説明

4−ハロゲン化キノリン中間体を調製する方法

本発明は、式(I)の化合物を調製する方法であって、式(II)の化合物を、約75℃を超える温度で、式POXの試薬およびシリカゲルと反応させる工程を含み、X、PG、A、G、RおよびRにおける置換が、本明細書に記載される通りである、方法を対象とする。本方法では、パイロットプラント規模での攪拌の障害となるボールタールが形成されることがない。さらに、本方法では、従来の方法に較べて有意に高い収率で中間体が生成される。従来の方法の収率は典型的には30〜50%の範囲であったのに対し、本発明の方法は、50%を超える、典型的には約70%以上の収率をもたらす。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、生体活性化合物、例えば、受容体チロシンキナーゼ阻害剤の調製において中間体として4−ハロゲン化キノリン化合物を調製する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)は、細胞の成長および分化の調節において極めて重要である。PTKの一般的な種類の1つに、受容体チロシンキナーゼ(RTK)がある。RTKは、活性化されると、通常はリガンドの結合により、細胞の成長および複製などの種々の活性のシグナル伝達を開始する。
【0003】
RTKは、PTKの大きなファミリーの1つを含み、多様な生体活性を有する。現在、少なくとも19種類のRTKのサブファミリーが同定されている。このようなサブファミリーの1つに、「HER」ファミリーのRTKであり、これには、表皮成長因子受容体(EGFR)、ErbB2(HER2)、ErbB3(HER3)およびErbB4(HER4)が含まれる。
【0004】
特定の条件下では、突然変異または過剰発現のいずれかにより、これらのRTKの調節ができなくなり、その結果、細胞の増殖が調節されなくなり、ひいては腫瘍の成長や癌を引き起こす可能性があることが、研究により明らかにされている(非特許文献1および非特許文献2)。例えば、ErbB2癌遺伝子の受容体キナーゼ産物の過剰発現は、ヒトの乳癌および卵巣癌と関連している(非特許文献3および非特許文献4)。
【0005】
さらに、EGFRキナーゼの非調節は、類表皮腫瘍(非特許文献5)、乳房腫瘍(非特許文献6)、および他の主要臓器に関与する腫瘍(非特許文献7)と関連している。
【0006】
これらのRTKは、アポトーシス、血管形成および転移などの腫瘍の進行に極めて重要なプロセスに関与することも知られている。
【0007】
そのため、これらのRTKの阻害剤は、細胞の成長の非調節や異常を特徴とする癌や他の疾患の治療に対する潜在的な治療的価値を有する。したがって、近年の多くの研究では、抗癌治療薬の候補となる特定のRTK阻害剤の開発に取り組んできた(例えば、非特許文献8;および非特許文献9)。
【0008】
キノリン誘導体は、RTK阻害剤の合成における重要な中間体化合物であることが知られている。例えば、以下の特許文献1(2001年9月11日)および特許文献2(2001年10月2日)では、キノリン誘導体が開示され、それらの化合物がPTK活性の阻害に関与することが記載されている。
【0009】
さらに、4−ハロゲン化キノリン中間体を調製する種々の方法は、当該技術分野で既知であるが、これらの方法は、好ましくない副産物の生成などの深刻な制限を含んでいる。例えば、4−クロロキノリン誘導体の調製に使用する塩素化反応は、洗浄、除去が困難で、大規模な調製における攪拌を妨げる粘性タールおよび分解産物の生成の影響を受けており、その結果、大過剰のハロゲン化試薬を使用しなければ、通常は30〜50%の範囲で大幅に変動する収率をもたらし、それにより収率は60%に近づく場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6228082号明細書
【特許文献2】米国特許第6297258号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Wilks,A.F.,Adv.Cancer Res.(1993)60,43
【非特許文献2】Persons,J.T.;Parsons,S.J.,Important Advances in Oncology,DeVita,V.T.Ed.,J.B.Lippincott Co.,Phila.,3(1993)
【非特許文献3】Slamon,D.J.ら、Science(1989)244,707
【非特許文献4】Slamon,D.J.ら、Science(1987)235,177
【非特許文献5】Reiss,M.,ら、Cancer Res.,51,6254(1991))、
【非特許文献6】Macias,A.ら、Anticancer Res.(1987)7,459
【非特許文献7】Gullick,W.J.、Brit.Med.Bull.(1991)47,87
【非特許文献8】Traxler,P.,Exp.Opin.Ther.Patents(1998)8,1599
【非特許文献9】Bridges,A.J.,Emerging Drugs(1998)3,279
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、高収率で費用効率が高い方法で、RTK阻害剤の調製で使用される4−ハロゲン化キノリン化合物を調製する新規の方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
要旨
本発明は、RTK阻害剤などの生体活性化合物の調製における中間体として4−ハロゲン化キノリン化合物を調製する方法に関する。
【0014】
このため、本発明は、以下の式(I):
【0015】
【化1】

