説明

2軸ロールクラッシャ

【課題】
主にアスファルトコンクリートを解砕するもので、中の骨材を破砕することなく解砕し、粉の発生を少なくする。
【解決手段】
回転駆動される第1ロータ11及び第2ロータ12の外周に被破砕物を破砕するために櫛歯状の解砕歯90、100が配置されたロールクラッシャである。左右2台の駆動シリンダ80を作動させると、第1ロータ11と第2ロータ12の間の下部で、かつ中心位置において、調整板セット固定台70は上下動することになる。この調整板セット固定台70の上下動により、これに搭載されているユニット部品である調整板セット61も上下動し、第1ロータ11と第2ロータ12との間の隙間を調整することになる。この隙間調整により、アスファルトコンクリートの流れを制御して、解砕されるアスファルトコンクリートの粒度、及び単位時間当たりの解砕量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、アスファルトコンクリート、砕石を所定の塊に解砕するための2軸ロールクラッシャに関する。更に詳しくは、道路等の改修、補修等のとき排出されるアスファルトコンクリート等の廃材のリサイクルのために所定の塊に解砕するための2軸ロールクラッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート、アスファルトコンクリート等の廃材が、建物の建替えや道路補修工事により、産業廃棄物として多く排出されるようになり、それらは従来は埋立処分されていた。しかしながら、埋立処分場も環境破壊等の問題から少なくなり、再利用が望まれている。そこで、近年コンクリート等の廃材を所定の大きさの塊に破砕して解砕し、再利用を図るために回転する回転歯で破砕するロールクラッシャを本発明の出願人も提案した(例えば、特許文献1)。
【0003】
アスファルト舗装等の廃材として排出されるアスファルトコンクリートの一次破砕は、一般的にはジョークラッシャ、ロールクラッシャが使用されている。一次破砕されたアスファルトコンクリートを最利用するためには、混合されている粗骨材等の骨材を互いに結合しているアスファルトを分離するための二次破砕を行う必要がある。このアスファルトコンクリートの二次破砕には、打撃子を用いたインパクトクラッシャが用いられている。このインパクトクラッシャによる破砕は、打撃子による破砕のために骨材が破砕され、破砕中の粉塵の発生が避けられない。
【0004】
また、破砕された粉が再生されたアスファルトコンクリートに混入が多くなると、その表面積が増加するために最利用のときにアスファルトの使用量が多くなる。また、粉の分布が多くなると、用途によって規定されている骨材の粒度分布の調整も難しくなり、再利用の妨げになるので、アスファルトコンクリートを最利用するためには、この粉は可能な限り少なくするのが好ましい。また、労働安全衛生上からも可能な限り二次破砕時の粉塵の発生も避けなければならない。
【0005】
しかしながら、従来提案したロールクラッシャは、アスファルトコンクリートの一次破砕には最適であるが、二次破砕に適したものではなかった。一方、ロールクラッシャの下部に、軸線方向に配置されたものであって、投入された原料の単位時間当たりの破砕処理量である流量を制御する流量調整手段を本出願人は提案した(特許文献2)。この流量調整手段は、主に破砕用のロールクラッシャに用いるものであり、単に破砕原料の流量を制御するだけで、上下の移動はできないし、ロールクラッシャ内で所定以上の大きさの原料を篩いにかける機能もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−346408号公報
【特許文献2】特開平10−309483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記目的を達成する。
本発明の目的は、主にアスファルトコンクリートを二次破砕するための2軸ロールクラッシャを提供することにある。
本発明の他の目的は、アスファルトコンクリート中の骨材の破砕が少ない2軸ロールクラッシャを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、騒音の発生が少ない2軸ロールクラッシャを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明1のロールクラッシャは、
互いの回転軸線が平行に配置され、回転駆動される第1ロータ(11)及び第2ロータ(12)の外周に被破砕物を破砕するために解砕歯(90,100)が配置されたロールクラッシャであって、
本体を構成する機枠(2)と、
