説明

3次元画像表示装置

【課題】3Dモアレを低減し、より高品質の3次元画像表示装置を提供する。
【解決手段】3次元画像表示装置は、画面縦方向に延びる右眼用画素(152)の列及び左眼用画素(151)の列が画面横方向に交互に配置され、3次元表示用画像を平面的に表示する表示パネルと、前記表示パネルの表示方向側に前記表示パネルと平行に配置され、前記表示パネルで表示された前記右眼用画素の列の画像及び前記左眼用画素の列の画像に視差を形成するための視差形成液晶パネルと、を備え、前記3次元表示用画像が前記視差形成液晶パネルを通して視覚される前記右眼用画素の像又は前記左眼用画素の像の横方向の輝度の頂点となる横方向中心位置は、画面縦方向の異なる位置において横方向に移動した位置となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元画像表示装置に係り、より詳しくは、レンチキュラ方式又はパララックスバリア方式を利用する3次元表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メガネを使用しない3次元画像の表示方式のひとつとして、レンチキュラ方式及びパララックスバリア方式が知られている。レンチキュラ方式とは、レンチキュラレンズとよばれる縦方向に延びる半円筒型のレンズを横に並べたものの後方に、右眼からの視野の画像と、左眼からの視野の画像とを縦に短冊状に切り取って交互に並べた画像を設置し、その画像をレンチキュラレンズを介して観察することにより、右眼と左眼に異なる画像が提供され、3次元の画像を表示する方式である。
【0003】
一方、パララックスバリア方式とは、パララックスバリアと呼ばれる、複数の縦方向の細かいスリットが入った板をレンチキュラレンズの代りに用い、右眼と左眼に異なる画像が提供され、3次元の画像を表示する方式である。
【0004】
特許文献1には、液晶レンズによりレンチキュラ方式のレンズを実現した例について示されている。特許文献2及び3は、液晶表示素子等を用いてパララックスバリアを形成し、立体表示を行なうことについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−224191号公報
【特許文献2】特許第2857429号公報
【特許文献3】特許第3426821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図20は、液晶レンズを使用した場合の3次元表示の原理について説明するための図である。この図に示されるように、液晶レンズを使用した3次元表示装置800は、液晶表示パネル831と、液晶表示パネル831の表示方向に配置され、液晶表示パネル831で表示された2次元画像に視差を形成する液晶レンズパネル900と、液晶表示パネル831の液晶レンズパネル900側とは反対側に配置され、液晶表示パネル831及び液晶レンズパネル900の方向に光を放つ光源であるバックライトユニット832と、を有している。
【0007】
ここで、液晶表示パネル831は、バックライトユニット832側から順に、一方向の光の偏光成分のみを通過させる第1偏光板841と、表面に後述する薄膜トランジスタ等が形成された第1ガラス基板842と、第1ガラス基板842上に形成された薄膜トランジスタ、後述する第2ガラス基板843上に形成されたカラーフィルタ及びこれらの間に封止された液晶組成物を含みマトリクス状の画素を形成する画素層850と、画素層850のカラーフィルタが形成される第2ガラス基板843と、第1偏光板841の透過偏光成分の方向とは垂直の方向に透過偏光成分を有する第2偏光板844と、を有している。
【0008】
また、液晶レンズパネル900は、第3ガラス基板912上に配置されたストライプ電極950を有するストライプ電極基板910と、第4ガラス基板905上に配置された平面電極906を有する平面電極基板904と、ストライプ電極基板910及び平面電極基板904の間に封止された液晶層918とを有している。
【0009】
画素層850では、画面横方向に左眼用画素851と右眼用画素852が交互に並べられており、それぞれの画素から出射された光は、液晶レンズパネル900のストライプ電極950と平面電極906との電位差から生じる電界により配向した液晶層918で形成されたレンズにより、右眼画像と左眼画像の視差を形成する。
【0010】
図21は、画面正面からの視野により、画素層850及びストライプ電極950の一部について、概略的に示す図である。この図に示されるように、各ストライプ電極950の間には、右眼用画素852の列R及び左眼用画素851の列Lが配置され、右眼用画素852の列R及び左眼用画素851の列Lの間には、画素間の光漏れを防止するブラックマトリクスBが形成されている。
【0011】