の化合物またはその塩を調製する方法であって、
以下の式(II):
【0016】
【化2】

の化合物を、シリカゲルの存在下において、約75℃を超える温度で、式POXの試薬と反応させる工程を含み、
式中、
Xがハロであり、
PGが、アシル、CHOC(O)−、EtOC(O)−、Fmoc、トリフルオロアセトアミド、Troc、Phenoc、ベンズアミド、Teoc、ならびにフタルイミド、マレイミドなどの環状イミド、ならびにピロール(例えば、2、5−ジメチルピロール)からなる群から選択される保護基であり、
AがO、NRまたはSであり、
RがH、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
G、RおよびRがそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜6個の炭素原子のアルケニル、2〜6個の炭素原子のアルキニル、2〜6個の炭素原子のアルケニルオキシ、2〜6個の炭素原子のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、1〜6個の炭素原子のアルカノイルオキシ、3〜8個の炭素原子のアルケノイルオキシ、3〜8個の炭素原子のアルキノイルオキシ、2〜7個の炭素原子のアルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子のアルケノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子のアルキノイルオキシメチル、2〜7個の炭素原子のアルコキシメチル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホンアミド、2〜6個の炭素原子のアルケニルスルホンアミド、2〜6個の炭素原子のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルコキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、フェノキシ、フタルイミド、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、1〜4個の炭素原子のアルコキシアミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜12個の炭素原子のジアルキルアミノ、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、4〜12個の炭素原子のN−アルキル−N−アルケニルアミノ、6〜12個の炭素原子のN,N−ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、
【0017】
【化3】

であるか、
あるいはRおよびRが、上で定義した通りであり、GがR−NH−であるか、
あるいは置換基R,RまたはGのいずれかが隣接する炭素原子に位置する場合には、それらが一緒になって2価の基−O−C(R−Oである場合があり、
Yが、
【0018】
【化4】

からなる群から選択される2価の基であり、
が、
【0019】
【化5】

であり、
Mが、
【0020】
【化6】

であり、
Wが、
【0021】
【化7】

または結合であり、
Hetが、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS、S−ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、ピリジン、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、チアゾール、チアゾリジン、テトラゾール、ピペラジン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロピランおよび
【0022】
【化8】

からなる群から選択され、
式中、Hetが、場合により炭素または窒素上でRによりモノまたはジ置換され、場合によりヒドロキシ、−N(Rまたは−ORにより炭素上でモノまたはジ置換され、場合により炭素上で1価の基
【0023】
【化9】

によりモノまたはジ置換され、場合により飽和炭素上で2価の基−O−または−O(C(RO−によりモノまたはジ置換され、
が、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜6個の炭素原子のアルケニル、2〜6個の炭素原子のアルキニル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、カルボキシアルキル(2〜7個の炭素原子)、フェニル、または場合により1つ以上のハロゲンで置換されるフェニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、1〜3個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、2〜7個の炭素原子のアルコキシメチル、2〜7個の炭素原子のアルカノイルオキシメチル、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、1〜6個の炭素原子のアルカノイルアミノまたは1〜6個の炭素原子のアルキルであるが、但し、アルケニル部分またはアルキニル部分が、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合していることを条件とし、
が、
【0024】
【化10】

【0025】
【化11】

【0026】
【化12】

からなる群から選択され、
が独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、カルボキシ、1〜6個の炭素原子のカルボアルコキシ、フェニル、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、
【0027】
【化13】

であり、
が独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、カルボキシ、1〜6個の炭素原子のカルボアルコキシ、2〜7個の炭素原子のフェニルカルボアルキル、
【0028】
【化14】

