説明

5HT1B受容体のアンタゴニストとしてのテトラヒドロキノリン類

本発明は、式(I)
【化1】


(式中XおよびYは、明細書中で定義したとおりである)の化合物、ならびに式Iの化合物および薬学的に有効なキャリヤーを含む医薬組成物、ならびにヒトを包含する哺乳類において、不安、うつ病、気分変調、大うつ病性障害、偏頭痛、心的外傷後ストレス障害、回避性人格障害、境界型人格障害および恐怖症から成る群から選択される障害または状態を治療または予防する際に有用な方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なテトラヒドロキノリン類に関する。本発明はまた、このような化合物を含む医薬組成物およびセロトニン系の障害によって引き起こされる疾患または状態を治療する際のその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
セロトニンは、不安、アルツハイマー病、うつ病、悪心および嘔吐、摂食障害、ならびに偏頭痛を包含するいくつかの精神医学的障害において関与する[Rasmussen等、Annual Reports in Medicinal Chemistry中の“Chapter 1.Recent Progress in Serotonin(5HT),Receptor Modulators”、セクション1、30、第1〜9ページ、1995、Academic Press]。セロトニンはまた、統合失調症の陽性および陰性症状の両方においても関与する[Sharma等、Psychiatric Annals.、26(2)、2月、1996、第88〜92ページ]。
【0003】
多数の受容体サブタイプがそのアンタゴニスト感受性およびその5HTに対する親和性に従って分類されてきた。5HT1B受容体は、最初にラットにおいて確認されたが、そこではそれは、明確な薬理学的プロフィールを有している。しかしながらヒトにおいては、それは、5HT1D受容体と薬理学的にほとんど等しい。CNSにおいては、この受容体は、線条体、髄質、海馬、前頭皮質および扁桃に見出される。末梢においては、それは、血管平滑筋中に見出される。5HT1B/5HT1D受容体は、抗−偏頭痛薬、スマトリプタン(sumatriptan)の治療基質の可能性があり;この受容体はまた、摂食行動、不安、うつ病、心臓機能および運動にも関係する。
5HT1B受容体に対する選択的なアゴニストおよびアンタゴニストは、今まで得られていないが、間接的な薬理学的証拠は、5HT1B活性化が摂食、性的活性、移動運動および攻撃性に影響を与えることを示唆している。(Ramboz S.外、Behav.Brain Res.、1996.73:305312)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の化合物は、セロトニン5HT1B受容体のアンタゴニストであり、そしてうつ病および関連する障害のようなセロトニン系の障害の治療のために有効である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、テトラヒドロキノリン:
【化1】

[式中、Xは、CH2、CH2CH2、C=O、C=OCH2、CH2C=O、OCH2、OCH2CH2、CH2OおよびCH2CH2Oから成る群から選択される結合基(linker
group)であり、そしてYは、アルキルまたはアリール基であり、
ここでアリール基は、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリール(ここでヘテロアリールは、酸素、窒素および硫黄から選択される1ないし4個のヘテロ原子を含有する、5ないし7員芳香環または8ないし10員縮合芳香環系から選択される)から選択され、そして
ここでアリール基は、場合により、独立してハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、R1、OR2、−OC(=O)R3、−COOR4、NHR5、NR56、−NHC(=O)R5、N(R5)(C=O)R6、−C(=O)NHR6、フェニル、ナフチル、ヘテロアリールまたは5ないし7員ヘテロアルキル環から選択される1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、好ましくはゼロないし2個の置換基で置換され、そして
ここで上記ヘテロアリール置換基は、酸素、窒素および硫黄から選択される1ないし4
個のヘテロ原子を含有する5ないし7員芳香環から選択され、そして
ここで上記5ないし7員ヘテロアルキル環置換基は、窒素、硫黄および酸素から選択されるゼロないし4個のヘテロ原子を有するが、但しこの環は、2個の隣接する酸素原子または2個の隣接する硫黄原子を含有することはできず、そして
ここで上記フェニル、ナフチル、ヘテロアリールおよびヘテロアルキル環置換基は、場合により、独立してハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、R1、OR2、−OC(=O)R3、−COOR4、NHR5、NR56、−NHC(=O)R5、N(R5)(C=O)R6、−C(=O)NHR6から選択される1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、好ましくはゼロないし2個の置換基で置換され、そしてここで上記ヘテロアルキル環はまた、オキソで置換されていてもよく、
ここでR1、R2、R3、R4、R5およびR6は、各々独立してアルキルおよびC6−C14アリールから成る群から選択される]
に関する。
【0006】
本発明はまた:
N−(4−クロロフェニルアセチル)−8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン; 3−(4−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−プロパン−1−オン;
2−(4−メトキシ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−p−トリル−エタノン; 2−(4−クロロ−フェノキシ)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン; 2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−(2−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−シクロプロピル−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−ピリジン−3−イル−エタノン;
(4−クロロ−フェニル)−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−メタノン;
[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−メタノン;
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;および
2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
から選択される化合物をも目的とする。
【0007】
本発明はまた、式Iの化合物および薬学的に有効なキャリヤーを含む医薬組成物をも目的とする。
本発明はまた、治療の必要な哺乳類またはヒトに有効量の式Iの化合物またはその薬学的に受容できる塩を投与することを含む、ヒトを包含する哺乳類において、セロトニンに媒介される神経伝達を変化させることによって治療または予防することができる障害または状態を治療または予防する方法をも目的とする。
本発明はまた、治療の必要な哺乳類またはヒトに有効量の式Iの化合物またはその薬学
的に受容できる塩を投与することを含む、ヒトを包含する哺乳類において不安、うつ病、気分変調、大うつ病性障害、偏頭痛、心的外傷後ストレス障害、回避性人格障害、境界型人格障害および恐怖症から成る群から選択される障害または状態を治療する方法をも目的とする。
【0008】
本発明はまた、式Iの化合物またはその薬学的に受容できる塩をセロトニン再取り込み阻害剤(SRI)[例えばセルトラリン、フルオキセチン、フェンフルラミンまたはフルボキサミン(fluvoxamine)]と組み合わせて投与する前記方法のいずれかをも目的とする。本明細書中で使用するとき用語“と組み合わせて投与する”は、式Iの化合物またはその薬学的に受容できる塩を、SRIをも含有する医薬組成物の形で投与すること、またはこのような化合物または塩を、その中でSRIを投与する医薬組成物とは別の医薬組成物中であるが、特定の障害または状態の治療のために両方の活性薬剤の投与を要求する用法・用量の一部として投与することを意味する。
