説明

6,7−ジアルコキシキナゾリン、6,7−ジアルコキシフタラジンおよび6,7−ジアルコキシイソキノリンの(3−アリール−ピペラジン−1−イル)、(2−アリール−モルホリン−4−イル)および(2−アリール−チオモルホリン−4−イル)誘導体

式Iで表される6,7-ジアルコキシキナゾリン, 6,7-ジアルコキシフタラジンおよび6,7-ジアルコキシイソキノリンの3-アリール-ピペラジン-1-イル-, 2-アリール-モルホリン-4-イル-および2-アリール-チオモルホリン-4-イル-誘導体は、神経変性障害および精神障害の治療に有用なPDE10A酵素阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDE10A酵素阻害剤であり、治療に伴う神経変性障害および精神障害に有用な化合物を提供する。本発明はまた、医薬組成物、および本発明化合物を用いる前記障害の治療方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本願を通しては、種々の刊行物が完全な引用によって参照される。これらの刊行物の開示事項は、本発明に関連する技術分野の技術水準をより完全に説明するために、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0003】
環状ヌクレオチド類、環状アデノシン一リン酸塩(cAMP)および環状グアノシン一リン酸塩(cGMP)は、ニューロンにおける膨大な数の過程を制御する細胞内のセカンドメッセンジャーとして機能する。細胞内cAMPおよびcGMPは、アデニルシクラーゼおよびグアニルシクラーゼによって生成し、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)によって分解される。cAMPおよびcGMPの細胞内レベルは、細胞内シグナリングによって制御され、そして、GPCR活性化に応答したデニルシクラーゼおよびグアニルシクラーゼの刺激/抑制が、環状ヌクレオチド濃度を制御する方法であってよく解析がなされている方法である(非特許文献 1)。ニューロンにおいて、これにはcAMPおよびcGMP依存性キナーゼの活性化、およびそれに続く、シナプス伝達の急速な制御に並びに神経分化および生存に関連する蛋白質のリン酸化が含まれる。
【0004】
21個のホスホジエステラーゼ遺伝子が存在し、これらは11個の遺伝子ファミリーに分類できる。アデニリルシクラーゼの10個のファミリー、グラニリルシクラーゼの2個のファミリーおよびホスホジエステラーゼの11個のファミリーが存在する。PDEは環状ヌクレオチドのそれぞれのヌクレオチド一リン酸塩への加水分解を介して、cAMPおよびcGMPのレベルを制御する細胞内酵素のクラスである。一部のPDEは、cAMP、一部のcGMP、および両方の一部を分解する。ほとんどのPDEは比較的広範囲にわたる発現を示し、多くの組織で役割を果たすが、一部はより空間的に限定されている。
【0005】
ホスホジエステラーゼ10A(PDE10A)は二重特異性のホスホジエステラーゼであり、cAMPをAMPに、そしてcGMPをGMPにと両方を変換することができる(非特許文献 2;非特許文献 3;および非特許文献4)。PDE10Aは主に、線条、側坐核および嗅結節において発現している(非特許文献5および非特許文献6)。
【0006】
マウスPDE10AはホスホジエステラーゼのPDE10ファミリーの最初のメンバーであり(非特許文献7および非特許文献8)、ラットおよびヒトの両遺伝子のN-末端スプライスバリアントが同定されている(非特許文献9および非特許文献10)。種を超えて高度の相同性が存在する。PDE10Aは他のPDEファミリーと比較して哺乳類に特に局在化する。PDE10のmRNAは精巣および脳に多く発現している(非特許文献10;非特許文献11および非特許文献12)。これらの研究は、脳内においては、線条(尾状および被殻)、側坐核および嗅結節でPDE10の発現が最も高いことを示している。さらに最近、PDE10 mRNA(非特許文献13)およびPDE10A蛋白質(非特許文献14)のげっ歯類脳における発現パターンが解析されている。
【0007】
PDE10Aは尾状核、側坐核の中型有棘ニューロン(MSN)および嗅結節の対応するニューロンによって高レベルで発現する。これは基本的な神経節系の核を構成するものである。収束性の皮質/視床入力を統合し、そして統合された情報を皮質に送り返す皮質-大脳基底核-視床皮質ループにおいて、MSNは役割を果たす。さらに、MSNは2種の機能的に分類されるニューロンを発現する(D1ドパミン受容体を発現するD1クラスおよびD2ドパミン受容体を発現するD2クラス)。ニューロンのD1クラスは、行動反応を促進するために広く機能する「直接的な」線条体出力経路の一部である。ニューロンのD2クラスは、行動反応を抑制するために機能する「間接的な」線条体出力経路の一部であり、これは「直接的な」経路によって促進される反応と競合する。これらの競合する経路は、車のブレーキとアクセルのように作用する。簡単に言うと、パーキンソン病における運動低下(poverty of movement)は前記の「間接的な」経路の過剰な活動から生じ、一方、ハンチントン病のような障害における運動亢進(excess movement)は直接経路の過剰な活動を示す。これらのニューロンの樹状突起画分におけるcAMPおよび/またはcGMPシグナルのPDE10A制御は、MSNへの皮質/視床入力のフィルタリングに関与し得る。さらに、PDE10Aは黒質および淡蒼球におけるGABA放出の制御に関与し得る(非特許文献15)。
【0008】
ドパミンD2受容体アンタゴニズムは、統合失調症の治療においてよく確立している。1950年代から、ドパミンD2受容体拮抗作用が精神病治療の頼みの綱となっており、全ての有効な抗精神病薬がD2受容体に拮抗する。D2の効果は主に、線条、側坐核および嗅結節においてニューロンを通して仲介される可能性が高いが、これはこれらの領域がドパミン作動性投射を受け、D2受容体を最も強力に発現するためである(非特許文献16)。ドパミンD2受容体アゴニズムは、細胞におけるcAMPレベルの減少を引き起こし(アデニル酸シクラーゼの阻害を通して発現される)、これはD2シグナリングの構成要素である(非特許文献17および非特許文献18)。逆に、ドパミンD2受容体アンタゴニズムはcAMPレベルを効果的に増加させ、この効果はcAMP分解性ホスホジエステラーゼの阻害によって模倣され得るものである。
【0009】
21種のホスホジエステラーゼのうちのほとんどは広範に発現しており、従って、阻害することは副作用を奏する可能性が高い。これに関して、PDE10Aは、線条、側坐核および嗅結節におけるニューロンで高くかつ比較的特異的に発現するという所望の発現プロファイルを有するので、PDE10A阻害は、D2受容体アンタゴニズムに類似した効果を有する可能性が高く、従って、抗精神病性の効果を有する可能性が高い。
PDE10A阻害は、部分的にD2受容体アンタゴニズムを模倣することが期待され、異なるプロファイルを有することが期待される。D2受容体は、cAMPのほかにもシグナルの構成要素を有しており(非特許文献18)、従って、PDE10A阻害を通したcAMPの阻害は、D2受容体を通したドパミンシグナルと直接拮抗するよりもむしろそれを負に調節することができる。これは、強力なD2アンタゴニズムとともにみられる錐体外路系の副作用のリスクを減少することができる。逆に、PDE10A阻害は、D2アンタゴニズムでは見られないいくつかの効果を有し得る。PDE10Aはまた、D1受容体を発現する線条体ニューロンにおいても発現している(非特許文献19)。D1受容体アゴニズムはアデニル酸シクラーゼを刺激し、cAMPレベルを増加させる。PDE10A阻害はD1受容体アゴニズムに似た効果も有する可能性がある。最終的には、PDE10Aは二重の特異性を持つホスホジエステラーゼであるので、PDE10A阻害は細胞中のcAMPを増加させるだけでなく、cGMPレベルも増加させると期待される。cGMPはcAMPのように細胞における多くのターゲット蛋白質を活性化し、cAMPシグナル経路とも相互作用する。要するに、PDE10A阻害は、部分的にD2受容体アンタゴニズムを模倣する可能性が高く、従って、抗精神病性効果を有するが、そのプロファイルは古典的なD2受容体アンタゴニストで観察されるものとは異なり得るものである。
【0010】
PDE10A阻害剤パパベリンは、いくつかの抗精神病性モデルにおいて活性であることが示されている。パパベリンは、D2受容体アンタゴニストであるハロペリドールのラットにおけるカタレプシー効果を増加させたが、独立してカタレプシーを引き起こしはしなかった(特許文献1)。パパベリンは、PCPにより誘発されるラットの過度活動を減少させる一方、アンフェタミン誘発性過度活動の減少は顕著ではなかった(特許文献1)。これらのモデルは、PDE10A阻害が、理論的考察から期待されるであろう古典的な抗精神病薬の可能性を有することを示唆している。特許文献1はさらに、神経学的および精神医学的障害の治療のための選択的PDE10A阻害剤の使用を開示している。さらに、PDE10A阻害は、ラットにおける亜慢性PCP-誘発性の注意のセットシフト(attentional set-shifting)の欠損をなくす(非特許文献20)。このモデルは、PDE10A阻害が統合失調症に伴う認知障害を軽減し得ることを示唆するものである。
【0011】
従って、cAMPおよびcGMPの上昇を介したシグナル増強は、関連する神経学的および精神医学的障害の治療のためのPDE10A阻害剤の投与により誘導することができる。本発明のPDE10A阻害剤は、関連する神経学的および精神医学的障害の治療のための療法として役立つことが期待され、上市されている現在の療法に伴う不要な副作用を持たないという利点を有し得る。
【0012】
PDE10A阻害剤に関して、特許文献2は、特定の神経学的および精神医学的障害の治療のための、一般的な選択的PDE10A阻害剤の使用、特にパパベリンの使用を開示している。
特許文献3は、ホスホジエステラーゼ、特に2および4型の阻害剤としてのベンゾジアゼピンの立体特異的化合物、および中枢および/または抹消の障害に関連する病状の予防および治療を開示している。特許文献4は、治療分野におけるベンゾジアゼピン誘導体、およびそのホスホジエステラーゼ(特に4型)の阻害剤としての使用を開示している。特許文献5は、治療分野におけるベンゾジアゼピン誘導体、およびそのホスホジエステラーゼ(特に2型)の阻害剤としての使用を開示している。
【0013】
ピロロジヒドロイソキノリンおよびそのバリアントが、特許文献6および7においてPDE10の阻害剤として開示されている。PDE10阻害剤として働くピペリジニル置換キナゾリンおよびイソキノリンが特許文献8に開示されている。特許文献9は、PDE10の阻害剤として働く置換されたキナゾリンおよびイソキノリン化合物を開示している。特許文献10は、有効なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として働くキナゾリンおよびイソキノリンの置換されたテトラヒドロイソキノリニル誘導体を開示している。特に、特許文献10は、PDE-10の選択的阻害剤である前記化合物に関する。同様に、特許文献11は、有効なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として働くキナゾリンおよびイソキノリンのピペリジン誘導体を開示している。特許文献11はまた、PDE10の選択的阻害剤である化合物に関する。
【0014】
特許文献12には、精神医学的および神経学的症候群の治療のための、ホスホジエステラーゼ10型の阻害剤としてのシンノリン誘導体が開示されている。
【0015】
しかしながら、これらの開示は、N-C結合を介して2-アリールピペラジン、2-アリールチオモルホリンまたは2-アリールモルホリンに連結したキナゾリン、フタラジンまたはイソキノリンを含む化合物には関連せず、今回、本発明者等は、これらの化合物が極めて活性なPDE10A酵素阻害剤であることを発見した。このような化合物は、神経変性障害および/または精神障害のための現在上市されている治療(これは全ての患者で有効ではない)の代替を提供し得るものである。従って、代替的な治療方法がなおも必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第03/093499号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1250923号明細書
【特許文献3】国際公開第05/113517号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/88096号パンフレット
【特許文献5】国際公開第04/41258号パンフレット
【特許文献6】国際公開第05/03129号パンフレット
【特許文献7】国際公開第05/02579号パンフレット
【特許文献8】国際公開第05/82883号パンフレット
【特許文献9】国際公開第06/11040号パンフレット
【特許文献10】米国特許第20050182079号明細書
【特許文献11】米国特許第20060019975号明細書
【特許文献12】国際公開第06/028957号パンフレット
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Antoni, F.A. Front. Neuroendocrinol. 2000, 21(2), 103-132
【非特許文献2】Loughney, K. et al. Gene 1999, 234, 109-117
【非特許文献3】Fujishige, K. et al. Eur. J. Biochem. 1999, 266, 1118-1127
【非特許文献4】Soderling, S. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 1999, 96, 7071-7076
【非特許文献5】Kotera, J. et al. Biochem. Biophys. Res. Comm. 1999, 261, 551-557
【非特許文献6】Seeger, T.F. et al. Brain Research, 2003, 985, 113-126
【非特許文献7】Fujishige, K. et al. J. Biol. Chem. 1999, 274, 18438-18445
【非特許文献8】Loughney, K. et al. Gene1999, 234, 109-117
【非特許文献9】Kotera, J. et al. Biochem. Biophys. Res. Comm. 1999, 261, 551-557
【非特許文献10】Fujishige, K. et al. Eur. J. Biochem. 1999, 266, 1118-1127
【非特許文献11】Soderling, S. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 1999, 96, 7071-7076
【非特許文献12】Loughney, K. et al. Gene1999, 234,109-117
【非特許文献13】Seeger, T.F. et al. Abst. Soc. Neurosci. 2000, 26, 345.10
【非特許文献14】Menniti, F.S. et al. William Harvey Research Conference “Phosphodiesterase in Health and Disease”, Porto, Portugal, Dec. 5-7, 2001
【非特許文献15】Seeger, T.F. et al. Brain Research, 2003, 985, 113-126
【非特許文献16】Konradi, C. and Heckers, S. Society of Biological Psychiatry, 2001, 50, 729-742
【非特許文献17】Stoof, J.C. and Kebabian J.W. Nature 1981, 294, 366-368
【非特許文献18】Neve, K.A. at al. Journal of Receptors and Signal Transduction 2004, 24(3), 165-205
【非特許文献19】Seeger, T.F. et al. Brain Research, 2003, 985, 113-126
【非特許文献20】Rodefer, et al. Eur. J. Neurosci. 2005, 4, 1070-1076
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、PDE10A酵素阻害剤である化合物を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、上記の活性を有し、従来の化合物と比較して改善された溶解性、代謝安定性および/またはバイオアベイラビリティーを有する化合物を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、神経障害および精神障害のための現行の治療に通常付随する副作用を引き起こさない、ヒト患者の効果的な治療、特に長期間の治療を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、本明細書の記載により明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
従って、1つの態様において、本発明は、式I
【0023】
【化1】

