説明

3P金属缶外面用ベースコート組成物及び該組成物の硬化塗膜層を有する3P金属缶

【課題】 塗装された3P金属缶に、高輝度のシルバー色の意匠性を付与するとともに、上層のUVインキ層及び上塗り艶ニスとの密着性、耐レトルト性に優れ、しかも環境負荷の少ないBPAフリーの3P金属缶外面用ベースコート組成物、及び該塗料組成物の乾燥硬化塗膜層を有する3P金属缶を提供する。
【解決手段】 (A)ビスフェノール型由来原料を含まないポリエステル樹脂、(B)硬化剤を有する樹脂成分、(C)表面にアクリル樹脂を被覆したアルミフレークペースト顔料、(D)数平均分子量が5,000〜10,000であるイソブチルアクリレートの単独重合体、及び、(E)UVインキアンカー剤を含有する3P金属缶外面用ベースコート組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3P金属缶の外表面に高輝度のシルバー色の意匠性有し、且つ耐レトルト性に優れた塗膜層を形成するための3P金属缶外面用ベースコート組成物、及び該塗料組成物の乾燥硬化塗膜層を有する3P金属缶に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧品用、飲食物用等に使用される金属缶の意匠性を高めるために、パール系顔料を含有するワニスや、光干渉顔料を添加した塗料により、金属缶表面に塗膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。現在、流行色として自動車車体色やパッケージの外装色として高輝度シルバー色の意匠性が求められるようになってきたが、3P金属缶用の従来の塗膜では意匠性は充分満足できるものではなかった。又3P金属缶特に飲料缶は耐レトルト性(耐蒸気性)が重要な要因となっている。しかし、アルミニウムフレーク顔料は耐水性に乏しい(著しく劣る:水分に接触すると酸化し水素ガスを発生する)。近年、アルミニウム製DI缶用にガラスフレーク顔料を用いた高輝度性を有する塗料が提案されている(例えば、特許文献3参照)しかし、ガラスフレーク顔料は高価であり、採用を妨げる要因となっている。そこで、比較的廉価なアルミニウムフレーク顔料を用いる事となるが、前述した様に、耐レトルト性に劣る為、白化・ブリスター等が発生する事となり、現在までアルミニウムフレーク顔料を用いた3P金属缶用塗料で充分な耐レトルト性を保持した塗料は存在しなかった。
【0003】
【特許文献1】特開平8−225756号公報
【特許文献2】特開2000−95973号公報
【特許文献3】特開2006−206760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、塗装された3P金属缶に、高輝度のシルバー色の意匠性を付与するとともに、上層のUVインキ層及び上塗り艶ニスとの密着性、耐レトルト性に優れ、しかも環境負荷の少ないBPAフリーの3P金属缶外面用ベースコート組成物、及び該塗料組成物の乾燥硬化塗膜層を有する3P金属缶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討の結果、BPAを含まないバインダー樹脂成分と、特定の表面処理を施したアルミニウムフレーク顔料及び、特定のアクリル系ポリマー及び特定のUVインキアンカー剤を使用することによって、顔料の配向を制御し、意匠性を維持しつつ、上層のUVインキ、上塗り艶ニスの密着性、耐レトルト性も兼ね備えた3P金属缶外面用ベースコート組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、第一に、(A)ビスフェノール型由来原料を含まないポリエステル樹脂、(B)硬化剤を有する樹脂成分、(C)アルミニウムフレーク表面にアクリル樹脂を被覆したアルミペースト顔料、(D)数平均分子量が5,000〜10,000であるイソブチルアクリレートの単独重合体、及び、(E)UVインキアンカー剤を含有し、該アルミペースト顔料の含有量がバインダー樹脂成分(A+B+D)の固形分100質量部に対し、5〜40質量部であることを特徴とする3P金属缶外面用ベースコート組成物を提供する。
