説明

2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物及びそれらの使用

本発明は、2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物(及びその塩)、そのような化合物の製造方法、及びそのような化合物を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、グリシン輸送体1(GlyT1)を調節するための、並びに精神病、認知障害、双極性障害、うつ病、不安障害、外傷後ストレス障害、及び疼痛の処置のための、化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本特許は、米国仮特許出願第61/148,024号(2009年1月28日出願)の優先権の利益を主張する。上記特許出願の全テキストが参照により本特許に加入される。
【0002】
発明の分野
本発明は、2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物に関する。本発明はまた、上記化合物を含む医薬組成物、上記化合物の使用(例えば、処置方法及び医薬製剤を含む)及び上記化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
PCPの独特な行動上の作用の発見以来、NMDAアンタゴニストにより誘導される症状及び神経認知的欠陥と統合失調症において内因的に観察されるものとの間の類似性の程度を評価しようと多数の研究が行われてきた。その薬物が1960年代後半に市場から回収されるまで、最初はPCP自体を使用して研究が行われた。それらの研究において、PCPは症状だけでなく、統合失調症に酷似した神経心理学的欠陥も誘導することが見出された。ケタミンを用いたより最近の研究は、最初の知見を強く支持し拡大する。このような研究は、疾患に罹患している人々とNMDAアンタゴニストで処置された人々の両方が経験する精神病性及び認知性の作用が、減少したNMDA受容体に媒介される神経伝達から生じたという仮説に至った。これは統合失調症に関するNMDA機能低下説と呼ばれた。この説によれば、統合失調症及び他の精神病性疾患のための新しい処置は、中枢神経系における増加したNMDA活性化から生じ得る。原理上は、これは直接NMDAアゴニストを用いた処置により達成され得るが;このような化合物は神経毒性を引き起こすことが知られている。グリシンはNMDA受容体の必要なコアゴニスト(co−agonist)であり、その濃度の増加はNMDA活性化の増加を生じ得る。グリシンの濃度は、グリシン輸送体の作用により調節される。グリシン輸送体を調節する化合物を用いた処置は、シナプスグリシンレベルを増加させ得、そしてNMDAr増強及び疾患症候学の改善を生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
世界中で多くの人々が、既存の処置にもかかわらず種々の精神病及び他の認知障害に苦しみ続けている。従って、グリシン輸送体を調節するような新しい化合物及び/又は組成物、並びにこのような疾患、障害、又は状態をこのような化合物又は組成物を使用して処置する方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、とりわけ、2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物;2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物を使用する処置方法(例えば、精神病及び他の認知障害を処置するための方法、並びに薬理ツールとして);医薬を製造するための2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物の使用;22−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物を含む組成物(例えば、医薬組成物);2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物を製造するための方法;及び上記製造方法において使用される中間体に関する。
【0006】
換言すると、本発明は、部分的に、式(I)の化合物又はその塩に関する。式(I)は:
【化1】

に相当する。
【0007】
ここで:
いくつかの実施態様において、A1は、1、2、又は3つのR5基で場合により置換されるフェニルである。あるいは、A1は1、2、又は3つのR7基で場合により置換された5員又は6員のヘテロアリールである。
【0008】
いくつかの実施態様において、A2は、1、2、又は3つのR2基で置換されるフェニルである。あるいは、A2は1、2、又は3つのR6基で場合により置換されるヘテロアリールである。
【0009】
各Rは、C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル−C1−C6−アルキル、及びNR34から独立して選択される。
【0010】
1は、H、C1−C6−アルキル、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキル、アミノ−C1−C6−アルキル、シアノ−C1−C6−アルキル、アミノカルボニル−C1−C6−アルキル、ヒドロキシ−C1−C6−アルキル、ハロ−C3−C6−アルキル、アミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキル、アミノ−C1−C6−アルキルカルボニル、C1−C4−アルキルカルボニルアミノ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシカルボニル−C1−C4−アルキル、C3−C6シクロアルキル、3〜6員ヘテロシクロアルキル、5〜6員ヘテロアリール、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキル、及びC3−C8−アルケニルから選択される。C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、及びヘテロアリール−C1−C4−アルキルが今度はハロゲン及びC1−C4−アルキルから独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換される。ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキルはまた、オキソで場合により置換される。そしてアミノ−C1−C6−アルキル、アミノカルボニル−C1−C6−アルキル、アミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキル、及びアミノ−C1−C6−アルキルカルボニルのアミノは、1つ又は2つの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換される。
【0011】
各R2は、ハロゲン、−CN、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、ヘテロシクリル、−SOR、−SO2R、−NH2、−SR、C1−C6−アルコキシ、C1−C6−アルキル、−CF3、及び−OCF3から独立して選択される。C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、及びC3−C6シクロアルキルが今度は、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換される。さらに、ヘテロシクリルは1、2、又は3つのR6基で場合により置換される。
【0012】
各R5は、C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3、−OCF3、−CN、ハロゲン、−SO2R、−SOR、−SR、C1−C4−アルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、及びヘテロシクリルから独立して選択される。C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、及びC1−C6−アルコキシが今度は、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換される。アミノカルボニルは、最大で2つまでの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換される。さらに、ヘテロシクリルはC1−C4−アルキル又はハロゲンで場合により置換される。
【0013】
各R6は、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、−SO2R、−SOR、−SR、フェニル、−CF3、−OCF3、−CN、及びヘテロシクリルから独立して選択される。ヘテロシクリルが今度は、C1−C4−アルキルで場合により置換される。
【0014】
各R7は、C1−C6−アルキル、C1−C4−アルコキシ、−CF3、−OCF3、−CN、−SO2R、−SOR、−SR、フェニル、ヘテロシクリル、及びC1−C4−アルコキシから独立して選択される。C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、及びC1−C4−アルコキシが今度は、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換される。さらに、ヘテロシクリルはC1−C4−アルキル又はハロゲンで場合により置換される。
【0015】
3及びR4はそれぞれ独立して、H及びC1−C6−アルキルから選択される。
【0016】
本発明は、以下:
【化2】

【0017】
【化3】

から選択される構造(又はその塩)に相当するいずれかの単一の光学異性体、ラセミ混合物、又は光学異性体の他の混合物を除外する。
【0018】
本発明はまた、一部分において、医薬組成物に関する。本組成物は式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩を含む。本組成物はまた、薬学的に許容しうる担体又は希釈剤を含む。
【0019】
本発明はまた、一部分において、状態(典型的には障害)の処置における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0020】
本発明はまた、一部分において、状態を処置するために、式(I)又はその薬学的に許容しうる塩を使用する方法に関する。
【0021】
本発明はまた、一部分において、そのような処置を必要とする患者において状態を処置する方法に関する。本方法は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩を患者に投与することを含む。
【0022】
本発明はまた、一部分において、状態を処置するための薬剤(例えば医薬組成物)の製造における式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩の使用に関する。
【0023】
出願人らの発明のさらなる利点は、本明細書を読むことにより当業者に明らかとなるだろう。
【0024】
詳細な説明
説明に役立つ実施態様のこの説明は、他の当業者が、本発明のその多数の形態で、それらが特定の用途の要件に最もよく適するよう容易に適合及び適用し得るように、本出願人らの発明、その原理、及びその実際の適用を他の当業者に知らせることのみを意図される。この説明及びその具体的な実施例は、本発明の実施態様を示すものであるが、説明の目的のみを意図される。従って本発明は、本明細書に記載される説明のための実施態様に限定されず、そしてさまざまに改変され得る。さらに、当然のことながら、明確さのために別々の実施態様の文脈で記載される本発明の種々の特徴を組み合わせて、単一の実施態様を形成してもよい。逆に、簡潔さのために単一の実施態様の文脈で記載される本発明の種々の特徴を組み合わせてそれらのサブコンビネーション(sub−combinations)を形成してもよい。
【0025】
上で示したように、本発明は、一部分において、式(I)の化合物又はその塩に関する。式(I)は:
【化4】

に相当する。
【0026】
式(I)の置換基は以下のように定義される:
いくつかの実施態様において、A1はフェニル(すなわち、非置換フェニル)である。これらの実施態様において、化合物は式(II):
【化5】

に相当する。
【0027】
いくつかの実施態様において、A1は1、2、又は3つのR5基で置換されるフェニルである。いくつかのこのような実施態様において、A1は1つのR5基で置換されるフェニルである。他の実施態様において、A1は2つのR5基で置換されるフェニルである。そして他の実施態様において、A1は3つのR5基で置換されるフェニルである。
【0028】
いくつかの実施態様において、A1は5又は6員のヘテロアリール(すなわち、非置換の5員又は6員のヘテロアリール)である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは5員である。他の実施態様において、ヘテロアリールは6員である。いくつかのこのような実施態様において、例えば、ヘテロアリールはピリジニルである。他の実施態様において、ヘテロアリールはピリミジニルである。
【0029】
いくつかの実施態様において、A1は1、2、又は3つのR7基で置換された5員又は6員のヘテロアリールである。いくつかのこのような実施態様において、A1は1つのR7基で置換された5員又は6員のヘテロアリールである。他の実施態様において、A1は2つのR7基で置換された5員又は6員のヘテロアリールである。そして他の実施態様において、A1は3つのR7基で置換された5員又は6員のヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、置換されるヘテロアリールは5員である。いくつかのこのような実施態様において、例えば、置換されるヘテロアリールはフラニルである。他の実施態様において、置換されるヘテロアリールはピラゾリルである。いくつかの実施態様において、置換されるヘテロアリールは6員である。いくつかのこのような実施態様において、例えば、置換されるヘテロアリールはピリジニルである。
【0030】
いくつかの実施態様において、A2は1、2、又は3つのR2基で置換されるフェニルである。いくつかのこのような実施態様において、A2は1つのR2基で置換されるフェニルである。他の実施態様において、A2は2つのR2基で置換されるフェニルである。そして他の実施態様において、A2は3つのR2基で置換されるフェニルである。
【0031】
いくつかの実施態様において、A2はヘテロアリール(すなわち、非置換ヘテロアリール)である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは5員である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは6員である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは9員である。いくつかのこのような実施態様において、例えば、A2はインダゾリルである。
【0032】
いくつかの実施態様において、A2は1、2、又は3つのR6基で置換されるヘテロアリールである。いくつかのこのような実施態様において、A2は1つのR6基で置換されるヘテロアリールである。他の実施態様において、A2は2つのR6基で置換されるヘテロアリールである。そして他の実施態様において、A2は3つのR6基で置換されるヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、置換されるヘテロアリールは5員である。いくつかの実施態様において、置換されるヘテロアリールは6員である。いくつかのこのような実施態様において、例えば、ヘテロアリールはピリジニルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、ヘテロアリールはピリミジニルである。いくつかの実施態様において、置換されるヘテロアリールは9員である。
【0033】
上記の実施態様において、各Rは、C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル−C1−C6−アルキル、及びNR34から独立して選択される。
【0034】
いくつかのこのような実施態様において、RはC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、Rはメチルである。他の実施態様において、Rはエチルである。そして他の実施態様において、Rはプロピルである。
【0035】
いくつかのこのような実施態様において、RはC3−C8−シクロアルキル−C1−C6−アルキルである。
【0036】
いくつかのこのような実施態様において、RはNR34である。
【0037】
1は、H、C1−C6−アルキル、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキル、アミノ−C1−C6−アルキル、シアノ−C1−C6−アルキル、アミノカルボニル−C1−C6−アルキル、ヒドロキシ−C1−C6−アルキル、ハロ−C3−C6−アルキル、アミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキル、アミノ−C1−C6−アルキルカルボニル、C1−C4−アルキルカルボニルアミノ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシカルボニル−C1−C4−アルキル、C3−C6シクロアルキル、3〜6員ヘテロシクロアルキル、5〜6員ヘテロアリール、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキル、及びC3−C8−アルケニルから選択される。C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、及びヘテロアリール−C1−C4−アルキルが今度は、ハロゲン及びC1−C4−アルキルから独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換される。さらに、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキルはオキソで場合により置換される。そしてアミノ−C1−C6−アルキル、アミノカルボニル−C1−C6−アルキル、アミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキル、及びアミノ−C1−C6−アルキルカルボニルのアミノは、1つ又は2つの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換される。
【0038】
いくつかの実施態様において、R1はC1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はメトキシエチルである。他の実施態様において、R1はメトキシプロピルである。
【0039】
いくつかの実施態様において、R1はヒドロキシ−C1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1は2−ヒドロキシエチルである。
【0040】
いくつかの実施態様において、R1はシアノ−C1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はシアノメチルである。
【0041】
いくつかの実施態様において、R1はアミノ−C1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1は2−アミノエチルである。他の実施態様において、例えば、R1は2−アミノプロピルである。
【0042】
いくつかの実施態様において、R1はC1−C4−アルキルカルボニルアミノ−C1−C4−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はメチルカルボニルアミノエチルである。
【0043】
いくつかの実施態様において、R1はアミノカルボニル−C1−C6−アルキルであり、ここでアミノは1つ又は2つの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換される。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はジメチルアミノカルボニルメチルである。他の実施態様において、例えば、R1はアミノカルボニルメチルである。
【0044】
いくつかの実施態様において、R1はアミノ−C1−C6−アルキルカルボニルであり、ここでアミノは1つ又は2つの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換される。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はジメチルアミノメチルカルボニルである。他の実施態様において、R1はアミノメチルカルボニルである。
【0045】
いくつかの実施態様において、R1はアミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキルであり、ここでアミノは1つ又は2つの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換される。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はジメチルアミノカルボニルオキシエチルである。
【0046】
いくつかの実施態様において、R1はC1−C4−アルコキシカルボニル−C1−C4−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はエトキシカルボニルメチルである。
【0047】
いくつかの実施態様において、R1は、H、C1−C6−アルキル、C3−C6−シクロアルキル、3〜6員ヘテロシクロアルキル、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキル、及びC3−C8−アルケニルから選択される。C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキルが今度は、1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで場合により置換される。
【0048】
いくつかの実施態様において、R1はC3−C6シクロアルキルである。いくつかのこのような実施態様において、R1はシクロプロピルである。他の実施態様において、R1はシクロブチルである。
【0049】
いくつかの実施態様において、R1はC3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキルである。いくつかの実施態様において、例えば、R1はシクロプロピルメチルである。
【0050】
いくつかの実施態様において、R1は1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで置換されたC3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキルである。
【0051】
いくつかの実施態様において、R1はアリール−C1−C4−アルキルである。いくつかの実施態様において、例えば、R1はフェニルメチルである。
【0052】
いくつかの実施態様において、R1はヘテロシクリル−C1−C4−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はピロリジニルメチルである。他の実施態様において、R1はピロリジニルエチルである。他の実施態様において、R1はテトラヒドロフラニルメチルである。他の実施態様において、R1はモルホリニルエチルである。
【0053】
いくつかの実施態様において、R1はヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキルであり、場合によりオキソで置換される。いくつかの実施態様において、例えば、R1は2−オキソ−オキサゾリジニルである。
【0054】
いくつかの実施態様において、R1はヘテロアリール−C1−C4−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はピリジニルメチルである。
【0055】
いくつかの実施態様において、R1はハロゲン及びC1−C4−アルキルから独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換されるヘテロアリール−C1−C4−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はメチルピラゾリルメチルである。
【0056】
いくつかの実施態様において、R1はアリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクリル−C1−C4−アルキル、及びヘテロアリール−C1−C4−アルキルから選択される。アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクリル−C1−C4−アルキル、及びヘテロアリール−C1−C4−アルキルが今度は、1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで置換される。
【0057】
いくつかの実施態様において、R1は、H、C1−C6−アルキル、C3−C6−シクロアルキル、3〜6員ヘテロシクロアルキル、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキル、及びC3−C8−アルケニルから選択される。
【0058】
いくつかの実施態様において、R1は水素である。
【0059】
いくつかの実施態様において、R1はC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1はメチルである。他の実施態様において、R1はエチルである。他の実施態様において、R1はプロピルである。さらに他の実施態様において、R1はブチルである。そしてなおさらに他の実施態様において、R1はペンチルである。
【0060】
いくつかの実施態様において、R1はハロ−C3−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、R1は3,3,3−トリフルオロプロピルである。
【0061】
いくつかの実施態様において、R1はC3−C8−アルケニルである。
【0062】
いくつかの実施態様において、R1はヘテロシクロアルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、ヘテロシクロアルキルは3〜6員環である。
【0063】
いくつかの実施態様において、R1はヘテロアリールである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、ヘテロアリールは5員環である。他の実施態様において、ヘテロアリールは6員環である。
【0064】
各R2は、ハロゲン、−CN、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、ヘテロシクリル、−SOR、−SO2R、−NH2、−SR、C1−C6−アルコキシ、C1−C6−アルキル、−CF3、及び−OCF3から独立して選択される。C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、及びC3−C6シクロアルキルが今度は、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換される。そしてヘテロシクリルは1、2、又は3つのR6基で場合により置換される。
【0065】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR2基はC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR2基はメチルである。他の実施態様において、少なくとも1つのR2基はエチルである。
【0066】
いくつかの実施態様において、少なくとも2つのR2基は独立して選択されるC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも2つのR2基はメチルである。
【0067】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR2基は1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで場合により置換されたC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR2基はトリフルオロメチルである。
【0068】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR2基はC1−C6−アルコキシである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR2基はメトキシである。
【0069】
いくつかの実施態様において、少なくとも2つのR2基は独立して選択されるC1−C6−アルコキシである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも2つのR2基はメトキシである。
【0070】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR2基はハロゲンである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR2基はフルオロである。他の実施態様において、例えば、少なくとも1つのR2基はクロロである。他の実施態様において、例えば、少なくとも1つのR2基はブロモである。
【0071】
いくつかの実施態様において、少なくとも2つのR2基は独立して選択されたハロゲンである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも2つのR2基はクロロである。
【0072】
他の実施態様において、少なくとも2つのR2基が存在し、そしてこれらのR2基は全てが同一ではない。例えば、いくつかの実施態様において、1つのR2基がメチルであり、かつ1つのR2基はトリフルオロメチルである。他の実施態様において、1つのR2基はクロロであり、かつ1つのR2基はメチルである。他の実施態様において、1つのR2基はクロロであり、かつ1つのR2基はフルオロである。他の実施態様において、1つのR2基はクロロであり、かつ1つのR2基はトリフルオロメチルである。他の実施態様において、1つのR2基はフルオロであり、かつ1つのR2基はトリフルオロメチルである。他の実施態様において、1つのR2基はクロロであり、かつ1つのR2基はメチルである。他の実施態様において、1つのR2基はフルオロであり、かつ1つのR2基はメチルである。他の実施態様において、1つのR2基はフルオロであり、かつ1つのR2基はアミノである。そして他の実施態様において、1つのR2基はフルオロであり、かつ2つのR2基はメチルである。
【0073】
3及びR4はそれぞれ独立して、H及びC1−C6−アルキルから選択される。いくつかの実施態様において、R3及びR4はそれぞれHである。他の実施態様において、R3及びR4はそれぞれ独立してC1−C6−アルキルから選択される。そして、他の実施態様において、R3はHであり、かつR4はC1−C6−アルキルである。
【0074】
各R5は、C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3、−OCF3、−CN、ハロゲン、−SO2R、−SOR、−SR、C1−C4−アルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、及びヘテロシクリルから独立して選択される。C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、及びC1−C6−アルコキシが今度は、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換される。アミノカルボニルは最大で2つまでの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換される。そしてヘテロシクリルはC1−C4−アルキル又はハロゲンで場合により置換される。
【0075】
いくつかの実施態様において、各R5は、C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3、−OCF3、−CN、ハロゲン、−SO2R、−SOR、−SR、及びヘテロシクリルから独立して選択される。C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、及びC1−C6−アルコキシが今度は、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換される。そしてヘテロシクリルはC1−C4−アルキル又はハロゲンで場合により置換される。
【0076】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はハロゲンである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR5はブロモである。他の実施態様において、少なくとも1つのR5はフルオロである。他の実施態様において、少なくとも1つのR5はクロロである。
【0077】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はシアノ(すなわち、−CN)である。
【0078】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はヒドロキシ(すなわち、−OH)である。
【0079】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はアミノ(すなわち、−NH2)である。
【0080】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR5基はメチルである。他の実施態様において、少なくとも1つのR5基はブチルである。
【0081】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はC1−C6−アルコキシである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR5基はプロポキシである。
【0082】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はヘテロシクリルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR5基はヘテロシクロアルキル、例えば、モルホリニルである。
【0083】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はC1−C4−アルコキシカルボニルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR5基はプロポキシカルボニルである。
【0084】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基は2つまでの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換されたアミノカルボニルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR5基はジ−(メチル)アミノカルボニルである。
【0085】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR5基はC1−C4−アルキルカルボニルアミノである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR5基はメチルカルボニルアミノである。
【0086】
各R6は、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、−SO2R、−SOR、−SR、フェニル、−CF3、−OCF3、−CN、及びヘテロシクリルから独立して選択される。ヘテロシクリルが今度は、C1−C4−アルキルで場合により置換される。
【0087】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR6基はC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR6基はメチルである。
【0088】
いくつかの実施態様において、少なくとも2つのR6基は独立して選択されるC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも2つのR6基はメチルである。
【0089】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR6基は−CF3である。
【0090】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR6基はハロゲンである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR6基はクロロである。他の実施態様において、少なくとも1つのR6基はブロモである。
【0091】
いくつかの実施態様において、少なくとも2つのR6基は独立して選択されるハロゲンである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも2つのR6基はクロロである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも2つのR6基はフルオロである。
【0092】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR6は−SRである。いくつかのこのような実施態様において、例えば、少なくとも1つのR6はメチルスルファニル(又は「メチルチオ」又は−SCH3)である。
【0093】
他の実施態様において、少なくとも2つのR6基が存在し、かつこれらのR6基は全てが同一ではない。例えば、いくつかの実施態様において、1つのR6基はフルオロであり、かつ1つのR6基は−CF3である。
【0094】
各R7は、C1−C6−アルキル、C1−C4−アルコキシ、−CF3、−OCF3、−CN、−SO2R、−SOR、−SR、フェニル、ヘテロシクリル、及びC1−C4−アルコキシから独立して選択される。C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、及びC1−C4−アルコキシが今度は、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換される。そしてヘテロシクリルはC1−C4−アルキル又はハロゲンで場合により置換される;
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのR7基はC1−C6−アルキルである。いくつかのこのような実施態様において、少なくとも1つのR7基はメチルである。
【0095】
いくつかの実施態様において、A1はフェニルであり;かつA2は1、2、又は3つのR2基で置換されるフェニルである。
【0096】
いくつかの実施態様において、A1はフェニルであり(すなわち、構造が式(II)に対応する化合物)、かつA2はヘテロアリールである。
【0097】
いくつかの実施態様において、A1は1、2、又は3つのR5基で置換されるフェニルであり;かつA2は1、2、又は3つのR2基で置換されるフェニルである。
【0098】
いくつかの実施態様において、A1は1、2、又は3つのR5基で置換されるフェニルであり;かつA2はヘテロアリールである。
【0099】
いくつかの実施態様において、A1は1、2、又は3つのR5基で置換されるフェニルであり;かつA2は1、2、又は3つのR6基で置換されるヘテロアリールである。
【0100】
いくつかの実施態様において、A1は5員又は6員のヘテロアリールであり;かつA2は1、2、又は3つのR2基で置換されるフェニルである。
【0101】
いくつかの実施態様において、A1は5員又は6員のヘテロアリールであり、かつA2はヘテロアリールである。
【0102】
いくつかの実施態様において、A1は5員又は6員のヘテロアリールであり;かつA2は1、2、又は3つのR6基で置換されるヘテロアリールである。
【0103】
いくつかの実施態様において、A1は1、2、又は3つのR7基で置換された5員又は6員のヘテロアリールであり;かつA2は1、2、又は3つのR2基で置換されるフェニルである。
【0104】
いくつかの実施態様において、A1は1、2、又は3つのR7基で置換された5員又は6員のヘテロアリールであり;かつA2はヘテロアリールである。
【0105】
いくつかの実施態様において、A1は1、2、又は3つのR7基で置換された5員又は6員のヘテロアリールであり;かつA2は1、2、又は3つのR6基で置換されるヘテロアリールである。
【0106】
いくつかの実施態様において、本化合物又は塩は、以下の表1に記載される化合物又は塩である。
【0107】
いくつかの実施態様において、本化合物又は塩は、表1に示される塩でない構造に対応する化合物又はその薬学的に許容しうる塩である。
【0108】
いくつかの実施態様において、本化合物又は塩は、以下の表2に示される化合物又はその薬学的に許容しうる塩である。
【0109】
いくつかの実施態様において、本化合物又は塩は、以下の表3に示される化合物又はその薬学的に許容しうる塩である。
【0110】
いくつかの実施態様において、本化合物又は塩は、以下の構造に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物、又はこのような異性体、ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物の薬学的に許容しうる塩である:
【0111】
【化6】