【0024】
で表される化合物であって、
式中、
QがNH、OまたはSから選択され、
AおよびBがCHまたはNから独立して選択され、ただし、AおよびBは同時に両方がNではなく、
R1およびR2は独立してC1-C4アルキルであり、
R3、R4、R5、R6およびR7は独立して以下:
・ H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ヒドロキシシクロアルキル、(C3-C8)シクロアルコキシ、(C1-C6)アルコキシ(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシへテロシクロアルキルまたは(C1-C6)アルコキシ-ヘテロシクロアルキル(各(C3-C8)シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル部分は1〜3個の(C1-C6)アルキルで独立して置換されていてもよい);
・ R8およびR9が水素、C1-C6アルキル、ハロ(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルから独立して選択される-NR8R9基;
・ 6〜7員の脂肪族複素環
【0025】
【化2】

【0026】
であって、nが1または2であり、Zが酸素またはNR10であり、R10が水素または(C1-C6)アルキルである前記複素環;または、
・以下
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、Yは水素または(C1-C6)アルキルであり、Xが以下:
− 置換されていないかまたは1個またはそれ以上のハロゲンで置換されている(C1-C6)アルキル基、
− 置換されていないかまたは1個またはそれ以上のハロゲンで置換されている-O-(C1-C6)アルキル、
− R11およびR12が水素、C1-C6アルキル、ハロ(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルから独立して選択される-NR11R12基、または
− 6〜7員の脂肪族複素環
【0029】
【化4】

【0030】
であって、nが1または2であり、Wが酸素またはNR13であり、R13が水素または(C1-C6)アルキルである前記複素環、
から選択される)、
から選択されるケトン、スルホン、エステル、アミド、スルホン酸エステルまたはスルホンアミド;
から選択されるか、または、
R3、R4、R5、R6およびR7から選択される2個の隣接する置換基が、これらが連結する芳香族環と一緒に、炭素および1または2個のヘテロ原子(N、OまたはSから選択される)を含む5〜7員の飽和または不飽和環であって、場合により(C1-C6)アルコキシ基で置換される前記環を形成していてもよく、R3、R4、R5、R6およびR7から選択される前記環に参加しない残りの3個の置換基が前記のように独立して選択される、
前記化合物、またはその薬学的に許容可能な塩に関する。
【0031】
1つの特定の実施態様において、本発明は、単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物または多形の形態にある式Iの化合物に関する。
【0032】
本発明の別の実施態様において、前記化合物は実施例欄に開示される特定の化合物のうちの1つから選択される。
【0033】
本発明は、薬剤として使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な酸付加塩を提供する。
【0034】
別の態様において、本発明は、式Iの化合物の治療的有効量および薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0035】
本発明はさらに、神経変性障害または精神障害の治療用薬剤の製造のための、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な酸付加塩の使用を提供する。
【0036】
さらに別の態様において、本発明は、対象に式Iの化合物の治療的有効量を投与することを含む、神経変性障害を患っている対象を治療する方法を提供する。さらに別の態様において、本発明は、対象に式Iの化合物の治療的有効量を投与することを含む、精神障害を患っている対象を治療する方法を提供する。
【0037】
<本発明の詳細な説明>
<置換基の定義>
本発明で使用される場合に、「ハロ」および「ハロゲン」という語句は、同義的に用いられ、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0038】
さらに、「C1-C6アルキル」という語句は、1〜6個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状飽和炭化水素を表す。このような基の例には、メチル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチルおよびn-ヘキシルが含まれるが、これらに限定はされない。同様に、「C1-C4アルキル」という語句は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状飽和炭化水素を表す。「C1-C6 ヒドロキシアルキル」という表現は、1個のヒドロキシ基で置換された上記に定義されるC1-C6アルキル基を表す。「ハロ(C1-C6)アルキル」という語句は、3個以下のハロゲン原子で置換された上記に定義されるC1-C6アルキル基を表す。
【0039】
「C1-C6アルコキシ」という表現は、1〜6個の炭素原子を含み、酸素上に空の原子価(open valency)を有する直鎖状または分岐状飽和アルコキシ基を表す。このような基の例には、メトキシ、エトキシ、n-ブトキシ、2-メチル-ペントキシおよびn-ヘキシルオキシが含まれるが、これらに限定はされない。「ハロ(C1-C6)アルコキシ」という語句は、3個以下のハロゲン原子で置換された上記に定義されるC1-C6アルコキシ基を表す。「C1-C6アルコキシ(C1-C6)アルキル」という語句は、上記に定義されるC1-C6アルコキシ基で置換された、上記に定義されるC1-C6アルキル基を表す。
【0040】
「C3-C8 シクロアルキル」という語句は、典型的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを表す。「C3-C8 ヒドロキシシクロアルキル」という語句は、1個のヒドロキシ基で置換された上記に定義されるC3-C8シクロアルキルを表す。「C1-C6アルコキシ(C3-C8)シクロアルキル」という表現は、直鎖状または分岐状C1-C6アルコキシで置換された上記に定義されるC3-C8 シクロアルキルを表す。「C3-C8シクロアルコキシ」という語句は、典型的には、空の原子価が酸素原子上にあるシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプトキシおよびシクロオクトキシを表す。
【0041】
「ヘテロシクロアルキル」という語句は、炭素原子および3個以下のN、OもしくはS原子を含む4〜8員環を表し、ただし、該4〜8員環は、隣接するO原子も隣接するS原子も含まないことを条件とする。空の原子価はヘテロ原子上または炭素原子上のいずれかに存在する。このような基の例には、アゼチジニル、オキセタニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニルおよび[1,4]ジアゼパニルが含まれるが、これらに限定はされない。「ヒドロキシへテロシクロアルキル」という語句は、1個のヒドロキシ基で置換された上記に定義されるヘテロシクロアルキルを表す。「C1-C6アルコキシ-ヘテロシクロアルキル」という語句は、C1-C6アルコキシ基で置換された上記に定義されるヘテロシクロアルキルを表す。
さらに、本発明は、以下に記載される発明の態様も提供する。
式Iは、環の可変要素(ring variable)A、BおよびQ、ならびに置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7によって、本発明の化合物を定義する。
【0042】
環の可変要素の以下の9個の組み合わせのそれぞれに関して、本発明はさらに、式Iの化合物の個々の実施態様を含む。
【0043】
【表1】

【0044】
本発明の好ましい実施態様において、Q=NHである。
【0045】
1つの実施態様において、R1およびR2は独立してC1-C2アルキル、例えばメチルである。典型的には、R1およびR2は両方ともメチルである。
【0046】
1つの実施態様において、R3は水素、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲン、例えば、水素、メトキシ、塩素または臭素から;あるいは、以下:
【0047】
【化5】

【0048】
から選択されるカルボキサミドまたはスルホンアミドから選択される。
【0049】
典型的にはR3は水素である。
【0050】
本発明の別の実施態様において、R4は水素、(C1-C6)アルコキシ、ハロゲンまたはニトロ、例えば水素、メトキシ、塩素、臭素またはニトロから、あるいは以下:
【0051】
【化6】

【0052】
から選択されるカルボキサミドまたはスルホンアミドから選択される。
典型的にはR4は水素またはメトキシである。
【0053】
さらに別の実施態様において、R5は以下:
・H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1-C6)アルキル、ニトロ、または
・アミノ基-NR8R9(R8およびR9は水素、C1-C6アルキル、ハロ(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルから独立して選択される)、または
・6〜7員の脂肪族複素環:
【0054】
【化7】

【0055】
[式中、nは1または2であり、Zは酸素またはNR10であり、R10は水素または(C1-C6)アルキル、または以下:
【0056】
【化8】

【0057】
から選択されるカルボキサミドまたはスルホンアミド、例えば水素、メチル、エチル、メトキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、ニトロ、ジメチルアミノ、モルホリノである。典型的には、R5は水素、メチル、ジメチルアミノ、メトキシ、フッ素、塩素またはトリフルオロメチルである。
【0058】
別の実施態様において、R6は水素、(C1-C6)アルコキシ、ハロゲンまたはニトロ、例えば、水素、メトキシ、塩素、臭素またはニトロから、あるいは以下:
【0059】
【化9】

【0060】
から選択されるカルボキサミドまたはスルホンアミドから選択される。]
から選択される。
【0061】
典型的には、R6は水素またはメトキシである。
【0062】
1つの実施態様において、R7は水素、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲン、例えば水素、メトキシ、塩素または臭素から;あるいは以下:
【0063】
【化10】

