説明

ABC輸送体の調節因子としてのキノリン−4−オン誘導体

本発明は、ABC輸送体の調節因子、特にCFTR調節因子の薬剤前駆体、その組成物、および、それらによる方法に関する。本発明はさらに、そのような調節因子、式(I)によるABC輸送体媒介性疾患の治療法に関する。本発明はまた、生物サンプルにおけるCFTRまたはその断片の活性の、インビトロまたはインビボ測定において使用するためのキットを提供し、式(I)の化合物を含む組成物;ならびに(ii)a)該生物サンプルと該組成物を接触させること;およびb)該CFTRまたはその断片の活性を測定すること;のための指示を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、ABC輸送体、特にCFTR調節因子の薬剤前駆体、その組成物、および、それらによる方法に関する。本発明はさらに、そのような薬剤前駆体によるABC輸送体媒介性疾患の治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ABC輸送体は、多種多様な薬理学的介在因子、毒性を持つ可能性のある薬剤、および異種生体機能物質の輸送の外、陰イオンの輸送をも調節する、一群の膜輸送タンパクである。ABC輸送体は、それぞれの特異的活性のために、細胞のアデノシン三リン酸(ATP)と結合し、使用する、相同の、膜タンパクである。これらの輸送体の内のあるものは、悪性の癌細胞を化学療法剤から防御する、多剤耐性タンパク(MDR1−P糖タンパク、または多剤耐性タンパクMRP1と同様の)として見出された。これまで、48種のABC輸送体が特定されており、それらは、その配列内容および機能に基づいて7つのファミリーに分類されている。
【0003】
ABC輸送体は、生体内部の様々の重要な生理機能を調節し、有害な環境化合物に対する防御を果たす。このため、ABC輸送体は、輸送体の欠陥に関連する疾患の治療、標的細胞からの薬剤排出の阻止、および、ABC輸送体活性の調節が有利と考えられるその他の疾患に対する介入において、重要な薬剤標的となる可能性を有する。
【0004】
ABC輸送体ファミリーの内、一般に疾患と関連させられるメンバーは、cAMP/ATP媒介性陰イオンチャンネル、CFTRである。CFTRは、吸収性および分泌性上皮細胞を含む、各種細胞タイプにおいて発現されるが、これらの細胞において、CFTRは、膜を横切る陰イオンフラックスばかりでなく、他のイオンチャンネルおよびタンパクの活性をも調節する。上皮細胞において、CFTRが正常に機能することが、呼吸および消化組織を含む生体全体における電解質輸送の維持にとって決定的に重要である。CFTRは、それぞれが、6個の膜貫通螺旋構造および1個のヌクレオチド結合ドメインを含む、二つの膜貫通ドメインの縦列反復配列から成るタンパクをコードする、約1480個のアミノ酸から構成される。この二つの、膜貫通ドメインは、大型の、極性を有する、制御(R)−ドメインによって互いに連結される。R−ドメインは、チャンネルの活性および細胞の輸送性を制御する、多数のリン酸化部位を有する。
【0005】
CFTRをコードする遺伝子は特定され、配列決定されている(非特許文献1;非特許文献2を参照されたい)。この遺伝子における欠陥がCFTRの突然変異を招き、これが、嚢胞性線維症(“CF”)、すなわち、ヒトにおけるもっとも普遍的で、致命的な遺伝疾患を引き起こす。アメリカ合衆国では、嚢胞性線維症は、各2500人の幼児につきほぼ一人を冒す。合衆国人口全体では、最大一千万の人々が、外見上病的作用を示すことなく、欠陥遺伝子の単一コピーを保有する。一方、CF関連遺伝子の2コピーを抱える個人は、慢性肺疾患を含めた、CFの、消耗性の、致命的作用に苦しめられる。
【0006】
嚢胞性線維症の患者では、呼吸上皮において内因性に発現されるCFTR突然変異によって頂側部の陰イオン分泌が低下し、これがイオンおよび液体輸送の不均衡をもたらす。この陰イオン輸送の低下によって、肺では粘液の蓄積、およびそれに伴う微生物感染が強調され、これらは、最終的にCF患者に死をもたらす。呼吸器疾患の外に、CF患者は、通常、消化管障害およびすい臓不全にも悩まされるが、これらも、治療せずに放置されると死を招く。さらに、嚢胞性線維症の男性の多くは授精能を欠き、嚢胞性線維症の女性では受精能が低下する。CF関連遺伝子の2コピーが重大な作用を招くのとは対照的に、CF関連遺伝子の単一コピーを有する個人では、コレラ、および下痢による脱水に対する耐性の上昇が示される。これが、恐らく、人口においてCF遺伝子が比較的高頻度に見られる理由の説明であろう。
【0007】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列分析から、様々な、病原性突然変異が明らかにされている(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。これまで、CF遺伝子において、1000を超える病原性突然変異が特定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。もっとも高頻度の突然変異は、CFTRアミノ酸配列の位置508におけるフェニルアラニンの欠失であり、通常、ΔF508−CFTRと呼ばれる。この突然変異は、嚢胞性線維症症例の約70%に出現し、重大な病気を伴う。
【0008】
ΔF508−CFTRの残基508の、この欠失により、新生タンパクは適正なフォールド形成を妨げられる。このため、この突然変異タンパクはERから脱出し、原形質膜に向かって移動することができなくなる。そのために、膜に存在するチャンネルの数が、野生型CFTRを発現する細胞に観察されるものよりもはるかに少なくなる。移動障害の外、この突然変異は、チャンネルゲートの開閉にも欠陥をもたらす。膜におけるチャンネル数の減少、および欠陥的ゲート開閉は相携えて、上皮を横断する陰イオン輸送の低下をもたらし、これは、イオンおよび液体輸送の欠陥を引き起こす。(非特許文献7)。しかしながら、膜におけるΔF508−CFTRは、数は野生型CFTRよりも少ないけれども、機能的であることが研究によって示されている。(非特許文献8;Denning et al.,上記;非特許文献9)。ΔF508−CFTRの外にも、移動、合成、および/またはチャンネルゲート開閉障害をもたらす、他の、CFTR病原性突然変異においても、それらを上方または下方調整することによって陰イオン分泌を変え、病気の進行および/または重度を調節することが可能である。
【0009】
CFTRは、陰イオンの外にも様々な分子を輸送するが、この役割(陰イオンの輸送)が、上皮を横切ってイオンおよび水を輸送する重要な機構の一要素であることは明らかである。他の要素としては、上皮のNaチャンネル、ENaC、Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPアーゼポンプ、および側底膜Kチャンネルが挙げられる。これらは、細胞への塩化物の取り込みに与る。
【0010】
これらの要素は互いに協力し、細胞内におけるそれぞれの選択的発現および局在を通じて上皮を横切る方向性輸送を実現する。塩化物の吸収は、頂側膜に存在するENaCおよびCFTR、および、細胞の側底面に発現されるNa−K−ATPアーゼポンプおよびCl−チャンネルの協調的活動によって実行される。腔側からの塩化物の二次的能動輸送は、塩化物の細胞内蓄積を招き、これらは次にClチャンネルを通じて受動的に細胞を脱離することが可能となるので、結果的にベクトル輸送が実現される。側底面におけるNa/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPアーゼポンプ、および側底膜Kチャンネル、および腔側におけるCFTRの配置は協働して、腔側においてCFTRを介する塩化物の分泌をもたらす。水それ自体は、恐らく能動的には輸送されないので、上皮を横切る水の流れは、ナトリウムおよび塩化物の大量の流れによって形成される、僅かな、経上皮的浸透圧勾配に依存する。
【0011】
嚢胞性線維症の外、CFTR活性の調節は、CFTRの突然変異によって直接誘発されない他の病気にも、例えば、CFTRの突然変異によって仲介される分泌病、および他のタンパクのフォールド形成疾患にも有利である可能性がある。そのような疾患として、ただしこれらに限定されないが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ドライアイ病、およびシェーグレン症候群が挙げられる。COPDは、進行性で、完全には回復することがない気流制限によって特徴づけられる。この気流制限は、粘液の過剰な分泌、気腫、および気管支炎による。突然変異型または野生型CFTRの活性剤が、COPDに一般的な、粘液の過剰分泌、および繊毛による粘液排除障害の治療薬となる可能性がある。具体的に言うと、CFTRを横切る陰イオン分泌の増加が、気道表面液体への流体輸送を促進し、これが、粘液を水和し、繊毛周辺の液体粘性を最適なものとする可能性がある。これは、繊毛による粘液排除を強化し、COPD関連症状の緩和をもたらすことが考えられる。ドライアイ病は、涙液生産の低下、および、涙液フィルムにおける脂質、タンパクおよびムチンの異常プロフィールによって特徴づけられる。ドライアイには多くの原因があり、その内のいくつかとして、年齢、レーシック眼科手術、関節炎、服薬、化学的/熱的火傷、アレルギー、および、嚢胞性線維症およびシェーグレン症候群などの疾患が挙げられる。CFTRを介する陰イオン分泌の増加は、角膜内皮細胞、および眼球を取り巻く分泌腺からの流体輸送を増し、角膜水和を増大させることが考えられる。これは、ドライアイ病に関連する症状の緩和を促進すると予想される。シェーグレン症候群は、免疫系が、全身に亘る、例えば、眼球、口、皮膚、呼吸組織、肝臓、膣、および腸を含む全身に見られる水分産生腺を攻撃する、自己免疫疾患である。症状は、乾燥した眼球、口、および膣の外、肺疾患を含む。この病気はさらに、慢性関節リューマチ、全身性狼瘡、全身性硬化症、およびポリミポジチス(polymypositis)/皮膚筋炎とも関連する。タンパクの移送障害が、治療選択肢が限られる本疾患を引き起こすと考えられている。CFTR活性の調節因子は、本疾患に冒される様々な器官を水和し、関連症状を高める(elevate)のに役立つことが考えられる。
