説明

4−置換アザアダマンタン誘導体およびそれの使用方法

本発明は、4−置換アザアダマンタン誘導体である化合物、そのような化合物を含む組成物、ならびにそのような化合物および組成物の使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−置換アザアダマンタン誘導体、そのような化合物を含む組成物、ならびにそのような化合物および組成物を用いる状態および障害の予防もしくは治療方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リガンド依存性イオンチャンネル(LGIC)のスーパーファミリーに属するニコチン性アセチルコリン受容体類(nAChR類)は、中枢神経系(CNS)および末神経系(PNS)全体に広く分布しており、アセチルコリン(Ach)によって制御されるカチオンの流れを開閉する。nAChR類は、筋接合部(NMJ)および神経nAChR類のニコチン性受容体または神経ニコチン性受容体(NNR類)に分類することができる。NNR類は、CNS機能および神経伝達物質、例えばアセチルコリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、セロトニンおよびGABAなど(これらに限定されるものではない)の放出の調節において重要な役割を果たすと理解されている。結果的に、ニコチン性受容体は、非常に広範囲の生理効果に介在し、特に認識機能、学習および記憶、神経変性、疼痛および炎症、精神病および感覚ゲート開閉、気分および情緒に関係する障害の治療的処置における標的となってきた。
【0003】
NNR類の多くのサブタイプが、CNSおよび末梢に存在する。各サブタイプは、全体的な生理機能の調節に対して異なる効果を有する。
【0004】
代表的にはNNR類は、サブユニットタンパク質の五量体組立物から構成されるイオンチャンネルである。α2からα10およびβ1からβ4、γ、δおよびεと識別されるnAChR類の16種類のサブユニットが、今日までに報告されている。これらのサブユニットのうち、9種類のサブユニット、すなわちα2からα7およびβ2からβ4が哺乳類の脳において顕著に存在する。複数の機能的に異なるnAChR複合体も存在し、例えば5種類のα7サブユニットがホモマー機能性の5量体として受容体を形成していることができるか、α4β2およびα3β4受容体の場合のように異なるサブユニットの組み合わせが一体となって複合体形成していることができる(例えば、Vincler, M., McIntosh, J. M., Targeting the α9α10 nicotinic acetylcholine receptor to treat severe pain, Exp. Opin. Ther. Targets, 2007, 11(7): 891-897;Paterson, D. and Nordberg, A., Neuronal nicotinic receptors in the human brain, Prog. Neurobiol. 2000, 61: 75-111;Hogg, R.C., Raggenbass, M., Bertrand, D., Nicotinic acetylcholine receptors: from structure to brain function, Rev. Physiol, Biochem. Pharmacol, 2003, 147: 1-46;Gotti, C, Clementi, F., Neuronal nicotinic receptors: from structure to pathology, Prog. Neurobiol, 2004, 74: 363-396参照)。これらのサブユニットは、多様な受容体サブタイプを構成する非常に多様なホモマーおよびヘテロマーの組み合わせを提供する。
【0005】
NNR類は概して、学習、記憶、注意などの各種認知機能に関与しており、従ってCNS障害、すなわちアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、トゥレット・シンドローム、統合失調症、躁鬱病、疼痛およびたばこ依存症に関与している(例えば、Keller, J.J., Keller, A.B., Bowers, B.J., Wehner, J. M., Performance of alpha7 nicotinic receptor null mutants is impaired in appetitive learning measured in a signaled nose poke task, Behav. Brain Res., 2005, 162: 143-52;Gundish, D., Nicotinic acetylcholine receptor ligands as potential therapeutics, Expert Opin. Ther. Patents, 2005, 15 (9): 1221-1239;De Luca, V., Likhodi, O., Van Tol, H. H., Kennedy, J. L., Wong, A. H., Regulation of alpha7-nicotinic receptor subunit and alpha7-like gene expression in the prefrontal cortex of patients with bipolar disorder and schizophrenia, Acta Psychiatr. Scand., 2006, 114: 211-5参照)。
【0006】
ホモマーα7受容体は、α4β2受容体とともに、ヒトの脳において最も豊富に存在するニコチン性受容体の一つであり、脳において、海馬、大脳皮質、視床核、腹側被蓋領域および黒質で大きく発現される(例えば、Broad, L. M., Sher, E., Astles, P. C, Zwart, R., O′Neill, M. J., Selective α7 nicotinic acetylcholine receptor ligands for the treatment of neuropsychiatric diseases, Drugs of the Future, 2007, 32(2): 161-170参照)。
【0007】
CNSでの神経シグナリングにおけるα7NNR類の役割についても活発に研究が行われてきた(例えば、Couturier, S., Bertrand, D., Matter, J. M., Hernandez, M.C., Bertrand, S., Millar, N., Valera, S., Barkas, T., Ballivet, M., A neuronal nicotinic acetylcholine receptor subunit (alpha 7) is developmentalIy regulated and forms a homo-oligomeric channel blocked by alpha-BTX, Neuron, 1990, 5: 847-56参照)。α7NNR類は、介在ニューロン興奮性を制御し、興奮性および阻害性の神経伝達物質の放出を調節し、細胞損傷の実験的なイン・ビトロモデルにおいて神経保護作用を生じることが示されている(例えば、Alkondon, M., Albuquerque, E.X. The nicotinic acetylcholine receptor subtypes and their function in the hippocampus and cerebral cortex, Prog. Brain Res. 2004; 145: 109-20参照)。
【0008】
生物物理試験から、α7サブユニットが、異種発現系で発現されると、急速に活性化および脱感作し、さらには他のNNRの組み合わせと比較して相対的に高いカルシウム透過性を示すことが明らかになっている(例えば、Dajas-Bailador, F., Wonnacott, S. Nicotinic acetylcholine receptors and the regulation of neuronal signalling. Trends Pharmacol. Sci. 2004; 25: 317-24参照)。
【0009】
NNRリガンドは、禁煙、体重管理において、そして強力な鎮痛薬としても示唆されている(例えば、Balbani, A. P. S., Montovani, J. C., Recent developments for smoking cessation and treatment of nicotine dependence, Exp. Opin. Ther. Patents, 2003, 13(7): 287-297;Gurwitz, D., The therapeutic potential of nicotine and nicotinic agonists for weight control, Exp. Opin. Invest. Drugs, 1999, 8(6): 747-760;Vincler, M., Neuronal nicotinic receptors as targets for novel analgesics, Exp. Opin. Invest. Drugs, 2005, 14(10): 1191-1198;Bunnelle, W. H., Decker, M. W., Neuronal nicotinic acetylcholine receptor ligands as potential analgesics, Exp. Opin. Ther Patents, 2003, 13(7): 1003-1021;Decker, M. W., Meyer, M. D., Sullivan, J. P., The therapeutic potential of nicotinic acetylcholine receptor agonists for pain control, Exp. Opin. Invest. Drugs, 2001, 10(10): 1819-1830;Vincler, M., McIntosh, J. M., Targeting the α9α10 nicotinic acetylcholine receptor to treat severe pain, Exp. Opin. Ther. Targets, 2007, 11(7): 891-897参照)。
【0010】
α7およびα4β2NNR類は、学習、記憶および注意の側面などの認識機能を高める上で重要な役割を果たすことが明らかになっている(Levin, E.D., J. Neurobiol. 53: 633-640, 2002)。例えば、α7NNR類は、全身活動の中でも特に、注意欠陥障害、ADHD、AD、軽度認識障害、老年性認知症、レビ小体関連の認知症、ダウン症候群関連の認知症、AIDS認知症、ピック病、ならびに統合失調症関連の認知障害(CDS)に関連付けられている。α4β2受容体サブタイプは、注意、認知、癲癇および疼痛管理で示唆されている(Paterson, D. and Nordberg, A., Neuronal nicotinic receptors in the human brain, Prog. Neurobiol. 2000, 61: 75-111)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Vincler, M., McIntosh, J. M., Targeting the α9α10 nicotinic acetylcholine receptor to treat severe pain, Exp. Opin. Ther. Targets, 2007, 11(7): 891-897.
【非特許文献2】Paterson, D. and Nordberg, A., Neuronal nicotinic receptors in the human brain, Prog. Neurobiol. 2000, 61: 75-111.
【非特許文献3】Hogg, R.C., Raggenbass, M., Bertrand, D., Nicotinic acetylcholine receptors: from structure to brain function, Rev. Physiol, Biochem. Pharmacol, 2003, 147: 1-46.
【非特許文献4】Gotti, C, Clementi, F., Neuronal nicotinic receptors: from structure to pathology, Prog. Neurobiol, 2004, 74: 363-396.
【非特許文献5】Keller, J.J., Keller, A.B., Bowers, B.J., Wehner, J. M., Performance of alpha7 nicotinic receptor null mutants is impaired in appetitive learning measured in a signaled nose poke task, Behav. Brain Res., 2005, 162: 143-52.
【非特許文献6】Gundish, D., Nicotinic acetylcholine receptor ligands as potential therapeutics, Expert Opin. Ther. Patents, 2005, 15 (9): 1221-1239.
【非特許文献7】De Luca, V., Likhodi, O., Van Tol, H. H., Kennedy, J. L., Wong, A. H., Regulation of alpha7-nicotinic receptor subunit and alpha7-like gene expression in the prefrontal cortex of patients with bipolar disorder and schizophrenia, Acta Psychiatr. Scand., 2006, 114: 211-5.
【非特許文献8】Broad, L. M., Sher, E., Astles, P. C, Zwart, R., O′Neill, M. J., Selective α7 nicotinic acetylcholine receptor ligands for the treatment of neuropsychiatric diseases, Drugs of the Future, 2007, 32(2): 161-170.
【非特許文献9】Couturier, S., Bertrand, D., Matter, J. M., Hernandez, M.C., Bertrand, S., Millar, N., Valera, S., Barkas, T., Ballivet, M., A neuronal nicotinic acetylcholine receptor subunit (alpha 7) is developmentalIy regulated and forms a homo-oligomeric channel blocked by alpha-BTX, Neuron, 1990, 5: 847-56.
【非特許文献10】Alkondon, M., Albuquerque, E.X. The nicotinic acetylcholine receptor subtypes and their function in the hippocampus and cerebral cortex, Prog. Brain Res. 2004; 145: 109-20.
【非特許文献11】Dajas-Bailador, F., Wonnacott, S. Nicotinic acetylcholine receptors and the regulation of neuronal signalling. Trends Pharmacol. Sci. 2004; 25: 317-24.
【非特許文献12】Balbani, A. P. S., Montovani, J. C., Recent developments for smoking cessation and treatment of nicotine dependence, Exp. Opin. Ther. Patents, 2003, 13(7): 287-297.
【非特許文献13】Gurwitz, D., The therapeutic potential of nicotine and nicotinic agonists for weight control, Exp. Opin. Invest. Drugs, 1999, 8(6): 747-760.
【非特許文献14】Vincler, M., Neuronal nicotinic receptors as targets for novel analgesics, Exp. Opin. Invest. Drugs, 2005, 14(10): 1191-1198.
【非特許文献15】Bunnelle, W. H., Decker, M. W., Neuronal nicotinic acetylcholine receptor ligands as potential analgesics, Exp. Opin. Ther Patents, 2003, 13(7): 1003-1021.
【非特許文献16】Decker, M. W., Meyer, M. D., Sullivan, J. P., The therapeutic potential of nicotinic acetylcholine receptor agonists for pain control, Exp. Opin. Invest. Drugs, 2001, 10(10): 1819-1830.
【非特許文献17】Vincler, M., McIntosh, J. M., Targeting the α9α10 nicotinic acetylcholine receptor to treat severe pain, Exp. Opin. Ther. Targets, 2007, 11(7): 891-897.
