3次元形状表示装置およびプログラム
【課題】3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながらモデルの簡略化を行うことのできる3次元形状表示装置を得る。
【解決手段】視点情報が変更された場合、距離計算部3は3次元モデルから視点までの距離を計算する。設備詳細度決定部4は、距離計算部3で計算された距離に応じた設備詳細度を決定する。データ管理部6に設備詳細度に対応した簡略化モデルが格納されていない場合、簡略化モデル作成部5は、3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する。
【解決手段】視点情報が変更された場合、距離計算部3は3次元モデルから視点までの距離を計算する。設備詳細度決定部4は、距離計算部3で計算された距離に応じた設備詳細度を決定する。データ管理部6に設備詳細度に対応した簡略化モデルが格納されていない場合、簡略化モデル作成部5は、3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元形状の表示対象を簡略化して表示する3次元形状表示装置およびこの3次元形状表示装置をコンピュータで実現するための3次元形状表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元モデルはポリゴンとよばれる多角形で構成されている。3次元形状の表示を行う際、複雑なモデルは構成するポリゴン数が多いため、表示速度が低下する。表示速度の高速化のためには、モデルの簡略化を行い、ポリゴン数を削減する必要がある。しかし、ポリゴン数の削減を行えば、表示結果の品質は低下する。そこで、表示結果の品質を保持しながら、高速な表示を行う手法として知られているのがLOD(Level of Detail)と呼ばれる手法である。この手法では、視点から近距離のモデルは詳細度の高いモデルを適用し、遠距離になるにつれて詳細度の低いモデルを使用する。遠距離のモデルは小さく表示されるため、高い詳細度を必要としない点に着目し、効果的なモデルの簡略化が可能となる。LODでは、複数の詳細度のモデルを保持し、視点から任意の距離において、表示するモデルの詳細度を選択する必要がある。
【0003】
従来、視点からモデルまでの距離というパラメータだけではなく、モデル毎に観測に適した方向ベクトルというパラメータを追加し、詳細度を決定するようにした3次元形状表示装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、モデル簡略化手法として、頂点を間引く方法やボクセル(VOXEL)近似があげられる。ボクセル近似では、任意のサイズの立方体によって、モデルを表現する手法である。この手法は、ほぼどのような形状においても適用可能であることや、適用するボクセルサイズを変更することで容易にモデルの詳細度を選択することができるといった利点がある。この手法において、重要となるのは適切なボクセルのサイズの選択である。従来、例えば、マシン資源消費量を考慮しながら、元の形状と簡略化モデルの体積誤差が部品毎に同一になるように、部品毎に異なるボクセルサイズを自動的に算出する方法があった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−5752号公報
【特許文献2】特開2002−149718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した3次元形状表示装置では、モデルの視点からの位置や見る方向などのパラメータによって、表示する詳細度を決定するため、例えば、表示対象として設備の3次元モデルを考えた場合、その設備毎に必要な詳細度のモデルを多数保持しなければならないという問題があった。また、設備モデルの簡略化を行う際には、その設備の特徴を残す必要がある。しかし、残すべき特徴はそれぞれの専門分野によって異なるため、重視すべき方向も様々である。そのため、単純に体積誤差が小さくなるような簡略化を行った場合には、重要視する要素が認識できなくなる可能性があった。
このような点から、LODを適用した3次元形状表示装置において、設備毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながらモデルの簡略化を行うことが課題であった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながらモデルの簡略化を行うことのできる3次元形状表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る3次元形状表示装置は、表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部と、設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部と、簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルを表示する3次元形状表示部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の3次元形状表示装置は、簡略化モデルを作成する際、推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成するようにしたので、3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながらモデルの簡略化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置におけるユーザとモデルとの関係を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置におけるボクセルに分割する手段の説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置におけるモデルとボクセルとの関係を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置の簡略化モデル作成手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置における3次元設備モデルと推奨観測方向の関係を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置における簡略化モデルと推奨観測方向からの平行光線との関係を示す説明図である。
【図9】図8を真上からみた説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置における簡略化モデルを推奨観測方向から見た説明図である。
【図11】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置における簡略化モデルを推奨観測方向の反対方向から見た説明図である。
【図12】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置における保存形式変換の処理を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置におけるデータ圧縮手法を表した説明図である。
【図15】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置における描画モデル変換の処理を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置の描画モデルを示す説明図である。
【図17】この発明の実施の形態3による3次元形状表示装置を示す構成図である。
【図18】この発明の実施の形態3による3次元形状表示装置の描画処理を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施の形態4による3次元形状表示装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置を示す構成図である。
図1に示す3次元形状表示装置は、例えば設備モデルといった3次元モデルを描画する3次元形状表示部1、ユーザの視点情報の変更を受け付けるための視点情報変更部2、視点情報が変更される度に設備(3次元モデル)毎に視点から設備までの距離計算を行う距離計算部3、距離計算部3によって求められた距離に応じて、設備毎の詳細度を決定する設備詳細度決定部4、決定された設備詳細度と設備毎の推奨観測方向というパラメータを用いて3次元モデルから簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部5、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデル、元となる3次元モデル及び設備毎の推奨観測方向を管理するデータ管理部6、距離計算部3で求められた結果に応じて簡略化モデルを切り替えるモデル切替部7を備えている。
【0012】
簡略化モデル作成部5は、設備詳細度決定部4で決定された詳細度を元に設備詳細度による簡略化モデルを作成する簡略化計算部11と、データ管理部6において格納されている設備毎に設定された推奨観測方向によって簡略化モデルを複数の領域に分割する領域分割部12と、領域分割部12によって分割された領域毎に詳細度を決定する部分詳細度決定部13と、決定された部分詳細度に応じてモデルの簡略化計算を行う部分簡略化計算部14から構成されている。
