説明

2つの繊維複合材料構成部品間の公差補償のための方法

本発明は、航空機用の2つの繊維複合材料構成部品(1、3)間の公差補償のための方法に関する。
結合される2つの繊維複合材料構成部品間の公差を簡単化された形で補償するために、本発明による方法は、
a)組立面(2)が公差偏差を有することができる、第1の繊維複合材料構成部品(1)を製造するステップと、
b)組立面(2)の面形状から成形用インサート(7)を製造するステップと、
c)第2の繊維複合材料構成部品(3)の接触面(9)の面形状が、組立面(2)の面形状と実質的に一致する、第2の繊維複合材料構成部品(3)を成形用インサート(7)によって製造するステップと、
d)組立面(2)および接触面(9)の領域中で第1の繊維複合材料構成部品(1)を第2の繊維複合材料構成部品(3)に結合するステップとを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用の2つの繊維複合材料構成部品間の公差補償のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機用の従来の機体セルは、現在、アルミニウム合金から主に作られている。特に軽量化を達成するために、全体の機体セル構造およびさらに他の構造構成部品に対する、繊維複合材料構成部品、より具体的には炭素繊維プラスチック構成部品の割合が、絶えず増加している。
【0003】
繊維複合材料構成部品を製造するために、個々の繊維または繊維束および/または半仕上げ繊維製品が、組み合わされて所望の幾何的な型中に入れられる。強化繊維は、マトリックス系(いわゆるプリプレグ材料)を用いて、これによって既に含浸させることができる、または繊維は、その後のプロセス(導入プロセスまたは注入プロセス)で、マトリックス形成プラスチック材料を用いて含浸させる、つまり、強化繊維は、全側面をプラスチック・マトリックス中に取り囲まれることが好ましい。両プロセスは、閉じられるツール中で、または開かれた装置中で実施することができる。熱硬化性または熱軟化性プラスチック材料とすることができるマトリックス形成プラスチック材料の硬化後、完成した繊維複合材料構成部品が、型から取り出され、適用できる場合は機械的に再処理され、次いで取り付けられる。
【0004】
たとえば半仕上げ繊維製品の材料厚さの変動、敷設および積層プロセスの狂い、さらにその上、プロセス・パラメータの収縮の形態での違い、導入および注入圧力の変化、含浸温度の変動、一定でない硬化温度およびオートクレーブ圧力の変化などの製造公差が避けられない結果として、硬化した繊維複合材料は、金属構成部品と比較すると、形状的な変動を受ける。繊維複合材料構成部品について生じる公差の隔たりは、本質的に、使用される製造プロセス、使用される材料、ならびに構成部品の形状に依存する。
【0005】
それゆえ、たとえば、簡単な開かれた装置中で成形されるプリプレグ構成部品に関し、材料厚さの公差の偏差は、±10%まで起こり得る。繊維複合材料を用いて製造される、機体セルを裏打ちするための外板シェルの場合、外板厚さが、ドア切り出しの領域中で、たとえば10mmと想定され、その結果、材料厚さに関し、変動の隔たりが、±1mmまでになる。
【0006】
これとは対照的に、RTM法(いわゆる「樹脂転送成形(Resin Transfer Moulding)法または樹脂注入法」)を実施するために、閉じられる少なくとも二つ割りの成形型ツールを使用した場合、生じる公差隔たりは、かなり小さくなる。
【0007】
このRTM法による場合、適切な形状を有する強化繊維プリフォーム・ブランクは、適用できる場合はさらなる半仕上げ強化製品を加えて、好ましくは金属の成形型ツール中に配置し、次いでプラスチック材料、例として硬化可能なエポキシ樹脂を用いて含浸させる。次いで、真空を加えることによって、樹脂注入プロセスを加速させ、樹脂マトリックス中で気泡が形成されないように防止する。必要な場合、樹脂を、さらに圧力下で、型に加えることができる。圧力および/または温度を使用して繊維複合材料構成部品の硬化が完了した後に、仕上げられた繊維複合材料構成部品を成形型ツールから取り出すことができる。RTMプロセスで、または樹脂注入プロセスで作られた構成部品の外形は、一般に少なくとも二つ割りの金属(スチール)の成形型ツールによって、高精度で非常に良好な再現性を有して安定する。
【0008】