【0012】
前述したように、ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、新生タンパクが適正にフォールド形成するのを妨げ、そのために、この突然変異タンパクは、ERを脱出することができず、原形質膜に向けて移動することができなくなると考えられている。そのため、原形質膜には不十分な量の成熟タンパクしか存在しないことになり、上皮組織における塩化物輸送は著明に低下する。実際、ER機構によるABCトランスポーターのER処理の欠陥という、この細胞内現象は、CF病のみならず、他の、広範な、孤立的遺伝疾患の基礎原因であることが示されている。ER機構が機能不全となる可能性のある二つの経路が存在する。タンパクのER輸出に対する結合低下のために分解に導かれるか、または、これらの欠陥性/ミスフォールド形成タンパクのER蓄積によるか、そのいずれかである[非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14]。最初のクラスのER機能不全に関連する疾患は、嚢胞性線維腫(前述したように、ミスフォールド形成したΔF508−CFTRによる)、遺伝性肺気腫(a1(α1)−抗トリプシン;非Piz変種による)、遺伝性ヘモクロマトーシス、タンパクC欠乏症などのホアギュレーション(hoagulation)フィブリン溶解欠乏症、1型遺伝血管性浮腫、家族性高コレステロール血症などの脂質処理障害、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク血症、I細胞病/擬似フルラー病などのリソソーム蓄積病、ムコ多糖症(リソソーム処理酵素による)、サンドホフ/テイ−サックス病(β−ヘキソサミニダーゼによる)、クリグラー−ナジャー病II型(UDP−グルクロニル−シアリック(sialyc)トランスフェラーゼによる)、多発性内分泌症/高インスリン血症、糖尿病(インスリン受容体による)、ラロン小人症(成長ホルモン受容体による)、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症(myleoperoixidase deficiency)、原発性副甲状腺機能低下症(プロ副甲状腺ホルモン前駆体による)、メラノーマ(チロシナーゼによる)である。後の方のクラスのER機能不全と関連する疾患は、炭水化物欠乏糖タンパク症候群(glycanosis CDG)1型、遺伝性肺気腫(アルファ1−抗トリプシン(PiZ変種)による)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I、II、IV型プロコラーゲンによる)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲンによる)、ACT欠乏症(α1−抗キモトリプシンによる)、尿崩症(DI)、下垂体性(neurophyseal)DI(バソプベシン(vasopvessin)ホルモン/V2−受容体による)、腎性(neprogenic)DI(アクアポリンIIによる)、シャルコーマリー歯牙症候群(末梢性ミエリンタンパク22による)、ペルリゼウス−メルツバッハー病(Perlizaeus−Merzbacher disease)、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンによる)などの神経変性疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントンなどいくつかのポリグルタミン性神経障害、脊髄小脳運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球リュイ体筋緊張性ジストロフィー、ならびに遺伝性クロイツフェルトヤコブ病(プリオンタンパク処理欠陥による)などの海綿状脳症、ファブリー病(リソソームのα−ガラクトシダーゼAによる)、およびシュトラウスラー−シャインケル症候群(Prp処理欠陥による)がある。
【0013】
CFTR活性の上方調整の外、CFTR調節因子による陰イオン分泌の低下は、分泌促進薬の活性化による塩化物輸送のために上皮の水分輸送が劇的に上昇する、分泌性下痢の治療に有用である可能性がある。この機序は、cAMPの亢進およびCFTRの刺激を含む。
【0014】
下痢にはたくさんの原因があるが、過剰な塩化物輸送による下痢疾患のもたらす主な結果は、全てに共通であり、脱水、アシドーシス、成長阻害、および死亡を含む。
【0015】
急性および慢性下痢は、世界の多くの地域において主要な医学的問題となっている。下痢は、栄養不良の重要要因であると同時に、5歳未満の児童の主要死亡原因(年間5百万死亡例)でもある。
【0016】
分泌性下痢はさらに、後天的免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患(IBD)患者では危険な状態となる。発展途上国から工業国へ移動する旅行者の内、毎年、千六百万人が下痢を発症し、その下痢の重度および症例数は、旅行する国および地域に依存して変動する。
【0017】
農場動物およびペット、例えば、ウシ、ブタおよびウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよびイヌに見られる下痢は、子ウシ下痢とも呼ばれるが、これらの動物における主要な死亡原因である。下痢は、何かの大きな状態変化、例えば、離乳または物理的移動から起こることがある外に、様々の細菌またはウィルス感染に対する反応として起こるが、一般に、動物の生涯の最初の数時間内に起こる。
【0018】
もっとも一般的な、下痢の原因細菌は、K99ピリ線毛抗原を有する、腸毒素産性大腸菌(ETEC)である。下痢の一般的ウィルス原因種としては、ロタウィルスおよびコロナウィルスが挙げられる。他の感染性介在因子としては、取り分け、クリプトスポリジウム、ランブルべん毛虫、およびサルモネラが挙げられる。
【0019】
ロタウィルス感染の症状としては、水様便の排泄、脱水、および衰弱が挙げられる。コロナウィルスは、ロタウィルス感染よりも、新生動物ではより重度の病気を引き起こし、死亡率はより高い。しかしながら、幼若動物では、ある一時期、1種を超えるウィルス、または、ウィルスと細菌微生物の組み合わせによって感染される場合がよくある。この場合、本病の重度は劇的に高められる。
【非特許文献1】Gregory,R.J.et al.(1990)Nature 347:382−386
【非特許文献2】Rich,D.P.et al.(1990)Nature 347:358−362
【非特許文献3】Cutting,G.R.et al.(1990)Nature 346:366−369
【非特許文献4】Dean,M.et al.(1990)Cell 61:863:870
【非特許文献5】Kerem,B−S.et al.(1989)Science 245:1073−1080
【非特許文献6】Kerem,B−S et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8447−8451
【非特許文献7】Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709−2727
【非特許文献8】Dalemans et al.(1991),Nature Lond.354:526−528
【非特許文献9】Pasyk and Foskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347−50
【非特許文献10】Aridor M,et al.,Nature Med.,5(7),pp745−751(1999)
【非特許文献11】Shastry,B.S.,et al.,Neurochem.International,43,pp1−7(2003)
【非特許文献12】Rutishauser,J.,et al.,Swiss Med Wkly,132,pp211−222(2002)
【非特許文献13】Morello,JP et al.,TIPS,21,pp.466−469(2000)
【非特許文献14】Bross P.,et al.,Human Mut.,14,pp.186−198(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、哺乳動物の細胞膜におけるCFTR活性を調節するために使用することが可能なCFTR活性の調節因子、および、その組成物が求められている。
【0021】
治療的に十分な量の調節因子をインビボで供給する、このような調節因子の薬剤前駆体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(発明の要旨)
本発明の化合物、および、製薬学的に受容可能なその組成物は、CFTR活性調節因子の薬剤前駆体として有用であることが今や判明している。これらの化合物は、式I:
【0023】
【化27】

