説明

5HT1A受容体アンタゴニストのモノマレイン酸塩一水和物塩

本発明は、7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドのモノマレイン酸塩一水和物塩、性的機能不全の治療における該塩の薬剤としての使用、ならびに該塩を含む医薬組成物および剤形に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドのモノマレイン酸塩一水和物塩(monomaleate monohydrate salt)、性的機能不全の治療における該塩の薬剤としての使用、並びに該塩を含む医薬組成物および剤形に関する。
【0002】
背景技術
式(A)で表わされる化合物7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドおよびその二塩酸塩は、引用することにより本発明の開示の範囲とされる国際公開第2006/024517号公報(その中の実施例134を参照)に記載されている。
【化1】

【発明の概要】
【0003】
先行技術よりも有益である、式(A)で表される化合物の新規な塩を同定した。
【0004】
従って第一の態様によれば、本発明は7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドのモノマレイン酸塩一水和物塩を提供する。
【0005】
以前に開示された、7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドの遊離塩基および二塩酸塩に関する問題点が同定された。両方とも幾つかの形態で存在することが示されており、スケールアップした状態で単一の別々の形態を再現性よく単離する試みには成功していない。加えて、遊離塩基は不溶性であることから生物学的な利用は容易ではなく、かつ吸湿性の二塩酸塩は、錠剤処方時の薬物基質の量を不確実にする可変的な化学量論を示し、最終的には患者に対する潜在的なリスクを生じる。
【0006】
従って、7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドのモノマレイン酸塩一水和物塩は、大量調製において単一の別々の形態として製造でき、かつ単離できることから、遊離塩基および二塩酸塩の両方よりも特に有益である。
【0007】
モノマレイン酸塩一水和物塩は非結晶性または結晶性であってよい。一つの実施形態によれば、モノマレイン酸塩一水和物塩は結晶性である。
【0008】
一つの実施形態によれば、モノマレイン酸塩一水和物塩は、以下のXRPDピークリストによって実質的に特徴付けられる結晶構造を有する。
【0009】
【表1】

【0010】
さらなる実施形態によれば、モノマレイン酸塩一水和物塩は、図1に実質的に等しいXRPDパターンを持つことにより特徴付けられる結晶構造を有する。
【0011】
X線粉体回折(XRPD)データは、XCelerator 検出器を用い、PANalytical X’Pert Pro粉体回折計、モデルPW3040/60により取得した。取得条件は、照射:Cu Kα、発生装置の電圧:40kV、発生装置の電流、:45mA、開始角度:2.0° 2θ、終了角度:40.0° 2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ、ステップ当たりの時間:31.75秒であった。サンプルは、数ミリグラムのサンプルをシリコンウェハー(ゼロバックグラウンド)プレート上にマウントして粉体の薄層を得ることにより調製した。ピーク位置はHighscoreソフトウェアを用いて測定した。
【0012】
一つの実施形態によれば、モノマレイン酸塩一水和物塩は、DSCサーモグラムにおける45℃の開始による脱水吸熱と、それに続く222℃の開始による脱水モノマレイン酸塩一水和物の融解とにより特徴付けられる結晶構造を有する。
【0013】
モノマレイン酸塩一水和物塩のDSCサーモグラムは、TA Q1000熱量計を用いて得た。サンプルはアルミニウムパン内へ秤量し、蓋を上に載せ、密閉することなく軽く圧着した。実験は10℃min−1の加熱率を用いて行った。
【0014】
一つの実施形態によれば、モノマレイン酸塩一水和物塩は、固体産物の赤外スペクトルにおける以下の吸収ピーク、約3573、3460、3298、1662、1579、1494、1442、1088、973、866、810、および748cm−1により特徴付けられる結晶構造を持つ。
【0015】
観察されるピークには、用いる特定の分光計および分析者のサンプル調製技術に基づくわずかな変動が予想される。上に示したピークの割り当てそれぞれには幾らかの誤差範囲が存在する。
【0016】
さらなる実施形態によればモノマレイン酸塩一水和物塩は、図2と実質的に等しい赤外スペクトルを有することにより特徴付けられる結晶構造を有する。
【0017】
赤外スペクトルは、ユニバーサル(1回反射ダイアモンド)ATRサンプリングアクセサリーを用いるPerkinElmer Spectrum One FTIRにおいて、2cm−1の分解能における16スキャンの後に取得した。第一の態様およびその実施形態において定義されるモノマレイン酸塩一水和物塩は、以下「本発明の塩」と称される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【発明の具体的説明】
【0019】