【0013】
また、データ管理部6は、ユーザ毎の個別のカスタマイズに用いる情報(後述する視点から設備詳細度の境界線までの距離、ボクセルの分割数などの情報)を格納するユーザ設定管理データベース21と、簡略化するための元となるオリジナルの3次元モデルを格納し、表示する設備情報を管理する設備データベース22と、設備毎の推奨観測方向に関する情報を管理する推奨観測方向データベース23と、設備毎に簡略化モデル作成部5によって作成された簡略化モデルを格納する簡略化モデルデータベース24から構成されている。
【0014】
尚、上記3次元形状表示装置はコンピュータを用いて実現され、3次元形状表示部1は、ディスプレイと、このディスプレイへの表示制御を行う表示制御部から構成されている。また、3次元形状表示部1における表示制御部と、視点情報変更部2〜モデル切替部7は、それぞれの機能に対応したソフトウェアと、これらのソフトウェアを実行するためのCPUやメモリといったハードウェアで構成されている。あるいは、これら構成要素を専用のハードウェアを用いて構成してもよい。
【0015】
次に、実施の形態1の3次元形状表示装置の動作について説明する。
図2に、本発明の実施の形態1における3次元形状表示装置の処理フローチャートを示す。
3次元形状表示部1は、モデル切替部7を介して、設備データベース22に管理されている3次元モデルデータを読み込み(ステップST1)、これを3次元表示する(ステップST2)。視点情報変更部2によって視点情報が変更されると、視点情報の変更を検出し(ステップST3)、視点から3次元モデルまでの距離を距離計算部3によって算出し(ステップST4)、設備毎に設備詳細度決定部4によって設備詳細度の決定を行う(ステップST5)。
【0016】
尚、本実施の形態において、詳細度は、最も解像度が高い元のモデルをレベル0とし、解像度が低くなるにつれ数値が大きくなるように定義する。また、設備詳細度は任意の数を設定することができる。
【0017】
次に、設備詳細度の決定手法について図3を用いて説明する。設備詳細度は一般的なLOD手法と同様に、視点と設備との距離というパラメータを用いて決定を行う。図3はユーザがモデルを観測する場面を示した模式図である。この図では、仮想空間中のユーザ30(視点)と、3次元モデル31〜33と、設備詳細度レベル0と設備詳細度レベル1との境界線34、設備詳細度レベル1と設備詳細度レベル2との境界線35、ユーザ30から境界線34までの距離36と、ユーザ30から境界線35までの距離37の関係を示している。設備詳細度のレベルは任意の数を用いることができるが、図3では、3つの場合を示している。距離36と距離37はユーザ設定管理データベース21にて登録しておき、ユーザによって変更することができる。また、距離36と距離37は、0<距離36<距離37の関係を持つ。
【0018】
3次元モデル31〜33について、視点から3次元モデルまでの距離計算部3によって算出された距離が、
3次元モデル31から視点までの距離<距離36
距離36≦3次元モデル32から視点までの距離<距離37
距離37≦3次元モデル33から視点までの距離
の距離関係を満たすとき、設備詳細度決定部4は、3次元モデル31を設備詳細度レベル0、3次元モデル32を設備詳細度レベル1、3次元モデル33を設備詳細度レベル2と決定する。
【0019】
設備詳細度が決定されると、モデル切替部7は設備毎に決定された設備詳細度の簡略化モデルがデータ管理部6にあるかどうか調査を行い(ステップST6)、見つけられた場合は簡略化モデルの切替えを行い(ステップST7)、決定された設備詳細度の簡略化モデルが3次元形状表示部1にて描画される(ステップST2)。
【0020】
一方、決定された設備詳細度の簡略化モデルがまだ作成されていない場合は、簡略化モデル作成部5にて、簡略化モデルを生成する。簡略化モデル作成部5での簡略化モデルの生成としては、先ず、簡略化計算部11によって3次元モデルの簡略化を行う(ステップST8)。簡略化手法としては、公知技術であるボクセル近似を採用する。
【0021】
ボクセル近似を用いた設備詳細度による簡略化説明を行う。ボクセル近似は通常は任意のサイズの立方体によって簡略化形状を表現する。本発明では、適用するボクセルのサイズを各辺の分割数にて指定する。図4は3次元設備モデルからボクセルに分割する手法を表している。この図では、3次元モデル40とその外接長方形41、外接長方形を構成する直方体42を図示している。図示のように、外接長方形41を、x軸、y軸、z軸に沿って各辺を分割し、小さな直方体42を作成する。この直方体42をボクセルと呼ぶ。各ボクセルに対して、その領域内に3次元モデルが含まれているかどうかを調べる。図5では、ボクセルとその中に含まれる3次元モデルの一部を示している。3次元モデルの一部50とその周辺のボクセル51〜54である。3次元モデル50がその領域内に含まれるボクセル53とボクセル54とは描画され、3次元モデル50がその領域内に含まれないボクセル51とボクセル52とは描画しない。その結果、描画されるボクセルの集合体を簡略化モデルとする。
【0022】
図6にて、ステップST8の簡略化計算部11による設備詳細度を用いた簡略化モデル作成の詳細な処理フローチャートを示す。先ず、簡略化計算部11は、3次元モデルの外接長方形を作成し(ステップST61)、各辺を軸に沿って外接長方形を分割し、ボクセルを作成する(ステップST62)。次に、簡略化計算部11は、ボクセルの領域内に3次元モデルのポリゴンが含まれているかどうか判定を行い(ステップST63)、含まれる場合はボクセルを表示し(ステップST64)、含まれない場合はボクセルを非表示(ステップST65)とする処理を全てのボクセルに対して行う(ステップST66)。
【0023】
3次元モデルの各辺の分割数は詳細度のレベルに応じて設定される。分割数を大きくすれば、簡略モデルを構成するボクセルのサイズは小さくなり、細部まで表現できるようになるため、詳細度の高いモデルが生成される。そのため、詳細度のレベルが小さいほど、分割数は大きく設定される。それぞれの詳細度のレベルに応じた各辺の分割数はユーザ設定管理データベース21にて登録されている。
【0024】
作成された簡略化モデルに対して、領域分割部12は推奨観測方向データベース23によって、それぞれの設備に対して定義されている推奨観測方向に応じて、複数の領域に分割を行う。図7は、3次元モデル70と推奨観測方向71を表している。推奨観測方向とは、ユーザが重視したい特徴が見える方向を予め指定する。例えば、3次元モデル70には、設備名の入ったネームプレートが見える推奨観測方向71が予め指定されている。
【0025】
図2に示すフローチャートにおいて、領域分割部12では、設備毎に設定された推奨観測方向からの平行光線をステップST8で得られた簡略化モデルに照射し(ステップST9)、平行光線に照らされる領域と平行光線の照らされない領域に分割を行う。部分詳細度決定部13は、平行光線に照らされる領域および平行光線に照らされない領域の2つの領域に対して、現在割り当てられている設備詳細度からの相対詳細度を設定する。部分詳細度決定部13は、平行光線に照らされる領域は相対詳細度として0以下のレベルを割り当て(ステップST10)、平行光線に照らされない領域は0より大きいレベルを割り当てる(ステップST11)ことで各領域の部分詳細度を決定する。すなわち、平行光線に照らされる領域の相対詳細度のレベルは、平行光線に照らされない領域の相対詳細度のレベルよりも小さな値となる。
設備詳細度と相対詳細度、部分詳細度の関係は、
部分詳細度=設備詳細度+相対詳細度(0≦部分詳細度≦ユーザ設定管理データベース21にて登録されている詳細度のレベルの最大値)
のように示すことができる。したがって、平行光線に照らされる領域の部分詳細度のレベルは、平行光線に照らされない領域の部分詳細度のレベルよりも小さな値となる。上記のように設定された部分詳細度によって、ボクセルサイズを最終的に決定し、もう一度、設備詳細度による簡略化計算部11と同様の手法であるボクセル近似による簡略計算を行い(ステップST12)、簡略化モデルの作成を完了する。作成した簡略化モデルはデータ管理部6の簡略化モデルデータベース24に保存される(ステップST13)。そして、この保存された簡略化モデルがモデル切替部7によって切替えが行われ(ステップST7)、描画される(ステップST2)。
【0026】
図8は、簡略化モデル80に推奨観測方向からの平行光線81を照射している状態を図示したものである。また、図9は、図8を上から見た図である。図9では、平行光線81に照らされている領域90と、平行光線に照らされない領域91に分割している。領域90に対して相対詳細度−1を設定し、領域91に対して相対詳細度0を設定した結果生成される簡略化モデルを図10に示す。図10では、簡略化モデル100を推奨観測方向から見た様子が示されており、ユーザが重視した方向(推奨観測方向)を詳細に表示することが可能となっている。また、図11では簡略化モデルを推奨観測方向の反対側から見た図を示しており、同じ簡略化モデルでありながら詳細度の低い簡略化モデルとして表示されている。
【0027】
また、推奨観測方向は設備によって複数設定してもよい。その場合は、推奨観測方向に優先度を設定し、優先度の高い推奨観測方向からの平行光線によって照らされている領域には絶対値の大きな相対詳細度を設定する。一方で、優先度の低い推奨観測方向からの平行光線によって照らされている領域には絶対値の小さな相対詳細度を設定する。