を有する。
【0024】
これらの化合物では、水溶性が強調されており、したがって、バイオアベイラビリティ、処方適性の改善など治療に関わる利点を有する。そのため、これらの化合物、および製薬学的に受容可能なその組成物は、例えば、ただしこれらに限定されないが、嚢胞性線維腫、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、タンパクC欠乏症などの凝固性フィブリン溶解欠乏症、1型遺伝血管性浮腫、家族性高コレステロール血症などの脂質処理障害、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク血症、I細胞病/擬似フルラー病などのリソソーム蓄積病、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャー病II型、多発性内分泌症/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、炭水化物欠乏糖タンパク症候群1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏症、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコーマリートゥス症候群、ペルリゼウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病などの神経変性疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントンなどの、数種のポリグルタミン性神経障害、脊髄小脳運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球リュイ体筋緊張性ジストロフィー、ならびに遺伝性クロイツフェルトヤコブ病などの海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ病、およびシェーグレン病を含む、様々な疾患、障害、または病態の治療、またはその重度を下げるために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
I.本発明の化合物の一般的記述
一実施態様によれば、本発明は、式I:
【0026】
【化28】

の化合物、または製薬学的に受容可能なその塩を提供する。上式において、
Xは、結合、または任意に置換されるC−Cアルキリデン鎖であって、Xの最大二つのメチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR′−、CONR′NR′−、−CO−、−OCO−、−NR′CO−、−O−、−NR′CONR′−、−OCONR′−、−NR′NR′、−NR′NR′CO−、−NR′CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR′−、−SONR′−、NR′SO−、または−NR′SONR′−によって任意に、独立に置換される、C−Cアルキリデン鎖であり;
は、独立に、R′、ハロ、NO、CN、CF、またはOCFであり;
yは0−4であり;
およびRは、それぞれ独立に、水素、CN、CF、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、3−12員の脂環化合物、フェニル、C5−C10ヘテロアリールまたはC3−C7ヘテロ環から独立に選ばれ、前記ヘテロアリールまたはヘテロ環が、O、S、またはNから選ばれる、最大3個のヘテロ原子を有し、前記RおよびRが、−OR′、−CF、OCF、SR′、S(O)R′、SOR′、−SCF、ハロ、CN、−COOR′、−OC(O)R′、−COR′、−O(CHN(R′)(R′)、−O(CH)N(R′)(R′)、−CON(R′)(R′)、−(CHOR′、−(CHOR′、CHCN、任意に置換されるフェニルまたはフェノキシ、−N(R′)(R′)、−NR′C(O)OR′、−NR′C(O)R′、−(CHN(R′)(R′)、または−(CH)N(R′)(R′)から選ばれる、最大三つの置換基によって、独立に、任意に置換され;
は水素であり;
XYは、下記:
【0027】
【化29】

