説明

7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体の(R)−N−立体異性体

7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体の、新規な(R)−N−立体異性体を開示する。7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体の(R)−N−立体異性体を含有する医薬組成物、およびそれらの医薬的使用方法もまた開示する。そのような類似体を、各種の状態において、オピオイド誘導性便秘を治療する際に有用であるとして開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、7,8−ジヒドロ−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体を含む、新規の立体異性体7,8−単結合−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体(以下、「7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム」と称される)、それらの製剤のための合成法、それらを含有する医薬品、およびそれらの使用法に関する。本出願は、2006年11月22日出願の米国暫定出願番号第US60/867,099号、および2006年11月27日出願の同第US60/867,390号に対して優先権を主張するものであり、その両方をそっくりそのまま本明細書に組み込でいる。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
アヘンの薬効および心理的効果は、古代から周知である。しかしながら、モルヒネが、アヘン、その後、コデインおよびパパベリンから単離されたことは、19世紀の初期まで周知ではなかった。19世紀の中頃までには、粗アヘン製剤ではなく、純粋なアルカロイドが、確立された医療行為となった。19世紀以来、多数の天然アルカロイドの合成および準合成誘導体が作製されている。
【0003】
モルフィナン化合物に関する限りでは、置換基置換は、薬効薬理に対して有意な効果を有することができることが周知である。例えば、3−ヒドロキシモルフィナンは、可能性として、有意な初回通過代謝のために、非経口より経口で効果が有意に低い場合があると報告している者もいる。モルヒネの、その3−ヒドロキシル基におけるグルクロン酸化は、活性を終了させると考えられる。しかしながら、オキシコドンおよびコデイン等で見られる3−メトキシ基は、高い経口効力を有する、いくつかのものによって関連付けられている。
【0004】
モルフィノイドのオピオイド活性に、特に、それらの窒素置換基の性質に対して感受性があることが示されている。例えば、アリル、シクロブチルメチル、およびプロピルメチル等の、π−エレクトロンが豊富な置換基による、モルヒネおよび関連するオピオイドにおけるN−メチル基の置換は、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、およびナルブフィン等の強力なアンタゴニストをもたらす。
【0005】
「R」および「S」という記号表示は、キラル中心の特定の構成を表すために、有機化学において一般的に用いられる。「R」という記号表示は「右(right)」を意味し、優先順位の最も低い基に向かって結合をたどって見た場合に、基の優先順位(最も高いものから2番目に低いものまで)と時計回りの関係を持つキラル中心の構成を意味する。「S」または「左(left)」という用語は、優先十位の最も低い基に向かって結合をたどる場合のキラル中心のその構成を指す。
【0006】
R/Sの記号表示に対する基の優先順位は、原子番号(最も重い同位体順)に基づく。優先順位の部分的リスト、および立体化学の議論は、The Vocabulary of Organic Chemistry,Orchin,et al.John Wiley and Sons,Inc.,page 126(1980)に掲載してあり、それらの全体として参照することにより本明細書に含まれる。第四級窒素モルフィナン構造が形成されると、そのような構造は、(R)または(S)立体異性体として特徴付けられ得る。
【0007】
当該技術は、光学異性体またはジアステレオマーに関わらず、化合物の単離立体異性体が、時折、対照的な物理的および機能的特性を有する場合があることを示唆するが、任意の特定の場合において、そうであるかどうかは予測不可能である。デキストロメトルファンは、鎮咳剤であるが、その光学異性体レボメソルファンは、強力な麻酔剤である。(R,R)−メチルフェニデートは、注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する薬物であるが、その光学異性体(S,S)−メチルフェニデートは、抗鬱剤である。(S)−フルオキセチンは、片頭痛に活性を有するが、その光学異性体(R)−フルオキセチンは、鬱病を治療するために使用される。シタロプラムの(S)−光学異性体は、鬱病の治療に対して治療効果のある異性体である。(R)−光学異性体は、不活性である。オメプラゾールの(S)−光学異性体は、(R)光学異性体より、胸焼けの治療に対してより強力である。
【0008】
Caldwellらは、Complete Proton and Carbon Nuclear Magnetic Resonance Spectral Assignments of Some Morphin−6−one Alkaloids by Two−Dimensional NMR Techniquesにおいて、N−メチル基がエクアトリアル位にあることを判断するために第四級N−メチルオキシコドン類似体を選択することに対する、二次元NMR配座解析(核オーバーハウザー強化差分解析)の使用方法について記載している。彼らは、彼らが試験した化合物に対するプロトン結合定数は、モルフィナン骨格のシクロヘキサノン環およびピペリジン環が、わずかにゆがんだ椅子形配座をとることを示唆したと記した。
【0009】
Bianchettiらは、Quaternary Derivatives of Narcotic Antagoists:Sterochemical Requirements at the Chiral Nitrogen for In Vitro and In Vivo Activity,1983 Life Science 33(Sup I):415−418において、キラル窒素の周囲の構成が、どのように体内および体外活性を影響するかを確認するために、第四級麻薬アンタゴニストおよびそれらの親第三級アミン、レバロルファン、ナロルフィン、およびナロキソンのジアステレオ異性体の3対を研究した。活性は、第四級誘導体がどのように調製されたかによって、大幅に変化したことが明らかとなった。各シリーズにおいて、N−アリル−置換第三級アミンのメチル化によって得られたジアステレオマー(「N−メチルジアステレオマー」と言及される)のみが、H−ナルトレキソンをラットの脳膜から変位させる際に強力であり、モルモットの回腸においてモルヒネアンタゴニストとして作用する際に強力であった。逆に、N−メチル−置換第三級アミンをアリルハロゲン化物で反応させることによって得られたジアステレオ異性体(「N−アリルジアステレオマー」と言及される)は、モルモットの回腸において、H−ナルトレキソンを変位させず、ごくわずかなアンタゴニスト活性、およびわずかなアゴニスト作用を有した。体内所見は、概して、体外所見と一致した。したがって、「N−アリルジアステレオマー」ではなく、「N−メチルジアステレオマー」のみが、ラットにおいてモルヒネ誘導性便秘を抑制し、アンタゴニストとして作用した。著者は、調製物質は、Hおよび13C核磁気共鳴(NMR)分析により純粋に見えるが、これらの方法は、正確ではないと述べた。著者は、ナロルフィンの「N−メチルジアステレオマー」に対する(R)構成の配置に関する参照文献を挙げる。レバロルファンおよびナロキソンジアステレオマーに対して、配置は提案されない。これらのジアステレオマーに対する構成を推定することは、冒険的である(R.J.Kobylecki et al.,J.Med.Chem.25,1278−1280,1982)。
【0010】
Kobyleckiらは、1982,N−methylnalorphine:Definition of N−allyl conformation for antagonism at the opiate receptor,J.Med.Chem.25:1278−1280において、X線回折データに基づいて、ナロルフィン(N−メチルジアステレオマー)由来の活性ジアステレオマー、第四級窒素周囲のアリル基が、エクアトリアル構成を有することを報告している。Kobyleckiは、アキシアルN−置換基を有する異性体は、非常に高いアンタゴニスト活性を有するいくらかのアゴニスト活性(非常に低いが)を証明したが、(そのアゴニスト活性と)比較して、エクアトリアルN−置換基は、純粋なオピオイドアンタゴニスト活性を示したことを報告した。
【0011】
Iorioらは、Narcotic angonist/antagonist Properties of quaternary diasteromers Dderived from oxymorphone and naloxone,1984,Chim.Ther.19:301−303において、アゴニストとアンタゴニストの比と、N−置換方向との相関は、ジアステレオ異性体の第四級モルフィナニウム塩対する、Kobyleckiによって発見されたものと同じパターンに従う、すなわち、より大きい基を有する化合物は、対応するアキシアルジアステレオ異性体よりアンタゴニスト活性をエクアトリアル的に提示したことを示す。これらの著者は、すべての種類の活性、作動、拮抗、および混合活性が、受容体サブサイトとのエクアトリアルN−置換基の相互作用の異なる配座種類によってすべて説明され得ることを示唆する。彼らが形成した化合物の活性の比較は、直接的体外回腸収縮試験、およびマウスの脳に化合物を注入することによって体内で行われた。Ioriaらを参照して、FunkeおよびdeGraaf、A H and 13C nuclear magnetic resonance study of three quaternary salts of naloxone and oxymorphone,1986,J.Chem.Soc.Perkin Trans.II 735−738は、3つのN,N−ジアルキル−塩化モルフィナニウム誘導体(1つのN,N−ジアリル、および2つのN−アリル−N−メチル1ジアステレオ異性体)のHおよび13C n.m.r.データを報告する。
【0012】
Cooper(米国特許第US6,455,537号)は、四級化された薬剤は脳を通過しないため、脳への投与は適切ではないと主張し、Iorioの体内データの妥当性を疑う。静脈メチルナロルフィンを使用して多数の体内試験を行っているCooperは、(S)−異性体、またはR/S N−メチルナロルフィンの混合物と比較した場合、N−メチルナロルフィンの(R)−異性体は、吐き気、嘔吐、および運動失調等の、哺乳類におけるアヘン剤誘導性副作用を拮抗または予防するのに優れた治療を提供したことを見出した。
【0013】
Feinbergらは、The opiate receptor:A Model explaining structure−activity relationship of opiate agonists and antagonists,1976 Proc.Nat.Acad.Sci.USA 73:4215−4219にには、N−アリルおよびシクロプロピルメチル等の「アンタゴニスト置換基」の空間的位置が、オピオイド薬の薬理学的アンタゴニスト特性の「純度」を判断するという見解が述べられている。Feinbergらは、モルフィナン構造上の14−ヒドロキシル基は、ピペリジン環に関する限りでは、軸配座に対するエクアトリアル配座におけるアンタゴニスト置換基の比率の増加に役立ち、少なくともN−アリルおよびシクロプロピルメチルに対する、そのようなエクアトリアル配座は、「純粋な」拮抗を増加させるという理論を立てる。彼らは、アンタゴニスト活性を媒介する際、受容体の特定のアンタゴニスト結合部位は、N−アリルのπ−エレクトロン、またはアンタゴニスト薬効薬理に必要な、N−シクロプロピルメチルまたはN−シクロブチルメチル基に対する原子構成と相互に作用するため、アンタゴニスト受容体配座を安定させるという理論をさらに立てる。「純粋な」アンタゴニスト特性を確保するために、彼らは、受容体のアンタゴニスト結合部位へのアンタゴニスト置換基の接近は、ナロキソンまたはベンゾモルファンアンタゴニストにおいて見られる14−ヒドロキシルまたは9−β−メチル置換基によって容易に行われるはずであると示唆する。そのような置換基を伴わずに、彼らは、アゴニストおよびアンタゴニスト薬効薬理の各種の混合物を仮定する。
【0014】
そのような参考文献は、モルフィナン窒素上のある官能基に対する改善されたアンタゴニスト活性を示唆し得るが、このような基がエクアトリアル位にある場合、同時に、それらは、特に、骨格モルフィナン構造の環に関する限りは異なる飽和プロファイルを支持する化合物、荷電第四級窒素を有する化合物、およびモルフィナン骨格の3位および6位において異なる置換基対を有する化合物に対して、異なる置換基を有するモルフィナン化合物に対する単離(R)/(S)配座異性体またはアキシアル−エクアトリアル配座異性体のアゴニスト−アンタゴニスト活性を示唆しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6,455,537号
【特許文献2】米国特許第4,176,186号
【特許文献3】国際公開第WO2004/043964号
【特許文献4】米国特許第5,250,542号
【特許文献5】米国特許第5,434,171号
【特許文献6】米国特許第5,159,081号
【特許文献7】米国特許第5,270,328号
【特許文献8】米国特許第6,469,030号
【特許文献9】米国特許第4,730,048号
【特許文献10】米国特許第4,806,556号
【特許文献11】米国特許第3,723,440号
【特許文献12】米国特許第6,713,488号
【特許文献13】米国特許公開第2006/0014771号
【特許文献14】WO2004/043964
【特許文献15】米国特許第6,559,158号
【特許文献16】米国特許第10/821,809号
【特許文献17】特開平5−050863号
【特許文献18】特開平4−217924号
【特許文献19】特開平4−225922号
【特許文献20】米国特許第6,099,853号
【特許文献21】米国特許第4,999,342号
【特許文献22】米国特許第4,765,978号
【特許文献23】米国特許第4,837,214号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】The Vocabulary of Organic Chemistry,Orchin,et al.John Wiley and Sons,Inc.,page 126(1980)
【非特許文献2】Complete Proton and Carbon Nuclear Magnetic Resonance Spectral Assignments of Some Morphin−6−one Alkaloids by Two−Dimensional NMR Techniques
【非特許文献3】Quaternary Derivatives of Narcotic Antagoists:Sterochemical Requirements at the Chiral Nitrogen for In Vitro and In Vivo Activity,1983 Life Science 33(Sup I):415−418
【非特許文献4】R.J.Kobylecki et al.,J.Med.Chem.25,1278−1280,1982
【非特許文献5】1982,N−methylnalorphine:Definition of N−allyl conformation for antagonism at the opiate receptor,J.Med.Chem.25:1278−1280
【非特許文献6】Narcotic angonist/antagonist Properties of quaternary diasteromers Dderived from oxymorphone and naloxone,1984,Chim.Ther.19:301−303
【非特許文献7】1H and 13C nuclear magnetic resonance study of three quaternary salts of naloxone and oxymorphone,1986,J.Chem.Soc.Perkin Trans.II 735−738
【非特許文献8】The opiate receptor:A Model explaining structure−activity relationship of opiate agonists and antagonists,1976 Proc.Nat.Acad.Sci.USA 73:4215−4219
【非特許文献9】Longstreth,G.F.et al.,Gastroenterology Vol.130,No.5,2006
【非特許文献10】Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa
【非特許文献11】H.S.Sawhney,C.P.Pathak、およびJ.A.Hubellによる、Macromolecules,(1993)26:581−587
【非特許文献12】M.Saffran,et al.,Science,Vol.233:1081(1986)
【非特許文献13】J.Kopecek,et al.Pharmaceutical Research,9(12),1540−1545(1992)
【非特許文献14】K.H.Bauer et al.Pharmaceutical Research,10(10),S218(1993)
【非特許文献15】Pharmaceutical Dosage Forms:Tablet,eds.Lieberman et al.(New York:Marcel Dekker,Inc.,1989)
【非特許文献16】Ansel et al.Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery System,6th Ed.(Media,PA:Williams&Wilkin,1995)
【非特許文献17】emington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Edition(Easton、Pa.:Mack Publishing Co.,1995)
【非特許文献18】(Aungst,B.J.J Pharmaceutical Science Vol.89,Issue 4,pp.429−442,2000)
【非特許文献19】Shah,R.B.et al.,J Pharm.Sci Apr93(4):1070−82,2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本明細書に記載される実施形態において、高純度で形成され、対応する(S)−ジヒドロ−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体の特性化に対して、クロマトグラフィーにおけるそれらの相対保持時間の特性化を可能にする、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体が開示される。そのような類似体の単離ジアステレオマーは、窒素に付着した部分が、C−CアルキルまたはC−Cアルキルである場合、それらの対応するジアステレオマー混合物の活性と異なる活性を有することが明らかとなっている。
【0018】
本発明の実施形態において、実質的または高度に純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、実質的または高度に純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの結晶、またはその中間体、実質的または高度に純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を作製するための新規方法、対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体とその(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体とを含有する混合物における(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を分析、定量化、および単離するための方法、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムとその(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム対応物を区別するための方法、同じものを含有する薬品、およびこれらの物質の関連する使用方法が提供される。
【0019】
(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの塩も、提供される。(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを得るためのプロトコルも、提供される。加えて、驚くことに、本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、オピオイドアンタゴニスト活性を有することが発見されている。本発明は、これらの(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、の立体選択的合成のための合成経路、実質的に純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、実質的に純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの結晶、実質的に1つ以上の純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する医薬品、およびそれらの使用のための方法を提供する。
【0020】
本発明の一実施形態によると、99.5%より高い割合で存在する(R)構成(すなわち、窒素に対する)において7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含む組成物が提供される。別の実施形態においては、(R)−構成(窒素に対する)における7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、約99.6%、または約99.7%、または約99.8%、または約99.9%、または約99.95%、または99.95%より高い割合で組成物に存在する。一実施形態においては、本明細書に記載されるクロマトグラフ法を使用して、分析された組成物における検出可能な対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物は存在しない。組成物は、HPLCで検出される際、対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有しないことが好ましい場合がある。一実施形態においては、0.02%の検出限界および0.05%の定量限界においてHPLCで検出可能な対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは存在しない。さらに別の実施形態においては、本発明の組成物は、窒素に対する(R)−構成において、99.85%の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有し、HPLCで検出限界0.02%のおよび定量限界0.05%の対応立体異性体(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を含有する。
【0021】
本発明の一態様によると、組成物における少なくとも99.6%、99.7%、99.8%、99.85%、99.9%、およびさらに99.95%の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物は、窒素に対する(R)−構成にある、7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含む組成物が提供され、該組成物は、緩衝剤、キレート剤、保存剤、抗凍結剤、平滑剤、防腐剤、酸化防止剤、または結合剤のうちの1つ以上を含む。
【0022】
本発明の一態様によると、組成物が提供される。該組成物は、式Zの窒素に対する(R)構成の単離化合物であり、