本発明の塩は、その全ての適切な同位体変化を含む。同位体変化は、少なくとも一つの原子が、同じ原子番号を持つが通常天然に見出される原子質量とは異なる原子質量を持つ原子によって置き換えられるものと定義される。取り込むことが可能な同位元素の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素の同位元素、例えばそれぞれH、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、および36Clを含む。ある同位体変化、例えばHまたは14Cなどの放射性同位元素が取り込まれるものは、薬物および/または基質の組織分布研究に有用である。トリチウム標識された、すなわちH、および炭素−14、すなわち14C同位元素は、それらの調製および検出性の容易さのために適している。さらに、重水素、すなわちHなどの同位元素による置換は、より大きな代謝の安定性、例えばin vivo半減期の増大または要求される投薬量の減少から得られるある治療上の利点を提供し得ることから、ある状況下では適切であり得る。同位体変化は、一般に従来の手順、例えば具体的方法または以下の実施例および記述において表現される製法により、適した試薬の適切な同位体変化を用いて準備することができる。
【0020】
本発明の塩は、5−HT1A受容体の有効なアンタゴニストである。加えて、本発明の塩は、5−HT1B受容体よりも5−HT1A受容体に高い選択性を持つ。すなわち該塩は5−HT1B受容体のアンタゴニストとしてよりも5−HT1A受容体のアンタゴニストとして優れている。
【0021】
本発明の塩は、5−HT1A受容体の活性化を介する疾病および状態の治療に有用であり得ると考えられる。
【0022】
従って実施形態によれば、本発明は薬剤、好ましくはヒト用の薬剤として使用するための本発明の塩を提供する。
【0023】
さらなる態様によれば、本発明はヒトにおいて5−HT1A受容体の活性化を介する疾病および状態の治療または予防方法を提供し、これは患者へ治療的に安全かつ有効な量の、式(A)で表される化合物を投与することを含む。
【0024】
さらなる態様によれば、本発明は5−HT1A受容体の活性化を介する疾病もしくは状態を治療または予防する薬剤の製造における本発明の塩の使用を提供する。
【0025】
一つの実施形態によれば、5−HT1A受容体の活性化を介し得る疾病または状態は[以下にリストされる疾病の後の括弧内の数は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association )により発表されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition (DSM-IV) および/またはInternational Classification of Diseases, 10th Edition (ICD-10) による分類コードを指す]以下からなるリストから選択される。
【0026】
i)精神病性障害、例えば統合失調症(妄想型(295.30)、破瓜型(295.10)、緊張型(295.20)、識別不能型(295.90)、および残遺型(295.60)の亜型を含む)、統合失調症様障害(295.40)、統合失調感情障害(295.70)(双極型およびうつ型の亜型を含む)、妄想性障害(297.1)(色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型、および不特定型の亜型を含む)、短期精神病性障害(298.8)、共有精神病性障害(297.3)、一般的な症状に起因する精神病性障害(妄想を伴う、および幻覚を伴う亜型を含む)、物質誘発性精神病性障害(妄想を伴う(293.81)、および幻覚を伴う(293.82)亜型を含む)、および特定不能の精神病性障害(298.9)。
【0027】
ii)うつ病および気分障害、例えばうつ病エピソード(大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソード、および軽躁病エピソードを含む)、うつ病性障害(大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含む)、双極性障害(双極I型障害、双極II型障害(すなわち軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80))、その他の気分障害(うつ病性の特徴、大うつ病様エピソード、躁病性の特徴、および混合性の特徴を伴う亜型を含む、一般身体疾患による気分障害(293.83)を含む)、物質誘発性気分障害(うつ病性の特徴、躁病性の特徴、および混合性の特徴を伴う亜型を含む)、および特定不能の気分障害(296.90)。
【0028】
iii)不安障害、例えば社会不安障害、パニック発作、広場恐怖、パニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖(300.22)、特定恐怖(300.29)(動物型、自然環境型、血液−注射−外傷型、状況型、およびその他の型の亜型を含む)、社会恐怖(300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般身体疾患による不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害、および特定不能の不安障害(300.00)。
【0029】
iv)物質関連障害、例えば物質使用障害(物質依存症、物質欲求、および物質乱用を含む)、物質誘発性障害(物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘性障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性の性的機能不全、物質誘発性睡眠障害、および長時間にわたる知覚異常(フラッシュバック)を含む)、アルコール関連障害(アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性健忘性障害、アルコール誘発性持続性健忘性障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性の性的機能不全、アルコール誘発性睡眠障害、および特定不能のアルコール関連障害(291.9)を含む)、アンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害(例えばアンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性の性