【0028】
このように、本実施の形態では、設備毎に観測に適した方向である推奨観測方向を考慮して、3次元モデルの領域分割を行い、部分的な詳細度である部分詳細度を割り当てて、簡略化モデルを作成している。そのため、一つの簡略化モデルにおいて部分的に異なる複数の詳細度を表現し、複数のモデルを切り替えることなく、ユーザの観測方向(推奨観測方向)を考慮した表示が可能になる。その結果、LODを採用した簡略化表示において、設備毎に保持しなければならない詳細度の異なる簡略化モデルの数を削減することが可能となる。
【0029】
また、本実施の形態では、設備毎に観測に適した方向である推奨観測方向をデータベースに格納しており、格納している推奨観測方向に基づいて3次元モデルの部分簡略化を行って、簡略化モデルを作成している。つまり、簡略化モデルの切替えを行わずに一つの簡略化モデルを表示しておいても、見る方向を変えると自然に観測に適した方向とされた方向(推奨観測方向)から3次元モデルを観察する場合には、詳細度の高い表示(詳細度のレベルとしては小さい)がなされる。一方で、推奨観測方向から大きく外れた反対側から3次元モデルを見た場合には、詳細度の低い表示(詳細度のレベルとしては大きい)が行われる。その結果、表示結果の品質を低下させることなく、表示速度の高速化が可能となる。
【0030】
以上のように、実施の形態1の3次元形状表示装置によれば、表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部4と、設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域の詳細度よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部5と、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデルを表示する3次元形状表示部1とを備えたので、3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながら3次元モデルの簡略化を行うことができる。
【0031】
また、実施の形態1の3次元形状表示装置によれば、視点を変更する視点情報変更部2と、視点情報変更部2で視点の変更があった場合、表示する3次元モデルから視点までの距離を計算する距離計算部3と、3次元モデルの推奨観測方向を管理すると共に、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデルを設備詳細度に基づいて管理するデータ管理部6と、距離計算部3で求められた距離に応じて求められた設備詳細度に対応した簡略化モデルをデータ管理部6から取り出し、取り出した簡略化モデルを3次元形状表示部1で表示する簡略化モデルとして送出するモデル切替部7とを備えたので、視点方向に応じて複数の詳細度の簡略化モデルを切り替えることなく、見る方向(推奨観測方向)というパラメータを付加した適切な3次元形状簡略表示が可能となり、表示速度の高速化を図ることが可能になる。また、任意の方向を推奨観測方向として指定することができるため、ユーザが残したい特徴を表現した簡略化モデルを作成することが可能である。
【0032】
また、実施の形態1の3次元形状表示プログラムによれば、コンピュータを、表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部4と、設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域の詳細度よりも高くなるよう部分詳細度を与えて作成する簡略化モデル作成部5として機能させ、かつ、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデルを表示させるようにしたので、3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながら3次元モデルの簡略化を行うことのできる3次元形状表示装置をコンピュータ上に実現することができる。
【0033】
実施の形態2.
図12は、実施の形態2による3次元形状表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2では、図1に示された実施の形態1における3次元形状表示装置の構成に加え、簡略化モデル作成部5によって作成された簡略化モデルデータを圧縮して保存する保存形式変換部120と、圧縮された保存データを描画モデルに変換する描画モデル変換部121とを有している。その他の構成は実施の形態1の3次元形状表示装置と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
ボクセル近似を適用した簡略化モデルを保存する場合、通常全ボクセル数の表示非表示をデータとして保持する必要がある。そのため、ボクセル数が多くなるとデータサイズが大きくなる。そこで、保存形式変換部120では、圧縮したデータ形式に変換を行う。図13はデータ圧縮の処理フローチャートである。全ボクセルに対して(ステップST130)、表示、非表示の判定を行い(ステップST131)、表示ボクセルまたは非表示ボクセルの連続数を保存する(ステップST132)。
【0035】
図14は圧縮手法を表している。ボクセル近似による簡略化モデル140とデータを格納する順番を示す矢印141、ボクセルの連続領域142と143、配列の値144〜147が図示されている。簡略化モデル140を矢印141の向きにデータを保存する場合、先ず表示ボクセルか非表示ボクセルかの判定を行う。表示ボクセルを1、非表示ボクセルを0としてデータに格納する。連続領域142では表示ボクセルの連続数2となる。配列値144には表示ボクセルを示す1を代入し、配列値145には連続数2が代入される。連続領域143では非表示ボクセルの連続数2となるため、配列値146には表示ボクセルを示す0を代入し、配列値147には連続数2が代入される。
【0036】
本発明では、ボクセルサイズを外接長方形の分割数で指定しているため、配列に格納されるのは必ず整数である。加えて、ボクセルの表示・非表示と表示ボクセルまたは非表示のボクセルの連続数を1次元配列に格納するため、データ領域を削減することができる。
【0037】
描画モデル変換部121は、圧縮したデータから描画モデルを作成する。描画モデル作成用に原点に位置する立方体のデータを一つ用意する。この立方体に対して、拡大・縮小、移動によって描画モデルを描画する。図15は描画モデル変換部121の処理フローチャートである。保存データの配列の奇数番目には表示ボクセルか非表示ボクセルかを示す数値が格納されており、この数値に基づいて表示ボクセルか否かを判定する(ステップST150)。ステップST150において表示ボクセルであった場合、偶数番目の数値を参照する。偶数番目には表示ボクセルの連続数が格納されている。表示ボクセルの場合は、外接長方形と各辺の分割数からボクセルサイズを特定し、立方体を拡大・縮小をする。次にボクセルの連続数分拡大を行う(ステップST151)。このようにして作成された直方体を今まで処理したボクセルの総数から配置すべき位置を特定し(ステップST152)、移動を行う(ステップST153)。この処理を配列に格納されている全てのデータに対して行うことで(ステップST154)、一つの立方体データから簡略化モデルである描画モデルを作成することができる。図16は描画モデル変換部121によって、図14の簡略化モデル140の保存データを描画した状態を示す図である。
このように保存形式変換部120と描画モデル変換部121を用いれば、保存データを小さく圧縮することができ、描画においても一つの立方体データから構築し、描画するボクセル数を減らし、描画速度の向上が可能である。
【0038】
以上のように、実施の形態2の3次元形状表示装置によれば、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデルデータを圧縮してデータ管理部6に保存する保存形式変換部120と、データ管理部6より圧縮された簡略化モデルデータを取り出す場合、圧縮された簡略化モデルデータを伸長する描画モデル変換部121とを備えたので、保存データを小さく圧縮することができ、データ管理部6の資源の有効利用を図ることができる。
【0039】
また、実施の形態2の3次元形状表示装置によれば、保存形式変換部120は、ボクセル近似を適用した簡略化モデルのデータに対して、ボクセルサイズを簡略化モデルの各辺の分割数によって定義し、ボクセルの表示・非表示情報と表示ボクセルまたは非表示のボクセルの連続数とを整数で配列したデータとするようにしたので、保存データ領域を小さく圧縮することができる。
【0040】
また、実施の形態2の3次元形状表示装置によれば、描画モデル変換部121は、ボクセルの表示・非表示情報と表示ボクセルまたは非表示のボクセルの連続数とを整数で配列したデータに対して、簡略化モデルの各辺の分割数によってボクセルサイズを特定し、かつ、連続数によって表示ボクセルを拡大し、簡略化モデルを生成するようにしたので、不均一なサイズのボクセルによって簡略化モデルを表現することで、描画するボクセル数を減らし、描画速度の向上が可能である。
【0041】
実施の形態3.
