説明

2−{4−[(3S)−ピペリジン−3−イル]フェニル}−2H−インダゾール−7−カルボキサミドの薬学的に許容される塩

本発明は、既にポリ(ADP−リボース)シンターゼ及びポリ(ADP−リボシル)トランスフェラーゼとして知られた酵素であるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤である、アミド置換インダゾールの薬学的に許容される塩に関する。本発明の化合物は、DNA修復経路に特異的欠損のある腫瘍における単一療法として、及び、いくつかのDNA損傷剤(例えば抗癌剤)及び放射線療法のエンハンサーとして有用である。さらに、本発明の化合物は、細胞壊死の低減(卒中及び心筋梗塞における)、炎症及び組織損傷のダウンレギュレーション、レトロウイルス感染症の治療、及び化学療法の毒性に対する保護のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既にポリ(ADP−リボース)シンターゼ及びポリ(ADP−リボシル)トランスフェラーゼとして知られた酵素であるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤である、アミド置換インダゾールの薬学的に許容される塩に関する。本発明の化合物は、DNA修復経路に特異的欠損のある腫瘍における単一療法として、及び、いくつかのDNA損傷剤(例えば抗癌剤)及び放射線療法のエンハンサーとして有用である。さらに、本発明の化合物は、細胞壊死の低減(卒中及び心筋梗塞における)、炎症及び組織損傷のダウンレギュレーション、レトロウイルス感染の治療、及び化学療法の毒性に対する保護のために有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)は、PARP触媒ドメインを含有する18個のタンパク質からなるスーパーファミリーを構成する(バイオエッセイズ(Bioessays)、2004年、第26巻、p.1148)。これらのタンパク質は、PARP−1、PARP−2、PARP−3、タンキラーゼ−1、タンキラーゼ−2、vaultPARP、及びTiPARPを包含する。創設メンバーであるPARP−1は、3つの主要なドメイン:2つのジンクフィンガーを含有するアミノ(N)−末端DNA結合ドメイン(DBD)、自己修飾ドメイン、及びカルボキシ(C)−末端触媒ドメイン、からなる。
【0003】
PARPは、NADをニコチンアミド及びADP−リボースに分解して、トポイソメラーゼ、ヒストン、及びPARP自体を含む標的タンパク質上に、長く分枝したADP−リボースポリマーを形成する核及び細胞質酵素である。(「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)」、1998年、第245巻、p.1−10)。
【0004】
ポリ(ADP−リボシル)化は、DNA修復、遺伝子転写、細胞周期進行、細胞死、クロマチン機能、及びゲノム安定性を含む、いくつかの生物学的プロセスに関係づけられてきた。
【0005】
PARP−1及びPARP−2の触媒活性は、DNA鎖破壊により即座に刺激されることが示されてきた(「ファーマコロジカル・リサーチ(Pharmacological Research)」、2005年、第52巻、p.25−33参照)。DNA破壊に応答して、PARP−1は、シングル及びダブルDNAニックに結合する。正常な生理的条件下では、最少のPARP活性があるが、しかしDNA損傷時には500倍までのPARP活性の即時の活性化が起こる。PARP−1及びPARP−2の双方は、ニックセンサーとして作用してDNA鎖の中断を検出し、転写を中止するための迅速なシグナルを提供し、DNA修復に必要な酵素を損傷部位に動員する。癌治療のための放射線療法及び多くの化学療法的アプローチはDNA損傷を誘導することにより作用することから、PARP阻害剤は、癌治療のための化学増感剤及び放射線増感剤として有用である。PARP阻害剤は、低酸素腫瘍細胞の放射線増感において有効であることが報告されてきた(米国特許第5,032,617号、米国特許第5,215,738号、及び米国特許第5,041,653号)。
【0006】
PARPの殆どの生物学的効果は、標的タンパク質の特性及び機能に影響を及ぼす、このポリ(ADP−リボシル)化プロセスに関係しており;PARオリゴマーに対し、ポリ(ADP−リボシル)化されたタンパク質から切断されたとき、異なる細胞効果を与えること;機能性複合体を形成するための、PARPと核タンパク質との物理的結合;及び、その基質NADの細胞レベルを低減することである(「ネイチャー・レビューズ(Nature Review)」、2005年、第4巻、p.421−440)。
【0007】
DNA修復に関与することの他に、PARPは細胞死のメディエイターとしても作用してよい。虚血及び再灌流損傷のような病的状態におけるその過度の活性化は、細胞内NADの実質的な枯渇を生じる結果となり、そのことがいくつかのNAD依存性の代謝経路の障害をもたらし、その結果として細胞死を生じ得る(「ファーマコロジカル・リサーチ」、2005年、第52巻、p.44−59参照)。PARP活性化の結果として、NADレベルは有意に低下する。過度のPARP活性化は、大量のDNA損傷を受けている細胞において、NADの激しい枯渇をもたらす。ひとたびポリ(ADP−リボース)が形成されれば、構成的に活性のあるポリ(ADP−リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)により迅速に分解されることから、ポリ(ADP−リボース)の短い半減期は、結果として速い代謝回転速度を生じる。PARP及びPARGは、大量のNADをADP−リボースへ転換するサイクルを形成しており、NAD及びATPの、正常レベルの20%未満への低下を引き起こす。かかるシナリオは、酸素の剥奪が細胞のエネルギー出力を既に劇的に損なっている時である虚血の間には、特に有害である。それに続く、再灌流の間のフリーラジカル生成は、組織損傷の主要な原因であると考えられる。虚血及び再灌流を通じ多くの臓器において典型的である、ATP低下の一部は、ポリ(ADP−リボース)の代謝回転に起因するNADの枯渇と関連づけられることも可能である。したがって、PARP阻害は、細胞のエネルギーレベルを保持し、それにより発作後の虚血組織の生存を増強することが期待される。PARP阻害剤である化合物は、それゆえ、卒中、外傷、及びパーキンソン病といった神経症状を含む、PARP媒介性の細胞死から結果として生じる症状を、治療するために有用である。
【0008】
PARP阻害剤は、BRCA−1及びBRCA−2欠損性腫瘍の特異的殺傷のために有用であると示されてきた(「ネイチャー(Nature)」、2005年、第434巻、p.913−916及び917−921及び「キャンサー・バイオロジー・アンド・セラピー(Cancer Biology&Therapy)」、2005年、第4巻、p.934−936)。
【0009】
PARP阻害剤は、シスプラチン及びカルボプラチンのような白金化合物(「キャンサー・ケモセラピー・アンド・ファーマコロジー(Cancer Chemother Pharmacol)」、1993年、第33巻、p.157−162及び「モレキュラー・キャンサー・セラピューティクス(Mol Cancer Ther)」、2003年、第2巻、p.371−382)を含む、抗癌剤の効力を増強することが示されてきた(「ファーマコロジカル・リサーチ」、2005年、第52巻、p.25−33)。PARP阻害剤は、イリノテカン及びトポテカンのようなトポイソメラーゼI阻害剤の抗腫瘍活性を増大することが示されてきており(「モレキュラー・キャンサー・セラピューティクス」、2003年、第2巻、p.371−382及び「クリニカル・キャンサー・リサーチ(Clin Cancer Res)」、2000年、第6巻、p.2860−2867))、そしてこのことは、インビボのモデルで示されてきた(「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J Natl Cancer Inst)」、2004年、第96巻、p.56−67)。
【0010】
PARP阻害剤は、テモゾロミド(TMZ)の細胞毒性及び抗増殖効果に対する感受性を復活させることが示されてきた(「カレント・メディシナル・ケミストリー(Curr Med Chem)」、2002年、第9巻、p.1285−1301及び「メディシナル・ケミストリー・レビューズ・オンライン(Med Chem Rev Online)」、2004年、第1巻、p.144−150参照)。このことは、多くのインビトロモデル(「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(Br J Cancer)」、1995年、第72巻、p.849−856、「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー」、1996年、第74巻、p.1030−1036
、「モレキュラー・ファーマコロジー(Mol Pharmacol)」、1997年、第52巻、p.249−258、「リューケミア(Leukemia)」、1999年、第13巻、p.901−909、「グリア(Glia)」、2002年、第40巻、p.44−54、及び「クリニカル・キャンサー・リサーチ」、2000年、第6巻、p.2860−2867、及び2004年、第10巻、p.881−889)及びインビボモデル(「ブラッド(Blood)」、2002年、第99巻、p.2241−2244、「クリニカル・キャンサー・リサーチ」、2003年、第9巻、p.5370−5379、「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート」、2004年、第96巻、p.56−67)において示されてきた。PARP阻害剤はまた、MeOSO(CH)−レキシトロプシン(lexitropsin)(Me−Lex)のような選択的N3−アデニンメチル化剤により誘導される壊死の出現を防止することも示されてきた(「ファーマコロジカル・リサーチ」、2005年、第52巻、p.25−33
)。
【0011】
PARP阻害剤は、放射線増感剤として作用することが示されてきた。PARP阻害剤は、おそらくは、DNA鎖損傷の再結合を防止するその能力により、かつ、いくつかのDNA損傷シグナリング経路に影響を及ぼすことにより、腫瘍細胞の放射線増感(低酸素)において有効であること、及び、放射線療法後の、潜在的に致死的な(「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー」、1984年、第49巻、付録VI、p.34−42、及び「インターナショナル・ジャーナル・オブ・ラジエーション・バイオロジー(Int.J.Radiat.Bioi.)」、1999年、第75巻、p.91−100)及び致死未満の(「クリニカル・オンコロジー(Clin.Oncol.)」、2004年、第16巻、第1号、p.29−39)DNA破壊からの、腫瘍細胞の回復阻止において有効であることが報告されてきた。
【0012】
PARP阻害剤はまた、急性及び慢性の心筋疾患の治療のために有用であることも示されてきた(「ファーマコロジカル・リサーチ」、2005年、第52巻、p.34−43参照)。例えば、PARP阻害剤の単回の注射が、ウサギの心臓又は骨格筋の虚血及び再灌流により引き起こされる梗塞サイズを低減することが示されてきた。これらの研究では、閉塞の1分前又は再灌流の1分前のいずれかの、3−アミノ−ベンズアミド(10mg/kg)の単回の注射が、心臓において同様の梗塞サイズの低減(32−42%)を引き起こしており、一方、別のPARP阻害剤、1,5−ジヒドロキシイソキノリン(1mg/kg)が、同程度まで梗塞サイズを低減した(38−48%)。これらの結果は、PARP阻害剤が、先の虚血心臓又は骨格筋組織の再灌流損傷を救出することも可能であると仮定することを正当化する(「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(PNAS)」、1997年、第94巻、p.679−683)。同様の結果はまた、ブタにおいて(「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur.J.Pharmacol.)」、1998年、第359巻、p.143−150、及び「ディ・アナルズ・オブ・ソラキック・サージェリー(Ann.Thorac.Surg.)」、2002年、第73巻、p.575−581)及びイヌにおいても(「ショック(Shock)」、2004年、第21巻、p.426−32)報告されている。
【0013】
PARP阻害剤は、いくつかの血管疾患、敗血症性ショック、虚血性損傷、及び神経毒性を治療するために有用であると示されてきた(「バイオキミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ(Biochim.Biophys.Acta)」、1989年、第1014巻、p.1−7、及び「ザ・ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J.Clin.Invest.)」、1997年、第100巻、p.723−735)。後にPARPにより認識される、DNAの鎖損傷をもたらす酸素ラジカルDNA損傷は、PARP阻害剤研究により示されたように、かかる疾病状態の主要な寄与因子である(「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス・リサーチ(J.Neurosci.Res.)」、1994年、第39巻、p.38−46、及び「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(PNAS)」、1996年、第93巻、p.4688−4692)。PARPはまた、出血性ショックの病因において重要な役割を果たすことも示されてきた(「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(PNAS)」、2000年、第97巻、p.10203−10208)。
【0014】
PARP阻害剤は、炎症性疾患の治療のために有用であると示されてきた(「ファーマコロジカル・リサーチ」、2005年、第52巻、p.72−82及び83−92参照)。
【0015】
哺乳類細胞の効率的なレトロウイルス感染が、PARP活性の阻害により阻止されることもまた示されてきた。組換えレトロウイスルベクター感染のかかる阻害は、種々の異なる細胞型において起こることが示されてきた(「ジャーナル・オブ・ビロロジー(J.Virology)」、1996年、第70巻、第6号、p.3992−4000)。PARPの阻害剤は、それ故、抗ウイルス療法における、及び癌治療における使用のために開発されてきた(WO91/18591)。
【0016】
インビトロ及びインビボの実験は、PARP阻害剤がI型糖尿病及び糖尿病合併症のような自己免疫疾患の、治療又は予防のために使用可能であることを示してきた(「ファーマコロジカル・リサーチ」、2005年、第52巻、p.60−71)。
【0017】
PARP阻害は、ヒト線維芽細胞において加齢特性の開始を遅延すると推測されてきた(「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Comm.)」、1994年、第201巻、第2号、p.665−672、及び「ファーマコロジカル・リサーチ」、2005年、第52巻、p.93−99)。このことは、PARPがテロメア機能の制御において果たしている役割に関係づけられてよい(「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Gen.)」、1999年、第23巻、第1号、p.76−80)。
【0018】
今日までのPARP阻害剤の大多数は、酵素のニコチンアミド結合ドメインと相互作用し、そしてNADに対する競合阻害剤として挙動する(「エキスパート・オピニオン・オン・セラピューティック・パテンツ(Expert Opin.Ther.Patents)」、2004年、第14巻、p.1531−1551)。ニコチンアミドの構造類似体、例えばベンズアミド及び誘導体は、なかんずく、PARP阻害剤として研究されるべき第1の化合物であった。しかしながら、これらの分子は弱い阻害活性を有し、かつPARP阻害に無関係な他の効果をもつ。したがって、PARP酵素の強力な阻害剤を提供する必要がある。
【0019】
構造的に関連したPARP阻害剤は、既に開示されている。WO1999/59973は、5員のヘテロ芳香環に縮合したアミド置換ベンゼン環を開示しており;WO2001/85687は、アミド置換インドールを開示しており;WO1997/04771、WO2000/26192、WO2000/32579、WO2000/64878、WO2000/68206、WO2001/21615、WO2002/068407、WO2003/106430、及びWO2004/096793は、アミド置換ベンゾイミダゾールを開示しており;WO2000/29384は、アミド置換ベンゾイミダゾール及びインドールを開示しており;そしてEP 0879820は、アミド置換ベンゾオキサゾールを開示している。構造的に関連したインダゾールカルボキサミドもまた、WO2007/113596及びWO07/113596において開示されている。
【0020】
驚くべきことに、今、本発明のアミド置換インダゾールが、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)活性の特に高レベルの阻害を示すことが発見された。したがって、本発明の化合物は、PARP−1及び/又はPARP−2の阻害剤として特に有用である。それらはまた、BRCA1及びBRCA2欠損細胞系では特に良好なレベルの細胞活性を示しており、良好な抗増殖作用を実証している。
【発明の概要】
【0021】
本発明は、式I:
【0022】
【化1】

【0023】
2−{4−[(3S)−ピペリジン−3−イル]フェニル}−2H−インダゾール−7−カルボキサミド
の化合物の、薬学的に許容される塩を提供する。
【0024】
本発明の特定の化合物は、
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウム4−メチルベンゼンスルホナート;
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムスルファート;
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムベンゼンスルファート;
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムフマラート;
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムスクシナート;
及び、その立体異性体及び互変異性体である。
