説明

3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミドを調製する方法

【課題】3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(化合物1)の効率的で大規模実現可能な調製方法の提供。
【解決手段】化合物1を調製する方法であって、a)3−(4−ヒドロキシ−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチルを1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインと接触させ、ブロモ化するステップと、b)該ブロモ化物をバチルス属プロテアーゼと接触させ、加水分解させるステップと、c)該酸を1,1’−カルボニルジイミダゾールと接触させ、次いで、NH2CH3と接触させて、N−メチルアミドを生じさせるステップと、d)該アミド化物を2,4−ジフルオロベンジルブロマイドと接触させるステップとを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミドは、炎症性疾患および呼吸器疾患の治療または予防を含めて多くの病的状態を治療するための治療薬として有用であることが知られている。3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミドの有効性は、p38キナーゼを阻害するその能力に関連していると考えられている。
【背景技術】
【0002】
p38αキナーゼは、例えば炎症、一般には;関節炎;神経炎症;疼痛;発熱;肺障害;心臓血管疾患;心筋症;卒中;虚血;再灌流傷害;腎臓灌流傷害;脳浮腫;神経外傷および脳外傷;神経変性障害;中枢神経系障害;肝臓疾患および腎炎;胃腸状態;潰瘍性疾患;眼疾患;眼科状態;緑内障;眼組織への急性傷害および眼外傷;糖尿病;糖尿病性腎障害;皮膚関連状態;ウイルスおよび細菌感染;感染による筋肉痛;インフルエンザ;内毒素性ショック;毒素ショック症候群;自己免疫疾患;骨吸収疾患;多発性硬化症;女性生殖器系の障害;血管腫、鼻咽頭の血管線維腫および骨の無血管性壊死などの病的(非悪性)状態;癌を含む良性および悪性腫瘍/新生物;白血病;リンパ腫;全身性エリテマトーデス(SLE);新生物を含む血管形成;ならびに転移を誘発するか、その作用の一因となりうると考えられている。
【0003】
2003年8月21日に公開された国際公開第03/068230A1号パンフレットは、3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド、その調製および炎症の治療での使用を記載している。
【特許文献1】国際公開第03/068230A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミドおよび密接に関連している類似体は、次に記載のラセミ経路(経路1)またはキラル経路(経路2)により製造することができる。
【0005】
発見経路をより効率的で大規模実現可能なプロセスにする努力において、いくつかの変更が経路1に導入されている。これらは、改善された反応条件および処理手順だけでなく、新規の反応も含む。発見経路のステップ2、3および4であるアルキル化、加水分解および臭素化の順序が、様々な理由で臭素化、アルキル化および加水分解に変更された。これらは、多数回の抽出および濃縮などの各ステップでの時間のかかる処理を回避することならびにより高い収率を得ることを含む。経路1は、可能な場合、経費のかかる物質の使用を回避する。
【0006】
経路2は、式Iの化合物を調製するための新規キラル経路を開発して、キラルクロマトグラフィーの必要性を排除するために始められた。効率的で大規模実現可能なキラル合成は、選択的酵素加水分解手法を利用することにより確定された。経路2も、可能な場合、経費のかかる物質の使用を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の実施形態は、式Iの化合物:
【0008】
【化1】

を調製するための改善された方法であり、これは、
a)少なくとも1種の溶媒の存在下に、式Vの化合物:
【0009】
【化2】

をハロゲン化試薬と接触させて、式IVの化合物:
【0010】
【化3】

を生じさせるステップと、
b)少なくとも1種の溶媒および塩基の存在下に、式IVの化合物を置換ベンジルハロゲン化物と接触させて、式IIIの化合物:
【0011】
【化4】

を生じさせるステップと、
c)少なくとも1種の溶媒の存在下に、式IIIの化合物を塩基と接触させて、式IIの化合物:
【0012】
【化5】

を生じさせるステップと、
d)少なくとも1種の溶媒の存在下に、式IIの化合物を活性化試薬と接触させ、次いで生じた混合物をアミンと接触させて、式Iの化合物を生じさせるステップとを含む:
[式中、
、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、
は、C〜Cアルキルまたはアリールであり、
は、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、
は、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、
は、HまたはC〜Cアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、
、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【0013】
本発明の第2の実施形態は、式Iの化合物を調製するための改善された方法であり:
これは、
a)少なくとも1種の溶媒の存在下に、式Vの化合物:
【0014】
【化6】

をハロゲン化試薬と接触させて、式IVの化合物:
【0015】
【化7】

を生じさせるステップと、
b)緩衝液の存在下に、式IVの化合物をヒドロラーゼと接触させて、式Xの化合物:
【0016】
【化8】

を生じさせるステップと、
c)少なくとも1種の溶媒の存在下に、式Xの化合物を活性化試薬と接触させ、次いで、生じた混合物をアミンと接触させて、式IXの化合物:
【0017】
【化9】

を生じさせるステップと、
d)塩基および少なくとも1種の溶媒の存在下に、式IXの化合物を置換ベンジルハロゲン化物と接触させて、式Iの化合物を生じさせるステップとを含む:
[式中、
、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、
は、C〜Cアルキルまたはアリールであり、
は、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、
は、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、
は、HまたはC〜Cアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、
、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【0018】
本発明の第3の実施形態は、下記構造を有する式Iの化合物:
【0019】
【化10】

を調製するための改善された方法であり、これは、
a)アセトニトリルの存在下に、下記構造を有する式Vの化合物:
【0020】
【化11】

を1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインと接触させて、下記構造を有する式IVの化合物:
【0021】
【化12】

を生じさせるステップと、
b)二塩基性リン酸カリウム緩衝液の存在下に、式IVの化合物をバチルス属(Bacillus sp.)プロテアーゼと接触させて、下記構造を有する式Xの化合物:
【0022】
【化13】

を生じさせるステップと、
c)ジメチルホルムアミドの存在下に、式Xの化合物を1,1’−カルボニルジイミダゾールと接触させ、次いで、生じた混合物をテトラヒドロフラン中で、NHCHと接触させて、下記構造を有する式IXの化合物:
【0023】
【化14】

