説明

10,000ダルトン未満の分子量の白血球ホモジネートを用いた、細胞性免疫不全の治療

本発明は、タンパク質、ペプチドおよび/またはペプチド構成物の組成物に関わり、この組成物を含む薬剤に関わり、該組成物の製造方法、および病原性の修飾および/または細胞性免疫不全、特に癌、敗血症あるいはアレルギー反応のヒトおよび/または患者への、細胞増殖抑制剤治療、化学療法および/または放射線療法との併用における使用に関わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組成物に関し、分子量10,000Da未満の血液の細胞性成分から産生することができ、該組成物の薬剤学的製剤、該組成物の生産、細胞性免疫不全の治療のための使用、特に癌、敗血症、アレルギー反応、及び、例えば細胞増殖抑制性の薬剤あるいは高エネルギー放射線を用いている癌患者の治療における、薬剤の予防的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人間または動物の環境は、ウィルス、バクテリア、菌類および寄生動物のような多くの伝染性の微生物に取り巻かれている。 更に、代謝、特に細胞分裂の障害または修飾について、例えば、自己免疫、癌性疾病、あるいは良性ポリープ形成の場合、病理学的過程自体を個々に対応する必要性が負わされるという可能性がある。これらの過程、言い換えれば、取り扱う外部および内部の影響は、その場合の相互作用を一般的に受けている。例えば、自然環境から個体へ侵入する可能性のある病原菌に対する反応を反映する炎症反応において、細胞の増殖を引き起こす。
【0003】
前述の過程は病理学的損傷を生じる可能性があり、生体の防衛システムとの無調整の相互作用が起きる場合には、個体、つまり宿主、を殺す可能性がある。通常、病原体との闘いは、限られた期間、及び、やがて、その限られた期間内であっても、生体に永久的な損傷を引き起こす可能性がある。このような、反応時間が限られていることは、免疫系、とりわけ、個体の防衛システムの存在に因っている。
【0004】
自然感染、あるいは個体内での病原性の変化に対する個体の免疫反応は、2つの主なグループ、体液性と細胞性免疫反応に分類することができ、疾病あるいは回復期の特別な過程の明白な割り当てについては、この2つの免疫反応のどちらかと決めることができない。なぜなら、これらの過程は、互いに依存して相互作用するからである。
【0005】
用語「細胞媒介免疫(細胞性免疫)」は、起源的には、微生物の局所反応のため作られ、通常、この微生物は、もっぱらリンパ球と食細胞の目標となり、かつ体液性免疫の一部である抗体がより少ない程度でしか役割を果たさない、細胞内の病原菌である。、しかしながら、一方では、細胞性免疫という用語は、抗体が中心的な役割を果たさないあらゆる免疫反応に用いられている。細胞媒介および抗体媒介反応を別々とみなすことはできない。なぜなら、細胞は、また、抗体の形成に関連しており、例えば、多数の細胞媒介反応において、媒介する要素の機能が想定できる抗体がある。
【0006】
実際、様々な方法で細胞性反応に影響することができる抗体が、無いか、或は最適下限の量だけ在るかの場合、本願発明の意味において、細胞媒介反応を開始させることができることは、ありそうもない。
【0007】
より具体的には、細胞性免疫反応はマクロファージ、B細胞、T細胞、リンパ球、NK細胞、単球および他に多くのものに関係している。
【0008】
前述の細胞は、TNF、M−CSFあるいはGM−CSFのようなサイトカインの遊離を招く。 細胞、サイトカン、自然感染および個体自身の反応などと同様に、例えば例えば体液性免疫、の合併の反応は次の結末となる:
- 殺菌および腫瘍破壊性活性、
- 炎症反応および発熱、
- リンパ球の活性化、および
- 組織再編成および組織病変。
【0009】
これは、微生物、多細胞の寄生虫の破壊、また、腫瘍細胞の破壊もまたもたらすかもしれないし、および発熱の反応をもたらすかもしれない。
【0010】
免疫防御のこの部分の種々の機能を考慮して、このシステムの活性化を増加させる多数の試みがあった。予防方法で免疫防御のこの部分の効率を改良することは、特に有利に思えた、例えば、患者が重大事故に遭ったり、あるいは大手術を意図された場合、または患者が細胞増殖抑制性の薬剤あるいは放射線療法の治療の場合に試みられた。想定は、細胞性免疫反応の改善が、新しい伝染病か追加の転移を防ぐか、腐敗性および炎症過程に好ましい影響があるとのことだった。
【0011】
特に、乾癬、アトピー性湿疹、慢性関節リウマチあるいは小児糖尿病のような自己免疫疾患の治療では、もし患者の細胞性免疫反応が改善されれば、よい治療の選択として利用可能であると考えられた。
【0012】
とりわけ癌において、細胞性免疫系の役割に関する増加する知識は、新しい治療の取り組みをもたらした。いわゆる「癌ワクチン接種」を用いて、うまく目的に向けられた方法で腫瘍細胞に対する内因的細胞防御システムに指向された試みがなされた。癌の症例で、以前の細胞免疫療法の目標は、腫瘍による免疫系の妨害を除去し、腫瘍に対する細胞障害性T細胞を活性化することだった。しかしながら、これらの過程は、いまだ自己免疫反応の恐れが関わっている。
【0013】
よく知られている方法は、最初に、血液あるいは骨髄から免疫細胞を分離し、体外の試験管内で増殖させ、そして患者へ戻すことである。これは自分自身の体由来の細胞(自己由来の細胞)または異なる提供者由来の細胞(同種異型の細胞)を用いて行うことが可能である。提供者由来の細胞と受入者の間で差が大きいほど、移植細胞が腫瘍細胞を認識することができる可能性は高くなる。
【0014】
特に細胞性免疫反応の増加させる別の方法は、樹状細胞の投与である。樹状細胞には免疫反応を活性化する際の重要な機能が想定される。それらは、著しい反応が起こることができ、単なるシングル細胞より以上に関与する方法で、免疫系に対し、他の細胞から癌細胞を区別する例外的な特徴を提供する。
【0015】
樹状細胞は特別の患者から得られ、きちんと方向付けされた方法で、腫瘍細胞あるいはその部分とコンバインされ、引き続いて、患者へ戻される。身体では、このように負荷された(ロードされた)樹状細胞は、腫瘍細胞破片を提示することとになり、それによって、腫瘍に対する免疫反応を引き起こす。
【0016】
骨髄または血液由来の幹細胞の移植は、細胞性免疫療法の別の選択である。幹細胞移植は、もとは、高用量の化学療法治療あるいは放射線照射によって破壊された白血病患者の骨髄を再生するために導入された。しかしながら、異なった提供者から移植された細胞が癌細胞に対する直接効果を正確に持っていることが分かった。なぜなら、受取者のものと、これらの組織特性のすべてにおいて、実質的に決して一致しないという事実があるからである。
【0017】
さて、したがって、提供者の細胞によって形成された患者のいわゆる新しい細胞性免疫系は、残余の白血病細胞を異物の細胞と認識し闘う。
【0018】
しかしながら、細胞性免疫反応の活性化は高度に調整された過程で、高い水準の生化学的エネルギーを要求し、さらに、自己免疫反応の恐れに関わっている。したがって、そのような臨床への導入は、患者を、不利で副作用の恐れに巻き込むこととなる。
【0019】
さらに、様々な薬剤が本技術分野で知られており、それは血液産物から得られ、免疫系の治療的活性化に使用できる。WO89/06538 A(特許文献1)は、全血の組成物を開示しており、それはパパイン加水分解およびアルコール変性を主題としている。WO89/06538による組成物を用いた場合、該組成物に多くの副作用があるので、創傷治癒はある条件のみで可能となる。