【0025】
本発明の特定の化合物は、
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウム4−メチルベンゼンスルホナート;
又はその立体異性体若しくは互変異性体である。
【0026】
本発明の特定の化合物は、
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムスルファート;
又はその立体異性体若しくは互変異性体である。
【0027】
本発明の特定の化合物は、
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムベンゼンスルファート;
又はその立体異性体若しくは互変異性体である。
【0028】
本発明の特定の化合物は、
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムフマラート;
又はその立体異性体若しくは互変異性体である。
【0029】
本発明の特定の化合物は、
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムスクシナート;
又はその立体異性体若しくは互変異性体である。
【0030】
本発明はまた、その範囲内に、当該化合物のN−オキシドも包含する。一般に、かかるN−オキシドは、任意の利用可能な窒素原子上に形成されてよい。N−オキシドは、通常の手段、例えば、当該化合物を湿潤アルミナの存在下でオキソンと反応させること、によって形成してもよい。
【0031】
本発明は、その範囲内に、当該化合物のプロドラッグを包含する。一般に、かかるプロドラッグは、当該化合物の機能性の誘導体であって、所望の化合物へ、インビボで容易に変換し得るものとする。適当なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための通常法は、例えば、バンドガード(H.Bundgaard)編、「Design of Prodrugs(プロドラッグのデザイン)」、エルゼビア、1985年、に記載されている。
【0032】
プロドラッグは、生物活性物質(「親薬物」又は「親分子」)の薬理学的に不活性な誘導体でよく、これは、活性薬物を放出するために体内でのトランスフォーメーションを要するものであり、かつ親の薬剤分子に対し改善された送達特性を有するものである。インビボのトランスフォーメーションは、例えば、ある代謝プロセス、例えば、カルボキシエステル、リン酸エステル、又は硫酸エステルの化学的又は酵素的加水分解か、或いは感受性の官能基の還元又は酸化の結果としてであってもよい。
【0033】
本発明は、その範囲内に、当該化合物の溶媒和物、例えば水和物を包含する。
【0034】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面を有してよく(エリエル(E.L.Eliel)及びウィレン(S.H.Wilen)著、「Streochemistry of Carbon Compounds(炭素化合物の立体化学)」、ジョン・ウィリー&サンズ、ニューヨーク、1994年、p.1119−1190に記載のように)、かつ、ラセミ体、ラセミ混合物として、及び個々のジアステレオマーとして生じ、全ての可能な異性体、及びそれらの混合物は、光学異性体を含め、かかる立体異性体の全てが本発明に含まれる。加えて、本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在してもよく、たとえ一方の互変異性体構造のみが描かれている場合でも、双方の互変異性体型が本発明の範囲によって包含されることが意図されている。
【0035】
当該化合物は、種々の異性体型で存在してよく、その全てが本発明により包含される。
【0036】
該化合物は、多数の異なる多形型で存在してもよい。
【0037】
本発明の化合物の遊離塩基は、アミン及び/又はN含有ヘテロ環基のN原子においてプロトン化して、塩を形成することができる。用語「遊離塩基」は、非塩型のアミン化合物を指す。記載された具体的な塩化合物の遊離型は、当該技術分野における技術上既知の方法を用いて単離されてよい。例えば、遊離型は、その塩を、適当な塩基の希釈水溶液、例えばNaOH、炭酸カリウム、アンモニア、及び炭酸水素ナトリウムの希釈水溶液、で処理することにより再生してもよい。遊離型は、極性溶媒中の溶解度のような、ある物理的性質において、その各々の塩型と幾分異なってもよいが、本発明では、他の点において、酸及び塩基塩はその各々の遊離型と薬学的に同等である。
【0038】
薬学的に許容される塩は、塩基性の基を含有する式Iの化合物から、通常の化学的方法により合成可能である。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は、遊離塩基を化学量論的な量の、又は過剰の、所望の塩形成性無機又は有機酸と、適当な溶媒又は溶媒の種々の組合せの中で反応させることにより調製される。
【0039】
したがって、本発明化合物の薬学的に許容される塩は、式Iの化合物から、無機、有機酸、又は高分子酸と反応させることにより調製することができる。例えば、通常の非毒性塩は、トルエンスルホン酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、フマル酸、又はコハク酸のような酸、特にトルエンスルホン酸から誘導されるものを包含する。
【0040】
好ましくは、本発明の薬学的に許容される塩は、1当量の式(I)の化合物と、1、2、又は3当量の酸とを含有する。1つの実施態様においては、本発明の薬学的に許容される塩は、2当量の式(I)の化合物と1当量の酸とを含有する。
【0041】
用語トルエンスルホン酸は、4−メチルベンゼンスルホン酸と区別なく使用してもよく、またトルエンスルホナートは、トシラート塩とも呼んでよい。
【0042】
上記記載の薬学的に許容される塩及び他の典型的な薬学的に許容される塩の調製は、バーグ(Berg)ら著、「ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンセズ(J.Pharm.Sci.)、医薬用塩類(‘Pharmaceutical Salts’)」、1977年、第66巻、p.1−19により、さらに充分に記載されている。
【0043】
生理的条件下では、該化合物中の脱プロトン化された酸性基、例えばカルボキシル基が、アニオン性であってよく、かつ、この電子電荷が次に、プロトン化又はアルキル化された塩基性基、例えば第四級窒素原子のカチオン性電荷に対し、内部で平衡化されるかもしれないことから、本発明化合物が潜在的に内部塩又は両性イオンであることもまた注目されよう。
【0044】
本発明化合物は、療法により、ヒト又は動物の身体の治療法において使用することができる。
【0045】
本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善可能な症状の、治療又は予防において使用するための化合物を提供する(例えば、「ネイチャー・レビュー・ドラッグ・ディスカバリー(Nature Review Drug Discovery)」、2005年、第4巻、p.421−440参照)。
【0046】
したがって本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善可能な症状の、治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0047】
本発明はまた、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善可能な症状の、治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0048】
本発明のPARP阻害剤は、WO2005/082368に特定された疾患の治療のために有用である。
【0049】
本発明化合物は、臓器移植拒絶から結果として生じる症状を含む炎症性疾患、例えば;関節炎、リウマチ様関節炎、変形性関節症、骨吸収増大に関連した骨疾患を含む、関節の慢性炎症性疾患;炎症性腸疾患、例えば、回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、及びクーロン病;炎症性肺疾患、例えば、喘息、成人呼吸促迫症候群、及び慢性閉塞性気道疾患;角膜異栄養症、トラコーマ、オンコセルカ症、ブドウ膜炎、交感性眼炎、及び眼内炎を含む、眼の炎症性疾患;歯肉炎及び歯周炎を含む、歯肉の慢性炎症性疾患;結核;らい病;尿毒症性合併症、糸球体腎炎、及びネフローゼを含む、腎臓の炎症性疾患;硬化性皮膚炎、乾癬、及び湿疹を含む、皮膚の炎症性疾患;神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、AID関連神経変性疾患、及びアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳髄膜炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋委縮性側索硬化症、及びウイルス性又は自己免疫性脳炎を含む、中枢神経系の炎症性疾患;制限されることなく、免疫複合体型血管炎、全身性エリテマトーデス(SLE)を含む、糖尿病合併症;心臓の炎症性疾患、例えば、心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、及びアテローム性動脈硬化症;並びに、子癇前症、慢性肝不全、脳及び脊髄の外傷、及び多臓器不全症候群(MODS)(多臓器不全(MOF))を含む、有意な炎症性成分を有し得る種々の他の疾患、を含めた炎症性疾患の治療のために有用である。炎症性疾患はまた、グラム陽性又はグラム陰性性ショック、出血性又はアナフィラキシー性ショック、又は前炎症性サイトカインに対する応答において癌化学療法により誘導されるショック、例えば前炎症性サイトカインに関連したショック、により例示される身体の全身性炎症であってもよい。かかるショックは、例えば癌の治療として投与される化学治療剤によって誘導され得る。
【0050】
したがって、本発明は、炎症性疾患の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0051】
本発明はまた、炎症性疾患の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0052】
本発明の化合物はまた、自然に発生する事象から、及び外科手術手順の間に生ずる、再灌流損傷、例えば、腸の再灌流損傷;心筋の再灌流損傷;心肺バイパス手術、大動脈瘤修復手術、頸動脈血管内膜切除術、又は出血性ショックから結果として生じる再灌流損傷;及び、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、腸、及び角膜のような臓器の移植から結果として生じる再酸素化損傷、の治療又は予防においても有用であってよい。
【0053】
したがって、本発明は、再灌流損傷の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
本発明はまた、再灌流損傷の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0055】
本発明の化合物はまた、臓器移植に由来するもの、例えば安定狭心症、不安定狭心症、心筋虚血、肝虚血、腸間膜虚血、腸虚血、重篤な四肢虚血、慢性の重篤な四肢虚血、脳虚血、急性心虚血、虚血性腎疾患、虚血性肝疾患、虚血性網膜疾患、敗血症性ショック、及び中枢神経系の虚血性疾患、例えば卒中又は脳虚血を含む、虚血症状の治療又は予防においても有用であってよい。
【0056】
したがって、本発明は、虚血性症状の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0057】
本発明はまた、虚血性症状の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0058】
本発明は、卒中の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0059】
本発明はまた、卒中の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0060】
本発明化合物はまた、慢性又は急性の腎不全の治療又は予防のためにも有用であってよい。
【0061】
したがって、本発明は、腎不全の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0062】
本発明はまた、腎不全の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0063】
本発明化合物はまた、心臓血管疾患以外の血管疾患、例えば、末梢動脈閉塞、閉塞性血栓血管炎、レイノー病及び現象、先端チアノーゼ、先端紅痛症、静脈血栓症、静脈瘤、動静脈ろう、リンパ浮腫、及び脂肪性浮腫の、治療又は予防のために有用であってよい。
【0064】
したがって、本発明は、心臓血管疾患以外の血管疾患の治療又は予防用医薬品の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0065】
本発明はまた、心臓血管疾患以外の血管疾患の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0066】
本発明化合物はまた、心臓血管疾患、例えば、慢性心不全、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、循環ショック、心筋症、心臓移植、心筋梗塞、及び心不整脈、例えば心房細動、上室性頻拍、心房粗動、及び発作性心房頻拍の、治療又は予防のために有用であってよい。
【0067】
したがって、本発明は、心臓血管疾患の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0068】
本発明はまた、心臓血管疾患の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0069】
本発明化合物はまた、I型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、妊娠糖尿病、自己免疫性糖尿病、インスリン異常症、膵臓疾患による糖尿病、他の内分泌疾患に関連した糖尿病(例えばクッシング症候群、先端巨大症、褐色細胞腫、グルカゴノーマ、原発性アルドステロン症、又はソマトスタチノーマ)、A型インスリン抵抗性症候群、B型インスリン抵抗性症候群、リパトロフィック(脂肪栄養性)糖尿病、及び3−細胞毒素に誘導される糖尿病を含む、糖尿病の、治療又は予防のために有用であってよい。本発明化合物はまた、糖尿病合併症、例えば糖尿病性白内障、緑内障、網膜症、腎症、(例えば、ミクロアルブミン尿症及び進行性糖尿病性腎症)、多発性神経炎、脚の壊疽、アテローム硬化症性冠動脈疾患、末梢動脈疾患、非ケトン性高血糖性−高浸透圧性昏睡、単神経障害、自律神経障害、脚潰瘍、関節問題、及び、皮膚又は粘膜合併症(例えば、感染症、シンスポット(脛斑点)、カンジダ感染症、又は糖尿病性リポイド類壊死症)、高脂血症、高血圧、インスリン抵抗性症候群、冠動脈疾患、網膜症、糖尿病性神経障害、多発性神経障害、単神経障害、自律神経障害、脚潰瘍、関節問題、真菌感染症、細菌感染症、及び心筋症、の治療又は予防のために有用であってよい。
【0070】
したがって、本発明は、糖尿病の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0071】
本発明はまた、糖尿病の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0072】
本発明化合物はまた、固形腫瘍、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膵臓癌、骨癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、口腔癌、鼻腔癌、咽頭癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、性上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、小細胞肺癌、膀胱癌、肺癌、上皮癌、皮膚癌、黒色腫、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫;血液−骨癌、例えば、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病(「AML」)、急性前骨髄芽球性白血病(「APL」)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単芽球性白血病、急性非骨髄単球性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病(「CML」)、慢性リンパ球性白血病(「CLL」)、ヘアリーセル白血病、及び多発性骨髄腫;急性及び慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ球性、骨髄球性白血病;リンパ腫、例えばホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストローム型マクログロブリン血症、重鎖病、及び真性赤血球増加症;CNS及び脳癌、例えば、神経膠腫、毛様細胞性星状細胞腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、多型性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、前庭神経鞘腫、腺腫、転移性脳腫瘍、髄膜腫、脊髄腫瘍、及び髄芽細胞腫を含む、の治療又は予防のために有用であってよい。
【0073】
したがって、本発明は、癌の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0074】
本発明はまた、癌の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0075】
本発明化合物はまた、相同組換え(HR)依存DNA DSB修復活性を欠失する癌の治療のために使用してもよい(WO2006/021801参照)。
【0076】