を生じさせるステップと、
d)炭酸カリウムおよびN−メチルピロリジノンの存在下に、式IXの化合物を下記構造を有する化合物と:
【0024】
【化15】

と接触させるステップとを含む。
【0025】
本発明の第4の実施形態は、
3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル;
(+)−3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル;
3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド
3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸;
(−)−3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸;および
(−)−1−(5−(1H−イミダゾール−1−カルボニル)−2−メチルフェニル)−3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリジン−2(1H)−オン
または薬学的に許容できるこれらの塩から選択される新規の中間体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の化合物および塩は、当技術分野で通常利用可能な物質から調製することができる。
【0027】
「アルキル」との用語は、1から8個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどが含まれる。
【0028】
「アリール」との用語は、少なくとも1個の芳香環を含む芳香族炭化水素環系を意味する。芳香環は、他の芳香族炭化水素環または非芳香族炭化水素環に縮合していてもよいし、さもなければ、結合していてもよい。アリール基の例には例えば、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インダニルおよびビフェニルが含まれる。
【0029】
「IA族金属」との用語は、アルカリ金属としても知られており、例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウムが含まれる。
【0030】
「IIA族金属」との用語は、アルカリ土類金属としても知られており、例えばカルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシウムが含まれる。
【0031】
「薬学的に許容できる」との用語は、本明細書では形容詞的に、修飾されている名詞が薬学的プロドラッグとして、または薬学的生成物の一部として使用するために適していることを意味するために使用されている。
【0032】
本特許(特許請求の範囲を含む)において「含む」または「含んでいる」との用語の使用に関して、これらの言葉が、排他的ではなく包括的に解釈されるべきであり、出願人が、下記特許請求の範囲を含む本特許の解釈において、これらの言葉がそれぞれそのように解釈されることを意図していることを基礎および明確な理解として、これらの言葉は使用されている。
【0033】
下記は、本明細書で使用される様々な略語の定義である:
MHzは、メガヘルツである。
Hzは、ヘルツである。
Jは、結合定数である。
m/zは、質量電荷比である。
℃は、セルシウス度である。
gは、グラムである。
mgは、ミリグラムである。
mmoleは、ミリモルである。
mLは、ミリリットルである。
μLは、マイクロリットルである。
Mは、モル濃度である。
HPLCは、高速液体クロマトグラフィーである。
「DMAC」は、N,N−ジメチルアセトアミドである。
「DMAP」は、ジメチルアミノピリジンである。
「DMF」は、ジメチルホルムアミドである。
「DMI」は、1,3−ジメチルイミダゾリジノンである。
「DMPU」は、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンである。
「DMSO」は、ジメチルスルホキシドである。
「ee」は、鏡像体過剰率である。
「HCl」は、塩酸である。
「MTBE」は、メチルtert−ブチルエーテルである。
「NMP」は、1−メチル−2−ピロリジノンである。
「TEA」は、トリエチルアミンである。
「TFA」は、トリフルオロ酢酸である。
「THF」は、テトラヒドロフランである。
【0034】
一般的合成
本発明は一部では、式Iの化合物を調製する方法を対象としている:
【0035】
【化16】

[式中、X、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、Rは、HまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、R、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【0036】
式Iの化合物は、下記のラセミ経路(経路1)またはキラル経路(経路2)により製造することができる。
【0037】
本発明に記載の化合物は、アトロプ異性体、即ちキラル回転異性体として存在しうる。本発明は、ラセミアトロプ異性体および分割アトロプ異性体を包含する。いくつかの実施形態では、一方のアトロプ異性体が、他方のアトロプ異性体よりも好ましい。ラセミ経路では、好ましいアトロプ異性体を、キラルカラムクロマトグラフィーにより分離することができる。キラル経路では、キラルカラムクロマトグラフィーの必要性を、選択的酵素加水分解手法を利用することにより排除されている。
【0038】
一実施形態では、本発明は、式Iのラセミ化合物を調製する方法を提供する。経路1を一般に、スキーム1に示す。
【0039】
【化17】

[式中、X、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、C〜Cアルキルまたはアリールであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、Rは、HまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、R、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【0040】
式Vの化合物の調製−方法1
一実施形態では、本発明は、式Vの化合物を調製する方法を提供し、これは、少なくとも1種の溶媒の存在下に、式VIの化合物を式VIIの化合物と接触させることを含む。
【0041】
【化18】

[式中、Rは、C〜Cアルキルまたはアリールであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルである]。
【0042】
通常、少なくとも1種の溶媒および塩基の存在下に、式VIの化合物を式VIIの化合物と接触させる。
【0043】
方法を通常は、約30℃から約300℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約45℃から約150℃である。他の実施形態では、温度は、約60℃から約100℃である。
【0044】
方法を通常は、約4時間から約60時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約2時間から約40時間である。他の実施形態では、時間は、約15時間から約25時間である。
【0045】
溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒である。有用な極性溶媒の例には、エチレングリコールおよびトリフルオロエタノールが含まれる。有用な非極性溶媒の例には、ジクロロベンゼン、キシレンおよびジフェニルエーテルが含まれる。一実施形態では、溶媒は、ジクロロベンゼン、キシレン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールまたはトリフルオロエタノールである。他の実施形態では、溶媒は、トリフルオロエタノールまたはエチレングリコールである。他の実施形態では、溶媒は、エチレングリコールである。
【0046】
一実施形態では、塩基は、無機塩基または有機塩基である。一実施形態では、塩基は、IA族またはIIA族金属の炭酸塩、炭酸水素塩またはアルコキシド、例えば炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシドまたは炭酸水素ナトリウムである。一実施形態では、塩基は例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン(TEA)またはジメチルアミノピリジン(DMAP)などのヒンダード第三級アミンである。一実施形態では、塩基は、炭酸カリウムである。
【0047】
式Vの化合物の調製−方法2
一実施形態では、本発明は、式Vの化合物を調製する方法を提供し、これは、式VIIの化合物を式VIIIの化合物と接触させることを含む。
【0048】
【化19】

[式中、Rは、C〜Cアルキルまたはアリールであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルである]。
【0049】
通常、少なくとも1種の溶媒および酸の存在下に、式VIIの化合物を式VIIIの化合物と接触させる。
【0050】
方法を通常は、約0℃から約250℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約5℃から約100℃である。他の実施形態では、温度は、約15℃から約60℃である。
【0051】
方法を通常は、約0.01時間から約10時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約0.5時間から約7時間である。他の実施形態では、時間は、約1時間から約7時間である。
【0052】
溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒である。有用な極性溶媒の例には、酢酸、低級アルキルカルボン酸およびジメチルホルムアミドが含まれる。有用な非極性溶媒の例には、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、トルエンおよびジクロロメタンが含まれる。一実施形態では、溶媒は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、酢酸または低級アルキルカルボン酸、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドである。一実施形態では、溶媒は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸またはジクロロメタンである。一実施形態では、溶媒は、ジオキサンである。
【0053】
一実施形態では、酸は、有機酸である。他の実施形態では、有機酸は、低級アルキルもしくは置換低級アルキルカルボン酸またはp−トルエンスルホン酸もしくはメタンスルホン酸などのスルホン酸である。一実施形態では、スルホン酸は、メタンスルホン酸である。
【0054】
式VIIIの化合物合成
塩基および少なくとも1種の溶媒の存在下にメルドラム酸をジケテンと接触させることを含む、式VIIIの化合物を調製する方法。
【0055】
【化20】

