C)、及びイソシアネート系架橋剤(例えば、日本ポリウレタン(Nippon Polyurethane)製のコロネート(Coronate)L又はコロネートHK、あるいはバイエル(Bayer)製のデスモジュール(Desmodur)H、デスモジュールW、又はデスモジュールI)が挙げられる。架橋剤が加えられる量は、カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマー中のカルボキシル基に関して、通常、0.01〜0.5当量である。
【0034】
一方、アミノ基と反応することができる官能基を有する架橋剤の具体的な例には、エポキシ系架橋剤(例えば、創建化学(Soken Kagaku)製のE−AX、E−5XM、又はE5C)、及びイソシアネート系架橋剤(例えば、日本ポリウレタン(Nippon Polyurethane)製のコロネート(Coronate)L又はコロネートHK、あるいはバイエル(Bayer)製のデスモジュール(Desmodur)H、デスモジュールW、又はデスモジュールI)が挙げられる。架橋剤が加えられる量は、アミノ基含有モノマーに関して、通常、0.01〜0.5当量である。
【0035】
フィルムに隠蔽力が必要とされる場合、隠蔽顔料を更に加えることができる。更に、フィルムの意図する用途によって、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、凝集体、静電気防止剤、難燃剤、及び充填剤など、1種類以上の従来の添加剤を加えることができる。
【0036】
本明細書に開示される(メタ)アクリルフィルムの場合、25℃での破断点引張り強度は、望ましくは少なくとも3MPa、更により好ましくは少なくとも15MPaであり、そうでなければ、被着体に適用されたとき、フィルムは破断しやすい可能性がある。また、本明細書に開示される(メタ)アクリルフィルムの25℃での伸長は、望ましくは少なくとも25%、例えば、少なくとも50%、又は少なくとも75%であり、あるいは、伸長が25%未満ならば、適用されたときにフィルムは破断しやすい。
【0037】
本発明の(メタ)アクリルフィルムの厚さに関する特別な制限はなく、厚さは従来の装飾用シートの厚さと同じであることができる。より具体的には、用途によって変化するが、厚さは一般的に、約1〜1000μm、例えば、約5〜500μm又は約20〜200μmである。フィルムが薄過ぎると、その機械的強度が低くなり過ぎて、被着体に適用されて剥がされたときに、フィルムが破損する可能性がある。逆に、フィルムが厚過ぎると、フィルムの可撓性が低下する可能性がある。
【0038】
本明細書に開示される(メタ)アクリルフィルムは、良好な耐熱性を有し、フィルムは、高熱曝露試験後のその黄色度及びその黄変指数(ΔYI)(高熱曝露試験の前後での黄色度の変化)の両方に関して、ピペリジニル基を含有しない(メタ)アクリルフィルムより良好な性能を示す。黄色度は、JIS K 7105により測定され、サンプルの黄変指数(ΔYI)は、1.0以下であるのが望ましい。これは、黄変指数(ΔYI)が1.0を超えると、目にはフィルムが黄変したように見えるからである。
【0039】
(メタ)アクリルフィルムは、高熱試験の後でも光学的に無色及び透明であり、これは、JIS K 7105により測定したときに、フィルムが少なくとも90%の総光学透過率を有することを意味し、ヘイズ値は2%未満であるのが望ましい。
【0040】
また、(メタ)アクリルフィルムは、良好な耐候性を有し、促進老化試験後でもその強靱性を維持する。したがって、このフィルムが野外の被着体に適用され、長期間の後に剥がされたときに、容易に破損せず、被着体から簡単に剥がれる。
【0041】
マーキングフィルム
図1は、代表的なマーキングフィルム100を概略的に示す。(メタ)アクリルフィルム1は、第1主表面11と第2主表面12とを有し、着色剤を第1主表面11上に受けて画像層2ができる。この着色剤は、普通、トナー又はインクであり、(メタ)アクリルフィルム1の第1主表面11上に配置される画像層2を作り出す。画像層2は、連続的に又は不連続的に沈着した着色剤を含んで、情報を含む、又は装飾的なデザインを形成することができる。
【0042】
画像層2は、例えば、スクリーン印刷、電子記録(静電及び電子写真)印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、又は一括熱転写を含む、フィルム上の画像を形成するための既知の印刷方法又は塗装方法のいずれかを使用して形成することが可能である。画像層を形成するのに、1以上の色を使用することができ、最終的なレンダリング画像は、写実的な物(graphic article)又は写真品質の画像であり得る。