的機能不全、アンフェタミン誘発性睡眠障害、および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9)を含む)、カフェイン関連障害(カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害、および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)を含む)、大麻関連障害(大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害、および特定不能の大麻関連障害(292.9)を含む)、コカイン関連障害(コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性の性的機能不全、コカイン誘発性睡眠障害、および特定不能のコカイン関連障害(292.9)を含む)、幻覚剤関連障害(幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、長時間にわたる知覚異常(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害、および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)を含む)、吸入剤関連障害(吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害、および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)を含む)、ニコチン関連障害(ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)、および特定不能のニコチン関連障害(292.9)を含む)、アヘン類関連障害(アヘン類依存(304.00)、アヘン類乱用(305.50)、アヘン類中毒(292.89)、アヘン類離脱(292.0)、アヘン類中毒せん妄、アヘン類誘発性精神病性障害、アヘン類誘発性気分障害、アヘン類誘発性の性的機能不全、アヘン類誘発性睡眠障害、および特定不能のアヘン類関連障害(292.9)を含む)、フェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害(フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害、および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)を含む)、 鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬関連障害(鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬持続性認知症、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬持続性健忘性障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性の性的機能不全、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性睡眠障害、および特定不能の鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬関連障害(292.9)を含む)、他物質関連障害(他物質依存(304.80)、およびその他の(または不明の)物質関連障害(タンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤、および亜酸化窒素を含む)。
【0030】
v)睡眠障害、例えば睡眠異常(原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)、および特定不能の睡眠異常(307.47)を含む)などの原発性睡眠障害、睡眠時随伴症(悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)、および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)を含む)などの原発性睡眠障害、他の精神疾患に関連した睡眠障害(他の精神疾患に関連した不眠症(307.42)および他の精神疾患に関連した過眠症(307.44)を含む)、一般身体疾患による睡眠障害、および物質誘発性睡眠障害(不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型、および混合型の亜型を含む)。
【0031】
vi)神経性無食欲症(307.1)(制限型およびむちゃ食い/排出型の亜型を含む)などの摂食障害、神経性過食症(307.51)(排出型および非排出型の亜型を含む)、肥満、過食症、むちゃ食い障害、および特定不能の摂食障害(307.50)。
【0032】
vii)自閉症性障害(299.00)、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広範性発達障害を含む自閉症スペクトラム障害。
【0033】
viii)注意欠陥/多動性障害(注意欠陥/多動性障害合併型(314.01)、注意欠陥/多動性障害注意力障害優位型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動性−衝動性型(314.01)、および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)の亜型を含む)、運動過剰性障害、行為障害(小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)、および特定不能の発症型(312.89)を含む)、反抗挑戦性障害(313.81)、および特定不能の破壊的行動障害などの破壊的行動障害、およびトゥレット障害などのチック障害(307.23)。