開かれた装置またはツールの場合、ツールに面する構成部品側は、ツールに対応した、比較的正確な面形状を確かに有する。しかし、これと反対側は、既に説明した誤差要因に基づき、かなりの形状の狂い、すなわち、具体的には、不確定な厚さ変動が生じる。この問題を克服するために、ツールに面する繊維複合材料構成部品の側は、全体の構造を組み立てるとき、一般に、組立面として、また外板面として使用される。
【0009】
しかし、小さな製造公差が繊維複合材料構成部品の両側で求められたとき、この解決策の可能性は、障壁に直面する。それは、具体的には、いくつかの繊維複合材料構成部品間をボルト接続で組み立てる場合である。例として、炭素繊維強化プラスチックの外板を備えた機体セル中の炭素繊維強化プラスチック(CFP)のリブの組立を挙げることができる。例として、その内部面上に複合材料構成部品が敷設された、または構築された中空シリンダが、CFP外板を製造するために使用される場合、その外板は、一般に、十分に滑らかな面形状を有し、その面形状は、型として使用される中空シリンダの内側面に対応し、高度の寸法精度を有する。しかし、取り付けられる炭素繊維強化プラスチックのリブに対する組立面を少なくともいくつかの領域中で表す、CFP外板の内部の領域中では、製作中に本質的にある、不可避の高さ変動が生じる。CFPリング・フレームをこの種のCFP機体セル中に取り付けるとき、±1mmの範囲内の公差偏差が、CFP外板の内側面とCFPリング・フレームの外側面の間に生じる可能性があり、そのリング・フレームは、一般的に、RTMプロセスによって高寸法精度で作られる。これらの寸法偏差は、組立ギャップを生じさせ、そのギャップは、機械的に十分な高強度の接続を保証するために、固体の、または流動体の硬化可能なスペーサ(「シム」)を用いて詰められる。CFPリング・フレームおよび/またはCFP機体外板の製造プロセスは、ある程度制御されて構造的な最小のギャップが生成され、それによって、各場合、大きすぎないように防止される。
【0010】
シムを取り付けることによって、一方では、重量が増加し、他方では、シムによって、ボルト接続中で疲労抵抗が減少する。さらに、シムの取り付けによって、組立コストがかなり増加する。というのは、ギャップを測り分ける必要があり、たとえばペースト・タイプのシムは、正確に定められた層厚さで局所的に配置し、次いで硬化させる必要があるからである。最後に、次いで、固定される構成部品が、取り付けられることになる。さらに、シムを用いたボルト接続の使用が許されない、機体セル構造中の領域が存在する。
【0011】
あるいは、例として、十分に密接した取り付けの精度を達成するために、組立面の領域中に取り付けられた構成部品を後で仕上げることが可能である。しかし、これは、強化繊維層および/またはマトリックス材料上の摩耗によって、構造的な弱さ、または構造特性の制御できない変化に繋がる恐れがあり、たとえ追加の層、いわゆる犠牲層が、この材料の損失を埋め合わせするために設けられたとしても、そうである。
【0012】
さらに、まだ硬化していない間に、固定される構成部品を取り付け位置に運び、次いでその構成部品を硬化だけさせることが考えられる。しかし、この手順に関する欠点は、達成することが可能な自動化程度が低い、したがって全体の処理費用が高いということである。というのは、組立位置での硬化は、たとえば、真空の袋の内部で行う必要があり、それは、取り付け現場で準備し密閉することが困難であるからである。
【0013】
従来技術では、DE 10 2006 041 653 A1から、繊維複合材料の第1の構成部品および熱軟化性マトリックスを用いた繊維複合材料のさらなる構成部品を有する複合構造が知られており、そして、第2の構成部品が、サポート領域およびサポート領域に対して横に配向された接続領域を有し、第2の構成部品が、接続領域によって第1の構成部品上に固定され、短い繊維で強化された材料の層が、接続領域と第1の構成部品の間に配置される、複合構造を製造するための方法も知られている。
【0014】
DE 602 07 191 T2から、事前形成された構造を有する複雑な構造部品が、製作中に生成される、3次元で織られ事前形成されたコネクタ部材を用いて構造構成を製作することが知られている。接着剤が、事前形成された構造と、まだ安定化していない、繊維プリフォームの間に施される。次いで、事前形成された構造と、まだ安定化していない、樹脂が含浸される3次元の織物繊維とが、より大きい複雑な構造を生成するために、熱および/または圧力によって、固定され結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】DE 10 2006 041 653 A1
