3次元画像処理装置、同装置に適用されるコンピュータ読み取り可能なプログラムおよび3次元画像処理方法
【課題】3次元画像処理装置において、骨などの表面上に設定される解剖学的な特徴点に対応する点を3次元画像データから一義的に定点として抽出し、同定点を複数用いて基準面および基準座標系を再現性良く定義することを可能にする。
【解決手段】3次元画像処理装置は、眼窩および外耳道のそれぞれの表面形状に合った各基準球BOL,BOR,BPL,BPRを一義的に定義し、同各基準球BOL,BOR,BPL,BPRを用いて、解剖学的な特徴点にそれぞれ対応する定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を抽出する。そして、同定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面Pfを定義する。また、大後頭孔の穴中心CDを一義的に定義し、同穴中心CDおよび定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面Pfに原点Oおよび第1〜3基準軸Z,X,Yからなる基準座標系を定義する。
【解決手段】3次元画像処理装置は、眼窩および外耳道のそれぞれの表面形状に合った各基準球BOL,BOR,BPL,BPRを一義的に定義し、同各基準球BOL,BOR,BPL,BPRを用いて、解剖学的な特徴点にそれぞれ対応する定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を抽出する。そして、同定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面Pfを定義する。また、大後頭孔の穴中心CDを一義的に定義し、同穴中心CDおよび定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面Pfに原点Oおよび第1〜3基準軸Z,X,Yからなる基準座標系を定義する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴診断)装置などの各種断層撮影装置により得られる2次元断層画像データに基づいて3次元画像データを生成して3次元画像を表示させる3次元画像処理装置、同装置に適用されるコンピュータ読み取り可能なプログラムおよび3次元画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線CT装置、MRI装置などの各種断層撮影装置から得られる人体の画像は、2次元の断層画像であり、1枚の2次元断層画像では立体的な人体内部の構造を把握することが難しく、1枚の2次元断層画像を診断に用いることはできない。このため、臨床では、診断の対象となる部位を含む複数の2次元断層画像を撮影し、同複数の2次元断層画像を立体的に構築して3次元画像として表示装置に表示させて診断が行われている。
【0003】
この場合、表示装置上に表示される3次元画像は、所定の基準座標系に基づいて生成される3次元画像データによって表されている。基準座標系は、3次元画像上に表される人体に関する解剖学的な複数の特徴点に基づいて設定される基準面および基準軸から構成されている。この基準座標系の設定には、種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1に記載の3次元画像処理装置おいては、表示装置に表示される3次元画像を作業者(医師など)が見ながら、同3次元画像上に表される前記特徴点のそれぞれの位置を手操作により直接指定して行われている。この場合、特徴点は少なくとも3つ以上指定され、これら3つ以上の特徴点に基づいて基準面および基準軸が計算されて基準座標系が設定される。また、下記特許文献2に記載の3次元画像処理装置においては、3次元画像上に表される所定の部位(例えば歯髄、眼球など)の重心点または中心点を特徴点として設定している。この場合、特徴点は少なくとも3つ以上設定され、これら3つ以上の特徴点に基づいて基準面および基準軸が計算されて基準座標系が設定される。
【特許文献1】国際公開01/003065号公報
【特許文献2】特開平8−131403号公報
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の3次元画像処理装置においては、3次元画像上に表される各特徴点の位置を一義的に特定して指定できないため、基準面または基準座標系の設定の都度、異なる基準面または基準座標系が設定され基準面および基準座標系の再現性が悪い。このため、3次元画像上に表される同一部位に関する異なる3次元画像間で位置関係を統一することができず、正確な診断ができないという問題がある。また、上記特許文献2に記載の3次元画像処理装置においては、3次元画像上に表される所定の部位(例えば歯髄、眼球など)の重心点または中心点などの概念上の点を特徴点としている。このため、臨床において広く用いられている基準面および基準座標系である骨などの表面上に設定される特徴点に基づく基準面および基準座標系によって3次元画像を評価することができず、正確な診断ができないという問題がある。
【発明の開示】
【0006】
本発明は前記問題に対処するためなされたもので、その目的は、骨などの表面上に設定される解剖学的な複数の特徴点にそれぞれ対応する点を、同骨などを表す3次元画像データからそれぞれ一義的に定点として抽出し、同抽出した複数の定点を用いて基準面および基準座標系を再現性良く定義するとともに、同基準座標系に基づいて3次元画像を表示することが可能な3次元画像処理装置、同装置に適用されるコンピュータ読み取り可能なプログラムおよび3次元画像処理方法を提供することにある。
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の特徴は、ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理装置において、骨の表面に存在する少なくとも3つの穴部の表面形状に合った基準球をそれぞれ定義する基準球定義手段と、基準球定義手段によって定義された少なくとも3つの基準球に基づいて、基準平面を定義する基準平面定義手段とを備えたことにある。
【0008】
このように構成した本発明の特徴によれば、骨の表面に存在する穴部の表面形状に合った基準球は一義的に特定される。そして、このように一義的に特定された少なくとも3つの基準球を用いて基準平面が定義される。このため、所定の穴部から定義される基準平面は、常に一義的に特定され、基準平面の再現性が良好となる。この結果、3次元画像上に表される同一部位に関する異なる3次元画像間で位置関係を統一することができ、正確な診断を行うことができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、前記基準平面定義手段を、基準球定義手段によって定義される少なくとも3つの基準球に基づいて、骨の表面上に設定される解剖学的な特徴点のうち、前記少なくとも3つの基準球に対応した少なくとも3つの特徴点を定点としてそれぞれ計算する定点計算手段と、定点計算手段によって計算された少なくとも3つの定点を含む平面を前記基準平面として計算する基準平面計算手段とで構成したことにある。
【0010】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、骨の表面上に設定される解剖学的な特徴点を定点として基準平面を定義している。このため、臨床において広く用いられている骨などの表面上に設定される特徴点に基づく基準平面によって3次元画像を評価することができ、正確な診断を行うことができる。
【0011】
この場合、例えば、前記基準平面を、顔面骨・頭蓋骨上に設定されるフランクフルト平面にしてもよい。フランクフルト平面の定義に用いる前記少なくとも3つの穴部は、それぞれ顔面骨・頭蓋骨における眼窩および外耳道のいずれかであるとよい。また、前記定点計算手段は、前記少なくとも3つの基準球の各中心点を含む基礎平面を定義し、同基礎平面に平行な平面が前記少なくとも3つの基準球にそれぞれ接する接点を定点として計算するとよい。例えば、左右の眼窩および外耳道について基準球を定義した場合、左右の眼窩および外耳道の各中心点を含む基礎平面を定義する。そして、同基礎平面と平行な平面と眼窩に定義された各基準球の下側の表面との各接点をそれぞれ定点とする。この場合、同各定点は解剖学的な特徴点である眼窩下点(オルビレータ)に対応する。また、同基礎平面と平行な平面と外耳道に定義された各基準球の上側の表面との各接点を定点とする。この場合、同各定点は解剖学的な特徴点である外耳道の最上点(ポリオン)に対応する。これにより、解剖学的な特徴点を用いて臨床において広く用いられている基準平面の1つであるフランクフルト平面を定義することができる。
【0012】
また、前記少なくとも3つの穴部の1つは眼窩であり、前記眼窩の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義手段を、眼窩の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する眼窩基準球決定手段とで構成するとよい。これによれば、仮基準球が次第に大きくなるに従って、眼窩内部を表す略全ての3次元画像データによって基準球が一義的に定義される。この結果、眼窩の表面形状に合った基準球を、精度および再現性よく定義することができる。
【0013】
また、前記少なくとも3つの穴部の1つは外耳道であり、前記外耳道の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義手段を、前記外耳道を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義手段と、前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて、所定の半径を有し、かつ前記外耳道に接する球体を基準球として決定する外耳道基準球決定手段とで構成するとよい。これによれば、略円錐形状からなる外耳道の所定の半径の位置に対して、同外耳道の表面に接する同所定の半径の基準球を一義的に定義することができる。この結果、外耳道の開口部の表面形状に合った基準球を、精度および再現性よく定義することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の穴中心を計算する穴中心計算手段と、穴中心計算手段により計算された前記穴中心を通り前記基準平面に直交する直線を第1基準軸として計算する第1の基準軸計算手段とを備え、前記第1基準軸と前記基準平面とからなる基準座標系を定義するようにしたことにある。
【0015】
この場合、例えば、前記第1基準軸と前記基準平面との交点を原点とし、前記少なくとも3つの基準球のうちの2つの基準球を用いて前記基準平面内にて直交する第2基準軸および第3基準軸を計算する第2の基準軸計算手段を備えるようにするとよい。
【0016】
このように構成された本発明の他の特徴によれば、骨の表面に存在する穴部の穴中心は一義的に特定される。そして、同穴中心を通り前記基準平面に直交する直線を第1基準軸とし、前記少なくとも3つの基準球のうちの2つの基準球を用いて第2基準軸および第3基準軸を計算している。このため、一義的に定義された基準面に対して一義的に原点および各基準軸を設定することができ、基準座標系の再現性が良好となる。この結果、3次元画像上に表される同一部位に関する異なる3次元画像間で位置関係を統一することができ、正確な診断を行うことができる。
【0017】
また、例えば、前記穴中心計算手段を、前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定手段と、基準球決定手段によって決定された基準球に含まれる3次元画像データのうちで、前記穴部の開口部の近傍に位置する3次元画像データを用いて開口部の平面を定義する穴平面定義手段と、基準球決定手段によって決定された基準球の中心を通り穴平面定義手段によって定義された平面に直交する直線と同平面との交点を前記穴部の穴中心とする穴中心決定手段とで構成するとよい。この場合、前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部を、顔面骨・頭蓋骨の大後頭孔にするとよい。
【0018】
これによれば、仮基準球が次第に大きくなるに従って、大後頭孔の開口部周辺を表す略全ての3次元画像データによって基準球が一義的に定義される。このため、大後頭孔の近傍に基準球を、精度および再現性よく定義することができる。また、大後頭孔の開口部近傍に位置する同基準球に含まれる3次元データを用いて定義される平面は、大後頭孔の開口部の平面と略等しいため、前記基準球の中心を通り同平面に直交する直線と同平面との交点を大後頭孔の穴中心として一義的に定義することができる。これにより、前記基準面に対して一義的に原点および各基準軸を設定することができ、基準座標系の再現性が良好となる。また、骨の表面に設定される解剖学的な特徴点以外の点を特徴点として一義的に特定して、基準座標系を設定することもできる。
【0019】
また、本発明は装置の発明として実施できるばかりでなく、コンピュータ読み取り可能なプログラムおよび方法の発明としても実施できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る3次元画像処理装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、人体の3次元画像を任意の方向から見て表示可能な3次元画像処理装置の基本構成を示す概略図である。この3次元画像処理装置は、コンピュータ装置10、入力装置11および表示装置12から構成されている。
【0021】
コンピュータ装置10は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどからなり、キーボード、マウスなどからなる入力装置11からの指示に従って、図示しないプログラムを実行することにより、人体の複数の2次元断層画像データに基づいて、同人体の3次元画像を任意の方向から見て表示可能な第1の3次元画像データを生成する。また、コンピュータ装置10は、図2に示すプログラムを実行することにより、前記第1の3次元画像データによる人体の3次元画像に表された解剖学的な複数の特徴点に基づいて基準座標系を設定して、同基準座標系に基づく3次元画像データである第2の3次元画像データを生成する。
【0022】
ここで解剖学的な特徴点とは、解剖学的に見て全ての人体に存在し略一点に収束できる点であり、骨などの表面上に現実に設定される点(例えば、眼窩下点など)のほか、骨などの形状に基づいて概念的に設定することができる点(例えば、眼窩の中心点など)も含むものである。また、基準座標系は、互いに異なる少なくとも3つ以上の特徴点に基づいて定義される基準面および3つの基準軸から構成される座標系である。
【0023】
このコンピュータ装置10に内蔵されているハードディスクには、人体の複数の2次元断層画像データ、第1の3次元画像データおよび第2の3次元画像データを記憶するための領域が確保されており、以降この記憶領域をメモリ10aという。また、コンピュータ装置10には、表示装置12が接続されている。表示装置12は、CRT(または液晶ディスプレイ)などからなり、コンピュータ装置10から出力される2次元画像データ、第1および第2の3次元画像データによって表される人体の2次元断層画像または3次元画像を表示させる。
【0024】
コンピュータ装置10には、X線CT(コンピュータ断層撮影)装置20が接続されている。X線CT装置20は、X線を用いて人体の断層画像をヘリカルスキャンにより連続的に撮影して、複数の2次元断層画像データとしてコンピュータ装置10に出力する。なお、この場合、コンピュータ装置10に出力される画像データは、2次元の断層画像データであればよく、このX線CT装置20に代えて、例えば、MRI(磁気共鳴診断)装置による人体の複数の2次元断層画像データであってもよい。また、これらのX線CT装置、MRI装置などの各種断層撮影装置によって得られた2次元断層画像データを記憶させたハードディスク装置、光ディスク装置などからなる外部記憶装置からコンピュータ装置10に、同複数の2次元断層画像データを出力するように構成してもよい。
【0025】
上記のように構成した実施形態の作動について説明する。作業者は、図示しない電源スイッチの投入により、コンピュータ装置10およびX線CT装置20の作動を開始させる。そして、作業者は、X線CT装置20を操作して人体の断層画像を撮影する。本実施形態においては、人体における頭部の断層画像を撮影する。これにより、X線CT装置20は、撮影した頭部に関する複数の2次元断層画像データを生成する。このX線CT装置20による2次元断層画像データの生成の詳細については、本発明に直接関わらないので、その説明は省略する。なお、X線CT装置20に、既に2次元断層画像データが生成されている場合には、この撮影作業は省略できる。
【0026】
次に、作業者は、入力装置11を操作してX線CT装置20によって生成された複数の2次元断層画像データの入力をコンピュータ装置10に指示する。この指示に応答して、コンピュータ装置10は、X線CT装置20から複数の2次元断層画像データを入力してメモリ10a内に記憶させる。次に、作業者は、入力装置11を操作して第1の3次元画像データの生成をコンピュータ装置10に指示する。この指示に応答して、コンピュータ装置10は、図示しないプログラムを実行することにより、メモリ10a内に記憶されている複数の2次元断層画像データを立体的に構築して第1の3次元画像データを生成する。この場合、2次元断層画像データのCT値を用いて、ヒトの頭部における頭蓋骨に関する2次元断層画像データのみを抽出して第1の3次元画像データを生成する。これにより、X線CT装置20によって撮影された頭部に含まれる頭蓋骨の3次元画像を任意の方向から見て表示可能な第1の3次元画像データが生成される。なお、本実施形態において前記頭蓋骨の用語は、顔面骨など頭部全体を構成する骨の総称として用いる。
【0027】
この場合、本実施形態においては、第1の3次元画像データはSTL(Stereo Lithography)データ形式により生成される。STLデータ形式とは、被対象物(頭蓋骨)の表面形状を表す3次元画像データを、微小な三角平面で表される点群データの集まりとして構成したものである。したがって、被対象物(頭蓋骨)の形状は、同被対象物(頭蓋骨)の表面形状を近似した多面体モデルによって表される。また、STLデータ形式によって表される各点群データは、各点群データが表す三角平面の法線ベクトルに関するデータもそれぞれ有している。このSTLデータ形式による第1の3次元画像データの生成処理については本発明に直接関わらないので、その説明は省略する。
【0028】
なお、この第1の3次元画像データは、X線CT装置20において設定された座標系に基づいて生成されるものである。すなわち、第1の3次元画像データは、X線CT装置20のガントリ中心を原点とし、人体の左右方向をX軸、人体の前後方向をY軸、人体の上下方向をZ軸とする直交座標系に基づいて生成される。したがって、第1の3次元画像データを構成する各点群データは座標値(X,Y,Z)で表される。この場合、座標値(X,Y,Z)は、それぞれの前記微小な三角平面の各重心点である。
【0029】
次に、作業者は、入力装置11を操作して第2の3次元画像データの生成をコンピュータ装置10に指示する。ここで、第2の3次元画像データは、第1の3次元画像データによって表された頭蓋骨の3次元画像上に定義される基準座標系に基づいて生成される3次元画像データである。本実施形態においては、頭蓋骨のセファロ分析に多用されているフランクフルト平面を基準平面とし、同基準平面に従った3つの基準軸を定義して基準座標系とする。フランクフルト平面は、左右の眼窩下点(オルビターレ)を結んだ直線の中点または左右の眼窩下点(オルビターレ)のどちらか一方と、左右の外耳道のそれぞれの最上点(ポリオン)を含む平面である。コンピュータ装置10は、前記指示に応答して、図2に示す3次元画像データ生成プログラムの実行をステップS100にて開始する。そして、コンピュータ装置10は、ステップS102にて、図3(A)に示すように、第1の3次元画像データによって表される3次元画像、すなわち頭蓋骨の3次元画像を表示装置12に表示させる。
【0030】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS104にて、第1の3次元画像データによって表された頭蓋骨の3次元画像の左右の眼窩の表面形状にそれぞれ合った眼窩基準球BOL,BORを定義する。これらの眼窩に定義される各眼窩基準球BOL,BORは、頭蓋骨上の解剖学的な特徴点の1つである左右の眼窩下点(オルビターレ)Orを特定するために用いられる。具体的には、図4に示す眼窩基準球定義サブプログラムをステップS200にて開始する。なお、この眼窩基準球BOL,BORの定義は、左右の眼窩について行われるが、両眼窩基準球BOL,BORとも同様にして定義されるため、これらのうち、左目(図示右側の目)の眼窩基準球BOLの場合についてのみ説明する。
【0031】
コンピュータ装置10は、ステップS202にて、表示装置12に左右の眼窩の画像を表示させるように作業者に促す。作業者は、図3(B)に示すように、入力装置11を操作して表示装置12に頭蓋骨を略正面視させた画像を表示させる。次に、コンピュータ装置10は、ステップS204にて、左目の眼窩の開口部、すなわち眼窩口付近を定義する点群データを抽出する。この眼窩口付近の点群データの抽出は、次のサブステップ1〜4の処理からなる。