【0009】
式Iの化合物の薬学的に受容できる酸付加塩は、上で言及したように本発明の種々の方法において使用することができる。式Iの化合物は、事実上塩基性であり、従って種々の無機および有機酸と広範囲の塩を形成することができる。これらの式Iの化合物の薬学的に受容できる酸付加塩を製造するために使用することができる酸は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩のような無毒の酸付加塩、すなわち薬理学的に受容できるアニオンを含有する塩を形成する酸である。
【0010】
用語“1またはそれ以上の置換基”は、本明細書中で使用するとき、1から、利用できる結合部位の数に基づいて可能な最大数までの置換基を包含する。
用語“セロトニン系の障害”は、本明細書中で使用するとき、その治療を、セロトニンに媒介される神経伝達を変化させること(すなわち増大させるかまたは減少させること)によって果たすかまたは促進することができる障害を指す。
【0011】
用語“治療する”は、本明細書中で使用するとき、それに対して用語“治療する”を適用する障害もしくは状態またはそのような障害もしくは状態の1またはそれ以上の症状のいずれかの進行を遅延もしくは逆転させること、またはその障害もしくは状態またはそのような障害もしくは状態の1またはそれ以上の症状のいずれかを軽減もしくは予防すること、を指す。用語“治療”は、本明細書中で使用するとき、用語“治療する”が上で定義するとおりの、障害もしくは状態を治療する行動を指す。
【0012】
用語“治療有効量”は、本明細書中で使用するとき、セロトニン系の障害に関係する望ましくない状態または症状の進行を検出可能に治療、改善、予防するかまたは検出可能に遅延させるために十分な量を指す。
当業者は、式Iの範囲内に包含される置換基の特定の組み合わせが化学的に不安定であるであろうことを理解し、そしてこれらの組み合わせを避けるかまたは別法として周知の保護基を用いて感受性基を保護するであろう。
【0013】
用語“アルキル”は、本明細書中で使用するとき、他に指示しないかぎり直鎖、分枝鎖または環状部分またはその組み合わせを有する1〜12個の炭素原子を有する飽和一価炭化水素基を包含する。用語“低級アルキル”は、1ないし6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチルメチルおよびヘキシルがある。アルキル基が低級アルキルであることが好ましい。好ましい低級アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含有する。最も好ましいアルキル基は、メチルである。
【0014】
用語“アルコキシ”は、本明細書中で使用するとき、他に指示しないかぎり式−O−アルキル(ここで“アルキル”は、上で定義したとおりである)を有する基を指す。本明細書中で使用するとき用語“低級アルコキシ”は、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基を指す。それは、直鎖または分枝鎖であってもよい。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシなどがある。アルコキシが低級アルコキシであることが好ましい。アルコキシは、1〜3個の炭素原子を含有することが好ましい。最も好ましいアルコキシ基は、メトキシである。
【0015】
本発明によって考慮されるハロゲン原子は、F、Cl、BrおよびIである。塩素およびフッ素が好ましい。1またはそれ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、クロロメチル、2,3−ジクロロプロピルおよびトリフルオロメチルがある。ハロ基が同一であることが好ましい。最も好ましいのは、トリフルオロメチルである。
【0016】
本明細書中で使用するとき用語“アルケニル”は、2ないし8個の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を有する炭化水素基を指す。アルケニル基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよく、そしてZまたはE形のいずれかである可能性がある。例としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソプロペニル、イソブテニル、1−ペンテニル、(Z)−2−ペンテニル、(E)−2−ペンテニル、(Z)−4−メチル−2−ペンテニル、(E)−4−メチル−2−ペンテニル、1,3−ペンタジエニル、2,4−ペンタジエニル、1,3−ブタジエニル、シクロペンタジエニルなどがある。好ましいアルケニル基は、エテニルである。
【0017】
用語“アルキニル”は、2ないし8個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する炭化水素基を指す。アルキニル基は、直鎖または分枝鎖であることができる。例としては、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、3−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニルなどがある。好ましいアルキニル基は、エチニルである。
用語“アリール”は、本明細書中で使用するとき、他に指示しないかぎり1またはそれ以上の水素の除去によってC6−C14芳香族炭化水素から誘導される有機基を包含する。例としては、フェニルおよびナフチルがある。
【0018】
用語“ヘテロアリール”は、本明細書中で使用するとき、他に指示しないかぎり1またはそれ以上の水素の除去によって芳香族複素環式化合物から誘導される有機基を包含する。ヘテロアリール基の例としては、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、2H−1−ベンゾピラニル、ベンゾチアジアジン、ベンゾチアジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、フラザニル、フロピリジニル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニルまたはピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、トリアジニルおよびトリアゾリルがある。
【0019】
用語“複素環式化合物”は、5〜14個の環原子からできており、そして炭素および少
なくとも1個の酸素、窒素および硫黄から成る群から選択される他の元素からできている環系を意味する。
用語“5ないし7員ヘテロアルキル環”としては、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、オキサジアゼピニル、チアジアゼピニルまたはトリアゼピニル、ならびにピロリジン−2−オンおよびピペリジン−2−オンのような環内に1またはそれ以上のカルボニル基を有する化合物がある。
【0020】
式Iの化合物は、1またはそれ以上のキラル中心を含有し、そのため異なる鏡像異性体およびジアステレオマー形で存在する。上記定義したとおりの式Iは、式Iの化合物のすべての光学異性体およびその他の立体異性体およびその混合物類を包含し、そして本発明は、式Iの化合物のすべての光学異性体およびその他の立体異性体およびその混合物類の使用に関する。
5HT受容体リガンドは、セロトニンに媒介される生理学的経路に関連する多種多様の障害の治療において臨床的に有用である。
【0021】
本発明はまた、ヒトを包含する哺乳類にセロトニンに媒介される神経伝達を変化させること(すなわち増大させるかまたは減少させること)によって治療することができる障害または状態を治療する際に有効である量の上で定義したとおりの式Iの化合物またはその薬学的に受容できる塩を投与することを含む、ヒトを包含する哺乳類においてこのような障害または状態を治療する方法をも目的とする。
本発明はまた、ヒトを包含する哺乳類に偏頭痛、頭痛または群発性頭痛を治療する際に有効である量の上で定義したとおりの式Iの化合物またはその薬学的に受容できる塩を投与することを含む、ヒトを包含する哺乳類においてこのような障害を治療する方法をも目的とする。
【0022】
本発明はまた、ヒトを包含する哺乳類にうつ病[すなわち気分変調、大うつ病性障害、小児うつ病、反復性うつ病、単一エピソードうつ病、産後うつ病、パーキンソン病患者、ガン患者および心筋梗塞後患者におけるうつ病、およびサブシンドローム(subsyndromal)症候性うつ病]、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、回避性人格障害、境界型人格障害および恐怖症から選択される障害を治療する際に有効である量の上で定義したとおりの式Iの化合物またはその薬学的に受容できる塩を投与することを含む、ヒトを包含する哺乳類においてこのような障害を治療する方法をも目的とする。