であり、
およびRがそれぞれ独立して、
【0029】
【化15】

であり、
Jが独立して、水素、塩素、フッ素または臭素であり、
Qが、1〜6個の炭素原子のアルキルまたは水素であり、
aが0または1であり、
gが1〜6であり、
kが0〜4であり、
nが0〜1であり、
mが0〜3であり、
pが2〜4であり、
qが0〜4であり、
rが1〜4であり、
sが1〜6であり、
uが0〜4であり、vが0〜4であり、u+vの合計が2〜4であり、
xが0〜3であり、
yが0〜1であり、
zが0〜3である、
方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
4−ハロゲン化キノリン化合物を調製する本発明の方法は、このような中間体化合物を調製する従来の方法よりも顕著な利点を多く有する。最も有意には、本方法では、パイロットプラント規模での攪拌の障害となるボールタールが形成されることがない。さらに、本方法では、従来の方法に較べて有意に高い収率で中間体が生成される。従来の方法の収率は典型的には30〜50%の範囲であったのに対し、本発明の方法は、50%を超える、典型的には約70%以上の収率をもたらす。さらに、現行の方法は、出発化合物のハロゲン化に必要な試薬を低減する。本発明で使用されるPOXの量は、50%を超える収率を得るのに有効な量でなければならず、典型的には約2.0〜約5.0当量の範囲になる。本発明の方法では、わずか2.0当量のPOXで優れた収率が得られる場合があるが、低収率をもたらす従来の方法を使用すると、2.5〜5.0当量が必要であった。このため、本方法は、大規模な合成においてより費用効率が高い。
【0031】
本発明のキノリン化合物は、アシル、CHOC(O)−、EtOC(O)−、Fmoc、トリフルオロアセトアミド、Troc、Phenoc、ベンズアミド、Teoc、ならびにフタルイミド、マレイミドなどの環状イミド、ならびに2、5−ジメチルピロールからなる群から選択される保護基(PG)を、キノリン環系の6位に結合する置換基Aに有する。保護基は、本方法の条件下で安定しているが、後に合成で6位をさらに変性できるように、その後除去することができる。
【0032】
これらの利点により、本方法は、従来の方法の多くの制限を克服し、RTK阻害剤などの生体活性化合物の調製で使用するキノリンコア化合物を調製する高い処理量とより費用効率の高い方法をもたらす。
【0033】
本発明において「アルキル」という用語は、12個もの炭素原子を含有できる直鎖および分枝鎖の両アルキル部分を含む。好ましくは、アルキル部分は1〜6個の炭素原子を含有し、1〜4個の炭素原子がより好ましい。
【0034】
本発明において「アルケニル」という用語は、1つの二重結合を含有する脂肪族炭化水素基を指し、2〜6個の炭素原子の直鎖および分枝鎖の両アルケニル部分を含む。このようなアルケニル部分は、E配座またはZ配座で存在する場合があり、本発明の化合物は両配座を含む。
【0035】
本発明において「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を有する2〜6個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両部分を含む。
【0036】
本発明において「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基を指し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニルまたはアダマンチルを含むが、これらに限定されない。
【0037】
本発明において「アリール」という用語は、芳香族炭化水素部分として定義され置換される場合もあれば、非置換である場合もある。アリール基は、好ましくは6〜12個の炭素原子を含有し、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、テトラヒドロナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インダニル基、ビフェニレニル基、アセナフテニル基、アセナフチレニル基またはフェナントレニル基の群から選択される場合があるが、これらに限定されない。アリール基は場合により、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロプロピル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオ、−SOH、−SONH、−SONHアルキル、−SON(アルキル)、−COH、CONH、CONHアルキルおよび−CON(アルキル)からなる群から選択されるが、これらに限定されない置換基でモノ置換、ジ置換、トリ置換またはテトラ置換される場合がある。アリールおよびヘテロアリールの好ましい置換基には、アルキル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリールアルキルおよびアルキルアリールが含まれる。
【0038】
本発明において「ヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール部分が、S、NおよびOからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5または6員環である、芳香族複素環系(単環式または二環式)として定義され、(1)フラン、チオフェン、インドール、アザインドール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、N−メチルピロール、ピラゾール、N−メチルピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、ベンズイソキサゾール、ベンズイミダゾール、N−メチルベンズイミダゾール、アザベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノリン、ピロリジニル、(2)フェニル、ピリジン、ピリミジンまたはピリジジン環が、(i)1個の窒素原子を有する6員芳香族(不飽和)複素環に縮合するか、(ii)2個の窒素原子を有する5または6員芳香族(不飽和)複素環に縮合するか、(iii)1個の酸素原子または1個の硫黄原子のいずれかとともに1個の窒素原子を有する5員芳香族(不飽和)複素環に縮合するか、あるいは(iv)O、NまたはSから選択される1個のヘテロ原子を有する5員芳香族(不飽和)複素環に縮合する、二環式芳香族複素環を含むが、これらに限定されない。好ましくは、二環式ヘテロアリール基は、8〜12個の炭素原子を含有する。
【0039】
本発明において「アルコキシ」という用語は、C−C−アルキル−O−(式中、アルキルは上で定義した通りである)として定義される。
【0040】
本発明において「アルカノイルオキシメチル」という用語は、−CHOC(O)R(式中、Rは、1〜6個の炭素原子のアルキルである)として定義される。
【0041】
本発明において「アルキルアミノアルコキシ」および「ジアルキルアミノアルコキシ」という用語は、1〜6個の炭素原子のアルコキシ基に結合する窒素原子に結合する1個または2個のアルキル基(同じまたは異なる)を有するアルキルアミノ部分およびジアルキルアミノ部分を指す。好ましくは、ジアルキルアミノアルコキシ部分は、3〜10個の炭素原子からなり、アルキルアミノアルコキシ部分は、2〜9個の炭素原子からなる。
【0042】
本発明において「アルキルチオ」という用語は、C−C−アルキル−Sとして定義される。
【0043】
本発明において「アルコキシアルキル」および「アルキルチオアルキル」は、上で定義したアルコキシまたはアルキルチオでさらに置換される上で定義したアルキル基を示す。好ましいアルコキシアルキル部分は、アルコキシメチル(例えば、アルコキシ−CH−)である。
【0044】
本発明において「ヒドロキシ」という用語は、HO−部分として定義される。
【0045】
本発明において「ヒドロキシアルキル」という用語は、HO−アルキル−部分(式中、アルキル部分は、1〜6個の炭素からなる)として定義される。
【0046】
本発明において「ベンゾイルアミノ」という用語は、Ph−OC(O)NH−部分として定義される。
【0047】
本発明において「モノアルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」という用語は、1個または2個のアルキル基を有する部分であって、アルキル鎖が1〜6個の炭素であり、これらの基が同じである場合もあれば、異なる場合もある、部分を指す。