から選ばれる基であり、
上式の基(A)および基(B)において、
、W、W、およびWは、それぞれ独立に、0または1であり;
各Mは、水素、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、−N(R、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、または−Rから独立に選ばれ;前式において、Zに結合する−CH以外の、アルキルまたはアルケニル基の、1から4個の−CH根は、O、S、S(O)、S(O)、またはN(R)から選ばれるヘテロ原子基によって任意に置換され;かつ、前式において、前記アルキル、アルケニル、またはRの中の任意の水素が、オキソ、OR、R、N(R、N(R、(C1−C4アルキリデン)−OH、CN、CO、C(O)−N(R、S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、OCF、−S(O)−R、N(R)−S(O)(R)、ハロ、−CF、または−NOから選ばれる置換基によって任意に置換され;
nは0−2であり;
M′は、H、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、または−Rであり、前式において、アルキルまたはアルケニル基の1から4個の−CH根は、O、S、S(O)、S(O)、またはN(R)から選ばれるヘテロ原子基によって任意に置換され;かつ、前式において、前記アルキル、アルケニル、またはRの中の任意の水素が、オキソ、−OR、−R、−N(R、N(R、−ROH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−R、−N(R)−S(O)N(R)、ハロ、−CF、または−NOから選ばれる置換基によって任意に置換され;
Zは、−CH−、−O−、−S−、−N(R−であるか;あるいは、Mが不在の場合、Zは、水素か、=O、または=Sであり;
YはPまたはSであり、前式においてYがSであるならば、ZはSではなく;
XはOまたはSであり;
各Rは、水素、またはC−C脂肪族化合物から独立に選ばれ、最大二つのQによって任意に置換され;
各Qは、3−7員の、飽和、部分飽和または不飽和の炭素環システムから独立に選ばれるか、または、O、N、NH、S、SO、またはSOから選ばれる、一つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む、4−7員の、飽和、部分飽和または不飽和のヘテロ環であり;Qは、オキソ、−OH、−O(C−C脂肪族化合物)、−C−C脂肪族化合物、−NH、NH(C−C脂肪族化合物)、−N(C−C脂肪族化合物)、−N(C−C脂肪族化合物)−C(O)−C−C脂肪族化合物、−(C−C脂肪族化合物)−OH、−CN、−COH、−CO(C−C脂肪族化合物)、−OCO(C−C脂肪族化合物)、−C(O)−NH、−C(O)−NH(C−C脂肪族化合物)、−C(O)−N(C−C脂肪族化合物)、ハロ、または−CFから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
は、4−6員の、飽和、部分飽和または不飽和の炭素環またはヘテロ環システムであるか、または、8−10員の、飽和、部分飽和または不飽和の2環システムであり;前記ヘテロ環システムのいずれも、O、N、S、S(O)、またはN(R)から選ばれる一つ以上のヘテロ原子を含み;かつ、前記環システムのいずれも、OH、C−Cアルキル、O−(C−Cアルキル)、またはO−C(O)−(C−Cアルキル)から独立に選ばれる、1から4個の置換基を任意に含み;
は、C(R、O、またはN(R)であり;
上式の基(C)において:
は、C1−C6アルキルから選ばれ;
およびRは、それぞれ、Qによって任意に置換されるC1−C6脂肪族化合物から選ばれ;
R′は、水素、あるいは、C−C脂肪族基、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−3個のヘテロ原子を有する、3−8員の、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の単環、または、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−5個のヘテロ原子を有する、8−12員の、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の2環システムから選ばれる、任意に置換される基、から独立に選ばれ;あるいは、R′の二つの出現は、それらの結合する前記原子(単数または複数)と組み合わされて、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−4個のヘテロ原子を有する、任意に置換される、3−12員の、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の単環または2環を形成し;かつ、
各Rは、独立に、最大4個のハロゲン置換基によって任意に置換される水素またはC1−C6アルキルである。
【0028】
化合物と定義
本明細書で使用する場合、別様に指示されない限り、下記の定義が適用される。
【0029】
本明細書で用いる「ABC輸送体」という用語は、少なくとも一つの結合ドメインを含む、インビボまたはインビトロに存在する、ABC輸送体タンパクまたはその断片を意味する。本明細書で用いる「結合ドメイン」という用語は、調節因子に結合することが可能な、ABC輸送体上のドメインを意味する。例えば、Hwang,T.C.et al.,J.Gen.Physiol.(1998):111(3),477−90を参照されたい。
【0030】
本明細書で用いる“CFTR”という用語は、調節活動をすることが可能な、嚢胞性線維症膜透過コンダクタンス調節因子、またはその突然変異、例えば、ただしこれらに限定されないが、ΔF508 CFTRおよびG551D CFTRを含む突然変異(CFTR突然変異に関しては、例えば、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照されたい)を意味する。
【0031】
本明細書で用いる「調節する」という用語は、測定可能な量だけ増大または減少させることを意味する。
【0032】
本発明の目的においては、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics,75版、CASバージョン、元素周期律表にしたがって特定される。さらに、有機化学の一般原理は、“Organic Chemistry”,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および、“March′s Advanced Organic Chemistry”,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001。これらの内容の全てを、引用により本明細書に含める。
【0033】
本明細書に記載する、本発明の化合物は、一つ以上の置換基であって、一般的に上に例示されるもの、または、本発明の特定のクラス、サブクラス、および分子種類によって例示される置換基などによって任意に置換されてもよい。「任意に置換される」という語句は、「置換される、または置換されない」という語句と相互交換的に使用されることが理解されよう。一般に、「置換される」という用語は、「任意に」という用語が先行するかどうかに関わらず、任意の構造体における水素根が、ある特定の置換基によって置換されることを指す。別様に指示しない限り、任意に置換される基は、その基の、置換可能な各位置に置換基を有してもよく、任意の構造体の一つを超える位置が特定の群から選ばれる一つを超える置換基によって置換される場合、その置換基は、各位置において同じであっても、異なっていてもよい。本発明が考慮の対象とする置換基の組み合わせは、安定であるか、または、化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものであることが好ましい。本明細書で用いる「安定な」という用語は、その生産、検出、好ましくはその回収、精製、および、本明細書に開示される一つ以上の目的のための使用を可能とする条件に暴露されても、事実上変えられることのない化合物を指す。ある実施態様では、安定な化合物、または化学的に実現可能な化合物とは、40℃以下で、水分を欠如した条件、または化学的に反応性の高い条件を避けた場合、少なくとも1週間保存してもほぼ変化しないものである。
【0034】
本明細書で用いる「脂肪族化合物」または「脂肪族基」という用語は、直鎖(すなわち、分枝しない)、または分枝鎖で、完全に飽和しているか、または、一単位以上の不飽和部分を含む、置換または未置換の炭化水素鎖、あるいは、完全に飽和しているか、または、一単位以上の不飽和部分を含むが、芳香族ではなく、分子の残余部分に対し単一付着点を有する、単環または二環炭水化物(本明細書では、別に、「炭素環」、「環状脂肪族化合物」、または「シクロアルキル」とも呼ぶ)を意味する。ある実施態様では、脂肪族基は、1−10個の脂肪族炭素原子を含む。別の実施態様では、脂肪族基は、1−8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに別の実施態様では、脂肪族基は、1−6個の脂肪族炭素原子を含み、さらに別の実施態様では、脂肪族基は、1−4個の炭素原子を含む。ある実施態様では、「環状脂肪族化合物」(または「炭素環」または「シクロアルキル」)は、完全に飽和しているか、または、一単位以上の不飽和部分を含むが、芳香族ではなく、分子の残余部分に対し単一付着点を有する、単環のC−C炭化水素、または2環または3環のC−C14炭化水素を指し、前記2環システムにおける任意の個別の環は3−7員を有する。好適な脂肪族基としては、直鎖または分枝鎖、置換または未置換の、アルキル、アルケニル、アルキニル基、およびそれらのハイブリッド、例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキル)アルケニルが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。好適な環状脂肪族基としては、シクロアルキル、2環シクロアルキル(例えば、デカリン)、架橋結合ビシクロアルキル、例えばノルボルニル、または[2.2.2.]ビシクロオクチルなど、または、架橋結合3環シクロアルキル、例えば、アダマンチルなどが挙げられる。
【0035】
本明細書で用いる「ヘテロ脂肪族化合物」という用語は、一つまたは二つの炭素原子が、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素の内の一つ以上によって独立に置換される脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換または未置換、分枝または未分枝、環状または非環状であってもよく、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環脂肪族」、または「ヘテロ環」基を含む。
【0036】
本明細書で用いる「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環脂肪族」、または「ヘテロシクリル」化合物とは、非芳香族の単環、2環、または3環システムであって、一つ以上の環員が、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素から独立に選ばれるヘテロ原子である、環システムを意味する。ある実施態様では、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環脂肪族」、または「ヘテロシクリル」基は、3から14個の環員を有し、その内の一つ以上の環員が、酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立に選ばれるヘテロ原子であり、システムの各環は、3から7個の環員を含む。
【0037】
「ヘテロ原子」という用語は、一つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素(窒素、硫黄、リン、またはケイ素の任意の酸化形;任意の塩基性窒素の4級化形;ヘテロ環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリジニルにおける)、NH(例えば、ピロリジニルにおける)、またはNR(例えば、N−置換ピロリジニルにおける))を意味する。
【0038】
本明細書で用いる「不飽和」という用語は、成分が、一つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0039】
本明細書で用いる「アルコキシ」または「チオアルキル」という用語は、上に定義した通りのアルキル基であって、酸素(「アルコキシ」)、または硫黄(「チオアルキル」)原子を通じて、分子の残余部分に付着するアルキル基を指す。
【0040】
「ハロ脂肪族」および「ハロアルコキシ」という用語は、それぞれ、一つ以上のハロゲン原子によって置換される脂肪族またはアルコキシを意味する。「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。ハロ脂肪族の例としては、−CHF、−CHF、−CF、−CF、またはペルハロアルキル、例えば、−CFCFなどが挙げられる。
【0041】
単独で、またはより大きな成分の一部として、例えば、「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」のように使用される「アリール」という用語は、合計で5から14個の環員を有する、単環、2環、および3環システムであって、該システムの少なくとも1環は芳香族であり、システムの各環は3から7個の環員を有する、環システムを指す。「アリール」という用語はさらに、下記に定義するヘテロアリール環システムを指す。
【0042】
単独で、または、より大きな成分の一部として、例えば、「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のように使用される「ヘテロアリール」という用語は、合計で5から14個の環員を有する、単環、2環、および3環システムであって、該システムの少なくとも1環は芳香族であり、システムの各環は一つ以上のヘテロ原始を含み、かつ、システムの各環は3から7個の環員を含む、環システムを指す。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語、または「ヘテロ芳香族」という用語と相互交換的に使用される場合がある。
【0043】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)、またはヘテロアリール(ヘテロアラルキル、およびヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、一つ以上の置換基を含んでもよい。アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素原子における好適な置換基は、ハロ;−R;−OR;−SR;1,2−メチレン−ジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;Rによって任意に置換されるフェニル(Ph);Rによって任意に置換される−O(Ph);Rによって任意に置換される−(CH1−2(Ph);Rによって任意に置換される−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(O)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−OC(O)N(R;−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−C(=S)N(R;−C(=NH)−N(R;または−(CH0−2NHC(O)Rから選ばれ、上式において、Rの各独立の出現は、水素、任意に置換されるC1−6脂肪族、ヘテロアリールまたはヘテロの、不飽和5−6員環、フェニル、−O(Ph)、または−CH(Ph)から選ばれるか、または、上記定義にも拘わらず、Rの二つの独立出現は、同じ置換基に生じたものであれ異なる置換基に生じたものであれ、各R基の結合する原子(単複)と共に、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−3個のヘテロ原子を有する、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールの3−8員環を形成する。Rの脂肪族基における任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、NH(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族から選ばれ、Rの、前記C1−4脂肪族基はそれぞれが不飽和である。
【0044】
脂肪族またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族ヘテロ環は、一つ以上の置換基を含んでもよい。脂肪族基またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族ヘテロ環の飽和炭素における好適な置換基は、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素について上に列挙したものの中から選ばれ、さらに下記:=O、=S、=NNHR、=NN(R)2、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、または=NRを含む。前式において、各Rは、水素、または任意に置換されるC1−6脂肪族から独立に選ばれる。Rの脂肪族基における任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、NH(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロ(C1−4脂肪族)から選ばれ、Rの、前記C1−4脂肪族基はそれぞれが不飽和である。
【0045】
非芳香族ヘテロ環の窒素における任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、または−NRSOから選ばれ、前式において、Rは、水素、任意に置換されるC1−6脂肪族、任意に置換されるフェニル、任意に置換される−O(Ph)、任意に置換される−CH(Ph)、任意に置換される−(CH1−2(Ph);任意に置換される−CH=CH(Ph);または、酸素、窒素、または硫黄から独立に選ばれる、1から4個のヘテロ原子を有する、ヘテロアリールまたはヘテロの不飽和5−6員環であるか、あるいは、上記定義にも拘わらず、Rの二つの独立出現は、同じ置換基に生じたものであれ異なる置換基に生じたものであれ、各R基の結合する原子(単複)と共に、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−3個のヘテロ原子を有する、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールの3−8員環を形成する。Rの脂肪族基またはフェニル環における任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、NH(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロ(C1−4脂肪族)から選ばれ、Rの、前記C1−4脂肪族基はそれぞれが不飽和である。
【0046】
「アルキリデン鎖」という用語は、完全に飽和していてもよいし、あるいは、一つ以上の不飽和単位を有していてもよい、分子の残余部分に対し二つの付着点を有する、直線状または分枝状炭素鎖を指す。「スピロシクロアルキリデン」という用語は、完全に飽和していてもよいし、あるいは、一つ以上の不飽和単位を有していてもよい、分子の残余部分に対し、同じ環の炭素原子において二つの付着点を有する、炭素環を指す。
【0047】
上に詳述したように、ある実施態様では、R(またはR、あるいは、本明細書において同様に定義される、他の、任意の変数)は、各変数の結合する原子(単複)と共に、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−3個のヘテロ原子を有する、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールの3−8員環を形成する。R(またはR、あるいは、本明細書において同様に定義される、他の、任意の変数)の、二つの独立出現が、各変数の結合する原子(単複)と共同して形成する例示の環としては、ただしこれらに限定されないが、a)R(またはR、あるいは、本明細書において同様に定義される、他の、任意の変数)の、二つの独立出現が、同じ原子に結合し、その原子と共同して環、例えば、N(Rを形成し、前式において、Rの二つの出現は、窒素原子と共同してピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、またはモルフォリン−4−イル基を形成する;および、b)R(またはR、あるいは、本明細書において同様に定義される、他の、任意の変数)の、二つの独立出現が、異なる原子に結合し、それら二つの原子と共同して環を、例えば、フェニル基が、二つのOR出現によって置換され、
【0048】
【化30】