【0112】
【化7】

【0113】
いくつかの実施態様において、本化合物又は塩は、以下の構造に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物、又はこのような異性体、ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物の薬学的に許容しうる塩である:
【0114】
【化8】

【0115】
【化9】

【0116】
【化10】

【0117】
【化11】

【0118】
【化12】

【0119】
【化13】

【0120】
【化14】

【0121】
【化15】

【0122】
【化16】

【0123】
【化17】

【0124】
【化18】

【0125】
【化19】

【0126】
いくつかの実施態様において、本化合物又は塩は、以下の構造に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物、又はこのような異性体、ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物の薬学的に許容しうる塩である:
【0127】
【化20】

【0128】
【化21】

【0129】
【化22】

【0130】
【化23】

【0131】
【化24】

【0132】
【化25】

【0133】
【化26】

【0134】
【化27】

【0135】
本発明は、以下から選択される構造に対応するいずれの単一の光学異性体、ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物(又はその塩)も除く:
【化28】

【0136】
【化29】

【0137】
いくつかの実施態様において、本化合物は、以下の構造に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物を含む:
【化30】

【0138】
いくつかの実施態様において、本化合物は、以下の構造に対応する単一の光学異性体、
ラセミ混合物若しくは光学異性体の他の混合物を含む:
【化31】

【0139】
本発明の全ての化合物は、少なくとも1つの不斉炭素、すなわち、2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン基をA1及びアミノと連結している炭素を含む:
【化32】

【0140】
式(I)は、式(I)に対応する単一のキラルな異性体、さらには式(I)に対応するキラルな異性体の混合物(例えば、ラセミ化合物)を包含する。従って、式(I)は式(IA):
【化33】

に対応する単一のキラルな異性体を包含する。
【0141】
式(I)はまた、式(IB):
【化34】

に対応する単一のキラルな異性体も包含する。
【0142】
式(I)はまた、上記のキラルな異性体のラセミ混合物(すなわち、2つの異性体の比が約50:50である2つの異性体の混合物)を包含する。そして式(I)は、2つの異性体の比が約50:50以外である上記の2つのキラルな異性体の他の混合物を包含する。
【0143】
いくつかの実施態様において、式(I)に対応する単一のキラルな異性体(又はその塩)は、例えば、キラルクロマトグラフィー分離を使用して、異性体(又はその塩)の混合物からそれを単離することにより得られる。他の実施態様において、式(I)の単一のキラルな異性体(又はその塩)は、例えば、キラルな出発物質からの直接合成により得られる。いくつかの実施態様において、1つのキラルな異性体のその鏡像であるキラルな異性体に対する比(例えば、医薬組成物中)は、約9:1より大きい。いくつかのこのような実施態様において、この比は少なくとも約95:5である。他のこのような実施態様において、この比は少なくとも約98:2である。なおさらなる他のこのような実施態様において、この比は少なくとも約99:1である。そしてなおさらなる他のこのような実施態様において、1つのキラルな異性体は検出可能な(detectible)量のその鏡像であるキラルな異性体を伴わずに存在する。
【0144】
構造が炭素のキラリティーを示す場合、上記の2つの式(IA)及び(IB)においてそれぞれ示されるように、不斉炭素の置換基の1つの方向を黒いくさび形又は破線(hashed)くさび形で示す。別の指示がなければ、反対方向に向いているこの炭素の置換基は水素である。この表記法は、従来の有機化学命名規則と一致する。従って、例えば、式(IA)は代わりに以下のように式(IA−1):
【化35】