前記第1ロータ(11)及び前記第2ロータ(12)の両端を回転自在に前記機枠(2)に支持する軸受(28)と、
前記軸受(28)を鉛直方向と水平の中間の角度で、かつ前記軸受(28)を移動自在に支持する支持面(42)を有する軸受台(41)と、
前記軸受(28)を前記支持面(42)上で駆動すめための軸受駆動機構(44)とからなることを特徴とする。
【0009】
本発明2のロールクラッシャは、本発明1において、
前記第1ロータ(11)と前記第2ロータ(12)の間の下部に配置され、上下動方向の位置を調整可能で、解砕される原料の流れを制御する調整板ユニット(60)と、
前記調整板ユニット(60)の上下移動を駆動するための調整板ユニット駆動手段(80)とからなることを特徴とする。
【0010】
本発明3のロールクラッシャは、本発明1又は2において、
前記解砕歯(90,100,110)は、原料を解すために前記第1ロータ(11)と前記第2ロータ(12)の軸線方向に間隔を置いた複数の歯(94,96,97,101,106,114)が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明4のロールクラッシャは、本発明3において、
前記調整板ユニット(60)は、前記解砕歯(90,100)で解砕された原料を通すために前記第1ロータ(11)と前記第2ロータ(12)の軸線方向に間隔を置いた板材からなる格子(65)が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明5のロールクラッシャは、本発明3又は4において、
前記櫛歯状の歯(94,96,97,101,106)は、前記第1ロータ(11)と前記第2ロータ(12)の中心軸線から異なる半径位置に段階的に配置されている ことを特徴とする。
【0013】
本発明6のロールクラッシャは、本発明3又は4において、
請求項3又は4において、
前記解砕歯(90,100,110)は、前記複数の歯(94,96,97,101,106)が交換自在で所定数のユニットで構成されており、
前記調整板ユニット(60)は、前記複数の板材からなる格子(65)で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のロールクラッシャは、2軸の各ロータの軸受けを機枠に斜めに形成した移動面上をそれぞれ移動できるので、ロータ間の高さ、間隔を自由に選択できる。また、本発明のロールクラッシャは、原料を解砕する解砕歯が櫛歯状で、かつロータの軸線方向、及び半径方向に配置されているので、原料を効率的に均一に解砕できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である二軸ロールクラッシャの外観を示す立体外観図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である二軸ロールクラッシャの平面図である。
【図3】図3は、図2の二軸ロールクラッシャの正面図である。
【図4】図4は、図2の二軸ロールクラッシャの側面図である。
【図5】図5は、ロールクラッシャの軸受を移動させる軸受移動機構を示す外観図である。
【図6】図6は、機枠2を取り外してときの二軸ロールクラッシャの内部の機構を示す立体外観図である。
【図7】図7は、調整板セット61の外観を示す立体図である。
【図8】図8は、調整板セット固定台70の外観を示す立体図である。
【図9】図9(a)は第1解砕歯90の外観を示す立体図であり、図9(b)は側面図である。
【図10】図10(a)は第2解砕歯100の外観を示す立体図であり、図10(b)は側面図である。
【図11】図11(a)は第3解砕歯110の外観を示す立体図であり、図11(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態である二軸ロールクラッシャの外観を示す立体外観図、図2は平面図、図3は正面図、図4は側面図である。ロールクラッシャ1は、鋼鉄製で上下が開放された四角状の矩形の箱状の機枠2を有している。機枠2の上部外周には、外形がほぼ同一サイズで、鋼鉄製の矩形のホッパー枠体3が、着脱自在にボルトで固定して搭載されている。機枠2内には、2体の第1ロータ11、及び第2ロータ12が回転自在に配置されている。
【0017】
ホッパー枠体3は、この上部にホッパー(図示せず)を取り付けためのものである。ホッパー枠体3には、ホッパーに投入されたアスファルトコンクリートを第1ロータ11、及び第2ロータ12の間に誘導するための複数の原料案内板4が配置固定されている。原料案内板4は、板材で作られたものであり、原料の上下の流れを絞るためのものであり、流れが鉛直方向から斜めになるように配置されており、左右で8枚からなる。原料案内板4は、複数の案内板固定部材5によりホッパー枠体3の内周面に固定されている。案内板固定部材5は、板状の部材で作られている。
