説明

2個のエバポレータを備える空調設備用の膨張モジュール

【課題】超臨界冷却流体が流れる空調回路用の膨張モジュールを提供する。
【解決手段】このモジュールは、1個の入力と2個の出力とにより空調回路に接続される。モジュールは、膨張装置(120)と、前記膨張装置および2個の出力に接続される分配バルブ(16)とを含む。このような膨張モジュールを用いた2個のエバポレータを備える回路を提案する。2個のエバポレータ(131、132)は、並列接続されている。モジュールは、ガスクーラーからの流体を入力で受容し、出力で2個のエバポレータ(131、132)の少なくとも一方に流体を送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用の、2個のエバポレータを備える空調設備で使用される膨張モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
このような設備は、一般に、単一のエバポレータを使うだけでは、車室内の循環空気を冷却するのに十分でない大型車両に設けられている。
【0003】
一般に、エバポレータの一方は、車両の前方に配置され、エバポレータの他方は、後方に配置される。その場合、2個のエバポレータは、空調された空気流を、車両の車室内に供給するように結合される。
【0004】
一般に、このような設備は、低圧冷却流体(臨界未満モードの動作)、例えば流体R134Aを用いる。しかし、この設備は、二酸化炭素(R744)等の高圧冷却流体(超臨界モードの動作)には適しない。
【0005】
特許文献1は、超臨界冷却流体が流れる空調回路を提案している。この回路は、並列接続された2個のエバポレータを備えている。エバポレータの上流にある各分岐線には、減圧バルブが取り付けられている。2個の減圧バルブは、ガスクーラーから出る冷却流体を受容する。バルブは、ガスクーラーから出た流体を、この流体の温度によって決まる圧力で、ガスクーラーの出力に導いてから、エバポレータに送るように構成されている。
【0006】
従って、この文献は、超臨界流体の使用に適する2個のエバポレータを備える空調設備を提案している。しかし、この提案された設備は、多数の管と接続線とを介在させるので、二酸化炭素等のガスによる超臨界モードでの動作の結果、圧力が非常に高くなり、たとえば約140バールとなるので、漏れのリスクが高くなる。しかも、エバポレータが備える2個の分岐線の構造は複雑である。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6092379号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、超臨界冷却流体の空調回路用の膨張モジュールを提案することにより、上記の状況を改善するものである。膨張モジュールは、1個の入力と2個の出力とにより、空調回路に接続される。膨張モジュールは、膨張装置と、この膨張装置および2個の出力に接続される分配バルブとを備えている。
【0009】
膨張装置と分配バルブとは、互いに組み立てて、単位モジュールとされる。
【0010】
膨張装置および分配バルブは、共通ブロックに嵌合して、単位アセンブリを形成し、共通ブロックは、前記入力と出力とを有する。
【0011】
膨張モジュールは、超過圧バルブを備えている。
【0012】
超過圧バルブは、膨張装置と、分配バルブとの間に配置されている。
【0013】
分配バルブは、3ポートバルブである。
【0014】
本発明は、さらに、超臨界冷却流体が流れるエバポレータ車両用の空調回路に関し、この回路は、コンプレッサと、ガスクーラーと、並列接続された少なくとも2個のエバポレータとを備えている。空調回路は、上記のような膨張モジュールを有し、このモジュールは、ガスクーラーからの流体を、前記入力で受容し、前記出力で、2個のエバポレータの少なくとも一方に送る。
【0015】
空調回路は、さらに、エバポレータをコンプレッサに接続する分岐線の部分と、ガスクーラーを膨張モジュールに接続する分岐線の部分との間で熱交換できるようになっている内部熱交換器を備えている。
【0016】
また本発明は、上記のような空調回路を備える空調設備にも関する。この設備は、膨張モジュールの分配バルブを制御するように取り付けられた制御ユニットを備えている。
【0017】
次に、本発明の空調設備における任意選択による補完的または代替的な特徴を挙げる。
−2個のエバポレータの作動制御下で、制御ユニットは、少なくとも一方のエバポレータの蒸発温度に応じて、分配バルブ制御信号を供給するように選択された調節法則に従って、分配バルブを制御可能である。
−制御ユニットは、エバポレータの蒸発温度を使用可能であり、その目標値が、分配バルブを制御するための調節パラメータとして最大である。
−制御ユニットは、分配バルブを制御するための調節パラメータとして、2個のエバポレータの蒸発温度の差を使用可能である。
−空調回路は、第1のエバポレータの蒸発温度と、第2のエバポレータの蒸発温度とを、それぞれ測定可能な2個の温度センサを備えている。
−制御ユニットは、分配バルブを制御するための調節パラメータとして、第1のエバポレータの蒸発温度と、第2のエバポレータの蒸発温度推定値との差を使用可能である。