【0056】
次の手順は、Kang,J;Kim,Y;Park,M;Lee,C.;Kim,W.Synthetic Communications(1984)、14(3)、265〜9で文献に報告されている手順に類似している。
【0057】
方法を通常は、約0℃から約100℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約5℃から約50℃である。他の実施形態では、温度は、約20℃から約25℃である。
【0058】
方法を通常は、約0.01時間から約25時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約0.5時間から約10時間である。他の実施形態では、時間は、約1時間から約5時間である。
【0059】
一実施形態では、塩基は、有機塩基または無機塩基である。有用な無機塩基の例には、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシドおよび炭酸水素ナトリウムなどのIA族またはIIA族炭酸塩、炭酸水素塩またはアルコキシドが含まれる。有用な有機塩基の例には、トリエチルアミン(TEA)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンが含まれる。一実施形態では、塩基は、炭酸カリウム、TEAまたはDMAPである。他の実施形態では、塩基は、TEAである。
【0060】
ステップ1−ハロゲン化
一実施形態では、本発明は、式IVの化合物を調製する方法を提供するが、これは、式Vの化合物をハロゲン化試薬と接触させることを含む。
【0061】
【化21】

[式中、Rは、C〜Cアルキルまたはアリールであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルである]。
【0062】
通常、少なくとも1種の溶媒の存在下に、式Vの化合物を、ハロゲン化試薬と接触させる。
【0063】
方法を通常は、約−40℃から約50℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約−15℃から約20℃である。他の実施形態では、温度は、約−10℃から約10℃である。
【0064】
方法を通常は、約0.5時間から約10時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約1.5時間から約5時間である。一実施形態では、時間は、約1時間から約3時間である。
【0065】
一実施形態では、溶媒は極性溶媒である。有用な例には、アセトニトリル、酢酸または水もしくは低級アルキルアルコールなどの補助溶媒を含む酢酸が含まれる。一実施形態では、溶媒は例えば、アセトニトリル、酢酸または水もしくは低級アルキルアルコールなどの補助溶媒を含む酢酸である。一実施形態では、溶媒は酢酸/水溶液である。他の実施形態では、溶媒はアセトニトリルである。
【0066】
ハロゲン化試薬は、そのままでも溶液でもよい。一実施形態では、ハロゲン化試薬は、臭素化試薬または塩素化試薬である。一実施形態では、臭素化試薬または塩素化試薬は例えば、三臭化フェニルトリエチルアンモニウム、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモスクシンイミド、臭化ピリジニウム、過臭化物、臭素、ジブロモトリフェニルホスホラン、塩化臭素、N−ブロモヒダントイン、N−ブロモカプロラクタム、N−クロロスクシンイミド、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、塩化スルフリル、臭化銅、五塩化リンまたは次亜塩素酸t−ブチルである。一実施形態では、臭素化試薬または塩素化試薬は、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、臭素、塩化臭素または塩素である。他の実施形態では、臭素化試薬は、臭素である。他の実施形態では、臭素化試薬は、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインである。
【0067】
ハロゲン化は、酸の存在下に行うこともできる。一実施形態では、酸は、有機または無機酸である。有用な酸の例には、テトラフルオロホウ酸、臭化水素酸、塩酸、フッ化水素酸、硫酸およびリン酸が含まれる。一実施形態では、酸は、テトラフルオロホウ酸である。
【0068】
ステップ2−ベンジル化
一実施形態では、本発明は、式IIIの化合物を調製する方法を提供し、これは、式IVの化合物を置換ベンジルハロゲン化物と接触させることを含む。
【0069】
【化22】

[式中、X、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、C〜Cアルキルまたはアリールであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルである]。
【0070】
通常、少なくとも1種の溶媒および塩基の存在下に、式IVの化合物を、置換ベンジルハロゲン化物と接触させる。
【0071】
方法を通常は、約0℃から約200℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約15℃から約100℃である。他の実施形態では、温度は、約25℃から約75℃である。
【0072】
方法を通常は、約0.5時間から約40時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約1時間から約10時間である。他の実施形態では、時間は、約1時間から約5時間である。
【0073】
一実施形態では、置換ベンジルハロゲン化物は:
【0074】
【化23】

である[式中、ハロは、クロリド、ブロミドまたはヨージドであり、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルである]。一実施形態では、ハロ置換ベンジルハロゲン化物は例えば、臭化2,4−ジフルオロベンジル、臭化2,3−ジフルオロベンジル、臭化2,5−ジフルオロベンジル、塩化2,4−ジフルオロベンジル、塩化2,3−ジフルオロベンジルまたは塩化2,5−ジフルオロベンジルである。他の実施形態では、ハロ置換ベンジル塩化物は、塩化2,4−ジフルオロベンジルである。他の実施形態では、ハロ置換ベンジルハロゲン化物は、臭化2,4−ジフルオロベンジルである。
【0075】
一実施形態では、溶媒は、極性非プロトン性溶媒である。一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリジノン(NMP)、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)または1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)である。他の実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドである。他の実施形態では、溶媒は、N−メチルピロリジノンである。
【0076】
一実施形態では、塩基は、有機または無機塩基である。有用な無機塩基の例には、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシドおよび炭酸水素ナトリウムなどのIA族またはIIA族炭酸塩、炭酸水素塩またはアルコキシドが含まれる。有用な有機塩基の例には、トリエチルアミン(TEA)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンが含まれる。一実施形態では、塩基は、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシドまたは炭酸水素ナトリウムである。他の実施形態では、塩基は、炭酸カリウムである。
【0077】
ステップ3−加水分解
一実施形態では、本発明は、式IIの化合物を調製する方法を提供し、これは、式IIIの化合物を塩基と接触させることを含む。
【0078】
【化24】

[式中、X、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、C〜Cアルキルまたはアリールであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルである]。
【0079】
通常、少なくとも1種の溶媒の存在下に、式IIIの化合物を塩基と接触させる。
【0080】
方法を通常は、約10℃から約100℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約20℃から約80℃である。他の実施形態では、温度は、約40℃から約75℃である。
【0081】
方法を通常は、約0.5時間から約40時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約1時間から10時間である。他の実施形態では、時間は、約1時間から約5時間である。
【0082】
一実施形態では、塩基は無機塩基である。無機塩基の有用な例には、水酸化カリウム、リチウム、セシウムおよびナトリウムなどのIA族またはIIA族水酸化物塩基または炭酸塩塩基が含まれる。一実施形態では、塩基は、水酸化カリウム、リチウム、セシウムまたはナトリウムである。一実施形態では、塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0083】
一実施形態では、溶媒は1種の溶媒である。他の実施形態では、溶媒は、2種以上の溶媒の混合物を含む。一実施形態では、溶媒は例えば、低級アルキルアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシド(DMSO)などの水混和性有機補助溶媒を含むか含まない水である。一実施形態では、溶媒は水である。一実施形態では、溶媒はアセトニトリルおよび水を含む。
【0084】
他の実施形態では、式IIIの化合物を、タンパク質分解酵素または求核性試薬で非水性条件下に加水分解することもできる。
【0085】
ステップ4−アミド化
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物を調製する方法を提供するが、これは、式IIの化合物を適切な活性化試薬と反応させ、次いで、生じた混合物を適切な第一級または第二級アミンと接触させて、式Iの化合物を生じさせることを含む。
【0086】
【化25】

