説明

14位で官能化されたタキサン誘導体及びその製造方法

【課題】新規13−ケトバッカチンIII及びタキサン誘導体並びにその製造法の提供。
【解決手段】13−ケトバッカチン誘導体の14位を官能化し、更に式IIIの化合物へ変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規13−ケトバッカチンIII及びタキサン誘導体並びにその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WO 94/22856は、14−ヒドロキシ−タキサンが、従来のタキサンと比較して、改善された抗腫瘍特性を有することを開示している。IDN 5109と称される、上記14−ヒドロキシ−誘導体の一つは、現在、先行臨床開発にある。上記14−ヒドロキシル化誘導体は、天然の14−ヒドロキシバッカチンから容易に調製することができる。
【0003】
ヒドロキシ基とは異なる置換基を14位に有するIDN 5109類似体は、タキサン耐性腫瘍ばかりでなくMDR細胞系に対しても有効であるように、驚くべき生物活性を有することがわかっている。
【0004】
本発明の誘導体は、13−ケトバッカチンIIIのエノール化及び、所望の基に変換できる適切な求電子試薬での処理により得ることができる。続くC13カルボニルの還元及びイソセリン鎖でのエステル化により、下記定義のように、本発明の化合物を得る。
【0005】
7−保護13−ケトバッカチンIIIは、12,13−イソタキサン類への(Wicnienskiら、US 5,821, 363)、13位で(Menichincheriら、W09614308)、並びにC及びD環で(Duboisら、Tetrahedr. Lett. 2000,41, 3331-3334; Uotoら、Chem. Pharm. Bull. 1997,45 (12), 2093-2095)、修飾された新規タキサン類への、重要な中間体として、大変に興味深い化合物である。7−保護13−ケトバッカチンIIIは、タクソール及び類似体の全合成の研究において重要な中間体である(Nicolaouら、J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 624-633; Nicolaouら、1995, 117, 2409-2420; Nicolaouら、US 5,504,222)。7−保護13−ケトバッカチンIIIの幾つかの修飾として、ヒドラゾン及びオキシムの形成(Menichincheriら、W09614308; Meninchincheriら、Med. Chem. Res. (1996), 6 (4), 264-292)、酸化剤(Bombardelliら、W00212215; Harriman ら、Tetrahedr. Lett. 1995,36 (49), 8909-8912)又は還元剤(Marderら、Tetrahedr. 1995,51 (7), 1985-1994)による直接処理などが報告されている。基における転位反応は開示されている(Pinciroliら、Tetrahedr. Lett. 1996, 37 (52), 9365- 9368; Yu and Liu, Tetrahedr. Lett. 1997,38 (23), 4133-4136)が、13,14−エノール化の反応は、いままで記載されていない。
【0006】
更なる態様によると、本発明は、更なる合成のため充分に安定した中間体を得るための13−ケトバッカチンIIIの13,14エノール化の方法に関する。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明の化合物は、下記一般式III:
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、
Xは、−N3、−NH2、−NH−R3、=CH−R8であるか、又はR6がフェニルと異なる場合、−O−R3であり;
2は、水素又はアシルであり;
3は、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル、チオカルボニル、SO、SO2基を形成し;
4は、水素であるか、又はR3若しくはR8と一緒になって、R3及びR8のそれぞれの定義に特定された基を形成し;
5は、水素又はアルコール保護基であり;
6は、アリール、置換アリール、ヘテロアリールであるが、但しXが−O−R3の場合、フェニルと異なり;
8は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル基を形成し;
9は、アシル又はヒドロキシアミノアシル基である)
を有する。
【0010】
式IIIの化合物は式IIの化合物から調製することができるが、式IIの化合物は式Iで示される13−ケトバッカチンIII誘導体の変換により得られる:
【0011】
【化2】

【0012】
(式I及び式IIにおいて、
1は、アルコール保護基であり;
2は、アシル基又はアルコール保護基であり;
Eは、−OH、−O−R3、=N2、−N3、−NH2、−NH−R3、−NH−NH2、−NH−N=N−Ts、−NH−=N−Boc、−N(CO27)NHCO27、=CH−R8であり;
Tsは、p−トルエンスルホニルであり;
3は、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル、チオカルボニル、SO、SO2基を形成し;
4は、水素であるか、又はR3若しくはR8と一緒になって、R3及びR8のそれぞれの定義に特定された基を形成し;
5は、水素又はアルコール保護基であり;
6は、アリール、置換アリール、ヘテロアリールであり;
7は、C1〜C4アルキル、アリール又はアリールアルキル基であり;
8は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル基を形成する)。
【0013】
式IIIの化合物は、白血病及びメラノーマの処置と同様に、特に卵巣、乳房、肺、結腸、脳などの臓器の腫瘍など、種々の発生源による組織の異常増殖の処置に有用である。
【0014】
式I、II及びIIIの化合物において、アシル基は、好ましくは直鎖状若しくは分岐状のC2〜C6脂肪族アシル基、又は1個以上のC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、ハロゲンで場合により置換されているベンゾイル基であり;アリールは、好ましくはフェニルであり;置換アリールは、好ましくは1個以上のC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、ハロゲンで置換されているフェニルであり;ヘテロアリールは、好ましくは2−、3−若しくは4−ピリジル、2−若しくは3−フリル、2−若しくは3−テノイルであり;アリールアルキルは、好ましくはベンジルであり;ヒドロキシアミノアシル基は、好ましくは、アミノ基においてベンゾイル又はC1〜C4アルコキシカルボニル基で置換されている、β−イソブチルイソセリン又はフェニルイソセリン残基である。
【0015】
本発明によると、式IIの化合物(ここで、Eは、−OH、=N2、−N3、−NH−N=N−Ts、−NH−N=N−Boc、−N(CO27)NHCO27、=CH−R8である)は、式Iで示した適切な13−ケトバッカチンIII保護誘導体から、下記スキームに示された方法であって、また下記:
a)塩基で処理して、Mがアルカリ金属である式IVで示されるエノラートを形成すること;
b)E基に変換することができる適切な求電子試薬でエノラートIVを処理して、式IIの化合物を得ること、
を含む方法により得ることができる。
【0016】
【化3】