【非特許文献18】Levin, E.D., J. Neurobiol. 53: 633-640, 2002.
【非特許文献19】Paterson, D. and Nordberg, A., Neuronal nicotinic receptors in the human brain, Prog. Neurobiol. 2000, 61: 75-111.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
植物アルカロイドニコチンなどのある種の化合物は、nAChRのあらゆる公知のサブタイプと相互作用して、その化合物の奥深い生理効果をもたらす。ニコチンは、投与すると、注意および認識成績を高め、不安を軽減し、感覚ゲート開閉を促進し、鎮痛効果および神経保護効果を提供することが知られている。そのような効果には、各種ニコチン受容体サブタイプでのニコチンの非選択的効果が介在している。しかしながら、ニコチンも、心血管および消化管の問題などの有害な結果を生じるものであり、それの習慣性および急性毒性が知られている。従って、副作用を排除または低減しながら、ニコチンの有用な効果を誘発するサブタイプ選択的化合物を確認する必要がある。
【0013】
NNRでの活性は、サブタイプ選択的NNRリガンドの投与によって変化させたり、調節することができる。そのリガンドは、拮抗薬特性、作働薬特性または部分作働薬特性を示すことができることから、各種の認識障害の治療において有望である。
【0014】
α4β2およびα7NNR類などの広範囲のニコチン受容体サブタイプで非選択的に活性を示す化合物が知られているが、他のサブタイプと比較してα7含有神経NNR類、α4β2NNR類またはα7およびα4β2の両方のNNR類と選択的に相互作用する化合物を提供することが有用であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、4−置換アザアダマンタン誘導体ならびにそのような化合物を含む組成物、そしてそれの使用方法に関するものである。
【0016】
本発明の1態様は、下記式(I)の化合物またはその化合物の製薬上許容される塩、アミド、エステルまたはプロドラッグに関するものである。
【0017】
【化1】

式中、
は、結合、−N(R)−C(O)−、−O−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−または−N(R)−であり、−N(R)−C(O)−および−O−C(O)−の−C(O)部分は式(I)のAに結合しており;
Aは、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、複素環アルキル、シクロアルキルアルキルまたはシクロアルケニルアルキルであり;
、RおよびRは各場合で、それぞれ独立に水素、アルキルまたはハロアルキルである。
【0018】
本発明の別の態様は、本発明の化合物を含む医薬組成物に関するものである。そのような組成物は、本発明の方法に従って、代表的にはNNR活性、より詳細にはα7NNR活性、α4β2NNR活性またはα7NNR活性およびα4β2NNR活性の両方に関係する状態および障害の治療または予防のための治療方法の一部として投与することができる。
【0019】
本発明の別の態様は、α7NNR活性、α4β2NNR活性またはα7NNR活性およびα4β2NNR活性の両方を調節する方法に関するものである。その方法は、哺乳動物でα7NNR活性、α4β2NNR活性、またはα7NNR活性およびα4β2NNR活性の両方に関係する状態および障害について治療、予防または治療と予防の両方を行う上で有用である。詳細にはその方法は、全身性および神経免疫調節活動の中でも注意欠陥障害、ADHD、AD、パーキンソン病、トゥレット・シンドローム、統合失調症、統合失調症の認知障害(CDS)、軽度認識障害、加齢性記憶障害(AAMI)、老年性認知症、AIDS認知症、ピック病、レビ小体関連の認知症、ダウン症候群関連の認知症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、外傷性脳損傷関連のCNS機能低下、急性疼痛、術後疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、禁煙、虚血、敗血症、創傷治癒および糖尿病関連の他の合併症に関係する状態および障害に有用である。
【0020】
本明細書においては、置換アザアダマンタン誘導体のα7ニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合アフィニティを評価する上で有用な放射標識化合物についても説明する。
【0021】
前記化合物、その化合物を含む組成物、ならびにその化合物を投与することによる状態および障害の治療もしくは予防方法について、本明細書でさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
用語の定義
本発明の置換基もしくは化合物または本明細書におけるいずれか他の式において2以上存在する可変要素に関しては、各場合でのそれの定義は、他の全ての場合でのそれの定義から独立である。置換基の組み合わせは、そのような組み合わせによって安定な化合物が生じる場合にのみ許容されるものである。安定な化合物は、反応混合物から有用な程度の純度で単離できる化合物である。
【0023】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、相反する意味に具体的に記載されていない限り、以下の用語は、ここに示した意味を有する。
【0024】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、2から10個の炭素を有し、2個の水素の脱離によって形成された少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素鎖を意味する。アルケニルの代表例には、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニルおよび3−デセニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、炭素原子1から10個を含む直鎖または分岐の飽和炭化水素を意味し、低級アルキル、C1−6アルキルおよびC1−3アルキルなどがある。「低級アルキル」または「C1−6アルキル」という用語は、1から6個の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素を意味する。「C1−3アルキル」という用語は、1から3個の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素を意味する。アルキルの代表例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルおよびn−デシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
「アルキレン」という用語は、1から10個の炭素原子の直鎖もしくは分岐の炭化水素から誘導される2価の基を示している。アルキレンの代表例には、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−および−CHCH(CH)CH−などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、炭素原子数2から10個であり、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例には、アセチレニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニルおよび1−ブチニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、フェニル、二環式アリールまたは三環式アリールを意味する。二環式アリールは、ナフチル、または単環式のシクロアルキルに縮合したフェニル、または単環式のシクロアルケニルに縮合したフェニルである。二環式アリールの代表例には、ジヒドロインデニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフタレニルおよびテトラヒドロナフタレニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。三環式アリールは、単環式シクロアルキルに縮合した二環式アリール、または単環式シクロアルケニルに縮合した二環式アリール、またはフェニルに縮合した二環式アリールである。三環式アリール環の代表例には、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロアントラセニル、フルオレニルおよびテトラヒドロフェナントレニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。本発明のアリール基は、置換されていないか置換されていることができ、環系内に含まれるいずれかの炭素原子を介して親分子に結合している。
【0029】
本明細書で使用される「アリールアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のアリール基を意味する。アリールアルキルの代表例には、ベンジル(フェニルメチル)、2−フェニルエチルおよび3−フェニルプロピルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書で使用される「シアノ」という用語は、−CN基を意味する。
【0031】
本明細書で使用される「シアノアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のシアノ基を意味する。シアノアルキルの代表例には、シアノメチル、2−シアノエチルおよび3−シアノプロピルなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書で使用される「シクロアルキル」または「シクロアルカン」という用語は、単環式、二環式または三環式シクロアルキルを意味する。単環式シクロアルキルは、炭素原子3から8個、ヘテロ原子0個および二重結合0個を有する飽和炭化水素環系である。単環式シクロアルキルは、その単環式シクロアルキル内に含まれるいずれか置換可能な原子を介して親分子部分に結合していることができる。単環式環系の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルなどがある。二環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキル環に縮合した単環式シクロアルキル、または単環式環の2個の隣接しない炭素原子が1、2、3もしくは4個の炭素原子を含むアルキレン架橋によって連結されている架橋した単環式環系がある。二環式環系の代表例には、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナンおよびビシクロ[4.2.1]ノナンなどがあるがこれらに限定されるものではない。三環式環系の例には、二環式環の2個の隣接しない炭素原子が結合あるいは1から3個の炭素原子のアルキレン架橋によって連結されている二環式環系がある。三環式シクロアルキルの例には、単環式シクロアルキルに縮合した二環式シクロアルキル、または二環式環系の2個の隣接しない炭素原子が1から4個の炭素原子のアルキレン架橋によって連結されている架橋二環式シクロアルキルがある。三環式環系の代表例には、トリシクロ[3.3.1.03,7]ノナンおよびトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン(アダマンタン)などがあるがこれらに限定されるものではない。単環式、二環式および三環式シクロアルキルは置換されていないか置換されていても良く、環系内に含まれるいずれか置換可能な原子を介して親分子部分に結合している。
【0033】
本明細書で使用される「シクロアルキルアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のシクロアルキル基を意味する。シクロアルキルアルキルの代表例には、シクロプロピルメチル、2−シクロブチルエチル、シクロペンチルメチルおよびシクロヘキシルメチルなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書で使用される「シクロアルケニル」または「シクロアルケン」という用語は、単環式または二環式の炭化水素環系を意味する。単環式シクロアルケニルは、4、5、67もしくは8個の炭素および0個のヘテロ原子を有する。4員環系は1個の二重結合を有し、5員もしくは6員環系は1個もしくは2個の二重結合を有し、7員もしくは8員環系は1、2もしくは3個の二重結合を有する。単環式シクロアルケニル基の代表例には、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。二環式シクロアルケニルは、単環式シクロアルキル基に縮合した単環式シクロアルケニルまたは単環式シクロアルケニル基に縮合した単環式シクロアルケニルである。単環式または二環式のシクロアルケニル環は、それぞれ1、2、3もしくは4個の炭素原子からなり、それぞれが環中の2個の隣接しない炭素原子を連結している1個もしくは2個のアルキレン架橋を含んでいても良い。二環式シクロアルケニル基の代表例には、4,5,6,7−テトラヒドロ−3aH−インデン、オクタヒドロナフタレニルおよび1,6−ジヒドロ−ペンタレンなどがあるがこれらに限定されるものではない。本発明の単環式および二環式シクロアルケニル基は、置換されていなくても置換されていても良く、環系内に含まれるいずれか置換可能な原子を介して親分子部分に結合している。
【0035】
本明細書で使用される「シクロアルケニルアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のシクロアルケニル基を意味する。
【0036】
本明細書で使用される「エチレンジオキシ」という用語は、−O(CHO−基(エチレンジオキシ基の酸素原子は、フェニルまたはナフチル部分の2個の隣接する炭素原子に結合して、それが結合しているフェニルまたはナフチル部分の2個の隣接する炭素原子とともに6員環を形成している)を意味する。
【0037】
本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、−Cl、−Br、−Iまたは−Fを意味する。
【0038】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個の水素原子がハロゲンによって置き換わっている本明細書で定義のアルキル基を意味する。ハロアルキルの代表例には、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ペンタフルオロエチルおよび2−クロロ−3−フルオロペンチルなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0039】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、単環式ヘテロアリールまたは二環式ヘテロアリールを意味する。単環式ヘテロアリールは5または6員環である。その5員環は2個の二重結合を含む。5員環は、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子;または4個の窒素原子;または1個、2個もしくは3個の窒素原子と適宜に1個の酸素もしくは硫黄原子を含むことができる。単環式ヘテロアリールの代表例には、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、1,3−オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリルおよびトリアジニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。二環式ヘテロアリールには例えば、フェニルに縮合した単環式ヘテロアリール、または単環式シクロアルキルに縮合した単環式ヘテロアリール、または単環式シクロアルケニルに縮合した単環式ヘテロアリール、または単環式ヘテロアリールに縮合した単環式ヘテロアリール、または単環式複素環に縮合した単環式ヘテロアリールがある。二環式ヘテロアリール基の代表例には、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、6,7−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、キノリニル、チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル、チアゾロ[5,4−d]ピリミジン−2−イル、チエノ[2,3−c]ピリジニルおよび5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−5−イルなどがあるが、これらに限定されるものではない。本発明の単環式および二環式ヘテロアリール基は置換されていても置換されていなくとも良く、環系内に含まれるいずれか置換可能な炭素原子またはいずれか置換可能な窒素原子を介して親分子部分に連結されている。