【特許文献2】DE 602 07 191 T2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、互いに結合される繊維複合材料構成部品間の公差補償のための簡単化された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これは、次のステップを含む、請求項1の項目による方法によって達成される。
a)組立面が公差偏差を有する、第1の繊維複合材料構成部品を製造するステップと、
b)組立面の面形状から成形用インサートを製造するステップと、
c)第2の繊維複合材料構成部品の接触面の面形状が、組立面の面形状と実質的に一致する、第2の繊維複合材料構成部品を成形用インサートによって製造するステップと、
d)組立面および接触面の領域中で第1の繊維複合材料構成部品を第2の繊維複合材料構成部品に結合するステップとである。
【0018】
第1の方法ステップでは、例として、航空機の機体セルのCFP外板のシェル・セグメントとすることができる繊維複合材料構成部品が、従来の方法で作られる。これは、例として、中空の円筒形「メス」型、またはそのセグメント切り出しセクションの内側面上にプリプレグ材料を敷設することによって行うことができる。エポキシ樹脂マトリックスが硬化された後、走査が中間ステップで実施される、すなわち、たとえば、炭素繊維のプラスチック・リング・フレームを取り付けるために設けられた組立面が、測定によって技術的に解明される。
【0019】
第2の方法ステップでは、成形用インサートが、測定ユニットによって決定された、組立面の実際の面形状データに基づき作られ、次いで、その成形用インサートは、好ましくは少なくとも二つ割りの成形型ツール中に配置され、それは、第2の繊維複合材料構成部品を製造するように働く。第2の繊維複合材料構成部品は、たとえばCFPリング・フレームまたはそのセグメント・セクションとすることができ、それは、少なくとも二つ割りの閉じられる成形型ツール中で好ましくはRTM法によって、高製造精度で作られる。成形用インサートの製造は、例として、いずれもの考えられる従来の機械ユニット、例としてCNC制御フライス盤、放電加工機などによって引き受けることができる。しかし、成形用インサートの製造は、いわゆる「高速プロトタイピング」プロセスで実施されることが好ましく、そこでは、成形用インサートは、金属合金、セラミック混合物、プラスチック材料またはそのいずれもの組み合わせの連続的な積層積み上げおよび/または腐食によって作られる。その結果、成形用インサートの一方側は、組立面の実際の面形状に正確に一致する。
【0020】
第3の方法ステップでは、第2の構成部品の製造が、知られた方法で、好ましくはRTMプロセスによって、第2の方法ステップで得られた成形用インサートを使用して実施される。これによって、第2の構成部品の接触面が、理想的な場合、第1の構成部品の組立面と完全に一致する(相補的になる)ことに到達し、それによって、第4の方法ステップでは、第1の構成部品の組立面と第2の構成部品の接触面を実質的にギャップなしで結合することが、たとえばボルト接続によって可能になる。
【0021】
あるいは、精度の要求がより低い場合は特に、第2の構成部品の製造は、簡単な開かれた型または開かれたツール中で実施することができ、したがって、RTM法およびこれに必要な少なくとも二つ割りの閉じられる成形型ツールが、不要になる。
【0022】
この方法によって、2つの構成部品間に形成される、事実上ギャップなしの接続によって、継ぎ目において最適な機械的な支持強度が生成される。さらに、本方法は、高度に自動化することができ、したがって工業化生産プロセスに特に適する。
【0023】
本方法のさらなる展開から、組立面が、その面形状の測定データを決定するために、測定装置によって走査され、成形用インサートの測定データを使用して生成されることが提案される。
【0024】
測定装置は、非接触で動作するレーザ測定システムとすることができ、それは、第2の構成部品(x−y面)のためにもたらされる組立面の実際の面形状データを、高い分解能、精度および速度で、全面の延在部の全体にわたって計算することができることが好ましい。その結果、組立面の完全な垂直方向プロファイルが決定される。あるいは、測定は、機械的な測定装置によっても実施することができる。
【0025】