【0017】
工程a)におけるエノラート形成は、保護13−ケトバッカチンIIIを、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルなどの不活性溶媒中で、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)又は1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2〔1H〕ピリミジノン(DMPU)とも混合させた中で、カリウムt−ブトキシド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミンなどの塩基で処理して、容易に得ることができる。反応は、−40℃〜−78℃の温度の範囲で適切に実施する。
【0018】
特に好ましい保護基は、シリルエーテル、アセタール、エーテル、カルボナート及びカルバマートである。
【0019】
出発13−ケトバッカチンIII(式I)は、文献に記載されているように、適切な保護バッカチンから従来の酸化剤を用いる反応により、容易に得ることができる。
【0020】
2位で異なるベンゾアート基を有する7−保護13−ケトバッカチンIIIは、Ojimaら(J. Am. Chem. Soc. 2000,122, 5343-5353)の方法に従って調製することができる。
【0021】
報告された実施例においては、R1は、通常、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、トリエチルシリル(TES)又は2−メトキシプロパン(MOP)であり、R2は、通常、アセチルであるが、他の等価の基を、同様の化合物を調製するために都合よく使用することもできる。
【0022】
上記スキームに従って、工程b)では、エノラートIVをインシトゥー(in situ)で、オキサジリジン類(例えば、N−ベンゼンスルホニルフェニルオキサジリジン、N−ベンゼンスルホニルm−ニトロフェニルオキサジリジン及びショウノウスルホニルオキサジリジン)、ジアザジカルボキシレート類(例えば、ジ−tert−ブチルジアザジカルボキシレート及びジベンジルジアザジカルボキシレート)、p−トルエンスルホニルアジド、t−ブトキシカルボニルアジド、アルデヒド類(例えば、アセトアルデヒド、エチルグリオキシラート)などの求電子試薬で処理して、Eが−OH、−NH−N=N−Ts、−NH−N=N−Boc、−N(CO27)NHCO27、=CH−R8である、式IIで示される13−ケトバッカチンIIIを得る。
【0023】
p−トルエンスルホニルアジドを求電子試薬として使用する場合、EがN3又はN2である分解生成物の他に、Eが−NH−N=N−Ts(又はN=N−NHTs互変異性体)である生成物が得られる。反応のクエンチ条件は、生成物のうちの一つだけに主に直接反応するように調節してもよい。このように、トシラジド誘導体は、ジクロロメタン又は酢酸エチルなど極性非プロトン性溶媒による抽出によって、粗生成物から回収することができる。ジアゾ誘導体は、適度に長時間、場合により加熱しながら、極性非プロトン性溶媒中で粗反応を撹拌して得られる。アジド誘導体は、アジド供与体を加えた直後、粗反応を、THF中の酢酸とDMPU又はHMPAとの混合物などのプロトン剤で処理することにより得られる。
【0024】
エチルグリオキシラートを求電子試薬として使用した場合、Clヒドロキシル基においてカルベトキシ基のクロトン縮合と、同時に閉環が起こり、α、β−不飽和γーラクトンが得られる。
【0025】
全ての場合において、反応のジアステレオ選択により、E基は主に14β立体配置において導入される。
【0026】
あるいは、エノラートIVを、シリル化(例えば、トリ−イソプロピルシリルクロライド)、アシル化(例えば、ジ−tert−ブチルピロカルボナート)、アルキル化(例えば、硫酸ジメチル又はヨウ化メチル)、又はリン酸剤で処理して、それにより式V:
【0027】
【化4】

【0028】
(式中、
10は、アシル、アルキル、トリアルキルシリル又はホスフェートであり;そして
1、R2及びR6は上記定義のとおりである)
で示されるエノール誘導体を得ることができる。
【0029】
化合物Vはまた、式IIで示されるケトンを、塩化メチレン、トルエン、又はそれらの混合物などの非プロトン性溶媒中で、トリエチルアミン又はピリジンなどの特に弱い塩基により、エノール化することにより、容易に得ることができる。
【0030】
化合物Vを、適切な条件において、求電子試薬で処理して、式IIの化合物を得ることができる。
【0031】
上記記載の手順により14位において導入された基を更に変換して、14位で官能化されている他の13−ケトバッカチンIII誘導体を得ることができる。
【0032】
従って、Eが−N(CO27)NHCO27である式IIの化合物は、従来の方法に従って、脱カルボキシル化により対応するヒドラジノ誘導体(ここで、Eは−NH−NH2である)に変換することができる。
【0033】
Eが−N3である式IIの化合物は、水性媒体中のトリフェニルホスフィン又は適切な溶媒中のH2−PD/Cなどの還元系の手段を用いて、アミン(E=NH2)に容易に還元することができる。
【0034】
Eが−OH又は−NH2である式IIの化合物を、カルボナート化剤(例えば、カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、又はトリホスゲン)、チオカルボナート化剤(例えば、チオカルボニルジイミダゾール、チオホスゲン)、又はスルホニル化剤(例えば、塩化スルホニル又は塩化チオニル)で処理して、Eが−OR3又は−NHR3である式IIの化合物を得ることができる。反応は、−40℃〜70℃の温度の幅で、塩基(例えば、ピリジン又はトリエチルアミン)の存在下、塩素化溶媒中で都合よく実行することができる。
【0035】
あるいは、Eが−OH又は−NH2である式IIの化合物を、弱い塩基の存在下で、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化ベンジルなどの薬剤を用いてアルキル化することができる。
【0036】
式IIの化合物は、本発明の式IIIの化合物の合成のための主要な中間体である。特に、化合物IIIは、式IIの化合物から得ることができる:
【0037】
【化5】

【0038】
(式中、Eは−O−R3、−N3、−NH−R3、=CH−R8であり、R1、R4、R6は上記と同義である)が、これは、
a)C13カルボニルの還元により、式VII:
【0039】
【化6】

【0040】
(式中、
Xは、−O−R3、−N3、−NH−R3、−CH2−R8であり;
Y及びZは、水素であるか、又はXが−CH2−R8の場合、一緒になって二重結合を形成し;
他の基は上記と同義である)
で示される化合物を得ること、
b)式IXで示される酸の誘導体により13位でエステル化して、式VIII:
【0041】
【化7】

【0042】
(式中、
4、R5、R6、R9は上記と同義であり;
Xは、−O−R3、−N3、−NH−R3、=CH−R8である)
で示される化合物を得ること、
c)場合により保護基を開裂すること、
を含む方法を介する。
【0043】
工程a)のC13ケトンの還元は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素テトラブチルアンモニウム、水素化ホウ素テトラエチルアンモニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な水素化物で実行する。反応は、通常、還元剤の過剰量で行うことが好ましいが、理論量で実行することができる。使用する還元剤によって、反応はアルコール、エーテル、アルコールとエーテルの混合物又は不活性溶媒中において、温度範囲−50℃〜0℃で実行する。
【0044】
工程b)のC13エステル化は、通常、式IX:
【0045】
【化8】

【0046】
(式中、
11及びR13は、同一又は異なることができ、C1〜C6アルキル、アリール又はヘテロアリールであり;
12は、C1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC1〜C4アルコキシである)
で示されるカルボン酸、又は対応する塩の作用によって、カルボジイミド類(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド又はエチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド)などの縮合剤の存在下で、実行される。7−保護バッカチンIIIの13位でのエステル化の他の既知の方法も、またうまく利用することができる。
【0047】
工程c)の保護基は、保護基に関する文献に記載された条件の下で除去する。
【0048】
最も好まれるカルボン酸は、式X:
【0049】
【化9】

【0050】
で示されるN−Boc−イソブチルイソセリン誘導体である。
【0051】
この場合、実施例で示される条件下で、式VIIの化合物とカップリングさせて、式XI:
【0052】
【化10】

【0053】
で示される化合物を得て、それを7位で選択的脱保護することにより、式XII:
【0054】
【化11】

【0055】
で示される化合物を得て、それをオキサゾリジン環の開環に付して、式XIII:
【0056】
【化12】

【0057】
(式中、
X、R3、R4及びR6は上記と同義である)で示される化合物を得る。
【0058】
C13エステル化が式Xで示されるカルボン酸で実行される場合、C7脱保護は、好ましくはオキサゾリジンの開環の前に実施される。
【0059】
Xが−N3である式XIの誘導体は、特に興味深く、それは式XIV:
【0060】
【化13】

【0061】
(式中、
3は、水素、アシル、アルキルであるか、又はR4と一緒になってC=O、C=S、SO、SO2基を形成し;
4は、水素であるか、又はR3と一緒になって、C=O、C=S、SO、SO2基を形成する)
で示される化合物を、以下の工程を含む前記調製方法の代替的調製方法に従って、調製するための有用な中間体である:
a)14−アジド基を還元して、式XV:
【0062】
【化14】