[式中、X、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、Rは、HまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、R、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【0087】
通常、少なくとも1種の溶媒の存在下に、式IIの化合物を活性化試薬と接触させ、次いで、生じた混合物をアミンと接触させる。
【0088】
方法を通常は、約0℃から約50℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約1℃から約25℃である。他の実施形態では、温度は、約5℃から約15℃である。
【0089】
方法を通常は、約0.01時間から約35時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約0.5時間から約10時間である。他の実施形態では、時間は、約1時間から約5時間である。
【0090】
活性化剤は、カルボン酸を活性化する試薬である。活性化とは、カルボン酸の求電子性を高めて、求核性作用に対する反応性を高めることを意味している。一実施形態では、活性化剤は、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド、塩化チオニル、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、三臭化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化ピリジニウム、過臭化物、臭素、ジブロモトリフェニルホスホラン、塩化臭素、N−ブロモヒダントインまたはN−ブロモカプロラクタムである。一実施形態では、活性化剤は、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド、塩化チオニル、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、三塩化リンまたは五塩化リンである。一実施形態では、活性化試薬は、塩化オキサリルである。他の実施形態では、活性化試薬は、カルボニルジイミダゾールである。
【0091】
溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒である。極性溶媒の有用な例には、ジメチルホルムアミド、酢酸および低級アルキルカルボン酸が含まれる。有用な非極性溶媒の例には、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテルおよびトルエンが含まれる。一実施形態では、溶媒は例えば、ジメチルホルムアミド、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテルまたはトルエンである。一実施形態では、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジクロロエタン、テトラヒドロフランまたはジオキサンである。他の実施形態では、溶媒はジクロロエタンである。一実施形態では、溶媒はジメチルホルムアミドである。
【0092】
一実施形態では、アミンは、HNRであり、ここで、RはHまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、R、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する。一実施形態では、RはHである。一実施形態では、RはC〜Cアルキルである。一実施形態では、アミンは、メチルアミンである。通常、加える前に、アミンを溶媒と混合する。一実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフランまたは水である。他の実施形態では、溶媒は、メタノール、テトラヒドロフランまたは水である。一実施形態では、溶媒はテトラヒドロフランである。一実施形態では、アミンは、メチルアミンのテトラヒドロフラン溶液である。
【0093】
場合によって、酸を使用して、反応を処理することもできる。一実施形態では、酸は、有機または無機酸である。有用な酸の例には、酢酸、クエン酸、HClおよび硫酸が含まれる。一実施形態では、酸は、酢酸、クエン酸、HClまたは硫酸である。一実施形態では、酸は、HCl、酢酸または硫酸である。一実施形態では、酸は、HClである。
【0094】
式Iの化合物は、濾過または標準的な抽出もしくは蒸発方法により単離することができる。
【0095】
当業者であれば、酸塩化物中間体の代わりに低級アルキルカルボン酸無水物中間体またはアシルイミダゾール中間体などの混合無水物中間体を使用する、この生成物の製造の代替形態を認めることができる。典型的なヒンダードアミン塩基の存在下に典型的なアルキルクロロギ酸エステルを使用して、混合無水物中間体を合成することができる。カルボニルジイミダゾールなどの試薬を使用して、アシルイミダゾール中間体を合成することができる。
【0096】
ステップの順序を、いくつかの可能な方法で再配列することもできる。一実施形態では、加水分解およびアミド化を、ベンジル化ステップの前に行うこともできる。
【0097】
他の実施形態では、本発明は、経路2に従い、式Iの化合物の鏡像異性的に富化された混合物または専ら単一の鏡像体を調製する方法を提供する。経路2は通常、スキーム2で示される。
【0098】
【化26】

[式中、X、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、C〜Cアルキルまたはアリールであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、Rは、HまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、R、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【0099】
式VおよびIVの化合物は、経路1での前記と同様に調製することができる。
【0100】
ステップ1−プロテアーゼ反応
一実施形態では、本発明は、式Xの化合物を調製する方法を提供し、これは、式IVの化合物をヒドロラーゼと接触させることを含む。
【0101】
【化27】

[式中、Rは、C〜Cアルキルまたはアリールであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルである]。
【0102】
通常、緩衝液の存在下に、式IVの化合物をヒドロラーゼと接触させる。
【0103】
方法を通常は、約5℃から約80℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約10℃から約60℃である。他の実施形態では、温度は、約20℃から約40℃である。
【0104】
方法を通常は、約5時間から約100時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約25時間から約75時間である。他の実施形態では、時間は、約30時間から約60時間である。
【0105】
方法を通常は、約6から約12のpHで実施する。一実施形態では、pHは、約8から約11である。他の実施形態では、pHは、約9から約10である。他の実施形態では、pHは、約9である。
【0106】
一実施形態では、緩衝液は、無機緩衝液である。他の実施形態では、緩衝液は例えば、リン酸カリウム緩衝液または無機炭酸水素塩緩衝液である。一実施形態では、緩衝液は、二塩基性リン酸カリウム緩衝液である。通常、緩衝液のモル濃度は、約1Mである。
【0107】
一実施形態では、適切な酵素溶液は、リパーゼまたはプロテアーゼなどのヒドロラーゼである。一実施形態では、ヒドロラーゼは、式Xの化合物の(−)鏡像体を過剰に生成する。一実施形態では、特に有用なヒドロラーゼは、(−)鏡像体を少なくとも80%の鏡像体過剰率で生成するものである。他の実施形態では、特に有用なヒドロラーゼは、(−)鏡像体を少なくとも85%の鏡像体過剰率で生成するものである。他の実施形態では、特に有用なヒドロラーゼは、(−)鏡像体を少なくとも90%の鏡像体過剰率で生成するものである。他の実施形態では、特に有用なヒドロラーゼは、(−)鏡像体を少なくとも95%の鏡像体過剰率で生成するものである。他の実施形態では、特に有用なヒドロラーゼは、(−)鏡像体を少なくとも99%の鏡像体過剰率で生成するものである。一実施形態では、ヒドロラーゼは、バチルス属(Bacillus sp.)プロテアーゼ溶液(Savinase(登録商標)、Novozyme、Bagsvaerd、デンマーク)である。
【0108】
一実施形態では、ヒドロラーゼは、式Xの化合物をラセミ混合物として生成する。他の実施形態では、ヒドロラーゼは式Xの化合物の(+)鏡像体を過剰に生成する。
【0109】
一実施形態では、式Xの化合物の(−)鏡像体が好ましい。式IVの化合物の(+)鏡像体を単離および除去することができる。通常の非プロトン性有機溶媒中、約100℃から約300℃の範囲の温度で、ラセミ混合物に熱異性化することにより、(+)鏡像体を再循環させることもできる。
【0110】
通常、式IVの化合物の(+)鏡像体を、高沸点非プロトン性溶媒、ハロゲン化または置換芳香族または脂肪族溶媒と接触させる。
【0111】
高沸点非プロトン性溶媒、ハロゲン化または置換芳香族または脂肪族溶媒は、クロロベンゼン、アニソール、ジオキサン、NMP、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドであってもよい。
【0112】
方法を通常は、約0℃から約200℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約75℃から約150℃である。他の実施形態では、温度は、約100℃から約140℃である。
【0113】
方法を通常は、約30時間から約200時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約20時間から約100時間である。他の実施形態では、時間は、約50時間から約75時間である。
【0114】
ステップ3−アミド化
一実施形態では、本発明は、式IXの化合物を調製する方法を提供するが、これは、式Xの化合物を適切な活性化剤と反応させ、次いで、生じた混合物を適切な第一級または第二級アミンと接触させて、式IXの化合物を生じさせることを含む。
【0115】
【化28】

