説明

1,3,4−トリアザフェナレンおよび1,3,4,6−テトラアザフェナレン誘導体

式 (I) の新規な1,3,4-トリアザフェナレンおよび1,3,4,6-テトラアザフェナレン誘導体が開示される。これらの化合物は、表皮増殖因子レセプター (EGFW) チロシンキナーゼを阻害する。これらの化合物およびそれらの薬学上許容される塩およびエステルは抗増殖活性を有し、なかでも、癌、特に充実性腫瘍の治療または抑制において有効である。また、本発明は、このような化合物を含有する医薬組成物、および癌を治療または抑制する、特に乳房、結腸、前立腺または肺の腫瘍を治療または抑制する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、表皮増殖因子レセプター (EGFR) チロシンキナーゼを阻害する新規な1,3,4-トリアザフェナレンおよび1,3,4,6-テトラアザフェナレン誘導体に関する。これらの化合物およびそれらの薬学上許容される塩およびエステルは抗増殖活性を有し、なかでも、癌、特に充実性腫瘍の治療または抑制において有効である。また、本発明は、このような化合物を含有する医薬組成物、および癌を治療または抑制する、特に乳房、肺、結腸および前立腺の腫瘍を治療または抑制する方法に関する。最後に、本発明は、また、本明細書に開示する新規なフェナレン誘導体の製造において有用な新規な中間体に関する。
【0002】
レセプターチロシンキナーゼは、細胞のシグナル伝達に参加するトランスメンブランタンパク質である。詳しくは、それらは増殖因子のシグナルを細胞表面からある種の細胞内プロセスに伝達して、重大な機能、例えば、増殖、分化および血管形成を調節する。A. A. Adjei、Drugs of the Future 2001、26 (11): 1087−1092。
【0003】
多数の癌は異常なシグナリングに関連する。特に、チロシンキナーゼを介する調節解除されたシグナリングは癌の増殖および拡大において主要な役割を演ずる。A. D. LairdおよびJ. M. Cherrington、Exp. Opin. Invest. Drugs 2003、12(1): 51-64。レセプターチロシンキナーゼの1つのファミリーは、表皮増殖因子レセプター (EGFR) チロシンキナーゼである。これらのレセプターは多数の上皮癌において過剰発現されることが発見され、そして腫瘍悪化に関係付けられてきている。
【0004】
癌の増殖および拡大におけるレセプターチロシンキナーゼ (RTK) 、特にEGFRの役割は十分に確立されている。参照: LairdおよびCherrington、前掲; およびAdjey、前掲。こうして、RTK、特にEGFRの小分子インヒビターを開発する広範な研究が存在する。
【0005】
EGFRを阻害する化合物およびそれらの療法的使用の概観については、下記の文献を参照のこと: LairdおよびCherrington、前掲; Adjey、前掲; Drugs of the Future 2002、27 (4): 339-345; M. R. Myers 他、Bioorganic & Chemistry Letters 1997、7 (4); 421-424; A. J. Bridges 他、J. Mol. Chem. 1996、39: 267-276; G. W. Reweastle 他、J. Mol. Chem. 1995、38: 3482-3487。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、下記式:
【化1】

【0007】
(式中、
ZはCまたはNであり、
R1およびR2は各々独立してH;低級アルキル;あるいはOR6、NR6R7、複素環またはヘテロアリールで置換された低級アルキルであり、
R3およびR4は各々独立してH、F、Cl、およびBrから選択され、
R5はH、OH、SH、オキソ、チオン、およびC1-C3アルキルから選択され、そして
R6およびR7は各々独立してH、および低級アルキルから選択されるか、あるいはNR6R7は一緒になって3〜7原子の環を形成することができ、前記環は必要に応じて3個までの追加の異種原子を含み、そして必要に応じて1または2以上の低級アルキルで置換されている)
で表わされる新規な1,3,4-トリアザフェナレンおよび1,3,4,6-テトラアザフェナレン誘導体またはそれらの薬学上許容される塩またはエステルに関する:
【0008】
上記式中の点線は、ZとR5が結合する炭素原子との間または炭素原子とR5との間に二重結合が存在することを意味する。互変異性体を描写するために点線を使用することは、この分野においてよく知られている。
これらの化合物は、表皮増殖因子レセプター (EGFR) チロシンキナーゼを阻害する。これらの化合物およびそれらの薬学上許容される塩およびエステルは抗増殖活性を有し、なかでも、癌、特に充実性腫瘍の治療または抑制において有効である。
また、本発明は、本発明の1種または2種以上の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩およびエステルと、生理学上許容される担体または賦形剤とを含んでなる医薬組成物に関する。
【0009】
さらに、本発明は、治療を必要とする患者に、治療的有効量の式Iの化合物、またはそれらの薬学上許容される塩またはエステルを投与することによって、癌を治療または抑制する方法、特に充実性腫瘍を治療または抑制する方法、より詳細には乳房、肺、結腸および前立腺の腫瘍を治療または抑制する方法に関する。
最後に、本発明は、また、式Iの化合物の製造において有用な新規な中間体化合物に関する。
本明細書において使用するとき、下記の用語は下記の定義を有する。
【0010】
「アルキル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて、例えば、アルキル-複素環で、1〜12、好ましくは1〜10炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状飽和脂肪族炭化水素を意味する。好ましいアルキル基は1〜6、好ましくは1〜4炭素原子を有する「低級アルキル」である。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、2-ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびその他を包含する。本明細書において使用するとき、C1-C3アルキルは、1〜3炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0011】
「アリール」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて、1価、一環または二環の芳香族炭素環式炭化水素基、好ましくは6〜10員の芳香族環系を意味する。好ましいアリール基は、フェニル、ナフチル、トリルおよびキシリルを包含するが、これらに限定されない。
「有効量」は、疾患を予防、軽減または改善するか、あるいは治療されている被検体の生存を延長するために有効である量を意味する。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素または臭素を意味する。
【0012】
「異種原子」は、N、OおよびSから選択される原子を意味する。
「ヘテロアリール」は、2環までを含有する芳香族複素環式環系を意味する。好ましいヘテロアリールは、チエニル、フリル、インドリル、ピロリル、ピリジニル、ピリジン、ピラジニル、オキサゾリル、チアキソリル、キノリニル、ピリミジニル、イミダゾールおよびテトラゾリルを包含するが、これらに限定されない。
【0013】
「複素環」または 「複素環式」 は、3〜8環原子の飽和または部分的不飽和、非芳香族環状基を意味し、ここで1〜4環原子は窒素、酸素、硫黄、またはそれらの組み合わせから選択される異種原子であり、残りの環原子はC原子である。好ましい複素環の例は、テトラヒドロピラニル、チオモルホリノ、ペンタメチレンサルファイド、およびペンタメチレンスルホンである。
【0014】
「IC50」は、特別に測定された活性の50%を阻害するために必要な本発明による特定の化合物の濃度を意味する。IC50は、なかでも、後掲実施例23に記載されていようにして測定することができる。
「オキソ」は=Oを意味する。
【0015】
「薬学上許容されるエステル」は、アルコールまたはカルボキシル基を有する式Iの普通にエステル化された化合物を意味し、前記エステルは式Iの化合物の生物学的有効性および性質を保持し、in vivo で (生物中で) 対応する活性アルコールまたはカルボン酸に切断される。In vivo で対応するカルボン酸 (R40C(=O)OH) に切断 (この場合において加水分解) されるエステル基の例は低級アルキルであり、これはNR41R42で置換されることができ、ここでR41およびR42は低級アルキルであるか、あるいはNR41R42は一緒になって一環式環、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N-メチルピペラジン、およびその他; および式R40(=O)OCHR43OC(=O) のカーボネートエステルを形成し、ここでR43は水素またはメチルでであり、R40は本発明による化合物である。それはカルボン酸の形態で示されている (患者にエステルとして投与され、そして対応する酸に切断された後) 。
【0016】
低級アルキルエステルの例は、アセチル、プロピオニル、およびその他である。NR41R42で置換された低級アルキルエステルの例は、ジエチルアミノエチルアセチル、2-(4-モルホリニル)アセチル、2-(4-メチルピペラジン-1-イル)アセチルエステル、およびその他である。カーボネートエステルの例は、アセトキシ-メトキシ-ホルミルおよび2-(ジメチルアミノ)アセトキシ-メトキシ-ホルミルエステルである。
【0017】
薬学的化合物の送達のためのエステルの例および使用に関する他の例は、下記の文献に記載されている: Design of Prodrugs、編者Bundgaard H (Elsevier、1985) 、また、下記の文献を参照のこと: H. Ansel 他、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (第6版、1995) pp. 108-109; Krogsgaard-Larsen 他、Textbook of Drug Design and Development (第2版、1996) pp. 152-191; H. Gao 他、Synthesis 2000、329-351; J. Alexander 他、J. Mol. Chem. 1988、31、318-322。
【0018】
「薬学上許容される塩」は、式Iの化合物の生物学的有効性および性質を保持し、そして適当な非毒性有機酸または無機酸または有機塩基または無機塩基から形成される、慣用の酸付加塩または塩基付加塩を意味する。酸付加塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸から誘導されるもの、および有機酸、例えば、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、およびその他から誘導されるものを包含する。
【0019】
塩基付加塩の例は、アンモニウム、カリウム、ナトリウムおよび第四級アンモニウムの水酸化物、例えば、テトラメチルアンモニウム水酸化物から誘導されるものを包含する。薬学的化合物 (すなわち、薬剤) を塩に変更する技術は、化合物の物理的および化学的安定性、吸湿性、流動性および溶解性を改良するために薬化学者によく知られている技術である。例えば、下記の文献を参照のこと: H. Ansel 他、H. Ansel 他、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (第6版、1995) pp. 196および1456-1457。
【0020】
「薬学上許容される」、例えば、薬学上許容される担体、賦形剤、およびその他は、薬学上許容され、かつ特定の化合物を投与される被検体に対して実質的に非毒性であることを意味する。
「置換された」、例えば、置換されたアルキルは、置換が1または2以上の位置で起こること、そして、特記しない限り、各置換部位における置換基が特定されたオプションから独立して選択されることを意味する。
【0021】
「治療的有効量」は、ヒト腫瘍細胞、例えば、ヒト腫瘍細胞系統の増殖を有意に阻害しおよび/または分化を有意に防止する、式Iの少なくとも1種の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩またはエステルの量を意味する。
「チオン」は、非末端炭素原子における= Sを意味する。
【0022】
1つの態様において、本発明は、下記式:
【化2】