【0032】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、左右の眼窩下孔の指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して、略正面視させた頭蓋骨の3次元画像上に表されている左右の眼窩下孔をそれぞれ指定する(図3(B)参照)。これにより、コンピュータ装置10は、指定された位置(両眼窩下孔)をそれぞれ定義する点群データを取得する。
【0033】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、略正面視させた頭蓋骨の3次元画像上に平面P1を定義する。具体的には、指定された両眼窩下孔をそれぞれ定義する点群データを含みZ軸方向(人体の上下方向)に平行な平面を計算する。この場合、四角形状の平面P1を構成する上下の2辺は、両眼窩下孔の各点群データを結ぶ直線L1にそれぞれ平行であり、左右の2辺は、同直線L1にそれぞれ直交する。そして、これら4つの辺で、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像を囲んだ状態で四角形状の平面P1が定義される。
【0034】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、図3(C)に示すように、前記四角形状の平面P1を前後方向にそれぞれ所定長さ(例えば10mm)ずつ平行移動させた場合に形成される直方体V1内に存在する第1の3次元画像データの各点群データを抽出する。そして、コンピュータ装置10は、同抽出された各点群データを、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像に重ねて表示させる(図3(B),(C)参照)。なお、この場合、抽出される各点群データは、頭蓋骨の表面形状をそれぞれ定義している点群データである。
【0035】
サブステップ4:コンピュータ装置10は、左目の眼窩口の指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して表示装置12に表示された頭蓋骨の略正面視させた3次元画像上の左目の眼窩口を指定する。この場合、眼窩口のみを指定することができないため、図3(D)に示すように、眼窩口を含む眼窩および眼窩口周辺の領域T1を指定する。これにより、コンピュータ装置10は、直方体V1内に存在する点群データのうち、指定された領域T1内に存在する点群データを抽出して、眼窩口付近の点群データとして記憶する。
【0036】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS206にて、左目の眼窩口に仮基準球B0を定義する。具体的には、前記ステップS204にて抽出された眼窩口付近の点群データを、球体を表す下記式1の左辺のX,Y,Zにそれぞれ代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。この場合、a,b,cは、点群データにより表された球体中心のx,y,z座標値をそれぞれ表し、dは球体の半径を表す。これにより、図5(A)に示すように、眼窩口の表面形状に合った、すなわち眼窩口を定義する点群データを含む仮基準球B0が定義される。この場合、抽出された眼窩口付近の点群データにおいては、眼窩内を定義する点群データが眼窩口の外側を定義する点群データより多い。このため、仮基準球B0は、眼窩口の内側、すなわち眼窩側に偏って定義される。そして、コンピュータ装置10は、ステップS208にて、定義された仮基準球B0の中心座標C0および半径r0をそれぞれ記憶する。
(X−a)2+(Y−b)2+(Z−c)2=d2 …式1
【0037】
次に、コンピュータ装置10は、左目の眼窩内の表面形状に合った眼窩基準球BOLを定義する。この眼窩基準球BOLの定義は、ステップS210ないしステップS214の各処理を繰り返し実行して行われる。まず、コンピュータ装置10は、ステップS210にて、球体B2を定義する。具体的には、図5(B)に示すように、前記仮基準球B0の中心座標C0を中心として、前記仮基準球B0の半径r0を所定の割合だけ大きくした半径r1の球体B1を定義する。そして、同球体B1内に含まれる第1の3次元画像データの各点群データを、球体を表す式である上記式1に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、図5(C)に示すように、前記仮基準球B0を定義する眼窩口付近の点群データの外側の点群データ、すなわち、眼窩口の外側および眼窩内の一部を定義する点群データを用いて新たな球体B2が定義される。
【0038】
この場合、球体B1内に存在する各点群データにおいては、眼窩口の外側を定義する点群データより眼窩内を定義する点群データの方が多いため、新たに計算される球体B2の中心位置C2は、仮基準球B0の中心位置C0より眼窩内に移動する。また、眼窩口の内径より眼窩内の内径の方が大きいため、新たな球体B2の半径r2は、仮基準球B0の半径r0より大きくなる。なお、図5(C)に示す新たな球体B2は、球体B0との相違を明確にするため誇張して示している。また、仮基準球B0の半径r0を大きくする所定の割合は、前記仮基準球B0の半径r0に対して0.5〜2割が適当であり、本実施形態においては、1割に設定している。
【0039】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS212にて、前記定義された新たな球体B2の位置が収束したかを判定する。具体的には、前記仮基準球B0の中心座標C0と前記ステップS210にて定義された新たな球体B2の中心座標C2との距離を計算し、同距離が所定の値より小さい場合に、球体B2の位置が収束したものと判定する。したがって、この判定において、同距離が所定値より大きい場合には、「No」と判定され続けて、ステップS214を介してステップS210,S212の処理が繰り返し実行される。ステップS214では、前記ステップS210にて定義された新たな球体B2の中心座標C2および半径r2を新たな仮基準球B0の中心座標C0および半径r0として書き換えて記憶する。
【0040】
すなわち、ステップS210ないしステップS214の各処理の初期の実行時においては、眼窩口付近を定義する点群データに基づいて球体B2が定義される。そして、ステップS210ないしステップS214が繰り返し実行されることによって、徐々に眼窩内部を定義する点群データによって球体B2が定義される。この場合、球体B2の計算に用いられる点群データに占める眼窩内部を定義する点群データの割合が大きくなると、計算される球体B2は徐々に眼窩内部の表面形状に合った球体となり、最終的に球体B2の中心座標C2は徐々に略一点に収束する。すなわち、最終的には、眼窩内部の表面形状を定義する点群データを最も多く含む球体が定義される。
【0041】
そして、図5(D)に示すように、ステップS210にて計算される球体B2の中心座標C2が略一点に収束した場合、すなわち、計算された球体B2の中心座標C2と、仮基準球B0の中心座標C0との距離が所定値より小さくなった場合には、眼窩内部の表面形状に合った球体が定義されたとして、ステップS212にて、「Yes」と判定され、ステップS216に進む。なお、この場合、球体B2は、最終的に眼窩内部の表面形状を定義する略全ての点群データに基づいて計算されるため、球体B2の下端面付近には、オルビターレOrまたは同オルビターレOrの極近傍を定義する点群データが含まれる。
【0042】
コンピュータ装置10は、ステップS216にて、前記中心座標C2が略一点に収束した球体B2の中心座標C2および半径r2を、眼窩基準球BOLの中心座標Cおよび半径rとして記憶する。そして、コンピュータ装置10は、ステップS218にて、図6(A)に示すように、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像に重ねて眼窩基準球BOLを表示させた後、ステップS220にて、眼窩基準球定義サブプログラムの実行を終了して、再び3次元画像データ生成プログラムに戻る。なお、前記したように、この眼窩基準球定義サブプログラムの実行は、右目の眼窩についても同様に実行されるため、図6(B)に示すように、両眼窩に対して眼窩基準球BOL,BORがそれぞれ定義される。
【0043】
次に、コンピュータ装置10は、図2のステップS106にて、第1の3次元画像データによって表された頭蓋骨の3次元画像の左右の両外耳道の開口部の表面形状にそれぞれ合った外耳道基準球BPL,BPRを定義する。これらの外耳道の開口部に定義される両外耳道基準球BPL,BPRは、頭蓋骨上の解剖学的な特徴点である左右の外耳道の最上点(ポリオン)Poを特定するために用いられる。具体的には、図7に示す外耳道基準球定義サブプログラムをステップS300にて開始する。なお、この外耳道基準球BPL,BPRの定義は、左右の両外耳道について行われるが、両外耳道基準球BPL,BPRとも同様にして定義されるため、これらのうち、左耳(図示右側の耳)の外耳道基準球BPLの場合についてのみ説明する。
【0044】
コンピュータ装置10は、ステップS302にて、表示装置12に左耳の外耳道の画像を表示させるように作業者に促す。作業者は、図8(A)に示すように、入力装置11を操作して表示装置12に頭蓋骨を略左側面視させた画像を表示させる。次に、コンピュータ装置10は、ステップS304にて、左耳の外耳道が外側に開口する開口部付近を定義する点群データを抽出する。この外耳道の開口部付近の点群データの抽出は、次のサブステップ1〜4の処理からなる。なお、この外耳道の開口部の最上点が、前記ポリオンPoである。
【0045】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、左耳の外耳道の最上点Po、すなわちポリオンPoの指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して表示装置12に表示された頭蓋骨の略左側面視させた3次元画像上のポリオンPoを指定する。この場合、厳密にポリオンPoを特定して指定することができないため、実際は、ポリオンPoと考えられる領域の一点を指定することになる。これにより、コンピュータ装置10は、指定された一点の点群データを取得する。
【0046】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、円形状の平面P2を定義する。具体的には、コンピュータ装置10は、円形状の平面P2の直径の指定を作業者に促す。この平面P2は、図8(B)に示すように、指定されたポリオンPoと考えられる領域の一点の点群データから下方に向けて指定された直径を有し、X軸(人体の左右方向)に直交する平面である。この平面P2の直径は、外耳道の開口部を含む同開口部周辺を覆うことができる大きさの直径である。本実施形態において作業者は、例えば16mmを指定する。これは、一般的な成人した日本人の外耳道の同開口部の直径が約8mmであることから、この開口部を含む開口部周辺を覆うために充分な値としている。したがって、成人した日本人以外の外耳道に対して平面P2を定義する場合には、適宜、所定の長さが指定される。これにより、前記指定されたポリオンPoと考えられる領域の一点を含み、指定された直径を有する円形状の平面P2が定義される。なお、前記作業者による直径の指定に代え、同直径が自動的に指定されるようにしてもよい。
【0047】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、図9(A)に示すように、前記円形状の平面P2を外耳道の軸方向の内側(図示左側)に所定長さ(例えば、20mm)、外側(図示右側)に前記内側より短い所定長さ(例えば、5mm)ずつそれぞれ平行移動させた場合に形成される円柱V2内に存在する第1の3次元画像データの各点群データを抽出する。そして、同抽出された第1の3次元画像データの各点群データを、図8(B)に示すように、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像に重ねて表示させる。これにより、外耳道の内部および開口部を含む、同開口部周辺を定義する点群データが抽出される。
【0048】
サブステップ4:コンピュータ装置10は、外耳道の開口部の指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して、略左側面視させた頭蓋骨の3次元画像上に表された外耳道の開口部を指定する。この場合、外耳道の開口部のみを指定することができないため、図8(C)に示すように、外耳道の開口部を含む領域T2を指定する。これにより、コンピュータ装置10は、円柱V2内に存在する点群データのうち、指定された領域T2内に存在する点群データを抽出して、外耳道の開口部付近の点群データとして記憶する。
【0049】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS306にて、左耳の外耳道の開口部の表面形状に合った外耳道基準球BPLを定義する。具体的には、前記ステップS304にて抽出した外耳道の開口部付近の各点群データを、球体を表す上記式1の左辺のX,Y,Zにそれぞれ代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,cを計算する。この場合、dは球体の半径を表し、本実施形態においては4mmに予め設定されている。これは、外耳道の内径が外側に向かって広がる略円錐形状をしているため、球体の半径dを特定しなければ同外耳道の開口部の形状に合った球体を特定できないからである。また、予め設定される4mmは、前記したように一般的な成人した日本人の外耳道の開口部の半径である。したがって、成人した日本人以外の外耳道に球体を定義する場合には、適宜、半径dが設定される。このステップS306の処理により、図9(B)に示すように、外耳道の開口部の表面形状に合った直径4mmの外耳道基準球BPLが定義される。この場合、外耳道基準球BPLの上端面付近には、開口部の最上点、すなわちポリオンPoまたはポリオンPoの極近傍を定義する点群データが含まれる。
【0050】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS308にて、外耳道基準球BPLの中心座標Cおよび半径rを記憶する。そして、コンピュータ装置10は、ステップS310にて、図8(D)に示すように、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像に重ねて外耳道基準球BPLを表示させた後、ステップS312にて、外耳道基準球定義サブプログラムの実行を終了して、再び3次元画像データ生成プログラムに戻る。なお、前記したように、この外耳道基準球定義サブプログラムの実行は、右耳の外耳道についても同様に実行されるため、両耳の外耳道に対して外耳道基準球BPL,BPR(外耳道BPRは図示せず)がそれぞれ定義される。
【0051】
次に、コンピュータ装置10は、図2のステップS108にて、第1の3次元画像データによって表された頭蓋骨の3次元画像の大後頭孔の穴中心CDを計算する。この大後頭孔の穴中心CDは、実際の頭蓋骨上には存在せず、大後頭孔の形状に基づいて概念的に存在する中心点を特徴点とするものである。具体的には、図10に示す大後頭孔穴中心計算サブプログラムをステップS400にて開始する。
【0052】
コンピュータ装置10は、ステップS402にて、表示装置12に大後頭孔を頭蓋腔側から見た画像、すなわち頭蓋骨の内頭蓋底の画像を表示させるように作業者に促す。作業者は、図11(A)に示すように、入力装置11を操作して表示装置12に大後頭孔の内頭蓋底の3次元画像を表示させる。なお、図11(A)〜(D)に示される内頭蓋底は、下方が顔面側、上方が後頭部側である。次に、コンピュータ装置10は、ステップS404にて、大後頭孔の開口部を定義する点群データを抽出する。ここで大後頭孔の開口部とは、大後頭孔が内頭蓋底に開口する環状の周縁部分である。この大後頭孔の開口部の点群データの抽出は、次のサブステップ1〜3の処理からなる。
【0053】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、大後頭孔の開口部の指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して、内頭蓋底の3次元画像上に表された大後頭孔の開口部を指定する。この場合、大後頭孔の開口部のみを指定することができないため、大後頭孔の開口部を含む大後頭孔の穴周辺の領域T3を指定する。これにより、コンピュータ装置10は、指定された領域T3内に存在する第1の3次元画像データの各点群データを抽出する。
【0054】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、内頭蓋底の3次元画像上に穴基準軸を定義する。具体的には、作業者は、入力装置11を操作して、内頭蓋底の3次元画像上にあらわされた大後頭孔の穴中心付近の一点を指定する。これにより、表示装置12の表示画面(図11)に垂直な軸線である穴基準軸が定義される。この穴基準軸は、図12(A)に示すように、大後頭孔の軸線方向に略平行な軸線である。
【0055】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、前記抽出した領域T3内の点群データの中から大後頭孔の開口部を定義する点群データを抽出する。具体的には、コンピュータ装置10は、前記抽出した各点群データが表す三角平面の法線ベクトルと、前記定義された穴基準軸との角度α1〜αnをそれぞれ計算する。そして、コンピュータ装置10は、同計算された各角度α1〜αnが所定の範囲内にある点群データのみを抽出して記憶する。また、コンピュータ装置10は、図11(B)に示すように、同各点群データを、表示装置12に表示されている内頭蓋底画像に重ねて表示させる。
【0056】
この場合、抽出される角度α1〜αnの所定の範囲は、次のように設定される。大後頭孔を定義する点群データのうち、大後頭孔の開口部を定義する点群データが表す三角平面は前記穴基準軸に対して平行または略平行である。このため、大後頭孔の開口部を定義する点群データが表す三角平面の法線ベクトルは、前記穴基準軸に対して略90°の角度で交わることになる。したがって、同角度が略90°である三角平面の点群データを抽出すれば大後頭孔の開口部を定義する点群データを抽出することができる。本実施形態においては、前記所定の範囲を85°〜90°の範囲(または90°〜95°の範囲)としている。これにより、同範囲内に存在する点群データが、大後頭孔の開口部を定義する点群データとして大後頭孔の開口部に沿って帯状に抽出される。
【0057】
なお、内頭蓋底における大後頭孔周辺の形状は、大後頭孔の開口部から上方に向かって少しずつ拡がった傾斜部となっている。この傾斜部は、前側(顔面側)の斜面の長さが後側(後頭部側)の斜面の長さに比べて長い形状となっており、これらの斜面が大後頭孔の開口部に沿って連続的に繋がった形状となっている。このため、図11(B)に示すように、サブステップ3によって抽出される点群データは、開口部を定義する点群データのほかに、同傾斜部を定義する点群データも含まれる。この場合、傾斜部を定義する各点群データは、傾斜部の前側(顔面側)を定義する点群データが、傾斜部の後側(後頭部側)を定義する点群データよりも多く抽出される。
【0058】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS406にて、大後頭孔に仮基準球B0を定義する。具体的には、前記ステップS404にて抽出された大後頭孔の開口部および傾斜部を定義する各点群データを、球体を表す上記式1の左辺のX,Y,Zにそれぞれ代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、図12(B)に示すように、大後頭孔の開口部および/または傾斜部の表面形状に合った、すなわち大後頭孔の開口部および/または傾斜部をそれぞれ定義する点群データを含む仮基準球B0が定義される。そして、コンピュータ装置10は、ステップS408にて、定義された仮基準球B0の中心座標C0および半径r0をそれぞれ記憶する。
【0059】
次に、コンピュータ装置10は、大後頭孔の上方(内頭蓋底側)に大後頭孔基準球BDを定義する。具体的には、大後頭孔の開口部周辺に形成された前記傾斜部の表面形状に合った球体を定義する。この大後頭孔基準球BDの計算は、前記眼窩基準球定義サブプログラムにおけるステップS210ないしステップS214の各処理と同様な、ステップS410ないしステップS414の各処理を繰り返し実行することによって行われる。
【0060】
まず、コンピュータ装置10は、ステップS410にて、図12(B)に示すように、前記仮基準球B0の中心座標C0を中心として、前記仮基準球B0の半径r0を所定の割合だけ大きくした半径r1の球体B1を定義する。そして、同球体B1内に含まれる第1の3次元画像データの各点群データを、球体を表す上記式1に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、図12(C)に示すように、前記仮基準球B0を定義する大後頭孔の開口部の点群データの外側の点群データ、すなわち、大後頭孔の外側の表面(内頭蓋底の反対側の表面)および前記傾斜部の一部を定義する点群データを用いて新たな球体B2が定義される。