図22には、3次元表示装置800に表示された画像を観察者側から観た場合の輝度の分布を示すグラフが示されている。このグラフに示されるように、右眼用画素852からの光の輝度R15は、左眼用画素851からの光の輝度L15が最も低いときに高く、左眼用画素851からの光の輝度L15は、右眼用画素852からの光の輝度R15が最も低いときに高くなっており、平均輝度A15は、グラフ中のM15の領域で低く、輝度の最大値との差として、輝度差D15が生じている。
【0012】
この輝度差D15により、観察者の眼が横方向に移動したときには、高輝度の部分と低輝度の部分が交互に観察され、画像に縦縞(以下「3Dモアレ」という。)が見えることとなり、3次元画像の品質を損ねてしまう。
【0013】
本発明は上述の事情に鑑みてされたものであり、3Dモアレを低減し、より高品質の3次元画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の3次元表示装置は、画面縦方向に延びる右眼用画素の列及び左眼用画素の列が画面横方向に交互に配置され、前記右眼用画素の列及び前記左眼用画素により、3次元表示用画像を平面的に表示する表示パネルと、前記表示パネルの表示方向側に前記表示パネルと平行に配置され、前記表示パネルで表示された前記右眼用画素の列の画像及び前記左眼用画素の列の画像に視差を形成するための視差形成液晶パネルと、を備え、前記3次元表示用画像が前記視差形成液晶パネルを通して視覚される前記右眼用画素の像及び前記左眼用画素の像の横方向の輝度の頂点となる横方向中心位置は、それぞれ画面縦方向の異なる位置において横方向に移動した位置となっている、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の3次元表示装置の前記視差形成液晶パネルにおいて、画面縦方向に帯状に延び、画面横方向に並設された液晶を配向させるための電極は屈曲している、こととしてもよい。
【0016】
また、本発明の3次元表示装置において、前記視差形成液晶パネルは、液晶を配向させることによりレンチキュラーレンズを形成し、前記3次元表示用画像に視差を形成する、とすることができる。
【0017】
また、本発明の3次元表示装置において、前記視差形成液晶パネルは、液晶を配向させることによりパララックスバリアを形成することにより、前記3次元表示用画像に視差を形成する、こととしてもよい。
【0018】
また、本発明の3次元表示装置において、前記表示パネルは、液晶組成物の配向を制御することにより表示を行う液晶表示パネルであり、前記液晶表示パネルの画素形状の縦方向端部を形成する2辺は、互いに横方向位置が異なっている、こととしてもよい。
【0019】
また、本発明の3次元表示装置において、前記画素形状は、平行四辺形である、こととしてもよい。
【0020】
また、本発明の3次元表示装置において、前記画素形状は、前記液晶表示パネルの電極形状である、こととしてもよい。
【0021】
また、本発明の3次元表示装置において、前記画素形状は、前記液晶表示パネルの各カラーフィルタの形状である、こととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る3次元表示装置について概略的に示す図である。
【図2】図1の液晶モジュールの構成を示す図である。
【図3】図2の液晶モジュールにおいて、2次元表示を行なう場合について示す図である。
【図4】図3の液晶モジュールにおいて、3次元表示を行なう場合について示す図である。
【図5】液晶レンズにより視差が形成された右眼用画素の像及び左眼用画素の像について説明するための図である。
【図6】液晶レンズの位置をずらした場合の右眼用画素の像及び左眼用画素の像について説明するための図である。
【図7】画面正面からの視野により、第1実施形態に係る画素層とストライプ電極の一部について、概略的に示す図である。
【図8】図7の左眼用画素及び右眼用画素の領域r1から出射された光の輝度R1と、左眼用画素及び右眼用画素の領域r2から出射された光の輝度R2について示すグラフである。
【図9】第1実施形態の変形例について、図7と同様の視野で示す図である。
【図10】画面正面からの視野により、第2実施形態に係る画素層とストライプ電極の一部について、概略的に示す図である。
【図11】図10の左眼用画素及び右眼用画素の上部の領域r3から出射された光の輝度R3と、左眼用画素及び右眼用画素の下部の領域r4から出射された光の輝度R4について示すグラフである。
【図12】画面正面からの視野により、第3実施形態に係る画素層とストライプ電極の一部について、概略的に示す図である。
【図13】図12の右斜め上方に延びる平行四辺形の画素の上部の領域r5から出射された光の輝度R5と、左斜め上方に延びる平行四辺形の画素の下部の領域r6から出射された光の輝度R6について示すグラフである。
【図14】第3実施形態におけるガラス基板上に形成される薄膜トランジスタを形成する電極膜について概略的に示す図である。