【0034】
ix)妄想性人格障害(301.0)、統合失調質人格障害(301.20)、統合失調型人格障害(301.22)、反社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301.83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301.81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)、および特定不能の人格障害(301.9)の亜型を含む人格障害。
【0035】
x)統合失調症、双極性障害 、うつ病、その他の精神障害などのその他の疾病における認知機能障害、および認知機能障害に付随する精神病的状態、例えばアルツハイマー病の治療を含む認知の増強。
【0036】
xi)性的欲求障害(性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)を含む)などの性的機能不全、性的興奮の障害(女性の性的興奮の障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)を含む)、オルガズムの障害(女性のオルガズムの障害(302.73)、男性のオルガズムの障害(302.74)、および早漏(302.75)を含む)、性交疼痛障害(性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51)を含む)、特定不能の性的機能不全(302.70)、性嗜好異常(露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯的フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)、および特定不能の性嗜好異常(302.9)を含む)、性同一性障害(小児の性同一性障害(302.6)、および青年または成人の性同一性障害(302.85)を含む)、および特定不能の性的障害(302.9)からなるリストより選択される。
【0037】
さらなる実施形態によれば、5−HT1A受容体の活性化を介し得る疾病または状態は、i)精神病性障害、ii)うつ病および気分障害、iii)不安障害、並びにxi)性的機能不全からなる群より選択される。
【0038】
さらなる実施形態によれば、5−HT1A受容体の活性化を介し得る疾病または状態は、i)うつ病および気分障害、iii)不安障害、並びにxi)性的機能不全からなる群より選択される。
【0039】
さらなる実施形態によれば、5−HT1A受容体の活性化を介し得る疾病または状態は性的機能不全である。
【0040】
さらなる実施形態によれば、該性的機能不全は早漏である。
【0041】
本発明の塩は、精神病性障害の治療または予防のために、以下の薬剤、i)抗精神病薬、ii)錐体外路の副作用のための薬物、例えば抗コリン薬(ベンズトロピン、ビペリデン、プロシクリジン、およびトリヘキシフェニジル等)、抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン等)、およびドーパミン作動薬(アマンタジン等)、iii)抗うつ薬、iv)抗不安薬、およびv)抗知性薬、例えばコリンエステラーゼ阻害薬(タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、およびガランタミン等)との組み合わせにより使用されてよい。
【0042】
本発明の塩は、うつ病および気分障害の治療または予防のために、抗うつ薬との組み合わせにより使用されてよい。
【0043】
本発明の塩は、双極性疾患の治療または予防のために、以下の薬剤、i)気分安定薬、ii)抗精神病薬、およびiii)抗うつ薬との組み合わせにより使用されてよい。
【0044】
本発明の塩は、不安障害の治療または予防のために、以下の薬剤、i)抗不安薬、およびii)抗うつ薬との組み合わせにより使用されてよい。
【0045】
本発明の塩は、男性の性的機能不全の治療または予防のために、以下の薬剤、i)ホスホジエステラーゼV阻害剤、例えばバルデナフィルおよびシルデナフィル、ii)ドーパミンアゴニスト/ドーパミンアンタゴニスト/ドーパミン輸送阻害薬、例えばアポモルヒネおよびブプロピオン、iii)アルファアドレナリン受容体アンタゴニスト、例えばフェントラミン、iv)プロスタグランジン作動薬、例えばアルプロスタジル、v)アンドロゲン受容体修飾薬、例えばテストステロン、vi)セロトニン作動薬/アンタゴニスト/修飾薬/セロトニン輸送体阻害薬、例えばセロトニン再取り込み阻害薬、vii)ノルアドレナリン輸送阻害薬、例えばレボキセチン、viii)オキシトシン受容体アンタゴニスト、(ix)ナトリウムおよびカルシウムチャネル阻害薬/遮断薬、および(x)オピオイド受容体アンタゴニストとの組み合わせにより使用されてよい。
【0046】
本発明の塩は、女性の性的機能不全の治療または予防のために、男性の性的機能不全に特定化された同じ薬剤、およびそれに加えてエストラジオールなどのエストロゲンアゴニストとの組み合わせにより使用されてよい。
【0047】
抗精神病薬は、定型抗精神病薬(例えばクロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、チオチキセン、ハロペリドール、モリンドン、およびロキサピン)、および非定型抗精神病薬(例えば、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、およびアミスルプリド)を含む。
【0048】