【0018】
案内板固定部材5は、一定間隔を有して案内板4とホッパー枠体3との間に配置されている。この理由は、第1ロータ11、及び第2ロータ12の解砕歯に付着したアスファルトコンクリートを掻き取るための機能も有している。第1ロータ11の第1ロータ駆動軸13と、第2ロータ12の第2ロータ駆動軸14とは、互いに平行になるように配置されている(図6参照)。第1ロータ11と第2ロータ12は、実質的には同一構造であるが、後述する第2破砕歯100と第3破砕歯110が互い違いになるように、即ち、干渉しないように第1ロータ11及び第2ロータ12の軸線方向の位置が異なるように配置されている。
【0019】
第1ロータ11の第1ロータ駆動軸13の両端は、軸受18を介して機枠4に回転自在に支持されている(図2参照)。第1ロータ駆動軸13の一端は、電動機20の減速機19の出力軸と連結されいる。電動機20は、減速機19付きであり、機枠2の側面に固定配置されている。減速機19は、電動機20の回転速度を減速するものであり、歯車機構により減速するものである。以上の説明から理解されるように、第1ロータ11は、電動機20、減速機19、及び第1ロータ駆動軸13を介して回転駆動される。概略すると、電動機20、減速機19は、第1ロータ駆動手段21を構成する。ただし、この第1ロータ駆動手段21は、チェーン駆動等の公知の他の駆動手段であっても良い。
【0020】
同様に、第2ロータ12の両端は、軸受28を介して機枠4に回転自在に支持されている。第2ロータ12は、電動機30、減速機29、及び第2ロータ駆動軸14を介して回転駆動される。電動機30、減速機29は、第2ロータ駆動手段31を構成する。図4に示すように、箱状の機枠2の両側面には、矩形の板材からなる点検窓15が3枚配置されている。点検窓15は、その四隅がボルトで機枠2に固定されており、点検窓15は機枠2に着脱自在である。点検窓15は、第1ロータ11及び第2ロータ12に配置固定された解砕歯の交換、点検のときに着脱できるようにしたものである。
【0021】
図5は、ロールクラッシャの軸受を移動させる軸受移動機構を示す外観図である。第2ロータ12の軸受28は、機枠2の側板40に配置された軸受台41の上面42を移動可能に設けられている。軸受台41の上面の摺動面42は、水平線から角度45度に傾斜されている。軸受28は、この上面42上を摺動して移動可能に搭載されている。軸受28の摺動面42上への固定は、軸受台41の下面からボルト43により固定される。軸受28を摺動面42上で摺動させるには、大きな力が必要であるので、本例では空気圧シンダ44を設けた。空気圧シリンダ44の基端は、機枠2に設けられた固定部材に自在継手45により揺動自在に連結されている。空気圧シリンダ44の他端であるピストン46の先端は、軸受28に一体に設けた固定部材にピン連結された自在継手47により揺動自在に連結されている。
【0022】
空気圧シリンダ44に圧縮空気を導入して空気圧シリンダ44を駆動すると、軸受28が軸受台41の上面42を摺動することができる。この軸受28を摺動面42で摺動させることにより、第2ロータ12を移動(上下移動)させることができる。同様の軸受移動機構は、第2ロータ12の他端で、対向する機枠2の側板にも配置されている。同様に、軸受移動機構は、第1ロータ11の両端側の機枠2にも配置されている。これらの軸受移動機構を配置したことにより、第1ロータ11及び第2ロータ12は、互いに接近、又は離間することができる。
【0023】
本実施の形態のロールクラッシャ1は、この軸受移動機構を有したことにより、第1ロータ11及び第2ロータ12の位置は、対称位置ではなく、上下の位置を違えて段差を有して配置することが可能になった。第1ロータ11及び第2ロータ12の間隔を調整することにより、解砕されるアスファルトコンクリートの粒度、及び単位時間当たりの解砕量を制御するものである。
【0024】
図6は、機枠2を取り外して第1ロータ11及び第2ロータ12のみを露出させたときの外観図である。第1ロータ11の中心には、第1ロータ駆動軸13を有している。第2ロータ12の中心には、第2ロータ駆動軸14を有している。第1ロータ駆動軸13には、円筒状のドラムである第1ロータ本体50が固定されている。この第1ロータ本体50の外周面には、後述する第1解砕歯51及び第2解砕歯52が一定角度と間隔で配置固定されている。同様に、第2ロータ駆動軸14には、円筒状のドラムである第2ロータ本体55が固定されている。この第2ロータ本体55の外周面には、第1ロータ本体50と同様に、第2解砕歯100及び第3解砕歯110が一定角度と間隔で配置固定されている。