で示すことができる
【0145】
同様に、式(IB)は代わりに以下のように式(IB−1):
【化36】

で示すことができる。
【0146】
本発明の化合物の考慮される塩には両方の酸付加塩が含まれる。塩は、その化学的又は物理的特性、例えば種々の温度及び湿度での安定性、又は水、オイル若しくは他の溶媒中での望ましい溶解度の1つ又はそれ以上に起因して有利であり得る。いくつかの例では、化合物の単離又は精製における補助のために塩を使用し得る。いくつかの実施態様において(特に塩が動物への投与を意図されるか、又は動物への投与を意図される化合物若しくは塩の製造における使用のための試薬である場合)、塩は薬学的に許容しうる。
【0147】
一般的に、酸付加塩は種々の無機酸又は有機酸を使用して製造することができる。このような塩は、典型的には例えば、当該分野で公知の種々の方法を使用して化合物を酸(例えば、化学量論量の酸)と混合することにより形成され得る。この混合は、水、有機溶媒(例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリル)、又は水/有機混合物中で行ってよい。酸付加塩を形成するために典型的に使用され得る無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸が挙げられる。有機酸の例としては、例えば、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香族脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸のクラスが挙げられる。有機塩の具体例としては、コール酸塩、ソルビン酸塩、ラウリン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩(及びその誘導体、例えば、酒石酸ジベンゾイル)、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グルクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸塩、メシル酸塩、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩(及びその誘導体)、エンボン酸塩(embonate)(パモ酸塩)、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルギン酸(algenic acid)、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、グルコヘプトン酸塩(glycoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモアート(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、及びウンデカン酸塩が挙げられる。いくつかの実施態様において、塩は、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物塩、カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデンタート(edentate)、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、メチル硫酸塩(myethylsulfate)、ムチン酸塩(mutate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン(N−methylglucarnine)アンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド塩(triethiodide)、及び吉草酸塩から選択される。いくつかの実施態様において、塩はクエン酸塩又はギ酸塩を含む。
【0148】
式(I)の化合物及びその塩は、形成し得る互変異性体を包含することを意図される。「互変異性体」は、水素原子の移動から生じる平衡で存在する他の構造異性体であり、例えばアミド−イミド酸互変異性である。
【0149】
式(I)の化合物又はその塩のアミンがN−オキシドを形成し得ることが考慮される。このようなN−オキシドは、式(I)の化合物及びその塩に包含されることが意図される。N−オキシドは、一般的に、アミンを酸化剤、例えば過酸化水素又は過酸(例えばペルオキシカルボン酸)で処理することにより形成され得る。例えば、Advanced Organic Chemistry、by Jerry March、4th Edition、Wiley Interscienceを参照のこと。N−オキシドはまた、アミンをm−CPBAと、例えば、不活性溶媒(例えばジクロロメタン)中で反応させることにより製造され得る。L.W.Deady、Syn.Comm.、7、pp.509−514 (1977)を参照のこと。
【0150】
式(I)の化合物又はその塩が特定の溶媒中で特定の温度において単離可能なアトロプ異性体を形成し得ることが考慮される。式Iの化合物及びその塩は、このようなアトロプ異性体を包含することが意図される。アトロプ異性体は、例えばキラルLCを使用して単離することができる。
【0151】
式(I)の化合物及びその塩は、式(I)の化合物又はその塩の同位体で標識された(又は「放射標識された」)誘導体を包含することが意図される。このような誘導体は、1個又はそれ以上の原子が、天然で典型的に見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子で置き換えられた式(I)の化合物又はその塩の誘導体である。組み込まれ得る放射性核種の例としては、2H(重水素に対して「D」とも書かれる)、3H(トリチウムに対して「T」とも書かれる)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I、及び131Iが挙げられる。使用される放射性核種は、その放射標識誘導体の特定の用途に依存する。例えば、インビトロ受容体標識及び競合アッセイには、3H又は14Cがしばしば有用である。放射画像化(radio−imaging)用途には、11C又は18Fがしばしば有用である。いくつかの実施態様において、放射性核種は3Hである。いくつかの実施態様において、放射性核種は14Cである。いくつかの実施態様において、放射性核種は11Cである。そしていくつかの実施態様において、放射性核種は18Fである。
【0152】
式(I)の化合物及びその塩は、式(I)の化合物及びその塩の全ての固体状態の形態を含むことが意図される。式(I)の化合物及びその塩はまた、式(I)の化合物及びその塩の全ての溶媒和(例えば水和)形態及び非溶媒和形態を包含することを意図される。
【0153】
式(I)の化合物及びその塩はまた、式(I)の化合物又はその塩が、例えば、その化合物若しくは塩に化学的にカップリングされるか又は物理的にそれと会合することにより、カップリングパートナーに連結されるカップリングパートナーを包含することが意図される。カップリングパートナーの例としては、標識又はレポーター分子、支持基材、キャリア又は輸送分子、エフェクター、薬物、抗体又は阻害剤が挙げられる。カップリングパートナーは、化合物上の適切な官能基、例えばアミノ基を介して式(I)の化合物又はその塩に共有結合で連結され得る。他の誘導体には、式(I)の化合物又はその塩をリポソームを用いて製剤化することが含まれる。
【0154】
本発明は、一部分において、動物、特に哺乳動物における種々の障害を処置するための方法を提供する。哺乳動物には、例えばヒトが含まれる。哺乳動物には、例えば、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、及びウマ)、家畜動物(例えば、ウシ及びブタ);実験動物(例えば、マウス及びラット);並びに野生、動物園及びサーカスの動物(例えば、クマ、ライオン、トラ、類人猿、及びサル)も含まれる。
【0155】
以下の実施例において示されるように、本発明の化合物及び塩は、グリシン輸送体1(「GlyT1」)を調節し、そして特にGlyT1に対するアンタゴニストとして作用することが観察されている。従って、本発明の化合物及び塩はグリシン輸送体を調節して、グリシン輸送体により媒介される(又は関連する)種々の状態を処置するために使用され得ると考えられる。いくつかの実施態様において、本発明の化合物及び塩は、以下の特徴の1つ又はそれ以上を示す:望ましい効力、望ましい効能、望ましい貯蔵安定性、さまざまな範囲の患者に対する望ましい許容性、及び望ましい安全性。
【0156】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物又はその塩は、GlyT1を調節(典型的にはアンタゴナイズする)ために使用される。
【0157】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、GlyT1活性に関連する状態(典型的には障害)を処置するために使用される。
【0158】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、そのような処置を必要とする患者において精神病を処置するために使用される。
【0159】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、そのような処置を必要とする患者において認知障害を処置するために使用される。
【0160】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、精神病性障害を処置するために使用される。
【0161】
いくつかの実施態様において、例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、統合失調症を処置するために使用される。
【0162】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、統合失調感情障害を処置するために使用される。
【0163】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は妄想性障害を処置するために使用される。
【0164】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、短期の(brief)精神病性障害を処置するために使用される。
【0165】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、共有精神病性障害を処置するために使用される。
【0166】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、全身病状に起因する精神病性障害を処置するために使用される。
【0167】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、気分障害を処置するために使用される。気分障害には、例えば、a)うつ病性障害(大うつ病性障害及び気分変調性障害を含むがこれらに限定されない);b)双極性うつ病及び/又は双極性躁病(双極性i型を含むがこれらに限定されず、躁病、うつ病又は混合のエピソードを伴うもの、及び双極性ii型を含むがこれらに限定されない);c)循環気質の障害;並びにd)全身病状に起因する気分障害が含まれる。
【0168】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、双極性障害を処置するために使用される。
【0169】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、躁病及び躁うつ病性障害から選択される認知障害を処置するために使用される。
【0170】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、不安障害を処置するために使用される。いくつかのこのような実施態様において、不安障害は、広場恐怖を伴わないパニック障害、広場恐怖を伴うパニック障害、いずれのパニック障害の病歴も伴わない広場恐怖、特定の恐怖、社会恐怖、強迫性障害、ストレス関連障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、及び全身病状に起因する全般性不安障害から選択される障害を含む。
【0171】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、外傷後ストレス障害を処置するために使用される。
【0172】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、認知症を処置するために使用される。
【0173】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、睡眠障害を処置するために使用される。
【0174】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、しばしば乳児期、小児期、又は青年期に最初に診断される障害を処置するために使用される。このような障害には一般的に、例えば、精神遅滞、ダウン症候群、学習障害、運動能力障害、コミュニケーション障害、広汎性発達障害、注意欠陥および破壊的行動障害、乳児期又は幼児期の栄養補給及び摂食障害、チック障害、並びに排泄障害が含まれる。
【0175】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、物質関連障害を処置するために使用される。このような障害としては、例えば、物質依存症;物質乱用;物質中毒;物質離脱;アルコール関連障害;アンフェタミン類(又はアンフェタミン様)−関連障害;カフェイン関連障害;大麻関連障害;コカイン関連障害;幻覚薬関連障害;吸入薬関連障害;ニコチン関連障害;オピオイド関連障害;フェンシクリジン(又はフェンシクリジン様)−関連障害;及び鎮静薬、催眠薬又は抗不安薬に関連する障害が挙げられる。
【0176】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、注意欠陥および破壊的行動障害を処置するために使用される。
【0177】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、摂食障害を処置するために使用される。
【0178】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、人格障害を処置するために使用される。このような障害としては、例えば、強迫性人格障害が挙げられる。
【0179】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、衝動制御障害を処置するために使用される。
【0180】
いくつかの実施態様において式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、チック障害を処置するために使用される。このような障害としては、例えば、トゥレット症候群、慢性運動性チック又は音声チック障害;及び一過性チック障害が挙げられる。
【0181】
上記の状態及び障害の多くは、例えばAmerican Psychiatric Association:diagnostic and statistical manual of mental disorders、fourth edition、text revision、Washington、DC、American Psychiatric Association、2000において定義されている。
【0182】
本発明の化合物又は塩が疼痛を処置するために使用され得ることが考慮される。このような疼痛は、例えば、慢性痛、神経傷害性疼痛、急性痛、背部痛、癌性痛、関節リウマチにより引き起こされる疼痛、片頭痛、又は内臓痛であり得る。
【0183】
式Iの化合物又はその薬学的に許容しうる塩が、経口、頬側、膣、直腸、吸入経由、ガス注入経由、鼻腔内、舌下、局所、又は非経口(例えば、筋内、皮下、腹腔内、胸腔内(intrathoracially)、静脈内、硬膜外、髄腔内、脳室内に、又は関節中への注射により)で投与され得ることが考慮される。
【0184】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物又は塩は経口投与される。
【0185】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物又は塩は静脈内投与される。
【0186】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物又は塩は筋内投与される。
【0187】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物又は塩は薬剤(すなわち医薬組成物)を製造するために使用される。一般に、本医薬組成物は、治療有効量の化合物又は塩を含む。本発明の化合物又は塩を含む医薬組成物はさまざまなものであり得る。本発明の化合物又は塩がそれ自体で(すなわち、いずれの他の活性成分も不活性成分も伴わないで)投与され得ることが考慮されるが、本医薬組成物は通常はむしろ、1つ又はそれ以上のさらなる活性成分及び/又は不活性成分を含む。本発明の医薬組成物中に存在する不活性成分は、集合的に「担体及び希釈剤」と呼ばれることもある。医薬組成物を製造する方法並びに担体及び希釈剤の使用は、当該分野で周知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA、15th Edition、1975を参照のこと。
【0188】
式Iの化合物又はその薬学的に許容しうる塩を含む医薬組成物はさまざまなものであり得る。例えば、投与の種々の適切な経路及び手段(経口、直腸、鼻腔、局所、頬側、舌下、膣、吸入、ガス注入、又は非経口の投与を含む)のために製剤化され得ることが考慮される。このような組成物は、例えば、固形、水性又は油性の液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏、ミスト(mists)、ゲル、鼻腔スプレー、坐剤、微粉化(finely divided)散剤、及び吸入用のエアゾール剤又は噴霧器の形態であり得ることが考慮される。いくつかの実施態様において、本組成物は経口投与され得る固形又は液状の投薬形態を含む。
【0189】
固形組成物には、例えば、散剤、錠剤、分散顆粒剤(dispersible granules)、カプセル剤、カシェ剤、及び坐剤が含まれ得る。固形担体は、1つ又はそれ以上の基材を含み得る。このような基材は一般的に不活性である。担体はまた、例えば、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、保存料、安定化剤、懸濁化剤、結合剤、又は崩壊剤として作用し得る。また例えば、封入材料としても作用し得る。多くの場合に適切な担体の例としては、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、糖(例えば、グルコース及びスクロース)、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガカント、セルロース、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム)、サッカリンナトリウム、低融点ロウ(low−melting wax)、及びカカオ脂が挙げられる。
【0190】
散剤において、担体は典型的には微粉化された固形物であり、微粉化された活性成分との混合物の状態である。錠剤において、活性成分は典型的には、所望の結合特性を有する担体と適切な比率で混合されて、所望の形状及び大きさに圧縮される。
【0191】
坐剤組成物を製造するには、低融点ロウ(例えば、脂肪酸グリセリドとカカオ脂の混合物)を典型的には最初に溶融し、続いて活性成分をその中に例えば撹拌により分散させる。次いで融解された均一な混合物を、都合の良い大きさの型に注ぎ、放冷して凝固させる。坐剤組成物中に存在し得る非刺激性の添加剤としては、例えば、カカオ脂、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0192】
液状組成物は、例えば、本発明の化合物又は塩を担体、例えば、水、水/プロピレングリコール溶液、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール、又はエタノールに溶解又は分散させることにより製造され得る。いくつかの実施態様において、経口投与用の水溶液は、本発明の化合物又は塩を、可溶化剤(例えば、ポリエチレングリコール)を含む水に溶解することにより製造され得る。例えば、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤及び増粘剤を加えてもよい。いくつかの実施態様において、経口用途のための水性懸濁剤は、本発明の化合物又は塩を微粉化した形態で水中に、粘性物質、例えば1つ又はそれ以上の天然合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又は他の懸濁化剤と一緒に分散させることにより作製され得る。所望の場合は、液状組成物は他の非毒性の補助的不活性成分、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝化剤など、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム(triethanolamine sodium acetate)、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートなども含有し得る。このような組成物は、例えば1つ又はそれ以上の薬用アジュバントのような他の成分も含有し得る。
【0193】
いくつかの実施態様において、本医薬組成物は、約0.05%〜約99%(質量)の本発明の化合物又は塩を含む。いくつかのこのような実施態様において、例えば、本医薬組成物は、約0.10%〜約50%(質量)の本発明の化合物又は塩を含む。
【0194】
本発明の化合物又は塩が単独療法として状態(典型的には障害又は疾患)を処置するために投与される場合、「治療有効量」は、状態の症状若しくは他の有害な影響を低減するか若しくは完全に軽減する;状態を治癒する;状態の進行を逆行させるか完全に停止させるか、若しくは遅らせる;状態が悪化する危険性を低減する;又は状態の発症の危険性を遅らせるか若しくは低減するために十分な量である。
【0195】
最適な投薬量及び投与頻度は、処置される特定の状態及びその重症度;患者の種;特定の患者の年齢、大きさ及び体重、食事、並びに全身的な身体状態;脳/体重比;患者が受けているかもしれない他の薬物療法;投与経路;製剤;並びに(ヒト患者の文脈において)医師、(非ヒト患者の文脈において)獣医師及び他の当業者に公知の種々の他の因子に依存する。
【0196】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物又は塩の最適量が、1日あたり約10pg/体重kgより多いことが考慮される。いくつかの実施態様において、本発明の化合物又は塩の最適量は、1日あたり少なくとも約0.1mg/体重kgである。いくつかの実施態様において、最適な量は1日あたり約20mg/体重kgより多い。いくつかの実施態様において、最適量は1日あたり約0.1mg/体重kg〜約20mg/体重kgである。
【0197】
本医薬組成物が1つ又はそれ以上の単位投薬形態であり得ることが考慮される。従って、組成物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に分割されてもよい。単位投薬形態は、例えば、カプセル剤、カシェ剤、又は錠剤自体であっても、パッケージ化された(packaged)形態の適切な数のこれらのうちいずれかであってもよい。あるいは単位投薬形態は、パッケージが個別の量の組成物、例えばパック入りの(packeted)錠剤、カプセル剤、又はバイアル若しくはアンプル中の散剤を含む、パッケージ化された製剤であり得る。単位投薬形態は、例えば薬学の技術分野で周知の種々の方法により製造され得る。
【0198】
投薬は1日に1回又は分割された用量で、例えば1日あたり2〜4回行われ得ることが考慮される。
【0199】
式(I)の化合物又はその塩が、1つ又はそれ以上の他の薬学的に活性な化合物と、共に(concurrently)、同時に(simultaneously)、連続して、又は別々に投与され得ることが考慮される。いくつかのこのような実施態様において、他の薬学的に活性な化合物が1つ若しくはそれ以上の式(I)の他の化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩であり得ることが考慮される。いくつかの実施態様において、他の薬学的に活性な化合物が以下のうち1つ又はそれ以上から選択され得るということもまた考慮される:抗うつ薬;抗精神病薬;抗不安薬;抗けいれん薬;アルツハイマー病治療薬;パーキンソン病治療薬;錐体外路症状(symtpoms)を処置するための薬剤;片頭痛治療薬;脳卒中治療薬;神経障害性疼痛治療薬;侵害受容性疼痛治療薬;不眠症治療薬;気分安定剤;ADHDを処置するための薬剤;物質乱用障害、依存症及び離脱を処置するために使用される薬剤;向知性薬;記憶増強剤;抗炎症剤;並びに選択的セロトニン再取り込み阻害剤(又は「セロトニン特異的再取り込み阻害剤」又は「SSRI」)。式(I)の化合物又はその塩が、放射線療法との組み合わせ療法の一部として投与され得ることも考慮される。さらに、式(I)の化合物又はその塩が化学療法との組み合わせ療法として投与され得ることが考慮される。いくつかのこのような実施態様において、化学療法には、以下の抗腫瘍剤のカテゴリーの1つ又はそれ以上が含まれる:抗増殖/抗悪性腫瘍薬、細胞分裂阻害剤、抗浸潤剤、増殖因子機能の阻害剤、抗血管新生薬、血管損傷剤(vascular damaging agents)、エンドセリン受容体アンタゴニスト、アンチセンス療法、遺伝子療法アプローチ、及び免疫療法アプローチ。式(I)の化合物又はその塩が全身麻酔又は監視下鎮静管理(monitored anesthesia care)の間の使用のための鎮痛薬として有用であり得ることも考慮される。異なる特性を有する薬剤の組み合わせは、麻酔状態を維持するために必要とされる効果(例えば、健忘、鎮痛、筋弛緩、及び鎮静)の均衡を達成するためにしばしば使用される。このような組み合わせには、例えば、1つ又はそれ以上の吸入麻酔薬、睡眠薬、抗不安薬、神経筋遮断薬、及び/又はオピオイドが含まれ得る。
【0200】
組み合わせ療法が使用されるいくつかの実施態様において、式(I)の化合物又はその塩の量及び他の薬学的に活性な薬剤の量は、組み合わせた場合に、動物患者において標的にされた障害を処置するために治療上有効である。この文脈において、組み合わせた量は、それらを組み合わせた場合に、障害の症状若しくは他の有害な影響を低減するか若しくは完全に軽減する;障害を治癒する;障害の進行を逆行させるか完全に停止させるか、若しくは遅らせる;障害が悪化する危険性を低減する;又は状態の発症の危険性を遅らせるか若しくは低減するために十分であれば、「治療有効量」である。典型的には、このような量は当業者により、例えば、式(I)の化合物又はその塩について本特許において記載される投薬量範囲、及び認可されたかそうでなければ公開された投薬量範囲の他の薬学的に活性な化合物(単数又は複数)から開始することにより決定され得る。
【0201】
組み合わせ療法において使用される場合、式(I)の化合物又はその塩及び他の活性成分が単一の組成物で、完全に別個の組成物で、又はそれらの組み合わせで投与され得ることが考慮される。活性成分が共に、同時に、連続的に、又は別々に投与され得ることも考慮される。組み合わせ療法の特定の組成物及び投薬頻度は、例えば、投与経路、処置される状態、患者の種、単一組成物に混合される場合の活性成分間の可能性のある相互作用、動物患者に投与される場合の活性成分間の相互作用、及び医師(ヒト患者の文脈において)、獣医師(非ヒト患者の文脈において)、及び他の当業者に公知の種々の他の因子を含む種々の因子に依存する。
【0202】
本発明はまた、一部分において、式(I)の化合物又はその塩を含むキットに関する。いくつかの実施態様において、本キットは、1つ又はそれ以上のさらなる成分、例えば:(a)式(I)の化合物又はその塩を投与するための装置;(b)式(I)の化合物又はその塩を投与するための指示書;(c)担体、希釈剤、又は添加物(例えば、再懸濁化剤);及び(d)さらなる活性成分(式(I)の化合物又はその塩と同じ投薬形態及び/又は異なる投薬形態であり得る)をさらに含む。いくつかの実施態様において(特にキットが動物患者への式Iの化合物又はその塩の投与における使用を意図される場合)、塩は薬学的に許容しうる塩である。
【実施例】
【0203】
以下の実施例は、単に本発明の実施態様の説明に役立つものであり、いかなるようにも本開示の残りの部分に限定しない。
【0204】
A.[3H]グリシン取り込みアッセイ
試薬
組み換えヒトGlyT1b−CHO細胞(hGlyT1b−CHO)の製造。ヒトGlyT1b CDS(GC002087、NM_006934)を、ハイグロマイシンB耐性遺伝子を含有するバイシストロニック発現ベクターでCMVプロモーターの下流にクローン化した。CHO−K1細胞(ATCC)を、GlyT1bを含有する組み換えベクターでLipofectamine 2000(Invitrogen)を使用してトランスフェクトし、そして10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミンを補充したHam/F12培地中で37℃、5%CO2、湿度90%にて培養した。トランスフェクションの24時間後に、細胞を希釈して、0.5mg/mlハイグロマイシンBを含有する培地に切り替えた。抗生物質耐性細胞を、ハイグロマイシンBの存在下での21日の培養後に得た。クローン安定細胞株を96ウェルプレートへのFACS単一細胞沈着(single cell deposition)により単離した。クローン細胞株を、3H−グリシンの取り込みを測定することによりGlyT1b発現について評価し、そして最も高い取り込みを示すクローンをグリシン取り込みアッセイの開発のために選択した。
【0205】
細胞培養:使用した細胞は組み換えhGlyT1b/CHOであった。これらの細胞を、10%FBS、2mM L−グルタミン(Invitrogen 25030−149)及び0.5mg/mLハイグロマイシンB(Invitrogen、10687−010))を含有する細胞培養培地(Ham/F12(改変)(Mediatech、10−080−CM)中で175cm2フラスコにてアッセイにおいて使用する前にコンフルエンス近くになるまで培養した。
【0206】
細胞懸濁物:コンフルエントに近い細胞を含有する細胞培養フラスコ中の細胞培地を取り出し、セルストリッパー(cell stripper)5mLを加えて培養フラスコ表面上の全ての細胞を沈めた。セルストリッパーをすぐに除去し、そしてフラスコを37℃のインキュベーターで約5分間インキュベートした。細胞を緩やかに震盪し、そしてPBS 5mL中に懸濁させた。新しいフラスコで開始するために細胞を分けた後、残りの細胞を遠心分離により集めてカウントし、そしてアッセイ緩衝液に再懸濁して密度約2,000,000/mLにした。細胞懸濁物を使用前は室温で維持した。アッセイ緩衝液は、150mM NaCl、5mM KCl、1.5mM CaCl2、1.5mM MgCl2、(加えたばかりの(added fresh))0.45mg/mL L−アラニン、及び(加えたばかりの)1.8mg/mL D−グルコースを含有する10mM HEPES、pH 7.4であった。
【0207】
SPA及び同位体混合物:WGA PTVビーズを、60nM[3H]グリシン(PerkinElmer (NET−004、[2−3H]グリシン、53.3Ci/mmol、1mCi/mL))及び20μM非標識グリシンを含有するアッセイ緩衝液に懸濁し(2mg/ml)、そしてこの懸濁物をアッセイ前は室温に維持した。
【0208】
グリシン取り込みのアッセイ:OptiPlateのウェルに、試験化合物を含有する2μl DMSOをスポットした。この後、細胞懸濁物98μl(最終約1,000,000/ml)を加えた。細胞を化合物と共に約15分間インキュベートした後、SPA 100μl(最終200μg/ウェル)及び同位体混合物(30nM同位体と10μM冷グリシン、最終)を加えてグリシン取り込みを開始させた。2時間の時点でプレートをTopCountで読み取ってSPAカウントを定量した。
【0209】
B.HPLC分析
ICキラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)カラムをChiral Technologies、West Chester、PAから入手した。
【0210】
質量分光法MS−1
計測手段:Waters Acquity SQD
イオン化モード:エレクトロスプレー
カラム:Acquity UPLC BEH C18 2.1x50mmx1.7um
移動相A:水:アセトニトリル:ギ酸(98:2:0.1 v/v)
移動相B:水:アセトニトリル:ギ酸(2:98:0.05 v/v)
グラジエント:時間(%B):0(5);0.9(95);1.2(95);1.3(5);1.4(5)
質量分光法MS−2
計測手段:Agilent 1100 LCを前に置いたWaters ZMD
イオン化モード:APCI
カラム:Zorbax SB−C8 2.1x50mm x 5um
カラム温度:周囲
移動相A:水:アセトニトリル:ギ酸(98:2:0.1 v/v)
移動相B:水:アセトニトリル:ギ酸(2:98:0.05 v/v)
流量:1.4ml/分(分流(split))
グラジエント:時間(%B):0(5);3(90);4(90);4.5(5);5(5)
質量分光法MS−3
計測手段:Waters Acquity SQD
イオン化モード:Electrospray
カラム:Acquity UPLC BEH C18 2.1x50mmx1.7um
カラム温度:55℃
移動相A:水:メタノール:ギ酸(98:2:0.1 v/v)
移動相B:水:メタノール:ギ酸(2:98:0.05 v/v)
流量:0.9ml/分(分流)
グラジエント:時間(%B):0(5);0.9(95);1.5(95);1.6(5);1.9(5)
質量分光法MS4
計測手段:Agilent 1100 LCを前に置いたWaters ZMD
イオン化モード:APCI
カラム:Zorbax SB−C8 2.1x50mm x 5um
カラム温度:周囲
移動相A:水:メタノール:ギ酸(98:2:0.1 v/v)
移動相B:水:メタノール:ギ酸(2:98:0.05 v/v)
流量:1ml/分(分流)
グラジエント:時間(%B):0(5);2.5(95);4(95);4.2(5);5(5)
【0211】
C.本発明の実例となる化合物及びそれらの[3H]グリシン取り込みアッセイ結果
以下の実施例は本発明の種々の異なる化合物を説明する。これら実施例はまた、本発明の化合物を製造するための種々の一般的なスキーム、さらにはそれらスキームを説明する特定の実施例を提供する。有機合成の分野の当業者は、これら実施例を単独で、又は当該分野における一般的な認識と組み合わせて読んだ後に、本発明により包含されるいずれかの化合物を製造するようにこれらの方法を適合及び応用することができると期待される。当該分野における一般的な認識としては、例えば以下が挙げられる:
【0212】
i) 保護基を使用するための従来の手順及び適切な保護基の例[これらは例えば、Protective Groups in Organic Synthesis、T.W.Green、P.G.M.Wuts、Wiley−Interscience、New York (1999)に記載される]。
ii) 種々の有機合成反応を考察する参考文献としては、例えば、Advanced Organic Chemistry、March 4th ed、McGraw Hill (1992);及びOrganic Synthesis、Smith、McGraw Hill、(1994)のような有機化学の教科書が挙げられる。これらとしては、例えば、R.C.Larock、Comprehensive Organic Transformations、2nd ed.、Wiley−VCH:New York (1999);F.A.Carey;R.J.Sundberg、Advanced Organic Chemistry、2nd ed.、Plenum Press:New York (1984);L.S.Hegedus、Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules、2nd ed.、University Science Books:Mill Valley、CA (1994);L.A.Paquette、Ed.、The Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley:New York (1994);A.R.Katritzky、O.Meth−Cohn、CW.Rees、Eds.、Comprehensive Organic Functional Group Transformations、Pergamon Press:Oxford、UK(1995);G.Wilkinson;F.G A.Stone;E.W.Abel、Eds.、Comprehensive Organometallic Chemistry、Pergamon Press:Oxford、UK(1982);B.M.Trost;I.Fleming、Comprehensive Organic Synthesis、Pergamon Press:Oxford、UK (1991);A.R.Katritzky、CW.Rees Eds.、Comprehensive Heterocyclic Chemistry、Pergamon Press:Oxford、UK (1984);A.R.Katritzky;CW.Rees、E.F.V.Scriven、Eds.、Comprehensive Heterocyclic Chemistry II、Pergamon Press:Oxford、UK (1996);C.Hansen;P.G.Sammes;J.B.Taylor、Eds.、Comprehensive Medicinal Chemistry:Pergamon Press:Oxford、UK (1990)も挙げられる。さらに、合成方法論及び関連する話題の繰り返し見られる総説としては:Organic Reactions、John Wiley:New York;Organic Syntheses;John Wiley:New York;The Total Synthesis of Natural Products、John Wiley:New York;The Organic Chemistry of Drug Synthesis、John Wiley:New York;Annual Reports in Organic Synthesis、Academic Press:San Diego CA;及びMethoden der Organischen Chemie (Houben−Weyl)、Thieme:Stuttgart、Germanyが挙げられる。
iii) 複素環化学を考察する参考文献としては、例えば、Heterocyclic Chemistry、J.A.Joule、K.Mills、G.F.Smith、3rd ed.、Cheapman and Hall、p.189−225(1995);及びHeterocyclic Chemistry、T.L.Gilchrist、2nd ed.Longman Scientific and Technical、p.248−282(1992)が挙げられる。
iv) Chemical Abstractsを含む合成変換のデータベース[これらはCAS Online又はSciFinderのいずれかを使用して検索され得る];及びHandbuch der Organischen Chemie (Beilstein)[これはSpotFireを使用して検索され得る]。
【0213】
方法1.N−H アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類の立体選択的合成
【化37】