【0061】
この場合、球体B1内に存在する点群データにおいては、大後頭孔の外側の表面(内頭蓋底の反対側の表面)を定義する点群データより傾斜部を定義する点群データの方が多いため、新たに定義される球体B2の中心位置C2は、仮基準球B0の中心位置C0より傾斜部側、すなわち上方に移動する。また、傾斜部は上方に向かって拡がった形状となっているため、新たな球体B2の半径r2は、仮基準球B0の半径r0より大きくなる。なお、図12(C)に示す新たな球体B2は、球体B0との相違を明確にするため誇張して示している。また、仮基準球B0の半径r0を大きくする所定の割合は、前記仮基準球B0の半径r0に対して0.5〜2割が適当であり、本実施形態においては、1割に設定されている。
【0062】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS412にて、前記定義された球体B2の位置が収束したかを判定する。具体的には、前記仮基準球B0の中心座標C0と前記ステップS410にて定義された新たな球体B2の中心座標C2との距離を計算し、同距離が所定値より小さい場合に、球体B2の位置が収束したものと判定する。したがって、この判定において、同距離が所定値より大きい場合には、「No」と判定され続けて、ステップS414を介してステップS410,S412の処理が繰り返し実行される。ステップS414では、前記ステップS410にて定義された新たな球体B2の中心座標C2および半径r2を新たな仮基準球B0の中心座標C0および半径r0として書き換えてそれぞれ記憶する。
【0063】
すなわち、ステップS410ないしステップS414の各処理の初期の実行時においては、主に大後頭孔の開口部を定義する点群データに基づいて球体B2が計算される。そして、ステップS410ないしステップS414が繰り返し実行されることによって、徐々に大後頭孔の傾斜部を定義する点群データによって球体B2が計算される。この場合、傾斜部の上方は、略水平な内頭蓋底となっており、球体B1内に内頭蓋底を定義する点群データが含まれるようになると、球体B2の計算に用いられる新たな点群データの数が急激に少なくなる。このため、球体B2は、同傾斜部の表面形状に合った球体の状態で位置が変化しなくなり、最終的に球体B2の中心座標C2は略一点に収束する。すなわち、最終的には、同傾斜部の表面形状を定義する点群データを最も多く含む球体が定義される。
【0064】
そして、図12(D)に示すように、ステップS410にて計算される球体B2の中心座標C2が略一点に収束した場合、すなわち、計算された球体B2の中心座標C2と、仮基準球B0の中心座標C0との距離が所定値より小さくなった場合には、傾斜部の表面形状に合った球体が定義されたとして、ステップS412にて、「Yes」と判定され、ステップS416に進む。次に、コンピュータ装置10は、ステップS416にて、前記中心座標C2が略一点に収束した球体B2の中心座標C2および半径r2を、大後頭孔基準球BDの中心座標Cおよび半径rとして記憶した後、ステップS418にて、図11(C)に示すように、表示装置12に表示されている内頭蓋底の3次元画像に重ねて大後頭孔基準球BDを表示させる。
【0065】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS420にて、図13(A)に示すように、大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうち、前記大後頭孔基準球BDに含まれる点群データの重心点Cjを計算する。具体的には、大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうち、前記大後頭孔基準球BDに含まれる点群データの座標値を各座標軸(X,Y,Z)ごとに加算してそれぞれの合計値を計算し、これらの合計値をそれぞれ加算した点群データの数で除して計算する。この場合、大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうち、大後頭孔基準球BDに含まれる点群データは、大後頭孔基準球BDの下側の半球に傾斜部の形状に沿って略均等に存在するため、計算される重心点Cjは、大後頭孔基準球BDの中心座標Cの略真下方向の位置に設定される。
【0066】
そして、コンピュータ装置10は、ステップS422にて、大後頭孔基準球BDに球基準軸を定義する。具体的には、大後頭孔基準球BDの中心座標Cと前記重心点Cjとを通る直線を球基準軸とする。この場合、大後頭孔基準球BDの中心座標Cおよび前記重心点Cjは、傾斜部を定義する点群データに基づいて計算されていることから、球基準軸は、同傾斜部の中心軸と考えることができる。また、傾斜部の中心軸と大後頭孔の中心軸は、略等しいと考えられることから、同球基準軸は、大後頭孔の中心軸と考えることができる。
【0067】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS424にて、大後頭孔の開口部付近に前記球基準軸に直交する平面P3を定義する。この平面P3の定義は、次のサブステップ1〜3の処理からなる。
【0068】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、大後頭孔基準球BDに含まれる大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうちで、最も大後頭孔に近い位置の点群データを特定する。具体的には、コンピュータ装置10は、図13(B)に示すように、大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうち、大後頭孔基準球BDに含まれる各点群データがそれぞれ表す三角平面と、前記球基準軸とによって形成される角度β1〜βnをそれぞれ計算する。そして、同計算した角度β1〜βnのうちで最小の角度(図において角度β1)を最小角βminとして記憶する。この場合、大後頭孔に近い点群データ(実際には傾斜部を定義する点群データ)ほど、同点群データが表す三角平面は前記球基準軸に対して平行に近い。このため、球基準軸に対する同三角平面の角度が最も小さい点群データは、大後頭孔基準球BDに含まれる大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうちで、最も大後頭孔に近い位置の点群データである。
【0069】
サブステップ2:コンピュータ装置は、平面P3を計算するための点群データを抽出する。具体的には、前記角度βminに所定の角度δを加算した角度βmin+δを計算して、球基準軸に対して角度βminないし角度βmin+δの範囲の角度に含まれる大後頭孔基準球BDに含まれる大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データを抽出する。ここで、所定の角度δは、平面P3を計算するための点群データを複数得るために設定される値である。これにより、大後頭孔基準球BDに含まれる大後頭孔の傾斜部を定義する点群データのうちで、大後頭孔の開口部近傍に位置する点群データが傾斜部に沿って帯状に抽出される。なお、所定の角度δは、1°〜5°の範囲が適当であり、本実施形態においては、3°に設定されている。
【0070】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、平面P3を計算する。具体的には、前記抽出した大後頭孔の開口部近傍の複数の点群データを、平面を表す下記式2に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、大後頭孔の開口部の上方近傍に、大後頭孔の開口面に略平行な平面P3が定義される。
aX+bY+cZ=d …式2
【0071】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS426にて、大後頭孔の穴中心CDの座標値を計算する。具体的には、前記球基準軸と前記平面P3との交点を計算して、同交点の座標値を大後頭孔の穴中心CDとする。この場合、前記球基準軸は、大後頭孔の中心軸に略等しく、平面P3は大後頭孔の開口部の近傍であって開口面に略平行であるため、前記交点を大後頭孔の穴中心と考えることができる。そして、コンピュータ装置10は、ステップS428にて、前記計算された大後頭孔の穴中心CDの座標値を記憶した後、ステップS430にて、図11(D)に示すように、表示装置12に表示されている内頭蓋底の3次元画像に重ねて同穴中心CDを表示させる。そして、コンピュータ装置10は、ステップS432にて、大後頭孔穴中心計算サブプログラムの実行を終了して、再び3次元画像データ生成プログラムに戻る。
【0072】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS110にて、基準座標系を定義する。基準座標系は、基準平面上に設定される原点および同原点を通る3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)から構成される。具体的には、図14に示す基準座標系定義サブプログラムをステップS500にて開始する。コンピュータ装置10は、ステップS502にて、基準平面Pfを定義する。本実施形態においては、前記したように基準平面Pfとして、頭蓋骨のセファロ分析において多用されているフランクフルト平面を定義する。この基準平面Pfの定義は、次のサブステップ1〜4の処理からなる。
【0073】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、図15(A)に示すように、前記眼窩基準球BOL,BOR(右側の眼窩基準球BORは図示せず)および前記外耳道基準球BPL,BPR(右側の外耳道基準球BPRは図示せず)を用いて基礎平面P4を定義する。ここで基礎平面P4は、左右2つの眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cと、左右2つの外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cとを含む平面である。具体的には、2つの眼窩基準球BOL,BORの各中心座標値Cと、2つの外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標値Cとを、平面を表す上記式2に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、左右2つの眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cと、左右2つの外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cとを含む基準平面P4が定義される。
【0074】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、基準平面Pf(フランクフルト平面)の計算に用いる4つの定点、すなわち、左右の眼窩のオルビターレOrおよび左右の外耳道のポリオンPoに対応する定点を計算する。具体的には、図16に示すように、基礎平面P4と平行な平面P4’を想定し、同平面が2つの眼窩基準球BOL,BORのそれぞれ下表面に接する接点をそれぞれ計算し、同接点の座標値を定点Psl,Psrとしてそれぞれ記憶する。この計算された2つの定点Psl,Psrは、それぞれ左右の眼窩のオルビターレOrに対応する。この場合、各眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cを通り、前記基礎平面P4に垂直な軸線Loをそれぞれ想定し、同軸線Loと同眼窩基準球BOL,BORとの下表面の交点を計算して、同交点の座標値を定点Psl,Psrとしても同様である。なお、この場合、定点Psl,Psrをより高精度に計算するために、各眼窩のオルビターレOrの各眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cに対する位置関係から軸線Loの基礎平面P4に対する角度を予め設定しておいてもよい。この場合、同角度は80°〜90°(または90°〜100°)の範囲が適当である。
【0075】
また、基礎平面P4と平行な平面P4’’が、2つの外耳道基準球BPL,BPRのそれぞれ上表面に接する接点をそれぞれ計算し、同接点の座標値を定点Psl’,Psr’としてそれぞれ記憶する。この計算された2つの定点Psl’,Psr’は、それぞれ左右の外耳道のポリオンPoに対応する。この場合、各外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cを通り、前記基礎平面P4に垂直な軸線Lpをそれぞれ想定し、同軸線Lpと同外耳道基準球BPL,BPRとの上表面の交点を計算して、同交点の座標値を定点Psl’,Psr’としても同様である。これにより、基準平面Pf(フランクフルト平面)の計算に用いる左右の眼窩のオルビターレOrおよび左右の外耳道のポリオンPoに対応する4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’が計算される。なお、この場合、定点Psl’,Psr’をより高精度に計算するために、各外耳孔のポリオンPoの各外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cに対する位置関係から軸線Lpの基礎平面P4に対する角度を予め設定しておいてもよい。この場合、同角度は80°〜90°(または90°〜100°)の範囲が適当である。
【0076】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、前記計算された4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面Pf(フランクフルト平面)を定義する。具体的には、前記4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を、平面を表す上記式2に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、図15(B)に示すように、前記4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を含む基準平面Pf(フランクフルト平面)が定義される。この基準平面Pfは、2つのオルビターレOrおよび2つのポリオンPoを含むフランクフルト平面に対応する。
【0077】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS504にて、前記基準平面Pf(フランクフルト平面)に原点Oおよび3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)を定義する。この原点Oおよび3つの基準軸の定義は、次のサブステップ1〜4の処理からなる。
【0078】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、基準平面Pf(フランクフルト平面)に第1基準軸Zを定義する。具体的には、図15(C)に示すように、前記大後頭孔の穴中心CDを通り、基準平面Pf(フランクフルト平面)に直交する直線を計算し、同直線を第1基準軸Zとする。この第1基準軸Zは、前記3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)のうち、Z軸に対応する。
【0079】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、基準平面Pf(フランクフルト平面)に原点Oを定義する。具体的には、基準平面Pf(フランクフルト平面)と前記第1基準軸Zとの交点を原点Oとする。
【0080】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、他の2つの基準軸である第2基準軸Xおよび第3基準軸Yを定義する。具体的には、前記2つの定点Psl’,Psr’(ポリオンOrに対応)を通る直線に平行な直線であって、前記原点Oを通る直線を第2基準軸Xとする。この第2基準軸Xは、前記3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)のうち、X軸に対応する。また、前記2つの定点Psl’,Psr’(ポリオンOrに対応)を通る直線に直交する直線であって、前記原点Oを通る直線を第3基準軸Yとする。この第3基準軸Yは、前記3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)のうち、Y軸に対応する。なお、この場合、定点Psl’,Psr’に代えて、外耳道基準球BPL,BPRの各中心点Cを用いても同様に第2基準軸Xおよび第3基準軸Yを定義することができる。また、定点Psl,Psr(オルビターレOrに対応)または眼窩基準球BOL,BORの各中心点Cを用いても同様に第2基準軸Xおよび第3基準軸Yを定義することができる。
【0081】
これらにより、基準平面Pf(フランクフルト平面)に対して原点Oおよび3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)が設定される。そして、コンピュータ装置10は、ステップS506にて、基準座標系定義サブプログラムの実行を終了して、再び3次元画像データ生成プログラムに戻る。
【0082】
次に、コンピュータ装置10は、図2のステップS112にて、第2の3次元画像データを生成する。ここで、第2の3次元画像データは、前述したように、前記定義した基準座標系に基づいて3次元画像を表示させるための3次元画像データである。具体的には、コンピュータ装置10は、第1の3次元画像データを第2の3次元画像データに変換する座標変換係数を計算する。この座標変換係数の計算は、前記眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cおよび外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cの4つの座標値を用いて変換行列を計算し、同変換行列を座標変換係数とする。そして、コンピュータ装置10は、この座標変換係数を用いて第1の3次元画像データを第2の3次元画像データに座標変換する。
【0083】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS114にて、座標変換された第2の3次元画像データをメモリ10aに記憶した後、ステップS116にて、同第2の3次元画像データが表す3次元画像、すなわち基準座標系に基づく頭蓋骨の3次元画像を表示装置12に表示させる。そして、コンピュータ装置10は、ステップS118にて、3次元画像データ生成プログラムの実行を終了する。
【0084】
これにより、作業者は、入力装置11を操作することにより、3次元画像の表示方向を指示して、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像を任意の方向から表示させることができる。また、基準座標系に基づいて、第2の3次元画像データによって表される頭蓋骨の解剖学的な各種特徴点の位置、特徴点間の距離および角度などを測定することができる。さらに、同一部位に関する異なる3次元画像をそれぞれ共通の特徴点に基づいて設定した基準座標系によって表示させることができる。これにより、互いに異なる3次元画像を1つの基準座標系上に並べてまたは合成して表示させることができる。作業者は、表示装置12に表示される基準座標系に基づく頭蓋骨の3次元画像を見て、同頭蓋骨の評価および/または診断を行う。
【0085】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、3次元画像として表された頭蓋骨の眼窩および外耳道に、それぞれの表面形状に合った眼窩基準球BOL,BORおよび外耳道基準球BPL,BPRを一義的に定義し、同一義的に定義された眼窩基準球BOL,BORおよび外耳道基準球BPL,BPRを用いて、眼窩および外耳道にそれぞれ設定される特徴点(オルビターレOrおよびポリオンPo)にそれぞれ対応する定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を計算して、同定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面(フランクフルト平面)Pfを定義している。また、大後頭孔の穴中心CDを一義的に定義し、同穴中心CDを用いて基準平面(フランクフルト平面)Pfに第1基準軸Zおよび原点Oを定義するとともに、前記定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて第2基準軸Xおよび第3基準軸Yを定義して基準座標系を定義している。
【0086】
