説明

3,3’−ジインドリルメタン免疫活性化組成物

本発明は、免疫応答活性化組成物および使用方法を提供する。一般的方法は、免疫応答活性剤をそれが必要であると決定された患者に送達する方法であって、(a)前記患者に所定量の免疫応答を活性化する、任意で置換されたDIMを投与する工程と;および(b)前記患者においてT細胞増殖、NO産生、サイトカイン産生、サイトカイン受容体発現、もしくはサイトカインシグナリングにおける増加などの、結果として生じた免疫応答活性化を検出する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:Leonard F.Bjeldanes、Jacques E.Riby、Ling XueおよびGary L.Firestone
本研究は、米国立衛生研究所補助金(第CA69056号)、および米陸軍補助金(第RP950844号)による支援を受けた。このため米国連邦政府は、本出願への特許付与に権利を有することができる。
【0002】
本発明の分野は、3,3’−ジインドリルメタン組成物および免疫活性剤としてのそれらの使用である。
【背景技術】
【0003】
3,3’−ジインドリルメタン(DIM)は、最も一般的にはキャベツ、芽キャベツ、カリフラワーおよびブロッコリーを含むアブラナ属の食用植物中に存在するグルコブラシシンの自己融解分解中に生成される天然産物である。DIMはさらにまた、植物中のDIMの直前駆体であるインドール−3−カルビノール(I3C)の消化後にも産生する(1)。さらに、DIMは、長時間のインキュベーション期間中にほぼ中性pH細胞培養条件下でI3Cから緩徐に産生する。
【0004】
いくつかの試験の結果は、DIMが、特に乳腺腫瘍形成に対する前途有望な癌保護活性を示すことを指示している(2〜4)。抗癌治療前の単回投与でのI3Cの経口挿管法は、ラットにおけるDMBA誘導性乳腺腫瘍の発生率および多重度を70〜80%減少させた(2,5)。DMBA誘導性乳腺腫瘍形成のプロモーション段階中のDIMの反復経口投与は、齧歯類において95%という高さで腫瘍増殖を阻害した(6)。本発明者らは、従来型の細胞培養条件下で、エストロゲン受容体状態とは無関係に、DIMが乳腺腫瘍細胞系の増殖を阻害できることを観察した(7)。DIMはG細胞周期停止を誘導し、エストロゲン応答性およびエストロゲン非依存性乳癌細胞のどちらにおいてもp21細胞周期阻害剤の遺伝子発現およびプロモーター活性の強力な誘導を発生した。DIMの抗増殖作用は、ヒト乳癌細胞における細胞周期制御のための標的としてのp21のSp1/Sp3転写因子活性化を含んでいた(8)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インターフェロン(IFN)は、免疫応答の調節における重要な役割とともに抗ウイルス機能および細胞増殖抑制機能を備える1群のサイトカインである。IFNαおよびIFNβを含むタイプIのIFNは、ウイルス感染細胞によって産生する。通常はインターフェロンγ(IFNγ)もしくは「免疫インターフェロン」と呼ばれるタイプIIのIFNは、免疫グロブリン産生細胞へのB細胞分化を促進する(9)。最近認識されたIFNγの抗腫瘍活性はまだ完全には理解されていないが、非特異的殺腫瘍活性のためのマクロファージのプライミング、腫瘍細胞に対する細胞毒性を増加するための単球、ナチュラルキラー細胞およびT細胞の活性化、ならびに腫瘍誘導性血管新生の阻害を含む(10)。だが癌患者におけるIFNγの可能性のある治療使用は、重篤な副作用のために限定されている(11)。
【0006】
関連文献
Chatterji,U.,Riby,J.E.,Taniguchi,T.,Bjeldanes,EX.,Bjeldanes,L.F.,and Firestone,G.L.Indole−3−carbinol stimulates transcription of the interferon gamma receptor 1 gene and augments interferon responsiveness in human breast cancer cells.Carcinogenesis,25:1119−28,2004.
Exon JH,South EH,「Dietary indole−3−carbinol alters immune functions in rats.」 J Toxicol Environ Health A.2000 Feb 25;59(4):271−9.
J.H.Exon,E.H.South,B.A.Magnuson,K.Hendrix,「Effects of Indole−3−Carbinol on Immune Responses,Aberrant Crypt Foci,and Colonic Crypt Cell Proliferation in Rats」 J Toxicol Environ Health A.2001;62:561−573.
任意に置換されたDIM組成物は、2003年9月16日に提出された同時係属出願USSN 10/664,991の中に記載されている。
Auborn KJ,Qi M,Yan XJ,Teichberg S,Chen D,Madaio MP,Chiorazzi N.Lifespan is prolonged in autoimmune−prone(NZB/NZW)F1 mice fed a diet supplemented with indole−3−carbinol.J Nutr.2003 Nov;133(ll):3610−3.
Kohut ML,Thompson JR,Campbell J,Brown GA,Vukovich MD,Jackson DA,King DS.Ingestion of a dietary supplement containing dehydroepiandrosterone(DHEA)and androstenedione has minimal effect on immune function in middle−aged men.J Am Coll Nutr.2003 Oct;22(5):363−71.
Stanley M.Chapter 17:Genital human papillomavirus infections−current and prospective therapies.J Natl Cancer Inst Monogr.2003(31):117−24.Review.
Wiatrak BJ.Overview of recurrent respiratory papillomatosis.Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg.2003 Dec;ll(6):433−41.Review.
Auborn KJ.Therapy for recurrent respiratory papillomatosis.Antivir Ther.2002 Mar;7(1):1−9.Review.
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、免疫応答活性化組成物および使用方法を提供する。一般的方法は、免疫応答活性剤をそれが必要であると決定された患者に送達する方法であって、(a)前記患者に所定量の免疫応答を活性化する、任意で置換されたDIMを投与する工程と;および(b)前記患者において結果として生じた免疫応答活性化を検出する工程とを含む。
【0008】
特定の実施形態では、免疫応答活性化は、T細胞増殖、NO産生、サイトカイン産生、サイトカイン受容体発現、もしくはサイトカインシグナリングであり、それらの増加として検出される;サイトカインは、IL−6、G−CSF、IL−12、TNF−αおよびIFNγから選択される;投与する工程は、経口もしくは静脈内投与によって実施される;ならびに患者は、免疫不全状態である、または感染症または腫瘍症に罹患していると判断される。
【0009】
本方法は、一般に、式I:
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R5’、R6’およびR7’は、個別および独立して、水素、またはハロゲン、ヒドロキシル、1〜10個の炭素からなる直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはアルコキシ基、アミン、スルホニル、およびニトロ基からなる群から選択される置換基である)を有する、免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンを使用する。特定の実施形態では、本化合物は、少なくとも1つの置換基を好ましくはRおよびR1’以外の位置、またはそれらに加えて含み、直鎖状もしくは分枝状アルキルまたはアルコキシ基は1〜5個の炭素である、および/またはハロゲンは塩素、ホウ素およびフッ素からなる群から選択される。特定の実施形態では、インドリルは対称性で置換されており、各インドリルは同様に一置換、二置換、三置換、またはパラ置換されている。