−制御ユニットは、エバポレータの熱係数と、第2のエバポレータの出力における流体の圧力と、第2のエバポレータの下流にある空気流の温度とから、第2のエバポレータの蒸発温度の推定値を計算可能である。
−設備は、第1のエバポレータの蒸発温度を測定するために、第1のエバポレータの位置に配置された温度センサを備えている。
−各温度センサは、結合されるエバポレータの過熱領域に、または結合されるエバポレータを通る空気流に配置されている。
−調節法則は、調節パラメータの測定値と目標値との偏差に応じて、分配バルブの制御信号を供給する閉ループ制御であり、特に、比例微積分制御である。
−単1エバポレータの使用制御下で、制御ユニットは、使用するエバポレータに向かって、冷却流体のほぼ全体を送るように、分配バルブの開放を制御可能である。
−制御ユニットは、さらに、少なくとも一方のエバポレータの蒸発温度に関する調節パラメータに応じてコンプレッサの制御信号を供給するように選択された調節法則に従って、コンプレッサを制御可能である。
−制御ユニットは、エバポレータの蒸発温度を使用可能であり、その蒸発温度目標値は、コンプレッサを制御するための調節パラメータとして最小である。
−コンプレッサは、外部制御式であり、シリンダ容積は可変である。
−第1のエバポレータは、車両の前方空調区画に配置され、第2のエバポレータは、車両の後方空調区画に配置されている。
【0018】
本発明は、また、上記の空調回路の制御方法に関し、この方法は、
a)乗員の冷房要求に応じて、2個のエバポレータを使用すべきか否かを決定するステップと、
b)2個のエバポレータを使用するべきである場合、少なくとも一方のエバポレータの蒸発温度を、調節パラメータとして用い、選択された調節法則に従って、分配バルブを制御するステップを有する。
【0019】
本発明の他の特徴および長所は、後述する詳細な説明と、添付図面との検討から明らかになると思う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
最初に、本発明による空調回路10を示す図1を参照する。
【0021】
空調回路10には、CO2タイプの冷却流体(R744)が流れている。空調回路10は、
−圧力P0でガス状態にある流体を受容し、所定の圧力P1まで圧縮するコンプレッサ14と、
−コンプレッサによりほぼ一定の圧力に圧縮されるガスを冷却するガスクーラー11と、
−ガスクーラー11から出た流体の圧力を下げて、少なくとも一部を、液体状態にする膨張モジュール12と、
−膨張モジュールから送られる液体状の流体を、ほぼ一定の圧力でガス状態に移行させることにより、空調された空気流を発生させ、これを、車両の車室に送る2個のエバポレータ131、132とを備えている。第1のエバポレータ131は、車室の前方に配置され、第2のエバポレータ132は、車室の後方に配置されている。
【0022】
空調回路は、さらに、膨張モジュール12に向かうガスクーラー11の循環流体が、コンプレッサ14に向かうエバポレータ131、132の循環流体に熱を譲ることができる内部熱交換器9を備えている。
【0023】
エバポレータ131、132の出力と、コンプレッサ14の入力との間には、液体の衝撃を回避するために、アキュムレータ17(図4)を設けることがある。
【0024】
ガスクーラー11は、外部空気流を受容して、車室内で取り出した熱を排出する。ガスクーラーは、一定の動作条件下で、電動換気装置により作動される。
【0025】
エバポレータ131、132は、外部空気流により供給される送風装置から空気流を受容し、空調された空気流を発生する。
【0026】
第1のエバポレータ131は、特に、車両前方の空調区画に配置され、空調設備により、主要エバポレータとして使用される。第2のエバポレータ132は、車両後方の空調区画に配置され、いわば2次的な空調設備内で、補助エバポレータとして使用される。
【0027】
超臨界サイクルで動作する空調回路では、超臨界冷却流体は、ガスクーラー11で熱交換した空気により冷却されるが、熱交換は、コンデンサ内で循環する臨界未満の流体に対して行われるように、等温では行われない。
【0028】
より詳しくは、超臨界冷却流体は、気相で圧縮され、コンプレッサ14により高圧にされる。その後、ガスクーラー11が、入ってくる空気流により、冷却流体を冷却する。臨界未満のモードで動作する空調回路とは異なり、圧縮後に流体を冷却しても、相は変化しない。流体が液体状態に移行するのは、膨張中だけである。
【0029】
このように、超臨界サイクルで動作する空調設備では、膨張モジュールが、臨界未満のモードの設備による従来型の膨張機能以外の機能を果たす。すなわち、流体の高圧制御を行うので、設備の冷却能力、ならびに効率を最適化することができる。こうした特別な機能には、膨張モジュールの適切な構造と、エバポレータへの流体の分配調節と、空調設備の可変流量部品とが必要である。
【0030】
図2は、本発明の膨張モジュール12を詳しく示す図である。
【0031】
膨張モジュールは、入力E1と出力S1、S2とにより、上記の空調回路10に組み込まれる。入力E1は、ガスクーラー11からの冷却流体を受容する。膨張モジュール12を通過後、冷却流体は、出力S1、S2から、それぞれエバポレータ131、132の方向に、膨張モジュールを出ることができる。