【0063】
で示される化合物を得ること、
b)場合により、アシル化剤又はアルキル化剤で処理して、式XVI:
【0064】
【化15】

【0065】
示される化合物を得ること、
c)C7保護基を開裂し、オキサゾリジンを開環して、式XIVの化合物を得ること。
【0066】
式XIV、XV及びXVIにおける、R3、R4、R5及びR6は、前記定義と同じ意味を有する。
【0067】
想定される治療のための使用については、式IIIの化合物は、適切な医薬製剤の形態で、主に市販のタキサン誘導体(例えば、Paclitaxel 及び Docetaxel)の臨床実務において原則としてかねてから既に使用されているのと同様の非経口投与経路と用量にて、投与されるであろう。
【0068】
下記の実施例は本発明を更に詳細に説明する。
【0069】
実施例1
7−Boc−13−ケトバッカチンIII
CH2Cl2(0.5ml)中の13−ケトバッカチンIII(1.10g、1.9mmol)の溶液を、20℃で四塩化炭素(14ml)に加えた。バッカチン誘導体の部分沈澱が起きた。その後、1−メチルイミダゾール(23μl、0.28mmol)及びジ−tert−ブチル−ジカルボナート(1.03g、4.7mmol)を、アルゴン流下、撹拌しながら加えた。8時間後、更に1−メチル−イミダゾール(16.0μl、0.20mmol)を加えた。溶液を25℃で24時間放置し、次に溶媒を減圧下で蒸発させた。油状残渣を、1:1 アセトン/水の混合物(10ml)に溶解し、20℃で約16時間放置した。沈殿物を濾過し、n−ペンタンで洗浄し、乾燥させて、標記生成物1.12gを得た。母液をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.5:1.0)に付して、更に生成物0.12gを得た。その結果、生成物1.24gを得た(1.81mmol、95%)。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例2
7−TES−13−ケトバッカチンIII
13−ケトバッカチンIII(5g、8.5mmol)、トリエチルシリルクロリド(3.6ml、21.4mmol、2.5当量)及びN−メチルイミダゾール(2.73ml、34.3mmol、4当量)を、無水塩化メチレン(25ml)に溶解した。溶液を室温で1.5時間撹拌しながら放置して、2M NaHSO4溶液(25ml)中に注意深く注いでクエンチした。水相をDCM(2×10ml)で繰り返し抽出し、合わせた有機相をブライン(2×20ml)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて、標記生成物4.7gを得て、それを更に精製しないで次の工程に直接使用した。融点:212℃。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例3
14β−アジド−7−Boc−13−ケトバッカチンIII
THF(1.8ml)及びDMPU(0.8ml)中の7−Boc−13−ケトバッカチンIII(0.149g、0.22mmol)の溶液を、無水THF(1.5ml)中のカリウムtert−ブトキシド(0.064g、0.568mmol)の懸濁液に、−75℃で、窒素流下、強力に撹拌しながら2分かけて加えた。15分後、THF0.7mlに溶解したトシルアジド0.063g(0.33mmol)を、−75℃で2分かけて加えた。2時間後、温度を−50℃に上げ、反応を、氷酢酸0.057ml(1.00mmol)を加えてクエンチした。温度をゆっくりと20℃に上げ、19時間後、反応混合物をEt2O 15mlで希釈し、NH4Cl飽和水溶液10mlで抽出した。有機相を水で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.7:1.0)に付して、標記生成物0.080g(0.10mmol、50%)を得た。
【0074】
【表3】

【0075】
実施例4
14−ジアゾ−7−Boc−13−ケトバッカチンIII及び14−β−(1−p−トルエンスルホニル)トリアゼニル−7−Boc−13−ケトバッカチンIII
THF(0.7ml)及びHMPA(0.2ml)中の7−Boc−13−ケトバッカチンIII(0.03g、0.04mmol)の溶液を、無水THF(0.7ml)中のカリウムtert−ブトキシド(0.013g、0.04mmol)の懸濁液に、−75℃で、窒素流下、強力に撹拌しながら2分かけて加えた。15分後、THF0.2mlに溶解したトシルアジド0.013g(0.07mmol)を、−75℃で2分かけて加えた。2時間後、温度を−50℃に上げ、反応を、NH4Cl飽和溶液5.0mlを加えてクエンチした。温度をゆっくりと20℃に上げ、反応混合物をEt2O 3.0mlで希釈し、NH4Cl飽和水溶液6.0mlで抽出した。有機相を水で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.7:1.0)に付して、7−Boc−14−ジアゾ−13−ケトバッカチンIII及び14β−(1−p−トルエンスルホニル)トリアゼニル−7−Boc−13−ケトバッカチンIII(0.025g、0.028mmol、13%)を、互変異性体の3:1混合物として得た。
【0076】
14−ジアゾ−7−Boc−13−ケトバッカチンIII:
【0077】
【表4】

【0078】
14−β−(1−p−トルエンスルホニル)トリアゼニル−7−Boc−13−ケトバッカチンIII:
【0079】
【表5】

【0080】
実施例5
14β−アミノ−7−Boc−13−ケトバッカチンIII
7:3 アセトニトリル−水 1.5ml中の14β−アジド−7−Boc−13−ケトバッカチンIII 0.04g(0.05mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン0.013g(0.05mmol)を加えた。2時間後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.4:1.0)に付して、標記生成物0.024g(0.03mmol、71%)を得た。
【0081】
【表6】

【0082】
実施例6
14β−アジド−7−TES−13−ケトバッカチンIII
THF7.5ml及びDMPU3.7ml中の7−TES−13−ケトバッカチンIII 1.40g(2.0mmol)の溶液に、窒素流下、THF中の1.0Mカリウムtert−ブトキシド5.2mlの溶液を、−78℃で、強力に撹拌しながら2分かけて加えた。10分後、THF5.8mlに溶解したトシルアジド0.70g(3.6mmol)を、同じ温度でたいへんゆっくりと加えた。反応を、1時間30分後、酢酸0.5ml(9.2mmol)を加えて、クエンチした。温度は自然に室温に達した。24時間後、反応混合物をEt2O 50mlで希釈し、NH4Cl飽和水溶液50mlで抽出した。得られた有機相をH2Oで3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/Et2O、1.8:0.7:0.4)に付して、標記生成物1.12g(1.5mmol、76%)を得た。
【0083】
【表7】

【0084】
実施例7
14−ジアゾ−7−TES−13−ケトバッカチンIII及び14β−(1−p−トルエンスルホニル)トリアゼニル−7−TES−13−ケトバッカチンIII
THF3.5ml及びDMPU0.6ml中の7−TES−13−ケトバッカチンIII 0.22g(0.32mmol)の溶液に、THF中の1.0Mカリウムtert−ブトキシド0.8mlの溶液を、−78℃で、強力に撹拌しながらゆっくりと加えた。15分後、THF0.9mlに溶解したトシラジド0.11g(0.58mmol)を、−70℃にてシリンジで加えた。温度を20分かけて−50℃にした。反応を、1時間後、NH4Cl飽和水溶液4mlを加えてクエンチした。温度を20℃にし、反応混合物をEt2O 3mlで希釈し、NH4Cl飽和水溶液2mlで抽出した。有機相をH2Oで3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、2.1:1.0)に付して、7−TES−13−ケト−14−ジアゾ−バッカチンIII 0.092g(0.13mmol、40%)及び7−TES−13−ケト−14β−(1−p−トルエンスルホニル)トリアゼニル−バッカチンIII 0.062g(0.07mmol、23%)を、互変異性体の混合物として得た。
【0085】
14−ジアゾ−7−TES−13−ケトバッカチンIII:
【0086】
【表8】