【0007】
本発明は、第二に、3P金属缶外面に、前記した3P金属缶外面用ベースコート組成物の乾燥硬化塗膜層を有することを特徴とする3P金属缶を提供する。特に高輝度シルバー色の意匠性に優れた3P金属缶を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塗装された3P金属缶に、高輝度シルバー色の意匠性を付与するとともに、上層のUVインキ層及び上塗り艶ニスとの密着性、耐レトルト性に優れ、しかも環境負荷の少ないBPAフリーの3P金属缶外面用ベースコート組成物及び該塗料組成物の乾燥硬化塗膜層を有する3P金属缶を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の3P金属缶外面用ベースコート組成物に用いるポリエステル樹脂(A)は、ビスフェノール型由来原料を含まないポリエステル樹脂であり、固形分水酸基価が5〜10(mgKOH/g)、固形分酸価が1〜5(mgKOH/g)であり、更に、数平均分子量が13,000〜18,000であることが好ましい。
【0010】
本発明の3P金属缶外面用ベースコート組成物に、硬化剤として用いられるアミノ樹脂は、ビスフェノール型由来原料を含まないメチルブチルエーテル化ベンゾグアナミン−メラミン共縮合樹脂であることが好ましい。
【0011】
本発明に用いられる、塗膜に高輝度のシルバー色の意匠性を付与する為の顔料は、(C)アルミニウムフレーク表面にアクリル樹脂を被覆し表面処理を施したアルミペースト顔料である。
【0012】
前記(C)アルミペースト顔料のバインダー樹脂成分固形分100質量部に対する配合量は、5〜40質量部の範囲である。40質量部を越えると塗膜の耐レトルト性が低下し、5質量部を下回ると鮮やかな意匠性を充分に発現しにくい。(C)アルミニウムフレーク顔料の平均粒径は、D50が、13μm程度であることが好ましい。本発明に用いることの出来る市販の(C)アルミニウムフレーク顔料としては、旭化成ケミカルズ社製アルミペーストTR2130等が挙げられる。
【0013】
アルミニウムフレーク顔料の特性を充分に発揮させるためには、偏平な顔料を塗膜内に平面状に配向させることが好ましい。しかしながら、平面状の配向は上塗り艶ニスとの密着性を阻害する傾向にある。本発明に用いられる(D)イソブチルアクリレート単独重合体は、数平均分子量が5,000〜10,000の範囲にあり、上塗り艶ニスの密着性を低下させることなく、扁平な形状のアルミニウムフレーク顔料を形成塗膜内に平面状に配向させる機能を有するものである。(D)イソブチルアクリレート単量体及びその重合体が可溶な有機溶剤中で、過酸化物或いはアゾ化合物等の重合開始剤を用いて当該単量体をラジカル重合せしめることによって得ることができる。
【0014】
(D)イソブチルアクリレート単独重合体の分子量は、重合条件(単量体濃度、重合開始剤濃度、重合温度)の選択によって5,000〜10,000の範囲でより好ましい範囲で調整することが可能である。(C)アルミニウムフレーク顔料100質量部に対する(D)イソブチルアクリレート単独重合体の相応しい配合量は、1〜10質量部であり、より好ましくは、2〜5質量部である。
【0015】
耐レトルト性を奏するために、3P金属缶外面用ベースコート組成物では、塗膜の硬度及び、耐熱性を保持する目的で主樹脂の高いTgが好ましい。しかしながら、硬い高Tgの塗膜ではUVインキの密着性を阻害させる傾向にある。事実、UVインキ印刷ラインではバックトラップ等の現象が発生する。UVインキアンカー剤として、単官能のUVモノマーを構成成分とするポリエステル樹脂を用いることによって、塗膜の硬度を低下させる事無く、上層のUVインキを密着させる効果を発揮する。