図17は、実施の形態3による3次元形状表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態3では、図1に示された実施の形態1における3次元形状表示装置の構成に加え、設備情報を部品に分けて管理する部品データベース170を有している。即ち、実施の形態3では、3次元モデルを部品毎に構築し、部品に関する情報と共に部品データベース170にて管理する。また、設備データベース22aでは、設備の構成部品、部品の配置情報、設備の配置情報、設備の管理番号や製造年月日等の情報を管理する。更に、簡略化モデル作成部5aでは、基本的な機能は実施の形態1、2と同様であるが、簡略化モデルの作成を部品データベース170の部品を用いて行うよう構成されている。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図18は、部品毎に管理した場合の描画処理フローチャートである。図2に示すST1およびST2に替わって、図18に示す描画処理が実行される。3次元形状表示部1では、設備データベース22aの情報から必要な部品を、部品データベース170から構成部品のモデルを取り出し(ステップST180)、各部品の配置情報を基に回転・移動して設備の3次元モデルの一部として構築する(ステップST181)。次に設備の配置情報を基に回転・移動を行い(ステップST182)、指定された位置に描画を行う(ステップST183)。
【0043】
即ち、実施の形態3では、一つの設備を一つの3次元モデルデータとして作成するのではなく、部品データベース170における種々の部品の集合として3次元モデルを構成する。共通の部品を使用する部分は、部品データベース170より部品データを読み込み、このデータを雛形として必要となる数だけ複製し、回転、移動、拡大縮小を行い、所定の位置に配置して作成する。その結果、設備全体での共通部分となる部品の分だけ、3次元モデルの作成費用を削減することができる。また、簡略化モデル作成部5aにおける簡略化モデルの生成コストについても、共通部品かつ同じ詳細度の部分は同じものを複製すればよいので、生成コストを削減することができる。
上記の手法を用いれば、設備間で部品を共通化することができ、3次元モデルの作成費用及び簡略化モデルの生成コストを削減することが可能である。
【0044】
以上のように、実施の形態3の3次元形状表示装置によれば、データ管理部6は、表示する3次元モデルを部品毎に分けて管理する部品データベース170を有し、3次元形状表示部1は、部品データベース170の部品を用いて3次元モデルを作成するようにしたので、3次元モデル間で部品を共通化することができ、3次元モデルの作成費用及び簡略化モデルの生成コストを削減することができる。
【0045】
実施の形態4.
図19は、実施の形態4による3次元形状表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態4では、図1に示された実施の形態1の3次元形状表示装置の構成に加え、任意の設備を選択することで適切な視点からの描画を行う設備選択部190を有している。即ち、設備選択部190は、3次元形状表示部1で3次元モデルを表示する場合、3次元モデル毎に設定された推奨観測距離で表示するよう指示するものである。また、推奨観測方向データベース23aには、推奨観測方向に加えて推奨観測距離のデータを保持している。これ以外の構成は図1に示す実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
実施の形態4において、設備選択部190の用途は、各設備へのフォーカスである。例えば、設備の名前一覧表示や3D画面表示内から任意に設備を選択したとする。その際、設備情報の表示と共に、任意の設備にフォーカスし画面に表示する。任意の設備にフォーカスする場合、設備のサイズを考慮し、画面に収まるサイズでかつ最大に表示されるような位置に視点を移動させる方法がある。この方法では、設備が密集していると、フォーカスしたい設備の全体が画面に収まる位置に視点を置くと、手前に他の設備が映り込んで邪魔になる場合がある。また、設備が密集している場合、設備から離れすぎると他の設備に隠れて見えなかったり、一方、近づきすぎると全体像を捉えることができなかったりする。
【0047】
そこで、実施の形態4では、推奨観測方向データベース23aにおいて推奨観測距離と推奨観測方向とを設備毎に保持する。推奨観測距離とは、設備と視点における観測に適した距離である。そして、設備選択部190では、任意の設備が選択された場合、その設備に対応した推奨観測距離を推奨観測方向データベース23aから取得し、視点をその推奨観測距離に移動するよう指示する。これにより、3次元形状表示部1における3次元モデルの表示において、瞬時に任意の設備に対する適切な視点からの描画を得ることができる。
【0048】
以上のように、実施の形態4の3次元形状表示装置によれば、3次元形状表示部1で3次元モデルを表示する場合、3次元モデル毎に設定された推奨観測距離で表示するよう指示する設備選択部190を備えたので、例えば、3次元モデルが設備モデルであった場合、設備が密集していても任意の設備に対して、推奨観測方向と推奨観測距離によって、他の設備が重なったりすることなく全体像を捉えることが出来る適切な視点からの描画を瞬時に得ることが可能である。
【0049】
尚、上記各実施の形態を必要に応じて組み合わせても良い。例えば、実施の形態2以外でも保存形式変換部120や描画モデル変換部121を備えたり、実施の形態3の部品データベース170を他の実施の形態でも備えたりする、といったように構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 3次元形状表示部、2 視点情報変更部、3 距離計算部、4 設備詳細度決定部、5,5a 簡略化モデル作成部、6 データ管理部、7 モデル切替部、11 簡略化計算部、12 領域分割部、13 部分詳細度決定部、14 部分簡略化計算部、21 ユーザ設定管理データベース、22,22a 設備データベース、23,23a 推奨観測方向データベース、24 簡略化モデルデータベース、120 保存形式変換部、121 描画モデル変換部、170 部品データベース、190 設備選択部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元形状の表示対象を簡略化して表示する3次元形状表示装置およびこの3次元形状表示装置をコンピュータで実現するための3次元形状表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元モデルはポリゴンとよばれる多角形で構成されている。3次元形状の表示を行う際、複雑なモデルは構成するポリゴン数が多いため、表示速度が低下する。表示速度の高速化のためには、モデルの簡略化を行い、ポリゴン数を削減する必要がある。しかし、ポリゴン数の削減を行えば、表示結果の品質は低下する。そこで、表示結果の品質を保持しながら、高速な表示を行う手法として知られているのがLOD(Level of Detail)と呼ばれる手法である。この手法では、視点から近距離のモデルは詳細度の高いモデルを適用し、遠距離になるにつれて詳細度の低いモデルを使用する。遠距離のモデルは小さく表示されるため、高い詳細度を必要としない点に着目し、効果的なモデルの簡略化が可能となる。LODでは、複数の詳細度のモデルを保持し、視点から任意の距離において、表示するモデルの詳細度を選択する必要がある。
【0003】
従来、視点からモデルまでの距離というパラメータだけではなく、モデル毎に観測に適した方向ベクトルというパラメータを追加し、詳細度を決定するようにした3次元形状表示装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、モデル簡略化手法として、頂点を間引く方法やボクセル(VOXEL)近似があげられる。ボクセル近似では、任意のサイズの立方体によって、モデルを表現する手法である。この手法は、ほぼどのような形状においても適用可能であることや、適用するボクセルサイズを変更することで容易にモデルの詳細度を選択することができるといった利点がある。この手法において、重要となるのは適切なボクセルのサイズの選択である。従来、例えば、マシン資源消費量を考慮しながら、元の形状と簡略化モデルの体積誤差が部品毎に同一になるように、部品毎に異なるボクセルサイズを自動的に算出する方法があった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−5752号公報
【特許文献2】特開2002−149718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した3次元形状表示装置では、モデルの視点からの位置や見る方向などのパラメータによって、表示する詳細度を決定するため、例えば、表示対象として設備の3次元モデルを考えた場合、その設備毎に必要な詳細度のモデルを多数保持しなければならないという問題があった。また、設備モデルの簡略化を行う際には、その設備の特徴を残す必要がある。しかし、残すべき特徴はそれぞれの専門分野によって異なるため、重視すべき方向も様々である。そのため、単純に体積誤差が小さくなるような簡略化を行った場合には、重要視する要素が認識できなくなる可能性があった。