【0010】
本発明は、免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’ジインドリルメタンを、相補的、付加的、および/または相乗的有効性のために、1つまたは複数の他の治療薬、特に様々な免疫応答活性化または抗感染もしくは抗腫瘍形成化合物と結び付けて使用する方法をさらに提供する。これらの方法は、組み合わせ単位製剤、または結合パッケージング内に個別に調薬されて提供される個別組成物であってよい組み合わせ組成物を使用できる。
【0011】
本発明は、免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンと、本方法について記載している説明媒体とを含むキットをさらに提供する。上記の免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンは、事前に測定された単位製剤中に存在してよく、さらに追加の治療薬、特に相違する免疫応答活性剤、または抗感染もしくは抗腫瘍形成化合物とともに製剤もしくはパッケージング内に結合されてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の特定の実施形態および実施例についての説明は、例示するために提供されるもので、限定するためではない。禁忌ではない、または他に特に言及しない限り、これらの説明および本明細書を通して、用語「1つ」は「1つまたは複数」を意味しており、用語「または」は「および/または」を意味している。
【0013】
一般的方法は、免疫応答活性剤をそれが必要であると決定された宿主に送達する方法であって、(a)前記患者に所定量の免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタン(DIM)を投与する工程と;および(b)前記患者において結果として生じた免疫応答活性化を検出する工程とを含む。本方法は、接触させる工程の前に、宿主が免疫応答活性剤を必要であることを決定する工程をさらに含むことができる。
【0014】
本明細書に開示した組成物は、免疫応答活性剤を必要とすると決定された、および特定の実施形態では、T細胞増殖、NO産生、サイトカイン産生、サイトカイン受容体発現、もしくはサイトカインシグナリングの増加を必要とすると決定された宿主に様々な用途を提供するが、特にサイトカインは、IL−6、G−CSF、IL−12、TNF−αおよびIFNγから選択される。例えば、科学者は、本組成物を細胞培養または実験動物へ免疫応答活性化活性を提供するために使用できる。好ましい宿主はヒト患者であるが、本組成物は、主題免疫応答活性剤を用いて治療可能であることが知られている広範囲の障害に罹患又は素因があると決定された患者に投与できる。例には、ウイルス、細菌および真菌感染症における抗感染療法としての使用が含まれる。
【0015】
好ましい実施形態では、宿主は、免疫応答増加に伴って改善できる病理の罹患者もしくは素因があると決定されたヒト患者であるが、結果として生じる本発明の免疫応答活性化は病理、特にウイルス、細菌および真菌感染症からなる群から選択される病理もしくは病理の進行の減少として明示される。
【0016】
本発明者らの方法は、一般に式I(式中、R、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R5’、R6’およびR7’は、個別および独立して、水素、またはハロゲン、ヒドロキシル、1〜10個の炭素からなる直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはアルコキシ基、アミン、スルホニル、およびニトロ基からなる群から選択される置換基である)の構造を有する、免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンを使用する。置換基含有化合物は、DIM誘導体もしくはDIMアナログと呼ぶことができる。特定の実施形態では、本化合物は、少なくとも1つの置換基を好ましくはRおよびR1’以外の位置で、またはそれらに加えて含み、直鎖状もしくは分枝状アルキルまたはアルコキシ基は1〜5個の炭素である、および/またはハロゲンは塩素、ホウ素およびフッ素からなる群から選択される。
【0017】
免疫応答活性化活性は、細胞培養中および広範囲の臨床的に重要で妥当性が確認された動物モデルにおいて実施できる、サイトカインおよびサイトカイン受容体アッセイ、T細胞増殖アッセイ、NO産生アッセイなどを含む、以下で記載する様々なアッセイを用いて容易に確認される。
【0018】
詳細には、本発明者らは、免疫応答活性化活性の高スループットスクリーニングのためのDIM誘導体のライブラリーを生成するために、反復的コンビナトリアル合成スキームを考案した。典型的な証明では、本発明者らは、以下に要約した5回の合成ラウンドにおいて451種のDIM誘導体構造を生成した。
合成ラウンド2:Rもしくは、R2’4’5’6’もしくは7’ジ−F、−Cl、もしくは−Br−3,3’−ジインドリルメタン
合成ラウンド5:Rもしくは、R2’4’5’6’もしくは7’ジ−メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、もしくはペンチル−3,3’−ジインドリルメタン
合成ラウンド6:Rもしくは、R2’4’5’6’もしくは7’ジ−メトキシ−、エトキシ−、プロピルオキシ−、ブチルオキシ−、もしくはペンチルオキシ−3,3’−ジインドリルメタン
合成ラウンド9:Rもしくは、R2’4’5’6’もしくは7’ジ−ヒドロキシル、アミノ−、アミノメチル−、スルホ−、もしくはニトロ−3,3’−ジインドリルメタン
合成ラウンド12:R、R2’4’5’6’7’デカ−フルオロ(パーフルオロ)−3,3’−ジインドリルメタン
【0019】
DIMアナログの免疫応答活性化作用は、サイトカインおよびサイトカイン受容体発現についてのセルベース・アッセイを用いて試験される。本発明者らの最初の実証では、IFNγ、IFNγ受容体(IFNGR1)、オリゴアデニレートシンテターゼ(OAS)ファミリーメンバーのタンパク質69(p69−OAS)、およびOASと密接に関連するタンパク質であるインターフェロン誘導性タンパク質56(p56)の転写活性化を監視するために、処置および未処置ヒト乳癌MCF−7細胞のcDNA遺伝子発現マイクロアレイスクリーニングを使用し、その後にノーザンブロットおよび定量的RT−PCRを使用して結果を確証した。本発明者らは、3日間まで処置されたMCF−7細胞のコンフルエントな培養由来の培地中でのIFNγのレベルを試験するために感受性サンドイッチELISAアッセイもまた使用した。DIM誘導体は、本発明者らが実施したレポーターおよびELISAアッセイにおいて免疫応答活性化活性を有することが確証されたので、次に以下の実施例VIIIおよびIXに記載するように全動物サイトカイン産生およびエルシニア・エンテロコリチカ(Y.enterocolitica)感染試験においてスクリーニングする。
【0020】
【表1】

【0021】
特定の実施形態では、インドリル部分は対称性で置換されており、各部分は同様に一置換、二置換、三置換などされている。他の特定の実施形態では、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R6’、およびR7’は水素であり、RおよびR5’は塩素、ホウ素およびフッ素からなる群から選択されるハロゲンである。それから免疫応答活性化合物が同定されると本明細書に記載した追加のDIM誘導体には、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R6’、およびR7’は水素であり、RおよびR5’はハロゲンである化合物が含まれる。これらには、3,3’−ジインドリルメタン、5,5’−ジクロロ−ジインドリルメタン;5,5’−ジブロモ−ジインドリルメタン;および5,5’−ジフルオロ−ジインドリルメタンが含まれるが、それらに限定されない。追加の好ましいそのようなDIM誘導体には、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R6’、およびR7’は水素であり、RおよびR5’は1〜10個の炭素、最も好ましくは1〜5個の炭素を有するアルキルもしくはアルコキシである化合物が含まれる。これらには、5,5’−ジメチル−ジインドリルメタン、5,5’−ジエチル−ジインドリルメタン、5,5’−ジプロピル−ジインドリルメタン、5,5’−ジブチル−ジインドリルメタン、および5,5’−ジペンチル−ジインドリルメタンが含まれるが、それらに限定されない。これらには、さらにまた5,5’−ジメトキシ−ジインドリルメタン、5,5’−ジエトキシ−ジインドリルメタン、5,5’−ジプロピルオキシ−ジインドリルメタン、5,5’−ジブチルオキシ−ジインドリルメタン、および5,5’−ジアミルオキシ−ジインドリルメタンが含まれるが、それらに限定されない。
【0022】