レーザ測定システムによって決定された測定データは、リアルタイムでデジタルの形で隣接した仕上げユニットに送られることが好ましく、そこでは、取り付けられる第2の構成部品のその後のRTM製造プロセスのための成形用インサートの製造が、組立面の実際の面形状の転送された測定データに基づき、実施される。
【0026】
本方法のさらなる有利な展開から、成形用インサートの製造が、測定データを使用して、モデル化装置、より具体的には高速プロトタイピング装置中で、金属合金、セラミック混合物、プラスチック材料またはそのいずれもの組み合わせによって実施されることが提案される。
【0027】
いわゆる高速プロトタイピング法の使用によって、測定装置によって決定された組立面の実際の面形状の測定データに基づく成形用インサートの製造が、もっとも短い時間内で、すなわち一般的な場合、1時間より明確に短い時間内で可能になる。この要因は、かなり重要である。というのは、固定される各構成部品に対して、各組立面が、これに特別に適合する成形用インサートを製作することができるために、新たに測り分けられる必要があるからである。構成部品が、例として、CFP機体セルの外板に接続されるCFPリング・フレーム・セグメントである場合、本発明による方法によって組立現場毎にリング・フレームをそれぞれ作ることが必要である、またはRTMプロセスのために、個々の成形用インサートを使用して、同時にそれを適合させることが必要である。成形用インサートは、高速プロトタイピング法の過程中に、いずれもの金属合金、より具体的には、アルミニウム合金材料、十分に固い耐熱性のプラスチック材料、セラミック材料、ある状況下では硬材でさえ、またはそのいずれもの組み合わせを用いて形成することができる。材料の選択は、特に重要ではない。というのは、それぞれの成形用インサートは、その使用が一度だけである可能性があり、したがってツール寿命が長い必要がないからである。
【0028】
RTM製造プロセスのために追加して使用される成形用インサートの結果として、第2の構成部品製作のために標準として設けられた強化繊維配置または使用される繊維プリフォーム・ブランクをわずかに修正することが必要になることがあり、それは、例として、追加の強化繊維および/または半仕上げ繊維製品によって行うことができる。
【0029】
繊維強化配置を適合させることがない進行も考えられる。開かれたツール中での第2の構成部品の製造の場合、十分な柔軟性がもたらされ、第2の構成部品は、一般に、繊維容積含有量の変動なしで、所与の組立面に適合させることができる。他方では、ツールが閉じられる場合(たとえば、RTMプロセスを実施するために)、1つまたは複数の柔軟な要素をツール中に設けて、形状が変化してさえ、定量繊維容積含有量を保証することが、恐らく必要になることがある。これらの柔軟な、または弾性のある要素は、たとえば、いわゆるAircast(登録商標)のモデル化または成形用材料を用いて形成することができ、例として、ストリップ状、多角形または円形、好ましくは平面的な形状を有することができる。あるいは、ストランド状の要素をその中に埋め込むこともできる。Aircast(登録商標)の成形用材料を用いて作られた構成部品または要素は、たとえばゴムまたはシリコンなどのエラストマに匹敵する変形特性を有する。
【0030】
本方法のさらなる展開から、成形用インサートの製造が、鋳型材料によって得られた、組立面の鋳型を使用して実施されることが提案される。
【0031】
この変形実施形態の場合、高価な測定装置、より具体的にはレーザ測定システムの使用が回避される。しかし、さらなる中間ステップでの鋳型の使用は、組立面の面形状のポジティブ鋳型を最初に作る必要があり、次いで、それは、取り付けられる第2の構成部品を製造し適合させるためのその後のRTMプロセス中で使用される成形型ツールのための成形用インサートとして使用される。基本的に、鋳型の十分な精密な精度を保証する、いずれもの急速に硬化する材料を鋳型材料として使用することができる。
【0032】
本方法のさらなる有利な展開は、さらなる次の図面の説明で与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】手順を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
示した実施形態では、シェルまたはCFP機体セルの外板のセグメントである第1の繊維複合材料構成部品1が、第2の構成部品3を組み立てるための組立面2を有する。第2の繊維複合材料構成部品は、CFPリング・フレーム・セグメントであり、それは、より多い数で、いわゆるRTMプロセスによって高い寸法精度を有して作られる。CFP機体セルの外板およびCFPリング・フレーム・セグメントの両方は、エポキシ樹脂系によって含浸された炭素繊維強化繊維配置を用いて、それぞれ形成される。
