説明

3次元画像表示装置における色の比の改良

視野角に応じて異なるビューが表示されるように3次元画像を表示する表示装置は、画像を表示する、複数の別々にアドレス可能な画素を有する表示パネルを有する。各画素は、グループ内の異なる画素が画像の異なるビューに対応するようにグループ化されている。各画素は、画像内の各物理的位置に関するカラークラスタで構成される。表示ドライバが、受け取った画像データに従って画像を生成するために各画素の透過特性を制御する。表示パネルの各画素に与えられる駆動信号は、見る方向に依存しない各クラスタに関する画像の色を生成するようにグループ内の各画素及びクラスタ内の各グループの光透過度を変える色補正値を用いて調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、特に3次元又は立体画像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元画像の生成は、一般に、表示装置が該表示装置のユーザの左右の目に異なるビューを与えることができることを要する。これは、特別に作られたゴーグルを使用することによってユーザのそれぞれの目に直接的に異なる画像を与えることにより実現され得る。1つの例では、ディスプレイがタイムシーケンシャルのやり方で右のビューと左のビューとを交互に与え、これらのビューは同期のとられるビューイングゴーグルにより見る人の対応する目に入る。対照的に、本発明は、画像の異なるビューが単一の表示パネルに対する視野角に応じて見られる表示装置の種類に関するものである。以下、これらは該して3次元表示装置と呼ばれる。
【0003】
そのような3次元表示装置の1つの既知の種類は、視差バリア法が実現された液晶ディスプレイである。そのようなシステムが図1に示されている。
【0004】
図1を参照すると、視差バリアタイプの表示装置100は、複数の別個の光源を与えるバックパネル11を有している。図示されているように、バックパネル11は、表面全体にわたって分散する複数のスリット14aないし14dを有する不透明のマスク又はバリア層13により覆われた(フォトルミネセンスパネルのような)面光源12として形成され得る。この場合、上記スリット14のそれぞれは線光源の役割を果たす。
【0005】
液晶表示パネル(LCD)15は(例えば図1において1ないし10の参照符号が付された)複数の画素を有しており、これらはそれぞれの光透過特性を変化させるために既知の技術により電気的な信号によって別々にアドレス可能である。バックパネル11は、線光源14のそれぞれが画素のグループ16に対応するようにLCDパネル15に対して接近して配置されている。例えば、グループ16として示されている画素1ないし5はスリット14aに対応し、グループ16として示されている画素6ないし10はスリット14bに対応している等である。
【0006】
画素のグループ16の各画素は、対応する線光源14aが当該ビューに対応する画素1ないし5の1つを介して見られるように画像の複数の可能なビュー(V−2,V−1,V,V,V)のうちの1つのビューVに対応する。各グループ16の画素数は、存在する画像のビューの数を決定し、図示されている装置では5つである。ビューの数が大きくなるほど、3次元効果がよりリアルになり、より傾斜した視野角が与えられる。
【0007】
本明細書全体において、我々は表示パネルの全ての画素により生成される画像全体を表示される「画像」と呼んでおり、上記画像は特定の視野角により決定される複数の「ビュー」により構成される。
【0008】
上述の従来技術の装置には問題が存在する。上記LCDパネルの各画素の光透過係数は視野角に強く依存する。従って、全ての画素1ないし5が等しく駆動される場合、光源14aの見られる強度はそれぞれのビューに関して異なって現れる。例えば、VはVとは異なる。同様に、LCDパネル15の各画素の光透過係数は、色(すなわち、波長)に強く依存する。従って、上記光源の見られる強度はそれぞれの色に関して異なって現れる。
【0009】
そのようなディスプレイは、3原色(例えばRGB)のそれぞれに異なる画素(及び異なる画素のグループ16)を与えることに依存するので、これらのアーチファクトは個々の色のレンダリングが視野角の関数として変化することを意味する。これは、画像の異なるビューを目にする際に、最適状態に及ばない画像及び望ましくない色のアーチファクトを招く。
【0010】