【図15】第4実施形態に係る液晶モジュールにより3次元表示を行なう原理について説明するための図である。
【図16】画面正面からの視野により、第4実施形態に係る画素層とバリア電極によって形成されるバリアの一部について、概略的に示す図である。
【図17】図16の左眼用画素及び右眼用画素の領域r7から出射された光の輝度R7と、左眼用画素及び右眼用画素の領域r8から出射された光の輝度R8について示すグラフである。
【図18】画面正面からの視野により、第5実施形態に係る画素層とバリア電極によって形成されるバリアの一部について、概略的に示す図である。
【図19】図18の左眼用画素及び右眼用画素の上部の領域r9から出射された光の輝度R9と、左眼用画素及び右眼用画素の下部の領域r10から出射された光の輝度R10について示すグラフである。
【図20】液晶レンズを使用した場合の3次元表示の原理について説明するための図である。
【図21】画面正面からの視野により、画素層及びストライプ電極の一部について、概略的に示す図である。
【図22】3次元表示装置に表示された画像を観察者側から観た場合の輝度の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態乃至第5実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
[第1実施形態]
図1には、本発明の一実施形態に係る3次元表示装置100が概略的に示されている。この図に示されるように、3次元表示装置100は、上フレーム110及び下フレーム120に挟まれるように固定された液晶モジュール130及び不図示の電源装置等から構成されている。
【0025】
図2には、液晶モジュール130の構成が示されている。液晶モジュール130は、映像信号が入力されることにより、映像信号の画像に応じた光を透過させ、2次元画像を表示する表示パネルである液晶表示パネル131と、液晶表示パネル131で表示された画像に視差を形成するために、内部の液晶組成物の配向を制御することにより、レンズとして機能することができる液晶レンズパネル200と、液晶表示パネル131及び液晶レンズパネル200に光を照射して液晶表示面に画像を表示させるバックライトユニット132と、から構成され、液晶表示パネル131と液晶レンズパネル200とは接着層133により接着されている。
【0026】
なお、本実施形態においては、表示パネルとして液晶表示パネルを用いることとしているが、液晶以外の有機EL表示装置、電界放出表示装置(FED)等の表示装置であってもよい。
【0027】
図3及び4は、液晶モジュール130により3次元表示を行なう原理について説明するための図である。液晶モジュール130は、液晶表示パネル131と、液晶表示パネル131の表示方向に配置され、液晶表示パネル131で表示された2次元画像に視差を形成することのできる液晶レンズパネル200と、液晶表示パネル131の液晶レンズパネル200側とは反対側に配置され、液晶表示パネル131及び液晶レンズパネル200の方向に光を放つ光源であるバックライトユニット132と、を有している。
【0028】
液晶表示パネル131は、バックライトユニット132側から順に、一方向の光の偏光成分のみを通過させる第1偏光板141と、表面に後述する薄膜トランジスタ等が形成された第1ガラス基板142と、第1ガラス基板142上に形成された薄膜トランジスタ、後述する第2ガラス基板144上に形成されたカラーフィルタ及びこれらの間に封止された液晶組成物を含みマトリクス状の画素を形成する画素層150と、画素層150のカラーフィルタが形成される第2ガラス基板144と、第1偏光板の透過偏光成分の方向とは直交する方向に透過偏光成分を有する第2偏光板145と、を有している。
【0029】
また、液晶レンズパネル200は、第3ガラス基板212上に配置されたストライプ電極250を有するストライプ電極基板210と、第4ガラス基板205上に配置された平面電極206を有する平面電極基板204と、ストライプ電極基板210及び平面電極基板204の間に封止された液晶層218とを有している。
【0030】
図3は、液晶層218の液晶組成物を配向させない2次元表示時の様子について示しており、画素層150では、画面横方向に左眼用画素151と右眼用画素152が交互に並べられているが、液晶表示パネル131で表示される画像は、左眼用画素151と右眼用画素152に関係なく、2次元画像が表示され、各画素から出射される光は、液晶レンズパネルを直線的に通過することとなる。
【0031】
図4は、図3の液晶モジュール130において、3次元表示を行なった場合について示している。この場合において、液晶表示パネル131の左眼用画素151及び右眼用画素152にはそれぞれ左眼の画像及び右眼の画像が表示され、液晶レンズパネル200のストライプ電極250と平面電極206との間に電位差が生じており、これにより、液晶層218の液晶組成物が配向してレンズを形成し、左眼画像と右眼画像に視差を生じさせることにより、3次元表示が行なわれる。