【0020】
先行技術の記載で、US4,384,991(特許文献2)は、約25の様々な細胞抽出液を開示しており、それらの全ては本質的に白血球から得られる。すなわち、当業者は、本特許をもとに、該細胞から得られた様々な組成物の存在を推論することが可能である。とりわけ、US4,384,991による組成物は、それぞれの生産工程あるいはそれの出発原料に起因する純度の度合いにおいて互いに異なる。特に好ましいやり方では、馬または子牛の白血球を出発原料として用いられる。馬と子牛由来の出発原料とした細胞抽出液は治療薬を得ることに好適である。しかしながら、US4,384,991による教示の本質は、純粋な単一のペプチドの単離である。本ペプチドは、いわゆる指紋特徴によって高純度の分子であると性格づけがされる。高純度単離は、イオン交換クロマトグラフィーまたは濾紙電気泳動のような精製する段階を経て、達成される。しかしながら、馬または子牛の白血球由来の本純粋ペプチドは、治療での使用との関わりにおいて、どんな特別の結果も示さない。
【0021】
開示されたペプチドを含む粗抽出物もまた、特別の効果があるが、この分画の必要量は非常に高いので、当業者は実際には利用することができない。その上、毒性が無いことは、当該精製ペプチドのみと記載され、その結果、該ペプチドが得られる粗抽出物が好ましい特性を有さないと想定されことは間違いない。
【0022】
US4,384,991による粗製分画は、アセトンで洗浄され、続いて、凍結乾燥される。アセトン処理(WO89/06538にある、加水分解およびアルコール処理を行う)により、粗製分画のタンパク質構成物の構造変化を結果として生じる。特に、所望ペプチドの単離は、顆粒細胞の蓄積により達成され、つまり、リンパ球と単球の分離が効果的に行える。高濃度でのみ特定の効果があり、さらに、毒性を有してるので、馬または子牛血液からの顆粒細胞抽出液は、意味のある方法では、実際には使用することができ無い。
【0023】
EP0140134(特許文献3)は、哺乳動物の器官、あるいは細胞培養由来の抽出物が開示されている。付け加えるに、抽出する、新鮮な子牛血液又は子牛血清から得られた培養細胞の抽出物が開示されている。本質的に、開示された組成物は、10,000Daを越える大きさを有する構成要素を欠く子牛血清、新鮮な子牛血液または脱繊維素子牛血液である。該抽出物は標的生体において、望ましくない防衛反応を生じさせる。
【特許文献1】国際公開WO89/06538公報
【特許文献2】米国特許第4,384,991号公報
【特許文献3】欧州特許公開0140134公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明の課題は、例えば、敗血症、腫瘍疾病、湿疹、乾癬、神経皮膚炎および自己免疫疾患のような細胞性免疫反応の欠乏に特に起因する疾病、の容易で、安全で効率的な治療を可能にし、先行技術にある前述の欠点を含まない技術的教示を提供することである。本発明の他の主題は、好ましくは細胞性免疫反応の改善によって患者の一般的状態を最適化するための技術的教示、特に化学療法剤および/または放射線治療患者に投与可能な薬学的製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の技術的な課題は、以下からなる完全および/または画分を含む組成物の産生のために、特許請求の範囲1に記載の方法によって達成される;ユビキチン特異的プロテアーゼ32、陽性補因子2(ポジティブ コファクター2)グルタミン/Qに富む関連タンパク質、カドヘリン、転写因子GATA−2、推定上のクロマチン構造調節要素、CUEドメイン含有1、SUPT6Hタンパク質、インターロイキンー18受容体1前駆体、インターロイキン−1受容体様タンパク質およびムチン4および/またはテナシンM、トランジェント(一時的な)受容体電位カチオン・チャンネル、エクトヌクレオチド ピロホスファターゼ/―ホスホジエステラーゼ、SWI/SNF―関連マトリックスー随伴アクチン依存性クロマチン調節要素、SWI/SNFクロマチン―調節(モジュレーティング)複合体サブユニットOSA1 B120、OSA1核タンパク質、ATPアーゼ、H/K交換ポリペプチド、ジンクーフィンガータンパク質174、Ig重鎖V領域、ADAMTS−3前駆体/デスインテグリン様およびメタロプロテアーゼ、凝固因子2(トロンビン)受容体様3、ジアシルルグリセロール キナーゼ‐シータ、p250R、SWI/SNFクロマチン―再調節(リモジュレーティング)複合体サブユニットOSA2、メタロホスホエステラーゼ、AMPデアミナーゼ、α−マンノシダーゼ、カドヘリン−9、Nik関連キナーゼ、α−1B−アドレナリン作動性受容体、BRCA1関連タンパク質、CD99抗原様2アイソフォームE3−E4、SWHCF含有ペプチドおよび/またはFAT様カドヘリン-FATJ、ATP拘束性カセット、ヌクレオポリン153kDa、ELK3タンパク質、タンパク質ELK−3 ETS領域、ATPアーゼ、銅輸送性プロテインキナーゼ、タンパク質−チロシン ホスファターゼ、ウイングレスタイプMMTV統合部位ファミリー、MYC結合蛋白質2、キュリン7、可溶化されたキャリアーファミリー5(ヨウ化ナトリウム共輸送体(symporter)メンバー5、グルタミン酸塩に富んだWD繰り返し含有1、MAPキナーゼと相互作用するセリン/スレオニンキナーゼ1、ATP拘束性カセット、NOVプレキシンA1タンパク質および/またはE3ユビキチンリガーゼSMURF2、アシル-CoAシンセターゼ、エストロゲン スルフォトランスフェラーゼ、2,4−ジエノイルCoA還元酵素1前駆体、4−エノイルCoA還元酵素、クラウディン10アイソフォームb、DMBT1、細胞外リンカードメイン含有1、リンパ管内皮細胞特異的ヒャルロン受容体LYVE−1、Rho−GTPアーゼ活性化タンパク質8アイソフォーム2、デスインテグリン様およびメタロプロテアーゼ(レプロレシン型)でスロンボスポンジン1型モチーフを有するもの、Ig重鎖V領域、AS12タンパク質、ミトコンドリアリボソーム蛋白質S9、28Sリボソーム蛋白質S9、プロテインキナーゼ基質MK2S4、NP220、推定のGタンパク質共役受容体、ダイニン、軸糸(axonemal)重ポリペプチド5、N−アセチルホスファチジルエタノールアミン加水分解ホスホリパーゼD、ロイコトリエンB4受容体5、Gタンパク質共役受容体16、プロタンパク質コンベルターゼ サブチリシン/ケクシン1型インヒビターCMKL1、二重特異的チロシン燐酸化制御キナーゼ3、調節性赤血球キナーゼ(長時間型)、DYRK3タンパク質、Igラムダ鎖V−VII領域(Mot)‐ヒト、グルタチオンレダクターゼ、ミトコンドリアの前駆体、コラーゲン アルファ1(XVI)鎖前駆体、11-β-ヒドキシステロイド脱水素酵素1、インスリン受容体基質2、アーチ構造ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(VPARP)、カルシウム/カルモジュリン依存性3',5'−サイクリックヌクレオチド、ジンクフィンガータンパク質161、H2.0様ホメオボックス−1、H2.0(ショウジョウバエ)様ホメオボックス−1および/またはサイトキネシス6デディケーター(dedicator)。

