説明

2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリドの偽多形

【課題】抗ヒスタミン作用を有する医薬であるエフレチリジン、すなわち2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリドの新規結晶、該結晶の製造方法および該結晶を含有する医薬組成物の提供。
【解決手段】2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリドの新規偽多形であり、X線回折パターンで定義される無水2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド及び該結晶の一水和物、並びにこれらの偽多形相結晶の製造方法。また、該偽多形相結晶、遅効賦形剤およびシクロデキストリンを含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリドの新規偽多形相結晶型、それらの調製方法及びそれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸は、エフレチリジン(INN:国際的非慣用名)としても知られ、以下エフレチリジンとし、以下の化学式
【0003】
【化1】

【0004】
で表される化合物である。
エフレチリジンは、本件出願人の欧州特許番号58146の一般式Iに含まれ、これは置換ベンズヒドリルピペラジン誘導体に関する。
セチリジン(INN)としても知られ、そして以下これはセチリジンと称する2−〔2−〔4−〔(4−クロロフェニル)フェニルメチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸と同様に、エフレチリジンは卓越した抗ヒスタミン作用を持つことが見出された。これは第二世代の医薬物である、ヒスタミンH1 −受容体拮抗薬に属し、そして、in vitroにおいてH1 −受容体に対して高い新和性及び選択性を示す。セチリジンの様に、これは抗アレルギー作用、抗ヒスタミン作用、気管支拡張作用及び抗痙攣作用を持つ薬剤として有用である。近年の臨床研究は、アレルギー性鼻炎及び鼻腔結膜炎の治療のために、鼻腔用スプレーの形態として投与される際のエフレチリジンの有用性を有している(J.-F. Dessanges et al., Allergy and Clin. Immunol. News (1994), Suppl. n°2, abstract 1864;C. De Vos et al., Allergy and Clin. Immunol. News (1994), Suppl. n°2, abstract 428)。
【0005】
近年の別の臨床上の薬学的研究は(発行予定)、エフレチリジンが蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、及びそう痒症などの治療において予期していなかった良い結果を与える事を示した。
エフレチリジンに対する治療学上の関心の高まりにより、我々はエフレチリジンを含む医薬組成物の調製を試みた。
【0006】
エフレチリジンは無定形固体である。しかしこれは、特に規定された要求に応じるために調製の際に常に同じ方法で機能する再現可能な特性を持つ生成物として大変好ましい。これらの理由から、我々はエフレチリジンの結晶型の調製を試みた。エフレチリジンの療法上の有用性は研究されてきたが、未だその様な結晶型についての知見は得られていない。
【0007】
本発明は、エフレチリジンジヒドロクロリドの二つの偽多形相結晶型、すなわち、無水エフレチリジンジヒドロクロリド及びエフレチリジンヒドロクロリド一水和物の予期しなかった発見に由来している。同定のため、以後、無水エフレチリジンヒドロクロリドをA型、そしてエフレチリジンヒドロクロリド一水和物を“B型”として表わす。
【0008】
他の態様により、本発明はこれら新規の偽多形相の調製のための方法を提供し、そして更にA型からB型及びB型からA型への変換のための方法を提供する。 また、本発明は、異なる特性を備えたこれら二つの新規偽多形の発見に由来している。特に、我々はエフレチリジンジヒドロクロリドA型を含んで成る固形医薬組成物を発見した。A型は、B型を含む固形の薬剤組成物よりも長時間の貯蔵安定性を示す。このより良い安定性は、その様な固形医薬組成物において、一般的に使用されている固形の担体及び希釈剤とのより良い相容性によるようである。
【0009】
よって本発明はまた、適当な医薬賦形剤、担体又は希釈剤と組み合わせたA型又はB型を含んで成る医薬組成物、好ましくはA型を含んで成る固形の医薬組成物に関する。
これらのエフレチリジンジヒドロクロリドの多形相の調製方法に関して、B型は、40℃及び反応混合物の還流温度の間の温度において、塩酸存在下、2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシアセトアミドの水性媒質の中での加水分解により得ることができる。そしてB型は、水性酸又は水及び塩酸を含む溶媒の混合液中で再結晶化が可能である。