【0087】
14β−(1−p−トルエンスルホニル)トリアゼニル−7−TES−13−ケトバッカチンIII:
【0088】
【表9】

【0089】
実施例8
14β−アジド−7−TES−バッカチンIII
THF0.7ml及びエタノール12ml中の14β−アジド−7−TES−13−ケトバッカチンIII 0.46g(0.63mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム0.47g(12.5mmol)を少量ずつ、−40℃で、強力に撹拌しながら加えた。温度が自然に−28度に上がった。4日後、反応を酢酸2mlを加えてクエンチし、酢酸エチル15mlで3回抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、2.1:1.0)に付して、標記生成物0.33g(0.44mmol、70%)を得た。
【0090】
【表10】

【0091】
実施例9
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−14β−アジド−7−TES−バッカチンIII
0℃に冷却したトルエン5ml中のN−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリン酸0.074g(0.18mmol)の溶液に、7−TES−14β−アジド−バッカチンIII 0.08g(0.11mmol)、ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)0.04g(0.18mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.01g(0.12mmol)及びp−トルエンスルホン酸(PTSA)0.003g(0.02mmol)を、窒素流下、撹拌しながら加えた。70℃で1時間後、反応混合物を冷却し、濾過し、固体をジクロロメタンで3回洗浄した;続いて合わせた有機相を減圧下蒸発させた。粗反応をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、2.2:1.0)に付して、標記生成物0.089g(0.08mmol、72%)を得た。
【0092】
【表11】

【0093】
実施例10
13−(N−Boc−β−イソブチルイソセリノイル)−14β−アジド−バッカチンIII
アセトニトリル2ml及びピリジン2ml中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル)−14β−アジド−7−TES−バッカチンIII 0.080g(0.07mmol)の溶液に、フッ化水素酸−ピリジン0.8ml(0.1ml/基質10mg)を、0℃で加えた。30分後、温度を25℃にした。3時間後、反応を、NH4Cl飽和溶液4mlを加えてクエンチし、AcOEt 8mlで3回抽出した。有機相をCuSO4飽和水溶液で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗反応(ジクロロメタン1.5ml中に溶解)を、MeOH中の0.1M塩化アセチル溶液0.7mlに、0℃で加えた。3時間後、反応をNH4Cl飽和水溶液3mlを加えてクエンチした。有機相を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.0:1.2)に付して、標記生成物0.04g(0.05mmol、70%)を得た。
【0094】
【表12】

【0095】
実施例11
14β−アミノ−7−TES−13−ケトバッカチンIII
アセトニトリル/水 9/1の混合溶液3.2ml中の14β−アジド−7−TES−13−ケトバッカチンIII 0.08g(0.11mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン0.03g(0.12mmol)を加えた。反応を5℃に冷却し、18時間後、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/ET2O、1.8:0.7:0.3)に付して、標記生成物0.07g(0.11mmol、97%)を得た。
【0096】
【表13】

【0097】
実施例12
14β−アミノ−7−TES−13−ケトバッカチンIII 14,1−カルバマート
CH2Cl2 6ml中の14β−アミノ−7−TES−13−ケトバッカチンIII 0.18g(0.26mmol)の溶液に、トルエン中の1.93Mホスゲンの溶液0.13ml(0.26mmol)及びピリジン0.04ml(0.51mmol)を、−78℃で撹拌しながら加えた。1時間後、反応混合物を、水5mlを加えてクエンチし、ジクロロメタン10mlで抽出した;有機相をブラインで3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/ET2O、1.8:0.7:0.3)に付して、標記生成物0.16g(0.22mmol、86%)を得た。
【0098】
【表14】

【0099】
実施例13
14β−アミノ−7−TES−13−バッカチンIII 14,1−カルバマート
エタノール4ml中の14β−アミノ−7−TES−13−ケトバッカチンIII 14,1−カルバマート0.07g(0.1mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム0.056g(1.49mmol)を、−40℃で撹拌しながら加えた。温度を−18℃にし、次に4時間後、更なる水素化ホウ素ナトリウム0.04g(1.0mmol)を加えた。18時間後、反応混合物を、酢酸2mlを加えてクエンチし、酢酸エチル10mlで抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣の1H−NMRスペクトルは、14β−アミノ−7−TES−バッカチンIII 14,1−カルバマートの存在及び、α/β=62/38の比率中においてその13βエピマーの存在を示した。混合物をクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/EtOAc、1.0:0.9)に付して、標記生成物0.04g(0.06mmol、62%)を得た。
【0100】
【表15】

【0101】
実施例14
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−14β−アミノ−7−TES−バッカチンIII 14,1−カルバマート
0℃に冷却したトルエン6ml中のN−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリン0.124g(0.30mmol)の溶液に、7−TES−14β−アミノ−バッカチンIII 14,1−カルバマート0.102g(0.14mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)0.06g(0.30mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.02g(0.15mmol)及びp−トルエンスルホン酸(PTSA)0.005g(0.03mmol)を、窒素流下、撹拌しながら加えた。70℃で2時間後、更にN−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリン0.045g(0.11mmol)及びDCC 0.022g(0.11mmol)を加えた。更に3時間後、反応を冷却し、濾過した。固体をジクロロメタンで3回洗浄した;続いて合わせた有機相を減圧下で濃縮した。反応混合物をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2、1.0:0.6:0.6)に付して、標記生成物0.136g(0.12mmol、86%)を得た。
【0102】
【表16】

【0103】
実施例15
13−(N−Boc−β−イソブチルイソセリノイル)−14β−アミノ−バッカチンIII 14,1−カルバマート
ジクロロメタン1.6ml中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−14β−アミノ−7−TES−バッカチンIII 14,1−カルバマート0.114g(0.10mmol)の溶液に、メタノール中の0.01M塩化アセチル溶液1.02mlを、0℃で加えた。5℃で24時間後、反応混合物をNH4Cl飽和水溶液7mlを加えてクエンチし、AcOEt 10mlで抽出した。続いて、合わせた有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮した。クロマトグラフィーの精製(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/ET2O、1:0.7:0.3)に付して、標記化合物0.06g(0.061mmol、66%)を得た。
【0104】
【表17】

【0105】
実施例16
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−14β−アミノ−バッカチンIII
触媒量のパラジウム担持炭を、MeoH 2.0ml中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−14β−アジド−7−TES−バッカチンIII 0.052g(0.05mmol)の溶液に加え、次にその中に水素ガスを泡立てた。室温にて18時間後、反応混合物をセライトベッドを通して濾過し、固体を酢酸エチル6mlで洗浄した。得られた有機相を45℃に20分間加熱し、続いて、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2、0.7:0.3:1.0)に付して、標記生成物0.72g(0.064mmol、70%)を得た。
【0106】
【表18】

【0107】
実施例17
13−(N−Boc−β−イソブチルイソセリノイル)−14β−アミノ−バッカチンIII
アセトニトリル2.7ml及びピリジン2.7ml中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−14β−アミノ−バッカチンIII 0.107g(0.09mmol)の溶液に、フッ化水素酸−ピリジン10.7ml(0.1ml/基質10mg)を、0℃で加えた。30分後、温度を25℃にした。3時間後、反応をNH4Cl飽和水溶液6mlを加えてクエンチし、AcOEt 8mlで3回抽出した。有機相をCuSO4飽和水溶液で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗反応を、ジクロロメタン3.5mlに溶解し、次にMeOH中の0.1M塩化アセチル溶液1.15mlを0℃で加えた。3時間後、反応をNH4Cl飽和水溶液5mlを加えてクエンチし、AcOEt 8mlで抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.0:1.2)に付して、標記生成物0.05g(0.06mmol、70%)を得た。
【0108】
【表19】