方法1は、N−Hアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類の立体選択的合成に適した一般化スキームを示す。当業者は、さらなるN−Hアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類を、立体選択的若しくはラセミ形態で製造するために使用され得る種々の試薬及び中間体、又は部分の変化を容易に認識するだろう。
【0214】
実施例1.(R*)−N−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミドの製造
【化38】

【0215】
工程A.(1s,4s)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸塩酸塩から7−tert−ブチル 1−メチル 7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1,7−ジカルボキシレートの製造
【化39】

メタノール(80mL)に0℃にて塩化アセチル(3.90mL、54.89mmol)をゆっくりと加えた。10分後、この溶液を(1s,4s)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸(3.25g、18.30mmol;A.Avenoza et al.Tetrahedron 2001、57、545−548の手順にしたがって製造された)に加えてベージュ色混合物を得た。この混合物を60℃に加温し、そしてこれらの条件に16時間維持した。この混合物を最少体積まで濃縮し、メタノールから再濃縮し、そして真空下で乾燥して粗製(1s,4s)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸メチル(3.46g)を塩酸塩及び薄灰色固体として得た。粗製7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸メチル塩酸塩(2.0g、10.44mmol)、トリエチルアミン(7.27mL、52.18mmol)及びジクロロメタン(50mL)の混合物に、二炭酸ジ−tert−ブチル(2.91mL、12.52mmol)を加えた。生じた白色混合物を室温で16時間撹拌し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈した。層を分離し、そして水層を酢酸エチル(x3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。生じた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中0−50%酢酸エチル)により精製して7−tert−ブチル 1−メチル 7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1,7−ジカルボキシレート(2.050g、77%)を透明無色油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.41(s、9H)、1.43−1.53(m、2H)、1.68−1.80(m、2H)、1.85−2.00(m、2H)、2.11−2.26(m、2H)、3.79(s、3H)、4.33(t、J=4.8Hz、1H).m/z(ES+)、(M+Na)+=278.1。
【0216】
工程B.7−tert−ブチル 1−メチル 7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ
ン−1,7−ジカルボキシレートから1−(ヒドロキシメチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化40】

7−tert−ブチル 1−メチル 7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1,7−ジカルボキシレート(0.78g、3.04mmol)のテトラヒドロフラン(9.41mL)溶液に、室温でトルエン中1.0M水素化ジイソブチルアルミニウム(6.38mL、6.38mmol)を加えると発熱した。30分後、反応を1N塩化水素水溶液でクエンチし、次いで50%水酸化ナトリウム水溶液で塩基性化した。得られた混合物を酢酸エチル(x3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン中5−10%酢酸エチル、PMAで可視化)により精製して半純粋(semi−pure)1−(ヒドロキシメチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.665g、106%)を透明で無色の自由流動性(free−flowing)油状物を得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.32−1.52(m、4H)、1.44−1.46(m、9H)、1.70−1.96(m、4H)、3.90(d、J=7.2Hz、2H)、4.24(t、J=4.5Hz、1H)、4.78(br.s.、1H).m/z(ES+)、(M−tBu+2H)+=172.0。
【0217】
工程C.1−(ヒドロキシメチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから1−ホルミル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化41】

DMSO(2.00mL、28.27mmol)のジクロロメタン(35mL)溶液に−78℃で塩化オキサリル(1.24mL、14.13mmol)を滴下した。得られた混合物を激しく15分間撹拌した後、この透明になった溶液に1−(ヒドロキシメチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.29g、5.65mmol)をジクロロメタン溶液(10mL)としてシリンジで加えた。反応系は濁って不透明になり、これを−78℃で30分間維持した。次いで、トリエチルアミン(7.88mL、56.53mmol)を一度に加え、そしてこの白色混合物を−78℃にさらに10分間維持した後、0℃まで加温した。さらに10分後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応をクエンチし、そして層を分離した。水層を酢酸エチル(x2)で抽出し、そして合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中0−10%酢酸エチル、PMAで可視化)により精製して1−ホルミル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.15g、90%)を透明無色の自由流動性油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.43(s、9H)、1.46−1.70(m、4H)、1.83−2.09(m、4H)、4.23−4.37(m、1H)、9.92(s、1H).m/z(ES+)、(M−tBu+2H)+=170.1。
【0218】
工程D.1−ホルミル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから(R)−1−((tert−ブチルスルフィニルイミノ)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化42】

1−ホルミル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.15g、5.10mmol)及びテトラエトキシチタン(2.52mL、10.21mmol)のテトラヒドロフラン(10.24mL)中淡黄色溶液に(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(0.650g、5.36mmol)を加えた。得られた溶液を室温で16時間撹拌し、次いで8滴の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、25分間激しく撹拌し、次いでろ過した。ろ液を濃縮し、そして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中0−40%酢酸エチル)により精製して(R)−1−((tert−ブチルスルフィニルイミノ)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.41g、84%)を白色半結晶性(semi−crystalline)固体として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.20(s、9H)、1.41(s、9H)、1.44−1.65(m、3H)、1.70−1.83(m、1H)、1.85−2.13(m、4H)、4.33(t、J=4.6Hz、1H)、8.51(s、1H).m/z(ES+)、(M+H)+=329.2。
【0219】
工程E.(R)−1−((tert−ブチルスルフィニルイミノ)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから1−((R*)−((R)−1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル及び1−((S*)−((R)−1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化43】

(R)−1−((tert−ブチルスルフィニルイミノ)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.10g、3.35mmol)のテトラヒドロフラン(14.33mL)溶液に、−78℃でジ−n−ブチルエーテル中1.8Mフェニルリチウム(2.42mL、4.35mmol)を滴下し、反応温度を−70℃以下に維持した。10分後、反応を飽和塩化ナトリウム水溶液でクエンチした。次いでこの混合物を酢酸エチル(x3)で抽出し、そして合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。得られた残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中0−25%酢酸エチル、次いでヘキサン中25%定組成酢酸エチル、次いでヘキサン中50%定組成酢酸エチル)により精製して、1−(((R)−1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルのより早く溶出したジアステレオマー(1.25g、92%)を、少量の酢酸エチルを含有する透明無色油状物として、そして1−(((R)−1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルのより遅く溶出したジアステレオマー(0.198g、15%)を、少量の酢酸エチルを含有する透明無色残留物として得た。より早く溶出した(多い方)を(R*,R)ジアステレオマーと任意に割り当て、そしてより遅く溶出した(少ない方)ジアステレオマーを(S*,R)ジアステレオマーと任意に割り当てた。1−((R*)−((R)−1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル:1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.08−1.18(m、1H)、1.24(s、9H)、1.25−1.31(m、2H)、1.31−1.42(m、1H)、1.51(s、9H)、1.69−1.87(m、3H)、2.20−2.32(m、1H)、4.32(t、J=4.8Hz、1H)、5.20−5.28(m、2H)、7.27(d、J=1.9Hz、3H)、7.34−7.39(m、2H).m/z(ES+)、(M+H)+=407.3;MS−1、HPLC tR=1.02分。1−((S*)−((R)−1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル:1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.13−1.20(m、1H)、1.22(s、9H)、1.25−1.44(m、3H)、1.47(s、9H)、1.65−1.89(m、3H)、2.18−2.33(m、1H)、4.27(t、J=4.8Hz、1H)、5.13−5.27(m、2H)、7.23−7.36(m、3H)、7.44−7.50(m、2H).m/z(ES+)、(M+H)+=407.3;MS−1、HPLC tR=0.98分。
【0220】
工程F.1−((R*)−((R)−1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(フ
ェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから(R*)−1−(アミノ(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化44】

1−((R*)−((R)−1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.25g、3.07mmol)のメタノール(28.1mL)溶液に0℃でジオキサン中4M塩酸(2.69mL、10.76mmol)を加えた。30分後、反応系を室温まで加温し、そして20分間撹拌した。次いで反応を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチル(x3)で抽出し、そして合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して粗製(R*)−1−(アミノ(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.92g、99%)を淡黄色粘性油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.00(ddd、J=11.8、9.5、4.8Hz、1H)、1.15−1.29(m、4H)、1.32−1.42(m、1H)、1.49(s、9H)、1.62−1.87(m、3H)、2.40(tt、J=12.1、3.8Hz、1H)、4.26(t、J=4.8Hz、1H)、5.00(s、1H)、7.22−7.32(m、3H)、7.36−7.46(m、2H).m/z(ES+)、(M+H)+=303.2。
【0221】
工程G.(R*)−1−(アミノ(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから(R*)−1−((2,6−ジメチルベンズアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化45】

2,6−ジメチル安息香酸(0.114g、0.76mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液に、塩化オキサリル(0.133mL、1.52mmol)、続いて1滴のDMFを加えた。2時間後、この溶液を濃縮して油性の半固形物とし、ジクロロメタンに再溶解して再濃縮し、明金色油状物とした。次いでこの油状物をジクロロメタン(1mL)溶液としてシリンジを介して、同様にジクロロメタン(1.18mL)中の(R*)−1−(アミノ(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.046g、0.15mmol)及びDIPEA(0.213mL、1.22mmol)の溶液に加えた。4.5時間後、反応混合物を最少体積まで濃縮し、そしてフリーザーで16時間保存した。次いでこの反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中0−100%酢酸エチル)により精製して(R*)−1−((2,6−ジメチルベンズアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.052g、79%)を透明無色残留物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.24−1.36(m、2H)、1.43(s、9H)、1.47−1.56(m、1H)、1.59−1.73(m、2H)、1.73−1.89(m、2H)、2.14(td、J=8.2、3.8Hz、1H)、2.21(s、6H)、4.30(t、J=4.8Hz、1H)、5.86(d、J=8.6Hz、1H)、6.96(d、J=7.6Hz、2H)、7.04−7.15(m、1H)、7.20−7.35(m、3H)、7.54(dd、J=8.1、1.4Hz、2H)、8.15(d、J=8.0Hz、1H)。m/z(ES+)、(M+H)+=435.3。
【0222】
工程H.(R*)−1−((2,6−ジメチルベンズアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから(R*)−N−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミドの製造
【化46】

(R*)−1−((2,6−ジメチルベンズアミド)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.052g、0.12mmol)に12N塩酸水溶液(1.0mL、12.00mmol)を加えた。バブリングを終了した後(約1分)、この混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性化し、そして酢酸エチル(x3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して粗生成物を得た。この物質をメタノールに溶解し、2回目のろ過をして、分取HPLC(C18、炭酸アンモニウムを含有する水中アセトニトリル、pH10)により精製して(R*)−N−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミド(0.040g、100%)を白色泡状固体として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.18−1.34(m、1H)、1.38−1.50(m、5H)、1.60−1.74(m、1H)、1.75−1.90(m、1H)、2.25(s、6H)、3.49−3.61(m、1H)、5.42(d、J=8.0Hz、1H)、6.83(d、J=7.8Hz、1H)、6.94−7.06(m、2H)、7.14(dd、J=8.2、7.2Hz、1H)、7.27−7.33(m、1H)、7.35(d、J=4.2Hz、4H).m/z(ES+)、(M+H)+=335.2;MS−1、HPLC tR=0.48分。
【0223】
方法2.N−Meアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類の立体選択的合成
【化47】