HR依存DNA DSB修復経路は、連続したDNAヘリックスを改修するための相同的メカニズムにより、DNA中の二重鎖切断(DSB)を修復する(「ネイチャー・ジェネティクス(Nat.Genet.)」、2001年、第27巻、第3号、p.247−254)。HR依存DNA DSB修復経路の成分は、制限されることなく、ATM(NM−000051)、RAD51(NM−002875)、RAD51L1(NM−002877)、RAD51C(NM−002876)、RAD51L3(NM−002878)、DMC1(NM−007068)、XRCC2(NM7005431)、XRCC3(NM−005432)、RAD52(NM−002879)、RAD54L(NM−003579)、RAD54B(NM−012415)、BRCA−1(NM−007295)、BRCA−2(NM−000059)、RAD5O(NM−005732)、MREI1A(NM−005590)、NBS1(NM−002485)、ADPRT(PARP−1)、ADPRTL2(PARP−2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF、MMS19、RAD51、RAD51p、RAD51C、RAD51D、DMC1、XRCCR、XRCC3、BRCA1、BRCA2、RAD52、RAD54、RAD50、MRE11、NB51、WRN、BLMKU70、RU80、ATM、ATRCHK1、CHK2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1、及びRAD9を包含する。HR依存DNA DSB修復経路に包含される他のタンパク質は、EMSYのような調節因子(「セル(Cell)」、2003年、第115巻、p.523−535)を包含する。
【0077】
HR依存DNA DSB修復経路を欠失する癌は、正常細胞に比較して低減又は消失した、当該経路を介するDNA DSB修復能を有している、1つ以上の癌細胞を含んでなるか又は1つ以上の癌細胞からなってもよく、すなわち、HR依存DNA DSB修復経路の活性は、1つ以上の癌細胞において、低減又は消失してもよい。
【0078】
HR依存DNA DSB修復経路の1つ以上の成分の活性は、HR依存DNA DSB修復経路を欠失する癌を有する個体の1つ以上の癌細胞において、消失してもよい。HR依存DNA DSB修復経路の成分は、当該技術分野において充分に明らかにされており(例えば、「サイエンス(Science)」、2001年、第291巻、p.1284−1289参照)、上記にリストされた成分を包含する。
【0079】
本発明は、HR依存DNA DSB修復活性を欠失する癌の、治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0080】
本発明はまた、HR依存DNA DSB修復活性を欠失する癌の、治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0081】
1つの実施態様においては、癌細胞は、ATM(NM−000051)、RAD51(NM−002875)、RAD51L1(NM−002877)、RAD51C(NM−002876)、RAD51L3(NM−002878)、DMC1(NM−007068)、XRCC2(NM7005431)、XRCC3(NM−005432)、RAD52(NM−002879)、RAD54L(NM−003579)、RAD54B(NM−012415)、BRCA−1(NM−007295)、BRCA−2(NM−000059)、RAD5O(NM−005732)、MREI1A(NM−005590)、NBS1(NM−002485)、ADPRT(PARP−1)、ADPRTL2(PARP−2)、CTPS、RPA、RPA1、RPA2、RPA3、XPD、ERCC1、XPF、MMS19、RAD51、RAD51p、RAD51C、RAD51D、DMC1、XRCCR、XRCC3、BRCA1、BRCA2、RAD52、RAD54、RAD50、MRE11、NB51、WRN、BLMKU70、RU80、ATM,ATRCHK1、CHK2、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD1、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、RAD1、及びRAD9から選択される1つ以上の表現型の、HR依存DNA DSB修復活性を欠失する。
【0082】
別の実施態様においては、癌細胞は、BRCA1及び/又はBRCA2欠失性の表現型を有する。この表現型をもつ癌細胞は、BRCA1及び/又はBRCA2を欠失してよく、すなわち、BRCA1及び/又はBRCA2の発現及び/又は活性は、例えば、エンコーディング核酸における突然変異又は多型によるか、又は、調節因子、例えばBRCA2調節因子をコードしているEMSY遺伝子における増幅、突然変異、又は多型により、当該癌細胞において低減又は消失してもよい(「Cell」、2003年、第115巻、p.523−535)。
【0083】
BRCA−1及びBRCA−2は、周知の腫瘍サプレッサーであり、その野生型アレル(対立遺伝子)は、異型接合キャリアの腫瘍においてしばしば喪失される(「オンコジーン(Oncogene)」、2002年、第21巻、第58号、p.8981−93;「トレンズ・イン・モレキュラー・メディスン(Trends Mol Med.)」、2002年、第8巻、第12号、p.571−6)。BRCA−1及び/又はBRCA−2突然変異と、乳癌との関連は、充分に明らかにされてきた(「Exp Clin Cancer Res.」、2002年、第21巻、付録3、p.9−12)。BRCA−2結合因子をコードしているEMSY遺伝子の増幅もまた、乳癌及び卵巣癌に関連することが知られている。BRCA−1及び/又はBRCA−2における突然変異の保因者もまた、卵巣、前立腺、及び膵臓の癌のリスクが高い。BRCA−1及びBRCA−2における変異の検出は、当該技術分野において周知であり、例えば、EP699 754、EP705 903、「ジェネティック・テスティング(Genet Test)」、1992年、第1巻、p.75−83;「キャンサー・トリートメント・アンド・リサーチ(Cancer Treat Res)」、2002年、第107巻、p.29−59;「ネオプラズマ(Neoplasm)」、2003年、第50巻、第4号、p.246−50;「チェスカ・ガイネコロジー(Ceska Gynekol)」、2003年、第68巻、第1号、p.11−16)に記載されている。BRCA−2結合因子EMSYの増幅の検出は、「Cell」、第115巻、p.523−535に記載されている。PARP阻害剤は、BRCA−1及びBRCA−2欠失性腫瘍を特異的に殺すのに有用であると示されてきた(「Nature」、2005年、第434巻、p.913−916、及び917−920)。
【0084】
したがって、本発明は、BRCA−1又はBRCA−2欠失性腫瘍の、治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0085】
本発明はまた、BRCA−1又はBRCA−2欠失性腫瘍の、治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0086】
1つの実施態様においては、本PARP阻害剤は、BRCA−2欠失性細胞の除去のための予防療法において使用可能である(「キャンサー・リサーチ(Cancer Res.)」、2005年、第65巻、p.10145参照)。
【0087】
本発明化合物は、ポリグルタミン伸長関連神経変性、ハンチントン病、ケネディー病、脊髄小脳失調、歯状核赤核淡蒼球ルイ体委縮症(DRPLA)、タンパク質凝集関連神経変性、マシャド・ジョセフ病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症、海綿状脳症、プリオン関連疾患、及び多発性硬化症(MS)を含む、神経変性疾患の治療又は予防のために有用であってよい。
【0088】
したがって、本発明は、神経変性疾患の治療又は予防用医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0089】
本発明はまた、神経変性疾患の治療又は予防のための方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる該方法も提供する。
【0090】
本発明化合物はまた、レトロウイルス感染症(US 5652260)、網膜損傷(「カレント・アイ・リサーチ(Curr.Eye Res.)」、2004年、第29巻、p.403)、皮膚老化、及びUV誘導性皮膚損傷(US5589483及び「バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem.Pharmacol)」、2002年、第63巻、p.921)のために有用であってよい。
【0091】
本発明化合物は、早期老化の治療又は予防、及び、年齢関連性の細胞機能障害開始の延期のために有用である(「ファーマコロジカル・リサーチ(Pharmacological Research)」、2005年、第52巻、p.93−99)。
【0092】
本発明化合物は、哺乳類、好ましくはヒトに対し、単独で、又は医薬組成物において、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、潤滑剤と組合せて、標準的薬学のプラクティスに従って投与してもよい。
【0093】
本発明化合物は、制限されることなく、経口(例えば、消化により);局所(例えば、経皮、鼻腔内、眼、口腔、及び舌下を含む);肺(例としては、例えばエアロゾルを使用して、例えば口又は鼻からの、吸入又は通気療法により);直腸;膣;非経口(例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、脊髄内、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下、及び胸骨内を含む注射により);及び、デポー剤の移植(例えば、皮下又は筋肉内)によるものを含め、全身/末梢であろうと、所望の活性の部位においてであろうと、任意の便利な投与経路により、患者へ投与してもよい。
【0094】
患者は、真核生物、動物、脊椎動物、哺乳類、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(例えば、マウス)、イヌ類(例えば、イヌ)、ネコ類(例えば、ネコ)、ウマ類(例えば、ウマ)、霊長類、シミアン(例えば、サル又は類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、又はヒトであってよい。
【0095】
本発明はまた、1つ以上の本発明化合物と薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物も提供する。活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、或いはシロップ又はエリキシルのような、経口使用に適した形態であってよい。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物製造のための当該技術分野において周知の任意の方法に従って調製してもよく、かかる組成物は、医薬的に適切で口当たりの良い製剤を提供するため、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群より選択される、1つ以上の薬剤を含有してもよい。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に含有する。これらの賦形剤は、例としては、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン、又はアラビアゴム、及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであってよい。錠剤は、コートしなくてもよく、或いはそれらを、周知の技術によりコートして、薬物の不快な味をマスクするか、又は消化管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたり持続作用を提供するようにしてもよい。例えば、例えばヒドロキシプロピル−メチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースのような、水溶性の味覚マスキング剤、又は、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレートのような、時間遅延物質を使用してもよい。
【0096】
経口使用用の製剤はまた、活性成分が、不活性な固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、或いは、活性成分が、水溶性担体、例えばポリエチレングリコール、又は油性媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして供してもよい。
【0097】
水性懸濁液は、活性成分を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含有する。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアカシアゴムであり;分散又は湿潤剤は、天然産ホスファチド、例えばレシチン、又は、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又は、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンでよい。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、又はn−プロピル p−ヒドロキシベンゾアート、1つ以上の着色剤、1つ以上の着香剤、及び1つ以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリン、又はアスパルテームも含有してよい。
【0098】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油か、或いは鉱物油、例えば流動パラフィン中に懸濁することにより製剤してもよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコールを含有してもよい。上記に示したような甘味剤、及び着香剤を添加して、口当たりの良い経口用製剤を提供するようにしてもよい。これらの組成物は、酸化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファー−トコフェロールの添加により調製してもよい。
【0099】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、活性成分を、分散又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ以上の保存剤との混合物中に提供する。適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、上記のすでに列挙されたものに例示される。付加的な賦形剤、例えば、甘味剤、着香剤、及び着色剤もまた存在してよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存してもよい。
【0100】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油又はラッカセイ油、或いは鉱物油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物でよい。適当な乳化剤は、天然産ホスファチド、例えばダイズレシチン、及び、脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されるエステル又は部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、及び、前記部分エステルと、エチレンオキシドとの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンでよい。エマルジョンはまた、甘味剤、着香剤、保存剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0101】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースを用いて製剤してもよい。かかる製剤はまた、粘滑剤、保存剤、着香剤及び着色剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0102】
医薬組成物はまた、無菌の注射用水溶液の形態であってもよい。使用してもよい許容されるビヒクル及び溶媒は、なかんずく、水、リンガー液、及び等張の塩化ナトリウム溶液である。
【0103】
無菌の注射用製剤はまた、活性成分が油性相中に溶解されている、無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルジョンでよい。例えば、活性成分を、まず、ダイズ油及びレシチンの混合物中に溶解してもよい。この油性溶液を、次に、水とグリセロールとの混合物中へ投入し、マイクロエマルジョンを生成するべく加工する。
【0104】
注射用の溶液又はマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注射により、患者の血中へ投入してもよい。別法として、該溶液又はマイクロエマルジョンを、本発明化合物の一定の循環濃度を維持するような方法で、投与することが有利であってもよい。かかる一定濃度を維持するため、持続静脈内送達装置を利用してもよい。かかる装置の一例は、デルテック(Deltec)CADD−PLUS(登録商標)モデル5400静脈内ポンプである。
【0105】
医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与用の、無菌の注射用水性又は油脂性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は、当該技術分野において周知の方法により、上記に列挙されてきた適当な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて製剤してもよい。無菌の注射用製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の、無菌の注射用溶液又は懸濁液であってもよい。さらに、無菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として慣習的に使用される。この目的のためには、合成モノ−、又はジグリセリドを含む、任意の無刺激性の固定油を使用してもよい。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用物質の調製において用途がある。
【0106】