【0048】
本発明において「モノアルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子のアルキル基に結合する窒素原子に結合する1個または2個のアルキル基(同じまたは異なる)を有するモノアルキルアミノ部分およびジアルキルアミノ部分を指す。好ましくは、ジアルキルアミノアルキル部分は、3〜10個の炭素原子からなり、アルキルアミノアルキル部分は、2〜9個の炭素原子からなる。
【0049】
本発明において「メルカプト」という用語は、−SH部分として定義される。
【0050】
本発明において「カルボキシ」という用語は、−COOH部分として定義される。
【0051】
本発明において「アルケノイルアミノ」および「アルキノイルアミノ」という用語は、−NH−COOR部分(式中、Rは、3〜8個の炭素原子のアルケニルまたはアルキニルである)として定義される。
【0052】
本発明において「カルボアルコキシ」という用語は、−COR(式中、Rは、1〜6個の炭素原子のアルキルである)として定義される。
【0053】
本発明において「カルボアルキル」という用語は、−COR(式中、Rは、1〜6個の炭素原子のアルキルである)として定義される。
【0054】
本発明において「カルボキシアルキル」という用語は、HOOCR−部分(式中、Rは、1〜6個の炭素原子のアルキルである)として定義される。
【0055】
本発明において「カルボアルコキシアルキル」という用語は、−R−CO−R’部分(式中、RおよびR’はアルキルであり、ともに2〜7個の炭素原子からなる)として定義される。
【0056】
本発明において「アミノアルキル」という用語は、HN−アルキル(式中、アルキル基は、1〜5個の炭素原子からなる)として定義される。
【0057】
本発明において「アジド」という用語は、式−Nの基として定義される。
【0058】
本発明において「アルカノイルアミノ」という用語は、−NH−COOR部分(式中、Rは、1〜6個の炭素原子のアルキルである)として定義される。
【0059】
本発明において「アシル」という用語は、式−(C=O)−アルキルまたは−(C=O)−パーフルオロアルキル(式中、アルキル基またはパーフルオロアルキル基は、1〜6個の炭素原子、すなわち、C〜CアルカノイルまたはC〜Cパーフルオロアルカノイルである)の基として定義される。好ましい例には、アセチル、プロピオニル、ブチリル、トリフルオロアセチルが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、トリフルオロアセチルは、化合物がトリフルオロアセトアミドとなるように、−NR−に結合する。
【0060】
本発明において「アルキルスルフィニル」という用語は、R’SO−基(式中、R’は、1〜6個の炭素原子のアルキル基である)として定義される。
【0061】
本発明において「アルキルスルホニル」という用語は、R’SO−基(式中、R’は、1〜6個の炭素原子のアルキル基である)として定義される。
【0062】
本発明において「アルキルスルホンアミド」、「アルケニルスルホンアミド」、「アルキニルスルホンアミド」は、R’SONH−基(式中、R’は、それぞれ1〜6個の炭素原子のアルキル基、2〜6個の炭素原子のアルケニル基、2〜6個の炭素原子のアルキニル基である)として定義される。
【0063】
「置換基」という用語は、分子上の水素基を置き換える原子基、官能基または部分基を指すものとして本明細書で使用される。特に明記されない限り、置換基のいずれかが、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、オキソ、アルキルチオ、メルカプト、ハロアルキルチオ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、アシル、−CO−アルキル、−SOH、−SONH、−SONH−アルキル、−SONH−(アルキル)、−COH、−CONH、−CONH−アルキルおよび−CON−(アルキル)から選択される1つ以上の基で場合により置換される場合があることを想定しなければならない。
【0064】
本発明において「ハロゲン」または「ハロ」基は、周期表の第VIIA族に含まれる非金属元素の1つである。したがって、本発明のハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはアスタチンから得られる1価部分である。好ましいハロゲンは、塩素、フッ素および臭素からなる群から選択される。
【0065】
本発明において「置換される」という用語は、分子上の水素基が別の原子基、官能基または部分基によって置き換えられていることを指し、これらの基は、一般的に「置換基」と呼ばれる。
【0066】
本発明において「収率」という用語は、反応またはプロセスによって生成される化合物の量を指す。典型的には、これは、精製手順を行った後、例えば、再結晶またはクロマトグラフィー後に回収される化合物の量を指す。この量は、通常、出発原料の量に対する回収された産物の割合で表され、一般的にはモル量に基づいている。例えば、1.0モルの出発原料を反応させ、精製後の回収産物が0.73モルである場合、産物は73%の収率で調製されたことになる。当業者であればこの概念を容易に理解するであろう。
【0067】
本発明において「保護基」という用語は、分子を試薬または条件に曝露して、分子の別の部分を変換または反応させる時に、感受性に富んだ官能基または分子上の特定の位置が反応しないように保護するために、分子中に導入される基を指す。この後、保護基は除去することができる。適切な保護基は、当該技術分野で既知であり、酸に不安定な保護基、塩基に不安定な保護基、光除去可能な保護基または中性条件下で除去可能な保護基を含む。例えば、参考として本明細書で援用される、Green,Protecting Groups in Organic Synthesis,Wiley,pp.218−288(1985)を参照されたい。
【0068】
本発明において、適切な保護基は、アシル、CHOC(O)−、EtOC(O)−、Fmoc、トリフルオロアセトアミド、Troc、Phenoc、ベンズアミド、Teoc、ならびにフタルイミド、マレイミドなどの環状イミド、ならびに2、5−ジメチルピロールである。好ましい一実施形態において、保護基はアシルであり、最も好ましくはアセチルである。保護基がトリフルオロアセトアミドまたはベンズアミドである場合、PGは、−NR−基に結合するN−トリフルオロアセチルまたはN−ベンゾイルである。保護基がフタルイミド、マレイミドなどの環状イミド、または2,5−ジメチルピロールである場合、キノリン環系の6位に結合するPG−NR−基は、イミド−窒素原子に結合する水素原子の除去によって環状イミド(例えば、フタルイミド、マレイミドまたは2,5−ジメチルピロール−1−イル)から得られる基である。
【0069】
本発明の方法によって調製される化合物は、不斉炭素原子を含有する場合があり、エナンチオマーおよびジアステレオマーなどの立体異性体を生じる可能性がある。本発明の立体異性体は、Cahn−Ingold−Prelog方式にしたがって命名される。本発明は、式(I)の立体化学に関係なく示されているが、個々の可能な立体異性体すべての他に、ラセミ混合物、その他のR立体異性体とS立体異性体との混合物(不均等な量のエナンチオマーの混合物であるスケールミック混合物)、ならびにそれらの塩を含む。
【0070】
前記方法はまた、式(I)の化合物の塩の調製および形成を含む。塩基として、キノリンは種々の酸塩を形成することができる。式(I)の化合物の塩は、当業者に既知の方法によって容易に調製される場合がある。本発明において塩は、有機酸および無機酸から得られる塩である。このような有機酸および無機酸は、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルコン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、および同様に既知の許容される酸である場合がある。一般的な鉱酸は、HCl、HSOおよびHNOである。これらの一覧は、単に例を示すものとして意図されており、網羅するものとして意図されていない。このため、本発明は、これらの例に限定されるものとして捉えてはならない。
【0071】
一般的な合成
スキーム1
【0072】
【化16】