方法2は、N−Meアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類の立体選択的合成に適した一般化スキームを示す。当業者は、さらなるN−アルキルアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類を製造するために使用され得る種々の試薬及び中間体又は部分の変更を容易に認識するだろう。
【0224】
実施例2.(R*)−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)−2−(メチルチオ)ニコチンアミドの製造
【化48】

【0225】
工程A.(R*)−1−(アミノ(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから(R*)−1−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化49】

(R*)−1−(アミノ(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.133g、0.44mmol;実施例1、工程A−Fの手順にしたがって製造された)及びDIPEA(0.230mL、1.32mmol)のジクロロメタン(4.09mL)溶液に、クロロギ酸ベンジル(0.073mL、0.48mmol)を加えた。得られた淡黄色溶液を20分間撹拌し、そしてさらに35uLのクロロギ酸ベンジルを加えた。反応混合物をさらに45分間撹拌した後、メタノール(1mL)でクエンチし、そして最少体積まで濃縮した。得られた溶液をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、0−30%ヘキサン中酢酸エチル)により精製して(R*)−1−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.180g、94%)を透明無色油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.23−1.34(m、2H)、1.45(s、9H)、1.45−1.50(m、2H)、1.62−1.72(m、1H)、1.76−1.91(m、2H)、1.91−2.02(m、1H)、4.30(t、J=4.8Hz、1H)、4.70(d、J=5.9Hz、1H)、4.99(d、J=12.4Hz、1H)、5.12(d、J=12.4Hz、1H)、5.34(d、J=7.0Hz、1H)、7.20−7.34(m、6H)、7.36(d、J=4.2Hz、2H)、7.43(d、J=7.0Hz、2H).m/z(ES+)、(M+H)+=437.3。
【0226】
工程B.(R)−1−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから(R*)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メチルカルバミン酸ベンジルの製造
【化50】

(R*)−1−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)(フェニル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.180g、0.41mmol)に、12N塩酸水溶液(1.0mL、12.00mmol)、続いてメタノール(0.5mL)及びジクロロメタン(0.5mL)を加えた。5分撹拌した後、この混合物を透明になるまで濃縮した。さらに1mLの塩酸水溶液(12M)を加え、続いてメタノール1mLを加え、そしてこの溶液を再び最少体積まで濃縮した。次いでこの混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性化し、そして酢酸エチル(x3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して粗製(R*)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メチルカルバミン酸ベンジル(0.141g、102%)を淡黄色油状物として得た。1H NMR(500MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.30−1.42(m、3H)、1.42−1.50(m、2H)、1.50−1.59(m、1H)、1.62−1.74(m、2H)、3.55−3.60(m、1H)、4.92−5.12(m、3H)、6.01(br.s.、1H)、7.23−7.39(m、10H)。m/z(ES+)、(M+H)+=337.2。
【0227】
工程C.(R*)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メチルカルバミン酸ベンジルから(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸ベンジルの製造
【化51】

(R*)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メチルカルバミン酸ベンジル(0.268g、0.80mmol)に、37質量%ホルムアルデヒド水溶液(1.5mL、20.15mmol)及びギ酸(3.0mL、78.22mmol)を加えた。得られた溶液を密封して60℃まで加温した。16時間後、反応混合物をマイクロ波バイアルに移し、そしてマイクロ波条件下に60分間置いた(300W、125℃)。反応混合物を同じ条件下にさらに30分間置いた後、飽和水酸化アンモニウム水溶液で塩基性化した。この混合物を酢酸エチル(x3)で抽出し、そして合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して淡黄色油状物とした。得られた油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル中0−20%メタノール)により精製して(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸ベンジル(0.186g、66.6%)を透明無色油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 0.94−1.06(m、1H)、1.07−1.22(m、2H)、1.30−1.43(m、1H)、1.58−1.82(m、3H)、1.91−2.04(m、1H)、2.22(s、3H)、3.22(t、J=4.5Hz、1H)、4.71(d、J=4.0Hz、1H)、4.93−5.13(m、2H)、5.86(br.s.、1H)、7.07−7.46(m、10H).m/z(ES+)、(M+H)+=351.2。
【0228】
工程D.(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸ベンジルから(R*)−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)−2−(メチルチオ)ニコチンアミドの製造
【化52】

(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸ベンジル(0.048g、0.14mmol)の真空脱気したメタノール(1.370mL)溶液に、20質量%炭素担持水酸化パラジウム(0.020g、0.03mmol)を加えた。次いで反応フラスコに水素バルーン(1atm)を取り付け、そして反応混合物を2.5日間激しく撹拌した。次いでこの混合物をろ過し、そしてろ液を濃縮して推定純度80%の粗製(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン(0.033g、111%)を濁った残留物として得た。m/z(ES+)、(M+H)+=217.1。DMF(1.149mL)中の粗製(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン(0.0328g、0.12mmol)に、DIPEA(0.064mL、0.36mmol)、2−(メチルチオ)ニコチン酸(0.025g、0.15mmol)、HOBT(0.022g、0.15mmol)、及びTBTU(0.047g、0.15mmol)を連続して加えた。明ベージュ反応混合物は徐々に黄色になり、そして1.5時間後、これをろ過して分取HPLC(C18、炭酸アンモニウムを含有する水中アセトニトリル、pH10)により精製し、凍結乾燥(lyopholization)して(R*)−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)−2−(メチルチオ)ニコチンアミド(0.017g、38.4%)白色固体として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.12(dd、J=11.0、3.6Hz、1H)、1.16−1.32(m、2H)、1.35−1.48(m、1H)、1.63−2.09(m、4H)、2.24(s、3H)、2.60(s、3H)、3.26(t、J=4.6Hz、1H)、5.10(d、J=4.6Hz、1H)、7.04(dd、J=7.6、4.8Hz、1H)、7.19−7.36(m、3H)、7.42(d、J=7.4Hz、3H)、7.88(dd、J=7.6、1.7Hz、1H)、8.50(dd、J=4.8、1.7Hz、1H)。m/z(ES+)、(M+H)+=368.2。
【0229】
方法3.N−Meアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類のラセミ合成
【化53】

方法3は、N−Meアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類のラセミ合成に適した一般化スキームを示す。当業者は、さらなるN−アルキルアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類を作製するために使用され得る種々の試薬及び中間体又は部分の変化を容易に認識するだろう。
【0230】
実施例3.2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドの製造
【化54】

【0231】
工程A.(1s,4s)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸メチル塩酸塩から7−ホルミル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸メチルの製造
【化55】

無水酢酸(1.596mL、16.92mmol)に0℃にてギ酸(0.757mL、17.63mmol)を加えた。5分後、透明無色溶液を60℃まで加温した。1時間後、この溶液を冷却し、そしてトリエチルアミン(9.83mL、70.50mmol)及び(1s,4s)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸メチル塩酸塩(2.70g、14.1mmol;A.Avenoza et al.Tetrahedron 2001、57、545−548の手順にしたがって製造した)のジクロロメタン(70mL)中混合物に0.5mLを0℃で加えた。10分後、白色混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、そして酢酸エチル(x3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、0−100%酢酸エチル)により精製して(1s,4s)−7−ホルミル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸メチル(1.70g、65.8%)を透明淡黄色油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.49−1.68(m、2H)、1.74−1.99(m、4H)、1.99−2.32(m、2H)、3.84(s、3H)、4.15−4.32(m、0.26H)、4.79(br.s.、0.74H)、8.10−8.28(m、0.26H)、8.39(br.s.、0.74H).m/z(ES+)、(M+H)+=184.1。
【0232】
工程B.7−ホルミル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸メチルから(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタノールの製造
【化56】

濃硫酸水溶液(1.61mL、30.16mmol)のテトラヒドロフラン(80mL)中溶液に0℃でテトラヒドロフラン中2.0M水素化リチウムアルミニウム(30.2mL、60.32mmol)を滴下した。15分後、7−ホルミル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸メチル(1.7g、9.28mmol)をカニューレを介してテトラヒドロフラン溶液(10mL)として加えた。3分後、反応系を室温まで加温した。さらに30分後、反応系を0℃まで再度冷却し、そして酢酸エチル、次いで硫酸ナトリウム10水和物でクエンチした。この混合物を15分間激しく撹拌し、そしてろ過した。次いでろ液を濃縮し、そして粗製残留物をエーテルで処理した。得られた白色混合物を再度ろ過し、そしてろ液を濃縮して粗製(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタノール(0.687g、52.4%)を白色油性残留物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.23−1.45(m、4H)、1.57−1.93(m、5H)、2.17(s、3H)、3.23(t、J=4.6Hz、1H)、3.73(br.s.、2H).m/z(ES+)、(M+H)+=172.16。
【0233】
工程C.(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタノールから7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルバルデヒドの製造
【化57】

塩化オキサリル(0.639mL、7.30mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、DMSO(0.691mL、9.73mmol)を−78℃で滴下した。7分後、(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタノール(0.687g、4.87mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液をカニューレを介して加えた。15分後、トリエチルアミン(3.39mL、24.33mmol)を一度に加えた。さらに15分後、白色混合物を30分かけて室温まで加温し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチした。層を分離し、そして水層を酢酸エチル(x2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。生じた残留物を酢酸エチル(5mL)で処理し、そして得られた混合物をろ過した。ろ液を濃縮して粗製7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルバルデヒド(0.342g、50.5%)を淡黄色油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.38−1.58(m、4H)、1.84−2.06(m、4H)、2.24(s、3H)、3.34(t、J=4.2Hz、1H)、9.94(s、1H).m/z(ES+)、(M+MeOH+H)+=172.2.
【0234】
工程D.7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルバルデヒドから2−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチレン)プロパン−2−スルフィンアミドの製造
【化58】

7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルバルデヒド(0.342g、2.46mmol)及びテトラエトキシチタン(0.927mL、4.42mmol)のテトラヒドロフラン(6.14mL)溶液に、2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(0.357g、2.95mmol)を加えた。20時間後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.5mL)を滴下することにより反応をクエンチし、そして酢酸エチル(6mL)で希釈した。得られた黄色混合物を30分間激しく撹拌し、次いでろ過した。ろ液を濃縮し、そして得られた黄色残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、100%酢酸エチル、次いで酢酸エチル中20%メタノール)により精製して2−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチレン)プロパン−2−スルフィンアミド(0.247g、41.5%)を透明無色油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.21(s、9H)、1.39−1.50(m、2H)、1.54−1.67(m、2H)、1.85−2.07(m、4H)、2.23(s、3H)、3.33−3.38(m、1H)、8.29(s、1H).m/z(ES+)、(M+H)+=243.2。
【0235】
工程E.2−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチレン)プロパン−2−スルフィンアミドから(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチルの製造
【化59】

2−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチレン)プロパン−2−スルフィンアミド(0.247g、1.02mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液に、テトラヒドロフラン中1.0M臭化フェニルマグネシウム(4.08mL、4.08mmol)を加えて、橙赤色溶液を生じた。15分後、飽和水酸化アンモニウム水溶液中50%飽和塩化アンモニウム水溶液で反応をクエンチした。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして層を分離した。水層を酢酸エチル(x2)で抽出し、そして合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して粗製2−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)プロパン−2−スルフィンアミドを得た。上記からの粗製2−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)プロパン−2−スルフィンアミドのメタノール(2.0mL)溶液に、ジオキサン中4M塩酸(3mL)を加えた。5分後、淡橙色溶液を濃縮し、そして飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2mL)を加え、続いて酢酸エチル(2mL)を加えた。この混合物に、二炭酸ジ−tert−ブチル(0.474mL、2.04mmol)を一度に加えた。30分後、この混合物を酢酸エチル(x3)で抽出し、そして合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。このろ液を濃縮し、そして残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、100%酢酸エチルを5分間、次いで酢酸エチル中20%メタノールを25分間)により精製した。所望の生成物約70mgを透明残留物として得た(以下を参照のこと)。上記の抽出からの水層(Boc保護の後)に、二炭酸ジ−tert−ブチル(0.474mL、2.04mmol)及びテトラヒドロフラン(10mL)を加えた。得られた混合物を60分間激しく撹拌し、次いで酢酸エチル(x3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。得られた残留物を上記のようにフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、そして得られた生成物を上述の70mgと合わせて(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチル(0.262g、81%)を透明粘性油状物として得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 0.93−1.07(m、1H)、1.12−1.42(m、3H)、1.38(br.s.、9H)、1.68−1.90(m、3H)、1.92−2.08(m、1H)、2.34(s、3H)、3.32(br.s.、1H)、4.68(br.s.、0H)、5.67(br.s.、1H)、7.18−7.37(m、5H)。m/z(ES+)、(M+H)+=317.2。
【0236】
工程 F.(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチルから(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩の製造
【化60】

(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチル(0.262g、0.83mmol)に濃塩化水素水溶液(1.2mL)を加えた。気体の発生が止まった後、この溶液をガラス状になるまで濃縮してメタノール及びジクロロメタンから再濃縮して(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩(0.224g、107%;少量のメタノールを含有)をジアステレオマーの混合物、そして白色泡状固体として得た。1H NMR(300MHz、MeOD) δ ppm 1.37(ddd、J=13.7、9.7、4.2Hz、1H)、1.81(ddd、J=13.6、9.8、4.1Hz、1H)、1.87−2.08(m、2H)、2.09−2.26(m、2H)、2.27−2.43(m、1H)、2.55−2.68(m、1H)、2.96(s、3H)、4.03−4.25(m、1H)、4.90−5.13(m、1H)、7.44−7.64(m、5H).m/z(ES+)、(M−H−2Cl)+=217.2。
【0237】
工程G.(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩から2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドの製造
【化61】

(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩(0.021g、0.07mmol)、2,6−ジメチル安息香酸(0.012g、0.08mmol)、及びHOBT(0.016g、0.11mmol)のDMF(0.484mL)溶液をTBTU(0.033g、0.10mmol)及びDIPEA(0.126mL、0.73mmol)で連続して処理した。1.5時間後、この溶液をメタノールで希釈し、ろ過し、そして分取HPLC(C18、炭酸アンモニウムを含有する水中アセトニトリル、pH 10)により精製して2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミド(0.017g、68.8%)を白色泡状固体として得た。あるいは、この物質は、(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩を2,6−ジメチルベンゾイルクロリドとDIPEAの存在下で反応させることにより製造することができた。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.02−1.23(m、3H)、1.29−1.43(m、1H)、1.55−1.84(m、3H)、1.90−2.07(m、1H)、2.27(s、3H)、2.34(s、6H)、3.21(t、J=4.5Hz、1H)、5.11(d、J=5.0Hz、1H)、6.62(br.s.、1H)、7.01(d、2H)、7.15(dd、J=8.0、7.1Hz、1H)、7.21−7.41(m、5H)。m/z(ES+)、(M+H)+=349.3;MS−1、HPLC tR=0.51分。
【0238】
方法4.最終生成物のキラル分割による式Iの化合物の製造
【化62】

方法4は、最終生成物のキラル分割による式Iの化合物の製造に適した一般化スキームを示す。当業者は、さらなる式Iの化合物を作製するために使用され得る種々の試薬及び中間体又は部分の変化を容易に認識するだろう。
【0239】
実施例4及び5.(R*)−2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドクエン酸塩及び(S*)−2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)−ベンズアミドクエン酸塩の製造
【化63】

ラセミ2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)−ベンズアミドを、超臨界流体クロマトグラフィー条件(液体CO2)下にてChiralPak ICカラムで0.5%ジメチルエチルアミンを含有する25%メタノールを使用して分割し、より早く溶出する(S*)−2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミド及びより遅く溶出する(R*)−2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドを得た。これらの化合物をジクロロメタン中10%メタノールに溶解し、1.0当量のメタノール中クエン酸一水和物で処理し、そして濃縮した。得られた残留物を凍結乾燥して(lyopholized)(S*)−2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドクエン酸塩及び(R*)−2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドクエン酸塩を白色固体として得た。相対的立体化学:一般に、この方法で得られた個々の異性体の絶対立体化学は決定されなかった。任意の指定を使用した(R*、S*)。(R*)−2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドクエン酸塩。1H NMR(500MHz、MeOD) δ ppm 1.45−1.55(m、1H)、1.68−1.84(m、3H)、2.05−2.29(m、9H)、2.49−2.59(m、1H)、2.63−2.75(m、4H)、2.90−3.02(m、3H)、4.00(br.s.、1H)、5.67(br.s.、1H)、7.02(d、J=7.6Hz、2H)、7.16(t、J=7.6Hz、1H)、7.34−7.47(m、3H)、7.50(d、J=1.5Hz、2H).m/z(ES+)、(M+H)+=349.3;MS−1、HPLC tR=0.51分。(S*)−2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドクエン酸塩。1H NMR(500MHz、MeOD) δ ppm 1.44−1.53(m、1H)、1.65−1.84(m、3H)、2.06−2.29(m、9H)、2.49−2.59(m、1H)、2.58−2.70(m、4H)、2.93(br.s.、3H)、3.99(br.s.、1H)、5.66(br.s.、1H)、7.02(d、J=7.6Hz、2H)、7.16(t、J=7.6Hz、1H)、7.34−7.47(m、3H)、7.49(d、J=7.0Hz、2H)。m/z(ES+)、(M+H)+=349.3;MS−1、HPLC tR=0.51分。
【0240】
方法5.ラセミN−アルキルアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類の製造及びSFC分割
【化64】

方法5は、N−アルキルアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類のラセミ合成に適した一般化スキームを示す。当業者は、N−アルキルアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類を作製するために使用され得る種々の試薬及び中間体又は部分の変化を容易に認識するだろう。ラセミ化合物は、いずれも直接試験され得るか、又は超臨界流体クロマトグラフィーにより適切な条件下で容易に分割され得る。
【0241】
実施例6.(R*)−N−((7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミド
【化65】

