説明

(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−(2’,3’−不飽和または3’−改変)ピリミジンヌクレオシド

【課題】ヒトおよびその他の宿主動物におけるHIVおよびHBV感染の治療のための方法および組成物の提供。
【解決手段】薬学的に許容しうる担体中に、(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドまたは(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシド、またはこれらの混合物、あるいはこれらのN−1もしくはN−4位をアルキル化もしくはアシル化された誘導体を含む、これらの薬学的に許容しうる誘導体、あるいはこれらの薬学的に許容しうる塩よりなる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的に活性なヌクレオシド、特に(5−カルボキサミドもしくは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドまたは(5−カルボキサミドもしくは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシド、またはこれらの生理学的に許容しうる誘導体、あるいは生理学的に許容しうる塩を含む、抗ウイルス性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
1981年、後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫系を著しく傷つけ、ほとんど例外なしに死に到る疾患として確認された。1983年、AIDSの病因学的原因は、ヒトの免疫不全ウイルス(HIV)であることが決定された。世界保険機関(WHO)は、世界中で現在1,300万人がHIVに感染しており、2000年までに4,000万人が感染していると見積もっている。毎日、約5,000人の人々が新たに感染している。
【0003】
1985年、合成ヌクレオシドの3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)がヒトの免疫不全ウイルスの複製を阻害することが報告された。それ以来、2’,3’−ジデオキシイノシン(DDI)、2’,3’−ジデオキシシチジン(DDC)、および2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロチミジン(D4T)をはじめとする他の多くの合成ヌクレオシドが、HIVに対して有効であることが判ってきた。細胞キナーゼによる5’−トリホスファートへの細胞性リン酸化の後、これらの合成ヌクレオシドは、ウイルスDNAの成長鎖に取り込まれ、3’−ヒドロキシ基の欠落のためにチェーンターミネーションを起こす。これらのヌクレオシドはまた、ウイルス性酵素である逆転写酵素を阻害する。
【0004】
インビボまたはインビトロでの、HIVの複製の阻害における各種合成ヌクレオシドの成功によって、多くの研究者は、ヌクレオシドの3位炭素原子をヘテロ原子で置換するヌクレオシドをデザインしてテストした。Norbeck らは、(±)−1−[(2β,4β)−2−(ヒドロキシメチル)−4−ジオキソラニル]チミン((±)−ジオキソラン−Tと称する)は、HIVに対して中程度の活性を示し(ATH8細胞におけるED50:20μM)、200μM の濃度で非感染対照細胞に対する毒性がないことを報告した。Tetrahedron Letters,30(46),6246(1989)。BioChem Pharma社に譲渡された欧州特許公報第0,337,713 号および米国特許第5,041,449 号明細書は、抗ウイルス活性を示すラセミ体の2−置換−4−置換−1,3−ジオキソラン類を開示している。
【0005】
同様に、BioChem Pharma社に譲渡された米国特許第5,047,407 号明細書および欧州特許公報第0,382,526 号は、多くのラセミ体の2−置換−5−置換−1,3−オキサチオランヌクレオシド類が抗ウイルス活性を有することを開示し、特に2−ヒドロキシメチル−5−(シトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(以下、BCH−189と称する)のラセミ混合物は、HIVに対してAZTとほぼ同程度の活性を有するが毒性はほとんどないことを報告している。BCH−189はまた、36週以上の間AZTによる治療を受けていた患者から単離されたAZT耐性のHIVの複製をインビトロで阻害することが判った。3TCとして知られているBCH−189のβ異性体の(−)−対掌体は、HIVに対して非常に有効であり、毒性はほとんどなく、ヒトのHIV治療に、AZTとの併用が米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。
【0006】
cis−2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(“FTC”)が強力なHIV活性を有することも開示されている。Schinazi,et al.,“Selective Inhibition of Human Immunodeficiency viruses by Racemates and Enantiomers of cis-5-Fluoro-1-[2-(Hydroxymethyl)-1,3-Oxathiolane-5-yl]Cytosine” Antimicrobial Agents and Chemotherapy,November 1992,page 2423-2431 。米国特許第5,210,085 号、米国特許第5,204,466 号明細書、WO91/11186号およびWO92/14743号の各公開パンフレットも参照されたい。
【0007】
ヒトの健康上の重大な問題の原因となる別のウイルスは、B型肝炎ウイルス(以下、“HBV”と称する)である。HBVは、ヒトの癌の原因としてたばこに劣らない。HBVが癌を誘発する機構は不明である。HBVは、腫瘍発生を直接的に誘発する、または感染に関連した慢性の炎症、硬変、および細胞再生によって腫瘍発生を間接的に誘発する可能性があることが考えられる。
【0008】
宿主が感染に気付かない2ないし6ヵ月の潜伏期間後、HBV感染は急性肝炎および肝障害を起こし、後者は、腹痛、黄疸、そして特定の酵素の血中レベルを高める原因となる。HBVは、肝臓の大部分が破壊され、非常に進行性で往々にして致死的である劇症肝炎の原因となり得る。
【0009】
患者は、急性肝炎からは一般に回復する。しかしながら、ある患者においては、長期的にまたは一生高レベルのウイルス性抗原が血液中に存続し続け、慢性的感染を起こす。慢性的感染は、慢性持続性肝炎を引き起こすことになる。慢性持続性HBVに感染した患者は、発展途上国で最も一般的である。1991年の半ばまでに、アジアだけで約2億2,500万人の慢性のHBVキャリアがおり、世界には約3億人のキャリアが存在した。慢性持続性肝炎は、疲労、肝硬変、そして第一期の肝臓癌である肝細胞性癌腫の原因となり得る。
【0010】
西欧工業国において、HBV感染の高リスク群は、HBVキャリアまたは彼らの血液検体と接触するグループである。HBVの疫学は、後天性免疫不全症候群のそれに非常に似ており、このことはHBV感染が、AIDSまたはAIDS関連合併症の患者の間に普遍的である理由を説明している。しかしながら、HBVはHIVよりも感染性が高い。
【0011】
FTCおよび3TCの両者は共に、HBVに対して活性を示している。Furman,et al.,“The Anti-Hepatitis B Virus Activities, Cytotoxicities,and Anabolic Profiles of the (-) and (+) Enantiomers of-cis-5-Fluoro-1-[21,3-oxathiolane-5yl]Cytosine”Antimicrobial Agents and Chemotherapy,December 1992,page 2686-2692; and Chebg,et al.,Journal of Biological Chemistry,Volume 267(20),13938-13942(1992)。
【0012】
患者にHBVに対する免疫を与えるために、ヒト血清に由来するワクチンが開発されてきている。これは有効であることが判ったけれども、ワクチンの生産は、慢性のキャリアからのヒト血清の供給が限られているので困難であり、この精製法は長時間を要し、費用がかかる。さらに、別々の血清から作られたバッチ毎にそのワクチンをチンパンジーで試験して安全を確かめなければならない。ワクチン類はまた、遺伝子工学によっても生産されてきている。遺伝子工学的に作り出された蛋白、α−インターフェロンによる日常の治療もまた将来的に有望である。