【0043】
所望により、例えば、着色剤2が落ちるのを防ぐ目的で、保護フィルム3が、(メタ)アクリルフィルムの反対側の画像層上に提供することができる。この場合、画像層は、保護フィルム3の最も外側の面31から、保護フィルム3を通して見ることができる。また、受容層5が(メタ)アクリルフィルム1の第1主表面11に提供されて、着色剤2と(メタ)アクリルフィルム1との間の接着を強めることができる。
【0044】
接着層4は、(メタ)アクリルフィルム1の第2主表面12に固着される。接着層は通常、平坦な接着表面を形成するが、代わりに非平坦の接着表面を形成してもよい。接着層4の接着面41上に形成されたこの非平坦の接着表面は、粘着性であっても非粘着性であってもよい突出部を含んでもよく、また、フィルムが被着体に付着されたときに、空気又はその他の流体が、接着剤でコーティングされたフィルム製品の縁部に逃れるための経路を提供する凹部又はチャネルを含んでもよい。
【0045】
保護フィルム3は、全体的に光透過性である。その光学透過率は、通常少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。本明細書で使用されるとき、用語「光学透過率」とは、550nmの波長の光を用いて、光分析装置により、又は光度計としての機能も果たす色度計により測定されたときの総光学透過率を意味する。
【0046】
保護フィルム3は、フッ素樹脂、フタレートポリエステル(PET、PENなど)、アクリル樹脂、及び耐石油性樹脂を含む樹脂で作られ得る。フッ素樹脂は、フッ素モノマーを重合することにより得られるポリマーである。フッ素モノマーの例には、フルオロエチレンモノマー、例えば、フッ化ビニリデン、六フッ化プロピレン、四フッ化エチレン、及びトリフルオロクロロエチレンが挙げられる。メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートなどのメタクリレート、及びブチルメタクリレート、並びに、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレートなどのアクリレート、及びブチルアクリレート、の中から選択される1種類以上の共重合可能なモノマーもフッ素モノマーに加えて混合してよい。また、保護フィルムは、フッ素樹脂をアクリル樹脂とブレンドすることにより得られる樹脂組成物から形成され得る。保護フィルム3の厚さは、通常、5〜120μmであり、10〜100μmが特に好ましい。
【0047】
保護フィルムの接着層30は、通常、保護フィルム3を(メタ)アクリルフィルム1に付着させるために使用され得る。保護フィルムの接着層30の接着剤に特別な制限はないが、通常は、感圧性ポリマーを含有する感圧性接着剤である。これは、着色剤2が、(メタ)アクリルフィルムの第1主表面11上に形成された凹凸によくなじみ、保護フィルム3及び(メタ)アクリルフィルム1を、それらの間に気泡を残さずに共に密着して接着させるからである。気泡は、画像の可視性を損なわせるので、残らないほうがよい。保護フィルムの接着層30の厚さは、通常、20〜100μm、好ましくは25〜80μmである。
【0048】
受容層5を形成するのに使用される樹脂に特別な制限はないが、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリビニルアセタール、フェノキシ樹脂などを使用することができる。受容層を形成する樹脂のガラス転移点は、通常、0〜100℃である。受容層のガラス転移点が高過ぎると、トナー転写性能が低下する可能性があり、鮮明な画像が得られない場合がある。更に、受容層のガラス転移点が高過ぎると、マーキングフィルムの全体的な可撓性が低下する可能性がある。一方、着色剤を受ける面上の常温での粘着を効果的に低減するために、受容層のガラス転移点は、少なくとも0℃であるべきである。それにより、マーキングフィルムの先駆体又は受容シートが保護フィルムで覆われる前に互いにくっつくのを効果的に防ぐことが可能である。したがって、これらのフィルムがロールの形態で保管されたとき、ロールを使用するためにより簡単に巻き戻すことができる。受容層の厚さは、通常、2〜50μm、好ましくは5〜40μmである。
【0049】
接着層4の接着剤に特別な制限はないが、通常は、感圧性ポリマーを含有する感圧性接着剤である。都合よく使用することができる感圧性接着層の例には、感圧性ポリマーを含有する単層の感圧性接着フィルム、及び2つの感圧性接着層を有する両面接着シートが挙げられる。