追加の好ましいそのようなDIM誘導体には、R、R、R、R、R、R2’、R4’、R5’、R6’、およびR7’は水素であり、RおよびR1’は1〜10個の炭素、最も好ましくは1〜5個の炭素を有するアルキルもしくはアルコキシルである化合物が含まれる。そのような有用な誘導体には、N,N’−ジメチル−ジインドリルメタン、N,N’−ジエチル−ジインドリルメタン、N,N’−ジプロピル−ジインドリルメタン、N,N’−ジブチル−ジインドリルメタン、およびN,N’−ジペンチル−ジインドリルメタンが含まれるが、それらに限定されない。さらにまた別の好ましい実施形態では、R、R、R、R、R、R1’、R4’、R5’、R6’、およびR7’は水素であり、RおよびR2’は1〜10個の炭素、最も好ましくは1〜5個の炭素のアルキルである。そのような化合物には、2,2’−ジメチル−ジインドリルメタン、2,2’−ジエチル−ジインドリルメタン、2,2’−ジプロピル−ジインドリルメタン、2,2’−ジブチル−ジインドリルメタン、および2,2’−ジペンチル−ジインドリルメタンが含まれるが、それらに限定されない。また別の実施形態では、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R6’、およびR7’は水素であり、RおよびR5’はニトロである。
【0023】
置換DIMアナログは、ホルムアルデヒドと市販で入手できる置換インドールとの縮合によって容易に調製される。前駆体化合物は、置換インドール−3−アルデヒドを形成するために適切な置換インドールのジメチルホルムアルデヒド縮合によって合成できる。適切な置換インドールには、R、R、R、R、RおよびR位で置換基を有するインドールが含まれる。これらには、5−メトキシ、5−クロロ、5−ブロモ、5−フルオロ、5’−メチル、5−ニトロ、n−メチルおよび2−メチルインドールが含まれるがそれらに限定されない。置換インドール−3−アルデヒド生成物は、置換I3Cを得るためにアルデヒド部分を還元させるためにメタノールなどの適切なアルコールおよび固体水素化ホウ素ナトリウムを用いて処理される。置換DIMは、置換インドール−3−カルビノール生成物を縮合させることによって調製される。これは、例えば、約5.5のpHを有するリン酸緩衝液を用いた処理によって達成できる。
【0024】
本組成物は、医薬担体および/または希釈剤と一緒に投与できる。本発明において有用な医薬担体もしくは希釈剤の例には、適切な水溶性有機担体を含む、すなわちpHが約7.0〜7.4の任意の生理的緩衝媒質が含まれる。適切な水溶性有機担体には、コーン油、ジメチルスルホキシド、ゼラチンカプセルなどが含まれるがそれらに限定されない。本発明の免疫応答活性化組成物は、さらにまた、他の物質と組み合わせて、例えば、他の化学療法薬もしくは免役刺激薬もしくは治療薬と結び付けて投与することもできる。これらの方法は、組み合わせ単位製剤、または結合パッケージング内に個別に調薬されて提供される個別組成物であってよい組み合わせ組成物を使用できる。
【0025】
特定の実施形態では、本発明は、主題の免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンを、相補的、付加的、および/または相乗的有効性のために、1つまたは複数の他の治療薬、特に様々な免疫応答活性化合物と結び付けて使用する方法を提供する。サイトカインは、そのような組み合わせにおいて有用な、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、トランスフォーミング成長因子α(TGF−α)、エリスロポエチン(Epo)、インスリン様成長因子−I(IGF−I)、インスリン様成長因子II(IGF−II)、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン8(IL−8)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、腫瘍壊死因子β(TNF−β)、インターフェロンγ(INF−γ)、コロニー刺激因子(CSF)などを含む代表的な、周知の免疫応答活性剤を提供する。本方法で共投与するために適合する追加のサイトカインは、Cancer Medicine.6th ed.Kufe,et al.,editors,Hamilton(Canada):BC Decker Inc;c2003)、およびThe Cytokine Handbook,Fourth Edition,Two Volume Set,Academic Press;4 edition(Thomson et al.,July 7,2003)に記載されている。
【0026】
本発明の組成物は、経口、静脈内、鼻腔内、直腸内、または治療すべき組織もしくは部位へ有効量の活性物質を送達する任意の手段によって投与できる。適切な用量は、所望のエンドポイントを達成する用量である。様々な障害を治療するためには様々な用量が必要とされることは理解される。物質の有効量は、標的とする病理もしくは病理の進行における有意な減少を引き起こす、または素因を有する宿主における発生を遅延させる、もしくは病理の可能性を減少させる量である。例えば、有効量は感染物質の総数、増殖率、関連病理などを減少させることができる。
【0027】
投与された免疫応答を活性化する、任意で置換されたDIMは、有益には強化された更新、生物学的利用能、安定性、半減期などを提供するため、または毒性などを低下させるために1つまたは複数の機能的部分と複合化もしくは共投与することができる。しかし、それでも本組成物は、単離形、複合化形、またはプロドラッグ形のいずれであっても、上記の免疫応答を活性化する、任意で置換されたDIMを含む。
【0028】
当業者は、投与経路、化合物の代謝、および例えば分布量、クリアランス、対象者の年齢などの他の薬物動態パラメータを考慮に入れて、経験的に、本発明の物質を投与するために最も有効な用量および時間を確定することができる。
【0029】
本発明は、免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンと、例えば同梱されているなどの本方法を説明もしくは列挙している説明媒体とを含むキットを含む、本方法を実施するために特別に調製されたキットをさらに提供する。上記の免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンは、事前に測定された単位製剤中に存在してよく、さらに追加の治療薬、特に相違する免疫応答活性剤、特にサイトカインとともに製剤もしくはパッケージング内に結合されてよい。
【0030】
本発明は、本方法を実施するために特別に調整されたビジネス方法をさらに提供する。例えば、1つの実施形態では、本ビジネス方法は、主題の免疫応答を活性化する、任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンをベースとする方法もしくは組成物を販売する工程、契約する工程、またはライセンス付与する工程を含む。
【0031】
本発明を様々な腫瘍性および正常細胞系における感染に対するインビトロおよびインビボ活性によって例示する。インビトロアッセイにおいて使用された試験細胞系は、動物における免疫応答活性化のためのモデルであると明確に認識され、受け入れられている。マウスを使用する実験的インビボアッセイは、ヒトなどであるがヒトに限定されない他の動物におけるインビボ活性を予測できると明確に認識され、受け入れられている。
【0032】
典型的な実験プロトコル
プロトコルI〜VIIでは、本発明者らは、DIMがIFNγシグナル伝達経路を活性化することを証明する。ヒト乳癌MCF−7細胞はIFNγ mRNAを発現し、DIM処置に応答して、IFNγタンパク質をそれらの培養培地中へ分泌した。DIM処置は、さらにIFNGR1ならびにIFNγ応答遺伝子であるp56およびp69−OASの発現も活性化した。DIMは、トランスフェクトした細胞中のインターフェロン誘導性受容体構築物のIFNγを用いた相乗性活性化も生じさせた。さらに、DIMは、STAT−1のリン酸化も増強し、IFNγ経路のDIM活性化のさらなる証拠を提供した。DIMおよびIFNγは、培養細胞中での付加的抗増殖活性を示した。最後に、DIMおよびIFNγの併用処置は、DIMの強力な免疫増強活性と一致して、主要組織適合性複合体クラスI(MHC−I)の発現における相乗性増加を生じさせた。
【0033】
I.DIMはIFNγおよび関連遺伝子の転写を活性化する。
DIMを用いたヒト乳癌MCF−7細胞の初期cDNA遺伝子発現マイクロアレイスクリーニング、その後のノーザンブロットおよび定量的RT−PCRを使用した結果の確証は、IFNγ、IFNγ受容体(IFNGR1)、オリゴアデニレートシンテターゼ(OAS)ファミリーメンバーのタンパク質69(p69−OAS)、およびOASと密接に関連するタンパク質であるインターフェロン誘導性タンパク質56(p56)の転写活性化を確証した。IFNγ、p69−OASおよびp56の発現は6時間の処置後に完全に誘導されたが、最高IFNGR−1誘導は48時間の処置後に到達した。IFNγおよびp56についてのmRNAのレベルは、48時間のDIM処置後にほぼコントロールレベルへ復帰した。IFNGR1およびp69−OASについてのmRNAレベルは、処置48時間後に上昇したままであった。IFNγ、IFNGR1、p69−OASおよびp56について最高誘導は、各々4.6、3.8、3.2および4.0倍であった。