抗うつ薬は、セロトニン再取り込み阻害薬(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、フェモキセチン、フルボキサミン、インダルピン、およびジメルジン等)、セロトニン/ノルアドレナリン二重再取り込み阻害薬(ベンラファキシン、デュロキセチン、およびミルナシプラン等)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(レボキセチンおよびベンラファキシン等)、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、およびトリミプラミン等)、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジン、およびトラニルシプロミン等)、およびその他(ブプロピオン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドン、およびトラゾドン等)を含む。
【0049】
気分安定薬は、リチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバマゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマート、およびチアガビンを含む。
【0050】
抗不安薬は、アルプラゾラムおよびロラゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬を含む。
【0051】
加えて本発明の塩は、5−HTアンタゴニスト(オンダンセトロン、グラニセトロン、およびメトクロプラミド等)、セロトニンアゴニスト(スマトリプタン、ラウオルシン、ヨヒンビン、およびメトクロプラミド等)、およびNK−1アンタゴニストとの組み合わせにより投与されてよい。
【0052】
上記の組み合わせは同時に(同じかまたは異なる薬理学的処方のいずれかにより)、別々に、または連続的に投与されてよいことが認識されるであろう。
【0053】
ここで「治療」に関しては、症状(軽度、中度、または重度に関わらず)の予防、再発の予防、および抑制または寛解、同様に確立された状態の治療へと及ぶことが認識されるであろう。
【0054】
本発明の塩は通常、適切な経路によって患者へ投与される前に医薬組成物へと処方され得るが、必須ではない。従って別の態様によれば本発明は、本発明の塩および一種以上の薬理学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0055】
ここで用いられる「薬理学的に許容される賦形剤」は、医薬組成物または剤形中に存在する、本発明の塩以外のいずれの薬理学的に許容される物質を意味する。典型的には該物質は、医薬組成物に形、一貫性、および性能を与える。
【0056】
本発明の化合物は単独で投与されてよいが、一般には意図される投与経路および標準的な薬理学の習慣に関連して選択される1種以上の薬理学的に許容される賦形剤と組み合わせた処方として投与され得る。従って、さらなる態様によれば本発明は、本発明の塩と、一種以上の薬理学的に許容される賦形剤、希釈剤、および/または賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。賦形剤は組成物の他の成分に適合しており、かつそれを投与される者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0057】
本発明のこのような医薬組成物は、安全かつ有効な量の本発明の塩を調剤できる大量の形態において調製および包装されてよく、次に、例えば粉末またはシロップにより患者に投与されてよい。あるいは本発明の医薬組成物は、物理的に別々の剤形それぞれが安全かつ有効な量の本発明の塩を含む、経口用剤形として調製および包装されてよい。従って、別の態様によれば本発明は、本発明の医薬組成物を含む経口用剤形を提供する。別々の剤形それぞれは、0.5mg〜25mgの遊離塩基を含む本発明の塩を含む。別の態様によれば、別々の剤形それぞれは、1mg〜25mgの遊離塩基を含む本発明の塩を含む。別の態様によれば、別々の剤形それぞれは、1mg〜20mgの遊離塩基を含む本発明の塩を含む。別の態様によれば、別々の剤形それぞれは、1mg〜15mgの遊離塩基を含む本発明の塩を含む。別の態様によれば、別々の剤形それぞれは、1mg〜5mgの遊離塩基を含む本発明の塩を含む。
【0058】
当業者は、本発明の塩の個々の薬用量についての最適な量および間隔は、治療される状態、形態、投与経路、および部位、並びに治療される特定の哺乳類の、性質および範囲によって決定でき、かつこのような最適条件は従来の技術によって決定できると、認識するであろう。当業者はまた、治療の最適な過程、すなわち規定された日数の間に投与される一日あたりの本発明の塩の服用回数が、治療を決定するための試験についての従来の過程を用いて当業者により確認できることも認識するであろう。
【0059】
本発明の組成物は、典型的には望まれる投与経路による患者への投与に適応する剤形へと処方され得る。例えば剤形は、(1)経口投与、例えば錠剤、カプセル、カプレット、丸剤、舐剤、粉末、シロップ、エリキシル剤、懸濁液、溶液、乳濁液、サシェ、およびカシェ剤、(2)非経口投与、例えば無菌溶液、懸濁液、植込錠、および再構成のための粉末、(3)経皮投与、例えば経皮パッチ、(4)直腸および膣投与、例えば坐薬、ペッサリー、および泡、(5)吸入および鼻腔内、例えば乾燥粉末、エアロゾル、懸濁液、および溶液(スプレーおよび液滴)、(6)局所投与、例えばクリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、液滴、スプレー、泡、およびゲル、(7)眼内投与、例えば液滴、軟膏、スプレー、懸濁液、および挿入剤、(8)頬および舌下投与、例えば舐剤、パッチ、スプレー、液滴、チューインガム、および錠剤に適応されるものを含む。
【0060】
適切な薬理学的に許容される賦形剤は、選択される特定の剤形に依存して異なり得る。加えて、適切な薬理学的に許容される賦形剤は、それらが組成物中で果たし得る特定の機能のために選択されてよい。例えば、ある薬理学的に許容される賦形剤は、均一な剤形の産生を促進するそれらの能力のために選択されてよい。ある薬理学的に許容される賦形剤は、安定な剤形の産生を促進するそれらの能力のために選択されてよい。ある薬理学的に許容される賦形剤は、患者に一旦投与された本発明の塩の、一つの臓器もしくは身体の一部から別の臓器もしくは身体の一部への運搬または輸送を促進するそれらの能力のために選択されてよい。ある薬理学的に許容される賦形剤は、患者の服薬順守を強化するそれらの能力によって選択されてよい。ある薬理学的に許容される賦形剤は、状態の治療のために適切な比率において本発明の塩の放出を促進するそれらの能力によって選択されてよい。
