説明

2剤式化粧料

【課題】皮膚温度を高めることにより、血流を促進し、肌水分を増加させ、使用時のマッサージ効果、エステ効果に優れた化粧料を提供する。特に、無機化合物の粉体を含有せずに、使用感のよいマッサージ用化粧料を提供する。
【解決手段】スクラブ剤を含有する化粧料用組成物を第1剤に、デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を1〜10重量%、多価アルコールを80〜99重量%、油分を0.5〜10重量%含有し、水の含有量が5重量%以下の化粧料用組成物を第2剤にした2剤式化粧料にする。さらに、第1剤はスクラブ剤にマンナンを用いた乳化組成物を用い、第2剤にはカルボキシビニルポリマーを加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステティックのマッサージの施術において、エステ効果が得られる2剤式化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
エステティックにおいてマッサージは血行を促進させることにより皮膚の新陳代謝を向上させる重要な施術の一つである。しかし、施術者の熟練度によって付与される効果が大きく異なるという課題があった。これに対してマッサージで得られる効果を増大させる目的で施術時に使用するマッサージ用の化粧料が開発されてきた。そのようなマッサージ用の化粧料は皮膚の温度を高め、血流をよくすることが重要である。従来、皮膚温度を高める技術の多くは特定の無機物や有機化合物の溶解熱や水和熱を利用したものである。例えば無機物の場合では一〜三価金属イオンの硫酸塩、炭酸塩、塩化物、酸化物及びリン酸塩の他ゼオライト等を配合し、溶解熱を利用している。また、有機化合物の場合はポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコールやアルキルグリセリド等を配合し、水和熱を利用している。さらに、これらの発熱量をより増大させるために無機物と有機化合物の併用し、皮膚中の水との発熱反応により皮膚へ温感を付与する技術や(特許文献1)、無機塩・無機酸化物と油分を含む1剤と多価アルコールを含む2剤を使用時に混合する2剤式化粧料とすることで、発熱性を向上させる技術が開示されている(特許文献2)。
【0003】
しかし、これらの化粧料においては、1剤式か2剤式かにかかわらず、皮膚中の水により発熱させるため、皮膚の水分が十分でない場合、皮膚温度の向上が望めず、エステ効果が不十分だった。また、皮膚の表面が垢や皮脂、ほこりなどで汚れていると、十分な発熱が得られず、皮膚の温度の向上や血流の促進がされなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2006−219465号 公報
【特許文献2】特開平11−279031号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
皮膚の温度を高め、血流を促進し、さらに肌水分を増加させ、使用時のマッサージ効果、エステ効果に優れた化粧料の提供を課題とする。特に、無機化合物の粉体を含有せずに、使用感のよい化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、スクラブ剤を含有する化粧料用組成物を第1剤に、デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を1〜10重量%、多価アルコールを80〜99重量%、油分を0.5〜10重量%含有し、水の含有量が5重量%以下の化粧料用組成物を第2剤としてエステテティックのマッサージに使用することにより、皮膚の温度を高め、血流量が向上し、肌の水分量が増加するとともに、身体へ塗布するにもかかわらず顔の血行が上昇し、すぐれたエステ効果を得られることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スクラブ剤を含有した第1剤によるマッサージにより皮膚が清浄され、適度に水分を付与した後、デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物、多価アルコールおよび油分の含有した第2剤でマッサージすることにより、皮膚の温度を高め、血流を改善・促進し、皮膚水分量を増加することができ、すぐれたエステ効果を得ることができる。
【0008】
さらに、第1剤として、マンナンをスクラブ剤に用いた乳化組成物を用いることにより皮膚清浄力が増加し、マッサージ効果を高めることができる。また、第2剤に、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、又はヒドロキシエチルセルロースを含有することにより、粘度が向上し皮膚への滞留性を高めるため、温度上昇の持続性をより高めることができる。また、多価アルコールとしてグリセリン、1,3−ブチングリコール、油分としてスクワラン、スクワレン、オリーブ油、ホホバ油、スクワラン、スクワレン、シクロメチコン、ジメチルポリシロキサンを用いることにより、皮膚水分量を上げ、エステ効果をさらに向上させることができる。
【0009】
本発明を顔以外の上半身(例えば、胸元、首、肩、背中など)に塗布すると、血行が促進されることにより、顔の皮膚温度が上昇する。したがって、ホディに使用した場合でもフェイスケア効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、第1剤としてのスクラブ剤の含有した化粧料用組成物、ならびに第2剤としてのデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物、多価アルコールおよび油分を所望量含有した化粧料用組成物からなる。
【0011】
