説明

5−メチル−2−(2’−クロロ−6’−フルオロアニリノ)フェニル酢酸を含む薬学的組成物

本発明は、非経腸投与に適した、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸または薬学的に許容される塩、好ましくはカリウム塩を含む、シクロオキシゲナーゼ−2介在障害または状態の処置用組成物、ならびに5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸またはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのカリウム塩を非経腸投与することを含む、処置を必要とするヒトまたは動物におけるシクロオキシゲナーゼ−2介在障害または状態の処置法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、非経腸投与に適した5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸またはその塩を含むシクロオキシゲナーゼ−2介在障害または状態の処置用組成物、および5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸または薬学的に許容されるその塩の非経腸投与による、シクロオキシゲナーゼ−2介在障害または状態の処置法に関する。
【0002】
好ましい態様において、本発明は、処置を必要とするヒトまたは動物におけるシクロオキシゲナーゼ−2介在障害または状態の処置用組成物に関し、該組成物は、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸または薬学的に許容されるその塩の非経腸投与に適した液体を含む。
【0003】
他の好ましい態様において、本発明は、処置を必要とするヒトまたは動物におけるシクロオキシゲナーゼ−2介在障害または状態を処置する方法に関し、該方法は有効量の本発明の組成物、すなわち、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸または薬学的に許容されるその塩の非経腸投与に適した液体を含む組成物を投与することを含む。
【0004】
本明細書で引用するすべての特許、特許出願および他の文献は、その全体を出典明示により本明細書に包含する。本明細書と引用文献に含まれる材料で矛盾が生じるとき、本明細書が支配的である。
【0005】
遊離形または薬学的に許容される塩形の5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸の有用性およびその合成は、米国特許6,291,523に記載され、それの開示によると、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸を含む化合物の群が、とりわけリウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染と関連する症状、一般的な風邪、背下部および頸部疼痛、月経困難、偏頭痛を含む頭痛、歯痛、捻挫および筋違い、筋炎、神経痛、滑膜炎、骨関節症および関節リウマチを含む関節炎、退行性変形疾患、痛風および強直性脊椎炎、滑液包嚢炎、熱腸、ならびに外科および歯科処置後の創傷を含む様々な障害または状態と関連する疼痛、発熱および炎症の軽減に有用である。前記の疾患または状態のいずれか、例えば、急性疼痛に罹患しているヒトまたは動物の処置のための、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸またはその塩の液体非経腸投与製剤が望まれる。
【0006】
本発明により5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸の薬学的に許容される塩、とりわけカリウム塩を含む貯蔵安定な液体非経腸投与製剤が製造できることが判明した。5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸、すなわち遊離酸は水に相対的に難溶性であり、水中でまた分解する。故に、貯蔵安定性の非経腸製剤を製造できることは予測できなかった。さらに、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸、すなわち遊離酸はポリエチレングリコール(PEG)400中(100%PEG400の溶液で、50℃で暗所で4週間後に約19%分解を示し、同じ条件下の5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸のカリウム塩のわずか5%の分解と比較のこと)およびプロピレングリコール(PG)中(100%PGの溶液で、50℃で暗所で4週間後に約71%を示し、同じ条件下のカリウム塩のわずか7%の分解と比較のこと)でかなり不安定である。5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸またはその塩を含む溶液はまた注射または点滴でかなり刺激性であり、故に、非経腸投与に適した液体製剤の製造はさらに予測できなかった。
【0007】
本発明の液体非経腸投与製剤は、水性懸濁液または好ましくは水溶液の形で、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸の薬学的に許容される塩、特にカリウム塩を医薬原体として含む。医薬原体の濃度は遊離酸約10から約80mg/ml、典型的に遊離酸約10から約60mg/ml、好ましくは遊離酸約20から約50mg/ml、より好ましくは遊離酸約30から約40mg/ml、最も好ましくは遊離酸約40mg/mlであり得て、5−メチル−2−(2−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸のカリウム塩の等量は、いずれの場合も約1.13倍多い。
【0008】
本発明の製剤は、典型的にまた、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸の薬学的に許容される塩、とりわけカリウム塩のための、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400またはグリセリンのような共溶媒を含む。一般に、このような共溶媒は約5から約50重量%、好ましくは約20から約50重量%、より好ましくは約25から約45重量%、とりわけ約30から約45重量%、よりとりわけ約35から約45重量%、最も好ましくは約40重量%の量で存在する。
【0009】
本発明の製剤は、典型的にまた界面活性剤、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)のようなポリソルベート、Pluronic F-68(約7500の分子量を有する)のようなポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、またはCremophorのようなポリエトキシル化ヒマシ油を含む。このような界面活性剤は、典型的に約0.1重量%から約10重量%、好ましくは約0.5%から約5重量%、より好ましくは約1重量%から約5重量%、とりわけ約1重量%または約2重量%または約3重量%または約4重量%または約5重量%の量で存在する。
【0010】
本発明の製剤はまた、アスコルビン酸、トコフェロール、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、グルタチオン、チオウレア、L−システインヒドロクロライド一水和物、N−アセチルシステインまたはモノチオグリセロールのような抗酸化剤を含み得る。使用する抗酸化剤に依存して、抗酸化剤は、典型的に約0.01重量%から約4重量%、好ましくは約0.05%から約3重量%、より好ましくは約1重量%から約2重量%、最も好ましくは約2%の量で存在し得る。
【0011】
本医薬原体は非経腸製剤の約8.5から約10.5のpH値で最も安定である。約8.5より低いpH値の製剤は相対的に高濃度の環状分解産物を含み、一方約10.5より高いpH値では参加的分解産物の濃度が増加する。従って、本発明の製剤はまた緩衝剤を含み得る。適当な緩衝剤は、例えばグリシン緩衝剤またはリン酸緩衝剤である。
【0012】
本発明の製剤は、例えば、それらの成分と水を、懸濁液または好ましくは透明溶液が得られるまで混合することにより製造できる。該懸濁液または好ましくは透明溶液を、医薬原体の分解を増加し得る溶解酸素の量を最小にするために、窒素または他の不活性ガス、例えばアルゴンでパージし得る。窒素または他の不活性ガスは、製剤用の容器中の液体上に積層され得る。バイアルまたはアンプルのようなガラス容器が好ましい。透明ガラス容器が最も好ましいが、非経腸投与に適するすべての容器を使用できる。医薬原体が光感受性であるため、透明ガラス容器中の製剤を、厚紙のような光非透過性包装で報償するのがまた有用である。これらの本発明の製剤の製造法は、本発明の別の態様である。
【0013】
他の態様において、本発明はシクロオキシゲナーゼ−2介在障害または状態の処置用医薬組成物の製造のための、5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)−フェニル酢酸の薬学的に許容される塩、とりわけカリウム塩の使用に関する。
【0014】
下記の実施例は本発明を説明することを意図し、本発明を限定しない。
【0015】
実施例:非経腸投与用溶液
【表1】