【0109】
実施例18
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−14β−t−ブトキシカルバモイル−バッカチンIII 14,1−カルバマート
ジクロロメタン3ml中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−14β−アミノ−バッカチンIII 0.11g(0.10mmol)の溶液に、BOC2O 0.04g(0.20mmol)、トリエチルアミン0.03ml(0.21mmol)及びジメチルアミノピリジン0.006g(0.05mmol)を室温にて加えた。3時間後、反応をNH4Cl飽和水溶液4mlを加えてクエンチし、ジクロロメタン6mlで3回抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/CHCl3、8.0:3.0:5.0)に付して、標記生成物0.09g(0.06mmol、69%)を得た。
【0110】
【表20】

【0111】
実施例19
13−(N−Boc−β−イソブチルイソセリノイル)−14β−t−ブトキシカルバモイル−バッカチンIII 14,1−カルバマート
アセトニトリル2.1ml及びピリジン2.1ml中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−14β−t−ブトキシカルバモイル−バッカチンIII 14,1−カルバマート0.08g(0.07mmol)の溶液に、フッ化水素酸−ピリジン0.8ml(0.1ml/基質10mg)を、0℃で加えた。30分後、温度を25℃にした。3時間後、反応をNH4Cl飽和水溶液6mlを加えてクエンチし、AcOEt 7mlで3回抽出した。有機相をCuSO4飽和水溶液で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗反応を、ジクロロメタン3mlに溶解し、次にMeOH中の0.1M塩化アセチル溶液0.82mlを、0℃で加えた。3時間後、反応をNH4Cl飽和水溶液7mlを加えてクエンチし、AcOEt 8mlで抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた混合物をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.0:1.2)に付して、標記生成物0.03g(0.06mmol、46%)を得た。
【0112】
【表21】

【0113】
実施例20
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−14β−アミノ−バッカチンIII 14,1−チオカルバマート
アセトニトリル7ml中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−14β−アミノ−バッカチンIII 0.171g(0.15mmol)の溶液に、ジ−2−ピリジル−チオノカルボネート0.14g(0.61mmol)を、室温で加えた。2時間後、反応混合物を水4mlを加えてクエンチし、ジクロロメタン6mlで3回抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2、7.0:5.0:8.0)に付して、標記生成物0.13g(0.11mmol、69%)を得た。
【0114】
【表22】

【0115】
実施例21
13−(N−Boc−β−イソブチルイソセリノイル)−14β−アミノ−バッカチンIII 14,1−チオカルバマート
アセトニトリル2.7ml及びピリジン2.7ml中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−14β−アミノ−バッカチンIII 14,1−チオカルバマート0.11g(0.10mmol)の溶液に、フッ化水素酸−ピリジン1.1mlを、0℃で加えた。30分後、温度を25℃に上げた。2時間後、反応をNH4Cl飽和水溶液6mlを加えてクエンチし、AcOEt 11mlで3回抽出した。有機相をCuSO4飽和水溶液で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗反応(ジクロロメタン4ml中に溶解)に、MeOH中の0.1M塩化アセチル溶液1.2mlを、0℃で加えた。3時間後、反応をNH4Cl飽和水溶液7mlを加えてクエンチし、AcOEt 8mlで抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.4:1)に付して、標記生成物0.03g(0.05mmol、62%)を得た。
【0116】
【表23】

【0117】
実施例22
7−TES−14(Boc)−トリアゼニル−13−ケトバッカチンIII
カリウムtert−ブトキシド(0.06g、0.52mmol)を、無水THF 1.5ml中で、窒素流下、強力に撹拌しながら、−75℃にて懸濁した。10分後、THF 1.0ml及びDMPU 0.7ml中の7−TES−13−ケトバッカチンIII 0.13g(0.19mmol)の溶液を、3分かけて同じ温度で加えた。15分後、THF 1mlに溶解したterBoc−アジド0.06g(0.41mmol)を、2分かけて−70℃で加えた。2時間後、温度を−50℃に上げた後、反応をNH4Cl飽和水溶液5.0mlを加えてクエンチした。温度をゆっくりと20℃に上げ、反応混合物をEt2O 3.0mlで希釈し、NH4Cl飽和水溶液6.0mlで抽出した。有機相を水で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、2.3:1.0)に付して、標記生成物0.022g(0.26mmol、50%)を得た。
【0118】
【表24】

【0119】
実施例23
14−〔N,N′−ビス−(ベンジルオキシカルボニル)ヒドラジノ〕−7−Boc−13−ケトバッカチンIII
カリウムtert−ブトキシド0.16g(1.47mmol)を、無水THF 3.0ml中で、窒素流下、強力に撹拌しながら、−72℃にて懸濁した。混合物に、THF 2.5ml及びDMPU 1.8ml中の7−Boc−13−ケトバッカチンIII 0.37g(0.54mmol)を、2分かけて同じ温度で加えた。15分後、THF 3.0ml及びDMPU 0.2mlに溶解したジ−tert−ベンジル−アゾジカルボン酸0.32g(1.19mmol)を、−68℃でゆっくりと加えた。温度を−50℃に上げ、8時間後、反応混合物を、エチルエーテル10mlで希釈した酢酸2ml(0.03mmol)を加えてクエンチし、NH4Cl飽和水溶液10mlで抽出した。有機相を水で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.3:5.0)に付して、標記生成物0.30g(0.29mmol、55%)を得た。
【0120】
【表25】

【0121】
実施例24
14−〔N,N′−ビス−(Boc)ヒドラジノ〕−7−Boc−13−ケトバッカチンIII
カリウムtert−ブトキシド0.16g(1.47mmol)を、無水THF 3.0ml中で、窒素流下、強力に撹拌しながら、−72℃にて懸濁した。混合物に、THF 2.5ml及びDMPU 1.8ml中の7−Boc−13−ケトバッカチンIII 0.37g(0.54mmol)を、2分かけて同じ温度で加えた。15分後、THF 3.0ml及びDMPU 0.2mlに溶解したジ−tert−ブチル−アゾジカルボン酸0.27g(1.19mmol)を、−68℃でゆっくりと加えた。1時間後、反応を、エチルエーテル10mlで希釈した酢酸2ml(0.03mmol)を加えてクエンチし、NH4Cl飽和水溶液で抽出した。有機相を水で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc、1.3:5.0)に付して、標記生成物0.35g(0.370mmol、70%)を得た。
【0122】
【表26】

【0123】
実施例25
13−ケトバッカチンIII 13,14−トリイソプロピルシリル エノールエーテル
無水THF 2ml中の7−TES−13−ケトバッカチンIII 0.07g(0.10mmol)の溶液に、1.0Mカリウムtert−ブトキシド溶液0.25ml(0.25mmol)を、窒素流下、撹拌しながら、−75℃で加えた。12分後、塩化トリイソプロピルシリル0.04ml(0.17mmol)をシリンジを用いて同じ温度で大変ゆっくりと加えた。45分後、反応をNH4Cl飽和水溶液7mlを加えてクエンチし、Et2O 15.0mlで3回抽出した。有機相を水で4回洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/EtOAc/Et2O、1.8:0.7:0.5)に付して、標記化合物0.035g(0.04mmol、43%)を得た。
【0124】
【表27】