【0032】
膨張モジュール12は、膨張装置120と、この膨張装置120および2個の出力S1、S2に接続される分配バルブ16とを備えた分岐線を有する。膨張装置120と分配バルブ16とは、このように直列接続されている。分配バルブ16は、膨張装置12から出た流体をエバポレータに供給する3ポートバルブである。
【0033】
分配バルブ16により、冷房要求に応じて、2個のエバポレータ131、132の各々に送る流体の割合を調節できる。さらに、分配バルブは、必要に応じて、単一のエバポレータ131を動作させたり、2個のエバポレータ131、132を動作させたりすることができる。
【0034】
膨張モジュール12は、また、エバポレータを保護するための超過圧バルブ15を備えることができ、超過圧力は、空調回路の外部に送られる。超過圧バルブは、膨張装置120と分配バルブ16との間に配置されている。
【0035】
膨張装置120は、高圧を最適化させながら、この装置を通過する冷却流体CO2を膨張させる。膨張装置は、機械式でも、電気式でもよい。
【0036】
膨張装置120および分配バルブ16を、単一モジュールに組み込んで、設備のコストを削減することもできる。従って、これらを互いに組み立てて、単位モジュールを形成することも可能である。変形実施形態では、単位アセンブリを形成するように、これらを共通ブロックに嵌合可能である。その場合、共通ブロックは、入力E1と、出力S1およびS2を有する。
【0037】
次に、本発明による空調設備2の全体図である図3を参照する。
【0038】
空調設備2には、本発明の膨張モジュール12を備える空調回路10が設けられている。
【0039】
空調設備2は、制御ユニット42と車室調節装置41とを備えている。制御ユニット42は、空調設備の可変流量部品の制御信号を決定し、冷却力を最適化する。
【0040】
制御ユニット42は、空調設備の構成部品を調整する空調部品調節装置420と、センサから送られる情報に応じて空調回路10の外部制御部品の制御信号を計算する計算機421とからなる。分配バルブ16とコンプレッサは、コンプレッサが制御バルブを備えている場合に、たとえば、このような外部制御部品を構成する。制御ユニット42は、さらに、たとえばコンプレッサの制御バルブ等のアクチュエータ43と相互に作用する。これらのアクチュエータは、計算された制御信号を、外部制御部品に付与する。
【0041】
車室調節装置41は、エバポレータ131、132の入力に送られる空気の温度目標値を決めるように構成され、エバポレータ131、132の設定温度を供給する。
【0042】
提案された空調設備は、2個のエバポレータ131、132の使用と相容れる超臨界サイクルに従って、空調回路10を動作可能にするように構成されている。そのため、この空調設備は、特に、冷却流体の膨張だけでなく、冷却流体の流量を最適化可能な膨張モジュール12を用いている。さらに、この設備は、エバポレータを厳密に制御し、特に、エバポレータの蒸発温度を制御して、車両の乗員の要求にこたえる冷却力に達するように構成されている。
【0043】
本発明の設備は、
−2個のエバポレータ131、132のうちの1つだけを作動させる第1のモード
−2個のエバポレータ131、132を同時に作動させる第2のモード
の2つのモードで動作可能である。
【0044】
2個のエバポレータを作動するモードでは、制御ユニット42が、調節パラメータに応じて、分配バルブ16を制御するために選択された調節法則を実施し、従って、2個のエバポレータ131、132の間の膨張装置120から出る冷却流体の分配を行う。分配バルブ16のこうした調節は、空調のCOP性能係数を最適化するように実施される。
【0045】
制御ユニット42は、使用する分配バルブの調節パラメータを予め決めておく。調節パラメータは、少なくとも一方のエバポレータ131、132の蒸発温度Te1またはTe2に関する。
【0046】
このようにして、調節法則により、少なくとも一方のエバポレータの蒸発温度に応じて、分配バルブから、第1のエバポレータまたは第2のエバポレータに送られる流体の流量を調節することができる。
【0047】
分配バルブ16を調節するために、本発明の制御ユニットは、また、エバポレータ131、132の蒸発温度目標値を考慮して、ユーザが必要とする冷却力を提供することができる。これらの温度目標値は、たとえば車両の前方および後方で、乗員の冷房の要求を示す値である。
【0048】
調節法則は、たとえば閉ループの調節法則とすることができる。
【0049】
従来の閉ループの調節法則は、たとえば、PID比例微積分調節であり、所定の調節パラメータの測定値Mと目標値Cとの偏差から、可変流量外部制御部品の制御信号S制御を供給し、調節パラメータの測定値Mと目標値Cとの偏差がゼロになるまで、部品に制御信号を付与する。添付Aの等式A1に、PIDタイプの調節の特徴を示した。この等式から、調節パラメータの測定値Mと目標値Cとに応じて、考慮された外部制御部品の制御信号S制御が得られる。
【0050】
本発明の範囲では、このような閉鎖ループの調節法則を適用される制御ユニットにより、分配バルブ16を制御することができる。
【0051】
閉ループの調節法則は、少なくとも1つのエバポレータ131、132の蒸発温度に関するパラメータの測定値Mと、目標値Cとの偏差に応じて、分配バルブ16の制御信号を供給する。