これらの二つのR出現が、それらの結合する酸素原子と共同して6員の酸素含有融合環
【0049】
【化31】

を形成する。R(またはR、あるいは、本明細書において同様に定義される、他の、任意の変数)の、二つの独立出現が、各変数の結合する原子(単複)と共同する場合に形成される可能性のある他の環は様々なものがあること、上に詳述した例は限定的であることを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0050】
上記RXYの成分(A)および(B)において、Mが、MgまたはCaなどの2価の陽イオンである場合、wcは、この価式を満たすために0であることが理解される。
【0051】
別様に言明しない限り、本明細書に示される構造体はさらに、該構造体の全ての異性形(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体配座))異性形、例えば、各不斉中心のRおよびS形態、(Z)および(E)二重結合異性形、ならびに(Z)および(E)立体配座異性形を含むことが意図される。したがって、本発明の化合物の、単一の立体化学的異性形の外に、エナンチオマー、ジアステレオマー、および立体幾何学(または立体配座)混合物も本発明の範囲内にある。別様に指示しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形は本発明の範囲内にある。例えば、式Iの化合物におけるRが水素である場合、式Iの化合物は、互変異性体:
【0052】
【化32】

として存在してもよい。さらに、別様に指示しない限り、本明細書に示される構造体はまた、一つ以上の同位元素が濃縮された原子の存在でのみ異なる複数の化合物を含むことが意図される。例えば、水素が、重水素または三重水素によって置換されたことを除いて、あるいは、炭素が、13C−、または14C−濃縮炭素によって置換されたことを除き、本発明の構造体を有する化合物は、本発明の範囲内にある。そのような化合物は、例えば、分析ツールとして、または生物アッセイにおけるプローブとして有用である。
【0053】
3.例示化合物の記述
一実施態様によれば、本発明は、式I:
【0054】
【化33】

の化合物、または製薬学的に受容可能なその塩を提供する。上式において、
Xは、結合、または任意に置換されるC−Cアルキリデン鎖であって、Xの最大二つのメチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR′−、CONR′NR′−、−CO−、−OCO−、−NR′CO−、−O−、−NR′CONR′−、−OCONR′−、−NR′NR′、−NR′NR′CO−、−NR′CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR′−、−SONR′−、NR′SO−、または−NR′SONR′−によって任意に、独立に置換される、C−Cアルキリデン鎖であり;
は、独立に、R′、ハロ、NO、CN、CF、またはOCFであり;
yは0−4であり;
およびRは、それぞれ独立に、水素、CN、CF、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、3−12員の脂環化合物、フェニル、C5−C10ヘテロアリールまたはC3−C7ヘテロ環から独立に選ばれ、前記ヘテロアリールまたはヘテロ環が、O、S、またはNから選ばれる、最大3個のヘテロ原子を有し、前記RおよびRが、−OR′、−CF、OCF、SR′、S(O)R′、SOR′、−SCF、ハロ、CN、−COOR′、−OC(O)R′、−COR′、−O(CHN(R′)(R′)、−O(CHN(R′)(R′)、−CON(R′)(R′)、−(CHOR′、−(CHOR′、CHCN、任意に置換されるフェニルまたはフェノキシ、−N(R′)(R′)、−NR′C(O)OR′、−NR′C(O)R′、−(CHN(R′)(R′)、または−(CH)N(R′)(R′)から選ばれる、最大三つの置換基によって、独立に、任意に置換され;
は水素であり;
XYは、下記:
【0055】
【化34】