【0125】
実施例26
7−TES−13−ケトバッカチンIII 13,14−ジエチルホスホエノラート
無水THF(7.5ml)中の7−TES−13−ケトバッカチンIII(258mg、M.W.=698g/mol、0.37mmol)の溶液に、トルエン中のKHMDS(1.7ml、0.85mmol、2.3当量)の0.5M溶液を、窒素下、−78℃で一滴ずつ加えた。−78℃にて1時間撹拌した後、ジエチルクロロホスリン酸(80μl、M.W=172.55g/mol、0.55mmol、1.2g/ml、1.5当量)を、そこに加えた。混合物を−78℃で30分間、0℃で1.5時間、室温で一晩、撹拌しながら放置し、次に水(15ml)を加え、AcOEt(3×15ml)で抽出した。粗(300mg)を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt:ヘキサン 1:1)により精製して、所望の生成物(150mg、M.W.=834g/mol、0.18mmol)を、収率48%で得た。TLC(AcOEt:ヘキサン 1:1)R=0.26
【0126】
実施例27
7−Boc−13−ケトバッカチンIII 13,14−Boc−エノールエステル
塩化メチレン(5.0ml)中の13−ケトバッカチンIII(0.525g、0.9mmol)及びDMAP(9mg、70mmol)の溶液に、Boc無水物(0.236g、1.10mmol)を撹拌しながら加えた。溶液を室温で一晩撹拌しながら放置した。溶媒を減圧下で除去し、油状残渣を50%アセトン水溶液(10ml)に溶解し、1時間撹拌しながら放置した。溶液を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に蒸発させた。残渣をシリカのクロマトグラフィーに付して、標記生成物0.36g(0.52mmol、58%)、未反応の生成物80mg及び7−Boc−13−ケトバッカチンIII 50mgを得た。
【0127】
【表28】

【0128】
実施例28
7−TES−13−ケト−14−(N,N′−ビス−(ベンジルオキシカルボニル)ヒドラジノ)−バッカチンIII
無水THF(12ml)及びDMPU(2.5ml)中の13−ケト−7−TES−バッカチンIII(450mg、0.64mmol)の溶液を、窒素下、撹拌しながら−70℃に冷却し、次にカリウムtert−ブトキシド(1.61ml、THF中1M、1.61mmol)を一滴ずつ加えた。溶液を−65℃で45分間撹拌し、次にジベンジルアザジカルボン酸(276mg、90%、0.82mmol)を加え、TLCにより反応を検査した:2時間後、変換がまだ不完全だったので、従って更にジベンジルアザジカルボン酸(69mg、0.20mmol)を加えた。1時間後、反応を酢酸(0.15ml、THF中40%)で処理し、室温に温め、次にNaCl飽和水溶液(10ml)で希釈し、AcOEt(2×10ml)で抽出した。有機相をNaCl飽和水溶液(10ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2中の1→2%AcOEt)により精製し、標記生成物(451mg、70%)及び13−ケト−7−TES−バッカチンIII(45mg、10%)を得た。R=0.6(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);融点181〜182℃(Et2O/EtP);
【0129】
【表29】

【0130】
実施例29
7−TES−13−ケト−14−ヒドラジノ−バッカチンIII
AcOEt(45ml)中の13−ケト−7−TES−14−(N,N′−ビス−(ベンジルオキシカルボニル)−ヒドラジノ)−バッカチン(564mg、0.55mmol)の溶液を、触媒として10%Pd/C(557mg)を用いて、45分間水素化した。触媒をセライトで濾取し、次に溶媒を加熱せずに減圧下で蒸発させて、標記生成物(386mg、96%)を得た。この化合物は、種々の条件(クロマトグラフカラム)及び溶媒(CDCl3)において不安定であった。R=0.2(シリカ、CH2Cl2中5%AcOEt);
【0131】
【表30】

【0132】
実施例30
7−TES−13−ケト−バッカチンIII〔14,1−d〕−3,4−デヒドロフラン−2−オン
無水THF(20ml)中の13−ケト−7−TES−バッカチン(600mg、0.86mmol)の溶液を、窒素下、撹拌しながら−70℃に冷却し、次にカリウムtert−ブトキシド(2.16ml、THF中1M、2.16mmol)を一滴ずつ加え、−65℃で45分間撹拌した。次に、エチルグリオキシラート(0.36ml、トルエン中50%、1.29mmol)を加え、TLCにより反応を検査した:2時間後、変換はまだ不完全で、従って更にジベンジルアザジカルボン酸(0.12ml、0.43mmol)を加えた。1時間後、反応を無水クエン酸(290mg)で処理し、室温に温め、次に直ちにカラムクロマトグラフィー(シリカ、シクロヘキサン中10→20%AcOEt)に付して精製し、標記生成物(503mg、79%)を黄色の固体として得た。R=0.55(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt)融点252〜253℃(Et2O/EtP);
【0133】
【表31】

【0134】
実施例31
7−TES−13,14−デヒドロ−バッカチンIII〔14,1−d〕−フラン−2−オン
AcOEt(10ml)中の13−ケト−7−TES−バッカチン〔14,1−d〕−3,4−デヒドロフラン−2−オン誘導体(90mg、0.12mmol)の溶液を、触媒として10%Pd/C(90mg)を用いて、45分間水素化した。触媒をセライトで濾取し、次に溶媒を蒸発させ、残渣をカラム(シリカ、シクロヘキサン中20→50%AcOEt)で精製して、標記生成物(67mg、75%)を白色の固体として得た。R=0.2(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);融点235〜236℃(EtOAc/ヘキサン);
【0135】
【表32】

【0136】
実施例32
7−TES−バッカチン〔14,1−d〕−3,4−デヒロドロフラン−2−オン
MeOH(10ml)中のBu4NBH4(180mg、0.7mmol)の溶液を、撹拌しながら−30℃に冷却し、次にTHF(1ml)中の7−TES−13−ケトバッカチン〔14,1−d〕−3,4−デヒドロフラン−2−オン(200mg、0.28mmol)の溶液に滴加した。30分後、反応混合物をクエン酸(180mg)で処理し、室温で温めた。水(10ml)を加えた後、混合物をAcOEt(2×10ml)で抽出し、有機相を水(5ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中20→30%AcOEt)に付して精製し、7−TES−13,14−デヒドロ−バッカチン〔14,1−d〕−フラン−2−オン(103mg、52%)及び標記生成物(52mg、26%)を白色の固体として得た。R=0.15(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);
【0137】
【表33】

【0138】
実施例33
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−バッカチン−〔14,1−d〕−3,4−デヒドロフラン−2−オン
【0139】
N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリンの調製
N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリンナトリウム塩(72mg、0.168mmol)を、水(5ml)に溶解し、CH2Cl2(3ml)を加えた。NaHSO4水溶液(2M、0.15ml)をそこに滴加して、pHを3.0に調整した。数分間撹拌し、有機相を分離し、水相をCH2Cl2(2ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(5ml)及びNaCl飽和水溶液(5ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させて、遊離酸(68mg、100%)を白色の固体として得た。
【0140】
エステル化
7−TES−13,14−デヒドロ−バッカチン〔14,1−d〕−フラン−2−オン(100mg、0.14mmol)を、トルエン(4ml)に懸濁し、CH2Cl2(2ml)に溶解したN−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリン(68mg、0.168mmol)を一滴ずつ加え、次にN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(7mg)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(35mg、0.168mmol)を一滴ずつ加えた。反応混合物を70℃で3時間加熱し、次に冷却し、DCUが完全に沈澱するまで室温に保った。沈殿物を濾過し(DCU)、トルエン(2×3ml)で洗浄し、次に濾液を飽和NaHCO3(5ml)で、次に0.4M HCl(10ml)で洗浄してDMAPを除去し、最後に飽和NaHCO3(5ml)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、蒸発乾固した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中20→30%AcOEt)に付して精製して、標記生成物(88mg、56%)を含む最初の画分を得た。R=0.55(シリカ、シクロヘキサン中20%AcOEt);融点150〜153℃(iPR2O/EtP);
【0141】
【表34】