【0064】
から選択されるカルボキサミドまたはスルホンアミドから選択される。
【0065】
典型的にはR7は水素である。
【0066】
別の実施態様において、R3、R4、R5、R6またはR7から選択される2つの隣接する置換基は、これらが連結する芳香環と一緒に、場合によりN、OまたはSから選択される1または2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和もしくは不飽和環、例えば、2個の酸素原子を含む5員環または炭素原子のみを含む6員環を形成することができる。
【0067】
別の実施態様において、R3、R4、R5、R6およびR7のうちの2〜5個がHである。典型的にはR3、R4、R5、R6およびR7のうちの3〜5個がHである。
【0068】
好ましい実施態様において、R4、R5またはR6のうちの1〜3個が電子供与性置換基、例えば、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)アルキルまたは-NR8R9であり、R8およびR9はC1-C6アルキル、ハロ(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、例えばメトキシ、メチル、エチル、ジメチルアミノまたはモルホリノから選択される。
【0069】
別の実施態様において、R3、R4、R5、R6およびR7から選択される2個の隣接する置換基は、これらが連結する芳香環と一緒に、2個の酸素原子を含む5員の飽和環:
【0070】
【化11】

【0071】
を形成することができる。
【0072】
さらに別の実施態様において、R3、R4、R5、R6およびR7から選択される2個の隣接する置換基は、これらが連結する芳香環と一緒に6員の飽和環:
【0073】
【化12】

【0074】
またはその薬学的に許容可能な塩を形成することができる。
【0075】
本発明の別の態様は、式II
【0076】
【化13】

【0077】
で表される化合物(式中、LはCl、Br、I、OSO2CF3から選択される脱離基であり、A、B、R1およびR2は上記に定義されるとおりである)を、式III:
【0078】
【化14】