【0016】
本発明の3P金属缶外面用ベースコート組成物では、キシレン、ソルベッソ100(エクソン社製)、ソルベッソ150(エクソン社製)等の芳香族炭化水素、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エトキシエチル、酢酸ブトキシエチル、メチルイソブチルケトン、イソホロン等、公知の溶剤が用いられる。
【0017】
本発明の3P金属缶外面用ベースコート組成物には、必要に応じて、消泡剤、レベリング剤、スポット塗装性付与剤、滑剤等、その他の任意の添加剤を用いることが出来る。
【0018】
本発明の3P金属缶外面用ベースコート組成物は以下の方法で製造することが出来る。(C)アルミペースト顔料の沈降防止機能及び体質顔料機能を持つ沈降性硫酸バリウムを、バインダー樹脂成分である(A)ポリエステル樹脂で練肉し、顔料ベースを調製する。次いで、このベースに、前記(A)ポリエステル樹脂、(B)硬化剤成分、(C)アルミペースト顔料、(D)イソブチルアクリレートの単独重合体及びUVインキアンカー剤を加えて分散攪拌機で撹拌・混合する。(C)アルミペースト顔料は練肉せず撹拌のみで分散させるのが望ましい。
【0019】
3P金属缶外面に、前記した3P金属缶外面用ベースコート組成物の乾燥硬化塗膜層を有することを特徴とする3P金属缶の塗膜層の具体的な形態としては、(1)下地処理を施した金属板に前記した3P金属缶外面用ベースコート組成物の乾燥硬化塗膜層を設ける構成、(2)下地処理を施した金属板に前記した3P金属缶外面用ベースコート組成物の乾燥硬化塗膜層を設け、更に艶ニス等の上塗り層を設ける構成、(3)下地処理を施した金属板に、前記した3P金属缶外面用ベースコート組成物の乾燥硬化塗膜層を設け、その上に印刷層を設ける構成、(4)下地処理を施した金属板に、前記した3P金属缶外面用ベースコート組成物の乾燥硬化塗膜層を設け、その上に印刷層を設け、更に艶ニス等の上塗り層を設ける構成がある。また、(1)〜(4)の各々について、金属板にサイジングニス塗装を行う構成もある。
【0020】
本発明の3P金属缶に用いられる艶ニス等の上塗り層には、一般に金属缶用途に用いられるポリエステル系、アクリル系等任意のクリアー塗料が用いられる。
【0021】
本発明の3P金属缶外面用塗料組成物は例えば、以下の手順で金属表面に塗工される。金属板として、電気錫メッキ鋼板(ブリキ、ET板メッキ量2.8g/m)上に、本発明の3P金属缶外面用塗料組成物を、好ましくは乾燥膜厚30〜160mg/100cm、より好ましくは60〜130mg/100cmで、乾燥条件160〜200℃−10分程度で塗工することが出来る。更に、印刷インキ及び上塗り艶ニスを施しても良い。また、金属板上に形成された公知のサイジングニス塗料の塗膜上に本発明の3P金属缶外面用塗料組成物を塗装することも可能である。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。特に指定のない限り、実施例中の、部、%は質量部、質量%を表す。
【0023】
〔イソブチルアクリレート単独重合体(D)の合成〕
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管を具備した容量1リットルの4ツ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル150部、ソルベッソ100(エクソン社製)150部を仕込み、100℃まで昇温した。同温度を保持しつつ、滴下ロートからアクリル酸イソブチル300部とt−ブチルパーオキシベンゾエイト6.0部との混合溶液を3時間に亘って連続滴下した。滴下終了1時間後にジ−t−ブチルパーオキサイド0.9部を添加し、更に2時間同温度で反応を行った。生成したポリマー溶液の不揮発分は50.1%、粘度は(ガードナー)T−Uであり、ポリマーの分子量は6600(GPC数平均)であった。これを、エチレングリコールモノブチルエーテルで希釈し、不揮発分10%のイソブチルアクリレート単独重合体(D)を得た。