【0040】
本明細書で使用される「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義のヘテロアリールを意味する。
【0041】
本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、または硫黄原子を意味する。
【0042】
本明細書で使用される「複素環」または「複素環式」という用語は、単環式、二環式または三環式複素環環系を意味するが、ただしその複素環は1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン、ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソールおよび2,3−ジヒドロナフト[2,3−b][1,4]ジオキシン以外である。単環式複素環は、独立にO、NおよびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3員、4員、5員、6または7員環である。3員または4員環は、0個もしくは1個の二重結合ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含む。5員環は、0もしくは1個の二重結合ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む。6員環は、0個、1個もしくは2個の二重結合ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含む。7員環は、0個、1個、2個もしくは3個の二重結合ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含む。単環式複素環の代表例には、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニルおよびトリチアニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。二環式複素環は、フェニル基に縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合した単環式複素環、または単環式複素環に縮合した単環式複素環、または環中の2個の隣接しない原子が1個、2個、3個もしくは4個の炭素原子を含むアルキレン架橋によって連結されている架橋単環式複素環環系である。二環式複素環の代表例には、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニルおよび2,3−ジヒドロ−1H−インドリルなどがあるがこれらに限定されるものではない。三環式複素環の例には、フェニル基に縮合した二環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合した二環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合した二環式複素環、または単環式複素環に縮合した二環式複素環、または二環式環中の2個の隣接しない原子が1個、2個、3個もしくは4個の炭素原子からなるアルキレン架橋によって連結されている架橋二環式複素環がある。三環式複素環の例は、1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカンなどのアザアダマンタンである。単環式、二環式および三環式複素環は、環系内に含まれるいずれか置換可能な炭素または窒素原子を介して親分子部分に連結されており、置換されていなくても置換されていても良い。
【0043】
本明細書で使用される「複素環アルキル」という用語は、本明細書で定義のアルキル基を介して親分子部分に結合した本明細書で定義の複素環を意味する。
【0044】
本明細書で使用される「メチレンジオキシ」という用語は、−OCHO−基であって、そのメチレンジオキシ基の酸素原子がフェニルまたはナフチル環の2個の隣接する炭素原子に結合していることで、それが結合しているフェニルまたはナフチル部分のその2個の隣接する炭素原子とともに5員環を形成している。
【0045】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、=O基を意味する。
【0046】
本明細書で使用される「非経口的に」という用語は、静脈、筋肉、腹腔内、大槽内、皮下、動脈の注射および注入などの投与形態を指す。
【0047】
本明細書で使用される「製薬上許容される担体」という用語は、無毒性で不活性な固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料またはあらゆる種類の製剤補助剤を意味する。製薬上許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては、乳糖、グルコールおよびショ糖などの糖類;コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン類;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびそれの誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤ロウ;落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などのオイル類;プロピレングリコールなどのグリコール類;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒性の適合性潤滑剤があり、製剤の当業者の判断に従って、組成物中に着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および芳香剤、保存剤および酸化防止剤を存在させることもできる。
【0048】
本明細書で使用される「製薬上許容される塩、エステルおよびアミド」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、ヒトおよびそれより下等な動物の組織と接触しての使用に好適であって、不適当な毒性、刺激、アレルギー応答などを起こさず、妥当な利益/リスク比を有し、所期の用途において有効である式(I)の化合物の塩、両性イオン、エステルおよびアミドを含む。
【0049】
「製薬上許容される塩」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、不適当な毒性、刺激、アレルギー応答などを生じることなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比を有する塩を指す。製薬上許容される塩は当業界では公知である。その塩は、本発明の化合物の最終単離および精製時にイン・サイツで、あるいは遊離塩基官能基を好適な有機酸と別個に反応させることで製造することができる。
【0050】
代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
本明細書で使用される「製薬上許容されるプロドラッグ」または「プロドラッグ」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、ヒトおよびそれより下等な動物の組織と接触しての使用に好適であって、不適当な毒性、刺激、アレルギー応答などを起こさず、妥当な利益/リスク比を有し、所期の用途において有効である本発明の化合物のプロドラッグを表す。
【0052】
本明細書で使用される「互変異体」という用語は、ある化合物の一つの原子から同じ化合物の別の原子へのプロトン移動であって、2個以上の構造的に異なる化合物が互いに平衡状態にあることを意味する。
【0053】
本明細書で使用される、それぞれ独立に置換基としてまたは置換基の一部としての本発明のアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環もしくはヘテロアリール部分に関する「置換されていないか置換されている」という用語は、別段の断りがない限り、置換されていないか本明細書で下記に記載される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていることを意味する。適宜の置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、シアノ、オキソ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−G、−NO、−OR1a、−OC(O)R1a、−OC(O)N(R)(R3a)、−SR1a、−S(O)2a、−S(O)N(R)(R3a)、−C(O)R1a、−C(O)OR1a、−C(O)N(R)(R3a)、−N(R)(R3a)、−N(R)C(O)R1a、−N(R)S(O)2a、−N(R)C(O)O(R1a)、−N(R)C(O)N(R)(R3a)、−(CR4a5a−NO、−(CR4a5a−OR1a、−(CR4a5a−OC(O)R1a、−(CR4a5a−OC(O)N(R)(R3a)、−(CR4a5a−SR1a、−(CR4a5a−S(O)2a、−(CR4a5a−S(O)N(R)(R3a)、−(CR4a5a−C(O)R1a、−(CR4a5a−C(O)OR1a、−(CR4a5a−C(O)N(R)(R3a)、−(CR4a5a−N(R)(R3a)、−(CR4a5a−N(R)C(O)R1a、−(CR4a5a−N(R)S(O)2a、−(CR4a5a−N(R)C(O)O(R1a)、−(CR4a5a−N(R)C(O)N(R)(R3a)、−(CR4a5a−G、シアノアルキルおよびハロアルキルからなる群から選択され;
1aおよびR3aは各場合で、それぞれ独立に水素、アルキル、ハロアルキルであり、
2aは各場合で、独立にアルキル、ハロアルキル、Gまたは−(CR−Gであり;
4a、R5a、RおよびRは各場合で、それぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキルまたはハロアルキルであり;
およびRは各場合で、それぞれ独立に水素、アルキルまたはハロアルキルであり;
mおよびnは各場合で、それぞれ独立に1、2、3、4もしくは5であり;
は、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルまたはシクロアルケニルであり、各Gは独立に置換されていないかアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、シアノ、オキソ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−NO、−OR1b、−OC(O)R1b、−OC(O)N(R)(R3b)、−SR1b、−S(O)2b、−S(O)N(R)(R3b)、−C(O)R1b、−C(O)OR1b、−C(O)N(R)(R3b)、−N(R)(R3b)、−N(R)C(O)R1b、−N(R)S(O)2b、−N(R)C(O)O(R1b)、−N(R)C(O)N(R)(R3b)、−(CR4b5b−NO、−(CR4b5b−OR1b、−(CR4b5b−OC(O)R1b、−(CR4b5b−OC(O)N(R)(R3b)、−(CR4b5b−SR1b、−(CR4b5b−S(O)2b、−(CR4b5b−S(O)N(R)(R3b)、−(CR4b5b−C(O)R1b、−(CR4b5b−C(O)OR1b、−(CR4b5b−C(O)N(R)(R3b)、−(CR4b5b−N(R)(R3b)、−(CR4b5b−N(R)C(O)R1b、−(CR4b5b−N(R)S(O)2b、−(CR4b5b−N(R)C(O)O(R1b)、−(CR4b5b−N(R)C(O)N(R)(R3b)、シアノアルキルおよびハロアルキルからなる群から選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されており;
1bおよびR3bは各場合で、それぞれ独立に水素、アルキルまたはハロアルキルであり;
2bは各場合で、独立にアルキルまたはハロアルキルであり;
4bおよびR5bは各場合で、それぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、またはハロアルキルである。
【0054】
本発明の化合物
本発明の1態様は、下記式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグに関するものである。
【0055】
【化2】

式中、
は、結合、−N(R)−C(O)−、−O−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−または−N(R)−であり;
Aは、置換されていないか置換されたアリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、複素環アルキル、シクロアルキルアルキルまたはシクロアルケニルアルキルであり;
、RおよびRは各場合で、それぞれ独立に水素、アルキルまたはハロアルキルである。
【0056】
別の実施形態において本発明は、Yが−N(R)−C(O)−または−O−C(O)−の場合に、Yが−C(O)部分を介して式(I)のAに結合している式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。
【0057】
1実施形態において本発明は、Yが−N(R)−C(O)−であり、Rが水素、アルキルまたはハロアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。Rのある特定の例は水素である。
【0058】
別の実施形態において本発明は、Yが−O−である式(I)の化合物に関する。さらに別の実施形態では、Yは−N(R)−C(O)−N(R)−であり、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグである。RおよびRの特定の例は水素である。
【0059】
別の実施形態において本発明は、Yが−O−C(O)−である式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。別の実施形態において本発明は、Yが−N(R)−であり、Rが水素、アルキルまたはハロアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。Rのある特定の例は水素である。
【0060】
1実施形態において本発明は、Aがアリール(例えば、フェニルまたはナフチル)またはヘテロアリール(例えば、インドリルまたはピリジニル)であり、それらのそれぞれが独立に置換されていないか置換されている式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。
【0061】
別の実施形態において本発明は、Aがアリールアルキル(例えば、ベンジルまたはナフチルメチル)またはヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジニルメチルまたはインドリルメチル)であり、前記アリールアルキルのアリール部分および前記ヘテロアリールアルキルのヘテロアリール部分はそれぞれ独立に置換されていないか置換されている式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。