式中、Xは、対イオンであり、R17およびR18は、Cahn、Ingold、Prelogの立体配置の帰属規則に準拠して、窒素の周囲の(R)構成をもたらすように選択される。Rは、ヒドロキシル保護基であり得る。そのヒドロキシル保護基は、任意の莫大なそのような基であり得る。実施形態において、それは、イソブチリル、2−メチルブチリル、t−ブチルカルボニル、シリルエーテル、2−テトラヒドロピラニルエーテル、および炭酸アルキルから成る基より選択される。一実施形態においては、ヒドロキシル保護基は、イソブチリルである。
【0023】
図に示すように、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは塩である。したがって、本出願では、両性イオンを含む、対イオンがある。より一般的には、対イオンは、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、またはアニオン荷電有機種であり得る。ハロゲン化物として、フッ化物、塩化物、ヨウ化物、および臭化物を含む。一部の実施形態においては、ハロゲン化物はヨウ化物であり、別の実施形態においては、ハロゲン化物は臭化物である。一部の実施形態においては、アニオン荷電種は、スルホン酸塩またはカルボン酸塩である。スルホン酸塩の例としては、メシラート、ベシラート、トシラート、およびトリフラートを含む。カルボン酸塩の例としては、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、およびフマル酸塩を含む。
【0024】
本発明の別の態様によると、一部の実施形態における、窒素に対する(R)−構成おいて含まれる前述の組成物は、7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの結晶、溶液、または臭化物塩である。別の実施形態においては、前述の組成物は、好ましくは、有効量の、医薬的に許容される担体を有する医薬品である。
【0025】
本発明の一態様によると、窒素に対する(R)−構成において7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの割合が少なくとも約99.5%、または約99.6%、または約99.7%、または約99.8%、または約99.9%、または99.95%以上の、特定の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの結晶が提供される。
【0026】
本発明の別の実施形態によると、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物は、単離形態で提供される。単離されるとは、少なくとも純度が50%であることを意味する。実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、(S)形に対して、75%の純度、90%の純度、95%の純度、98%の純度、およびさらに99%の純度、または99.5%で提供される。実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、結晶形態である。
【0027】
本発明の別の態様によると、組成物が提供される。組成物は、組成物に存在する7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムが、窒素に対する(R)構成において10%以上の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含む。より好ましくは、組成物に存在する7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、窒素に対する(R)構成において30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、およびさらに99.9%より高い割合である。一部の実施形態においては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される際、検出可能な対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物は存在しない。
【0028】
一部の実施形態においては、組成物は溶液であり、別の実施形態においては、油であり、また別の実施形態においては、クリームであり、さらに他の実施形態においては、固体または半固体である。一実施形態においては、組成物は結晶である。
【0029】
本発明の別の態様によると、医薬品が提供される。医薬品としては、医薬的に許容される担体における、上述の特定の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの組成物のうちのいずれかの1つを含む。医薬品は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの有効量を含有する。一部の実施形態においては、組成物において、検出可能な対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム構造はほとんど、または全く存在しない。存在する場合、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物の有効量が、被験体に投与されるような濃度である。一部の実施形態においては、医薬品は、7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム以外の治療薬をさらに含む。一実施形態においては、治療薬は、オピオイド、またはオピオイドアゴニストである。オピオイド、またはオピオイドアゴニストの例としては、アルフェンタニル、アニレリジン、アシマドリン、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、フェドトジン、フェンタニル、フナルトレキサミン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバロルファン、酢酸レボメタジル、レボルファノール、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メサドン、モルヒネ、モルヒネ−6−グルクロニド、ナルブフィン、ナロルフィン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トリメブチン、トラマドール、またはそれらの組み合わせがある。一部の実施形態においては、オピオイド、またはオピオイドアゴニストは、血液脳関門を容易に通過しないため、全身的に投与される場合(すなわち、「末梢に作用する」薬剤として周知の薬剤の分類)、中枢神経系(CNS)活性を実質的に有さない。一実施形態においては、末梢オピオイドアゴニストは、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムである。別の実施形態においては、治療薬は、オピオイド、オピオイドアゴニスト、またはオピオイドアンタゴニストではない。例えば、治療薬は、非オピオイド鎮痛剤/解熱剤、抗ウイルス薬、抗生物質製剤、抗真菌薬、抗菌剤、防腐剤、抗原虫剤、駆虫剤、抗炎症剤、血管収縮物質、局所麻酔薬、抗下痢薬、抗痛覚過敏剤、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0030】
別の実施形態においては、治療薬はオピオイドアンタゴニストである。オピオイドアンタゴニストとしては、末梢muオピオイドアンタゴニストを含む。末梢muオピオイドアンタゴニストの例としては、ノルオキシモルホンの第四級誘導体(Goldberg et al.,米国特許第US4,176,186号、およびCantrell et al.,国際公開第WO2004/043964号を参照)、米国特許第US5,250,542号、第US5,434,171号、第US5,159,081号、第US5,270,328号、および第US6,469,030号において記載されるピペリジンN−アルキルカルボン酸塩等、米国特許第US4,730,048号、第US4,806,556号、および第US6,469,030号において記載されるアヘンアルカロイド誘導体等、米国特許第US3,723,440号および第US6,469,030号において記載される第四級ベンゾモルファン化合物等を含む。
【0031】
本発明の一実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、ロペラミド、ロペラミド類似体、ロペラミドのN−オキシド、およびその類似体、代謝産物、およびプロドラッグ、ジフェノキシレート、シサプリド、制酸剤、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ポリカルボフィル、シメチコン、ヒヨスチアミン、アトロピン、フラゾリドン、ジフェノキシン、オクトレオチド、ランソプラゾール、カオリン、ペクチン、活性炭、スルファグアニジン、スクシニルスルファチアゾール、フタリルスルファチアゾール、アルミン酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、クエン酸ビスマス、二クエン酸ビスマス酸三カリウム、酒石酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマス、および次没食子酸ビスマス、アヘンチンキ(パレゴリック)、漢方薬、植物由来の抗下痢薬、またはそれらの組み合わせである抗下痢剤と併用される。
【0032】
別の実施形態によると、所望の3−O−保護−(R)−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩を産出するための、メチル化剤で3−O−保護された適切なモルフィナン化合物をメチル化するステップを含む、3−O−保護(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の立体選択的合成のための方法が提供される。ある実施形態における3−O−保護基のヒドロキシル保護基は、イソブチリル、2−メチルブチリル、t−ブチルカルボニル、シリルエーテル、2−テトラヒドロピラニルエーテル、およびアルキルである。3−O−保護(R)−化合物は、例えば、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、または有機アニオン荷電種であり得るアニオンを有する塩であり得る。ハロゲン化物は、臭化物、ヨウ化物、塩化物、またはフッ化物であり得る。有機アニオン荷電種は、例えば、スルホン酸塩またはカルボン酸塩であり得る。例示的スルホン酸塩は、メシラート、ベシラート、トシラート、またはトリフラートである。例示的カルボン酸塩は、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはフマル酸塩である。方法は、アニオンを異なるアニオンで交換するステップをさらに含むことができる。アルキル化剤は、求核攻撃の影響を受けやすいアルキル基、および離脱基であり得る。例示的メチル化剤は、ハロゲン化メチル、硫酸ジメチル、硝酸メチル、およびスルホン酸メチルから成る群から選択され得る。ハロゲン化メチルは、ヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチル、およびフッ化メチルである。スルホン酸メチル塩としては、メチルメシラート、メチルベシラート、メチルトシラート、およびメチルトリフラートを含む。一実施形態においては、アルキル化は、約70℃>〜約100℃、または80℃〜約90℃の温度範囲、または約88℃で行われる。アルキル化反応は、例えば、約1時間〜24時間、または約5時間〜16時間、または約10時間のかなり長期間に亙って行われ得る。方法は、クロマトグラフィーまたは再結晶化等の少なくとも1つの精製技術を使用する、3−O−保護(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の精製をさらに含むことができる。クロマトグラフィーは、逆相クロマトグラフィーまたは順相クロマトグラフィーであり得る。一部の実施形態においては、順相クロマトグラフィーは、アルミナまたはシリカゲルを使用することができる。3−O−保護中間体は、アルキル化の前に精製することができる。
【0033】
本発明の別の態様によると、粗(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムをクロマトグラフィーカラムに通過させるステップと、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム保持時間に溶出する(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを収集するステップからなる、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを単離および精製するための方法が提供される。この工程は、脱保護ステップおよび/またはアニオン交換樹脂カラムステップの後に、上述の方法に加えることができる。
【0034】
本発明の別の態様によると、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムと(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムとの混合物における(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを分析するための方法が提供される。その方法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行うステップと、標準として(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムをクロマトグラフィーカラムに適用するステップを含む。方法は、好ましくは、相対保持/溶離時間を決定するための基準として、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムと、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの両方を適用するステップを含む。(R)および(S)の相対保持時間は、本明細書に記載されている。
【0035】
一実施形態においては、クロマトグラフィーは、溶剤Aが水性溶剤、溶剤Bがメタノール溶剤であり、AとB両方ともトリフルオロ酢酸(TFA)を含有する、2つの溶剤を使用して行われる。Aは、0.1%水性TFAであり得、Bは、0.1%メタノールTFAである。実施形態においては、カラムは、結合後端キャップシリカを含む。実施形態においては、カラムゲルの細孔径は5ミクロンである。実施形態においては、カラム、流速、および勾配プログラムは以下の通りである。

勾配プログラム:

【0036】
検出は、便宜上、230nmの紫外線(UV)波長によって行うことができる。定量限界は、研究所、分析者、機器、または試薬のロット番号の変化に関わらず、常に測定および報告することができる(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの最低量である。検出限界は、検出できるが、厳密値として必ずしも定量する必要はない、サンプル中の(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの最低量である。
【0037】
前述のHPLCは、形成されたクロマトグラムにおける、(R)および(S)のそれぞれの濃度曲線下面積を決定することによって、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、およびその(S)立体異性体、ならびにその合成の中間体の相対量を決定するために使用することもできる。本発明の別の態様によると、溶剤または溶剤の混合物から、粗(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその中間体を再結晶するステップを含む、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、および3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体を単離および精製するのための方法が提供される。この工程は、脱保護ステップおよび/またはアニオン交換樹脂カラムステップの後に、上述の方法に加えることができる。
【0038】
本発明の医薬品は、それらに限定されないが、腸溶性の組成物、制御放出または持続放出製剤である組成物、溶液である組成物、局所製剤である組成物、坐薬である組成物、凍結乾燥された組成物、吸入器中にある組成物、鼻噴霧装置中にある組成物等を含む、多様な形態を呈することができる。組成物は、経口投与、非経口投与、粘膜投与、鼻投与、局所投与、眼への投与、限局投与等に対し得る。非経口の場合、投与は、皮下、静脈、皮内、腹腔内、くも膜下等であり得る。医薬品は、包装単位用量または複合的単位用量であり得る。
【0039】
本発明の一態様によると、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能な、その(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム対応物を有さない(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含むか、またはこの(S)対応物を有さない3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物が提供される。
【0040】
ある実施形態は、クロマトグラフィー、再結晶化、またはそれらの組み合わせによって、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの塩の精製を伴う。一実施形態においては、精製は複合的再結晶化による。
【0041】
本発明のさらに別の態様によると、凍結乾燥製剤における、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、または3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体を含有する医薬品は、マンニトール等の凍結防止剤と、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム製剤とを組み合わせることによって調製される。凍結乾燥標品は、緩衝剤、抗酸化物質、等張化剤、およびオピオイドのうちのいずれか、任意の組み合わせ、またはすべてを含有し得る。一実施形態においては、前述の医薬組成物は、オピオイドアンタゴニストではない1つの医薬品をさらに含むことができる。本発明の一実施形態においては、前述の医薬組成物は、医薬品を含むことができる。さらに別の実施形態においては、医薬組成物は、少なくとも1つのオピオイド、およびオピオイド、またはオピオイドアンタゴニストではない少なくとも1つの医薬品をさらに含むことができる。実施形態においては、オピオイド、またはオピオイドアンタゴニストではない医薬品は、アセトアミノフェン、抗ウイルス薬、抗感染症薬、抗癌剤、鎮痙剤、抗ムスカリン剤、ステロイド性または非ステロイド性抗炎症剤、機能調整薬、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、アルファ2−アドレナリンアゴニスト、鉱油、抗鬱剤、漢方薬、抗下痢薬、下剤、便軟化剤、繊維、または造血促進剤等の非オピオイド鎮痛剤/解熱剤である。
【0042】
本発明の医薬組成物は、キットで提供することができる。キットは、本発明の医薬品を含む密封容器、および取扱説明書を含有するパッケージである。キットは、HPLCで検出可能な(S)対応立体異性体を有さない(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する。一実施形態におけるキットは、40mg/mLの(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を含有する。別の実施形態におけるキットは、30mg/mLの(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を含有する。キットは、オピオイド、またはオピオイドアゴニストをさらに含み得るか、もしくはオピオイド、またはオピオイドアンタゴニストではない少なくとも1つの医薬品を含むことができる。一実施形態においては、キットは、3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩である医薬品を含む密封容器、および取扱説明書を含有するパッケージである。一実施形態におけるキットは、40mg/mLの3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩を含有する。別の実施形態におけるキットは、30mg/mLの3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩を含有する。キットは、オピオイド、またはオピオイドアゴニストをさらに含むことができるか、またはオピオイド、またはオピオイドアンタゴニストではない少なくとも1つの医薬品を含むことができる。
【0043】
本発明の別の態様によると、それらの(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体(オピオイドアゴニストである)を有さない、本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム(オピオイドアンタゴニストである)を確実に製造する方法が提供される。その方法は、アンタゴニスト活性を対象とした(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの医薬品が、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの活性に対抗する化合物で汚染されないことを、最初に保証する。オピオイドは、概して、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの活性に対抗するように、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムとともに全身的に作用すると思われるため、これは、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムがオピオイド療法の副作用に対抗するように投与される場合、特に望ましい。
【0044】
実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを製造するための方法が提供される。その方法は、(a)(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する第1の組成物を得るステップと、(b)第1の組成物を、クロマトグラフィー、再結晶化、またはそれらの組み合わせによって精製するステップと、(c)(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム対応立体異性体を標準として使用して、精製された第1の組成物のサンプルにHPLCを行うステップと、(d)サンプルにおける(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの有無を判断するステップと、を伴う。一実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムと、その対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体の両方とも、例えば、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムおよび(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの相対保持時間を決定するために、標準として使用される。一実施形態においては、精製は、複合的再結晶化ステップ、または複合的クロマトグラフィーステップである。別の実施形態においては、精製は、HPLCによって判断される(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムが、サンプルからなくなるまで行われる。しかしながら、本発明の一部の態様における精製された第1の組成物は、必ずしも検出可能な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有する必要がないことは明らかである。そのような(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの存在は、例えば、より純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムが望ましい場合、さらなる精製ステップを行うべきであることを示す場合がある。
【0045】
方法は、HPLCで検出可能な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有さない精製された第1の組成物を包装するステップをさらに含むことができる。その方法は、包装、精製された第1の組成物が、HPLCで検出可能な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有さないことを示す印しを、包装、精製された第1の組成物上または中に提供するステップをさらに含むことができる。その方法は、本明細書に記載される状態の人を治療するための医薬的有効量を包装するステップをさらに含むことができる。(R)−および(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する第1の組成物は、本明細書に記載される方法によって得ることができる。
【0046】
本発明の一態様によると、精製は、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムが、0.4%、0.3%、0.2%、0.15%、0.1%、0.05%未満、さらに、0.02%の検出限界および0.05%の定量限界において、HPLCによって判断されるように、精製された第1の組成物からなくなるまで行われる。一実施形態においては、その方法は、包装された第1の精製組成物における(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの濃度を示す印しを、包装、精製された第1の組成物上または中に提供する。
【0047】
本発明の一態様によると、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する組成物、および組成物における対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの濃度を示す、包装物上または中に含有される、印しを含有する包装物が提供される。一実施形態においては、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの濃度は、0.4%、0.3%、0.2%、0.15%、0.1%、0.05%未満であるか、またはサンプルからなくなる。さらに別の実施形態においては、包装物は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムと混合して、緩衝剤、キレート剤、保存剤、抗凍結剤、平滑剤、防腐剤、酸化防止剤、または結合剤のうちの1つ以上をさらに含有する。
【0048】
本発明の一態様によると、組成物は、0.4%、0.3%、0.2%、0.15%、0.1%、0.05%未満、または組成物からなくなる濃度で(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有するため、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの組成物を選択し、患者への投与のための単位用量または複合的単位用量に組成物を処方することによって、薬品を製剤化するための方法が提供される。
【0049】
本発明の別の態様によると、包装生成物が提供される。包装物は、組成物が、HPLCで検出可能な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム対応立体異性体を有さない、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含む組成物、および組成物が、HPLCで検出可能な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有さないことを示す、包装物上または中に含有される、印しを含有する。組成物は、それらに限定されないが、室内実験の使用のための標準、プロトコル作成における使用のための標準、または医薬組成物を含む、多様な形態を呈することができる。組成物が、医薬組成物である場合、印しの一形態は、医薬品の特徴を記載するラベルまたは添付文書での記載である。印しは、組成物が、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有さないことを直接示すことができるか、または例えば、組成物が、より純粋または100%特定の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムであることを記載することによって、同内容を間接的に示すことができる。医薬組成物は、本明細書に記載される任意の症状を治療するためのものとなり得る。医薬組成物は、純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの有効量を含有することができ、それらに限定されないが、溶液、固体、半固体、腸溶性物質等を服務、この概要において特に挙げられるように、下記に記載される任意の形態を取ることができる。
【0050】
実施形態によると、オピオイド誘導性副作用を治療するために効果的な量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能な(S)−立体異性体を有さない本発明の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの生理的濃度、または本発明の任意の前述の態様の3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間組成物を患者に投与するステップを含む、オピオイド誘導性副作用を治療または予防するための方法が提供される。生理的濃度において、本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、活性が少しでもある場合、アゴニスト活性を有するオピオイドアンタゴニスト活性を有することが明らかとなっている。
【0051】
本発明の一実施形態においては、患者に、長期間オピオイドが投与される。別の実施形態においては、患者に、急性的にオピオイドが投与される。オピオイド誘導性副作用は、好ましくは、便秘、免疫抑制、胃腸運動の抑制、胃内容排出の抑制、吐き気、嘔吐、残便、膨満、腹部膨満、胃食道逆流の増加、低血圧、徐脈、胃腸障害、掻痒、不快感、および尿貯留から成る群より選択される。一実施形態においては、オピオイド誘導性副作用は、便秘である。別の実施形態においては、オピオイド誘導性副作用は、胃腸運動の抑制、または胃内容排出の抑制である。さらに別の実施形態においては、オピオイド誘導性副作用は、吐き気、または嘔吐である。さらに別の実施形態においては、オピオイド誘導性副作用は、掻痒である。さらに別の実施形態においては、オピオイド誘導性副作用は、不快感である。さらに別の実施形態においては、オピオイド誘導性副作用は、尿貯留である。
【0052】
実施形態によると、胃腸運動、胃内容排出、または便秘の軽減を促進するために効果的な量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能な、その(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体を有さない(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム(または3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体)組成物を、患者に投与するステップを含む、手術による疼痛に対してオピオイドを受ける患者を治療するための方法が提供される。
【0053】
本発明の別の態様によると、有効量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能な(S)−対応立体異性体を有さない(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、または3−O−保護中間体−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の組成物を、患者に投与するステップを含む、便通を必要とする患者における便通を誘導するための方法が提供される。
【0054】
本発明のさらに別の態様によると、有効量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能な対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有さない、本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム(または3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体)組成物を、患者に投与するステップを含む、そのような予防/治療を必要とする患者における宿便を予防および/または治療するための方法が提供される。
【0055】
本発明のさらに別の態様によると、有効量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能な、その(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体対応物を有さない、本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム組成物(または3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体)を、患者に投与するステップを含む、そのような予防/治療を必要とする患者における、手術、特に、腹部手術に続く、術後大腸機能障害を予防および/または治療をするための方法が提供される。
【0056】
本発明の一態様によると、内因性オピオイド誘導性胃腸障害を治療するために効果的な量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法による検出によって判断されるように、その(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体を有さない、本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体を、患者に投与するステップを含む、内因性オピオイド誘導性機能障害を治療または予防するための方法が提供される。機能障害は、胃腸障害、肥満、高血圧、および依存症から成る群より選択することができる。胃腸障害は、胃腸運動の抑制、便秘、およびイレウスから成る群より選択することができる。本発明の一部の実施形態においては、イレウスは、術後イレウス、分娩後イレウス、麻痺性イレウスから成る群より選択される。
【0057】
本発明の一態様によると、特発性便秘を予防または治療するために効果的な量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有さない(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム組成物、または3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体を、患者に投与するステップを含む、特発性便秘を予防または治療するための方法が提供される。
【0058】
本発明のさらに別の態様によると、過敏性腸症候群の少なくとも1つの症状を改善するために効果的な量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有さない(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム組成物(またはその3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体)を、患者に投与するステップを含む、過敏性腸症候群を治療するための方法が提供される。本発明の一部の実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム組成物、または3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の組成物は、少なくとも1つの過敏性腸症候群の治療薬をさらに含む。過敏性腸症候群の治療薬は、鎮痙剤、抗ムスカリン剤、抗炎症剤、機能調整薬、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、アルファ2−アドレナリンアゴニスト、鉱油、抗鬱剤、漢方薬、抗下痢薬、およびそれらの組み合わせから成る群より選択することができる。
【0059】
本発明の化合物は、単独および/または別の薬物(限定されないが、メチルナルトレキソン、および別のオピオイド化合物を含む)と併用して投与する場合、内皮細胞増殖の減少、望ましくない血管形成(特に、癌患者、および糖尿病、鎌状赤血球貧血、血管創傷、望ましくない目の新血管形成、増殖網膜症)の予防、内皮細胞におけるVEGF活性の抑制、内皮細胞におけるRho Aおよび活性化の抑制の際に使用することもできる。そのような化合物は、不快感、掻痒感、尿貯留、吐き気、嘔吐、オピオイド誘導性免疫抑制を含む(限定されないが)、上記のオピオイド副作用を減少させるためにさらに使用することができる。
【0060】
本発明の一態様によると、肥満を改善するために効果的な量の、本明細書に記載されるクロマトグラフィー法によって検出可能なエクアトリアルN−オキシド立体異性体を有さないアキシアルN−オキシド−4,5−エポキシ−モルフィナニウム組成物(またはその3−O−保護エクアトリアルN−オキシド−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の中間体)を、患者に投与するステップを含む、肥満を治療するための方法が提供される。本発明の一部の実施形態においては、アキシアルN−オキシド−4,5−エポキシ−モルフィナニウム組成物、または3−O−保護アキシアルN−オキシド−4,5−エポキシ−モルフィナニウム組成物は、抗肥満薬等の少なくとも1つの肥満治療薬をさらに含む。抗肥満薬として、限定されないが、オーリスタット、シブトラミン、メトホルミン、バイエッタ、シムリン、リモナバント、ピルビン酸塩、およびフェニルプロパノールアミンを含む。
本発明の一態様によると、それらに限定されないが、静脈、筋肉内、および皮下投与を含む、本発明の化合物および組成物の非経口投与に対する方法が提供される。本発明の一実施形態においては、本発明の化合物は、予め薬品を充填したシリンジ、予め薬品を充填したペン型注入器、ペン型注入器における使用に対するカートリッジ、再利用可能シリンジまたは別の医療用注入器、液体乾式注入器、無針ペン型システム、シレット、自己注入器、または別の自己調節注入装置における使用に適切な医薬品の中にある。
【0061】
本発明のこれら、および別の態様が、本明細書に、より詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態における、7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの可能な構造の1つを提供する図である。
【図2】(S)−17−アリル−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−6−ヨウ化オキソモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルを提供する図である。
【図3】(R)−17−アリル−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−6−ヨウ化オキソモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルを提供する図である。
【図4】(R)−17−シクロブチルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化オキソモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルを提供する図である。
【図5】(R)−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化メチレンモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルを提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物の立体選択的合成に対する合成経路、実質的に純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物、実質的に純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物の結晶、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を分析するための方法、実質的に純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を含有する医薬品、およびそれらの使用方法を提供する。
【0064】
本発明の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、式Zの構造を含み、

式Z中、Xは、対イオンであり、R17およびR18は、Cahn、Ingold、Prelogの立体配置の帰属規則に準拠して、窒素の周囲の(R)構成をもたらすように選択され、R18およびR17は、C−Cアルキル、またはC−Cアルキルである。Rは、ヒドロキシル保護基であり得る。対イオンは、両性イオンを含む、任意の対イオンであり得る。好ましくは、対イオンは、医薬的に許容される。対イオンとしては、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、およびアニオン荷電有機種を含む。ハロゲン化物は、ヨウ化物、臭化物、塩化物、フッ化物、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態においては、ハロゲン化物は、ヨウ化物である。一実施形態においては、ハロゲン化物は、臭化物である。アニオン荷電有機種は、スルホン酸塩またはカルボン酸塩であり得る。
【0065】