【0024】
〔ノルマルブチルアクリレート単独重合体の合成〕
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管を具備した容量1リットルの4ツ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル150部、ソルベッソ100(エクソン社製)150部を仕込み、100℃まで昇温した。同温度を保持しつつ、滴下ロートからアクリル酸ノルマルブチル300部とt−ブチルパーオキシベンゾエイト6.0部との混合溶液を3時間に亘って連続滴下した。滴下終了1時間後にジ−t−ブチルパーオキサイド0.9部を添加し、更に2時間同温度で反応を行った。生成したポリマー溶液の不揮発分は50.2%、粘度は(ガードナー)T−Uであり、ポリマーの分子量は6600(GPC数平均)であった。これを、エチレングリコールモノブチルエーテルで希釈し、不揮発分10%の、比較例用ノルマルブチルアクリレート重合体を得た。
【0025】
(上塗り艶ニスの調製)
BPAフリーの高分子ポリエステル樹脂ベッコライトM−6186−60(大日本インキ化学工業株式会社製)を50部、ベンゾグアナミン樹脂スーパーベッカミンL−750−60(大日本インキ化学工業株式会社製)20部、スーパーベッカミン17−508(大日本インキ化学工業株式会社製)を20部、ノルマルブタノール4部、ソルベッソ100(エクソン社製)3部、消泡剤、ウエットインキ適性付与シリコーン助剤、ワックス等をバットタンクに配合し60℃まで攪拌・昇温反応後、40℃以下に冷却しソルベッソ100(エクソン社製)で粘度を調節した。不揮発分48.0%、粘度70秒(25℃、フォードカップNo.4)のポリエステル系上塗り艶ニスを得た。
【0026】
(実施例1)
ビスフェノール型由来原料を含まない、固形分水酸基価が8(mgKOH/g)、固形分酸価が5(mgKOH/g)で、数平均分子量が15,000であるポリエステル樹脂(A)60部に、沈降性硫酸バリウム30部、及びブチルセロソルブアセテート30部を配合し、ロールミルで練肉し、沈降性硫酸バリウム濃度25%のベースを得た。沈降性硫酸バリウムベース20.0部に対し、前記ポリエステル樹脂(A)を41.0部、ビスフェノール型由来原料を含まないメチルブチルエーテル化ベンゾグアナミン−メラミン共縮合樹脂であるアミノ樹脂(B)を12.5部添加、アクリル樹脂で表面処理を施したアルミペースト顔料(C)(旭化成メタルズ社製アルミペーストTR−2130、平均粒径13μm)を10.0部、数平均分子量6600のイソブチルアクリレート単独重合体(D)を0.08部、ヒドロキシエチルアクリレートを構成成分とするUVインキアンカー剤(E)を3.0部配合し混合撹拌、ソルベッソ100で粘度調整を実施し、200メッシュで濾過した後、不揮発分40%、粘度120秒(25℃、フォードカップNo.4)の3P金属缶外面用塗料組成物を得た。得られた3P金属缶外面用塗料組成物をブリキ板(スズメッキ量2.8g/m)上に焼き付け乾燥後の膜厚が約60mg/100cmになるように塗装し、160℃10分間焼き付けを行った。その上に更に、ポリエステル系の上塗り艶ニスを乾燥膜厚約70mg/100cmとなるよう塗装して、塗装金属板を得た。
【0027】
(実施例2)