【0062】
本発明の1態様は、Yが−N(R)−C(O)−であり、Aがアリールまたはヘテロアリールであり、Rが水素、アルキルまたはハロアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。この化合物群の中で、1下位群の例には、Rが水素であるものが含まれる。
【0063】
本発明の別の態様は、Yが−N(R)−C(O)−であり、Aがアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、Rが水素、アルキルまたはハロアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。この化合物群の中で、1下位群の例には、Rが水素であるものが含まれる。
【0064】
本発明のさらに別の態様は、Yが−O−であり、Aがアリールまたはヘテロアリールである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。
【0065】
本発明のさらに別の態様は、Yが−O−であり、Aがアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。
【0066】
本発明のさらに別の態様は、Yが−N(R)−C(O)−N(R)−であり、Aがアリールまたはヘテロアリールであり、RおよびRがそれぞれ独立に水素、アルキルまたはハロアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。この化合物群の中で、1下位群の例には、RおよびRが水素であるものが含まれる。
【0067】
本発明のさらに別の態様は、Yが−N(R)−C(O)−N(R)−であり、Aがアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、RおよびRがそれぞれ独立に水素、アルキルまたはハロアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。この化合物群の中で、1下位群の例には、RおよびRが水素であるものが含まれる。
【0068】
本発明のさらに別の態様は、Yが−N(R)−であり、Aがアリールまたはヘテロアリールであり、Rが水素、アルキルまたはハロアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。この化合物群の中で、1下位群の例には、Rが水素であるものが含まれる。
【0069】
本発明のさらに別の態様は、Yが−N(R)−であり、Aがアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、Rが水素、アルキルまたはハロアルキルである式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミドおよびプロドラッグに関するものである。この化合物群の中で、1下位群の例には、Rが水素であるものが含まれる。
【0070】
式(I)の化合物の例には、
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−2−ナフチルオキシム;
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(ペンタフルオロベンジル)オキシム;
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(4−クロロフェニル)オキシム;
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(6−クロロピリジン−3−イル)オキシム;
N′−1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デク−4−イリデン−1H−インドール−3−カルボヒドラジド;および
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−ベンジルオキシム;
またはこれらの製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
本明細書に開示の化合物は、不斉置換された炭素原子もしくは硫黄原子を含む可能性があることから、単一の立体異性体(例えば、単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマー)、立体異性体の混合物(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマーのいずれかの混合物)またはそれらのラセミ混合物で存在し、そのように単離される場合がある。前記化合物の個々の光学活性型は、例えば光学活性原料からの合成により、キラル合成により、酵素分割により、生体変換により、またはクロマトグラフィー分離により製造することができる。理解すべき点として、本発明は、NNR類の活性、特にα7NNR類、α4β2またはα7とα4β2の両方の活性の調節において有用な特性を有するあらゆるラセミ体、光学活性体、立体異性またはそれらの各種割合の混合物を包含するものである。本明細書で説明される化学構造中に存在するキラル中心の立体化学が具体的に記載されていない場合、その化学構造は、各キラル中心のいずれかの立体異性体を含む化合物およびそれらの混合物を包含するものである。
【0072】
本発明の化合物では、幾何異性体が存在し得る。本発明は、炭素−炭素二重結合、炭素−窒素二重結合、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基周囲の置換基の配置から生じる各種の幾何異性体およびそれらの混合物を想定するものである。炭素−炭素または炭素−窒素二重結合周囲の置換基は、Z配置またはE配置と称され、シクロアルキルまたは複素環周囲の置換基はシス配置またはトランス配置と称される。
【0073】
例えば、本発明の化合物は、下記式(Ia)および(Ib)によって表される形態で存在することができる。
【0074】
【化3】

【0075】
当業者には、−Y−A上にキラル中心が存在しない場合、式(Ia)および(Ib)がエナンチオマーを表すことは明らかであろう。しかしながら、−Y−Aが1以上の不斉中心を含む場合は、C=N結合周囲の幾何異性体はジアステレオマーである。
【0076】
理解すべき点として、式(I)は式(Ia)、(Ib)または各種比率での両者の混合物を含む。従って、式(Ia)、(Ib)の化合物または各種比率での両者の混合物は、NNR類、より詳細にはα7NNR類、α4β2NNR類またはα7とα4β2の両方のNNR類の効果を調節する上で有用である。
【0077】
理解すべき点として、本明細書で開示の化合物は、互変異性の現象を示す可能性がある。
【0078】
本明細書の範囲に含まれる化合物は、化合物の命名または式の図において可能な互変異体、幾何異性体または立体異性体のうちの一つのみによって表される場合がある。しかしながら理解すべき点として、本発明はあらゆる可能な互変異体、幾何異性体または立体異性体およびそれらの混合物を包含するものであり、化合物の命名または式の描写の範囲内で用いられるいずれか一つの互変異体、幾何異性体および立体異性体に限定されるものではない。
【0079】
アミド、エステルおよびプロドラッグ
プロドラッグは、何らかの確認されている望ましくない物性または生理特性を緩和するよう設計された活性薬剤の薬理的に不活性な誘導体である。物性は通常は、溶解度(過剰または不十分な脂質溶解度または水溶解度)または関係する安定性であり、問題となる生理特性には、自体が物理化学的特性に関係し得るものである急速すぎる代謝または低い生物学的利用能などがある。
【0080】
プロドラッグは通常、a)活性薬剤のエステル、ヘミエステル、炭酸エステル、硝酸エステル、アミド、ヒドロキサム酸、カーバメート、イミン、マンニッヒ塩基およびエナミンの形成、b)アゾ、グリコシド、ペプチドおよびエーテル官能基による薬剤の官能化、c)薬剤のポリマー、塩、錯体、ホスホルアミド、アセタール、ヘミアセタールおよびケタール型の使用によって得られる。例えば、コロルコバスの著作(Andrejus Korolkovas′s, ″Essentials of Medicinal Chemistry″, John Wiley-Interscience Publications, John Wiley and Sons, New York (1988), pp. 97-118;引用によってその全体が本明細書に組み込まれる)を参照する。
【0081】
エステルは、当業者には公知の一般的方法により、ヒドロキシル基またはカルボキシ基を含む式(I)の基質から製造することができる。これらの化合物の代表的な反応は、例えば下記のようなヘテロ原子の別の原子による置き換えを行う置換である。
【0082】
【化4】

【0083】
アミドは、同様にしてアミノ基またはカルボキシ基を含む式(I)の基質から製造することができる。エステルがアミンまたはアンモニアと反応して、アミドを形成することもできる。
【0084】
【化5】

式(I)の化合物からのアミドの別途製造方法は、カルボン酸とアミンを一緒に加熱するというものである。
【0085】
【化6】

【0086】
図式2および3において、RおよびR′は独立に式(I)の基質、アルキルまたは水素である。プロドラッグ、アミドおよびエステルの基質である式(I)の本発明の各種実施形態には、実施例5などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0087】
本発明の組成物
本発明は、1以上の製薬上許容される担体とともに製剤される本発明の化合物またはそれの製薬上許容される塩、アミド、エステル、プロドラッグもしくはプロドラッグの塩からなる医薬組成物も提供する。
【0088】
上記で記載の方法によって確認される化合物は、単独に医薬として、または組み合わせが許容できない有害効果を一切生じない場合に1以上の他の医薬と組み合わせて投与することができる。例えば、本発明の化合物は、非定型抗精神病薬と併用することができる。好適な非定型抗精神病薬の具体例には、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、ゾテピン、イソペリドンなどがあるが、これらに限定されるものではない。従って本発明は、治療上有効量の本明細書に記載の方法によって確認された化合物またはそれの製薬上許容される塩、プロドラッグもしくはプロドラッグの塩、上記で開示された1以上の医薬、そして1以上の製薬上許容される担体からなる医薬組成物も含むものである。
【0089】
本発明の医薬組成物は、ヒトおよび他の動物に対して、経口投与、直腸投与、非経口投与、大槽内投与、経膣投与、腹腔内投与、局所投与(粉剤、軟膏または滴剤として)、口腔投与で投与することができるか、あるいは経口もしくは経鼻の噴霧剤として投与することができる。その医薬組成物は、固体、半固体または液体で経口投与用に製剤することができる。
【0090】
非経口注射用の医薬組成物には、製薬上許容される無菌の水系または非水系の液剤、分散液または乳濁液ならびに無菌の注射用の液剤もしくは分散液に入れて再生する無菌粉剤などがある。好適な水系および非水系の担体、希釈剤、溶媒または媒体の例としては、水、エタノール、多価アルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなど、およびそれらの好適な混合物)、植物油(オリーブ油など)およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステル類、あるいはそれらの好適な混合物などがある。例えば、レシチンなどのコーティングを用いたり、分散液の場合には必要な粒径を維持することで、そして界面活性剤を用いることで、組成物の好適な流動性を維持することができる。
【0091】
これらの組成物には、保存剤、湿展剤、乳化剤および分散剤などの補助剤を含有させることもできる。微生物の活動の防止は、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの各種抗細菌剤および抗真菌剤によって確実に行うことができる。糖類、塩化ナトリウムなどの等張性薬剤を含有させることも望ましい場合がある。モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を使用することで、注射用医薬製剤の吸収を延長させることができる。
【0092】
場合によっては、薬剤の効果を延長するために、皮下注射または筋肉注射からの薬剤の吸収を遅延させることが望ましい場合が多い。それは、水溶性が低い結晶または非晶質材料の懸濁液を用いることで行うことができる。薬剤の吸収速度はそれ自体の溶解速度によって決まり、溶解速度は次に、結晶径および結晶形によって決まり得る。別法として、非経口投与製剤を、薬剤をオイル媒体に溶解または懸濁させることで投与することができる。
【0093】
懸濁液には活性化合物以外に、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル類、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、トラガカントガムおよびそれらの混合物などの懸濁剤を含有させることができる。
【0094】
所望に応じ、そしてより効果的な分散を行うために、本発明の化合物を、ポリマー基材、リポソームおよびミクロスフィアなどの徐放系または標的送達系に組み込むことができる。それは、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって、あるいは使用直前に無菌水または何らかの他の無菌注射媒体に溶かすことができる無菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことで滅菌することができる。
【0095】
注射用デポー製剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生体分解性ポリマー中に薬剤のマイクロカプセルマトリクスを形成することで製造される。ポリマーに対する薬剤の比および使用する特定のポリマーの性質に応じて、薬剤放出速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)類およびポリ(無水物)類などがある。デポー注射製剤は、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロ乳濁液に薬剤を捕捉させることでも製造される。
【0096】
注射製剤は例えば、細菌保持フィルターによる濾過、あるいは使用直前に無菌水その他の無菌注射媒体に溶解または分散させることができる無菌固体組成物の形での滅菌剤の組み込みによって滅菌することができる。
【0097】
注射製剤、例えば無菌注射用の水系または油系懸濁液は、好適な分散剤および湿展剤ならびに懸濁剤を用いて、公知の技術に従って製剤することができる。無菌注射製剤は、1,3−ブタンジオール溶液などの無毒性で非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射溶液、懸濁液もしくは乳濁液であることもできる。使用可能な許容される媒体および溶媒の中には、リンゲル液U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油を、従来のように溶媒または懸濁媒体として用いる。それに関しては、合成のモノもしくはジグリセリド類などのいかなる商品の固定油も使用可能である。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射の製剤に用いられる。
【0098】