【0023】
(式中、ZおよびR1〜R5は上に定義した通りである)
で表わされるの化合物またはそれらの薬学上許容される塩またはエステルに関する。
式 (I) の化合物の好ましい態様において、ZはNである。他の好ましい態様において、ZはCである。
式Iの化合物の他の好ましい態様において、R1およびR2は独立して低級アルキル、好ましくはメチルである。最も好ましい態様において、R1およびR2の両方はメチルである。
【0024】
式Iの化合物の他の好ましい態様において、R3およびR4は独立してH、Br、ClおよびFから選択され、最も好ましくはHである。最も好ましい態様において、R3およびR4の両方はHである。
式Iの化合物の他の好ましい態様において、R5は=O、=S、Hおよび低級アルキルから選択され、最も好ましくはHおよび低級アルキルから選択される。
【0025】
下記の化合物は本発明による好ましい態様である:
8,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン (実施例1D);
8,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン (実施例2);
8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン (実施例3);
8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン (実施例4);
2-エチル-8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン (実施例5);
3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン (実施例6C);
3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン (実施例7);
【0026】
3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン (実施例8);
3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン (実施例9);
3-(3-ブロモ-フェニル)-2-エチル-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン (実施例10);
3-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン (実施例11C);
3-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン (実施例12);
3-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン (実施例13C);
3-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン (実施例14);
【0027】
7,8-ジメトキシ-5-メチル-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例15G);
4-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例16G);
4-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例17G);
4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例18G);
4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例19G);
7,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例20B);
4-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例21B); および
4-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例22B)。
【0028】
本明細書に開示されかつ上記式Iによりカバーされる化合物は、互変異性または構造異性を示すことがある。本発明はこれらの化合物の互変異性体および構造異性体、またはこのような形態の混合物を包含し、そして上記式で描写されるいかなる1つの互変異性体および構造異性体にも限定されないことが意図される。
本発明の化合物は、任意の慣用手段により製造することができる。これらの化合物を合成する適当な方法は、実施例に記載されている。一般に、式Iの化合物は後述する合成経路に従い製造することができる。
【0029】
【化3】