【0061】
適切な薬理学的に許容される賦形剤は、以下の型の賦形剤を含む:希釈剤、注入剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁剤、乳化剤、甘味料、香味料、香味マスキング剤、着色料、凝固阻止剤、湿潤剤、キレート剤、可塑剤、粘度増強剤、比率改変剤(rate modifying agents)、抗酸化剤、保存料、安定剤、界面活性剤、および緩衝剤。当業者は、ある薬理学的に許容される賦形剤は、1を超える機能を果たしてよく、かつ剤形中にどの程度の賦形剤が存在するか、および剤形中にどのようなその他の成分が存在するかに依存して、代替機能を果たしてよいことを認識するであろう。
【0062】
当業者は、本発明の塩と共に使用するための、適切な量の、適切な薬理学的に許容される賦形剤の決定を可能にするための当該技術分野における知識および技能をもつ。加えて、薬理学的に許容される賦形剤について記載され、かつ適切な薬理学的に許容される賦形剤の選択に有用であり得る、当業者に入手可能な幾つかの情報源がある。例として、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company), The Handbook of Pharmaceutical Additives (Gower Publishing Limited), および The Handbook of Pharmaceutical Excipients (the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press) が挙げられる。本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術および方法を用いて調製されてよい。当該技術分野において一般的に用いられる方法の幾つかは、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company) に記載される。
【0063】
一つの態様によれば、本発明は、固形経口剤形、例えば本発明の塩の安全かつ有効な量、および希釈剤もしくは注入剤を含む、錠剤またはカプセルを対象とする。適切な希釈剤または注入剤は、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば微結晶セルロース)、硫酸カルシウム、ならびにリン酸水素カルシウムを含む。経口固形剤形は結合剤をさらに含んでよい。適切な結合剤は、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロースおよびその誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含む。経口固形剤形は崩壊剤をさらに含んでよい。適切な崩壊剤はデンプン、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。経口固形剤形は潤滑剤をさらに含んでよい。適切な潤滑剤はステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびドデシル硫酸ナトリウムを含む。経口固形剤形は、タルクおよびコロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤をさらに含んでよい。経口固形剤形は、体裁をよくするための、または機能的な特性を有し得る外側のコーティングをさらに含んでよい。
【0064】
本発明は以下のさらなる態様を含むことが認識されるであろう。上記の疾病および状態は、適切な場合にこれらのさらなる態様へと拡張する。
i)早漏などの性的機能不全の治療または予防における使用のための本発明の塩。
ii)ヒトにおける性的機能不全(例えば、早漏)の治療または予防方法であって、有効量の本発明の塩を投与することを含む方法。
【実施例】
【0065】
本発明は、以下の実施例により例証される。
【0066】
化合物は、ACD/Name PRO 6.02 化学命名ソフトフェア(Advanced Chemistry Development Inc.、トロント、オンタリオ州、M5H2L3、カナダ)を用いて命名される。
【0067】
実施例1:7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドのマレイン酸塩一水和物塩の調製
ジメチルスルホキシド(6.5l)中の7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミド(702g)の撹拌したスラリーを75±5℃まで約10分間熱し、マレイン酸(212g)を加えた。混合物を75±5℃で約1.5時間熱し、この間にスラリーは溶解されて溶液が得られた。次に、この溶液を、5μmフィルターを通して第二の容器へ移した。第一の容器内でジメチルスルホキシド(0.5L)を70±5℃に熱し、以前に用いた5μmフィルターを通して第二の容器へ移した。第一の容器内で水(3.5L)を70±5℃に熱し、以前に用いた5μmフィルターを通して第二の容器へ移した。第二の容器内の内容物を67±3℃に調節して播いた(2g)。種材料の調製については実施例2を参照のこと。容器内の内容物を、約45分間にわたり22±3℃まで冷却して濾過した。濾過ケーキをアセトンで洗浄し(3×2.8L)、短時間吸引乾燥(pulled dry)した後、減圧下で50±5℃にて約15時間乾燥させた。産物を乾燥器から取り除いた後、周囲温度にて恒量(568g)になるまで>3時間静置した。