【0035】
第1の方法ステップでは、最初に、組立面2の実際の面形状が、測定装置4によって走査され、それは、非接触で動作する高速のレーザ測定システムであることが好ましい。非接触で動作するレーザ測定システムの代わりに、代替えとして、純粋に機械的に動作する走査システムを使用することも可能である。測定装置4によって決定された、組立面2の実際の面形状の測定データが、デジタルで、リアルタイムでデータ・ライン6によって、従来のモデル化装置5、より具体的にはいわゆる「高速プロトタイピング装置」に送られる。
【0036】
モデル化装置5では、第2の方法ステップの過程中、成形用インサート7が、1時間より短い時間内で、組立面2の実際の面形状の測定データに基づき、積層または連続腐食および/または材料追加によって構築される。これによって、成形用インサート面8が、第1の繊維複合材料構成部品の組立面2と正確に同じ面形状を有する。さらに、成形用インサート面8は、高い精度で、第2の繊維複合材料構成部品3の後述の接触面9に一致し、その第2の繊維複合材料構成部品3は、その後、RTM製造プロセスで製作され、例としてCFPリング・フレームとすることができる。
【0037】
第3の方法ステップでは、そのように製作された成形用インサート7は、成形型ツール10中に配置され、それは、例示の実施形態では、上部ツール11および下部ツール12の2つの部品を備える。第2の繊維複合材料構成部品のための適切な幾何的形状を有する繊維プリフォーム・ブランクをそこに挿入した後、二つ割りの成形型ツール10中で、硬化可能なプラスチック材料を用いた、例として硬化可能なエポキシ樹脂を用いた繊維プリフォーム・ブランクの含浸が、同時に圧力および温度を加えながら好ましくはRTMプロセスによって続いて行われる。いったん完全に硬化されると、第2の繊維複合材料構成部品3は、反対側に向けられた白色矢印の方向に上部ツール11および下部ツール12を取り外し、成形用インサート7を切り放すことによって型から取り外すことができる。前述の手順の結果、第2の繊維複合材料構成部品3の接触面9は、第1の繊維複合材料構成部品1の組立面2と正確に同じ面形状を有する。第4の最後の方法ステップでは、2つの繊維複合材料構成部品1、3またはCFPリング・フレーム・セグメントとCFP機体セルの外板のセグメントのそれぞれが最終的に互いに結合される。
【0038】
本発明による方法は、組立面2または接触面9の領域中でそれぞれ2つの繊維複合材料構成部品1、3のギャップなしの接続を保証する。というのは、理想的な場合、事実上完全な「形状係合」が2つの前記面間で生成されるからである。これによって、極めて高い強度値を有し、同時に良好な疲労抵抗を有するボルト接続が、2つの繊維複合材料構成部品1、3間で可能になり、それは、接続される2つの繊維複合材料構成部品間の接触面および組立面が、それほど正確に一致しない場合、別の方法では得られないはずである。組立面2の領域中の第1の繊維複合材料構成部品の不可避の製造公差は、本発明による方法によって完全に補償することができる。
【0039】
したがって、例として、述べる実施形態では、CFP機体セルの外板(CFP外板シェル)を表す第1の繊維複合材料構成部品1をいわゆる「メス」成形型ツール上で、硬化可能なプリプレグ材料を内側面上に層の型で配置することによって製造することが考えられ、したがって、シェル状のCFP機体セルの外板の外側面が、成形型ツールにおける定められた接触の結果、十分に高い寸法精度を確かに有し、その寸法精度は、また、工業製造プロセスで適切に再現することができるが、しかし、組立面の領域中の内側面は、製作中に本来ある、理想的な面形状(たとえば、幾何的に完全無欠なシリンダ・ジャケットの内側面)からのかなりの高さおよび厚さの偏差を受けるが、しかし、それは、本発明による方法によって事実上完全に補償することができ、したがって具体的には、ボルト接続および/またはリベット接続および/または接着剤接続が、2つの繊維複合材料構成部品1、2間で可能になる。それゆえ、実施形態では、ここでは、CFPリング・フレーム・セグメントである第2の繊維複合材料構成部品3は、理想的な形でCFP機体セルの外板に結合することができる。
【0040】