本発明化合物はまた、薬物の直腸投与用の坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、該薬物を、常温では固定であるが直腸温度では液体であり、それ故直腸内で融解して該薬物を放出することができる、適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製し得る。かかる物質は、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを包含する。
【0107】
局所使用には、本化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液その他が使用される。(本出願では、局所適用はマウスウォッシュ及びうがい薬を含むものとする。)
【0108】
本発明化合物は、適当な鼻腔内ビヒクル及び送達装置の局所使用により鼻腔内型で、又は、当業者に周知の経皮パッチの形態のものを用いて経皮経路により、投与することができる。経皮送達系の形態において投与されるためには、用量投与は、もちろん、用法用量全体を通し、断続的であるよりもむしろ連続的となるであろう。本発明化合物はまた、基剤、例えば、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを用いた、坐剤として送達してもよい。
【0109】
本発明による化合物が患者へ投与される場合、選択される用量レベルは、制限されることなく、特定の化合物の活性、個々の症状の重さ、投与経路、投与時間、化合物の排出速度、治療継続時間、併用して使用する他の薬物、化合物、及び/又は物質、及び、患者の年齢、性別、体重、症状、全身の健康、及び以前の病歴を含む、多様な因子に依存するであろう。化合物の量及び投与経路は、最終的には医師の自由裁量にあるが、一般に、用量は、実質的に危険又は有害な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する局所濃度を、活性部位において達成するためのものであろう。
【0110】
インビボの投与は、1つの用量で、連続的に、又は断続的に(例えば、適当な間隔での分割用量で)治療のコース全体を通して達成することができる。最も有効な投与手段及び用量を決定するための方法は、当該技術分野において周知であり、療法に使用される製剤、療法の目的、治療されている標的細胞、及び治療されている患者によって異なるであろう。治療する医師によって選択される用量レベル及びパターンを用いて、単回又は複数回の投与を行うことができる。
【0111】
一般に、活性化合物の適当な用量は、1日当たり患者の体重1キログラムあたり、約100μgないし約250mgの範囲内にある。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグなどの場合、投与する量は、親化合物を基準に計算され、それ故、使用するべき正確な重量は、比例して増やされる。
【0112】
本化合物はまた、抗癌剤又は化学療法剤との組合せにおいても有用である。
【0113】
本発明化合物は、癌治療用の化学増感剤及び放射線増感剤としても有用であってよい。それらは、癌の治療を事前に受けてきたか、又は現在受けている哺乳類の治療に有用である。かかる事前の治療は、事前の化学療法、放射線療法、外科手術、又は免疫療法、例えば癌ワクチンを包含する。
【0114】
したがって、本発明は、同時の、別々の、又は連続した投与のための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩と抗癌剤との組合せを提供する。
【0115】
本発明はまた、同時の、別々の、又は連続した投与のための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩、放射線療法、及び別の化学療法剤との組合せを提供する。
【0116】
本発明はまた、癌療法における補助剤としての使用のため、或いは、電離放射線又は化学療法剤との組合せにより腫瘍細胞を活性化するための、医薬の製造において使用するための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0117】
本発明はまた、癌療法における補助剤としての使用のため、又は、電離放射線又は他の化学療法剤との組合せにより腫瘍細胞を活性化するための、医薬の製造のための、式Iの化合物の薬学的に許容される塩の使用を提供する。当該化合物は、電離放射線又は他の化学療法剤と組合せて使用してもよい。
【0118】
本発明はまた、化学療法又は放射線療法の方法であって、有効量の式Iの化合物の薬学的に許容される塩又はかかる塩を含んでなる組成物を、電離放射線又は化学療法剤と組合せて、それを必要とする患者へ投与することを含んでなる方法も提供する。本化合物は、電離放射線又は他の化学療法剤と組合せて投与されてもよい。
【0119】
併用療法では、本発明化合物は、それを必要とする患者への、他の抗癌剤の投与の前(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)か、同時か、又は後(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に、投与することができる。種々の実施態様において、本化合物及び他の抗癌剤は、1分間離して、10分間離して、30分間離して、1時間未満離して、1時間ないし2時間離して、2時間ないし3時間離して、3時間ないし4時間離して、4時間ないし5時間離して、5時間ないし6時間離して、6時間ないし7時間離して、7時間ないし8時間離して、8時間ないし9時間離して、9時間ないし10時間離して、10時間ないし11時間離して、11時間ないし12時間離して、24時間以上離さず、又は、48時間以上離さずに投与する。
【0120】
本発明化合物、及び他の抗癌剤は、相加的に、又は相乗的に作用し得る。本発明化合物と他の抗癌剤との相乗的組合せにより、これらの薬剤の一方又は双方の、より低い用量の使用、及び/又は、本化合物及び他の抗癌剤の一方又は双方の、より低い頻度の投与が可能となり、及び/又は、該薬剤をより低い頻度で投与することで、癌の治療において、薬剤の効果を低減することなく、患者への薬剤投与に付随するいかなる毒性も低減することができる。さらに、相乗効果は、これらの薬剤の改善した効果を癌治療において生ぜしめ、及び/又は、いずれかの薬剤の単独使用に付随するいかなる有害作用又は望ましくない副作用も低減するであろう。
【0121】
本発明化合物との併用使用のための、癌の薬剤又は化学療法剤の例は、デビータ(V.T.Devita)及びヘルマン(S.Hellman)共編による、「Cancer Principles and Practice of Oncology(癌の原理及び腫瘍学のプラクティス)」、第6版、リピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス出版(Lippincott Williams&Wilkins Publishers)、2001年2月15日、において見出すことができる。当業者は、薬物及び関係する癌の、特定の性質に基づき、どの薬剤の組合せが有用であるかを識別することができるであろう。かかる抗癌剤は、制限されることなく以下を包含する:HDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤及び他の血管形成阻害剤、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、アポトーシス誘導剤、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤。本化合物は、放射線療法と同時投与した場合、特に有用である。
【0122】
「HDAC阻害剤」の例は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、LAQ824、LBH589、PXD101、MS275,FK228、バルプロ酸、酪酸、及びCI−994を包含する。
【0123】
「エストロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのエストロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレータの例は、制限されることなく、タモキシフェン、ラロキシフェン、ヨードキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646を包含する。
【0124】
「アンドロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのアンドロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレータの例は、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、及びアビラテロンアセテートを包含する。
【0125】
「レチノイド受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのレチノイドの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。かかるレチノイド受容体モジュレータの例は、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチンアミドを包含する。
【0126】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤」は、主として細胞の機能化を直接妨害するか又は細胞有糸分裂を阻害若しくは妨害することにより、細胞死を引き起こすか又は細胞増殖を阻害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗物質、生物応答調節剤;ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、及びユビキチンリガーゼ阻害剤を包含する。
【0127】
細胞傷害剤の例は、制限なされることなく、シクロホスファミド、クロランブシル カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、トレオスルファン、セルテネフ、カケクチン、イフォスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、アロプラチン、オキザリプラチン、テモゾロミド、メタンスルホン酸メチル、プロカルバジン、ダカルバジン、ヘプタプラチン、エストラムスチン、インプロスルファントシラート、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO00/50032参照)を包含する。更なる例は、Rafキナーゼの阻害剤(例えばBAY−43−9006)、及びmTORの阻害剤(例えばワイス(Wyeth)CCI−779及びアリアド(Ariad)AP23573)を包含する。更なる例は、PI3Kの阻害剤(例えばLY294002)を包含する。
【0128】
1つの実施態様においては、本発明化合物はアルキル化剤と組合せて使用可能である。
【0129】
アルキル化剤の例は、制限されることなく、ナイトロジェンマスタード:シクロホスファミド、イフォスファミド、トロホスファミド、及びクロランブシル;ニトロソ尿素:カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU);アルキルスルホナート:ブスルファン及びトレオスルファン;トリアゼン:ダカルバジン、プロカルバジン、及びテモゾロミド;白金含有錯体:シスプラチン、カルボプラチン、アロプラチン、及びオキサリプラチンを包含する。
【0130】
1つの実施態様においては、アルキル化剤は、ダカルバジンである。ダカルバジンは、約150mg/m2(患者の体表面積の)ないし約250mg/m2の範囲の用量で、患者に投与することができる。別の実施態様においては、ダカルバジンは、約150mg/m2ないし約250mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり、患者に静脈内投与される。
【0131】
1つの実施態様においては、アルキル化剤は、プロカルバジンである。プロカルバジンは、約50mg/m2(患者の体表面積の)ないし約100mg/m2の範囲の用量で、患者に投与することができる。別の実施態様においては、プロカルバジンは、約50mg/m2ないし約100mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり、患者に静脈内投与される。
【0132】
1つの実施態様においては、アルキル化剤は、テモゾロアミドである。テモゾロアミドは、約150mg/m2(患者の体表面積の)ないし約200mg/m2の範囲の用量で、患者に投与することができる。別の実施態様においては、テモゾロミドは、約150mg/m2ないし約200mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり、動物に経口投与される。
【0133】
抗有糸分裂剤の例は、アロコルヒチン、ハリコンドリンB、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ドラスタチン10、メイタンシン、リゾキシン、チオコルヒチン、及びトリチルシステインを包含する。
【0134】
低酸素活性化化合物の例は、チラパザミンである。
【0135】
プロテオソーム阻害剤の例は、制限されることなく、ラクタシスチン、ボルテゾミブ、エポキソミシン、及びペプチドアルデヒド、例えばMG132、MG115、及びPSIを包含する。
【0136】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオナート、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば米国特許第6,284,781及び6,288,237号参照)、及び、BMS188797を包含する。
【0137】
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの例は、トポテカン、ハイカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、エキサテカン、ジマテカン(gimetecan)、ジフロモテカン、シリル−カンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、カンプトテシン、クリスナトール、マイトマイシンC、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−カルトロイシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスファート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及び、ジメスナ;非カンプトテシントポイソメラーゼ−1阻害剤、例えばインドロカルバゾール;及びデュアルトポイソメラーゼ−I及びII阻害剤、例えばベンゾフェナジン、XR 20 115761MLN576、及びベンゾピリドインドールである。
【0138】
1つの実施態様においては、トポイソメラーゼ阻害剤は、イリノテカンである。イリノテカンは、約50mg/m2(患者の体表面積の)ないし約150mg/m2の範囲の用量で、患者に投与することができる。別の実施態様においては、イリノテカンは、患者に対し、1−5日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり静脈内へ、次いで28−32日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり再び静脈内へ、次に、55−59日目に、約50mg/m2ないし約150mg/m2の範囲の用量で、1日1回、連続5日間にわたり再度静脈内へ投与される。
【0139】
有糸分裂キネシン、及び特にヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害剤の例は、PCT公開WO01/30768、WO01/98278、WO02/056880、WO03/050,064、WO03/050,122、WO03/049,527、WO03/049,679、WO03/049,678、WO03/039460、WO03/079973、WO03/099211、WO2004/039774、WO03/105855、WO03/106417、WO2004/087050、WO2004/058700、WO2004/058148、及びWO2004/037171、及び米国出願US 2004/132830、及びUS 2004/132719に記載されている。1つの実施態様においては、有糸分裂キネシンの阻害剤は、制限されることなく、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、Kif14の阻害剤、Mphosph1の阻害剤、及びRab6−KIFLの阻害剤を包含する。
【0140】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」は、制限されることなく、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼの阻害剤(PLK;特にPLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤、及びbub−R1の阻害剤を包含する。
【0141】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001;及び、代謝拮抗物質、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスファート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジンン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、及び3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンを包含する。
【0142】
モノクローナル抗体標的化治療剤の例は、癌細胞特異又は標的細胞特異モノクローナル抗体へ結合された、細胞傷害剤又は放射性同位元素を有する治療剤を包含する。例は、ベクサールを包含する。