【発明の効果】
【0026】
最も驚いたことに、本発明の方法により、前述の細胞の血液構成成分から組成物を得ること、特に白血球から得ることを可能にし、細胞性免疫の発生機序的修飾による予防的処置および治療に、該組成物は使用することができ、しかも先行技術にあった不利な点が無い。個々の工程段階により、有利な特性を有する変性製品および切断された製品が結果として生じる。本発明による方法および組成物により、従来の未決着の緊急の問題を解決した。 現在まで、技術は、細胞性免疫における発生機序的修飾の問題を解決しようと役立たない努力続けた。本発明の教示は、この問題の簡単な解決策を示す。今まで、科学技術の進展は、種々の方向に進んだ(背景技術状況に関わる説明を参照)。したがって、本出願の教示では、技術における前述の問題の解決策に関する誤った考えを除去して、短期間での開発で達成を享受した。本発明の教示に従って達成された技術進歩は、特に方法の改良および強化された履行において明らかとなり、また、その方法によってえられた製品、より低コスト、時間の節約、資料、工程段階、経費および入手困難な出発原料、改善された信頼度、エラーの除去、品質の向上、増強された予防および治療の可能性という点で、また、追加の薬剤および得られた薬剤に付加する方法を供給する際に、使用することができ、細胞性免疫の発生機序的修飾を利用でき、および結局、利用可能な薬の範囲は本出願に従った教示により、より豊かとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
驚いたことに、本出願の組成物または製剤は、予防および治療目的に、および生物学的活性を維持する際に、利用可能である。治療目的のために、本組成物は、慢性感染症、敗血症性感染、アトピー性湿疹、神経皮膚炎、乾癬および前述した免疫疾患の他のものを治療するために、注射用の薬学的製剤として利用可能である。例えば、本組成物の予防的適応において、そのようなタイプの治療によって始められた免疫抑制を防ぐか緩和するため、放射線療法か細胞増殖抑制性薬剤を用いている化学療法により治療されている患者へ本組成物が投与される。本発明による組成物の予防的投与は、さらに患者の前外科的経過中に意味を見出し、例えば、患者の免疫状況を不利に変更する細胞性不寛容を輸血を受けた場合に生じるような場合である。
【0028】
より具体的には、本組成物は、成熟する異なる段階の異なる細胞タイプの増殖および分化が最適化されるべきような時、CD4またはCD8の遊離、およびIF−ガンマの増加、あるいは、Tリンパ球活性の改善したような場合に、維持的におよび治療関連手段において、利用可能である。
【0029】
別の可能な使用は、胸腺細胞集団(Th1)の活性化あるいはサイトカイニンとインターロイキンの遊離である。さらに、細胞膜のカルシウムイオン輸送を活性化するか、肝臓または腎臓のような重要な代謝臓器の細胞における酸化的代謝を改善する可能性がある。さらに、免疫学的カスケードの調節的抑制メカニズムを活性化することができる。
【0030】
薬は、凍結乾燥された無菌注射用製剤として提供でき、例えば、無菌注射用水性懸濁剤が例示される。
【0031】
上記の製剤は、非経口ルート(静脈内、筋肉内、皮下)で、人間および動物に適用可能である。動物では、適当な製剤で、食物または飲料水によって効果的に摂取できる
【0032】
当業者は、様々なルートで、生物、好ましくはヒトあるいは動物と、本発明の組成物を接触させることが可能であるという事実に気づくであろう。特に、熟練の当業者は、さらに種々の用量で薬剤を適用できるという事実に精通している。疾病とできるだけ有効に闘うように、適用がなされるべきで、あるいは、疾病の発病は予防的投与により防止される。当業者は、適用のための用量と用法を、日常の試験(ルーチン テスト)により決定することができる。本発明の化合物の好ましい用法は、注射、注入、および液液の剤形による非経口的適用である。本発明による組成物との接触(用法)は、予防的または治療的方法によりより効果的となる。
【0033】
例えば、適用の選択された形の適応性は、用量、適用処方、アジュバンドの選択およびその他同種類のものは、患者(すなわちヒトまたは動物)から血清の一部を得て、治療処置の過程で、疾病の指標を見るため試験することにより決めることができる。
二者択一であるいは付随的に、腎臓、肝臓およびその他同種のものの状況、また、T細胞あるいは免疫系の他の細胞の量は、患者の免疫学の体質、および代謝にとって重要な臓器の状況を、体質上の一般検査結果を得るような従来のやり方で決定することができる。さらに、患者の臨床症状は、望まれた効果のため、観察することができる。不十分な治療有効性が結果となる場合、患者は全面的な体質の改善を引き起こすと予想される他の有名な薬剤を適正に修飾され、本発明の薬剤を用いて、一層の治療を目指すことが可能である。
【0034】
例えば、筋肉内または皮下注射、あるいは血管への注入は、本発明による組成物の治療的投与の好ましいルートとして想定することができる。
【0035】
好ましい態様において、本発明の組成物は、好ましくは、0.05から500mg/kg体重/24時間、さらに好ましくは、5から100mg/kg体重の総量で利用できる。有利なことに、これは、疾患もしくは反応性ある、病理学的生理学的条件の症状の防止または改善に使用される治療量である。
【0036】
明らかに、投与量は、年齢、被験者の健康や体重、その病気の程度、必要な同時処置、治療の頻度および所望効果のタイプ、ならびに副作用に依存するであろう。1日量、0.05から500mg/kg体重が、望ましい結果を出すため、単回投与または複数回投与として適用することができる。
特に薬剤は、1日あたり約1から10回の投与で典型的に適用でき、また代わりに、あるいは付属的に、持続注入によって投与できる。そのような投与は、慢性か急性の治療として適用できる。注射としての投与の場合、被験者は本発明の組成物を、好ましくは1日あたり1から10回の投与を受ける、また連続的注入の場合、1日あたり1から4000mgの量が好ましい。1日あたりの好ましい総量は、ヒトと獣医学的医学の両方において、有利な点が見出された。上に述べた用量からの逸脱が必要となる場合があり、処置される被験者の性質および体重、疾病のタイプと厳しさの程度、製剤の型と用法、および投与期間並びに投与間隔に依存する。したがって、上に述べた量未満で生物と接触の場合が好ましい場合や、一方、他の場合では、上に特定された作用物質の量を越さなければならない。技術的専門知識を有する人は、各場合で求められる最適の用量を、および作用物質の適用のタイプを決定することができる。
【0037】
したがって、本発明は、組成物の産生方法に関わり、上述の予防および治療の適応症、および生物学的効果特に細胞性免疫系の治療関連での改良に使用することができる。本発明による方法は、免疫学的寛容の問題を起こさない、あるいは最小の可能な程度に、血液構成成分を集めて均質化することを含んでいる。例えば、均質化は、機械的に、および/または凍結/融解サイクルにより、または当業者に知られている他の均質化方法により行える。
【0038】
本発明の意味における、均質化は、細胞溶解の引き起こしまたは維持が可能な、全ての手法を包含する。均質化は、それ自身では混ざらないものの完全な混合を可能にし、または全量的にある系のまばらに溶けない構成要素の混合を可能とし、その結果、得られた物質は、大部分は構成要素の数と無関係に、本質的に2〜3の相および特に単一相となる。均質化は、分散相の粒子の大きさにおいて、縮小という結果となり、粒子凝集の脱凝集、および沈殿安定化が増加した分散を呈する。そのような均質化は、静的な装置と同様に動的な装置を使用し果たすことが可能であり、すなわち、可動部のないミキサーが用いられる。好ましい出発原料は血液細胞、好ましくは白血球である。例えば、血液細胞は、血小板と赤血球に豊富な軟膜(バフィーコート)の形で調製することができる。このような生産する標準手順は、当業者によく知られている。明らかに、均質化された試料も、白血球濃縮物の形で得ることができる。
【0039】
更に、バフィーコートの形態にある、出発原料例えば、赤血球および/または白血球の最初の調製は、続いて、生物学的に活性化された構成要素の均質化が行われ、例えば、凍結/融解サイクルによることが、有利であろう。すなわち、本発明の意味において、本処理のそれぞれの単一工程の正確な連続性は、交換可能である。透析、遠心分離および/またはろ過を行うことで、本質的に10,000Daより大きな構成要素はすべて、凍結/融解サイクルあるいは他の均質化処理により得られた産物から取り除かれる。
【0040】
透析、遠心分離あるいはろ過によって得られた産物を濃縮するのは、有利でありうる。本発明の有利な実施例では、白血球のような細胞の血液構成成分は最初に均質化され、続い透析し、次いで凍結乾燥される。有利なことには、溶液がその後に、まず前ろ過され、続いて超ろ過そして無菌ろ過処理を行い、調製できる。
【0041】
例えば、得られたろ液は、水浴中で低温殺菌することができる。この工程に続き、低温殺菌された試料は、殺菌され、そして再凍結乾燥できる。もちろん、他の滅菌法も使用することができ、例えば、UV照射あるいはX線のような高エネルギー照射の処理が使える。前述の単一の工程の各々には品質管理が伴なわせることができる。例えば、試料から部分標本を採り、微生物、ウィルスあるいは他の不適当な構成要素の存在につき、この部分標本を試験することにより行える。
【0042】
血液細胞濃縮物、特に白血球濃縮物は、細胞の凍結/融解サイクル、超音波処理、あるいは両方の処理の組み合わせにより調製されるのが好ましい。
【0043】
均質化された産物の透析は、コロイドまたは巨大分子の低分子量粒子が、均質化された産物から半透膜を通した拡散により移動をし、好ましくは続いて純粋な溶媒への拡散で、大きな分子を保持させることで行える。例えば、透析の割合は、温度を上げることにより、あるいは電気透析において電気的な電圧を加えることにより増加する可能性がある。もちろん、透析も透析カラムを使用して、行うことができ、それによって、10kDaを超える分子量を有する分子を除く。
【0044】
とりわけ、凍結乾燥は、透析された産物を濃縮するために使われる。本発明の意味における、凍結乾燥は、溶媒をとばすため、凍結による高真空中で凍結した試料の乾燥を意味し、凍結状態での乾燥処理により、昇華乾燥で行われる。使用される凍結乾燥された試料の再溶解は、蒸留水あるいは他の溶剤で溶解させるこでできる。
【0045】
一旦上記の溶液が調製されていれば、試料の紫外スペクトル特に200nmと400nmの範囲での決定が推奨される。試料から好ましくない構成要素が除かれているか、または該構成要素がほとんど除かれているなら、前ろ過、例えば、ミリポア膜による方法、が有効である。この処理で、固形粒子は液体から分けられる。多孔性の媒体が使われ、例えば、プレ‐フィルターを装着したミリポア膜で、液体の連続相が通って流れており、および同時に分散相は、多孔性の媒介物の表面上で、あるいはそれの内部中で保持される。
【0046】
10kDaの制限値を有する試料は、限外濾過を用いて除くことができる。有利なことに、得られた試料は、例えば、滅菌フィルターを使用して、付加的濾過処理によって殺菌することができろ。限外濾過は膜を用いた、精密ろ過(マイクロフィルトレーション)あるいは逆浸透で行える。限外濾過については、非対称構造の多孔質膜が使われるのがほとんどで、それはチューブ、毛細管、中空糸および平坦な薄膜の形をしているポリスルホンあるいはセラミックスのような様々な有機化合物や無機化合物の材料で作られている。
【0047】
有利なことに、このように得られた、殺菌された試料は熱による不活性化を用い低温殺菌される。例えば、低温殺菌は、温度60℃で数時間の水浴中で行える。もちろん、低温殺菌は、100℃以下のどんな温度でも行なうことができ、そして、特に100℃を超える場合は、任意の希望の期間で行える。すなわち、100℃以上の殺菌もまた本発明の意味する低温殺菌である。