第1剤に用いるスクラブ剤は特に限定されないが、肌を清浄する際に適度なマッサージ効果を与えるものが望ましい。具体的には、天然系スクラブの例としては、マンナン、カンテン、アルギン酸塩、キチン、キトサン等の多糖類粒子、クルミ殻、モモ種等の核種粉砕物、落花生、ゴマ等の外皮粉末、カゼイン等のタンパク質粉末が挙げられる。また、合成高分子系スクラブの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコンパウダー等の合成樹脂の粒子が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、第1剤中のスクラブ剤として特に好ましいものは、マンナン、カンテン、アルギン酸塩である。マンナン、カンテン、アルギン酸塩は、水分を含んだゲル状であるため、柔らかい感触を有し、皮膚の血行促進等のマッサージ効果が高い。
【0012】
特にマンナンは皮膚のマッサージ効果が高いので、より好ましい。マンナンは、コンニャク芋などから精製して得られるものであり、グルコマンナンともいう。好ましくはマンナンがゲル化したマンナンゲル化物である。マンナンは第1剤中に顆粒状に均一に配合され、使用時も溶解又は破砕することなく粒状を保ち、スクラブ効果を与えることができる。マンナンの市販品としては、プロポールISLB、ホワイトプロポールISLB(清水化学社)等が挙げられる。
【0013】
スクラブ剤は、第1剤中に好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは1〜3重量%配合する。0.1重量%より少ないとスクラブ力が十分でなく、10重量%を超えると使用感が悪くなる。
【0014】
第1剤の水の含有量は10〜50重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。第1剤中の水を適切な量にすることにより、第2剤による発熱効果を高めることができる。水の含有量が10重量%より少ないと皮膚への水分補給が少なくなり、第2剤の使用時に発熱のための水が不足し発熱性が低下する。また、水の含有量が50重量%より多いと水の量が多すぎるため第2剤の使用時の発熱性が低下する。いずれにしても皮膚温度の上昇効果が低下してしまう。
【0015】
第1剤の化粧料用組成物は、清浄用組成物が好ましく、剤型としてはクレンジングおよび水分を付与する作用をもつ乳化組成物又は水性組成物(水を基材とした可溶化組成物)が好ましい。その中でも乳化組成物は、肌をクレンジングし、水分を十分に与えることにより、第2剤によるエステ効果を向上させるためにより好ましい。
【0016】
第1剤が乳化組成物の場合に用いる油分は、特に限定されないが、スクワラン、スクワレン、セレシン、オレフィンオリゴマー、流動パラフィン等の炭化水素類、オリーブ油、ホホバ油、アボカド油、アルモンド油、グレープシード油、月見草油、トウモロコシ油、ツバキ油、サザンカ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、シアバター、ゴマ油、コメヌカ油、卵黄油等の油脂類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール、フィトステロール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ステアリン酸オクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸オクチル、ジオレイン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリル、乳酸セチル、アジピン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル等のエステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエ−テル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、アルコ−ル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、高分子シリコーン等のシリコーン類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等の高級脂肪酸等が挙げらる。これらから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。油分の配合量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは50〜70重量%である。30重量%未満では発熱の持続性が十分に発揮せず、10重量%を超えて配合すると、製剤の安定性が悪くなる。
【0017】
第1剤中の油分としては、上記の中でも、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルとオレフィンオリゴマーのいずれか1種以上が好ましい。トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルは極性のある液状油分であり、第1剤中のクレンジング力を高めることができる。別名をトリオクタノインという。市販品としては、T.I.O(日清オイリオ社)等が挙げられる。トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルは第1剤中に好ましくは1〜80重量%、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%配合する。1重量%より少ないとクレンジング力が十分でなく、80重量%を超えると使用感が悪くなる。
【0018】