【0032】
図5及び6は、液晶レンズにより視差が形成された右眼用画素の像及び左眼用画素の像について説明するための図である。図5に示されるように、左眼用画素151から出射された光は液晶レンズ312により、左眼の位置で左眼用画素の像161を形成し、右眼用画素152から出射された光は液晶レンズ312により、右眼の位置で右眼用画素の像162を形成し、その間にはブラックマトリクス153によるブラックマトリクス像163が形成される。観察者の眼が横方向に移動したときには、高輝度の部分と低輝度の部分が交互に観察され、3Dモアレの原因となる。
【0033】
ここで、図6に示されるように、液晶レンズ312の位置をずらした液晶レンズ314を考えると、左眼用画素の像161、右眼用画素の像162及びブラックマトリクス像163の位置、つまり、3Dモアレは液晶レンズがずれた方向に移動する。本発明の3次元表示装置100は、この現象を利用して、3Dモアレを軽減するものである。
【0034】
図7は、画面正面からの視野により、第1実施形態に係る画素層150とストライプ電極250の一部について、概略的に示す図である。この図に示されるように、左眼用画素151及び右眼用画素152は、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)の副画素で1画素を構成しており、R(赤)、G(緑)、B(青)の副画素は画面縦方向に順に並べられている。また、左眼用画素151及び右眼用画素152を挟むように、ストライプ電極250が配置されている。ストライプ電極250は、3画素つまり、9個の副画素ごとに屈曲して配置されている。ここでは、3画素毎(9副画素毎)に屈曲させているが、これ以外の画素数毎に屈曲していてもよい。
【0035】
図8は、図7の左眼用画素151及び右眼用画素152の領域r1から出射された光の輝度R1と、左眼用画素151及び右眼用画素152の領域r2から出射された光の輝度R2について示すグラフである。これらのグラフに示されるように、輝度R1及び輝度R2は、出射角が異なる位置でピークがあり、輝度R1及び輝度R2の平均輝度A1において、輝度差D1をより小さくすることができる。つまり、右眼用画素の像の輝度及び左眼用画素の像の横方向の輝度の頂点となる横方向中心位置は、それぞれ画面縦方向の異なる位置において横方向に異なる位置となっている。したがって、本発明の3次元表示装置によれば、3次元画像表示における3Dモアレを軽減することができる。
【0036】
図9には、第1実施形態の変形例について、図7と同様の視野で示す図である。この変形例では、ストライプ電極253を有する点で第1実施形態と異なっており、ストライプ電極253は、最初の屈曲が9副画素ごとであるが、2番目の屈曲は6副画素ごとであり、3番目の屈曲は3副画素ごととなっており、屈曲の周期が異なっている。このように屈曲の周期が2種類以上であるストライプ電極を用いたとしても、第1実施形態と同様に、3次元画像表示における3Dモアレを低減することができる。
【0037】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る3次元表示装置の構成は、第1実施形態の図1〜図4で示される構成と同様であるため、重複する説明を省略する。図10は、画面正面からの視野により、第2実施形態に係る画素層150とストライプ電極251の一部について、概略的に示す図である。図10に示されるように、本実施形態では、ストライプ電極251は、直線的であり、屈曲は存在しない。その代りに、左眼用画素156及び右眼用画素157のそれぞれの電極の形状は、上部と下部に形成された横長の長方形を横方向にずらして結合したような形状であり、画素形状の縦方向端部を形成する2辺は、互いに横方向位置が異なっていると共に、横方向端部を形成する辺はカギ状に折れ曲がっている。このような画素形状は、液晶表示パネル131の電極形状によって形成されてもよいし、カラーフィルタ形状によって形成されてもよいし、電極形状及びカラーフィルタ形状の両方によって形成されてもよい。
【0038】
図11は、図10の左眼用画素156及び右眼用画素157の上部の領域r3から出射された光の輝度R3と、左眼用画素156及び右眼用画素157の下部の領域r4から出射された光の輝度R4について示すグラフである。これらのグラフに示されるように、輝度R3及び輝度R4は、出射角が異なる位置でピークがあり、輝度R3及び輝度R4の平均輝度A2において、輝度差D2をより小さくすることができる。
【0039】