【0034】
II.DIMは、IFNγおよびIFNGR1タンパク質の発現を誘導する。
IFNγおよびIFNGR1についてのmRNAのレベルがDIMによってアップレギュレートされた観察所見に続いて、本発明者らは、これらの遺伝子のタンパク質生成物のレベルを試験した。感受性サンドイッチELISAアッセイを使用して、本発明者らは、3日間までDIMを用いて処置されたMCF−7細胞のコンフルエントな培養由来の培地中でのIFNγのレベルを試験した。これらの試験の結果は、未処置細胞の培地中のIFNγの段階的蓄積およびDIMとともにインキュベートした細胞からのIFNγの分泌のより急速な増加を示した。培養細胞の培地中のIFNγのレベルは1および3日間のインキュベーション後にビヒクル処置コントロール内の実質的に検出不能なレベルから、インドール処置細胞については、各々約50±10pg/mLおよび80±30pg/mLへ増加した。
【0035】
ウエスタンブロット分析の結果は、IFNGR1タンパク質のレベルがDIM処置によって強力にアップレギュレートされることを示した。IFNGR1タンパク質レベルは、DMSO−処置コントロールと比較して、24時間後に約7倍増加しており、48時間後まで維持された。これらの結果は、mRNAレベルにおける増加と一致しており、DIMは転写コントロールを通してIFNGR1発現を調節できることを指示している。
【0036】
III.DIMは内因性p69−OAS遺伝子および関連するレポーター遺伝子構築物のIFNγ誘導性発現を増強する。
次に、本発明者らは、DIM単独、およびIFNγとの併用が内因性p69−OASの発現およびトランスフェクトされたIFNγ応答性レポーター遺伝子構築物の発現に及ぼす作用をより詳細に試験した。
【0037】
p69−OAS転写体のRT−PCR分析の結果は、DIM(50μM)およびIFNγ(10ng/mL)を用いた個別処置が、コントロールに比較して各々、約3.5倍および5.0倍の誘導を産生することを示したが、他方2種の併用を行なう処置はほぼ12倍の増加を生じさせた。これらの結果は、内因性p69−OASの誘導性発現にDIMおよびIFNγが及ぼす相乗性相互作用を指示している。
【0038】
次に、本発明者らは、内因性p69−OAS遺伝子発現に及ぼしたDIMの誘導作用が同時タンパク質合成を必要とするかどうかを決定した。本発明者らの結果は、翻訳阻害剤であるシクロヘキシミドを用いた共処置がDIM処置の誘導作用、ならびに内因性p69−OASのIFNγ誘導性発現に及ぼすDIMの増強作用を遮断したことを指示している。
【0039】
DIMの誘導作用が転写レベルにあるかどうかを試験するためのまた別の実験では、2種のルシフェラーゼレポーター構築物であるOAS−Luc(12)および4GAS−Luc(13)の活性にDIMが及ぼす作用を試験した。OAS−Lucは、p69−OASのプロモーターおよび5’−フランキング領域(−972)を含有し、GAS−LucはコンセンサスGASエレメントの4つの繰り返しを含有する。これらのレポーター構築物を用いて一過性でトランスフェクトされたMCF−7細胞は、24時間にわたり、IFNγ、DIM、もしくは両方の組み合わせで処置した。DIM処置はOAS−Lucレポーターの発現を最高約2.3倍へ誘導したが、本発明者らは、3倍を超える対応する内因性遺伝子の誘導についてそのレベルよりいくらか低い誘導レベルを観察した。IFNγはこのレポーターの転写活性を、約5.0倍の内因性遺伝子の応答より低い最高約1.8倍へ濃度依存方法で誘導した。内因性遺伝子発現に誘導因子の併用処置の最大作用とは顕著に対照的に(ビヒクル処置細胞と比較してほぼ12倍の増加)、レポーター遺伝子構築物はコントロールに比較して3倍未満の増加で応答した。これらの結果は、レポーターおよび内因性遺伝子がDIM単独による処置へ同様に応答したが、レポーターはIFNγに対する内因性遺伝子より低応答性であったことを示している。
【0040】
最後に、4GAS−Lucレポーターを用いてトランスフェクトされた細胞を用いた試験は、p69−OAS遺伝子の応答に類似するが、2種の誘導因子を用いた共処置へ一致する相乗性応答が付随したIFNγに対するより強固な応答であるDIMの誘導作用を示した。そこで、DIM(50μM)単独による処置は、さらにこのレポーターの活性の2〜3倍の増加を生じさせた。しかしIFNγ処置は、ビヒクル処置コントロールに比較してほぼ40倍の誘導へレポーター活性における堅固な濃度依存性増加を生じさせた。DIMおよびIFNγを用いた共処置は、試験した全IFN−γ濃度で4GAS−Lucレポーターのほぼ2倍の相乗性活性化を生じさせ、約75倍の最高誘導に到達した。
【0041】
これらをまとめると、これらの結果は、DIM単独がIFNγへ差別的に応答する内因性活性化およびトランスフェクトされたレポーター遺伝子の類似レベルを生じさせることを示した。これらの結果は、DIMの誘導作用は短命の転写因子によって媒介され、中間体調節タンパク質の新規合成を必要とすることをさらに示している。
【0042】
IV.DIMがIFNγ媒介性シグナル伝達に及ぼす相乗作用。
DIMによる転写活性化においてGASエレメント活性化が果たす役割を確証するために、本発明者らは、このインドールがGASシグナリング経路において下流イベントに及ぼす作用について試験した。このために、DIMがシグナル伝達のリン酸化および転写因子の活性化因子1(STAT1)に及ぼす作用、ならびに活性化STAT1ダイマーの同族GAS応答性エレメントへの結合について試験した。Janus活性化キナーゼ(JAK)によるSTAT1のリン酸化は、IFNGR1への結合に続くIFNγシグナリングにおける第1工程である。これらの試験のために、細胞は、6もしくは24時間にわたりDIMで前処置し、その後に15分間にわたりIFNγへ曝露させた。DIM処置細胞の細胞溶解液中のSTAT1リン酸化レベルは、IFNγ処置は受けたが、DIM処置を受けていなかったコントロールと比較した。リン酸化は、Tyr−701残基上でリン酸化されたSTAT1に対して特異的な抗体を用いて、ウエスタンブロット分析によって測定した。本発明者らの結果は、6もしくは24時間にわたるDIM単独の処置はSTAT1リン酸化を誘導しなかったが、DIMを用いた前処置はIFNγによって誘導されたSTAT1リン酸化を増加させたことを示している。不活性(全)STAT1のレベルに影響を及ぼした処置はなかった。
【0043】
電気泳動ゲル泳動度シフトアッセイを使用して、リン酸化STAT1がGASエレメントに結合できたダイマーへ効果的に活性化したことを検証した。GAS配列を含有する32P標識DNAプローブは、指示したように様々な回数にわたりDIMを用いて前処置した細胞由来の核抽出物、およびIFNγとともに30分間にわたりインキュベートした。IFNγ処置は、DIM前処置の期間に伴って強度が増加するバンドシフトを生じさせた。IFNγの不在下でのDIM処置は、任意の時点にシフトしたバンドを生じさせなかった。サンプルをSTAT1に対して特異的な抗体とともにインキュベートした場合はバンドがスーパーシフトされ、これは標識されたGASプローブヘのタンパク質結合の同一性を確証した。
【0044】
これらをまとめると、これらの結果は、DIMがIFNγ誘導性STAT1活性化、二量体化およびDNA中のGASエレメントへの結合を増強できることを示している。これらの結果は、DIMがIFNγ活性に及ぼす相乗作用がIFNγシグナリングにおける数種のレベルで明白であり、これらのアッセイ条件下でDIMの最も有意な作用である可能性を示している。
【0045】
V.DIMおよびIFNγが増殖および細胞周期に及ぼす作用。
DIMおよびIFNγが遺伝子発現に及ぼす相乗作用の機能的結果を増殖率のレベルで試験した。4日間の処置期間にわたりDIM、IFNγ、もしくは両方の物質を用いた処置による細胞増殖を測定し、DMSOコントロールと比較した。熱処理血清を用いると、IFNγ単独は、コントロールと比較して70%まで細胞増殖を大きく減少させた。DIM処置は、60%まで増殖を大きく減少させた。最高濃度のIFNγを除いて、DIMおよびIFNγの併用処置は、DIM単独の処置に比較して細胞増殖抑制活性のほぼ付加的な増加を生じさせた。これらの作用には、アポトーシスに特徴的な形態学的変化が付随した。本発明者らは、IFNγが未処理血清中で増殖させた細胞の増殖に及ぼす有意な作用を観察しなかった。
【0046】