【0030】
【化4】

【0031】
【化5】

【0032】
【化6】

【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
立体異性体の混合物を必要に応じて純粋な立体異性体に分離する (式Iの化合物がキラルであるとき) 。
【0036】
式Iの異性体構造物の任意の分離は、既知の方法、例えば、分離またはキラル高圧液体クロマトグラフィー (また、キラルHPLCとして知られている) に従い実施することができる。分離法はよく知られており、そして下記の文献に要約されている: “Enantiomers, Racemates, and Resolutions” (Jacques J. 他、John Wiley and Sons、NY、1981) 。また、キラルHPLCについての方法はよく知られており、そして下記の文献に要約されている: “Separation of Enantiomers by Liquid Chromatographic Methods” (Pirkle W. H. およびFinn J. “Asymmetric Synthesis”、Vol. 1、Morrison J. D. 編、Academic Press Inc.、NY、1983、pp. 87-124) 。
【0037】
塩基性窒素を有する式Iの化合物を薬学上許容される酸付加塩に転化する。
塩基性窒素を有する式Iの化合物を必要に応じて薬学上許容される酸付加塩に転化することは、慣用手段により実施することができる。例えば、化合物を無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸で処理するか、あるいは適当な有機酸、例えば、酢酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、またはその他で処理することができる。
【0038】
カルボン酸基を有する式Iの化合物を薬学上許容されるアルカリ金属塩に転化する。
カルボン酸基を有する式Iの化合物を必要に応じて薬学上許容されるアルカリ金属塩に転化することは、慣用手段により実施することができる。例えば、化合物を無機塩基、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどで処理することができる。
アルコールまたはカルボン酸基を有する式Iの化合物を薬学上許容されるエステルに転化する。
【0039】
アルコールまたはカルボン酸基を有する式Iの化合物を必要に応じて薬学上許容されるエステルに転化することは、慣用手段により実施することができる。エステルを形成するための条件は、分子中の他の官能基の反応条件に対する安定性に依存する。分子中の他の部分が酸性条件に対して安定である場合、エステルはアルコール中の鉱酸 (例えば、硫酸) の溶液中で加熱することによって好都合に製造することができる。選択的に、エステルはこの分野において知られている条件下にアシルと酸無水物または酸ハロゲン化物と縮合することによって好都合に製造することができる。
【0040】
分子が酸性条件に対して不安定である場合、好都合である、エステルの他の製造法は、化合物をカップリング剤の存在下に、必要に応じて反応を促進できる追加の物質の存在下に、アルコールおよび酸で処理することを含む。多数のこのようなカップリング剤は、有機化学の当業者に知られている。2つの例はジシクロヘキシルカーボジイミドおよびトリフェニルホスフィン/ジエチルアゾジカルボキシレートである。カップリング剤としてジシクロヘキシルカーボジイミドを使用する場合、この反応は、必要に応じて触媒量 (0〜10モル%) のN,N-ジメチルアミノピリジンの存在下に、不活性溶媒、例えば、ハロゲン化炭化水素 (例えば、ジクロロメタン) 中で約0℃〜ほぼ温室の温度において、好ましくはほぼ室温において、酸をアルコール、ジシクロヘキシルカーボジイミドで処理することによって好都合に実施される。
【0041】
カップリング剤としてトリフェニルホスフィン/ジエチルアゾジカルボキシレートを使用する場合、この反応は、不活性溶媒、例えば、エーテル (例えば、テトラヒドロフラン) または芳香族炭化水素 (例えば、ベンゼン) 中で約0℃〜ほぼ温室の温度において、好ましくは約0℃において、酸をアルコール、トリフェニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシレートで処理することによって好都合に実施される。
【0042】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種の式Iの化合物、またはそれらの薬学上許容される塩またはエステルと、薬学上許容される賦形剤および/または担体とを含んでなる医薬組成物を包含する。
これらの医薬組成物は、経口的に、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖剤、硬質または軟質ゼラチンカプセル剤、溶液、乳濁液または懸濁液の形態で投与することができる。また、それらは経直腸的に、例えば、坐剤の形態で、または非経口的に、例えば、注射溶液の形態で投与することができる。
【0043】
式Iの化合物および/またはその塩またはエステルを含んでなる本発明の医薬組成物は、この分野において知られている方法で、例えば、好都合な混合、カプセル封入、溶解、粒状化、乳化、捕捉、糖剤製造、または凍結乾燥プロセスにより製造することができる。これらの医薬組成物は、治療的に不活性な無機または有機の担体を使用して処方することができる。ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖剤、硬質または軟質ゼラチンカプセル剤のための担体として使用することができる。
【0044】
軟質ゼラチンカプセル剤に適当な担体は、植物油、蝋および脂肪を包含する。活性物質の特質に依存して、軟質ゼラチンカプセル剤の場合において担体は一般に不必要である。溶液およびシロップ剤の製造に適当な担体は、水、ポリオール、サッカロース、転化糖およびグルコースである。注射に適当な担体は、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油、リン脂質および界面活性剤である。坐剤に適当な担体は、硬化油、蝋および半液状ポリオールである。
また、医薬組成物は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、浸透圧変更用塩、緩衝剤、被覆剤または酸化防止剤を含有することができる。また、医薬組成物は、療法的に価値のある物質、例えば、式Iの化合物以外の追加の活性成分を含有するすることができる。
【0045】
投与量
前述したように、式Iの化合物を包含する、本発明の化合物は、癌の化学療法を包含する、細胞増殖性疾患の治療または抑制において有効である。化学的予防は、突然変異誘発事象の開始を阻害するか、あるいは既に障害を発生させている悪性前の細胞の進行をブロックするか、あるいは腫瘍の再発を抑制することによって、侵襲性癌の進展を抑制することとして定義される。これらの化合物および前記化合物を含有する処方物は、充実性腫瘍、例えば、乳房、結腸、肺および前立腺の腫瘍の治療または抑制において有効である。
【0046】
本発明による化合物の治療的有効量は、疾患の病徴を予防、軽減または改善するか、あるいは治療されている被検体の生存を延長するために有効である化合物の量を意味する。治療的有効量の決定は当業者の技量の範囲内である。
【0047】
本発明による化合物の治療的有効量または投与量は広い限界内で変化することができ、そしてこの分野において知られている方法において決定することができる。このような投与量は、投与される1種または2種以上の特定の化合物、投与経路、治療する症状、ならびに治療する患者を包含する各特定の症例における個々の必要条件に対して調節されるであろう。一般に、体重70 Kgの成人に対する経口的または非経口的投与の場合において、約10 mg〜約10,000 mg、好ましくは約200 mg〜約1,000 mgの1日量は適当であるが、指示されるとき、上限を超えることができる。1日量は単一投与量または分割投与量として投与することができるか、あるいは非経口的投与のために、それは連続的注入として投与することができる。
【0048】
組み合わせ
本発明の化合物は、既知の抗癌治療法、例えば、放射線療法または静細胞剤または細胞障害剤と組み合わせて使用する (組み合わせてまたは順次に投与される) ことができる。静細胞剤または細胞障害剤は、例えば、下記のものを包含するが、これらに限定されない:DNA相互作用剤、例えば、シスプラチンまたはドキソルビジン; トポイソメラーゼIIインヒビター、例えば、エトポシド; トポイソメラーゼIインヒビター、例えば、CPT-11またはトポテカン; チューブリン相互作用剤、例えば、パクリタクセル、ドセタクセルまたはエポチロン; ホルモン剤、例えば、タモキシフェン; チミジレート合成インヒビター、例えば、5-フルオロウラシル; および抗代謝物質、例えば、メトトレキセート。また、式Iの化合物はp53トランス活性化のモジュレーターと組み合わせて使用できる。
【0049】
固定投与量として処方する場合、前述の組み合わせ生成物は、前述の投与量範囲内の本発明の化合物および承認された投与量範囲内の他の薬学的活性剤または治療を包含する。また、式Iの化合物は、付随的投与または組み合わせが不適切である場合、順次に既知の抗癌剤または細胞障害剤とともに投与することができる。本発明は投与順序に制限さない; 式Iの化合物は既知の抗癌剤または細胞障害性の投与前または後に投与することができる。
【0050】
中間体
他の態様において、本発明は、また、式Iの化合物の製造において有効な新規な中間体に関する。これらの新規な中間体は下記の化合物を包含する:
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン (実施例15E);
5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例15F);
5-アリル-4-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (実施例16D);
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミン (実施例16E);
4-(4-クロロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例16F);
5-アリル-4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (実施例17D);
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミン (実施例17E);
【0051】
4-(3-ブロモ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例17F);
5-アリル-4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (実施例18D);
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-アミン (実施例18E);
4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例18F);
5-アリル-4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (実施例19D);
【0052】
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-アミン (実施例19E);
4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (実施例19F);
7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール (実施例20A);
7,8-ジメトキシ-4-(4-クロロ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール (実施例21A); および
7,8-ジメトキシ-4-(3-ブロモ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール (実施例22A)。
【実施例】
【0053】
下記の実施例により、本発明の化合物を合成し、使用しかつ処方する好ましい方法を例示する。これらの実施例および医薬製剤は例示であり、限定を意図しない。添付された特許請求の範囲により規定される本発明の趣旨および範囲に入る他の態様が存在しうることを理解すべきである。
実施例において使用する略号:
DMF N、N-ジメチルホルムアミド
TLC 薄層クロマトグラフィー
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン
【0054】
実施例18,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン
【化9】

【0055】
工程A: 6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-3H-キナゾリン-4-オン
【化10】

【0056】
下記の文献の手順に従い、6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-3H-キナゾリン-4-オンを淡黄色固体として製造した: Chao Qi; Deng、Lynn; Shi、J. Mol. Chem. 1999、42、3860-3873。
【0057】
工程B: (6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン
【化11】

【0058】
SOCl2 (20 ml) (Aldrich) 中の6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-3H-キナゾリン-4-オン (1.0 g、3.98 mmol)(上記実施例1、工程Aから) の溶液に、数滴のDMFを添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら90℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (30 ml) 中に溶解し、次いでアニリン (0.36 ml、3.98 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱した。この反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/NEt3 (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な (6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミンが黄色固体として得られた (収量0.9 g、70%) 。
【0059】
工程C: 6,7-ジメトキシ-N4-フェニル-キナゾリン-4,5-ジアミン
【化12】