US2003/0052836公報には、カラー表示装置の前方に位置する複数のカラーフィルタを伴う特別に作られた遮光マスクを用いる3次元画像装置が説明されている。上記遮光マスクは、異なる視野角における3原色の輝度比を維持する役割を果たす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、画像の異なるビューが視野角に応じて表示される3次元画像を表示する表示装置における望ましくない色のアーチファクトを克服又は緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの観点によれば、本発明は、視野角に応じて異なるビューが表示されるように3次元画像を表示する表示装置であって、上記画像を表示する、複数の別々にアドレス可能な画素を有する表示パネルであって、グループ内の異なる画素が上記画像の異なるビューに対応するように上記画素がグループ化された当該表示パネルと、受け取った画像データに従って画像を生成するために各画素の光学的特性を制御する表示ドライバと、上記光学的特性の所定の視野角依存性を補償するためにグループ内の少なくとも幾つかの画素の上記光学的特性を更に制御する色補償装置とを含む当該表示装置を提供する。
【0013】
他の観点によれば、本発明は、視野角に応じて画像の異なるビューが表示されるように表示装置に3次元の上記画像を表示する方法であって、表示パネルにおいて複数の別々にアドレス可能な画素のそれぞれに関して画素データ値を形成するために画像データを処理するステップであって、上記画素は、グループ内の異なる画素が上記画像の異なるビューに対応するようにグループ化され、上記画素データ値は画像を生成するために対応する画素の光学的特性を制御する当該ステップと、上記光学的特性の所定の視野角依存性を補償するために各グループ内の少なくとも幾つかの画素データ値に色補正値を与えるステップと、上記画像を生成するように表示パネルの画素を駆動するため、補正された上記画素データ値を用いるステップとを含む当該方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態が、添付の図面を参照して例として説明される。
【0015】
図1を参照して、視差バリアタイプの3次元画像表示装置の基本的な機能は既に説明されている。表示パネル15及びバックパネル11の照明源の同様の構造が、本発明の好ましい実施の形態において用いられ得る。しかしながら、以下において明らかになるように他の構成が用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0016】
一般に、本発明は複数の別々にアドレス可能である画素1〜10を有する表示パネル15を用い、これらの画素はグループ16,16内の異なる画素1〜5又は6〜10がそれぞれ画像の異なるビューに対応するようにグループ化されている。表示パネル15は、各画素の光学的特性が電気的な制御信号により変化して画像を生成する任意の好適な電気光学装置であり得る。上記表示パネルは液晶ディスプレイであることが好ましい。
【0017】
複数の別個の光源14a〜14dを有する照明源は、画素の各グループ16が当該光源のうちの対応するものから光を受け取るように配置されて設けられていることが好ましい。これは、図1の面光源12及びマスク13の配列として存在し得るが、画素のライン、個々の画素又は画素のブロックとして光源14を与える画素化された光源としても設けられ得る。
【0018】
更に、上記複数の別個の光源は、連続する高強度のライトスポットを与えるバックライト及びレンズアレイ(例えば、レンティキュラシートアレイ)として設けられる事実上の(virtual)光源であり得る。そのような構成は図7に示されている。表示装置80は、LCDパネル75と、面光源72と、レンズアレイ71とを含んでいる。図1と関連して説明されたものと同様に、上記レンズアレイは、それぞれが上記LCDパネルの複数の画素を照らすようLCDパネルの平面のわずかに外側の複数の別個の焦点73に面光源72からの光を集束させる。
【0019】
図2aを参照すると、表示パネル15の画素の各グループ16は、画像における1つの物理的な空間的位置に対応している。各物理的な空間17に関して3つの分離して近接配置された画素のグループ16,16,16が存在し、1つのグループは各原色に関するものであり、それにより、既知のカラー表示技術に従って実効的な認識される色を当該物理的な位置に与える画素のクラスタ17が形成されている。
【0020】
図2bに模式的に示されているように、上記表示装置は、各画素がそれらの間において共有される白色光源14のビューに特定の色及び強度を付与するために、ある波長の光を吸収又は反射する画素を含む表示パネル15を含み得る。その場合、カラークラスタ17の各画素のグループ16,16,16は、(例えば、表示パネルに適切なカラーフィルタを組み込むことにより)異なる波長において光を吸収するように選択される。
【0021】
代替として、図2aに示されているように、カラークラスタ17の画素の各グループ16は、可能な3つの異なる原色の光源のうちの1つを基準として配置され得る。従って、光源14は赤色であり、光源14は緑色であり、光源14は青色であり得る。その場合、画素のグループ16,16,16がカラークラスタ17を形成する。
【0022】
表示パネル15における画素のグループの一部が図2cに示されている。幅wの光源14は、上記表示パネルの平面の法線に対してそれぞれの視野角φ,φ,…,φの画素のグループ0,…,7に対応しており、これらの画素を介して見られる。画素のグループ16の半分のみが図示されており、画素のグループ16を完全なものにするためには画素0の左側に更に7つの画素が存在することが理解されるであろう。