式Iの(R)−N−構成化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態が含まれる。
式I中、
およびRは、独立してH、OH、OR26、ハロゲン化物、シリル;ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはその置換された部分であるか、またはRおよびRは結合して、R19、ベンゾ縮合環、または5〜6員ヘテロアリール縮合環に従って置換され得るC−C炭素環縮合環を形成することもでき、
は、H、シリルである、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
−Cアシルであり、
は、H、OH、OR26である、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリールであり、
は、H、=O、OH、OR26である、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
アミン、アミド、スルホンアミド、またはエステルであり、
およびRは、独立してH、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはその置換された部分であるか、またはRおよびRは結合して、R19、ベンゾ縮合環、または5〜6員ヘテロアリール縮合環に従って置換され得る炭素環縮合環を形成し、
14は、H、OH、OR26、NR2223、SR25、S(=O)R25、SO25である、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;アリールオキシ、アシルオキシであるか、
14は、第四級窒素に対するその構成によって、R17またはR18と結合して、O−縮合環、またはC−C炭素環縮合環を形成することができ、
17およびR18は、R18がメチルである場合、R17はアリルではない、置換され得るC−Cヒドロカルビルであり、
19は、各発生時に、
H、C−Cアルキル、CF、OR24、Cl、F、Br、I、=O、CN、NO、NR2223
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環であって、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員ヘテロ環、
より独立して選択され、
20は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、アセチル、
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択され、
21は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、CF、アセチル、
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択されるか、または
NR2223は、ピペリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、およびモルホリニルの群より選択される複素環であってもよく
22は、各発生時に、H、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
23は、各発生時に、
H、(C−C)アルキル、
(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)
より独立して選択され、
24は、各発生時に、H、フェニル、ベンジル、(C−C)アルキル、および(C−C)アルコキシアルキルより独立して選択され、
25は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、
26は、各発生時に、
H、C−Cアルキル、CF
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環であって、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員ヘテロ環、
より独立して選択され、
は、アニオンである。
【0066】
特定の基は、選択的に選択され得る。例えば、一実施形態においては、R14は、OHまたはO−アルキルとなるように選択され得る。
【0067】

式Iaの単離(R)−立体異性体が、本明細書の実施形態に含まれる。
式Ia中、
17およびR18は、(a)または(b)より、代替的に互いに対して選択され、
(a)非置換または非ハロゲン置換:C−C(シクロアルキル)アルキルまたは(シクロアルケニル)アルキル、(シクロヘテリル)アルキル、(シクロアリール)アルキル;C−C(シクロアルキル)アルキルまたは(シクロアルケニル)アルキル、(シクロヘテリル)アルキル、(シクロアリール)アルキル、
(b)置換または非置換直線または分岐C−Cアルキル、C−Cアルケニル、またはC–アルキニルであって、
(b)がメチルとして選択され、Rが=Oとして選択される場合、(a)は、非置換(シクロプロピル)メチルではなく、
は、H、OH、=O、=CH、−N(CH、または任意の環状環であるか、またはRとともに環状環を形成し、
およびRは、Hまたはアルキルであり、
14は、H、OH、ハロゲン化物、アリールアミド、アミノ、N−アルキル、N−ジアルキル、N−アリール、N−アルキルアリール、N−シクロアルキルアルキル、SCH、S(=O)CH、S(=O)CH、アルコキシ、アリールオキシ、またはアリール−アルコキシであるか、R17またはR18とともに環状環を形成し、
およびRは、独立してH、ハロゲン化物、アルコキシ、アルキル、またはアリールであり、
は、H、C−Cアルキル、またはC−Cアシル、−シリルであり、
は、H、OH、アルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
X−は、アニオンである。
【0068】

式Ibの(R)−立体異性体が、本明細書の実施形態に含まれる。
式Ib中、
17およびR18は、置換または非置換C−Cヒドロカルビルであり、Rが=Oとして選択される場合、そのうちの少なくとも1つは、他方がシクロプロピルメチルである場合、メチルではなく、
は、H、OH、OR25、=O、=CH、−N−アルキル、N−ジアルキル、アシルオキシ、アルコキシ、アルキル、=CR′R′′であり、R′およびR′′は、独立してHまたはC−C10アルキル、または任意の環であるか、またはRは、Rとともに環を形成し、
およびRは、Hまたはヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、アルコキシ、アミン、アミド、ヒドロキシ、またはその置換された部分であり、
14は、H、OH、ハロゲン化物、N−アルキル、N−ジアルキル、N−アリール、N−アルキルアリール、N−シクロアルキルアルキル、SR25、S(=O)R25、SO25;アルコキシ、アリールオキシ、またはアリールアルコキシであるか、またはR17またはR18とともに環を形成し、
およびRは、独立してH、ハロゲン化物、アルコキシ、アルキル、またはアリールであり、
は、H、アルキル、C−Cアシル、シリルであり、
は、H、OH、アルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
25は、アルキル、アリール、アリールアルキルであり、
X−は、アニオンである。
【0069】

式I(c)の窒素に対して(R)構成の単離化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
式I(c)中、
およびRは、独立してH、OH、OR26、ハロゲン化物、シリル;ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはその置換された部分であるか、
またはRおよびRは結合して、R19、ベンゾ縮合環、または5〜6員ヘテロアリール縮合環に従って置換され得るC−C炭素環縮合環を形成することもでき、
は、H、シリル、CO19、SO19、B(OR26である、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
C1−C3アシルであり、
は、H、OH、OR26である、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリールであり、
は、H、=O、OH、OR26、=(R19)(R19′)、=(0−3R20で置換されるヘテロ環)、=(0−3R20で置換されるC−C環)である、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
アミン、アミド、スルホンアミド、またはエステルであり、
およびRは、独立してH、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、もしくはその置換された部分、または

(式中、Xは、結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19′′)、COOである)であるか、
またはRおよびRは結合して、R19、ベンゾ縮合環、0−3R20を有する5、6、または5〜6員アリールまたはヘテロアリールに従って置換され得る炭素環縮合環を形成し、
14は、H、OH、OR26、NR2223SR25、S(=O)R25、SO25、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、

(式中、Xは、結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19′′)、COOである)、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;アリールオキシ、アシルオキシ、
または、R14は、第四級窒素に対するその構成によって、R18と結合して、O−縮合環、またはC−C炭素環縮合環を形成することができ、
17およびR18は、R18がメチルである場合、R17は、アリル、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキルではない、置換され得るC−Cヒドロカルビル、

(式中、Xは、結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19′′)、COOである)であり、
19は、各発生時に、H、C−Cアルキル、CF、OR24、Cl、F、Br、I、=O、CN、NO、NR2223、0−3R20で置換されるアリール;
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環であって、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員ヘテロ環、
より独立して選択され、
20は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、アセチル、OR25、XR25
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択され、
21は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、CF、アセチル、OR25、XR52
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択されるか、または
NR2223は、ピペリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、およびモルホリニルの群より選択される複素環であってもよく、
22は、各発生時に、H、C−Cアルキル、C−C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルアリール、およびアリールアルキル;
(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
23は、各発生時に、H、(C−C)アルキル、C−C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルアリール、ハロアルキル、アリールアルキル、(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
24は、各発生時に、H、フェニル、ベンジル、(C−C)アルキル、および(C−C)アルコキシアルキルより独立して選択され、
25は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、
26は、各発生時に、
H、(C−C)アルキル、CF
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環であって、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員ヘテロ環、
より独立して選択され、
X−は、アニオンである。
【0070】
付加的または代替の詳細、特色および/または技術背景の教示に適切である、参照することにより本明細書に組み込まれる、Sadeeらに与えられた米国特許第US6,713,488号、および米国特許公開第US2006/0014771号に開示される化合物の(R)−異性体も、本発明に含まれる。出願者は、これらの参考文献に開示された化合物の(R)および(S)立体異性体に対して見られる異なる薬理作用の参考文献のいずれにおける教示を区別しない。
【0071】
本発明は、シクロプロピルメチルが、部分(Q)で置換され、(Q)は、炭化水素、もしくは窒素、酸素、シリコーン、リン、ホウ素、硫黄、またはハロゲン等の1つ以上の原子と置換または非置換される、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリールを含む、炭素および水素から独占的に成る1〜20の炭素ヒドロカルビルである、ノルオキシモルホンの(R)−第四級誘導体を包含することを目的とする(PCT公開第WO2004/043964に記載される)。実施形態においては、(Q)は、アリル、クロロアリル、またはプロパルギルである。別の実施形態においては、ヒドロカルビルは、4〜10個の炭素を含有する。
【0072】
単独または「アシルアミノ」等の用語内で使用される「アシル」という用語は、有機酸からヒドロキシルを除去した後の残基によって提供されるラジカルを意味する。「アシルアミノ」という用語は、アシル基で置換されるアミンラジカルを包含する。「アシルアミノ」ラジカルの例は、アセチルアミン(CHC(=O)−−NH−−)である。「アリールオキシ」という用語は、ヒドロキシ置換アリール部分(例えば、フェノール)からヒドリドを除去した後の残基によって提供されるラジカルを意味する。
【0073】
本明細書で使用される「アルカノイル」は、−C(=O)−アルキル基に言及し、アルキルは、既定の通りである。例示的なアルカノイル基として、アセチル(エタノイル)、n−プロパノイル、n−ブタノイル、2−メチルプロパノイル、n−ペンタノイル、2−メチルブタノイル、3−メチルブタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘプタノイル、デカノイル、およびパルミトイルを含む。
【0074】
「アルケニル」という用語は、長さ、および可能な置換において、上述のアルキルと類似するが、少なくとも1つの二重結合を含有し、少なくとも2個の炭素原子を含有しなければならない不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルケニル」という用語は、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、等)、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環状)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニル置換シクロアルケニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基を含む。本明細書の「低級アルキレン」という用語は、約1〜約6個の炭素原子を有するそれらのアルキレン基を指す。「アルケニル」という用語は、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルケニル部分を指す。そのような置換基は、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸塩、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、あるいは芳香族またはヘテロ芳香族部分を含むことができる。
【0075】
「アルケニレン」は、概して、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有するアルキレン基を指す。例示的なアルケニレン基として、例えば、エテニレン(−CH=CH−)、およびプロペニレン(−CH=CHCH−)を含む。アルケニレン基は、2〜約4個の炭素を有する。
【0076】
「アルコキシ」および「アルコキシアルキル」という用語は、メトキシラジカル等の、それぞれ1〜約10個の炭素原子のアルキル部を有する直線または分岐オキシ含有ラジカルを包含する。「アルコキシアルキル」という用語も、すなわち、モノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキルラジカルを形成するように、アルキルラジカルに付着する2つ以上のアルコキシラジカルを有するアルキルラジカルを包含する。「アルコキシ」または「アルコキシアルキル」ラジカルは、「ハロアルコキシ」または「ハロアルコキシアルキル」ラジカルを提供するためのフルオロクロロまたはブロモ等の、1つ以上のハロ原子でさらに置換され得る。「アルコキシ」ラジカルの例として、メトキシブトキシおよびトリフルオロメトキシを含む。
【0077】
「アルキル」は、概して、鎖に1〜約10個の炭素原子、例えば、4〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、分岐シクロアルキルアルキル、分岐アルキルシクロアルキル等、その範囲のすべての組み合わせ、および副次的組み合わせを有する直線、分岐、または環状であり得る脂肪族炭化水素基を指す。「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、後者は、骨格の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を指す。「低級アルキル」は、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。アルキル基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、3−メチルペンチル、2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチル、シクロプロピルメチル、およびシクロブチルメチルを含む。アルキル置換基として、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸塩、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、あるいは芳香族またはヘテロ芳香族部分を含むことができる。「アラルキル」という用語は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェネチル、フェニルプロピル、およびジフェネチル等のアリール置換アルキルラジカルを包含する。ベンジルおよびフェニルメチルという用語は、同義である。「n−アルキル」という用語は、直線鎖(すなわち、分岐)非置換アルキル基を意味する。「分岐」は、メチル、エチル、またはプロピル等の低級アルキル基が、直線アルキル鎖に付着する、アルキル基を指す。
【0078】
「アルキル化剤」は、通常アルキル基を出発物質に共有結合させる出発物質と反応することができる化合物である。アルキル化剤は、出発物質への付着時に、アルキル基から分離される離脱基を通常含む。離脱基は、例えば、ハロゲン、ハロゲン化スルホン酸塩、またはハロゲン化アセテートであり得る。アルキル化剤の例は、ヨウ化シクロプロピルメチルである。
【0079】
「アルキルシリル」という用語は、アルキル基で置換されるシリルラジカルを意味する。「アルキルシリルオキシ」という用語は、アルキル基で置換されるシリルオキシラジカル(−−O−−Si−−)を意味する。「アルキルシリルオキシ」ラジカルの例は、−−O−−Si−t−BuMeである。
【0080】
「アルキルスルフィニル」という用語は、二価−−S(=O)−−原子に付着する、1〜10個の炭素原子の直線または分岐アルキルラジカルを含有するラジカルを包含する。「アリールスルフィニル」という用語は、二価−−S(=O)−−原子(例えば、−−S=OAr)に付着するアリールラジカルを包含する。
【0081】
「アルキルチオ」という用語は、二価硫黄原子に付着する、1〜10個の炭素原子の直線または分岐アルキルラジカルを含有するラジカルを包含する。「アリールスルフェニル」という用語は、二価硫黄原子(−−SAr)に付着するアリールラジカルを包含する。「アルキルチオ」の例は、メチルチオ(CH−−(S)−−)である。
【0082】
「アルキニル」という用語は、長さ、および可能な置換において、上述のアルキルと類似するが、少なくとも1個の三重結合および2個の炭素原子を含有する不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルキニル」という用語は、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等)、分枝鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基を含む。
【0083】
「アミド」という用語は、単独で、または「アミドアルキル」、「N−モノアルキルアミド」、「N−モノアリールアミド」、「N,N−ジアルキルアミド」、「N−アルキル−N−アリールアミド」、「N−アルキル−N−ヒドロキシアミド」、および「N−アルキル−N−ヒドロキシアミドアルキル」等の他の用語とともに使用される場合、アミノラジカルで置換されるカルボニルラジカルを包含する。「N−アルキルアミド」および「N,N−ジアルキルアミド」という用語は、それぞれ、1つのアルキルラジカル、および2つのアルキルラジカルで置換されたアミド基を意味する。「N−モノアリールアミド」および「N−アルキル−N−アリールアミド」という用語は、それぞれ、1つのアリールラジカル、および1つのアルキル、および1つのアリールラジカルで置換されるアミドラジカルを意味する。「N−アルキル−N−ヒドロキシアミド」という用語は、ヒドロキシルラジカルおよびアルキルラジカルで置換されるアミドラジカルを包含する。「N−アルキル−N−ヒドロキシアミドアルキル」という用語は、N−アルキル−N−ヒドロキシアミドラジカルで置換されるアルキルラジカルを包含する。「アミドアルキル」という用語は、アミドラジカルで置換されるアルキルラジカルを包含する。
【0084】
「アミノアルキル」という用語は、アミンラジカルで置換されるアルキルラジカルを包含する。「アルキルアミノアルキル」という用語は、アルキルラジカルで置換される、窒素原子を有するアミノアルキルラジカルを包含する。「アミジノ」という用語は、−−C(=NH)−−NHラジカルを意味する。「シアノアミジノ」という用語は、−−C(=N−−CN)−−NHラジカルを意味する。
【0085】
単独または組み合わせて、「アリール」は、1個、2個、または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、そのような環は、ペンダント状に互いに付着するか、縮合され得る。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン、およびビフェニル等の芳香族ラジカルを包含する。
【0086】
「アリール置換アルキル」は、概して、任意に置換されたアリール基、好ましくは、任意に置換されたフェニル環で炭素において置換される直線アルキル基、好ましくは、低級アルキル基を指す。例示的なアリール置換アルキル基として、例えば、フェニルメチル、フェニルエチル、および3−(4−メチルフェニル)プロピルを含む。
【0087】
「炭素環」という用語は、いずれも飽和、部分的不飽和、または芳香族であり得る、任意の安定した3〜7員単環または二環、または7〜13員二環または三環を意味することを目的とする。そのような炭素環の例として、それらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、またはテトラヒドロナフチル(テトラリン)を含む。好ましい「炭素環」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含む。
【0088】
「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル等の、3〜10個の炭素原子を有するラジカルを包含する。
【0089】
「シクロアルキル置換アルキル」は、概して、シクロアルキル基、好ましくは、C3−C8シクロアルキル基で、炭素鎖末端において置換される直線アルキル基、好ましくは、低級アルキル基を指す。典型的なシクロアルキル置換アルキル基として、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロプロピルメチル等を含む。
【0090】
「シクロアルケニル」は、概して、約4〜約10個の炭素、およびその範囲のすべての組み合わせ、および副次的組み合わせを有するオレフィン系不飽和シクロアルキル基を指す。一部の実施形態においては、シクロアルケニル基は、C5−C8シクロアルケニル基、すなわち、約5〜約8個の炭素を有するシクロアルケニル基である。
【0091】
「双極性非プロトン性」溶剤は、不安定水素原子を提供することができず、永久双極子モーメントを呈するプロトン受容溶剤である。例として、アセトン、エチルアセテート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN−メチルピロリドンを含む。
【0092】
「双極性プロトン性」溶剤は、不安定水素原子を提供でき、永久双極子モーメントを呈するものである。例として、水、2−プロパノール、エタノール、メタノール等のアルコール、ギ酸、酢酸、およびプロピオン酸等のカルボン酸を含む。
【0093】
本明細書で使用される「実質的に通過しない」という語句は、本方法において使用される化合物の約20重量%未満が、血液脳関門を通過する、好ましくは、約15重量%未満、より好ましくは、約10重量%未満、さらにより好ましくは、約5重量%未満、および最も好ましくは、化合物の0重量%が、血液脳関門を通過するという意味である。
【0094】
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子等のハロゲンを意味する。「ハロアルキル」という用語は、任意の1個以上のアルキル炭素原子が、上述で定義されるようなハロで置換される、ラジカルを包含する。特に、モノハロアルキル、ジハロアルキル、およびポリハロアルキルラジカルが包含される。一例として、モノハロアルキルラジカルは、ラジカル内でブロモ、クロロ、またはフルオロ原子のいずれかを有し得る。ジハロラジカルは、2つ以上の同じハロ原子、または異なるハロラジカルの組み合わせを有し得、ポリハロアルキルラジカルは、3つ以上の同じハロ原子、または異なるハロラジカルの組み合わせを有し得る。
【0095】
本明細書で使用される「ヘテロ環」または「複素環」は、飽和、部分的不飽和、または不飽和(芳香族)であり、炭素原子、およびN、O、およびSから成り、任意の上述の複素環がベンゼン環と縮合される、任意の二環基を含む基より独立して選択される1個、2個、3個、または4個のヘテロ原子から成る、安定した5〜7員単環または二環、あるいは7〜14員二環複素環を意味することを目的とする。飽和ヘテロ環状ラジカルの例は、ピロリジルおよびモルホリニルを含む。
【0096】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、いずれか1つが、1つ以上のヒドロキシルラジカルで置換され得る1〜約10個の炭素原子を有する直線または分岐アルキルラジカルを包含する。
【0097】
「ヒドリド」という用語は、単一水素原子(H)を意味する。このヒドリドラジカルは、例えば、ヒドロキシルラジカルを形成する酸素原子に付着され得、2つのヒドリドラジカルは、メチレン(−−CH−−)ラジカルを形成する炭素原子に付着され得る。
【0098】
「N−アルキルアミノ」および「N,N−ジアルキルアミノ」という用語は、それぞれ、1つのアルキルラジカルおよび2つのアルキルラジカルで置換されたアミン基を意味する。
【0099】
本明細書で使用される「N−酸化物」は、ヘテロ芳香族環または第三級アミンのいずれかの塩基窒素原子が、陽性形式電荷を有する第四級窒素、および陰性形式電荷を有する付着した酸素原子を与えるために酸化する、化合物を指す。
【0100】
「有機溶剤」は、当業者にとって、その共通の一般的な意味を有する。本発明において有用な例示的な有機溶剤として、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン、アセトン、ヘキサン、エーテル、クロロホルム、酢酸、アセトニトリル、クロロホルム、シクロヘキサン、メタノール、およびトルエンを含む。無水有機溶剤は、含まれる。
【0101】
本明細書で使用される「患者」は、哺乳類、好ましくはヒトを含む、動物を指す。
【0102】
本明細書で使用される「末梢」または「末梢作用性」は、中枢神経系の外部で作用する薬剤を指す。本明細書で使用される「中枢作用性」は、中枢神経系(CNS)内で作用する薬剤を指す。「末梢」は、化合物が、主に、生理系、および中枢神経系の外部の成分に作用することを意味する。本明細書で使用される「実質的に中枢神経系活性がない」という語句は、本方法において使用される化合物の薬理活性の約20%未満が、中枢神経系において呈され、本方法において使用される化合物の薬理活性の、好ましくは、約15%未満、より好ましくは、約10%未満、さらにより好ましくは、約5%未満、および最も好ましくは、0%が、中枢神経系において呈されることを意味する。
【0103】
本明細書で使用される「プロドラッグ」は、所望の活性に対して、それ自体は、通常不活性または最小限に活性であるが、生体内変化により生物活性代謝物へ変換される活性種の、所望の反応部位に到達する量を最大限にするよう特別に設計される化合物を指す。
【0104】
本明細書で使用される「医薬的に許容される」は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または妥当な利益/リスク率に相応する他の問題となる合併症なしで、ヒトおよび動物の組織との接触に適切なそれらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。本明細書で使用される「医薬的に許容される塩」は、親化合物が、その酸性または塩基性塩を作成することによって改変される、開示された化合物の誘導体を指す。医薬的に許容される塩の例として、これらに限定されないが、アミン等の塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリまたは有機塩を含む。医薬的に許容される塩として、従来の非毒性塩、または例えば、非毒性無機または有機酸から形成される親化合物の第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の非毒性塩として、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸由来のもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等の有機酸から調製される塩を含む。これらの生理的に許容される塩は、例えば、含水アルコール中の過剰の酸で遊離アミン塩基を溶解するか、または水酸化物等のアルカリ金属塩基、またはアミンで遊離カルボン酸を中和することによる、当技術分野で周知の方法によって調製される。本発明の特定の酸性または塩基性化合物は、両性イオンとして存在し得る。遊離酸、遊離塩基、および両性イオンを含む、すべての形の化合物は、本発明の範囲内であることを意図する。アミノおよびカルボキシル基の両方を含有する化合物は、しばしば、それらの両性イオン型と均衡状態で存在することが、当技術分野で周知である。本明細書を通して記載される、例えば、アミノおよびカルボキシル基の両方を含有する任意の化合物は、それらの対応する両性イオンへの言及も含む。
【0105】
本明細書で使用される「副作用」は、薬剤の投与によって利益がもたらされることを目指した結果以外の、特に組織または器官系に対する薬物によって生じる悪影響として、薬剤または対策が使用された結果以外の結果を指す。
【0106】
本明細書で使用される「立体異性体」は、同一の化学構成を有するが、間隙を介して原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
【0107】
「スルファミル」または「スルホンアミジル」という用語は、単独、または「N−アルキルスルファミル」、「N−アリールスルファミル」、「N,N−ジアルキルスルファミル」、および「N−アルキル−N−アリールスルファミル」等の用語とともに使用される場合、アミンラジカルで置換され、スルホンアミド(−−SONH)を形成するスルホニルラジカルを意味する。「N−アルキルスルファミル」および「N,N−ジアルキルスルファミル」という用語は、それぞれ、1つのアルキルラジカル、シクロアルキル環、または2つのアルキルラジカルで置換されるスルファミルラジカルを意味する。「N−アリールスルファミル」および「N−アルキル−N−アリールスルファミル」という用語は、それぞれ、1つのアリールラジカル、および1つのアルキル、および1つのアリールラジカルで置換されたスルファミルラジカルを意味する。
【0108】
「スルホニル」という用語は、単独、またはアルキルスルホニル等の他の用語と連結して使用される場合、それぞれ、二価ラジカル−−SO2−−を意味する。「アルキルスルホニル」は、アルキルが上記のように定義される、スルホニルラジカルに付着するアルキルラジカルを包含する。「アリールスルホニル」という用語は、アリールラジカルで置換されたスルホニルラジカルを包含する。
【0109】
「第三級アミン」は、その共通の一般的な意味を有する。概して、本発明において有用な第三級アミンは、以下の一般式を有し、