【0143】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。使用してもよいHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例は、制限されることなく、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR)(登録商標);米国特許第4,231,938、4,294,926、及び4,319,039号参照)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR)(登録商標);米国特許第4,444,784、4,820,850、及び4,916,239号参照)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL)(登録商標);米国特許第4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447、及び5,180,589号参照)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL)(登録商標);米国特許第5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946、及び5,356,896号参照)、及びアトルバスタチン(リピトール(LIPITOR)(登録商標);米国特許第5,273,995、4,681,893、5,489,691、及び5,342,952号参照)を包含する。これらの、及び、本方法において使用してもよい付加的なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、ヤルパニ(M.Yalpani)著、「Cholesterol Lowering Drugs(コレステロール低下薬)」、ケミストリー・アンド・インダストリー(Chemistry&Industry)、1996年2月5日、p.85−89の第87頁、及び、米国特許第4,782,084及び4,885,314号に記載されている。本明細書で用いる場合、用語、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、全ての薬学的に許容されるラクトン及びオープン酸型(すなわち、ラクトン環が開裂されて遊離酸を生成する場合)、並びに、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の塩及びエステル型を包含し、それ故、かかる塩、エステル、オープン酸、及びラクトン型の使用は、本発明の範囲内に包含される。
【0144】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、及び、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、またRab GGPTアーゼとも呼ばれる)を含めた、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ酵素の、任意の1つ又は任意の組合せを阻害する化合物を指す。
【0145】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の例は、以下の刊行物及び特許に見出すことができる:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公開第0 618 221号、欧州特許公開第0 675 112号、欧州特許公開第0 604 181号、欧州特許公開第0 696 593号、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5,661,152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5,571,792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、及び米国特許第5,532,359号。血管新生に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の1つの例については、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー(European J.of Cancer)」、1999年、第35巻、第9号、p.1394−1401参照。
【0146】
「血管新生阻害剤」は、メカニズムにかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を指す。血管新生阻害剤の例は、制限されることなく、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、上皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来の成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン阻害剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(アスピリン及びイブプロフェンのような、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、並びに、セレコキシブ及びロフェコキシブのような、選択的シクロオキシ−ゲナーゼ−2阻害剤を含む)(「PNAS」、1992年、第89巻、p.7384;「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスチチュート(JNCI)」、1982年、第69巻、p.475;「アーカイブズ・オブ・オフサルモロジー(Arch.Opthalmol.)」、1990年、第108巻、p.573;「ディ・アナトミカル・レコード(Anat.Rec.)」、1994年、第238巻、p.68;「フェブス・レターズ(FEBS Letters)」、1995年、第372巻、p.83;「クリニカル・オルソペディックス(Clin.Orthop.)」、1995年、第313巻、p.76;「ジャーナル・オブ・モレキュラー・エンドクリノロジー(J.Mol.Endocrinol.)」、1996年、第16巻、p.107;「ザ・ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Jpn.J.Pharmacol.)」、1997年、第75巻、p.105;「Cancer Res.」、1997年、第57巻、p.1625;「Cell」、1998年、第93巻、p.705;「インターナショナル・ジャーナル・オブ・モレキュラー・メディズン(Intl.J.Mol.Med.)」、1998年、第2巻、p.715;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116)、ステロイド系抗炎症剤(例えばコルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、(6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(「ザ・ジャーナル・オブ・ラボラトリー・アンド・クリニカル・メディスン(J.Lab.Clin.Med.)」、1985年、第105巻、p.141−145参照)、及びVEGFに対する抗体(「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」、1999年、第17巻、p.963−968;キム(Kim)ら著、「Nature」、1993年、第362巻、p.841−844;WO00/44777;及び、WO00/61186参照)を包含する。
【0147】
血管新生を調節又は阻害し、かつ本発明化合物と組合せて使用してもよい他の治療剤は、凝固及び線溶系を調節又は阻害する薬剤を包含する(「クリニカル・ケミストリー・アンド・ラボラトリー・メディスン(Clin.Chem.La.Med.)」、2000年、第38巻、p.679−692の総説を参照)。凝固及び線溶経路を調節又は阻害する、かかる薬剤の例は、制限されることなく、ヘパリン(「トロンボーシス・アンド・ヘモスタシス(Thromb.Haemost.)」、1998年、第80巻、p.10−23)、低分子ヘパリン、及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型のトロンビン活性化線溶抑制因子[TAFIa]の阻害剤としても公知)(「トロンボーシス・リサーチ(Thrombosis Res.)」、2001年、第101巻、p.329−354参照)を包含する。TAFIa阻害剤は、PCT公開WO03/013,526、及び米国特許出願番号60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0148】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを変換するプロテインキナーゼを阻害し、それにより癌細胞をDNA損傷剤に対し感受性化する化合物を指す。かかる薬剤は、ATR、ATM、Chk1及びChk2キナーゼの阻害剤、及び、cdk及びcdcキナーゼ阻害剤を包含し、特に、7−ヒドロキシスタウロスポリン、スタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(サイクラセル(Cyclacel))、及びBMS−387032に例示される。
【0149】
「細胞増殖及び生存シグナリング経路の阻害剤」は、細胞表面受容体と、これらの表面受容体の下流のシグナル伝達カスケードとを阻害する薬剤を指す。かかる薬剤は、EGFRの阻害剤(例えばゲフィチニブ及びエルロチニブ)、ERB−2の阻害剤(例えばトラツズマブ)、IGFRの阻害剤(例えばWO03/059951に開示されたもの)、サイトカイン受容体の阻害剤、METの阻害剤、PI3Kの阻害剤(例えばLY294002)、セリン/スレオニンキナーゼ(制限されることなく、Aktの阻害剤、例えば(WO03/086404、WO03/086403、WO03/086394、WO03/086279、WO02/083675、WO02/083139、WO02/083140、及びWO02/083138に開示されたものを包含する)、Rafキナーゼの阻害剤(例えばBAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)、及びmTORの阻害剤(例えばワイス(Wyeth)CCI−779及びアリアド(Ariad)AP23573)を包含する。かかる薬剤は、低分子阻害剤化合物及び、抗体アンタゴニストを包含する。
【0150】
「アポトーシス誘導剤」は、TNF受容体ファミリーメンバー(TRAIL受容体を含む)の活性化剤を包含する。
【0151】
1つの実施態様においては、本発明化合物は、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン及びトポテカンから選択される、1剤以上の、特に1、2、又は3剤との併用において、癌を治療するために有用である。
【0152】
本発明化合物はまた、以下の治療剤の任意の1つ以上との併用において、癌を治療するために有用である:アバレリックス(プレナキシス・デポ(Plenaxis depot)(登録商標));アルデスロイキン(プロカイン(Prokine)(登録商標));アルデスロイキン(プロロイキン(Proleukin)(登録商標));アレムツズマブ(キャンパス(Campath)(登録商標));アリトレチノイン(パンレチン(Panretin)(登録商標));アロプリノール(ザイロプリム(Zyloprim)(登録商標));アルトレタミン(ヘキサレン(Hexalen)(登録商標));アミフォスチン(エチヨル(Ethyol)(登録商標));アナストロゾール(アリミデックス(Arimidex)(登録商標));三酸化ヒ素(トリセノックス(Trisenox)(登録商標));アスパラギナーゼ(エルスパル(Elspar)(登録商標));アザシチジン(ビダザ(Vidaza)(登録商標));ベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標));ベキサロテン・カプセル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ベキサロテン・ゲル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ブレオマイシン(ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標));ボルテゾミブ(ベルケード(Velcade)(登録商標));ブスルファン・静脈内(ブスルフェックス(Busulfex)(登録商標));ブスルファン・経口(マイレラン(Myleran)(登録商標));カルステロン(メトサーブ(Methosarb)(登録商標));カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin)(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(グリアデル(Gliadel)(登録商標));インプラント型ポリフェプロサン20カルムスチン(グリアデル・ウエファー(Gliadel Wafer)(登録商標));セレコキシブ(セレブレックス((Celebex)(登録商標));セツキシマブ(アービタックス(Erbitux)(登録商標));クロランブシル(ロイケラン(Leukeran)(登録商標));シスプラチン(プラチノール(Platinol)(登録商標));クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(クロラール(Clolar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)(登録商標)、ネオサール(Neosar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン注射薬(Cytoxan Injection)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン・タブレット(Cytoxan Tablet)(登録商標));シタラビン(サイトサール−U(Cytosar−U)(登録商標));リポソーム化シタラビン(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(コスメゲン(Cosmegen)(登録商標));ダルベポエチン・アルファ(アラネスプ(Arnesp)(登録商標));リポソーム化ダウノルビシン(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(ダウノルビシン(Daunorubicin)(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(セルビジン(Cerbidine)(登録商標));デニロイキン・ディフィトックス(オンタック(Ontak)(登録商標));デクスラゾキサン(ザインカード(Zinecard)(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(Taxotere)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS(Adriamycin PFS)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射薬(Adriamycin PFS Injection)(登録商標));リポソーム化ドキソルビシン(ドキシル(Doxil)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(ドロモスタノロン(Dromostanolone)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(マステロン注射薬(Masterone Injection)(登録商標));エリオットのB溶液(エリオットのB溶液(Elliott’s B Solution)(登録商標));エピルビシン(エレンス(Ellence)(登録商標));エポエチン・アルファ(エポジェン(epogen)(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));エトポシドリン酸塩(エトポフォス(Etopophos)(登録商標));エトポシド、VP−16(ベペシド(Vepesid)(登録商標));エキセメスタン(アロマシン(Aromasin)(登録商標));フィルグラスチム(ノイポゲン(Neupogen)(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(フルダラ(Fludara)(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(アドルシル(Adrucil)(登録商標));フルベストラント(ファスロデックス(Faslodex)(登録商標));ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(登録商標));ゲムシタビン(ゲムザール(Gemzar)(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(マイロターグ(Mylotarg)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス・インプラント(Zoladex Implant)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス(Zoladex)(登録商標));ヒストレリン酢酸塩(ヒストレリン・インプラント(Histrelin implant)(登録商標));ヒドロキシウレア(ハイドレア(Hydrea)(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(ゼヴァリン(Zevalin)(登録商標));イダルビシン(イダマイシン(Idamycin)(登録商標));イフォスファミド(IFEX(登録商標));イマチニブメシル酸塩(グリベック(Gleevec)(登録商標));インターフェロンアルファ2a(ロフェロンA(Roferon A)(登録商標));インターフェロンアルファ−2b(イントロンA(Intron A)(登録商標));イリノテカン(カンプトサール(Camptosar)(登録商標));レナリドマイド(レブリミド(Revlimid)(登録商標));レトロゾール(フェマーラ(Femara)(登録商標));ロイコボリン(ウェルコボリン(Wellcovorin)(登録商標)、ロイコボリン(Leucovorin)(登録商標));酢酸ロイプロリド(エリガード(Eligard)(登録商標));レバミソール(エルガミゾール(Ergamisol)(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(マスタルゲン(Mustargen)(登録商標));酢酸メゲストロール(メゲース(Megace)(登録商標));メルファラン、L−PAM(アルケラン(Alkeran)(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(プリネトール(Purinethol)(登録商標));メスナ(メスネックス(Mesnex)(登録商標));メスナ(メスネックス錠(Mesnex