【0050】
接着層4は、感圧性ポリマーを含有する接着剤のコーティングフィルムから形成することができる。好ましい接着剤は、感圧性ポリマー、及び感圧性ポリマーを架橋する架橋剤を含有する。本明細書で使用されるとき、用語「感圧性ポリマー」とは、常温(約25℃)で感圧性接着を示すポリマーである。
【0051】
感圧性接着ポリマーは、当業者には、(1)永久的粘着、(2)指圧以下の圧力で被着体に接着、(3)被着体を放さない十分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り外すことができる十分な貼着力、の特性を有するとして、周知である。感圧性接着ポリマーとしてよく機能を果たすことがわかっている材料は、粘着、剥離接着力、及びせん断保持力の望ましいバランスをもたらすのに必要な粘弾性を示すように設計され配合されたポリマーである。特性の適正なバランスを得るのは、単純なプロセスではない。
【0052】
有用な感圧性接着ポリマーとしては、天然ゴム、合成ゴム、エラストマーブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリオレフィン、及びシリコーン系のものが挙げられる。有用な感圧性接着ポリマーとしては、例えばイソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びn−ブチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートエステル;(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、フマレート、及びスチレン誘導体を含む、1以上のエチレン性不飽和モノマー由来の(メタ)アクリルコポリマーも挙げられる。1つの例では、感圧性接着ポリマーは、約0〜約20重量%のアクリル酸、及び約100〜約80重量%の、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はn−ブチルアクリレートのうちの少なくとも1つから得られる。例えば、感圧性接着ポリマーは、約2〜約10重量%のアクリル酸、及び約90〜約98重量%の、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はn−ブチルアクリレートのうちの少なくとも1つから得ることができる。他の例は、約2重量%〜約10重量%のアクリル酸、及び約90重量%〜約98重量%のイソオクチルアクリレートを含む。更に別の例の場合、感圧性接着ポリマーは、約94〜約98重量%のイソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、又は2−メチルブチルアクリレート、及び2〜6重量%の(メタ)アクリルアミドから得られる。
【0053】
マーキングフィルム100は、例えば以下のように製造することができる。まず、上述の(メタ)アクリルフィルム1を準備する。マーキングフィルム100が受容層5を含む場合、受容層はライナー上に形成され、(メタ)アクリルフィルムはそのライナーを有する受容層上に積層される。この場合、本発明の効果が失われない限り、別の層、例えばプライマー層又は接着層が、(メタ)アクリルフィルム1と受容層5との間に配置されてもよい。
【0054】
次に、接着層4を(メタ)アクリルフィルム1の第2主表面にぴったりと接触させる。ライナーの剥離面は、接着剤を含有するコーティング溶液でコーティングされ、コーティングは乾燥されて接着層を形成し、その後、ライナーを有する接着層は、接着層が密着するように(メタ)アクリルフィルム1の第2主表面に積層される。あるいは、接着剤を含有するコーティング溶液は、(メタ)アクリルフィルム1の第2主表面上に直接コーティングされてもよい。
【0055】
この後、着色剤により(メタ)アクリルフィルム1の第1主表面上に画像が形成され、必要であれば、その上に保護フィルム3が配置され、これで本発明のマーキングフィルム100が完成する。着色剤を(メタ)アクリルフィルム1の第1主表面上に転写することにより画像が形成される場合、トナーが転写され、普通の印刷方法により画像が形成される。静電トナー印刷が行われる場合、画像は、移動媒体と呼ばれる臨時キャリア上に一時的に形成され、この画像は加熱され、(メタ)アクリルフィルム1の前面に押圧することにより転写される。
【0056】