したがって、上記実施形態によれば、頭蓋骨の3次元画像データから一義的に抽出される定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面(フランクフルト平面)Pfおよび基準座標系を一義的に定義することができる。これにより、基準平面(フランクフルト平面)Pfおよび基準座標系の再現性が良好となる。この結果、3次元画像上に表される同一部位に関する異なる3次元画像間で位置関係を統一することができ、正確な診断を行うことができる。また、一義的に抽出される定点Psl,Psr,Psl’,Psr’は、骨の表面上に解剖学的に設定された特徴点に対応している。このため、臨床において広く用いられている基準座標系、すなわち骨の表面上に設定される特徴点に基づく基準座標系を定義することができる。この結果、臨床において広く用いられている基準座標系に基づいて頭蓋骨の3次元画像を評価することができ、正確な診断ができる。
【0087】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0088】
上記実施形態においては、眼窩基準球BOL,BORの定義時における平面P1を設定する際、左右の眼窩下孔をそれぞれ指定するようにしたが、眼窩口周辺を定義する点群データを抽出できれば、これに限定されるものではない。例えば、左右の眼窩口の中間点である鼻骨上の一点を指定するようにしてもよい。この場合、平面P1の大きさおよび向きは、コンピュータ装置10に予め設定しておき、同指定された鼻骨上の一点を含む平面P1を定義するようにするとよい。
【0089】
また、上記実施形態においては、眼窩基準球BOL,BOR、外耳道基準球BPL,BPRおよび大後頭孔の穴中心CDの各計算時において、作業者が眼窩口、外耳道の開口部および大後頭孔の開口部を指定するために眼窩口、外耳道の開口部および大後頭孔の開口部周辺の領域T1,T2,T3をそれぞれ指定するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、頭蓋骨の形状から眼窩口、外耳道の開口部および大後頭孔の開口部をそれぞれの形状に基づいて、コンピュータ装置10によって自動的に特定するようにしてもよい。これによれば、眼窩基準球BOL,BOR、外耳道基準球BPL,BPRおよび大後頭孔の穴中心CDの各計算時において、作業者の負担を軽減することができる。
【0090】
また、上記実施形態においては、眼窩下点(オルビターレ)Orおよび外耳孔の最上点(ポリオン)Poを定点としたが、定義される基準球に基づいて特定できる特徴点であれば、これに限定されるものではない。また、骨の表面上に設定される特徴点のほかに、骨の形状によって概念上特定できる点、例えば眼窩などの穴部の中心を定点とすることもできる。また、骨上の特徴点のほかに、皮膚上の特徴点、例えば耳穴や鼻孔などを定点とすることができる。これらによっても、基準座標系を一義的に定義することができる。
【0091】
また、上記実施形態においては、頭蓋骨の眼窩、外耳道および大後頭孔にそれぞれ基準球を定義したが、穴部に基準球を定義するものであれば、これに限定されるものではない。例えば、頭蓋骨上であれば、眼窩上孔、眼窩下孔、オトガイ孔、鼻孔などに基準球を定義してもよいし、他の部位の骨の穴部であってもよい。
【0092】
また、上記実施形態においては、基準平面Pfとしてフランクフルト平面を用いたが、抽出した定点から計算される平面であれば、これに限定されるものではない。例えば、OMライン(OM平面)、眼窩耳孔線などを基準平面としてもよい。この場合、左右の眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cおよび、左右の外耳道のポリオンPoにそれぞれ対応する定点Psl’,Psr’または外耳孔基準球BPL,BPRの各中心座標Cを基準平面の計算に用いる4つの定点とすればよい。
【0093】
また、上記実施形態においては、4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面Pfを計算したが、少なくとも3つ以上の定点を用いれば、これに限定されるものではない。例えば、上記4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’のうち、いずれか3つの定点を用いて基準平面Pfを計算することができる。また、2つの定点Psl,Psrを結んだ直線の中点と、2つの定点Psl’,Psr’を用いて基準平面Pfを計算してもよい。
また、上記実施形態においては、基準座標系の原点を大後頭孔の穴中心CDに基づいて設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、臨床において広く用いられているセラ、バジオン、オピスチオンなどに基づいて設定してもよい。
【0094】
また、上記実施形態においては、大後頭孔の穴中心CDを基準座標系の設定に用いたが、これに限定されるものではない。例えば、他の特徴点に対応する定点を特定するために用いることもできる。また、大後頭孔の穴中心CDを新たな解剖学的な特徴点として用いることもできる。
【0095】
また、上記実施形態においては、ヒトの頭蓋骨の3次元画像データに関して本発明を適用したが、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、ヒトの他の部位に関する3次元画像データまたはヒト以外、例えば、動植物または構造体の3次元画像データにも広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係る3次元画像処理装置の全体を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の3次元画像処理装置によって実行される3次元画像データ生成プログラムのフローチャートである。
【図3】(A)〜(D)は眼窩口を定義する点群データを抽出する過程を時系列的に示した説明図である。
【図4】図1の3次元画像処理装置によって実行される眼窩基準球定義サブプログラムのフローチャートである。
【図5】(A)〜(D)は図3(D)の5−5線に沿って見た眼窩内に基準球を定義する過程を時系列的に示した眼窩の断面図である。
【図6】(A)および(B)は眼窩の表面形状に合った基準球を示す頭蓋骨を正面視させた説明図である。
【図7】図1の3次元画像処理装置によって実行される外耳道基準球定義サブプログラムのフローチャートである。
【図8】(A)〜(D)は外耳道に基準球が定義される過程を時系列的に示した頭蓋骨またはその一部を左側面視させた説明図である。
【図9】(A)および(B)は図8(A)の9−9線に沿って見た外耳道に基準球を定義する過程を示した外耳道の断面図である。
【図10】図1の3次元画像処理装置によって実行される大後頭孔穴中心計算サブプログラムのフローチャートである。
【図11】(A)〜(D)は外耳道に基準球が定義される過程を時系列的に示した内頭蓋底の説明図である。
【図12】(A)〜(D)は図11(A)12−12線に沿って見た大後頭孔に基準球を定義する過程を示した大後頭孔の断面図である。
【図13】(A)および(B)は図11(A)12−12線に沿って見た大後頭孔の穴中心を計算する過程を示した大後頭孔の断面図である。
【図14】図1の3次元画像処理装置によって実行される基準座標定義サブプログラムのフローチャートである。
【図15】(A)〜(C)は頭蓋骨上に基準平面および基準座標系を定義する過程を時系列的に示した頭蓋骨の左側面図である。
【図16】眼窩基準球および外耳道基準球を用いて定点を計算する過程を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0097】
10…コンピュータ装置、10a…メモリ、11…入力装置、12…表示装置、20…X線CT装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴診断)装置などの各種断層撮影装置により得られる2次元断層画像データに基づいて3次元画像データを生成して3次元画像を表示させる3次元画像処理装置、同装置に適用されるコンピュータ読み取り可能なプログラムおよび3次元画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線CT装置、MRI装置などの各種断層撮影装置から得られる人体の画像は、2次元の断層画像であり、1枚の2次元断層画像では立体的な人体内部の構造を把握することが難しく、1枚の2次元断層画像を診断に用いることはできない。このため、臨床では、診断の対象となる部位を含む複数の2次元断層画像を撮影し、同複数の2次元断層画像を立体的に構築して3次元画像として表示装置に表示させて診断が行われている。
【0003】
この場合、表示装置上に表示される3次元画像は、所定の基準座標系に基づいて生成される3次元画像データによって表されている。基準座標系は、3次元画像上に表される人体に関する解剖学的な複数の特徴点に基づいて設定される基準面および基準軸から構成されている。この基準座標系の設定には、種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1に記載の3次元画像処理装置おいては、表示装置に表示される3次元画像を作業者(医師など)が見ながら、同3次元画像上に表される前記特徴点のそれぞれの位置を手操作により直接指定して行われている。この場合、特徴点は少なくとも3つ以上指定され、これら3つ以上の特徴点に基づいて基準面および基準軸が計算されて基準座標系が設定される。また、下記特許文献2に記載の3次元画像処理装置においては、3次元画像上に表される所定の部位(例えば歯髄、眼球など)の重心点または中心点を特徴点として設定している。この場合、特徴点は少なくとも3つ以上設定され、これら3つ以上の特徴点に基づいて基準面および基準軸が計算されて基準座標系が設定される。
【特許文献1】国際公開01/003065号公報
【特許文献2】特開平8−131403号公報
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の3次元画像処理装置においては、3次元画像上に表される各特徴点の位置を一義的に特定して指定できないため、基準面または基準座標系の設定の都度、異なる基準面または基準座標系が設定され基準面および基準座標系の再現性が悪い。このため、3次元画像上に表される同一部位に関する異なる3次元画像間で位置関係を統一することができず、正確な診断ができないという問題がある。また、上記特許文献2に記載の3次元画像処理装置においては、3次元画像上に表される所定の部位(例えば歯髄、眼球など)の重心点または中心点などの概念上の点を特徴点としている。このため、臨床において広く用いられている基準面および基準座標系である骨などの表面上に設定される特徴点に基づく基準面および基準座標系によって3次元画像を評価することができず、正確な診断ができないという問題がある。
【発明の開示】
【0006】
本発明は前記問題に対処するためなされたもので、その目的は、骨などの表面上に設定される解剖学的な複数の特徴点にそれぞれ対応する点を、同骨などを表す3次元画像データからそれぞれ一義的に定点として抽出し、同抽出した複数の定点を用いて基準面および基準座標系を再現性良く定義するとともに、同基準座標系に基づいて3次元画像を表示することが可能な3次元画像処理装置、同装置に適用されるコンピュータ読み取り可能なプログラムおよび3次元画像処理方法を提供することにある。
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の特徴は、ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理装置において、骨の表面に存在する少なくとも3つの穴部の表面形状に合った基準球をそれぞれ定義する基準球定義手段と、基準球定義手段によって定義された少なくとも3つの基準球に基づいて、基準平面を定義する基準平面定義手段とを備えたことにある。
【0008】
このように構成した本発明の特徴によれば、骨の表面に存在する穴部の表面形状に合った基準球は一義的に特定される。そして、このように一義的に特定された少なくとも3つの基準球を用いて基準平面が定義される。このため、所定の穴部から定義される基準平面は、常に一義的に特定され、基準平面の再現性が良好となる。この結果、3次元画像上に表される同一部位に関する異なる3次元画像間で位置関係を統一することができ、正確な診断を行うことができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、前記基準平面定義手段を、基準球定義手段によって定義される少なくとも3つの基準球に基づいて、骨の表面上に設定される解剖学的な特徴点のうち、前記少なくとも3つの基準球に対応した少なくとも3つの特徴点を定点としてそれぞれ計算する定点計算手段と、定点計算手段によって計算された少なくとも3つの定点を含む平面を前記基準平面として計算する基準平面計算手段とで構成したことにある。
【0010】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、骨の表面上に設定される解剖学的な特徴点を定点として基準平面を定義している。このため、臨床において広く用いられている骨などの表面上に設定される特徴点に基づく基準平面によって3次元画像を評価することができ、正確な診断を行うことができる。
【0011】
この場合、例えば、前記基準平面を、顔面骨・頭蓋骨上に設定されるフランクフルト平面にしてもよい。フランクフルト平面の定義に用いる前記少なくとも3つの穴部は、それぞれ顔面骨・頭蓋骨における眼窩および外耳道のいずれかであるとよい。また、前記定点計算手段は、前記少なくとも3つの基準球の各中心点を含む基礎平面を定義し、同基礎平面に平行な平面が前記少なくとも3つの基準球にそれぞれ接する接点を定点として計算するとよい。例えば、左右の眼窩および外耳道について基準球を定義した場合、左右の眼窩および外耳道の各中心点を含む基礎平面を定義する。そして、同基礎平面と平行な平面と眼窩に定義された各基準球の下側の表面との各接点をそれぞれ定点とする。この場合、同各定点は解剖学的な特徴点である眼窩下点(オルビレータ)に対応する。また、同基礎平面と平行な平面と外耳道に定義された各基準球の上側の表面との各接点を定点とする。この場合、同各定点は解剖学的な特徴点である外耳道の最上点(ポリオン)に対応する。これにより、解剖学的な特徴点を用いて臨床において広く用いられている基準平面の1つであるフランクフルト平面を定義することができる。
【0012】
また、前記少なくとも3つの穴部の1つは眼窩であり、前記眼窩の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義手段を、眼窩の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する眼窩基準球決定手段とで構成するとよい。これによれば、仮基準球が次第に大きくなるに従って、眼窩内部を表す略全ての3次元画像データによって基準球が一義的に定義される。この結果、眼窩の表面形状に合った基準球を、精度および再現性よく定義することができる。
【0013】
また、前記少なくとも3つの穴部の1つは外耳道であり、前記外耳道の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義手段を、前記外耳道を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義手段と、前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて、所定の半径を有し、かつ前記外耳道に接する球体を基準球として決定する外耳道基準球決定手段とで構成するとよい。これによれば、略円錐形状からなる外耳道の所定の半径の位置に対して、同外耳道の表面に接する同所定の半径の基準球を一義的に定義することができる。この結果、外耳道の開口部の表面形状に合った基準球を、精度および再現性よく定義することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の穴中心を計算する穴中心計算手段と、穴中心計算手段により計算された前記穴中心を通り前記基準平面に直交する直線を第1基準軸として計算する第1の基準軸計算手段とを備え、前記第1基準軸と前記基準平面とからなる基準座標系を定義するようにしたことにある。
【0015】
この場合、例えば、前記第1基準軸と前記基準平面との交点を原点とし、前記少なくとも3つの基準球のうちの2つの基準球を用いて前記基準平面内にて直交する第2基準軸および第3基準軸を計算する第2の基準軸計算手段を備えるようにするとよい。
【0016】
このように構成された本発明の他の特徴によれば、骨の表面に存在する穴部の穴中心は一義的に特定される。そして、同穴中心を通り前記基準平面に直交する直線を第1基準軸とし、前記少なくとも3つの基準球のうちの2つの基準球を用いて第2基準軸および第3基準軸を計算している。このため、一義的に定義された基準面に対して一義的に原点および各基準軸を設定することができ、基準座標系の再現性が良好となる。この結果、3次元画像上に表される同一部位に関する異なる3次元画像間で位置関係を統一することができ、正確な診断を行うことができる。
【0017】
また、例えば、前記穴中心計算手段を、前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定手段と、基準球決定手段によって決定された基準球に含まれる3次元画像データのうちで、前記穴部の開口部の近傍に位置する3次元画像データを用いて開口部の平面を定義する穴平面定義手段と、基準球決定手段によって決定された基準球の中心を通り穴平面定義手段によって定義された平面に直交する直線と同平面との交点を前記穴部の穴中心とする穴中心決定手段とで構成するとよい。この場合、前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部を、顔面骨・頭蓋骨の大後頭孔にするとよい。
【0018】
これによれば、仮基準球が次第に大きくなるに従って、大後頭孔の開口部周辺を表す略全ての3次元画像データによって基準球が一義的に定義される。このため、大後頭孔の近傍に基準球を、精度および再現性よく定義することができる。また、大後頭孔の開口部近傍に位置する同基準球に含まれる3次元データを用いて定義される平面は、大後頭孔の開口部の平面と略等しいため、前記基準球の中心を通り同平面に直交する直線と同平面との交点を大後頭孔の穴中心として一義的に定義することができる。これにより、前記基準面に対して一義的に原点および各基準軸を設定することができ、基準座標系の再現性が良好となる。また、骨の表面に設定される解剖学的な特徴点以外の点を特徴点として一義的に特定して、基準座標系を設定することもできる。
【0019】
また、本発明は装置の発明として実施できるばかりでなく、コンピュータ読み取り可能なプログラムおよび方法の発明としても実施できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る3次元画像処理装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、人体の3次元画像を任意の方向から見て表示可能な3次元画像処理装置の基本構成を示す概略図である。この3次元画像処理装置は、コンピュータ装置10、入力装置11および表示装置12から構成されている。
【0021】
コンピュータ装置10は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどからなり、キーボード、マウスなどからなる入力装置11からの指示に従って、図示しないプログラムを実行することにより、人体の複数の2次元断層画像データに基づいて、同人体の3次元画像を任意の方向から見て表示可能な第1の3次元画像データを生成する。また、コンピュータ装置10は、図2に示すプログラムを実行することにより、前記第1の3次元画像データによる人体の3次元画像に表された解剖学的な複数の特徴点に基づいて基準座標系を設定して、同基準座標系に基づく3次元画像データである第2の3次元画像データを生成する。
【0022】
ここで解剖学的な特徴点とは、解剖学的に見て全ての人体に存在し略一点に収束できる点であり、骨などの表面上に現実に設定される点(例えば、眼窩下点など)のほか、骨などの形状に基づいて概念的に設定することができる点(例えば、眼窩の中心点など)も含むものである。また、基準座標系は、互いに異なる少なくとも3つ以上の特徴点に基づいて定義される基準面および3つの基準軸から構成される座標系である。
【0023】
このコンピュータ装置10に内蔵されているハードディスクには、人体の複数の2次元断層画像データ、第1の3次元画像データおよび第2の3次元画像データを記憶するための領域が確保されており、以降この記憶領域をメモリ10aという。また、コンピュータ装置10には、表示装置12が接続されている。表示装置12は、CRT(または液晶ディスプレイ)などからなり、コンピュータ装置10から出力される2次元画像データ、第1および第2の3次元画像データによって表される人体の2次元断層画像または3次元画像を表示させる。
【0024】
コンピュータ装置10には、X線CT(コンピュータ断層撮影)装置20が接続されている。X線CT装置20は、X線を用いて人体の断層画像をヘリカルスキャンにより連続的に撮影して、複数の2次元断層画像データとしてコンピュータ装置10に出力する。なお、この場合、コンピュータ装置10に出力される画像データは、2次元の断層画像データであればよく、このX線CT装置20に代えて、例えば、MRI(磁気共鳴診断)装置による人体の複数の2次元断層画像データであってもよい。また、これらのX線CT装置、MRI装置などの各種断層撮影装置によって得られた2次元断層画像データを記憶させたハードディスク装置、光ディスク装置などからなる外部記憶装置からコンピュータ装置10に、同複数の2次元断層画像データを出力するように構成してもよい。