経口投与用の固体製剤には、カプセル、錠剤、丸薬、粉剤および粒剤などがある。そのような固体製剤においては、1以上の本発明の化合物を、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの1以上の不活性で製薬上許容される担体、および/またはa)デンプン類、乳糖、ショ糖、グルコース、マニトールおよびサリチル酸などの充填剤もしくは増量剤;b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアカシアなどの結合剤;c)グリセリンなどの湿潤剤;d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸化合物および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;e)パラフィンなどの溶液遅延剤;f)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;g)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリンなどの湿展剤;h)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤;ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの潤滑剤と混合する。カプセル、錠剤および丸薬の場合、製剤にはさらに緩衝剤を含有させることもできる。
【0099】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースすなわち乳糖と高分子量ポリエチレングリコール類を用いる軟および硬充填ゼラチンカプセルでの充填剤として使用することもできる。
【0100】
錠剤、糖衣剤、カプセル、丸薬および粒剤の固体製剤は、腸溶コーティング剤および医薬製剤業界で公知の他のコーティング剤などのコーティング剤および外殻を用いて製剤することができる。それには適宜に乳白剤を含有させることができ、それは腸管のある一定の部分のみまたはその部分で優先的に、遅延的に有効成分を放出する組成物とすることもできる。活性剤の放出を遅延させる上で有用な材料の例としては、ポリマー物質およびロウ類などがある。
【0101】
直腸投与または膣投与用の組成物は好ましくは、本発明の化合物を、環境温度では固体であるが体温では液体であることから、直腸または膣腔内で溶融して活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ロウなどの好適な非刺激性担体と混合することによって製造することができる坐剤である。
【0102】
経口投与用の液体製剤には、製薬上許容される乳濁液、微細乳濁液、液剤、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤などがある。活性化合物以外に液体製剤には、例えば水その他の溶媒などの当業界で一般的に使用される不活性希釈剤、溶解剤、ならびにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル類(詳細には、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類およびソルビタンの脂肪酸エステル類などの乳化剤、ならびにそれらの混合物を含有させることができる。
【0103】
不活性希釈剤以外に、経口組成物には、湿展剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤ならびに芳香剤などの補助剤を含有させることもできる。
【0104】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の製剤には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉剤、噴霧剤、吸入剤または貼付剤などがある。本発明の所望の化合物を、無菌条件下に、必要とされ得る製薬上許容される担体および必要な保存剤もしくは緩衝剤と混合する。眼科製剤、点耳剤、眼軟膏、粉剤および液剤も、本発明の範囲に包含されるものと考えられる。
【0105】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物以外に、動物性および植物性の脂肪、油、ロウ類、パラフィン類、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール類、シリコーン類、ベントナイト類、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛またはこれらの混合物を含むことができる。
【0106】
粉剤および噴霧剤は、本発明の化合物以外に、乳酸、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム類およびポリアミド粉末またはこれら物質の混合物を含むことができる。噴霧剤はさらに、クロロフルオロハイドロカーボン類などの一般的な推進剤を含むことができる。
【0107】
本発明の化合物はリポソームの形で投与することもできる。当業界で公知のように、リポソームは通常、リン脂質その他の脂質から誘導される。リポソームは、水系媒体に分散した単ラメラまたは多ラメラ水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができるあらゆる無毒性で生理的に許容される、代謝可能な脂質を用いることができる。リポソームの形での本発明の組成物は、本発明の化合物以外に、安定剤、保存剤などを含有することができる。好ましい脂質は、天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリン類(レシチン類)であり、別個または併用で使用される。
【0108】
リポソームの形成方法は当業界では公知である。例えばプレスコットの編著を参照する(Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N.Y., (1976), p.33 et seq)。
【0109】
本発明の化合物の局所投与用の製剤には、粉剤、噴霧剤、軟膏および吸入剤などがある。活性化合物は、製薬上許容される担体および必要とされる保存剤、緩衝剤または推進剤とともに、無菌条件下に混合される。眼科製剤、眼軟膏、粉剤および液剤も、本発明の範囲に含まれることが想到される。本発明の水系液体組成物も特に有用である。
【0110】
本発明の化合物は、無機もしくは有機の酸から誘導される製薬上許容される塩の形態で用いることができる。
【0111】
さらに、塩基性窒素含有基を、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどのハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルなどの硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよび臭化フェネチルなどのハロゲン化アリールアルキルその他の薬剤を用いて4級化することができる。そうすることで、水溶性または油溶性あるいは水分散性または油分散性の製剤が得られる。
【0112】
製薬上許容される酸付加塩を形成するのに用いることができる酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、ならびにベンゼンスルホン酸、クエン酸、グルコン酸、マレイン酸、シュウ酸およびコハク酸などの有機酸などがある。
【0113】
カルボン酸含有部分を、製薬上許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩などの好適な塩基と、あるいはアンモニアまたは有機1級、2級もしくは3級アミンと反応させることで、本発明の化合物の最終単離および精製時にイン・サイツで塩基付加塩を製造することができる。製薬上許容される塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属系の陽イオンならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミンなどの無毒性の4級アンモニアおよびアミン陽イオンなどがあるが、これらに限定されるものではない。塩基付加塩形成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジンおよびピペラジンなどがある。
【0114】
本発明の化合物は、プロドラッグとして存在し得る。本発明のプロドラッグは、イン・ビボで例えば血液中での加水分解によって本発明の親化合物に急速に変換され得る。詳細な議論が文献にある(T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, V. 14 of the A. C. S. Symposium SeriesおよびEdward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press (1987))。
【0115】
本発明では、処置を必要とする患者に対して投与した時に、イン・ビボでの生体変換によって式(I)の化合物に変換され得る製薬上許容される化合物も想到される。
【0116】
本発明の方法
本発明の化合物および組成物は、NNR類、より詳細にはα7NNR類、α4β2NNR類またはα7およびα4β2NNR類の両方の効果を調節する上で有用である。特に、本発明の化合物および組成物は、α7NNR類もしくはα4β2NNR類またはα7とα4β2NNR類の両方によって調節される障害の治療または予防に用いることができる。代表的には、そのような障害は、好ましくは本発明の化合物もしくは組成物を、単独で投与するか例えば治療法の一環としての1以上の別の医薬と併用して投与することによって、哺乳動物でのα7NNR類、α4β2NNR類またはα7とα4β2NNR類の両方を選択的に調節することで改善することができる。
【0117】
実施例で具体的に記載されているか他の形で具体的に名前を挙げてあるものなど(それらに限定されるものではない)の本発明の方法のための化合物は、NNR類、より詳細にはα7NNR類、α4β2NNR類またはα7とα4β2NNR類の両方を調節することができ、多くの場合でそれらに対して親和性を有することができる。α7NNR類、α4β2NNR類またはα7とα4β2NNR類の両方のリガンドとして、本発明の化合物は、多くのα7NNR類、α4β2NNR類またはα7とα4β2NNR類の両方が介在する疾患または状態の治療または予防において有用となり得る。
【0118】
α7、α4β2またはα7とα4β2の両方のNNR類が介在する疾患または状態の治療または予防に有用となり得る化合物の具体例には、本発明の化合物」や実施例に記載の化合物などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0119】
本発明の方法で有用な化合物の製造方法は、文献にも記載されている(Iriepa, I, et al. J. Molec. Struct.1999, 509, 105;Flynn, D. L., et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 1992, 2, 1613;米国特許第4816453号;WO94/00454;米国特許第5280028号;米国特許第5399562号;WO92/15593;米国特許第5260303号;米国特許第5591749号;米国特許第5434151号;および米国特許第5604239号)。
【0120】
例えばα7NNR類は、学習、記憶および注意力の側面などの認識機能強化において重要な役割を果たすことが明らかになっている(Levin, E. D., J. Neurobiol. 53: 633-640, 2002)。従って、α7リガンドは、例えば注意力欠如障害、ADHD、アAD、軽度認識障害、老年性認知症、AIDS性認知症、ピック病、レビー小体関連の認知症およびダウン症候群関連の認知症、ならびにCDSなどの記憶および/または認識に関係する状態および障害の治療に好適である。
【0121】
さらに、α7含有NNR類は、イン・ビトロ(Jonnala, R. B. and Buccafusco, J. J., J. Neurosci. Res. 66: 565-572, 2001)およびイン・ビボ(Shimohama, S. et al., Brain Res. 779: 359-363, 1998)の両方で、ニコチンの神経保護効果に関与していることが明らかになっている。詳細には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、レビー小体関連の認知症など(これらに限定されるものではない)のいくつかの進行性CNS障害、ならびに外傷性脳損傷によって生じるCNS機能低下の基礎疾患として、神経変性がある。例えば、アルツハイマー病に関連するβ−アミロイドペプチドのα7NNR類の機能障害が、その疾患に関連する認識欠損の進行において重要な要素であることが示唆されている(Liu, Q. -S., Kawai, H., Berg, D. K., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 4734-4739, 2001)。α7選択的リガンドは、神経保護経路に影響を与えることで、アルツハイマー病および各種他の認知症などの各種のタウ関連の病気において神経原線維変化形成には過剰リン酸化が必要とされるタウタンパク質のリン酸化を低減することができる(Bitner et al., Soc. Neuroscience, 2006 abst 325.6)。α7NNR類の活性化が、その神経毒性を遮断することが明らかになっている(Kihara, T. et al., J. Biol. Chem. 276: 13541-13546, 2001)。従って、α7活性を強化する選択的リガンドは、アルツハイマー病および他の神経変性疾患の欠損を相殺することができる。
【0122】
α7NNR類は、例えば脳の神経変性などの神経発達の面においても示唆されている(Falk, L. et al., Developmental Brain Research 142:151-160, 2003;Tsuneki, H., et al., J. Physiol. (London) 547:169-179, 2003;Adams, C.E., et al., Developmental Brain Research 139:175-187, 2002)。従って、α7NNR類は、統合失調症などの神経発達障害に関連する状態または障害の予防または治療において有用となり得る(Sawa A., Mol. Med. 9:3-9, 2003)。
【0123】
α4β2NNR類に対して高アフィニティを有するいくつかの化合物が、活動過剰、不注意さおよび衝動性の中核的症状を特徴とする疾患である注意力欠如障害/多動性障害(ADHD)に関連する前臨床モデルでの注意および認知成績を向上させることが明らかになっている。例えば、α4β2NNRでの完全作働薬であるABT−418は、各種の前臨床認知モデルで有効であり、経皮投与されたABT−418は、成人32名での比較臨床試験で、ADHD全般、特には注意/認識欠陥の治療において有効であることが明らかになっている(Wilens, T.E.; Biederman, J,; Spencer, TJ.; Bostic, J.; Prince, J.; Monuteaux, M.C.; Soriano, J.; Fince, C; Abrams, A.; Rater, M.; Polisner, D. The American Journal of Psychiatry (1999) 156(12), 1931-1937)。同様に、ABT−418は、予備アルツハイマー病試験で効力の徴候を示した。α4β2選択的部分作働薬であるABT−089は、齧歯類および霊長動物モデルで、注意、学習および記憶の欠陥を改善することが明らかになっている。ABT−089および別のα4β2作働薬であるイスプロニクリンは、予備臨床試験で効力を示している(Wilens, T.E.; Verlinden, M. H.; Adler, L.A.; Wozniak, P.J.; West, S.A. Biological Psychiatry (2006), 59(11), 1065-1070. Geerts, H. Curr. Opin. Invest. Drugs (2006), 7(1), 60-69.)。認知以外にも、ABT−594およびその他などのα4β2NNR類と相互作用する化合物は、疼痛の前臨床モデルおよび臨床モデルでも有効である。従って、α7およびα4β2の両方の活性を調節するリガンドは、認知および注意欠陥、疼痛、神経変性疾患およびその他が関与するものなどの疾患状態において、より広い治療効力スペクトラムを有することができる。