フローサイトメトリーを使用してDIMおよびIFNγが細胞周期に及ぼす作用を決定した。本発明者らのデータは、3日間までの相違する間隔での細胞周期のG1期における細胞集団の比率を示した。コントロール群では、約50%の細胞がG1期にあった。IFNγ単独による処置は、3日後には、DMSOコントロールを10%まで超えるG1期遮断細胞の小さな前進性増加を引き起こした。DIMは、DMSOコントロールに比較して経時的に30%まで増加したより即時的な作用を有していた。DIMおよびIFNγの併用は、3日後に、増殖の不在と相関している、G1静止期において90%を超える細胞を導く付加作用を有していた。これらをまとめると、これらの結果はDIMおよびIFNγについての別個の細胞増殖抑制機序と一致している。
【0047】
VI.DIMは、MHC−I複合体のIFNγ誘導性発現を増強する。
MHC−I複合体の誘導性発現は、IFNγ媒介性シグナル伝達の明確に確立された重要な下流標的である。DIMがIFNγシグナリングの有意な代謝産物に及ぼす可能性がある相乗作用をさらに試験するために、本発明者らは、DIMとの共処置がMCF−7細胞中でのMHC−I複合体のIFNγ誘導性発現に及ぼす作用について試験した。
【0048】
細胞表面MHC−I発現についてのフローサイトメトリー分析は、FITCコンジュゲート化HLA−ABC抗体を用いて実施した。初期コントロール実験では、培養MCF−7細胞を48時間にわたり30μMのDIMにより、次にさらに16時間にわたり10ng/mLのIFNγを用いて、または用いずに前処置した。陰性コントロール抗体であるFITCコンジュゲート化マウスIgG2bを用いた分析は、有意に誘導されたシグナルを示さなかった。細胞をある範囲のIFNγ濃度で処置して抗MHC−I抗体を用いて分析したその後の実験では、IFNγ誘導性MHC−I発現の指標である強力なシグナルは0.1ng/mLで検出可能であり、10ng/mLでプラトーにあると思われた。ビヒクルコントロール単独で処置した細胞中では、MHC−I発現は、99%を超える細胞中では検出されなかった。
【0049】
48時間にわたる30μMのDIMによる前処置、次に0.1ng/mLのIFNγによる処置は、8.11%から40.98%へのMHC−I陽性細胞のパーセンテージにおけるさらなる増加を生じさせたが、MHC−I発現/細胞(MFV)に有意な作用を及ぼさなかった。MHC−Iを発現した約95%である10ng/mLのIFNγを用いて処置された細胞のDIMへの曝露は、76.04から131.41へのMFVにおける強力な時間依存性増加を生じさせた。DIM処置単独は、MHC−I複合体の発現に有意な作用を及ぼさなかった。予想通りに、処置前の培地中へのIFNγ遮断抗体の添加はMHC−I発現にIFNγおよびDIMの共処置が及ぼす誘導作用を無効にし、観察された作用についてのサイトカインの要件を確証した。
【0050】
類似のまた別の実験では、本発明者らは、MCF−7細胞中でのMHC−II発現にDIMもしくはIFNγが及ぼす作用を観察しなかった。これらの結果は、DIM単独はMHC−Iの発現にほとんど、もしくは全く作用を生じさせないが、このインドールは、このタンパク質複合体を発現する細胞の比率、ならびにIFNγに応答して細胞1個あたりMHC−Iの最高レベルを強力に増強することを示している。
【0051】
VII.DIMは、MHC−I構成成分およびトランスポーターのIFNγ誘導性転写を増強する。
細胞表面上のMHC−Iタンパク質複合体のレベルはDIMによる前処置によって増強できるので、本発明者らは、複合体およびそのトランスポーターについての対応する遺伝子の発現もまた増加するかどうかを試験した。RT−PCRを使用して、HLA−A、HLA−B、HLA−C、およびβ−マイクロチューブリンを含むヒトMHC−Iの4種の主要構成成分、ならびに2つの重要な関連トランスポーターであるTAP1およびTAP2の発現について試験した。本発明者らの結果は、全6つの遺伝子の発現レベルは、ビヒクル処置MCF−7細胞と比較して、DIMによって有意に増強されなかったことを示している。予測通りに、これらの遺伝子の発現は、IFNγを用いた処置によって2〜8倍増加した。これらの結果は、さらに、DIMによる細胞の前処置が、IFNγ自体によって誘導されたレベルに比して少なくとも2倍以上、または背景レベルを超えて4〜16倍へこれらの遺伝子のmRNAレベルをさらに増加させたことを示している。
【0052】
これらの結果は、DIMがMHC−Iタンパク質複合体および関連mRNAのIFNγ誘導性発現のレベルを相乗的に増強できることを示している。MHC−Iタンパク質/細胞および関連mRNA両方のレベルにおけるDIMによる大まかに2倍の増強は、DIMによるMHC−I発現が遺伝子転写のレベルで調節されることを示している。
【0053】
プロトコルI〜VIIの結果は、DIMが、IFNγの発現を誘導でき、このサイトカインへの外因性曝露への細胞の応答に影響を及ぼすことのできる免疫調節因子であることを指示している。これらの結果は、DIMが、1)IFNγ、IFNγ受容体、および2種のIFNγ誘導性遺伝子の発現を誘導する、2)IFNγ誘導性レポーター遺伝子構築物の発現を誘導する、3)STAT−1シグナル伝達経路のIFNγ媒介生活性化を相乗的に増強する、4)培養細胞中でのIFNγの細胞増殖抑制作用を付加的に増強する、および5)IFNγ誘導性MHC−Iタンパク質複合体および関連mRNAの発現を相乗的に増強することができることを示している。我々の知る限り、これは腫瘍細胞によるIFNγの産生についての最初の報告である。DIMによる処置後には、本発明者らは、ELISA技術を用いて分泌されたIFNγについて強力なシグナルを観察した。
【0054】
免疫細胞中でのIFN−γ発現の活性化は、シグナリングプロセスの複雑な相互作用によって媒介される。先天性もしくは後天性免疫を促進するリンパ球しかIFNγを産生しないことは知られている。これらの細胞中でのIFNγ産生は、通常は分泌されたサイトカインによって制御されるが、そのうちで最も広汎に試験されたものはインターロイキン(IL)−12である(14)。免疫細胞のIL−12への曝露は、JanusキナーゼであるJAK2およびTyk2の活性化を生じさせ、これらは順にIL−12受容体をリン酸化し、転写因子STAT4のためのドッキング部位を提供する。レポーター結合STAT4は、JAKによってリン酸化され、STAT4二量体化、核への転位、および遺伝子発現の調節を促進する。STAT4は、IFNγ遺伝子調節へ直接的に寄与できるが、それは潜在的STAT4結合部位がIFNγ遺伝子の第1イントロンおよびプロモーター内に存在するからである(15)。本発明者らの試験は、腫瘍細胞中でのIFNγ発現のDIM誘導は、他の誘導されたサイトカインの仲介を含んでいない遺伝子活性化への直接的作用によって進行することを示している。転写内の増加はタンパク質合成のためには一般的に短すぎる期間であるたった6時間以内で発生する;さらに、MCF−7細胞は、IL−12などのIFNγ活性化サイトカインを産生することは知られていない。
【0055】
IFNγによって調節されるシグナリングカスケードは、相当詳細に試験されている。標的細胞の膜上でのIFNγの高度に特異的なIFNγ受容体(IFNGR1)への結合は、通常は、JAK1およびJAK2ならびにSTAT1を含むリン酸化カスケードを活性化する。リン酸化STAT1は、ホモ二量体化し、核へ転位し、IFNγ誘導性遺伝子のプロモーター内のIFNγ活性化配列(GAS)へ結合し、さらに転写を活性化する。そのような遺伝子の1つであるp69−OASの活性化は、順に感染細胞中でのウイルスRNAの複製の防止において重要な役割を果たしている。さらに、p69−OASは、近年細胞増殖の阻害因子であり、Bcl−2に関連する前アポトーシスタンパク質であると同定されている(17)。本発明者らの結果は、IFNγは乳腺腫瘍細胞中でのJAK/STAT経路を活性化できることを確証しており、このIFNγの活性(すなわち、STAT1リン酸化、STAT1二量体化およびGASへの結合、ならびにGAS調節転写の活性化)はDIMによる処置によって相乗的に増強されることを示している。これらの結果は、DIMがIFNGR1活性化の即時下流イベントに及ぼす作用が単独では限定されているが、インドールは付加されたIFNγの作用を強力に増強することを示している。
【0056】