、R、およびRは、同一であるか、または異なる直鎖あるいは分岐鎖アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルコキシ−アルキル基、アシル基、アリール基、アリール置換アルキル基、およびヘテロ環状基の組み合わせである。本発明による有用な例示的な第三級アミンは、R1−3が、式(C2n+1、n=1−4)のアルキル基、または式(C(CH−[n=1−2]のアラルキル基である。本発明による有用な例示的な第三級アミンは、シクロアルキル第三級アミン(例えば、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン)、ピリジン、およびProton Sponge(登録商標)(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,8−ナフタレン)である。
【0110】
(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、本発明のその対応物(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの特性と異なる特性、および特定の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの(S)および(R)の混合物と異なる特性を呈する。それらの特性は、クロマトグラフィーカラム上での可動性、生物学的および機能的活性、および結晶構造を含み得る。体内クリアランス率、副作用プロファイル等も、本発明の1つの(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、または(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムと、対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムとの混合物と異なり得ることが考えられる。純粋な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、例えば、胃腸通過を抑制する末梢オピオイド受容体のアゴニストとして作用し得る。結果として、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム活性は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムおよび(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの両方を含有する混合物における(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム活性によって阻害または拮抗され得る。したがって、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを、単離および実質的に純粋な形態で有することは非常に望ましい。
【0111】
本発明の一態様において、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの合成方法が提供される。(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、クロマトグラフ技術に基づいて、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、98.5%、99%、および99.5%の濃度曲線下面積(AUC)以上の純度で形成され得る。実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの純度は、98%またはそれ以上である。精製された(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムにおける対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの量は、約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、3%、2%、1%、0.5%、0.3%、0.2%、0.1%(AUC)以下、または本明細書に記載されるクロマトグラフ技術によって検出不可能となり得る。方法の検出が、使用された技術の検出および定量限界によることは、当業者にとって明らかである。定量限界は、研究所、分析者、機器、または試薬のロット番号の変化に関わらず、常に測定および報告することができる(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの最低量である。検出限界は、検出できるが、厳密値として定量する必要がないが、サンプル中の(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの最低量である。本発明の一実施形態においては、検出限界は、0.1%であり、定量限界は、0.2%である。さらに別の実施形態においては、検出限界は、0.02%であり、定量限界は、0.05%である。
【0112】
本発明のいくつかの7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの合成は、オキシモルホン等の第三級モルフィナンの直接アルキル化によって行われ得る。オキシモルホンのフェノールOH基は、非保護または保護される場合がある。(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩は、その後、例えば、臭化物等のより好ましいイオンに対して交換することができる、ヨウ化物等の対イオンを含み得る。多数の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの合成における有用な出発物質は、例えば、三臭化ホウ素等によるオキシコドンの脱メチル化によって、約95%収率で得ることができるオキシモルホンとして、本明細書において開示される。代替として、オキシモルホンは、商業的供給源によって得ることができる。
【0113】
アルキル化反応は、無水であり得る、溶剤または溶剤系において行われ得る。溶剤系は、単一の溶剤であり得るか、または2つ以上の溶剤の組み合わせを含み得る。適切な溶剤系は、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、アセトン、1,4−ジオキサンおよびアセトニトリル、および2−プロパノール等の両性プロトン性溶剤を含み得る。溶剤系は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(グリム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、1,4−ジオキサン、メチルt−ブチルエーテル(メチル1,1,−ジメチルエチルエーテル、または2−メチル−2−メトキシプロパン)ジエチルエーテル等の脂肪族エーテルと組み合わせた両性非プロトン性溶剤も含み得、別の極性溶剤も、一部の実施形態に含まれ得る。例えば、溶剤系は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、およびt−ブチルメチルケトン(3,3−ジメチルブタン−2−オン)を含み得る。アルキル化溶剤系は、上記で開示される任意の化合物の脂肪族または脂環式同族体も含み得る。溶剤系は、特定のアルキル化反応が定常的実験によって判断され得るため、任意の比率および適切な比率において2つ以上の溶剤を含み得る。
【0114】
溶剤は、約1、2、3、4、5、10以下、以上、または同等の比率の量で使用され得る。生成物が液液抽出を使用して溶剤から移動される場合、または生成物が結晶化される場合、または溶剤が生成物から除去される場合等の場合においては、使用する溶剤の量を最小限にすることが好ましい。
【0115】
アルキル化剤は、出発物質の同等物当たり8、12、16、20、24未満、または24等量以上等の様々なモル比で出発物質に添加され得る。反応効率((R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの形成)は、一部の場合において使用されるアルキル化剤の量から実質的に独立し得る。
【0116】
一連の実施形態においては、アルキル化は、フィンケルシュタイン反応を使用して行われ得る。例えば、塩化シクロプロピルメチル等のハロゲン化アルキルは、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化物塩と結合し、消費されるにつれて補給される、ヨウ化シクロプロピルメチル等の反応性ハロゲン化アルキル化剤を継続的に供給することができる。
【0117】
出発物質は、開放血管または加圧下の大気圧においてアルキル化され得る。反応は、温度が、当技術分野で周知の方法/機器を使用して、反応時間にわたって、規定の温度で維持または制御されるように、行われ得る。アルキル化反応の間中、制御温度を維持するための1つの装置は、加熱/冷却器である。アルキル化反応の間中、温度を制御することによって、温度変動を抑制または減少させる。反応は、例えば、約22時間まで、または15〜22時間、または16〜20時間等、数時間行う必要がある場合がある。反応時間は、場合によっては、マイクロ波照射の使用によって短縮される。
【0118】
一部の実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、それが形成される溶剤から単離され得る。例えば、溶剤は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する残基から除去され得るか、または任意の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、アルキル化溶剤から移動溶剤に移動され得る。移動溶剤は、極性または非極性であり得、100℃以下の沸点を有し得る。移動溶剤は、エステル、アルデヒド、エーテル、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、およびハロゲン化炭化水素を含み得る。特定の移動溶剤としては、例えば、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、アセトニトリル、水、水性HBr、ヘプタン、およびMTBEを含む。
【0119】
溶剤から得られる任意の残基は、徐々に作用し、(R)生成物を生成および単離する。精製および単離は、クロマトグラフィー、再結晶化、または技術分野で周知の様々な分離技術の組み合わせ等の分離技術を使用すること等による、当業者に周知の方法を使用して行われ得る。一実施形態においては、C18カラムを使用するフラッシュクロマトグラフィーが使用され得る。例えば、逆相(C18)RediSepカラムを使用する、ISCO製のCombiFlash(登録商標)Sq16xが使用され得る。分析HPLCは、例えば、Phenomenex Prodigy5umOD53 100Aカラムで、精製は、分取Phenomenex Prodigy5umOD53 100Aカラムで行われ得る。0.2%HBrで修正された水性メタノール溶剤等の異なる溶剤は、例えば、約2.5%〜約50%等の様々なメタノール含有量とともに使用され得る。(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、再結晶化を使用して生成され得る。工程は、生成物の所望の純度が得られるまで繰り返され得る。一実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、純度の所望レベルを得るために、少なくとも2回、3回、または4回再結晶される。例えば、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、クロマトグラフ技術に基づいて、50%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、98.5%、99.8%(AUC)以上の純度で得ることができる。任意の不純物は、検出不可能な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有する出発物質を有し得る。再結晶化は、単一の溶剤、または溶剤の組み合わせを使用して、得ることができる。一実施形態においては、再結晶化は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを極性溶剤に溶解し、その後、極性が低い共溶剤を添加することによって得られる。別の再結晶化の実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、例えば、メタノール、CHCl/IPA(6:1)等の共溶剤等の溶剤からの再結晶化によって精製される。再結晶化は、所望の純度を得るために繰り返される。一実施形態においては、再結晶化溶剤は、有機溶剤、または有機溶剤の混合物、または有機溶剤と水との混合物であり得る。溶剤は、低分子量アルコール等のアルコール、例えば、メタノールであり得る。
【0120】
(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、およびその誘導体は、塩形態で形成され得る。(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの両性イオン等の誘導体が含まれる。(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、正荷電第四級アンモニウム基を含み得、一価または多価アニオン等の対イオンと対になり得る。これらのアニオンとして、例えば、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、およびスルホン酸塩およびカルボン酸塩等の荷電有機種を含み得る。好ましいアニオンは、臭化物、塩化物、ヨウ化物、フッ化物、およびそれらの組み合わせ等のハロゲン化物を含む。一部の実施形態においては、臭化物が最も好ましい。特定のアニオンは、例えば,反応性、溶解性、安定性、活性、コスト、可用性、および毒性等の要因に基づいて選択され得る。
【0121】
(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の対イオンは、代替対イオンに対して交換することができる。代替対イオンが望ましい場合、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の水溶液は、アニオン交換樹脂カラムを通過し、好ましい代替対イオンに対して、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の対イオンの一部またはすべてを交換することができる。アニオン交換樹脂の例は、Bio−Radから入手可能な、100〜200メッシュグレードにおけるAG1−X8を含む。別の実施形態においては、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムカチオンは、カチオン交換樹脂上に保持することができ、その後、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを、臭化物または塩化物等の好ましいアニオンを含む、食塩水を有する樹脂から除去することによって、交換することができ、溶液中で所望の(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩を形成する。
【0122】
本発明の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムには、多数の実用性がある。本発明の一態様は、その対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムと、クロマトグラフ分離におけるサンプル中の別の成分とを同定または区別する際のクロマトグラフ標準としての(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムである。本発明の別の態様は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムおよび(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム対応物を含有する混合物において(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを同定および区別する際のクロマトグラフ標準としての(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの使用である。単離された(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムも、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの精製および反応混合物における(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムとの区別に対するプロトコルの開発に有用である。
【0123】
(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、標準としてのその使用に対する取扱説明書とともにキットの形態で提供され得る。キットは、標準として、真正(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムをさらに含み得る。標準としての使用に対する(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、好ましくは、検出不可能な立体異性体(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを有する、99.8%またはそれ以上の純度を有する。
【0124】
本発明の一実施形態は、7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの溶液において、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムおよび対応物(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを溶解し、同定するための方法である。(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムも、方法が、組成物または混合物のサンプルをクロマトグラフィーカラムに適用するステップと、組成物または混合物の成分を溶解するステップと、サンプルにおける溶解された成分の割合と、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの芳醇濃度の割合を比較することによって、サンプルにおける(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの量を計算するステップと、を含む、組成物または混合物における(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの量を定量化するためのHPLCアッセイ方法に有用である。その方法は、特に、逆相HPLCクロマトグラフィーに有用である。オピオイド受容体に対するそのアンタゴニスト活性に基づく本発明の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、本明細書に記載されるもの等の体内および体外オピオイド受容体アッセイにおいて、アゴニスト活性の標準として有用である。
【0125】
(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、予防的または医薬的に、末梢オピオイド受容体、特に、末梢muオピオイド受容体に拮抗する、1つ以上の末梢オピオイド受容体によって媒介される状態を調節するために使用することができる。(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを投与される被験体は、急性的、長期間、または必要に応じて、治療を受けることができる。
【0126】
(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを投与してもよい被験体は、脊椎動物、特に、哺乳類である。一実施形態においては、哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、およびげっ歯類である。一実施形態においては、哺乳類は、ヒトである。
【0127】
本発明の医薬品は、単独またはカクテルで使用される場合、治療有効量で投与される。治療有効量は、以下で論じられるパラメータによって判断されるが、いずれの場合も、本明細書に記載される状態のうちの1つを有するヒト等の被験体を治療するために有効な薬剤の濃度を確立する量である。有効量は、治療する状態、またはそれに関連する症状の発症を遅延する、重症度を軽減するか、または進行を完全に抑制、軽減するか、または合わせて発症あるいは進行を止めるために必要な、単独または複数回投与でのその量を意味する。便秘の場合、オピオイドアンタゴニストの有効量は、例えば、排便の頻度を増加させるか、口から盲腸までの通過時間を減少させる、排便を誘導する、便秘の症状を軽減するその量である。
【0128】
当該技術は、便秘を、(i)過去3日間で1回未満の便通、または(ii)過去1週間で3回未満の便通、と定義する(例えば、米国特許第US6,559,158号を参照)。すなわち、患者が、3日ごとに少なくとも1回の便通、および1週間に少なくとも3回の便通を有する場合、患者は、便秘していない(すなわち、本明細書で使用される「規則的な便通」を有する)。したがって、2日ごとに少なくとも1回の便通は、規則的な便通とみなされる。同様に、1日につき少なくとも1回の便通は、規則的な便通である。したがって、有効量は、規則的な便通を確立または維持するために必要なそれらの量であることが可能である。
【0129】
場合によっては、量は、本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム中間体、3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム塩の投与後24時間以内、または投与形態によって、投与後12時間、10時間、8時間、6時間、4時間、2時間、1時間、およびさらに直後に排便を誘導するために十分である。適切な用量の静脈投与は、慢性オピオイド使用者において、便通の即効性をもたらし得る。皮下投与は、投与後12時間または投与後4時間内に排便を生じさせ得る。被験体に投与する場合、有効量は、当然のことながら、次のような治療される特定の状態による:症状の重症度;年齢、物理的状態、大きさ、および体重を含む、個々の患者パラメータ;併用療法、特に、オピオイドを長期間投与する、オピオイドとの併用療法;治療頻度;および投与形態。これらの要因は、当業者に周知であり、定常的実験のみで対応することができる。
【0130】
機能性便秘は、しつこく、稀な、または外見的に不完全な排便として存在する機能性腸疾患である。オピオイドおよびオピオイドアゴニスト等の便秘薬、特に、オピオイドまたはオピオイドアゴニストの長期使用は、機能性便秘の一因である。近年、Rome III 診断基準が、機能性便秘に対して確立された(Longstreth,G.F.et al.,Gastroenterology Vol.130,No.5,2006)。この基準に基づき、患者が、診断の少なくとも6ヶ月前に症状が発症し、過去3ヶ月間、次の症状のうちの2つ以上を有する場合、機能性便秘の診断が行われる:a)排便の少なくとも25%におけるいきみ;b)排便の少なくとも25%における塊または固形便、c)排便の少なくとも25%における残便感、d)排便の少なくとも25%における肛門直腸の閉塞/詰まり感、e)排便の少なくとも25%における促進するための手動操作(例えば、用手排便、骨盤底の支持)、f)1週間に3回未満の排便。
【0131】
本発明の医薬品は、便秘の少なくとも1つの症状を治療または軽減するための治療有効量で投与され、例えば、有効量は、1週間に3回以上の排便をうながす。別の実施形態においては、有効量は、便秘の2つ以上の症状を治療または軽減し、例えば、量は、排便中のいきみを減少させ、ブリストル大便スコアを使用して評価する便の硬さを改善するために効果的である。便の硬さの改善は、ベースラインのタイプ1からタイプ2、好ましくは、タイプ3、タイプ4、またはタイプ5への変更によって示される。実施形態においては、有効量は、1週間に3回以上の排便をうながし、および便の硬さを改善する。
【0132】
本発明のオピオイドアゴニスト誘導性便秘に対する治療の影響を受けやすい患者は、それらに限定されないが、末期患者、進行性内科的疾患を有する患者、癌患者、AIDS患者、術後患者、慢性疼痛を有する患者、神経障害を有する患者、関節リウマチを有する患者、変形性関節症を有する患者、慢性腰痛を有する患者、脊髄損傷を有する患者、慢性腹痛を有する患者、慢性膵臓痛を有する患者、骨盤/会陰部痛を有する患者、線維筋痛を有する患者、慢性疲労症候群を有する患者、HCV感染患者、過敏性腸症候群を有する患者、片頭痛または緊張性頭痛を有する患者、鎌状赤血球貧血を有する患者、血液透析をしている患者等を含む。
【0133】
本発明の治療の影響を受けやすい患者は、それらに限定されないが、特に、術後の環境における、オピオイドアゴニストによる別の機能障害、および内因性オピオイドによる機能障害を患う患者も含む。ある実施形態においては、本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその中間体は、直腸切除、結腸切除、胃、食道、十二指腸、虫垂切除、子宮摘出等の腹部手術、または整形外科、外傷性傷害、胸部、または移植手術等の非腹部手術を含む、術後の退院を早めるために効果的な量で使用され得る。この治療は、例えば、術後の腸雑音、もしくは術後の初回腸内ガス、初回便通、または固形食の摂取までの時間を、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムで治療しなかった患者群におけるそのような事象までの平均時間と比較して、短縮することによって、入院期間の短縮、または術後に作成される退院証明書までの時間を短縮するために効果的であり得る。本開示の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその中間体、またはそのプロドラッグは、術後にオピオイド鎮痛剤の投与を停止した後も、提供され続ける場合がある。
【0134】
治療の影響を特に受けやすい特定の患者は、便秘および/または胃腸非運動性の症状を有し、下剤または便軟化剤を単独使用また併用して、それらの症状の軽減を得られなかったか、または軽減または一貫した軽減が停止したか、またはそうでなければ、下剤および/または便軟化剤に抵抗がある患者である。そのような患者は、従来の下剤および/または便軟化剤では効果がないと言われる。便秘および/または胃腸非運動性は、誘導性であるか、またはそれらに限定されないが、病状、物理的状態、薬物に誘導された状態、生理的不均衡、ストレス、不安感等を含む、1つ以上の多様な状態の結果であり得る。便秘および/または胃腸非運動性を含む状態は、急性疾患または慢性疾患であり得る。
【0135】
被験体は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその3−O−保護−(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム中間体、またはそのプロドラッグ、ならびに下剤および/または便軟化剤(および任意に、オピオイド)を併用して治療することができる。これらの状況においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその中間体、および別の治療薬は、被験体が、所望に応じて様々な薬剤の効果を経験するように、通常同時である、十分短時間内に投与され得る。一部の実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体、またはその中間体は、時間内で最初に、一部の実施形態においては、時間内で2番目に、およびさらに一部の実施形態においては、同時に送達される。本明細書においてより詳しく論じられるように、本発明は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその中間体、またはそのプロドラッグが、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその中間体(またはそのプロドラッグ)、および下剤ならびに便軟化剤(および任意に、オピオイド)のうちの1つまたは両方を含む、製剤で投与される、医薬品を意図する。これらの製剤は、米国特許第US10/821,809号において記載されるもの等、非経口または経口であり得る。固体、半固体、液体、制御放出、凍結乾燥、および別のそのような製剤が含まれる。
【0136】
実施形態においては、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの投与量は、便通を誘導するのに十分である。これは、対象が慢性オピオイド使用者である場合の特定の適用を有する。本明細書で使用される慢性オピオイド使用は、1週間以上の毎日のオピオイド治療、または少なくとも2週間の間欠的オピオイド使用を含む。オピオイドを受ける患者は、長期間オピオイドに対して耐性になり、漸増用量を必要とすることが報告されている。したがって、オピオイドの経口用量を長期間受ける患者は、1日につき40〜100mgのモルヒネ同等用量のオピオイドを受けている場合がある。特定の(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、オピオイドに対してより耐性になり、漸増用量を受けている患者において、異なる用量を必要とし得る。
【0137】
オピオイドを長期間使用する患者として、末期癌患者、変形性関節症変化を有する高齢の患者、メサドン維持患者、神経因性疼痛、および慢性腰痛患者を含む。これらの患者の治療は、生活の質の観点から、および痔等の慢性便秘、食欲抑制、粘膜破綻、敗血症、結腸癌リスク、および心筋梗塞から生じる合併症を減少させるために重要である。
【0138】
本発明の化合物を使用する治療を受ける患者は、同時に、または連続してオピオイドを受けてもよい。オピオイドは、いずれの医薬的に許容されるオピオイドであってもよい。一般的なオピオイドは、アルフェンタニル、アニレリジン、アシマドリン、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、フェドトジン、フェンタニル、フナルトレキサミン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバロルファン、レボメタジルアセテート、レボルファノール、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メサドン、モルヒネ、モルヒネ−6−グルクロニド、ナルブフィン、ナロルフィン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トリメブチン、およびトラマドールら成る群より選択されるものである。オピオイドも、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその中間体と混合され得、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、またはその中間体に関連して、上述の任意の形態で提供され得る。任意で、アセトアミノフェン等の非オピオイド鎮痛剤/解熱剤は、オピオイド、特に、オキシコドンとともに投与され得る。
【0139】
用量は、投与の形態によって、局所または全身の所望の薬物濃度を得るように適切に調製され得る。例えば、腸溶性製剤でのオピオイドアンタゴニストの経口投与に対する用量は、即時放出経口製剤より低投与量であると見なされる。患者の反応が、そのような用量で十分ではない場合、さらに高投与量(または、異なる、より局所的な送達経路による、より高い有効量)が、患者の耐容性が許す程度に使用され得る。1日における複数回投与は、化合物の適切な全身濃度を得ることを意図する。適切な全身濃度は、例えば、患者における薬剤のピークまたは維持された血漿中濃度の測定によって判断することができる。「投与量」および「用量」は、本明細書において、ほとんど同じ意味で使用される。
【0140】
多様な投与経路が利用可能である。選択される特定の形態は、当然のことながら、選択される薬剤の特定の併用、治療または予防されている症状の重症度、患者の健康状態、および治療効果に必要な用量によって異なる。本発明の方法は、概して言えば、臨床的に許容されない悪影響を引き起こさずに、活性化合物の有効濃度をもたらす任意の形態という意味の、医学的に許容される投与の任意の形態を使用して履行され得る。投与のそのような形態として、経口、直腸、局所、経皮、舌下、静脈内注射、肺、動脈内、脂肪組織内、リンパ管内、筋肉内、腔内、エアロゾル、耳(例えば、点耳剤を介して)、鼻腔内、吸入、関節内、無針注射、皮下、または皮内(例えば、経皮)送達を含む。持続注入に対して、患者管理無痛法(PCA)装置または埋込型薬剤送達装置が使用され得る。経口、直腸、または局所投与は、予防的または長期治療に対して重要である場合がある。送達の好ましい直腸的形態として、坐薬、または腸洗浄としての投与を含む。
【0141】
医薬品は、便宜上、単位剤形で提示され得、薬局の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。すべての方法は、本発明の化合物を、1つ以上の副成分を構成する担体と関連付けるステップを含む。概して、組成物は、本発明の化合物を、一様かつ密接に、液体担体、微粉化した固体担体、または両方に関連付けることによって調製し、その後、必要に応じて、生成物を成形する。
【0142】
投与の際、本発明の医薬品は、医薬的に許容される組成物において適用される。そのような製剤は、塩、緩衝剤、防腐剤、混合可能担体、潤滑剤、および任意に他の治療成分を定常的に含有し得る。医学の分野で使用される場合、塩は医薬的に許容されるべきであるが、非医薬的に許容される塩は、便宜上、その医薬的に許容される塩を調製するために使用され得、本発明の範囲から除外されない。そのような薬理的および医薬的に許容される塩として、これらに限定されないが、次の酸から調製されるものを含む。塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、パモン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、およびベンゼンスルホン酸。
【0143】
当然のことながら、本発明の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、(R)−および(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、および治療薬を指す場合、同発明の塩を包含することを意味する。そのような塩は、当業者に周知の種類である。医薬品において使用される場合、塩は、好ましくは、ヒトにおける使用に対して医薬的に許容される。臭化物は、そのような塩の一例である。
【0144】
本発明の医薬品は、医薬的に許容される担体を含むか、または医薬的に許容される担体に希釈され得る。本明細書で使用される「医薬的に許容される担体」は、ヒト、または非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、またはヤギ等の他の哺乳類への投与に適切な、1つ以上の混合可能な固体または液体充填剤、希釈剤、または封入物質を意味する。「担体」という用語は、適用を容易にするために組み合わされる天然または合成の有機または無機成分を意味する。担体は、所望の医薬的有効性または安定性を実質的に損なう相互作用がない方法で、本発明の製剤、および互いに混合されることが可能である。経口投与、坐薬、および非経口投与等に適切な担体製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Paにおいて見ることができる。
【0145】
製剤は、キレート剤、緩衝剤、酸化防止剤、および任意で、等張化剤、好ましくは、pH調節された等張化剤、および透過/浸透促進剤を含み得る。高圧蒸気殺菌法および長期保存に安定であるそのような製剤の実施例は、「医薬的製剤「Pharmaceutical Formulation」」と称される、同時係属米国出願第US10/821,811号において記載される。
【0146】
キレート剤として、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、およびその誘導体、クエン酸、およびその誘導体、ナイアシンアミド、およびその誘導体、デソキシコール酸ナトリウム、およびその誘導体、ならびにL−グルタミン酸、N,N−アセト酢酸、およびその誘導体を含む。EDTA誘導体として、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、およびエデト酸カリウムを含む。
【0147】
緩衝剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸、リン酸ナトリウムおよびリン酸、アスコルビン酸ナトリウム、酒石酸、マレイン酸、グリシン、乳酸ナトリウム、乳酸、アスコルビン酸、イミダゾール、重炭酸ナトリウムおよび炭酸、コハク酸ナトリウムおよびコハク酸、ヒスチジン、および安息香酸ナトリウムおよび安息香酸、またはそれらの組み合わせから成る群より選択されるものを含む。
【0148】
酸化防止剤は、アスコルビン酸誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アルキルガラート、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、トコフェロール、およびその誘導体、モノチオグリセロール、および亜硫酸ナトリウムから成る群より選択されるものを含む。好ましい酸化防止剤は、モノチオグリセロールである。
【0149】
等張化剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、ラクトース、デキストロース、グリセロール、およびソルビトールから成る群より選択されるものを含む。
【0150】
本組成物とともに使用することができる防腐剤は、ベンジルアルコール、パラベン、チメロサール、クロロブタノール、および好ましくは、塩化ベンザルコニウムを含む。通常防腐剤は、約2重量%までの濃度で組成物に存在する。しかしながら、防腐剤の正確な濃度は、使用目的によって異なり、当業者によって容易に把握することができる。
【0151】
本発明の化合物は、凍結乾燥組成物、好ましくは、マンニトール、またはラクトース、スクロース、ポリエチレングリコール、およびポリビニルピロリジン等の抗凍結剤の存在下で調製することができる。6.0以下の再構成pHをもたらす抗凍結剤が好ましい。したがって、本発明は、本発明の治療薬の凍結乾燥調製剤を提供する。製剤は、好ましくは、水中で中性または酸性である、マンニトールまたはラクトース等の抗凍結剤を含むことができる。
【0152】
薬剤の経口、非経口、および坐薬製剤は、周知であり、市販されている。本発明の治療薬は、そのような周知の製剤に付加することができる。本発明の治療薬は、そのような製剤において溶液または半固溶体で合わせて混合することができ、そのような製剤内の懸濁液で提供することができるか、またはそのような製剤内の粒子で含有することができる。
【0153】
本発明の治療薬、および任意で1つ以上の他の活性薬剤を含有する生成物は、経口投薬として構成することができる。経口投薬は、液体、半固体、または固体であり得る。オピオイドは、任意で、経口投薬に含まれ得る。経口投薬は、他の薬剤(および/またはオピオイド)の前、後、または同時に、本発明の治療薬を放出するように構成され得る。経口投薬は、本発明の治療薬および他の製剤を、胃の中で完全に放出する、胃の中で部分的および腸の中で部分的に放出する、腸で、結腸で、胃で部分的に、または結腸で全体的に放出するように構成され得る。経口投薬は、他の活性薬剤の放出が、それほど制限されていないか、本発明の治療薬とは異なって制限される一方、本発明の治療薬の放出が、胃または腸に制限されるようにも構成され得る。例えば、本発明の治療薬は、他の薬剤を先に放出し、本発明の治療薬が胃を通って腸へ通過した後にのみ、本発明の治療薬を放出する、丸薬またはカプセル内に含有される腸溶性コアまたはペレットであってもよい。本発明の治療薬は、本発明の治療薬が、胃腸管全体で放出され、他の薬剤が同じか、または異なる計画で放出される、持続放出材料の中にあってもよい。本発明の治療薬の放出に対する同目的は、本発明の腸溶性の治療薬と組み合わされる本発明の治療薬の即時放出で到達されることができる。これらの場合、他の薬剤は、胃の中、胃腸管の全体、または腸の中のみで、即時に放出することができる。
【0154】
これらの異なる放出プロファイルを得るために有用な材料は、当業者に周知である。即時放出は、胃で溶解する結合剤を有する従来の錠剤によって得られる。胃のpHで溶解するか、温度の上昇で溶解するコーティングによって、同じ目的が達成される。腸の中のみでの放出は、腸(胃ではなく)のpH環境において溶解するpH感受性コーティング、または時間とともに溶解するコーティング等の従来の腸溶コーティングを使用して得られる。胃腸管全体での放出は、持続放出材料および/または即時放出システムおよび持続および/または遅延の意図的な放出システム(例えば、異なるpHで溶解するペレット)の組み合わせを使用することによって得られる。
【0155】
本発明の治療薬を先に放出することが望ましい場合、本発明の治療薬は、制御放出に対して定常的に使用される温度感性の医薬的に許容される担体等の、そのようなコーティング、および本発明の治療薬の放出を可能にするために適切な任意の医薬的に許容される担体における制御放出製剤の表面でコーティングすることができる。体内に配置される際に溶解する他のコーティングは、当業者に周知である。
【0156】
本発明の治療薬は、他の薬剤の前、後、または同時に放出される、制御放出製剤全体で混合され得る。本発明の治療薬は、製剤の材料内で遊離、すなわち、可溶化され得る。本発明の治療薬は、製剤の材料全体で分散されるワックスでコーティングされたマイクロペレット等の小胞の形態であることができる。コーティングされたペレットは、温度、pH等に基づいて本発明の治療薬を即時に放出するように作成することができる。ペレットは、本発明の治療薬の放出を遅延させ、本発明の治療薬がその効果を発揮する前に作用する時間を他の薬剤に与えるように構成することもできる。本発明の治療薬のペレットは、従来技術の材料および当業者に周知の材料を使用して一次放出速度またはS状結腸段階放出速度を呈するパターンを含む、実質的に任意の持続放出パターンで、本発明の治療薬を放出するように構成することもできる。
【0157】
本発明の治療薬は、制御放出製剤内のコア内に含有されることもできる。コアは、ペレットに関連して、上述の特性のいずれか1つ、またはいかなる組み合わせをも有し得る。本発明の治療薬は、例えば、材料でコーティングされる、材料全体に分散される、材料上にコーティングされるか、または材料内に、または全体に吸収されるコアの中にあってもよい。
【0158】
ペレットまたはコアは、実質的に任意の種類であり得ることを理解されたい。それらは、放出材料で薬剤をコーティングした、材料全体に薬剤を散在した、材料内に薬剤を吸収させたもの等であり得る。材料は侵食可能または非侵食可能であり得る。
【0159】
本発明の治療薬は、粒子で提供され得る。本明細書で使用されるように、粒子は、本発明の治療薬、または本明細書に記載される他の薬剤の全体または一部に存在することができるナノまたはマイクロ粒子(または、場合によっては、より大きい)を意味する。粒子は、それに限定されないが、腸溶コーティングを含む、コーティングによって覆われるコアに治療薬を含有し得る。治療薬は、粒子全体に分散され得る。治療薬は、粒子内に吸収され得る。粒子は、ゼロ次放出、一次放出、二次放出、遅延放出、持続放出、即時放出、およびそれらの任意の組み合わせを含む、任意の段階の放出速度であってもよい。粒子は、治療薬に加えて、それらに限定されないが、浸食可能、非浸食可能、生分解性、または非生分解性材料、またはそれらの組み合わせを含む、薬局および医療の分野において定常的に用いられる任意のそれらの材料を含み得る。粒子は、溶液、または半固体の状態でアンタゴニストを含有するマイクロカプセルであってもよい。粒子は、実質的に任意の形状であり得る。
【0160】
非生分解性および生分解性高分子材料の両方が、治療薬を送達するための粒子の製造において使用することができる。そのようなポリマーは、天然または合成ポリマーであってもよい。ポリマーは、放出が所望とされる時間の長さに基づいて選択される。特に対象の生体接着ポリマーは、その内容は本明細書において組み込まれる、H.S.Sawhney,C.P.Pathak、およびJ.A.Hubellによる、Macromolecules,(1993)26:581−587において記載される生体内分解性ヒドロゲルを含む。これらとしては、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリ酸無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリル酸塩)、ポリ(エチルメタクリル酸塩)、ポリ(ブチルメタクリル酸塩)、ポリ(イソブチルメタクリル酸塩)、ポリ(ヘキシルメタクリル酸塩)、ポリ(イソデシルメタクリル酸塩)、ポリ(ラウリルメタクリル酸塩)、ポリ(フェニルメタクリル酸塩)、ポリ(メチルアクリル酸塩)、ポリ(イソプロピルアクリル酸塩)、ポリ(イソブチルアクリル酸塩)、およびポリ(オクタデシルアクリル酸塩)が含まれる。
【0161】
治療薬は、制御放出システムに含有され得る。「制御放出」は、製剤からの薬物放出の方法およびプロファイルが制御されている、任意の薬物含有製剤を意味することを目的とする。これは、即時、およびそれらに限定されないが、持続放出および遅延放出製剤を含む非即時放出製剤を指す。「持続放出」(「徐放」とも称される)は、長時間かけて薬物のゆっくりとした放出を提供し、好ましくは、必要ではないが、長時間かけて実質的に一定の薬物血中濃度をもたらす製剤を指す、その従来の意味において使用される。「遅延放出」は、製剤の投与とそこからの薬物の放出との間に時間遅延がある製剤を指す、その従来の意味において使用される。「遅延放出」は、長時間かけて薬物のゆっくりとした放出を含むか、または含まなくてもよいため、「持続放出」であるか、またはそうでなくてもよい。これらの製剤は、投与の任意の形態をとってもよい。
【0162】
胃腸管に対して特異的な送達システムは、大きく3つの種類に分類される。1番目は、例えば、pH変化に応じて、薬物を放出するように設計される遅延放出システム、2番目は、所定の時間後に薬物を放出するように設計される持続放出型システム、および3番目は、胃腸管の下部における豊富な腸内細菌を活用する微生物叢酵素システム(例えば、結腸部位特異的放出製剤において)である。
【0163】
遅延放出システムの一実施例は、例えば、アクリルまたはセルロースコーティング材料を使用し、pH変化に対して溶解するものである。製剤の容易性のため、そのような「腸溶コーティング」に関する多くの報告がなされている。概して、腸溶コーティングは、腸管の壁を通る活性薬剤の輸送(能動または受動)を可能にするように、胃の中で相当量(すなわち、胃の中で、10%放出未満、5%放出、およびさらに1%放出)の薬物を放出することなく、腸管の中で十分に分解することなく(ほぼ中性またはアルカリ性の腸液との接触によって)、胃を通過するものである。
【0164】
コーティングが、腸溶コーティングとして分類されるかどうかを判断するための様々な生体外試験は、様々な国の薬局方において行われている。36〜38℃のpH1のHCl等の人工胃液に少なくとも2時間接触し、その後、pH6.8のKH2PO4緩衝液等の人工腸液において30分以内で分解する、コーティングが、一実施例である。そのような1つの周知のシステムは、市販の、Behringer、Manchester University,Saale Co.,等によって報告されるEUDRAGIT材料である。腸溶コーティングは、下記でさらに論じられる。
【0165】
持続放出型システムは、Fujisawa Pharmaceutical Co.,Ltd.のTime Erosion System(TES)、およびR.P.SchererのPulsincapによって代表される。これらのシステムによると、薬物放出の部位は、胃腸管における製剤の通過の時間によって決定される。胃腸管における製剤の通過が、胃内容排出時間によって大きく影響されるため、時間放出システムの一部も腸溶性である。
【0166】
腸内細菌を活用するシステムは、Ohio Universityのグループ(M.Saffran,et al.,Science,Vol.233:1081(1986))、およびUtah Universityのグループ(J.Kopecek,et al.Pharmaceutical Research,9(12),1540−1545(1992))によって報告されるように、腸内細菌から産出されるアゾレダクターゼによる芳香族アゾポリマーの分解を使用するもの、およびHebrew Universityのグループ(PCT出願に基づく特開平5−50863号)、およびFreiberg Universityのグループ(K.H.Bauer et al.Pharmaceutical Research,10(10),S218(1993))によって報告されるように、腸内細菌のベータ−ガラクトシダーゼによる多糖の分解を使用するものに分類することができる。加えて、帝國製薬製のキトサナーゼ(特開平4−217924号、および特開平4−225922号)によって分解可能なキトサンを使用するシステムも含まれる。
【0167】
腸溶コーティングは、必要ではないが、通常高分子材料である。好ましい腸溶コーティング材料は、生体内分解性、徐々に加水分解可能および/または徐々に水に溶けるポリマーを含む。「コーティング重量」、または1カプセル当たりのコーティング材料の相対量は、概して、摂取と薬物放出との時間間隔に影響する。任意のコーティングは、コーティング全体がpH約5以下で、胃腸液に溶解せず、pH約5およびそれ以上で溶解するように、十分な厚さで塗布されるべきである。pH依存性溶解プロファイルを呈する任意のアニオン性ポリマーは、本発明の履行における腸溶コーティングとして使用することができると予想される。特定の腸溶コーティング材料の選択は、以下の特性による。胃における溶解および分解に対する抵抗、胃の中にある際の、胃液、および薬物/担体/酵素に対する不透過性、被験体の腸部位で急速に溶解または分解する能力、保存期間での物理的および化学的安定性、非毒性、コーティングとしての適用の容易性(基質に適した)、および経済的実用性。
【0168】
適切な腸溶コーティング材料として、それらに限定されないが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロースポリマー、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリル酸塩、アクリル酸アンモニウムメチル、エチルアクリル酸塩、メチルメタクリル酸塩および/またはエチルメタクリル酸塩(例えば、EUDRAGITの商標名で販売されるそれらのコポリマー)から形成されるアクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ポリビニルアセテート、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸ビニルクロトン酸コポリマー、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマー等のビニルポリマーおよびコポリマー、ならびにセラック(精製ラック)を含む。異なるコーティング材料の組み合わせも、使用され得る。本明細書で使用される周知の腸溶コーティング材料は、Rohm Pharma(ドイツ)からEUDRAGITの商標名で入手可能なそれらのアクリル酸ポリマーおよびコポリマーである。EUDRAGITシリーズのE、L、S、RL、RS,およびNEコポリマーは、有機溶剤で可溶なもの、水分散液、または乾燥粉末として利用可能である。EUDRAGITシリーズのRL、NE、およびRSコポリマーは、胃腸管において不溶性であるが、透過性であり、主に徐放に対して使用される。EUDRAGITシリーズのEコポリマーは、胃において溶解する。EUDRAGITシリーズのL、L−30DおよびSコポリマーは、胃において不溶性であり、腸において溶解するため、本明細書において最も好ましい。
【0169】
特定のメタクリルコポリマーは、EUDRAGIT L、特に、L−30D、およびEUDRAGIT L100−55である。EUDRAGIT L−30Dでは、遊離カルボキシル基とエステル基との比率は、約1:1である。さらに、コポリマーは、pH5.5以下、概して、1.5−5.5、すなわち、概して、上部胃腸管液にあるpHを有する胃腸液において不溶性であるが、pH5.5以上、すなわち、概して、下部胃腸管液にあるpHで、容易に溶解するか、または部分的に溶解することが周知である。他の特定のメタクリル酸ポリマーは、遊離カルボキシル基とエステル基との比率が、約1:2であるという点で、EUDRAGIT L−30Dと異なるEUDRAGIT Sである。EUDRAGIT Sは、pH5.5以下では不溶性であるが、EUDRAGIT L−30Dとは異なり、小腸等、5.5〜7.0の範囲のpHを有する胃腸液において難溶性である。このコポリマーは、pH7.0およびそれ以上、すなわち、概して、結腸で見られるpHで溶解性である。EUDRAGIT Sは、大腸において薬物送達を提供するコーティングとして単独で使用することができる。代替として、pH7以下の腸液において難溶性であるEUDRAGIT Sは、腸管の様々な部分へ活性薬剤を送達するように調製することができる遅延放出組成物を提供するために、pH5.5以上の腸液において溶解性であるEUDRAGIT L−30Dと組み合わせて使用することができる。EUDRAGIT L−30Dが使用されるほど、近位放出および送達が開始され、EUDRAGIT Sが使用されるほど、遠位放出および送達が開始される。EUDRAGIT L−30DおよびEUDRAGIT Sの両方は、同様のpH溶解度特性を有する、他の医薬的に許容されるポリマーで置換することができることは、当業者には明らかである。本発明のある実施形態においては、好ましい腸溶コーティングは、ACRYL−EZE(登録商標)(メタクリル酸コポリマータイプC;Colorcon、West Point、PA)である。
【0170】
腸溶コーティングは、概して予測可能なある位置で薬物放出を行うことができるように、活性薬剤の放出を制御する。腸溶コーティングは、治療薬および担体の口腔、咽頭、食道、および胃の上皮および粘膜組織への暴露、およびこれらの組織に関連する酵素への暴露も予防する。したがって、腸溶コーティングは、送達の所望の部位での薬物放出の前に、任意の有害事象から活性薬剤、担体、および患者の内部組織を保護することに役立つ。さらに、本発明のコーティングされた材料は、薬物吸収、活性薬剤保護、および安全性を最適化する。胃腸管における様々な領域で活性薬剤を放出することを目的とする複数の腸溶コーティングは、胃腸管全体で、より効果的で改善された持続送達を可能にする。
【0171】
コーティングは、胃液の浸透を可能にする細孔および亀裂の形成を予防する可塑剤を含むことができ、通常、これを含む。適切な可塑剤は、それらに限定されないが、クエン酸トリエチル(Citroflex2)、トリアセチン(トリ酢酸グリセル)、アセチルクエン酸トリエチル(Citroflec A2)、Carbowax400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、およびフタル酸ジブチルを含む。特に、アニオン性カルボン酸アクリルポリマーから成るコーティングは、通常、可塑剤、特に、フタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、およびトリアセチンの約10重量%〜25重量%を含有する。コーティングは、コーティング材料を可溶化または分散し、コーティング性能およびコーティングされた生成物を改善する、デタッキフィア、消泡剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、および安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、酸および塩基)等の他のコーティング賦形剤を含有することもできる。
【0172】
コーティングは、従来のコーティング方法および機器を使用して、治療薬の粒子、治療薬の錠剤、治療薬を含有するカプセル等に適用することができる。例えば、腸溶コーティングは、コーティング皿、無気噴霧法、流動床コーティング機器等を使用して、カプセルに適用することができる。コーティングされた剤形を調製するための材料、機器、および処理に関する詳細な情報は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablet,eds.Lieberman et al.(New York:Marcel Dekker,Inc.,1989)、およびAnsel et al.Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery System,6th Ed.(Media,PA:Williams&Wilkin,1995)において見ることができる。上述のように、コーティング厚は、経口剤形が下部腸管における局所送達の所望の部位に到達するまで、そのままの状態であることを保障するために十分でなければならない。
【0173】
他の実施形態においては、本発明の製剤を内臓する腸溶性浸透活性装置を備える薬物剤形が提供される。この実施形態においては、薬物含有製剤は、小開口部を含有する半透性膜またはバリアにおいてカプセル化される。いわゆる、「浸透圧ポンプ」薬物送達装置に関して当技術分野で周知のように、半透性膜は、いかなる方向にも、薬物ではなく水を通過させる。したがって、装置が、液体に暴露される場合、水は、装置の内部と外部との浸透圧の差によって装置内に流入する。水が、装置へ流入するにつれて、内部にある薬物含有製剤は、開口部を通って「吸い」出される。薬物放出速度は、水の流入速度×薬物濃度と同等である。水の流入および薬物の流出の速度は、組成物および装置の開口部の大きさによって制御することができる。半透性膜の適切な材料として、それらに限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、半透性ポリエチレングリコール、半透性ポリウレタン、半透性ポリアミド、半透性スルホン化ポリスチレンおよびポリスチレン誘導体、半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、半透性ポリ(ビニルベンジルトリメチル塩化アンモニウム)、および酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、三吉草酸セルロース、トリル酸セルロース、三パルミチン酸セルロース、三オクタン酸セルロース、三プロピオン酸セルロース、二コハク酸セルロース、二パルミチン酸セルロース、二アクリル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、酢酸オクタン酸セルロース、吉草酸パルミチン酸セルロース、酢酸ヘプタン酸セルロース、アセトアルデヒドジメチルアセタールセルロース、酢酸カルバミン酸エチルセルロース、酢酸カルバミン酸メチルセルロース、酢酸ジメチルアミノセルロース、およびエチルセルロース等のセルロースポリマーを含む。
【0174】
他の実施形態においては、本発明の製剤を内蔵する持続放出のコーティングされた装置を備える薬物剤形が提供される。この実施形態においては、薬物含有製剤は、持続放出膜またはフィルムにおいてカプセル化される。膜は、上述のように、半透性であってもよい。半透性膜によって、コーティングされた装置内の水の通過で、薬物を溶解することができる。溶解された薬物の溶液は、半透性膜を通って拡散する。薬物放出速度は、コーティングされたフィルムの厚さに依存し、薬物の放出は、胃腸管の任意の部分で開始することができる。そのような膜に適した膜材料として、エチルセルロースを含む。
【0175】
他の実施形態においては、本発明の製剤を内蔵する持続放出装置を備える薬物剤形が提供される。この実施形態においては、薬物含有製剤は、一様に、持続放出ポリマーと混合される。これらの持続放出ポリマーは、水と接触すると膨張し、水が内部で拡散し、薬物を溶解するためのチャネルを作成する、高分子量の水溶性ポリマーである。ポリマーが膨張し、水中で溶解するにつれて、より多くの薬物が、溶解のために水に暴露される。そのようなシステムは、概して、持続放出マトリクスと呼ばれる。そのような装置の適切な材料として、ヒドロプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびメチルセルロースを含む。
【0176】
他の実施形態においては、本発明の持続放出製剤を内臓する腸溶性装置を備える薬物剤形が提供される。この実施形態においては、上述の生成物を含有する薬物は、腸溶性ポリマーでコーティングされる。そのような装置は、胃において任意の薬物を放出しなく、装置が腸に到達する際、腸溶性ポリマーが、まず、溶解した後にのみ、薬物放出が開始する。薬物放出は、持続放出の方法で行われる。
【0177】
腸溶性浸透活性装置は、従来の材料、方法、および機器を使用して製造することができる。例えば、浸透活性装置は、医薬的に許容されるソフトカプセルにおいて、上記に記載されるように、まず、本発明の化合物の液体または半固体製剤をカプセル化することによって作製され得る。その後、この内部カプセルは、例えば、空気サスペンション機を使用して、例えば、約0.05mmの十分に厚い層が形成されるまで、半透性膜組成物(例えば、塩化メチレン−メタノール混合剤等の適切な溶剤中の酢酸セルロースおよびポリエチレングリコール4000を含む)でコーティングされる。その後、半透性層状カプセルは、従来の技術を使用して乾燥させる。その後、所望の直径(例えば、約0.99mm)を有する開口部は、例えば、機械的穴開け、レーザー穴開け、機械的破壊、またはゼラチンプラグ等の浸食可能要素の浸食を使用して、半透性層状カプセル壁を通って提供される。その後、浸透活性装置は、上述のように腸溶性にコーティングされ得る。液体または半固体担体ではなく、固体担体を含有する浸透活性装置に対して、内部カプセルは任意である。すなわち、半透性膜は、担体−薬物組成物の周りに直接形成され得る。しかしながら、浸透活性装置の薬物含有製剤における使用のための好ましい担体は、溶液、懸濁液、液体、非混和液、乳液、ゾル、コロイド、および油である。特に好ましい担体として、それらに限定されないが、液体または半固体製剤を含有する腸溶性カプセルに対して使用されるものを含む。
【0178】
セルロースコーティングは、酢酸フタル酸およびトリメリト酸セルロース、少なくとも40%のメチルアクリル酸を含有するメタクリル酸コポリマー、例えば、メチルアクリル酸およびそのエステル由来のコポリマー、および特に、ヒドロキシプロピルメチルフタル酸セルロースのコーティングを含む。アクリル酸メチルは、約1:1の比率における、例えば、アクリル酸メチル、およびメチルまたはエチルアクリル酸メチルに基づく100,000ダルトン以上の分子量のものを含む。典型的な生成物として、Rohm GmbH、Darmstadt、ドイツによって販売される、Endragit L、例えば、L100−55を含む。典型的な酢酸フタル酸セルロースは、17〜26%のアセチル含有量、およびca.45〜90cPの粘性を有する30〜40%のフタル酸含有量を有する。典型的な酢酸トリメリト酸セルロースは、17〜26%のアセチル含有量、およびca.15〜20cSの粘性を有する25〜35%のトリメリト酸含有量を有する。酢酸トリメリト酸セルロースの例は、市販品CAT(Eastman Kodak Company、米国)である。通常、ヒドロキシプロピルメチルフタル酸セルロースは、20,000〜130,000ダルトンの分子量、5〜10%のヒドロキシプロピル含有量、18〜24%のメトキシ含有量、および21〜35%のフタリル含有量を有する。酢酸フタル酸セルロースの例は、市販品CAP(Eastman Kodak、Rochester N.Y.、米国)である。ヒドロキシプロピルメチルフタル酸セルロースの例は、HP50の商標で販売され、信越化学工業株式会社(東京、日本)から入手可能な、6〜10%のヒドロキシプロピル含有量、20〜24%のメトキシ含有量、21〜27%のフタリル含有量、約84,000ダルトンの分子量を有する市販品、およびHP55の商標で周知であり、同社から入手可能な、それぞれ、5〜9%、18〜22%、および27〜35%のヒドロキシプロピル含有量、メトキシル含有量、およびフタリル含有量、ならびに78,000ダルトンの分子量を有する市販品である。
【0179】
治療薬は、コーティングされたか、またはされていないカプセルで提供され得る。カプセル材料は、ハードまたはソフトのいずれでもよく、当業者には明らかであるように、普通、ゼラチン、でんぷん、またはセルロース材料等の、無味で、容易に投与される、水溶性化合物からできている。カプセルは、好ましくは、ゼラチン帯等で封止される。例えば、カプセル製薬を調製するための材料および方法を記載する、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Edition(Easton、Pa.:Mack Publishing Co.,1995)を参照。
【0180】
本発明の治療薬を含有する生成物は、坐薬として構成することができる。本発明の治療薬は、治療薬の相対的放出に好ましい影響を与えるように、坐薬内または坐薬上のいずれの位置に配置することができる。放出の性質は、所望に応じて、ゼロ次、一次、またはS状結腸であり得る。
【0181】
坐薬は、直腸を介する投与を目的とする薬の固体剤形である。坐薬は、体腔(約98.6°F)において融解、軟化、または溶解し、その中に含有される医薬を放出するように調合される。坐薬基剤は、安定した、非刺激性、化学的に不活性、および生理的に不活性であるべきである。多くの市販坐薬は、しばしば、室温で融解または変形し、冷蔵または他の保存制限を必要とする、ココアバター、ココナツ油、パーム核油、およびヤシ油等の油または脂肪基剤の材料を含む。Tanakaらに対する米国特許番号第US4,837,214号は、20より少ないヒドロキシル値を有する、80〜99重量パーセントのラウリン型脂肪から成り、脂肪酸の1〜20重量パーセントのジグリセリド(エルカ酸がその例である)と組み合わされる、8〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のグリセリドを含有する坐薬基剤を記載する。これらの種類の坐薬の保存期間は、分解のため制限される。他の坐薬基剤は、融解温度を高めるアルコール、界面活性剤等を含有するが、局所粘膜の刺激によって、薬の吸収不良および副作用を引き起こす場合もある(例えば、Hartelendyらに対する米国特許番号第US6,099,853号、Ahmadらに対する米国特許番号第US第4,999,342号、およびAbidiらの米国特許番号第US4,765,978号を参照)。
【0182】
本発明の医薬的坐薬組成物において使用される基剤として、概して、カカオバター、ヤシ脂肪、パーム核油、ココナツ油、ヤシ油、ラード、およびWITEPSOL(登録商標)等のトリグリセリド、ラノリンおよび還元ラノリン等のワックスを主な成分として含む、油および脂肪、VASELINE(登録商標)、スクアレン、スクアラン、および流動パラフィン等の炭化水素、カプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸等の長中鎖脂肪酸、ラウリルアルコール、セタノールおよびステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸ブチル、およびマロン酸ジラウリル等の脂肪酸エステル、トリオレインおよびトリステアリン等のグリセリンの中長鎖カルボン酸エステル、アセト酢酸グリセリン等のグリセリン置換カルボン酸エステル、およびマクロゴールおよびセトマクロゴール等のポリエチレングリコールおよびその誘導体を含む。それらは、単一または2つ以上の組み合わせのいずれかで使用され得る。必要に応じて、本発明の組成物は、坐薬において通常使用される、表面−活性薬剤、着色剤等をさらに含み得る。
【0183】
本発明の医薬組成物は、必要であれば高温度で、撹拌または製粉機において、活性成分、吸収補助剤、および任意で基剤等の所定の量を一様に混合することによって調製され得る。得られた組成物は、例えば、混合物を鋳型に流すか、またはカプセル充填機を使用してゼラチンカプセルに形成することによって、単位剤形で坐薬に形成され得る。
【0184】
本発明による組成物は、鼻噴霧、点鼻剤、懸濁液、ゲル、軟膏、クリーム、または粉末として投与することもできる。組成物の投与は、本発明の組成物を含有する鼻タンポンまたは鼻スポンジを使用することを含むこともできる。
【0185】
本発明で使用することができる鼻用送達システムは、水性製剤、非水性製剤、およびそれらの組み合わせを含む、様々な形態を取ることができる。水性製剤として、例えば、水性ゲル、水性懸濁液、水性リポソーム分散液、水性乳液、水性マイクロエマルション、およびそれらの組み合わせを含む。非水性製剤は、例えば、非水性ゲル、非水性懸濁液、非水性リポソーム分散液、非水性乳液、非水性マイクロエマルション、およびそれらの組み合わせを含む。様々な形態の鼻用送達システムは、pHを維持するための緩衝液、医薬的に許容される増粘剤、および保湿剤を含むことができる。緩衝液のpHは、鼻粘膜の全体で、治療薬の吸収を最適化するように選択することができる。
【0186】
非水性鼻用製剤に関して、製剤が哺乳類の鼻腔に送達される際、選択されたpHの範囲が、例えば、鼻粘膜に接触する時にその中で到達されるように、緩衝剤の適切な形態は、選択することができる。本発明においては、組成物のpHは、約2.0〜約6.0で維持されるべきである。組成物のpHが、投与の時に受容体の鼻粘膜に対して顕著な刺激を引き起こさないpHであることが望ましい。
【0187】
本発明の組成物の粘性は、医薬的に許容される増粘剤を使用して、所望の濃度に維持することができる。本発明によって使用することができる増粘剤として、メチルセルロース、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、およびそれらの組み合わせを含む。増粘剤の濃度は、選択される薬剤および所望の粘性に依存する。そのような薬剤は、上述の粉末製剤において使用することもできる。
【0188】
本発明の組成物は、粘膜の乾燥を軽減または予防し、その刺激を予防する保湿剤を含むこともできる。本発明において使用することができる適切な保湿剤は、ソルビトール、鉱油、植物油、およびグリセロール、緩和剤、膜調整剤、甘味料、ならびにそれらの組み合わせを含む。本発明における保湿剤の濃度は、選択される薬剤によって異なる。
【0189】
1つ以上の治療薬は、鼻用送達システム、または本明細書に記載される、任意の他の送達システムに組み込まれ得る。
【0190】
局所投与に対して処方される組成物は、液体または半固体(例えば、ゲル、ローション、乳液、クリーム、軟膏、スプレー、またはエアロゾルを含む)であってもよいか、または「有限」担体、例えば、湿布、生体接着剤、包帯、または救急絆を含む、その形態を保持する非敷料と組み合わせて提供され得る。それは、水性または非水性であってもよく、溶液、乳液、分散液、懸濁液、または任意の他の混合物として処方され得る。
【0191】
投与の様々な形態として、皮膚、目または粘膜への局所適用を含む。したがって、典型的な媒体は、体表面への医薬的または化粧用途に適切なものである。本明細書において提供される組成物は、患者の体における様々な部分に局所または限局的に適用され得る。上記のように、局所適用は、例えば、皮膚(外珠皮または被膜)および粘膜(粘膜産生、分泌および/または含有表面)等の接近可能な体表面の組織への適用を指すことを目的とする。例示的な粘膜面は、目、口(唇、舌、歯茎、頬、舌下、および口蓋等)、喉頭、食道、気管支、鼻道、膣、および直腸/肛門の粘膜面を含み、実施形態の一部においては、好ましくは、口、喉頭、食道、膣、および直腸/肛門であり、他の実施形態においては、好ましくは、目、喉頭、食道、気管支、鼻道、および膣および直腸/肛門である。上記のように、本明細書における局所塗布は、例えば、関節、軟組織部(筋肉、腱、靱帯、眼球内、または他の肉質内部等)、または体の他の内部等、体の離れた内部への適用を指す。したがって、本明細書で使用されるように、局所塗布は、体の離れた部分への適用を指す。
【0192】
本組成物の局所および/または限局投与に関して、望ましい有効性は、例えば、望ましい抗痛覚過敏の鎮痛を提供するために、痛覚過敏部分に実質的に到達する、皮膚および/または組織への本発明の治療薬の浸透を含み得る。本組成物の有効性は、例えば、中枢麻薬性鎮痛薬によって得られるものとほぼ同等であり得る。しかしながら、本明細書において詳細に述べられるように、本発明の治療薬によって得られる有効性は、本発明の治療薬は、血液脳関門を通過しないと考えられるため、好ましくは、例えば、呼吸抑制、鎮静状態、および依存症を含む、中枢アヘン剤に通常関連する好ましくない影響を伴わずに得られる。
【0193】
また、水性媒体を含む実施形態を含む、ある実施形態においては、組成物は、グリコール、すなわち、2つ以上のヒドロキシ基を含有する化合物を含有し得る。組成物における使用に対して特に好ましいのは、グリコールは、プロピレングリコールである。これらの実施形態において、グリコールは、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、0より高く約5重量%までの濃度で組成物に含まれる。より好ましくは、組成物は、約0.1〜約5重量%未満、より好ましくは、約0.5〜約2重量%のグリコールを含有する。さらにより好ましくは、組成物は、約1重量%のグリコールを含有する。
【0194】
関節内投与等の局所内部投与に対して、組成物は、好ましくは、等張緩衝液等の水性媒介物中の溶液または懸濁液として処方されるか、または内部投与を目的とする生体適合担体または生体接着剤と組み合わされる。
【0195】
例えば、懸濁液、分散液、または乳液の形態であり得るローションは、1つ以上の化合物の有効濃度を含有する。好ましくは、有効濃度とは、一般的に、本明細書において提供される1つ以上の化合物の約0.1〜50%[重量で]以上の濃度で、有効量を送達することである。ローションは、[重量で]1%〜50%の皮膚軟化剤および均衡水、適切な緩衝剤、および上述のような他の薬剤もまた含有する。人の皮膚への適用に適切な、当業者に周知の任意の皮膚軟化剤が使用され得る。これらとして、それらに限定されないが、以下を含む:(a)鉱油、ペトロラタム、パラフィン、セレシン、オゾケライト、微結晶ワックス、ポリエチレン、およびペルヒドロスクアレンを含む、炭化水素油およびワックス。(b)ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、水溶性およびアルコール可溶性シリコーン−グリコールコポリマーを含む、シリコーン油。(c)植物、動物、および海洋源由来のものを含む、トリグリセリド脂肪および油。例として、それらに限定されないが、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、ヤシ油、ごま油、および大豆油を含む。(d)アセチル化モノグリセリド等のアセトグリセリドエステル。(e)エトキシル化モノステアリン酸グリセリン等のエトキシル化グリセリド。(f)10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル。脂肪酸のメチル、イソプロピル、およびブチルエステルは、本明細書において有用である。例として、それらに限定されないが、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、および乳酸セチルを含む。(g)10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル。それらの例として、それらに限定されないが、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、およびオレイン酸オレイルを含む。(h)9〜22個の炭素原子を有する脂肪酸。適切な例として、それらに限定されないが、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸、およびエルカ酸を含む。(i)ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシステアリル、オレイル、リシノレイル、ベへニル、エルキル、および2−オクチルドデシルアルコール等(ただしこれらに限定されない)の10〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコール。(j)1〜50個のエチレンオキシド基、または1〜50個のプロピレンオキシド基、またはそれらの混合物からそれに付着した、それらに限定されないが、ラウリル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、およびコレステロールアルコール等の、それらに限定されないが、10〜20個の炭素原子のエトキシル化脂肪アルコールを含む、脂肪アルコールエーテル。(k)エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステル等のエーテル−エステル。(l)ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸イソプロピル、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、エトキシル化コレステロール、プロポキシル化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、リノール酸ラノリンアルコール、リシノール酸ラノリンアルコール、リシノール酸ラノリンアルコールの酢酸、エトキシル化アルコール−エステルの酢酸、ラノリンの水素化分解、エトキシル化水素化ラノリン、エトキシル化ソルビトールラノリン、および液体および半固体ラノリン吸収基剤(これらに限定されない)を含む、ラノリンおよび誘導体。(m)プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール[M.W.2000−4000]、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール、グリセロール、エトキシル化グリセロ0ール、プロポキシル化グリセロール、ソルビトール、エトキシル化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール[M.W.200−6000]、メトキシポリエチレングリコール350、550、750、2000、5000、ポリ(エチレン酸化物)ホモポリマー[M.W.100,000−5,000,000]、ポリアルキレングリコールおよび誘導体、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、1,3−ブチレングリコール、1,2,6,−ヘキサントリオール、エトヘキサンジオールUSP(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、C.sub.15−C.sub.18隣接グリコール、およびトリメチルオルプロパンのポリオキシプロピレン誘導体(これらに限定されない)を含む、多価アルコールおよびポリエーテル誘導体。(n)エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール[M.W.200−6000]、モノおよびジ脂肪エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化モノステアリン酸グリセリン、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(これらに限定されない)を含む、多価アルコールエステル。(o)蜜ろう、鯨ろうを含む、ワックスエステル、ミリスチン酸ミリスチル、およびステアリン酸ステアリル、およびこれらに限定されないが、エーテル−エステルの混合物を形成する様々なエチレン酸化物含有量のエトキシル化ソルビトールとの、蜜ろうの反応生成物である、ポリオキシエチレンソルビトール蜜ろう(これらに限定されない)を含む、蜜ろう誘導体。(p)カルナバおよびカンデリラワックス(これらに限定されない)を含む、植物ワックス。(q)レシチンおよび誘導体等のリン脂質。(r)コレステロールおよびコレステロール脂肪酸エステルを含む、ステロール。(s)脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸アミド、および固体脂肪酸アルカノールアミド等のアミド。
【0196】
ローションは、さらに好ましくは、1%〜10%、より好ましくは、2%〜5%の乳化剤を[重量で]含む。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、またはカチオン性であり得る。十分な非イオン性乳化剤の例として、それらに限定されないが、10〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコール、2〜20モルのエチレン酸化物またはプロピレン酸化物で縮合される10〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコール、2〜20モルのエチレン酸化物で縮合されるアルキル鎖における6〜12個の炭素原子を有するアルキルフェノール、エチレン酸化物のモノおよびジ脂肪酸エステル、脂肪酸部分が10〜20個の炭素原子を含有するエチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、分子量200〜3000のプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレンソルビタン、および親水性ワックスエステルを含む。適切なアニオン性乳化剤として、それらに限定されないが、脂肪酸部分が、10〜20個の炭素原子を含有する、脂肪酸石鹸、例えば、ナトリウム、カリウム、およびトリエタノールアミン石鹸を含む。他の適切なアニオン性乳化剤として、それらに限定されないが、アルカリ金属、アンモニウムまたは置換アンモニウムアルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、およびアルキル部分において10〜30個の炭素原子を有するアルキルエトキシエーテルスルホン酸塩を含む。アルキルエトキシエーテルスルホン酸塩は、1〜50のエチレン酸化物単位を含有する。とりわけ、十分なカチオン性乳化剤は、第四級アンモニウム、モルフォリニウム、およびピリジニウム化合物である。前項に記載される特定の皮膚軟化剤は、乳化性も有する。そのような皮膚軟化剤を含有するローションが処方される場合、付加的な乳化剤は、組成物に含むことができるが、必要ではない。
【0197】
ローションのバランスは、水またはC2またはC3アルコール、もしくは水とアルコールの混合物である。ローションは、単に、すべての成分を混合することによって処方される。好ましくは、ロペラミド等の化合物は、溶解、または懸濁されるか、そうでなければ、混合物において一様に分散される。
【0198】
そのようなローションの他の従来の成分が、含まれ得る。そのような1つの添加剤は、重量で組成物の1%〜10%の濃度の増粘剤である。適切な増粘剤の例として、それらに限定されないが、架橋カルボキシポリメエチレンポリマー、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、トラガカントゴム、カラヤゴム、キサンタンゴムおよびベントナイト、ヒドロキシエチルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルセルロースを含む。
【0199】
クリームは、治療される組織へ本発明の治療薬の有効量を送達するために有効な濃度、典型的には、約0.1%、好ましくは、1%〜50%まで、およびそれ以上、好ましくは、約3%〜50%、より好ましくは、約5%〜15%の本発明の治療薬を含有するように処方することができる。クリームは、5%〜50%、好ましくは、10%〜25%の皮膚軟化剤も含有し、残りは、水、または等張緩衝液等の他の適切な非毒性担体である。ローション用の、上述のような皮膚軟化剤は、クリーム組成物において使用することもできる。クリームは、上述のような適切な乳化剤も含み得る。乳化剤は、3%〜50%、好ましくは、5%〜20%の濃度で組成物に含まれる。
【0200】
溶液または懸濁液として処方されるこれらの組成物は、皮膚に適用され得るか、またはエアロゾルあるいは発泡体として処方され、スプレー式のものとして皮膚に適用され得る。エアロゾル組成物は、通常、[重量で]25%〜80%、好ましくは、30%〜50%の適切な推進剤を含む。そのような推進剤の例として、塩素化、フッ素化、およびクロロフッ素化の分子量が低い炭化水素がある。亜硝酸酸化物、二酸化炭素、ブタン、およびプロパンも、推進剤ガスとして使用される。これらの推進剤は、当業者には明らかであるように、容器の含有量を放出するために適切な量および圧力下で使用される。
【0201】
適切に調製された溶液および懸濁液は、眼および粘膜に局所的に適用され得る。溶液、特に、眼への使用を目的とするものは、適切な塩を有する、pH約5〜7の、好ましくは、約0.1%、好ましくは、1%以上で50%まで、またはそれ以上の濃度の、本明細書に記載される1つ以上の化合物を含有する、0.01%〜10%の等張液として処方され得る。適切な点眼剤は、周知である[例えば、局所適用に対する点眼洗浄液および溶液の典型的な組成物を記載する、米国特許番号第US5,116,868号を参照]。約7.4に調整したpHを有する、そのような溶液は、例えば、90〜100mMの塩化ナトリウム、4〜6mMのリン酸水素二カリウム、4〜6mMのリン酸水素二ナトリウム、8〜12mMのクエン酸ナトリウム、0.5〜1.5mMの塩化マグネシウム、1.5〜2.5mMの塩化カルシウム、15〜25mMの酢酸ナトリウム、10〜20mMのD.L.−ナトリウム、.β.−ヒドロキシ酪酸塩、および5〜5.5mMのグルコースを含有する。
【0202】
ゲル組成物は、単に、適切な増粘剤を前述の溶液または懸濁液組成物に混合することで処方することができる。ローションに関する適切な増粘剤の例は、前述されている。
【0203】
ゲル状の組成物は、本発明の治療薬の有効量、典型的には、本明細書において提供される1つ以上の化合物の重量で約0.1〜50%以上の濃度を含有し、前述のような有機溶剤の5%〜75%、好ましくは、10%〜50%、増粘剤の0.5%〜20%、好ましくは、1%〜10%であり、バランスは、例えば、有機液体、または担体の混合物等の水、または他の水性あるいは非水性担体である。
【0204】
製剤は、定常血漿中濃度を作成するように構成および用意することができる。定常血漿濃度は、当業者に周知のHPLC法を使用して測定することができる。定常状態は、薬物可用性の割合が、循環からの薬物脱離の割合と同等である場合に得られる。典型的な医療の場面においては、本発明の治療薬は、定期的な投与計画または一定の注入レジメンのいずれかで患者に投与される。血漿中の薬物濃度は、投与の開始直後に上昇する傾向があり、薬物が、代謝、または排出による、細胞および組織への分配によって、循環から脱離されるにつれて、時間とともに経時的に下がる傾向がある。定常状態は、平均薬物濃度が時間とともに一定になると得られる。間欠投与の場合、薬物濃度の周期パターンは、一定に留まる平均濃度で、各投与間隔において同一に繰り返される。一定注入の場合、平均薬物濃度は、ほとんど変化せずに一定になる。定常状態の達成は、周期が投与間で同一に繰り返されていることが確認できるように、少なくとも1つの周期の投与にわたって血漿中の薬物濃度を測定することによって判断される。一般的に、間欠投与計画では、定常状態の維持は、次の用量を投与する直前に、周期の継続的トラフにおける薬物濃度を判断することによって確認することができる。濃度の変化が少ない一定注入レジメンでは、定常状態は、薬物濃度の任意の2つの連続測定によって確認することができる。
【0205】
本発明の化合物の経口生物学的利用能を改善するために、腸管膜透過性を増加させる賦形剤が使用され得る(Aungst,B.J.J Pharmaceutical Science Vol.89,Issue 4,pp.429−442,2000)。透過促進剤は、界面活性剤、脂肪酸、中鎖グリセリド、ステロイド性洗浄剤、アシルカルニチンおよびアルカノイルコリン、N−アセチル化アルファ−アミノ酸およびN−アセチル化非アルファ−アミノ酸、およびキトサン、ならびに別の粘膜接着性ポリマーを含み得る。特定の例としては、コール酸塩、グリココール酸塩、グリコウルソデオキシコール酸塩、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、テトラデシル−ベータ−D−マルトース、オクチルグルコシド、クエン酸、グリシルレチン酸、およびTween−80(登録商標)を含む(Shah,R.B.et al.,J Pharm.Sci Apr93(4):1070−82,2004)。
【0206】
オピオイド製剤を含有する容器、および(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム製剤を含有する容器を含むキットが、実施形態に含まれる。1つの(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム製剤においては、製剤は、ペレットを含有する錠剤であり、一部は、ペーハー感受性物質を有する腸溶性であり、一部は、胃において即時に(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを放出するように構成および用意される。キットは、便秘しているか、もしくは便秘または胃腸非運動性の症状を有する被験体に錠剤を投与するための取扱説明書も含み得る。取扱説明書は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムが、その(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体を有さない純粋な(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムであることを示す、例えば、文書での印しを含み得る。キットは、医薬品バイアル、および医薬品希釈剤バイアルを含み得る。希釈剤バイアルは、例えば、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの濃縮溶液または凍結乾燥粉末となり得るものを希釈するための生理食塩水等の希釈剤を含有し得る。取扱説明書は、希釈剤の特定の量と濃縮医薬品の特定の量を混合し、注射または注入用の最終製剤を調製するための指示を含むことがある。取扱説明書は、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの有効量で患者を治療するための指示を含み得る。当然のことながら、容器がボトル、隔壁付きバイアル、隔壁付きアンプル、輸液バッグ等であっても、製剤を含有する容器は、製剤が加圧滅菌処理されたか、またはそうでなければ消毒された場合に色が変化する、従来のマーキング等の付加的しるしを含有することができる。
【0207】
本発明は、その適用において、以下の説明で記載されるか、または図面において説明される成分の構成および配置の詳細に限定されるものではない。本発明は、別の実施形態が可能であり、様々な方法で履行または実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現および専門用語は、説明のためであり、限定としてみなされるべきではない。本明細書における「含む」、「備える」または「有する」、「含有する」、「伴う」、およびその変形の使用は、それ以降に記載される項目およびその同等物、ならびに付加的項目を包含することを意味する。
【0208】
図1は、本発明の実施形態における、7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの可能な構造の1つを提供する。
【実施例1】
【0209】
(R)−17−アリル−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−6−ヨウ化オキソモルフィナニウム