【0010】
そしてB型は溶媒、例えばアセトン又はメチルエチルケトン中で還流するまで加熱することでA型に変換することができる。任意に、A型は塩酸水溶液中で、再結晶化することにより、B型に変換し直すことができる。
以下の例は、本発明によるエフレチリジンジヒドロクロリドのA型及びB型の調製方法を例示している。これらの例において、示差温度記録図が、20℃/分の温度勾配で、PERKIN ELMER Differential Scanning Calorimeter DSC 7上に記録された。
【0011】
1.2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ酢酸アミド及び2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ酢酸アミドジヒドロクロリドの調製
11.0g(0.038mol )の1−〔ビス−(4−フルオロフェニル)メチル〕ピペラジン、10.5g(0.076mol )の2−(2−クロルエトキシ)アセトアミド及び8.1gの無水炭酸ナトリウムの40mlのキシレン中懸濁液は、4時間、140℃で還流下、加熱される。形成した沈澱物は濾過され、そしてトルエンで洗浄される。沈澱物と洗浄に用いたトルエンは化合される。生じた有機層は、80mlの1N塩酸溶液で抽出され、そして水層はトルエンで2回洗浄される。トルエンは、その生じた水層に加えられ、次に80mlの1N水酸化ナトリウム溶液が加えられ、そして水性混合液がトルエンを用いて1回抽出される。有機層は水で1回洗浄され、そして無水硫酸ナトリウムで脱水され、そしてその溶媒は乾燥するまで回転式エバポレーターで蒸発される。この段階において、その蒸留残渣は2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシアセトアミドから成り、これは以下の様に、そのジヒドロクロリド塩に変換しうる:その蒸留残渣は50mlのイソプロパノールで溶解され、そして濾過される;4.38Nのアルコール性の塩酸溶液がイソプロパノール溶液中に加えられ、そしてその混合液は結晶化がされる。その残渣は濾過され、イソプロパノール及びジエチルエーテルで洗浄され、そして真空で乾燥される。この方法で、15.8g(90%)の2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシアセトアミドジヒドロクロリドが得られる。
【0012】
融点:229.51℃
質量スペクトル:389(遊離塩基M+ )、345及び203
2.エフレチリジンの調製
機械式スターラー、窒素の入口及び濃縮器が据え付けられた丸底フラスコ内で、30g(0.065mole)の2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシアセトアミドジヒドロクロリドが325mlのエタノール、130mlの1N水酸化ナトリウム水溶液及び62mlの6.3N水酸化ナトリウム水溶液の混合液に加えられる。混合液は、1.5時間、還流下及び窒素環境下で加熱される。その後反応混合液は室温まで冷却され、そしてそのpHは5Nの塩酸水溶液で5に調整される。水が加えられ、そしてエタノールが回転式エバポレーターを用いて、減圧下蒸発させられる。生じた水層はジクロロメタンで抽出される。有機層は無水硫酸ナトリウムで脱水され、そして25gの無定形の固体の様な粗エフレチリジンが生成するまで乾燥され、この5gがアセトニトリル中で再結晶化される。
【0013】
2124223 の分析:
計算値 C=64.60 H:6.19 N:7.17 F:9.73
測定値 C=64.45 H:6.27 N:7.24 F:9.44
3.エフレチリジンジヒドロクロリド一水和物(B型)の調整
37%(w/w)の塩酸水溶液(6.38l)が、2.76kg(7.1mole)の2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシアセトアミドと6.4lの水の懸濁液に加えられる。反応混合液は1時間65℃で加熱される。次にこれは、0℃に冷却され、そして結晶化される。その形成した残渣は0℃で濾過され、6NのHCl(1.5l)で洗浄され、そして粗エフレチリジンジヒドロクロリド一水和物が得られる。
【0014】
次に粗生成物は、13.5lの水の中で60℃まで加熱することで溶解され、そしてその溶液は1lのトルエンで2回洗浄される。そして、その水層は16lの37%(w/w)の塩酸水溶液で酸性化され、そして0℃に冷却される。形成した残渣は0℃で濾過され、6NのHCl(2.4l)で洗浄され、そしてその生成物は4日間、50℃で乾燥される。エフレチリジンジヒドロクロリド一水和物は白色固体として得られる(収量:3.14kg:92%)。