【0079】
で表される遊離塩基またはその付加塩のいずれかとしての化合物(式中、Q、R3、R4、R5、R6およびR7は上記に定義されるとおりである)と、ニート(neat)で、または不活性な溶剤もしくは溶剤混合物において、0〜約200℃の温度で、場合により塩基の存在下で反応させ、引き続き式Iの生成物を後処理(work-up)し、その遊離塩基またはその酸付加塩のいずれかとして単離すること、
を含む、式Iの化合物の製造方法である。
【0080】
本発明の1つの実施態様において、式Iの化合物の製造に使用される溶剤は、トルエンまたはトルエンとプロトン性溶剤、例えば2-プロパノールとの混合物、好ましくはトルエンと2-プロパノールとの1:1混合物である。
【0081】
本発明の別の実施態様において、式Iの化合物の製造に使用される塩基は炭酸カリウムである。
【0082】
本発明のさらに別の実施態様において、式Iの化合物の製造に使用される好ましい反応温度は180℃である。
【0083】
別の実施態様において、式Iの化合物の製造方法は、トルエンのような使いやすい反応溶剤において、アルコキシド塩基、例えばナトリウムtert-ブトキシド、およびパラジウム触媒(パラジウム(II)源、例えばPd(OAc)2またはPd2(dba)3をビスホスフィン配位子、例えばBINAP(2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル)と混合することによりin situで製造される)の存在下で、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させ、引き続き、反応混合物を50〜150℃で3〜12時間、典型的には100℃で7時間加熱することを含む。
【0084】
<薬学的に許容可能な塩>
本発明はまた、化合物の塩、典型的には薬学的に許容可能な塩を含む。このような塩には、薬学的に許容可能な酸付加塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸および有機酸の塩が含まれる。
【0085】
好適な無機酸の代表的な例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸等が含まれる。好適な有機酸の代表的な例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、イタコン酸、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、テオフィリン酢酸、および8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモテオフィリン等が含まれる。薬学的に許容可能な無機または有機酸付加塩には、参照することによってその内容が本明細書に組み込まれる「Berge, S.M. et al., J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2」に記載される薬学的に許容可能な塩が含まれる。
【0086】
さらに、本発明の化合物は、水、エタノール等のような薬学的に許容可能な溶剤とともに溶媒和体(solvated forms)で、および非溶媒和体で存在することができる。概して、本発明の目的においては、溶媒和体は非溶媒和体(unsolvated forms)と同等であると考えられる。
【0087】
ラセミ体は、公知の方法、例えば、そのジアステレオマー塩の光学活性な酸を用いる分離、および塩基での処理による光学活性アミン化合物の遊離により、光学対掌体に分割することができる。このようなジアステレオマー塩の分離は、例えば、分別晶出(fractional crystallization)によって達成することができる。この目的に適した光学活性酸には、d-もしくはl-酒石酸、マンデル酸もしくはカンファースルホン酸が含まれ得るが、これらに限定はされない。ラセミ化合物の光学対掌体への分割のもう1つの方法は、光学活性なマトリックスにおけるクロマトグラフィーに基づくものである。本発明の化合物は、不斉誘導体化試薬、例えば不斉アルキル化もしくはアシル化試薬からのジアステレオマー誘導体の形成および分離、例えばクロマトグラフィーによる分離、それに続くキラル補助基の切断によって分割することもできる。
【0088】
当業者に公知の光学異性体の分割に関するさらなる方法を使用することもできる。このような方法には、「Enantiomers, Racemates, and Resolutions, John Wiley and Sons, New York 1981」においてJ. Jaques、A. ColletおよびS. Wilen等によって論じられている方法が含まれる。光学活性化合物はまた、光学活性な出発物質からも製造される。
【0089】
<医薬組成物>
本発明はさらに、治療的有効量の式Iの化合物および薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、実施例に開示される特定の化合物のうちの1つの治療的有効量および薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0090】
本発明化合物は、単回または複数回の投与において、単独でまたは薬学的に許容可能なキャリアー、希釈剤または賦形剤と組み合わせて投与することができる。本発明の医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤、およびその他の公知の佐剤および賦形剤とともに、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19thEdition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995」に開示されているような慣用の技術に従って製剤化することができる。
前記医薬組成物は具体的には、経口、直腸、経鼻、肺、局所(口腔内および舌下腺(sublingual)を含む)、経皮、嚢内(intracisternal)、腹腔内、膣および非経口(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈および皮内を含む)経路のような適当な経路による投与用に製剤化することができる。前記経路が、治療される対象の一般的な状態および年齢、治療される状態の性質および有効成分に依存することは認識されるだろう。
経口投与用の医薬組成物には、固体の剤形、例えばカプセル剤、錠剤、糖衣剤(dragees)、丸剤(pills)、ロゼンジ(lozenges)、散剤および顆粒剤が含まれる。適当な場合には、該組成物は、当業者に公知の方法により、腸溶コーティング(enteric coatings)のようなコーティングを施して製造することができ、または持続放出性または長期放出性(prolonged release)のような活性成分の制御放出性を付与するように製剤化することができる。経口投与のための液体の剤形には、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。
【0091】
非経口投与のための医薬組成物としては、使用する前に滅菌注射用溶液または分散剤で再構成される滅菌散剤と同様に、水系および非水系の滅菌された注射可能溶液、分散剤、懸濁剤または乳剤が含まれる。他の好適な投与形態には、坐剤、スプレー剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、吸入剤、皮膚パッチ(dermal patches)およびインプラントが含まれるが、これらに限定はされない。
典型的な経口用量は、1日につき体重1 kgあたり約0.001〜約100 mgの範囲内である。典型的な経口用量はまた、1日につき体重1 kgあたり約0.01〜約50 mgの範囲内である。典型的な経口用量はさらに、1日につき体重1 kgあたり約0.05〜約10 mgの範囲内である。経口用量は通常、1日あたり1回またはそれ以上の投薬、典型的には、1〜3回の投薬によって投与される。正確な用量は、投与の頻度や形態、治療される対象の性別、年齢、体重および一般的な状態、治療される状態の性質および重篤度および治療されるべき付随疾患および当業者にとって明らかなその他の因子に依存であろう。
【0092】
製剤は、都合よくは、当業者に公知の方法により単位投薬形態(unit dosage form)で存在することができる。例示すると、経口投与用の典型的な単位投薬形態には、約0.01〜約1000 mg、約0.05〜約500 mg、または約0.5 mg〜約200 mgが含まれ得る。
静脈内、髄腔内、筋肉内および類似の投与のような非経口経路に関して、典型的な用量は、経口投与で必要とされる用量のほぼ約半分である。
【0093】
本発明はまた、治療的有効量の式Iの化合物および少なくとも1種の薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤を混合することを含む、医薬組成物を製造する方法を提供する。本発明の1つの実施態様において、上記方法に利用される化合物は、実施例欄に開示される特定の化合物のうちの1つである。
【0094】
本発明の化合物は、概して、遊離物質として、またはその薬学的に許容可能な塩として利用される。1つの例は、遊離塩基の有用性を有する化合物の酸付加塩である。式Iの化合物が遊離塩基を含む場合に、前記の塩は、式Iの遊離塩基の溶液または懸濁液をモル当量の薬学的に許容可能な酸で処理することにより、慣用の方法で製造される。好適な有機および無機酸の代表的な例は上記のとおりである。
非経口投与には、滅菌水性溶液、水性プロピレングリコール、水性ビタミンEまたはゴマもしくはピーナッツ油における式Iの化合物の溶液を用いることができる。前記水溶液は必要な場合には適当に緩衝されるべきであり、液体の希釈剤が第一に十分な生理食塩水またはグルコースとともに等張性を付与する。前記水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与のために特に適している。式Iの化合物は、当業者に公知の標準的技術を用いて、公知の水系媒体に用意に組み込むことができる。