【0210】
合成手順 ナルトレキソン(2.0g、5.86mmol)は、窒素下で、DMF(10mL、無水)に溶解した。ヨウ化アリル(0.5mL、5.18mmol)を添加した。混合物は、室温で4日間撹拌した。DMFを除去した。残基は、10分間、50mLの水で撹拌した。水性溶液は、固体沈殿物から分離し、ジクロロメタン(50mL)で洗浄した。凍結乾燥し、吸湿性固体(1.2g)を得た。この固体の0.2gを水(30mL)に溶解した。水溶液のpHは、Na2CO3によって10に調整した。この溶液は、ジクロロメタン(2×20mL)で洗浄、凍結乾燥し、黄色固体を得た。この固体は、後に、F27−RとF27−Sとの混合体として同定された、28mgの固体になるまで、逆相カラム(4g、C18)によって精製した。上記吸湿性固体(約1.0g)の残余は、同じ処理を行い、(R)および(S)の混合物として別の81mgの固体を得た。この81mgの固体は、分取HPLCで分離し、55mg(2%)の(R)および9.5mg(0.3%)の(S)を得た。
【0211】
R:H NMR(300MH、DO)δ6.83(d,J=8.4H,1H)、6.77(d,J=8.4Hz,1H)、6.14−6.44(m,1H)、5.73−5.67(m,1H)、5.13−5.04(m,1H)、5.04(s,1H)、4.97−4.89(m,1H)、3.72−3.58(m,3H)、3.17−2.83(m,5H)、2.30−2.25(m,1H)、2.16−2.09(m,1H)、1.88−1.78(m,1H)、1.24−1.14(m,1H)、0.85−0.75(m,2H)、0.52−0.42(m,2H)。MS[M]:382.2。HPLC純度:99%(254nmでのUV検出)。
【0212】
図2は、(S)−17−アリル−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−6−ヨウ化オキソモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルを提供する。
【0213】
S:H NMR(300MHz、DO)δ6.67(d,J=8.4Hz,1H)、6.39(d,J=8.4Hz,1H)、6.64(m,1H)、5.5.42(m,2H)、5.05(s,1H)、4.8(m,2H)、3.68(m,2H)、3.17(m,1H)、2.90(m,4H)、2.40(m,1H)、2.16(m,4H)、1.70(m,1H)、0.83(m,1H)、0.58(m,2H)、0.21(m,2H)。MS[M+]:382.2。HPLC純度:99%(254nmでのUV検出)。
【0214】
図3は、(R)−17−アリル−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−6−ヨウ化オキソモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルを提供する。
【実施例2】
【0215】
(R)−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化メチレンモルフィナニウム(F25)