【0015】
B型の示差走査熱温度記録図は、1次吸熱ピークが155と170℃の間、並びに2次吸熱ピークが210と235℃の間を示した。
4.無水エフレチリジンジヒドロクロリド(A型)の調製;B型からA型への変換
例3で調製した3.143kg(6.53mol )のB型と35lのメチルエチルケトンの懸濁液を調製する。混合液は、2時間、還流温度に加熱される。水は2時間及び順次5lのメチルエチルケトンを加える50分間の間に還流温度で除かれる。生じた混合液は25℃に冷却され、1晩撹拌され、そして濾過及びメチルエチルケトン(10l)での洗浄がされる。この方法で、無水エフレチリジンジヒドロクロリド(A型)が得られ、これは減圧下、50℃で乾燥される(収量:98.6%、2983g)。
【0016】
2124223 .2HClの分析:
計算値 C=54.44 H:5.66 N:6.05 Cl:15.30 F:8.19
測定値 C=54.80 H:5.68 N:5.86 Cl:15.50 F:8.21
A型の示差走査熱温度記録図は、220と235℃の間に吸熱ピークを示した。
【0017】
5.A型からB型への変換
例4で調製した699gのA型と3lの水の懸濁液を調製する。混合液は完全に溶解するまで60℃で加熱され、直ちに濾過される。37%(w/w)塩酸水溶液(3l)が、この溶液に30分間以上かけて50℃で加えられる。そして結晶化は、いくつかのB型の結晶により開始される。混合液は冷却され、室温で1時間、そして0℃で2時間撹拌される。形成した固体は濾過され、0.6lの6N塩酸水溶液で洗浄され、そして50℃の減圧下で乾燥される(収量:676g:93%)。
【0018】
2125223 .2HCl.H2 Oの分析:
計算値 C=52.41 H:5.86 N:5.82 Cl:14.73 F:7.89
測定値 C=52.08 H:6.03 N:5.44 Cl:14.55 F:7.83
偽多形エフレチリジンジヒドロクロリドのA型及びB型は、それら各々のX線粉末回折スペクトル及び固有溶解速度により、更に特徴づけられてきた。
【0019】
I.X線粉末回折スペクトル
X線粉末回折スペクトルは、線源としてCuKα放射を用いて、PHLIPS PW 1710回折計上に記録された。分析にかけられる粉末試料はすりつぶす又は混合することなしに試料台につがれる。スペクトルは走査速度1°/分で2θ=4°から2θ=50°まで、室温にて記録される。
【0020】
A型の、特有の回折ピークは、2θにおける値が:13.7°±0.5;13.9°±0.5;16.3°±0.5;18.0°±0.5;18.6°±0.5;19.1°±0.5;23.1°±0.5;24.1°±0.5;25.6°±0.5;及び30.2°±0.5と観察された。
B型の特有の回折ピークは、2θにおける値が、7.5°±0.5;9.7°±0.5;10.5°±0.5;10.7°±0.5;15.7°±0.5;18.9°±0.5;19.6°±0.5;19.9°±0.5;20.4°±0.5;20.9°±0.5;22.2°±0.5;22.5°±0.5;24.6°±0.5;24.7°±0.5;25.9°±0.5;及び29.3°±0.5と観察された。
【0021】
II.固有溶解速度
薬剤の生物学的利用性の研究は、0.1mg/cm2 /分より低い固有溶解速度(IDR)が、しばしばヒトにおける溶解速度制限的吸収の予測となりうることを示してきた。このように、IDRは生物学的利用性の予測的なパラメーターである。このパラメーターは、その化学的形態(塩、溶媒和物)、その結晶形態、その溶解性及び湿潤性を含む様々な物理化学的特性に依存している。
【0022】
IDRの決定は、次の方法で行なわれる。試験されるその型はミクロクリスタリンセルロースAVICEL PH102(錠剤化特性を改良するドライバインダー)で均一に、すりつぶされ及び混合される。内容:賦形剤混合率は70:30(w/w)であった。部分標本(500mg)は、一定の及び周知の多孔度ゼロの表面積を得るために、最終的な応用負荷10トンまで圧縮をかけることによって球粒に圧縮された。
【0023】
溶解実験は、予測されるヒトの胃腸のpH値の範囲を覆う事を意図して、3つの異なるpH値、すなわち1.2,4.0、及び7.5の500mlの水性溶媒を用いて37℃で行われた。一定及び再現可能な血流力学状態は、パドルが撹拌因子(50rpm )として使用され、そして球粒集合が容器の底に据えられる(静的ディスク法)、USP XXII装置N°2(United States Pharmacopoeia、1990)を用いて試験された。統計的に評価がなされた(P<0.05)全反復容解曲線の線形部分は、次のIDR計算から選択された。
【0024】
その結果は、試験された3つのpHでの、mg/cm2 /分で表されたA型及びB型のIDRを示した表1にある。
【0025】
【表1】

【0026】