[式中、Xは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、Rは、HまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、R、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【0116】
一実施形態では、式XおよびIXの化合物は、(−)鏡像体である。
【0117】
通常、少なくとも1種の溶媒の存在下に、式Xの化合物を活性化試薬と接触させ、次いで、生じた混合物をアミンと接触させる。
【0118】
方法を通常は、約0℃から約100℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約10℃から約50℃である。一実施形態では、温度は、約15℃から約30℃である。
【0119】
方法を通常は、約0.1時間から約10時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約0.5時間から約5時間である。他の実施形態では、時間は、約1時間から約3時間である。
【0120】
一実施形態では、活性化試薬は、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド、塩化チオニル、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、三臭化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化ピリジニウム、過臭化物、臭素、ジブロモトリフェニルホスホラン、塩化臭素、N−ブロモヒダントインまたはN−ブロモカプロラクタムである。一実施形態では、活性化試薬は、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド、塩化チオニル、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、三塩化リンまたは五塩化リンである。一実施形態では、試薬は、塩化オキサリルである。他の実施形態では、活性化試薬は、カルボニルジイミダゾールである。
【0121】
溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒である。極性溶媒の有用な例には、ジメチルホルムアミド、酢酸および低級アルキルカルボン酸が含まれる。有用な非極性溶媒の例には、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテルおよびトルエンが含まれる。一実施形態では、溶媒は例えば、ジメチルホルムアミド、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテルまたはトルエンである。一実施形態では、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジクロロエタン、テトラヒドロフランまたはジオキサンである。他の実施形態では、溶媒はジクロロエタンである。一実施形態では、溶媒はジメチルホルムアミドである。
【0122】
一実施形態では、アミンは、HNRであり、ここで、RはHまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、R、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する。一実施形態では、RはHである。一実施形態では、RはC〜Cアルキルである。一実施形態では、アミンは、メチルアミンである。通常、加える前に、アミンを溶媒と混合する。一実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフランまたは水である。他の実施形態では、溶媒は、メタノール、テトラヒドロフランまたは水である。一実施形態では、溶媒はテトラヒドロフランである。一実施形態では、アミンは、メチルアミンのテトラヒドロフラン溶液である。
【0123】
場合によって、酸を使用して、反応を処理することもできる。一実施形態では、酸は、有機または無機酸である。有用な酸の例には、酢酸、クエン酸、HClおよび硫酸が含まれる。一実施形態では、酸は、酢酸、クエン酸、HClまたは硫酸である。一実施形態では、酸は、HCl、酢酸または硫酸である。一実施形態では、酸はHClである。
【0124】
ステップ4−ベンジル化
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物を調製する方法を提供し、これは、式IXの化合物を置換ベンジルハロゲン化物と反応させることを含む。
【0125】
【化29】

[式中、X、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、Rは、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、RはHまたはC〜Cアルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、R、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【0126】
一実施形態では、式IXおよびIの化合物は、(−)鏡像体である。
【0127】
通常、塩基および少なくとも1種の溶媒の存在下に、式IXの化合物を、置換ベンジルハロゲン化物と接触させる。
【0128】
方法を通常は、約0℃から約200℃の温度で実施する。一実施形態では、温度は、約25℃から約100℃である。他の実施形態では、温度は、約50℃から約75℃である。
【0129】
方法を通常は、約0.5時間から約20時間の時間実施する。一実施形態では、時間は、約1時間から約10時間である。他の実施形態では、時間は、約2時間から約4時間である。
【0130】
一実施形態では、置換ベンジルハロゲン化物は:
【0131】
【化30】

である[式中、ハロは、クロリド、ブロミドまたはヨージドであり、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルである]。一実施形態では、ハロ置換ベンジルハロゲン化物は例えば、臭化2,4−ジフルオロベンジル、臭化2,3−ジフルオロベンジル、臭化2,5−ジフルオロベンジル、塩化2,4−ジフルオロベンジル、塩化2,3−ジフルオロベンジルまたは塩化2,5−ジフルオロベンジルである。他の実施形態では、ハロ置換ベンジル塩化物は、塩化2,4−ジフルオロベンジルである。他の実施形態では、ハロ置換ベンジルハロゲン化物は、臭化2,4−ジフルオロベンジルである。
【0132】
一実施形態では、塩基は、有機または無機塩基である。有用な無機塩基の例には、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシドおよび炭酸水素ナトリウムなどのIA族またはIIA族炭酸塩、炭酸水素塩またはアルコキシドが含まれる。有用な有機塩基の例には、トリエチルアミン(TEA)またはジメチルアミノピリジン(DMAP)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどのヒンダードアミンが含まれる。一実施形態では、塩基は、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシドまたは炭酸水素ナトリウムである。他の実施形態では、塩基は、炭酸カリウムである。
【0133】
一実施形態では、溶媒は、極性非プロトン性溶媒である。一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−ジメチルホルムアミド)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)またはN−メチルピロリジノン(NMP)、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)である。他の実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドである。他の実施形態では、溶媒は、N−メチルピロリジノンである。
【0134】
一実施形態では、生成物を、適切な溶媒および/または補助溶媒系を使用する粉砕または沈殿により精製する。一実施形態では、溶媒は、メタノール、1−ブタノール、エタノール、酢酸エチルまたは2−プロパノールである。一実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノールまたは酢酸エチルである。一実施形態では、溶媒は、メタノールである。
【0135】
当業者であれば、ステップの順序が、別の順番であってもよいことは認めるであろう。スキーム6は、いくつかの可能な順序を示している。
【0136】
【化31】