【0095】
好適な薬学的なキャリアーには、不活性な固体の希釈剤または増量剤(fillers)、滅菌水溶液および種々の有機溶剤が含まれる。固体キャリアーの例としては、乳糖、石膏、ショ糖、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア(acacia)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、セルロースの低級アルキルエーテルが含まれる。液体のキャリアーの例には、シロップ剤、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水が含まれるが、これらに限定はされない。同様に、前記キャリアーまたは希釈剤には、本技術分野で公知の任意の徐法性物質、例えば、単独でのまたはワックスと混合したモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが含まれ得る。式Iの化合物および薬学的に許容可能なキャリアーを組み合わせることにより形成される医薬組成物は、その後、開示される投与経路に適した種々の剤形で容易に投与される。製剤は、都合よくは、当業者に公知の方法により単位投薬形態で存在することができる。
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが所定の量の活性成分を含み、場合により適当な賦形剤を含む、個別の単位、例えばカプセル剤または錠剤として存在することができる。さらに、経口的に利用できる製剤は、散剤または顆粒剤、水系または非水系液体における溶液または懸濁液、または水中油もしくは油中水型の液体乳剤の形態でよい。
固体のキャリアーが経口投与に使用される場合には、前記組成物は打錠されることができ、散剤または丸剤の形態で硬ゼラチンカプセルに収納されることができ、または、トローチ剤もしくはロゼンジの形態であってもよい。固体のキャリアーの量は広く変化するであろうが、投薬単位あたり約25 mgから約1 gまで変化する。液体のキャリアーが使用される場合には、前記組成物は、シロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセルまたは水系もしくは非水系液体の懸濁液もしくは溶液のような滅菌された注射用液剤の形態でよい。
【0096】
本発明の医薬組成物は、本技術分野において慣用の方法によって製造することができる。例えば、錠剤は、活性成分を通常の佐剤および/または希釈剤と混合して、引き続き慣用の打錠機において該混合物を圧縮することにより製造することができる。佐剤または希釈剤の例には、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、ラクトース、ゴム等が含まれる。前記目的のために通常使用される、着色剤(colourings)、フレーバー(flavourings)、防腐剤等のような他の佐剤または添加剤はいずれも、活性成分と適合することを条件として使用することができる。
【0097】
<障害の治療>
上述のように、式Iの化合物はPDE10A酵素阻害剤であり、治療に伴う神経変性障害および精神障害に有用である。本発明は、認知障害または運動障害から選択される神経変性障害を患っている対象の治療方法であって、式Iの化合物の治療的有効量を前記対象に投与することを含む治療方法を提供する。
【0098】
本発明はまた、精神障害を患っている対象の治療方法であって、式Iの化合物の治療的有効量を前記対象に投与することを含む治療方法を提供する。本発明において治療できる精神障害の例には、統合失調症、例えば妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型もしくは残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;例えば妄想型またはうつ病型の統合失調感情障害;妄想性障害;物質誘発性精神病性障害、例えば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚薬、吸入剤、オピオイド類もしくはフェンシクリジンによって誘発される精神病;妄想型の人格障害;および分裂気質型の人格障害が含まれるが、これらに限定はされず、そして不安障害は恐慌性障害;広場恐怖症;特定恐怖症;社会恐怖症;強迫性障害; 心的外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;および全般性不安障害から選択される。
【0099】
本発明は、認知障害を患っている対象の治療方法であって、式Iの化合物の治療的有効量を前記対象に投与することを含む治療方法を提供する。本発明において治療できる認知障害の例には、アルツハイマー病、多発性梗塞性痴呆、アルコール性痴呆、その他の薬物関連痴呆, 頭蓋内腫瘍もしくは脳外傷に関連する痴呆、ハンチントン病もしくはパーキンソン病に関連する痴呆、またはAIDSに関連する痴呆;せん妄;健忘性障害;心的外傷後ストレス障害;精神遅滞;学習障害、例えば読字障害、算数障害または書字表出障害;注意欠陥/多動性障害;および加齢関連認知低下が含まれるが、これらに限定はされない。
【0100】
本発明はまた、運動障害の治療方法であって、式Iの化合物の治療的有効量を対象に投与することを含む治療方法を提供する。本発明において治療できる運動障害の例には、ハンチントン病、およびドパミンアゴニスト療法に関連するジスキネシアが含まれるが、これらに限定はされない。本発明はさらに、パーキンソン病または下肢静止不能症候群から選択される運動障害の治療方法であって、式Iの化合物の治療的有効量を対象に投与することを含む治療方法を提供する。
本発明はまた、気分障害の治療方法であって、式Iの化合物の治療的有効量を対象に投与することを含む治療方法を提供する。本発明において治療できる運動障害および気分エピソードの例には、軽度、中等度もしくは重度型の大うつ病エピソード、躁病エピソードまたは混合性気分エピソード、軽躁病気分エピソード;定型の特徴(typical features)を有するうつ病エピソード;メランコリー型の特徴(melancholic features)を有するうつ病エピソード ;緊張型の特徴(catatonic features)を有するうつ病エピソード;産後の発症(postpartum onset)を有する気分エピソード;脳卒中後うつ病;大うつ病性障害;気分変調性障害;小うつ病性障害;月経前不快気分障害;統合失調症の精神病後抑うつ障害;精神病性障害、例えば妄想性障害もしくは統合失調症に併発する大うつ病性障害;双極性障害、例えば、双極性I型障害、双極性II型障害、および気分循環障害が含まれるが、これらに限定はされない。気分障害が精神障害であることは理解される。
【0101】
本発明はまた、神経変性障害または精神障害の治療用薬剤の製造のための、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な酸付加塩の使用であって、前記神経変性障害がアルツハイマー病、多発性梗塞性痴呆、アルコール性痴呆もしくはその他の薬物関連痴呆、頭蓋内腫瘍もしくは脳外傷に関連する痴呆、ハンチントン病もしくはパーキンソン病に関連する痴呆、またはAIDSに関連する痴呆;せん妄;健忘性障害;心的外傷後ストレス障害;精神遅滞;学習障害、例えば、読字障害、算数障害または書字表出障害;注意欠陥/多動性障害;および加齢関連認知低下からなる群から選択され、そして、前記精神障害が、例えば妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型もしくは残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;例えば 妄想型またはうつ病型の統合失調感情障害;妄想性障害;物質誘発性精神病性障害、例えば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚薬、吸入剤、オピオイド類もしくはフェンシクリジンにより誘発される精神病;妄想型の人格障害;および分裂気質型の人格障害からなる群から選択される、前記の使用を提供する。
【0102】
本発明は、以下の実施例からさらによく理解されるであろう。しかしながら、当業者であれば、そこで議論される特定の方法および結果が、以下の特許請求の範囲により完全に記載される発明を単に例証するものであることは容易に理解できるであろう。
【実施例】
【0103】
<方法の概要>
分析LC-MSデータは、大気圧光イオン化を装備したPE Sciex API 150EX装置およびShimadzu LC-8A/SLC-10A LCシステムで得た。カラム: 粒子サイズ3.5 μmの 30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18 カラム;溶剤系: A = 水/トリフルオロ酢酸 (100:0.05) および B = 水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸 (5:95:0.03);方法:4分間で90% A から100% Bまでおよび流速2 mL/分の直線的勾配による溶出。純度はUV (254 nm) およびELSD トレースの積分により決定した。保持時間 (tR) は分で表す。
【0104】
分取LC-MS-精製(Preparative LC-MS-purification)は大気圧化学イオン化を用いる同一の装置で行った。カラム: 粒子サイズ5 μmの 50 X 20 mm YMC ODS-A;方法:7分間で80% A から100% Bまでおよび流速22.7 mL/分の直線的勾配による溶出。フラクションの回収は分流MS検出(split-flow MS detection)により行った。
【0105】
<本発明化合物の製造>
【0106】
【化15】