表1の結果は、A型及びB型の双方が、試験された3つのpHにおいて0.1mg/cm2 /分よりも高いIDRを持つことを示している。この事は、溶解がA型又はB型のどちらかを含む固形医薬組成にとってin vivoの吸収過程がおそらく速度制限的なステップではないことを示している。しかしながら、B型はA型よりも有意に低いIDRを有している。これは、最大速度が可能ならば固体の投薬量形態の溶解性は、療法上の視点から求められることを意味する。A型は、固体の医薬組成物における使用の際に、好ましい結晶型である。
【0027】
本発明はまた、A型又はB型を、適当なそれらの医薬賦形剤との組み合わせにおいて含んで成る医薬組成物に関する。固形の医薬組成物の場合、B型よりもむしろ、A型を使用する事は、驚くほど一層有利である。我々は、実にA型と一般的な担体及び希釈剤、例えばソルビトールを含んで成る固形医薬組成物が、B型を含んで成るそれらより、より良い保存安定性を示すことを発見した。
【0028】
これは、以下の研究の結果を例示したものであり、強制的な温度状況下、それは、密封瓶中、40又は60℃のもとでの保存の間、D−ソルビトール存在下、2つの多形相の安定性を検査する事を目的としたものである。
本研究において、いくつかの試料のHPLC解析が行われた:A型、B型、D−ソルビトール、及びD−ソルビトールとA型又はB型との1:1(w/w)混合物。
【0029】
各々の試料は、均一にすりつぶされ及び混合された。部分標本(500mg)は、医薬錠剤にとって一般的な圧縮強度、1トンの応用負荷で直径13mmの球粒に圧縮された。各々の小型の球粒は、直ちに精巧な粉末にすりつぶされ、そして部分標本は、40又は60℃で、きつく密封したガラス瓶中に保存された。試料は、0,4,16、及び24週間後にHPLCによって解析された。
【0030】
初期の一連の解析において、HPLC/UVスペクトルはUV検出器を備え付けたKontron HPLCシステム300型を用いて集められた。使用カラムはSupercosil RP ABZ 250X 4.6mm I.D.5μm粒径で、使用移動相はアセトニトリル/水 25:75(v/v)混合液から成り、水は770mg/lの酢酸アンモニウムを含んでいた。解析される試料は、2mg/mlの濃度でアセトニトリル/水 25:75(v/v)に溶解され、そしてこれらの10μlの溶液はHPLCシステムに注入された。
【0031】
得られた個々の成分及び2成分の混合物のHPLCスペクトルの比較で、検出された新規ピークは、D−ソルビトールとの相互作用の表示であるとみなされた。ピークが存在する場合、これら新規ピークはKontron HPLCシステムとつないだVG Quattroスペクトロメーターを用いたHPLC/MS解析により、定量及び更なる同定がされた。
【0032】
HPLC/UVによって、4,16、又は24週間40°又は60℃での保存後の、純粋なA型及びB型のスペクトログラムの無変化が観察された。純粋なD−ソルビトールはHPLC/UVにおいて検出されなかった。二成分の混合物において、純粋なA型又はB型のスペクトル比較でスペクトログラム中に新規ピークが出現した。その新規ピークは、60℃で保存されたB型で特に有意であった。
【0033】
HPLC/MSにおいて、二成分の混合物で観察された新規ピークは、ソルビトール−エフレチリジンモノエステル及びソルビトール−エフレチリジンモノエステルの脱水和型として同定された。後者は、前者よりも長い保存期間後に出現した。
表2は、40℃又は60℃の保存で、二成分の混合物において形成したソルビトール−エフレチリジンモノエステルの定量測定の結果を示したものである。モノエステルの相対的な定量が、HPLC−UV解析により行われた。
【0034】
【表2】

【0035】
表2は、A型又はB型がD−ソルビトールと供に球粒に圧縮され、そして40°又は60℃で保存されるとき、時間の経過と共に増大する量のソルビトール−エフレチリジンモノエステルが形成することを示したものである。更に、これはモノエステルの形成が40℃及び60℃での保存におけるA型あるいは40℃での保存におけるB型にとって、極めて少ない事を示している。しかしながらモノエステルの形成は60℃での保存におけるB型にとって大変有意である。
【0036】
これらの結果は、エフレチリジンジヒドロクロリドのA型が、一般に固体医薬組成物において使用されているヒドロキシル化された賦形剤、担体又は希釈剤とさほど相互作用せず、そして、その様な組成物の調製にとってB型よりも、このようにより適している事を示している。
更に本発明は、A型又はB型又は、A型及びB型とそれらの適当な賦形剤、希釈剤又は担体と組み合わせた混合物に関する。本発明の医薬組成物は様々な形態を取りうる。徐放の形態は特に重要で、好ましい医薬組成物でさえ、シクロデキストリンと組み合わせての遅放賦形剤を含んで成る。
【0037】