ビスフェノール型由来原料を含まない、固形分水酸基価が8(mgKOH/g)、固形分酸価が5(mgKOH/g)で、数平均分子量が15,000であるポリエステル樹脂(A)60部に沈降性硫酸バリウム30部、及びブチルセロソルブアセテート30部を配合し、ロールミルで練肉し、沈降性硫酸バリウム濃度25%のベースを得た。沈降性硫酸バリウムベース20.0部に対し、前記ポリエステル樹脂(A)を41.0部、ビスフェノール型由来原料を含まないメチルブチルエーテル化ベンゾグアナミン−メラミン共縮合樹脂であるアミノ樹脂(B)を12.5部添加、アクリル樹脂で表面処理を施したアルミペースト顔料(C)(旭化成メタルズ社製アルミペーストTR−2100、平均粒径10μm)を10.0部、数平均分子量6600のイソブチルアクリレート単独重合体(D)を0.08部、ヒドロキシエチルアクリレートを構成成分とするUVインキアンカー剤(E)を3.0部配合し混合撹拌、ソルベッソ100で粘度調整を実施し、200メッシュで濾過した後、不揮発分40%、粘度120秒(25℃、フォードカップNo.4)の3P金属缶外面用塗料組成物を得た。得られた塗料組成物を用いて実施例1と同様の条件で塗装金属板を得た。
【0028】
(比較例1)
実施例1,2と同様に、前記ポリエステル樹脂(A)を60部に沈降性硫酸バリウム30部、及びブチルセロソルブアセテート30部を配合し、ロールミルで練肉し、沈降性硫酸バリウム濃度25%のベースを得た。沈降性硫酸バリウムベース20.0部に対し、前記ポリエステル樹脂(A)を41.0部、ビスフェノール型由来原料を含まないメチルブチルエーテル化ベンゾグアナミン−メラミン共縮合樹脂であるアミノ樹脂(B)を12.5部添加、表面未処理のアルミペースト顔料(旭化成メタルズ社製アルミペーストO−2130、平均粒径13μm)を10.0部、数平均分子量6600のイソブチルアクリレート単独重合体(D)を0.08部、ヒドロキシエチルアクリレートを構成成分とするUVインキアンカー剤(E)を3.0部配合し混合撹拌、ソルベッソ100で粘度調整を実施し、200メッシュで濾過した後、不揮発分40%、粘度120秒(25℃、フォードカップNo.4)の3P金属缶外面用塗料組成物を得た。得られた塗料組成物を用いて実施例1と同様の条件で塗装金属板を得た。
【0029】
(比較例2)
実施例1,2と同様に、前記ポリエステル樹脂(A)を60部に沈降性硫酸バリウム30部、及びブチルセロソルブアセテート30部を配合し、ロールミルで練肉し、沈降性硫酸バリウム濃度25%のベースを得た。沈降性硫酸バリウムベース20.0部に対し、前記ポリエステル樹脂(A)を41.0部、ビスフェノール型由来原料を含まないメチルブチルエーテル化ベンゾグアナミン−メラミン共縮合樹脂であるアミノ樹脂(B)を12.5部添加、アクリル樹脂で表面処理を施したアルミペースト顔料(C)(旭化成メタルズ社製アルミペーストT−2130、平均粒径13μm)を10.0部、数平均分子量6600のノルマルブチルアクリレート単独重合体を0.08部、ヒドロキシエチルアクリレートを構成成分とするUVインキアンカー剤(E)を3.0部配合し混合撹拌、ソルベッソ100で粘度調整を実施し、200メッシュで濾過した後、不揮発分40%、粘度120秒(25℃、フォードカップNo.4)の3P金属缶外面用塗料組成物を得た。得られた塗料組成物を用いて実施例1と同様の条件で塗装金属板を得た。
【0030】
(比較例3)
実施例1,2と同様に、前記ポリエステル樹脂(A)を60部に沈降性硫酸バリウム30部、及びブチルセロソルブアセテート30部を配合し、ロールミルで練肉し、沈降性硫酸バリウム濃度25%のベースを得た。沈降性硫酸バリウムベース20.0部に対し、前記ポリエステル樹脂(A)を41.0部、ビスフェノール型由来原料を含まないメチルブチルエーテル化ベンゾグアナミン−メラミン共縮合樹脂であるアミノ樹脂(B)を12.5部添加、アクリル樹脂で表面処理を施したアルミペースト顔料(C)(旭化成メタルズ社製アルミペーストT−2130、平均粒径13μm)を10.0部、数平均分子量6600のイソブチルアクリレート単独重合体(d−1)を0.08部配合し混合撹拌、ソルベッソ100で粘度調整を実施し、200メッシュで濾過した後、不揮発分40%、粘度120秒(25℃、フォードカップNo.4)の3P金属缶外面用塗料組成物を得た。得られた塗料組成物を用いて実施例1と同様の条件で塗装金属板を得た。