【0025】
上記のように構成した実施形態の作動について説明する。作業者は、図示しない電源スイッチの投入により、コンピュータ装置10およびX線CT装置20の作動を開始させる。そして、作業者は、X線CT装置20を操作して人体の断層画像を撮影する。本実施形態においては、人体における頭部の断層画像を撮影する。これにより、X線CT装置20は、撮影した頭部に関する複数の2次元断層画像データを生成する。このX線CT装置20による2次元断層画像データの生成の詳細については、本発明に直接関わらないので、その説明は省略する。なお、X線CT装置20に、既に2次元断層画像データが生成されている場合には、この撮影作業は省略できる。
【0026】
次に、作業者は、入力装置11を操作してX線CT装置20によって生成された複数の2次元断層画像データの入力をコンピュータ装置10に指示する。この指示に応答して、コンピュータ装置10は、X線CT装置20から複数の2次元断層画像データを入力してメモリ10a内に記憶させる。次に、作業者は、入力装置11を操作して第1の3次元画像データの生成をコンピュータ装置10に指示する。この指示に応答して、コンピュータ装置10は、図示しないプログラムを実行することにより、メモリ10a内に記憶されている複数の2次元断層画像データを立体的に構築して第1の3次元画像データを生成する。この場合、2次元断層画像データのCT値を用いて、ヒトの頭部における頭蓋骨に関する2次元断層画像データのみを抽出して第1の3次元画像データを生成する。これにより、X線CT装置20によって撮影された頭部に含まれる頭蓋骨の3次元画像を任意の方向から見て表示可能な第1の3次元画像データが生成される。なお、本実施形態において前記頭蓋骨の用語は、顔面骨など頭部全体を構成する骨の総称として用いる。
【0027】
この場合、本実施形態においては、第1の3次元画像データはSTL(Stereo Lithography)データ形式により生成される。STLデータ形式とは、被対象物(頭蓋骨)の表面形状を表す3次元画像データを、微小な三角平面で表される点群データの集まりとして構成したものである。したがって、被対象物(頭蓋骨)の形状は、同被対象物(頭蓋骨)の表面形状を近似した多面体モデルによって表される。また、STLデータ形式によって表される各点群データは、各点群データが表す三角平面の法線ベクトルに関するデータもそれぞれ有している。このSTLデータ形式による第1の3次元画像データの生成処理については本発明に直接関わらないので、その説明は省略する。
【0028】
なお、この第1の3次元画像データは、X線CT装置20において設定された座標系に基づいて生成されるものである。すなわち、第1の3次元画像データは、X線CT装置20のガントリ中心を原点とし、人体の左右方向をX軸、人体の前後方向をY軸、人体の上下方向をZ軸とする直交座標系に基づいて生成される。したがって、第1の3次元画像データを構成する各点群データは座標値(X,Y,Z)で表される。この場合、座標値(X,Y,Z)は、それぞれの前記微小な三角平面の各重心点である。
【0029】
次に、作業者は、入力装置11を操作して第2の3次元画像データの生成をコンピュータ装置10に指示する。ここで、第2の3次元画像データは、第1の3次元画像データによって表された頭蓋骨の3次元画像上に定義される基準座標系に基づいて生成される3次元画像データである。本実施形態においては、頭蓋骨のセファロ分析に多用されているフランクフルト平面を基準平面とし、同基準平面に従った3つの基準軸を定義して基準座標系とする。フランクフルト平面は、左右の眼窩下点(オルビターレ)を結んだ直線の中点または左右の眼窩下点(オルビターレ)のどちらか一方と、左右の外耳道のそれぞれの最上点(ポリオン)を含む平面である。コンピュータ装置10は、前記指示に応答して、図2に示す3次元画像データ生成プログラムの実行をステップS100にて開始する。そして、コンピュータ装置10は、ステップS102にて、図3(A)に示すように、第1の3次元画像データによって表される3次元画像、すなわち頭蓋骨の3次元画像を表示装置12に表示させる。
【0030】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS104にて、第1の3次元画像データによって表された頭蓋骨の3次元画像の左右の眼窩の表面形状にそれぞれ合った眼窩基準球BOL,BORを定義する。これらの眼窩に定義される各眼窩基準球BOL,BORは、頭蓋骨上の解剖学的な特徴点の1つである左右の眼窩下点(オルビターレ)Orを特定するために用いられる。具体的には、図4に示す眼窩基準球定義サブプログラムをステップS200にて開始する。なお、この眼窩基準球BOL,BORの定義は、左右の眼窩について行われるが、両眼窩基準球BOL,BORとも同様にして定義されるため、これらのうち、左目(図示右側の目)の眼窩基準球BOLの場合についてのみ説明する。
【0031】
コンピュータ装置10は、ステップS202にて、表示装置12に左右の眼窩の画像を表示させるように作業者に促す。作業者は、図3(B)に示すように、入力装置11を操作して表示装置12に頭蓋骨を略正面視させた画像を表示させる。次に、コンピュータ装置10は、ステップS204にて、左目の眼窩の開口部、すなわち眼窩口付近を定義する点群データを抽出する。この眼窩口付近の点群データの抽出は、次のサブステップ1〜4の処理からなる。
【0032】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、左右の眼窩下孔の指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して、略正面視させた頭蓋骨の3次元画像上に表されている左右の眼窩下孔をそれぞれ指定する(図3(B)参照)。これにより、コンピュータ装置10は、指定された位置(両眼窩下孔)をそれぞれ定義する点群データを取得する。
【0033】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、略正面視させた頭蓋骨の3次元画像上に平面P1を定義する。具体的には、指定された両眼窩下孔をそれぞれ定義する点群データを含みZ軸方向(人体の上下方向)に平行な平面を計算する。この場合、四角形状の平面P1を構成する上下の2辺は、両眼窩下孔の各点群データを結ぶ直線L1にそれぞれ平行であり、左右の2辺は、同直線L1にそれぞれ直交する。そして、これら4つの辺で、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像を囲んだ状態で四角形状の平面P1が定義される。
【0034】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、図3(C)に示すように、前記四角形状の平面P1を前後方向にそれぞれ所定長さ(例えば10mm)ずつ平行移動させた場合に形成される直方体V1内に存在する第1の3次元画像データの各点群データを抽出する。そして、コンピュータ装置10は、同抽出された各点群データを、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像に重ねて表示させる(図3(B),(C)参照)。なお、この場合、抽出される各点群データは、頭蓋骨の表面形状をそれぞれ定義している点群データである。
【0035】
サブステップ4:コンピュータ装置10は、左目の眼窩口の指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して表示装置12に表示された頭蓋骨の略正面視させた3次元画像上の左目の眼窩口を指定する。この場合、眼窩口のみを指定することができないため、図3(D)に示すように、眼窩口を含む眼窩および眼窩口周辺の領域T1を指定する。これにより、コンピュータ装置10は、直方体V1内に存在する点群データのうち、指定された領域T1内に存在する点群データを抽出して、眼窩口付近の点群データとして記憶する。
【0036】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS206にて、左目の眼窩口に仮基準球B0を定義する。具体的には、前記ステップS204にて抽出された眼窩口付近の点群データを、球体を表す下記式1の左辺のX,Y,Zにそれぞれ代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。この場合、a,b,cは、点群データにより表された球体中心のx,y,z座標値をそれぞれ表し、dは球体の半径を表す。これにより、図5(A)に示すように、眼窩口の表面形状に合った、すなわち眼窩口を定義する点群データを含む仮基準球B0が定義される。この場合、抽出された眼窩口付近の点群データにおいては、眼窩内を定義する点群データが眼窩口の外側を定義する点群データより多い。このため、仮基準球B0は、眼窩口の内側、すなわち眼窩側に偏って定義される。そして、コンピュータ装置10は、ステップS208にて、定義された仮基準球B0の中心座標C0および半径r0をそれぞれ記憶する。
(X−a)2+(Y−b)2+(Z−c)2=d2 …式1
【0037】
次に、コンピュータ装置10は、左目の眼窩内の表面形状に合った眼窩基準球BOLを定義する。この眼窩基準球BOLの定義は、ステップS210ないしステップS214の各処理を繰り返し実行して行われる。まず、コンピュータ装置10は、ステップS210にて、球体B2を定義する。具体的には、図5(B)に示すように、前記仮基準球B0の中心座標C0を中心として、前記仮基準球B0の半径r0を所定の割合だけ大きくした半径r1の球体B1を定義する。そして、同球体B1内に含まれる第1の3次元画像データの各点群データを、球体を表す式である上記式1に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、図5(C)に示すように、前記仮基準球B0を定義する眼窩口付近の点群データの外側の点群データ、すなわち、眼窩口の外側および眼窩内の一部を定義する点群データを用いて新たな球体B2が定義される。
【0038】
この場合、球体B1内に存在する各点群データにおいては、眼窩口の外側を定義する点群データより眼窩内を定義する点群データの方が多いため、新たに計算される球体B2の中心位置C2は、仮基準球B0の中心位置C0より眼窩内に移動する。また、眼窩口の内径より眼窩内の内径の方が大きいため、新たな球体B2の半径r2は、仮基準球B0の半径r0より大きくなる。なお、図5(C)に示す新たな球体B2は、球体B0との相違を明確にするため誇張して示している。また、仮基準球B0の半径r0を大きくする所定の割合は、前記仮基準球B0の半径r0に対して0.5〜2割が適当であり、本実施形態においては、1割に設定している。
【0039】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS212にて、前記定義された新たな球体B2の位置が収束したかを判定する。具体的には、前記仮基準球B0の中心座標C0と前記ステップS210にて定義された新たな球体B2の中心座標C2との距離を計算し、同距離が所定の値より小さい場合に、球体B2の位置が収束したものと判定する。したがって、この判定において、同距離が所定値より大きい場合には、「No」と判定され続けて、ステップS214を介してステップS210,S212の処理が繰り返し実行される。ステップS214では、前記ステップS210にて定義された新たな球体B2の中心座標C2および半径r2を新たな仮基準球B0の中心座標C0および半径r0として書き換えて記憶する。
【0040】
すなわち、ステップS210ないしステップS214の各処理の初期の実行時においては、眼窩口付近を定義する点群データに基づいて球体B2が定義される。そして、ステップS210ないしステップS214が繰り返し実行されることによって、徐々に眼窩内部を定義する点群データによって球体B2が定義される。この場合、球体B2の計算に用いられる点群データに占める眼窩内部を定義する点群データの割合が大きくなると、計算される球体B2は徐々に眼窩内部の表面形状に合った球体となり、最終的に球体B2の中心座標C2は徐々に略一点に収束する。すなわち、最終的には、眼窩内部の表面形状を定義する点群データを最も多く含む球体が定義される。
【0041】
そして、図5(D)に示すように、ステップS210にて計算される球体B2の中心座標C2が略一点に収束した場合、すなわち、計算された球体B2の中心座標C2と、仮基準球B0の中心座標C0との距離が所定値より小さくなった場合には、眼窩内部の表面形状に合った球体が定義されたとして、ステップS212にて、「Yes」と判定され、ステップS216に進む。なお、この場合、球体B2は、最終的に眼窩内部の表面形状を定義する略全ての点群データに基づいて計算されるため、球体B2の下端面付近には、オルビターレOrまたは同オルビターレOrの極近傍を定義する点群データが含まれる。
【0042】
コンピュータ装置10は、ステップS216にて、前記中心座標C2が略一点に収束した球体B2の中心座標C2および半径r2を、眼窩基準球BOLの中心座標Cおよび半径rとして記憶する。そして、コンピュータ装置10は、ステップS218にて、図6(A)に示すように、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像に重ねて眼窩基準球BOLを表示させた後、ステップS220にて、眼窩基準球定義サブプログラムの実行を終了して、再び3次元画像データ生成プログラムに戻る。なお、前記したように、この眼窩基準球定義サブプログラムの実行は、右目の眼窩についても同様に実行されるため、図6(B)に示すように、両眼窩に対して眼窩基準球BOL,BORがそれぞれ定義される。
【0043】
次に、コンピュータ装置10は、図2のステップS106にて、第1の3次元画像データによって表された頭蓋骨の3次元画像の左右の両外耳道の開口部の表面形状にそれぞれ合った外耳道基準球BPL,BPRを定義する。これらの外耳道の開口部に定義される両外耳道基準球BPL,BPRは、頭蓋骨上の解剖学的な特徴点である左右の外耳道の最上点(ポリオン)Poを特定するために用いられる。具体的には、図7に示す外耳道基準球定義サブプログラムをステップS300にて開始する。なお、この外耳道基準球BPL,BPRの定義は、左右の両外耳道について行われるが、両外耳道基準球BPL,BPRとも同様にして定義されるため、これらのうち、左耳(図示右側の耳)の外耳道基準球BPLの場合についてのみ説明する。
【0044】
コンピュータ装置10は、ステップS302にて、表示装置12に左耳の外耳道の画像を表示させるように作業者に促す。作業者は、図8(A)に示すように、入力装置11を操作して表示装置12に頭蓋骨を略左側面視させた画像を表示させる。次に、コンピュータ装置10は、ステップS304にて、左耳の外耳道が外側に開口する開口部付近を定義する点群データを抽出する。この外耳道の開口部付近の点群データの抽出は、次のサブステップ1〜4の処理からなる。なお、この外耳道の開口部の最上点が、前記ポリオンPoである。
【0045】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、左耳の外耳道の最上点Po、すなわちポリオンPoの指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して表示装置12に表示された頭蓋骨の略左側面視させた3次元画像上のポリオンPoを指定する。この場合、厳密にポリオンPoを特定して指定することができないため、実際は、ポリオンPoと考えられる領域の一点を指定することになる。これにより、コンピュータ装置10は、指定された一点の点群データを取得する。
【0046】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、円形状の平面P2を定義する。具体的には、コンピュータ装置10は、円形状の平面P2の直径の指定を作業者に促す。この平面P2は、図8(B)に示すように、指定されたポリオンPoと考えられる領域の一点の点群データから下方に向けて指定された直径を有し、X軸(人体の左右方向)に直交する平面である。この平面P2の直径は、外耳道の開口部を含む同開口部周辺を覆うことができる大きさの直径である。本実施形態において作業者は、例えば16mmを指定する。これは、一般的な成人した日本人の外耳道の同開口部の直径が約8mmであることから、この開口部を含む開口部周辺を覆うために充分な値としている。したがって、成人した日本人以外の外耳道に対して平面P2を定義する場合には、適宜、所定の長さが指定される。これにより、前記指定されたポリオンPoと考えられる領域の一点を含み、指定された直径を有する円形状の平面P2が定義される。なお、前記作業者による直径の指定に代え、同直径が自動的に指定されるようにしてもよい。
【0047】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、図9(A)に示すように、前記円形状の平面P2を外耳道の軸方向の内側(図示左側)に所定長さ(例えば、20mm)、外側(図示右側)に前記内側より短い所定長さ(例えば、5mm)ずつそれぞれ平行移動させた場合に形成される円柱V2内に存在する第1の3次元画像データの各点群データを抽出する。そして、同抽出された第1の3次元画像データの各点群データを、図8(B)に示すように、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像に重ねて表示させる。これにより、外耳道の内部および開口部を含む、同開口部周辺を定義する点群データが抽出される。
【0048】
サブステップ4:コンピュータ装置10は、外耳道の開口部の指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して、略左側面視させた頭蓋骨の3次元画像上に表された外耳道の開口部を指定する。この場合、外耳道の開口部のみを指定することができないため、図8(C)に示すように、外耳道の開口部を含む領域T2を指定する。これにより、コンピュータ装置10は、円柱V2内に存在する点群データのうち、指定された領域T2内に存在する点群データを抽出して、外耳道の開口部付近の点群データとして記憶する。
【0049】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS306にて、左耳の外耳道の開口部の表面形状に合った外耳道基準球BPLを定義する。具体的には、前記ステップS304にて抽出した外耳道の開口部付近の各点群データを、球体を表す上記式1の左辺のX,Y,Zにそれぞれ代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,cを計算する。この場合、dは球体の半径を表し、本実施形態においては4mmに予め設定されている。これは、外耳道の内径が外側に向かって広がる略円錐形状をしているため、球体の半径dを特定しなければ同外耳道の開口部の形状に合った球体を特定できないからである。また、予め設定される4mmは、前記したように一般的な成人した日本人の外耳道の開口部の半径である。したがって、成人した日本人以外の外耳道に球体を定義する場合には、適宜、半径dが設定される。このステップS306の処理により、図9(B)に示すように、外耳道の開口部の表面形状に合った直径4mmの外耳道基準球BPLが定義される。この場合、外耳道基準球BPLの上端面付近には、開口部の最上点、すなわちポリオンPoまたはポリオンPoの極近傍を定義する点群データが含まれる。
【0050】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS308にて、外耳道基準球BPLの中心座標Cおよび半径rを記憶する。そして、コンピュータ装置10は、ステップS310にて、図8(D)に示すように、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像に重ねて外耳道基準球BPLを表示させた後、ステップS312にて、外耳道基準球定義サブプログラムの実行を終了して、再び3次元画像データ生成プログラムに戻る。なお、前記したように、この外耳道基準球定義サブプログラムの実行は、右耳の外耳道についても同様に実行されるため、両耳の外耳道に対して外耳道基準球BPL,BPR(外耳道BPRは図示せず)がそれぞれ定義される。
【0051】
次に、コンピュータ装置10は、図2のステップS108にて、第1の3次元画像データによって表された頭蓋骨の3次元画像の大後頭孔の穴中心CDを計算する。この大後頭孔の穴中心CDは、実際の頭蓋骨上には存在せず、大後頭孔の形状に基づいて概念的に存在する中心点を特徴点とするものである。具体的には、図10に示す大後頭孔穴中心計算サブプログラムをステップS400にて開始する。
【0052】
コンピュータ装置10は、ステップS402にて、表示装置12に大後頭孔を頭蓋腔側から見た画像、すなわち頭蓋骨の内頭蓋底の画像を表示させるように作業者に促す。作業者は、図11(A)に示すように、入力装置11を操作して表示装置12に大後頭孔の内頭蓋底の3次元画像を表示させる。なお、図11(A)〜(D)に示される内頭蓋底は、下方が顔面側、上方が後頭部側である。次に、コンピュータ装置10は、ステップS404にて、大後頭孔の開口部を定義する点群データを抽出する。ここで大後頭孔の開口部とは、大後頭孔が内頭蓋底に開口する環状の周縁部分である。この大後頭孔の開口部の点群データの抽出は、次のサブステップ1〜3の処理からなる。