【0124】
統合失調症は、知覚、認識および情緒における異常を特徴とする複雑な疾患である。かなりの証拠が、死後患者でのこれら受容体の測定された欠損など、その疾患におけるα7NNR類の関与を示唆している(Sawa A., Mol. Med. 9:3-9, 2003;Leonard, S. Eur. J. Pharmacol. 393: 237-242, 2000)。感覚処理(ゲーティング)における欠損が、統合失調症の顕著な特徴の一つである。それらの欠損は、α7NNRで機能するニコチンリガンドによって正常とすることができる(Adler L. E. et al., Schizophrenia Bull. 24: 189-202, 1998; Stevens, K. E. et al., Psychopharmacology 136: 320-327, 1998)。さらに最近の試験で、α4β2ニコチン受容体刺激も、感覚ゲート開閉のDBA/2マウスモデルにおいてニコチンの効果に寄与することが明らかなっている(Radek et al., Psychopharmacology (Berl). 2006 187:47-55.)。従ってα7/α4β2リガンドには、統合失調症治療に使える可能性がある。
【0125】
脊髄中のα7またはα4β2NNR群は神経伝達を調節し、その伝達はニコチン化合物の疼痛緩和効果に関連していた(Cordero-Erausquin, M. and Changeux, J. -P. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 2803-2807, 2001)。α7NNRまたは/およびα7/α4β2リガンドは、急性疼痛、術後疼痛などの疼痛状態、ならびに炎症性疼痛および神経障害性疼痛などの慢性疼痛状態の治療において治療効力を示す。
【0126】
本発明の化合物は、記憶、認識、神経変性、神経発達および統合失調症に影響を与える状態または障害の治療および予防において特に有用である。
【0127】
統合失調症(CDS)に関連する認識障害は、患者が正常に機能する能力を制限する場合が多く、それは一般に利用可能な治療、例えば非定型抗精神病薬による治療によって十分には治療されない症状である(Rowley, M. et al., J. Med. Chem. 44: 477-501, 2001)。そのような認識欠損は、特にα7受容体での活動低下を伴うニコチン系コリン作働系の機能低下に関連している(Friedman, J. I. et al., Biol Psychiatry, 51: 349-357, 2002)。従って、α7受容体の活性化剤は、非定型抗精神病薬によって治療される統合失調症患者での認識機能強化において有用な治療を提供することができる。従って、α7NNRリガンドおよび1以上の非定型抗精神病薬の組み合わせは、改善された治療用途を提供するものと考えられる。好適な非定型抗精神病薬の具体例には、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、ゾテピン、イソペリドンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
本発明の化合物は、単独で投与することができるか、1以上の別の医薬と組み合わせて(すなわち、併用)投与することができる。併用療法には、1以上の本発明の化合物および1以上の別の医薬を含む単一の医薬製剤の投与、ならびに本発明の化合物および自体が別個の医薬製剤での別の各医薬の投与などがある。例えば、式(I)の化合物および1以上の別の医薬は、錠剤またはカプセルなどの各有効成分の比率が固定された単一の経口製剤組成物で患者に一緒に投与することができるか、各薬剤を別個の経口製剤で投与することができる。
【0129】
別個の投与製剤を用いる場合、本発明の化合物および1以上の別の医薬は、実質的に同時点で(例えば同時)投与することができるか、別個に時間差を設けて(例えば、順次)投与することができる。
【0130】
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の用量レベルを変動させて、特定の患者、組成物および投与形態において所望の治療応答を得る上で有効な活性化合物量を得るようにすることができる。選択される用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、治療対象の状態の重度、治療を受ける患者の状態および病歴によって決まる。しかしながら、所望の治療効果を得るのに必要なレベルより低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が得られるまで用量を徐々に増加させることは、当業界の技術の範囲内である。
【0131】
上記その他の治療で使用する場合、治療上有効量の本発明の化合物のいずれかを、純粋な形あるいはそのような形が存在する場合にはそれの製薬上許容される塩の形で用いることができる。本発明の化合物を、1以上の製薬上許容される担体と組み合わせて対象となる化合物を含む医薬組成物として投与することもできる。本発明の化合物の「治療上有効量」という表現は、あらゆる医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で、障害を治療する上で十分な量の化合物を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の総1日用量は、妥当な医学的判断の範囲内で担当医が決定することは明らかであろう。特定の患者における具体的な治療上有効な用量レベルは、治療対象の障害およびその障害の重度;使用する具体的な化合物の活性;使用する具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;使用される具体的化合物の投与時刻、投与経路および排泄速度;投与の期間;使用される具体的化合物との併用でもしくは同時に使用される薬剤;ならびに医学の分野で公知の同様の要素などの各種要素によって決まるものである。例えば、所望の治療効果を得るのに必要なレベルより低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が得られるまで用量を徐々に増加させることは、当業界の技術の範囲内である。
【0132】
ヒトおよび下等動物に対して投与される本発明の化合物の総1日用量は、約0.10μg/kgから約10mg/kgの範囲である。より好ましい用量は、約0.10μg/kgから約1mg/kgの範囲とすることができる。所望に応じて、その有効1日用量を、投与に関して複数の用量に分割することができる。結果的に、単一用量組成物には、1日用量を構成する量またはその部分量を含有させることができる。
【0133】
本発明の化合物の製造方法
本発明は、合成方法または代謝プロセスによって製造される場合の本発明の化合物を包含するものである。代謝プロセスによる本発明の化合物の製造には、ヒトもしくは動物の身体(イン・ビボ)で起こるものまたはイン・ビトロで起こるプロセスなどがある。
【0134】
別段の断りがない限り、基R、R、RおよびAが「課題を解決するための手段」の部に記載の意味を有する式(I)の化合物の合成を、図式4および5に例示している。
【0135】
図式および実施例の説明で使用される場合、ある種の略称は以下の意味を有するものである。すなわち、BOC:tert−ブトキシカルボニル;BSS:平衡塩類溶液;HPLC:高速液体クロマトグラフィー;およびTris:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。
【0136】
一般式(I)の化合物は、図式4に示した一般的手順を用いて、1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンから製造することができる。
【0137】
【化7】

式(1)のヒドロキシアミンエーテルを、1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オン(文献(Becker, D. P. and Flynn, D. L. Synthesis 1992, 1080-1082)に記載の方法に従って製造)で処理して、式(2)のオキシムエーテルを得ることができる。1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンの式(4)の化合物への変換は、式(3)のヒドラジドとの反応によって行うことができる。両方の反応とも、ほぼ室温から約80℃の温度範囲でエタノールなどの溶媒中にて、酸を反応前に加えて(1)もしくは(3)の酸塩として存在させる酸性条件下で行う。
【0138】
文献で公知の手順と同様の手順を用い、1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンを、式(4a)のアミン、式(4c)のヒドラジンおよび式(4e)のセミカルバジドで処理して、それぞれ式(4b)、(4d)および(4f)の化合物を得ることができる。式(4a)のアミンおよび式(4c)のヒドラジンの多くが市販されている。式(4e)のセミカルバジドは、文献(J. Med. Chem., (2003) 46, 1493-1503)に記載の手順と同様の手順を用いて、イソシアネートまたはヒドラジンから製造することができる。
【0139】
式(1)のヒドロキシアミンエーテルは、図式5に示した一般手順を用いて製造することができる。
【0140】
【化8】

式(5)のボロン酸を、当業者に公知の条件を用いて、例えば銅が介在する交差カップリング反応条件によってN−ヒドロキシフタルイミドで処理すると、式(6)の化合物が得られる。例えば、銅塩および塩基の存在下、ジクロロメタンもしくは1,2−ジクロロエタンもしくはそれらの混合物などの溶媒(これらに限定されるものではない)中、適宜にモレキュラーシーブスの存在下に、式(5)のボロン酸およびヒドロキシフタルイミドを式(6)の化合物に変換することができる。その反応は通常、ほぼ室温から約150℃の温度範囲で行う。銅塩の例には、Cu(COCH、CuClおよびCuBr・S(CHなどがあるが、これらに限定されるものではない。塩基の例には、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンおよびトリエチルアミンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
クロロホルム、メタノールまたはこれらの混合物(これらに限定されるものではない)などの溶媒中にて(6)をヒドラジン・1水和物で処理すると、ヒドロキシアミンエーテル(1)が得られる。
【0142】
あるいは、文献(Chem. Commun., 2000, 975-976)に記載の方法に従って、塩基と次に2−(トリクロロメチル)−1,2−オキサジリジン−3−カルボン酸tert−ブチルで処理することで、式(7)のアルコールから式(1)のヒドロキシアミンエーテルを得ることができる。そのような変換に好適な塩基の例には、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウムなどがあるがこれらに限定されるものではない。その反応は通常、室温以下で、エーテル、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物(これらに限定されるものではない)などの溶媒中にて行う。
【0143】
式(3)のヒドラジドは、当業界で公知の方法と同様の方法を用いて製造することができる。例えば、式AC(O)Clの酸塩化物(相当する酸から製造される)を式NH(R)NHの適切なヒドラジンでアシル化することで行う。
【0144】
合成図式および合成実施例の部に示した具体例は説明を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものと読むべきではないことは明らかである。合成方法および具体例の代替物、変形形態および均等物が、特許請求の範囲に含まれる。
【0145】
各個々の段階についての至適な反応条件および反応時間は、使用される特定の反応物および使用される反応物に存在する置換基に応じて変わり得る。別段の断りがない限り、溶媒、温度および他の反応条件は、当業者であれば容易に選択することができる。具体的な手順は、合成実施例の部に示してある。反応液は、従来の方法で、例えば残留物から溶媒を除去して後処理し、結晶化、蒸留、抽出、磨砕およびクロマトグラフィーなど(これらに限定されるものではない)の当業界で公知の方法に従ってさらに精製することができる。別段の記載がない限り、原料および試薬は市販されているか、化学文献に記載の方法を用いて市販の材料から当業者が製造することができる。
【0146】
反応条件、試薬および合成経路の順序の適切な操作、反応条件と適合しない可能性がある化学官能基の保護および方法の反応手順中の好適な時点での脱保護などの通常行われる実験は、本発明の範囲に含まれる。好適な保護基ならびにそのような好適な保護基を用いる各種置換基の保護および脱保護の方法は当業者には公知であり、その例は、グリーンらの著作(T. Greene and P. Wuts, Protecting Groups in Chemical Synthesis (3rd ed.), John Wiley & Sons, NY (1999);この内容は参照によって全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。本発明の化合物の合成は、上記の合成図式または具体的な実施例に記載のものと同様の方法によって行うことができる。
【0147】
原料が市販されていない場合には、標準的な有機化学技術、公知の構造的に類似の化合物の合成と同様の技術、または上記の図式もしくは合成実施例の部に記載の手順と同様である技術から選択される手順によって製造することができる。
【0148】
本発明の化合物の光学活性体が必要な場合、それは、光学活性原料(例えば、好適な反応段階の不斉誘導によって製造される)を用いて本明細書に記載の手順のいずれかを行うことで、または標準的な手順(クロマトグラフィー分離、再結晶または酵素的分割など)を用いたその化合物または中間体の立体異性体の混合物の分割によって得ることができる。
【0149】
同様に、本発明の化合物の純粋な幾何異性体が必要な場合、それは、原料として純粋な幾何異性体を用いて上記手順のいずれかを行うことで、またはクロマトグラフィー分離などの標準的な手順を用いてその化合物もしくは中間体の幾何異性体の混合物を分割することで得ることができる。
【0150】
本発明の化合物および本発明の方法用の化合物を製造する方法については、下記の実施例を参照することで理解が深まるが、それら実施例は本発明を説明するためのものであって、その範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0151】
実施例
(実施例1)
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−2−ナフチルオキシム
実施例1A
2−(2−ナフチルオキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
4−クロロフェニルボロン酸に代えて2−ナフチルボロン酸を用い、実施例3Aに記載の方法に従って標題化合物を製造した。
【0152】
実施例1B
O−(2−ナフチル)ヒドロキシルアミン
実施例3Aに代えて実施例1Aを用い、実施例3Bに記載の方法に従って標題化合物を製造した。H NMR(300MHz、CDOD)δ7.16(dd、J=9、3Hz、1H)、7.24−7.31(m、1H)、7.35−7.42(m、1H)、7.55(d、J=2Hz、1H)、7.67−7.76(m、3H);MS(DCI/NH)m/z160(M+H)。
【0153】
実施例1C
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−2−ナフチルオキシム