【0031】
(評価方法)
(UVインキの密着性):ダイキュアーNWB墨インキ(大日本インキ化学工業株式会社製)をRIテスターで展色した後、UV照射条件:高圧水銀灯120W、40m/minの条件で硬化させ、×印セロハン粘着テープ剥離試験を行い、剥離の有無を目視評価で行った。
【0032】
(耐レトルト性):塗装金属板を、水を半分入れた金属容器に半浸漬し130℃で30分スチーム処理を施した後の、外観の変化(塗膜の白濁・ブリスター等)を目視で評価した。
【0033】
(上塗り艶ニスの密着性):130℃で30分間スチーム処理後の塗装板の気相部・液相部を×印セロハン粘着テープ剥離試験を行い、剥離の有無を目視で判定した。
【0034】
(レトルト後意匠性):130℃で30分間スチーム処理後の塗装板の意匠性を目視で判定した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
判定基準 優れる:○−△−×:劣る 3段階評価
【0037】
結果が示すように、本発明の3P金属缶外面用塗料組成物は、耐レトルト性、・上層のUVインキ層、上塗り艶ニスの密着性を兼ね備えるとともに、塗膜として、高輝度シルバー色の意匠性を発揮することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の3P金属缶外面用塗料組成物及び該塗料組成物の乾燥硬化塗膜を有する3P金属缶は、高輝度のシルバー色の意匠性を有し、且つ耐レトルト性に優れた塗膜層を有するため、飲食物用のBPAフリー金属缶、特にレトルト条件の厳しいコーヒー飲料用3P金属缶として有用に用いられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビスフェノール型由来原料を含まないポリエステル樹脂、(B)硬化剤を有する樹脂成分、(C)アルミニウムフレーク表面にアクリル樹脂を被覆したアルミペースト顔料、(D)数平均分子量が5,000〜10,000であるイソブチルアクリレートの単独重合体、及び、(E)UVインキアンカー剤を含有し、該アルミペースト顔料の含有量がバインダー樹脂成分(A+B+D)の固形分100質量部に対し、5〜40質量部であることを特徴とする3P金属缶外面用ベースコート組成物。
【請求項2】
前記(A)ビスフェノール型由来原料を含まないポリエステル樹脂が、固形分水酸基価が5〜15、固形分酸価が10未満、数平均分子量が13,000〜18,000であるポリエステル樹脂であり、前記(B)硬化剤を有する樹脂成分中の硬化剤が、ビスフェノール型由来原料を含まない、メチルブチル混合エーテル化ベンゾグアナミン−メラミン共縮合樹脂である請求項1に記載の3P金属缶外面用ベースコート組成物。
【請求項3】
更に、沈降性硫酸バリウムを含有する請求項1又は2に記載の3P金属缶外面用ベースコート組成物。
【請求項4】
3P金属缶外面に、請求項1〜3のいずれかに記載された3P金属缶外面用ベースコート組成物の乾燥硬化塗膜層を有することを特徴とする3P金属缶。
【請求項5】
3P金属缶外面用ベースコート組成物の乾燥硬化塗膜量が20〜150mg/100cm2である請求項4に記載の3P金属缶。
【請求項6】
3P金属缶外面用塗料組成物層の上層にUVインキを用いた所望の印刷層を有する請求項4又は5の何れかに記載の3P金属缶。


【公開番号】特開2008−50486(P2008−50486A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229064(P2006−229064)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】