【0216】
合成手順 NMP(2mL)中のナルメフェン(500mg、1eq.)の溶液に、ヨウ化メチル(1mL、10eq.)を添加し、55℃まで温めた。反応混合物を、この温度で、80時間撹拌し続けた。粗反応混合物は、溶離剤(勾配溶離)として水−メタノール溶剤混合物を使用して、逆相C−18カラムを通過させることにより精製し、白色粉末(60%)として表題化合物2を得た。
【0217】
H NMR(300MHz、D2O)δ6.80(d,J=8.25Hz,1H)、6.73(d,J=8.25Hz,1H)、5.28(s,1H)、5.18(s,1H)、4.94(s,1H)、3.96(m,2H)、3.63(s,3.2H)、3.57(s,0.63H)、3.28(m,1H)、3.18(m,1H)、3.03(m,1H)、2.71(m,2H)、2.56(m,1H)、2.18(m,1H)、1.75(m,2H)、1.41(td,1H、J=3.84、13.4Hz)、1.20(m,1H)、0.80(m,2H)、0.56(m,1H)、0.37(m,1H)。MS[M]:354.28。HPLC純度:93.5%(254nmでのUV検出)。
図5は、(R)−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化メチレンモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルを示す。
【実施例3】
【0218】
(R)−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6β−ヒドロキシ−8−プロポキシ−トリフルオロ酢酸塩モルフィナニウム