したがって、画素形状を図10に示されるような縦方向端部を形成する2辺の横方向位置が異なっている形状とした場合であっても、各画素から発光される光は、各画素の上部からの出射される光と下部から出射される光の左右位置が異なるため、液晶レンズが左右にずれているのと同様の効果を得ることができる。つまり、右眼用画素の像の輝度及び左眼用画素の像の横方向の輝度の頂点となる横方向中心位置は、それぞれ画面縦方向の異なる位置において横方向に異なる位置となっている。したがって、第2実施形態の3次元表示装置によっても、3次元画像表示における3Dモアレを軽減することができる。
【0040】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る3次元表示装置の構成は、第1実施形態の図1〜図4で示される構成と同様であるため、重複する説明を省略する。図12は、画面正面からの視野により、第3実施形態に係る画素層150とストライプ電極251の一部について、概略的に示す図である。図12に示されるように、本実施形態では、ストライプ電極251は、第2実施形態と同様、直線的であり、屈曲は存在しない。その代りに、左眼用画素158及び右眼用画素159のそれぞれの電極の形状が、略平行四辺形となっている。また、平行四辺形は、右斜め上方に延びる平行四辺形と、左斜め上方に延びる平行四辺形が縦方向に交互に配置されており、画素形状の縦方向端部を形成する2辺は、互いに横方向位置が異なっていると共に、横方向端部を形成する辺は斜めに延びている。なお、本実施形態においては、右斜め上方に延びる平行四辺形と、左斜め上方に延びる平行四辺形が縦方向に交互に配置されていることとしたが、一種類の平行四辺形が配置されていることとしてもよいし、3種類以上の平行四辺形が順に配置されていることとしてもよい。
【0041】
図13は、図12の右斜め上方に延びる平行四辺形の画素158及び159の上部の領域r5から出射された光の輝度R5と、左斜め上方に延びる平行四辺形の画素158及び159の下部の領域r6から出射された光の輝度R6について示すグラフである。これらのグラフに示されるように、輝度R5及び輝度R6は、出射角が異なる位置でピークがあり、輝度R5及び輝度R6の平均輝度A3において、輝度差D3をより小さくすることができる。
【0042】
したがって、画素形状を図12に示されるような縦方向端部を形成する2辺の横方向位置が異なっている形状とした場合であっても、各画素から発光される光は、各画素の上部からの出射される光と下部から出射される光の左右位置が異なるため、液晶レンズが左右にずれているのと同様な効果を得ることができる。つまり、右眼用画素の像の輝度及び左眼用画素の像の横方向の輝度の頂点となる横方向中心位置は、それぞれ画面縦方向の異なる位置において横方向に異なる位置となっている。したがって、第3実施形態の3次元表示装置によっても、3次元画像表示における3Dモアレを軽減することができる。
【0043】
図14は、本実施形態における第1ガラス基板142上に形成される薄膜トランジスタを形成する電極膜について概略的に示す図である。この図に示されるように、第1ガラス基板142上に形成される薄膜トランジスタは、階調値に応じた電圧が印加されるドレイン線274と、トランジスタのソースにコンタクトホール272を介して接続される画素電極273と、ゲート線276と、半導体膜271とを有している。なお、図において、破線でカラーフィルタの透過エリア275を示している。この図に示されるように、画素電極273は、櫛歯状であり、全体として平行四辺形をなすことにより、電圧が印加された場合に、液晶組成物の配向も平行四辺形のエリアで起こることとなる。また、カラーフィルタの透過エリア275も画素電極273と同様の平行四辺形であることから、画素電極273とカラーフィルタの透過エリア275により画素形状を画定している。なおカラーフィルタの透過エリア275はブラックマトリクスにより囲まれたエリアであり、透過エリア275はブラックマトリクスにより画定される。なお、本実施形態において、画素形状は、電極形状及びカラーフィルタ形状の両方によって形成されることとしたが、液晶表示パネル131の電極形状によってのみ形成されてもよいし、カラーフィルタ形状によってのみ形成されてもよい。
【0044】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る3次元表示装置の構成は、第1実施形態の図1及び図2で示される構成と同様であるため、重複する説明を省略する。図15は、液晶モジュール330により3次元表示を行なう原理について説明するための図である。液晶モジュール330は、液晶表示パネル131と、液晶表示パネル131の表示方向に配置され、液晶表示パネル131で表示された2次元画像に視差を形成する液晶バリアパネル400と、液晶表示パネル131の液晶バリアパネル400側とは反対側に配置され、液晶表示パネル131及び液晶バリアパネル400の方向に光を放つ光源であるバックライトユニット132と、を有している。ここで、液晶表示パネル131及びバックライトユニット132は、第1実施形態の図4の構成と同じであるため説明は省略する。