【0013】
後天性免疫不全症候群、AIDS関連合併症、およびB型肝炎ウイルスは、世界的な流行病レベルに達し、感染した患者に悲惨な影響を及ぼしている事実にかんがみて、これらの疾患を治療する、宿主に毒性が低く新規で有効な薬剤を開発することが強く望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、HIVに感染したヒト患者の治療のための方法および組成物を提供することが本発明の目的である。
【0015】
HBVに感染したヒト患者または他の宿主動物の治療のための方法および組成物を提供することは本発明の、もう一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
場合により薬学的に許容しうる担体中の、(5−カルボキサミドもしくは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシド、または(5−カルボキサミドもしくは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシド、またはその混合物、または5’もしくはN4位のアルキル化もしくはアシル化誘導体を含む、これらの薬学的に許容しうる誘導体、あるいはこれらの薬学的に許容しうる塩の有効量を投与することよりなる、ヒトおよび他の宿主動物におけるHIVおよびHBV感染の治療のための方法および組成物を開示する。
【0017】
特に、次式:
【0018】
【化3】


【0019】
[式中、
Xは、O、S、CH2、CHFまたはCF2
Yは、O、S、CH2、CHFまたはCF2
Zは、独立して、O、SまたはSe;
1は、独立して、HまたはF;
2は、独立して、H、OH、C1−C6アルキル、またはC(O)(C1−C6アルキル);
3は、H、C(O)(C1−C6アルキル)、アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリホスファートであり;
4は、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、−O(C1−C6アルキル)、−SH、−S(C1−C6アルキル)またはC1−C6アルキルである。]の構造を有する化合物である。
【0020】
2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロヌクレオシドの好ましい実施態様において、YはOまたはS;ZはO;R1はH;R2はH;そしてR3はHである。3’−改変−ピリミジンヌクレオシドの好ましい実施態様において、XはOまたはS;YはO;ZはO;R1はH;R2はH;R3はH;そしてR4は、独立して、HまたはFである。用語「独立して」とは、化合物内の基が異なり得ることを意味する。
【0021】
上記の式において、YがO;XがOまたはS;そしてR4がHである場合、5位の置換基は、好ましくは、フッ素でない。
【0022】
好ましい化合物の例としては、以下の化合物のラセミ混合物、β−Dおよびβ−L異性体が挙げられる:2−ヒドロキシメチル−5−(N−5’−カルボキサミドウラシル−1’−イル)−1,3−オキサチオラン;2−ヒドロキシメチル−4−(N−5’−カルボキサミドウラシル−1’−イル)−1,3−ジオキソラン;2−ヒドロキシメチル−4−(N−5’−フルオロシトシン−1’−イル)−1,3−ジチオラン;2−ヒドロキシメチル−4−(N−5’−カルボキサミドウラシル−1’−イル)−1,3−ジチオラン;2−ヒドロキシメチル−4−(N−5’−フルオロシトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン;2−ヒドロキシメチル4−(N−5’−カルボキサミドウラシル−1’−イル)−1,3−オキサチオラン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−5−フルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−5−カルボキサミドシチジン;2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−5−カルボキサミドシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’,5−ジフルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロ−5−カルボキサミドシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−3’,5−ジフルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−3’−フルオロ−5−カルボキサミドシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’,5−トリフルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジフルオロ−5−カルボキサミドシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−5−フルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−5−カルボキサミドシチジン;2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−5−カルボキサミドシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’,5−ジフルオロシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロ−5−カルボキサミドシチジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−3’,5−ジフルオロウリジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−3’−フルオロ−5−カルボキサミドウリジン;2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’,5−トリフルオロウリジン;および2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジフルオロ−5−カルボキサミドウリジン。
【0023】
他の実施態様において、活性な化合物またはその誘導体あるいは塩は、上記の化合物を含む、抗HIV剤または抗HBV剤のような、別の抗ウイルス剤と併用してまたは交替して投与される。一般に、交替治療の間は各薬剤の有効用量が順次に投与されるが、併用治療では、2種以上の薬剤の有効用量が同時に投与される。この用量は、薬剤の吸収、不活性化、そして排泄速度、ならびに当業者に公知の他のファクターによって異なる。用量は、軽減すべき症状の重篤度によっても異なることを留意すべきである。さらに、いかなる個々の患者に対しても、特有の投薬の方法および計画を、個々人の要求およびこの組成物を投与しまたは監視する専門家の判断に応じて、時間をかけて調整すべきことが理解されるべきである。
【0024】
ここに開示された化合物と併用して用いられる抗ウイルス剤の例としては、2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(FTC);2−ヒドロキシメチル−5−(シトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(3TC)の(−)−対掌体;カルボビル(carbovir)、アシクロビル、インターフェロン、ファムシクロビル(famciclovir)、ペンシクロビル(penciclovir)、AZT、DDI、DDC、D4T、L−(−)−FMAU、CS−92(3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−5−メチルシチジン)、そしてβ−D−ジオキソラニルグアニン(DG)、β−D−ジオキソラニル−2,6−ジアミノプリン(DAPD)、およびβ−D−ジオキソラニル−6−クロロプリン(ACP)のようなβ−D−ジオキソランヌクレオシド類が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0025】