【0137】
順序1:ハロゲン化、加水分解、アミド化。順序2:加水分解、ハロゲン化、アミド化。順序3:加水分解、アミド化、ハロゲン化。順序4:3−アミノ−4−メチル安息香酸で開始、アミド化、ハロゲン化。これらの手法すべてにおける最終ステップは、ベンジル化ステップであることに留意されたい。
【0138】
一実施形態では、本発明は、新規の中間体を提供する。一実施形態では、化合物は、
3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル;
(+)−3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル;
3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド;
3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸;
(−)−3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸;および
(−)−1−(5−(1H−イミダゾール−1−カルボニル)−2−メチルフェニル)−3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリジン−2(1H)−オン
または薬学的に許容できるこれらの塩から選択される。
【0139】
本発明の化合物は、無機または有機酸から誘導された塩の形態で使用することができる。特定の化合物によっては、様々な温度および湿度での高い薬学的安定性または水もしくは油への望ましい可溶性などの1つまたは複数の塩の物理的特性により、化合物の塩が有利であることもある。場合によって、化合物の塩を、化合物を単離、精製および/または分割する際の補助として使用することもできる。
【0140】
非毒性の薬学的に許容できる塩には、これらに限られないが、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸および硝酸などの無機酸の塩またはギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、乳酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、サリチル酸およびステアリン酸などの有機酸の塩が含まれる。同様に、薬学的に許容できるカチオンには、これらに限られないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムおよびアンモニウムが含まれる。当業者であれば、幅広い非毒性の薬学的に許容できる付加塩が分かるであろう。
【0141】
本発明に記載の化合物は、アトロプ異性体、即ちキラル回転異性体として存在しうる。これらの化合物は例えば、ラセミ化合物、キラル非ラセミまたはジアステレオ異性体であってもよい。これらの場合、単一の鏡像体、即ち光学活性な形態を、不斉合成により、またはラセミ化合物の分割により得ることができる。例えば、分割剤の存在下での結晶化;例えばキラルHPLCカラムを使用するクロマトグラフィー;熱的もしくは運動学的分割;またはラセミ混合物を分割試薬で誘導体化して、ジアステレオ異性体を生じさせ、クロマトグラフィーもしくは選択的結晶化を介してジアステレオ異性体を分離し、分割剤を除去して、元の化合物を鏡像異性的に富化された形態で生じさせることなどの従来の方法により、ラセミ化合物の分割を達成することができる。任意の前記手順を繰り返すか、組み合わせて、化合物の鏡像異性純度を高めることができる。
【0142】
本発明に記載の化合物は、アトロプ異性体、即ちキラル回転異性体として存在しうる。本発明は、ラセミおよび分割されたアトロプ異性体を包含する。次の図は、アトロプ異性体として存在しうる化合物(Z)、さらに、その2種の可能なアトロプ異性体(A)および(B)を一般的に示している。この図はさらに、アトロプ異性体(A)および(B)をそれぞれフィッシャー投影で示している。この図では、RおよびXは、式Iでの前記と同じ定義を有し、Rp’は、Rの定義の範囲内の置換基であり、Rは、CONRの定義の範囲内の置換基であり、Dは、置換ベンジルオキシを表す。
【0143】
【化32】

【0144】
鏡像異性的に富化されている場合、一方の鏡像体が、他方よりも多い量で存在し、富化の規模は、100(2x−1)と定義される鏡像体過剰率(「ee」)の表現により定義することができ、ここで、xは、鏡像体混合物中で優勢な鏡像体のモル分率である(例えば、20%のeeは、鏡像体の60:40比に対応している)。
【0145】
詳細な実施例
次の実施例は、単なる例示であり、本開示の残りの部分を何ら制限しない。
【実施例1】
【0146】
スキーム7および8は、実施例1に記載されている合成全体を示している。
【0147】
【化33】

【0148】
【化34】

【0149】
(−)−3−[3−ブロモ−4−[(2,4−ジフルオロベンジル)オキシ]−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N,4−ジメチルベンズアミド(1)を調製するためのラセミ方法を次に記載する。
【0150】
ピロン6を使用する3−(4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(5)の合成
【0151】
【化35】

4−ヒドロキシ−6−メチルピラノン(6)(1.18kg、9.34モル)、安息香酸メチル−3−アミノ−4−メチル(7)(1.0kg、6.21モル)、触媒量のKCO(102gm、0.74モル)およびトリフルオロエタノール2Lを混合し、窒素下に22時間、80〜87℃に加熱した。反応が完了した後に、混合物を65℃に冷却し、酢酸エチル11.3Lを加え、溶液を5〜10℃に徐々に冷却した。生成物を集め、酢酸エチル2Lで洗浄すると、3−(4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチルの単離収率約55%が得られた。
【0152】
あるいは、3−(4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(5)を、5−(1−ヒドロキシ−3−オキソブチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(8)を使用して次のように調製することもできる:
【0153】
【化36】

3−アミノ−4−メチル安息香酸メチル(7)(2.0g、12.1ミリモル)および5−(1−ヒドロキシ−3−オキソブチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(8)(3.86g、16.94ミリモル、1.4当量)のジオキサン(20mL)中の混合物を還流で5分間加熱し、50℃に冷却した。次いで、混合物をメタンスルホン酸1.16gで処理し、還流で5分間加熱した。液体クロマトグラフィーにより、反応(環化)が本質的に完了したことが示された。混合物を粉砕氷水60mLに注ぎ、1.5時間攪拌した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、風乾させると、生成物2.47g(収率75%)が得られた。
【0154】
【化37】

前記の手順は、Kang,J;Kim,Y;Park,M;Lee,C.;Kim,W.Synthetic Communications(1984)、14(3)、265〜9で文献に記載されている手順の変更である。本質的には、ジクロロメタン中、TEAの存在下、20〜25℃で2時間、メルドラム酸をジケテンと反応させて、5−(1−ヒドロキシ−3−オキソブチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(8)80%を得た。
【0155】
3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(4)の合成
【0156】
【化38】

3−(4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(5)(1.6kg、5.85モル)の酢酸6.4L/水1.6L中の懸濁液を15℃に冷却した。臭素973gの酢酸1.6L溶液を調製し、滴下漏斗を介して、反応に徐々に加えた。臭素を加える間に、混合物は均一になり、続いて、白色の沈殿物を形成した。添加が完了した後に、混合物をさらに15分間攪拌した。混合物を水16Lで希釈し、生成物を濾過し、水12L、続いて冷アセトニトリル9.6L(0〜5℃)で洗浄した。固体を乾燥させると、生成物1.85kg(90%)が得られた。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 1.80(s,3H)、2.04(s,3H)、3.86(s,3H)、6.15(s,1H)、7.59(d,J=8.1Hz)、7.73(s,1H)、7.98(d,J=8.1,1H)、11.6(bs,1H)。元素分析C1514BrNOの計算値:C,51.16;H,4.01;N,3.98。実測値:C,50.83;H,4.02;N,4.00。
【0157】
3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(3)の合成
【0158】
【化39】