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オン(74mg、0.49mmol)(文献(Becker, D. P. and Flynn, D. L. Synthesis 1992, 1080-1082)に報告の方法に従って製造)および実施例1B(78mg、0.48mmol)を、試験管中で合わせた。エタノール(4mL)を加え、次に濃HCl(0.1mL)を加えた。混合物を加熱沸騰させて30秒間経過させ、得られた溶液を終夜にわたって放冷して室温とした。混合物を減圧下に濃縮し、残留物をエタノール(1mL)および酢酸エチル(5mL)から結晶化して、標題化合物を塩酸塩として得た。H NMR(300MHz、CDOD)δ2.18(t、J=13Hz、2H)、2.34−2.49(m、3H)、3.10−3.16(m、1H)、3.65−3.76(m、4H)、3.77−3.84(m、1H)、3.83−3.90(m、1H)、4.10(s、1H)、7.30−7.36(m、2H)、7.40−7.48(m、1H)、7.64(d、J=2Hz、1H)、7.73−7.85ppm(m、3H);MS(DCI/NH)m/z293(M+H)
【0154】
(実施例2)
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(ペンタフルオロベンジル)オキシム
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オン(102mg、0.675mmol)(文献(Becker, D. P. and Flynn, D. L. Synthesis 1992, 1080-1082)に報告の方法に従って製造)のエタノール(1mL)中溶液を加温したものに、固体のO−(パーフルオロベンジル)ヒドロキシルアミンHCl(167mg、0.669mmol、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)を加えた。混合物を加温下に渦撹拌して固体を全て溶解させた。ほぼ無色の溶液を終夜にて放冷して室温とした。溶媒を減圧下に除去し、残留物を10%エタノール/酢酸エチル(3mL)から結晶化させて、標題化合物を塩酸塩として得た。H NMR(300MHz、CDOD)δ1.87−2.06(m、2H)、2.22(q、J=3Hz、1H)、2.24−2.37(m、2H)、2.83(s、1H)、3.30、(m、1H)、3.43−3.57(m、2H)、3.64(s、2H)、3.66−3.78(m、2H)、5.15−5.24ppm(m、2H);MS(DCI/NH)m/z347(M+H);元素分析C1615OF・HClの理論値:C、50.21;H、4.21;N、7.32。実測値:C、50.20;H、3.99;N、7.22。
【0155】
(実施例3)
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(4−クロロフェニル)オキシム
実施例3A
N−(4−クロロフェノキシ)フタルイミド
N−ヒドロキシフタルイミド(664mg、4.1mmol)、4−クロロフェニルボロン酸(635mg、4.1mmol)、および粉末4Åモレキュラーシーブス(1.02g)のCHCl(20mL)中懸濁液に、ピリジン(0.37mL、4.6mmol)を加えた。酢酸第2銅・1水和物(812mg、4.1mmol)を加え、混合物を大気に開放して室温で18時間撹拌した。シリカゲル(10g)を加え、得られたスラリーを減圧下に濃縮して乾固させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーカラムの頂部に乗せ、ヘキサン:酢酸エチル(80:20)で溶離して、標題化合物を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ7.11−7.17(m、2H)、7.27−7.34(m、2H)、7.79−7.87(m、2H)、7.88−7.95ppm(m、2H)。
【0156】
実施例3B
O−(4−クロロフェニル)ヒドロキシルアミン
実施例3A(820mg、3.0mmol)のクロロホルム(37mL)およびメタノール(4mL)中溶液に、ヒドラジン水和物(0.56mL、12mmol)を加えた。その懸濁液を室温で22時間撹拌した。シリカゲル(10g)を加え、混合物を濃縮乾固させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーカラムの頂部に乗せ、ヘキサン−酢酸エチル(80:20)で溶離して、標題化合物を遊離アミンとして得た。残留物をエタノール(5mL)に溶かし、HCl/ジオキサン(4M、1mL)で処理した。溶液を加熱還流し、酢酸エチル(50mL)を徐々に加えることで希釈した。混合物を冷却して室温とし、濾過して、標題化合物を塩酸塩として得た。H NMR(300MHz、CDOD)δ7.15−7.22(m、2H)、7.42−7.49(m、2H)。
【0157】
実施例3C
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(4−クロロフェニル)オキシム
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オン(53mg、0.35mmol)(文献(Becker, D. P. and Flynn, D. L. Synthesis 1992, 1080-1082)に報告の方法に従って製造)のエタノール(2mL)中溶液を加温したものに、実施例3B(63mg、0.35mmol)を加えた。混合物を加温しながら渦撹拌して固体を全て溶解させた。溶液を室温で終夜放置し、ガラス棒で掻き取りを行うことで結晶化を行った。得られた懸濁液を加熱して固体を溶解させ、徐々に冷却して室温として沈殿を完結させた。得られた固体を濾過によって単離し、エタノール(1mL)から再結晶して、標題化合物を塩酸塩として得た。H NMR(300MHz、CDOD)δ2.13(t、J=13Hz、2H)、2.30−2.47(m、3H)、3.06(s、1H)、3.57−3.87(m、6H)、4.00(s、1H)、7.12−7.21(m、2H)、7.25−7.34ppm(m、2H);MS(DC1/NH)m/z277/279(M+H);元素分析C1517OCl・HClの理論値:C、57.52;H、5.79;N、8.94。実測値:C、57.24;H、5.82;N、8.62。
【0158】
(実施例4)
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(6−クロロピリジン−3−イル)オキシム
実施例4A
2−[(6−クロロピリジン−3−イル)オキシ]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
4−クロロフェニルボロン酸に代えて6−クロロピリジン−3−イルボロン酸を用い、実施例3Aに記載の方法に従って標題化合物を製造した。
【0159】
実施例4B
O−(6−クロロピリジン−3−イル)ヒドロキシルアミン
実施例3Aに代えて実施例4Aを用い、実施例3Bに記載の方法に従って標題化合物を製造した。H NMR(300MHz、CDCl)δ7.22(d、J=8Hz、1H)、7.48(dd、J=9、3Hz、1H)、8.26ppm(d、J=3Hz、1H)。
【0160】
実施例4C
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(6−クロロピリジン−3−イル)オキシム
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オン(120mg、0.80mmol)(文献(Becker, D. P. and Flynn, D. L. Synthesis 1992, 1080-1082)に報告の方法に従って製造)のエタノール(3.6mL)中溶液を、実施例4B(152mg、0.84mmol)に加えた。濃HCl(12M、0.2mL)を加え、溶液を5分間加熱還流し、室温で60時間放置した。溶液を減圧下に濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl−CHOH−NHOH、90:10:1で溶離)によって精製した。遊離アミン(70mg)を温酢酸エチル(3mL)に溶かし、p−トルエンスルホン酸1水和物(46mg、024mmol)の温酢酸エチル(1mL)中溶液を加えた。溶液を加熱還流し、徐々に冷却して−10℃とし、その温度で終夜維持した。固体を濾過によって回収し、真空乾燥して、標題化合物をp−トルエンスルホン酸塩として得た。H NMR(300MHz、CDOD)δ2.07−2.21(m、2H)、2.33−2.47(m、3H)、2.36(s、3H)、3.05−3.10(m、1H)、3.62−3.74(m、4H)、3.75−3.88(m、2H)、4.01(s、1H)、7.23(d、J=8Hz、2H)、7.41(d、J=9Hz、1H)、7.65−7.73(m、3H)、8.29ppm(d、J=3Hz、1H);MS(DCI/NH)m/z278/280(M+H)
【0161】
(実施例5)
N′−1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デク−4−イリデン−1H−インドール−3−カルボヒドラジド
実施例5A
1H−インドール−3−カルボン酸ヒドラジド
インドール−3−カルボン酸(500mg、3.1mmol)を室温で塩化チオニル(5mL、68mmol)とともに20時間撹拌した。溶液を減圧下に濃縮し、残留物をエーテル(10mL)に取り、濃縮乾固して(3回繰り返した)、塩化チオニルを確実に除去した。得られた固体をエーテル(5mL)に溶かし、ヒドラジン水和物(600mg、12mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)中溶液を氷冷したものに加えた。30分後、固体を濾過によって回収し、5%NaOΗおよび水で洗浄し、50℃で真空乾燥した。得られた粗ヒドラジドを95%エタノールから再結晶して、標題化合物を得た。H ΝMR(300MHz、CDOD)δ7.11−7.22(m、2H)、7.42(dd、J=7、2Hz、1H)、7.83(s、1H)、8.02−8.08ppm(m、1H);MS(DCI/ΝH)m/z176(M+H)
【0162】
実施例5B
N′−1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デク−4−イリデン−1H−インドール−3−カルボヒドラジド
1−アザトリシクロ[3.3.1.l3,7]デカン−4−オン(65mg、0.43mmol)(文献(Becker, D. P. and Flynn, D. L. Synthesis 1992, 1080-1082)に報告の方法に従って製造)および実施例5A(80mg、0.46mmol)の混合物を、試験管中でエタノール(7mL)と合わせた。濃塩酸(12M、0.04mL)を加え、固体が溶解するまで混合物を加熱還流した。溶液を室温で終夜放置し、減圧下に濃縮した。残留物を10%エタノール/酢酸エチル(7mL)で磨砕し、濾過して、標題化合物を塩酸塩として得た。H ΝMR(300MHz、CDOD)δ1.94(d、J=13Hz、2H)、2.08(brs、3H)、2.26(d、J=12Hz、2H)、3.38−3.58(m、4H)、3.69(d、J=12Hz、2H)、7.16−7.28(m、2H)、7.46(dd、J=6、1Hz、1H)、7.93−7.98(d、J=3Hz、1H)、8.09ppm(dd、J=6、2Hz、1H);MS(DCI/ΝH)m/z309(M+H)
【0163】
(実施例6)
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−ベンジルオキシム
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オン(45mg、0.30mmol)(文献(Becker, D. P. and Flynn, D. L. Synthesis 1992, 1080-1082)に報告の方法に従って製造)およびO−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(アルドリッチ、51mg、0.32mmol)の混合物を、試験管中でエタノール(3mL)と合わせた。濃塩酸(12M、0.1mL)を加え、固体が溶解するまで混合物を加熱還流した。溶液を終夜にわたり室温で放置し、減圧下に濃縮した。残留物をアセトニトリル(0.7mL)に溶かし、溶液を酢酸エチル(5mL)で希釈した。得られた白色沈殿を濾過によって回収し、酢酸エチル(2mL)で洗浄し、真空乾燥して、標題化合物を塩酸塩として得た。H NMR(300MHz、CDOD)δ1.89−2.07(m、2H)、2.15−2.37(m、3H)、2.85(s、1H)、3.42−3.85(m、7H)、5.08(s、2H)、7.24−7.40ppm(m、5H);MS(DCI/NH)m/z257(M+H);元素分析C1620O・2HClの理論値:C、58.36;H、6.73;N、8.51;実測値:C、58.61;H、6.49;N、8.48。
【0164】
生理活性の測定
本発明の個々の化合物のα7NNR類に対するリガンドとしての有効性を求めるため、[H]−DPPB結合アッセイに従って本発明の化合物を評価した。本発明の個々の化合物のα4β2NRR類に対するリガンドとしての有効性を求めるため、下記の方法に従って行う[H]−シチシン結合アッセイに従って本発明の化合物を評価した。
【0165】
H]−シチシン結合
α4β2NRRサブタイプへの結合は、文献(Pabreza LA, Dhawan, S, Kellar KJ, [3H]-Cytisine Binding to Nicotinic Cholinergic Receptors in Brain, Mol. Pharm. 39: 9-12, 1991)に記載の手順から変更を加えた条件に従って測定した。小脳を除いたラット脳からの膜豊富画分(ABS Inc., Wilmington, DE)を4℃でゆっくり解凍し、洗浄し、30倍体積量のBSS−Tris緩衝液(120mM NaCl/5mM KCl/2mM CaCl/2mM MgCl/50mM Tris−Cl、pH7.4、4℃)に再懸濁させた。タンパク質100から200μgを含むサンプルおよび0.75nM[H]−シチシン(30Ci/mmol;Perkin Elmer./NEN Life Science Products, Boston, MA)を、最終容量500μLで4℃にて75分間インキュベートした。各化合物の7対数希釈濃度を、2連で調べた。非特異的結合を、10μM(−)−ニコチン存在下に求めた。96ウェル濾過装置(Packard Instruments, Meriden, CT)を用い、再湿潤ガラス繊維フィルター板(Millipore, Bedford, MA)上での真空濾過によって結合放射能を単離し、氷冷BSS緩衝液(120mM NaCl/5mM KCl/2mM CaCl/2mM MgCl)2mLで直ちに洗った。パッカード(Packard)マイクロシンチ(MicroScint)−20(登録商標)シンチレーションカクテル(40μL)を各ウェルに加え、パッカードのトップカウント(TopCount;登録商標)装置を用いて放射能を測定した。IC50値を、マイクロソフトのエクセル(登録商標)ソフトウェアでの非線形回帰によって求めた。K値を、チェン−プルソフ(Cheng-Prusoff)式(K=IC50/1+[リガンド]/K])を用いてIC50から計算した。
【0166】
H]−DPPB結合