DIMがIFNγシグナリングに及ぼす作用は、これらの他の物質の作用から明白に識別可能である。一連の試験では、乳癌細胞中でのレチノイン酸(RA)およびIFNγの相乗作用について記載された。最初に、相乗性抗増殖作用は、IFNγおよびRAを用いた細胞の連続的処置後に観察された。作用は、RA細胞増殖抑制活性のIFNγ媒介性増強の結果として生じると思われた。IFNγは、レチノイン酸−γ(RARγ)レベルの発現の増加および細胞RA結合タンパク質(CRABP)の発現減少によってRA細胞増殖抑制潜在力を増加させることが証明された(18)。引き続いて、RAがIFNγシグナリングに及ぼす作用についても乳腺腫瘍細胞中でも試験した。結果は、STAT1発現のRA媒介性増強を含んでいた機序によってMCF−7細胞中での遺伝子転写へのIFNγが及ぼす作用を相乗的に増強できることを示した(19)。また別の一連の試験では、乳癌細胞のIFNおよびエストロゲンアンタゴニスト、タモキシフェンによる併用処置の作用を試験した。これらの物質を用いた共処置は、転写因子ISGF−3およびGAFを含む所定のIFN刺激遺伝子の発現の増強を引き起こした(20)。しかし、タモキシフェン単独では、これらの転写因子の発現に作用を生じさせなかった。そこで、DIMによる本発明者らの結果は、IFNγ作用への報告されたRAおよびタモキシフェンの作用からの有意差を示している。本発明者らは、DIMおよびIFNγがMCF−7細胞増殖に及ぼす付加的阻害作用を観察したが、RAを用いた作用は相乗性であった。同様にRAとは対照的に、DIMはIFNγシグナル伝達を相乗的に増強したが、このインドールは、IFNγ処置の不在下ではSTAT1発現を増加させなかった。最後に、単独でのDIM処置は、IFNGR1、IFNγおよびOAS関連遺伝子の発現を明白に誘導したが、これはRAもしくはタモキシフェンについては報告されなかった作用である。
【0057】
DIMがMHC−IのIFNγ誘導性発現に及ぼす相乗作用は相当に重要であるが、それはこの複合体が腫瘍免疫学的監視において重要な役割を果たすからである。MHC−I分子は、細胞毒性Tリンパ球(CTL)へ腫瘍関連抗原(TAA)を提示するために必要とされる。MHC抗原の減少した発現は、腫瘍細胞を免疫学的監視から保護できる(21,22)。したがって、MHC−Iの消失もしくはダウンレギュレーションは、乳房腫瘍形成における頻回な事象であることが示されている。実際に、誘導発癌性のマウスモデルを用いた数件の試験は、腫瘍の腫瘍形成および転移能力を増加させる際にMHC−I抗原のダウンレギュレーションが果たす役割を確証した(23)。これとは逆に、誘導されたMHC−I発現はIFNγ(24)ならびにヌクレオチドアナログ、5−アザシチジンシトシンアルビノシド、5−フルオロウラシル、レチノイド、ビタミンD3、ならびに植物アルカノイド、ビンクリスチンを含む所定の小分子癌治療薬(25,26)の抗腫瘍特性において重要である。
【0058】
DIMを用いた本発明者らの試験結果とI3Cを用いた本発明者らの試験結果(27)の比較は、DIMおよびそのインビボ前駆物質がIFNγシグナリングに及ぼす作用における活性の明確な相違を示している。DIMを用いた本発明者らの今回の結果に類似して、本発明者らは以前の研究において、I3Cが、IFNGR1の発現およびSTAT1シグナリングの相乗性活性化における強力かつ迅速な増加を含む機序によってMCF−7細胞中でのIFNγシグナリングに作用を及ぼせることを示した。DIMおよびI3Cの類似の作用は、細胞増殖および細胞周期についてもまた観察された。しかしDIMを用いた今回の結果とは対照的に、本発明者らは、以前の試験ではI3CによるIFNγ刺激遺伝子(p56およびp69−OAS)の発現増加を観察しなかった。IFNGR1タンパク質誘導の最高レベルはI3CおよびDIMについて類似、すなわち約7倍であったが、レポーター発現の動態は、2種の処置後に有意に相違していた。そこで、強力レベルの誘導(約5倍)はDIMへのたった6時間の曝露後に所見され、最高誘導はこのジインドールを用いた24時間の処置によって達成された。対照的に、レポーター発現はI3Cを用いた24時間の処置後には約3倍しか増加せず、最高誘導には約48時間の曝露後にのみ達すると思われた。これらの結果は、I3CがIFNGR1発現に及ぼす作用が、細胞とのインキュベーション中にDIMへの緩徐な転換によって媒介されるという仮説と一致している。実際に、本発明者らは以前に、DIMが、I3Cで処置されたMCF−7培養細胞の核内に蓄積することを示している(28)。
【0059】
本発明者らの結果は、再発性呼吸性乳頭腫症(RRP)の制御におけるインドール処置の臨床的有効性を説明している。I3CおよびDIMは、それらの有効性および低レベルの毒性のために、この障害のための一般的な補助療法になっている(29,30)。RRPは、所定タイプのヒトヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされ(31,32)、この疾患の特質は、外科的切除後に乳頭腫が再発する傾向である(33−34)。1つの報告書は、再発率を緩徐化することによって多数の患者(55.4%)がI3C/DIMの処置に応答すること、そしてこの疾患の再発が患者の19%において完全に阻害されることを指示した(30)。RRPの制御において以前に示唆されたI3C/DIMの作用様式には、より良好なエストロゲン代謝産物平衡の誘導(35)、細胞増殖の阻害(36)、およびアポトーシスの誘導(37)が含まれる。本発明者らの結果は、I3C/DIMは免疫増強のまた別の機序によって機能できることを示している。この活性は、再発性乳頭腫の予防においてだけではなく、乳頭腫症の治療および広範囲の腫瘍タイプの悪性転換の予防においても有用である。
【0060】
本発明者らは、生理学的に重要な濃度でDIMの免疫応答活性化活性を観察した。200gのブロッコリーを毎日摂取する平均体重のヒトは、約12mgのDIMを入手する。DIMの吸収が最大である場合は、DIMの血中濃度はおよそ10μMに達する。このため、食用アブラナ科野菜からのDIMのインビボ濃度はインビトロでのDIMの有効レベルを表している。
【0061】
VIII.3,3’−ジインドリルメタンおよび置換3,3’−ジインドリルメタンは、サイトカインの血清中レベルにおける時間依存性増加を刺激する。
本試験では、本発明者らは、インビボおよびインビトロでのサイトカインの産生、T細胞増殖、およびNO産生を含む、DIMが免疫応答活性化に及ぼす作用を試験した。
【0062】
本発明者らは、最初に未置換DIMがIL−6、G−CSF、IL−12、TNF−αおよびIFNγの産生に及ぼす作用について調査した。1群3匹のマウス群に、30μg/kgの未置換DIMを経口投与し、薬物抗原投与の1、3、5、8、および24時間後に致死させた。血清を採取し、プールし、IL−6、G−CSF、IL−12およびTNF−αについてELISAによってアッセイした。結果は、DIMがサイトカインの血清中レベルにおける時間依存性増加を刺激したことを示している。DIMは、G−CSFおよびTNF−αの循環中レベルの増加を生じさせ、3時間後の時点が最高であった。IL−6は5時間後にもピーク値で誘導された。DIMはIL−12も刺激し、少なくとも24時間にわたり増加したレベルが維持されたので、動態はわずかに相違していた。類似の実験では、本発明者らは、DIMが静脈内投与されたマウスにおいて、IFNγ産生の上昇を含む上昇したサイトカイン産生を見いだした。
【0063】
本発明者らは、表1(上記)に示した1パネルの典型的な置換DIM化合物が、インビボおよびインビトロでのサイトカインの産生、T細胞増殖、およびNO産生を含む、免疫応答活性化に及ぼす作用を試験するためのその後の平行試験を設計した。これらの実験は、サイトカインの血清中レベルにおける類似の時間依存性増加を示している。
【0064】
IX.3,3’−ジインドリルメタンおよび置換3,3’−ジインドリルメタンの投与はBALB/cマウスをY.エンテロコリチカ感染に対して耐性にする。
エルシニア・エンテロコリチカは、ヒトおよび齧歯類において腸炎および全腸炎を引き起こす、グラム陰性の、主として細胞外に位置する病原体である。さらに、脾臓および肝臓内での膿瘍および肉芽腫病変を含む全身性感染は、特に免疫不全性の個体において発生する。細胞内病原体による感染症におけると同様に、一次エルシニア感染を浄化するためには、活性化マクロファージと協調してT細胞、特にCD4+Th1細胞が必要とされる。エルシニアに対する保護的宿主応答は、様々な前炎症性サイトカインによって媒介される。TNFα、IFNγ、もしくはIL−12の中和は、この病原体に対する耐性を阻害する。以前の試験は、C57BL/6マウスはY.エンテロコリチカに対して耐性であるが、BALB/cマウスは易感染性である。IFN−g、IL−12、もしくは抗IL−4抗体の投与はBALB/cマウスをエルシニアに対して耐性にさせた。上記で報告したように、本発明者らは、DIMが、IFN−g、IL−12を含む免疫応答活性化サイトカインの数増加に作用を及ぼせることを見いだした。ここで本発明者らは、DIMがBALB/cマウスにおけるエルシニア感染の重症度を減少させられることを示している。
【0065】
雌性6〜8週齢のBALB/cマウスはCharles River社から購入し、特異的病原体無含有条件(陽圧キャビネット)下で維持する。
【0066】
マウスには30μg/kg/日のDIMまたは24種の置換DIM化合物(表1、上記)のうちの1つを感染1日前から開始して経口投与する。
【0067】
