説明

6軸ロボットの6軸原点位置較正方法、6軸ロボットの制御装置、7軸ロボットの7軸原点位置較正方法及び7軸ロボットの制御装置

【課題】大型の検出器具を設置したりする必要がなく、6軸ロボットについて6軸の原点位置を適切に較正できる6軸ロボットの6軸原点位置較正方法を提供する。
【解決手段】設置面に、上方に位置する測定対象物との距離を測定するレーザー計測器を設置し、6軸の軸心に測定板を取り付ける。そして、6軸ロボットの2軸を1軸の軸心に対して90度回転させ、4軸の軸心が1軸の軸心と平行となるように3軸を前記設置面の方向に回転させ、6軸の軸心が前記設置面と平行となるように5軸を回転させた姿勢を取らせた状態で、測定板の一端側が第1計測点となるように位置させると(S1)、レーザー計測器により第1計測点までの第1距離L1を測定する(S2)。次に1軸を回転させて、測定板の他端側が第2計測点となるように位置させ(S3)、レーザー計測器により第2計測点までの第2距離L2を測定すると(S4)、6軸の誤差角度Δθ6を(1)式で求め(S5)、誤差角度Δθ6を用いて6軸の原点位置を較正する(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6軸ロボットにおける6軸の原点位置を較正する方法,6軸ロボットの制御装置,7軸ロボットにおける7軸の原点位置を較正する方法,7軸ロボットの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば6軸ロボットなどの多関節型ロボットにおける各軸の原点位置の較正は、基本的には工場出荷前の段階で工場にて行われ、工場から出荷されて設置先に設置された後ではモータなどの交換により原点位置が変更された場合に設置先にて行われる。各軸の原点位置を較正する方法としては、大型の検出器具を設置したりする方法や(例えば特許文献1参照)、検出用の特殊センサを追加する方法(例えば特許文献1,2参照)がある。また、特許文献3〜5には、6軸ロボットについて大型の検出器具を設置することなく、5軸,3軸,2軸の原点位置を較正する方法や装置が開示されている。
【特許文献1】特開平6−304893公報
【特許文献2】特開2003−220587号公報
【特許文献3】特開2009−274186号公報
【特許文献4】特開2009−274187号公報
【特許文献5】特開2009−274188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大型の検出器具を設置する方法については設置するスペースを確保することが困難となるおそれがある。また、検出用の特殊センサを追加する方法についてはコストアップの原因になるので、実施を避けたいという事情がある。そして、これらの事情を考慮した上で6軸ロボットの6軸の原点位置を較正する方法については、従来提案されていなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型の検出器具を設置したりする必要がなく、6軸ロボットについて6軸の原点位置を適切に較正できる6軸ロボットの6軸原点位置較正方法,6軸ロボットの制御装置,7軸ロボットについて7軸の原点位置を適切に較正できる7軸ロボットの7軸原点位置較正方法及び7軸ロボットの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の6軸ロボットの6軸原点位置較正方法によれば、設置面に、上方に位置する測定対象物との距離を測定する距離測定手段を設置し、6軸の軸心に測定板を取り付ける。そして、6軸ロボットの2軸を1軸の軸心に対してπ/2[rad]回転させ、4軸の軸心が1軸の軸心と平行となるように3軸を前記設置面の方向に回転させ、6軸の軸心が前記設置面と平行となるように5軸を回転させた姿勢を取らせた状態で、測定板の一端側が第1計測点となるように位置させる(第1工程)と、距離測定手段により第1計測点までの第1距離L1を測定する(第2工程)。
【0006】
次に1軸を回転させて、測定板の他端側が第2計測点となるように位置させ(第3工程)、距離測定手段により第2計測点までの第2距離L2を測定する(第4工程)。そして、6軸の誤差角度Δθ6を、以下の式
Δθ6=arctan{ΔL*cos(θ_def)/M}−θ6
より求める(第5工程)と、誤差角度Δθ6を用いて6軸の原点位置を較正する(第6工程)。尚、第1計測点から第2計測点までの距離Mは、1軸の軸心から第1,第2計測点までの回転半径をR,第3工程における1軸の回転角度をθとすれば、M=R*θより求められる。上記の誤差角度Δθ6を求める式は、簡単にするため測定方向が接地面に立つ法線に対してなす角θ_defがゼロであるとすれば、