【0025】
[調整板ユニット60]
図6に示したように、第1ロータ11と第2ロータ12の間の中心の下部には、調整板ユニット60が配置されている。調整板ユニット60は、第1ロータ11と第2ロータ12の中心軸線方向と平行な方向に配置されている。調整板ユニット60は、アスファルトコンクリートの流れを制御して、解砕されるアスファルトコンクリートの粒度、及び単位時間当たりの解砕量を制御するものである。更に、調整板ユニット60は、第2解砕歯100及び第3解砕歯110に付着したアスファルトコンクリートを剥がす機能もある。調整板ユニット60は、複数の調整板セット61を直列に列べて構成されている。図7は、単体の調整板セット61の外観を示す立体図である。
【0026】
調整板セット61は、中央部に貫通した孔である長方形状の矩形窓(図示せず)を有し、矩形の板材である芯部材63を有する。芯部材63の両側面には、この芯部材63より大きい寸法を有し、長方形状の矩形窓(図示せず)を有する矩形の板材である櫛固定部材64がそれぞれ溶接により固定されている。芯部材63の矩形窓と櫛歯固定部材64の矩形窓は、互いに連通している。このために、解砕されたアスファルトコンクリートが調整板セット61に付着しにくい効果がある。
【0027】
櫛固定部材64の外側面には、三角形状で板材の複数の三角櫛歯65が、櫛固定部材64に直角にその長辺が溶接で固定されている。三角櫛歯65の中心部には、三角形の貫通孔である三角窓66が形成されている。三角櫛歯65は、隣り合うものとは形状が異なる。すなわち、両者は三角形状としては同一のものであるが、下部が切断されて短いものと長いものがある。この理由は、アスファルトコンクリートが付着したとき清掃しやすくするためである。同様に、芯部材63を挟んで反対側の櫛固定部材64にも、三角櫛歯65が直角にその長辺が溶接で固定されている。ただし、両者の三角櫛歯65は、互いに位相が異なるように長手方向、即ち、第2解砕歯100、及び第3解砕歯110の取付け位置によって異なる。三角櫛歯65は、解砕歯に付着したアスファルトコンクリートを剥がす機能もある。
【0028】
櫛固定部材64の下部には、貫通孔である取付孔67が3個配置されている。取付孔67は、調整板セット61を調整板セット固定台70(図8参照)にボルトで固定するためのものである。調整板セット61の下部には、芯部材63とこの両側の櫛固定部材64に挟まれたコ字状の領域であり、調整板セット固定台70が挿入される固定凹部68を有している。図8は、この調整板セット固定台70の外観を示す立体図である。調整板セット固定台70は、断面形状が長方形状の長い部材であり、本例では3個の調整板セット61を固定するための部材である。
【0029】
調整板セット固定台70には、本例では12個の貫通孔である取付け孔71が一定間隔に形成されている。取付け孔71は、ユニット部品である調整板セット61をボルトで固定するときにボルトを挿入するための貫通孔である。調整板セット固定台70の両端には、継手を構成するために平行に配置された2枚の板材からなる連結部材72を有している。連結部材72は、連結ピン83(図6参照)を挿入するための貫通孔73が形成されている。連結部材72は、調整板セット固定台70を上下動させるために駆動シリンダ80(図6参照)に連結するためのものである。
【0030】
駆動シリンダ80は、調整板セット固定台70を上下動するためのものであり、空気圧で作動する空圧シリンダである。駆動シリンダ80のピストン81の先端82は、連結ピン83で調整板セット固定台70の連結部材72に揺動自在に連結されている。駆動シリンダ80のシリンダの基端85は、同様に連結ピン86で機枠2に固定された連結部材83に揺動自在に連結されている(図6参照)。同様に、駆動シリンダ80は、機枠2の対向する側面にも配置されている。
【0031】
(調整板ユニット60の作動)
次に、調整板ユニット60の作動を説明する。以上の構成で理解されるように、左右(図示上)2台の駆動シリンダ80を作動させると、第1ロータ11と第2ロータ12の間の下部で、かつ中心位置において、調整板セット固定台70は上下動することになる。この調整板セット固定台70の上下動により、これに搭載されているユニット部品である調整板セット61も上下動し、第1ロータ11と第2ロータ12との間の隙間を調整することになる。この隙間調整により、アスファルトコンクリートの流れを制御して、解砕されるアスファルトコンクリートの粒度、及び単位時間当たりの解砕量を制御する。更に、調整板ユニット60は、解砕歯に付着したアスファルトコンクリートを剥がすことができる。