スキーム1において、X、PG、A、 G、RおよびRは、上で定義した通りである。
【0073】
スキーム1に示した方法は、式(II)の化合物を、シリカゲルの存在下において、式POXの試薬を使用して式(I)の化合物に変換できることを示している。次いで、これらのキノリン中間体は、求核試薬と反応させることによって4位でさらに置換することができる。
【0074】
この反応物は、一般的に、約75℃以上に加熱されるが、好ましくは約80℃〜約85℃の範囲に加熱される。このことから、アセトニトリルが好ましい溶媒であると言えるが、当業者であればこの反応に適切な他の溶媒を心得ているであろう。
【0075】
好ましい一実施形態において、使用するハロゲン化ホスホリルは、塩化ホスホリルである。
【0076】
別の好ましい実施形態においては、出発ヒドロキシ化合物に対して約2.0当量のシリカゲルが反応で使用される。
【0077】
本発明の方法の好ましい一実施形態において、AはNR(式中、RはHまたはアルキルである)である。
【0078】
本発明の方法の別の実施形態において、この方法は、珪藻土(例えば、セライト)で反応混合物をろ過する工程と、ろ液を塩基性溶液でクエンチする工程と、その後、クエンチした混合物をろ過して、式(I)の化合物を単離する工程もさらに含む。より好ましくは、塩基性溶液は、水に溶解したKCOである。
【0079】
この方法は、式(I)の所望の化合物を、約50%を超える収率で提供する。多くの場合、収率は約70%を超える。
【0080】
本発明の方法の別の実施形態において、この方法によって調製される化合物は、それぞれ独立してH、アルキル、アルコキシ、CFO−、CF−および−CNであるG、RおよびRによって定義される。
【0081】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されており、いかなる方法によっても添付の特許請求の範囲に記載の発明を限定するものとして意図されず、またそのように解釈してはならない。
【実施例】
【0082】
(実施例1) 4−クロロ−3−シアノ−7−エトキシ−6−アセチルアミノキノリンの調製
3−シアノ−7−エトキシ−4−ヒドロキシ−6−アセチルアミノキノリン(150g、0.474mol)をアセトニトリル(1.35L)中でシリカゲル(60g)とともに攪拌し、この茶色の懸濁液を78〜82℃に加熱して、オキシ塩化リン(146g、0.949mol)を30〜40分かけて添加した。この混合物を78〜82℃にて1〜2時間攪拌した後、40〜45℃に冷却し、セライトパッドでろ過し、アセトニトリルで洗浄した。このろ液を、水(1.8L)中の炭酸カリウム溶液(262g、1.9mol)中で、0〜5℃にて45分かけてクエンチした。この茶淡色の懸濁液を5〜20℃にて少なくとも2時間攪拌した後、ろ過し、水で洗浄した。得られた茶色/黄褐色の固体を真空炉で50℃にて乾燥させて、105g(76.5%)を得た。
HPLC
濃度89.9%
総不純物=4.87%
個々の不純物=1.28%
GC(CHCN)=0.83%
乾燥減量(LOD)試験における重量減少に基づき測定される、またはカールフィシャー法(KF)によって測定される水分データ
KF=0.91%
LOD=1.3%。
【0083】
本発明の方法は、参考として本明細書で援用される、米国特許第6002008号に開示される化合物の調製に使用することができる。式(I)の化合物から以下の式(III)の化合物への変換は、米国特許第6002008号に開示される以下の方法により、当業者によって達成することができる。
【0084】
以下の式(III)の化合物であって:
【0085】
【化17】