オレフィンオリゴマーは常温で液体の油分であり、第1剤のクレンジング力を高めることができる。オレフィンオリゴマーとしては、α−オレフィンオリゴマーが好ましい。また、好ましくは平均分子量500〜5000である。オレフィンオリゴマーの市販品としては、Puresyn40、Puresyn100、Puresyn150、Puresyn300、Puresyn1000(エクソンモービル社)やシンセラン4(日光ケミカルズ社)等が挙げられる。オレフィンオリゴマーは第1剤中に好ましくは1〜80重量%、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%配合する。1重量%より少ないとクレンジング力が十分でなく、50重量%を超えると使用感が悪くなる。第1剤の油分にトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルとオレフィンオリゴマーのいずれも含有する場合、好ましくは重量比で1:5〜5:1である。この重量比にすることにより、クレンジング力を高めることができる。
【0019】
また、界面活性剤は、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0020】
第1剤が水性組成物の場合においては、好ましくは油分を可溶化したものである。可溶化に用いる界面活性剤は特に限定はされないが、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。また、油分は特に限定はされないが、スクワラン、スクワレン、オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、オリーブ油、ホホバ油マカデミアナッツ油等の液状油等が挙げられる。
【0021】
本発明の第2剤に用いるデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物は、平均重合度2以上のグリセリンの縮合物と、炭素数18〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数20〜28の脂肪族飽和二塩基酸とのエステル化生成物である。英語名:POLYGLYCERYL−10 BEHENATE/EICOSADIOATE、別名:(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10である。具体的に入手可能な市販品してはノムコートHK−P(日清オイリオ社製)が例示される。デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の配合量としては1〜10重量%が好ましく、2〜8重量%がより好ましく、3〜5重量%がさらに好ましい。1重量%未満では発熱の持続性が十分に発揮せず、10重量%を超えて配合すると、化粧料としての使用感が悪くなる。
【0022】
第2剤に用いる多価アルコールは基剤として使用するだけでなく、水と混和した時に発熱する効果を与える。多価アルコールは水との接触により発熱することが知られているが、本発明においては、デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物および油分と併用することにより発熱性が向上する。多価アルコールの種類としては、特に限定されないが、例えばグリセリン、1,3−ブチングリコール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。好ましくは、グリセリン、1,3−ブチングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが挙げられ、さらに好ましくはグリセリン、1,3−ブチングリコールが挙げられる。これらから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
第2剤において多価アルコールの配合量は80〜99重量%であり、好ましくは85〜98重量%、より好ましくは90〜96重量%である。80重量%より少ないと発熱効果が十分でなく、99重量%より多いと化粧料の使用感を損ねる。
【0024】
第2剤に用いる油分としては、特に限定しないが、スクワラン、スクワレン、セレシン、オレフィンオリゴマー、流動パラフィン等の炭化水素類、オリーブ油、ホホバ油、アボカド油、アルモンド油、グレープシード油、月見草油、トウモロコシ油、ツバキ油、サザンカ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、シアバター、ゴマ油、コメヌカ油、卵黄油等の油脂類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール、フィトステロール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ステアリン酸オクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸オクチル、ジオレイン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリル、乳酸セチル、アジピン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル等のエステル油類、シクロメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエ−テル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、アルコ−ル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、高分子シリコーン等のシリコーン類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等の高級脂肪酸等が挙げられる。好ましくは、スクワラン、スクワレン、オリーブ油、ホホバ油、シクロメチコン、ジメチルポリシロキサンが挙げられる。これらから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。油分の配合量としては0.5〜10重量%が好ましく、0.7〜5重量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好ましい。0.5重量%未満では発熱の持続性が十分に発揮せず、10重量%を超えて配合すると、製剤の安定性が悪くなる。
【0025】