tan(θ6+Δθ6)=ΔL/M
の関係があることによる。
【0007】
すなわち、第1工程において6軸ロボットに取らせた姿勢で第1距離L1を測定し、第3工程で1軸を回転させた後に第2距離L2を測定して得られる距離差ΔLは、専ら6軸の(原点位置ずれがあればそのずれを含む)回転角度によって決まり、1軸〜5軸の影響を受けない。したがって、たとえ1軸〜5軸の原点位置が較正されていない状態であっても6軸の誤差角度Δθ6を得ることができ、6軸の原点位置を較正できる。
【0008】
請求項2記載の6軸ロボットの制御装置によれば、位置・姿勢制御手段は、2軸を1軸の軸心に対してπ/2[rad]回転させ、4軸の軸心が1軸の軸心と平行となるように3軸を設置面の方向に回転させ、6軸の軸心が設置面と平行となるように5軸を回転させた計測姿勢を取らせた後、1軸を任意の角度だけ回転させる。そして、原点位置較正手段は、基準位置から6軸の軸心に取り付けられている測定板の第1計測点(1軸回転前)までの第1距離L1,基準位置から測定板の第2計測点までの第2距離L2を得ると、6軸の誤差角度Δθ6を、以下の式
Δθ6=arctan(ΔL/M)−θ6
より求め、誤差角度Δθ6を用いて6軸の原点位置を較正する。したがって、請求項1と同様の効果が得られる。
【0009】
請求項3記載の7軸ロボットの7軸原点位置較正方法によれば、請求項1記載の発明を7軸ロボットに適用して実施できる。すなわち、7軸ロボットは、一般に6軸ロボットでは2軸,3軸に対応する2軸,4軸の間に、これらの軸心に直交する軸心を有する3軸を備えて構成されている。したがって、6軸ロボットの3軸〜6軸を7軸ロボットの4軸〜7軸に置き換えることで請求項1記載の発明を7軸ロボットに適用できる。但しこの場合、3軸の原点位置は較正済みであることが前提となる。また、請求項4記載の7軸ロボットの制御装置によれば、上記と同様の理由で、請求項2記載の発明を7軸ロボットに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例であり、ロボット装置の斜視図
【図2】機能ブロック図
【図3】各軸の関係を示す模式図
【図4】フローチャート
【図5】状態遷移図(その1)
【図6】状態遷移図(その2)
【図7】(a)は6軸の軸心を正面から見た図、(b)は6軸の回転方向の正負を定義する図
【図8】第2実施例を示す図7(a)相当図
【図9】第3実施例を示す(a)は図3相当図、(b)は図5相当図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)
以下、第1実施例について図1ないし図7を参照して説明する。ロボット装置1は、図1に示すように、垂直多関節型ロボット(以下、ロボットと称する)2と、ロボット2の動作を制御する制御装置(位置・姿勢制御手段,原点位置較正手段)3と、制御装置3に接続されているティーチングペンダント4とを備えて構成されている。
【0012】
ロボット2は、ベース5と、ベース5に水平方向に旋回可能に支持されているショルダ部6と、ショルダ部6に上下方向に旋回可能に支持されている下アーム7と、下アーム7に上下方向に旋回可能に支持されている第1の上アーム8と、第1の上アーム8の先端部に捻り回転可能に支持されている第2の上アーム9と、第2の上アーム9に上下方向に回転可能に支持されている手首10と、手首10に回転(捻り動作)可能に支持されているフランジ11とを備えて構成されている。
【0013】
上記したベース5を含め、ショルダ部6、下アーム7、第1の上アーム8、第2の上アーム9、手首10及びフランジ11は、ロボット2のリンクとして機能し、ベース5を除く各リンクは、下段のリンクに対して回転関節により回転可能に連結されている。最先端のリンクであるフランジ11は、ワークを把持するためのハンド(図示せず)が取付け可能になっている。また、リンク同士を連結する回転関節には前段のリンク側に固定されているモータの回転を減速して次段のリンクに伝達する減速装置が設けられている。
【0014】