【0023】
上記の式Iは、1またはそれ以上の原子(例えば水素、炭素またはフッ素原子)がその放射性同位体によって置き換えられているという事実を除き、描かれているものと同一の化合物を包含する。このような放射能標識化合物は、例えば代謝研究、薬物動態学研究および結合検定、における研究および診断道具として有用である。
【0024】
本発明はまた、放射能標識した式Iの化合物またはその薬学的に受容できる塩を投与したヒトを包含する哺乳類の画像を得る、陽電子放射断層撮影法(PET)のような方法をも目的とする。このような撮像法は、もしかすると、上に指示したもののような、その中に5−HT1B受容体が見出されるいずれかの器官または系のために使用することができるかもしれない。直接的または間接的に身体の器官を可視化するための5HT受容体に対する親和性を有する放射性薬剤の有用性は、文献中で証明されてきた。例えば、C.−Y.Shiue外、Synapse、1997、25、147およびS.Houle外、Can.Nucl.Med.Commun.、1997、18、1130には、陽電子放射断層撮影法(PET)を使用してヒトの脳内の5HT1A受容体を撮像するための5HT1A受容体リガンドの使用が記載されている。前記の参考文献は、その全体として参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明の典型的な態様は、結合(linker)基XがCH2、CH2CH2、C=O、CH2C=O、OCH2、OCH2CH2、CH2OまたはCH2CH2Oである態様である。例えば、Xは、下記のスキームに図で示すようにCOであってもよい。本発明の別の典型的な態様は、フェニル、ナフチル、ヘテロアリールまたはヘテロアルキル環上の1個または複数の置換基が独立してハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、OR2、−OC(=O)R3、−COOR4、NHR5、NR56、−NHC(=O)R5、N(R5)(C=O)R6または−C(=O)NHR6である態様である。
【0026】
式Iの化合物は、スキーム1およびスキーム2の方法に従って製造することができる。他に説明する場合を除き、反応スキームおよび後に続く論議中のAr、Y、Z、aおよびnは、上記のように定義される。他に説明しない限り、反応条件は、窒素またはアルゴンのような当技術分野で普通に使用する不活性雰囲気を包含する。
【0027】
【化2】

【0028】
スキーム1は、XがCOである式Iの化合物の製法にあてはまる。スキーム1の工程1においては、8−ブロモ−イソキノリンを、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミドまたはエーテル性もしくは塩素化炭化水素溶媒のような溶媒を使用して;室温ないし還流温度で1ないし48時間、臭化ベンジルを用いてアルキル化する。得られる中間体を、テトラヒドロフラン、ジオキサンもしくはエチルエーテルのようなエーテル性溶媒、塩化メチレンもしくは1,2−ジクロロエタンのような塩素化炭化水素、またはメタノールもしくはエタノールのようなアルコール性溶媒中、室温ないし還流温度で、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウムまたは水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムを用いて還元する。
【0029】
工程2においては、中間体IIを、トルエンもしくはヘプタンのような炭化水素溶媒またはジオキサンのようなエーテル性溶媒中で室温ないし還流温度で1ないし48時間、酢酸パラジウムまたはジベンジリデンアセトンパラジウムのようなパラジウム触媒、BINAP、およびナトリウムt−ブトキシドまたは別の金属アルカリ金属アルコキシドのような強塩基の存在においてN−メチルピペラジンで処理する。
【0030】
工程3においては、中間体IIIを、メタノールもしくはエタノールのようなアルコールまたはテトラヒドロフランもしくはジオキサンのようなエーテル性溶媒またはトルエンのような炭化水素溶媒または酢酸エチルのような溶媒中で室温ないし80℃で1ないし48時間、大気圧ないし3気圧の水素下で触媒としてパラジウムまたは白金を使用して水素化する。
工程4においては、中間体IVを、エチルエーテル、ジオキサンもしくはテトラヒドロフランのようなエーテル性溶媒、塩化メチレンもしくは1,2−ジクロロエタンのような塩素化炭化水素、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンまたはトルエンのような溶媒中で室温ないし還流温度で1ないし48時間、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような有機塩基のような温和な塩基を含むEDACまたはDCCのような縮合剤の存在において酸を使用するアセチル化によって最終生成物Iに変換する。
【0031】
式Iの化合物は、当業者には周知の方法によって薬学的に受容できる塩に変換することができる。
1またはそれ以上の原子が放射性である式Iの化合物は、当業者には公知の方法によって製造することができる。例えば、放射性原子がトリチウムである式Iの化合物は、ハロ
ゲン化アリールAr−X(ここでハロゲンは、塩素、臭素またはヨウ素である)を低級アルコール、好ましくはメタノールまたはエタノール、のような適した溶媒中で気体状32および炭素上に分散させた(suspended)パラジウムのような貴金属触媒と反応させることによって製造することができる。放射性原子が18Fである式Iの化合物は、アリールトリアルキルスタンナンAr−SnR3(ここでRは、低級アルキル、好ましくはメチルまたはn−ブチルである)を適した不活性溶媒中で18Fに富むフッ素(F2)、OF2またはCF3COOHと反応させることによって製造することができる(M.Namavari外、J.Fluorine Chem.、1995、74、113参照)。
【0032】
放射性原子が14Cである式Iの化合物は、ハロゲン化アリールAr−X(ここでXは、好ましくは臭素またはヨウ素である)またはアリールトリフルオロメタンスルホネート(Ar−OSO2CF3)を水またはテトラヒドロフランのような反応に不活性な溶媒、そして好ましくは水とテトラヒドロフランとの混合物、中で[14C]シアン化カリウムまたは[14C]−シアン化カリウムおよび貴金属触媒、好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムと反応させることによって製造することができる。(Y.Andersson、B.Langstrom、J.Chemn.Soc.Perkin Trans.1、1994、1395参照)。
【0033】
本発明の方法で使用する治療用化合物は、経口的、口腔内、経皮的(例えばパッチの使用により)、非経口的または局所的に投与することができる。経口投与が好ましい。一般に、治療を受けるヒトの体重および状態ならびに選択される特定の投与経路に依って変更が起こるであろうけれども、これらの化合物は、最も望ましくは、1日に約1mgないし約1000mgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合においては、前記の範囲の下限より下の用量水準で十分である可能性があり、一方その他の場合には、より大きな用量がどんな有害な副作用をも引き起こすことなく使用することができるが、但しこのようなより大きな用量は、完全な投与のために最初にいくつかの少用量に分割される。
【0034】
SRIと同一の経口、非経口または口腔用医薬組成物中で使用するとき、式Iの化合物またはその薬学的に受容できる塩の日用量は、単一の活性薬剤としてのこのような化合物または塩の投与について上に特定したものと同一の一般的範囲内であろう。このような組成物中のSRIの日用量は、一般に約1mgないし約1000mgの範囲内であろう。
【0035】