0.1mLの無菌リン酸緩衝食塩液(PBS)(pH7.4)中に懸濁させた、新しく解凍した、プラスミドを含むY.エンテロコリチカWA−314血清型O:8生物体を以前に記載したように静脈内および経口感染のために使用する(Autenrieth,et al.1994.Infect.Immun.62:2590−2599)。投与される実際細菌数は、Mueller−Hinton寒天上の摂種菌の連続希釈物を平板培養し、26℃で36時間のインキュベーション時間後にCFUを計数することによって決定する。動態試験のために、1群5匹のマウスは5×10の細菌を用いる感染後(p.i.)第1、3、および7日に二酸化炭素窒息によって致死させる。脾臓を無菌的に切除し、0.1%のウシ血清アルブミンを含有する5mLのPBSを用いることによって単細胞懸濁液を調製する。これらの調製物の連続希釈液0.1mLを2つずつMueller−Hinton寒天上で平板培養する。検出可能なCFUの限度は25(log1025=1.4)である。
【0068】
単一エンドポイント試験では、2×10のY.エンテロコリチカを用いた感染7日後の処置BALB/cマウスの脾臓中の細菌数は未処置コントロールと比較した有意な減少を示している。これと一致して、動態試験は、未処置コントロールマウスと比較して25の処置群の各々において脾臓中細菌数における時間依存性減少を示している。
【0069】
参考文献
1.Grose,K.R.,and Bjeldanes,L.F.Oligomerization of indole−3−carbinol in aqueous acid.Chem.Res.Toxicol.,5:188−93,1992.
2.Wattenberg,L.W.,and Loub,W.D.Inhibition of polycyclic aromatic hydrocarbon−induced neoplasia by naturally occurring indoles.Cancer Res.,38:1410−3,1978.
3.Shertzer,H.G.Protection by indole−3−carbinol against covalent binding of benzo[a]pyrene metabolites to mouse liver DNA and protein.Food Chem.Toxicol.,21:31−5,1983.
4.Shertzer,H.G.Indole−3−carbinol protects against covalent binding of benzo[a]pyrene and N−nitrosodimethylamine metabolites to mouse liver macromolecules.Chem.Biol.Interact.,48:81−90,1984.
5.Grubbs,C.J.,Stele,V.E.,Casebolt,T.,Juliana,M.M.,Eto,L,Whitaker,L.M.,Dragnew,K.H.,Kellof,G.J.,and Lubet,R.L.Chemoprevention of chemically−induced mammary carcinogenesis by indole−3−carbinol.Anticancer Res.,15:709−16,1995.
6.Chen,I,McDougal,A.,Wang,F.,and Safe,S.Aryl hydrocarbon receptor−mediated antiestrogenic and antitumorigenic activity of diindolylmethane.Carcinogenesis,19:1631−9,1998.
7.Riby,J.E.,Chang,G.H.,Firestone,G.L.,and Bjeldanes,L.F.Ligand−independent activation of estrogen receptor function by 3,3’−diindolylmethane in human breast cancer cells.Biochem.Pharmacol.,60:167−77,2000.
8.Hong,C,Kim,H.A.,Firestone,G.L.,and Bjeldanes,L.F.3,3’−Diindolylmethane(DIM)induces a G(1)cell cycle arrest in human breast cancer cells that is accompanied by Sp1−mediated activation of p21(WAFl/CIPl)expression.Carcinogenesis,23:1297−305,2002.
9.Boehm,U.,Klamp,T.,Groot,M.,and Howard,J.C.Cellular responses to interferon−gamma.Annu.Rev.Immunol,15:749−95,1997.
10.Ikeda,H.,Old,L.J.,and Schreiber,R.D.The roles of IFN gamma in protection against tumor development and cancer immunoediting.Cytokine Growth Factor Rev.,13:95−109,2002.
11.Wimer,B.M.Implications of the analogy between recombinant cytokine toxicities and manifestations of hantavirus infections.Cancer Biother.Radiopharm.,13:193−207,1998.
12.Floyd−Smith,G.,Wang.Q.,and Sen,G.C.Transcriptional induction of the p69 isoform of 2’,5’−oligoadenylate synthetase by interferon−beta and interferon−gamma involves three regulatory elements and interferon−stimulated gene factor 3.Exp.Cell Res.,246:138−47,1999.
13.Contursi,C,Wang,I.M.,Gabriele,L.,Gadina,M.,O’Shea,J.,Morse,H.C.3rd,and Ozato,K.IFN consensus sequence binding protein potentiates STAT1−dependent activation of IFNgamma−responsive promoters in macrophages.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97:91−6,2000.
14.Schroder,K.,Hertzog,P.J.,Ravasi,T.,and Hume,D.A.Interferon−gamma:an overview of signals,mechanisms and functions.J.Leukoc.Biol.,75:163−89,2004.
15.Morinobu,et al.STAT4 serine phosphorylation is critical for IL−12−induced IFN−gamma production but not for cell proliferation.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:12281−6,2002.
16.Ye,J.,Cippitelli,M.,Dorman,L.,Ortaldo,J.R.,Young,H.A.The nuclear factor YYl suppresses the human gamma interferon promoter through two mechanisms:inhibition of API binding and activation of a silencer element.Mol.Cell Biol.16,4744−53,1996.
17.Ghosh,A.,Sarkar,S.N.,Rowe,T.M.,and Sen,G.C.A specific isozyme of 2’−5’ oligoadenylate synthetase is a dual function proapoptotic protein of the Bcl−2 family.J.Biol.Chem.,276:25447−55,2001.
18.Widschwendter,M.,Daxenbichler,G.,Dapunt,O.,and Marth,C.Effects of retinoic acid and gamma−interferon on expression of retinoic acid receptor and cellular retinoic acid−binding protein in breast cancer cells.Cancer Res.,55:2135−9,1995.