から選ばれる基であり、
上式の基(A)および基(B)において、
、W、W、およびWは、それぞれ独立に、0または1であり;
各Mは、水素、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、−N(R、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、または−Rから独立に選ばれ;前式において、Zに結合する−CH以外の、アルキルまたはアルケニル基の、1から4個の−CH根は、O、S、S(O)、S(O)、またはN(R)から選ばれるヘテロ原子基によって任意に置換され;かつ、前式において、前記アルキル、アルケニル、またはRの中の任意の水素が、オキソ、OR、R、N(R、N(R、R−OH、CN、CO、C(O)−N(R、S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、OCF、−S(O)−R、N(R)−S(O)(R)、ハロ、−CF、または−NOから選ばれる置換基によって任意に置換され;
nは0−2であり;
M′は、H、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、または−Rであり、前式において、アルキルまたはアルケニル基の1から4個の−CH根は、O、S、S(O)、S(O)、またはN(R)から選ばれるヘテロ原子基によって任意に置換され;かつ、前式において、前記アルキル、アルケニル、またはRの中の任意の水素が、オキソ、−OR、−R、−N(R、N(R、−ROH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−R、−N(R)−S(O)N(R)、ハロ、−CF、または−NOから選ばれる置換基によって任意に置換され;
Zは、−CH−、−O−、−S−、−N(R−であるか;あるいは、Mが不在の場合、Zは、水素か、=O、または=Sであり;
YはPまたはSであり、前式においてYがSであるならば、ZはSではなく;
XはOまたはSであり;
各Rは、水素、またはC−C脂肪族化合物から独立に選ばれ、最大二つのQによって任意に置換され;
各Qは、3−7員の、飽和、部分飽和または不飽和の炭素環システムから独立に選ばれるか、または、O、N、NH、S、SO、またはSOから選ばれる、一つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む、4−7員の、飽和、部分飽和または不飽和のヘテロ環であり;Qは、オキソ、−OH、−O(C−C脂肪族化合物)、−C−C脂肪族化合物、−NH、NH(C−C脂肪族化合物)、−N(C−C脂肪族化合物)、−N(C−C脂肪族化合物)−C(O)−C−C脂肪族化合物、−(C−C脂肪族化合物)−OH、−CN、−COH、−CO(C−C脂肪族化合物)、−C(O)−NH、−C(O)−NH(C−C脂肪族化合物)、−C(O)−N(C−C脂肪族化合物)、ハロ、または−CF3から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
は、4−6員の、飽和、部分飽和または不飽和の炭素環またはヘテロ環システムであるか、または、8−10員の、飽和、部分飽和または不飽和の2環システムであり;前記ヘテロ環システムのいずれも、O、N、S、S(O)、またはN(R)から選ばれる一つ以上のヘテロ原子を含み;かつ、前記環システムのいずれも、OH、C−Cアルキル、O−C−Cアルキル、またはO−C(O)−C−Cアルキルから独立に選ばれる、1から4個の置換基を任意に含み;
は、C(R、O、またはN(R)であり;
上式の基(C)において:
は、C1−C6アルキルから選ばれ;
およびRは、それぞれ、Qによって任意に置換されるC1−C6脂肪族化合物から選ばれ;
R′は、水素、あるいは、C−C脂肪族基、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−3個のヘテロ原子を有する、3−8員の、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の単環、または、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−5個のヘテロ原子を有する、8−12員の、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の2環システムから選ばれる、任意に置換される基、から独立に選ばれ;あるいは、R′の二つの出現は、それらの結合する前記原子(単数または複数)と組み合わされて、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−4個のヘテロ原子を有する、任意に置換される、3−12員の、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の単環または2環を形成し;かつ、
各Rは、独立に、最大4個のハロゲン置換基によって任意に置換される水素またはC1−C6アルキルである。
【0056】
一実施態様では、yは0−2である。一実施態様では、yは0である。
【0057】
一実施態様では、Xは結合であり、Rは水素である。
【0058】
一実施態様では、R′は水素である。
【0059】
一実施態様では、R′は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、またはOCHFから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC1−C8脂肪族基であり、前記C1−C8脂肪族の最大2個のメチレン単位は、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、または−N(Cl−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−によって任意に置換される。別の実施態様では、R′はC1−C6アルキルである。例示のR′としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが挙げられる。
【0060】
一実施態様では、R′は、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の、3−8員単環で、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−3個のヘテロ原子を有する環であり、R′は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1−C6アルキルから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され、前記C1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、または−N(Cl−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−によって任意に置換される。
【0061】
一実施態様では、R′は、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の、8−12員の2環で、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−3個のヘテロ原子を有する環であり、R′は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1−C6アルキルから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され、前記C1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、または−N(Cl−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−によって任意に置換される。
【0062】
一実施態様では、R′の二つの出現は、それらの結合する原子(単数または複数)と組み合わされて、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−4個のヘテロ原子を有する、任意に置換される、3−12員の、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の単環または2環を形成し、その際、R′は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1−C6アルキルから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され、前記C1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、または−N(Cl−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−によって任意に置換される。
【0063】
一実施態様では、両Rは水素である。あるいは、両Rは、最大4個のハロによって任意に置換されるC1−C6アルキルである。別の実施態様では、両RはC1−C3アルキルである。例示のRとしては、メチル、エチル、またはプロピルが挙げられる。
【0064】
もう一つの実施態様では、一方のRは水素であり、他方のRは、最大4個のハロによって任意に置換されるC1−C6アルキルである。あるいは、一方のRは水素であり、他方のRは、C1−C3アルキルである。例示のRとしては、メチル、エチル、またはプロピルが挙げられる。
【0065】
一実施態様では、RおよびRは、水素、CN、CF、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、3−12員の脂肪族またはフェニル環から、それぞれ独立に選ばれ、前記RおよびRは、−OR′、−CF、OCF、−SCF、ハロ、−COOR′、−COR′、−O(CHN(R′)(R′)、−O(CH)N(R′)(R′)、−CON(R′)(R′)、−(CHOR′、−(CH)OR′、任意に置換されるフェニル、−N(R′)(R′)、−NC(O)OR′、−NC(O)R′、−(CHN(R′)(R′)、または−(CH)N(R′)(R′)から選ばれる、最大三つの置換基によって、独立に、かつ任意に置換される。
【0066】
一実施態様では:
は、−OR′、−CF、OCF、SR′、S(O)R′、SOR′、−SCF、ハロ、CN、−COOR′、−COR′、−O(CHN(R′)(R′)、−O(CH)N(R′)(R′)、−CON(R′)(R′)、−(CHOR′、−(CHOR′、CHCN、任意に置換されるフェニルまたはフェノキシ、−N(R′)(R′)、−NR′C(O)OR′、−NR′C(O)R′、−(CHN(R′)(R′)、または−(CH)N(R′)(R′)から選ばれる、最大三つの置換基によって任意に置換されるフェニル環であり;かつ、
は、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである。
【0067】
一実施態様では、RおよびRは、CFまたはハロからそれぞれ独立に選ばれる。一実施態様では、RおよびRは、水素、または任意に置換されるC1−C6直鎖または分枝鎖アルキルからそれぞれ独立に選ばれる。ある実施態様では、RおよびRは、任意に置換されるn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−(エトキシカルボニル)−エチル、1,1−ジメチル−3−(t−ブトキシカルボニル−アミノ)プロピル、またはn−ペンチルからそれぞれ独立に選ばれる。
【0068】
一実施態様では、RおよびRは、任意に置換される、3−12員の脂環からそれぞれ独立に選ばれる。このような脂環の例示の実施態様としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボニル、アダマンチル、[2.2.2.]ビシクロ−オクチル、[2.3.1.]ビシクロ−オクチル、または[3.3.1]ビシクロ−ノニルが挙げられる。
【0069】
ある実施態様では、Rは水素であり、Rは、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである。ある実施態様では、Rは、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、またはt−ブチルから選ばれる。
【0070】
一実施態様では、Rは水素であり、RはCFである。
【0071】
ある実施態様では、Rは水素であり、Rは、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである。ある実施態様では、Rは、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、またはn−ペンチルから選ばれる。
【0072】
ある実施態様では、RおよびRは、それぞれ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである。ある実施態様では、RおよびRは、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、またはペンチルから選ばれる。一実施態様では、RおよびRは共にt−ブチルである。
【0073】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0074】
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキル、または−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換される、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルであるか、またはC6−C10脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0075】
【化35】