マーキングフィルムの厚さは、通常、30〜1500μm、好ましくは50〜950μmである。マーキングフィルムが薄過ぎると、被着体に付着されて再び剥がされたときに、破損する可能性がある。逆に、マーキングフィルムが厚過ぎると、その可撓性が低下する可能性がある。
【0057】
受容シート
代表的な受容シートが、図2を参照して説明される。この受容シートは、画像層2又は保護フィルム3を含まず、上記マーキングフィルムにおける(メタ)アクリルフィルム1及び接着層4からなる。したがって、(メタ)アクリルフィルム及び接着層は、マーキングフィルムと同じ組成を有することができ、同じ方法により形成することができる。着色剤は、接着層と反対側のフィルム上に沈着される。
【0058】
受容シートの総厚さは、通常、5〜1200μm、例えば、25〜700μmである。受容シートが薄過ぎると、その機械的強度が低くなりすぎて、被着体に適用されて再び剥がされたときに、シートが破損する可能性がある。逆に、シートが厚過ぎると、受容シートを含むマーキングフィルムの可撓性が低下する可能性がある。
【実施例】
【0059】
0℃以上のTgを有する(メタ)アクリルポリマーの製造
60重量部のメチルメタクリレート(MMA)、34重量部のn−ブチルメタクリレート(BMA)、及び6重量部のジメチルアミノエチルメタクリレート(DMM)を、150重量部のエチルアセテートに溶解し、0.6重量部のジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(Wako Pure Chemical Industries)製のV−601)を重合開始剤として加え、その後、この系を窒素雰囲気下において65℃で24時間反応させて、0℃以上のTgを有する(メタ)アクリルポリマーのエチルアセテート溶液を製造した(以下、H−1と呼ばれる)。
【0060】
同様に、(メタ)アクリルポリマーのエチルアセテート溶液H−2〜H−12が得られ、その組成を以下の表1に示した。
【0061】
0℃以下のTgを有する(メタ)アクリルポリマーの製造
94重量部のBA及び6重量部のアクリル酸(AA)を、100重量部のメチルエチルケトン(MEK)に溶解し、0.2重量部のアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(Wako Pure Chemical Industries)製のV−65)を重合開始剤として加え、その後、この系を窒素雰囲気下において50℃で24時間反応させて、0℃以下のTgを有する(メタ)アクリルポリマーのMEK溶液を製造した(以下、S−1と呼ばれる)。
【0062】
同様に、(メタ)アクリルポリマーのMEK溶液S−2〜S−4が得られ、その組成を以下の表2に示した。
【0063】
Tg(0℃以上)の測定
50μmのフィルムの厚さ、10mmのフィルム幅、及び15mmのフィルム長を有するサンプルを使用して、レオメトリック・サイエンティフィック(Rheometric Scientific)製の引張りモードのRSA−IIを、10.0Hzの周波数、及び5.0℃/秒の温度上昇率で0〜150℃を使用して、損失正接(tanδ)(損失率E”/貯蔵弾性率E’)に関するピーク温度が測定された。
【0064】
Tg(0℃以下)の測定
7.9mmの直径、及び3.0mmの高さを有する円筒ポリマーサンプルを使用して、レオメトリック・サイエンティフィック(Rheometric Scientific)製のせん断モードのARESを、10.0Hzの周波数、及び5.0℃/秒の温度上昇率で−80〜30℃を使用して、損失正接(tanδ)(損失率G”/貯蔵弾性率G’)に関するピーク温度が測定された。
【0065】
分子量
用語「重量平均分子量(Mw)」とは、スチレンに関してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量を意味する。
【0066】
略語
MMA:メチルメタクリレート
BMA:n−ブチルメタクリレート
DMM:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAPAA:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
Vim:1−ビニルイミダゾール
TMPM:テトラメチルピペリジルメタクリレート((日立(Hitachi)からのファンクリル(FANCRYL)(商標)FA−712HM)
PMPM:ペンタメチルピペリジルメタクリレート((日立(Hitachi)からのファンクリル(FANCRYL)(商標)FA−711MM))
MAA:メタクリル酸