【0068】
実施例1の産物の、水の重量パーセントは、ヘッドスペース自動サンプラーを備えたMetrohm滴定装置を用いる、比色定量のカールフィッシャー滴定を用いて決定した。水分量は2.9%w/wと決定された。これは予想される化学量論的な量である2.9%w/wに一致する。
【0069】
実施例1の産物の、マレイン酸対イオンの重量パーセントは、Dionex ICS-2000 および Dionex IPAC カラムを用いる、イオンクロマトグラフィーを用いて決定した。マレイン酸イオンの量は18.5%w/wと決定された。これは予想される化学量論的な量である18.9%w/wによく一致する。
【0070】
実施例1の産物は、以下のように特徴付けられた。
【0071】
X線粉体回折(XRPD)
X線粉体回折(XRPD)データは、XCelerator 検出器を用い、PANalytical X’Pert Pro粉体回折計、モデルPW3040/60において取得した。取得条件は、照射:Cu Kα、発生装置の電圧:40kV、発生装置の電流、:45mA、開始角度:2.0° 2θ、終了角度:40.0° 2θ、ステップサイズ:0.0167° 2θ、ステップあたりの時間:31.75秒であった。サンプルは、数ミリグラムのサンプルをSiウェハー(ゼロバックグラウンド)プレート上にマウントして粉体の薄層を得ることにより調製した。XRPDパターンを図1に示す。特徴的なXRPD角度および面間隔dを以下の表に記録する。ピークの割り当てそれぞれについての誤差範囲は約±0.1゜ 2θである。ピーク位置はHighscoreソフトウェアを用いて測定した。
【0072】
【表2】

【0073】
ATR−IR
赤外スペクトルは、ユニバーサル(1回反射ダイアモンド)ATR−IRサンプリングアクセサリーを用いるPerkinElmer Spectrum One FTIRにおいて、2cm−1の分解能における16スキャンの後に取得した。ATR−IRスペクトルを図2に示す。
【0074】
特徴的な吸収ピークは、約3573、3460、3298、1662、1550−1600、1579、1494、1442、1088、973、866、810、および748cm−1において観察される。
【0075】
熱分析
産物のDSCサーモグラムは、TA Q1000熱量計を用いて得た。サンプルはアルミニウムパン内へ秤量し、蓋を上に載せ、密閉することなく軽く圧着した。実験は10℃min−1の加熱率を用いて行った。実施例1からの産物のDSCサーモグラムを図3に示す。
【0076】
脱水の開始は46℃で開始し、融解/分解の開始は222℃で起こった。
【0077】
実施例2:7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドマレイン酸塩一水和物の調製
第一サンプルを以下のように調製した。5%v/v水性イソプロパノール(224ml)中の7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミド(1.68g)およびマレイン酸(0.71g)の撹拌したスラリーを、約70℃まで熱した。約75分後、得られた薄いスラリーを約40℃まで冷却した。温度サイクル(約70℃まで熱し、約40℃まで冷却する)を4回繰り返し、スラリーを室温まで冷却して一晩撹拌した。産物を濾過して5%v/v水性イソプロパノールで洗浄し(2×5ml)、次に50℃にて減圧下で乾燥させて産物(1.77g)を得た。産物のH NMR分析は、マレイン酸の一当量よりもわずかに少なく示された。
【0078】
第二サンプルを以下のように調製した。5%v/v水性イソプロパノール(193ml)中の7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミド(1.45g)およびマレイン酸(0.61g)の撹拌したスラリーを、約70℃まで熱した。約75分後、得られたスラリーを室温まで冷却し、一晩撹拌した。産物を濾過して、5%v/v水性イソプロパノールで洗浄し(2×3ml)、次に50℃にて減圧下で乾燥させて産物(1.58g)を得た。産物のH NMR分析は、マレイン酸の一当量よりもわずかに少なく示された。
【0079】
第三サンプルを以下のように調製した。5%v/v水性イソプロパノール(684ml)中の7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミド(5.14g)およびマレイン酸(2.17g)の撹拌したスラリーを約70℃まで熱し、一晩撹拌した。得られたスラリーを室温まで冷却した。産物を濾過して5%v/v水性イソプロパノールで洗浄し(2×10ml)、次に50℃にて減圧下で乾燥させて産物(5.36g)を得た。産物のH NMRは、約0.85molのマレイン酸を示した。
【0080】
上に示すように調製された三つのサンプルを組み合わせ(8.31g)、ジメチルスルホキシド(70ml)中において約70℃まで加温して、濁った溶液を得た。マレイン酸(167mg)を加えた。数分後、水(35ml)を加え、混合物を一晩室温まで冷却した。産物を濾過して1:1ジメチルスルホキシド/水(16ml)で洗浄し、次に50℃にて減圧下で乾燥させた。産物(6.75g)をジメチルスルホキシド(57ml)に懸濁し、約70℃まで加熱して濁った溶液を得た。マレイン酸(433mg)を加え、次に水(28.5ml)を加えて、混合物を約73℃まで加温した。90分にわたって40℃まで冷却した後、スラリーを室温まで冷却して一晩撹拌した。産物を濾過して5%v/v水性イソプロパノールで洗浄し(2×6.7ml)、次に50℃にて減圧下で乾燥させて、7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドモノマレイン酸塩一水和物(4.71g)を得た。
【0081】
得られた最終産物を、実施例1に記載される同条件においてXRPDおよびDSCにより特徴付けた(図4および5をそれぞれ参照)。
【0082】