【0048】
有利なことに、100℃以上のそのような殺菌または低温殺菌は、再現可能で、安定で、十分に使用可能な変性製品および先行技術の組成物の不利な点を持たない分解産物を結果として生じる。これは、特に細胞の出発原料がヒトの白血球である場合適用できる。最も驚いたことに、前述の驚くべき利点は本特徴を組み合わせることにより達成可能であり:(i)出発原料としてのヒト白血球、(ii)本発明の方法を用いて処理を行い、および/または(iii)100℃以上の低温殺菌、の組み合わせとなる。特に有利なやり方として、出発原料はパパイン加水分解あるいはアルコール変性を受けない。さらに、以下の例で遭遇するような徹底的な洗浄段階なしで行えるのは有利であり、、例えば、それらが治療においてかろうじて使用可能な他の製品となっているような、イオン交換クロマトグラフィーあるいはろ紙電気泳動による処理なしでということとなる。さらに、赤血球が存在しないことは、有利となる。驚いたことに、有機溶媒を用いた最初の変性のような当該方法への小さな修正は、結果として、本プロセスの完全に異なる製品を生じ、それは本発明の課題を解決するためには利用できない。本発明の目的を遂行するために、非ヒト白血球が利用できることは、ある特別な場合となる。さらに、3,000Daを越える大きさを有する任意の構成要素の除去は有利な点となる。それは特に前述の有利な特性を有する組成物である。
【0049】
本発明は、また細胞性免疫不全、例えば、ICD10コード関連不全:D.84.4に関連した疾病の治療において、本発明の組成物および/または薬剤の用途に関する。これらは、敗血症性疾患、炎症反応および熱、自己免疫疾患、および癌のような細胞分裂障害に関連した疾病である。
【0050】
本発明における炎症は、生物の反応で、除去するあるいは後に不活性化する、及び該刺激で引き起こされた組織病変を修復する目的で、結合組織と血管により媒介され、外部または内部で炎症性刺激を引き起こす。引き起こすことになるのは、機械的な刺激(異物、圧力、傷)および他の物理的原因(電離放射線、UV光、熱、寒さ)、化学物質(アルカリ性溶液、酸、重金属、細菌毒素、アレルゲンおよび免疫複合体)、および病原体(微生物、寄生虫、昆虫)、あるいは病理学的な代謝物質、脱線した酵素(derailed enzyme)、悪性腫瘍が挙げられる。本経過は、短時間の小動脈の狭窄(アドレナリン効力の結果として)から始まり、不適当な循環および組織変性が伴い、続いて、古典的な局所の炎症性のサイン{ガレン(GALEN)とセルスス(CELSUS)による主症状}の進展に至る。この主症状は、言い換えれば、赤くなること(=発赤;ヒスタミンによる血管拡張)、熱(=血色;代謝の局所増加の結果による)、腫れ物(=腫瘍;血液停滞に至る前血液停滞の意味で、減速させられた血液循環が維持され、ヒスタミンによって、他のものの中で、変えられた血管壁からのタンパク質に富む液の分泌の結果による)、苦痛(=悲嘆;増加した組織間緊張および、例えば、ブラディキニンのような同種の(allogenic)炎症産物の結果による)、および機能障害(=機能喪失)が挙げられる。
【0051】
本過程には、壊死の細胞(食細胞運動)への炎症性刺激および損傷を除去する目的で、電解質代謝(トランスミネラリゼーション;transmineralization)、好中球性顆粒球、および血管壁(参照、白血球遊走;leukotaxis)を通しての単球の侵襲の障害が伴っており;さらに、炎症性刺激(免疫反応)に対する特異抗体形成、および好酸球(治療の過程中の、あるいは、まさに初期段階で、アレルギーの非常に活発な(hyperenergeticな過程において)の形成を生じさせる、リンパ細胞エッフェクター細胞の侵襲を伴う。
【0052】
反応の間に生じる補体系の活性化の結果、前述の血球の遊走性を刺激するという意味で、炎症媒介物として働き(ヒスタミンやとブラディキニンのように)、この系の断片(C3aとC5a)は遊離され;さらに、血液凝固は活性化される。
【0053】
結果として、関連する器官柔組織のダメージ(筋ジストロフィーと凝固壊死)が起こる。炎症の強度およびタイプによって、生物全体は、加速された赤血球沈殿作用を生じさせ、熱、ストレス(参照、適応症候群)、白血球増多症、血漿蛋白の構成物の変化(急性期反応)を伴い反応する。本発明の意味で、好ましい炎症は、化膿すること、繊維素、壊疽感知(gangrenescent)、肉芽腫様、出血、カタル、壊死すること、増殖または生産的、偽膜性、漿液状、特異および/または潰瘍性の炎症が挙げられる。
【0054】
本発明の意味で、自己免疫疾患は、自己抗体の形成、および生物全体あるいは臓器系に対する、つまり自己攻撃による、有害な影響による、完全な、あるいは部分的な疾病である。器官特異的で、中間および/または全身性自己免疫疾患の分類はすることができる。
【0055】
好適な器官特異的自己免疫疾患(organ-specific autoimmune disease)は、橋本甲状腺炎(HASHIMOTO thyroiditis)、主要な粘液水腫(primary myxedema)、甲状腺亢進症(バセドウ病)〔thyrotoxicosis (BASEDOW disease)〕、悪性貧血(pernicious anemia) 、アジソン病(ADDISON disease)、重症筋無力症および/または小児糖尿病(myasthenia gravis and/or juvenile diabetes mellitus)が挙げられる。
【0056】
好適な中間的自己免疫疾患(intermediary autoimmune diseases)は、グッドパスチュラー症候群(GOODPASTURE syndrome)、自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia)、自己免疫性白血球減少症(autoimmune leukopenia)、特発性血小板減少症(idiopathic thrombocytopenia)、尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris)、交感性眼炎(sympathetic ophthalmia)、主要な胆汁肝硬変(primary bile cirrhosis)、自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis)、潰瘍性大腸炎(colitis ulcerosa)および/またはショーグレン症候群(SJOGREN syndrome)が挙げられる。
【0057】
好ましい全身性自己免疫疾患(systemic autoimmune diseases)は、慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、リウマチ熱(rheumatic fever)、全身性ルーパスエリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡)(systemic lupus erythematodes)、皮膚筋炎/多発性筋炎(dermatomyositis/polymyositis)、全身性進行性硬化症(progressive systemic sclerosis)、ウェゲナー肉芽腫症(WEGENER granulomatosis)、汎動脈炎(panarteritis nodosa)および/または過敏血管炎(hypersensitivity angiitis)が挙げられる。典型的な自己免疫疾患(Typical autoimmune diseases)は、甲状腺亢進症(thyrotoxicosis)、甲状腺が原因の粘液水腫(thyroid-caused myxedema)、橋本甲状腺炎(HASHIMOTO thyroiditis)、一般的な内分泌病(generalized endocrinopathy)、悪性貧血(perni-cious anemia)、慢性胃炎タイプA(chronic gastritis type A)、血液の単一のまたは全ての小体要素の疾患(diseases of single or all corpuscular elements of the blood)〔例えば、自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia)、特発性の血小板減少症または血小板症(idiopathic thrombocytopenia or thrombocytopathy);特発性の白血球減少症か無顆粒球症(idiopathic leukopenia or agranulocyto-sis)〕、尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris)および類天疱瘡様の交感性眼炎(pemphigoid, sympathetic oph-thalmia)、および葡萄膜炎の数多くの形態(numerous forms of uveitis)、主として胆汁性肝硬変(primarily biliary liver cirrhosis)および慢性の積極的な自己免疫性肝炎(chronic aggressive autoimmune hepati-tis)、糖尿病タイプ1(diabetes mellitus type I)、クローン病(CROHN disease)および潰瘍性大腸炎(colitis ulcerosa)、シューグレン症候群(SJOGREN syndrome)、アディソン病(ADDISON disease)、播種状紅斑性狼瘡(lupus erythe-matodes disseminatus)および該疾病の円盤状の形態(discoid form of said disease)、皮膚筋炎および硬皮症のようなもの(as dermatomyositis and scleroderma)、慢性関節リウマチ(=主として慢性多発関節炎)〔rheumatoid arthritis (= primarily chronic polyarthritis)〕、反糸球体の基底膜腎炎(antiglomerular basement membrane nephritis)、が挙げられる。
【0058】
基礎(The basis)となるものは、自己決定基に対する免疫耐性の崩壊(breakdown of the immune tolerance to self-determinants)、T抑制細胞(リンパ球マーカーT8を有している)の活動の縮小あるいは抑制細胞に対するTヘルパー細胞(リンパ細胞マーカーT4を有している)の過剰による積極的な免疫反応であり;さらに、自己抗原の形成は可能で、例えば、ハプテン(例えば薬)に宿主タンパク質が連結されることによって、自己寛容が進展するまで発生しない個体発生の組織によって、タンパク質の構造変化の結果、破蔽されたタンパク質構成要素によって、であり、例えばウイルスまたは細菌による伝染によって;そして新生組織形成に関連して作られた新しいタンパク質によってである。
【0059】
本発明の意味において、敗血症性疾病(Septicemic diseases)は、一般的か局部感染を形成するリンパー血液経路に疾病が広がること、および疾病の焦点から、病原菌および/またはそれらの毒素の連続的な、または周期的な侵襲による疾病である。
【0060】
本発明の意味において、敗血症(Septicemia)は、好ましくは傷害性敗血症[蜂巣炎(フレグモーネ)、血栓静脈炎、リンパ管炎]〔wound septicemia (phlegmon, thrombophlebitis, lymphangi-tis)〕、産褥の敗血症(産褥熱の場合)〔puerperal septicemia (in case of puerperal fever)〕、耳性敗血症(中耳炎の場合)〔otogenic septicemia (in case of otitis media)〕、扁桃性敗血症(狭心症、扁桃周囲炎の場合)〔tonsillogenic septicemia (in case of angina, peritonsillitis)〕、胆管性敗血症(化膿性胆嚢炎、胆管炎の場合)〔cholangitic septicemia (in case of purulent cholecystitis, cholangitis)〕、門脈性敗血症(門脈炎の場合)〔pylephlebitic septicemia (in case of pyle-phlebitis)〕、臍の敗血症(臍炎などの場合)〔umbilical septicemia (in case of omphalitis etc.)〕、尿敗血症(urosepticemia)、 同様に歯の肉芽腫(dental granuloma)も挙げられる。