このような点から、LODを適用した3次元形状表示装置において、設備毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながらモデルの簡略化を行うことが課題であった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながらモデルの簡略化を行うことのできる3次元形状表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る3次元形状表示装置は、表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部と、設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部と、簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルを表示する3次元形状表示部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の3次元形状表示装置は、簡略化モデルを作成する際、推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成するようにしたので、3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながらモデルの簡略化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置におけるユーザとモデルとの関係を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置におけるボクセルに分割する手段の説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置におけるモデルとボクセルとの関係を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置の簡略化モデル作成手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置における3次元設備モデルと推奨観測方向の関係を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置における簡略化モデルと推奨観測方向からの平行光線との関係を示す説明図である。
【図9】図8を真上からみた説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置における簡略化モデルを推奨観測方向から見た説明図である。
【図11】この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置における簡略化モデルを推奨観測方向の反対方向から見た説明図である。
【図12】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置における保存形式変換の処理を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置におけるデータ圧縮手法を表した説明図である。
【図15】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置における描画モデル変換の処理を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施の形態2による3次元形状表示装置の描画モデルを示す説明図である。
【図17】この発明の実施の形態3による3次元形状表示装置を示す構成図である。
【図18】この発明の実施の形態3による3次元形状表示装置の描画処理を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施の形態4による3次元形状表示装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による3次元形状表示装置を示す構成図である。
図1に示す3次元形状表示装置は、例えば設備モデルといった3次元モデルを描画する3次元形状表示部1、ユーザの視点情報の変更を受け付けるための視点情報変更部2、視点情報が変更される度に設備(3次元モデル)毎に視点から設備までの距離計算を行う距離計算部3、距離計算部3によって求められた距離に応じて、設備毎の詳細度を決定する設備詳細度決定部4、決定された設備詳細度と設備毎の推奨観測方向というパラメータを用いて3次元モデルから簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部5、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデル、元となる3次元モデル及び設備毎の推奨観測方向を管理するデータ管理部6、距離計算部3で求められた結果に応じて簡略化モデルを切り替えるモデル切替部7を備えている。
【0012】
簡略化モデル作成部5は、設備詳細度決定部4で決定された詳細度を元に設備詳細度による簡略化モデルを作成する簡略化計算部11と、データ管理部6において格納されている設備毎に設定された推奨観測方向によって簡略化モデルを複数の領域に分割する領域分割部12と、領域分割部12によって分割された領域毎に詳細度を決定する部分詳細度決定部13と、決定された部分詳細度に応じてモデルの簡略化計算を行う部分簡略化計算部14から構成されている。
【0013】
また、データ管理部6は、ユーザ毎の個別のカスタマイズに用いる情報(後述する視点から設備詳細度の境界線までの距離、ボクセルの分割数などの情報)を格納するユーザ設定管理データベース21と、簡略化するための元となるオリジナルの3次元モデルを格納し、表示する設備情報を管理する設備データベース22と、設備毎の推奨観測方向に関する情報を管理する推奨観測方向データベース23と、設備毎に簡略化モデル作成部5によって作成された簡略化モデルを格納する簡略化モデルデータベース24から構成されている。
【0014】
尚、上記3次元形状表示装置はコンピュータを用いて実現され、3次元形状表示部1は、ディスプレイと、このディスプレイへの表示制御を行う表示制御部から構成されている。また、3次元形状表示部1における表示制御部と、視点情報変更部2〜モデル切替部7は、それぞれの機能に対応したソフトウェアと、これらのソフトウェアを実行するためのCPUやメモリといったハードウェアで構成されている。あるいは、これら構成要素を専用のハードウェアを用いて構成してもよい。
【0015】
次に、実施の形態1の3次元形状表示装置の動作について説明する。
図2に、本発明の実施の形態1における3次元形状表示装置の処理フローチャートを示す。
3次元形状表示部1は、モデル切替部7を介して、設備データベース22に管理されている3次元モデルデータを読み込み(ステップST1)、これを3次元表示する(ステップST2)。視点情報変更部2によって視点情報が変更されると、視点情報の変更を検出し(ステップST3)、視点から3次元モデルまでの距離を距離計算部3によって算出し(ステップST4)、設備毎に設備詳細度決定部4によって設備詳細度の決定を行う(ステップST5)。
【0016】
尚、本実施の形態において、詳細度は、最も解像度が高い元のモデルをレベル0とし、解像度が低くなるにつれ数値が大きくなるように定義する。また、設備詳細度は任意の数を設定することができる。
【0017】
次に、設備詳細度の決定手法について図3を用いて説明する。設備詳細度は一般的なLOD手法と同様に、視点と設備との距離というパラメータを用いて決定を行う。図3はユーザがモデルを観測する場面を示した模式図である。この図では、仮想空間中のユーザ30(視点)と、3次元モデル31〜33と、設備詳細度レベル0と設備詳細度レベル1との境界線34、設備詳細度レベル1と設備詳細度レベル2との境界線35、ユーザ30から境界線34までの距離36と、ユーザ30から境界線35までの距離37の関係を示している。設備詳細度のレベルは任意の数を用いることができるが、図3では、3つの場合を示している。距離36と距離37はユーザ設定管理データベース21にて登録しておき、ユーザによって変更することができる。また、距離36と距離37は、0<距離36<距離37の関係を持つ。
【0018】
3次元モデル31〜33について、視点から3次元モデルまでの距離計算部3によって算出された距離が、
3次元モデル31から視点までの距離<距離36
距離36≦3次元モデル32から視点までの距離<距離37
距離37≦3次元モデル33から視点までの距離
の距離関係を満たすとき、設備詳細度決定部4は、3次元モデル31を設備詳細度レベル0、3次元モデル32を設備詳細度レベル1、3次元モデル33を設備詳細度レベル2と決定する。
【0019】
設備詳細度が決定されると、モデル切替部7は設備毎に決定された設備詳細度の簡略化モデルがデータ管理部6にあるかどうか調査を行い(ステップST6)、見つけられた場合は簡略化モデルの切替えを行い(ステップST7)、決定された設備詳細度の簡略化モデルが3次元形状表示部1にて描画される(ステップST2)。
【0020】
一方、決定された設備詳細度の簡略化モデルがまだ作成されていない場合は、簡略化モデル作成部5にて、簡略化モデルを生成する。簡略化モデル作成部5での簡略化モデルの生成としては、先ず、簡略化計算部11によって3次元モデルの簡略化を行う(ステップST8)。簡略化手法としては、公知技術であるボクセル近似を採用する。
【0021】