これらの化合物は、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス、そしてサル免疫不全ウイルスを治療するのにも用いられる。(Wang,S.,Montelaro,R.,Schinazi,R.F.,Jagerski,B.,and Mellors,J.W.;Activity of nucleoside and non-nucleoside everse transcriptase inhibitors(NNRTI)against equine infectious anemia virus(EIAV).First National Conference on Human Retroviruses and Related Infections,Washington,DC,Dec.12-16,1993; Sellon D.C.: Equine Infectious Anemia,Vet.Clin.North Am.Equine Pract. United States,9:321-336,1993; Philpott,M.S.,Ebner,J.P.,Hoover,E.A.: Evaluation of 9-(2-phosphonylmethoxyethyl)adeninetherapy for feline immunodeficiency virus using a quantative polymerase chain reaction,Vet.Immunol.Immunopathol.,35:155-166,1992)。
【0026】
ここで用いた用語「対掌体に富むヌクレオシド」とは、該ヌクレオシドが単一対掌体を少なくとも95%〜98%、またはより好ましくは、99%〜100%含むヌクレオシド組成物を意味する。
【0027】
用語「C1−C6アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチルが挙げられる。
【0028】
ここに開示する発明は、ヒトまたはその他の宿主動物における、HIVおよびHBV感染症、および同様な方法で複製される他のウイルスの疾患の治療のための方法および組成物であり、(5−カルボキサミドもしくは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドまたは(5−カルボキサミドもしくは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシド、5’もしくはN4位のアルキル化もしくはアシル化誘導体を含む、これらの薬学的に許容しうる誘導体、あるいはこれらの薬学的に許容しうる塩の有効量を場合により薬学的に許容しうる担体中で投与することよりなる。本発明の化合物は、それ自体が抗HIV−1、抗HIV−2、抗HBV、および抗サル免疫不全ウイルス(抗SIV)活性のような抗ウイルス活性を有するか、または抗ウイルス活性を示す化合物に代謝されるかの何れかである。
【0029】
開示された化合物もしくはこれらの薬学的に許容しうる誘導体または塩、あるいはこれらの化合物を含む薬学的に許容しうる製剤は、HIV感染症およびAIDS関連合併症(ARC)のような他の関連した症状、持続性の広汎性リンパ腫(PGL)、AIDS関連の神経学的症状、抗HIV抗体陽性およびHIV陽性症状、カポジ肉腫、血小板減少紫斑症、そして日和見感染症の予防および治療に有用である。さらに、これらの化合物または製剤は、抗HIV抗体もしくはHIV抗原陽性の患者またはHBVに曝されたことのある患者における臨床疾患の進行を予防し、あるいは阻止するために予防的に使用される。
【0030】
この化合物もしくはその薬学的に許容しうる誘導体または塩、あるいはこの化合物もしくはその誘導体または塩を含む薬学的に許容しうる製剤は、HBV感染症ならびに抗HBV抗体陽性およびHBV陽性症状のような他の関連した症状、HBVに起因する慢性的肝炎症、硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性持続性肝炎、そして疲労の予防および治療にも有用である。これらの化合物または製剤は、抗HBV抗体もしくはHBV抗原陽性の患者またはHBVに曝されたことのある患者における臨床疾患の進行を予防し、あるいは阻止するために予防的に使用される。
【0031】
この化合物は、適切なエステル化剤、例えば酸ハライドまたは酸無水物との反応によって薬学的に許容しうるエステルに変換される。この化合物またはその薬学的に許容しうる誘導体は、常法、例えば適切な塩基で処理することによって、それらの薬学的に許容しうる塩に変換される。この化合物のエステルまたは塩は、例えば加水分解によって親化合物に変換される。
【0032】
要約すれば、本発明は、以下の特徴を有する:(a)上記した、(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドおよび(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシド、およびこれらの薬学的に許容しうる誘導体ならびに塩;
(b)医療における用途、例えばHIVまたはHBV感染の治療または予防のための、(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドおよび(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシド、およびこれらの薬学的に許容しうる誘導体ならびに塩;
(c)HIVまたはHBV感染の治療用医薬の製造における、(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドおよび(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシド、およびこれらの薬学的に許容しうる誘導体ならびに塩の用途;
(d)薬学的に許容しうる担体または希釈剤と一緒に、(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドおよび(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシド、またはこれらの薬学的に許容しうる誘導体あるいは塩を含む医薬製剤;そして
(e)下記に詳細に説明する、(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドおよび(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシドの製造法。
【0033】
I.活性化合物、およびこれらの生理学的に許容しうる誘導体ならびに塩
ここに開示する抗ウイルス性の活性化合物は、ラセミ体またはβ−Dもしくはβ−L対掌体に富む形の、(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドおよび(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシドである。
【0034】
この活性な化合物は、患者に投与されると、直接的または間接的に親化合物を提供することができるか、またはそれ自体が活性を示すような、いかなる誘導体として投与されてもよい。例としては、薬学的に許容しうる塩(または「生理学的に許容しうる塩」とも呼ばれる)、および活性化合物の5’もしくはN4位のアシル化またはアルキル化誘導体(または「生理学的に許容しうる誘導体」とも呼ばれる)が挙げられるがこれに限定されない。一つの実施態様において、アシル基は、エステル基の非カルボニル部分が、直鎖状、分岐状または環状のアルキル、メトキシメチルをはじめとするアルコキシアルキル、ベンジルをはじめとするアラルキル、フェノキシメチルをはじめとするアリールオキシアルキル、フェニルをはじめとするアリール(ハロゲン、C1−C4アルキルまたはC1−C4アルコキシで場合により置換されている)、メタンスルホニルをはじめとするアルキル−またはアラルキル−スルホニルのようなスルホナートエステル、モノ−、ジ−またはトリホスファートエステル、トリチルもしくはモノメトキシトリチル、置換したベンジル、トリアルキルシリル(例えば、ジメチル−tert−ブチルシリル)あるいはジフェニルメチルシリルから選ばれるカルボン酸エステルである。エステルにおけるアリール基は、最適にはフェニルである。ここで使用する用語アルキルとは、特に断らない限り、飽和の直鎖状、分岐状、または環状の、C1〜C18の一級、二級または三級の炭化水素、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチルおよび2,3−ジメチルブチルである。
【0035】
活性化合物、特にN4および5’−O位における改変は、活性種の生物学的利用能および代謝速度に影響を及ぼし、それにより活性種の送達についての調節を行う。さらに、この改変は、化合物の抗ウイルス活性に影響を及ぼし、ある場合には、親化合物以上に活性を増強する。これは、ここに記載する方法、またはこの当業者に公知の他の方法によって、誘導体を製造し、その抗ウイルス活性をテストすることによって容易に評価することができる。
【0036】