尚、本実施例では、第1のリンクであるベース5と第2のリンクであるショルダ部6との間を連結する回転関節の関節軸を1軸、第2のリンクであるショルダ部6と第3のリンクである下アーム7との間を連結する回転関節の関節軸を2軸、第3のリンクである下アーム7と第4のリンクである第1の上アーム8との間を連結する回転関節の関節軸を3軸、第4のリンクである第1の上アーム8と第5のリンクである第2の上アーム9との間を連結する回転関節の関節軸を4軸、第5のリンクである第2の上アーム9と第6のリンクである手首10との間を連結する回転関節の関節軸を5軸、第6のリンクである手首10と第7のリンクであるフランジ11との間を連結する回転関節の関節軸を6軸として図示している。
【0015】
すなわち、ロボット2は、図3に示すように、6軸の垂直多関節を有するPUMA型のロボットであり、1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交する構成となっている。
【0016】
ロボット2の動作を制御する制御装置3は、図2に示すように、CPU12と、駆動回路13と、位置検出回路14とを備えて構成されている。CPU12には、ロボット2全体のシステムプログラムや動作プログラムを作成するためのロボット言語などを記憶するROM15及びロボット2の動作プログラムなどを記憶するRAM16が接続されていると共に、ティーチング作業を行なう際に使用するティーチングペンダント4が接続されている。ティーチングペンダント4は、図1に示すように、各種の操作部4a及び表示器4bを備えて構成されている。
【0017】
位置検出回路14は、ショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11の位置を検出するためのもので、ショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11の軸毎の駆動源であるモータ17に設けられているロータリエンコーダ18が接続されている。位置検出回路14は、ロータリエンコーダ18から入力される検出信号に基づいてベース5に対するショルダ部6の回転角度、ショルダ部6に対する下アーム7の回転角度、下アーム7に対する第1の上アーム8の回転角度、第1の上アーム8に対する第2の上アーム9の回転角度、第2の上アーム9に対する手首10の回転角度、手首10に対するフランジ11の回転角度を検出し、それら検出した位置検出情報をCPU12に出力する。そして、CPU12は、動作プログラムに基づいてショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11を動作させる際に、位置検出回路14から入力する位置検出情報をフィードバック信号としてそれらの動作を制御する。
【0018】
各リンクには、3次元の座標が規定されている。このうち、床面に据え付けられるベース5の座標系は、図1に示すように不動の座標系としてロボット2の基準座標とされるものであり、ベース5の下端中心を原点とし、水平方向の2つの座標軸Xb,Yb及び垂直方向の1つの座標軸Zbが規定されている。他のリンクの座標系は、各回転関節の回転により基準座標上での位置と向きが変化し、CPU12は、位置検出回路14から入力するショルダ部6、各アーム7〜9、手首10、フランジ11の各回転関節の位置検出情報と予め記憶されている各関節の長さ情報とに基づいて各関節の座標の位置と向きとを座標変換の計算機能により基準座標上での位置と向きとに変換して認識する。
【0019】
さて、上記したロボット2においては、各軸の原点位置の較正は、基本的には工場出荷前の段階で工場にて行われ、工場から出荷されて設置先に設置された後ではモータ17などの交換により原点位置が変更された場合に設置先にて行われる。以下、本実施例の作用,すなわち6軸の原点位置を較正する手順について図4ないし図7を参照して説明する。
【0020】
CPU12は、6軸の原点位置を較正する制御プログラムを記憶保持しており、その制御プログラムを実行して6軸の原点位置を較正する。ここで、図4は、CPU12が行う処理を示しており、図5は、計測点(1)を計測するためのロボット2の初期姿勢を示している。この姿勢は、下アーム7が設置面(座標軸Xb)に対して平行となるように2軸を90度(π/2[rad])回転させ、第1上アーム8及び第2上アーム9が設置面に対して垂直となるように、且つそれらの上アーム8及び9が座標軸Zbの負方向を向くように3軸を下アーム7に対して90度回転させる(尚、上アーム8及び9が座標軸Zbの正方向を向くように3軸を下アーム7に対して90度回転させても良い)。更に、5軸を、手首10;6軸の軸心が設置面に対して平行となるように、第2上アーム9に対して90度回転させる(ステップS1;第1工程)。
【0021】