【0023】
各画素は、幅p,p,…,pを有している。各幅p,…,pは等しいことが好ましいが、通過する光の入射角をある程度補償するために異なっていることも可能である。バックパネルの照明源14と表示パネル15との距離は、hとして図示してされている。好ましい表示装置ではh=2.3mm、p=200μm、w=50μmであるが、これらの値は大きく変化し得る。
【0024】
図3は、φ=0°の視野角(例えば画素0)に関する90°ねじれネマティックLCDの形態の表示パネル15についての透過度(T)対電圧(V)特性30を示している。赤色、緑色及び青色の波長の透過度に関する曲線が、曲線33,34,32としてそれぞれ示されている。第4の曲線31は、白色光を表しており、白色光をモデル化するための加重平均である。0ないし1Vの範囲の駆動電圧の下において動作する画素に関する光の透過係数は、波長によって約0.8と1.0との間で変動することに注意されたい。
【0025】
図4は、φ=60°の視野角(例えば画素7)に関する90°ねじれネマティックLCDの形態の表示パネル15についての透過度(T)対電圧(V)特性40を示している。赤色、緑色及び青色の波長の透過度に関する曲線が、曲線43,44,42としてそれぞれ示されている。第4の曲線41は、白色光を表しており、白色光をモデル化するための加重平均である。0〜1Vの範囲の駆動電圧の下において動作する画素に関する光の透過係数は、波長によって約0.73と0.92との間で変動することに注意されたい。
【0026】
図3を参照すると、画素のカラークラスタから「白色」のビューを生成するために、3つのRGB画素のそれぞれにほぼ同じ駆動電圧が与えられる。しかしながら、その場合、上記RGB画素は幾らか異なる輝度を有するようであり、これは白色の画像の画素ではなく、わずかに色付いた画素(典型的には見た目は幾らか黄色)をもたらす。各色の画素から同じ輝度を得て、画素のカラークラスタを真の白色にするために、故意に異なる電圧で異なるRGB画素を駆動することによってこれを補償することが可能である。
【0027】
しかしながら、3つの異なるRGB画素を駆動する電圧の最適な選択は、表示パネルが見られる角度の関数であることが図4から明らかである。従って、上記画素0を介して見られる理想的な「白」色を確立する駆動電圧は、他の全ての画素1ないし7に対しては最適状態に及ばない。
【0028】
本発明は、視野角を補正するようにグループ16の各画素0,…,7の光学的特性を制御する色補償装置を提供する。従って、グループ16の各赤色の画素に与えられる色補正ファクタは当該グループ内における画素の位置0,…,7によって異なる。同様に、グループ16の各緑色の画素に与えられる色補正ファクタもまた当該グループ内における画素の位置0,…,7によって異なる。同様に、グループ16の各青色の画素に与えられる色補正ファクタもまた当該グループ内における画素の位置0,…,7によって異なる。一般に、これらの3つの色補正ファクタは異なることに注意されたい。この色補償装置は、画素の1つのグループ16により表示される色を表示パネルのある位置又はカラークラスタに関する他の画素のグループにより表示される色に対して実質的に正規化することが好ましい。これにより、カラーレンダリングは視野角に依存しなくなる。色の正規化という表現は、色三角形におけるカラーポイント及び各色の絶対強度の正規化を意味するように取り扱われる。
【0029】
異なるディスプレイのタイプ及び透過型ディスプレイ対反射型ディスプレイに関して異なる色補正ファクタが必要とされる。適切な色補正ファクタは、当業者に知られている技術によって決定される適切に生成された透過/反射係数から決定され得る。
【0030】
図3及び図4に示されている例は、以下の構成を有するLCDに関して光透過のシミュレーションが行われて決定された。上記LCDは、4.75μmのセルギャップを有し、n=1.4794,n=1.5794の屈折率を有する液晶材料ZLI-4792により充填された。この材料の典型的な弾性定数は、スプレー/ツイスト/ベンド定数がそれぞれ13.2e−12N/6.4e−12N/19.8e−12Nである。この配向は、90°TNモード、より具体的には交差する偏光子を伴うeモードの構成が得られるものであった。上記液晶の配向は、両方の基板上に2.5°のプレチルトを有すると仮定された。
【0031】
図5は、色補償装置を組み込んだ表示装置101の実施の形態の一例を模式的に示している。
【0032】
画像処理器50は、複数のビューφ,…,φのそれぞれに関するRGB画素データを含む画像情報のストリームを受け取る。上記画像情報は、表示装置53に描写され得るように、処理され、デジタル形式でフレームバッファ51に記憶される。フレームバッファ51は、例えば3色のセット55,56,57で配された複数のページ58を含んでいる。各セットは、3原色RGBの1つに対応している。各セット55,56,57は、各ビューφ,φ,…,φ、すなわち各画素のグループ16に関する画素データを含んでいる。