3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(4)(1.9kg、5.4モル)、N,N−ジメチルホルムアミド(4.8L)および粉末KCO(1.1kg、8.1モル)を共に混合し、窒素下に55℃に加熱した。温度が65℃未満に維持されるような速度で、塩化2,4−ジフルオロベンジル(964g、5.9モル)を加えた。添加の後に、混合物を65℃に3.5時間加熱した。3時間後に、反応が完了し、水19Lを加えることで、反応混合物を20〜25℃に冷却した。固体を濾過し、水15Lで洗浄した。次いで、粗製生成物を、還流メタノール(4L)中で粉砕することにより精製した。混合物を冷却し、固体を濾過すると、生成物2.32kg(90%)が得られた。H NMR(300MHz,CDCl)δ 1.90(s,3H)、2.11(s,3H)、3.87(s,3H)、5.25(s,2H)、6.11(s,1H)、6.88(dt,J=4.8,1.8Hz,1H)、6.96(t,J=4.8Hz,1H)、7.42(d,J=6Hz,1H)、7.59(q,J=4.8Hz,1H)、7.74(s,1H)、8.02(d,J=6Hz,1H)。元素分析C2218BrFNOの計算値:C,55.25;H,3.79;N,2.93。実測値:C,55.34;H,3.83;N,3.14。
【0159】
3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸(2)の調製
【0160】
【化40】

3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(3)(3.4kg、7.1モル)、2.5MのNaOH(3.1L、7.8モル)、CHCN(12L)および水8.6Lを共に混合し、窒素下に60℃に加熱した。混合物が均一になったら、混合物をさらに1時間攪拌した。反応混合物を20℃に冷却し、次いで、温度が25℃未満に維持されるような速度で、濃HCl865mlで処理した。HCl添加が完了した後に、混合物をさらに1時間攪拌した。生成物を濾過し、CHCN12Lで洗浄し、乾燥させると、付加生成物2.87kg(87%)が得られた。H NMR(300MHz,CDOD)δ 7.87(dd,J=7.8,1.6Hz,1H)、7.82(d,J=1.8Hz,1H)、7.69(q,J=8.1Hz,1H)、7.57(d,J=8.1Hz,1H)、7.09(dt,J=2.2,8.6Hz,1H)、6.7(s,1H)、5.4(s,2H)、2.14(s,3H)、2.02(s,3H)(d,J=2.4Hz,1H)、3.94(s,3H)、2.15(s,3H)、1.91(s,3H)。ES−HRMS m/z 464.0275(C2117BrFNOのM+H計算値は464.0304)。元素分析C2116BrFNOの計算値:C,54.33;H,3.47;N,3.02。実測値:C,54.40;H,3.42;N,3.17
【0161】
(−)3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(1)の調製
【0162】
【化41】

3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸(2)(1.4kg、3.0モル)を、N,N−ジメチルホルムアミド28mlを伴うテトラヒドロフラン7Lに懸濁させ、5℃に冷却した。温度が10℃未満に維持され、ガスの発生が制御される速度で、塩化オキサリル(368ml、4.22モル)を反応器に加えた。塩化オキサリルを加えた後に、反応混合物を室温に加温した。混合物が均一になると、反応は完了した。反応混合物を別の容器に排出し、取っておいた。40%メチルアミン(4.4L、50.3モル)および水2.6Lを反応器に加え、5℃未満に冷却した。次いで、温度が15℃未満に維持される速度で、反応混合物を冷却されたメチルアミン溶液に加えた。添加が完了したら、混合物を室温に加温し、さらに30分間攪拌した。水12.6Lを混合物に加え、攪拌をさらに1時間継続した。生成物を濾過し、水10Lで洗浄すると、1.25kg(90%)が得られた。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 7.95(bs,1H)、7.88(dd,J=1.2,5.7Hz,1H)、7.68(q,J=5.1Hz,1H)、7.64(d,J=1.2Hz,1H)、7.46(d,J=6.0Hz,1H)、7.36(bs,1H)、7.29(dt,J=1.8,7.8Hz,1H)、7.16(dt,J=1.8,76.0Hz,1H)、6.70(s,1H)、6.18(s,1H)、5.33(s,2H)、3.32(s,3H)、1.97(s,3H)、1.88(s,3H)。元素分析C2117BrF+0.66 EtOH+0.1 HOの計算値:C,54.11;H,4.30;N,5.65。実測値:C,54.03;H,4.59;N,5.79
【0163】
次いで、製造されたラセミ生成物3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(1)を、Chiralcel OJ(商標)またはChiralpak(登録商標)AD(商標)(Daicel Chemical Industries、日本)などのキラル固定相を移動相としてのメタノールまたはエタノールと共に使用してクロマトグラフィー処理すると、対応する(−)−3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(1)が単離された。
【実施例2】
【0164】
スキーム9は、実施例2に記載されている合成全体を示している。
【0165】
【化42】

【0166】
ラセミ3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミドのための方法の展開に続いて、(−)−3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミドを直接調製する方法が展開されており、これは次のように記載される。
【0167】
ステップ1
【0168】
【化43】

4−ヒドロキシ−6−メチルピラノン(6)(6.71kg、53.2モル)、安息香酸メチル−3−アミノ−4−メチル(7)(4.50kg、27.2モル)、触媒量のKCO(0.54kg、3.91モル)、アセトニトリル(6.14L)およびエチレングリコール(6.14L)を窒素下に混合し、アセトニトリルを真空蒸留により除去した。反応を65℃で18〜24時間攪拌した。反応の後に、混合物を25℃に冷却した。1:1のアセトニトリル/水溶液(それぞれ6.14L)を混合物に加えた。混合物を90分間攪拌し、0℃に冷却した。生成物を集め、1:1のアセトニトリル/水溶液(それぞれ3.4L)で洗浄し、乾燥させると、3−(4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(5)の単離収率60%が得られた。
【0169】
ステップ2
【0170】
【化44】

1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(1.375kg、4.81モル)のアセトニトリル(11.5L)溶液を、3−(4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(5)(2.50kg、9.15モル)のアセトニトリル(4.8L)溶液に加えた。−10℃未満の温度を維持する速度で、溶液を90から180分間加えた。反応の完了後に、蒸留を介して、アセトニトリルの一部(約6L)を除去した。水(7.9L)を加えることにより、生成物を沈殿させ、濾過すると、3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(4)2.90kg(90%)が得られた。
【0171】
ステップ3
【0172】
【化45】

(+/−)3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチル(4)(1kg、2.84モル)を、1Mの二塩基性リン酸カリウム緩衝液(二塩基性リン酸カリウム(3.05kg、17.5モル)および水(16.4L))と混合し、25℃に加温した。溶液のpHを、10%NaOH溶液(約4.2L)で9.1に調節し、続いて、Savinase(登録商標)酵素(Novozyme、Bagsvaerd、デンマーク)を加え、30℃に加温した。約40〜45時間攪拌した後に、6NのHCl(2.3L)を使用して、溶液のpHを6.0に調節し、30分間攪拌した。生じた沈殿物は、(+)−3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸メチルエステル(423gm)の未反応の鏡像体であり、これを、濾過により単離し、水で洗浄した。水性濾液を、塩化メチレン5.0Lで洗浄した。次いで、これを、6NのHCl2.1Lを用いて、pH3.6にさらに酸性化して、沈殿させ、濾過により、光学的に富化された酸の(−)3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸(10)を単離した。生成物1.3kg(理論量の80%)が乾燥の後に得られた。
【0173】
ステップ4
【0174】
【化46】