【0142】
実施例34
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−バッカチン−〔14,1−d〕−3,4−デヒドロフラン−2−オン
アセトニトリル(3ml)及びピリジン(3ml)中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−7−TES−バッカチン−〔14,1−d〕−3,4−デヒドロフラン−2−オン(63mg、0.056mmol)の溶液を、ポリエチレン容器中で撹拌し、0℃に冷却した。HF−ピリジン(0.4ml)の溶液を、そこにゆっくりと加え、次に混合物を室温にあたため、24時間撹拌し続け、次に氷水(10ml)に注ぎ、CH2Cl2(2×5ml)で抽出した。有機相を、2M NaHSO4で洗浄してpH2にし、次に5%NaHCO3(5ml)で、最後にNaCl飽和溶液(5ml)で洗浄した。混合物をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中25→35%AcOEt)に付して精製して、標記生成物(45mg、80%)を白色の固体として得た。R=0.3(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);
【0143】
【表35】

【0144】
実施例35
13−〔N−Boc−β−イソブチルイソセリノイル〕−バッカチン−〔14,1−d〕−3,4−デヒドロフラン−2−オン
CH2Cl2(4ml)中の13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−バッカチン−〔14,1−d〕−3,4−デヒドロフラン−2−オン誘導体(44mg、0.04mmol)の溶液を、撹拌しながら0℃に冷却した。メタノール(0.01M、0.7ml)中の塩化アセチルの溶液を、混合物に滴加し、それを室温に温め、TLCにより反応を検査した:18時間後、出発物質がまだ部分的に存在したので、更なる量の塩化アセチル溶液(0.3ml)を加えた。3時間後、NH4Cl飽和溶液(4ml)を加え、有機相をNa2SO4で乾燥させ、蒸発させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中25→35%AcOEt)に付して精製して、標記生成物(30mg、85%)を白色の固体として得た。R=0.2(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);融点149〜154℃(CH2Cl2/iPR2O);
【0145】
【表36】

【0146】
実施例36
13−カルベトキシ−7−TES−13,14−デヒドロ−バッカチン
無水THF(5ml)及びDMPU(1ml)中の13−ケト−7−TES−バッカチン(150mg、0.21mmol)の溶液を、窒素下、撹拌しながら−70℃に冷却した。カリウムtert−ブトキシド(0.54ml、THF中1M、0.54mmol)を、そこに滴加し、混合物を45分間−65℃で撹拌し続け、次にClCOOEt(31L、0.31mmol)を加え、TLCにより反応を検査した:2時間30分後、酢酸(0.05ml、THF中40%)を混合物に滴加し、それを室温で温めておいた。NaCl飽和溶液(5ml)で希釈した後、反応混合物をAcOEt(2×5ml)で抽出し、有機相をNaCl飽和溶液(5ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、シリカのクロマトグラフィー(CH2Cl2中1→5%AcOEt)に付して精製して、標記生成物(136mg、82%)を得た。R=0.55(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);
【0147】
【表37】

【0148】
実施例37
13−カルボベンジルオキシ−7−TES−13,14−デヒドロ−バッカチンIII
無水THF(5ml)及びDMPU(1ml)中の13−ケト−7−TES−バッカチンIII(150mg、0.21mmol)の溶液を、窒素下、撹拌しながら−70℃に冷却した。カリウムtert−ブトキシド(0.54ml、THF中1M、0.54mmol)を、混合物に滴加し、それを45分間−65℃で撹拌し続け、次にClCOOCH2Ph(49μl、0.31mmol)を加え、TLCにより反応を検査した:2時間30分後、酢酸(0.05ml、THF中40%)を反応に滴加し、それを室温に温めておいた。NaCl飽和溶液(5ml)で希釈した後、反応混合物をAcOEt(2×5ml)で抽出し、有機相をNaCl飽和溶液(5ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、シリカのクロマトグラフィー(CH2Cl2中1→3%AcOEt)に付して精製して、標記生成物(117mg、67%)を得た。R=0.6(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);
【0149】
【表38】

【0150】
実施例38
14−ヒドロキシ−13−ケト−7−TES−バッカチンIII 1,14−亜硫酸塩
無水CH2Cl2(3ml)中の14−ヒドロキシ−13−ケト−7−TES−バッカチン(300mg、0.42mmol)の溶液を、無水CH2Cl2(6ml)中のSOCl2(0.092ml、1.26mmol)及びトリエチルアミン(0.35ml、2.52mmol)の溶液に、0℃で滴加した。反応混合物を20分間撹拌し続け、次に氷−水(10ml)に注ぎ、分離した有機相を水(10ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、シリカクロマトグラフィー(シクロヘキサン中10→20%AcOEt)に付して精製して、2つの亜硫酸異性体A(86mg、27%)及びB(201mg、63%)を、黄色の個体として得た。
【0151】
異性体A−R=0.65(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);
【0152】
【表39】

【0153】
異性体B−R=0.60(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);
【0154】
【表40】

【0155】
実施例39
14−ヒドロキシ−13−ケト−7−TES−バッカチンIII 1,14−硫酸塩
方法A:無水CH2Cl2(3ml)中の14−ヒドロキシ−13−ケト−7−TES−バッカチンIII(300mg、0.42mmol)の溶液を、無水CH2Cl2(6ml)中のSO2Cl2(0.1ml、1.26mmol)及びトリエチルアミン(0.35ml、2.52mmol)の溶液に、0℃で滴加した。反応混合物を20分間撹拌し続け、次に氷−水(10ml)に注ぎ、分離した有機相を水(10ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残渣を、シリカのクロマトグラフィー(シクロヘキサン中10→20%AcOEt)に付して精製して、標記生成物(145mg、45%)及び極性の少ない生成物(53mg)を、黄色の個体として得た。
【0156】
方法B:CCl4(2ml)及びCH3CN(2ml)中の14−ヒドロキシ−13−ケト−7−TES−バッカチンIII 1,14−亜硫酸塩(異性体B)(91mg、0.12mmol)の溶液を、0℃に冷却し、次にRuCl3(1mg)、NaIO4(38mg、0.18mmol)、最後に水(3ml)を順次加えた:反応混合物は暗色になり、15分間撹拌し、次にエチルエーテル(10ml)に注ぎ、2相に分離した。水相をエチルエーテル(5ml)で抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させて、標記生成物(90mg、97%)を得た。
=0.65(シリカ、シクロヘキサン中50%AcOEt);
【0157】
【表41】