本発明の方法で使用する治療用化合物は、単独でまたは先に指摘した2つの経路のいずれかによって薬学的に受容できるキャリヤーまたは希釈剤と組み合わせて投与することができ、そしてこのような投与は、単回または複数回投与で実施することができる。とりわけ、本発明の方法で使用する治療用化合物は、多種多様の異なる投薬形態で投与することができる、すなわちそれらは、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、散剤、スプレー剤、クリーム、ザルブ剤、坐剤、ゼリー、ゲル剤、ペースト、ローション、軟膏、エリキシル剤、シロップ剤などの形で種々の薬学的に受容できる不活性キャリヤーと組み合わせることができる。このようなキャリヤーには、例えば固体希釈剤または充填剤、無菌の水性媒体および種々の無毒性有機溶媒がある。さらに、経口用医薬組成物は、適宜甘味および/または矯味矯臭を付与することができる。
【0036】
経口投与用には、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンのような種々の賦形剤を含有する錠剤をデンプン(そして好ましくはトウモロコシ、バレイショまたはタピオカデンプン)、アルギン酸および特定の複合ケイ酸塩のような種々の崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムのような顆粒化結合剤とともに使用することができる。その上、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような潤滑剤が、しばしば錠剤化のために非常に有用である。同様の型の固体組成物はまた、ゼラチンカプセル
中の充填剤として使用することもでき;この関係で好ましい物質としてはまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールもある。水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与のために望まれるときは、活性成分は、種々の甘味料または矯味矯臭剤、着色剤または染料、およびもし所望ならばその上に乳化および/または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびその種々の類似の組み合わせ物のような希釈剤と組み合わせることができる。
【0037】
非経口投与用には、ゴマ油または落花生油のいずれか中または水性プロピレングリコール中の本発明の方法で使用する治療用化合物の液剤を使用することができる。水性液剤は、もし必要ならば適宜緩衝化し、液体希釈剤は、最初に等張にされなくてはならない。これらの水性液剤は、静脈内注射の目的のために適している。油性液剤は、関節内、筋肉内および皮下注射の目的のために適している。無菌条件下でのすべてのこれらの液剤の調製は、当業者には周知の標準的な製薬技術によって容易に達成される。
【0038】
5HT1B(以前は5HT1D)結合能力に関する本発明の化合物の活性は、文献に記載されたとおりの標準的な放射性リガンド結合検定を使用して決定することができる。5−HT1A親和性は、Hoyer外の手順[Brain Res.、376、85(1986)]を使用して測定することができる。5−HT1D親和性は、HeuringおよびPeroutkaの手順[J.Neurosci.、7、894(1987)]を使用して測定することができる。
【0039】
5−HT1D結合部位での本発明の化合物のインビトロ活性は、下記の手順に従って決定することができた。ウシの尾の組織をホモジネートして、pH7.7の50mMトリス(TRIS)塩酸塩(トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン塩酸塩)を含有する緩衝液20容中に懸濁させた。次にこのホモジネートを45,000Gで10分間遠心分離した。その後上澄みを捨てて、得られるペレットをpH7.7の50mMトリス(TRIS)塩酸塩緩衝液ほぼ20容中に再懸濁させる。次にこの懸濁液を37℃で15分間予備インキュベートした後、懸濁液を45,000Gで10分間再遠心分離し、そして上澄みを捨てた。得られたペレット(ほぼ1グラム)を、最終pH7.7を有する0.01パーセントのアスコルビン酸を含有し、そしてまた10μM パルギリンおよび4mM 塩化カルシウム(CaCl2)をも含有する15mM トリス(TRIS)塩酸塩の緩衝液150ml中に再懸濁させた。この懸濁液を使用前に少なくとも30分間氷上で保持した。
【0040】
次に、阻害剤、対照またはビヒクルを下記の手順に従ってインキュベートした。20パーセントのジメチルスルホキシド(DMSO)/80パーセントの蒸留水溶液50μlに、pH7.7の0.01パーセントのアスコルビン酸を含有し、そしてまた10μMパルギリンおよび4μM塩化カルシウムをも含有する50mMトリス(TRIS)塩酸塩の緩衝液、プラス100nMの8−ヒドロキシ−DPAT(ジプロピルアミノテトラリン)および100nMのメスレルギン(mesulergine)中のトリチウム化5−ヒドロキシトリプタミン(2nM)200μlを加えた。この混合物にウシの尾の組織750μlを加えて、得られる懸濁液をボルテックスし、均質な懸濁液を確実にした。次に懸濁液を振盪水浴中で25℃で30分間インキュベートした。インキュベーションが完了した後、懸濁液を、グラスファイバーフィルター(例えばWhatman GF/B−FiltersTM)を使用して濾過した。次にペレットをpH7.7の50mMトリス(TRIS)塩酸塩の緩衝液4mlで3回洗浄した。次にペレットを、シンチレーション液(aquasol 2TM)5mlを含有するシンチレーションバイアル内に入れて、一晩置いた。パーセント阻害を化合物の各用量について計算することができた。その後IC50値をパーセント阻害値から計算することができた。
【0041】
5−HT1A結合能力に関する本発明の化合物の活性は、下記の手順に従って決定するこ
とができた。ラットの大脳皮質組織をホモジネートして、1グラムロットの試料に分割し、そして0.32Mスクロース溶液10容で希釈した。次に懸濁液を900Gで10分間遠心分離し、上澄みを分離し、そして70,000Gで15分間再遠心分離した。上澄みを捨て、ペレットをpH7.5の15mMトリス(TRIS)塩酸塩10容中に再懸濁させた。この懸濁液を37℃で15分間インキュベートした。予備インキュベーションが完了した後、懸濁液を70,000Gで15分間遠心分離し、そして上澄みを捨てた。得られた組織ペレットを、4mM塩化カルシウムおよび0.01パーセントのアスコルビン酸を含有するpH7.7の50mMトリス(TRIS)塩酸塩の緩衝液中に再懸濁させた。実験の準備ができるまでこの組織を−70℃で貯蔵した。組織は、使用の直前に融解させ、10μmパルギリンで希釈し、そして氷上で保持することができた。
【0042】
組織は、その後下記の手順に従ってインキュベートした。対照、阻害剤またはビヒクル(1パーセントDMSO最終濃度)50マイクロリットルを、種々の用量で調製した。この溶液に、4mM塩化カルシウム、0.01パーセントのアスコルビン酸およびパルギリンを含有するpH7.7の50mMトリス(TRIS)塩酸塩の緩衝液中の濃度1.5nMのトリチウム化DPAT200μlを加えた。次にこの溶液に組織750μlを加え、そして得られる懸濁液をボルテックスして、均質性を確実にした。次に懸濁液を振盪水浴中で37℃で30分間インキュベートした。次に溶液を濾過し、154mM塩化ナトリウムを含有するpH7.5の10mMトリス(TRIS)塩酸塩4mlで2回洗浄した。パーセント阻害を化合物、対照またはビヒクルの各用量について計算した。IC50値をパーセント阻害値から計算した。
【0043】
下記の実施例に記載する本発明の式Iの化合物を、前記手順を使用して5−HT1Aおよび5−HT1D親和性について検定した。試験したそのような本発明の化合物はすべて、5−HT1D親和性について0.60μMより小さいIC50および5−HT1A親和性について1.0μMより小さいIC50を示した。
【0044】