実施例3:本発明の塩(7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドマレイン酸塩一水和物)を含む、即時放出型水性フィルムコート錠剤の調製
このような錠剤は当業者に公知の方法によって調製されてよい。特定の錠剤は以下のように調製された。
1.7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドマレイン酸塩一水和物(本発明の塩)を、顆粒内賦形剤のHPMC、マンニトール60、Avicel PH101、およびAc Di Sol(登録商標)と、表Aに示す量において混合する。
2.混合物を高せん断湿式造粒して、4%w/w含む顆粒を得る。
3.湿潤顆粒を乾燥させる。
4.得られた顆粒を、顆粒外賦形剤のマンニトールSD200、Avicel PH102、Ac Di Sol、およびステアリン酸マグネシウムと、表Aに示す量において混合する。
5.混合物を打錠する。
6、得られた錠剤をコートする。
【0083】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
7−メチル−6−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−4,5−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]キノリン−3−カルボキサミドのモノマレイン酸塩一水和物塩。
【請求項2】
以下のXRPDピークリストにより特徴付けられる結晶構造を有する、請求項1に記載の塩:
【表1】

【請求項3】
図1と実質的に同一のXRPDパターンを持つことを特徴とする結晶構造を有する、請求項1または2に記載の塩。
【請求項4】
固体産物の赤外スペクトルにおける以下の吸収ピーク、約3573、3460、3298、1662、1579、1494、1442、1088、973、866、810、および748cm−1により特徴付けられる結晶構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塩。
【請求項5】
図2と実質的に同一の赤外スペクトルを持つことを特徴とする結晶構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩。
【請求項6】
治療における使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩。
【請求項7】
5−HT1A受容体の活性化を介する疾病または状態の治療または予防における使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩。
【請求項8】
5−HT1A受容体の活性化を介する疾病または状態を治療または予防する薬剤の製造のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩の使用。
【請求項9】
前記疾病または状態がi)精神病性障害、ii)うつ病および気分障害、iii)不安障害、並びにxi)性的機能不全からなる群より選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記疾病または状態が、ii)うつ病および気分障害、iii)不安障害、並びにxi)性的機能不全からなる群より選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記疾病または状態が性的機能不全である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記性的機能不全が早漏である、請求項10に記載の使用。
【請求項13】
早漏の治療または予防における使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩。
【請求項14】
i)精神病性障害、ii)うつ病および気分障害、iii)不安障害、並びにxi)性的機能不全の治療または予防方法であって、それを必要とするヒトにおいて、治療的に有効な量の請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩を前記ヒトへ投与することを含んでなる、方法。
【請求項15】
ii)うつ病および気分障害、iii)不安障害、並びにxi)性的機能不全の治療または予防方法であって、それを必要とするヒトにおいて、治療的に有効な量の請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩を前記ヒトへ投与することを含んでなる、方法。
【請求項16】
性的機能不全の治療または予防方法であって、それを必要とするヒトにおいて、治療的に有効な量の請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩を前記ヒトへ投与することを含んでなる、方法。
【請求項17】
早漏の治療または予防方法であって、それを必要とするヒトにおいて、治療的に有効な量の請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩を前記ヒトへ投与することを含んでなる、方法。
【請求項18】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩と、1種以上の薬理学的に許容される賦形剤、希釈剤、および/または賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−509973(P2011−509973A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542621(P2010−542621)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050401
【国際公開番号】WO2009/090202
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】