BA:n−ブチルアクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MAEHPB:5−(2−メタクリルオキシエチル)−2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
AA:アクリル酸
DMA:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
試験方法
引張試験(ダンベル型)
日本工業規格(JIS)K 6251に記載の方法により、以下の条件下で測定が行われた。
【0070】
測定サンプルの形:JIS K 6251で規定される「ダンベル型3番」
牽引速度:300mm/分
測定温度:5℃と25℃の2レベル
測定結果は、以下のように要約された。
【0071】
引張り強度(ダンベル型)(破断点)T(単位:MPa)
測定サンプルが破断したときの点での張力F(単位:N)、及び測定サンプルの断面積A(単位:mm)が測定され、破断点引張り強度が以下の等式から求められた。
【0072】
T=F/A
引張り強度(ダンベル型)(降伏点)T’(単位:MPa)
測定サンプルが降伏したときの点での張力F’(単位:N)、及び測定サンプルの断面積A(単位:mm))が測定され、降伏点引張り強度が以下の等式から求められた。
【0073】
T’=F’/A
伸長E(ダンベル型)(単位:%)
測定サンプルが破断したときの点でのマーカー線L1間の距離(単位:mm)、及びマーカー線L0間の距離(25mm)が測定され、伸長が以下の等式から求められた。
【0074】
E=(L1−L0)/L0×100
黄変指数(ΔYI)
黄変指数(ΔYI)は、最初の黄色度(YI)と高温試験後の黄色度(YI)との差である。黄色度(YI)が、JIS K 7105に記載の方法により、以下の条件下で測定された。
【0075】
測定サンプル:サンプルを、JIS R 3203で説明されるように、50×50mmに切断し、50×50×2.0mm(厚さ)のガラスシート上に置き、この製品を試験片として使用した。
【0076】
測定器:日本電色工業(Nippon Denshoku Industries)製のSZ−センサ
上記の測定サンプルは、200℃のオーブン内で60分間加熱され、その後、再び同じようにその黄色度が測定され、この値を高温試験後の黄色度(YI)と呼んだ。
【0077】
上記の黄色度(YI)及び高温試験後の黄色度(YI)に関して測定された値を使用して、黄変指数(ΔYI)が以下の等式から求められた。
【0078】
黄変指数(ΔYI)=高温試験後の黄色度(YI)−黄色度(YI
総光学透過率、ヘイズ(高温試験の前後)
総光学透過率(TOT)及びヘイズが、JIS K 7105に記載の方法により、以下の条件下で測定された。
【0079】
測定サンプル:(メタ)アクリルフィルムを、JIS R 3203で説明されるように、50×50mmに切断し、50×50×2.0mm(厚さ)のガラスシート上に置き、この製品を試験片として使用した。
【0080】
測定器:日本電色工業(Nippon Denshoku Industries)製のNDH−センサ
上述の測定サンプルは、200℃のオーブン内で60分間加熱され、その後、再び同じようにその総光学透過率及びヘイズが測定され、これらの値を高温試験後の総光学透過率及びヘイズと呼んだ。
【0081】
引張試験(ストリップ型)
いくつかの(メタ)アクリルフィルムが、以下の条件下で測定された。
【0082】
測定サンプルの形:幅が25mmのストリップが準備され、テンシロン(Tensilon)引張試験機の最初のクランプ間隔が100mmの状態から測定を開始した。
【0083】
牽引速度:300mm/分
測定温度:20℃
測定結果は、以下のように要約された。
【0084】
引張り強度(ストリップ型)(破断点)T20(単位:MPa)
測定サンプルが破断したときの点での張力F20(単位:N)、及び測定サンプルの断面積A20(単位:mm)が測定され、破断点引張り強度が以下の等式から求められた。
【0085】
20=F20/A20
引張り強度(ストリップ型)(降伏点)T20’(単位:MPa)
測定サンプルが降伏したときの点での張力張力F20’(単位:N)、及び測定サンプルの断面積A20(単位:mm)が測定され、降伏点引張り強度が以下の等式から求められた。
【0086】
20’=F20’/A
伸長E20(ストリップ型)(単位:%)
測定サンプルが破断したときの点でのマーカー線L1間の距離(単位:mm)が測定され、テンシロン(Tensilon)引張試験機の最初のクランプ間隔100mmを使用して、伸長が以下の等式から求められた。