式中、
Zが置換フェニルであり、
が水素であり、
が水素であり、
12およびR13がそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜6個の炭素原子のアルケニル、2〜6個の炭素原子のアルキニル、2〜6個の炭素原子のアルケニルオキシ、2〜6個の炭素原子のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、1〜6個の炭素原子のアルカノイルオキシ、3〜8個の炭素原子のアルケノイルオキシ、3〜8個の炭素原子のアルキノイルオキシ、2〜7個の炭素原子のアルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子のアルケノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子のアルキノイルオキシメチル、2〜7個の炭素原子のアルコキシメチル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホンアミド、2〜6個の炭素原子のアルケニルスルホンアミド、2〜6個の炭素原子のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルコキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、1〜4個の炭素原子のアルコキシアミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜12個の炭素原子のジアルキルアミノ、1〜4個の炭素原子のアミノアルキル、2〜7個の炭素原子のN−アルキルアミノアルキル、3〜14個の炭素原子のN,N−ジアルキルアミノアルキル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、
【0086】
【化18】

であり、
15が、1〜6個の炭素原子のアルキル、場合により1つ以上のハロゲン原子で置換されるアルキル、フェニル、または場合により1つ以上のハロゲンで置換されるフェニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、シアノ、または1〜6個の炭素原子のアルキルであり、
16が、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、または2〜6個の炭素原子のアルケニルであり、
17がクロロまたはブロモであり、
18が、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のアミノアルキル、2〜9個の炭素原子のN−アルキルアミノアルキル、3〜12個の炭素原子のN,N−ジアルキルアミノアルキル、4〜12個の炭素原子のN−シクロアルキルアミノアルキル、5〜18個の炭素原子のN−シクロアルキル−N−アルキルアミノアルキル、7〜18個の炭素原子のN,N−ジシクロアルキルアミノアルキル、アルキル基が1〜6個の炭素原子であるモルホリノ−N−アルキル、アルキル基が1〜6個の炭素原子であるピペリジノ−N−アルキル、いずれかのアルキル基が1〜6個の炭素原子であるN−アルキル−ピペリジノ−N−アルキル、3〜11個の炭素原子のアザシクロアルキル−N−アルキル、1〜6個の炭素原子のヒドロキシアルキル、2〜8個の炭素原子のアルコキシアルキル、カルボキシ、1〜6個の炭素原子のカルボアルコキシ、フェニル、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、クロロ、フルオロ、またはブロモであり、
Y’が、−NH−、−O−、−S−または−NR−であり、
Z’が、アミノ、ヒドロキシ、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、アルキル部分が1〜6個の炭素原子からなるアルキルアミノ、アルキル部分のそれぞれが1〜6個の炭素原子からなるジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペラジノ、アルキル部分が1〜6個の炭素原子からなるN−アルキルピペラジノ、またはピロリジノであり、
mmが1〜4であり、qqが1〜3であり、ppが0〜3であり、
隣接する炭素原子に位置する置換基R、R12、R13またはRのいずれかが一緒になって、2価の基−O−C(R18−O−となってもよいが、
但し、R12が酸素原子、硫黄原子または窒素原子によって6位においてキノリンに結合することを条件とする、
化合物;あるいはその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
以下の式(II)の化合物であって:
【0087】
【化19】

式中、
Xがハロであり、
PGが、アシル、CHOC(O)−、EtOC(O)−、Fmoc、Troc、Phenoc、N−ベンゾイル、Teocからなる群から選択される保護基であり、
AがO、NRまたはSであり、
RがH、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか、
あるいはPG−NR−基が、イミド−窒素原子に結合する水素原子の除去によって環状イミドから得られる基の形態での保護アミノであり、
、RおよびR13が、式(III)について上で定義した通りである、
化合物を、シリカゲルの存在下において、約75℃を超える温度で、式POXの試薬と反応させて、以下の式(I)の化合物:
【0088】
【化20】

を生成する工程と;
式(I)の化合物を式(III)の化合物に変換させる工程と、
を含む、方法。
【0089】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、3−シアノ−7−エトキシ−4−ヒドロキシ−6−(保護アミノ)キノリンを、シリカゲルの存在下において、約75℃を超える温度で、式POX(式中、Xはハロである)の試薬と反応させて、3−シアノ−7−エトキシ−4−ハロ−6−(保護アミノ)キノリンを生成する工程と、3−シアノ−7−エトキシ−4−ハロ−6−(保護アミノ)キノリンを、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドまたはその薬学的に許容される塩に変換させる工程と、を含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化21】