【0052】
使用すべき調節パラメータを決定後、制御ユニット42は、調節パラメータの測定値Mと目標値Cとを受信する。次いで、制御ユニットの空調部品調節装置420は、調節パラメータの測定値Mと目標値Cとの偏差がゼロに近くなるまで、PID調節を実施する。制御信号は、等式A1のタイプの等式により、計算機421によって計算され、次いで、アクチュエータ43により、外部制御部品に付与される。
【0053】
補足的に、コンプレッサ14が外部制御式の可変流量のコンプレッサである場合、制御ユニット42は、同様に、少なくとも一方のエバポレータ131、または132の蒸発温度Te1またはTe2に関する調節パラメータを用いた調節法則に従って、コンプレッサを制御するように構成されている。このようにして、調節法則は、少なくとも一方のエバポレータの蒸発温度Te1またはTe2に応じて、コンプレッサの制御信号を供給する。調節法則は、また、少なくとも一方のエバポレータ131、132の蒸発温度の目標値を考慮することができる。
【0054】
また調節法則は、調節パラメータの測定値Mと目標値Cとの偏差に応じて、コンプレッサの制御信号を供給する閉ループの調節法則とすることができる。このような閉じた調節法則は、たとえば、PID比例微積分調節とすることができる。
【0055】
外部制御式のコンプレッサは、アクチュエータ43が付与する制御信号に応じて、強度Ivが変化する制御バルブを備えている。本発明によるコンプレッサ14の制御により、空調回路の冷却力を最適化することができる。
【0056】
本発明は、たとえばクラッチを備える内部制御コンプレッサ等の他のタイプのコンプレッサにも適用できるが、以下の説明では、コンプレッサ14は、限定的ではなく例として外部制御式でシリンダ容積が可変のコンプレッサであるものとする。
【0057】
空調回路10は、2個の温度センサを備えることができる。第1の温度センサ1310は、第1のエバポレータ131に配置されて、蒸発温度Te1を測定し、第2の温度センサ1320は、第2のエバポレータ132に配置されて、蒸発温度Te2を測定する。
【0058】
変形実施形態では、第1のエバポレータ131の位置に、単独センサ1310を設けて、蒸発温度Te1を測定可能である。
【0059】
センサの数は、分配バルブ、またはコンプレッサを調節するために決定される調節パラメータに依存する。
【0060】
各センサ1310(または1320)は、結合されるエバポレータ131(または132)の蒸発温度Te1(またはTe2)を供給する。センサは、結合されるエバポレータ131(または132)の後方にある過熱領域に、または、エバポレータを通過する空気流内に配置可能である。センサが供給する測定値により、エバポレータの充填レベルについての情報が得られる。
【0061】
以下の説明では、使用される調節法則が、限定的ではなく、例として、閉ループの調節法則であるものとする。
【0062】
以下、図5Aと図5Bを参照しながら、分配バルブ16とコンプレッサ14との制御方法について説明する。
【0063】
図5Aは、空調回路10が、エバポレータ131、132の蒸発温度Te1、Te2をそれぞれ測定する2個のセンサ1310、1320を装備している場合に、分配バルブ16とコンプレッサ14との制御ステップを示すフローチャートである。
【0064】
図5Bは、空調回路10が、エバポレータ131の蒸発温度Te1を測定する単一センサ1310を備えている場合に、分配バルブ16とコンプレッサ14との制御ステップを示すフローチャートである。
【0065】
最初に図5Aを参照する。空調回路10は、2個のセンサ1310、1320を備えている。
【0066】
ステップ100で、制御ユニット42は、2個のエバポレータを使用すべきかどうか決定する。2個のエバポレータ131、132の一方を使用するか、両方を使用するかは、乗員が車室の制御パネルに指示する温度制御によって決まる。たとえば、制御パネルで、車室後方の温度を下げることが求められた場合、第2のエバポレータを使用する。この例では、コンプレッサの容量または、車室の後方領域専用の第2のエバポレータ132に向かう冷却流体の流量を増加させなければならない。
【0067】
2個のエバポレータを使用すべき場合には、ステップ102で、車室調節装置41が、それぞれエバポレータ131および132の蒸発温度の目標値Te1目標とTe2目標とを、計算機421に供給する。
【0068】
ステップ103では、計算機421が、第1のエバポレータ131の蒸発温度目標値Te1目標と、第2のエバポレータ132の蒸発温度目標値Te2目標とで、小さい方の値に対応する最小目標値Te目標を決定する。
【0069】
ステップ104で、最小目標値Te目標が、第1のエバポレータの蒸発温度目標値Te1目標であると決定された場合、ステップ105では、制御ユニット42は、コンプレッサ14を調節するための調節パラメータとして、第1のエバポレータの蒸発温度Te1を使用する。第1のエバポレータ131の蒸発温度測定値Te1測定は、センサ1310により、計算機421に供給される。
【0070】