上式においてRは、C1−C3アルキリデンであり;かつ、
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである。
【0076】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0077】
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキル、または−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換される、C3−C5脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0078】
【化36】

上式においてRは、C1−C3アルキリデンであり;かつ、
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである。
【0079】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0080】
i)Rは水素であり;
ii)RはCFであり;かつ、
iii)RXYは:
【0081】
【化37】

上式においてRは、C1−C3アルキリデンであり;かつ、
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである。
【0082】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0083】
i)Rは、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、CF、CN、あるいは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるフェニルであり;
ii)Rは、CF、ハロ、C1−C6アルキル、またはC6−C10脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0084】
【化38】

上式においてRは、C1−C3アルキリデンであり;かつ、
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである。
【0085】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0086】
i)Rは、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、CF、CN、あるいは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるフェニルであり;
ii)Rは、C1−C4アルキル、または−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0087】
【化39】

上式においてRは、C1−C3アルキリデンであり;かつ、
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである。
【0088】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0089】
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるC1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、またはC6−C10脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0090】
【化40】

上式において:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる。
【0091】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0092】
i)Rは、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、あるいは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるフェニルであり;
ii)Rは、CF、ハロ、C1−C6アルキル、またはC6−C10脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0093】
【化41】

上式において:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる。
【0094】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0095】
i)Rは、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、または、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるフェニルであり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0096】
【化42】

上式において:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる。
【0097】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0098】
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0099】
【化43】

上式において:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる。
【0100】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0101】
i)Rは水素であり;
ii)RはCFであり;かつ、
iii)RXYは:
【0102】
【化44】

上式において:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる。
【0103】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0104】
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、あるいは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるC6−C10脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0105】
【化45】

上式において:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′は、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換されるC1−C8アルキルである。
【0106】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0107】
i)Rは、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、あるいは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるフェニルであり;
ii)Rは、CF、ハロ、C1−C6アルキル、またはC6−C10脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0108】
【化46】

上式において:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′はC1−C8アルキルであり、前式において、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換される。
【0109】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0110】
i)Rは、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、あるいは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるフェニルであり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0111】
【化47】

上式において:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′はC1−C8アルキルであり、前式において、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換される。
【0112】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0113】
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる、最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;かつ、
iii)RXYは:
【0114】
【化48】

上式において:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′はC1−C8アルキルであり、前式において、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換される。
【0115】
一実施態様では、式Iの化合物は、下記の特性の内、一つ、好ましくはさらに多く、より好ましくは全てを有する。
【0116】
i)Rは水素であり;
ii)RはCFであり;かつ、
iii)RXYは:
【0117】
【化49】

上式において:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′はC1−C8アルキルであり、前式において、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換される。
【0118】
Xは、キノリニル環の6位置にある。ある実施態様では、まとめられるRXは、C1−C6アルキル、−O−(C1−C6アルキル)、またはハロである。
【0119】
一実施態様では、RXは、キノリニル環の5位置にある。ある実施態様では、まとめられるRXは、OHである。
【0120】
さらに別の実施態様では、RXYは:
【0121】
【化50】

であるか;または製薬学的に受容可能なその塩である。
【0122】
一実施態様では、RはC1−C3アルキリデンである。例示の実施態様としては、メチレンまたはメチレンが挙げられる。
【0123】
もう一つの実施態様では、RおよびRは共に、C1−C6脂肪族化合物である。あるいは、RおよびRは、C1−C4アルキルである。あるいは、RおよびRは共に、エチルである。
【0124】
さらに別の実施態様では、RXYは:
【0125】
【化51】

から選ばれる。
【0126】
一実施態様では:
は0である。
【0127】
もう一つの実施態様では、各Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる。あるいは、各Mは、NaまたはCaから独立に選ばれる。あるいは、各MはNaである。あるいは、MはCaである。
【0128】
もう一つの実施態様では:
は0であり;
は1であり;かつ、
各MはNaである。
【0129】
もう一つの実施態様では:
は0であり;
は0であり;かつ、
MはCaである。
【0130】
さらに別の実施態様では、RXYは:
【0131】
【化52】

PO−スペルミン、(スペルミン)、またはPO−(メグラミン)から選ばれる。
【0132】
さらに別の実施態様では、RXYは:
【0133】
【化53】

【0134】
【化54】

から選ばれる。
【0135】
もう一つの実施態様では、本発明は、式II:
【0136】
【化55】

の化合物であって、上式において:
X、y、R、R、R、R、R、R、およびRは、上に定義した通りであり;かつ、
Yは、製薬学的に受容可能な陰イオンである。
【0137】
本明細書で用いる「製薬学的に受容可能な陰イオン」という用語は、製薬学的使用に好適な陰イオンを意味する。当業者であれば、このような陰イオンを熟知する。
【0138】
本発明のために好適な製薬学的に受容可能な陰イオンとしては、ハロ、カルボキシレート(例えば、フォルメート、アセテートなど)、硫酸塩、メシレート、トシレートなどが挙げられる。
【0139】
一実施態様では、Yはハロである。あるいは、Yはクロロまたはブロモである。
【0140】
もう一つの実施態様では、Yはカルボキシレートである。あるいは、Yはフォルメートである。
【0141】
式IIの化合物におけるX、y、R、R、R、R、R、R、およびRの実施態様は、式Iの化合物に関して上述した通りである。
【0142】
下記の表1に、本発明の代表的化合物が記載される。
【0143】
表1)
【化56】