【0242】
工程A.7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから1−イソニコチノイル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化66】

7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.068g、5.42mmol)のEt2O(10mL)中撹拌溶液に、TMEDA(1.137mL、7.58mmol)を加えた。この混合物を0℃で15分間撹拌した後、シクロヘキサン中1.4M s−BuLi(4.64mL、6.50mmol)を滴下した。反応混合物を室温で5分間撹拌した後、5mLエーテル中のN−メトキシ−N−メチルイソニコチンアミド(0.6g、3.61mmol)を0℃で加えた。次いでこの混合物を0℃から室温で2時間撹拌した。水で反応をクエンチし、有機層を分離した。水層をエーテルで抽出した。エーテル層を合わせてブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(40g、20%−75%ヘキサン/酢酸エチル)により精製して1−イソニコチノイル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(0.54g、50%)を得た。1HNMR(500MHz、CDCl3) δ ppm 1.16(bs、9H)、1.58−1.63(m、2H)、1.82(bs、2H)、2.04(bs、2H)、2.20−2.27(m、2H)、4.48(s、1H)、8.06(d、J=6.0Hz、2H)、8.76(d、J=6.0Hz、2H)。
【0243】
工程B.1−イソニコチノイル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(ピリジン−4−イル)メタノンの製造
【化67】

1−イソニコチノイル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(550mg、1.82mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)中撹拌溶液に、ジオキサン中4N HCl(9.09mL、36.38mmol)を加えた。この混合物を室温で終夜撹拌した。粗生成物を1N NaOHで中和し、そしてDCMで抽出した。抽出物をMgSO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮して7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(ピリジン−4−イル)メタノン(400mg、定量的)を橙色油状物として得た。1HNMR(500MHz、CDCl3) δ ppm 1.58−1.94(m、9H)、3.83(t、J=4.5Hz、1H)、7.95(d、J=6.0Hz、2H)、8.76(d、J=6.0Hz、2H)。
【0244】
工程C.7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(ピリジン−4−イル)メタノンから(7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メタノンの製造
【化68】

DIPEA(1.036mL、5.93mmol)及び7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(ピリジン−4−イル)メタノン(400mg、1.98mmol)のDMF(5mL)中混合物に、1−ブロモ−2−メトキシエタン(289mg、1.98mmol)を加えた。この混合物を150℃に15分間マイクロ波で加熱した。DMFを減圧下で除去した。残留物をエーテル及び0.5N NaOHで抽出した。次いでエーテル層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮して黒色油状物を得、これをシリカゲル(DCM中0−10%MeOH)により精製して(7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メタノン(190mg、37%)を橙色油状物として得た。1H NMR(500MHz、CDCl3) δ ppm 1.49(dd、J=11.4、3.8Hz、2H)、1.62(dd、J=9.0、3.5Hz、2H)、1.99(dd、J=10.1、4.9Hz、2H)、2.10−2.20(m、2H)、2.43(t、J=5.8Hz、2H)、3.20(s、3H)、3.38(t、J=5.8Hz、2H)、3.69(t、J=4.7Hz、1H)、8.29(d、J=6.1Hz、2H)、8.78(d、J=5.8Hz、2H)。
【0245】
工程D.7(7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メタノンから(7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メタンアミンの製造
【化69】

メタノール中7Nアンモニア(9.88mL、69.14mmol)、Ti(Oi−Pr)4(0.588mL、2.01mmol)及び(7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メタノン(180mg、0.69mmol)の混合物を密封したチューブ中で終夜55℃に加熱した。次いでこれを室温まで冷却し、そして水素化ホウ素ナトリウム(52.3mg、1.38mmol)を固形物として加え、そして室温で1時間撹拌した。数mlの1N NaOHを加え、続いてスパチュラ数杯分のセライトを加えた。30分後、この溶液をセライトのパッドを通してろ過し、多量のMeOHで洗浄した。この溶液を濃縮し、水で希釈し、DCM(2x20mL)で抽出した。次いでDCM層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮して粗製(7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メタンアミン(140mg、77%)を黄色油状物として得た。1HNMR(500MHz、CDCl3) δ ppm 0.76−0.82(m、1H)、1.02−1.08(m、1H)、1.13−1.19(m、1H)、1.32−1.39(m、1H)、1.50−1.75(m、4H)、1.89−1.95(m、1H)、2.05−2.10(m、1H)、2.40−2.44(m、1H)、2.73−2.76(m、1H)、3.40(s、3H)、3.41−3.43(m、1H)、3.52−3.56(m、2H)、4.18(s、1H)、7.34(d、J=6.0Hz、2H)、8.51(d、J=6.0Hz、2H)。
【0246】
工程E.(7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メタンアミンから(R*)− N−((7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミドの製造
【化70】

2,6−ジメチル安息香酸(44.2mg、0.29mmol)、DIPEA(0.140mL、0.80mmol)のDCM(5mL)中撹拌溶液に、TBTU(95mg、0.29mmol)を加えた。10分後、(7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メタンアミン(70mg、0.27mmol)を加えた。この混合物を室温で終夜撹拌した。LCMSは活性エステルの形成を示したが、所望の生成物の痕跡はなかった。反応混合物を濃縮し、そしてDMF数mlを加え、この混合物を80℃で6〜8時間加熱した。次いで反応混合物を濃縮してDCMで希釈し、そして1N NaOHで洗浄した。次いでDCM層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(12g、DCM中0−10%MeOH)、続いて塩基性アルミナカラム(0−100%ヘキサン/酢酸エチル)により精製してN−((7−(2−メトキシエチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(ピリジン−4−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミド(30.0mg、28.5%)を白色固体として得、これをSFCにより以下の条件下で分割した:Multigram III SFCシステムを21mmX250mm Chiral ADHカラムとともに使用した。サンプルをEtOH(0.5%イソプロピルアミン)5mlで希釈し、そして0.8mlずつのスタックインジェクションを20%MeOH[0.5%イソプロピルアミン]定組成で使用して50ml/分にて行った。サンプルのeeをSFCにより同様のSFC条件で検査した。SFC:ピーク2:(ee>95%、SFCによる、tR=6.95分);1H NMR(500MHz、CDCl3
δ ppm 0.97−1.08(m、1H)、1.17−1.30(m、2H)、1.39(m、1H)、1.57−1.77(m、3H)、1.93−2.04(m、1H)、2.35(s、6H)、2.40−2.52(m、1H)、2.65−2.77(m、1H)、3.25(s、3H)、3.41−3.54(m、3H)、5.06(d、J=4.0Hz、1H)、6.87(br.s.、1H)、7.03(d、J=7.6Hz、2H)、7.17(t、J=7.6Hz、1H)、7.32(d、J=5.8Hz、2H)、8.57(d、J=5.8Hz、2H).m/z(ES+)、(M+H)+=394.4;MS−3、HPLC tR=0.52分
【0247】
実施例7.2−フルオロ−6−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドの製造
【化71】

【0248】
工程A.−tert−ブチル 1−メチル 7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1,7−ジカルボキシレートから7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メタノン塩酸塩の製造
【化72】

7−tert−ブチル 1−メチル 7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1,7−ジカルボキシレート(2g、7.83mmol)の10ml THF中撹拌溶液に、−78℃にてフェニルリチウム(10.01mL、18.02mmol)を滴下した。−78℃で2時間撹拌した後、反応を5ml 1N HClで−78℃にてクエンチした。反応混合物を室温まで加温し、そしてEtOAcで数回抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(0−50%ヘキサン/酢酸エチル)により精製して1−ベンゾイル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(2.5g、定量的収率)を得た。1−ベンゾイル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(2.5g、8.30mmol)の1,4−ジオキサン(15mL)中撹拌溶液に、ジオキサン中4N HCl(25.9mL、103.69mmol)を加えた。この混合物を室温で終夜撹拌した。次いでこの混合物を濃縮し、エーテルでトリチュレーションした(tritrated)。白色固体をろ過し、そしてエーテルで洗浄し、次いでHV下で乾燥して7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メタノン塩酸塩(1.7g、86%)を得た。LCMS(MS−3)、M+H+=202.2(t=0.33分)。
【0249】
工程B.7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メタノン塩酸塩から(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタノンの製造
【化73】

5N水酸化ナトリウム(3.62mL、18.09mmol)が入っている反応容器に、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(フェニル)メタノン塩酸塩(2g、8.41mmol)、続いて1,4−ジオキサン(31.5mL)を加えた。この混合物を室温で30分間撹拌し、次いでジオキサンが凍結し始めるまで氷浴で短時間冷却した。硫酸ジメチル(0.881mL、9.25mmol)を加え、そして反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒の体積を真空で減らして、残留物をEtOAc(75mL)とブライン(30mL)との間で分配した。層を分離し、そして水層をEtOAcで洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空でエバポレートした。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−30%EtOAc/ヘキサン)にかけて(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタノン1.16gを無色油状物として得た。1H NMR(500MHz、クロロホルム−d) δ ppm 1.42−1.48(m、2H)、1.72(br s、2H)、1.93−2.00(m、2H)、2.13(s、3H)、2.13−2.27(m、2H)、3.41−3.43(m、1H)、7.42−7.45(m、2H)、7.52−7.55(m、1H)、8.47−8.49(m、2H)。m/z(ES+)、(M+H)+=216.2。
【0250】
工程C.(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタノンから(S*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチル及び(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチルの製造
【化74】

MeOH中7Nアンモニア(76ml、534.16mmol)、テトライソプロポキシチタン(4.70ml、16.02mmol)及び(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタノン(1.15g、5.34mmol)の混合物を密封チューブ中で終夜50℃に加熱した。次いでこれを室温まで冷却し、そして水素化ホウ素ナトリウム(0.404g、10.68mmol)を固形物として加え、そして室温で2時間撹拌した。1N NaOHを加え(1mL)、続いてセライトを加えた。この混合物を室温で1時間撹拌し、次いでろ過した。溶液を濃縮して粗製(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン(1.155g、5.34mmol)をCH2Cl2(20mL)に溶解し、そして二炭酸ジ−tert−ブチル(2.480mL、10.68mmol)を加えた。この反応混合物を室温で終夜撹拌し、次いでCH2Cl2と水との間で分配した。層を分離し、そして水層をCH2Cl2で洗浄した。有機抽出物を合わせてMgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。残留物を塩基性アルミナカラムでクロマトグラフィーにかけて1.54gを無色油状物として得た。得られたラセミ(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチルを超臨界流体クロマトグラフィー条件下(液体CO2)でChiralPak ICカラム(21.2mmx150mm)で0.5%ジメチルエチルアミンを含む15%メタノールを使用して55ml/分及び波長260nmで分割して、より早く溶出する(S*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチル及びより遅く溶出する(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチルを得た。相対的立体化学:一般に、この方法で得られた個々の異性体の絶対立体化学は決定されなかった。任意の指定を使用した(R*、S*)。(S*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチル。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 0.93−0.99(m、1H)、1.09−1.3(m、3H)、1.34(br.s.、9H)、1.68−1.80(m、3H)、1.92−2.05(m、1H)、2.24(s、3H)、3.23(t、1H)、4.64(br.s.、1H)、5.55(br.s.、1H)、7.18−7.29(m、5H)。m/z(ES+)、(M+H)+=317.3。(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチル。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 0.93−0.99(m、1H)、1.09−1.3(m、3H)、1.34(br.s.、9H)、1.68−1.80(m、3H)、1.92−2.05(m、1H)、2.24(s、3H)、3.23(t、1H)、4.64(br.s.、1H)、5.55(br.s.、1H)、7.18−7.29(m、5H)。m/z(ES+)、(M+H)+=317.3。
【0251】
工程D.(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチルカルバミン酸tert−ブチルから(R*)−(7−メチル−7
−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩の製造
【化75】

実施例3、工程Fに記載されるラセミ化合物と類似の方法で生成物を製造して、定量的収率の(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩を得た。
【0252】
工程E.(R*)−(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩から(R*)−2−フルオロ−6−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミドの製造
【化76】

反応バイアルに、2−フルオロ−6−メチル安息香酸(19.98mg、0.13mmol)、TBTU(41.6mg、0.13mmol)、及び二番目に溶出するBOC保護された異性体から誘導されたキラルな(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メタンアミン二塩酸塩(25mg、0.09mmol)を加えた。これにCH2Cl2(2mL)を加え、そして得られた懸濁液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.098mL、0.56mmol)を加えた。反応混合物(今は溶液)を室温で終夜撹拌した。反応混合物をCH2Cl2と0.5N NaOHとの間で分配した。層を分離し、そして水層をCH2Cl2で洗浄した。有機抽出物を合わせてMgSO4で乾燥し、ろ過し、そして真空で濃縮した。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100% DCMからDCM中5%MeOHのグラジエント)により精製して(R*)−2−フルオロ−6−メチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(フェニル)メチル)ベンズアミド23mgを得た。1H NMR(300MHz、クロロホルム−d) δ ppm 0.95−1.06(m、1H)、1.11−1.31(m、2H)、1.34−1.45(m、1H)、1.60−1.88(m、3H)、1.95−2.08(m、1H)、2.28(s、3H)、2.38(s、3H)、3.23(t、J=4.6Hz、1H)、5.07(d、J=4.4Hz、1H)、6.87−7.02(m、3H)、7.17−7.42(m、6H)。m/z(ES+)、(M+H)+=353.3。
【0253】
実施例8.N−((3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミドの製造
【化77】

【0254】
工程A.7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(3−ブロモフェニル)メタノン塩酸塩の製造
【化78】

7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(2400mg、12.17mmol)のEt2O(40mL)中撹拌溶液に、N1,N1,N2,N2−テトラメチルエタン−1,2−ジアミン(2.74mL、18.25mmol)を加えた。この混合物を室温で5分間撹拌した後、シクロヘキサン中1.4M sec BuLi(10.43mL、14.60mmol)を滴下した。わずかに発熱。反応混合物を室温で15分間撹拌した後、5mLエーテル中の3−ブロモベンズアルデヒド(2251mg、12.17mmol)を0℃で加えた。室温で30分後、NH4Cl水溶液及び水で反応をクエンチした。有機層を分離した。水層をエーテルで抽出した。エーテル層を合わせてブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(40g、0%−50%ヘキサン/酢酸エチル)により精製して1−((3−ブロモフェニル)(ヒドロキシ)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(2.69g、58%)を得た。塩化オキサリル(0.613ml、7.02mmol)の20mL DCM中の撹拌した冷溶液に、−78℃で5mL DCM中のDMSO(0.998ml、14.05mmol)を加えた。この溶液を−78℃で10分間撹拌した後、10mL DCM中のアルコール(1.79g、4.7mmol)を加えた。−78℃で20分間撹拌した後、TEAを加えた。−78℃で10分間撹拌した後、室温まで加温した。有機物をNaHCO3で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮した。粗製物質をシリカゲルカラム(0−100%ヘキサン/酢酸エチル、40gカラム)により精製して1−(3−ブロモベンゾイル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.9g、定量的)を得た。1−(3−ブロモベンゾイル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.8g、4.73mmol)の1,4−ジオキサン(15mL)中撹拌溶液に、ジオキサン中の4N HCl(17.75mL、71.00mmol)を加えた。この混合物を室温で終夜撹拌した。次いでこの混合物を濃縮し、そしてエーテルでトリチュレーションした(tritrated)。白色固体をろ過し、そしてエーテルで洗浄し、HV下で乾燥して7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(3−ブロモフェニル)メタノン塩酸塩(1.410g、94%)を白色固体として得た。1H NMR(500MHz、DMSO−d6) δ ppm 1.87(t、J=9.3Hz、2H)、2.08(t、J=14.6Hz、4H)、2.59(t、J=9.0Hz、2H)、4.15(t、J=4.6Hz、1H)、7.57(t、J=7.9Hz、1H)、7.96(dd、J=7.9、1.2Hz、1H)、8.04−8.11(m、2H)、9.62(br.s.、2H)。
【0255】
工程B.7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(3−ブロモフェニル)メタノン塩酸塩から(3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタノンの製造
【化79】

実施例6、工程Bに記載される方法と類似の方法で生成物を製造して(3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタノンを得た。1H NMR(500MHz、CDCl3) δ ppm 1.40−1.50(m、2H)、1.69(br.s.、2H)、1.96(t、J=10.8Hz、2H)、2.12(s、3H)、2.15−2.27(m、2H)、3.42(t、J=4.6Hz、1H)、7.32(t、J=7.9Hz、1H)、7.65(d、J=1.2Hz、1H)、8.49(d、J=7.9Hz、1H)、8.61(s、1H).m/z(ES+)、(M+H)+=294.2;MS−3、HPLC tR=0.58分。
【0256】
工程C.(3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタノンから(3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンアミンの製造
【化80】

実施例6、工程Cに記載されるラセミ化合物と類似の方法で生成物を製造して、(3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンアミンを得た。次いでこの粗製ラセミアミンを分割することなくそのまま使用した。1H NMR(500MHz、CDCl3) δ ppm 0.99(m、2H)、1.15−1.24(m、1H)、1.36(m、1H)、1.56−1.73(m、4H)、1.94(m、1H)、2.09(m、1H)、2.26(s、3H)、3.23(t、J=4.7Hz、1H)、4.13(s、1H)、7.15(t、J=7.9Hz、1H)、7.32(d、J=7.9Hz、1H)、7.36(d、J=7.9Hz、1H)、7.58(s、1H)。m/z(ES+)、(M+H)+=295.1;MS−3、HPLC tR=0.47分。
【0257】
工程D.(3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンアミンからN−((3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミドの製造
【化81】