5−HT1Aおよび5−HT1D受容体での本発明の化合物のアゴニストおよびアンタゴニスト活性は、下記の手順に従って単一飽和濃度を使用して決定することができた。雄性のハートレイ(Hartley)モルモットを断頭し、5−HT1A受容体を海馬から切り裂いて取り出し、一方5−HT1D受容体は、スライスチョッパー(McIlwain tissue chopper)で350mMでスライスし、適した切片から黒質を切り裂いて取り出すことによって得た。可搬型のガラス−テフロン(登録商標)ホモジナイザーを使用して個々の組織を、1mM EGTA(pH7.5)を含有する5mMヘペス(HEPES)緩衝液中でホモジネートして、4℃で10分間35,000×gで遠心分離した。ペレットを、1チューブ当たりのタンパク質20mg(海馬)または5mg(黒質)の最終タンパク質濃度まで、1mM EGTA(pH7.5)を含有する100mMヘペス(HEPES)緩衝液中に再懸濁させた。下記の薬剤を、各チューブ中の反応混合物が2.0mM MgCl2、0.5mM ATP、1.0mM cAMP、0.5mM IBMX、10mMホスホクレアチン、0.31mg/mLクレアチンホスホキナーゼ、100μM GTPおよび[32P]−ATP[30Ci/ミリモル:NEG−003−ニュー・イングランド・ヌクレア(New England Nuclear)]0.5−1マイクロキューリーを含有するように加える。30℃で15分間シリコーン処理小型微量遠心管(microfuge tube)に組織を加える(三重反復)ことによってインキュベーションを開始した。各チューブには、組織20μL、薬剤または緩衝液10μL(10×最終濃度)、32nMアゴニストまたは緩衝液10μL(10×最終濃度)、ホルスコリン(forskolin)20μL(最終濃度3μM)および先の反応混合物40μLを入れた。インキュベーションは、カラムからのcAMPの回収を監視するための40,000dpm[3H]−cAMP[30Ci/ミリモル:NET−275−ニュー・イングランド・ヌクレア(New England Nuclear)]を含有する2%SDS、1.3mM cAMP、45mM ATP溶液100μLの添加によって停止させた。[32P]−ATPおよび[32P]−cAMPの分離は、Salomon外、Analytical Biochemistry、1974、58、541−548の方法を使用して達成した。放射能は、液体シンチレーション計数によって計量した。最大阻害は、5−HT1A受容体に対する10μMの(R)−8−OH−DPAT、および5−HT1D受容体に対する320nM 5−HTによって定義した。次に試験化合物によるパーセント阻害を5−HT1A受容体に対する(R)−8−OH−DPAT、または5−HT1D受容体に対する5−HT、の阻害効果との関係で計算した。ホルスコリン(forskolin)に刺激されたアデニル酸シクラーゼ活性のアゴニストに誘導された阻害の逆転を32nMアゴニスト効果との関係で計算した。
【0045】
本発明の化合物は、下記の手順に従ってモルモットにおける5−HT1Dアゴニストに誘導される低体温の拮抗作用に対するインビボ活性について試験することができた。
【0046】
体重が到着時250〜275グラムそして試験時300〜600グラムのチャールズ・リバー(Charles River)からの雄性のハートレイ(Hartley)モルモットを実験の対象として使用した。モルモットは、実験前の少なくとも7日間、午前7時から午後7時までの照明スケジュール通りに標準的実験室条件下で収容した。餌および水は、試験の時まで無制限に与えた。
【0047】
本発明の化合物は、1ml/kgの容量の溶液として投与することができた。使用するビヒクルを、化合物の溶解性に依って変えた。試験化合物は、典型的には、[3−(1−メチルピロリジン−2−イルメチル)−1H−インドール−5−イル]−(3−ニトロピリジン−3−イル)−アミン(このものは、1993年6月10日に公開されたPCT公開WO93/11106に記載されたようにして製造することができて、このものは、用量5.6mg/kgで皮下に投与した)のような5−HT1Dアゴニストの、60分前に経口的に(p.o.)投与するかまたは0分前に皮下に(s.c.)投与した。最初の温度の読みを取る前に、各モルモットを、木材チップおよび金属格子の床を含む透明なプラスチックの靴箱(shoe box)内に入れて、30分間環境に順化させた。次に各々の温度を読んだ後、動物を同一の靴箱(shoe box)に戻した。各々の温度測定の前に、各々の動物を30秒間片手でしっかり保定した。小動物プローブを有するデジタル温度計を温度測定に使用した。プローブは、エポキシ先端を有するセミ−フレキシブルナイロンで作られていた。温度プローブは、直腸内に6cm挿入して、そこに30秒間、または安定な記録が得られるまで、保持した。その後温度を記録した。
【0048】
経口(p.o.)スクリーニング実験においては、“薬物投与前”ベースライン温度の読み取りを−90分で行い、試験化合物を−60分で与え、そして付加的な−30分の温度の読み取りを行なった。その後5−HT1Dアゴニストを0分で投与して、温度を30、60、120および240分後に取った。皮下スクリーニング実験においては、薬物投与前ベースライン温度の読み取りを−30分で行った。試験化合物および5−HT1Dアゴニストを同時に与えて、温度を30、60、120および240分後に取った。
データは、ニューマン−ケウルス(Newman−Keuls)ポスト・ホック(post hoc)分析において繰り返し測定をして変数の二元分析で分析した。
【0049】
本発明の活性化合物は、それらがイヌの単離された伏在静脈ストリップを収縮させることにおいてスマトリプタン(sumatriptan)を模倣する程度を試験することによって抗偏頭痛剤として評価することができる[P.P.A.Humphrey外、Br.J.Pharmacol.、94、1128(1988)]。この作用は、メチオテピン(methiothepin)、公知のセロトニンアンタゴニストによって遮断することができる。スマトリプタン(sumatriptan)は、偏頭痛の治療において有用であることが公知であり、麻酔をかけたイヌにおいて頚動脈血管抵抗における選択的増大を生じる。スマトリプタン(sumatriptan)効力の薬理学的根拠は、W.Fenwick外、Br.J.Pharmacol.、96、83(1989)中で論議されている。
【0050】
セロトニン5−HT1アゴニスト活性は、受容体源としてラットの皮質を使用しそして放射性リガンドとして[3H]−8−OH−DPATを使用する、5−HT1A受容体について記載されたとおりのインビトロ受容体結合検定[D.Hoyer外、Eur.J.Pharm.、118、13(1985)]、および受容体源としてウシの尾を使用しそして放射性リガンドとして[3H]セロトニンを使用する、5−HT1D受容体について記載されたとおりのインビトロ受容体結合検定[R.E.HeuringおよびS.J.Peroutka、J.Neuroscience、7、894(1987)]、によって決定することができた。試験した活性化合物のうち、すべてがいずれかの検定において1μMまたはそれより小さいIC50を示した。
下記実施例は、本発明の化合物の製法を具体的に説明する。
【実施例】
【0051】
〔実施例1〕
N−(4−クロロフェニルアセチル)−8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン
A.N−ベンジル−8−ブロモ−テトラヒドロイソキノリン:スキーム1に従って:冷却器およびN2入口を備えた100mLの丸底フラスコに8−ブロモイソキノリン2.46g(11.8ミリモル)、臭化ベンジル1.68mL(14.1ミリモル)およびエタノール10mLを加えた。溶液を還流温度に6時間加熱し、冷却し、そして蒸発させた。油状物をメタノール50mLに溶解させ、そして水素化シアノホウ素ナトリウム1.73g(27.6ミリモル)を加えた。溶液を室温で5日間撹拌した後、水で希釈し、そして3部の酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして蒸発させた。残留物を、ヘキサン/酢酸エチルを使用するシリカゲル上のクロマトグラフにかけて、油状物1.98g(59%)を得た。
1H−NMR(δ、CDCl3):2.68(m,2H)、2.88(m,2H)、3.68(m,2H)、3.75(m,2H)、7.0−7.1(m,2H)、7.2−7.4(m,6H)。
13C−NMR(δ,CDCl3):
MS APCI:302/304(P+1、親、Br79/Br81)。
【0052】
B.N−ベンジル−8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン:冷却器およびN2入口を備えた15mLの丸底フラスコにN−ベンジル−8−ブロモ−テトラヒドロイソキノリン237mg(0.787ミリモル)、N−メチルピペラジン0.435mL(3.92ミリモル)、酢酸パラジウム(II)8mg(0.039ミリモル)、BINAP24mg(0.039ミリモル)ナトリウムt−ブトキシド100mg(0.944ミリモル)および乾燥トルエン5mLを加えた。反応物を16時間120℃に加熱したが、その間にそれは、赤からオレンジに黄色に灰色に変わった。反応物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして蒸発させた。残留物を、溶離剤として酢酸エチル/メタノール/水酸化アンモニウムを使用するシリカゲル上のクロマトグラフにかけて、生成物を油状物として得た、211mg(84%)。
1H−NMR(δ、CDCl3):2.32(s,3H)、2.48(ブロードm,4H)、2.66(t,J=6、2H)、2.86(m,6H)、3.64(m,2H)、3.69(m,2H)、6.83(d,J=7、1H)、6.88(d,J=8、1H)、7.09(t,J=8、1H)、7.2−7.4(m,5H)。