【0016】
成分を混合し、該混合物を窒素でパージする。透明溶液が得られたら直ぐにそれを透明アンプルに移し、窒素を溶液の上に積層し、その後、アンプルを密封する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸の薬学的に許容される塩、共溶媒および界面活性剤を含む、組成物。
【請求項2】
さらに水を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
溶液の形である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
共溶媒がプロピレングリコール、ポリエチレングリコール400およびグリセリンから成る群から選択される、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
界面活性剤が、ポリソルベート、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーおよびポリエトキシル化ヒマシ油から成る群から選択されるメンバーである、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
さらに抗酸化剤を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
抗酸化剤がアスコルビン酸、トコフェロール、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、グルタチオン、チオウレア、L−システインヒドロクロライド一水和物、N−アセチルシステインおよびモノチオグリセロールから成る群から選択されるメンバーである、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
さらに緩衝剤を含む、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
緩衝剤がグリシン緩衝剤およびリン酸緩衝剤から成る群から選択されるメンバーである、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸の薬学的に許容される塩がカリウム塩である、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
共溶媒がポリエチレングリコール400である、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
界面活性剤がポリソルベートである、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
抗酸化剤がモノチオ−グリセロールである、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
緩衝剤がグリシン緩衝剤である、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
さらにバイアルおよびアンプルから成る群から選択されるガラス容器を含む、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
溶液がガラス容器に配分されていることを特徴とする、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸のカリウム塩の、該塩を含む水溶液中での化学分解を最小にする方法であって、該水溶液のpH値を約8.5から約10.5の間に調整することを含む、方法。
【請求項18】
5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロ−アニリノ)フェニル酢酸のカリウム塩の非経腸投与中の局所耐容性を増大させる方法であって、該塩を共溶媒もまた含む水溶液の形で投与することを含む、方法。
【請求項19】
共溶媒がポリエチレングリコール400である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
シクロオキシゲナーゼ−2介在障害または状態を処置する方法であって、請求項1記載の非経腸投与組成物を投与することを含む、方法。
【請求項21】
請求項14記載の組成物を非経腸投与することを含む、請求項20記載の方法。


【公表番号】特表2007−508263(P2007−508263A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530118(P2006−530118)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011223
【国際公開番号】WO2005/037266
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】