【0032】
[第1解砕歯90]
図9(a)は、第1解砕歯90の外観を示す立体図であり、図9(b)は、側面図である。第1解砕歯90は、第1部品91、第2部品92、及び第3部品93の3個の部品を溶接により組立てられた部品である。第1部品91は、板状の部材から作られたもので、先端は三角形状の複数の三角歯94が形成されており、中央部には第1解砕歯90を第1ロータ本体50にボルトで固定するための貫通孔である3個のボルト固定孔95が形成されている。第2部品92には、4個の第2部品92が一定間隔で、かつ平行に配置されている。第2部品92は、第1鋭角歯96と、この上部に配置された第2鋭角歯97を有している。第1鋭角歯96及び第2鋭角歯97は、アスファルトコンクリートを解砕するための解砕のための歯である。
【0033】
第3部品93は、第2部品92の間で、かつ第1部品91の上面に配置されており、互いに溶接により固着されている。また、第2部品92の下端には、切り欠いた凹部である取付け凹部98が形成されている。取付け凹部98は、第1ロータ本体50の外周面に等角度間隔に配置された解砕歯固定台51(図6参照)に嵌め込み、第1解砕歯90を位置決めするためのものである。三角歯94、第1鋭角歯96、及び第2鋭角歯97は、高さ及び位置が異なる。即ち、三角歯94、第1鋭角歯96及び第2鋭角歯97のそれぞれの高さとは、第1ロータ本体50の中心軸線からの距離、言い換えると半径方向の位置が異なる。また、三角歯94と第1鋭角歯96は、第1ロータ本体50の軸線方向の位置が異なる。
【0034】
[第2解砕歯100]
図10(a)は、第2解砕歯100の外観を示す立体図であり、図9(b)は、側面図である。第2解砕歯100は、第1部品101、第2部品102、第3部品103の3個の部品を溶接により組立てられた部品である。第1部品101は、板状の部材から作られたもので、先端は三角形状の複数の三角歯104が形成されている。第1部品101の中央部には、第2解砕歯100を第1ロータ本体50にボルトで固定するための貫通孔である、3個のボルト固定孔105が形成されている。第2部品102には、4個の第2部品102が一定間隔で、かつ平行に配置されている。第2部品102の先端には、第1鋭角歯106を有している。第1鋭角歯106は、アスファルトコンクリートを解砕するための解砕歯である。
【0035】
第3部品103は、第2部品102の間で、かつ第1部品101の上面に配置されており、互いに溶接により固着されている。また、第2部品102の下端には、切り欠いた凹部である取付け凹部108が形成されている。取付け凹部108は、第1ロータ本体50の外周面に等角度間隔に配置固定された解砕歯固定台(本例では8個)51に嵌め込み、第2解砕歯100を位置決めするためのものである。三角歯104、及び第1鋭角歯106は、高さ及び位置が異なる。即ち、三角歯104、及び第1鋭角歯106のそれぞれの高さとは、第1ロータ本体50の中心軸線からの距離、言い換えると半径方向の位置が異なる。更に、三角歯104と第1鋭角歯106は、第1ロータ本体50の軸線方向の位置が異なる。
【0036】
[第3解砕歯110]
図11(a)は、第3解砕歯110の外観を示す立体図であり、図11(b)は、その側面図である。第3解砕歯110は、第1部品111、第2部品112、第3部品113の3個の部品を溶接により組立てられた部品である。第1部品111は、板状の部材から作られた矩形をしており、中央部に第2部品112を挿入するための貫通孔が形成されている。最下層の第3部品113は、この中央部には第3解砕歯110を第1ロータ本体50にボルトで固定するための貫通孔である3個のボルト固定孔115が形成されている。第2部品112の下端には、切り欠いた凹部である取付け凹部118が形成されている。取付け凹部118は、第1ロータ本体50の外周面に等角度間隔に配置された解砕歯固定台51に嵌め込み、第3解砕歯110を位置決めするためのものである。第3解砕歯110の上面の中央部には、切欠き部114が形成されている。第3解砕歯110は、切欠き部114が解砕歯の機能を果たす。
【0037】
実際の解砕は、前述した第1解砕歯90、第2解砕歯100、及び第3解砕歯110を、アスファルトコンクリートの種類等に応じて使い分ける。図6に示した場合、解砕歯固定台51上に、ロータの軸線方向に交互に3個が配置され、第2解砕歯100のボルト固定孔105、及び第3解砕歯110のボルト固定孔115にボルトを通して、解砕歯固定台51上に固定されている。