この状態で、6軸の軸心方向は座標軸Xbに一致しているとものとし、6軸の回転角度は任意の角度θ6[rad]で良い。そして、フランジ11には矩形状の測定板19を、ロボットの設置面に対して既知の角度で取り付ける。またこの時、1軸〜6軸の角回転角度は、例えば以下のようになっているものとする。
(0,π/2,π/2,0,−π/2,θ6)
【0022】
また、設置面には例えばレーザー計測器(距離測定手段)20を配置しておく。ベース5の設置面とレーザー計測器20の設置面とは、必ずしも同一の平面である必要はなく、互いに平行な面であれば良い。例えば、上記の姿勢を取った場合に、上アーム8及び9の長さにより手首10の位置がベース5の設置面よりも下方に位置するとすれば、ロボット2はレーザー計測器20の設置面に所定の高さを有する基台を配置し、その基台上にベース5を設置すれば良い。
レーザー計測器20は、座標軸Zb方向の距離を計測するように設置する。そして、上記の姿勢において、測定板19の一端側を計測点(1)として、レーザー計測器20により計測点(1)までの距離L1を計測する(ステップS2;第2工程)。例えば、図5(a)のように上方から見た場合、測定板19の左端側を計測点(1)とする。
【0023】
次に、レーザー計測器20による計測対象を、測定板19の右端側を計測点(2)とするように、2軸〜6軸は固定して1軸を角度θだけ回転させる(ステップS3;第3工程)。この時、図6に示す1軸の回転方向は反時計回り方向となる。その状態で、レーザー計測器20により計測点(2)までの距離L2を計測する(ステップS4;第4工程)。6軸の見掛け上の回転角度θ6’は真の回転角度θ6と原点のずれ角Δθ6との和であり、測定板19は回転角度θ6’分だけ設置面に対して傾くため、距離L1と距離L2とに差ΔLが生じる(図7(a)参照)。すなわち、ステップS1における姿勢からステップS3のように1軸を回転させれば、1軸〜5軸の影響を受けることなく、回転角度θ6’を計測することが可能となる。
【0024】
したがって、計測点(1),(2)間の距離をMとすると、ずれΔθ6[rad]は次式から求められる(ステップS5;第5工程)。
Δθ6=arctan(ΔL/M)−θ6 …(1)
尚、距離Mは、1軸の軸心から第1,第2計測点までの回転半径をR,ステップS3における1軸の回転角度をθとすれば、M=R*θより求められる。そして、ずれΔθ6を求めると、そのずれΔθ6により6軸の原点位置を較正する(ステップS6;第6工程)。例えば、図7(a)に示すように6軸の原点が、図7(b)に定義を示す正方向にずれている場合は、求めたずれΔθ6を減算することで較正する。
【0025】
以上のように本実施例によれば、設置面に、上方に位置する測定対象物との距離を測定するレーザー計測器20を設置し、6軸の軸心に測定板19を取り付ける。そして、ロボット2の2軸を1軸の軸心に対して90度回転させ、4軸の軸心が1軸の軸心と平行となるように3軸を前記設置面の方向に回転させ、6軸の軸心が前記設置面と平行となるように5軸を回転させた姿勢を取らせた状態で、測定板19の一端側が第1計測点となるように位置させると、レーザー計測器20により第1計測点までの第1距離L1を測定する。次に1軸を回転させて、測定板19の他端側が第2計測点となるように位置させ、レーザー計測器20により第2計測点までの第2距離L2を測定すると、6軸の誤差角度Δθ6を(1)式で求め、誤差角度Δθ6を用いて6軸の原点位置を較正するようにした。
【0026】
すなわち、第1工程においてロボット2に取らせた姿勢で第1距離L1を測定し、第3工程で1軸を回転させた後に第2距離L2を測定して得られる両者の距離差ΔLは、専ら6軸の(原点位置ずれがあればそのずれを含む)回転角度θ6’によって決まるので、1軸〜5軸の影響を受けない。したがって、たとえ1軸〜5軸の原点位置が較正されていない状態であっても6軸の誤差角度Δθ6を得て、6軸の原点位置を較正できる。
【0027】
(第2実施例)
図8は第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。図8は、第1実施例の図7相当図であり、イレギュラーな想定ではあるが、レーザー計測器20の測定軸が設置面の法線に対して傾いた状態となるように設置された場合を示す。この時、傾き角をθ_defとすると、(1)式を(2)式に変更してずれΔθ6を求めれば良い。
Δθ6=arctan{ΔL*cos(θ_def)/M−θ6} …(2)
ここで(2)式の傾き角θ_defを0[rad]とすれば、(1)式に一致する。
【0028】