【0061】
本発明の意味において、敗血症は急性から高度に急性(電撃的)(foudroyant)、亜急性〔例えば、遷延性心内膜炎(endocarditis lenta)〕、または慢性のものを意味し、そしてもちろん、さらに新生児の敗血症(neonatal septicemia)も意味する。
【0062】
したがって、本発明の意味において、敗血症は、心臓および血管運動神経(頻脈、血液循環、浮腫、乏尿症;おそらくショック)において、または消化管(乾燥、苔舌、下痢)において、あるいは膿血症(腐敗性の梗塞および転移性膿瘍の構成を備えた膿血症)において、間欠熱および寒い冷気、脾臓腫瘍もある、中毒反応、または骨髄か血液損傷(多核性の白血球増多症、貧血、溶血、血小板減少症)または病原性の反応も伴い、関係しているかもしれない全ての患者の病原性の変化である。
【0063】
本発明の意味において、好ましくは、細胞性免疫系の不全に関連した疾病は、さらに次のものを含んでいる:
AIDS、にきび(acne)、アルブミン尿症(タンパク尿)〔albuminuria (proteinuria)〕、アルコール禁断症候群(alcohol withdrawal syndrome)、アレルギー(allergies)、脱毛(髪毛の損失)〔, alopecia (loss of hair)〕、ALS(筋萎縮性側索硬化症)(amyotro-phic lateral sclerosis)およびアルツハイマー病(Alzheimer's disease)、網膜の黒点老年性変性(retinal macula senile degeneration)、貧血(anemia)、不安症候群(anxiety syndrome)、炭疽病(ミルズブランド)大動脈硬化〔anthrax (milzbrand) aortic sclerosis〕、閉塞性動脈疾患(occlusive arterial disease)、動脈硬化症(arteriosclerosis)、動脈閉塞(arterial occlusion)、側頭動脈炎(arteriitis temporalis)、動静脈瘻(arteriovenous fistula)、喘息(asthma)、呼吸不全(respiratory insuffi-ciency)、自己免疫疾患(autoimmune disease)、脱椎間板症(prolapsed intervertebral disc)、腹膜の炎症(inflammation of the peritoneum)、 膵臓癌(pancreatic cancer)、ベッカー(Becker)の筋ジストロフィー症(Becker muscular dystrophy)、良性の前立腺肥大(benign prostate hyperplasia)(BPH)、膀胱癌(bladder carcinoma)、血友病(hemophilia)、気管支の癌(bronchial carcinoma)、乳癌(breast cancer)、BSE、クラミジア伝染(chlamydia infection)、慢性疼痛(chronic pain)、肝硬変(cirrhosis)、脳震盪症〔commotio cerebri (brain concussion)〕、クロイツェル-ヤコブ病(Creutzfeld-Jacob dis-ease)、腸の癌(intestinal carcinoma)、腸結核(intestinal tuberculosis)、うつ病(depression)、尿崩症(diabetes insipidus)、糖尿病(diabetes mellitus)、若年性糖尿病(diabetes mellitus juvenilis)、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)、デュシェーヌの筋ジストロフィー症(Duchenne muscular dystrophia)、十二指腸の癌(duodenal carcinoma)、進行性筋ジストロフィー(dystrophia musculorum progressiva)、筋萎縮症(dystrophia)、エボラ(Ebola)、湿疹(eczema)、勃起障害(erectile dysfunction)、肥満(obesity)、繊維症(fibrosis)、頸癌(cervix cancer)、子宮癌(uterine cancer)、脳内出血(cerebral hemorrhage)、脳炎(encephalitis)、髪毛の損失(loss of hair)、半身不随(hemiplegia)、溶血性貧血(hemolytic anemia)、血友病(hemophilia)、尿失禁(urinary incontinence)、ペット アレルギー(獣毛アレルギー)〔pet allergy (animal hair allergy)〕、皮膚癌(skin cancer)、帯状疱疹(herpes zoster)、心筋梗塞(cardiac infarction)、心不全(cardiac insufficiency)、心臓弁膜炎(cardiovalvulitis)、脳転移(cere-bral metastases)、脳卒中(cerebral stroke)、脳腫瘍(cerebral tumor)、こう丸癌(testicle cancer)、乏血(ischemia)、ケーラーの疾病(形質細胞腫)〔Kahler's disease (plasmocytoma)〕、ポリオ(小児麻痺)〔polio (poliomyelitis)〕、骨の希薄化(rarefaction of bone)、結腸癌( colon carcinoma)、接触湿疹(con-tact eczema)、震え(palsy)、肝硬変(liver cirrhosis)、白血病(leukemia)、肺線維症(pulmonary fibrosis)、肺癌(lung cancer)、肺水腫(pulmonary edema)、リンパ節癌(lymph node cancer)、ホジキン病(Morbus Hodgkin)、リンパ肉芽腫症(lymphogranulomatosis)、リンパ腫(lymphoma)、狂犬病(lyssa)、胃がん(gastric carcinoma)、脳膜炎(meningitis)、嚢胞性肺繊維症(嚢胞性繊維症)〔mucoviscidosis (cystic fi-brosis)〕、多発性硬化症(multiple sclerosis )(MS)、心筋梗塞(myocardial infarction)、神経皮膚炎(neurodermitis)、神経繊維腫症(neurofibromatosis)、ニューロンの腫瘍(neuronal tumors)、腎臓癌(腎臓細胞癌)〔kidney cancer (kidney cell carcinoma)〕、骨粗鬆症(osteoporosis)、膵臓癌(pancreas carcinoma)、肺炎(pneumonia)、多発関節炎(polyarthritis)、多発性ニューロパシー(polyneuropathies)、性機能障害(potency disorders)、全身性進行性硬化(progressive systemic sclerosis)(PSS)、前立腺癌(prostate cancer)、直腸癌(rectum carcinoma)、肋膜炎(pleurisy)、頭蓋大脳外傷(craniocerebral trauma)、膣の癌(vaginal carcinoma)、副鼻腔炎(sinusitis)、食道癌(esophagus cancer)、震顫(tremor)、結核(tuberculosis)、腫瘍苦痛(tumor pain)、火傷/湯焼(burns/scalds)、中毒(intoxications)、ウイルス性髄膜炎(viral meningitis)、閉経(menopause)、軟組織肉腫(soft-tissue sarcoma)、軟組織腫瘍(soft-tissue tumor)、大脳の血液循環障害(cerebral blood circulation disorders)、CNSの腫瘍。
【0064】
好ましい具体例として、治療される、または予防される、癌の疾病(cancerous diseases)か腫瘍(tumor diseases)は、以下の、耳―鼻―のど領域(the ear-nose-throat region)、肺(lungs)、縦隔(mediastinum)、胃腸管(gastrointestinal tract)、泌尿生殖器系(urogenital system)、婦人科医学系(gynecological system)、胸(breast)、内分泌系(endocrine system)、皮膚(skin)、骨および軟組織肉腫(bone and soft-tissue sarcomas)、中皮腫(mesotheliomas)、黒色腫(melanomas)、中枢神経系の新生物(neoplasms of the central nervous system)、癌の疾病(cancerous diseases)あるいは幼時の腫瘍疾病(tumor diseases during infancy)、リンパ腫(lymphomas)、白血病(leukemias)、傍腫瘍性症候群(paraneoplastic syndromes)、未知の原発腫瘍(CPU症候群)を伴う転移〔metastases with unknown primary tumor (CUP syndrome)〕、腹膜の癌腫症(peritoneal carcinomatoses)、免疫抑制関連の悪性腫瘍(immunosuppression-related malignancies)および/または腫瘍転移(tumor metastases)、からなる群から選ばれる。
【0065】
より具体的には、腫瘍は次のタイプの癌を含む:
胸、前立腺および結腸の腺癌(adenocarcinoma of breast, prostate and colon);気管支中で発生する肺癌のすべての形式(all forms of lung cancer starting in the bronchial tube);骨髄癌(bone marrow cancer)、黒色腫(melanoma)、肝臓癌(hepatoma)、神経芽細胞腫(neuroblastoma);乳頭腫(papilloma);アプドーマ(apudoma)、分離腫(choristoma)、鰓腫(branchioma);悪性カルチノイド症候群(malignant carcinoid syndrome); カルチノイド心疾患(carcinoid heart disease)、癌(carcinoma)[例えば、ウォーカーの癌(Walker carcinoma)、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、扁平基底癌(squamobasal carcinoma)、ブラウン―ピアスの癌(Brown-Pearce carcinoma)、腺管癌(ductal carcinoma)、エールリヒの腫瘍(Ehrlich tumor)、上皮内癌(in situ carcinoma)、キャンサー2 カルチノーマ(cancer-2 carcinoma)、マーケル細胞癌(Merkel cell carcinoma)、粘液癌(mucous cancer)、非−乏細胞気管支癌(non-parvicellular bronchial carcinoma)、燕麦細胞癌(oat-cell carcinoma)、乳頭状癌(papillary carcinoma)、硬い腫瘍癌(scirrhus carcinoma)、呼吸細気管支癌(bronchio-alveolar carcinoma)、気管支の癌(bronchial carcinoma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)および移行上皮癌(transitional cell carcinoma)];組織球機能障害( histio-cytic functional disorder);白血病(leukemia)(例えば、B細胞白血病(B cell leukemia)、混合型白血病(mixed-cell leukemia)、ヌル細胞白血病(null cell leuke-mia)、T細胞白血病(T cell leukemia)、慢性T細胞白血病(chronic T cell leukemia)、HTLV−II関連の白血病(HTLV-II-associated leukemia)、急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia)、慢性リンパ球性白血病(chronic lymphocytic leukemia)、マスト細胞白血病(mast cell leukemia)、および骨髄性白血病(myeloid leukemia)に関する;悪性の組織球増殖症(malignant histiocytosis)、ホジキン病(Hodgkin disease)、非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma)、ただ一つのプラズマ細胞腫瘍(solitary plasma cell tumor);細網内皮症(reticuloendo-theliosis)、軟骨芽細胞腫(chondroblastoma);軟骨腫(chondroma)、軟骨肉腫(chondrosarcoma); 繊維腫(fibroma);繊維肉腫(fibrosarcoma);巨細胞腫(giant cell tumors);組織球腫(histiocytoma);脂肪腫(lipoma);脂肪肉腫(liposarcoma);白血肉腫(leukosarcoma);中皮腫(mesothelioma);粘液腫(yxoma); 粘液肉腫(myxosarcoma);骨腫(osteoma);骨肉腫(osteosarcoma);ユーイング肉腫(Ewing sarcoma);滑液腫瘍(synovioma);腺繊維腫(adenofibroma);腺リンパ腫(adenolymphoma);癌肉腫(carcinosarcoma)、脊索腫(chordoma)、頭蓋咽頭腫(craniopharyngioma)、未分化胚細胞腫(dysgerminoma)、過誤腫(hamartoma); 間葉腫(mesenchymoma);中腎腫(mesonephroma)、筋肉腫(myosarcoma)、エナメル上皮腫(ameloblastoma)、セメント腫(cementoma);歯芽腫(odontoma);奇形腫(teratoma); 胸腺腫(thymoma)、絨毛膜芽細胞腫(chorioblastoma);腺癌(adenocarcinoma)、腺腫(adenoma);胆管腫(cholangioma);コレステリン腫(cholesteatoma);円柱腫(cylindroma); 嚢胞腺癌(cystadenocarcinoma)、嚢胞腺腫(cystadenoma); 顆粒膜細胞腫(granulosa cell tumor);雌雄芽細胞腫(gynadroblastoma);汗腺腫(hidradenoma);島細胞腫(islet-cell tumor);ライディッヒ細胞腫瘍(Leydig cell tumor);乳頭腫(papilloma);セルトリ細胞腫瘍(Sertoli cell tumor)、卵胞膜細胞腫(theca cell tumor)、平滑筋腫(eiomyoma);平滑筋肉腫(leiomyosarcoma); 筋芽細胞腫(myoblastoma);筋腫(myoma);筋肉腫(myosarcoma)
;横紋筋腫(rhabdo-myoma);横紋筋肉腫(rhabdomyosarcoma);脳室上衣細胞腫(ependymoma);節神経腫(ganglioneuroma)、神経膠腫(glioma);髄芽細胞腫(medulloblastoma)、髄膜腫(meningioma);神経鞘腫(neurilemmoma);神経芽細胞腫(neuro-blastoma);神経上皮腫(neuroepithelioma)、神経繊維腫(neurofibroma)、神経腫(neuroma)、傍神経節腫(paragan-glioma)、非クロム親和性反応(non-chromaffin paraganglioma)、角化血管腫(angiokeratoma)、好酸球増加を伴う血管リンパ組織過形成(angio-lymphoid hyperplasia with eosinophilia); 硬化している血管腫(sclerotizing angioma);血管腫症(angiomatosis);グロムス血管腫(glomangioma);血管内皮腫(hemangioendothelioma);血管腫(hemangioma);血管周囲細胞腫(hemangiopericytoma)、血管肉腫(hemangiosarcoma);リンパ管腫( lymphangioma)、リンパ管筋腫(lymphangiomyoma)、リンパ管肉腫(lymphangiosarcoma);松果体腫(pinealoma);葉状嚢肉腫(cystosarcoma phylloides);血管肉腫(hemangiosarcoma);リンパ管肉腫(lymphangiosarcoma);粘液肉腫(myxosarcoma)、卵巣の癌(ovarial carcinoma); 肉腫(sarcoma)(例えば、実験的にユーイング肉腫(Ewing sarcoma)、カポジ肉腫(Kaposi sarcoma)および肥満細胞肉腫(mast cell sarcoma));新生物(neoplasms)(例えば、骨新生物(bone neoplasms)、胸新生物(breast neoplasms)、消化器系の新生物(neoplasms of the digestive system)、結腸直腸の新生物(colorectal neoplasms)、肝臓新生物(liver neoplasms)、膵臓新生物(pancreas neoplasms)、下垂体新生物(hypophysis neoplasms)、こう丸新生物(testicle neoplasms)、眼窩の新生物(orbital neoplasms)、中枢神経系の頭および首の新生物(neoplasms of the head and neck of the central nervous system)、聴聞器官(the hearing organ)、骨盤(pelvis)、呼吸器官の管(respiratory tract) 、および泌尿生殖器の管(urogenital tract)の新生物(neoplasms); 神経繊維腫症(neurofibromatosis)および頚部の扁平上皮細胞形成不全症(cervical squamous cell dysplasia)。
【0066】
別の好ましい具体例として、治療され、または予防される癌の疾病か腫瘍は、次の癌の群より選ばれる。耳―鼻―のど領域の癌で、鼻の内部、鼻腔、鼻咽腔、唇、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭、耳、唾液腺の腫瘍、および傍神経節腫が挙げられ、肺の腫瘍で、非小細胞性(non-parvocellular)気管支の癌が挙げられ、小細胞性(parvocellular)気管支の癌、縦隔腫瘍、胃腸管の腫瘍で、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢および胆道、小腸の癌、結腸および直腸の癌腫および肛門の癌腫が挙げられ、泌尿生殖器の腫瘍で、腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道、陰茎およびこう丸の腫瘍が挙げられる、婦人科医学の腫瘍で、頚部、膣、陰門の癌が挙げられ、子宮癌、悪性栄養芽層疾病、卵巣の癌、卵管腫瘍(Tuba Faloppii)の腫瘍、腹腔の腫瘍、乳癌、内分泌腺の器官の腫瘍で、甲状腺、上皮小体、副腎皮質の腫瘍、内分泌腺の膵臓腫瘍、カルチノイド腫瘍およびカルチノイド症候群、多発性内分泌腺腫が挙げられ、骨および軟組織肉腫、中皮腫、皮膚腫瘍、黒色腫で、皮膚および眼内の黒色腫を含む、中枢神経系の腫瘍、幼時期の腫瘍で、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、神経繊維腫症、神経芽細胞腫が挙げられ、ユーイング(Ewing)肉腫腫瘍ファミリー、横紋筋肉腫、非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、皮膚のT細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性リンパ腫、ホジキン病、急性白血病を含む白血病、慢性脊髄性およびリンパ性白血病、プラズマ細胞新生物、骨髄異形成症候群、傍腫瘍性症候群、未知の原発腫瘍(CUP症候群)を伴う転移、腹膜の癌腫症、カポシ肉腫のようなAIDS関連悪性腫瘍を含む悪性免疫抑制関連の悪性腫瘍、AIDS関連リンパ腫、中枢神経系のAIDS関連リンパ腫、AIDS関連ホジキン病およびAIDS関連肛門性器の腫瘍、移植関連の悪性腫瘍、脳転移を含む転移する腫瘍、肺転移、肝臓転移、骨転移、胸膜および心膜の転移、および悪性腹水腫瘍が挙げられる。
【0067】
別の好ましい具体例として、治療され、または予防される癌の疾病か腫瘍は、次の群より選ばれる。乳癌、結腸癌を含む胃腸の腫瘍、胃癌、膵臓癌、結腸癌、小腸癌、卵巣の癌、頚部の癌、肺癌、前立腺癌、腎臓細胞癌および/または肝臓転移からなる群。
【0068】
本発明は、さらに本発明の組成物の使用に関わり、病原性の修飾および/または細胞性免疫不全を伴う、ヒト、動物および/または患者の予防および/または治療処置において、特に、癌、敗血症、細胞増殖抑制剤の治療に関わるアレルギー反応、化学療法および/または放射線療法および/または予防法として、および/または核、生物学、化学および/または放射性物質および/または材料に関する事故の治療に関する。
【0069】
本発明は、さらにキットおよびそれの医学の使用に関する。好ましい方法で、発明の化合物または同物を含むキットは、併用治療において、特に腫瘍の治療で使用される。特に好ましい方法では、前述の併用療法は、化学療法、細胞増殖抑制剤を用いた治療および/または放射線療法が挙げられる。本発明の特に好ましい実施例では、併用療法は治療の生物学的に特異的な形式で、特に好ましい方法として、治療の形式が免疫療法であることが挙げられる。なおその上に、特に好ましい併用治療の方法として、遺伝子治療および/または本発明による化合物を用いた治療が挙げられる。様々な併用療法は、特に腫瘍の治療の目的にというのは、当業者に良く知られている。例えば、特別の腫瘍領域の細胞増殖抑制剤あるいは放射照射を伴う治療は、併用療法の範囲内で想起可能であり、そして本治療は、遺伝子治療と併せられ、抗癌剤として本発明の化合物を用いて行われる。したがって、本発明に化合物の使用は、細胞増殖抑制剤および/または放射線の対する腫瘍細胞の感度を増加させるために、特に好ましく行える。さらにその上、本発明による化合物の好ましい使用は、活力、細胞の増殖速度の阻害時に、および/またはアポトーシスおよび細胞周期停止の誘導時に、おいてとなる。
【0070】
本発明は、次の例に、より詳細に説明されるが、この記載に限定されるものではない。
【実施例】
【0071】
本発明による方法を使用する、本発明の組成物生産の一般的な記載
白血球ホモジェネートの調製