このヌクレオシド類のヌクレオシド炭水化物(以下で、総称的に糖部分と称する)の1’および4’位炭素原子はキラルであるので、それらの水素以外の置換基(それぞれ、ピリミジンまたはプリン塩基およびCHOR基)は、糖の環系に関してシス(同じ側)またはトランス(反対側)の何れかである。それ故に、4種の光学異性体は、以下の配位(Y置換基が裏側にあるように平面上に糖部分が配向する場合)によって表される:シス(両方の基は「上方」にあり、これは天然由来のヌクレオシドの配位に相当する)、シス(両方の基は「下方」にあり、天然には存在しない配位である)、トランス(C2’位置換基は「上方」そしてC4’位置換基は「下方」にある)、およびトランス(C2’位置換基は「下方」そしてC4’位置換基は「上方」にある)。「D−ヌクレオシド」は天然の配位のシスヌクレオシドであり、「L−ヌクレオシド」は天然には存在しない配位のシスヌクレオシドである。
【0037】
II.活性化合物の製造法
宿主生物におけるHIVおよびHBV感染症の治療のための、この明細書に開示したヌクレオシドは、公表された方法によって作られる。β−L−ヌクレオシドは、例えば以下の出版物に開示された方法、またはその標準的な変法で作られる:Jeong,et al.,J.of Med chem. 36,182-195,1993;欧州特許第0,285,884 号広報;Genu-Dellac, C., G. Gosselin,A.-M.Aubertin,G.Obert,A.Kirn,and J.-L.Imbach, 3-Substituted thymineα-L-nucleoside derivatives as potential antiviral agents; synthesis and biological evaluation,AntiviralChemChemother.2:83-92(1991); Johansson,K.N.G.,B.G.Lindborg,and R.Noreen,欧州特許第352,248 号明細書; Mansuri,M.M.,V.Farina,J.E.Starrett,D.A.Benigni,V.Brankovan,and J.C.Martin,Preparation of the geometric isomers of DDC,DDA,D4C and D4T as potential anti-HIV agents,Bioorg.Med.Chem.Lett.1:65-68(1991); Fujimori,S.,N.Iwanami,Y.Hashimoto,and K.Shudo,Aconvenient and stereoselective synthesis of 2'-deoxy- β-L-ribonucleosides,Nucleosides & Nucleotides 11:341-349(1992);Genu-Dellac, C., G. Gosselin, A -M. Aubertin, G. Obert, A. Kirn, and J.-L.Imbach,3-Substituted thymineα-L-nucleosidederivatives as potential antiviral agents; synthesis and biological evaluation,Antiviral Chem.Chemother.2:83-92(1991); Holy,A.,Synthesis of 2'−deoxy-L-uridine,Tetrahedron Lett.2:189-192(1992); Holy,A.,Nucleic acid components and their analogs. CLIII.Preparation of 2'-deoxy-L-ribonucleosides of the pyrimidine series.Collect.Czech.Chem.Commun.37:4072-4087(1992); Holy,A.,2'-deoxy-L-uridine: Total synthesis of a uracil 2'-deoxynucleoside from a sugar 2-aminooxazoline through a 2,2'-anhydronucleoside intermediate.In: Townsend L.B.,Tipson R.S.,ed.Nucleic Acid Chem.New York: Wiley,1992: 347-353.vol.1(1992); Okabe,M.,R.-C.Sun,S.Tan,L.Todaro and D.L.Coffen,Synthesis of the dideoxynucleosides DDC and CNT from glutamicacid,ribonolactone,and pyrimidine bases,J.Org.Chem.53:4780-4786(1988); Robins,M.J.,T.A.Khwja and R.K.Robins,Purine nucleosides.XXIX.Synthesis of 21-deoxy-L-adenosine and 21-deoxy-L-guanosine and their alpha anomers, J. Org. Chem. 35:363-639(1992) Genu-Dellac, C., Gosselin G., Aubertin A. -M., Obert G., Kirn A.and Imbach J.-L.,3'-Substituted thymineα-L-nucleosidederivatives as potential antiviral agents; synthesis and biological evaluation.Antiviral Chem.Chemother.2(2):83-92(1991) Genu-Dellac, C., Gosselin G., Imbach J. -L.; Synthesisof new 2'-deoxy-3'-substituted-α-L-threopentofuranonucleosides of thymine as a potential antiviral agents.Tet.Lett.32Preparation of new acylated derivatives of Larabino-furanose and 2-deoxy-1-erythro-pentofuranose as precursors for the synthesis of 1-pentofuranosyl nucleosides, 216:240-255(1991); and Genu-Dellac, C.,Gosselin G.,Puech F.,et al.,Systematic synthesis and antiviral evaluation ofα-L-arabinofuranosyl and 2'-deoxy-α-L-erythro-pentofuranosyl nucleosides of the five naturallyoccurring nucleic acid bases,10(b): 1345-1376(1991)
【0038】
β−D−ジオキソランヌクレオシド類は、PCT/US/91/09124 明細書に詳細に開示されている方法によって作られる。この方法は、糖の1位(後に形成されるヌクレオシドにおいて4’位になる)に正しいジアステレオマーの配位を含み、対掌体的に純粋な最終生成物のために必要な立体化学のすべてを含む糖である1,6−アンヒドロマンノースから、(2R,4R)−および(2R,4S)−4−アセトキシ−2−(保護されたオキシメチル)ジオキソランを最初に製造することを含んでいる。(2R,4R)−および(2R,4S)−4−アセトキシ−2−(保護されたオキシメチル)ジオキソランは、ジクロロエタン、アセトニトリル、または塩化メチレンのような有機溶媒中で、SnCl4、他のルイス酸、またはトリメチルシリルトリフラートの存在下、所望の複素環塩基と縮合して、立体化学的に純粋なジオキソランヌクレオシドを生成する。
【0039】
cis−ヌクレオシドのDおよびL対掌体の分割のための酵素的方法は、例えば、Nucleosides and Nucleotides,12(2),225-236(1993);ならびに、エモリー(Emory)大学が出願したPCT出願のWO91/11186、WO92/14729およびWO 92/14743 公開パンフレットに開示されている。
【0040】
cis −ヌクレオシドのDおよびL対掌体のアシル化またはアルキル化されたラセミ混合物の分離は、例えばPCT出願のWO 92/14729 公開パンフレットに開示されているように、選択したキラルな固定相を用いた高圧液体クロマトグラフィーによって達成される。
【0041】