本発明による方法を実施するための製作装置は、少なくとも1つの適切な、具体的には十分に正確で高速の測定装置4、ならびに成形用インサート7を高速で生成するためのモデル化装置5を有する。さらに、製作装置は、少なくとも二つ割りの成形型ツール10を有する、従来のRTM製作プロセスのための装置、さらにその上、工業規模で完全に自動的に進行することが好ましい方法を制御するための広範囲にわたる制御および調節ユニット(図示せず)を有する。
【符号の説明】
【0041】
1 第1の繊維複合材料構成部品
2 組立面
3 第2の繊維複合材料構成部品
4 測定装置
5 モデル化装置
6 データ・ライン
7 成形用インサート
8 成形用インサート面
9 接触面(第2の繊維複合材料構成部品)
10 成形型ツール(RTMプロセス)
11 上部ツール
12 下部ツール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用の2つの繊維複合材料構成部品(1、3)間の公差補償のための方法であって、
a)組立面(2)が公差偏差を有することができる、第1の繊維複合材料構成部品(1)を製造するステップと、
b)前記組立面(2)の面形状から成形用インサート(7)を製造するステップと、
c)第2の繊維複合材料構成部品(3)の接触面(9)の面形状が、前記組立面(2)の前記面形状と実質的に一致する、前記第2の繊維複合材料構成部品(3)を前記成形用インサート(7)によって製造するステップと、
d)前記組立面(2)および接触面(9)の領域中で前記第1の繊維複合材料構成部品(1)を前記第2の繊維複合材料構成部品(3)に結合するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記組立面(2)は、前記組立面(2)の前記面形状の測定データを決定するために、測定装置(4)によって走査され、
前記成形用インサート(7)は、前記測定データを使用して作られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成形用インサート(7)の製造は、前記測定データを使用してモデル化装置(5)、より具体的には高速プロトタイピング装置で、金属合金、セラミック混合物、プラスチック材料またはそのいずれもの組み合わせによって実施されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記成形用インサート(7)の製造は、前記組立面(2)から鋳型材料によって得られた鋳型を使用して実施されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記組立面(2)の走査は、機械的に、または非接触で実施されることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の繊維複合材料構成部品(3)の製造は、閉じられる成形型ツール(10)中で前記成形用インサート(7)を用いて実施されることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の方法。
【請求項7】
前記繊維複合材料構成部品(1、3)は、繊維強化熱硬化性プラスチック材料を用いて、より具体的には炭素繊維強化エポキシ樹脂を用いて形成されることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の繊維複合材料構成部品(3)を製造するために、少なくとも1つの弾性のある要素が、定量繊維容積割合を維持するために、前記閉じられる成形型ツール(10)中に配置されることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の方法。


【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−516295(P2011−516295A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548056(P2010−548056)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051229
【国際公開番号】WO2009/109441
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(509203120)エアバス オペラツィオンス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (67)
【Fターム(参考)】