【0087】
20=(L1−100)/100×100
混和性
混合された(メタ)アクリル樹脂組成物溶液が視覚的に観察され、溶液が透明であるなら「良好」の評価が与えられ、溶液が濁っているなら「不良」が与えられた。
【0088】
透明性
透過光に関して(メタ)アクリルフィルムが視覚的に観察され、フィルムが透明であるなら「良好」の評価が与えられ、フィルムが不透明であるなら「不良」が与えられた。
【0089】
表面光沢保持率(単位:%)、色差(C)
表面光沢保持率及び色差が、以下のように求められた。
【0090】
まず、ブチルアクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸コポリマー(組成比(重量比)は、93/3/4)からなり、重量平均分子量が390,000及びガラス転移点が−21℃であるアクリル感圧性接着剤を準備した。0.2重量部のイソフタロイルビス(2−メチルアジリジン)を100重量部(固体比)のこのアクリル感圧性接着剤に加えて、感圧性接着剤組成物を調製した。乾燥後の厚さがおよそ30μmとなるように、この接着剤組成物をナイフコーターを使用して紙ベースの両面ポリエチレンラミネート剥離シートに適用し、このコーティングを90℃のオーブン内で5分間乾燥させて、感圧性接着剤層を得た。この後、感圧性接着剤層を、測定フィルム((メタ)アクリルフィルムなど)に積層させて、測定サンプルを調製した。2kgのローラーをサンプル上で前後に1度通過させる条件で、この測定サンプルを厚さ1mm(JIS規格A5082P)のアルミニウムシート上に張り付け、ダイプラウィンテス(Daipla Wintes)製の金属の耐候性試験機(KU−R5C1−A)を使用して促進老化試験を500時間行った。以下のサイクルで促進老化試験を行った。
【0091】
光をオンにし、光学エネルギー600mW/cm、温度60℃、及び湿度50%で、4時間
光をオフにし、温度40℃、及び湿度98%で、4時間
村上彩色技術研究所(Murakami Saishoku Gijutsu Kenkyusho)製の携帯光沢計(GMX−202)で、促進老化試験前の60°表面光沢(B)及び促進老化試験後の60°表面光沢(B)が測定され、表面光沢保持率Bが、以下の等式を使用してこれらの測定値から求められた。
【0092】
B(%)=B/B×100
、a、及びbが、色度計(日本電色工業(Nippon Denshoku)製のΣ90)で測定された。L0、a0、及びb0が促進老化試験前の測定値であり、L1、a1、及びb1が促進老化試験後の測定値である、以下の等式を使用して、色差Cが求められた。
【0093】
C=[(L1−L0+(a1−a0+(b1−b01/2
フィルム強靱性(促進老化後)
感圧性接着剤層を(メタ)アクリルフィルムに積層し、このラミネートがアルミニウム基材上に張り付けられた後にどのくらい良好に再び剥がされることができるかを観察することにより、促進老化後の強靱性が評価された。この再剥離性能は、以下のように評価された。
【0094】
まず、表面光沢保持率及び色差の測定におけるのと同じように、促進老化試験が行われた。促進老化試験の後、測定サンプルがアルミニウムプレートから剥がされ、測定サンプルが破れずに剥がされると「良好」の評価が与えられ、いくらか破れると「不良」の評価が与えられた。
【0095】
(実施例A)
実施例1
TMPMがピペリジニル基を含有するモノマーとして使用される(メタ)アクリルポリマー溶液H−4及びS−1を、表3に示される70:30の固体比で混合し、混合物を攪拌して、(メタ)アクリルポリマー溶液を得る。表3はブレンド比を示す。乾燥後のフィルムの厚さが50μmとなるように、剥離処理された38μmのポリエステルキャリアフィルム(商標名ピュレックス(Purex)(商標)A−71、テイジン製)にナイフコーターでこの溶液を適用した。このコーティングを100℃で20分間乾燥させ、その後、キャリアフィルムを取り除いて(メタ)アクリルフィルムを得た。このように得られたフィルムは上記の試験方法によって様々な試験にかけられ、その結果が表4に示される。
【0096】
実施例2〜11及び比較実施例1〜6
実施例1と同様に、様々なポリマーが各実施例に対して表3に記載される異なるブレンド比で調製された。実施比較例4〜6は、表3に記載されるように追加の構成要素を含んでいた。次いで、実施例1で説明されるようにフィルムが調製され、その後、上記の試験方法によって様々な試験にかけられ、その結果が表4に示される。
【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