透析

製造過程の凍結乾燥

単一溶液を組み合わせ、大量の溶液を得る

得られた溶液の工程管理

前ろ過

限外濾過

無菌ろ過

水浴での低温殺菌

殺菌

充填

凍結乾燥

品質管理

ラベル付けとパッケージすること

最終コントロール)
【0072】
方法の記載
1.細胞の血液構成成分、例えば、白血球または赤血球を含む濃縮物の調製
第一に、選択された細胞のホモジェネートが調製され、例えば、細胞の繰り返される凍結−融解サイクルあるいは超音波の処理によって、あるいは両方の工程の組み合わせによって行われる。その後、個々の量が集められる。
2. ホモジェネートの透析
透析は、10kDaを越える大きさを有する全ての粒子が取り除かれるように、カラムまたは薄膜の透析方法で行なわれる。
3. 中間の凍結乾燥
透析された産物は、凍結乾燥によって濃縮され、この凍結乾燥は、普通のやり方で行われる。
4. 本発明による組成物の前溶液の調製
凍結乾燥された産物は、2mlの水で満たされる。
5. 中間のコントロール
中間のコントロールは、スペクトル域260から280nmで吸収測定により行われる。
6. 前ろ過
ろ過は、ミリポアRA薄膜(1.2μm)でAP15前フィルター(AP 15 prefilter)を用い、通して行われる。
7. 限外濾過:
限外濾過は、10kDaの排除限界を有するミリポア カートリッジ システムにおけるPTGC薄膜を通すことで、行われる。
8. 濾過滅菌法
濾過滅菌法は、ミリポアGSフィルター(0.22μm)を使用しておこなわれる。
9. 熱不活化
本発明の溶液は、60℃の温度で10時間、水浴中の単一容器で低温殺菌される。
10. アリコーティング(一定用量に分割操作)
液状組成物は、滅菌状態で自動的アリコーティング(全量2リットル溶液を5mlバイアルへ)される。
11. 凍結乾燥:
凍結乾燥は、標準的方法で行われる。単一アリコート(一定分量物)の充満は冷却されている窒素大気下で行われる。
【0073】
本発明の組成物の有効性は、追加試験で検査された:
本発明の組成物は、様々な動物システムの生体内で試験された。モルモットTリンパ球のでのロゼット試験を用い、オキソプアチン(Oxoplatin)、カンプト(Campto)、タキソール(Taxol)およびエロキサチン(Eloxatin)と結合した本発明の組成物の影響を、細胞性免疫の状態で、調査された。各試験では、本発明の組成物投与後の、免疫抑制されたモルモットにおけるTリンパ球状態の改善が、試験された。試験に先立って、モルモット中のTリンパ球のレベルがロゼット試験を用いて、決められた。そして、続いて、免疫抑制剤アザチオプリン(Azathioprin)によって引き起こされたTリンパ球量の減少は決定された。Tリンパ球の2番目の決定は、アザチオプリン(Azathioprin)の適用7日後になさた。続いて、本発明の組成物の皮下投与が実験動物にされた。最後の、モルモットのTリンパ球計算の決定は、本発明の組成物投与後14から19日に行われた。
【0074】
オキソプラチン(Oxoplatin)投与に続き、ロゼット形成が約30%低下したことが、生体内試験で観察された。本発明の組成物の投与後、ロゼット形成の平均増加は、オキソプラチンの単回投与で27%であった、そして2倍量のオコソプラチンで前もって処理された動物の場合には、27%であった。
【0075】
カンプト(Campto)と本組成物を用いた試験では、ロゼットの産生がカンプトの投与後23%減少し、該組成物の投与後は、26%の増加であったことが見出された。
【0076】
タキソル(Taxol)と本組成物を用いた試験では、16%のロゼッタ産生の低下であった、そして本発明の組成物の投与後、23%の増加であった。
【0077】
エロキサチン(Eloxatin)の投与に続きロゼッタ形成は22%で、本発明の組成物の投与後、29%の増加であった。
【0078】
また、ヒトの臨床試験が本発明による組成物の影響をさらに確認するため行なわれた:
硬化症(PSS)に苦しむ5人の女性患者が、本組成物で治療された。正常化されたロゼット細胞計算が得られた。正常化された細胞性免疫に加えて、末端の循環の改善が得られた。ロゼット細胞レベルの正常化における該組成物の臨床への影響は、38%から64%まで結果として増加した。
【0079】
さらに、本発明による組成物は、尋常性乾癬に苦しむヒト患者、および乾癬由来の関節炎の形で調査された。患者は、毎週の間隔で本発明の組成物(単回投与分は、2ml中に組成物4mgを含むもの)の3回用量で投与された。本治療を始めた6か月後に、2つの前述の疾病症状の完全な消失が、8人の患者のうちの3人の患者で見出された。他の5例では、臨床像の著しい改善が観察された。全般的情況の免疫学的改善は、全関連する臨床データの改善に関係していた。患者のロゼット細胞平均レベルは治療を始める前33%で、治療の終わりには67%まで増加した。
【0080】
別の臨床試験では、本発明による組成物は、全身性紅斑狼瘡(SLE)の苦痛と診断された女性の患者で用いられた。臨床像の改善は、患者において決められた。加えるに、何人かの患者は、カンジダ性の病原体による伝染を受けていた。同様に、標準的治療の開始が可能だったように、全面的な臨床像の改善はこれらの患者において決定された。次の表が、調査された臨床例の要約として示される:
【0081】
治療した患者の兆候と数:
例数 改善
慢性の発熱性疾病 (骨髄炎、栄養不良、毛包炎) 7 4
再発する呼吸感染 16 14
にきび 2 0
じんましん、およびクイッケス(Quickes)浮腫 3 1
口唇ヘルペス(seu progenitalis) 5 1
完治せず長く治療されている花粉症 3 1
合計: 36 21
【0082】
さらにこの上に、35人の患者が前部の葡萄膜炎の苦痛と診断され、調査された。治療期間は35から85か月で、そして、治療の成功が145から195か月の期間中に再調査された。上記の長期的な適用により、患者の90%で前部の葡萄膜炎の再発を防いだこと示すのは可能であった。その病気の再発と診断された患者では、本疾患が非常に穏やかな形で現れた。患者の約5%に治療の効果は無かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の血液構成成分の、特に白血球の均質化する工程、該均質化産物の凍結乾燥処理、および10,000Daを超えた分子量を有する構成成分の除去工程を含む、患者の細胞性免疫不全の治療用の組成物の製造方法。
【請求項2】
白血球濃縮物が最初に産生され、続いて透析された後、前ろ過、限外濾過および好ましくは続いての低温殺菌を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
次の工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
a)凍結−融解サイクルおよび/または超音波処理を用いた細胞の血液構成成分の均質化;
b)a)によって得られたホモジェネートの凍結乾燥;
c)b)によって得られた凍結乾燥物の前ろ過;
d)c)によって得られた前ろ液の限外濾過;
e)d)によって得られた限外濾過液の無菌ろ過;
f)e)によって得られた無菌ろ液の低温殺菌;
g)f)による低温殺菌された産物の殺菌;および
h)g)による無菌産物の凍結乾燥。
【請求項4】
請求項1〜3のいづれか一項に記載の方法を用いて得られることができる組成物。
【請求項5】
以下の群から選ばれる、請求項4記載の組成物。
ユビキチン特異的プロテアーゼ32(ubiquitin-specific protease 32)、陽性補因子2(ポジティブ コファクター2)グルタミン/Qに富む関連するタンパク質(positive cofactor 2 glutamine/Q-rich associated protein)、カドヘリン(cadherin)、転写因子GATA−2(transcription factor GATA-2)、想定のクロマチン構造調節要素(putative chromatin structure regulator)、CUEドメインを含む1(CUE domain containing 1)、SUPT6Hタンパク質(SUPT6H protein)、インターロイキンー18受容体1前駆体(interleukin-18 receptor 1 precursor)、インターロイキン−1受容体様タンパク質およびムチン4および/またはテナシンM(interleukin-1 receptor-like protein and mucin 4 and/or tenascin M)、一時的な受容体電位カチオン・チャンネル(transient receptor potential cation channel)、エクトヌクレオチド ピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(ectonucleotide pyrophosphatase/phosphodiesterase)、SWI/SNF―関連マトリックス−随伴アクチン依存性クロマチン調節要素(SWI/SNF-related matrix-associated actin-dependen regulator of chromatin)、SWI/SNFクロマチン―調節(モジュレーティング)複合体サブユニットOSA1 B120(SWI/ SNF chromatine-modulating complex subunit OSA1 B120)、OSA1核タンパク質(OSA1 nucleoprotein)、ATPアーゼ(ATPase)、H/K交換ポリペプチド、ジンク−フィンガータンパク質174(H+/K+ change polypeptide, zinc-finger protein 174)、Ig重鎖V領域(Ig heavy chain V region)、ADAMTS−3前駆体/デスインテグリン様およびメタロプロテアーゼ(ADAMTS-3 