【0158】
実施例40
14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−13−ケトバッカチンIII
−50℃に冷却したTHF中の1M t−BuOK(2.5ml、0.86mmol)溶液を、無水THF(9ml)及びDMPU(2ml)中の2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−13−ケトバッカチンIII(670mg、0.96mmol)の溶液に、滴加し、−50℃で冷却した。溶液を45分間−60℃で撹拌し続け、次に無水THF(2ml)中の(±)−カンファースルホニル−オキサジリジン(440mg、2mmol)の溶液を、滴加した。混合物を−60℃で3時間撹拌し、次に無水THF(2ml)中の10%氷酢酸溶液で処理した。混合物を室温に温めておき、次にDCM(2×10ml)で抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。粗生成物を、更に精製せずに次の工程に使用した。
【0159】
【表42】

【0160】
実施例41
14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−13−ケトバッカチンIII 1,14−炭酸塩
無水DCM(50ml)及びピリジン(16ml)中の14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−13−ケトバッカチンIII(12.2g)の溶液を、DCM(45ml、5当量)中の20%ホスゲン溶液中に、−10℃で滴加した。2時間後、5%NaHCO3水溶液(100ml)をそこへ滴加した。水相をDCM(3×50ml)で逆抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。粗反応生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM−AcOEt=50:1)に付して精製して、所望の化合物を95%の収率で得た。
【0161】
【表43】

【0162】
実施例42
14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−バッカチンIII 1,14−炭酸塩
無水メタノール(10ml)中の水素化ホウ素テトラエチルアンモニウム(12当量)の懸濁液を、−50℃に冷却し、メタノール(10ml)中の14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−13−バッカチンIII 1,14−炭酸塩(0.5g、0.6mmol)の溶液に加えた。出発材料が消滅した後(8時間)、反応をクエン酸で処理し、次に酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。得られた粗をクロマトグラフィーに付して精製し、所望の化合物を60%の収率で得た。
【0163】
【表44】

【0164】
実施例43
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−バッカチンIII 1,14−炭酸塩
生成物を、実施例33に記載の同様の手順に従って、14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−バッカチンIII 1,14−炭酸塩から得た。
【0165】
【表45】

【0166】
実施例44
13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイルバッカチンIII 1,14−炭酸塩
生成物を、実施例34に記載の同様の手順に従って、13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−バッカチンIII 1,14−炭酸塩から得た。
【0167】
【表46】

【0168】
実施例45
13−(N−Boc−β−イソブチルイソセリノイル)−14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイルバッカチンIII 1,14−炭酸塩
生成物を、実施例35に記載の同様の手順に従って、13−〔N−Boc−N,O−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−β−イソブチルイソセリノイル〕−14β−ヒドロキシ−2−デベンゾイル−2−m−メトキシベンゾイル−7−TES−バッカチンIII 1,14−炭酸塩から得た。
【0169】
【表47】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式III:
【化16】


(式中、
Xは、−N3、−NH2、−NH−R3、=CH−R8であるか、又はR6がフェニルと異なる場合、−O−R3であり、
2は、水素又はアシルであり;
3は、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル、チオカルボニル、SO、SO2基を形成し;
4は、水素であるか、又はR3若しくはR8と一緒になって、R3及びR8のそれぞれの定義に記載された基を形成し;
5は、水素又はアルコール保護基であり;
6は、アリール、置換アリール、ヘテロアリールであるが、但しXがOR3の場合、フェニルと異なり;
8は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル基を形成し;
9は、アシル又はヒドロキシアミノアシル基である)
で示される化合物。
【請求項2】
式IIIの化合物を製造する方法であって、
式II:
【化17】


(式中、
Eは、−N3、−NH−R3、=CH−R8であるか、又はR6がフェニルと異なる場合、−O−R3であり、
そしてR2、R5、R4及びR6は、請求項1と同義である)
で示される化合物から、
a)C13カルボニルの還元により、式VII:
【化18】


(式中、
Xは、−O−R3、−N3、−NH−R3、−CH2−R8であり;
Y及びZは、水素であるか、又はXが−CH2−R8の場合、一緒になって二重結合を形成し;
そしてその他の基は、上記と同義である)の化合物を得ること;
b)式IXで示される酸誘導体により13位でエステル化して、式VIII:
【化19】


(式中、
4、R5、R6、R9及びXは、上記と同義である)の化合物を得ること;
c)場合により保護基を開裂すること
を含む方法。
【請求項3】
式Iの化合物から、式IIの化合物を製造する方法:
【化20】


(式中、
1は、アルコール保護基であり;
2は、アシル基又はアルコール保護基であり;
Eは、−OH、−O−R3、=N2、−N3、−NH22、−NH−R3、−NH−NH2、−NH−N=N−Ts、−NH−N=N−Boc、−N(CO27)NHCO27、=CH−R8であり;
Tsは、p−トルエンスルホニルであり;
3は、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル、チオカルボニル、SO、SO2基を形成し;
4は、水素であるか、又はR3若しくはR8と一緒になって、R3及びR8のそれぞれの定義に記載された基を形成し;
5は、水素又はアルコール保護基であり;
6は、アリール、置換アリール、ヘテロアリールであり;
7は、C1〜C4アルキル、アリール又はアリールアルキル基であり;
8は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル基を形成する)
であって、
a)式Iで示される7−保護13−ケトバッカチンを塩基で処理して、式IVで示されるエノラート中間体を形成すること;
b)エノラートIVを、E基に変換できる適切な求電子試薬により、又はアシル化剤、アルキル化剤若しくシリル化剤により、クエンチして、式V:
【化21】


(式中、R10は、アルキル、アシル、又はシリル基である)
の化合物を得て、次にそれを化合物IIに変換できること
を含む方法。
【請求項4】
式XIIIの化合物から出発して、式XIVの化合物を製造する方法:
【化22】


(式中、
2は、アシル基、又はアルコール保護基であり;
3は、水素、アシル、アルキルであるか、又はR4と一緒になって、C=O、C=S、SO、SO2基を形成し;
4は、水素であるか、又はR3と一緒になって、C=O、C=S、SO、SO2基を形成し
5は、水素又はアルコール保護基であり;
6は、アリール、置換アリール、ヘテロアリールである)
であって、
a)アジド基をアミノ基に選択的還元すること;
b)場合により、アルキル化剤又はアシル化剤により処理すること;
c)C7保護基を開裂させること;
d)オキサゾリジンを開環すること
を含む方法。
【請求項5】
式II:
【化23】


(式中、
E、R2、R4、R5及びR6は、請求項3と同義である)
で示される化合物。
【請求項6】
式IV、式V:
【化24】


(式中、
Mは、アルカリ金属であり;
10が、アシル、アルキル、シリル又はホスホ基であり;
1、R2、R3が、請求項3と同義である)
で示される化合物。
【請求項7】
式VII:
【化25】


(式中、
2、R4、R5、R6、X、Z及びYは、請求項2と同義である)
で示される化合物。
【請求項8】
式XI及び式XII:
【化26】


(式中、
Xは、−N3、−NH−R3、=CH−R8であるか、又はR6がフェニルと異なる場合、−O−R3であり;
3は、アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になって、カルボニル、チオカルボニル、SO、SO2基を形成し;
4は、水素であるか、又はR3若しくはR8と一緒なって、R3及びR8のそれぞれの定義に記載された基を形成し;
6は、アリール、置換アリール又はヘテロアリールであり;
5は、水素又はアルコール保護基であり;
8は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシカルボニルであるか、又はR4と一緒になってカルボニル基を形成する)
で示される化合物。

【公開番号】特開2010−270145(P2010−270145A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−172650(P2010−172650)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【分割の表示】特願2004−535440(P2004−535440)の分割
【原出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【出願人】(397068654)インデナ・ソチエタ・ペル・アチオニ (20)
【Fターム(参考)】