α7NRRサブタイプに結合する[H]−DPPB、[H]−(S,S)−2,2−ジメチル−5−(6−フェニル−ピリダジン−3−イル)−5−アザ−2−アゾニア−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンヨージドを、文献(Anderson, D.J.; Bunnelle, W.; Surber, B.; Du, J.; Surowy, C; Tribollet, E.; Marguerat, A.; Bertrand, D.; Gopalakrishnan, M. J. Pharmacol. Exp. Ther. (2008), 324, 179-187;これは参照によって本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って、小脳を含まないラット脳またはヒト皮質からの膜豊富画分(ABS Inc., Wilmington, DE)を用いて測定した。すなわち、ペレットを4℃で解凍し、洗浄し、7に設定したポリトロン(Polytron)を用いて30倍容量のBSS−Tris緩衝液(120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、2mM MgClおよび50mM Tris−Cl、pH7.4、4℃)中に再懸濁させた。タンパク質100から200μgおよび0.5nMの[H]−DPPB(62.8Ci/mmol;R46V、アボット社(Abbott Labs))を含む7対数希釈濃度の試験化合物を、2連にて最終容量500μLで4℃にて75分間インキュベートした。非特異的結合を、10μMメチルリコニチン存在下に求めた。パッカード細胞ハーベスタを用いて、0.3%ポリエチレンイミンに予浸しておいたミリポア(Millipore)マルチスクリーン(Mutiscreen;登録商標)回収プレートFBで、結合した放射能を回収し、氷冷緩衝液2.5mLで洗浄し、パッカードのトップカウント(TopCount;登録商標)マイクロプレートβカウンタを用いて放射能を測定した。IC50値を、マイクロソフト(登録商標)のエクセルまたはアッセイ・エクスプローラ(Assay Explorer)での非線形回帰によって求めた。K値を、チェン−プルソフ式(K=IC50/1+[リガンド]/K])を用いてIC50から計算した。[H]−DPPBは、下記の製造手順に従って得たものである。
【0167】
[メチル−H]2,2−ジメチル−5−(6−フェニル−ピリダジン−3−イル)−5−アザ−2−アゾニア−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン;ヨージド製造
上記の[H]−DPPB結合アッセイで用いた[メチル−H]2,2−ジメチル−5−(6−フェニル−ピリダジン−3−イル)−5−アザ−2−アゾニア−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン;ヨージドは、下記の手順に従って製造した。
【0168】
段階1:(S,S)−5−(6−フェニル−ピリダジン−3−イル)−2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸t−ブチルの製造
(S,S)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸t−ブチル(3.43g、17.3mmol、アルドリッチ・ケミカル社)および3−クロロ−6−フェニルピリダジン(3.30g、17.3mmol、アルドリッチ・ケミカル社)のトルエン(50mL)中懸濁液にトリエチルアミン(20mL)を加え、混合物を窒素下にて100℃で7日間加熱した。得られた暗色混合物を冷却して室温とし、得られた沈澱を濾過によって単離し、トルエン(15mL)で洗浄し、真空乾燥して、標題化合物を得た。濾液を濃縮し、酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、追加の生成物を得た。MS(DCI/NH)m/z353(M+H)
【0169】
段階2:(S,S)−2−メチル5−(6−フェニル−ピリダジン−3−イル)−2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの製造
段階1から得られた生成物(3.41g、9.7mmol)をギ酸(20mL)に溶かし、ホルマリン(37重量%、1.0g、12.3mmol)で処理した。混合物を100℃で1時間加熱し、褐色溶液を冷却して室温とし、減圧下に濃縮した。残留物を、CHCl−CHOH−NHOH(95:5:1)を溶離液とするシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS(DCI/NH)m/z267(M+H)
【0170】
段階3:[H]−(S,S)−2,2−ジメチル−5−(6−フェニル−ピリダジン−3−イル)−5−アザ−2−アゾニア−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンヨージド([H]−DPPB)の製造
H]ヨウ化メチルのトルエン(250mCi/0.1mL、85Ci/mmol、アメリカン・ラジオラベルド・ケミカルズ社(American Radiolabeled Chemicals, Inc.))を、段階2から得られた生成物の塩化メチレン中溶液(0.788mg、2.96μmol/0.45mL)と組み合わせた。バイアルにキャップを取り付け、混合物を室温で終夜反応させた。メタノールを加え、溶媒を留去して42mCiを得た。生成物を、HPLC精製用にメタノールに取った。
【0171】
段階4:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製
約7mCiの[H]−DPPBを溶媒留去して乾固させ、残留物を合計約4.5mLのアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸(15:85:0.1)に溶かした。アジレント(Agilent)HPLCシステムを用いてフェノメネックス(Phenomenex)ルナ(Luna)C18(2)カラム(5μ、250mm×内径4.6mm)で、1回注入当たり約0.9mLとした。[H]−DPPBを、流量約1mL/分で20分以内に10%Bから20%Bとする勾配移動相によって溶離した(移動相A=0.1%トリフルオロ酢酸水溶液および移動相B=0.1%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル中溶液)。ピーク検出およびクロマトグラムは、275nmに設定したアジレント可変波長UV検出器で得た。[H]−DPPBを含む分画を、アジレントフラクションコレクターを用いて約14分の時点で回収した。分画を合わせ、溶媒を減圧下に留去した。残留物を200プルーフのエタノール(2mL)に溶かして、0.7mCiを得た。
【0172】
段階5:純度および比放射能の測定
クォータナリポンプ、オートサンプラーおよび光ダイオードアレイUV検出器からなるアジレント1100シリーズHPLCシステムを用いて、[H]−DPPBのアッセイを行った。パッカード・ラジオマチック(Radiomatic)A500放射能検出器をHPLCシステムに接続した。放射能検出には、500μLフローセルおよび3:1比のウルティマ−フロ(Ultima-Flo)Mシンチレーションカクテル:HPLC移動相を用いた。フェノメネックス・ルナC18(2)カラム(5μ、250mm×内径4.6mm)を用いて分析を行った。移動相は、10%Bから開始し、20分以内に徐々に20%Bとなり、次に1分以内に徐々に90%Bとなり、9分間にわたって90%Bに保持される勾配からなりものであり、移動相A=0.1%トリフルオロ酢酸水溶液および移動相B=0.1%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル中溶液であった。流量は約1mL/分に設定し、UV検出は275nmに設定した。
【0173】
本発明の化合物は代表的には、これらのアッセイ([H]−シチシンまたは[H]−DPPB結合)の一方または両方で10μM以下の結合値(K)を示した。好ましい化合物は、一方または両方の結合アッセイで0.01nMから100nMの範囲のKi値を有していた。
【0174】
本発明の化合物は、受容体の活性またはシグナリングを変えることでα4β2、α7NNR類またはα4β2およびα7の両方のNNR類の機能を調節するα4β2、α7NNR類またはα4β2とα7の両方のNNR類でのリガンドである。それら化合物は、受容体の定常活性を阻害する逆作働薬または受容体活性化作働薬の作用を完全に遮断っする拮抗薬であることができる。それら化合物は、α4β2、α7もしくはα4β2とα7の両方のNNR受容体を部分的に遮断するか部分的に活性化する部分作働薬またはその受容体を活性化する作働薬であることもできる。α4β2、α7またはα4β2とα7の両方の受容体への結合は、各種キナーゼ類およびホスファターゼ類が関与する重要なシグナリングプロセスならびに記憶、細胞保護、遺伝子転写および疾患変化に対する効果にとって重要なタンパク質−タンパク質相互作用をも誘発する。
【0175】
本発明の化合物は、天然に最も豊富に認められる原子量または原子番号とは異なる原子量または原子番号を有する1以上の原子を含む放射標識体で存在することができる。水素、炭素、リン、硫黄、フッ素、塩素およびヨウ素などの原子の放射性同位体には、それぞれH、14C、32P、35S、18F、36Clおよび125Iなどがあるがこれらに限定されるものではない。これらおよび/または他の原子の他の放射性同位体を含む化合物は、本発明の範囲に含まれる。トリチウム(H)および14C放射性同位体を含む化合物が通常、製造が容易であり、検出が容易であることから好まれる。本発明の放射標識化合物は、当業者に公知の一般的方法によって製造することができる。そのような放射標識化合物は、放射標識されていない試薬に代えて容易に入手可能な放射標識試薬を用いることで、上記の実施例および図式に開示の手順を実施することによって簡便に製造することができる。本発明の放射標識化合物は、上記の結合アッセイにおけるα7NNRリガンドの有効性を決定する上での標準として用いることができる。
【0176】
以上の詳細な説明および添付の実施例は単に説明のためのものであって、添付の特許請求の範囲およびそれの均等物によってのみ定義される本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではないことは明らかである。開示の実施形態に対する各種の変更および修正は、当業者には明らかであろう。本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤および/または使用方法に関係するものなど(それらに限定されるものではない)のそのような変更および修正は、本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて行うことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグ。
【化9】

[式中、
は、結合、−N(R)−C(O)−、−O−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−または−N(R)−であり;
Aは、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、複素環アルキル、シクロアルキルアルキルまたはシクロアルケニルアルキルであり、前記アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールアルキルのアリール部分、前記ヘテロアリールアルキルのヘテロアリール部分、前記複素環アルキルの複素環部分、前記シクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分および前記シクロアルケニルアルキルのシクロアルケニル部分はそれぞれ独立に、置換されていないか置換されており;
、RおよびRは各場合で、それぞれ独立に水素、アルキル、またはハロアルキルである。]
【請求項2】
が−N(R)−C(O)−または−O−C(O)−であり、Yが−C(O)−部分を介して式(I)のAに結合している請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグ。
【請求項3】
が−N(R)−C(O)−であり、Aがアリールまたはヘテロアリールである請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグ。
【請求項4】
が−N(R)−C(O)−であり、Aがアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグ。
【請求項5】
が−O−である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグ。
【請求項6】
Yがである請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグ。
【請求項7】
が−O−であり、Aがアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグ。
【請求項8】
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−2−ナフチルオキシム;
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(ペンタフルオロベンジル)オキシム;
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(4−クロロフェニル)オキシム;
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−(6−クロロピリジン−3−イル)オキシム;
N′−1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デク−4−イリデン−1H−インドール−3−カルボヒドラジド;および
1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−オンO−ベンジルオキシムからなる群から選択される請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグ。
【請求項9】
処置を必要とする対象者に対して、請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドまたはプロドラッグを投与する段階を有する、軽度認識障害、加齢性記憶障害(AAMI)、老年性認知症、AIDS認知症、ピック病、レビ小体関連の認知症、ダウン症候群関連の認知症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、禁煙、統合失調性感情障害、双極性障害および躁障害、外傷性脳損傷関連のCNS機能低下、急性疼痛、術後疼痛、慢性疼痛および炎症性疼痛からなる群から選択される障害の治療方法。
【請求項10】
処置を必要とする対象者に対して、請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドまたはプロドラッグを投与する段階を有する、注意欠陥障害、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、トゥレット・シンドローム、統合失調症および統合失調症関連の認知障害(CDS)からなる群から選択される障害の治療方法。
【請求項11】
処置を必要とする対象者に対して、請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドまたはプロドラッグ、非定型抗精神病薬を投与する段階を有する、統合失調症および統合失調症関連の認知障害(CDS)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される障害の治療方法。
【請求項12】
1以上の製薬上許容される担体と組み合わせて治療上有効量の請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩、アミドもしくはプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項13】
1以上の非定型抗精神病薬をさらに含む請求項12に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2010−522203(P2010−522203A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554738(P2009−554738)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057647
【国際公開番号】WO2008/118745
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】