活性なヌクレオシドのモノ−、ジ−およびトリホスファート誘導体は、公表された方法に準じて作られる。モノホスファートは、Imai et al., J.Org.Chem.,34(6),1547-1550(June 1969)の方法に従って作られる。ジホスファートは、Davisson et al.,J.Org.Chem.,52(9),1794-1801(1987)の方法に従って作られる。トリホスファートは、Hoard et al.,J.Am.Chem.Soc.,87(8),1785-1788(1965)の方法に従って作られる。
【0042】
活性な化合物の製造に用い、または採用される有用な方法を開示している他の参考文献としては、Hutchinson,D.W.,“New Approaches to the Synthesis of Antiviral Nucleosides”TIBTECH,1990,8,348; Agrofoglio,L.et al.,“Synthesis of Carbocyc1ic Nucleosides”Tetrahedron,1994,50,10611; Dueholm,K.L.,Pederson,E.B.,Synthesis,1994,1; Wilson,L.J.,Choi,W.-B.,Spurling,T.,Schinazi,R.F.,Cannon,D.,Painter,G.R.,St.Clair,M.andFurman,P.A.,The Synthesis and Anti-HIV Activity of PyrimidineDioxanyl Nucleoside Analogues.Bio.Med.Chem.Lett.,1993,3, 169-174; Hoong,L.K.,Strange,L.E.,Liotta,D.C.,Koszalka,G.W.,Burns,C.L.,Schinazi,R.F.,Enzyme-mediated enantioselectivepreparation of the antiviral agent 2',3'-dideoxy-5-fluoro-3'-thiacytidine[(-)-FTC]and related compounds.J.Org.Chem.1992,57,5563-5565; Choi,W.-B.,Wilson,L.J.,Yeola,S.,Liotta,D.C., Schinazi,F.R.,In situ complexation directs the stereochemistryof N-glycosylation in the synthesis of oxathiolanyl and dioxolanyl nucleoside analogues.J.Amer.Chem.Soc.1991,113,9377-9379; Choi,W.-B.,Yeola,S.,Liotta,D.C.,Schinazi,R.F.,Painter,G.R.,Davis,M.,St.Clair,M.,Furman,P.A.,The Synthesis,Anti-HIV and Anti-HBV Activity of Pyrimidine Oxathiolane Nucleoside Analogues.Bio.Med.Chem.Lett. 1993,3,693-696; Wilson,J.E., Martin,J.L.,Borrota-Esoda,K.,Hopkins,S.E.,Painter,G.R.,Liotta,D.C.,Furman,P.A.The 5'−Triphosphates of the(+)-Enantiomers of Cis-5-Fluoro-1-[2-(hydroxymethyl)-1,3'-Oxathioan-5-yl]Cytosine Equally Inhibit Human Immunodeficiency Virus Type-1 Reverse Transcriptase.Antimicrob.Agents Chemother.1993,37,1720-1722 が挙げられる。
【0043】
以下に記載する実施例は、5−カルボキサミド−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアウリジンの製造法を提供する。融点は、Electrothermal IA 8100デジタル融点測定装置で測定し、補正は行っていない。1Hおよび13CNMRスペクトルは、General Electric QE-300(300 MHz)分光計で記録し、化学シフトはppm(δ)で表し、シグナルは、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、またはm(マルチプレット)として記載した。UVスペクトルは、Shimadzu UV-2101PC分光光度計で記録し、FTIRスペクトルは、Nicolet Impact 400分光計で測定した。質量分光法は、JEOL(JMS-SX102/SX102A/E)分光計で行った。実験は、シリカゲルおよび蛍光指示薬で予め被覆したKodak 社のクロマトグラムシートでTLC分析を実施してモニターした。シリカゲル(60-200メッシュ; Fisher Scientific,Fair Lawn,NJ)を使用したカラムクロマトグラフィーを生成物の精製に用いた。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)およびその他の化学薬品は、Aldrich Chemical社(Milwaukee,WI)から購入した。元素分析はAtlantic Microlab Inc.(Norcross,GA)で行った。酵素類は、Amano International Enzyme Co.(Troy,VA)から購入した。
【実施例1】
【0044】
5−カルボキサミド−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアウリジンの製造
1−0−アセチル−5’−ブチリル−3−チアフラノースと5−ヨードシチジンとの塩化スズを用いたカップリングにより、優れた立体選択性で、5’−ブチリル−2’,3’−デオキシ−5−ヨード−3’−チアシチジンの保護されたβ異性体を生成した。
【0045】
無水MeOH100mlに溶解した5’−ブチリル−2’,3’−デオキシ−5−ヨード−3’−チアシチジン(1.63g、3.83mmol)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.16g、0.14mmol)およびEt3N(0.8ml)を加え、この反応混合物を、CO雰囲気下、40℃に加熱しながら6時間保持した。この溶液を、減圧下に濃縮乾固し、CH2Cl2に溶解してから濾取した。得られた析出物を温CHCl3に溶解して結晶化した後、所望の5−カルボン酸メチルエステル−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(0.7g、62%)を白色固体として得た。m.p.217−221℃;1HNMR(DMSO)δ:3.2-3.3(m,2H,H-2'and H-2"),3.75(s,3H,OCH3),3.8-4.0(m,2H,H-5'and H-5"),5.36(m,1H,OH-5'),5.49(t,1H, H-4',J4',5'=4.0),6.21(m,1H,H-1'),7.7 and 8.1(2 br s,1H each,NH2),9.0(s,1H,H-6);m/z(LSIMS):288(M+H)+; 元素分析(C101335S)C,H,N,S。
【0046】
無水MeOHに溶解した5−カルボン酸メチルエステル−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(0.2g、0.69mmol)の溶液に、NH3−MeOHの2M 溶液50mlおよび触媒量のNaCN(20mg)を加え、この溶液を100℃で20時間撹拌した後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーに付し、CH2Cl2/MeOH(90:10)で溶出して、5−カルボン酸アミド−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(0.12g、63%)を白色固体として得た。m.p.190−192℃;1HNMR(DMSO)δ:3.18(dd,1H,H-2'or H-2",J2',2"=10.2,J2'or 2",1'=1.4),3.41(dd,1H,H-2'or H-2",J2',2"=10.1,J2'or2",1'=1.5),3.8-4.0(m,2H,H-5'and H-5"),5.36(t,1H,H-4', J4',5'=4.0),5.5(br s,1H,OH-5'),6.21(dd,1H,H-1',J1',2 or 2"=4.3,J1',2'or 2"=1.9),7.5(br s,2H,NH2),7.8 and 8.4(2 br s,1H each,NH2),8.6(s,1H,H-6); m/z(LSIMS):273(M+H)+; 元素分析(C91244S)C,H,N,S。