tabs)(登録商標));メトトレキサート(メトトレキセート(Methotrexate)(登録商標));メトキサレン(ウヴァデクス(Uvadex)(登録商標));マイトマイシンC(ミュータマイシン(Mutamycin)(登録商標));ミトタン(リソドレン(Lysodren)(登録商標));ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone)(登録商標));フェンプロピオン酸ナンドロロン(デュラボリン−50(Durabolin−50)(登録商標));ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標));ノフェツモマブ(ヴァールマ(Verluma)(登録商標));オプレルベキン(ニューメガ(Neumega)(登録商標));オキサリプラチン(エロキサチン(Eloxatin)(登録商標));パクリタキセル(パクセン(Paxene)(登録商標));パクリタキセル(タキソール(Taxol)(登録商標));パクリタキセル・タンパク質結合粒子(アブラキサン(Abraxane)(登録商標));パリフェルミン(ケピバンス(Kepivance)(登録商標));パミドロネート(アレディア(Aredia)(登録商標));ペグアデマーゼ(アダジェン(Adagen)(ウシ・ペグアデマーゼ(Pegademase Bovine))(登録商標));ペグアスパラガーゼ(オンキャスパー(Oncaspar)(登録商標));ペグフィルグラスチム(ニューラスタ(Neulasta)(登録商標));ペメトレキセド2ナトリウム(アリムタ(Alimta)(登録商標));ペントスタチン(ナイペント(Nipent)(登録商標));ピポブロマン(バーサイト(Vercyte)(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(ミトラシン(Mythracin)(登録商標));ポルフィマー・ナトリウム(フォトフリン(Photofrin)(登録商標));プロカルバジン(マツラン(Matulane)(登録商標));キナクリン(アタブリン(Atabrine)(登録商標));ラスブリカーゼ(エリテック(Elitek)(登録商標));リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(登録商標));サルグラモスチン(リューカイン(Leukine)(登録商標));サルグラモスチン(プロカイン(Prokine)(登録商標));ソラフェニブ(ネクサバール(Nexavar)(登録商標));ストレプトゾシン(ザノサール(Zanosar)(登録商標));スニチニブ・マレイン酸塩(スーテント(Sutent)(登録商標));タルク(スクレロゾール(Sclerosol)(登録商標));タモキシフェン(ノルバデックス(Nolvadex)(登録商標));テモゾロミド(テモダール(Temodar)(登録商標));テニポシド、VM−26(ヴァモン(Vumon)(登録商標));テストラクトン(テスラク(Teslac)(登録商標));チオグアニン、6−TG(チオグアニン(Thioguanine)(登録商標));チオテパ(チオプレックス(Thioplex)(登録商標));トポテカン(ハイカムチン(Hycamtin)(登録商標));トレミフェン(フェアストン(Fareston)(登録商標));トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トシツモマブ/I−131 トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トラツズマブ(ハーセプチン(Herceptin)(登録商標));トレチノイン、ATRA(ベサノイド(Vesanoid)(登録商標));ウラシル・マスタード(ウラシル・マスタード・カプセル(Uracil Mustard Capsules)(登録商標));バルルビシン(バルスター(Valstar)(登録商標));ビンブラスチン(ベルバン(Velban)(登録商標));ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(登録商標));ビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標));ボリノスタット(ゾリンザ(Zolinza)(登録商標));ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa)(登録商標));ニロチニブ(タシグナ(Tasigna(登録商標))、及びダサチニブ(スプリセル(Sprycel)(登録商標))。
【0153】
本発明はまた、選択的なCOX−2阻害剤である、NSAIDとの併用も包含する。本明細書では、選択的COX−2阻害剤であるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより評価される、COX−1のIC50に対するCOX−2のIC50の比率によって測定されるとき、少なくとも100倍の、COX−1に対するCOX−2阻害特異性を有するものとして定義される。かかる化合物は、制限されることなく、米国特許5,474,995、米国特許5,861,419、米国特許6,001,843、米国特許6,020,343、米国特許5,409,944、米国特許5,436,265、米国特許5,536,752、米国特許5,550,142、米国特許5,604,260、米国特許5,698,584、米国特許5,710,140、WO94/15932、米国特許5,344,991、米国特許5,134,142、米国特許5,380,738、米国特許5,393,790、米国特許5,466,823、米国特許5,633,272、及び米国特許5,932,598に開示されているものを包含し、これらは全て、参考として本明細書に含まれる。
【0154】
本治療法において特に有用であるCOX−2の阻害剤は、5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又は、その薬学的に許容される塩である。
【0155】
COX−2の特異的阻害剤として記載されてきており、それ故本発明において有用である化合物は、制限されることなく、パレコキシブ、セレブレックス(CELEBREX(登録商標))及びベクストラ(BEXTRA(登録商標))、又はその薬学的に許容される塩を包含する。
【0156】
血管形成阻害剤の他の例は、制限されることなく、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクワラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスファート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホナート)、及び、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)を包含する。
【0157】
前記に使用されたように、「インテグリン阻害剤」は、生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物;生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物;生理的リガンドの、αβインテグリン及びαβインテグリン双方への結合を拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物;及び、毛細血管内皮細胞上に発現された特定のインテグリンの活性を拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物を指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンのアンタゴニストも指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンの任意の組合せのアンタゴニストも指す。
【0158】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体的な例は、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホナート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD121974を包含する。
【0159】
1つの実施態様においては、本発明化合物は、選択的N3−アデニンメチル化剤、例えばMeOSO(CH)−レキシトロプシン(Me−Lex)により誘導される壊死の出現を、治療又は予防するために有用である。
【0160】
抗癌化合物以外の化合物との併用もまた、本方法に包含される。例えば、本願にクレームされた化合物と、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの併用は、特定の悪性疾患の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核のペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体γ及びδである。PPAR−γの、内皮細胞上での発現、及びその血管新生における関与は、文献に報告されている(「ジャーナル・オブ・カルディオバスキュラー・ファーマコロジー(J.Cardiovasc.Pharmacol.)」、1998年、第31巻、p.909−913;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116−9121;「インベスティゲイティブ・オフサルモロジー・アンド・ビジュアル・サイエンス(Invest.Ophthalmol Vis.Sci.)」、2000年、第41巻、p.2309−2317参照)。より最近では、PPAR−γアゴニストが、VEGFに対する血管新生応答をインビトロで阻害することが開示されている;トログリタゾン及びマレイン酸ロシグリタゾンの双方は、マウスにおいて、網膜血管新生の発生を阻害する(「Arch Ophthamol」、2001年、第119巻、p.709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例は、制限されることなく、チアゾリジンジオン(例えばDRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、及びピオグリタゾン)、フェノフィブラート、ゲンフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN 09/782,856に開示)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN 60/235,708及び60/244,697に開示)を包含する。
【0161】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための、抗ウイルス剤(例えば、ガンシクロビルを含むヌクレオシド類似体)と組合せた本明細書に示された化合物の使用である。WO98/04290参照。
【0162】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための、遺伝子療法と組合せた本開示化合物の使用である。癌を治療するための遺伝学的戦略の概要に関しては、ホール(Hall)ら(「アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(Am.J.Hum,Genet.)」、1997年、第61巻、p.785−789)、及びクーフェ(Kufe)ら(「Cancer Medicine(癌医療)」、第5版、BCデッカー(Decker)、ハミルトン、2000年、p.876−889)を参照のこと。遺伝子療法を用いて、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達することができる。かかる遺伝子の例は、制限されることなく、組換えウイルス媒介性の遺伝子導入により送達可能であるp53(例えば、米国特許第6,069,134号参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(「Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice(uPA/uPARアンタゴニストのアデノウイルス媒介送達は、血管新生依存性の腫瘍増殖及び播種をマウスにおいて抑制する)」、ジーン・セラピー(Gene Therapy)、1998年8月、第5巻、第8号、p.1105−13)、及びインターフェロンガンマ(「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)」、2000年、第164巻、p.217−222)を包含する。
【0163】
本発明化合物はまた、生来多剤耐性(MDR)、特に、トランスポータ−タンパク質の高レベルの発現に関与しているMDR、の阻害剤と併用して投与してもよい。かかるMDR阻害剤は、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤、例えばLY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853、ベラパミル、及びPSC833(バルスポダール)を包含する。
【0164】
本発明化合物を、抗嘔吐剤と一緒に使用して、本発明化合物の、単独での、又は放射線療法との使用の結果として生じるかもしれない、急性、遅発性、遅延相、及び予測性嘔吐を含めた、悪心又は嘔吐を治療してもよい。嘔吐の予防又は治療のためには、本発明化合物を、他の抗嘔吐剤、特に、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト;5HT3受容体アンタゴニスト、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン;GABA受容体アゴニスト、例えばバクロフェン;コルチコステロイド、例えばデカドロン(Decadron)(デキサメタゾン)、ケナログ(Kenalog)、アリストコート(Aristocort)、ナサライド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は他の、米国特許第2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326、及び3,749,712号に開示されたもの;抗ドーパミン作動薬、例えばフェノチアジン類(例えばプロクロペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、及びメソリダジン)、メトクロプラマイド、又はドロナビノールと一緒に使用しもよい。1つの実施態様においては、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選択される抗嘔吐剤が、本化合物の投与の結果として生じるかもしれない嘔吐の治療又は予防のためのアジュバントとして投与される。
【0165】
本発明化合物との併用使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339、5,232,929、5,242,930、5,373,003、5,387,595、5,459,270、5,494,926、5,496,833、5,637,699、5,719,147号;欧州特許公開番号EP 0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、0 536 817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 512、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632、及び0 776 893;PCT国際特許公開番号WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942、及び97/21702;及び英国特許公開番号2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 169、及び2 302 689に充分に記載されている。かかる化合物の調製は、参考として本明細書に含まれる、上記特許及び刊行物において充分に記載されている。
【0166】
1つの実施態様においては、本発明化合物との併用使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又は、その薬学的に許容される塩から選ばれ、それは、米国特許第5,719,147号に記載されている。
【0167】
本発明化合物はまた、貧血症の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。かかる貧血症治療剤は、例えば、持続性の赤血球形成受容体活性化剤(例えばエポエチン・アルファ)である。
【0168】
本発明化合物はまた、好中球減少症の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。かかる好中球減少症治療剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のような、好中球の産生及び機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの例は、フィルグラスチムを包含する。
【0169】
本発明化合物はまた、レバミソール、イソプリノシン、及びザダキシン(Zadaxin)といった、免疫強化薬とともに投与してもよい。
【0170】
本発明化合物はまた、ビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸、及びジホスホン酸を包含するべく理解される)と併用して、骨癌を含む癌の治療又は予防のために有用であってよい。ビホスホネートの例は、制限されることなく:エチドロネート(ダイドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレディア(Aredia))、アレンドロネート(フォサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート、及びチルドロネートを包含し、任意の及び全ての、その薬学的に許容される塩、誘導体、水和物、及び混合物を包含する。
【0171】
したがって、本発明の範囲は、本願にクレームされた化合物の、電離放射線との併用、及び/又は、HDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス剤、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、アポトーシス誘導薬、及びビスホスホネートから選択される、第2の化合物との併用における使用を包含する。