13C−NMR(δ,CDCl3):29.58、46.39、50.38、52.17、5
3.21、55.86、63.11、117.09、124.43、126.75、127.27、128.44、129.47、130.52、135.68、138.68、150.21。
MS APCI:322(P+1、親)。
【0053】
C.8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン:パー(Parr)ビンにN−ベンジル−8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン174mg(0.54ミリモル)、20%炭素上水酸化パラジウム20mg、濃塩酸2滴およびメタノール20mLを加えた。混合物を30p.s.i.水素下で9時間振盪し、セライト(Celite)(登録商標)を通して濾過し、そして濾液を蒸発させた。残留物を1N水酸化ナトリウム水溶液で処理し、そして3部の塩化メチレンで抽出して、油状物100mgを得て、このものを直接使用した。
1H−NMR(δ、CDCl3):2.95(s,3H)、3.14(m,6H)、3.27(m,2H)、3.31(m,4H)、4.40(s,2H)、7.08(d,J=8、1H)、7.16(d,J=8、1H)、7.32(t,J=8、1H)。
【0054】
D.N−(4−クロロフェニルアセチル)−8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン:冷却器およびN2入口を備えた15mLの丸底フラスコに8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン117mg(0.50ミリモル)、4−クロロフェニル酢酸130mg(0.76ミリモル)、EDAC 105mg(0.55ミリモル)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール122mg(0.80ミリモル)および乾燥塩化メチレン4mLを加えた。反応物を室温で14時間撹拌し、塩化メチレンで希釈し、そして希水酸化ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして蒸発させた。残留物を、溶離剤として酢酸エチル/メタノール/水酸化アンモニウムを使用するシリカゲル上のクロマトグラフにかけて、生成物を油状物として得て、これをHCl塩、融点80℃(分解)に変換した。
1H−NMR(δ、CDCl3):2.33および2.35(一重線,3H)、2.4−2.6(ブロードm,4H)、2.8−3.0(m,6H)、3.61(t,J=6)および3.71(一重線, 2H)、3.77(m,2H)、4.51および4.71(一重線,2H)、6.8−6.9(m,1H)、6.9−7.0(m,1H)、7.1−7.3(m,6H)。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.71、29.89、40.46、40.67、41.20、41.29、43.78、44.46、46.20、46.42、52.32、52.46、55.60、55.90、117.95、118.19、123.79、124.62、127.44、127.79、128.49、128.97、130.25、130.55、132.89、133.76、135.58、136.36、149.87、150.52、169.61。
MS APCI:384/386(P+1、親、Cl35/Cl37)。
【0055】
〔実施例2〕
3−(4−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−プロパン−1−オン:実施例1に従って製造した、融点84℃、収率74%。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.76、29.91、30.74、31.07、35.49、35.58、40.35、40.86、43.32、43.87、46.16、46.34、52.28、52.51、55.60、55.91、117.89、118.13、123.73、124.53、127.43、127.81、128.70、128.76、129.22、129.96、130.01、132.04、135.81、136.63、140.11、149.82、150.44、170.99、173.11。
MS APCI:398/400(P+1、親、Cl35/Cl37)。
元素分析 C2328ClN3O・HCl・H2Oに対する計算値:C 61.06、H
6.91、N 9.29。実測値:C 61.15、H 6.87、N 9.13。
【0056】
〔実施例3〕
2−(4−メトキシ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン:実施例1に従って製造した、融点63℃、収率76%。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.76、29.91、30.74、31.07、35.49、35.58、40.35、40.86、43.32、43.87、46.16、46.34、52.28、52.51、55.60、55.91、117.89、118.13、123.73、124.53、127.43、127.81、128.70、128.76、129.22、129.96、130.01、132.04、135.81、136.63、140.11、149.82、150.44、170.99、173.11。
MS APCI:380(P+1、親)。
元素分析 C2329ClN32・HCl・2H2Oに対する計算値:C 61.12、H 7.58、N 9.30。実測値:C 61.27、H 7.58、N 9.50。
【0057】
〔実施例4〕
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−p−トリル−エタノン:実施例1に従って収率96%で製造した。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.76、29.91、30.74、31.07、35.49、35.58、40.35、40.86、43.32、43.87、46.16、46.34、52.28、52.51、55.60、55.91、117.89、118.13、123.73、124.53、127.43、127.81、128.70、128.76、129.22、129.96、130.01、132.04、135.81、136.63、140.11、149.82、150.44、170.99、173.11。
MS APCI:364(P+1、親)。
元素分析 C23293O・HCl・2H2Oに対する計算値:C 63.36、H 7.86、N 9.64。実測値:C 63.73、H 7.72、N 9.82。
【0058】
〔実施例5〕
2−(4−クロロ−フェノキシ)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン:実施例1に従って収率100%で製造した。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.52、30.01、40.83、41.44、43.01、43.32、46.22、52.37、52.49、55.61、55.70、68.14、68.33、116.09、117.97、118.40、123.99、124.42、126.76、127.54、127.93、128.40、128.62、129.71、135.50、136.29、149.88、150.60、156.78、166.65、166.80。
MS APCI:400/402(P+1、親、Cl35/Cl37)。
元素分析 C2226ClN32・HCl・7/4H2Oに対する計算値:C 56.47、H 6.57、N 8.98。実測値:C 56.43、H 6.48、N 8.44。
【0059】
〔実施例6〕
2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン:実施例1に従って製造した、融点85℃、収率100%。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.74、29.96、37.94、38.47、40.61、41.24、43.70、44.37、46.21、46.31、52.34、52.44、55.61、55.66、76.94、77.26、77.58、117.89、118.19、123.74、124.47、127.40、127.46、127.81、128.38、129.03、129.35、131.28、132.18、132.25、132.32、133.45、134.69、134.93、135.61、136.38、149.98、150.54、168.69、168.79。