の化合物またはその塩を調製する方法であって、該方法は、
以下の式(II):
【化22】

の化合物を、シリカゲルの存在下において、約75℃を超える温度で、式POXの試薬と反応させる工程を含み、
式中、
Xがハロであり、
PGが、アシル、CHOC(O)−、EtOC(O)−、Fmoc、Troc、Phenoc、N−ベンゾイル、Teocからなる群から選択される保護基であり、
AがO、NRまたはSであり、
RがH、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか、
あるいはPG−NR−基が、イミド−窒素原子に結合する水素原子の除去によって環状イミドから得られる基の形態での保護アミノであり、
G、RおよびRがそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜6個の炭素原子のアルケニル、2〜6個の炭素原子のアルキニル、2〜6個の炭素原子のアルケニルオキシ、2〜6個の炭素原子のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、1〜6個の炭素原子のアルカノイルオキシ、3〜8個の炭素原子のアルケノイルオキシ、3〜8個の炭素原子のアルキノイルオキシ、2〜7個の炭素原子のアルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子のアルケノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子のアルキノイルオキシメチル、2〜7個の炭素原子のアルコキシメチル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホンアミド、2〜6個の炭素原子のアルケニルスルホンアミド、2〜6個の炭素原子のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルコキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、フェノキシ、フタルイミド、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、1〜4個の炭素原子のアルコキシアミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜12個の炭素原子のジアルキルアミノ、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、4〜12個の炭素原子のN−アルキル−N−アルケニルアミノ、6〜12個の炭素原子のN,N−ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、
【化23】

であるか、
あるいはRおよびRが、上で定義した通りであり、GがR−NH−であるか、
あるいはRおよびGが一緒になって2価の基−O−C(R−Oである場合があり、
Yが、
【化24】

からなる群から選択される2価の基であり、
が、
【化25】

であり、
Mが、
【化26】

であり、
Wが、
【化27】

または結合であり、
Hetが、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS,S−ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、ピリジン、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、チアゾール、チアゾリジン、テトラゾール、ピペラジン、フラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロピランおよび
【化28】

からなる群から選択され、
式中、Hetが、場合により炭素または窒素上でRによりモノまたはジ置換され、場合により炭素上でヒドロキシ、−N(Rまたは−ORによりモノまたはジ置換され、場合により炭素上で1価の基
【化29】

によりモノまたはジ置換され、場合により飽和炭素上で2価の基−O−または−O(C(RO−によりモノまたはジ置換され、
が水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜6個の炭素原子のアルケニル、2〜6個の炭素原子のアルキニル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、2〜7個の炭素原子のカルボキシアルキル、フェニル、または場合により1つ以上のハロゲンで置換されるフェニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、1〜3個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、2〜7個の炭素原子のアルコキシメチル、2〜7個の炭素原子のアルカノイルオキシメチル、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、1〜6個の炭素原子のアルカノイルアミノまたは1〜6個の炭素原子のアルキルであるが、但し、該アルケニル部分またはアルキニル部分が、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合していることを条件とし、
が、
【化30】

【化31】

【化32】

からなる群から選択され、
が独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、カルボキシ、1〜6個の炭素原子のカルボアルコキシ、フェニル、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、
【化33】

であり、
が独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、カルボキシ、1〜6個の炭素原子のカルボアルコキシ、2〜7個の炭素原子のフェニルカルボアルキル、
【化34】

であり、
およびRがそれぞれ独立して、
【化35】

であり、
Jが独立して、水素、塩素、フッ素または臭素であり、
Qが、1〜6個の炭素原子のアルキルまたは水素であり、
aが0または1であり、
gが1〜6であり、
kが0〜4であり、
nが0〜1であり、
mが0〜3であり、
pが2〜4であり、
qが0〜4であり、
rが1〜4であり、
sが1〜6であり、
uが0〜4であり、vが0〜4であり、u+vの合計が2〜4であり、
xが0〜3であり、
yが0〜1であり、
zが0〜3であり、
PGの定義における「アシル」が、C〜CアルカノイルまたはC〜Cパーフルオロアルカノイルとして定義される、
方法。
【請求項2】
AがNRであり、RがHまたはアルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
XがClである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記温度が約80℃〜85℃である、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
PGがアセチルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
G、RおよびRがそれぞれ独立して、H、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびCNである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
がHである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
がHである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
Gがアルコキシである、請求項6、7または8に記載の方法。
【請求項10】
Gがエトキシである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1.珪藻土で反応混合物をろ過する工程と、
2.ろ液を塩基性溶液でクエンチする工程と、
3.クエンチした混合物をろ過して、式(I)の化合物を単離する工程と、
をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基性溶液が、KCO水溶液である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(I)の化合物が約50%を超えて得られる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
式(I)の化合物が約70%を超えて得られる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
式(II)の化合物に対して約2.0当量のシリカゲルが反応で使用される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
式(II)の化合物に対して約2.0当量のPOXが反応で使用される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
以下の式(I):
【化36】