ボクセル近似を用いた設備詳細度による簡略化説明を行う。ボクセル近似は通常は任意のサイズの立方体によって簡略化形状を表現する。本発明では、適用するボクセルのサイズを各辺の分割数にて指定する。図4は3次元設備モデルからボクセルに分割する手法を表している。この図では、3次元モデル40とその外接長方形41、外接長方形を構成する直方体42を図示している。図示のように、外接長方形41を、x軸、y軸、z軸に沿って各辺を分割し、小さな直方体42を作成する。この直方体42をボクセルと呼ぶ。各ボクセルに対して、その領域内に3次元モデルが含まれているかどうかを調べる。図5では、ボクセルとその中に含まれる3次元モデルの一部を示している。3次元モデルの一部50とその周辺のボクセル51〜54である。3次元モデル50がその領域内に含まれるボクセル53とボクセル54とは描画され、3次元モデル50がその領域内に含まれないボクセル51とボクセル52とは描画しない。その結果、描画されるボクセルの集合体を簡略化モデルとする。
【0022】
図6にて、ステップST8の簡略化計算部11による設備詳細度を用いた簡略化モデル作成の詳細な処理フローチャートを示す。先ず、簡略化計算部11は、3次元モデルの外接長方形を作成し(ステップST61)、各辺を軸に沿って外接長方形を分割し、ボクセルを作成する(ステップST62)。次に、簡略化計算部11は、ボクセルの領域内に3次元モデルのポリゴンが含まれているかどうか判定を行い(ステップST63)、含まれる場合はボクセルを表示し(ステップST64)、含まれない場合はボクセルを非表示(ステップST65)とする処理を全てのボクセルに対して行う(ステップST66)。
【0023】
3次元モデルの各辺の分割数は詳細度のレベルに応じて設定される。分割数を大きくすれば、簡略モデルを構成するボクセルのサイズは小さくなり、細部まで表現できるようになるため、詳細度の高いモデルが生成される。そのため、詳細度のレベルが小さいほど、分割数は大きく設定される。それぞれの詳細度のレベルに応じた各辺の分割数はユーザ設定管理データベース21にて登録されている。
【0024】
作成された簡略化モデルに対して、領域分割部12は推奨観測方向データベース23によって、それぞれの設備に対して定義されている推奨観測方向に応じて、複数の領域に分割を行う。図7は、3次元モデル70と推奨観測方向71を表している。推奨観測方向とは、ユーザが重視したい特徴が見える方向を予め指定する。例えば、3次元モデル70には、設備名の入ったネームプレートが見える推奨観測方向71が予め指定されている。
【0025】
図2に示すフローチャートにおいて、領域分割部12では、設備毎に設定された推奨観測方向からの平行光線をステップST8で得られた簡略化モデルに照射し(ステップST9)、平行光線に照らされる領域と平行光線の照らされない領域に分割を行う。部分詳細度決定部13は、平行光線に照らされる領域および平行光線に照らされない領域の2つの領域に対して、現在割り当てられている設備詳細度からの相対詳細度を設定する。部分詳細度決定部13は、平行光線に照らされる領域は相対詳細度として0以下のレベルを割り当て(ステップST10)、平行光線に照らされない領域は0より大きいレベルを割り当てる(ステップST11)ことで各領域の部分詳細度を決定する。すなわち、平行光線に照らされる領域の相対詳細度のレベルは、平行光線に照らされない領域の相対詳細度のレベルよりも小さな値となる。
設備詳細度と相対詳細度、部分詳細度の関係は、
部分詳細度=設備詳細度+相対詳細度(0≦部分詳細度≦ユーザ設定管理データベース21にて登録されている詳細度のレベルの最大値)
のように示すことができる。したがって、平行光線に照らされる領域の部分詳細度のレベルは、平行光線に照らされない領域の部分詳細度のレベルよりも小さな値となる。上記のように設定された部分詳細度によって、ボクセルサイズを最終的に決定し、もう一度、設備詳細度による簡略化計算部11と同様の手法であるボクセル近似による簡略計算を行い(ステップST12)、簡略化モデルの作成を完了する。作成した簡略化モデルはデータ管理部6の簡略化モデルデータベース24に保存される(ステップST13)。そして、この保存された簡略化モデルがモデル切替部7によって切替えが行われ(ステップST7)、描画される(ステップST2)。
【0026】
図8は、簡略化モデル80に推奨観測方向からの平行光線81を照射している状態を図示したものである。また、図9は、図8を上から見た図である。図9では、平行光線81に照らされている領域90と、平行光線に照らされない領域91に分割している。領域90に対して相対詳細度−1を設定し、領域91に対して相対詳細度0を設定した結果生成される簡略化モデルを図10に示す。図10では、簡略化モデル100を推奨観測方向から見た様子が示されており、ユーザが重視した方向(推奨観測方向)を詳細に表示することが可能となっている。また、図11では簡略化モデルを推奨観測方向の反対側から見た図を示しており、同じ簡略化モデルでありながら詳細度の低い簡略化モデルとして表示されている。
【0027】
また、推奨観測方向は設備によって複数設定してもよい。その場合は、推奨観測方向に優先度を設定し、優先度の高い推奨観測方向からの平行光線によって照らされている領域には絶対値の大きな相対詳細度を設定する。一方で、優先度の低い推奨観測方向からの平行光線によって照らされている領域には絶対値の小さな相対詳細度を設定する。
【0028】
このように、本実施の形態では、設備毎に観測に適した方向である推奨観測方向を考慮して、3次元モデルの領域分割を行い、部分的な詳細度である部分詳細度を割り当てて、簡略化モデルを作成している。そのため、一つの簡略化モデルにおいて部分的に異なる複数の詳細度を表現し、複数のモデルを切り替えることなく、ユーザの観測方向(推奨観測方向)を考慮した表示が可能になる。その結果、LODを採用した簡略化表示において、設備毎に保持しなければならない詳細度の異なる簡略化モデルの数を削減することが可能となる。
【0029】
また、本実施の形態では、設備毎に観測に適した方向である推奨観測方向をデータベースに格納しており、格納している推奨観測方向に基づいて3次元モデルの部分簡略化を行って、簡略化モデルを作成している。つまり、簡略化モデルの切替えを行わずに一つの簡略化モデルを表示しておいても、見る方向を変えると自然に観測に適した方向とされた方向(推奨観測方向)から3次元モデルを観察する場合には、詳細度の高い表示(詳細度のレベルとしては小さい)がなされる。一方で、推奨観測方向から大きく外れた反対側から3次元モデルを見た場合には、詳細度の低い表示(詳細度のレベルとしては大きい)が行われる。その結果、表示結果の品質を低下させることなく、表示速度の高速化が可能となる。
【0030】
以上のように、実施の形態1の3次元形状表示装置によれば、表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部4と、設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域の詳細度よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部5と、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデルを表示する3次元形状表示部1とを備えたので、3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながら3次元モデルの簡略化を行うことができる。
【0031】
また、実施の形態1の3次元形状表示装置によれば、視点を変更する視点情報変更部2と、視点情報変更部2で視点の変更があった場合、表示する3次元モデルから視点までの距離を計算する距離計算部3と、3次元モデルの推奨観測方向を管理すると共に、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデルを設備詳細度に基づいて管理するデータ管理部6と、距離計算部3で求められた距離に応じて求められた設備詳細度に対応した簡略化モデルをデータ管理部6から取り出し、取り出した簡略化モデルを3次元形状表示部1で表示する簡略化モデルとして送出するモデル切替部7とを備えたので、視点方向に応じて複数の詳細度の簡略化モデルを切り替えることなく、見る方向(推奨観測方向)というパラメータを付加した適切な3次元形状簡略表示が可能となり、表示速度の高速化を図ることが可能になる。また、任意の方向を推奨観測方向として指定することができるため、ユーザが残したい特徴を表現した簡略化モデルを作成することが可能である。
【0032】
また、実施の形態1の3次元形状表示プログラムによれば、コンピュータを、表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部4と、設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線に照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、平行光線に照らされる領域の詳細度が平行光線に照らされない領域の詳細度よりも高くなるよう部分詳細度を与えて作成する簡略化モデル作成部5として機能させ、かつ、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデルを表示させるようにしたので、3次元モデル毎に保持しなければならないモデル数を削減し、重視すべき任意の特徴を残しながら3次元モデルの簡略化を行うことのできる3次元形状表示装置をコンピュータ上に実現することができる。
【0033】
実施の形態2.