19.Kolla,V.,Lindner,D.J.,Xiao,W.,Borden,E.C.,and Kalvakolanu,D.V.Modulation of interferon(IFN)−inducible gene expression by retinoic acid.Up−regulation of STAT1 protein in IFN−unresponsive cells.J.Biol.Chem.,271:10508−14,1996.
20.Lindner,D.J.,Kolla,V.,Kalvakolanu,D.V.,and Borden,E.C.Tamoxifen enhances interferon−regulated gene expression in breast cancer cells.Mol.Cell.Biochem.,167:169−77,1997.
21.Marincola,F.M.,Jaffee,E.M.,Hicklin,D.J.,and Ferrone,S.Escape of human solid tumors from T−cell recognition:molecular mechanisms and functional significance.Adv.Immunol,74:181−273,2000.
22.Goodenow,R.S.,Vogel,J.M.,and Linsk,R.L.Histocompatibility antigens on murine tumors.Science,230:777−83,1985.
23.Tanaka,et al.Role of the major histocompatibility complex class I antigens in tumor growth and metastasis.Annu.Rev.Immunol.,6:359−80,1988.
24.David−Watine,B.,Israel,A.,and Kourilsky,P.The regulation and expression of MHC class I genes.Immunol.Today,11:286−92,1990.
25.Ohtsukasa,S.,Okabe,S.,Yamashita,H.,Iwai,T.,and Sugihara,K.Increased expression of CEA and MHC class I in colorectal cancer cell lines exposed to chemotherapy drugs.J.Cancer Res.Clin.Oncol.,129:719−26,2003.
26.Geissmann,F.,Revy,P.,Brousse,N.,Lepelletier,Y.,Folli,C.,Durandy,A.,Chambon,P.,and Dy,M.Retinoids regulate survival and antigen presentation by immature dendritic cells.J.Exp.Med.,198:623−34,2003.
27.Chatterji,U.,Riby,J.E.,Taniguchi,T.,Bjeldanes,E.L.,Bjeldanes,L.F.,and Firestone,G.L.Indole−3−carbinol stimulates transcription of the interferon gamma receptor 1 gene and augments interferon responsiveness in human breast cancer cells.Carcinogenesis,25:1119−28.2004.
28.Staub,R.E.,Feng,C,Onisko,B.,Bailey,G.S.,Firestone,G.L.,and Bjeldanes,L.F.Fate of indole−3−carbinol in cultured human breast tumor cells.Chem.Res.Toxicol.,15:101−9,2002.
29.Wiatrak,B.J.Overview of recurrent respiratory papillomatosis.Curr.Opin.Otolaryngol.Head Neck Surg.,11:433−41,2003.
30.Auborn,K.J.Therapy for recurrent respiratory papillomatosis.Antivir.Ther.,7:1−9,2002.
31.Coll D..,Rosen,C.A.,Auborn,K.,Potsic,W.P.,and Bradlow,H.L.Treatment of recurrent respiratory papillomatosis with indole−3−carbinol Am.J.Otolaryngol.,18:283−5,1997.
32.Rosen,C.A.,Woodson,G.E.,Thompson,J.W.,Hengesteg,A.P.,and Bradlow,H.L.Preliminary results of the use of indole−3−carbinol for recurrent respiratory papillomatosis Otolaryngol.Head Neck Surg.,118:810−5,1998.
33.Gissmann,L.,Diehl,V.,Schultz−Coulon,H.J.,and zur Hausen,H.Molecular cloning and characterization of human papilloma virus DNA derived from a laryngeal papilloma.J.Virol.,44:393−400,1982.
34.Kashima,H.K.,Mounts,P.,and Shah,K.Recurrent respiratory papillomatosis.Obstet.Gynecol.Clin.North Am.,23:699−706,1996.
35.Yuan,F.,Chen,D.Z.,Liu,K.,Sepkovic,D.W.,Bradlow,H.L.,and Auborn,K.Antiestrogenic activities of indole−3−carbinol in cervical cells:implication for prevention of cervical cancer.Anticancer Res.19:1673−80,1999.
36.Cover,C.M.,Hsieh,S.J.,Tran,S.H.,Hallden,G.,Kim,G.S.,Bjeldanes,L.F.,and Firestone,G.L.Indole−3−carbinol inhibits the expression of cyclin−dependent kinase−6 and induces a G1 cell cycle arrest of human breast cancer cells independent of estrogen receptor signaling.J.Biol.Chem.,273:3838−47,1998.
37.Hong,C,Firestone,G.L.,and Bjeldanes,L.F.Bcl−2 family−mediated apoptotic effects of 3,3’−diindolylmethane(DIM)in human breast cancer cells.Biochem.Pharmacol.,63:1085−97,2002.
【0070】
上記の特定の実施形態および実施例についての説明は、限定するためではなく例示するために提供されている。本明細書で言及した全刊行物および特許出願ならびにその中に言及された全参考文献は、個別刊行物または特許出願または参考文献が各々特別かつ個別に参照して組み込まれると指示されたかのように組み込まれる。上記の本発明は明確に理解するために例示および実施例によってある程度詳細に記載してきたが、当業者には、添付の請求項の精神もしくは範囲から逸脱せずに本発明の教示に照らして所定の変化および修飾を加えられることは容易に明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫応答活性剤をそれが必要であると判断された患者に送達する方法であって、
前記患者に所定量の免疫応答を活性化する、任意で置換されたDIMを投与する工程と;および
前記患者において結果として生じた免疫応答活性化を検出する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記免疫応答活性化が、T細胞増殖、サイトカイン産生、サイトカイン受容体発現、もしくはサイトカインシグナリングの増加であり、それらの増加として検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サイトカインが、IL−6、G−CSF、IL−12、TNF−αおよびIFNγからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記投与する工程が、経口または静脈内投与によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が、免疫不全である、または感染症もしくは腫瘍症に罹患していると判断される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、接触させる工程の前に、前記宿主が免疫応答活性剤を必要であることを決定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンが、式:
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R5’、R6’およびR7’が、個別に独立して、水素、またはハロゲン、ヒドロキシル、1〜10個の炭素からなる直鎖状又は分枝状のアルキル又はアルコキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される置換基である)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
、R、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R5’、R6’およびR7’が、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜10個の炭素からなる直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはアルコキシ基、およびニトロ基からなる群から選択される置換基を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記直鎖状又は分枝状のアルキル又はアルコキシ基は、炭素が1〜5個である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハロゲンが、塩素、ホウ素およびフッ素からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R6’、およびR7’が水素であり、RおよびR5’がハロゲンである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
、R、R、R、R、R2’、R4’、R5’、R6’、およびR7’が水素であり、RおよびR1’が1〜10個の炭素を有するアルキル又はアルコキシルである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
、R、R、R、R、R1’、R4’、R5’、R6’、およびR7’が水素であり、RおよびR2’が1〜10個の炭素のアルキルである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
、R、R、R、R、R1’、R2’、R4’、R6’、およびR7’が水素であり、RおよびR5’がニトロである、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンが、3,3’−ジインドリルメタンである、請求項1、3、4、5または6に記載の方法。
【請求項16】
前記任意で置換された3,3’−ジインドリルメタンが、パーフルオロ−3,3’−ジインドリルメタンである、請求項1、3、4、5または6に記載の方法。
【請求項17】
所定量の免疫応答を活性化する、任意で置換されたDIM、およびサイトカインを含む医薬組成物。
【請求項18】
所定量の免疫応答を活性化する任意で置換されたDIMと、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、トランスフォーミング成長因子α(TGF−α)、エリスロポエチン(Epo)、インスリン様成長因子−I(IGF−I)、インスリン様成長因子II(IGF−II)、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、腫瘍壊死因子β(TNF−β)、インターフェロンγ(INF−γ)、およびコロニー刺激因子(CSF)からなる群から選択されるサイトカインと、を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2008−519051(P2008−519051A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540115(P2007−540115)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/040217
【国際公開番号】WO2006/068713
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(502045699)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (3)
【Fターム(参考)】