【0107】
本発明の一般式Iの化合物は、以下の反応スキームに記載されるように製造することができる。他に指示のない限り、以下の反応スキームおよび議論において、R1-R7、A、B、Q、L、X、Y、Zおよびnは上記に定義されるとおりである。以下のスキーム1は、式IIの化合物と、式IIIの2-アリールピペラジン、2-アリールチオモルホリンもしくは2-アリールモルホリン誘導体とのカップリング反応を表し、式Iで表されるジアルコキシ置換化合物が得られる。
【0108】
【化16】

【0109】
この反応は通常、約0℃〜約200℃の範囲の温度で、場合によりカルボネート塩基の存在下において、例えばトルエンのような溶剤中で行われる。他の好適な溶剤には、ベンゼン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、2-プロパノールおよびキシレンが含まれる。あるいは、トルエン/2-プロパノールのような溶剤混合物を使用することができる。好ましくは、反応物質は、場合によりマイクロウェーブオーブンを使用して、約2時間〜約24時間、トルエンおよび2-プロパノールの溶剤混合物において還流下で加熱される。
【0110】
スキーム1に記載される反応はまた、都合よくはパラジウム触媒法において実施することができる。通常、式IIの化合物、式IIIの化合物およびパラジウム(II)源、例えばPd(OAc)2もしくはPd2(dba)3の混合物を、使いやすい溶剤、例えばトルエンにおいて、ビスホスフィン配位子、例えば2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル“BINAP”、およびアルコキシド塩基、例えばナトリウムtert-ブトキシドの存在下で加熱する。反応混合物を100℃で7時間撹拌し、引き続き、分取HPLCにより生成物を精製することによって、所望の生成物を得る。
【0111】
本発明化合物は全て、満足できる水溶性を示す。しかしながら、ピペラジン誘導体(式I、Q = NH)は、概して、類似のモルホリン-もしくはチオモルホリン誘導体(式I、それぞれQ = OまたはS)よりも著しく良好な可溶性を示すようである。
【0112】
式II(A=窒素、およびB=炭素)の出発物質、すなわちキナゾリン類は、市販のものを利用することができ、または文献(例えば、「PC Int. Appl. 2003008388, 30 January 2003」、米国特許出願公開第20060019975号明細書、および「Wright, S. W., et al., J. Med. Chem., 2002. 45: p. 3865-3877」)に記載されるように製造することもできる。
【0113】
式II(A=炭素、およびB=窒素)の出発物質、すなわちフタラジン類、および式II(A=B=炭素)の出発物質、すなわちイソキノリン類は、市販のものを利用することができ、または文献、例えば、「J. Med. Chem. 1999, 42, 3860-3873,.Weinstock, J.Org.Chem.26,3511 (1961)」、「F.Elou and A.Deryckere, Helv.Chim.Acta 52,1755 (1969)」、および米国特許出願公開第4370328号明細書((1983/01/25), Appl.: US1980-170777 (1980/07/21))に記載されるように製造することもできる。
【0114】
式IIIの出発物質は、市販のものを利用することができ、または文献、例えば、「Wolters,R.J. et al.; J. Pharm. Sci.; 63; 1974; 1379-1382」、「Busch,N. et al.; Eur. J. Med. Chem. Chim. Ther.; 11; 1976; 201-207」、「Ruano, J. L. et al. J. Org. Chem.; 57; 15; 1992; 4215-4224」、「J. Med. Chem. 1983, 26, p 254」、「Ref. Patent; Hokuriku Pharm.; DE 2718451; 1977」、「Chem.Abstr.; EN; 88; 89714」、「Blythin et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2002, 12, 3161」に記載されるように製造することもできる。
【0115】
式IIIの出発物質はまた、以下の手順に従って製造することができる:ジメチルホルムアミドにおける0.03当量のPd(OAc)2および0.04当量の1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)の撹拌混合物を50℃で0.25時間加熱した。冷却後、1当量の2-クロロ-ピラジン、1.1当量のアレーンボロン酸(areneboronec acid)、および1.4当量のEt3Nを添加し、混合物を90℃で12時間撹拌した。冷却後、エバポレーターで黒色の混合物を濃縮して乾燥し、生成物を50 mLのクロロホルムに入れ25 mLの希NH4OH溶液で洗浄し、濃縮して乾燥した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、純粋な式IIIの生成物を得た。

本明細書に開示される発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0116】
<実施例1>
1. 6,7-ジメトキシ-4-(2-フェニル-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0117】
【化17】

【0118】
2-フェニル-チオモルホリン(1モル当量)、4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリン(1モル当量)および炭酸カリウム(1モル当量)をトルエンおよび2-プロパノールの1:1混合物に添加した(これは約0.5 molarの最終濃度に対応する)。反応混合物をマイクロウェーブオーブン中において180℃で15分間加熱し、ろ過した。溶剤を減圧下で除去し、得られた固体を分取LC-MS精製に付した。生成物を含むフラクションを回収し、プールし、減圧下で蒸発させることにより生成物を得た。
【0119】
以下の化合物を同様に製造した:
2. 6,7-ジメトキシ-4-(3-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン
【0120】
【化18】

【0121】
表題化合物を2-(3-メトキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
3. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-メチルフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0122】
【化19】

【0123】
表題化合物を2-(4-メチルフェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
4. 6,7-ジメトキシ-4-((R)-3-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン
【0124】
【化20】

【0125】
表題化合物を(R)-2-(3-メトキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
5. 6,7-ジメトキシ-4-((S)-3-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン
【0126】
【化21】

【0127】
表題化合物を(S)-2-(3-メトキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
6,7-ジメトキシ-4-((R)-3-フェニル-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン
【0128】
【化22】

【0129】
表題化合物を(R)-2-フェニル-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
6. 6,7-ジメトキシ-4-((S)-3-フェニル-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン
【0130】
【化23】

【0131】
表題化合物を(S)-2-フェニル-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
7. 4-[3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0132】
【化24】

【0133】
表題化合物を2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
8. 4-[3-(2-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0134】
【化25】

【0135】
表題化合物を2-(2-メトキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
9. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-フルオロフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0136】
【化26】

【0137】
表題化合物を2-(4-フルオロフェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
10. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-クロロフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0138】
【化27】

【0139】
表題化合物を2-(4-クロロフェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
11. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-トリフルオロメチルフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0140】
【化28】

【0141】
表題化合物を2-(4-トリフルオロフェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
12. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(2-クロロフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0142】
【化29】