【実施例2】
【0047】
5−カルボン酸アミド−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジンのβ−Dおよびβ−L対掌体の製造
5−ブチリル−2’,3’−デオキシ−5−ヨード−3’−チアシチジン(3g、7mmol)を、pH8緩衝液/CH3CN(4/1)の900mlに溶解し、得られた透明な溶液を撹拌しながら、ブタ肝臓エステラーゼ(PLE−A、Amano)1,000単位で処理した。反応の進行をHPLCでモニターした。16時間後(50%変換)、反応混合物をCHCl3の2×600mlおよびEtOAcの600mlで抽出した。有機抽出液を併せ、MgSO4で乾燥して濾過し、濃縮乾固し、次いで実施例1と同様な反応経路に付した。水層を濃縮乾固してから、ブチリルクロリドを用いて5’位を保護し、同様な反応経路に付した。
【実施例3】
【0048】
2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシピリミジンヌクレオシドの製法 下記の図1は、2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシピリミジンヌクレオシドの一般的な製造法を示す。この方法は、各種の塩基に適応され、所望により、β−Dまたはβ−L異性体の何れかを製造するのに用いられる。
【0049】
【化4】

【0050】
IV.(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドまたは(5−カルボキサミドまたは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシドの、HIVおよびHBVの複製を阻害する能力
【0051】
HIVを阻害するヌクレオシドの能力は、各種の試験法で測定することができる。ここで使用し、以下で詳細に記載する方法は、HIV−1(LAV株)に感染した、フィトヘマグルチニン(PHA)で刺激されたヒト末梢血液単核(PBM)細胞におけるウイルス複製の阻害を測定することである。生成したウイルス量は、ウイルスをコードした逆転写酵素を測定することによって決定される。生成した酵素量は、生成したウイルス量に比例する。
【実施例4】
【0052】
2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジンの5−置換誘導体の抗HIV活性 2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジンおよび2’,3’−ジデオキシ−3’−チアウリジンの一連の5−置換誘導体(表1参照)を合成し、抗HIV活性をテストした。
【0053】
B型肝炎およびHIV−1血清反応陰性の健常なドナーから得てフィトヘマグルチニンで刺激した、3日目のPBM(106cell/ml)を、1ml当り50%組織培養感染用量(TICD50)の約100倍の濃度のHIV−1(LAV株)に感染させ、各種濃度の抗ウイルス化合物の存在および不存在下に培養した。
【0054】
感染の約1時間後、テストされる化合物を加えた培地(培地中の最終濃度の2倍)または化合物を加えない培地を、フラスコ(5ml;最終容量10ml)に加えた。AZTを陽性の対照として用いた。
【0055】
細胞はウイルス(約2×105dpm/ml、逆転写酵素アッセイにより測定)に曝露し、次いでCO2インキュベーターに入れた。HIV−1(LAV株)は、the Center for Disease Control,Atlanta,Georgiaより入手した。PBM細胞の培養法、ウイルスの収穫法および逆転写酵素活性の測定法は、菌体を培地に加えないことを除いて(参照:Schinazi et al.,Antimicrob.Agents Chemother.32,1784-1787(1988); Id., 34:1061-1067(1990))、McDougal et al.(J.Immun Meth.76, 171-183,1985)およびSpira et al.(J.Clin.Meth.25,97-99,1987)によって記載されている方法であった。
【0056】
6日目、細胞および上澄液を15ml容のチューブに移し、約900gで10分間遠心分離した。上澄液の5mlを除去し、40,000rpm で30分間遠心分離(Beckman 70.1 Ti ローター)してウイルスを濃縮した。逆転写酵素レベルを測定するために、可溶化したウイルスペレットを処理した。結果を、標本抽出した上澄液のdpm/mlで示す。小量の上澄液(1ml)からのウイルスは、可溶化および逆転写酵素レベル測定に先立って、遠心分離により濃縮することも可能である。
【0057】
中央値有効濃度(EC50)は、メジアン−効力−方式によって決定した(Antimicrob.Agents Chemother.30,491-498(1986))。要約すれば、逆転写酵素の測定から決定される、ウイルスの阻害パーセントを、化合物のマイクロモル濃度に対してプロットする。EC50は、ウイルス増殖を50%阻害する化合物濃度である。
【0058】
細胞分裂誘起物質で刺激した非感染のヒトPBM細胞(3.8×105cell/ml)を、上記の抗ウイルスアッセイと同様な条件下、薬物の存在または非存在下に培養した。6日後、Schinazi et al.,Antimicrobial Agents and Chemotherapy 22(3),499(1982)に記載されているように、血球計数器およびトリパンブルー排除法を用いて細胞を計数した。IC50は、通常の細胞増殖を50%阻害する化合物濃度である。
【0059】
表1は、テストした多くの5−置換−3’−チア−2’,3’−ジデオキシピリミジンヌクレオシドのEC50値(PBM細胞において、ウイルスの複製を50%阻害するヌクレオシド濃度、誤差ファクター10%評価)およびIC50値(細胞分裂誘起物質で刺激した非感染のヒトPBM細胞、CEM細胞およびベロ細胞の増殖を50%阻害するヌクレオシド濃度)を示す。対照的に、シトシン系においては、ラセミ体の5−アセトアミド誘導体は、0.77マイクロモルの中央値有効濃度を示して抗ウイルス活性を有すること、および各種の細胞系で100マイクロモルまでは毒性がないことが判った。同様な結果は、抗HBV活性の評価においても得られた。ラセミ化合物は、実施例2に記載した、酵素が介在する方法によってβ−Dおよびβ−L対掌体に分割できた。5−アセトアミド誘導体は両者とも、HIV−1およびHBV複製の有効な阻害化合物であった。
【0060】
【表1】


【実施例5】
【0061】
2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジンの5−置換誘導体の抗HBV活性
2.2.15細胞培養(肝炎ビリオンで形質転換されたHepG2細胞)において活性化合物がウイルス増殖を阻害する能力を、下記に詳細に説明するようにして評価した。
【0062】
この培養系における抗ウイルス作用のアッセイおよびHBVのDNA分析の要約および説明は報告されている(Korba and Milman,1991,Antiviral Res.15:217)。抗ウイルス活性の評価は、2種の異なる継代細胞で行った。全部のプレートにおける全ウェルは、同じ濁度で同時に接種した。
【0063】
細胞内および細胞外の両者の固有のHBVのDNAレベルの変化があるために、非処理細胞におけるこれらHBVのDNA型に対する平均レベルの3.5倍(HBVビリオンDNAに対して)または3.0倍(HBVのDNA複製中間体に対して)よりも大きな抑制のみを、統計的に有意であると考た(p<0.05)。各細胞のDNA標本におけるHBVのDNAレベル(これらの実験において、細胞当りの規準で一定であった)を、細胞内HBVのDNA型のレベルを算定するのに用い、これにより、細胞DNAの等しい量の別のサンプル間での比較を可能にした。
【0064】
非処理細胞における細胞外HBVビリオンDNAの典型的な値は、50〜150pg/ 培地mlの範囲(平均約76pg/μg)であった。非処理細胞における細胞内HBVのDNA複製中間体は、50〜100μg/細胞DNApgの範囲(平均約74pg/細胞DNAμg)であった。一般に、抗ウイルス化合物処理による細胞内HBVのDNAレベルにおける抑制は著しくなく、HBVビリオンDNAレベルにおける抑制よりも遅く起こる(Korba and Milman,1991,Antiviral Res.15:217)。
【0065】
これらの実験でハイブリッド形成分析を行った方法により、1細胞当り2−3ゲノムコピーに対して細胞内HBVのDNAの約1.0pg、および3×105ウイルス粒子/ml に対して細胞外HBVのDNAの約1.0pg/ml が等価であることが判った。
【0066】