表4に示される試験結果に関して、フィルムは、老化前及び老化後に黄色の外観をほとんど又は全く示さないのが望ましく、これは、黄変が約1.0未満である場合に通常当てはまる。全てがピペリジニル基を含有する実施例1〜11は、最初の黄色度が低く、高温試験後にほとんど変化を示さず、加えて、目に見える黄変の形跡がなかった。対照的に、全てがアミノ基を含有しピペリジニル基を含有しない比較実施例1〜6の黄色度の変化は、酸化防止剤及び紫外線吸収剤が加えられても、はるかに大きかった。
【0100】
(実施例B)
実施例12
Tgが0℃以上である(メタ)アクリルポリマー溶液H−4及びTgが0℃以下である(メタ)アクリルポリマー溶液S−1を、50:50の固体比で混合した。150℃のオーブン内で30分間加熱することにより、これらの混合溶液中の溶媒を除去し、(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。このように得られた(メタ)アクリル樹脂組成物を、内径が20mmであり、軸が同じ方向に回転する二軸押出成形機(テクノベル(Technovel)製))にて、180℃でおよそ2分間溶融した。組成物は、10cmの幅のTダイから押し出され、シリコーン処理された50μmの厚さのポリエステルライナーの表面をコーティングした。これを水冷されたキャスティングロールと接触させて、溶融したポリマーを冷却及び固化し、それによって厚さ50μmの均一フィルムが形成された。このように得られたフィルムは、上述のように様々な試験にかけられた。組成物は溶融押出成形中に高温及び高圧に曝されるが、成形されたフィルムは92.9%を超える総光学透過率を有し、そのヘイズは1.2%であり、その黄色度は0.9であり、光学的に無色及び透明であった。
【0101】
比較実施例7
この実施例は、ポリマー及びブレンド比が表3に記載されている比であることを除いて、実施例12と同じように調製された。成形されたフィルムは93.0%の総光学透過率を有していたが、そのヘイズは3.2%であり、その黄色度は1.5であった。更に、押出成形工程における加熱により、黄変が観察された。
【0102】
(実施例C)
対照例並びに比較実施例8及び9
実施例1と同様に、様々なポリマーが各実施例に対して表3に記載される異なるブレンド比で調製された。対照例は、ピペリジニル基を含有せずにアミノ基だけを含有するコポリマーを含んでいた。比較実施例8は、カルボキシル基を含有する紫外線吸収ポリマーを加えた以外は、同様に調製された。比較実施例9は、カルボキシル基を含有していない紫外線吸収ポリマーを加えた以外は、同様に調製された。フィルムは上記の試験方法によって様々な試験にかけられ、その結果が表5に示される。
【0103】
【表5】

【0104】
比較実施例8及び9は、紫外線吸収要素の異なるタイプの組込みが、対照例で使用されたアミノ基を含むコポリマーの黄変を改善するのに有用であるかどうかを見るために、調製された。紫外線吸収要素を対照例のカルボキシル含有ポリマーに組み込むことにより、黄変は改善されず、むしろ黄変は増大した。カルボキシル基がコポリマーに含まれない場合、混和性及び透明性はマイナスの影響を受け、黄色度はやはり増大した。
【0105】
ここに添付されている特許請求の範囲によってのみ制限される本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本開示の範囲内で他の実施形態が調製され得ることが、理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーと、
(B)ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーと、
を含む(メタ)アクリル樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂が、
(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーと、
(B)(A)のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるとき、(B)のTgが0℃以下であり、(A)のTgが0℃以下であるとき、(B)のTgが0℃以上であるように選択されるピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーと、
を含む請求項1に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