precursor/desintegrin-like and metalloprotease)、凝固因子II(トロンビン)受容体様3〔coagulation factor II (thrombin) receptor-like 3〕、デアセチルグリセロール キナーゼ−シータ(diacylglycerol kinase-theta)、p250R(p250R)、SWI/SNFクロマチン―再調節複合体サブユニットOSA2(SWI/SNF chromatin-remodulating complex subunit OSA2)、メタロホスホプロテアーゼ(metallo-phospoesterase)、AMPデアミナーゼ(AMP deaminase)、α−マンノシダーゼ(α-mannosidase)、カドヘリン−9(cadherin-9)、Nik−関連キナーゼ(Nik-related kinase)、α−1B−アドレナリン作動性受容体(α-1B-adrenergic receptor)、BRCA1−関連タンパク質(BRCA1-associated protein)、CD99抗原様2アイソフォームE3−E4(CD99 antigen-like 2 isoform E3-E4)、SWHCF−含有ペプチドおよび/またはFAT−様カドヘリン−FATJ(SWHCF-comprising peptide and/or FAT-like cadherin-FATJ)、ATP拘束性カセット(ATP binding cassette)、ヌクレオポリン153kDa(nucleoporin 153 kDa)、ELK3タンパク質(ELK3 protein)、タンパク質ELK−3 ETS領域(protein ELK-3 ETS domain)、ATPアーゼ(ATPase)、銅輸送性プロテインキナーゼ(copper-transporting protein kinase)、タンパク質−チロシン ホスファターゼ(protein-tyrosine phosphatase)、ウイングレスタイプMMTV統合部位ファミリー(wingless type MMTV integration site family)、MYC結合蛋白質2(MYC binding protein 2)、キュリン7(cullin 7)、可溶化されたキャリアーファミリー5(ヨウ化ナトリウム共輸送体(symporter)メンバー5〔 dissolved carrier family 5 (sodium iodide symporter) member 5〕、グルタミン酸塩に富んだWD繰り返し含有1(glutamate-rich WD repeat containing 1)、MAPキナーゼと相互作用するセリン/スレオニンキナーゼ1(MAP kinase-interacting serine/threonine kinase 1)、ATP拘束性カセット(ATP binding cassette)、NOVプレキシンA1タンパク質および/またはE3ユビキチンリガーゼSMURF2(NOV plexin A1 protein and/or E3 ubiquitin ligase SMURF2)、アシル-CoAシンセターゼ(acyl-CoA synthetase)、エストロゲン スルフォトランスフェラーゼ(estrogen sulfotransferase)、2,4−ジエノイルCoA還元酵素1前駆体(2,4-dienoyl CoA reductase 1 precursor)、4−エノイルCoA還元酵素(4-enoyl CoA reductase)、クラウディン10アイソフォームb(claudin 10 isoform b)、DMBT1(DMBT1)、細胞外リンカー領域含有1(extracellular linker domain containing 1)、リンパ管内皮細胞特異的ヒャルロン受容体LYVE−1(lymphatic vessel endothelial cell-specific hyaluron receptor LYVE-1)、Rho−GTPアーゼ活性化タンパク質8アイソフォーム2(Rho-GTPase-activating protein 8 isoform 2)、デスインテグリン様およびメタロプロテアーゼ(レプロレシン型)でスロンボスポンジン1型モチーフを有するもの〔desintegrin-like and metalloprotease (reprolysine type) with throm-bospondin type 1 motif〕、Ig重鎖V領域(Ig heavy chain V region)、AS12タンパク質(AS12 protein)、ミトコンドリアリボソーム蛋白質S9(mitochondrial ribosomal protein S9)、28Sリボソーム蛋白質S9(28S ribo-somal protein S9)、プロテインキナーゼ基質MK2S4(protein kinase substrate MK2S4)、NP220(NP220)、推定のGタンパク質共役受容体(putative G protein-coupled receptor)、ダイニン(dynein)、軸糸(axonemal)重いポリペプチド5(axonemal heavy polypeptide 5)、N−アセチルホスファチジルエタノールアミン加水分解ホスホリパーゼD(N-acylphosphatidyl etha-nolamine-hydrolyzing phospholipase D)、ロイコトリエンB4受容体(leukotriene B4 receptor)、Gタンパク質共役受容体16(G protein-coupled receptor 16)、プロタンパク質コンベルターゼ サブチリシン/ケクシン1型インヒビターCMKL1(proprotein convertase subtilisin/kexin type 1 inhibitor CMKRL1)、二重特異的チロシン燐酸化制御キナーゼ3(dual-specific tyrosine phosphorylation-regulated kinase 3)、調節性赤血球キナーゼ(長時間型)〔regulatory erythroid kinase (long form)〕、DYRK3タンパク質(DYRK3 pro-tein)、Igラムダ鎖5−7領域(Mot)―ヒト〔Ig lambda chain V-VII region (Mot) - human〕、グルタチオンレダクターゼ(glu-tathione reductase)、ミトコンドリアの前駆体(mitochondrial precursor)、コラーゲン アルファ1(106)鎖前駆体〔collagen alpha 1 (XVI) chain precursors〕、11-β-ヒドキシステロイド脱水素酵素1(11-β-hydroxysteroid de-hydrogenase 1)、インスリン受容体基質2(insulin receptor substrate 2)、アーチ構造ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(VPARP)〔Vault poly(ADP-ribose) polymerase (VPARP)〕、カルシウム/カルモジュリン依存性3',5'−サイクリックヌクレオチド(cal-cium/calmodulin-dependent 3',5'-cyclic nucleotides)、ジンクフィンガータンパク質161(zinc-finger protein 161)、H2.0様ホメオボックス−1(H2.0-like homeobox-1)、H2.0(ショウジョウバエ)様ホメオボックス−1および/またはサイトキネシス6デディケーター〔H2.0 (drosophila)-like homeobox-1 and/or dedicator of cyto-kinesis 6〕。
【請求項6】
薬学的に受容可能な担体を含んでもよい、請求項4または5に記載の組成物を含有する薬剤。
【請求項7】
薬剤が注射液および/または注入液であることを特徴とする、請求項7記載の薬剤。
【請求項8】
キットの構成の扱い方および/または組み合わせに関わる情報を付加しても良い、請求項4または5記載の組成物、および/または請求項6または7記載の薬剤を含有するキット。
【請求項9】
患者の細胞性免疫の病原性の修飾の処理のため、とりわけ細胞性免疫不全、特にICD10コードD84.8に関連するものの薬の製造において、請求項4または5に記載の組成物、および/または請求項6または7記載の薬剤の使用。
【請求項10】
細胞増殖抑制剤の治療、化学療法および/または放射線療法との関連において患者と当該薬剤が接触することを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
該接触が、注射および/または注入により、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内経路であることを特徴とする、請求項9または10に記載の使用。
【請求項12】
重大な事故の、特に二次栄養不足、好ましくは敗血症の、前および/または後で、当該薬剤がヒト、動物および/または患者と接触することを特徴とする、請求項9から11のいづれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2008−514555(P2008−514555A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532767(P2007−532767)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001728
【国際公開番号】WO2006/032268
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(506126255)
【Fターム(参考)】