【0143】
表題化合物を2-(2-クロロフェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
13. 4-[3-(4-ジメチルアミノフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0144】
【化30】

【0145】
表題化合物を2-(4-ジメチルアミノフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
14. 4-[3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0146】
【化31】

【0147】
表題化合物を2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
15. 4-[3-(2,5-ジクロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0148】
【化32】

【0149】
表題化合物を2-(2,5-ジクロロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造した。
【0150】
以下の化合物を同様に製造することができる:
17. 4-[3-(2,5-ジクロロ-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0151】
【化33】

【0152】
表題化合物を2-(2,5-ジクロロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
18. 4-[3-(4-メチルフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0153】
【化34】

【0154】
表題化合物を2-(4-メチルフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
19. 4-[3-(4-フルオロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0155】
【化35】

【0156】
表題化合物を2-(4-フルオロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
20. 4-[3-(4-エチルフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0157】
【化36】

【0158】
表題化合物を2-(4-エチルフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
21. 4-[3-(4-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0159】
【化37】

【0160】
表題化合物を2-(4-メトキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
22. 4-[3-(3-クロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0161】
【化38】

【0162】
表題化合物を2-(3-クロロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
23. 4-[3-(4-クロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0163】
【化39】

【0164】
表題化合物を2-(4-クロロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
24. 4-[3-(3-ニトロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0165】
【化40】

【0166】
表題化合物を2-(3-ニトロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
25. 4-[3-(4-ニトロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0167】
【化41】

【0168】
表題化合物を2-(4-ニトロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
26. 6,7-ジメトキシ-4-(3-ナフタレン-2-イル-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン
【0169】
【化42】

【0170】
表題化合物を2-ナフタレン-2-イル-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
27. 6,7-ジメトキシ-4-(3-ナフタレン-1-イル-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン
【0171】
【化43】

【0172】
表題化合物を2-ナフタレン-1-イル-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
28. 4-[3-(3,5-ジメトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0173】
【化44】

【0174】
表題化合物を2-(3,5-ジメトキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
29. 4-[3-(2,5-ジメトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0175】
【化45】

【0176】
表題化合物を 2-(2,5-ジメトキシフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
30. 4-[3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0177】
【化46】

【0178】
表題化合物を2-(4-トリフルオロメチルフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
31. 4-[3-(2,4-ジクロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0179】
【化47】

【0180】
表題化合物を2-(2,4-ジクロロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
32. 4-[3-(3-ブロモフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0181】
【化48】

【0182】
表題化合物を2-(3-ブロモフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
34. 4-[3-(4-ブロモフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0183】
【化49】

【0184】
表題化合物を2-(4-ブロモフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
35. 6,7-ジメトキシ-4-(3-(6-メトキシ-ナフタレン-2-イル)-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン
【0185】
【化50】

【0186】
表題化合物を2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
36. 6,7-ジメトキシ-4-[3-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン
【0187】
【化51】

【0188】
表題化合物を4-(4-ピペラジン-2-イル-フェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
37. 4-[3-(2,4-ジクロロ-5-フルオロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン
【0189】
【化52】

【0190】
表題化合物を2-(2,4-ジクロロ-5-フルオロフェニル)-ピペラジンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
38. 6,7-ジメトキシ-4-(2-フェニル-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0191】
【化53】

【0192】
表題化合物を2-フェニル-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
39. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(2-メトキシフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0193】
【化54】

【0194】
表題化合物を2-(2-メトキシフェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
40. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(3,5-ジクロロフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0195】
【化55】

【0196】
表題化合物を2-(3,5-ジクロロフェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
41. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(3,5-ジメトキシフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0197】
【化56】

【0198】
表題化合物を2-(3,5-ジメトキシフェニル)-モルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
42. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-フルオロフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0199】
【化57】

【0200】
表題化合物を2-(4-フルオロフェニル)-チオモルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
43. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-クロロフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0201】
【化58】

【0202】
表題化合物を2-(4-クロロフェニル)-チオモルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
44. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(2-クロロフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0203】
【化59】

【0204】
表題化合物を2-(2-クロロフェニル)-チオモルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
45. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-メトキシフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0205】
【化60】

【0206】
表題化合物を2-(4-メトキシフェニル)-チオモルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
46. 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-トリフルオロメチルフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン
【0207】
【化61】

【0208】
表題化合物を2-(4-トリフルオロフェニル)-チオモルホリンおよび4-クロロ-6,7-ジメトキシ-キナゾリンから製造する。
【0209】
<薬理試験>
PDE10A酵素
活性なPDE10A酵素を、PDEアッセイに使用するために、多くの方法において製造する(Loughney, K. et al. Gene 1999, 234, 109-117;Fujishige, K. et al. Eur J Biochem. 1999, 266, 1118-1127およびSoderling, S. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 1999, 96, 7071-7076)。PDE10Aは、触媒ドメインを発現する限り、完全長の蛋白質としてまたは切断された蛋白質(truncated proteins)として発現させることができる。PDE10Aは、異なる細胞タイプ、例えば昆虫細胞またはE. coliにおいて調製することができる。触媒的に活性なPDE10Aを得るための方法の1つの例は以下のとおりである:ヒトPDE10Aの触媒ドメイン(アクセッション番号NP 006652を有する配列のアミノ酸440〜779)を全ヒト脳のtotal RNAから標準的なRT-PCRによって増幅し、pET28aベクター(Novagen社製)のBamH1およびXho1部位にクローニングする。coliにおける発現を標準的なプロトコールに従って行う。簡単に言うと、発現プラスミドでBL21(DE3) E. coli株を形質転換し、細胞を播種した50 mLの培養液を0.4〜0.6のOD600まで増殖させた後に0.5mM IPTGを用いて蛋白質発現を誘導する。インダクションに続いて、細胞を一晩室温でインキュベートし、その後、遠心分離により細胞を回収する。PDE10Aを発現する細胞を12 mL(50 mM TRIS-HCl-pH8.0、1 mM MgCl2およびプロテアーゼ阻害剤)に懸濁する。細胞を超音波により溶解し、全ての細胞が溶解した後にTritonX100をNovagen社のプロトコールに従って添加する。PDE10AをQセファロースで部分的に精製し、最も活性な画分をプールする。
【0210】
PDE10A阻害アッセイ
PDE10Aアッセイはこれまでに記載されてきた(Loughney, K. et al. Gene 1999, 234, 109-117;Fujishige, K. et al. Eur J Biochem. 1999, 266, 1118-1127およびSoderling, S. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 1999, 96, 7071-7076)。PDE10Aアッセイは、例えば以下のように行うことができる:PDE10Aアッセイは、所定量の関連PDE酵素(環状ヌクレオチド基質の20〜25%を変換するのに十分な)、0.1mg/ml BSA、225 pCiの3H標識環状ヌクレオチド基質、トリチウム標識cAMP(最終濃度5 nM)および可変量の阻害剤を含む60 uLのサンプルにおいて行う。反応を環状ヌクレオチド基質の添加により開始させ、反応を室温で1時間続けた後に、15 uLの8 mg/mLケイ酸イットリウムSPAビーズ(Amersham社)と混合することにより終了させる。ビーズを暗所に1時間置いた後に、プレートをWallac 1450 Microbetaカウンターで計測する。測定したシグナルは、阻害されないコントロール(100 %)に対する活性に変換することができ、そしてIC50値はEXCELに拡張されるXlfitを用いて計算することができる。
【0211】
実験結果により、本発明の試験化合物がPDE10A酵素を700 nM以下のIC50値で阻害することが示された。
【0212】
以下の表に例証された化合物の解析データをまとめる。
【0213】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造I
【化1】