【0060】
MeOH、H2OおよびCHCl3 (40 ml、2:1:1) 中の (6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン (1.0 g、3.14 mmol) (上記実施例1、工程Bから) およびNH4Cl (1.7 g、3.14 mmol) の溶液に、Zn粉末 (2.0 g、31.4 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を室温において1時間攪拌した。次いでこの反応混合物を濾過し、濾液を濃縮し、次いでクロロホルム (100 ml) で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2 (1:1) を溶離液として使用して精製すると、必要な6,7-ジメトキシ-N4-フェニル-キナゾリン-4,5-ジアミンが黄色ゴム状物質として得られた (収量0.5 g、54%) 。
【0061】
工程D: 8,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン
【化13】

【0062】
1,2-ジクロロエタン (50 ml) 中の6,7-ジメトキシ-N4-フェニル-キナゾリン-4,5-ジアミン (0.2 g、0.68 mmol) (上記実施例1、工程Cから) の溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール (0.55 g、3.4 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.04) を溶離液として使用して精製すると、必要な8,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オンが黄色固体として得られた (収量0.13 g、59%) 。
【0063】
実施例28,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン
【化14】

【0064】
1,2-ジクロロエタン (30 ml) 中の6,7-ジメトキシ-N4-フェニル-キナゾリン-4,5-ジアミン (80 mg、0.27 mmol) (上記実施例1、工程Cから) の溶液に、1,1’-チオカルボニルジイミダゾール (0.58 g、3.24 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら80℃に4時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.04) を溶離液として使用して精製すると、必要な8,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオンが灰色固体として得られた (収量50 mg、55%) 。
【0065】
実施例38,9-ジメトキシ-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化15】

【0066】
ギ酸 (5 ml) 中の6,7-ジメトキシ-N4-フェニル-キナゾリン-4,5-ジアミン (80 mg、0.27 mmol) (上記実施例1、工程Cから) の溶液を110℃に2時間加熱した。次いで水性NaOH溶液を反応混合物にpH 10〜12に添加した。この溶液をクロロホルム (50 ml) で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.04) を溶離液として使用して精製すると、必要な8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレンが白色固体として得られた (収量45 mg、54%)。
【0067】
実施例48,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化16】

無水酢酸 (2 ml) 中の6,7-ジメトキシ-N4-フェニル-キナゾリン-4,5-ジアミン (60 mg、0.20 mmol) (上記実施例1、工程Cから) の溶液を150℃に2時間加熱した。次いで水性NaOH溶液を反応混合物にpH 10〜12に添加した。この溶液をクロロホルム (50 ml) で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.04) を溶離液として使用して精製すると、必要な8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレンが白色固体として得られた (収量20 mg、62%) 。
【0068】
実施例52-エチル-8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化17】

【0069】
無水プロピオン酸 (3 ml) (Aldrich) 中の6,7-ジメトキシ-N4-フェニル-キナゾリン-4,5-ジアミン (130 mg、0.44 mmol) (上記実施例1、工程Cから) の溶液を170℃に2時間加熱した。次いで水性NaOH溶液を反応混合物にpH 10〜12に添加した。この溶液をクロロホルム (50 ml) で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な2-エチル-8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレンが黄色固体として得られた (収量21 mg、14%) 。
【0070】
実施例63-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化18】

【0071】
工程A: (3-ブロモ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミン
【化19】

【0072】
SOCl2 (20 ml) (Aldrich) 中の6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-3H-キナゾリン-4-オン (1.0 g、3.98 mmol)(上記実施例1、工程Aから) の溶液に、数滴のDMF (0.05 ml) を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら90℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (30 ml) 中に溶解し、次いで3-ブロモアニリン (0.69 g、3.98 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱した。この反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/NEt3 (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な (3-ブロモ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミンが黄色固体として得られた (収量1.2 g、74%) 。
【0073】
工程B: N4-(3-ブロモ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン
【化20】

【0074】
MeOH、H2OおよびCHCl3 (30 ml、6:1:1) の混合物中の (3-ブロモ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミン (0.2 g、0.49 mmol) (上記実施例6、工程Aから) およびNH4Cl (0.26 g、4.94 mmol) の溶液に、Zn粉末 (0.64 g、9.87 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において3時間攪拌した。この混合物を濾過し、濾液を濃縮し、次いでクロロホルム (100 ml) で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/NEt3 (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要なN4-(3-ブロモ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミンが黄色ゴム状物質として得られた (収量0.1 g、54%) 。
【0075】
工程C: 3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化21】

【0076】
ギ酸 (5 ml) 中のN4-(3-ブロモ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン (100 mg、0.27 mmol) (上記実施例6、工程Bから) の溶液を110℃に2時間加熱した。水性NaOH溶液を反応混合物にpH 10〜12に添加した。この溶液をクロロホルム (100 ml) で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.04) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレンが褐色固体として得られた (収量86 mg、83%) 。
【0077】
実施例73-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン
【化22】

【0078】
1,2-ジクロロエタン (50 ml) 中のN4-(3-ブロモ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン (0.15 g、0.40 mmol) (上記実施例6、工程Bから) の溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール (0.65 g、4.0 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オンが褐色固体として得られた (収量0.12 g、75%) 。
【0079】
実施例83-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化23】

【0080】
無水酢酸 (3 ml) 中のN4-(3-ブロモ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン (120 mg、0.32 mmol) (上記実施例6、工程Bから) の溶液を150℃に2時間加熱した。水性NaOH溶液を反応混合物にpH 10〜12に添加した。この溶液をクロロホルム (50 ml) で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレンが褐色固体として得られた (収量60 mg、47%) 。
【0081】
実施例93-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン
【化24】

【0082】
1,2-ジクロロエタン (50 ml) 中のN4-(3-ブロモ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン(80 mg、0.21 mmol) (上記実施例6、工程Bから) の溶液に、1,1’-チオカルボニルジイミダゾール (0.38 g、2.13 mmol) (Fluka) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:2:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオンが黄色固体として得られた (収量80 mg、91%) 。
【0083】
実施例103-(3-ブロモ-フェニル)-2-エチル-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン
【化25】

【0084】
無水プロピオン酸 (3 ml) (Aldrich) 中のN4-(3-ブロモ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン(120 mg、0.32 mmol) (上記実施例6、工程Bから) の溶液を170℃に2時間加熱した。水性NaOH溶液を反応混合物にpH 10〜12に添加した。この溶液をクロロホルム (50 ml) で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(3-ブロモ-フェニル)-2-エチル-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレンが褐色固体として得られた (収量50 mg、38%) 。
【0085】
実施例113-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン
【化26】

【0086】
工程A: (3-クロロ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミン
【化27】

【0087】
SOCl2 (20 ml) (Aldrich) 中の6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-3H-キナゾリン-4-オン (0.5 g、1.99 mmol)(上記実施例1、工程Aから) の溶液に、数滴のDMF (0.05 ml) を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら90℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (30 ml) 中に溶解し、次いで3-クロロアニリン (0.25 g、1.99 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱した。この反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/NEt3 (1:2:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な (3-クロロ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミンが黄色固体として得られた (収量0.4 g、56%) 。
【0088】
工程B: N4-(3-クロロ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン
【化28】