【0033】
上記フレームバッファ51は表示ドライバ52によってアクセスされ、表示ドライバ52は、フレーム記憶部51に記憶された値のそれぞれに従って表示パネル53の各画素に適切な駆動電圧及び/又は電流信号を与える。一般的な原則として、
(i)表示ドライバ52により選択された駆動パラメータの値が適切に修正されるよう補正ファクタを含むようにフレーム記憶部51に記憶された画像データをデジタル方式で修正するか、又は
(ii)フレーム記憶部51に記憶された画像データを未修正のままにするが、表示ドライバ52の出力に補正ファクタを適用する
ことによって、色補償装置による色補正値の適用が与えられ得ることを理解されたい。
【0034】
第1の実施の形態においては、(破線で示されている)色補償装置60は、例えば画像処理器50によりアクセス可能なルックアップテーブルとして設けられている。このルックアップテーブルは補正値の複数のページ61,62,63を有しており、各ページは上記画像処理器により受け取られる画像データに与えられるべき視野角φ01,…,φの1つに対応している。画像処理器50は、画像データについての適切な補正を得て、この補償されたデータをフレーム記憶部51に記憶する。
【0035】
これに関連する「補正値」という表現は、「代替(substitution)」値又は「オフセット」値を含み得る。言い換えれば、ある入力画素値xに関して、ルックアップテーブル61〜63は、xの場所において上記フレーム記憶部に記憶されるべき(φの関数としての)代替値xを与える。代替として、ある入力画素値xに関して、ルックアップテーブル61〜63は、当該入力値と組み合わせられるオフセット値xとxの場所において上記フレーム記憶部に記憶される結果x+xとを与えてもよい。
【0036】
この実施の形態の特別の利点は、従来のLCDドライバ装置からハードウェアを変更する必要がある場合においてもほんのわずかに変更することにより実現され得ることである。画像処理器50の機能はソフトウェアにおいて実現され、色補償装置60の機能もまたソフトウェア実行として実現され得る。
【0037】
この第1の実施の形態の変形例では、補償装置60は、画像処理器50によりフレーム記憶部51に既に記憶されたデータに基づいて画像処理器50とは無関係に動作し得る。これは、フレーム記憶部51に第2のアクセスポート64を用いることによりもたらされる。この実施の形態における補償装置60は、画像処理器50(例えば、これがカスタマイズされたグラフィクス処理器である場合)の動作を妨げることなくソフトウェアモジュールとしても実現され得る。この場合においても、ルックアップテーブル61〜63は、上記色補償装置によって実現されるべき代替値又はオフセット値を与え得る。
【0038】
第2の実施の形態では、各画素駆動信号のための色補償装置は、アナログドメインにおいてリアルタイムで実行され得る。すなわち、表示ドライバ52により生成される各画素信号に補正電圧オフセットを与えることにより実行され得る。従って、この実施の形態では、特定のオフセット電圧及び/又は電流を表示ドライバによるそれらの出力に与えるために、表示ドライバ52と表示パネル53との間に色補正装置70が導入される。
【0039】
完全を期すために、ハイブリッドシステムが、補償装置60によりフレーム記憶部51に与えられるデジタル補正値の技術及び補償装置70により表示ドライバの出力に与えられるアナログオフセットの技術の両方を採用し得ることに注意されたい。適切な寄与は両方によりなされるが、これはより複雑な解決策である。例えば、色補償装置70により与えられるアナログオフセット又は補正値は表示パネルの作用を透過−電圧特性30,40の適切な部分に移動させるように選択される一方で、デジタル補正値は上記透過−電圧特性の傾き又はレベルの差を補償するように選択される。
【0040】
本明細書において説明されているような色補償装置60は、図1及び図2に示されているような3次元ディスプレイ以外の他の3次元ディスプレイの形態にもまた適用され得ることにも注意されたい。図6を参照すると、本発明はレンティキュラ3次元表示装置200にも適用され得ることに気付くであろう。このレンティキュラ表示装置では、液晶表示パネル115は、図1の場合と同様に、各グループ116,116に配された複数の画素(aないしbが図示されている。)を含んでいる。LCDアレイ115の上部には、かまぼこ形の(cylindrical)レンズ121,122よりなるレンティキュラアレイ120が配されている。上記レンティキュラアレイは、上記液晶パネルの画素のグループに局所的な集束を与えるために光学材料よりなる任意の波形板又は別個の若しくは接合されたレンズのアレイを含み得る。
【0041】