【0219】
合成手順 n−プロパノール中の、デルタ7−臭化メチルナルトレキソン(120mg、0.4mmol)と、粉末炭酸カリウム(1mg、0.07mmol)との混合物は、水蒸気浴上で加熱し、その後、室温まで一晩冷却した。HPLC分析は、13%の8−プロポキシ−N−メチルナルトレキソン中間体を示した。DBU(50mg)を添加し、反応物を撹拌し、さらに4時間後、HPLC分析は、12%の生成物を示した。さらに炭酸カリウム(100mg、0.72mmol)を添加し、反応物を、室温で一晩継続させた。HPLC分析は、中間体の量が9%に減少したことを示した。反応物に、水素化ホウ素ナトリウム(4mg、0.1mmol)を充填し、室温で一晩撹拌した。翌朝、水素化ホウ素ナトリウム(4mg、0.1mmol)の別の部分を添加し、反応物を、熱した水道水で温め、再度、一晩撹拌した。溶剤は、真空で除去し、残基は、95:5の水:メタノール中の5mlの0.1%トリフルオロ酢酸に溶解し、0.1%トリフルオロ酢酸とともに95:5〜35:65の水:メタノールの直線勾配で溶出された逆相C18カラム(Biotage、40M)に負荷した。留分を含有する生成物を組み合わせ、溶剤を真空で除去し、21.4mgの生成物2(収率15%、HPLCによる純度96%、異性体6β:6αの比率90:6)を得た。
【0220】
H NMR(300MHz、CD3OD)δ6.77(s,2H)、4.86(s,1H)、4.42(d、1H)、4.04(br,d1H)、3.9(dd,1H)、3.7(s,3H)、3.6−3.2(m,4H)、3.2−2.7(m,5H)、2.1−1.5(m,6H)、1.25(m,1H)、0.95(t,J=7.3、3H)、0.85(m,1H)、0.65(m,1H)、0.48(m,1H)。MS[M]:417.2。HPLC純度:95.2%(280nmでのUV検出)。
【実施例4】
【0221】
(R)−17−シクロブチルメチル−4,5α−エポキシ−3

【0222】
合成手順
(i)17−シクロブチルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−オキソモルフィン DMF(5mL)中のノルオキシモルホン(500mg、1eq.)溶液に、重炭酸ナトリウム(160mg、1.1eq.)および臭化シクロブチルメチル(215μL、1.1eq.)を添加した。反応混合物は、90℃で一晩撹拌した。反応混合物は、室温まで冷却し、クロロホルム(20mL)で希釈し、ブラインで洗浄した。水性洗浄物を、クロロホルムで抽出し(3×50mL)、有機物を分離収集した。組み合わせたクロロホルム抽出物は、無水MgSO上で乾燥させ、濃縮した。生成物は、溶離剤としてジクロロメタン−メタノール(98:2)を使用して、シリカカラムクロマトグラフィー(10gのSiO)によって精製し、178mg(47%)の化合物1を得た。
【0223】
(ii)(R)−17−シクロブチルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化オキソモルフィナニウム(B5) 2mLのNMP中の化合物1(419mg、1eq.)の溶液に、ヨウ化メチル(735μL、10eq.)を添加し、室温で時間撹拌した。粗反応混合物を、ジクロロメタンと重炭酸ナトリウム溶液(pH>10)との間で分離した。水相を凍結乾燥し、溶離剤(勾配溶離)として水−メタノール溶剤混合物を使用して、逆相C−18カラムに通過させることによって精製した淡褐色固体を得、白色粉末(14mg)として表題化合物2を得た。
【0224】
H NMR(300MHz、DO)δ6.81(d,J=8.25Hz,1H)、6.75(d,J=8.25Hz,1H)、5.01(s,1H)、3.93(d,J=4.02、1H)、3.69(m,1H)、3.53(s,3H)、3.38(m,3H)、3.02(m,5H)、2.19(m,7H)、1。
【0225】
図4は、(R)−17−シクロブチルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化オキソモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルを提供する;.79(m,3H)。MS[M]:370.8。HPLC純度:98%(254nmでのUV検出)。
【実施例5】
【0226】
(R)−17−シクロペンチルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化メチレンモルフィナニウム(B2)