【0089】
MeOH、H2OおよびCHCl3 (50 ml、2:1:12) の混合物中の (3-クロロ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミン (0.2 g、0.55 mmol) (上記実施例11、工程Aから) およびNH4Cl (0.24 g、4.43 mmol) の溶液に、Zn粉末 (0.72 g、11 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を室温において3時間攪拌した。この混合物を濾過した。濾液を濃縮し、次いでクロロホルム (100 ml) で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/NEt3 (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要なN4-(3-クロロ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミンがオレンジ色ゴム状物質として得られた (収量0.1 g、55%) 。
【0090】
工程C: 3-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン
【化29】

【0091】
1,2-ジクロロエタン (30 ml) 中のN4-(3-クロロ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン (80 mg、0.24 mmol) (上記実施例11、工程Bから) の溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール (0.2 g、1.21 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オンが褐色固体として得られた (収量50 mg、58%) 。
【0092】
実施例123-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化30】

【0093】
無水酢酸 (3 ml) 中のN4-(3-クロロ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン (0.2 g、0.60 mmol) (上記実施例11、工程Bから) の溶液を150℃に2時間加熱した。水性NaOH溶液を反応混合物にpH 10〜12に添加した。この溶液をクロロホルム (50 ml) で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレンが黄色固体として得られた (収量90 mg、42%) 。
【0094】
実施例133-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化31】

【0095】
工程A: (4-クロロ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミン
【化32】

【0096】
SOCl2 (20 ml) (Aldrich) 中の6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-3H-キナゾリン-4-オン (0.5 g、1.99 mmol)(上記実施例1、工程Aから) の溶液に、数滴のDMF (0.05 ml) を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら90℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (30 ml) 中に溶解し、次いで4-クロロアニリン (0.25 g、1.99 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱した。この反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/NEt3 (1:2:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な (4-クロロ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミンが黄色固体として得られた (収量0.5 g、70%) 。
【0097】
工程B: N4-(4-クロロ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン
【化33】

【0098】
MeOH、H2OおよびCHCl3 (50 ml、2:1:12) の混合物中の (4-クロロ-フェニル)-(6,7-ジメトキシ-5-ニトロ-キナゾリン-4-イル)-アミン (0.2 g、0.55 mmol) (上記実施例13、工程Aから) およびNH4Cl (0.24 g、4.43 mmol) の溶液に、Zn粉末 (0.72 g、11 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において3時間攪拌した。この混合物を濾過した。濾液を濃縮し、次いでクロロホルム (100 ml) で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/NEt3 (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要なN4-(4-クロロ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミンが淡黄色ゴム状物質として得られた (収量0.16 g、88%) 。
【0099】
工程C: 3-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン
【化34】

【0100】
ギ酸 (2 ml) 中のN4-(4-クロロ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン (160 mg、0.48 mmol) (上記実施例13、工程Bから) の溶液を110℃に2時間加熱した。水性NaOH溶液を反応混合物にpH 10〜12に添加した。この溶液をクロロホルム (100 ml) で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレンがオフホワイト固体として得られた (収量96 mg、59%) 。
【0101】
実施例143-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン
【化35】

【0102】
1,2-ジクロロエタン (30 ml) 中のN4-(4-クロロ-フェニル)-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4,5-ジアミン(120 mg、0.36 mmol) (上記実施例13、工程Bから) の溶液に、1,1’-チオカルボニルジイミダゾール (0.65 g、3.63 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:3:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な3-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオンが黄色固体として得られた (収量110 mg、82%) 。
【0103】
実施例157,8-ジメトキシ-5-メチル-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化36】

【0104】
工程A: 6-アセトキシ-7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリン
【化37】

【0105】
6-アセトキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-オンを下記の文献の手順に従い合成した: Gibson K. H. 他、Bioorganic & Medical Chemistry Letters、1997、7 (21) 、2723-2728。SOCl2 (30 ml) (Aldrich) 中の6-アセトキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-オン (1.2 g、5.13 mmol) の溶液に、数滴のDMF (0.1 ml) を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら100℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (30 ml) 中に溶解し、次いでアニリン (0.47 ml、5.13 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱し、次いで温室に冷却した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、6-アセトキシ-7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリンが白色固体として得られた (収量1.0 g、63%) 。
【0106】
工程B: 7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリン-6-オール
【化38】

【0107】
MeOH (30 ml) 中の6-アセトキシ-7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリン (1.01 g、3.27 mmol) (上記実施例15、工程Aから) の溶液に、NH4OHの水溶液 (29%、2.0 g、31.4 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において18時間攪拌し、次いで100℃に1.5時間加熱した。次いでこの混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリン-6-オールが白色固体として得られた (収量0.6 g、69%) 。
【0108】
工程C: (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン
【化39】

【0109】
アセトン (50 ml) 中の7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリン-6-オール (0.56 g、2.1 mmol) (上記実施例15、工程Bから) の溶液に、K2CO3 (1.45 g、10 mmol) および臭化アリル (0.2 ml、2.3 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:4:0.04) を溶離液として使用して精製すると、必要な (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミンが黄色固体として得られた (収量0.6 g、93%) 。
【0110】
工程D: 5-アリル-7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリン-6-オール
【化40】

【0111】
o-キシレン (50 ml) 中の(6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン (0.30 g、0.98 mmol) (上記実施例15、工程Cから) の溶液を150℃に7時間加熱した。この期間の終わりにおいて、TLC分析は出発物質がほとんど完全に消費されたこと、および主要なスポットとして必要な生成物が生成したことを示した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.04) を溶離液として使用して精製すると、必要な5-アリル-7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリン-6-オールがオフホワイト固体として得られた (収量0.26 g、87%) 。
【0112】
工程E: (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン
【化41】

【0113】
アセトン (30 ml) 中の5-アリル-7-メトキシ-4-フェニルアミノ-キナゾリン-6-オール (0.16 g、0.524 mmol) (上記実施例15、工程Dから) の溶液に、K2CO3 (0.36 g、2.62 mmol) およびヨウ化メチル (0.15 g、1.05 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:5:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミンが淡黄色固体として得られた (収量0.13 g、77%)。
【0114】
工程F: 5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化42】

【0115】
ジクロロメタン (20 ml) 中の (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン (0.12 g、0.37 mmol) (上記実施例15、工程Eから) の溶液に、I2 (0.24 g、1.87 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において3時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、飽和水性Na2SO3溶液で洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:2:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが淡黄色固体として得られた (収量0.11 g、66%) 。
【0116】
工程G: 7,8-ジメトキシ-5-メチル-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化43】

【0117】
トルエン (20 ml) 中の5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (0.1 g、0.22 mmol) (上記実施例15、工程Fから) の溶液に、DBU (73 μl、0.49 mmol) (Fluka) を添加した。この反応混合物を120℃に1時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な7,8-ジメトキシ-5-メチル-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが淡黄色固体として得られた (収量50 mg、71%) 。
【0118】
実施例164-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化44】

【0119】
工程A: 6-アセトキシ-4-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン
【化45】

【0120】
SOCl2 (12.5 ml) (Aldrich) 中の6-アセトキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-オン (1.0 g、4.26 mmol) (上記実施例15、工程Aから) の溶液に、数滴のDMF (0.1 ml) を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら100℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (20 ml) 中に溶解し、次いで4-クロロアニリン (0.6 g、4.69 mmol) (Fluka) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱した。この反応混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、6-アセトキシ-4-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリンが灰色固体として得られた (収量1.45 g、99%) 。
【0121】
工程B: 4-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール
【化46】

【0122】
MeOH (35 ml) 中の6-アセトキシ-4-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン (1.4 g、4.07 mmol) (上記実施例16、工程Aから) の溶液に、NH4OHの水溶液 (29%、0.82 ml、12.2 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において18時間攪拌し、次いで100℃に1.5時間加熱した。次いでこの混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、4-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オールが灰色固体として得られた (収量0.67 g、55%) 。
【0123】
工程C: (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミン
【化47】