図6に示されている装置では、8個の画素となるように各レンズ素子の幅が選択され、これは8個のビューの3次元ディスプレイに対応する。勿論、各レンズ素子の幅は、必要とされる角度分解能に応じて異なる画素数に対応するように選択されてもよい。上記LCDの画素aないしaは異なるビューに画像化される。例えば、画素a及び画素aから発せられる光線が図示されている。LCD基板116において、画素aにより発せられる光線は、画素aにより発せられる光線と比較して大きく傾斜して伝播することが分かる。これらの間の角度は、概して2つのビューの間の角度(θ)とほぼ等しい。
【0042】
レンティキュラタイプの3次元表示装置では、異なるビューの光線は異なる角度で液晶層を通って進むことが分かる。従って、色の角度依存性の問題は、依然として存在し、図5と関連して説明されたような色補償装置によって解決される。
【0043】
上述したような本発明はまた、通常液晶ディスプレイの最適化に重大な影響を及ぼす。LCDパネルの視野角依存性は、かなり不良であることが一般的に知られている。図8は、補償フォイルを伴わない標準的な90°ねじれネマティック(TN)透過型LCDに関してコントラスト(強度の関数)及びグレースケールの反転がいかに視野角に依存するかを示している。水平方向の視野角はディスプレイの平面に対する法線から−60°と+60°との間においてx軸上に示されており、垂直方向の視野角はディスプレイの平面に対する法線から−60°と+60°との間においてy軸上に示されている。
【0044】
上記LCDの偏光子の光軸90,91及び液晶配向子の光軸92の向きが、図のより下方の部分に示されている。
【0045】
図8から、画質は視野角に強く依存することが分かる。図8に示されている例に関して、最適な視野角は左上部から右下部へ伸びる斜めのライン94により表されており、上記ライン94の右側及び上側の見る位置に関してグレースケールの反転が生じる。
【0046】
従来、テレビ及びコンピュータのモニタのような最も重要なアプリケーションに関して、水平ビューイング方向の性能を最大化することは垂直ビューイング方向の性能を最大化することよりも重要であることが認識されている。例えば、テレビのアプリケーションについては、表示装置の複数の見る人は、通常スクリーンに対してほぼ一致した目の高さで(すなわち、y軸に沿って非常に少ない変動量で)並ぶが、x軸に関連する水平方向の視野角は大きく変動し得る。同様に、コンピュータのモニタの前に着席したユーザは、作業中にy軸に沿ってよりもx軸に沿って頭の位置を動かす傾向が強い。
【0047】
従って、慣習では、LCDは図8に示されている向きから45°反時計回りに回転しており、その偏光軸は使用時にディスプレイのx軸及びy軸に対して約45°である。この点で、表示装置の性能は、水平方向の視野角に関して最適化されるが、垂直方向の視野角に関しては妥協される。
【0048】
3次元LCDディスプレイは、x軸及びy軸に関する視野角依存性の最適化と同じ問題に苦しんでいる。
【0049】
しかしながら、本発明において、カラーレンダリングの最適化は、上述したような色補償装置60及び/又は70を用いるディスプレイを駆動する際の電子工学的技術により達成され得ることが認識された。
【0050】
従って、表示パネルの固有の光学的特性が垂直方向の視野角の変動に対して最適化される向きを表示装置に与えることがより適切である。水平方向の視野角の変動は、本明細書において述べられているような電子工学的な駆動技術を用いて対処及び最適化される。
【0051】
このように、好ましい装置では、上述した3次元表示装置は、通常の使用時に、表示パネルの第1の軸に対する角度の関数として異なるビューを与える各グループ16内の画素を有すると共に、ディスプレイの上記第1の軸と直交する第2の軸に関する視野角依存性を最小化するように配向された表示パネルの偏光素子を有するよう配される。
【0052】
最も一般的な意味では、表示パネルの固有の光学的特性は、y軸に対して視野角依存性が低減又は実質的に最小化され、色補償装置60及び/又は70がy軸を横切る軸に関する視野角依存性を低減又は実質的に最小化する役割を果たすようなものである。上記色補償装置60及び/又は70は、y軸と直交する軸(すなわちx軸)に関する視野角依存性を低減又は実質的に最小化する役割を果たすことがより好ましい。最も好ましい装置では、ディスプレイが通常に使用される際に、x軸が水平軸と定義され、y軸が垂直軸と定義される。
【0053】
他の実施の形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内において意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】視差バリア法を用いて3次元画像を表示するLCD装置の既存の設計の模式的な断面図を示している。
【図2a】バックパネルの光源と並置されたLCDディスプレイの一部の模式的な斜視図を示している。
【図2b】バックパネルの光源と並置されたLCDディスプレイの一部の模式的な斜視図を示している。
【図2c】視差バリアLCD装置の形状を説明する際に有効な模式的な断面図を示している。