MS APCI:418/420/422(P+1、親 Cl35/Cl37)。
元素分析 C2225Cl23O・HCl・2H2Oに対する計算値:C 53.83、H 6.16、N 8.56。実測値:C 53.77、H 6.18、N 8.37。
【0060】
〔実施例7〕
2−(2−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン:実施例1に従って製造した、融点54℃、収率66%。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.81、29.96、38.57、39.13、40.46、41.28、43.69、44.42、46.23、46.30、52.34、52.40、55.63、117.93、118.16、123.79、124.49、127.19、127.38、127.68、128.37、128.54、129.16、129.58、130.25、131.19、133.57、135.68、136.40、149.99、150.56、169.23。
MS APCI:384/386(P+1、親 Cl35/Cl37)。
元素分析 C2226ClN3O・HCl・H2Oに対する計算値:C 60.27、H 6.67、N 9.58。実測値:C 60.37、H 6.57、N 9.44。
【0061】
〔実施例8〕
2−シクロプロピル−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン:実施例1に従って製造した、融点66℃、収率78%。
13C−NMR(δ,CDCl3):4.71、4.76、7.36、7.46、28.82、30.07、39.16、39.31、40.22、40.85、43.40、43.88、46.21、46.37、52.31、52.55、55.63、55.95、117.92、118.09、123.75、124.51、127.30、127.71、128.94、129.39、135.74、136.82、150.52、171.82。
MS APCI:314(親、P+1)。
元素分析 C19273O・HCl・2H2Oに対する計算値:C 59.13、H 8.36、N 10.89。実測値:C 59.51、H 8.48、N 10.89。
【0062】
〔実施例9〕
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−ピリジン−3−イル−エタノン:実施例1に従って製造した、融点56℃。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.62、29.91、38.19、38.76、40.61、41.18、43.80、44.34、46.21、46.37、52.37、52.49、55.60、55.91、117.97、118.20、123.63、123.71、124.57、127.51、127.86、128.33、128.92、131.03、136.29、136.53、137.07、148.43、148.51、150.20、150.39、150.55、169.05、169.12

MS APCI:351(親、P+1)。
元素分析 C21244O・2HCl・9/4H2Oに対する計算値:C 53.85、H 7.10、N 11.96。実測値:C 54.40、H 7.08、N 11.99。
【0063】
〔実施例10〕
(4−クロロ−フェニル)−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−メタノン:実施例1に従って製造した、融点52℃、収率55%。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.44、41.23、42.06、46.20、52.30、55.57、117.84、124.26、128.01、128.88、135.02。
MS APCI:370/372(親、P+1、Cl35/Cl37)。
元素分析 C2124Cl23O・HCl・2H2Oに対する計算値:C 57.02、H 6.61、N 9.50。実測値:C 36.95、H 6.35、N 9.08。
【0064】
〔実施例11〕
[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−メタノン:実施例1に従って製造した、融点129℃(分解)、収率49%。
13C−NMR(δ,CDCl3):46.30、48.79、52.35、55.67、66.94、114.64、118.02、124.29、127.15、127.49、129.07、129.34、152.42。
MS APCI:421(親、P+1)。
【0065】
〔実施例12〕
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン:実施例1に従って製造した、融点66℃、収率63%。
13C−NMR(δ,CDCl3):28.64、29.91、40.19、40.57、40.88、41.17、43.81、44.46、46.19、46.35、52.33、52.50、55.60、55.92、117.95、118.23、123.73、124.63、127.52、127.89、128.33、128.80、130.66、130.70、130.89、131.29、135.40、136.28、149.85、150.52、168.98、173.10。
MS APCI:418/420/422(親、P+1、Cl35/Cl37)。
【0066】
〔実施例13〕
2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン:実施例1に従って製造した、融点x℃、収率68%。
13C−NMR(δ,CDCl3):29.04、43.80、44.58、46.31、52.44、55.75、118.18、124.56、127.60、127.67、129.15、129.43、134.58、135.72、139.43、150.19。
MS APCI:406/408(親、P+1、Cl35/Cl37)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、Xは、CH2、CH2CH2、C=O、C=OCH2、CH2C=O、OCH2、OCH2CH2、CH2OおよびCH2CH2Oから成る群から選択される結合基であり、そしてYは、アルキルまたはアリール基であり、
ここでアリール基は、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリール(ここでヘテロアリールは、酸素、窒素および硫黄から選択される1ないし4個のヘテロ原子を含有する、5ないし7員芳香環または8ないし10員縮合芳香環系から選択される)から選択され、そして
ここでアリール基は、場合により、独立してハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、R1、OR2、−OC(=O)R3、−COOR4、NHR5、NR56、−NHC(=O)R5、N(R5)(C=O)R6、−C(=O)NHR6、フェニル、ナフチル、ヘテロアリールまたは5ないし7員ヘテロアルキル環から選択される1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、好ましくはゼロないし2個の置換基で置換され、そして
ここで上記ヘテロアリール置換基は、酸素、窒素および硫黄から選択される1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし7員芳香環から選択され、そして
ここで上記5ないし7員ヘテロアルキル環置換基は、窒素、硫黄および酸素から選択されるゼロないし4個のヘテロ原子を有するが、但しこの環は、2個の隣接する酸素原子または2個の隣接する硫黄原子を含有することはできず、そして
ここで上記フェニル、ナフチル、ヘテロアリールおよびヘテロアルキル環置換基は、場合により、独立してハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、R1、OR2、−OC(=O)R3、−COOR4、NHR5、NR56、−NHC(=O)R5、N(R5)(C=O)R6、−C(=O)NHR6から選択される1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、好ましくはゼロないし2個の置換基で置換され、そしてここで上記ヘテロアルキル環はまた、オキソで置換されていてもよく、