尚、図8は計測点(1)を計測板19の左端側(正面から見た場合)とした場合を示しており、この時、ステップS3で1軸を回転させる方向は図6とは逆の時計回り方向となるから、計測点(2)は計測板19の右端側(正面から見た場合)となる。
以上のように第2実施例によれば、レーザー計測器20の測定軸が設置面の法線に対して傾いた状態となるように設置された場合であっても、第1実施例と同様にずれΔθ6を求めて6軸の原点位置を較正することができる。
【0029】
(第3実施例)
図9は第3実施例であり、第1実施例を7軸ロボットに適用した場合を示す。図9(a)は、一般的な7軸ロボットの図3相当図である。このように、7軸ロボットは、6軸ロボットでは2軸,3軸に対応する2軸,4軸の間に、これらの軸心に直交する軸心を有する3軸を備えて構成されている。したがって、6軸ロボットの3軸〜6軸を7軸ロボットの4軸〜7軸に置き換えることで、第1実施例の原点位置較正方法を、7軸ロボットの7軸原点位置較正方法に適用できる。但しこの場合、3軸の原点位置は較正済みであることが前提となる。
【0030】
本発明は、上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
第1工程におけるロボットの姿勢は、その他、例えば以下のように設定しても良い。
【0031】
(θ1,π/2, π/2,θ4, π/2,θ6)
(θ1,π/2,−π/2,θ4, π/2,θ6)
(θ1,π/2,−π/2,θ4,−π/2,θ6)
尚、θ1,θ4は任意である。また、勿論θ1,θ4,θ6を0[rad]にしても良い。
【0032】
測定板19をフランジ11に取り付けるタイミングは、図4に示す処理を実行する前でも良く、要はステップS2を実行する前であればどのタイミングでも良い。
第3実施例の7軸ロボットについても、第2実施例のように、レーザー計測器20の測定軸が設置面の法線に対して傾いた状態となるように設置された状態で較正を行っても良い。
距離測定手段は、レーザー計測器20に限ることなく、距離を測定する手法は任意である。
上記実施例に示した計算式は、角度が弧度法[rad]で示されることを前提としているが、度数法を用いる場合でも弧度法との整合をとれば同じ結果がもたらされる。したがって、角度を度数法で示した計算式を用いて、同様に6軸又は7軸の原点ずれを求めても良い。
【符号の説明】
【0033】
図面中、2はロボット(6軸ロボット、多関節型ロボット)、3は制御装置(位置・姿勢制御手段,原点位置較正手段)、20はレーザー計測器(距離測定手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの6軸の原点位置を較正する方法であって、
前記設置面に、上方に位置する測定対象物との距離を測定する距離測定手段を設置し、
6軸の軸心に測定板を取り付け、
2軸を1軸の軸心に対してπ/2[rad]回転させ、4軸の軸心が1軸の軸心と平行となるように3軸を前記設置面の方向に回転させ、6軸の軸心が前記設置面と平行となるように5軸を回転させた姿勢を取らせた状態で、前記測定板における6軸の軸心と直交する方向の一端側を前記距離測定手段の測定対象(第1計測点)となるように位置させる第1工程と、
前記距離測定手段により前記第1計測点までの第1距離L1を測定する第2工程と、
1軸を回転させて、前記測定板における前記直交する方向の他端側を前記距離測定手段の測定対象(第2計測点)となるように位置させる第3工程と、
前記距離測定手段により前記第2計測点までの第2距離L2を測定する第4工程と、
前記第1計測点から前記第2計測点までの距離をM,前記第1距離L1と前記第2距離L2との差をΔL,6軸の回転角度をθ6,前記距離計測手段が距離を測定する場合の測定方向が前記接地面に立つ法線に対してなす角をθ_defとすると(角度の単位は[rad]とする)、6軸の誤差角度Δθ6を、以下の式
Δθ6=arctan{ΔL*cos(θ_def)/M}−θ6
より求める第5工程と、
前記誤差角度Δθ6を用いて、6軸の原点位置を較正する第6工程とからなることを特徴とする6軸ロボットの6軸原点位置較正方法。
【請求項2】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの制御装置であって、
2軸を1軸の軸心に対してπ/2[rad]回転させ、4軸の軸心が1軸の軸心と平行となるように3軸を前記設置面の方向に回転させ、6軸の軸心が前記設置面と平行となるように5軸を回転させた計測姿勢を取らせた後、1軸を任意の角度だけ回転させる位置・姿勢制御手段と、