【0124】
アセトン (50 ml) 中の4-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (0.61 g、2.02 mmol) (上記実施例16、工程Bから) の溶液に、K2CO3 (0.84 g、6.06 mmol) および臭化アリル (0.52 ml、6.06 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミンが白色固体として得られた (収量0.5 g、72%) 。
【0125】
工程D: 5-アリル-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール
【化48】

【0126】
o-キシレン (50 ml) 中の (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミン (0.50 g、1.46 mmol) (上記実施例16、工程Cから) の溶液を150℃に7時間加熱した。この期間の終わりにおいて、TLC分析は出発物質がほとんど完全に消費されたこと、および主要なスポットとして必要な生成物が生成したことを示した。溶媒を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/Et3N (1:0.04) を溶離液として使用して精製すると、必要な5-アリル-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オールがオフホワイト固体として得られた (収量0.4 g、80%) 。
【0127】
工程E: (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミン
【化49】

【0128】
アセトン (30 ml) 中の5-アリル-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (0.45 g、1.32 mmol) (上記実施例16、工程Dから) の溶液に、K2CO3 (0.36 g、2.6 mmol) およびヨウ化メチル (0.75 g、5.3 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:2:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミンが白色固体として得られた (収量0.3 g、84%)。
【0129】
工程F: 4-(4-クロロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化50】

【0130】
ジクロロメタン (50 ml) 中の (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミン (0.3 g、0.85 mmol) (上記実施例16、工程Eから) の溶液に、I2 (0.53 g、4.2 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において3時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、飽和水性Na2SO3溶液で洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (2:1:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な4-(4-クロロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが白色固体として得られた (収量0.15 g、37%) 。
【0131】
工程G: 4-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化51】

【0132】
トルエン (50 ml) 中の4-(4-クロロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (0.15 g、0.31 mmol) (上記実施例16、工程Fから) の溶液に、DBU (0.46 ml、3.1 mmol) (Fluka)を添加した。この反応混合物を120℃に1時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な4-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが淡黄色固体として得られた (収量0.1 g、91%) 。
【0133】
実施例174-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化52】

【0134】
工程A: 6-アセトキシ-4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン
【化53】

【0135】
SOCl2 (12.5 ml) (Aldrich) 中の6-アセトキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-オン (1.0 g、4.26 mmol) (上記実施例15、工程Aから) の溶液に、数滴のDMF (0.1 ml) を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら100℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (20 ml) 中に溶解し、次いで3-ブロモアニリン (0.806 g、4.69 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱した。この反応混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、6-アセトキシ-4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリンが灰色固体として得られた (収量1.65 g、100%) 。
【0136】
工程B: 4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール
【化54】

【0137】
MeOH (30 ml) 中の6-アセトキシ-4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン (1.59 g、4.11 mmol) (上記実施例17、工程Aから) の溶液に、NH4OHの水溶液 (29%、0.83 ml、12.3 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において18時間攪拌し、次いで100℃に1.5時間加熱した。次いでこの混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オールが灰色固体として得られた (収量1.25 g、88%) 。
【0138】
工程C: (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミン
【化55】

【0139】
アセトン (250 ml) 中の4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (1.24 g、6.58 mmol) (上記実施例17、工程Bから) の溶液に、K2CO3 (0.99 g、7.16 mmol) および臭化アリル (1.55 ml、17.9 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (2:3:0.02) を溶離液として使用して精製すると、必要な (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミンが黄色固体として得られた (収量0.55 g、40%) 。
【0140】
工程D: 5-アリル-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール
【化56】

【0141】
o-キシレン (75 ml) 中の (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミン (0.54 g、1.39 mmol) (上記実施例17、工程Cから) の溶液を150℃に4.5時間加熱した。この期間にTLC分析は出発物質がほとんど完全に消費されたこと、および主要なスポットとして必要な生成物が生成したことを示した。溶液を濃縮し、濾過した。固体を収集し、真空乾燥すると、必要な5-アリル-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オールがオフホワイト固体として得られた (収量0.33 g、61%) 。
【0142】
工程E: (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミン
【化57】

【0143】
アセトン (30 ml) 中の5-アリル-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (0.27 g、0.7 mmol) (上記実施例17、工程Dから) の溶液に、K2CO3 (0.48 g、3.5 mmol) およびヨウ化メチル (0.4 g、2.8 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:3:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミンが黄色固体として得られた (収量0.14 g、50%)。
【0144】
工程F: 4-(3-ブロモ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化58】

【0145】
ジクロロメタン (20 ml) 中の (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミン (0.14 g、0.35 mmol) (上記実施例17、工程Eから) の溶液に、I2 (0.23 g、1.75 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において3時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、飽和水性Na2SO3溶液で洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:2:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な4-(3-ブロモ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが淡黄色泡状物として得られた (収量0.12 g、66%) 。
【0146】
工程G: 4-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化59】

【0147】
トルエン (20 ml) 中の4-(3-ブロモ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (0.12 g、0.23 mmol) (上記実施例17、工程Fから) の溶液に、DBU (0.075 ml、0.5 mmol) (Fluka) を添加した。この反応混合物を120℃に1時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:2:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な4-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが淡黄色固体として得られた (収量0.09 g、100%) 。
【0148】
実施例184-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化60】

【0149】
工程A: 6-アセトキシ-4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン
【化61】

【0150】
SOCl2 (12.5 ml) (Aldrich) 中の6-アセトキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-オン (1.0 g、4.26 mmol) (上記実施例15、工程Aから) の溶液に、数滴のDMF (0.1 ml) を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら100℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (20 ml) 中に溶解し、次いで4-クロロ-3-フルオロアニリン (0.682 g、4.69 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱した。この反応混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、6-アセトキシ-4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリンが灰色固体として得られた (収量1.54 g、100%) 。
【0151】
工程B: 4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール
【化62】

【0152】
MeOH (30 ml) 中の6-アセトキシ-4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン (1.54 g、4.26 mmol) (上記実施例18、工程Aから) の溶液に、NH4OHの水溶液 (29%、0.86 ml、12.7 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において18時間攪拌し、次いで100℃に1.5時間加熱した。次いでこの混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オールが灰色固体として得られた (収量1.21 g、89%) 。
【0153】
工程C: (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-アミン
【化63】

【0154】
アセトン (140 ml) 中の4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (0.70 g、2.18 mmol) (上記実施例18、工程Bから) の溶液に、K2CO3 (0.61 g、10.9 mmol) および臭化アリル (0.94 ml、10.9 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-アミンがオフホワイト固体として得られた (収量0.64 g、82%) 。
【0155】
工程D: 5-アリル-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール
【化64】

【0156】
o-キシレン (150 ml) 中の (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-アミン (0.92 g、2.55 mmol) (上記実施例18、工程Cから) の溶液を150℃に7時間加熱した。この期間の終わりにおいて、TLC分析は出発物質がほとんど完全に消費されたこと、および主要なスポットとして必要な生成物が生成したことを示した。この溶液を濃縮し、濾過した。固体を収集し、真空乾燥すると、必要な5-アリル-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オールがオフホワイト固体として得られた (収量0.65 g、71%) 。
【0157】
工程E: (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-アミン
【化65】

【0158】
アセトン (175 ml) 中の5-アリル-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (0.59 g、1.63 mmol) (上記実施例18、工程Dから) の溶液に、K2CO3 (0.68 g、4.91 mmol) およびヨウ化メチル (2.32 g、16.4 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に3時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:3:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-アミンがオフホワイト固体として得られた (収量0.29 g、48%)。
【0159】
工程F: 4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化66】