図12は、実施の形態2による3次元形状表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2では、図1に示された実施の形態1における3次元形状表示装置の構成に加え、簡略化モデル作成部5によって作成された簡略化モデルデータを圧縮して保存する保存形式変換部120と、圧縮された保存データを描画モデルに変換する描画モデル変換部121とを有している。その他の構成は実施の形態1の3次元形状表示装置と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
ボクセル近似を適用した簡略化モデルを保存する場合、通常全ボクセル数の表示非表示をデータとして保持する必要がある。そのため、ボクセル数が多くなるとデータサイズが大きくなる。そこで、保存形式変換部120では、圧縮したデータ形式に変換を行う。図13はデータ圧縮の処理フローチャートである。全ボクセルに対して(ステップST130)、表示、非表示の判定を行い(ステップST131)、表示ボクセルまたは非表示ボクセルの連続数を保存する(ステップST132)。
【0035】
図14は圧縮手法を表している。ボクセル近似による簡略化モデル140とデータを格納する順番を示す矢印141、ボクセルの連続領域142と143、配列の値144〜147が図示されている。簡略化モデル140を矢印141の向きにデータを保存する場合、先ず表示ボクセルか非表示ボクセルかの判定を行う。表示ボクセルを1、非表示ボクセルを0としてデータに格納する。連続領域142では表示ボクセルの連続数2となる。配列値144には表示ボクセルを示す1を代入し、配列値145には連続数2が代入される。連続領域143では非表示ボクセルの連続数2となるため、配列値146には表示ボクセルを示す0を代入し、配列値147には連続数2が代入される。
【0036】
本発明では、ボクセルサイズを外接長方形の分割数で指定しているため、配列に格納されるのは必ず整数である。加えて、ボクセルの表示・非表示と表示ボクセルまたは非表示のボクセルの連続数を1次元配列に格納するため、データ領域を削減することができる。
【0037】
描画モデル変換部121は、圧縮したデータから描画モデルを作成する。描画モデル作成用に原点に位置する立方体のデータを一つ用意する。この立方体に対して、拡大・縮小、移動によって描画モデルを描画する。図15は描画モデル変換部121の処理フローチャートである。保存データの配列の奇数番目には表示ボクセルか非表示ボクセルかを示す数値が格納されており、この数値に基づいて表示ボクセルか否かを判定する(ステップST150)。ステップST150において表示ボクセルであった場合、偶数番目の数値を参照する。偶数番目には表示ボクセルの連続数が格納されている。表示ボクセルの場合は、外接長方形と各辺の分割数からボクセルサイズを特定し、立方体を拡大・縮小をする。次にボクセルの連続数分拡大を行う(ステップST151)。このようにして作成された直方体を今まで処理したボクセルの総数から配置すべき位置を特定し(ステップST152)、移動を行う(ステップST153)。この処理を配列に格納されている全てのデータに対して行うことで(ステップST154)、一つの立方体データから簡略化モデルである描画モデルを作成することができる。図16は描画モデル変換部121によって、図14の簡略化モデル140の保存データを描画した状態を示す図である。
このように保存形式変換部120と描画モデル変換部121を用いれば、保存データを小さく圧縮することができ、描画においても一つの立方体データから構築し、描画するボクセル数を減らし、描画速度の向上が可能である。
【0038】
以上のように、実施の形態2の3次元形状表示装置によれば、簡略化モデル作成部5で作成された簡略化モデルデータを圧縮してデータ管理部6に保存する保存形式変換部120と、データ管理部6より圧縮された簡略化モデルデータを取り出す場合、圧縮された簡略化モデルデータを伸長する描画モデル変換部121とを備えたので、保存データを小さく圧縮することができ、データ管理部6の資源の有効利用を図ることができる。
【0039】
また、実施の形態2の3次元形状表示装置によれば、保存形式変換部120は、ボクセル近似を適用した簡略化モデルのデータに対して、ボクセルサイズを簡略化モデルの各辺の分割数によって定義し、ボクセルの表示・非表示情報と表示ボクセルまたは非表示のボクセルの連続数とを整数で配列したデータとするようにしたので、保存データ領域を小さく圧縮することができる。
【0040】
また、実施の形態2の3次元形状表示装置によれば、描画モデル変換部121は、ボクセルの表示・非表示情報と表示ボクセルまたは非表示のボクセルの連続数とを整数で配列したデータに対して、簡略化モデルの各辺の分割数によってボクセルサイズを特定し、かつ、連続数によって表示ボクセルを拡大し、簡略化モデルを生成するようにしたので、不均一なサイズのボクセルによって簡略化モデルを表現することで、描画するボクセル数を減らし、描画速度の向上が可能である。
【0041】
実施の形態3.
図17は、実施の形態3による3次元形状表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態3では、図1に示された実施の形態1における3次元形状表示装置の構成に加え、設備情報を部品に分けて管理する部品データベース170を有している。即ち、実施の形態3では、3次元モデルを部品毎に構築し、部品に関する情報と共に部品データベース170にて管理する。また、設備データベース22aでは、設備の構成部品、部品の配置情報、設備の配置情報、設備の管理番号や製造年月日等の情報を管理する。更に、簡略化モデル作成部5aでは、基本的な機能は実施の形態1、2と同様であるが、簡略化モデルの作成を部品データベース170の部品を用いて行うよう構成されている。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図18は、部品毎に管理した場合の描画処理フローチャートである。図2に示すST1およびST2に替わって、図18に示す描画処理が実行される。3次元形状表示部1では、設備データベース22aの情報から必要な部品を、部品データベース170から構成部品のモデルを取り出し(ステップST180)、各部品の配置情報を基に回転・移動して設備の3次元モデルの一部として構築する(ステップST181)。次に設備の配置情報を基に回転・移動を行い(ステップST182)、指定された位置に描画を行う(ステップST183)。
【0043】
即ち、実施の形態3では、一つの設備を一つの3次元モデルデータとして作成するのではなく、部品データベース170における種々の部品の集合として3次元モデルを構成する。共通の部品を使用する部分は、部品データベース170より部品データを読み込み、このデータを雛形として必要となる数だけ複製し、回転、移動、拡大縮小を行い、所定の位置に配置して作成する。その結果、設備全体での共通部分となる部品の分だけ、3次元モデルの作成費用を削減することができる。また、簡略化モデル作成部5aにおける簡略化モデルの生成コストについても、共通部品かつ同じ詳細度の部分は同じものを複製すればよいので、生成コストを削減することができる。
上記の手法を用いれば、設備間で部品を共通化することができ、3次元モデルの作成費用及び簡略化モデルの生成コストを削減することが可能である。
【0044】
以上のように、実施の形態3の3次元形状表示装置によれば、データ管理部6は、表示する3次元モデルを部品毎に分けて管理する部品データベース170を有し、3次元形状表示部1は、部品データベース170の部品を用いて3次元モデルを作成するようにしたので、3次元モデル間で部品を共通化することができ、3次元モデルの作成費用及び簡略化モデルの生成コストを削減することができる。
【0045】
実施の形態4.