第2剤における水の含有量は5重量%以下であり、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。5重量%より多いと発熱性が十分でない。水の含有量は発熱効果に影響を与え、少ない方が発熱性および発熱の持続性がよくなるため好ましい。そのため、水の含有量は実質的に0重量%、すなわち非水系の化粧料用組成物にすることがさらに好ましい。ここで、実質的に0重量%とは、液体の多価アルコール等の化粧料原料の中には、水分が含まれているものがあるため、水の含有量を完全に0重量%にはできないが、原料中に含まれている水以外の水を配合しないという意味である。
【0026】
第2剤には、さらに、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロースから選ばれる少なくとも1種以上を含有することにより発熱の持続性を高めることができる。カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロースから選ばれる少なくとも1種以上の配合量は0.1〜1重量%が好ましく、0.2〜0.5重量%がより好ましい。0.1重量%未満では発熱の持続性が十分に発揮せず、1重量%を超えて配合すると、製剤の粘度が高くなり、化粧料の使用感が悪くなる。
【0027】
第2剤は、好ましくはゲル状の化粧料用組成物である。ゲル状にすることにより、皮膚に塗布しやすく、塗布した化粧料用組成物が皮膚上に長時間保持されるため、発熱効果の持続性をより高めることができる。皮膚への適度な発熱は、エステ効果およびマッサージ効果を付与することができ、特に胸元(デコルテ)、首および背中のケアに最適な化粧料にすることができる。
【0028】
本発明の第1剤および第2剤には、上記成分の他、通常、化粧料として使用できる成分を適宜配合することができる。例えば、紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、増粘剤、保湿剤、pH調整剤、着色料、植物エキス、香料などが挙げられる。具体的には次のものが例示される。
【0029】
紫外線吸収剤として、パラアミノ安息香酸などの安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、メンチルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート等の桂皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0030】
粉体として、カオリン、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、セリサイト、タルク、窒化ホウ素、マイカ、セルロース末、シルク末、デンプン、ポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン等が挙げられる。酸化防止剤として、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類、アスコルビン酸等が挙げられる。金属封鎖剤としてフィチン酸、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0031】
界面活性剤として、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキロイルサルコシン塩、アルキロイルメチル−β−アラニン塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキロイルメチルタウリン塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、高級脂肪酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、イセチオネート系界面活性剤、アシル化ポリペプチドに代表されるアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン型界面活性剤、アミドプロピルベタイン型界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン型界面活性剤、スルホベタイン型界面活性剤、ホスホベタイン型界面活性剤に代表される両性界面活性剤、脂肪酸グリセリンエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル類、アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、プルロニック型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルポリグルコシドに代表されるノニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、脂肪酸アミドアミン塩、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートに代表されるカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0032】
防腐剤として、フェノキシエタノール、安息香酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、イソチアゾロン誘導体、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、ウンデシレン酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0033】
増粘剤として、グアガム、デンプン、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の天然高分子及びその誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
【0034】