【0045】
液晶バリアパネル400は、第3ガラス基板412上に配置されたバリア電極450を有するバリア電極基板410と、第4ガラス基板405上の一方の面に平面電極406を有し、他方の面に第3偏光板407を有する平面電極基板404と、バリア電極基板410及び平面電極基板404の間に封止された液晶層418とを有している。
【0046】
図15は、液晶モジュール330において3次元表示を行なった場合について示している。この場合において、液晶表示パネル131の左眼用画素151及び右眼用画素152にはそれぞれ左眼の画像及び右眼の画像が表示され、液晶バリアパネル400のバリア電極450と平面電極406との間には電位差が生じており、これにより、液晶層418の液晶組成物が配向して光が透過しない状態となり、左眼画像と右眼画像に視差を生じさせることにより、3次元表示が行なわれる。
【0047】
図16は、画面正面からの視野により、第4実施形態に係る画素層150とバリア電極によって形成されるバリア461の一部について、概略的に示す図である。図16に示されるように、左眼用画素151及び右眼用画素152の構成は、第1実施形態の図7と同様である。また、左眼用画素151及び右眼用画素152を挟みかつ各画素の一部を覆うように、バリア電極450が配置されており、このバリア電極450は、9個の副画素ごとに屈曲して配置されていることにより、所定の電圧が印加された際に形成されるバリア461は、バリア電極450と同様に屈曲する。ここでは、バリア電極450は、9副画素毎に屈曲させているが、これ以外の画素数毎に屈曲していてもよいし、図9のストライプ電極の実施形態に示されるように屈曲の周期が異なっていてもよい。
【0048】
図17は、図16の左眼用画素151及び右眼用画素152の領域r7から出射された光の輝度R7と、左眼用画素151及び右眼用画素152の領域r8から出射された光の輝度R8について示すグラフである。これらのグラフに示されるように、輝度R7及び輝度R8は、出射角が異なる位置でピークがあり、輝度R7及び輝度R8の平均輝度A4において、輝度差D4をより小さくすることができる。つまり、右眼用画素の像の輝度及び左眼用画素の像の横方向の輝度の頂点となる横方向中心位置は、それぞれ画面縦方向の異なる位置において横方向に異なる位置となっている。したがって、第4実施形態における3次元表示装置によれば、3次元画像表示における3Dモアレを軽減することができる。
【0049】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態に係る3次元表示装置の構成は、第1実施形態の図1及び図2で示される構成と同様であり、液晶モジュールの構成は第4実施形態の図15の液晶モジュール330と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0050】
図18は、画面正面からの視野により、第5実施形態に係る画素層150とバリア電極によって形成されるバリア462の一部について、概略的に示す図である。図18に示されるように、本実施形態では、バリア電極450は、直線的であり、屈曲は存在しないため、これによって形成されるバリア462も屈曲していない。その代りに、左眼用画素156及び右眼用画素157のそれぞれの電極の形状が、上部と下部に形成された横長の長方形を横方向にずらして結合したような形状であり、画素形状の縦方向端部を形成する2辺は、互いに横方向位置が異なっていると共に、横方向端部を形成する辺はカギ状に折れ曲がっている。このような画素形状は、液晶表示パネル131の電極形状によって形成されてもよいし、カラーフィルタ形状によって形成されてもよいし、電極形状及びカラーフィルタ形状の両方によって形成されてもよい。
【0051】
図19は、図18の左眼用画素156及び右眼用画素157の上部の領域r9から出射された光の輝度R9と、左眼用画素156及び右眼用画素157の下部の領域r10から出射された光の輝度R10について示すグラフである。これらのグラフに示されるように、輝度R9及び輝度R10は、出射角が異なる位置でピークがあり、輝度R9及び輝度R10の平均輝度A5において、輝度差D5をより小さくすることができる。
【0052】
したがって、画素形状を図18に示されたような縦方向端部を形成する2辺の横方向位置が異なっている形状とした場合であっても、各画素から発光される光は、各画素の上部からの出射される光と下部から出射される光の左右位置が異なるため、液晶レンズが左右にずれているのと同様の効果を得ることができる。つまり、右眼用画素の像の輝度及び左眼用画素の像の横方向の輝度の頂点となる横方向中心位置は、それぞれ画面縦方向の異なる位置において横方向に異なる位置となっている。つまり、第5実施形態の3次元表示装置によっても、3次元画像表示における3Dモアレを軽減することができる。