【0160】
ジクロロメタン (50 ml) 中の (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-アミン (0.102 g、0.27 mmol) (上記実施例18、工程Eから) の溶液に、I2 (0.69 g、2.7 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において2時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、飽和水性Na2SO3溶液で洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮すると、必要な4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが黄色泡状物として得られた (収量0.134 g、99%) 。
【0161】
工程G: 4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化67】

【0162】
トルエン (25 ml) 中の4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (0.125 g、0.25 mmol) (上記実施例18、工程Fから) の溶液に、DBU (0.37 ml、2.5 mmol) (Fluka) を添加した。この反応混合物を120℃に1時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (3:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが白色固体として得られた (収量0.093 g、100%) 。
【0163】
実施例194-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化68】

【0164】
工程A: 6-アセトキシ-4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン
【化69】

【0165】
SOCl2 (12.5 ml) (Aldrich) 中の6-アセトキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-オン (1.0 g、4.26 mmol) (上記実施例15、工程Aから) の溶液に、数滴のDMF (0.1 ml) を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら100℃に3時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空乾燥した。残留物を2-プロパノール (20 ml) 中に溶解し、次いで4-ブロモ-2-フルオロアニリン (0.891 g、4.69 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を110℃に3時間加熱した。この反応混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、6-アセトキシ-4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリンが灰色固体として得られた (収量1.42 g、82%) 。
【0166】
工程B: 4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール
【化70】

【0167】
MeOH (30 ml) 中の6-アセトキシ-4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン (1.36 g、3.34 mmol) (上記実施例19、工程Aから) の溶液に、NH4OHの水溶液 (29%、0.68 ml、10 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において18時間攪拌し、次いで100℃に1.5時間加熱した。次いでこの混合物を温室に冷却し、濾過した。沈殿を収集し、真空乾燥すると、4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オールが灰色固体として得られた (収量0.93 g、77%) 。
【0168】
工程C: (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-アミン
【化71】

【0169】
アセトン (100 ml) 中の4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (0.50 g、1.37 mmol) (上記実施例19、工程Bから) の溶液に、K2CO3 (0.38 g、2.74 mmol) および臭化アリル (0.59 ml、6.86 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に2時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.02) を溶離液として使用して精製すると、必要な (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-アミンが淡黄色固体として得られた (収量0.52 g、95%) 。
【0170】
工程D: 5-アリル-4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール
【化72】

【0171】
o-キシレン (75 ml) 中の (6-アリルオキシ-7-メトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-アミン (0.46 g、1.13 mmol) (上記実施例19、工程Cから) の溶液を150℃に4時間加熱した。この期間の終わりにおいて、TLC分析は出発物質がほとんど完全に消費されたこと、および主要なスポットとして必要な生成物が生成したことを示した。この溶液を小さい体積に濃縮し、濾過した。固体を収集し、真空乾燥すると、必要な5-アリル-4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オールがオフホワイト固体として得られた (収量0.35 g、76%) 。
【0172】
工程E: (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-アミン
【化73】

【0173】
アセトン (100 ml) 中の5-アリル-4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール (0.34 g、0.84 mmol) (上記実施例19、工程Dから) の溶液に、K2CO3 (0.35 g、2.52 mmol) およびヨウ化メチル (1.19 g、8.41 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応混合物を攪拌しながら90℃に4.5時間加熱した。この混合物を温室に冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:4:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-アミンが黄色固体として得られた (収量0.33 g、94%)。
【0174】
工程F: 4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化74】

【0175】
ジクロロメタン (30 ml) 中の (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-アミン (0.236 g、0.564 mmol) (上記実施例19、工程Eから) の溶液に、I2 (1.43 g、5.64 mmol) を添加した。この反応混合物を室温において4時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、飽和水性Na2SO3溶液で洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮すると、必要な4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンがオフホワイト固体として得られた (収量0.034 g、11%) 。
【0176】
工程G: 4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化75】

【0177】
トルエン (7 ml) 中の4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン (33 mg、0.06 mmol) (上記実施例19、工程Fから) の溶液に、DBU (0.09 ml、0.6 mmol) (Fluka) を添加した。この反応混合物を120℃に1時間攪拌した。この混合物をクロロホルム (100 ml) で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが白色固体として得られた (収量0.027 g、100%) 。
【0178】
実施例207,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化76】

【0179】
工程A: 7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール
【化77】

【0180】
-78℃においてメタノール (50 ml) 中の (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン(0.35 g、1.09 mmol) (上記実施例15、工程Eから) の溶液に、溶液の色が青色となるまで、O3を連続的に通入した。次いで反応溶液をアルゴンでパージし、硫化メチル (5 ml) (Aldrich) を添加した。反応混合物を温室にゆっくり加温し、一夜攪拌した。この溶液を濃縮し、残留物を真空乾燥すると、必要な7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オールが粗製黄色固体として得られた (収量0.17 g、48%) 。
【0181】
工程B: 7,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化78】

【0182】
0℃においてジクロロメタン (50 ml) 中の7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール(上記実施例20、工程Aから) およびトリエチルアミン (0.23 ml、1.69 mmol) の溶液に、塩化メタンスルホニル (0.087 ml、1.12 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応溶液を室温において2時間攪拌した。この溶液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:4:0.05) を溶離液として使用して精製すると、必要な7,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが白色固体として得られた (収量47 mg、55%) 。
【0183】
実施例214-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化79】

【0184】
工程A: 7,8-ジメトキシ-4-(4-クロロ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール
【化80】

【0185】
-78℃においてメタノール (50 ml) 中の (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミン(0.14g、0.39 mmol) (上記実施例16、工程Eから) の溶液に、溶液の色が青色となるまで、O3を連続的に通入した。次いで反応溶液をアルゴンでパージし、硫化メチル (5 ml) (Aldrich) を添加した。反応混合物を温室にゆっくり加温し、一夜攪拌した。この溶液を濃縮し、残留物を真空乾燥すると、必要な7,8-ジメトキシ-4-(4-クロロ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オールが粗製黄色固体として得られた (収量0.14 g、100%) 。
【0186】
工程B: 4-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化81】

【0187】
0℃においてジクロロメタン (50 ml) 中の7,8-ジメトキシ-4-(4-クロロ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール (140 mg、0.39 mmol) (上記実施例21、工程Aから) およびトリエチルアミン (0.32 ml、2.33 mmol) の溶液に、塩化メタンスルホニル (0.12 ml、1.55 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応溶液を室温において2時間攪拌した。この溶液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な4-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが黄色固体として得られた (収量47 mg、55%) 。
【0188】
実施例224-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化82】

【0189】
工程A: 7,8-ジメトキシ-4-(3-ブロモ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール
【化83】

【0190】
-78℃においてメタノール (50 ml) 中の (5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミン(0.17g、0.42 mmol) (上記実施例17、工程Eから) の溶液に、溶液の色が青色となるまで、O3を連続的に通入した。次いで反応溶液をアルゴンでパージし、硫化メチル (5 ml) (Aldrich) を添加した。反応混合物を温室にゆっくり加温し、一夜攪拌した。この溶液を濃縮し、残留物を真空乾燥すると、必要な7,8-ジメトキシ-4-(3-ブロモ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オールが粗製褐色油状物として得られた (収量0.16 g、100%) 。
【0191】
工程B: 4-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン
【化84】