【0053】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、大後頭孔の開口部の指定を作業者に促す。これに応じて作業者は、入力装置11を操作して、内頭蓋底の3次元画像上に表された大後頭孔の開口部を指定する。この場合、大後頭孔の開口部のみを指定することができないため、大後頭孔の開口部を含む大後頭孔の穴周辺の領域T3を指定する。これにより、コンピュータ装置10は、指定された領域T3内に存在する第1の3次元画像データの各点群データを抽出する。
【0054】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、内頭蓋底の3次元画像上に穴基準軸を定義する。具体的には、作業者は、入力装置11を操作して、内頭蓋底の3次元画像上にあらわされた大後頭孔の穴中心付近の一点を指定する。これにより、表示装置12の表示画面(図11)に垂直な軸線である穴基準軸が定義される。この穴基準軸は、図12(A)に示すように、大後頭孔の軸線方向に略平行な軸線である。
【0055】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、前記抽出した領域T3内の点群データの中から大後頭孔の開口部を定義する点群データを抽出する。具体的には、コンピュータ装置10は、前記抽出した各点群データが表す三角平面の法線ベクトルと、前記定義された穴基準軸との角度α1〜αnをそれぞれ計算する。そして、コンピュータ装置10は、同計算された各角度α1〜αnが所定の範囲内にある点群データのみを抽出して記憶する。また、コンピュータ装置10は、図11(B)に示すように、同各点群データを、表示装置12に表示されている内頭蓋底画像に重ねて表示させる。
【0056】
この場合、抽出される角度α1〜αnの所定の範囲は、次のように設定される。大後頭孔を定義する点群データのうち、大後頭孔の開口部を定義する点群データが表す三角平面は前記穴基準軸に対して平行または略平行である。このため、大後頭孔の開口部を定義する点群データが表す三角平面の法線ベクトルは、前記穴基準軸に対して略90°の角度で交わることになる。したがって、同角度が略90°である三角平面の点群データを抽出すれば大後頭孔の開口部を定義する点群データを抽出することができる。本実施形態においては、前記所定の範囲を85°〜90°の範囲(または90°〜95°の範囲)としている。これにより、同範囲内に存在する点群データが、大後頭孔の開口部を定義する点群データとして大後頭孔の開口部に沿って帯状に抽出される。
【0057】
なお、内頭蓋底における大後頭孔周辺の形状は、大後頭孔の開口部から上方に向かって少しずつ拡がった傾斜部となっている。この傾斜部は、前側(顔面側)の斜面の長さが後側(後頭部側)の斜面の長さに比べて長い形状となっており、これらの斜面が大後頭孔の開口部に沿って連続的に繋がった形状となっている。このため、図11(B)に示すように、サブステップ3によって抽出される点群データは、開口部を定義する点群データのほかに、同傾斜部を定義する点群データも含まれる。この場合、傾斜部を定義する各点群データは、傾斜部の前側(顔面側)を定義する点群データが、傾斜部の後側(後頭部側)を定義する点群データよりも多く抽出される。
【0058】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS406にて、大後頭孔に仮基準球B0を定義する。具体的には、前記ステップS404にて抽出された大後頭孔の開口部および傾斜部を定義する各点群データを、球体を表す上記式1の左辺のX,Y,Zにそれぞれ代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、図12(B)に示すように、大後頭孔の開口部および/または傾斜部の表面形状に合った、すなわち大後頭孔の開口部および/または傾斜部をそれぞれ定義する点群データを含む仮基準球B0が定義される。そして、コンピュータ装置10は、ステップS408にて、定義された仮基準球B0の中心座標C0および半径r0をそれぞれ記憶する。
【0059】
次に、コンピュータ装置10は、大後頭孔の上方(内頭蓋底側)に大後頭孔基準球BDを定義する。具体的には、大後頭孔の開口部周辺に形成された前記傾斜部の表面形状に合った球体を定義する。この大後頭孔基準球BDの計算は、前記眼窩基準球定義サブプログラムにおけるステップS210ないしステップS214の各処理と同様な、ステップS410ないしステップS414の各処理を繰り返し実行することによって行われる。
【0060】
まず、コンピュータ装置10は、ステップS410にて、図12(B)に示すように、前記仮基準球B0の中心座標C0を中心として、前記仮基準球B0の半径r0を所定の割合だけ大きくした半径r1の球体B1を定義する。そして、同球体B1内に含まれる第1の3次元画像データの各点群データを、球体を表す上記式1に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、図12(C)に示すように、前記仮基準球B0を定義する大後頭孔の開口部の点群データの外側の点群データ、すなわち、大後頭孔の外側の表面(内頭蓋底の反対側の表面)および前記傾斜部の一部を定義する点群データを用いて新たな球体B2が定義される。
【0061】
この場合、球体B1内に存在する点群データにおいては、大後頭孔の外側の表面(内頭蓋底の反対側の表面)を定義する点群データより傾斜部を定義する点群データの方が多いため、新たに定義される球体B2の中心位置C2は、仮基準球B0の中心位置C0より傾斜部側、すなわち上方に移動する。また、傾斜部は上方に向かって拡がった形状となっているため、新たな球体B2の半径r2は、仮基準球B0の半径r0より大きくなる。なお、図12(C)に示す新たな球体B2は、球体B0との相違を明確にするため誇張して示している。また、仮基準球B0の半径r0を大きくする所定の割合は、前記仮基準球B0の半径r0に対して0.5〜2割が適当であり、本実施形態においては、1割に設定されている。
【0062】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS412にて、前記定義された球体B2の位置が収束したかを判定する。具体的には、前記仮基準球B0の中心座標C0と前記ステップS410にて定義された新たな球体B2の中心座標C2との距離を計算し、同距離が所定値より小さい場合に、球体B2の位置が収束したものと判定する。したがって、この判定において、同距離が所定値より大きい場合には、「No」と判定され続けて、ステップS414を介してステップS410,S412の処理が繰り返し実行される。ステップS414では、前記ステップS410にて定義された新たな球体B2の中心座標C2および半径r2を新たな仮基準球B0の中心座標C0および半径r0として書き換えてそれぞれ記憶する。
【0063】
すなわち、ステップS410ないしステップS414の各処理の初期の実行時においては、主に大後頭孔の開口部を定義する点群データに基づいて球体B2が計算される。そして、ステップS410ないしステップS414が繰り返し実行されることによって、徐々に大後頭孔の傾斜部を定義する点群データによって球体B2が計算される。この場合、傾斜部の上方は、略水平な内頭蓋底となっており、球体B1内に内頭蓋底を定義する点群データが含まれるようになると、球体B2の計算に用いられる新たな点群データの数が急激に少なくなる。このため、球体B2は、同傾斜部の表面形状に合った球体の状態で位置が変化しなくなり、最終的に球体B2の中心座標C2は略一点に収束する。すなわち、最終的には、同傾斜部の表面形状を定義する点群データを最も多く含む球体が定義される。
【0064】
そして、図12(D)に示すように、ステップS410にて計算される球体B2の中心座標C2が略一点に収束した場合、すなわち、計算された球体B2の中心座標C2と、仮基準球B0の中心座標C0との距離が所定値より小さくなった場合には、傾斜部の表面形状に合った球体が定義されたとして、ステップS412にて、「Yes」と判定され、ステップS416に進む。次に、コンピュータ装置10は、ステップS416にて、前記中心座標C2が略一点に収束した球体B2の中心座標C2および半径r2を、大後頭孔基準球BDの中心座標Cおよび半径rとして記憶した後、ステップS418にて、図11(C)に示すように、表示装置12に表示されている内頭蓋底の3次元画像に重ねて大後頭孔基準球BDを表示させる。
【0065】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS420にて、図13(A)に示すように、大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうち、前記大後頭孔基準球BDに含まれる点群データの重心点Cjを計算する。具体的には、大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうち、前記大後頭孔基準球BDに含まれる点群データの座標値を各座標軸(X,Y,Z)ごとに加算してそれぞれの合計値を計算し、これらの合計値をそれぞれ加算した点群データの数で除して計算する。この場合、大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうち、大後頭孔基準球BDに含まれる点群データは、大後頭孔基準球BDの下側の半球に傾斜部の形状に沿って略均等に存在するため、計算される重心点Cjは、大後頭孔基準球BDの中心座標Cの略真下方向の位置に設定される。
【0066】
そして、コンピュータ装置10は、ステップS422にて、大後頭孔基準球BDに球基準軸を定義する。具体的には、大後頭孔基準球BDの中心座標Cと前記重心点Cjとを通る直線を球基準軸とする。この場合、大後頭孔基準球BDの中心座標Cおよび前記重心点Cjは、傾斜部を定義する点群データに基づいて計算されていることから、球基準軸は、同傾斜部の中心軸と考えることができる。また、傾斜部の中心軸と大後頭孔の中心軸は、略等しいと考えられることから、同球基準軸は、大後頭孔の中心軸と考えることができる。
【0067】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS424にて、大後頭孔の開口部付近に前記球基準軸に直交する平面P3を定義する。この平面P3の定義は、次のサブステップ1〜3の処理からなる。
【0068】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、大後頭孔基準球BDに含まれる大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうちで、最も大後頭孔に近い位置の点群データを特定する。具体的には、コンピュータ装置10は、図13(B)に示すように、大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうち、大後頭孔基準球BDに含まれる各点群データがそれぞれ表す三角平面と、前記球基準軸とによって形成される角度β1〜βnをそれぞれ計算する。そして、同計算した角度β1〜βnのうちで最小の角度(図において角度β1)を最小角βminとして記憶する。この場合、大後頭孔に近い点群データ(実際には傾斜部を定義する点群データ)ほど、同点群データが表す三角平面は前記球基準軸に対して平行に近い。このため、球基準軸に対する同三角平面の角度が最も小さい点群データは、大後頭孔基準球BDに含まれる大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データのうちで、最も大後頭孔に近い位置の点群データである。
【0069】
サブステップ2:コンピュータ装置は、平面P3を計算するための点群データを抽出する。具体的には、前記角度βminに所定の角度δを加算した角度βmin+δを計算して、球基準軸に対して角度βminないし角度βmin+δの範囲の角度に含まれる大後頭孔基準球BDに含まれる大後頭孔の傾斜部を定義する各点群データを抽出する。ここで、所定の角度δは、平面P3を計算するための点群データを複数得るために設定される値である。これにより、大後頭孔基準球BDに含まれる大後頭孔の傾斜部を定義する点群データのうちで、大後頭孔の開口部近傍に位置する点群データが傾斜部に沿って帯状に抽出される。なお、所定の角度δは、1°〜5°の範囲が適当であり、本実施形態においては、3°に設定されている。
【0070】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、平面P3を計算する。具体的には、前記抽出した大後頭孔の開口部近傍の複数の点群データを、平面を表す下記式2に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、大後頭孔の開口部の上方近傍に、大後頭孔の開口面に略平行な平面P3が定義される。
aX+bY+cZ=d …式2
【0071】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS426にて、大後頭孔の穴中心CDの座標値を計算する。具体的には、前記球基準軸と前記平面P3との交点を計算して、同交点の座標値を大後頭孔の穴中心CDとする。この場合、前記球基準軸は、大後頭孔の中心軸に略等しく、平面P3は大後頭孔の開口部の近傍であって開口面に略平行であるため、前記交点を大後頭孔の穴中心と考えることができる。そして、コンピュータ装置10は、ステップS428にて、前記計算された大後頭孔の穴中心CDの座標値を記憶した後、ステップS430にて、図11(D)に示すように、表示装置12に表示されている内頭蓋底の3次元画像に重ねて同穴中心CDを表示させる。そして、コンピュータ装置10は、ステップS432にて、大後頭孔穴中心計算サブプログラムの実行を終了して、再び3次元画像データ生成プログラムに戻る。
【0072】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS110にて、基準座標系を定義する。基準座標系は、基準平面上に設定される原点および同原点を通る3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)から構成される。具体的には、図14に示す基準座標系定義サブプログラムをステップS500にて開始する。コンピュータ装置10は、ステップS502にて、基準平面Pfを定義する。本実施形態においては、前記したように基準平面Pfとして、頭蓋骨のセファロ分析において多用されているフランクフルト平面を定義する。この基準平面Pfの定義は、次のサブステップ1〜4の処理からなる。
【0073】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、図15(A)に示すように、前記眼窩基準球BOL,BOR(右側の眼窩基準球BORは図示せず)および前記外耳道基準球BPL,BPR(右側の外耳道基準球BPRは図示せず)を用いて基礎平面P4を定義する。ここで基礎平面P4は、左右2つの眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cと、左右2つの外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cとを含む平面である。具体的には、2つの眼窩基準球BOL,BORの各中心座標値Cと、2つの外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標値Cとを、平面を表す上記式2に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、左右2つの眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cと、左右2つの外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cとを含む基準平面P4が定義される。
【0074】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、基準平面Pf(フランクフルト平面)の計算に用いる4つの定点、すなわち、左右の眼窩のオルビターレOrおよび左右の外耳道のポリオンPoに対応する定点を計算する。具体的には、図16に示すように、基礎平面P4と平行な平面P4’を想定し、同平面が2つの眼窩基準球BOL,BORのそれぞれ下表面に接する接点をそれぞれ計算し、同接点の座標値を定点Psl,Psrとしてそれぞれ記憶する。この計算された2つの定点Psl,Psrは、それぞれ左右の眼窩のオルビターレOrに対応する。この場合、各眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cを通り、前記基礎平面P4に垂直な軸線Loをそれぞれ想定し、同軸線Loと同眼窩基準球BOL,BORとの下表面の交点を計算して、同交点の座標値を定点Psl,Psrとしても同様である。なお、この場合、定点Psl,Psrをより高精度に計算するために、各眼窩のオルビターレOrの各眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cに対する位置関係から軸線Loの基礎平面P4に対する角度を予め設定しておいてもよい。この場合、同角度は80°〜90°(または90°〜100°)の範囲が適当である。
【0075】
また、基礎平面P4と平行な平面P4’’が、2つの外耳道基準球BPL,BPRのそれぞれ上表面に接する接点をそれぞれ計算し、同接点の座標値を定点Psl’,Psr’としてそれぞれ記憶する。この計算された2つの定点Psl’,Psr’は、それぞれ左右の外耳道のポリオンPoに対応する。この場合、各外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cを通り、前記基礎平面P4に垂直な軸線Lpをそれぞれ想定し、同軸線Lpと同外耳道基準球BPL,BPRとの上表面の交点を計算して、同交点の座標値を定点Psl’,Psr’としても同様である。これにより、基準平面Pf(フランクフルト平面)の計算に用いる左右の眼窩のオルビターレOrおよび左右の外耳道のポリオンPoに対応する4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’が計算される。なお、この場合、定点Psl’,Psr’をより高精度に計算するために、各外耳孔のポリオンPoの各外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cに対する位置関係から軸線Lpの基礎平面P4に対する角度を予め設定しておいてもよい。この場合、同角度は80°〜90°(または90°〜100°)の範囲が適当である。
【0076】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、前記計算された4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面Pf(フランクフルト平面)を定義する。具体的には、前記4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を、平面を表す上記式2に代入し、最小2乗法を用いて未知数a,b,c,dを計算する。これにより、図15(B)に示すように、前記4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を含む基準平面Pf(フランクフルト平面)が定義される。この基準平面Pfは、2つのオルビターレOrおよび2つのポリオンPoを含むフランクフルト平面に対応する。
【0077】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS504にて、前記基準平面Pf(フランクフルト平面)に原点Oおよび3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)を定義する。この原点Oおよび3つの基準軸の定義は、次のサブステップ1〜4の処理からなる。
【0078】
サブステップ1:コンピュータ装置10は、基準平面Pf(フランクフルト平面)に第1基準軸Zを定義する。具体的には、図15(C)に示すように、前記大後頭孔の穴中心CDを通り、基準平面Pf(フランクフルト平面)に直交する直線を計算し、同直線を第1基準軸Zとする。この第1基準軸Zは、前記3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)のうち、Z軸に対応する。
【0079】
サブステップ2:コンピュータ装置10は、基準平面Pf(フランクフルト平面)に原点Oを定義する。具体的には、基準平面Pf(フランクフルト平面)と前記第1基準軸Zとの交点を原点Oとする。
【0080】