観察された抗ウイルス作用のいずれかが細胞の生死に対する一般的な影響によるものか否かを評価するために毒性分析を行った。ここに使用した方法は、中性赤色染料の取込みを測定するものであり、HSVおよびHIVを含む各種のウイルスの宿主系における細胞生死判別のための標準的で広く用いられるアッセイである。毒性分析は、96ウェルの平底の培養プレートで行った。毒性分析のための細胞を培養し、下記の抗ウイルス活性評価で記載したものと同様なスケジュールに準じて、テスト化合物で処理した。各化合物は、4種の濃度で、各々3つの培養物(“A”、“B”、そして“C”ウェル)でテストした。中性赤色染料の取り込みを、毒性の相対的レベルを決定するのに使用した。取り込まれた染料の吸光度(Asin)を510nmで定量的分析に使用した。値は、テスト化合物と同様な96ウェルプレートで保持した非処理細胞の9種の別々の培養物における平均Asin値に対するパーセントとして示した。プレート5での9種の対照培養物における染料取込みは、91.6%〜110.4%、そしてプレート6では、96.6%〜109%の範囲であった。
【0067】
HBVアッセイの結果を表2に示す。明らかに、5−カルボン酸アミド−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(β−L−およびβ−D−カルボキサミドと称する)のβ−Dおよびβ−L対掌体は、HBVに対して有意な活性を示し、毒性は比較的少なかった。
【0068】
【表2】

【実施例6】
【0069】
2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシピリミジンヌクレオシドの抗HIV活性
表3は、β−L−2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシ シチジンおよびβ−2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジンのEC50値(PBM細胞において、HIV−1およびHIV−2の複製を50%阻害するヌクレオシド濃度、誤差ファクター10%評価)およびIC50値(細胞分裂誘起物質で刺激した、非感染のヒトPBM細胞、CEM細胞およびベロ細胞の増殖を50%阻害するヌクレオシド濃度)を示す。表に示すように、両化合物はHIVに対して有意な活性を示し、比較的に無毒性であった。
【実施例7】
【0070】
2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシピリミジンヌクレオシドの抗HBV活性 表4は、トランスフェクトしたHEPG−2(2.2.15)細胞において、9日目のB型肝炎ウイルス(HBV)に対するDDC誘導体の効果を示す。
【0071】
【表3】

【表4】

【0072】
III.薬学組成物の製造法
HIVまたはHBV感染による疾病に罹患したヒトは、薬学的に許容しうる担体または希釈剤の存在下、(5−カルボキサミドもしくは5−フルオロ)−2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロピリミジンヌクレオシドまたは(5−カルボキサミドもしくは5−フルオロ)−3’−改変−ピリミジンヌクレオシドまたはこれらの薬学的に許容しうる誘導体あるいは塩の有効量を患者に投与することによって治療される。活性物質は、液体または固体の形態で、適切な経路、例えば経口、非経口、静脈内、皮内、皮下、または局所的に投与される。
【0073】
活性な化合物は、薬学的に許容しうる担体または希釈剤中に、化合物の治療的に有効な量を患者に送達するのに十分な量で含まれ、治療される患者において重大な毒性作用を起こすことなく、生体内でのウイルス複製、特にHIVおよびHBV複製を阻害する。「阻害量」とは、例えば、ここに記載した方法のようなアッセイによって測定された阻害作用を発揮するのに十分な活性成分の量を意味する。
【0074】
すべての上記の条件のための化合物の好ましい用量は、1日当り約1〜50mg/体重kg、好ましくは1〜20mg/kg、より一般的には、1日当り患者の体重1キログラム当り0.1〜約100mgである。薬学的に許容しうる誘導体の有効な用量範囲は、送達されるべき親ヌクレオシドの重量に基づいて算定される。この誘導体自体が活性を示す場合、上記と同様に、誘導体の重量を用いるか、または当業者に公知である他の手段によって算定される。
【0075】
化合物は、単位の用量形態当り活性成分の7〜3,000mg、好ましくは70〜1,400mgを含む、いかなる適切な形態でも好都合に投与されるがこれに限定されない。50〜1,000mgの経口用量が、通常好都合である。
【0076】
理想的には、活性成分は、約0.2〜70pM、好ましくは約1.0〜10μM の活性化合物の最高血漿濃度を達成するように投与されるべきである。これは、例えば、活性成分の0.1〜5%溶液、場合により生理食塩溶液の静脈注射、または活性成分の大丸薬(bolus)としての投与によって達成される。
【0077】
薬剤組成物中の活性化合物の濃度は、薬剤の吸収、不活性化、および排泄速度、ならびに当業者には公知の他のファクターによって異なる。用量の値は、軽減されるべき症状の重篤度により異なることを留意すべきである。さらに、いかなる個々の患者の場合でも、特有の投薬方法は、個々の要求およびこの組成物の投与を行いまたは監視する専門家の判断に応じて、時間をかけて調整すべきこと、そして、ここで説明した濃度範囲は、単に例示したのみであって、特許請求の組成物の範囲または使用を制限するものでないことが理解されるべきである。活性成分は、一度に投与するか、または時間間隔を変えて少量づつ何回かに分けて投与してもよい。
【0078】
活性化合物の好ましい投与方法は経口である。経口組成物は、一般に、不活性な希釈剤または食用担体を含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入されるか、または錠剤に圧縮される。経口治療用投与の目的には、活性化合物は、賦形剤中に包含されて、錠剤、トローチ、またはカプセルの形で用いられる。薬学的に許容しうる結合剤、および/または補佐剤は、組成物の一部として含まれてもよい。
【0079】
錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分の何れか、または同様な性質の化合物を含むことができる:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンのような結合剤;澱粉または乳糖のような賦形剤;アルギン酸、プリモゲル(Primogel)またはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterotes)のような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑沢剤;ショ糖またはサッカリンのような甘味剤;またははっか油、サルチル酸メチルエステルまたはオレンジ香料のような芳香剤。投与単位の形態がカプセル剤である場合、カプセル剤は、上記の型の材料の他に、脂肪油のような液状担体を含むことができる。さらに、投与単位の形態は、投与単位の物理的形態を変更する各種の他の物質、例えば糖類、セラック、またはその他の腸溶性物質を含むことができる。
【0080】
化合物は、エリキシル剤、懸濁液、シロップ剤、ウエファース、チュウインガムなどの成分として投与することもできる。シロップ剤は、活性化合物の他に、甘味剤としてショ糖、およびある種の防腐剤、染料、着色剤そして芳香剤を含んでもよい。
【0081】
この化合物またはそれらの薬学的に許容しうる誘導体あるいはその塩は、所望の作用を損なわないその他の活性物質、または所望の作用を補う物質、例えば抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤、または、他のヌクレオシド抗−HIV化合物を含む他の抗ウイルス剤と混合することもできる。非経口、皮内、皮下または局所適用に用いられる液剤または懸濁液は、以下の組成物を含むことができる:注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような無菌の希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤;そして塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張度調整剤。非経口製剤は、アンプル、使い捨て式の注射器またはガラスもしくはプラスチック製の多回投与用バイアル中に封入される。
【0082】
静脈内に投与される場合、好ましい担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝液(PBS)である。
【0083】