【図3】3原色のそれぞれ及び白色光用の加重平均についてのφ=0(すなわち、ディスプレイの平面に対して垂直)の視野角に関する90°ねじれネマティックLCDの透過度対電圧曲線を示している。
【図4】3原色のそれぞれ及び白色光用の加重平均についてのφ=60の視野角に関する90°ねじれネマティックLCDの透過度対電圧曲線を示している。
【図5】本発明の実施の形態による表示装置の模式的なブロック図を示している。
【図6】レンティキュラアレイを利用する本発明の一実施の形態を示している。
【図7】表示装置と共に使用するのに好適な光源の他の形態を示している。
【図8】本発明によるディスプレイの最適化の原理を説明する際に有効な通常の液晶表示パネルの視野角特性のグラフを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野角に応じて異なるビューが表示されるように3次元画像を表示する表示装置であって、
前記画像を表示する、複数の別々にアドレス可能な画素を有する表示パネルであって、グループ内の異なる画素が前記画像の異なるビューに対応するように前記画素がグループ化された当該表示パネルと、
受け取った画像データに従って画像を生成するために各画素の光学的特性を制御する表示ドライバと、
前記光学的特性の所定の視野角依存性を補償するためにグループ内の少なくとも幾つかの画素の前記光学的特性を更に制御する色補償装置と
を含む当該表示装置。
【請求項2】
複数の別個の照明源による照明を与えるバックパネルを更に含み、前記表示パネルにおける画素の各グループが前記別個の照明源の対応する1つから光を受け取るように配置された請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記バックパネルは複数の線照明源による照明を与える請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記バックパネルは複数の点照明源による照明を与える請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、前記バックパネルが配されている側と反対の側から見る光透過型の表示パネルである請求項2記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルの近傍に配置されたレンティキュラアレイを更に含み、このアレイ内の各レンズ部は前記表示パネルの選択された画素からの光を集束させる請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記アレイ内の各レンズ部は前記画素のグループと共働する請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記光学的特性は光透過特性であり、前記表示ドライバ及び前記色補償装置は表示されるべき3次元カラー画像に応じて各画素を通過する光の量を制御する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記色補償装置は、グループ内の各画素に関して与えられるべき補正値を含むルックアップテーブルを有する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記補正値は前記グループ内の対応する画素の視野角に応じて選択される請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
前記補正値は、前記視野角に依存しないよう画素のグループにより表示されるように色三角形におけるカラーポイント及び/又は色の強度を実質的に正規化するように選択される請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
前記ルックアップテーブルは、フレーム記憶部に与えられるべき視野角の関数として代替値又はオフセット値を含む請求項9記載の表示装置。
【請求項13】
前記色補償装置は、前記表示ドライバから受け取った画素駆動電圧を調節する請求項8記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示パネルは前記画像内の各物理的位置に関するカラークラスタを含み、クラスタはそれぞれが異なる原色に対応する複数の前記グループを有すると共に、前記色補償装置は、見る方向に依存しない各クラスタに関する画像の色を生成するようにグループ内の各画素及びクラスタ内の各グループの前記光学的特性を制御する請求項1ないし13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記表示パネルの固有の前記光学的特性は、視野角依存性がy軸に関して低減又は実質的に最小化されるように構成され、前記色補償装置は前記y軸を横切る軸に関して視野角依存性を低減又は実質的に最小化する役割を果たす請求項1ないし14のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記色補償装置は、前記y軸と直交する軸(すなわちx軸)に関して視野角依存性を低減又は実質的に最小化する役割を果たす請求項15記載の表示装置。