保湿剤として、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチルアルコール、イソプロパノール等の多価アルコール類、キシリトール、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール類、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、海洋深層水、キトサン誘導体、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0035】
pH調整剤として、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸等が挙げられる。その他適宜必要に応じて法定色素、天然色素などの着色料や香料を選択できる。
【0036】
植物エキス等の天然成分として、アシタバ、アボガド、アマチャ、アルテア、アルニカ、アロエ、アンズ、イチョウ、ウイキョウ、ウコン、ウーロン茶、エイジツ、エチナシ葉、オウゴン、オウバク、オウレン、オオムギ、オトギリソウ、オドリコソウ、オランダカラシ、オレンジ、海藻、カモミラ、カロット、カワラヨモギ、甘草、カルカデ、カキョク、キウイ、キナ、キューカンバー、グアノシン、クチナシ、クマザサ、クララ、クルミ、グレープフルーツ、クレマティス、クロレラ、クワ、ゲンチアナ、紅茶、ゴボウ、コメヌカ、コメ胚芽油、コンフリー、コケモモ、サイシン、サイコ、サイタイ、サルビア、サボンソウ、ササ、サンザシ、サンショウ、シイタケ、ジオウ、シコン、シソ、シナノキ、シモツケソウ、シャクヤク、ショウブ根、シラカバ、スギナ、セイヨウキズタ、セイヨウサンザシ、セイヨウニワトコ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウハッカ、セージ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、ダイズ、タイソウ、タイム、茶、緑茶、チョウジ、チガヤ、チンピ、トウキ、トウキンセンカ、トウニン、トウヒ、ドクダミ、トマト、納豆、ニンジン、ニンニク、ノバラ、ハイビスカス、バクモンドウ、ハス、パセリ、ハマメリス、パリエタリア、ヒキオコシ、ビサボロール、ビワ、フキタンポポ、フキノトウ、ブクリョウ、ブッチャーブルーム、ブドウ、ヘチマ、ベニバナ、ペパーミント、ボダイジュ、ボタン、ホップ、マツ、マロニエ、ミズバショウ、ムクロジ、メリッサ、モモ、ヤグルマギク、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ヨクイニン、ヨモギ、ラベンダー、リンゴ、レタス、レモン、レンゲソウ、ローズ、ローズマリー、ローマカミツレ等のエキスや、シルク、酵母、蜂蜜、プロポリス、ローヤルゼリー、コラーゲン、エラスチン等をあげることができる。
【0037】
香料として、ペパーミント油、スペアミント油、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ラズベリー油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ゲラニオール、ミカン油、トウヒ、シトロネロール、テルペン類、コーヒー油、茶油、椿油、ラズベリーケトン等の天然及び合成香料等が挙げられる。
【0038】
本発明の2剤式化粧料はマッサージ施術時において第1剤と第2剤を適宜組合せて使用するものであるが、第1剤を皮膚に塗布した後に、第2剤を皮膚に塗布するのが好ましい。より好ましくは、第1剤を塗布し、マッサージを行った後、ガーゼや布、タオルなどで拭き取り、すぐに第2剤を塗布しマッサージする。第1剤と第2剤の量は、適宜選択できるが、重量比で2:1〜1:3であるのが好ましい。2:1より第1剤が多いと第2剤を塗布した際に皮膚上の水分が多すぎるので発熱が十分でなく、1:3より第2剤が多いと第2剤を塗布した際に皮膚上の水分が十分でなく十分な発熱が得られない。このように2剤式化粧料とすることで1剤式の場合よりも皮膚温度の上昇効果、血流の促進効果、皮膚水分量の増加効果が期待できる。
【0039】
本発明は、上記2剤式化粧料を用いた2剤式化粧料を用いることを特徴とする美容方法を包含する。上記2剤式の化粧料を用い、マッサージをすることによりエステ効果を向上させることができる。好ましい美容方法として、第1剤を肌に塗布しマッサージを30秒〜10分程度、好ましくは1〜5分程度行い、肌の上に残存する第1剤を布又はガーゼなどを用いて拭き取り、第2剤を塗布して30秒〜20分、好ましくは1分〜10分程度マッサージを行う。マッサージは通常の美容マッサージでよい。このように2剤式による2ステップでマッサージを行うことにより、1剤式では不十分であった皮膚温度を向上させる効果、血流を促進させる効果、および肌の水分を増加させる効果(保湿効果)をより発揮することができる。

【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特に断りのない限り%は重量%を表す。
【0041】
[試験例1]
以下の成分からなる第1剤例1(クレンジング)を常法により製造した。
オレフィンオリゴマー 30
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 20
グリセリン 10
ラウリン酸ポリグリセリル−10 3
1,3−ブチレングリコール 1.5
マンナン 1
カルボキシビニルポリマー 0.4
パラベン 0.3
水酸化カリウム 0.2
香料 0.2
水 残部
(合計) 100 重量%

【0042】
表1に記載する第2剤(ジェル)を常法により製造した。
第1剤例1を適量とり、成人女性3名の下腕内側に約2×2cmで6ヶ所(左右3ヶ所)試験部位にそれぞれ0.5g塗布した。30秒後、第1剤をガーゼで拭き取った。その後すぐに、第2剤例1〜6を適量とり、同一部位に塗布した。第1剤の塗布前、第2剤の塗布直後、塗布3分後、塗布6分後、塗布9分後の皮膚温度を赤外線サーモグラフィ(Handy Thermo TVS-200EX、Avio社製)で測定し、画像解析により温度変化を算出した。