【0192】
0℃においてジクロロメタン (30 ml) 中の7,8-ジメトキシ-4-(3-ブロモ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール (0.17 g、0.42 mmol) (上記実施例22、工程Aから) およびトリエチルアミン (0.35 ml、2.53 mmol) の溶液に、塩化メタンスルホニル (0.13 ml、1.68 mmol) (Aldrich) を添加した。この反応溶液を室温において2時間攪拌した。この溶液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりEtOAc/CH2Cl2/Et3N (1:1:0.01) を溶離液として使用して精製すると、必要な4-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレンが黄色固体として得られた (収量81 mg、50%) 。
本発明の化合物の薬理学的性質は、多数の薬理学的アッセイにより確証することができる。本発明の化合物およびそれらの塩を使用して、下記の典型的な薬理学的アッセイを実施した。
【0193】
実施例23キナーゼ阻害アッセイ
EGFR活性を阻害する本発明による被験化合物能力を決定するために、HTRF [均質時間分解蛍光 (Homogeneous Time Resolved Fluorescence)] アッセイを使用してキナーゼアッセイを実施した。このアッセイは下記の文献に記載されている: A. J. Kolb 他、Drug Discovery Today 1998、3 (7) 、p. 333。
【0194】
総体積が90 μlである各ウェルを有する96ウェルのポリプロピレンプレート (Falcon) 中で、キナーゼ活性アッセイを実施した。各ウェルは1 μlのEGFR基質 (Biotin-EEEEYFELV) 、1.5 nMのEGFRおよび被験化合物を含有し、被験化合物の濃度は8アッセイの1つにおいて100 μM〜128 pMの範囲であった (1:5の連続希釈) 。キナーゼアッセイは100 mMのHEPES、pH 7.4、1 mMのDTT、5 mMのMgCl2、2 mMのMnCl2、1%のDMSO、0.5 μMのATP (EGFRについてKin) 、0.1 mMのNa2VO4、および0.02%のBSAの存在下に実施した。この反応を37℃において30分間インキュベートした。EGFR反応を停止させるために、72 μlの反応混合物を18 μlの下記成分から成る表出 (revelation) 緩衝液を含有するSTOP5プレートに移した: 20 mMのEDTA、50 mMのHEPES、pH 7.4、0.02%のBSA、10 nMのEu標識化抗pY抗体 (最終濃度2 nM) 、および100 nMのストレプトアビジン (最終濃度20 nM) 。混合後、35 μlの溶液を384ウェルの黒色プレート (Costar) の二重反復実験ウェルに移し、ワラック・ヴィクター (Wallac Victor) 5リーダーで615/655 nmにおいて読取った。
【0195】
被験化合物のIC50値をデータの二重反復実験の組から決定し、Excelを使用し、データを下記の方程式に適合させることによって計算した: Y=[(a-b)/[1+(X/c)d]+b、ここでaおよびbはそれぞれ被験化合物の非存在および無限量の被験化合物の存在における酵素活性であり、cはIC50であり、そしてdは化合物応答のヒル定数である。IC50値は、記載する試験条件下に酵素活性を50%だけ減少させる被験化合物の濃度である。
本発明の化合物は、前述のアッセイにおいて試験したとき、1 μMより小さいIC50値を有した。こうして、これらの化合物はEGFRキナーゼ阻害活性を示した。
【0196】
EGFR IC50 (μM)
実施例1 0.04788
実施例2 0.06069
実施例4 0.04006
実施例9 0.00468
実施例10 0.00994
実施例11C 0.00268
実施例19G 0.02600

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

(式中、
ZはCまたはNであり、
R1およびR2は各々独立してH;低級アルキル;あるいはOR6、NR6R7、複素環またはヘテロアリールで置換された低級アルキルであり、
R3およびR4は各々独立してH、F、Cl、およびBrから選択され、
R5はH、OH、SH、オキソ、チオン、およびC1-C3アルキルから選択され、そして
R6およびR7は各々独立してH、および低級アルキルから選択されるか、あるいはNR6R7は一緒になって3〜7原子の環を形成することができ、前記環は必要に応じて3個までの追加の異種原子を含み、そして必要に応じて1または2以上の低級アルキルで置換されている)
で表わされる化合物またはそれらの薬学上許容される塩またはエステル。
【請求項2】
ZがCである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがNである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1およびR2が独立して低級アルキルから選択される、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
R1またはR2がメチルである請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R1およびR2の両方がメチルである請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
R3およびR4が独立してH、Br、ClおよびFから選択される、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項8】
R3またはR4がHである請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R3およびR4の両方がHである請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
R5が=O、=S、Hおよび低級アルキルから選択される、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項11】
R5がHおよび低級アルキルから選択される請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
ZがNであり、R1およびR2がメチルであり、そしてR3およびR4がHである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項13】
ZがNであり、R1およびR2がメチルであり、そしてR3およびR4の一方がHであり、そして他方がClまたはBrである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項14】
ZがCであり、R1およびR2がメチルであり、そしてR3およびR4の一方がHであり、そして他方がClまたはBrである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項15】
ZがCであり、R1およびR2がメチルであり、そしてR3およびR4の一方がFであり、そして他方がClまたはBrである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項16】
下記の化合物から成る群から選択される化合物:
8,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン;
8,9-ジメトキシ-3-フェニル-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン;
8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン;
8,9-ジメトキシ-2-メチル-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン; および
2-エチル-8,9-ジメトキシ-3-フェニル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン。
【請求項17】
下記の化合物から成る群から選択される化合物:
3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン;
3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン;
3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン;
3-(3-ブロモ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン;
3-(3-ブロモ-フェニル)-2-エチル-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン; および
3-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-オン。
【請求項18】
下記の化合物から成る群から選択される化合物:
3-(3-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-2-メチル-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン;
3-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン;
3-(4-クロロ-フェニル)-8,9-ジメトキシ-1H,3H-1,3,4,6-テトラアザ-フェナレン-2-チオン;
7,8-ジメトキシ-5-メチル-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン;
4-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン;
4-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン; お よび
4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フ ェナレン。
【請求項19】
下記の化合物から成る群から選択される化合物:
4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-5-メチル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン;
7,8-ジメトキシ-4-フェニル-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン;
4-(4-クロロ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン; および
4-(3-ブロモ-フェニル)-7,8-ジメトキシ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン。
【請求項20】
下記の化合物から成る群から選択される化合物:
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-フェニル-アミン;
5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン;
5-アリル-4-(4-クロロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール;
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-クロロ-フェニル)-アミン;
4-(4-クロロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン;
5-アリル-4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール;
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-ブロモ-フェニル)-アミン; および
4-(3-ブロモ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリ アザ-フェナレン。
【請求項21】
下記の化合物から成る群から選択される化合物:
5-アリル-4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール;
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-アミン;
4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン;
5-アリル-4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-オール;
(5-アリル-6,7-ジメトキシ-キナゾリン-4-イル)-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-アミン;
4-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-5-ヨードメチル-7,8-ジメトキシ-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン;
7,8-ジメトキシ-4-フェニル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール;
7,8-ジメトキシ-4-(4-クロロ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール;および
7,8-ジメトキシ-4-(3-ブロモ-フェニル)-5,6-ジヒドロ-4H-1,3,4-トリアザ-フェナレン-5-オール。
【請求項22】
活性成分として有効量の請求項1〜21のいずれかに記載の化合物と、生理学上許容される担体または賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項23】
非経口的投与に適する請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
薬剤としての請求項1〜23のいずれかに記載の化合物。
【請求項25】
充実性腫瘍を治療する薬剤の製造における請求項1〜23のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項26】
充実性腫瘍が乳房、結腸、前立腺または肺の腫瘍である請求項25に記載の使用。
【請求項27】
後述する本発明。

【公表番号】特表2006−527235(P2006−527235A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516102(P2006−516102)
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050608
【国際公開番号】WO2004/111055
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】