【0172】
本発明化合物に関し、用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、該化合物又は該化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系内へ投入することを意味する。本発明化合物又はそのプロドラッグを、1つ以上の他の活性薬剤(例えば、細胞傷害剤など)と組合せて供する場合、「投与」及びその変形は、各々、該化合物又はそのプロドラッグと他の薬剤との、同時の、及び連続した投入を包含することが理解される。
【0173】
本明細書で用いる場合、用語「組成物」は、指定された量の指定された成分を含んでなる生成物、並びに指定された量の指定された成分の組合せから結果として直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0174】
用語「治療有効量」は、本明細書で用いる場合、組織、系、動物、又はヒトにおいて、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって求められている生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0175】
用語「治療」は、病的症状に苦しんでいる哺乳類の治療を指し、かつ、癌性細胞を殺すことにより該症状を軽減する効果を指すが、また症状の進行の阻害の結果として生じる効果も指し、そして進行速度の減少、進行速度の停止、症状の改善、及び症状の回復を包含する。予防的措置としての治療(すなわち予防)もまた包含される。
【0176】
用語「薬学的に許容される」は、本明細書において使用される場合、安全な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題又は合併症なく患者(例えばヒト)の組織との接触使用に適し、妥当な便益/リスク比に相応する、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形に関する。各担体、賦形剤その他もまた、製剤の他の成分と適合性であるという意味で「許容される」べきである。
【0177】
用語「補助剤」は、化合物を、既知の治療手段と一緒に使用することに関連する。かかる手段は、種々の癌タイプの治療において使用されるような、細胞毒性の薬物体制及び/又は電離放射線を包含する。特に、活性化合物は、癌の治療において使用される、トポイソメラーゼクラスの毒素(例えば、トポテカン、イリノテカン、ルビテカン)、殆どの既知のアルキル化剤(例えば、DTIC、テモゾラミド)、及び白金を主成分とする薬剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン)を包含する、数多くの癌化学療法処置の作用を強化することが知られている。
【0178】
また本クレームの範囲に含まれるのは、癌を治療する方法であって、式Iの化合物の薬学的に許容される塩の治療有効量を、放射線療法と組合せて、及び/又は、HDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス剤、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、アポトーシス誘導薬、及びビスホスホネートから選ばれる化合物、と組合せて投与することを含んでなる該方法である。
【0179】
本発明の、これらの及び他の観点は、本明細書に含まれている教示から明らかとなるであろう。
【0180】
化学の記載において、及び以下の実施例において使用される略号は
【0181】
AcCl(塩化アセチル);(BzO)(過酸化ベンゾイル);CDCl(重水素化クロロホルム);DCM(ジクロロメタン);DMF(ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);eq.(当量);ES(エレクトロスプレー);EtOAc(酢酸エチル);EtOH(エタノール);mol.sieves(モレキュラー・シーブ);MeCN(アセトニトリル);MeOH(メタノール);MS(質量分析);MW(マイクロウェーブ);NBS(N−ブロモスクシンイミド);NMMO(N−メチルモルホリン−N−オキシド);NMR(核磁気共鳴);Pcol(カラム圧);iPrOH(イソプロパノール);RH(相対湿度);RT(室温);sat.aq.(飽和水溶液);SiO(シリカゲル);及びTHF(テトラヒドロフラン)である。IST ISOLUTE(登録商標)SPEカラムSCX(インターナショナル・ソルベント・テクノロジー(International Sorbent Technology)ISOLUTE(登録商標)固相抽出カラム陽イオン交換樹脂);SFC(超臨界液体クロマトグラフィー);TBTU O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート);Tcol(カラム温度);TFA(トリフルオロ酢酸);及びTLC(薄層クロマトグラフィー)。
【0182】
中間体及び出発物質の合成が記載されていない場合、これらの化合物は市販されているか、或いは、市販の化合物から、標準法によるか、又は、上記の合成、スキーム、及び本明細書の実施例を援用することにより作成し得る。
【0183】
本明細書に記載された任意の合成順序の間に、関与する任意の分子上の、感受性又は反応性の基を保護することが必要及び/又は望ましいことがある。このことは、通常の保護基、例えば、グリーン(Greene,T.W.)及びウーツ(Wuts,P.G.M.)著、「Protecting Groups in Organic Synthesis」(有機合成における保護基)」、第3版、ウィリー・インターサイエンス(Wiley Interscience)、1999年、及びコチェンスキー(Kocienski,P.J.)著、「Protecting Groups(保護基)」、ティーム(Thieme)、1994年、に記載されたものによって達成してもよい。保護基は、当該技術分野における技術上既知の方法を用いて、後続の都合の良い工程において除去してもよい。例えば、Boc(tert−ブトキシカルボニル)又はベンジルカルボニル保護基が存在する場合、TFA、DCM、及び/又はMeCNのような溶媒を、ほぼ室温で添加することにより、それを除去してもよい。当該化合物はまた、水素雰囲気下で、メタノールのような溶媒中で、Pd/Cのような触媒で処理するといった、標準的な方法を用いて水素化してもよい。また、HCl及び1,4−ジオキサンの存在下で、EtOAcをほぼ室温で添加して、Boc又はベンジルカルボニル保護基を除去してもよい。
【0184】
本発明化合物がキラル中心を有する場合、エナンチオマーを、例えば、SFC、キラルHPLC、又はキラル酸による分割の使用といった標準的な分離法により、ラセミ混合物から分離してもよい。分離は、式Iの化合物を作成するための任意の工程において行い得る。したがって、分離は、最終工程において行うことが可能であり、或いは別法として、中間体を分離し、そして次に、特定のエナンチオマーをその後の反応において利用して、所望の生成物を生成し得る。
【0185】
PARP−1 SPAアッセイ
本明細書に記載された代表的な化合物を、このアッセイにおいて試験し、5μM未満、特に50nM未満のIC50値をもつことを見出した。
【0186】
作業試薬
アッセイ緩衝液: 100mM トリスpH8、4mM MgCl、4mM スペルミン、200mM KCl、0.04% ノニデットP−40。
酵素混合物: アッセイ緩衝液(12.5ul)、100mM DTT(0.5ul)、PARP−1(5nM、トレビゲン(Trevigen)4668−500−01)、HO(35ulまで)。
ニコチンアミド−アデニンジヌクレオチド(NAD)/DNA混合物:[H−NAD](250uCi/ml、0.4ul、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)NET−443H)、NAD(1.5mM、0.05ul、シグマ(SIGMA)N−1511)、ビオチニル化−NAD(250uM、0.03ul、トレビゲン 4670−500−01)、活性化仔ウシ胸腺(1mg/ml、0.05ul、アマシャム・バイオサイエンシズ(Amersham Biosciences) 27−4575)、HO(10ulまで)。
展開混合物: 500mM EDTA中に溶解された、ストレプトアビジンSPAビーズ(5mg/ml、アマシャム・バイオサイエンシズ RPNQ0007)。
【0187】
実験デザイン
反応は、96穴マイクロプレート中で、最終体積50uL/ウェルで行う。5ulの
5%DMSO/化合物溶液を添加し、酵素混合物(35ul)を添加し、NAD/DNA混合物(10uL)の添加により反応を開始し、そして室温で2時間インキュベートする。展開混合物(25ul)の添加により反応を停止し、そして室温で15分間インキュベートする。パッカード・トップ・カウント(Packard TOP COUNT)装置を用いて測定する。
【0188】
BRCA−1がサイレンシングしたヒーラ細胞における増殖アッセイ
略号:
IMDM(イスコブ(Iscove)改変ダルベッコ培地);RPMI(ロズウェル・パーク記念研究所培地(Roswell Park Memorial Institute Media);MOI(感染多重度);GFP(緑色蛍光タンパク質);PBS(リン酸緩衝食塩水);FCS(ウシ胎児血清);及びDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)。
【0189】
本発明の化合物を、マッチドペアBRCA1wt及びBRCA−1(shRNA)ヒーラ細胞における、抗増殖アッセイにおいても試験した。このアッセイは、PARP阻害剤が、BRCA欠損細胞の増殖阻害について選択性を示し得ることを示している。当該化合物は、BRCA1欠損細胞において5μM未満のCC50を示し、またBRCAプロフィシェント細胞に対し10倍を超える選択性を示した。
【0190】
このアッセイは、酸化還元色素(レザズリン)を、蛍光性の最終産物(レゾフリン)へ変換する、生細胞の能力に基づいている。生成されたレゾフリンの量は、細胞数に正比例する。
【0191】
細胞系:
ヒーラshBRCA1−GFP− これらは、BRCA−1に対するshRNAと、GFP用の発現カセットとを含有するレンチウイルスにより、MOI 100で形質導入されたヒーラ細胞である。BRCA−1のサイレンシングは、Taqman分析により評価される通り80%を超えており、該細胞は安定にGFPを発現する。
【0192】
ヒーラTHM−GFP− これらは、何らshRNAを発現しないコントロールベクターにより、MOI 100で形質導入されたヒーラ細胞である。
【0193】
プロトコール
−96穴ビュープレート・ブラックにおいて、ウェル当たり300個の細胞を、90μlの培地中に播種
− 37℃、5%COにおいて、4時間インキュベート
− 10ul/ウェルの、10倍の化合物を添加(HO中、5%DMSO)
− 37℃、5%COにおいて、168時間インキュベート
− 予め1倍のPBSで1:1に希釈した、10μlのセルタイター・ブルー(Celltiter Blue)溶液(プロメガ(Promega)、G8081)を添加
− この混合物を、37℃、5%COにおいて、45分間インキュベート
− 暗中で、室温で15分間インキュベート
− ex(励起波長):550nm;em(蛍光波長):590nmで、蛍光測定器においてプレートを読む
【0194】
培地: DMEM(ギブコ(GIBCO)、41966−029)、10%FCS(ギブコ、10106−169)、0.1mg/ml ペニシリン−ストレプトマイシン(ギブコ、15140−114)、2mM L−グルタミン(ギブコ、3042190)
【0195】
天然BRCA欠損細胞系における増殖アッセイ
本発明化合物はまた、5マイクロモル未満のCC50をもつ、天然のBRCA−1(MDA−MB−436)及びBRCA−2(CAPAN−1)欠損細胞系の増殖を阻害することが示された。
【0196】
増殖アッセイ
細胞を、96穴プレートにおいて、ウェル当たり100ulの適当な培地中に、700細胞/ウェルで播種する。
翌日、当該化合物の連続希釈物を、200μl/ウェルの最終体積で添加する。
各希釈物を、三重にアッセイする。
6日後、セルタイター−ブルー・セル・バイアビリティ・アッセイ(CellTiter−Blue Cell Viability Assay)を、製造業者(プロメガ)の指示に従って使用し、細胞生存度を評価する。プレートを、フュージョン・アルファ(Fusion Alpha)マイクロプレートリーダー(パッカード・バイオサイエンス(Packard Bioscience))で読み取る。
【0197】
低増殖性の細胞系(すなわち、CAPAN−1)では、当該化合物添加の14日後に増殖をアッセイし、培地を7日ごとに1回交換する(ウェル当たり170μlの培地を吸引し、そして当該化合物を含有する170μlの新鮮な培地で置き換える)。
【0198】
培地:
MDA−MB−436:RPMI(ギブコ)、10%FBS(5%CO
CAPAN−1:IMDM(ギブコ)、20%FBS(5%CO
【0199】
腫瘍学インビボモデルにおいて試験された化合物は、有意なレベルの活性を示した。
【0200】
調製実施例
実施例A
2−フェニル−2H−インダゾール−7−カルボキサミド(A6)
工程1:メチル3−メチル−2−ニトロベンゾアート(A1)
MeOH(0.4M)中の3−メチル−2−ニトロ安息香酸(1.0当量)の懸濁液に、0℃で、AcCl(3.0当量)を滴下添加した。反応混合物を、還流下で20時間攪拌した。溶媒を真空中で減量し、残渣をEtOAc中に溶解し、飽和NaHCO水溶液、食塩水で数回洗浄し、そして脱水した(NaSO)。溶媒を蒸発させて、(A1)を白色固体として得て、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
HNMR(400MHz,CDCl3,300K)δ7.86(1H,d,J=7.5Hz),7.53−7.42(2H,m),3.89(3H,s),2.36(3H,s).
MS(ES)CNO要求値:195,実測値:218(M+Na)
【0201】
工程2:メチル3−(ブロモメチル)−2−ニトロベンゾアート(A2)
(A1)(1.0当量)、(BzO)(0.06当量)、及びNBS(1.18当量)の、CCl中(0.2M、A1について)の混合物を、N雰囲気下で、12時間加熱還流した。混合物を室温に冷却し、DCMで希釈し、減圧下で濃縮し、そしてSiOにドライローディングした。残渣を、SiO上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、10:90EtOAc/石油エーテルを用いて精製し、所望の(A2)を白色固体として得た。
HNMR(400MHz,CDCl3,300K)δ7.93(1H,d,J=7.7Hz),7.72(1H,d,J=7.7Hz),7.57(1H,t,J=7.7Hz),4.43(2H,s),3.88(3H,s).
MS(ES)CBrNO要求値:273:275,実測値:242:244(M−MeO),227:229(M−NO
【0202】
工程3:メチル3−ホルミル−2−ニトロベンゾアート(A3)
MeCN(0.2M)中の、(A2)(1.0当量)及び4Åモレキュラーシーブの混合物に、室温で、NMMO(2.0当量)を添加し、そして反応混合物をN雰囲気下で1.5時間攪拌した。次に、混合物をEtOAcで希釈し、濾過し、そして濾液をHO、1N HCl、食塩水で洗浄し、そして脱水した(NaSO)。溶媒を蒸発させて、(A3)を白色固体として得て、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
HNMR(400MHz,CDCl3,300K)δ9.96(1H,s),8.26(1H,d,J=7.9Hz),8.18(1H,d,J=7.9Hz),7.77(1H,t,J=7.9Hz),3.93(3H,s).
MS(ES)CNO要求値:209,実測値:208(M−H)
【0203】
工程4:メチル2−ニトロ−3−[(フェニルイミノ)メチル]ベンゾアート(A4)
EtOH(0.2M)中の、(A3)(1.0当量)及びアニリン(1.05当量)の混合物を、N雰囲気下で、TLCが反応の完了を示すまで(ヘキサン/EtOAc=75:25)、2時間にわたり還流下で攪拌した。溶媒を蒸発させて、(A4)を白色固体として得て、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
HNMR(400MHz,CDCl3,300K)δ8.51(1H,d,J=7.3Hz),8.41(1H,s),8.11(1H,d,J=7.8Hz),7.67(1H,t,J=7.8Hz),7.43(2H,t,J=7.8Hz),7.31(1H,t,J=7.3Hz),7.16(2H,d,J=7.8Hz),3.94(3H,s).
【0204】
工程5:メチル2−フェニル−2H−インダゾール−7−カルボキシラート(A5)
無水DMF(0.3M)中の、(A4)(1.0当量)及びNaN(1.05当量)の混合物を、N雰囲気下で90℃で一晩攪拌した。粗生成物を真空中で減量し、そして残渣を、シリカ上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、10:90から40:60までのEtOAc/石油エーテルの勾配を用いて精製し、所望の(A5)を褐色の油として得た。
HNMR(400MHz,CDCl,300K)δ8.50(1H,s),8.12(1H,d,J=7.0Hz),7.96−7.90(3H,m),7.49(2H,t,J=7.6Hz),7.38(1H,t,J=7.4Hz),7.15(1H,t,J=7.4Hz),4.03(3H,s).
MS(ES)C1512要求値:252,実測値:253(M+H)
【0205】
工程6:2−フェニル−2H−インダゾール−7−カルボキサミド(A6)
封管内で、エステル(A5)を、THF及び32%NH水溶液の混合物中で、70℃で一晩加熱した。溶媒を真空中で減量し、そしてその残渣を、シリカ上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、30:70から50:50までのEtOAc/石油エーテルの勾配を用いて精製し、所望の(A6)を白色固体として得た。
HNMR(400MHz,DMSO,300K)δ9.33(1H,s),8.56(1H,bs),8.16(2H,d,J=7.9Hz),8.08−8.00(2H,m),7.88(1H,bs),7.63(2H,t,J=7.7Hz),7.50(1H,t,7.4Hz),7.27(1H,t,J=7.9Hz).