その様な組成物の一例は、以下の様である:30mgの無水2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド;14.7mgのEncompress(登録商標);82.3mgのシクロデキストリン;70mgのMethocel(登録商標)K15MCR;1mgのAerosil(登録商標)200;1mgのステアリン酸マグネシウム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線回折パターンが、2θにおけるピークとして13.7°±0.5;13.9°±0.5;16.3°±0.5;18.0°±0.5;18.6°±0.5;19.1°±0.5;23.1°±0.5;24.1°±0.5;25.6°±0.5;及び30.2°±0.5の値を示す事を特徴とする無水2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド。
【請求項2】
X線回折パターンが、2θにおけるピークとして、7.5°±0.5;9.7°±0.5;10.5°±0.5;10.7°±0.5;15.7°±0.5;18.9°±0.5;19.6°±0.5;19.9°±0.5;20.4°±0.5;20.9°±0.5;22.2°±0.5;22.5°±0.5;24.6°±0.5;24.7°±0.5;25.9°±0.5;及び29.3°±0.5の値を示す事を特徴とする2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド一水和物。
【請求項3】
請求項1記載の無水2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリドの調製方法において2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸一水和物を溶媒中還流下で加熱する事を特徴とする方法。
【請求項4】
使用する溶媒がアセトン又はメチルエチルケトンである事を特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
請求項2記載の2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド一水和物の調製方法において、2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕アセトアミドを塩酸の存在下で加水分解する事を特徴とする方法。
【請求項6】
加水分解が40℃と反応混合液の還流温度との間の温度で処理する事を特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
請求項2記載の2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド一水和物の調製方法において、無水2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリドが塩酸水溶液において再結晶化する事を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリドを、その適当な賦形剤、希釈剤又は担体との組み合わせにおいて含んで成る医薬組成物。
【請求項9】
少なくとも一つのヒドロキシル化された賦形剤、担体又は希釈剤を含んで成る固形医薬組成物である事を特徴とする、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
遅放賦形剤及びシクロデキストリンを更に、含んで成る事を特徴とする請求項8又は9記載の医薬組成物。
【請求項11】
請求項2記載の2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド一水和物を、その適当な賦形剤、希釈剤又は担体との組み合わせにおいて含んで成る医薬組成物。
【請求項12】
請求項1記載の無水2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド及び請求項2記載の2−〔2−〔4−〔ビス(4−フルオロフェニル)メチル〕−1−ピペラジニル〕エトキシ〕酢酸ジヒドロクロリド一水和物を、適当な賦形剤、希釈剤又は担体との混合物との組み合わせにおいて含んで成る医薬組成物。

【公開番号】特開2007−224042(P2007−224042A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109494(P2007−109494)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【分割の表示】特願2000−523202(P2000−523202)の分割
【原出願日】平成10年11月26日(1998.11.26)
【出願人】(598109246)ユセベ,ソシエテ アノニム (4)
【Fターム(参考)】