たとえば、調節法則が閉ループの調節法則である場合、コンプレッサの制御バルブの制御信号S制御は、A1と同様の式により計算されて、第1のエバポレータの蒸発温度の測定値Te1測定と目標値Te1目標との偏差に応じて、コンプレッサ14に付与される。
【0071】
それに対して、ステップ104で、最小目標値Te目標が第2のエバポレータの蒸発温度目標値Te2目標であると決定された場合、制御ユニット42は、ステップ107で、コンプレッサ14を調節するための調節パラメータとして、第2のエバポレータの蒸発温度Te2を使用する。第2のエバポレータ132の蒸発温度の測定値Te2測定は、第2のセンサ1320により供給される。
【0072】
たとえば、調節法則が閉ループの法則である場合、コンプレッサの制御バルブの制御信号S制御は、第2のエバポレータの蒸発温度の測定値Te2測定と目標値Te2目標との偏差に応じて、A1と同様の式により計算される。
【0073】
次に、分配バルブ16の調節について説明する。
【0074】
ステップ108で、最小目標値Te目標が、第1のエバポレータの蒸発温度目標値Te1目標であると決定された場合、制御ユニットは、ステップ109で、分配バルブ16を調節するための調節パラメータとして、第2のエバポレータの蒸発温度Te2を使用する。第2のエバポレータ132の蒸発温度の測定値Te2測定は、第2のセンサ1320により供給される。
【0075】
たとえば、調節法則が閉ループの法則である場合、コンプレッサの制御バルブの制御信号S制御は、第2のエバポレータの蒸発温度の測定値Te2測定と目標値Te2目標との偏差に応じて、等式A1により計算される。
【0076】
ステップ108で、最小目標値Te目標が、第1のエバポレータの蒸発温度目標値Te1目標であると決定された場合、制御ユニット42は、変形実施形態において、ステップ1090で、第2のエバポレータの蒸発温度Te2と、第1のエバポレータの蒸発温度Te1との差{Te2−Te1}を、分配バルブ16を制御するための調節パラメータとして使用可能である。第1のエバポレータ131の蒸発温度の測定値Te1測定と、第2のエバポレータ132の蒸発温度の測定値Te2測定とは、それぞれ、センサ1310、1320により供給される。
【0077】
従って、閉ループの調節法則の例では、コンプレッサの制御バルブの制御信号S制御が、測定値{Te2測定-Te1測定}と、少なくとも一方のエバポレータ131、132の蒸発温度目標値Te1目標、Te2目標に関する一定の目標値との偏差に応じて、A1と同様の式により計算される。
【0078】
それに対して、ステップ108で、最小目標値Te目標が、第2のエバポレータの蒸発温度目標値Te2目標であると決定された場合、ステップ110で、制御ユニット42は、分配バルブ16を制御するための調節パラメータとして、第1のエバポレータの蒸発温度Te1を使用する。第1のエバポレータ131の蒸発温度の測定値Te1測定は、センサ1310により、計算機421に供給される。
【0079】
変形実施形態では、ステップ1100で、制御ユニット42が、同様に、2個のエバポレータの蒸発温度の差{Te1−Te2}を、分配バルブ16を制御するための調節パラメータとして使用可能である。第1のエバポレータ131と第2のエバポレータ132の蒸発温度測定値Te1測定とTe2測定とは、センサ1310、1320からそれぞれ供給される。
【0080】
たとえば、閉ループの調節法則の場合、分配バルブの制御信号S制御は、第一のエバポレータの蒸発温度の測定値Te1測定と目標値Te1目標との偏差に応じて(ステップ110)、あるいは変形実施形態では、測定値{Te1測定-Te2測定}と、少なくとも一方のエバポレータ131、132の蒸発温度目標値Te1目標、Te2目標に関する一定の目標値との偏差に応じて(ステップ1110)、A1と同様の式により計算される。
【0081】
次に、単一エバポレータの動作モードの場合、たとえば、車両の前方または後方だけから、冷房要求がある場合について説明する。
【0082】
より詳しくは、ステップ100で、単一エバポレータ、たとえば第1のエバポレータ131を使用すべきであると決定された場合、制御ユニットは、ステップ112で、コンプレッサ14を調節するための調節パラメータとして、このエバポレータの蒸発温度を用いる。蒸発温度の測定は、エバポレータに結合されるセンサ、たとえばセンサ1310から供給される。
【0083】
さらに、単一エバポレータ、たとえば第1のエバポレータ131を使用すべきである場合、制御ユニット42は、ステップ114で、使用するエバポレータ、ここでは第1のエバポレータ131にのみ流体を送るように分配バルブ16を調節する。
【0084】
次に、図5Bを参照する。この実施形態では、空調回路10が、単一の温度センサ、特に、主要エバポレータ131のセンサ1310だけを含んでいる。以下の説明では、このセンサ1310を使用する。
【0085】
この実施形態では、制御ユニット42が、センサを備えた主要エバポレータ、ここではエバポレータ131の充填を最適化するように、分配バルブ16を調節する。その場合、他方のエバポレータ132は、残っている冷却流体で充填される。
【0086】
次に、図5Bを参照しながら、分配バルブ16とコンプレッサ14との制御方法について説明する。
【0087】