図19は、実施の形態4による3次元形状表示装置の構成を示すブロック図である。実施の形態4では、図1に示された実施の形態1の3次元形状表示装置の構成に加え、任意の設備を選択することで適切な視点からの描画を行う設備選択部190を有している。即ち、設備選択部190は、3次元形状表示部1で3次元モデルを表示する場合、3次元モデル毎に設定された推奨観測距離で表示するよう指示するものである。また、推奨観測方向データベース23aには、推奨観測方向に加えて推奨観測距離のデータを保持している。これ以外の構成は図1に示す実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
実施の形態4において、設備選択部190の用途は、各設備へのフォーカスである。例えば、設備の名前一覧表示や3D画面表示内から任意に設備を選択したとする。その際、設備情報の表示と共に、任意の設備にフォーカスし画面に表示する。任意の設備にフォーカスする場合、設備のサイズを考慮し、画面に収まるサイズでかつ最大に表示されるような位置に視点を移動させる方法がある。この方法では、設備が密集していると、フォーカスしたい設備の全体が画面に収まる位置に視点を置くと、手前に他の設備が映り込んで邪魔になる場合がある。また、設備が密集している場合、設備から離れすぎると他の設備に隠れて見えなかったり、一方、近づきすぎると全体像を捉えることができなかったりする。
【0047】
そこで、実施の形態4では、推奨観測方向データベース23aにおいて推奨観測距離と推奨観測方向とを設備毎に保持する。推奨観測距離とは、設備と視点における観測に適した距離である。そして、設備選択部190では、任意の設備が選択された場合、その設備に対応した推奨観測距離を推奨観測方向データベース23aから取得し、視点をその推奨観測距離に移動するよう指示する。これにより、3次元形状表示部1における3次元モデルの表示において、瞬時に任意の設備に対する適切な視点からの描画を得ることができる。
【0048】
以上のように、実施の形態4の3次元形状表示装置によれば、3次元形状表示部1で3次元モデルを表示する場合、3次元モデル毎に設定された推奨観測距離で表示するよう指示する設備選択部190を備えたので、例えば、3次元モデルが設備モデルであった場合、設備が密集していても任意の設備に対して、推奨観測方向と推奨観測距離によって、他の設備が重なったりすることなく全体像を捉えることが出来る適切な視点からの描画を瞬時に得ることが可能である。
【0049】
尚、上記各実施の形態を必要に応じて組み合わせても良い。例えば、実施の形態2以外でも保存形式変換部120や描画モデル変換部121を備えたり、実施の形態3の部品データベース170を他の実施の形態でも備えたりする、といったように構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 3次元形状表示部、2 視点情報変更部、3 距離計算部、4 設備詳細度決定部、5,5a 簡略化モデル作成部、6 データ管理部、7 モデル切替部、11 簡略化計算部、12 領域分割部、13 部分詳細度決定部、14 部分簡略化計算部、21 ユーザ設定管理データベース、22,22a 設備データベース、23,23a 推奨観測方向データベース、24 簡略化モデルデータベース、120 保存形式変換部、121 描画モデル変換部、170 部品データベース、190 設備選択部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部と、
前記設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、当該3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と前記平行光線に照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、前記平行光線に照らされる領域の詳細度が前記平行光線に照らされない領域の詳細度よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部と、
前記簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルを表示する3次元形状表示部とを備えた3次元形状表示装置。
【請求項2】
視点を変更する視点情報変更部と、
前記視点情報変更部で視点の変更があった場合、表示する3次元モデルから視点までの距離を計算する距離計算部と、
前記3次元モデルの推奨観測方向を管理すると共に、簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルを設備詳細度に基づいて管理するデータ管理部と、
前記距離計算部で求められた距離に応じて求められた設備詳細度に対応した簡略化モデルを前記データ管理部から取り出し、当該取り出した簡略化モデルを3次元形状表示部で表示する簡略化モデルとして送出するモデル切替部とを備えた請求項1記載の3次元形状表示装置。
【請求項3】
簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルデータを圧縮してデータ管理部に保存する保存形式変換部と、
前記データ管理部より圧縮された簡略化モデルデータを取り出す場合、当該圧縮された簡略化モデルデータを伸長する描画モデル変換部とを備えたことを特徴とする請求項2記載の3次元形状表示装置。
【請求項4】
保存形式変換部は、ボクセル近似を適用した簡略化モデルのデータに対して、ボクセルサイズを前記簡略化モデルの各辺の分割数によって定義し、ボクセルの表示・非表示情報と表示するボクセルまたは非表示のボクセルの連続数とを整数で配列したデータとすることを特徴とする請求項3記載の3次元形状表示装置。
【請求項5】
描画モデル変換部は、ボクセルの表示・非表示情報と表示するボクセルまたは非表示のボクセルの連続数とを整数で配列したデータに対して、簡略化モデルの各辺の分割数によってボクセルサイズを特定し、かつ、前記連続数によって表示ボクセルを拡大し、前記簡略化モデルを生成することを特徴とする請求項3記載の3次元形状表示装置。
【請求項6】
データ管理部は、表示する3次元モデルを部品毎に分けて管理する部品データベースを有し、
3次元形状表示部は、前記部品データベースの部品を用いて3次元モデルを作成することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の3次元形状表示装置。
【請求項7】
3次元形状表示部で3次元モデルを表示する場合、当該3次元モデル毎に設定された推奨観測距離で表示するよう指示する設備選択部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の3次元形状表示装置。
【請求項8】
コンピュータを、
表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部と、
前記設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、当該3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線の照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、前記平行光線に照らされる領域の詳細度が前記平行光線に照らされない領域の詳細度よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部として機能させ、
かつ、前記簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルを表示させるための3次元形状簡略表示プログラム。
【請求項1】
表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部と、
前記設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、当該3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と前記平行光線に照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、前記平行光線に照らされる領域の詳細度が前記平行光線に照らされない領域の詳細度よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部と、
前記簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルを表示する3次元形状表示部とを備えた3次元形状表示装置。
【請求項2】
視点を変更する視点情報変更部と、
前記視点情報変更部で視点の変更があった場合、表示する3次元モデルから視点までの距離を計算する距離計算部と、
前記3次元モデルの推奨観測方向を管理すると共に、簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルを設備詳細度に基づいて管理するデータ管理部と、
前記距離計算部で求められた距離に応じて求められた設備詳細度に対応した簡略化モデルを前記データ管理部から取り出し、当該取り出した簡略化モデルを3次元形状表示部で表示する簡略化モデルとして送出するモデル切替部とを備えた請求項1記載の3次元形状表示装置。
【請求項3】
簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルデータを圧縮してデータ管理部に保存する保存形式変換部と、
前記データ管理部より圧縮された簡略化モデルデータを取り出す場合、当該圧縮された簡略化モデルデータを伸長する描画モデル変換部とを備えたことを特徴とする請求項2記載の3次元形状表示装置。
【請求項4】
保存形式変換部は、ボクセル近似を適用した簡略化モデルのデータに対して、ボクセルサイズを前記簡略化モデルの各辺の分割数によって定義し、ボクセルの表示・非表示情報と表示するボクセルまたは非表示のボクセルの連続数とを整数で配列したデータとすることを特徴とする請求項3記載の3次元形状表示装置。
【請求項5】
描画モデル変換部は、ボクセルの表示・非表示情報と表示するボクセルまたは非表示のボクセルの連続数とを整数で配列したデータに対して、簡略化モデルの各辺の分割数によってボクセルサイズを特定し、かつ、前記連続数によって表示ボクセルを拡大し、前記簡略化モデルを生成することを特徴とする請求項3記載の3次元形状表示装置。
【請求項6】
データ管理部は、表示する3次元モデルを部品毎に分けて管理する部品データベースを有し、
3次元形状表示部は、前記部品データベースの部品を用いて3次元モデルを作成することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の3次元形状表示装置。
【請求項7】
3次元形状表示部で3次元モデルを表示する場合、当該3次元モデル毎に設定された推奨観測距離で表示するよう指示する設備選択部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の3次元形状表示装置。
【請求項8】
コンピュータを、
表示する3次元モデルから視点までの距離に応じた設備詳細度を決定する設備詳細度決定部と、
前記設備詳細度に基づいて簡略化する3次元モデルを、当該3次元モデルに対する推奨観測方向からの平行光線に照らされる領域と平行光線の照らされない領域に領域分割し、それぞれの領域に、前記平行光線に照らされる領域の詳細度が前記平行光線に照らされない領域の詳細度よりも高くなるよう部分詳細度を与えて簡略化モデルを作成する簡略化モデル作成部として機能させ、
かつ、前記簡略化モデル作成部で作成された簡略化モデルを表示させるための3次元形状簡略表示プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−70387(P2011−70387A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220677(P2009−220677)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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