実施例1a、工程Gに記載されるラセミ化合物と類似の方法で生成物を製造して、ラセミN−((3−ブロモフェニル)(7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミドを得た。1H NMR(500MHz、CDCl3) δ ppm 1.00−1.12(m、1H)、1.19(m、2H)、1.39(m、1H)、1.57−1.81(m、3H)、2.02(d、J=19.2Hz、1H)、2.25(s、3H)、2.35(s、6H)、3.22(t、J=4.6Hz、1H)、5.03(br.s.、1H)、6.61(d、J=1.5Hz、1H)、7.03(d、J=7.6Hz、2H)、7.17(t、J=7.6Hz、2H)、7.32(d、J=7.9Hz、1H)、7.39(d、J=7.9Hz、1H)、7.54(s、1H).m/z(ES+)、(M+H)+=427.2;MS−3、HPLC tR=0.79分。
【0258】
方法6.N−アルキルアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類の合成
【化82】

方法6は、N−アルキルアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンの立体選択的合成又はラセミ合成のいずれかに適した一般化スキームを示す。当業者は、さらなるN−アルキルアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン類を作製するために使用され得る種々の試薬及び中間体又は部分の変化を容易に認識するだろう。ラセミ化合物は、直接試験することができたか、又は超臨界流体クロマトグラフィーにより適切な条件下で容易に分割することができた。
【0259】
実施例9.2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)ベンズアミドの製造
【化83】

【0260】
工程A.7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから1−((1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化84】

丸底フラスコに、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(2.250g、11.41mmol)、Et2O(15.0mL)、及びN1,N1,N2,N2−テトラメチルエタン−1,2−ジアミン(2.052mL、13.69mmol)を加えた。この混合物を室温で約5分間撹拌した。シクロヘキサン中1.4M s−BuLi(9.78mL、13.69mmol)を滴下し、そして反応混合物を10分間撹拌した。次いで(E)−2−メチル−N−((5−メチルフラン−2−イル)メチレン)プロパン−2−スルフィンアミド(1.6220g、7.60mmol)のEt2O(6.00mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で2.5時間撹拌した。飽和NH4Clで反応をクエンチして約15分間撹拌した。次いでこれを水、飽和NaCl及びEt2Oと共に分液漏斗に入れた。有機物を集めて水層をEt2Oさらに2回抽出した。合わせた有機物をNa2SO4で乾燥し、そしてエバポレートした(rotovaped)。粗製物質をEt2Oに溶解し、そしてシリカゲルに吸着させ、次いでヘキサン及びエーテルを溶離液として使用する(1:1 ヘキサン/エーテルから1:4 ヘキサン/エーテル)シリカゲルカラムにより精製して1−((1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(2.13g、37%)を得た。m/z(ES+)、(M+H)+=411;MS7、HPLC tR=6.80分。
【0261】
工程B.1−((1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert
tert−ブチルから1−(アミノ(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化85】

丸底フラスコに、1−((1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(2.13g、5.18mmol)を加え、MeOH(22.0mL)に溶解し、そして0℃に冷却した。次にジオキサン中4.0M HCl(3.90mL、15.55mmol)を滴下した。完了したら0℃で1.5時間反応させた。この反応混合物にNH4OHをpHが約10になるまで加えた。次いでこれをH2O、飽和NaCl及びEtOAcと共に分液漏斗に入れた。有機物を集めて水層をさらに2回EtOACで抽出した。合わせた有機物をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、そして濃縮して粗製1−(アミノ(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.38g、87%)を得た。m/z(ES+)、(M+H)+=307;MS7、HPLC tR=2.87分。
【0262】
工程C.1−(アミノ(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルから1−((2,6−ジメチルベンズアミド)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルの製造
【化86】

丸底フラスコに、CH2Cl2(18.0mL)に溶解した1−(アミノ(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.38g、4.51mmol)を加え、そして0℃に冷却した。次にDIPEA(1.965mL、11.28mmol)を加え、続いて2,6−ジメチルベンゾイルクロリド(0.837g、4.96mmol)のCH2Cl2(2.0mL)溶液を加えた。この反応混合物を0℃で20時間撹拌した。これを水、飽和NaCl及びCH2Cl2と共に分液漏斗に入れた。有機物を集めて水層をさらに2回CH2Cl2で抽出した。合わせた有機物をNa2SO4で乾燥し、そしてエバポレートした。この物質をEt2Oに再溶解し、シリカゲルに吸着させてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して1−((2,6−ジメチルベンズアミド)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.56g、79%)を得た。m/z(ES+)、(M+H)+=439;MS7、HPLC tR=6.81分。
【0263】
工程D.1−((2,6−ジメチルベンズアミド)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチルからN−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミドの製造
【化87】

丸底フラスコに、ジオキサン(24.0mL)に溶解した1−((2,6−ジメチルベンズアミド)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−カルボン酸tert−ブチル(1.56g、3.57mmol)を加え、続いてジオキサン中4.0M HCl(22.0mL、85.63mmol)を室温で滴下した。1時間後、さらに24当量のジオキサン中4.0M HCl(22.0mL、85.63mmol)を加え、そして反応混合物を1時間撹拌した。CHCl3を反応混合物に加え、次いでこれを冷却して飽和NaHCO3でpHが約7−8になるまで中和した。次いでこれを水、飽和NaCl及びCHCl3と共に分液漏斗に加えた。有機物を集めて水層をさらに2回CHCl3で抽出した。合わせた有機物をNa2SO4で乾燥し、エバポレートした。この物質をシリカゲルに吸着させてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてDCM中MeOH)により精製してN−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミド(0.92g、76%)を得た。m/z(ES+)、(M+H)+=339;MS7、HPLC tR=4.75分。
【0264】
工程E.N−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミドから2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)ベンズアミドの製造
【化88】

丸底フラスコに、N−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル(5−メチルフラン−2−イル)メチル)−2,6−ジメチルベンズアミド(0.92g、2.72mmol)を加え、そしてジオキサン(14.0mL)に溶解した。5N−NaOH(1.18mL、5.85mmol)を滴下し、そして20分間室温で撹拌した後、反応系を10〜15℃に冷却した。次に硫酸ジメチル(0.285mL、3.00mmol)を加え、そして反応混合物を2時間10〜15℃で撹拌した。この反応混合物をH2O、飽和NaCl及びCHCl3と共に分液漏斗に加えた。有機物を集めて水層をさらに2回CHCl3で抽出した。合わせた有機物をNa2SO4で乾燥し、エバポレートした。この物質をCHCl3に再溶解し、そしてシリカゲルに吸着させて、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてDCM中MeOH)により精製して2,6−ジメチル−N−((7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)(5−メチルフラン−2−イル)メチル)ベンズアミド(0.5g、52%)を得た。1H NMR(300MHz、DMSO) 8.59(d、1H)、7.16(t、1H)、7.0(d、2H)、6.22(d、1H)、5.98(d、1H)、5.41(d、1H)、3.18−3.10(m、1H)、2.20(s、3H)、2.18(s、9H)、1.96−1.56(m、4H)、1.37−1.17(m、4H).m/z(ES+)、(M+H)+=353;MS7、HPLC tR=4.87分。
【0265】
本明細書に記載される方法により製造され得る式Iの例となる化合物には表1に示されるものが含まれる:
【0266】
【表1】

【0267】
【表2】

【0268】
【表3】

【0269】
【表4】

【0270】
【表5】

【0271】
【表6】

【0272】
【表7】

【0273】
【表8】

【0274】
【表9】

【0275】
上記の方法にしたがって製造されたさらなる化合物には、表2〜4に示されるものが含まれる。表2における化合物は、0.350μM未満のIC50を示した。表3における化合物は、0.350μM〜13μMのIC50を示した。そして表4における化合物は、13μMより高いIC50を示した(すなわち、表4における化合物は、試験された標的に対する活性が比較的低いか活性を有していない)。
【0276】
【表10】

【0277】
【表11】

【0278】
【表12】

【0279】
【表13】

【0280】
【表14】

【0281】
【表15】

【0282】
【表16】

【0283】
【表17】

【0284】
【表18】

【0285】
【表19】

【0286】
【表20】

【0287】
【表21】

【0288】
【表22】

【0289】
【表23】

【0290】
【表24】

【0291】
【表25】

【0292】
【表26】

【0293】
【表27】

【0294】
【表28】

【0295】
【表29】

【0296】
【表30】

【0297】
【表31】

【0298】
【表32】

【0299】
【表33】

【0300】
【表34】

【0301】
【表35】

【0302】
【表36】

【0303】
【表37】

【0304】
【表38】

【0305】
【表39】

【0306】
【表40】

【0307】
【表41】

【0308】
【表42】

【0309】
【表43】

【0310】
【表44】

【0311】
【表45】

【0312】
【表46】

【0313】
【表47】

【0314】
【表48】

【0315】
【表49】

【0316】
【表50】

【0317】
【表51】

【0318】
【表52】

【0319】
【表53】

【0320】
【表54】

【0321】
【表55】

【0322】
【表56】

【0323】
【表57】

【0324】
【表58】

【0325】
【表59】

【0326】
【表60】

【0327】
【表61】

【0328】
別の指示がなければ、以下は本特許において適用される:
修飾語句「Cm-n」は、修飾される基がm〜n個の炭素原子を含有することを意味する。例えば、用語「C1−C6−アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を意味する。さらに説明すると、「C3−C6−アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含み、3〜6個の炭素原子を有するアルケニルを意味する。
【0329】
本特許において使用される化学命名法は通常、Nomenclature of Organic Chemistry,Pergamon Press、Oxford、1979のセクションA、B、C、D、E、F、及びHに記載される例及び規則に従う。上記の実施例における化合物名は、ISIS/Draw又はChemDraw Ultra 8.0内のAutoNom 2000を使用して生成された。AutoNom(Automatic Nomenclature)は、ボタンを押すと系統的なIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)化学名を描画した構造に割り当てる化学名生成プログラムである。
【0330】
用語「炭化水素」は、炭素原子及び水素原子のみを含む化学構造を意味する。
【0331】
用語「アルキル」は、完全に飽和した直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を意味する。いくつかの実施態様において、アルキルは1〜12個の炭素原子を含む。いくつかの実施態様において、アルキルは1〜6個の炭素原子を含む。そしていくつかの実施態様において、アルキルは1〜3個の炭素原子を含む。アルキル基の例としては、例えば、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;1−メチルプロピル;2−メチルプロピル;n−ブチル、t−ブチル;イソブチル;3−メチルブチル;ペンチル;ヘキシル;イソヘキシル;ヘプチル;4,4−ジメチルペンチル;ジエチルペンチル;オクチル;2,2,4−トリメチルペンチル;ノニル;デシル;ウンデシル;及びドデシルが挙げられる。アルキルは場合により置換されていてもよい。
【0332】
用語「アルケニル」は、1〜3つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素である。いくつかの実施態様において、その鎖は20個までの炭素原子を含む。いくつかの実施態様において、その鎖は10個までの炭素原子を含む。さらに他の実施態様において、その鎖は3〜8個の炭素原子を含む。さらに他の実施態様において、その鎖は3〜6個の炭素原子を含む。アルケニルは場合により置換されていてもよい。
【0333】
本明細書で使用される「アルキニル」は、1〜3つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素を指す。いくつかの実施態様において、この炭化水素は20個までの炭素原子を含む。いくつかの実施態様において、この炭化水素は10個までの炭素原子を含む。さらに他の実施態様において、この炭化水素は2〜8個の炭素原子を含む。さらに他の実施態様において、この炭化水素は2〜6個の炭素原子を含む。
【0334】
用語「アルコキシ」は−O−アルキルを意味する。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられる。アルコキシは場合により置換されていてもよい。
【0335】
用語「シクロアルキル」は完全に飽和した環状炭化水素基を意味する。シクロアルキルは1つ又はそれ以上の環を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、シクロアルキルは単一の環を含む。いくつかの実施態様において、シクロアルキルは3〜10個の炭素を含む。他の実施態様において、シクロアルキルは3〜6個の炭素を含む。シクロアルキルの例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキルは場合により置換されていてもよい。
【0336】
用語「シクロアルキルアルキル」は、末端炭素においてシクロアルキルで置換されたアルキル基を意味する。シクロアルキルアルキルの例はシクロプロピルエチルであり、これは:
【化89】

に相当する。
【0337】
用語「ヘテロシクリル」は、環原子のうち1、2、又は3個がN、O、及びSから独立して選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である、不飽和、部分的に飽和、又は完全に飽和した環系を意味する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリルは3〜10個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリルは4〜9個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリルは3〜8個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリルは3〜6個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリルは5個の環原子を有し、すなわち5員環である。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリルは6個の環原子を有し、すなわち6員環である。ヘテロシクリルは単環式でも多環式でもよい。ヘテロシクリルは場合により置換されていてもよい。単環ヘテロシクリルの例としては、フラニル、チエニル(「チオフェニル」及び「チオフラニル」としても知られる)、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チオジアゾリル、オキサジアゾリル(1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル(「アゾキシミル(azoximyl)」としても知られる)、1,2,5−オキサジアゾリル(「フラザニル」としても知られる)、及び1,3,4−オキサジアゾリルを含む)、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサチアゾリル、オキサトリアゾリル(1,2,3,4−オキサトリアゾリル及び1,2,3,5−オキサトリアゾリル(oxatriazoIyI)を含む)、ピリジニル、ジアジニル(ピリダジニル(「1,2−ジアジニル」としても知られる)、ピリミジニル(「1,3−ジアジニル」としても知られる)、及びピラジニル(「1,4−ジアジニル」としても知られる)を含む)、トリアジニル(s−トリアジニル(「1,3,5−トリアジニル」としても知られる)、as−トリアジニル(1,2,4−トリアジニルとしても知られる)、及びv−トリアジニル(「1,2,3−トリアジニル」としても知られる)を含む)、オキサチアジニル(1,2,5−オキサチアジニル及び1,2,6−オキサチアジニルを含む)、オキセピニル、チエピニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル(「ジヒドロチオフェニル」としても知られる)、テトラヒドロチエニル(「テトラヒドロチオフェニル」としても知られる)、イソピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イソイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチオリル、オキサチオリル、オキサチオラニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリニル、イソチアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキサゾリル(1,2,3−ジオキサゾリル、1,2,4−ジオキサゾリル、1,3,2−ジオキサゾリル、及び1,3,4−ジオキサゾリルを含む)、ピラニル(1,2−ピラニル及び1,4−ピラニルを含む)、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサジニル(1,2,3−オキサジニル、1,3,2−オキサジニル、1,3,6−オキサジニル(「ペンタオキサゾリル」としても知られる)、1,2,6−オキサジニル、及び1,4−オキサジニルを含む)、イソオキサジニル(o−イソオキサジニル及びp−イソオキサジニルを含む)、オキサジアジニル(1,4,2−オキサジアジニル及び1,3,5,2−オキサジアジニルを含む)、モルホリニル、アゼピニル、及びジアゼピニルが挙げられる。あるいはヘテロシクリルは、2又は3つの環が一緒に縮合していてもよく、例えば、インドリジニル、ピラノピロリル、プリニル、イミダゾピラジニル、イミダゾロピリダジル、ピリドピリジニル(ピリド[3,4−b]−ピリジニル、ピリド[3,2−b]−ピリジニル、ピリド[4,3−b]−ピリジニル、及びナフチリジニルを含む)、プテリジニル、ピリダジノテトラジニル、ピラジノテトラジニル、ピリミジノテトラジニル、ピリンジニル(pyrindinyl)、ピラゾロピリミジニル、ピラゾロピラジニル、ピラゾロピリダジル、又は4H−キノリジニルである。いくつかの実施態様において、多環ヘテロシクリルは、インドリジニル、ピラノピロリル、プリニル、ピリドピリジニル、ピリンジニル、及び4H−キノリジニルから選択される。縮合環ヘテロシクリルの他の例としては、ベンゾ縮合ヘテロシクリル、例えば、ベンゾフラニル(「クマロニル(coumaronyl)」としても知られる)、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル(「インドキサジニル」としても知られる)、アントラニリル、ベンゾチエニル(「ベンゾチオフェニル」、「チオナフテニル」、及び「ベンゾチオフラニル」としても知られる)、イソベンゾチエニル(「イソベンゾチオフェニル」、「イソチオナフテニル」、及び「イソベンゾチオフラニル」としても知られる)、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、イソインダゾリル(「ベンゾピラゾリル」としても知られる)、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾアジニル(benzazinyl)(キノリニル(「1−ベンゾアジニル」としても知られる)及びイソキノリニル(「2−ベンゾアジニル」としても知られる))、フタラジニル、キノキサリニル、ベンゾジアジニル(シンノリニル(「1,2−ベンゾジアジニル」としても知られる)及びキナゾリニル(「1,3−ベンゾジアジニル」としても知られる)を含む)、ベンゾイミダゾチアゾリル、カルバゾリル、アクリジニル、イソインドリル、インドレニニル(indoleninyl)(「プソイドインドリル(pseudo indolyl)」としても知られる)、ベンゾジオキソリル、クロマニル、イソクロマニル、チオクロマニル、イソチオクロマニル、クロメニル、イソクロメニル、チオクロメニル、イソチオクロメニル、ベンゾジオキサニル、テトラヒドロ イソキノリニル、ベンゾオキサジニル(1,3,2−ベンゾオキサジニル、1,4,2−ベンゾオキサジニル、2,3,1−ベンゾオキサジニル、及び3,1,4−ベンゾオキサジニルを含む)、ベンゾイソオキサジニル(1,2−ベンゾイソオキサジニル及び1,4−ベンゾイソオキサジニルを含む)、ベンゾオキサジアジニル、及びキサンテニルが挙げられる。いくつかの実施態様において、ベンゾ縮合ヘテロシクリルは、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、アントラニリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、イソインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾアジニル、フタラジニル、キノキサリニル、ベンゾジアジニル、カルバゾリル、アクリジニル、イソインドリル、インドレニニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、イソクロマニル、チオクロマニル、ベンゾジオキサニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾイソオキサジニル、及びキサンテニルである。用語「2−縮合環」ヘテロシクリルは、2つの縮合した環を含む、飽和、非芳香族部分飽和、又はヘテロアリールを意味する。このようなヘテロシクリルとしては、例えば、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、アントラニリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、ピラノピロリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、イソインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、イミダゾピラジニル、イミダゾロピリダジル、キノリニル、イソキノリニル、ピリドピリジニル、フタラジニル、キノキサリニル、ベンゾジアジニル、プテリジニル、ピリダジノテトラジニル、ピラジノテトラジニル、ピリミジノテトラジニル、ピリンジニル、イソインドリル、インドレニニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾロピラジニル、ピラゾロピリダジル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、イソクロマニル、チオクロマニル、イソチオクロマニル、クロメニル、イソクロメニル、チオクロメニル、イソチオクロメニル、ベンゾジオキサニル、テトラヒドロイソキノリニル、4H−キノリジニル、ベンゾオキサジニル、及びベンゾイソオキサジニルが挙げられる。いくつかの実施態様において、2−縮合環ヘテロシクリルは、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、アントラニリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、ピラノピロリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、イソインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリドピリジニル、フタラジニル、キノキサリニル、ベンゾジアジニル、プテリジニル、ピリンジニル、イソインドリル、インドレニニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、テトラヒドロイソキノリニル、4H−キノリジニル、ベンゾオキサジニル、及びベンゾイソオキサジニルから選択される。
【0338】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、完全に飽和したヘテロシクリルを意味する。ヘテロシクロアルキルは単環式でも多環式でもよい。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルキルは3〜10個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルキルは4〜9個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルキルは3〜8個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルキルは3〜6個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルキルは5員環である。いくつかの実施態様において、例えば、ヘテロシクロアルキルはピロリジニルである。他の実施態様において、ヘテロシクロアルキルはテトラヒドロフランである。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルキルは6員環である。いくつかの実施態様において、例えば、ヘテロシクロアルキルはモルホリニルである。ヘテロシクロアルキルは場合により置換されていてもよい。
【0339】
用語「ヘテロシクロアルケニル」は、非芳香族部分飽和(partially−saturated saturated)ヘテロシクリルを意味する。ヘテロシクロアルケニルは単環式でも多環式でもよい。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルケニルは4〜10個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルケニルは4〜8個の環原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルケニルは5員環である。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルケニルは6員環である。ヘテロシクロアルケニルは場合により置換されていてもよい。
【0340】
用語「アリール」は、芳香族炭化水素環構造を意味する。アリールは単環式でも多環式でもよい。アリールにはフェニル及びナフチルが含まれる。いくつかの実施態様において、アリールは6〜10個の環原子を有する。アリールは場合により置換されていてもよい。
【0341】
用語「アリールアルキル」は、その末端炭素においてアリールで置換されたアルキル基を意味する。アリールアルキルの例はフェニルエチルであり、これは:
【化90】