ステップ200で、制御ユニット42は、2個のエバポレータを使用すべきかどうか決定する。乗員が車両の前方、または車両の後方だけの冷房を要求した場合、単一のエバポレータ131または132だけが用いられる。乗員が、車両の前方および後方の冷房を要求した場合は、2個のエバポレータ131、132が用いられる。
【0088】
2個のエバポレータを使用が必要な場合、制御ユニット42は、ステップ202で、第1のエバポレータの蒸発温度Te1を、コンプレッサ14を制御するための調節パラメータとして使用する。制御ユニット42における第1のエバポレータ131の蒸発温度Te1測定の測定値は、主要エバポレータ131に配置されているセンサ1310から供給される。
【0089】
たとえば、調節法則は、式A1が示すPID調節のように閉ループである。その場合、コンプレッサの制御バルブの制御信号S制御は、第1のエバポレータ蒸発温度の測定値Te1測定と、温度目標値Te目標との偏差に応じて計算される。車室調節装置41は、補完的に、エバポレータ131および132のそれぞれの蒸発温度の目標値Te1目標とTe2目標とを、制御ユニット42に供給可能である。その場合、温度目標値Te目標は、第1のエバポレータ131の蒸発温度目標値Te1目標と、第2のエバポレータ132の蒸発温度目標値Te2目標との小さい方の値とすることができる。
【0090】
後席の乗員だけが冷房を要求する場合、コンプレッサの調節手段は、後述するように決定される温度Te2推定を用いる。
【0091】
次に、分配バルブの調節について説明する。
【0092】
ステップ204で、計算機421は、添付Aの式A2に従って、
−第2のエバポレータの熱係数Keffと、
−第2のエバポレータ132の出力における冷却流体の圧力推定値P出力-132と、
−第2のエバポレータ132の上流における空気流の温度T上流空気とから、
第2のエバポレータの蒸発温度推定値Te2推定を計算する。
【0093】
第2のエバポレータの熱係数Keffは、第2のエバポレータ132の送風装置の電圧U送風-132と、車両の前進速度Vaと、最小目標値Te目標とから計算可能である。
【0094】
第2のエバポレータ132の出力における冷却流体の圧力P出力-132は、コンプレッサ14の吸入圧P吸入から推定可能である。
【0095】
第2のエバポレータの上流空気流の温度T上流空気を、推定または測定することが可能である。
【0096】
ステップ206では、制御ユニット42が、第2のエバポレータの推定蒸発温度Te2推定と、第1のエバポレータの蒸発温度Te1との差{Te2推定−Te1}を、分配バルブを制御するための調節パラメータとして使用する。第1のエバポレータ131の蒸発温度の測定値Te1測定は、センサ1310から供給される。
【0097】
第2のエバポレータの推定蒸発温度Te2推定と、第1のエバポレータの蒸発温度Te1との差{Te2推定−Te1}による分配バルブの制御によって、2個のエバポレータの流量の均衡をとることができ、特に、第2のエバポレータにおける過熱を回避できる。温度差が所定の閾値を越えた場合、分配バルブは、第2のエバポレータに送る流量を多くして修正を行う。この流量修正が、第1のエバポレータの温度に与える影響が大きすぎる場合、コンプレッサが、供給量を多くして、中継を行う。
【0098】
ステップ200で、単一のエバポレータの使用が必要であると決定された場合、たとえば、乗員が車両の前方または後方だけの冷房を要求した場合、ステップ208で、分配バルブ16は、使用するエバポレータに、たとえば、乗員が車両前方の冷房を要求している場合には、第1のエバポレータ131に、全部の流体を送るように制御される。
【0099】
本発明により、空調回路10の高圧と冷却力とを最適化するように、膨張装置120の出力で冷却流体を分配できる。
【0100】
本発明の空調設備は、また、コンプレッサへのオイルの戻りを改善できる。コンプレッサの容量が、かなり長い時間にわたって少ない場合、実際、オイルがエバポレータのいずれかに捕集されている恐れがあり、これが高じると、オイルなしでコンプレッサが回転して損傷に至ることがある。
【0101】
この問題を解決するために、制御ユニット42は、分配バルブ16を定期的に制御し、分配バルブが、第2のエバポレータ132に送られる冷却流体の流量を急上昇させるようにして、エバポレータに捕集されるオイルを排出し、オイルがコンプレッサに送られるようにすることができる。これにより、コンプレッサに到達する潤滑油の量が増す。
【0102】
補足的に、エバポレータ位置での過圧を回避するために、制御ユニット42は、ガスクーラー11の出力パラメータを監視可能である。このようにして、温度圧力センサ180(または圧力センサと温度センサで別個に)を、ガスクーラー11の出力に設けることができる。このセンサは、ガスクーラー11の出力における流体の温度測定値Tmと圧力測定値Pmとを、本発明の制御ユニット42に供給する。制御ユニット42は、測定された温度Tmと、予め決められた温度閾値T限度とを比較し、また測定された圧力Pmと、圧力閾値P限度とを比較する。測定値が閾値を越えた場合、制御ユニット42は、コンプレッサのシリンダ容積を減少させて、ガスクーラー11の出力における流体の温度および圧力の値を下げる。制御ユニットは、定期的に閾値を比較しながら、センサ180が測定する値を監視し続け、それでもなお、測定値が上昇し続ける場合には、空調を停止させる。