好ましい実施態様において、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセルに封入した送達システムをはじめとする放出調整製剤のような、体内からの急速な排出に対して化合物を保護する担体を加えて調製される。エチレンビニルアセタート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、そしてポリ乳酸のような、生物分解性で生体適合性のポリマーも用いることができる。かかる製剤の製造法は、当業者には明らかである。これらの材料は、Alza Corporationから入手できる。
【0084】
リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を含む、感染細胞を標的としたリポソームを包含する)もまた、薬学的に許容しうる担体として好ましい。これらは、当業者には公知の方法、例えば米国特許第4,522,811 号明細書に記載されている方法(その全体を参照して、ここに引用する)によって作られる。例えば、リポソーム製剤は、適切な脂質(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリンおよびコレステロールのような)を無機溶媒に溶解し、次いで溶媒を蒸発させ、容器の表面に乾燥した脂質の薄いフィルムを残す。次いで、活性化合物またはそのモノホスフェート、ジホスフェートおよび/またはトリホスフェート誘導体の水溶液を、該容器中に注入する。次に、容器を手で渦状に動かして容器の側面から脂質材料を剥離し、脂質凝集体を分散させてリポソーム懸濁液を形成する。
【0085】
この発明は、その好ましい実施態様を参照にして記載されているが、上記の発明の詳細な記述から、この発明の変更および修正は当業者には明らかである。これらの変更および修正の全ては、付されている特許請求の範囲内に含まれることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染を治療するための医薬組成物であって、次式:
【化1】

[式中、Rは、H、C(O)(C1−C6アルキル)、モノホスファート、ジホスファートもしくはトリホスファートである。]
のβ−D−ヌクレオシド、又はその薬学的に許容しうる塩若しくはエステルを、2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(FTC)、9−[4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン−1−イル]−グアニン(カルボビル)、9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−グアニン(アシクロビル)、インターフェロン、ジアセチル−6−デオキシ−9−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−ブタ−1−イル)グアニン(ファムシクロビル)、9−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル)ブチル)グアニン(ペンシクロビル)、3’−デオキシ−3’−アジドチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオキシイノシン(DDI)、2’,3’−ジデオキシシチジン(DDC)、(−)−2’−フルオロ−5−メチル−[β−L−アラビノフラノシルウリジン(L−(−)−FMAU)、及び2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシチミジン(D4T)からなる群から選択される第二の化合物と組み合わせて含有する医薬組成物。
【請求項2】
薬学的に許容しうる担体を更に含有する請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
Rが、Hである請求項1の医薬組成物。
【請求項4】
Rが、C(O)(C1−C6アルキル)である請求項1の医薬組成物。
【請求項5】
Rが、モノホスファートである請求項1の医薬組成物。
【請求項6】
Rが、ジホスファートである請求項1の医薬組成物。
【請求項7】
Rが、トリホスファートである請求項1の医薬組成物。
【請求項8】
前記ウイルス感染がHIV感染である請求項1の医薬組成物。
【請求項9】
前記ウイルス感染がHBV感染である請求項1の医薬組成物。
【請求項10】
前記第二の化合物がFTCである請求項8の医薬組成物。
【請求項11】
前記第二の化合物がカルボビルである請求項8の医薬組成物。
【請求項12】
前記第二の化合物がアシクロビルである請求項8の医薬組成物。
【請求項13】
前記第二の化合物がインターフェロンである請求項8の医薬組成物。
【請求項14】
前記第二の化合物がファムシクロビルである請求項8の医薬組成物。
【請求項15】
前記第二の化合物がAZTである請求項8の医薬組成物。
【請求項16】
前記第二の化合物がDDIである請求項8の医薬組成物。
【請求項17】
前記第二の化合物がDDCである請求項8の医薬組成物。
【請求項18】
前記第二の化合物がL−(−)−FMAUである請求項8の医薬組成物。
【請求項19】
前記第二の化合物がD4Tである請求項8の医薬組成物。
【請求項20】
前記第二の化合物がFTCである請求項9の医薬組成物。
【請求項21】
前記第二の化合物がカルボビルである請求項9の医薬組成物。
【請求項22】
前記第二の化合物がアシクロビルである請求項9の医薬組成物。
【請求項23】
前記第二の化合物がインターフェロンである請求項9の医薬組成物。
【請求項24】
前記第二の化合物がファムシクロビルである請求項9の医薬組成物。
【請求項25】
前記第二の化合物がAZTである請求項9の医薬組成物。
【請求項26】
前記第二の化合物がDDIである請求項9の医薬組成物。
【請求項27】
前記第二の化合物がDDCである請求項9の医薬組成物。
【請求項28】
前記第二の化合物がL−(−)−FMAUである請求項9の医薬組成物。
【請求項29】
前記第二の化合物がD4Tである請求項9の医薬組成物。
【請求項30】
前記担体が、経口投与に適したものである請求項2の医薬組成物。
【請求項31】
前記担体が、非経口投与に適したものである請求項2の医薬組成物。
【請求項32】
前記担体が、静脈投与に適したものである請求項2の医薬組成物。
【請求項33】
前記担体が、皮内投与に適したものである請求項2の医薬組成物。
【請求項34】
前記担体が、皮下投与に適したものである請求項2の医薬組成物。
【請求項35】
前記担体が、局所投与に適したものである請求項2の医薬組成物。
【請求項36】
前記組成物が、錠剤の形態にある請求項2の医薬組成物。
【請求項37】
ウイルス感染を治療するための医薬の製造における、次式:
【化2】

[式中、Rは、H、C(O)(C1−C6アルキル)、モノホスファート、ジホスファートもしくはトリホスファートである。]
のβ−D−ヌクレオシド、又はその薬学的に許容しうる塩若しくはエステルの、2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(FTC)、9−[4−(ヒドロキシメチル)−2−シクロペンテン−1−イル]−グアニン(カルボビル)、9−[(2−ヒドロキシエトキシメチル]−グアニン(アシクロビル)、インターフェロン、ジアセチル−6−デオキシ−9−(4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル−ブタ−1−イル)グアニン(ファムシクロビル)、9−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル)ブチル)グアニン(ペンシクロビル)、3’−デオキシ−3’−アジドチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオキシイノシン(DDI)、2’,3’−ジデオキシシチジン(DDC)、(−)−2’−フルオロ−5−メチル−[β−L−アラビノフラノシルウリジン(L−(−)−FMAU)、及び2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシチミジン(D4T)からなる群から選択される第二の化合物と組み合わせた使用。

【公開番号】特開2007−246540(P2007−246540A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132413(P2007−132413)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【分割の表示】特願平8−522990の分割
【原出願日】平成8年1月29日(1996.1.29)
【出願人】(503124447)エモリー ユニバーシティ (8)
【Fターム(参考)】