に相当する。
【0342】
用語「ヘテロアリール」は、芳香族ヘテロシクリルを意味する。ヘテロアリールは単環式でも多環式でもよい。ヘテロアリールはまた、場合により置換されていてもよい。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは5員環である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは6員環である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは8員二環式環である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは9員二環式環である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは10員二環式環である。5員ヘテロアリールの例としては、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チオジアゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサチアゾリル、及びオキサトリアゾリルが挙げられる。6員ヘテロアリールの例としては、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、及びオキサチアジニルが挙げられる。7員ヘテロアリールの例としては、オキセピニル及びチエピニルが挙げられる。9員ヘテロアリールの例としては、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、アントラニリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、ピラノピロリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、イソインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリジニル、及びイミダゾロピリダジルのような縮合環系が挙げられる。10員ヘテロアリールの例としては、例えば、キノリニル、イソキノリニル、ピリドピリジニル、フタラジニル、キノキサリニル、ベンゾジアジニル、プテリジニル、ピリダジノテトラジニル、ピラジノテトラジニル、ピリミジノテトラジニル、ベンゾイミダゾチアゾリル、カルバゾリル、及びアクリジニルのような縮合環系が挙げられる。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、及びイミダゾリルから選択される。いくつかのこのような実施態様において、ヘテロアリールは、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、及びフラニルから選択される。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールはフラニルである。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールはピラゾリルである。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びトリアジニルから選択される。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールはピリジニルである。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールはピリミジニル。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールはベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、アントラニリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、及びプリニルから選択される。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールはキノリニル、イソキノリニル、及びベンゾジアジニルから選択される。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは、例えば:
【化91】

のようなイミダゾピリジニルである。
【0343】
いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは、例えば:
【化92】

のようなベンゾイミダゾリルである。
【0344】
そしていくつかの実施態様において、ヘテロアリールは、例えば:
【化93】

のようなインダゾリルである。
【0345】
用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素又はヨウ素を意味する。いくつかの実施態様において、分子中のハロゲン原子は塩素又はフッ素からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、分子中のハロゲン原子は塩素である。そしていくつかの実施態様において、分子中のハロゲン原子はフッ素である。用語「ハロ」は部分を修飾するために使用され、その部分は1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで置換される。従って、例えば、「ハロ−C1−C6−アルキル」は、1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで置換されたC1−C6−アルキルを意味する。ハロ−C1−C6−アルキルの例としては、−CHCl2、−CHF2、及び−CF3が挙げられる。
【0346】
用語「薬学的に許容しうる」は、部分(例えば、塩、投薬形態、担体、又は希釈剤)を適切な医学的判断に従う使用に適切であると特徴付けるために使用される。一般に、薬学的に許容しうる部分は、その部分が有し得るいずれかの有害な効果を上回る1つ又はそれ以上の利益を有する。有害な効果には、例えば、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、並びに他の問題及び合併症が含まれ得る。
【0347】
用語「boc」はtert−ブトキシカルボニルを意味する。
【0348】
用語「CO2」は二酸化炭素を意味する。
【0349】
用語「DIPEA」はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味する。
【0350】
用語「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味する。
【0351】
用語「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味する。
【0352】
用語「DMSO−δ6」は重水素化ジメチルスルホキシドを意味する。
【0353】
用語「EtOAc」は酢酸エチルを意味する。
【0354】
用語「1H NMR」はプロトン核磁気共鳴を意味する。
【0355】
用語「HOBT」は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を意味する。
【0356】
用語「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味する。
【0357】
用語「h」及び「hr」は時間を意味する。
【0358】
用語「LCMS」は液体クロマトグラフィー質量スペクトル検出を意味する。
【0359】
用語「m−CPBA」はメタ−クロロ過安息香酸を意味する。
【0360】
用語「m/z」は質量−電荷比を意味する。
【0361】
用語「MeOH」はメタノールを意味する。
【0362】
用語「min」は分を意味する。
【0363】
用語「MS」は質量スペクトルを意味する。
【0364】
用語「NMR」は核磁気共鳴を意味する。
【0365】
用語「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィーを意味する。
【0366】
用語「TBTU」はO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレートを意味する。
【0367】
用語「tR」は保持時間を意味する。
【0368】
単数系での言及は複数形も含み得る。例えば、「a」及び「an」は1つ又は1つより多くのいずれも言及し得る。
【0369】
用語「場合により置換される」は、修飾された基、構造又は分子が:(1)1つ若しくはそれ以上の置換可能な位置において置換基で置換されるか、又は(2)置換されていないか、いずれであってもよいということを意味する。
【0370】
本特許(特許請求の範囲を含む)における語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含む(こと)」は、排他的でなく包含的に解釈すべきである。この解釈は、これらの語が米国特許法にもとで与えられる解釈と同じであるものとする。
【0371】
上記の例示的な実施態様の詳細な説明は、他の当業者が、特定用途の要件に最もよく適し得るような多数の形態で本発明を適合し、及び応用し得るように、他の当業者に、本発明、その原理、及びその実用的応用を知らせることのみを目的とする。従って本発明は、上記の実施態様に限定されず、かつ様々に改変され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物又はその薬学的に許容しうる塩であって、ここで:
化合物は、式I:
【化1】

[A1は:
1、2、又は3つのR5基で場合により置換されるフェニル;及び
1、2、又は3つのR7基で場合により置換される5員又は6員のヘテロアリールから選択され;
2は:
1、2、又は3つのR2基で置換されたフェニル;及び
1、2、又は3つのR6基で場合により置換されるヘテロアリールから選択され;
各Rは、C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル−C1−C6−アルキル、及びNR34から独立して選択され;
1は、H、C1−C6−アルキル、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキル、アミノ−C1−C6−アルキル、シアノ−C1−C6−アルキル、アミノカルボニル−C1−C6−アルキル、ヒドロキシ−C1−C6−アルキル、ハロ−C3−C6−アルキル、アミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキル、アミノ−C1−C6−アルキルカルボニル、C1−C4−アルキルカルボニルアミノ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシカルボニル−C1−C4−アルキル、C3−C6シクロアルキル、3〜6員のヘテロシクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキル、及びC3−C8−アルケニルから選択され、ここで:
3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、及びヘテロアリール−C1−C4−アルキルは、ハロゲン及びC1−C4−アルキルから独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され;
ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキルは、オキソで場合により置換され;そして
アミノ−C1−C6−アルキル、アミノカルボニル−C1−C6−アルキル、アミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキル、及びアミノ−C1−C6−アルキルカルボニルのアミノは、1つ又は2つの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換され;
各R2は、ハロゲン、−CN、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、ヘテロシクリル、−SOR、−SO2R、−NH2、−SR、C1−C6−アルコキシ、C1−C6−アルキル、−CF3、及び−OCF3から独立して選択され、ここで:
1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、及びC3−C6シクロアルキルは、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換され;そして
ヘテロシクリルは1、2、又は3つのR6基で場合により置換され;
各R5は、C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3、−OCF3、−CN、ハロゲン、−SO2R、−SOR、−SR、C1−C4−アルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、及びヘテロシクリルより独立して選択され、ここで:
1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、及びC1−C6−アルコキシは、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換され;
アミノカルボニルは、最大で2つまでの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換され;そして
ヘテロシクリルはC1−C4−アルキル又はハロゲンで場合により置換され;
各R6は、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、−SO2R、−SOR、−SR、フェニル、−CF3、−OCF3、−CN、及びヘテロシクリルより独立して選択され、ここで:
ヘテロシクリルはC1−C4−アルキルで場合により置換され;
7はそれぞれ独立して、C1−C6−アルキル、C1−C4−アルコキシ,−CF3、−OCF3、−CN、−SO2R、−SOR、−SR、フェニル、ヘテロシクリル、及びC1−C4−アルコキシより選択され、ここで:
1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、及びC1−C4−アルコキシは、1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換され;そして
ヘテロシクリルはC1−C4−アルキル又はハロゲンで場合により置換され;
3及びR4はそれぞれ独立して、H及びC1−C6−アルキルより選択される]
に対応し、かつ
以下:
【化2】

から選択される構造に対応する任意の単一の光学異性体、ラセミ混合物又は光学異性体の他の混合物(及びそのいずれかの塩)を除く、上記化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
1は、H、C1−C6−アルキル、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキル、アミノ−C1−C6−アルキル、シアノ−C1−C6−アルキル、アミノカルボニル−C1−C6−アルキル、ヒドロキシ−C1−C6−アルキル、ハロ−C3−C6−アルキル、アミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキル、アミノ−C1−C6−アルキルカルボニル、C1−C4−アルキルカルボニルアミノ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシカルボニル−C1−C4−アルキル、C3−C6シクロアルキル、3〜6員ヘテロシクロアルキル、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキル、及びC3−C8−アルケニルより選択され、ここで:
3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、及びヘテロアリール−C1−C4−アルキルは、ハロゲン及びC1−C4−アルキルより独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され;
ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキルはオキソで場合により置換され;そして
アミノ−C1−C6−アルキル、アミノカルボニル−C1−C6−アルキル、アミノカルボニルオキシ−C1−C4−アルキル、及びアミノ−C1−C6−アルキルカルボニルのアミノは、1つまたは2つの独立して選択されるC1−C4−アルキルで場合により置換される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
1は、H、C1−C6−アルキル、C3−C6シクロアルキル、3〜6員ヘテロシクロアルキル、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキル、及びC3−C8−アルケニルより選択され、ここで:
3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキルは、1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで場合により置換され;そして
各R5は、C1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、C1−C6−アルコキシ、−CF3、−OCF3、−CN、ハロゲン、−SO2R、−SOR、−SR、及びヘテロシクリルより独立して選択され、ここで:
1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、及びC1−C6−アルコキシは1つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換され;そして
ヘテロシクリルはC1−C4−アルキル又はハロゲンで場合により置換される、
請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
1が、1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで場合により置換されるC3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
1はアリール−C1−C4−アルキル及びヘテロシクリル−C1−C4−アルキルより選択され、ここで:
アリール−C1−C4−アルキル及びヘテロシクリル−C1−C4−アルキルは1つ又はそれ以上の独立して選択されるハロゲンで場合により置換される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
1は、H、C1−C6−アルキル、C3−C6シクロアルキル、3〜6員ヘテロシクロアルキル、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクロアルキル−C1−C4−アルキル、ヘテロアリール−C1−C4−アルキル、及びC3−C8−アルケニルより選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
1が水素である、請求項6に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
1がC1−C6−アルキルである、請求項6に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
1がメチルである、請求項8に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
1がC3−C8−アルケニルである、請求項6に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
1がC3−C6シクロアルキルである、請求項6に記載の化合物又はその塩。
【請求項12】
1が、1、2、又は3つのR5基で場合により置換されるフェニルである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項13】
1フェニルである、請求項12に記載の化合物又はその塩。
【請求項14】
2が、1、2、又は3つのR2基で置換されるフェニルである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項15】
少なくとも1つのR2基がC1−C6−アルキルである、請求項14に記載の化合物又はその塩。
【請求項16】
少なくとも1つのR2基がメチルである、請求項15に記載の化合物又はその塩。
【請求項17】
少なくとも2つのR2基が独立して選択されるC1−C6−アルキルである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項18】
少なくとも2つのR2基がメチルである、請求項17に記載の化合物又はその塩。
【請求項19】
化合物が、以下の構造:
【化3】

に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物又は光学異性体の他の混合物を含む、請求項18に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項20】
少なくとも1つのR2基がハロゲンである、請求項14〜16のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項21】
少なくとも1つのR2基がフルオロである、請求項20に記載の化合物又はその塩。
【請求項22】
化合物が以下の構造:
【化4】

に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物又は光学異性体の他の混合物を含む、請求項21に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項23】
2が、2つのR2基で置換されるフェニルである、請求項14〜21のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項24】
化合物が、以下:
【化5】

【化6】

より選択される構造に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物又は光学異性体の他の混合物を含む、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項25】
化合物が、以下:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

より選択される構造に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物又は光学異性体の他の混合物を含む、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項26】
化合物が、以下:
【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

より選択される構造に対応する単一の光学異性体、ラセミ混合物又は光学異性体の他の混合物を含む、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項27】
クエン酸塩を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の薬学的に許容しうる塩。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容しうる塩、及び薬学的に許容しうる担体又は希釈剤を含む、
医薬組成物。
【請求項29】
精神病の処置のために、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容しうる塩を使用する方法。
【請求項30】
認知障害の処置のために、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容しうる塩を使用する方法。
【請求項31】
治療有効量の請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を患者に投与することを含む、そのような処置を必要とする患者における精神病を処置する方法。
【請求項32】
治療有効量の請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を患者に投与することを含む、そのような処置を必要とする患者における認知障害を処置する方法。
【請求項33】
精神病の処置のための薬剤の製造における、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項34】
認知障害の処置のための薬剤の製造における、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩の使用
【請求項35】
認知障害が統合失調症を含む、請求項30、32及び34のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項36】
認知障害が双極性障害から選択される障害を含む、請求項30、32及び34のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項37】
認知障害が躁病及び/又は躁うつ病から選択される障害を含む、請求項30、32及び34のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項38】
認知障害が不安障害から選択される障害を含む、請求項30、32及び34のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項39】
認知障害が外傷後ストレス障害を含む、請求項30、32及び34のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項40】
精神病の処置における使用のための、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項41】
認知障害の処置における使用のための、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項42】
認知障害が統合失調症、双極性障害、躁病及び躁うつ病、並びに不安障害を含む、請求項41に記載の化合物又はその塩。
【請求項43】
疼痛の処置のために、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を使用する方法。
【請求項44】
治療有効量の請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を患者に投与することを含む、そのような処置を必要とする患者において疼痛を処置するための方法。
【請求項45】
疼痛の処置における使用のための、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項46】
疼痛の処置のための薬剤の製造における、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物又はその塩の使用。

【公表番号】特表2012−516326(P2012−516326A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547862(P2011−547862)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050072
【国際公開番号】WO2010/087762
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】