(第1解砕歯90、第2解砕歯100、及び第3解砕歯110の作動)
図6に示した第1ロータ11,及び第2ロータ12は、第2解砕歯100、及び第3解砕歯110を軸線方向に交互に配置した例である。第2解砕歯100のの三角歯104、第1鋭角歯106の各位置は、互いに第1ロータ11の軸線方向の位置が異なるので、アスファルトコンクリートの骨材を破砕することなく、これらの各歯が切断するかのように細かく分離することができる。また、三角歯104、第1鋭角歯106と三角歯104は、第1ロータ本体50の中心軸線からの半径方向の位置が異なるので、半径方向の2箇所でアスファルトコンクリートを解砕することができる。このように、第2解砕歯100は、三角歯104、第1鋭角歯106が第1ロータ11の軸線方向、及び半径方向に均一に配置されているので、アスファルトコンクリートを効率的に解砕する。
【0038】
同様に、第3解砕歯110は、第2部品112の切欠き部114等が第1ロータ11の軸線方向、及び半径方向に均一に配置されているので、アスファルトコンクリートを効率的に解砕する。また、第2ロータ12の第2解砕歯100及び第3解砕歯110は、第1ロータ11上の第2解砕歯90及び第3解砕歯110と干渉しないように、ロータの軸線方向の位置が違いに異なるように配置されている。
【符号の説明】
【0039】
1…ロールクラッシャ
2…機枠
3…ホッパー枠体
4…原料案内板
11…第1ロータ
12…第2ロータ
60…調整板ユニット
61…調整板セット
70…調整板セット固定台
90…第1解砕歯
100…第2解砕歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの回転軸線が平行に配置され、回転駆動される第1ロータ(11)及び第2ロータ(12)の外周に被破砕物を破砕するために解砕歯(90,100)が配置されたロールクラッシャであって、
本体を構成する機枠(2)と、
前記第1ロータ(11)及び前記第2ロータ(12)の両端を回転自在に前記機枠(2)に支持する軸受(28)と、
前記軸受(28)を鉛直方向と水平の中間の角度で、かつ前記軸受(28)を移動自在に支持する支持面(42)を有する軸受台(41)と、
前記軸受(28)を前記支持面(42)上で駆動すめための軸受駆動機構(44)と
からなることを特徴とする2軸ロールクラッシャ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1ロータ(11)と前記第2ロータ(12)の間の下部に配置され、上下動方向の位置を調整可能で、解砕される原料の流れを制御する調整板ユニット(60)と、
前記調整板ユニット(60)の上下移動を駆動するための調整板ユニット駆動手段(80)と
からなることを特徴とする2軸ロールクラッシャ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記解砕歯(90,100,110)は、原料を解すために前記第1ロータ(11)と前記第2ロータ(12)の軸線方向に間隔を置いた複数の歯(94,96,97,101,106,114)が形成されている
ことを特徴とする2軸ロールクラッシャ。
【請求項4】
請求項3において、
前記調整板ユニット(60)は、前記解砕歯(90,100)で解砕された原料を通すために前記第1ロータ(11)と前記第2ロータ(12)の軸線方向に間隔を置いた板材からなる格子(65)が形成されている
ことを特徴とする2軸ロールクラッシャ。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記櫛歯状の歯(94,96,97,101,106)は、前記第1ロータ(11)と前記第2ロータ(12)の中心軸線から異なる半径位置に段階的に配置されている
ことを特徴とする2軸ロールクラッシャ。
【請求項6】
請求項3又は4において、
前記解砕歯(90,100,110)は、前記複数の歯(94,96,97,101,106)が交換自在で所定数のユニットで構成されており、
前記調整板ユニット(60)は、前記複数の板材からなる格子(65)で形成されている
ことを特徴とする2軸ロールクラッシャ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−240018(P2012−240018A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115149(P2011−115149)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000150291)株式会社中山鉄工所 (35)
【Fターム(参考)】