【0103】
この実施形態では、制御ユニット42が、ガスクーラー11の出力パラメータを監視しながら空調回路を保護することができない場合のみ、過圧バルブ15が設けられる。
【0104】
本発明により、冷却流体の膨張を効果的に制御しながら、2個のエバポレータを使用できる。本発明は、2個のエバポレータの間で冷却流体を分配し、冷却流体の高圧を最適化することができる。また、分配バルブ16の調節により、必要に応じて、単一エバポレータか、または2個のエバポレータを作動可能である。
【0105】
本発明の空調ループで使用されるセンサの数は、単一エバポレータを備える従来の空調ループの数とほぼ同じである。さらに、膨張モジュール12は、一緒に組み込み可能な標準構成部品からなっている。そのため、本発明の設備は、低価格で製造可能である。
【0106】
本発明は、あらゆるタイプのコンプレッサからなる空調ループに適用可能であるが、コンプレッサが、シリンダ容積が可変の外部制御式コンプレッサである場合、特に有利である。
【0107】
また、本発明は、分配バルブ16とコンプレッサ14とを制御する閉ループ調節に制限されるものではない。本発明の範囲では、一方のエバポレータの蒸発温度に関する調節パラメータを用いて、分配バルブのあらゆる調節法則と、コンプレッサのあらゆる調節法則とを使用可能である。
【0108】
コンプレッサの調節と、分配バルブの調節とは、異なる調節法則に応じて、互いに独立して実施可能である。そのため、図5A、図5Bを参照しながら、コンプレッサの調節に続いて、分配バルブの調節について説明したが、この2つの調節を、互いに独立して並行に行ってもよい。ある実施形態では、分配バルブの調節だけを検討することもできる。
【0109】
さらに、本発明は、上記の実施形態に制限されるものではない。本発明は、当業者が検討可能なあらゆる変形実施形態を含む。特に、膨張装置120は、超臨界サイクルに従って動作する空調回路に適するあらゆる形態をとることができる。
【0110】
添付A
A1
制御=+/−G(M−C)+(G/Ti)∫0;t(M−C)dt+G.td*d(M−C)/dt+S0
A2
Te2推定=f(Keff;P出力-131;T上流空気
A3
S=g(Va、U送風1、Tamb、T入力-11出力11吸入、lv)
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明による空調回路を示す図である。
【図2】本発明による膨張モジュールを示す図である。
【図3】本発明による空調設備を示す図である。
【図4】本発明による空調回路を示す図である。
【図5A】本発明による分配バルブとコンプレッサとの制御を示すフローチャートである。
【図5B】本発明による分配バルブとコンプレッサとの制御の変形実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0112】
10 空調回路
12 膨張モジュール
11 ガスクーラー
14 コンプレッサ
15 過圧バルブ
16 分配バルブ
41 車室調節装置
42 制御ユニット
420 空調部品調節装置
43 アクチュエータ
431 計算機
120 膨張装置
131、132 エバポレータ
1310、1320 温度センサ
180 温度圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界冷却流体による空調回路(10)用の膨張モジュールであって、1個の入力と2個の出力とにより、前記回路に接続されており、膨張装置(120)と、前記膨張装置および2個の出力に接続された分配バルブ(16)とを備えることを特徴とする膨張モジュール。
【請求項2】
膨張装置(120)と分配バルブ(16)とが、互いに組み立てられて、単位モジュールを形成していることを特徴とする請求項1に記載の膨張モジュール。
【請求項3】
膨張装置(120)および分配バルブ(16)が、共通ブロックに嵌合されて、単位アセンブリを形成し、共通ブロックが、前記入力および前記出力を有することを特徴とする請求項1に記載の膨張モジュール。
【請求項4】
膨張モジュール(12)が、超過圧バルブ(15)を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の膨張モジュール。
【請求項5】
超過圧バルブが、膨張装置(120)と、分配バルブ(16)との間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の膨張モジュール。
【請求項6】
分配バルブ(16)が、3ポートバルブであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の膨張モジュール。
【請求項7】
超臨界冷却流体が流れるエバポレータ車両用の空調回路(10)であって、コンプレッサ(14)と、ガスクーラー(11)と、並列接続された少なくとも2個のエバポレータ(131、132)とを備え、請求項1〜6のいずれか一項に記載の膨張モジュールを有し、ガスクーラーからの流体を受け、この流体を、2個のエバポレータ(131、132)の少なくとも一方に送るようになっていることを特徴とする空調回路。
【請求項8】