6軸の軸心に取り付けられている測定板について、前記位置・姿勢制御手段が1軸を回転させる前の位置で、前記設置面側に設定される基準位置上に立つ法線方向に位置する前記測定板における6軸の軸心と直交する方向の一端側を第1計測点,前記位置・姿勢制御手段が1軸を回転させた後の位置で前記法線方向に位置する前記測定板における前記直交する方向の他端側を第2計測点として、
前記基準位置から前記第1計測点までの第1距離をL1,前記基準位置から前記第2計測点までの第2距離をL2,前記第1計測点から前記第2計測点までの距離をM,前記第1距離L1と前記第2距離L2との差をΔL,6軸の回転角度をθ6とすると(角度の単位は[rad]とする)、6軸の誤差角度Δθ6を、以下の式
Δθ6=arctan(ΔL/M)−θ6
より求め、前記誤差角度Δθ6を用いて、6軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えることを特徴とする6軸ロボットの制御装置。
【請求項3】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットにおける7軸の原点位置を較正する方法であって、
前記設置面に、上方に位置する測定対象物との距離を測定する距離測定手段を設置し、
7軸の軸心に測定板を取り付け、
2軸を1軸の軸心に対してπ/2[rad]回転させ、5軸の軸心が1軸の軸心と平行となるように4軸を前記設置面の方向に回転させ、7軸の軸心が前記設置面と平行となるように6軸を回転させた姿勢を取らせた状態で、前記測定板における7軸の軸心と直交する方向の一端側を前記距離測定手段の測定対象(第1計測点)となるように位置させる第1工程と、
前記距離測定手段により前記第1計測点までの第1距離L1を測定する第2工程と、
1軸を回転させて、前記測定板における前記直交する方向の他端側を前記距離測定手段の測定対象(第2計測点)となるように位置させる第3工程と、
前記距離測定手段により前記第2計測点までの第2距離L2を測定する第4工程と、
前記第1計測点から前記第2計測点までの距離をM,前記第1距離L1と前記第2距離L2との差をΔL,7軸の回転角度をθ7,前記距離計測手段が距離を測定する場合の測定方向が前記接地面に立つ法線に対してなす角をθ_defとすると(角度の単位は[rad]とする)、7軸の誤差角度Δθ7を、以下の式
Δθ7=arctan{ΔL*cos(θ_def)/M}−θ7
より求める第5工程と、
前記誤差角度Δθ7を用いて、7軸の原点位置を構成する第6工程とからなることを特徴とする7軸ロボットの7軸原点位置較正方法。
【請求項4】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットの制御装置であって、
2軸を1軸の軸心に対してπ/2[rad]回転させ、5軸の軸心が1軸の軸心と平行となるように4軸を前記設置面の方向に回転させ、7軸の軸心が前記設置面と平行となるように5軸を回転させた計測姿勢を取らせた後、1軸を任意の角度だけ回転させる位置・姿勢制御手段と、
7軸の軸心に取り付けられている測定板について、前記位置・姿勢制御手段が1軸を回転させる前の位置で、前記設置面側に設定される基準位置上に立つ法線方向に位置する前記測定板における7軸の軸心と直交する方向の一端側を第1計測点,前記位置・姿勢制御手段が1軸を回転させた後の位置で前記法線方向に位置する前記測定板における前記直交する方向の他端側を第2計測点として、
前記基準位置から前記第1計測点までの第1距離をL1,前記基準位置から前記第2計測点までの第2距離をL2,前記第1計測点から前記第2計測点までの距離をM,前記第1距離L1と前記第2距離L2との差をΔL,7軸の回転角度をθ7とすると(角度の単位は[rad]とする)、7軸の誤差角度Δθ7を、以下の式
Δθ7=arctan(ΔL/M)−θ7
より求め、前記誤差角度Δθ7を用いて、7軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えることを特徴とする7軸ロボットの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−35329(P2012−35329A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174444(P2010−174444)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】