【請求項17】
物体に組み込まれており、前記x軸は前記物体が通常使用される際に水平軸として定義され、前記y軸は前記物体が通常使用される際に垂直軸として定義される請求項16記載の表示装置。
【請求項18】
視野角に応じて画像の異なるビューが表示されるように表示装置に3次元の前記画像を表示する方法であって、
表示パネルにおいて複数の別々にアドレス可能な画素のそれぞれに関して画素データ値を形成するために画像データを処理するステップであって、前記画素は、グループ内の異なる画素が前記画像の異なるビューに対応するようにグループ化され、前記画素データ値は画像を生成するために対応する画素の光学的特性を制御する当該ステップと、
前記光学的特性の所定の視野角依存性を補償するために各グループ内の少なくとも幾つかの画素データ値に色補正値を与えるステップと、
前記画像を生成するように表示パネルの画素を駆動するため、補正された前記画素データ値を用いるステップと
を含む当該方法。
【請求項19】
前記光学的特性は光透過特性であり、与えられる前記色補正値は表示されるべき3次元カラー画像に応じて各画素を通過する光の量を制御するよう構成される請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記色補正値は、グループ内の各画素に関して与えられるべき補正値を含むルックアップテーブルから得られる請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記補正値は、前記グループ内の対応する画素の視野角に応じて選択される請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記補正値は、前記視野角に依存しないよう画素のグループにより表示されるように色三角形におけるカラーポイント及び/又は色の強度を実質的に正規化するように選択される請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記色補正値は前記表示パネルの透過度対電圧特性から得られ、前記補正された画素データ値は前記表示パネルに印加される画素駆動電圧を調節するために用いられる請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記画素は前記画像内の各物理的位置に関するカラークラスタ内に配置され、クラスタはそれぞれが異なる原色に対応する複数の前記画素のグループを有し、前記色補正値は、見る方向に依存しない各クラスタに関する画像の色を生成するようにグループ内の各画素及びクラスタ内の各グループの前記光学的特性を制御するよう構成される請求項18ないし20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
視野角依存性がy軸に関して低減又は実質的に最小化されるように前記表示パネルの固有の前記光学的特性を構成し、前記y軸を横切る軸に関して視野角依存性を低減又は実質的に最小化するように前記色補正値を与えるステップを更に含む請求項18ないし24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記色補正値は、前記y軸と直交する軸(すなわちx軸)に関して視野角依存性を低減又は実質的に最小化するように与えられる請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記x軸は前記表示パネルが通常使用される際に水平軸であり、前記y軸は前記表示パネルが通常使用される際に垂直軸である請求項26記載の方法。
【請求項28】
プログラムがコンピュータにロードされる際に、前記コンピュータに請求項18ないし27のいずれか1項に記載のプロシージャを実行させるコンピュータプログラムコード手段を持つコンピュータにより読み取り可能な媒体を有するコンピュータプログラム製品。
【請求項29】
電子データの伝送により分配可能であり、プログラムがコンピュータにロードされる際に前記コンピュータに請求項18ないし27のいずれか1項に記載のプロシージャを実行させるコンピュータプログラムコード手段を有する当該コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−513360(P2007−513360A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530952(P2006−530952)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051925
【国際公開番号】WO2005/034528
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】