MS(ES)C1411O要求値:237,実測値:238(M+H)
【0206】
実施例B
3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムクロリド(B4)
工程1:tert−ブチル3−[4−({−[3−(メトキシカルボニル)−2−ニトロフェニル]メチレン}アミノ)フェニル]ピペリジン−1−カルボキシラート(B1)
(B1)は、実施例A、工程4に報告した一般的な方法に従い、A3及びtert−ブチル3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボキシラートを、TLCが反応の完了を示すまで(石油エーテル:EtOAc=4:1)使用して調製し、さらに精製することなく次の工程に使用した。
【0207】
工程2:メチル2−{4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−3−イル]フェニル}−2H−インダゾール−7−カルボキシラート(B2)
(B2)を、実施例A、工程5に報告した一般的な方法に従って調製し、そして粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、20−40%EtOAc/石油エーテルの勾配を使用して精製し、所望の(B2)を黄色の固体として得た。
HNMR(400MHz,CDCl,300K)δ8.51(1H,s),8.13(1H,d,J=7.1Hz),7.95(1H,d,J=8.3Hz),7.91(2H,d,J=8.4Hz),7.39(2H,d,J=8.4Hz),7.18(1H,t,J=7.2Hz),4.30−4.10(2H,m),4.00(3H,s),2.85−2.70(3H,m),2.11−2.03(1H,m),1.83−1.75(1H,m),1.73−1.53(2H,m HOシグナルにオーバーラップ),1.48(9H,s).
MS(ES)C2529要求値:435,実測値:436(M+H)
【0208】
工程3:tert−ブチル3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシラート(B3)
封管内で、(B2)を、MeOH(0.1M)中の7N NH中で、60℃で2日間加熱した。溶媒を真空中で減量し、そして粗生成物をEtOで粉砕することにより精製し、所望の(B3)を黄色の固体として得た。
HNMR(400MHz,CDCl,300K)δ9.04(1H,br.s),8.51(1H,s),8.31(1H,d,J=6.8Hz),7.91(1H,d,J=8.3Hz),7.84(2H,d,J=8.2Hz),7.42(2H,d,J=8.2Hz),7.31−7.22(1H,m CDClシグナルにオーバーラップ),5.95(1H,br.s),4.40−4.05(2H,m),2.90−2.70(3H,m),2.15−2.00(1H,m),1.85−1.75(1H,m),1.75−1.50(2H,m HOシグナルにオーバーラップ),1.48(9H,s).
MS(ES)C2428要求値:420,実測値:421(M+H)
【0209】
工程4:3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムクロリド(B4)
EtOAc(0.2M)中の(B3)(1.0当量)の攪拌溶液に、4N HCl/1,4−ジオキサン溶液(10.0当量)を添加し、そして反応混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、そして粗生成物をEtOで粉砕することにより精製して、所望の(B4)を黄色の固体として得た。
HNMR(400MHz,DMSO−d6,300K)δ9.32(1H,s),9.12(1H,br.s),8.87(1H,br.s),8.55(1H,br.s),8.13(2H,d,J=8.6Hz),8.06(1H,J=7.0Hz),8.02(1H,d,J=8.4Hz),7.89(1H,br.s),7.55(2H,d,J=8.6Hz),7.27(1H,dd,J=8.4,7.0Hz),3.43−3.27(2H,m),3.17−3.03(2H,m),3.00−2.85(1H,m),2.00−1.70(4H,m).
MS(ES)C1921ClNO要求値:320,実測値:321(M+H)
【0210】
実施例C
2−{4−[(3R)−ピペリジン−3−イル]フェニル}−2H−インダゾール−7−カルボキサミド(C1)及び2−{4−[(3S)−ピペリジン−3−イル]フェニル}−2H−インダゾール−7−カルボキサミド(C2)
実施例B、B4をキラルSFC(カラム:キラルパック(Chiralpak)AS−H、1x25mm、流量:10ml/分、Tcol:35℃、Pcol:100バール、モディファイア:55%(PrOH+4%EtNH))により、COを超臨界溶離剤として使用して分離し、双方の純粋なエナンチオマーを得た。
【0211】
最初に溶出したエナンチオマー(C1)、保持時間(SFC):4.80分、を白色粉末として得た。
HNMR(400MHz,DMSO−d6,300K)δ9.28(s,1H),8.57(br.s,1H),8.06(d,2H,J=7.2Hz),8.04(d,2H,J=8.4Hz),7.88(br.s,1H),7.49(d,2H,J=8.4Hz),7.27(dd,1H,J=8.4,7.2Hz),3.08−2.94(m,2H),2.77−2.67(m,1H),2.64−2.52(m,1H),1.98−1.90(m,1H),1.75−1.47(m,4H).MS(ES)C1920O要求値:320,実測値:321(M+H)
遊離塩基を、(3R)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムクロリドに変換し、旋光を測定した:[α]20=+133.3(c0.15,MeOH).
【0212】
2番目に溶出したエナンチオマー(C2)、保持時間(SFC):6.51分、を白色粉末として得た。
HNMR(400MHz,DMSO−d6,300K)δ9.28(s,1H),8.57(br.s,1H),8.06(d,2H,J=7.2Hz),8.04(d,2H,J=8.4Hz),7.88(br.s,1H),7.49(d,2H,J=8.4Hz),7.27(dd,1H,J=8.4,7.2Hz),3.08−2.94(m,2H),2.77−2.67(m,1H),2.64−2.52(m,1H),1.98−1.90(m,1H),1.75−1.47(m,4H).MS(ES)C1920O要求値:320,実測値:321(M+H)
遊離塩基を、(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムクロリドに変換し、旋光を測定した:
[α]20=−137.9(c0.145,MeOH).
【0213】
調製実施例
実施例1
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウム4−メチルベンゼンスルホナート(D4)
工程1:tert−ブチル(3S)−3−[4−({(1E)−[3−(メトキシカルボニル)−2−ニトロフェニル]メチレン}アミノ)フェニル]ピペリジン−1−カルボキシラート(D1)
(D1)は、実施例A、A3及びtert−ブチル(3S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボキシラート(これは、3−(4−アミノフェニル)−ピペリジンを、MeOH中の2当量のL−ジベンゾイル酒石酸で分割し、続いてBoc保護することにより調製した)から、実施例B、B1に記載のように調製した。
【0214】
工程2:2−{4−[(3S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−3−イル]フェニル}−2H−インダゾール−7−カルボン酸(D2)
(D1)(1当量)及びアジ化ナトリウム(1当量)を、DMF(0.25M)中でスラリー化し、不活性化し、そして2,6−ルチジン(1.0当量)を添加した。混合物を内部温度110℃で20時間加熱した。得られた褐色の溶液を、20℃に冷却し、そしてTHF及び25wt%LiCl水溶液を添加した。相を分離し、そして有機物質を、25wt%LiCl水溶液でさらに3回洗浄した。2.0N NaOH(10当量)を上記の有機溶液に添加し、そして混合物を35℃で20時間加熱した後、20℃に冷却し、そして相を分離した。有機層を、2.0N HCl及び食塩水の混合物で洗浄し、その層を分離し、有機層を食塩水でさらに洗浄し、そして濃縮して(D2)とし、これはさらに精製することはなかった。
【0215】
工程3:tert−ブチル(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシラート(D3)
(D2)を、DCM(0.35M)中に溶解し、そしてジtert−ブチルカルボナート(1.3当量)及びピリジン(1.0当量)を室温で添加した。30分後、炭酸水素アンモニウム(1.3当量)を添加し、そして攪拌を20時間継続した。1N HCl(5mL/g)を添加し、相を分離し、有機層を水で2回洗浄し、そして少量に濃縮した。粗化合物(D3)を、シリカのパッドを通して濾過し、そして次にメチルtert−ブチルエーテルから結晶化した。
【0216】
工程4:(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウム4−メチルベンゼンスルホナート(D4)
(D3)を、THF(0.15M)中に溶解し、そして水(THFに比較して5%)を添加した。パラ−トルエンスルホン酸一水和物(2.2当量)を添加し、混合物を66℃に加熱し、そして一晩攪拌した。冷却後、所望の固体塩を濾過により単離し、そして一水和物(D4)であることを確認した。
HNMR(400MHz,DMSO,300K)δ9.34(1H,s);9.20(1H,ブロード s),8.58(1H,s),8.14(2H,d,J=8.8Hz),8.05(2H,ddd,J=1.2,7.2,16.8Hz),7.93(1H,s),7.52(4H,dd,J=8.8,16.8Hz),7.27(1H,dd,J=6.8,8.0Hz),7.13(2H,d,J=8Hz),3.48(3H,m),3.10(2H,m),2.90(1H,m);2.30(3H,s),1.89(2H,m),1.75(2H,m).
【0217】
実施例2
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウム4−メチルベンゼンスルホナート
化合物ストック溶液としての、tert−ブチル(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシラート(実施例1、D3)50mgを、エタノール中の1.0モル溶液として添加したp−トルエンスルホン酸1モル当量と反応させた。過剰の溶媒を遠心蒸発下で除去し、そしてエタノール1mLを室温(〜25℃)で添加した。得られた溶液を40℃で24時間攪拌し、ここで無色の固体が溶液から沈殿し、これを濾過により収集した。この固体をX線粉末回折、プロトンNMR、DSC、及びTGAを使用して分析し、標題の塩の生成を確認した。
【0218】
実施例3
((3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムベンゼンスルファート
化合物ストック溶液としての、tert−ブチル(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシラート(実施例1、D3)50mgを、THF中の1.0モル溶液として添加したベンゼンスルホン酸1モル当量と反応させた。過剰の溶媒を遠心蒸発下で除去し、そしてTHF1mLを室温(〜25℃)で添加した。得られた溶液を40℃で24時間攪拌し、ここで無色の固体が溶液から沈殿し、これを濾過により収集した。この固体をX線粉末回折、プロトンNMR、DSC、及びTGAを使用して分析し、標題の塩の生成を確認した。
【0219】
実施例4
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムフマラート
化合物ストック溶液としての、tert−ブチル(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシラート(実施例1、D3)50mgを、エタノール中の0.405モル溶液として添加したフマル酸1モル当量と反応させた。過剰の溶媒を遠心蒸発下で除去し、そしてエタノール1mLを室温(〜25℃)で添加した。得られた溶液を40℃で24時間攪拌した。実験を放置して大気条件下で穏やかに蒸発させ、ここで無色の固体が見られた。この固体をX線粉末回折、プロトンNMR、DSC、及びTGAを使用して分析し、標題の塩の生成を確認した。
【0220】
実施例5
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムスルファート
化合物ストック溶液としての、tert−ブチル(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジン−1−カルボキシラート(実施例1、D3)50mgを、1:1(v/v)メタノール:水の溶液中の1モル溶液として添加した硫酸1モル当量と反応させた。過剰の溶媒を遠心蒸発下で除去し、そしてメタノール:水の溶液1mLを室温(〜25℃)で添加した。得られた溶液を40℃で24時間攪拌した。実験を放置して大気条件下で穏やかに蒸発させ、ここで無色の固体が見られた。
【0221】
以下の表は、実施例1の物理化学的性質を、対応する塩化物塩と比較する。
【0222】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウム4−メチルベンゼンスルホナート;
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムスルファート;
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムベンゼンスルファート;
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムフマラート;
(3S)−3−{4−[7−(アミノカルボニル)−2H−インダゾール−2−イル]フェニル}ピペリジニウムスクシナート;
及び、その立体異性体及び互変異性体。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体を、薬学的に許容される担体と共に含んでなる医薬組成物。
【請求項3】
同時の、別々の、又は連続した投与のための、請求項1に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性体、及び抗癌剤。
【請求項4】
療法において使用するための、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体。
【請求項5】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害により改善し得る症状の、治療又は予防用医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体の使用。
【請求項6】
癌、炎症性疾患、再灌流損傷、虚血症状、卒中、腎不全、心臓血管疾患、心臓血管疾患以外の血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、レトロウイルス感染症、網膜損傷、又は皮膚老化、及びUV誘導性皮膚損傷の、治療又は予防用医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体の使用。
【請求項7】
請求項5又は6のいずれか1項に記載の症状の、治療又は予防における使用のための、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体。
【請求項8】
癌治療のための、化学的増感剤及び/又は放射線増感剤としての、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体の使用。
【請求項9】
癌、炎症性疾患、再灌流損傷、虚血症状、卒中、腎不全、心臓血管疾患、心臓血管疾患以外の血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、レトロウイルス感染症、網膜損傷、又は皮膚老化、及びUV誘導性皮膚損傷を、治療又は予防する方法であって、請求項1に記載の化合物、又は請求項1に記載の化合物を含んでなる組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる該方法。

【公表番号】特表2011−509252(P2011−509252A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541101(P2010−541101)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000041
【国際公開番号】WO2009/087381
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】