の化合物を調製する方法であって、該方法は、
以下の式(II):
【化37】

の化合物を、シリカゲルの存在下において、約75℃を超える温度で、式POXの試薬と反応させる工程を含み、
式中、
Xがハロであり、
PG−A−が、2,4−ジメチルピロール−1−イルであり、
G、RおよびRが、請求項1で定義した通りである、
方法。
【請求項18】
以下の式(III)の化合物であって:
【化38】

式中、
Zが置換フェニルであり、
が水素であり、
が水素であり、
12およびR13がそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜6個の炭素原子のアルケニル、2〜6個の炭素原子のアルキニル、2〜6個の炭素原子のアルケニルオキシ、2〜6個の炭素原子のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、1〜6個の炭素原子のアルカノイルオキシ、3〜8個の炭素原子のアルケノイルオキシ、3〜8個の炭素原子のアルキノイルオキシ、2〜7個の炭素原子のアルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子のアルケノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子のアルキノイルオキシメチル、2〜7個の炭素原子のアルコキシメチル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホンアミド、2〜6個の炭素原子のアルケニルスルホンアミド、2〜6個の炭素原子のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルコキシ、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、1〜4個の炭素原子のアルコキシアミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜12個の炭素原子のジアルキルアミノ、1〜4個の炭素原子のアミノアルキル、2〜7個の炭素原子のN−アルキルアミノアルキル、3〜14個の炭素原子のN,N−ジアルキルアミノアルキル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、
【化39】

であり、
15が、1〜6個の炭素原子のアルキル、場合により1つ以上のハロゲン原子で置換されるアルキル、フェニル、または場合により1つ以上のハロゲンで置換されるフェニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、シアノ、または1〜6個の炭素原子のアルキルであり、
16が、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、または2〜6個の炭素原子のアルケニルであり、
17がクロロまたはブロモであり、
18が、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のアミノアルキル、2〜9個の炭素原子のN−アルキルアミノアルキル、3〜12個の炭素原子のN,N−ジアルキルアミノアルキル、4〜12個の炭素原子のN−シクロアルキルアミノアルキル、5〜18個の炭素原子のN−シクロアルキル−N−アルキルアミノアルキル、7〜18個の炭素原子のN,N−ジシクロアルキルアミノアルキル、アルキル基が1〜6個の炭素原子であるモルホリノ−N−アルキル、アルキル基が1〜6個の炭素原子であるピペリジノ−N−アルキル、いずれかのアルキル基が1〜6個の炭素原子であるN−アルキル−ピペリジノ−N−アルキル、3〜11個の炭素原子のアザシクロアルキル−N−アルキル、1〜6個の炭素原子のヒドロキシアルキル、2〜8個の炭素原子のアルコキシアルキル、カルボキシ、1〜6個の炭素原子のカルボアルコキシ、フェニル、2〜7個の炭素原子のカルボアルキル、クロロ、フルオロ、またはブロモであり、
Y’が、−NH−、−O−、−S−または−NR−であり、
Z’が、アミノ、ヒドロキシ、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、アルキル部分が1〜6個の炭素原子からなるアルキルアミノ、アルキル部分のそれぞれが1〜6個の炭素原子からなるジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペラジノ、アルキル部分が1〜6個の炭素原子からなるN−アルキルピペラジノ、またはピロリジノであり、
mmが1〜4であり、qqが1〜3であり、ppが0〜3であり、
隣接する炭素原子に位置する置換基R、R12、R13またはRのいずれかが一緒になって、2価の基−O−C(R18−O−となってもよいが、
但し、R12が酸素原子、硫黄原子または窒素原子によって6位においてキノリンに結合することを条件とする、
化合物;あるいはその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
以下の式(II)の化合物であって:
【化40】

式中、
Xがハロであり、
PGが、アシル、CHOC(O)−、EtOC(O)−、Fmoc、Troc、Phenoc、N−ベンゾイル、Teocからなる群から選択される保護基であり、
AがO、NRまたはSであり、
RがH、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか、
あるいは基PG−NR−が、イミド−窒素原子に結合する水素原子の除去によって環状イミドから得られる基の形態での保護アミノであり、
、RおよびR13が、式(III)について上で定義した通りである、
化合物を、シリカゲルの存在下において、約75℃を超える温度で、式POXの試薬と反応させて、以下の式(I)の化合物:
【化41】

を生成する工程と;
式(I)の化合物を式(III)の化合物に変換させる工程と、
を含む、方法。
【請求項19】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、3−シアノ−7−エトキシ−4−ヒドロキシ−6−(保護アミノ)キノリンを、シリカゲルの存在下において、約75℃を超える温度で、式POX(式中、Xはハロである)の試薬と反応させて、3−シアノ−7−エトキシ−4−ハロ−6−(保護アミノ)キノリンを生成する工程と、3−シアノ−7−エトキシ−4−ハロ−6−(保護アミノ)キノリンを、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドまたはその薬学的に許容される塩に変換させる工程と、を含む、方法。

【公表番号】特表2009−538306(P2009−538306A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512114(P2009−512114)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/012211
【国際公開番号】WO2007/139797
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】