【0043】
【表1】

【0044】
皮膚温度の結果は図1に示す。図1は時間を横軸に皮膚温度の塗布直前の温度からの変化量を縦軸にしたものである。第2剤例1(水0%)及び例2(水1%)は皮膚の温度上昇がきわめて大きく、第2剤例3(水3%)及び例4(水5%)は皮膚の温度が高くなっている。一方、第2剤例5及び例6は温度がかえって低くなっている。
【0045】
[試験例2]
化粧料用組成物は試験例1の第1剤例1と第2剤例2を用いた。
第1剤を適量とり、成人女性1名の肩部に塗布し1分間クレンジングおよびスクラブマッサージを行った後、第1剤をガーゼで拭き取った。その後すぐに、第2剤を適量とり、同一部位(肩部)に塗布し3分間マッサージを行った。試験は24℃、湿度50%の恒温恒湿下で行った。塗布部位の水分量を水分量測定器SKICON-200で測定した。塗布部位および顔面の皮膚温度を赤外線サーモグラフィ(Handy
Thermo TVS-200EX、Avio社製)で測定し、画像解析で温度変化量を算出した。顔の血流量をレーザードップラー血流画像化装置PeriScanPIM3で測定し、第1剤塗布前の血流量を1としたときの比を求めた。
【0046】
図2に示すように、第1剤でグレンジングした後に第2剤でマッサージを行うことにより水分量の増加がみられた。また、図3および図4で示すように、塗布部位および顔面の皮膚温度が上昇した。図5で示すように、顔の血流量が増加した。
【0047】
以下、本発明の処方例をさらに示す。
[処方例1]
以下の成分からなる第1剤例1を常法により製造した。
オレフィンオリゴマー 20
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 25
スクワラン 5
オリーブ油 5
グリセリン 8
ラウリン酸ポリグリセリル−10 3
1,3−ブチレングリコール 3
マンナン 1
カルボキシビニルポリマー 0.3
パラベン 0.2
プルーン分解物 0.2
ビルベリー葉エキス 0.01
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
水酸化カリウム 0.2
香料 0.2
水 残部
(合計) 100 重量%

【0048】
[処方例2]
以下の成分からなる第2剤例7を常法により製造した。
濃グリセリン 90
ポリエチレングリコール(分子量400) 2
1,3-ブチレングリコール 1
デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物 3.5
スクワラン 1
カルボキシビニルポリマー 0.3
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
パラベン 0.2
トリエタノールアミン 0.1
ビルベリー葉エキス 0.02
ラッカセイ種皮エキス 0.03
水 1.75
香料 0.1
(合計) 100 重量%

【0049】
[処方例3]
以下の成分からなる発熱性のある第2剤例8を常法により製造した。
濃グリセリン 93
デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物 3
オリーブ油 0.3
シクロペンタシロキサン 0.6
カルボキシビニルポリマー 0.5
キサンタンガム 0.1
パラベン 0.2
トリエタノールアミン 0.2
ヒアルロン酸 0.01
ビタミンE 0.01
水 1.88
香料 0.2
(合計) 100 重量%

【0050】
第1剤例1、2および第2剤例1〜4、7、8を適宜組み合わせて、本発明の2剤式化粧料を得た。さらに、第1剤例2を塗布しマッサージした後、第2剤例1〜4、7、8を塗布しマッサージすることにより皮膚温度が向上した。


【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】試験例1の皮膚温度変化量のグラフである。
【図2】試験例2の水分量のグラフである。
【図3】試験例2の肩部の皮膚温度変化量のグラフである。
【図4】試験例2の顔面の皮膚温度変化量のグラフである。
【図5】試験例2の顔の血流量の変化のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の第1剤および第2剤からなる2剤式化粧料。
第1剤:スクラブ剤を含有する化粧料用組成物
第2剤:デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を1〜10重量%、多価アルコールを80〜99重量%、及び油分を0.5〜10重量%含有し、水の含有量が5重量%以下の化粧料用組成物
【請求項2】
第1剤が、スクラブ剤としてマンナンを用いた乳化組成物である請求項1に記載の2剤式化粧料。
【請求項3】
第2剤が、さらにカルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロースから選ばれる少なくとも1種以上を0.1〜1重量%含有するものである請求項1又は2に記載の2剤式化粧料。
【請求項4】
第2剤の多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチングリコールから選ばれる少なくとも1種以上であり、かつ、第2剤の油分が、スクワラン、スクワレン、オリーブ油、ホホバ油、シクロメチコン、ジメチルポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の2剤式化粧料。
【請求項5】
マッサージ用化粧料である請求項1〜4のいずれか1項に記載の2剤式化粧料。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−13092(P2009−13092A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174987(P2007−174987)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】