を有する化合物であって、
式中、
QがNH、OまたはSから選択され、
AおよびBがCHまたはNから独立して選択され、ただし、AおよびBは同時に両方がNではなく、
R1およびR2は独立してC1-C4アルキルであり、
R3、R4、R5、R6およびR7は独立して以下:
・ H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ヒドロキシシクロアルキル、(C3-C8)シクロアルコキシ、(C1-C6)アルコキシ(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシへテロシクロアルキルまたは(C1-C6)アルコキシ-ヘテロシクロアルキル(各(C3-C8)シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル部分は1〜3個の(C1-C6)アルキルで独立して置換されていてもよい);
・ R8およびR9が水素、C1-C6アルキル、ハロ(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルから独立して選択される-NR8R9基;
・ 6〜7員の脂肪族複素環
【化2】

であって、nが1または2であり、Zが酸素またはNR10であり、R10が水素または(C1-C6)アルキルである前記複素環;または、
・以下
【化3】

(式中、Yは水素または(C1-C6)アルキルであり、Xが以下:
− 置換されていないかまたは1個またはそれ以上のハロゲンで置換されている(C1-C6)アルキル基、
− 置換されていないかまたは1個またはそれ以上のハロゲンで置換されている-O-(C1-C6)アルキル、
− R11およびR12が水素、C1-C6アルキル、ハロ(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルから独立して選択される-NR11R12基、または
− 6〜7員の脂肪族複素環
【化4】

であって、nが1または2であり、Wが酸素またはNR13であり、R13が水素または(C1-C6)アルキルである前記複素環、
から選択される)、
から選択されるケトン、スルホン、エステル、アミド、スルホン酸エステルまたはスルホンアミド;
から選択されるか、または、
R3、R4、R5、R6およびR7から選択される2個の隣接する置換基が、これらが連結する芳香族環と一緒に、炭素および1または2個のヘテロ原子(N、OまたはSから選択される)を含む5〜7員の飽和または不飽和環であって、場合により(C1-C6)アルコキシ基で置換される前記環を形成していてもよく、R3、R4、R5、R6およびR7から選択される前記環に参加しない残りの3個の置換基が前記のように独立して選択される、
前記化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
AがNでありBがCHであり、そしてQ、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7が請求項1に定義される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
AがCHでありBがCHであり、そしてQ、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7が請求項1に定義される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
AがCHでありBがNであり、そしてQ、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7が請求項1に定義される、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1およびR2が独立してC1-C2アルキルである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
R3がH、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンから選択される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
R4がH、(C1-C6)アルコキシ、ハロゲンまたはニトロから選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
R5が以下:
・水素、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1-C6)アルキル、ニトロ、または
・-NR8R9基(R8およびR9は水素、C1-C6アルキル、ハロ(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルから独立して選択される)、または
・6〜7員の脂肪族複素環:
【化5】

(nは1または2であり、そして、Zは酸素またはNR10であり、式中、R10は水素または(C1-C6)アルキルである)、
から選択される、請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
R6がH、(C1-C6)アルコキシ、ハロゲンまたはニトロから選択される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
R7がH、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンから選択される、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
R3、R4、R5、R6およびR7から選択される2個の隣接する置換基が、これらが連結する芳香族環と一緒に、場合により1または2個のヘテロ原子(N、OまたはSから選択される)を含む、5〜7員の飽和または不飽和環を形成する、請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
QがNHである、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
QがOである、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
QがSである、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
化合物が6,7-ジメトキシ-4-(2-フェニル-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(3-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-メチルフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-((R)-3-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-((S)-3-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-((R)-3-フェニル-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-((S)-3-フェニル-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン; 4-[3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(2-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-フルオロフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-クロロフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-トリフルオロメチルフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(2-クロロフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 4-[3-(4-ジメチルアミノフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(2,5-ジクロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(4-メチルフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(4-フルオロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(4-エチルフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(4-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(4-クロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(3-クロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(3-ニトロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(4-ニトロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(3-ナフタレン-2-イル-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(3-ナフタレン-1-イル-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン; 4-[3-(3,5-ジメトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(2,5-ジメトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(2,4-ジクロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(3-ブロモフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 4-[3-(4-ブロモフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(3-(6-メトキシ-ナフタレン-2-イル)-ピペラジン-1-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-[3-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン; 4-[3-(2,4-ジクロロ-5-フルオロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシ-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-フェニル-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-メトキシフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(3,5-ジクロロフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(3,5-ジメトキシフェニル)-モルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-フルオロフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-クロロフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(2-クロロフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-メトキシフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン; 6,7-ジメトキシ-4-(2-(4-トリフルオロメチルフェニル)-チオモルホリン-4-イル)-キナゾリン、
から選択される、請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
式II
【化6】

で表される化合物(式中、LはCl、Br、I、OSO2CF3から選択される脱離基であり、A、B、R1およびR2は請求項1に定義されるとおりである)を、式III:
【化7】

で表される遊離塩基またはその付加塩のいずれかとしての化合物(式中、Q、R3、R4、R5、R6およびR7は請求項1に定義されるとおりである)と、ニート(neat)で、または不活性な溶剤もしくは溶剤混合物において、0〜約200℃の温度で、場合により塩基の存在下で、場合によりパラジウム触媒の存在下で反応させ、引き続き式Iの生成物を後処理(work-up)し、その遊離塩基またはその酸付加塩のいずれかとして単離すること、
を含む、式Iの化合物の製造方法。
【請求項17】
反応溶剤中において、パラジウム(II)源、例えばPd(OAc)2またはPd2(dba)3をビスホスフィン配位子、例えばBINAP(2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル)と混合することにより、パラジウム触媒をin situで形成させる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
治療的有効量の請求項1記載の化合物および薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項19】
神経変性障害または精神障害の治療用薬剤の製造のための、請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な酸付加塩の使用であって、前記神経変性障害がアルツハイマー病、多発性梗塞性痴呆、アルコール性痴呆もしくはその他の薬物関連痴呆、頭蓋内腫瘍もしくは脳外傷に関連する痴呆、ハンチントン病もしくはパーキンソン病に関連する痴呆、またはAIDSに関連する痴呆;せん妄;健忘性障害;心的外傷後ストレス障害;精神遅滞;学習障害、例えば、読字障害、算数障害または書字表出障害;注意欠陥/多動性障害;および加齢関連認知低下からなる群から選択され、そして、前記精神障害が、例えば妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型もしくは残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;例えば 妄想型またはうつ病型の統合失調感情障害;妄想性障害;物質誘発性精神病性障害、例えば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚薬、吸入剤、オピオイド類もしくはフェンシクリジンにより誘発される精神病;妄想型の人格障害;および分裂気質型の人格障害からなる群から選択される、前記の使用。
【請求項20】
薬剤として使用するための、請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な酸付加塩。
【請求項21】
神経変性障害または精神障害を患っている対象の治療方法であって、請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物の治療的有効量を前記対象に投与することを含み、前記神経変性障害がアルツハイマー病、多発性梗塞性痴呆、アルコール性痴呆もしくはその他の薬物関連痴呆、頭蓋内腫瘍もしくは脳外傷に関連する痴呆、ハンチントン病もしくはパーキンソン病に関連する痴呆、またはAIDSに関連する痴呆;せん妄;健忘性障害;心的外傷後ストレス障害;精神遅滞;学習障害、例えば、読字障害、算数障害または書字表出障害;注意欠陥/多動性障害;および加齢関連認知低下からなる群から選択され、そして、前記精神障害が、例えば妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型もしくは残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;例えば 妄想型またはうつ病型の統合失調感情障害;妄想性障害;物質誘発性精神病性障害、例えば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚薬、吸入剤、オピオイド類もしくはフェンシクリジンにより誘発される精神病;妄想型の人格障害;および分裂気質型の人格障害からなる群から選択される、前記の治療方法。

【公表番号】特表2009−542732(P2009−542732A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518719(P2009−518719)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000351
【国際公開番号】WO2008/006372
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】