【符号の説明】
【0053】
100 3次元表示装置、110 上フレーム、120 下フレーム、130 液晶モジュール、131 液晶表示パネル、132 バックライトユニット、133 接着層、141 第1偏光板、142 第1ガラス基板、144 第2ガラス基板、145 第2偏光板、150 画素層、151 左眼用画素、152 右眼用画素、153 ブラックマトリクス、156 左眼用画素、157 右眼用画素、158 左眼用画素、159 右眼用画素、161 左眼用画素の像、162 右眼用画素の像、163 ブラックマトリクス像、200 液晶レンズパネル、204 平面電極基板、205 第4ガラス基板、206 平面電極、210 ストライプ電極基板、212 第3ガラス基板、218 液晶層、250 ストライプ電極、251 ストライプ電極、253 ストライプ電極、271 半導体膜、272 コンタクトホール、273 画素電極、274 ドレイン線、275 透過エリア、276 ゲート線、312 液晶レンズ、314 液晶レンズ、330 液晶モジュール、400 液晶バリアパネル、404 平面電極基板、405 第4ガラス基板、406 平面電極、410 バリア電極基板、412 第3ガラス基板、418 液晶層、450 バリア電極、461 バリア、462 バリア、800 3次元表示装置、831 液晶表示パネル、832 バックライトユニット、841 第1偏光板、842 第1ガラス基板、843 第2ガラス基板、844 第2偏光板、850 画素層、851 左眼用画素、852 右眼用画素、900 液晶レンズパネル、904 平面電極基板、905 第4ガラス基板、906 平面電極、910 ストライプ電極基板、912 第3ガラス基板、918 液晶層、950 ストライプ電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面縦方向に延びる右眼用画素の列及び左眼用画素の列が画面横方向に交互に配置され、前記右眼用画素の列及び前記左眼用画素により、3次元表示用画像を平面的に表示する表示パネルと、
前記表示パネルの表示方向側に前記表示パネルと平行に配置され、前記表示パネルで表示された前記右眼用画素の列の画像及び前記左眼用画素の列の画像に視差を形成するための視差形成液晶パネルと、を備え、
前記3次元表示用画像が前記視差形成液晶パネルを通して視覚される前記右眼用画素の像及び前記左眼用画素の像の横方向の輝度の頂点となる横方向中心位置は、それぞれ画面縦方向の異なる位置において横方向に移動した位置となっている、ことを特徴とする3次元画像表示装置。
【請求項2】
前記視差形成液晶パネルにおいて、画面縦方向に帯状に延び、画面横方向に並設された液晶を配向させるための電極は屈曲している、ことを特徴とする請求項1に記載の3次元画像表示装置。
【請求項3】
前記視差形成液晶パネルは、液晶を配向させることによりレンチキュラーレンズを形成し、前記3次元表示用画像に視差を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の3次元画像表示装置。
【請求項4】
前記視差形成液晶パネルは、液晶を配向させることによりパララックスバリアを形成することにより、前記3次元表示用画像に視差を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の3次元画像表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、液晶組成物の配向を制御することにより表示を行う液晶表示パネルであり、
前記液晶表示パネルの画素形状の縦方向端部を形成する2辺は、互いに横方向位置が異なっている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の3次元画像表示装置。
【請求項6】
前記画素形状は、平行四辺形である、ことを特徴とする請求項5に記載の3次元画像表示装置。
【請求項7】
前記画素形状は、前記液晶表示パネルの電極形状である、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の3次元画像表示装置。
【請求項8】
前記画素形状は、前記液晶表示パネルの各カラーフィルタの形状である、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の3次元画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−92607(P2013−92607A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233775(P2011−233775)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】