【請求項3】
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマー及び/又は前記ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーが、紫外線吸収モノマーを更に含む、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
【請求項4】
アミノ基含有(メタ)アクリルポリマーを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
【請求項5】
(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーと、
(B)ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーと、
を含む(メタ)アクリルフィルム。
【請求項6】
(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマーと、
(B)(A)のTgが0℃以上であるとき、(B)のTgが0℃以下であり、(A)のTgが0℃以下であるとき、(B)のTgが0℃以上であるように選択されるピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーと、
を含む請求項5に記載の(メタ)アクリルフィルム。
【請求項7】
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマー及び/又は前記ピペリジニル基含有(メタ)アクリルポリマーが、紫外線吸収モノマーを更に含む、請求項5又は6に記載の(メタ)アクリルフィルム。
【請求項8】
アミノ基含有(メタ)アクリルポリマーを更に含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリルフィルム。
【請求項9】
黄変指数(ΔYI)が1.0未満である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の(メタ)アクリルフィルム。
【請求項10】
JIS K 6251に記載の25℃での破断点引張強さが、少なくとも3MPaである、請求項5〜9のいずれか一項に記載の(メタ)アクリルフィルム。
【請求項11】
溶融押出成形により製造される、請求項5〜10のいずれか一項に記載の(メタ)アクリルフィルム。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか一項に記載の前記受容シートと、
前記(メタ)アクリルフィルムの表面上の0〜100℃のガラス転移温度を有する樹脂を含む受容層と、
を含む受容シート。
【請求項13】
請求項5〜11のいずれか一項に記載の前記(メタ)アクリルフィルムと、
前記(メタ)アクリルフィルムの第1表面上の感圧接着剤を含む接着層と、
を含む受容シート。
【請求項14】
請求項13に記載の前記受容シートと、
前記(メタ)アクリルフィルムの第2表面上に0〜100℃のガラス転移温度を有する樹脂を含み、前記第2表面が前記第1表面の反対側である受容層と、
を含む受容シート。
【請求項15】
請求項13に記載の前記受容シートと、
前記(メタ)アクリルフィルムの、前記第1表面の反対側である、第2表面上の1以上の着色剤と、
樹脂を含み、少なくとも60%の光学透過率を有する、前記1以上の着色剤上の保護フィルムと、
を含むマーキングフィルム。
【請求項16】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の前記受容シートを準備する工程と、
1以上の着色剤を装備するプリンタを準備する工程と、
前記1以上の着色剤が前記受容シート上に沈着して画像を形成するように、前記プリンタを使用して前記受容シート上に印刷する工程と、
を含む受容シート上に画像を形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−513658(P2010−513658A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542728(P2009−542728)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/048019
【国際公開番号】WO2008/076101
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】