エバポレータ(131、132)をコンプレッサ(14)に接続する分岐線の部分と、ガスクーラー(11)を膨張モジュール(12)に接続する分岐線の部分との間で、熱交換を可能にするように配置された内部熱交換器(9)を含むことを特徴とする請求項7に記載の空調回路。
【請求項9】
膨張モジュールの分配バルブ(16)を制御するように取り付けられた制御ユニット(42)を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の空調回路を備えた空調設備。
【請求項10】
2個のエバポレータの作動制御下で、制御ユニット(42)が、少なくとも一方のエバポレータ(131、132)の蒸発温度に応じて、分配バルブ制御信号を供給するように選択された調節法則に従って、分配バルブ(16)を制御可能であることを特徴とする請求項9に記載の設備。
【請求項11】
制御ユニットが、エバポレータ(131、132)の蒸発温度を使用可能であり、その目標値が、分配バルブ(16)を制御するための調節パラメータとして最大であることを特徴とする請求項10に記載の設備。
【請求項12】
制御ユニット(42)が、分配バルブ(16)を制御するための調節パラメータとして、2個のエバポレータ(131、132)の蒸発温度の差を使用できるようになっていることを特徴とする請求項11に記載の設備。
【請求項13】
空調回路(10)が、第1のエバポレータ(131)の蒸発温度と、第2のエバポレータ(132)の蒸発温度とを、それぞれ測定可能な2個の温度センサ(1310、1320)を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の設備。
【請求項14】
制御ユニット(42)が、分配バルブ(16)を制御するための調節パラメータとして、第1のエバポレータ(131)の蒸発温度と、第2のエバポレータ(132)の蒸発温度推定値との差を使用するようになっていることを特徴とする請求項10に記載の設備。
【請求項15】
制御ユニット(42)が、エバポレータの熱係数(Keff)と、第2のエバポレータの出力における流体の圧力(P出力_ev)と、第2のエバポレータ(132)の下流にある空気流の温度(T出力_空気)とから、第2のエバポレータの蒸発温度の推定値(Te2推定)を計算できるようになっていることを特徴とする請求項14に記載の設備。
【請求項16】
第1のエバポレータ(131)の蒸発温度を測定するために、第1のエバポレータ(131)の位置に配置された温度センサを含むことを特徴とする請求項14または15に記載の設備。
【請求項17】
各温度センサが、結合されるエバポレータの過熱領域に、または結合されるエバポレータを通る空気流内に配置されていることを特徴とする請求項13または16に記載の設備。
【請求項18】
調節法則が、調節パラメータの測定値と目標値との偏差に応じて、分配バルブの制御信号を供給する閉ループ制御であることを特徴とする請求項10〜17のいずれかに記載の設備。
【請求項19】
閉ループの調節法則が、比例微積分制御であることを特徴とする請求項18に記載の設備。
【請求項20】
単一エバポレータの使用制御下で、制御ユニット(42)が、使用するエバポレータに向かって、冷却流体のほぼ全体を送るように、分配バルブの開放を制御しうるようになっていることを特徴とする請求項9に記載の設備。
【請求項21】
制御ユニット(42)が、さらに、少なくとも一方のエバポレータ(131、132)の蒸発温度に関する調節パラメータに応じて、コンプレッサの制御信号を供給するように選択された調節法則に従って、コンプレッサ(14)を制御しうるようになっていることを特徴とする請求項9〜20のいずれかに記載の設備。
【請求項22】
制御ユニット(42)が、エバポレータの蒸発温度(Te1、Te2)を使用可能であり、その蒸発温度目標値(Te1目標、Te2目標)は、コンプレッサを制御するための調節パラメータとして、最小であることを特徴とする請求項21に記載の設備。
【請求項23】
コンプレッサ(14)は、外部制御式でシリンダ容積が可変であることを特徴とする請求項21または22に記載の設備。
【請求項24】
第1のエバポレータは、車両の前方空調区画に配置され、第2のエバポレータは、車両の後方空調区画に配置されていることを特徴とする請求項9〜23のいずれか一項に記載の設備。
【請求項25】
a)乗員の冷房要求に応じて、2個のエバポレータを使用するべきか否かを決定するステップと、
b)2個のエバポレータを使用するべきである場合、少なくとも一方のエバポレータの蒸発温度(Te1、Te2)を、調節パラメータとして用いる選択された調節法則に従って、分配バルブを調節するステップを含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の空調回路の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公開番号】特開2007−183089(P2007−183089A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347267(P2006−347267)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】