(−)3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−4−メチル安息香酸(10)(1.50kg、4.44モル)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(1.08kg、6.66モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)を周囲温度で共に混合した。活性化反応が完了したと考えられたら、温度を30℃未満に維持する速度で、テトラヒドロフラン中2Mのメチルアミン溶液(5.5L、11.1モル)を加えた。反応が完了すると、混合物は均一になった。1Nの塩酸溶液(15.4kg)を加えて、pH3以下を達成した。酸性化により、生成物が沈殿した。生成物を濾過し、水で洗浄し、60℃で一晩真空乾燥させると、(−)3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(9)(1.56kg、4.44モル、純度97%)が得られた。
【0175】
ステップ5
【0176】
【化47】

3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(9)(1kg、2.85モル)、炭酸カリウム(0.43kg、3.11モル)、1−メチル−2−ピロリジノン(4.0L)および臭化2,4−ジフルオロベンジル(0.71kg、3.42モル)を共に混合し、30℃に2時間加熱した。反応混合物を水(12.5L)で30から60分かけて希釈し、次いで、30から60分間攪拌した。生成物を濾過し、水で洗浄した。(−)−3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(1)(1.36kg、純度95%、99%を超えるee)が得られた。
【0177】
次いで、生成物を精製した。(−)−3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(1)(4.0kg、8.4モル)およびメタノール(13L)を共に混合し、60℃にし、1時間攪拌した。生成物を濾過し、周囲温度のメタノール(3.0L)で洗浄すると、(−)−3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド(1)(2.9kg、6.1モル、純度98.4%)が得られた。
【0178】
実施形態の前記の詳細な説明は、他の当業者に、本発明、その原理およびその実際の用途を熟知させて、特定の使用の要求に最適であるように、本発明を他の当業者が数多くの形態に適合させ、適用することができるようにすることだけを意図している。したがって本発明は、前記の実施形態に限られず、様々に変更することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

を調製する方法であって、
a)少なくとも1種の溶媒の存在下に、式Vの化合物:
【化2】

をハロゲン化試薬と接触させて、式IVの化合物:
【化3】

を生じさせるステップと、
b)緩衝液の存在下に、式IVの化合物をヒドロラーゼと接触させて、式Xの化合物:
【化4】

を生じさせるステップと、
c)少なくとも1種の溶媒の存在下に、式Xの化合物を活性化試薬と接触させ、次いで、生じた混合物をアミンと接触させて、式IXの化合物:
【化5】

を生じさせるステップと、
d)塩基および少なくとも1種の溶媒の存在下に、式IXの化合物を置換ベンジルハロゲン化物と接触させて、式Iの化合物を生じさせるステップとを含む方法:
[式中、
、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、
は、C〜Cアルキルまたはアリールであり、
は、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、
は、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、
は、HまたはC〜Cアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキルまたはアリールであり、または、
、Rおよびそれらが結合している窒素は、独立にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシC〜Cアルキル、C〜Cジヒドロキシアルキルまたはハロゲンである1または2個の基で置換されていてもよい、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはピペラジニル環を形成する]。
【請求項2】
式Vの化合物:
【化6】

の調製が、
少なくとも1種の溶媒および塩基の存在下に、式VIの化合物:
【化7】

を式VIIの化合物:
【化8】

と接触させるステップを含む請求項1に記載の方法:
[式中、
は、C〜Cアルキルまたはアリールであり、
は、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、
は、ハロまたはC〜Cアルキルである]。
【請求項3】
式Vの化合物:
【化9】

の調製が、
少なくとも1種の溶媒および酸の存在下に、式VIIの化合物:
【化10】

を式VIIIの化合物:
【化11】

と接触させるステップを含む請求項1に記載の方法:
[式中、
は、C〜Cアルキルまたはアリールであり、
は、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、および、
は、ハロまたはC〜Cアルキルである]。
【請求項4】
前記式Iの化合物が、(−)−3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミドまたは薬学的に許容できるその塩である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(−)−3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミドが80%の鏡像体過剰率で存在する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップaでの前記ハロゲン化試薬が、三臭化フェニルトリエチルアンモニウム、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモスクシンイミド、臭化ピリジニウム、過臭化物、臭素、ジブロモトリフェニルホスホラン、塩化臭素、N−ブロモヒダントイン、N−ブロモカプロラクタム、N−クロロスクシンイミド、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、塩化スルフリル、臭化銅、五塩化リンまたは次亜塩素酸t−ブチルである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップaでの前記溶媒が、アセトニトリル、酢酸または水、低級アルキルアルコールもしくはジオキサンなどの補助溶媒を含む酢酸である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップbでの前記ヒドロラーゼが、リパーゼまたはプロテアーゼである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップbでの前記緩衝液が、二塩基性リン酸カリウム緩衝液または無機炭酸水素塩緩衝液である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップcでの前記活性化試薬が、1,1’−カルボニルジイミダゾール、塩化チオニル、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、三臭化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化ピリジニウム、過臭化物、臭素、ジブロモトリフェニルホスホラン、塩化臭素、N−ブロモヒダントインまたはN−ブロモカプロラクタムである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップcでの前記溶媒がジメチルホルムアミド、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテルまたはトルエンである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップcでの前記アミンがHNRであり、ここで、RがHであり、RがC〜Cアルキルである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップdでの前記置換ベンジルハロゲン化物が、
【化12】


[式中、
ハロは、クロリド、ブロミドまたはヨージドであり、
、X、X、X、XおよびXは独立に、H、ハロまたはC〜Cアルキルである]
である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップdでの前記溶媒がN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、1,3−ジメチルイミダゾリジノンまたは1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンである請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステップdでの前記塩基が、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシド、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒がジクロロベンゼン、キシレン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールまたはトリフルオロエタノールである請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記塩基が炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシド、炭酸水素ナトリウム、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンまたはジメチルアミノピリジンである請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記溶媒がジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、酢酸もしくは低級アルキルカルボン酸、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドである請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記酸がスルホン酸である請求項3に記載の方法。
【請求項20】
下記構造を有する式Iの化合物:
【化13】

を調製する方法であって、
a)アセトニトリルの存在下に、下記構造を有する式Vの化合物:
【化14】

を1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインと接触させて、下記の構造を有する式IVの化合物:
【化15】

を生じさせるステップと、
b)リン酸カリウム緩衝液の存在下に、式IVの化合物をバチルス属(Bacillus sp.)プロテアーゼと接触させて、下記構造を有する式Xの化合物:
【化16】

を生じさせるステップと、
c)ジメチルホルムアミドの存在下に、式Xの化合物を1,1’−カルボニルジイミダゾールと接触させ、次いで、生じた混合物をテトラヒドロフラン中で、NHCHと接触させて、下記構造を有する式IXの化合物:
【化17】

を生じさせるステップと、
d)炭酸カリウムおよびN−メチルピロリジノンの存在下に、式IXの化合物を下記構造を有する化合物:
【化18】

と接触させるステップとを含む方法。

【公開番号】特開2008−231090(P2008−231090A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−319333(P2007−319333)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】