【0227】
合成手順
(i)17−シクロペンチルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−オキソモルフィン(1) DMF(5mL)中のノルオキシモルホン(502mg、1eq.)の溶液に、重炭酸ナトリウム(160mg、1.1eq.)およびヨウ化シクロペンチルメチル(251μL、1.1eq.)を添加した。反応混合物は、90℃で一晩撹拌した。反応混合物は、室温まで冷却し、クロロホルム(20mL)で希釈し、臭化物で洗浄した。水性洗浄物を、クロロホルムで抽出し(3×50mL)、有機物を分離収集した。混合したクロロホルム抽出物は、無水MgSO上で乾燥させ、濃縮した。生成物は、溶離剤としてジクロロメタン−メタノール(98:2)を使用して、シリカカラムクロマトグラフィー(10gのSiO)によって精製し、322mg(50%)の化合物1を得た。
【0228】
(ii)(R)−17−シクロペンチルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化オキソモルフィナニウム、O−5281 2mLのNMP中の化合物1(322mg、1eq.)の溶液に、ヨウ化メチル(542μL、10eq.)を添加し、室温で80時間撹拌した。粗反応混合物は、ジクロロメタンと重炭酸ナトリウム溶液(pH>10)との間で分離した。水相を凍結乾燥し、溶離剤(勾配)として水−メタノールを使用して、逆相C−18カラムを通過させることによって精製したオフホワイト固体を得、0.1%TFAとともに水/メタノール(70/30)を使用して、分取HPLCによってさらに精製し、白色固体として9mgの表題化合物2を得た。
【0229】
H NMR(300MHz、DO)δ6.80(d,J=8.25Hz,1H)、6.75(d,J=8.25Hz,1H)、5.00(s,1H)、3.98(d,J=4.11、1H)、3.83(m,1H)、3.61(s,3H)、3.48(m,1H)、3.37(m,1H)、3.05(m,6H)、2.27(m,1H)、2.02(m,3H)、1.76(m,6H)、1.25(m,2H)。MS[M]:384.3。HPLC純度:100%(254nmでのUV検出)。
【実施例6】
【0230】
薬効薬理
モルモットの回腸のμ−オピオイド受容体でのアゴニストおよびアンタゴニスト活性について評価した、(R)−17−シクロプロピルメチル−4.5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6β−8−プロポキシ−トリフルオロ酢酸塩モルフィナニウム(「(R)−CPM」)(71)および(R)−17−シクロペンチルメチル—4,5α−エポキシ−3,14−ジヒドロキシ−17−メチル−6−ヨウ化オキソモルフィナニウム(「(R)−CPTM」)の効果
【0231】
μ−オピオイド受容体におけるアゴニスト/アンタゴニスト活性は、周知のモルモット回腸試験を使用して判断された。つまり、回腸部分の一部は、緊張状態で、安定化溶液に配置された。潜在的アゴニスト/アンタゴニストでの試みの前後での組織への電気刺激時に、緊張の変化を測定するために、トランスデューが使用された。対照を使用して、収縮抑制、および収縮抑制解除は、測定され得る。


結果は、DAMGOに対する制御反応の割合(単収縮幅の減少)で表わされる。
【0232】
本明細書において引用、または参照されるすべての特許、特許出願、および科学出版物の開示は、付加的または代替的な詳細、特性および/または技術背景の教示に適切である場合、2006年5月25日出願の、「(R)−N−メチルナルトレキソンの合成」と称される米国特許出願第US11/441,395号、および「(S)−N−メチルナルトレキソン」と称される第US11/441,452号を含む、参考文献によって組み込まれる。参照することにより組み込まれる文書と、本出願が不一致の場合、本出願が優先する。
【0233】
したがって、本発明のいくつかの実施形態が記載されたが、様々な変更、修正、および改善が容易に行われることは、当業者にとって有難いことである。そのような変更、修正、および改善は、本開示の一部であることを目的とし、発明の精神および範囲内であることを目的とする。したがって、前述の説明および図面は、例示のみを目的とする。
【0234】
実施形態に関する声明
本発明は、実施例に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神または範囲を逸脱することなく、様々な変更および/または修正を本発明に加えることができることを、当業者は容易に理解するであろう。引用されるすべての文書は、付加的または代替的な詳細、特性および/または技術的背景の教示のために、必要に応じて、本明細書に参照によって組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I(c)の窒素に対して(R)構成の単離化合物、またはその医薬的に許容される塩形態もしくはプロドラッグ形態。

式I(c)中、
およびRは、独立してH、OH、OR26、ハロゲン化物、シリル;ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはその置換された部分であるか、
またはRおよびRは結合して、R19、ベンゾ縮合環、または5〜6員ヘテロアリール縮合環に従って置換され得るC−C炭素環縮合環を形成することもでき、
は、H、シリル、CO19、SO19、B(OR26
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
–Cアシルであり、
は、H、OH、OR26
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリールであり、
は、H、=O、OH、OR26、=(R19)(R19´)、=(0−3R20で置換されるヘテロ環)、=(0−3R20で置換されるC−C環);
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
アミン、アミド、スルホンアミド、またはエステルであり、
およびRは、独立してH、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、またはその置換された部分であるか、

(式中、Xは、結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19′′)、COOである)
またはRおよびRは結合して、R19、ベンゾ縮合環、0−3R20を有する5、6、または5〜6員アリールまたはヘテロアリールに従って置換され得る炭素環縮合環を形成し、
14は、H、OH、OR26、NR2223SR25、S(=O)R25、SO25、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、

(式中、Xは、結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19′′)、COOである)、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;アリールオキシ、アシルオキシ、
または、R14は、第四級窒素に対するその構成によって、R18と結合して、O−縮合環、またはC−C炭素環縮合環を形成することができ、
17およびR18は、R18がメチルである場合、R17は、アリル、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキルではない、置換され得るC−Cヒドロカルビル、

(式中、Xは、結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19′′)、COOである)であり、
19は、各発生時に、H、C−Calkyl、CF、R24、Cl、F、Br、I、=O、CN、NO、NR2223、0−3R20で置換されるアリール;
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環であって、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員ヘテロ環、
より独立して選択され、
20は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO
NR2223、アセチル、OR25、XR25
C1−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択され、
21は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、CF、アセチル、OR25、XR25
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択されるか、または
NR2223は、ピペリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、およびモルホリニルの群より選択される複素環であってもよく、
22は、各発生時に、H、C−Cアルキル、C−C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルアリール、アリールアルキル、(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
23は、各発生時に、H、(C−C)アルキル、ベンジル、フェネチル、C−C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルアリール、ハロアルキル、アリールアルキル、(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
24は、各発生時に、H、フェニル、ベンジル、(C−C)アルキル、および(C−C)アルコキシアルキルより独立して選択され、
25は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、
26は、各発生時に、
H、C−Cアルキル、CF
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環であって、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R27で置換される、5〜10員ヘテロ環、より独立して選択され、
X−は、アニオンである。
【請求項2】
式Iの窒素に対して(R)構成の単離化合物、またはその医薬的に許容される塩形態もしくはプロドラッグ形態。

式I中、
およびRは、独立してH、OH、OR26、ハロゲン化物、シリル;ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはその置換された部分であるか、またはRおよびRは結合して、R19、ベンゾ縮合環、または5〜6員ヘテロアリール縮合環に従って置換され得るC−C炭素環縮合環を形成することもでき、
は、H、シリル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
−Cアシルであり、
は、H、OH、OR26
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリールであり、
は、H、=O、OH、OR26
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
アミン、アミド、スルホンアミド、またはエステルであり、
およびRは、独立してH、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはその置換された部分であるか、またはRおよびRは結合して、R19、ベンゾ縮合環、または5〜6員ヘテロアリール縮合環に従って置換され得る炭素環縮合環を形成し、
14は、H、OH、OR26、NR2223、SR25、S(=O)R25、SO25
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;アリールオキシ、アシルオキシであるか、
またはR14は、第四級窒素に対するその構成によって、R17またはR18と結合して、O−縮合環、またはC−C炭素環縮合環を形成することができ、
17およびR18は、R18がメチルである場合、R17はアリルではない、置換され得るC−Cヒドロカルビルであり、
19は、各発生時に、
H、C−Cアルキル、CF、OR24、Cl、F、Br、I、=O、CN、NO、NR2223
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環であって、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員ヘテロ環、
より独立して選択され、
20は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、アセチル、SCH、S(=O)CH、S(=O)CH
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択され、
21は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、CF、アセチル、SCH、S(=O)CH、S(=O)CH
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択されるか、または
NR2223は、ピペリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、およびモルホリニルの群より選択される複素環であってもよく、
22は、各発生時に、H、C−Cアルキル、ベンジル、フェネチル、
(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
23は、各発生時に、
H、(C−C)アルキル、ベンジル、フェネチル、
(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)
より独立して選択されるか、
またはR23は、R22と結合して、0−3R20を有する5、6、5〜7員環を形成することができ、
24は、各発生時に、H、フェニル、ベンジル、(C−C)アルキル、ハロアルキルおよび(C−C)アルコキシアルキルより独立して選択され、
25は、アルキル、アリール、XR24、ハロアルキル、またはアリールアルキルであり、
26は、各発生時に、
H、C−Cアルキル、CF
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環であって、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員ヘテロ環、
より独立して選択され、
X−は、アニオンである。
【請求項3】
前記アニオンが、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、またはアニオン荷電有機種である請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項4】
前記アニオンが、ハロゲン化物である請求項3に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項5】
前記ハロゲン化物が、臭化物またはヨウ化物である請求項4に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項6】
少なくとも90%の純度を有する、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項7】
少なくとも95%の純度を有する、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項8】
結晶形態を含む、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項9】
結晶形態を含む、請求項4に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項10】
前記R−構成が前記第四級窒素に対して95%純粋である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項11】
前記R−構成が前記第四級窒素に対して98%純粋である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項12】
前記R−構成が前記第四級窒素に対して99.5%純粋である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項13】
前記R−構成が前記第四級窒素に対して99.8%純粋である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項14】
前記R−構成が前記第四級窒素に対して約90%純粋である、請求項2に記載の前記化合物含む組成物、もしくはその医薬的に許容される塩形態、またはプロドラッグ形態。
【請求項15】
前記組成物が溶液である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が固体である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
請求項2に記載の前記化合物の治療有効量を含む、医薬組成物、および医薬的に許容される担体。
【請求項18】
前記組成物が経口製剤である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物が制御放出または持続放出製剤中にある、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物が局所製剤である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が凍結乾燥している、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記組成物が坐薬である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項17に記載の前記医薬組成物を含有する吸入器。
【請求項24】
請求項17に記載の前記医薬組成物を含有する鼻噴霧装置。
【請求項25】
請求項2に記載の前記化合物は、前記窒素に対してR構成にあり、前記組成物が、0.02%の検出限界および0.05%の定量限界において、HPLCで検出可能なS構成対応物立体異性体を含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記組成物が、0.02%の検出レベルおよび0.05%の定量レベルにおいて、HPLCで検出可能なS構成対応物を有さない、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記保護基が、イソブチリル、2−メチルブチリル、t−ブチルカルボニル、シリルエーテル、2−テトラヒドロピラニルエーテル、および炭酸アルキルから成る基より選択される、請求項2に記載の単離3−O−保護化合物塩。
【請求項28】
(S)対応立体異性体以外の治療薬をさらに含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項29】
前記治療薬がオピオイドアゴニストである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記オピオイドが、アルフェンタニル、アニレリジン、アシマドリン、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、フェドトジン、フェンタニル、フナルトレキサミン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバロルファン、酢酸レボメタジル、レボルファノール、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メサドン、モルヒネ、モルヒネ−6−グルクロニド、ナルブフィン、ナロルフィン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トリメブチン、トラマドール、およびそれらの組み合わせから成る基より選択される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
オピオイド、またはオピオイドアンタゴニストである、少なくとも1つの医薬品をさらに含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項32】
少なくとも1つの医薬品が、非オピオイド/解熱剤、抗ウイルス薬、抗感染症薬、抗癌剤、鎮痙剤、抗ムスカリン剤、抗炎症性剤、機能調整薬、5HT1アゴニスト、5HT3アンタゴニスト、5HT4アンタゴニスト、5HT4アゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、アルファ2−アドレナリンアゴニスト、鉱油、抗鬱剤、漢方薬、抗嘔吐薬、抗下痢薬、下剤、便軟化剤、繊維、または造血促進剤である請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記抗炎症剤が、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、腫瘍壊死因子阻害剤、バシリキシマブ、ダクリズマブ、インフリキシマブ、ミコフェノール酸、モフェチル、アザチオプリン、タクロリムス、ステロイド、スルファサラジン、オルサラジン、メサラミン、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
請求項2に記載の前記化合物、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項35】
経口投与に対して腸溶性である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項36】
凍結乾燥製剤中にある、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項37】
持続放出製剤または即時放出製剤中にある、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項38】
オピオイドをさらに含む請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記オピオイドが、アルフェンタニル、アニレリジン、アシマドリン、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、シュウ酸ジフェニル、フェドトジン、フェンタニル、フナルトレキサミン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバロルファン、酢酸レボメタジル、レボルファノール、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メサドン、モルヒネ、モルヒネ−6−グルクロニド、ナルブフィン、ナロルフィン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トリメブチン、トラマドール、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項38記載の医薬組成物。
【請求項40】
オピオイド、またはオピオイドアンタゴニストではない、少なくとも1つの医薬品をさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
少なくとも1つの医薬品が、抗ウイルス薬、抗感染症薬、抗癌剤、鎮痙剤、非オピオイド鎮痛剤/解熱剤、抗ムスカリン剤、抗炎症剤、機能調整薬、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、アルファ2−アドレナリンアゴニスト、鉱油、抗鬱剤、漢方薬、抗嘔吐薬、抗下痢薬、下剤、便軟化剤、繊維、または造血促進剤である請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記抗炎症剤が、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、腫瘍壊死因子阻害剤、バシリキシマブ、ダクリズマブ、インフリキシマブ、ミコフェノール酸、モフェチル、アザチオプリン、タクロリムス、ステロイド、スルファサラジン、オルサラジン、メサラミン、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
オピオイド誘導性副作用を治療または予防するための方法であって、副作用を治療または予防するために効果的な量の請求項34に記載の組成物を、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項44】
オピオイドを長期間投与している患者のオピオイド誘導性副作用を治療または予防するための方法であって、前記方法は、患者における副作用を予防または治療するために十分な量の請求項34に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項45】
前記副作用が、便秘、免疫抑制、胃腸運動の抑制、胃内容排出の抑制、吐き気、嘔吐、残便、膨満、腹部膨満、胃食道逆流の増加、低血圧、徐脈、胃腸障害、掻痒、不快感、および尿貯留からなる群より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
手術による疼痛に対してオピオイドを受ける患者を治療するための方法であって、胃腸運動、胃内容排出、または便秘の軽減を促進するために効果的な量の請求項34に記載の組成物を、患者に投与するステップを含む方法。
【請求項47】
内因性オピオイド誘導性機能障害を治療または予防するための方法であって、内因性オピオイド誘導性機能障害を治療するための有効量の請求項34の組成物を、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項48】
前記胃腸障害が、胃腸運動の抑制、便秘および術後大腸機能障害、肥満、高血圧、および依存症から成る群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項49】
特発性便秘を予防または治療するための方法であって、請求項34に記載してある、前記特発性便秘を予防または治療するために効果的な量の組成物を、患者に投与するステップを含む方法。
【請求項50】
過敏性腸症候群を治療するための方法であって、請求項34に記載してある、前記過敏性腸症候群の少なくとも1つの症状を改善するために効果的な量の組成物を、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項51】
前記患者への、少なくとも1つの過敏性腸症候群の治療薬の投与をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記過敏性腸症候群の治療薬が、鎮痙剤、抗ムスカリン剤、非ステロイド性またはステロイド性抗炎症剤、機能調整薬、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、アルファ2−アドレナリンアゴニスト、鉱油、抗鬱剤、漢方薬、抗下痢薬、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
便通を必要とする患者において、便通を誘導するための方法であって、請求項34に記載してある、便通を誘導するために効果的な量の組成物を、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項54】
請求項34に記載してある、術後大腸機能障害の少なくとも1つの症状を予防または改善するために効果的な量の組成物を、そのような予防または治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項55】
前記術後大腸機能障害が、遅延胃内容排出または胃腸運動の抑制である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
オピオイド誘導性副作用を治療または予防するための方法であって、請求項2に記載してある、前記副作用を治療または予防するために効果的な量の化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項57】
前記患者は、急性的または長期間オピオイドを投与されている、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記副作用が、便秘、免疫抑制、胃腸運動の抑制、胃内容排出の抑制、吐き気、嘔吐、残便、膨満、腹部膨満、胃食道逆流の増加、低血圧、徐脈、胃腸障害、掻痒、不快感、および尿貯留から成る群より選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記オピオイド誘導性副作用が、便秘である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記オピオイド誘導性副作用が、胃腸運動または胃内容排出の抑制である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記オピオイド誘導性副作用が、吐き気または嘔吐である、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記オピオイド誘導性副作用が、掻痒である、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記オピオイド誘導性副作用が、不快感である、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記オピオイド誘導性副作が、尿貯留である、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
手術による疼痛に対してオピオイドを受ける患者を治療するための方法であって、請求項2に記載してある、胃腸運動、胃内容排出、または便秘の軽減を促進するために効果的な量の組成物を、患者に投与するステップを含む方法。
【請求項66】
内因性オピオイド誘導性胃腸障害を治療または予防するための方法であって、請求項2に記載してある、前記内因性オピオイド誘導性胃腸障害を治療するための有効量の化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項67】
前記胃腸障害が、胃腸運動の抑制、便秘、および術後大腸機能障害から成る群より選択される請求項66に記載の方法。
【請求項68】
特発性便秘を予防または治療するための方法であって、請求項2に記載してある、前記特発性便秘を予防または治療するために効果的な量の化合物を、患者に投与するステップを含む方法。
【請求項69】
過敏性腸症候群を治療するための方法であって、請求項2に記載してある、前記過敏性腸症候群の少なくとも1つの症状を改善するために効果的な量の化合物を、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項70】
前記患者への、少なくとも1つの過敏性腸症候群の治療薬の投与をさらに含む請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記過敏性腸症候群の治療薬が、鎮痙剤、抗ムスカリン剤、非ステロイド性またはステロイド性抗炎症剤、機能調整薬、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、アルファ2−アドレナリンアゴニスト、鉱油、抗鬱剤、漢方薬、抗下痢薬、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
式Iaの(R)−立体異性体の単離化合物であって、

式Ia中、
17およびR18は、(a)または(b)より、代替的に互いに対して選択され、
(a)非置換または非ハロゲン置換:C−C(シクロアルキル)アルキルまたは(シクロアルケニル)アルキル、(シクロヘテリル)アルキル、(シクロアリール)アルキル;C−C(シクロアルキル)アルキルまたは(シクロアルケニル)アルキル、(シクロヘテリル)アルキル、(シクロアリール)アルキル、
(b)置換または非置換直線または分岐C−Cアルキル、C−Cアルケニル、またはC–アルキニル
(b)がメチルとして選択され、Rが=Oである場合、(a)は、非置換(シクロプロピル)メチルではなく、
は、H、OH、=O、=CH、−N(CH、または任意の環状環であるか、またはR7とともに環状環を形成し、
およびRは、Hまたはアルキルであり、
14は、H、OH、ハロゲン化物、アリールアミド、アミノ、N−アルキル、N−ジアルキル、N−アリール、N−アルキルアリール、N−シクロアルキルアルキル、SCH、S(=O)CH、S(=O)CH、アルコキシ、アリールオキシ、またはアリール−アルコキシであるか、R17またはR18とともに環状環を形成し、
およびRは、独立してH、ハロゲン化物、アルコキシ、アルキル、またはアリールであり、
は、H、C−Cアルキル、またはC−Cアシル、−シリルであり、
は、H、OH、アルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
X−は、アニオンである、化合物。
【請求項73】
式Ibの(R)−立体異性体の単離化合物であって、

式Ib中、
17およびR18は、置換または非置換C−Cヒドロカルビルであり、Rが=Oとして選択される場合、そのうちの少なくとも1つは、他方がシクロプロピルメチルである場合、メチルではなく、
は、H、OH、OR25、=O、=CH、−N−アルキル、N−ジアルキル、アシルオキシ、アルコキシ、アルキル、=CR′R′′であり、R′およびR′′は、独立してHまたはC−C10アルキル、または任意の環であるか、またはRは、Rとともに環を形成し、
およびRは、Hまたはヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、アルコキシ、アミン、アミド、ヒドロキシ、またはその置換された部分であり、
14は、H、OH、ハロゲン化物、N−アルキル、N−ジアルキル、N−アリール、N−アルキルアリール、N−シクロアルキルアルキル、SR25、S(=O)R25、SO25;アルコキシ、アリールオキシ、またはアリールアルコキシであるか、またはR17またはR18とともに環を形成し、
およびRは、独立してH、ハロゲン化物、アルコキシ、アルキル、またはアリールであり、
は、H、アルキル、C−Cアシル、シリルであり、
は、H、OH、アルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
25は、アルキル、アリール、アリールアルキルであり、
X−は、アニオンである、化合物。
【請求項74】
請求項2に記載の有効量の化合物を、内皮細胞の望ましくない移行または増殖によって特徴付けられる疾患を有する被験体に投与するステップを含む、治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−510328(P2010−510328A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538522(P2009−538522)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/085458
【国際公開番号】WO2008/064351
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509143859)プロジェニックス ファーマスーティカルス インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】