サブステップ3:コンピュータ装置10は、他の2つの基準軸である第2基準軸Xおよび第3基準軸Yを定義する。具体的には、前記2つの定点Psl’,Psr’(ポリオンOrに対応)を通る直線に平行な直線であって、前記原点Oを通る直線を第2基準軸Xとする。この第2基準軸Xは、前記3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)のうち、X軸に対応する。また、前記2つの定点Psl’,Psr’(ポリオンOrに対応)を通る直線に直交する直線であって、前記原点Oを通る直線を第3基準軸Yとする。この第3基準軸Yは、前記3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)のうち、Y軸に対応する。なお、この場合、定点Psl’,Psr’に代えて、外耳道基準球BPL,BPRの各中心点Cを用いても同様に第2基準軸Xおよび第3基準軸Yを定義することができる。また、定点Psl,Psr(オルビターレOrに対応)または眼窩基準球BOL,BORの各中心点Cを用いても同様に第2基準軸Xおよび第3基準軸Yを定義することができる。
【0081】
これらにより、基準平面Pf(フランクフルト平面)に対して原点Oおよび3つの基準軸(X軸,Y軸,Z軸)が設定される。そして、コンピュータ装置10は、ステップS506にて、基準座標系定義サブプログラムの実行を終了して、再び3次元画像データ生成プログラムに戻る。
【0082】
次に、コンピュータ装置10は、図2のステップS112にて、第2の3次元画像データを生成する。ここで、第2の3次元画像データは、前述したように、前記定義した基準座標系に基づいて3次元画像を表示させるための3次元画像データである。具体的には、コンピュータ装置10は、第1の3次元画像データを第2の3次元画像データに変換する座標変換係数を計算する。この座標変換係数の計算は、前記眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cおよび外耳道基準球BPL,BPRの各中心座標Cの4つの座標値を用いて変換行列を計算し、同変換行列を座標変換係数とする。そして、コンピュータ装置10は、この座標変換係数を用いて第1の3次元画像データを第2の3次元画像データに座標変換する。
【0083】
次に、コンピュータ装置10は、ステップS114にて、座標変換された第2の3次元画像データをメモリ10aに記憶した後、ステップS116にて、同第2の3次元画像データが表す3次元画像、すなわち基準座標系に基づく頭蓋骨の3次元画像を表示装置12に表示させる。そして、コンピュータ装置10は、ステップS118にて、3次元画像データ生成プログラムの実行を終了する。
【0084】
これにより、作業者は、入力装置11を操作することにより、3次元画像の表示方向を指示して、表示装置12に表示されている頭蓋骨の3次元画像を任意の方向から表示させることができる。また、基準座標系に基づいて、第2の3次元画像データによって表される頭蓋骨の解剖学的な各種特徴点の位置、特徴点間の距離および角度などを測定することができる。さらに、同一部位に関する異なる3次元画像をそれぞれ共通の特徴点に基づいて設定した基準座標系によって表示させることができる。これにより、互いに異なる3次元画像を1つの基準座標系上に並べてまたは合成して表示させることができる。作業者は、表示装置12に表示される基準座標系に基づく頭蓋骨の3次元画像を見て、同頭蓋骨の評価および/または診断を行う。
【0085】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、3次元画像として表された頭蓋骨の眼窩および外耳道に、それぞれの表面形状に合った眼窩基準球BOL,BORおよび外耳道基準球BPL,BPRを一義的に定義し、同一義的に定義された眼窩基準球BOL,BORおよび外耳道基準球BPL,BPRを用いて、眼窩および外耳道にそれぞれ設定される特徴点(オルビターレOrおよびポリオンPo)にそれぞれ対応する定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を計算して、同定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面(フランクフルト平面)Pfを定義している。また、大後頭孔の穴中心CDを一義的に定義し、同穴中心CDを用いて基準平面(フランクフルト平面)Pfに第1基準軸Zおよび原点Oを定義するとともに、前記定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて第2基準軸Xおよび第3基準軸Yを定義して基準座標系を定義している。
【0086】
したがって、上記実施形態によれば、頭蓋骨の3次元画像データから一義的に抽出される定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面(フランクフルト平面)Pfおよび基準座標系を一義的に定義することができる。これにより、基準平面(フランクフルト平面)Pfおよび基準座標系の再現性が良好となる。この結果、3次元画像上に表される同一部位に関する異なる3次元画像間で位置関係を統一することができ、正確な診断を行うことができる。また、一義的に抽出される定点Psl,Psr,Psl’,Psr’は、骨の表面上に解剖学的に設定された特徴点に対応している。このため、臨床において広く用いられている基準座標系、すなわち骨の表面上に設定される特徴点に基づく基準座標系を定義することができる。この結果、臨床において広く用いられている基準座標系に基づいて頭蓋骨の3次元画像を評価することができ、正確な診断ができる。
【0087】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0088】
上記実施形態においては、眼窩基準球BOL,BORの定義時における平面P1を設定する際、左右の眼窩下孔をそれぞれ指定するようにしたが、眼窩口周辺を定義する点群データを抽出できれば、これに限定されるものではない。例えば、左右の眼窩口の中間点である鼻骨上の一点を指定するようにしてもよい。この場合、平面P1の大きさおよび向きは、コンピュータ装置10に予め設定しておき、同指定された鼻骨上の一点を含む平面P1を定義するようにするとよい。
【0089】
また、上記実施形態においては、眼窩基準球BOL,BOR、外耳道基準球BPL,BPRおよび大後頭孔の穴中心CDの各計算時において、作業者が眼窩口、外耳道の開口部および大後頭孔の開口部を指定するために眼窩口、外耳道の開口部および大後頭孔の開口部周辺の領域T1,T2,T3をそれぞれ指定するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、頭蓋骨の形状から眼窩口、外耳道の開口部および大後頭孔の開口部をそれぞれの形状に基づいて、コンピュータ装置10によって自動的に特定するようにしてもよい。これによれば、眼窩基準球BOL,BOR、外耳道基準球BPL,BPRおよび大後頭孔の穴中心CDの各計算時において、作業者の負担を軽減することができる。
【0090】
また、上記実施形態においては、眼窩下点(オルビターレ)Orおよび外耳孔の最上点(ポリオン)Poを定点としたが、定義される基準球に基づいて特定できる特徴点であれば、これに限定されるものではない。また、骨の表面上に設定される特徴点のほかに、骨の形状によって概念上特定できる点、例えば眼窩などの穴部の中心を定点とすることもできる。また、骨上の特徴点のほかに、皮膚上の特徴点、例えば耳穴や鼻孔などを定点とすることができる。これらによっても、基準座標系を一義的に定義することができる。
【0091】
また、上記実施形態においては、頭蓋骨の眼窩、外耳道および大後頭孔にそれぞれ基準球を定義したが、穴部に基準球を定義するものであれば、これに限定されるものではない。例えば、頭蓋骨上であれば、眼窩上孔、眼窩下孔、オトガイ孔、鼻孔などに基準球を定義してもよいし、他の部位の骨の穴部であってもよい。
【0092】
また、上記実施形態においては、基準平面Pfとしてフランクフルト平面を用いたが、抽出した定点から計算される平面であれば、これに限定されるものではない。例えば、OMライン(OM平面)、眼窩耳孔線などを基準平面としてもよい。この場合、左右の眼窩基準球BOL,BORの各中心座標Cおよび、左右の外耳道のポリオンPoにそれぞれ対応する定点Psl’,Psr’または外耳孔基準球BPL,BPRの各中心座標Cを基準平面の計算に用いる4つの定点とすればよい。
【0093】
また、上記実施形態においては、4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’を用いて基準平面Pfを計算したが、少なくとも3つ以上の定点を用いれば、これに限定されるものではない。例えば、上記4つの定点Psl,Psr,Psl’,Psr’のうち、いずれか3つの定点を用いて基準平面Pfを計算することができる。また、2つの定点Psl,Psrを結んだ直線の中点と、2つの定点Psl’,Psr’を用いて基準平面Pfを計算してもよい。
また、上記実施形態においては、基準座標系の原点を大後頭孔の穴中心CDに基づいて設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、臨床において広く用いられているセラ、バジオン、オピスチオンなどに基づいて設定してもよい。
【0094】
また、上記実施形態においては、大後頭孔の穴中心CDを基準座標系の設定に用いたが、これに限定されるものではない。例えば、他の特徴点に対応する定点を特定するために用いることもできる。また、大後頭孔の穴中心CDを新たな解剖学的な特徴点として用いることもできる。
【0095】
また、上記実施形態においては、ヒトの頭蓋骨の3次元画像データに関して本発明を適用したが、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、ヒトの他の部位に関する3次元画像データまたはヒト以外、例えば、動植物または構造体の3次元画像データにも広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係る3次元画像処理装置の全体を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の3次元画像処理装置によって実行される3次元画像データ生成プログラムのフローチャートである。
【図3】(A)〜(D)は眼窩口を定義する点群データを抽出する過程を時系列的に示した説明図である。
【図4】図1の3次元画像処理装置によって実行される眼窩基準球定義サブプログラムのフローチャートである。
【図5】(A)〜(D)は図3(D)の5−5線に沿って見た眼窩内に基準球を定義する過程を時系列的に示した眼窩の断面図である。
【図6】(A)および(B)は眼窩の表面形状に合った基準球を示す頭蓋骨を正面視させた説明図である。
【図7】図1の3次元画像処理装置によって実行される外耳道基準球定義サブプログラムのフローチャートである。
【図8】(A)〜(D)は外耳道に基準球が定義される過程を時系列的に示した頭蓋骨またはその一部を左側面視させた説明図である。
【図9】(A)および(B)は図8(A)の9−9線に沿って見た外耳道に基準球を定義する過程を示した外耳道の断面図である。
【図10】図1の3次元画像処理装置によって実行される大後頭孔穴中心計算サブプログラムのフローチャートである。
【図11】(A)〜(D)は外耳道に基準球が定義される過程を時系列的に示した内頭蓋底の説明図である。
【図12】(A)〜(D)は図11(A)12−12線に沿って見た大後頭孔に基準球を定義する過程を示した大後頭孔の断面図である。
【図13】(A)および(B)は図11(A)12−12線に沿って見た大後頭孔の穴中心を計算する過程を示した大後頭孔の断面図である。
【図14】図1の3次元画像処理装置によって実行される基準座標定義サブプログラムのフローチャートである。
【図15】(A)〜(C)は頭蓋骨上に基準平面および基準座標系を定義する過程を時系列的に示した頭蓋骨の左側面図である。
【図16】眼窩基準球および外耳道基準球を用いて定点を計算する過程を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0097】
10…コンピュータ装置、10a…メモリ、11…入力装置、12…表示装置、20…X線CT装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理装置において、
前記骨の表面に存在する少なくとも3つの穴部の表面形状に合った基準球をそれぞれ定義する基準球定義手段と、
前記基準球定義手段によって定義された少なくとも3つの基準球に基づいて、基準平面を定義する基準平面定義手段とを備えたことを特徴とする3次元画像処理装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の3次元画像処理装置において、
前記基準平面定義手段を、
前記基準球定義手段によって定義される少なくとも3つの基準球に基づいて、前記骨の表面上に設定される解剖学的な特徴点のうち、前記少なくとも3つの基準球に対応した少なくとも3つの特徴点を定点としてそれぞれ計算する定点計算手段と、
前記定点計算手段によって計算された少なくとも3つの定点を含む平面を前記基準平面として計算する基準平面計算手段とで構成した3次元画像処理装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の3次元画像処理装置において、
前記定点計算手段は、前記少なくとも3つの基準球の各中心点を含む基礎平面を定義し、同基礎平面に平行な平面が前記少なくとも3つの基準球にそれぞれ接する接点を定点として計算する3次元画像処理装置。
【請求項4】
前記請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記少なくとも3つの穴部は、それぞれ顔面骨・頭蓋骨における眼窩および外耳道のいずれかである3次元画像処理装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記基準平面は、顔面骨・頭蓋骨上に設定されるフランクフルト平面である3次元画像処理装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記少なくとも3つの穴部の1つは眼窩であり、前記眼窩の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義手段を、
前記眼窩の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する眼窩基準球決定手段とで構成した3次元画像処理装置。
【請求項7】
前記請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記少なくとも3つの穴部の1つは外耳道であり、前記外耳道の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義手段を、
前記外耳道を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義手段と、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて、所定の半径を有し、かつ前記外耳道に接する球体を基準球として決定する外耳道基準球決定手段とで構成した3次元画像処理装置。
【請求項8】
前記請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、さらに、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の穴中心を計算する穴中心計算手段と、
前記穴中心計算手段により計算された前記穴中心を通り前記基準平面に直交する直線を第1基準軸として計算する第1の基準軸計算手段とを備え、
前記第1基準軸と前記基準平面とからなる基準座標系を定義した3次元画像処理装置。
【請求項9】
前記請求項8に記載の3次元画像処理装置において、さらに、
前記第1基準軸と前記基準平面との交点を原点とし、前記少なくとも3つの基準球のうちの2つの基準球を用いて前記基準平面内にて直交する第2基準軸および第3基準軸を計算する第2の基準軸計算手段を備えた3次元画像処理装置。
【請求項10】
前記請求項8または請求項9に記載の3次元画像処理装置において、
前記穴中心計算手段を、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定手段と、
前記基準球決定手段によって決定された基準球に含まれる3次元画像データのうちで、前記穴部の開口部の近傍に位置する3次元画像データを用いて前記開口部の平面を定義する穴平面定義手段と、
前記基準球決定手段によって決定された基準球の中心を通り前記穴平面定義手段によって定義された平面に直交する直線と同平面との交点を前記穴部の穴中心とする穴中心決定手段とで構成した3次元画像処理装置。
【請求項11】
前記請求項8ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部は、顔面骨・頭蓋骨の大後頭孔である3次元画像処理装置。
【請求項12】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理装置において、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定手段とで構成したことを特徴とする3次元画像処理装置。
【請求項13】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理装置において、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義手段と、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて所定の半径を有し、かつ前記穴部に接する球体を基準球として決定する基準球決定手段とで構成したことを特徴とする3次元画像処理装置。
【請求項14】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記骨の表面に存在する少なくとも3つの穴部の表面形状に合った基準球をそれぞれ定義する基準球定義ステップと、
前記基準球定義手段によって定義された少なくとも3つの基準球に基づいて、基準平面を定義する基準平面定義ステップとを含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項15】
前記請求項14に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記基準平面定義ステップは、
前記基準球定義ステップによって定義される少なくとも3つの基準球に基づいて、前記骨の表面上に設定される解剖学的な特徴点のうち、前記少なくとも3つの基準球に対応した少なくとも3つの特徴点を定点としてそれぞれ計算する定点計算ステップと、
前記定点計算ステップによって計算された少なくとも3つの定点を含む平面を前記基準平面として計算する基準平面計算ステップとを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項16】
前記請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記定点計算ステップは、前記少なくとも3つの基準球の各中心点を含む基礎平面を定義し、同基礎平面に平行な平面が前記少なくとも3つの基準球にそれぞれ接する接点を定点として計算するコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項17】
前記請求項14ないし請求項16のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記少なくとも3つの穴部は、それぞれ顔面骨・頭蓋骨における眼窩および外耳道のいずれかであるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項18】
前記請求項14ないし請求項17のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記基準平面は、顔面骨・頭蓋骨上に設定されるフランクフルト平面であるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項19】
前記請求項14ないし請求項18のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記少なくとも3つの穴部の1つは眼窩であり、前記眼窩の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義ステップは、
前記眼窩の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義ステップと、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する眼窩基準球決定ステップとを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項20】
前記請求項14ないし請求項19のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記少なくとも3つの穴部の1つは外耳道であり、前記外耳道の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義ステップは、