ここでR1、R2、R3、R4、R5およびR6は、各々独立してアルキルおよびC6−C14アリールから成る群から選択される]
の化合物。
【請求項2】
アリール基がフリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリルおよびイミダゾリルから選択されるヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
アリール基が臭素、トリフルオロメチル、2−オキソ−オキサゾリジン−3−イルまたは2−オキソ−ピロリジン−1−イルから選択されるパラ置換基を有するフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
N−(4−クロロフェニルアセチル)−8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン;
3−(4−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−プロパン−1−オン;
2−(4−メトキシ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−p−トリル−エタノン;
2−(4−クロロ−フェノキシ)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イ
ル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−(2−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−シクロプロピル−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−ピリジン−3−イル−エタノン;
(4−クロロ−フェニル)−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−メタノン;
[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−メタノン;
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;および
2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1個または複数のアリール置換基が、独立してハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、OR2、−OC(=O)R3、−COOR4、NHR5、NR56、−NHC(=O)R5、N(R5)(C=O)R6および−C(=O)NHR6から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
薬学的有効量の請求項1に記載の化合物および薬学的に受容できるキャリヤーを含む医薬組成物。
【請求項7】
治療の必要な哺乳類に有効量の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容できる塩を投与することを含む、哺乳類において、セロトニンに媒介される神経伝達を変化させることによって治療することができる障害または状態を治療する方法。
【請求項8】
さらにセロトニン再取り込み阻害剤を共に投与することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
化合物中のアリール基が、ハロゲン、トリフルオロメチル、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールまたは5もしくは6員ヘテロアルキル環から選択されるパラ置換基を有するフェニルである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
化合物が:
N−(4−クロロフェニルアセチル)−8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン;
3−(4−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−プロパン−1−オン;
2−(4−メトキシ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−p−トリル−エタノン;
2−(4−クロロ−フェノキシ)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−(2−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−
3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−シクロプロピル−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−ピリジン−3−イル−エタノン;
(4−クロロ−フェニル)−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−メタノン;
[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−メタノン;
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;および
2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
治療の必要な哺乳類に、有効量の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容できる塩を投与することを含む、哺乳類において、不安、うつ病、気分変調、大うつ病性障害、偏頭痛、心的外傷後ストレス障害、回避性人格障害、境界型人格障害および恐怖症から成る群から選択される障害または状態を治療する方法。
【請求項12】
さらにセロトニン再取り込み阻害剤を共に投与することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
化合物が:
N−(4−クロロフェニルアセチル)−8−(4−メチルピペラジニル)−テトラヒドロイソキノリン;
3−(4−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−プロパン−1−オン;
2−(4−メトキシ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−p−トリル−エタノン;
2−(4−クロロ−フェノキシ)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−(2−クロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
2−シクロプロピル−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;
1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−2−ピリジン−3−イル−エタノン;
(4−クロロ−フェニル)−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−メタノン;
[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−メタノン;
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−1−[8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル]−エタノン;および
2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−8−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
から選択される、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2006−527258(P2006−527258A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516510(P2006−516510)
【出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001855
【国際公開番号】WO2004/108682
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】