前記外耳道を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義ステップと、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて、所定の半径を有し、かつ前記外耳道に接する球体を基準球として決定する外耳道基準球決定ステップとを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項21】
前記請求項14ないし請求項20のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、さらに、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の穴中心を計算する穴中心計算ステップと、
前記穴中心計算手段により計算された前記穴中心を通り前記基準平面に直交する直線を第1基準軸として計算する第1の基準軸計算ステップとを含み、
前記第1基準軸と前記基準平面とからなる基準座標系を定義するようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項22】
前記請求項21に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、さらに、
前記第1基準軸と前記基準平面との交点を原点とし、前記少なくとも3つの基準球のうちの2つの基準球を用いて前記基準平面内にて直交する第2基準軸および第3基準軸を計算する第2の基準軸計算ステップを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項23】
前記請求項21または請求項22に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記穴中心計算ステップは、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義ステップと、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定ステップと、
前記基準球決定ステップによって決定された基準球に含まれる3次元画像データのうちで、前記穴部の開口部の近傍に位置する3次元画像データを用いて前記開口部の平面を定義する穴平面定義ステップと、
前記基準球決定ステップによって決定された基準球の中心を通り前記穴平面定義ステップによって定義された平面に直交する直線と同平面との交点を前記穴部の穴中心とする穴中心決定ステップとを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項24】
前記請求項21ないし請求項23のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部は、顔面骨・頭蓋骨の大後頭孔であるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項25】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義ステップと、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定ステップとを含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項26】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義ステップと、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて所定の半径を有し、かつ前記穴部に接する球体を基準球として決定する基準球決定ステップとを含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項27】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理方法において、
前記骨の表面に存在する少なくとも3つの穴部の表面形状に合った基準球をそれぞれ定義する基準球定義工程と、
前記基準球定義工程によって定義された少なくとも3つの基準球に基づいて、基準平面を定義する基準平面定義工程とからなることを特徴とする3次元画像処理方法。
【請求項28】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理方法において、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義工程と、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定工程とからなることを特徴とする3次元画像処理方法。
【請求項29】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理方法において、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義工程と、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて所定の半径を有し、かつ前記穴部に接する球体を基準球として決定する基準球決定工程とからなることを特徴とする3次元画像処理方法。
【請求項1】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理装置において、
前記骨の表面に存在する少なくとも3つの穴部の表面形状に合った基準球をそれぞれ定義する基準球定義手段と、
前記基準球定義手段によって定義された少なくとも3つの基準球に基づいて、基準平面を定義する基準平面定義手段とを備えたことを特徴とする3次元画像処理装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の3次元画像処理装置において、
前記基準平面定義手段を、
前記基準球定義手段によって定義される少なくとも3つの基準球に基づいて、前記骨の表面上に設定される解剖学的な特徴点のうち、前記少なくとも3つの基準球に対応した少なくとも3つの特徴点を定点としてそれぞれ計算する定点計算手段と、
前記定点計算手段によって計算された少なくとも3つの定点を含む平面を前記基準平面として計算する基準平面計算手段とで構成した3次元画像処理装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の3次元画像処理装置において、
前記定点計算手段は、前記少なくとも3つの基準球の各中心点を含む基礎平面を定義し、同基礎平面に平行な平面が前記少なくとも3つの基準球にそれぞれ接する接点を定点として計算する3次元画像処理装置。
【請求項4】
前記請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記少なくとも3つの穴部は、それぞれ顔面骨・頭蓋骨における眼窩および外耳道のいずれかである3次元画像処理装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記基準平面は、顔面骨・頭蓋骨上に設定されるフランクフルト平面である3次元画像処理装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記少なくとも3つの穴部の1つは眼窩であり、前記眼窩の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義手段を、
前記眼窩の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する眼窩基準球決定手段とで構成した3次元画像処理装置。
【請求項7】
前記請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記少なくとも3つの穴部の1つは外耳道であり、前記外耳道の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義手段を、
前記外耳道を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義手段と、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて、所定の半径を有し、かつ前記外耳道に接する球体を基準球として決定する外耳道基準球決定手段とで構成した3次元画像処理装置。
【請求項8】
前記請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、さらに、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の穴中心を計算する穴中心計算手段と、
前記穴中心計算手段により計算された前記穴中心を通り前記基準平面に直交する直線を第1基準軸として計算する第1の基準軸計算手段とを備え、
前記第1基準軸と前記基準平面とからなる基準座標系を定義した3次元画像処理装置。
【請求項9】
前記請求項8に記載の3次元画像処理装置において、さらに、
前記第1基準軸と前記基準平面との交点を原点とし、前記少なくとも3つの基準球のうちの2つの基準球を用いて前記基準平面内にて直交する第2基準軸および第3基準軸を計算する第2の基準軸計算手段を備えた3次元画像処理装置。
【請求項10】
前記請求項8または請求項9に記載の3次元画像処理装置において、
前記穴中心計算手段を、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定手段と、
前記基準球決定手段によって決定された基準球に含まれる3次元画像データのうちで、前記穴部の開口部の近傍に位置する3次元画像データを用いて前記開口部の平面を定義する穴平面定義手段と、
前記基準球決定手段によって決定された基準球の中心を通り前記穴平面定義手段によって定義された平面に直交する直線と同平面との交点を前記穴部の穴中心とする穴中心決定手段とで構成した3次元画像処理装置。
【請求項11】
前記請求項8ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の3次元画像処理装置において、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部は、顔面骨・頭蓋骨の大後頭孔である3次元画像処理装置。
【請求項12】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理装置において、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義手段と、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定手段とで構成したことを特徴とする3次元画像処理装置。
【請求項13】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理装置において、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義手段と、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて所定の半径を有し、かつ前記穴部に接する球体を基準球として決定する基準球決定手段とで構成したことを特徴とする3次元画像処理装置。
【請求項14】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記骨の表面に存在する少なくとも3つの穴部の表面形状に合った基準球をそれぞれ定義する基準球定義ステップと、
前記基準球定義手段によって定義された少なくとも3つの基準球に基づいて、基準平面を定義する基準平面定義ステップとを含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項15】
前記請求項14に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記基準平面定義ステップは、
前記基準球定義ステップによって定義される少なくとも3つの基準球に基づいて、前記骨の表面上に設定される解剖学的な特徴点のうち、前記少なくとも3つの基準球に対応した少なくとも3つの特徴点を定点としてそれぞれ計算する定点計算ステップと、
前記定点計算ステップによって計算された少なくとも3つの定点を含む平面を前記基準平面として計算する基準平面計算ステップとを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項16】
前記請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記定点計算ステップは、前記少なくとも3つの基準球の各中心点を含む基礎平面を定義し、同基礎平面に平行な平面が前記少なくとも3つの基準球にそれぞれ接する接点を定点として計算するコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項17】
前記請求項14ないし請求項16のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記少なくとも3つの穴部は、それぞれ顔面骨・頭蓋骨における眼窩および外耳道のいずれかであるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項18】
前記請求項14ないし請求項17のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記基準平面は、顔面骨・頭蓋骨上に設定されるフランクフルト平面であるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項19】
前記請求項14ないし請求項18のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記少なくとも3つの穴部の1つは眼窩であり、前記眼窩の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義ステップは、
前記眼窩の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義ステップと、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する眼窩基準球決定ステップとを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項20】
前記請求項14ないし請求項19のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記少なくとも3つの穴部の1つは外耳道であり、前記外耳道の表面形状に合った基準球を定義するために、前記基準球定義ステップは、
前記外耳道を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義ステップと、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて、所定の半径を有し、かつ前記外耳道に接する球体を基準球として決定する外耳道基準球決定ステップとを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項21】
前記請求項14ないし請求項20のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、さらに、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の穴中心を計算する穴中心計算ステップと、
前記穴中心計算手段により計算された前記穴中心を通り前記基準平面に直交する直線を第1基準軸として計算する第1の基準軸計算ステップとを含み、
前記第1基準軸と前記基準平面とからなる基準座標系を定義するようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項22】
前記請求項21に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、さらに、
前記第1基準軸と前記基準平面との交点を原点とし、前記少なくとも3つの基準球のうちの2つの基準球を用いて前記基準平面内にて直交する第2基準軸および第3基準軸を計算する第2の基準軸計算ステップを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項23】
前記請求項21または請求項22に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記穴中心計算ステップは、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義ステップと、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定ステップと、
前記基準球決定ステップによって決定された基準球に含まれる3次元画像データのうちで、前記穴部の開口部の近傍に位置する3次元画像データを用いて前記開口部の平面を定義する穴平面定義ステップと、
前記基準球決定ステップによって決定された基準球の中心を通り前記穴平面定義ステップによって定義された平面に直交する直線と同平面との交点を前記穴部の穴中心とする穴中心決定ステップとを含むコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項24】
前記請求項21ないし請求項23のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記少なくとも3つの穴部とは異なる穴部は、顔面骨・頭蓋骨の大後頭孔であるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項25】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義ステップと、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定ステップとを含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項26】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムにおいて、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義ステップと、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて所定の半径を有し、かつ前記穴部に接する球体を基準球として決定する基準球決定ステップとを含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項27】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理方法において、
前記骨の表面に存在する少なくとも3つの穴部の表面形状に合った基準球をそれぞれ定義する基準球定義工程と、
前記基準球定義工程によって定義された少なくとも3つの基準球に基づいて、基準平面を定義する基準平面定義工程とからなることを特徴とする3次元画像処理方法。
【請求項28】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理方法において、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部の開口部に、同開口部の表面形状に合った仮基準球を定義する仮基準球定義工程と、
前記仮基準球の半径を所定量だけ大きくした球体内に含まれる3次元画像データを用いて新たな球体を定義し、同新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定未満になるまで前記新たな球体を新たな仮基準球として再定義し続けて、新たな球体の中心位置と前記仮基準球の中心位置との距離が所定値未満になったとき、同新たな球体を基準球として決定する基準球決定工程とからなることを特徴とする3次元画像処理方法。
【請求項29】
ヒトまたは動物の骨の表面形状に関する3次元画像データを用いて前記骨の3次元形状を表示させるための3次元画像処理方法において、
前記骨の表面に設けられた穴部の表面形状に合った基準球を定義するために、
前記穴部を含む所定の大きさの領域を定義する領域定義工程と、
前記定義された領域に含まれる3次元画像データを用いて所定の半径を有し、かつ前記穴部に接する球体を基準球として決定する基準球決定工程とからなることを特徴とする3次元画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−238974(P2006−238974A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−55322(P2005−55322)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【出願人】(000112004)パルステック工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【出願人】(000112004)パルステック工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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