【0144】
【化57】

当業者であれば、本発明の化合物の調製のために、従来技術で周知の方法を用いてもよいことが理解されよう。本発明の化合物を調製するための例示の方法を下記に具体的に述べる。
【0145】
5.使用、処方、および投与
製薬学的に受容可能な組成物
前述したように、本発明は、ABC輸送体、例えば、CFTRの調節因子の薬剤前駆体として有用な化合物を提供する。これらの化合物は、水溶性が高められており、したがって、治療関連性の利点、例えば、バイオアベイラビリティの改善、処方適性などが得られる。したがって、本発明の化合物は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、タンパクC欠乏症などの凝固性フィブリン溶解欠乏症、1型遺伝血管性浮腫、家族性高コレステロール血症などの脂質処理障害、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク血症、I細胞病/擬似フルラー病などのリソソーム蓄積病、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャー病II型、多発性内分泌症/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、炭水化物欠乏糖タンパク症候群1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏症、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコーマリートゥス症候群、ペルリゼウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病などの神経変性疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントンなどの、数種のポリグルタミン性神経障害、脊髄小脳運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球リュイ体筋緊張性ジストロフィー、ならびに遺伝性クロイツフェルトヤコブ病(プリオンタンパク処理欠陥による)などの海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ病、またはシェーグレン病などの疾患、障害、または病態の治療に有用である。
【0146】
したがって、本発明の別の局面では、製薬学的に受容可能な組成物であって、本明細書に記載される化合物の内の任意のもの、および、製薬学的に受容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを任意に含む組成物が提供される。ある実施態様では、これらの化合物は、さらに一つ以上の添加治療剤を任意に含む。
【0147】
本発明の化合物の内のあるものは、治療のために遊離形として存在すること、あるいは、適切な場合は、製薬学的に受容可能な、その誘導体として存在することも可能であることが理解されよう。本発明によれば、製薬学的に受容可能な誘導体としては、製薬学的に受容可能な塩、エステル、そのようなエステルの塩、または、治療を必要とする患者に投与されると、直接または間接に、本明細書に別様に記載される化合物、または、その代謝産物または残基を提供することが可能な、他の、任意の付加物または誘導体が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
【0148】
本明細書で用いる「製薬学的に受容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内において、不当な毒性、刺激性、アレルギー反応などを引き起こすことなくヒトおよびより下等な動物の組織と接触させて使用するのに好適な塩を指す。「製薬学的に受容可能な塩」とは、本発明の化合物の、任意の非毒性塩またはエステルの塩であって、レシピエントに対して投与すると、直接または間接に、本発明の化合物、または、抑制的活性を持つ、その代謝産物または残基を提供することが可能な塩を意味する。
【0149】
製薬学的に受容可能な塩は従来技術で周知である。例えば、S.M.Berge,et al.は、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19に製薬学的に受容可能な塩について詳述する。本発明の化合物の製薬学的に受容可能な塩としては、好適な無機および有機酸および塩基から誘導された塩が挙げられる。製薬学的に受容可能な、非毒性の、酸添加塩の例としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸、または、有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸によって形成される、あるいは、イオン交換などの従来技術で用いられる他の方法によって形成されるアミノ基の塩がある。他の製薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルフォン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルフォン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルフォン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルフォン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルフォン酸塩、2−ナフタレンスルフォン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルフォン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。本発明はさらに、本明細書に開示される化合物の、任意の、塩基性の窒素含有基の四級化も包含する。このような四級化によって、水または脂溶性または分散性産物を獲得してもよい。代表的アルカリまたはアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに別の、製薬学的に受容可能な塩としては、適切であれば、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、および、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルフォン酸塩、およびアリールスルフォン酸塩などの反対イオンによって形成されるアミン陽イオンが挙げられる。
【0150】
前述のように、本発明の製薬学的に受容可能な組成物は、さらに、製薬学的に受容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを含む。これらは、本発明で用いる場合、所望の、特定の剤形に適合するものである限り、任意の、かつ全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散または縣濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤などが挙げられる。Remington′s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、製薬学的に受容可能な組成物を処方する際に使用される各種担体、およびそれらの調製のための周知の技術を開示する。いずれかの従来の担体媒体が、何らかの有害な生物学的作用をもたらすか、または、製薬学的に受容可能な組成物の、他の、いずれかの成分(単数または複数)と、何か別の有害なやり方で相互作用を持つことによって、本発明の化合物に対し不適合となる場合を除いては、その担体媒体の使用は、本発明の範囲内にあるものと考慮される。製薬学的に受容可能な担体として使用が可能な物質の例としていくつか述べると、ただしこれらに限定されないが、イオン交換要素、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク、例えば、ヒトの血清アルブミン、バッファー物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニールピロリドン、ポリアクリレート、ワックス類、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖類、例えば、ラクトース、グルコース、および蔗糖;でん粉類、例えば、とうもろこしでん粉およびじゃがいもでん粉;セルロースおよびその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロース;粉末状トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバターおよび座剤ワックス;油類、例えば、落花生油、綿実油;紅花油;胡麻油;オリーブ油;コーン油および大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール;エステル類、例えば、オレイン酸エチル、およびラウリン酸エチル;寒天;バッファー剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質非含有水;等張生食液;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸バッファー液が挙げられるが、その外、他の、非毒性適合性潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、および、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、芳香剤および香料、防腐剤、および抗酸化剤も、処方家の判断にしたがって組成物の中に存在してもよい。
【0151】
化合物、および製薬学的に受容可能な組成物の使用
さらに別の局面において、本発明は、ABC輸送体活動、例えば、CFTRの関わる病態、疾患、または障害を治療する方法を提供する。ある実施態様では、本発明は、ABC輸送体活動欠陥の関わる病態、疾患、または障害を治療する方法であって、治療を要する被検体、好ましくは哺乳動物に対し、式(I)の化合物を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0152】
ある実施態様では、本発明は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、タンパクC欠乏症などの凝固性フィブリン溶解欠乏症、1型遺伝血管性浮腫、家族性高コレステロール血症などの脂質処理障害、1型カイロミクロン血症、アベータ(アベータ)リポタンパク血症、I細胞病/擬似フルラー病などのリソソーム蓄積病、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャー病II型、多発性内分泌症/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、炭水化物欠乏糖タンパク症候群1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏症、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコーマリートゥス症候群、ペルリゼウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病などの神経変性疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントンなどの、数種のポリグルタミン性神経障害、脊髄小脳運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球リュイ体筋緊張性ジストロフィー、ならびに遺伝性クロイツフェルトヤコブ病(プリオンタンパク処理欠陥による)などの海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ病、またはシェーグレン病を治療する方法であって、前記哺乳動物に対して、本発明の化合物を含む組成物の有効量を投与することを含む工程を含む方法を提供する。
【0153】
別の好ましい実施態様によれば、本発明は、嚢胞性線維症を治療する方法であって、前記哺乳動物に対して、本発明の化合物を含む組成物の有効量を投与することを含む工程を含む方法を提供する。
【0154】
本発明によれば、化合物、または製薬学的に受容可能な組成物の「有効量」とは、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、タンパクC欠乏症などの凝固性フィブリン溶解欠乏症、1型遺伝血管性浮腫、家族性高コレステロール血症などの脂質処理障害、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク血症、I細胞病/擬似フルラー病などのリソソーム蓄積病、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャー病II型、多発性内分泌症/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、炭水化物欠乏糖タンパク症候群1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏症、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコーマリートゥス症候群、ペルリゼウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病などの神経変性疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントンなどの、数種のポリグルタミン性神経障害、脊髄小脳運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球リュイ体筋緊張性ジストロフィー、ならびに遺伝性クロイツフェルトヤコブ病(プリオンタンパク処理欠陥による)などの海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ病、またはシェーグレン病の内の、一つ以上を治療するか、またはその重度を緩和するのに有効な量である。
【0155】
本発明の方法によれば、化合物および組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、タンパクC欠乏症などの凝固性フィブリン溶解欠乏症、1型遺伝血管性浮腫、家族性高コレステロール血症などの脂質処理障害、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク血症、I細胞病/擬似フルラー病などのリソソーム蓄積病、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャー病II型、多発性内分泌症/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、炭水化物欠乏糖タンパク症候群1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏症、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコーマリートゥス症候群、ペルリゼウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病などの神経変性疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントンなどの、数種のポリグルタミン性神経障害、脊髄小脳運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球リュイ体筋緊張性ジストロフィー、ならびに遺伝性クロイツフェルトヤコブ病(プリオンタンパク処理欠陥による)などの海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ病、またはシェーグレン病の内の、一つ以上を治療するか、またはその重度を緩和するのに有効な、任意の量および任意の投与ルートを用いて投与してよい。
【0156】
一実施態様では、本発明の化合物および組成物は、患者の嚢胞性線維症を治療するか、またはその重度を緩和するのに有用である。
【0157】
ある実施態様では、本発明の化合物および組成物は、呼吸器および非呼吸器上皮の頂側膜においてABC輸送体の残留活性を呈する患者において嚢胞性線維症を治療するか、またはその重度を緩和するのに有用である。上皮面におけるABC輸送体の残留活性の存在は、従来技術で既知の方法、例えば、標準的電気生理学的、生化学的、または組織化学的技術を用いることによって簡単に検出することが可能である。これらの方法は、体内または体外性電気生理学技術、汗または唾液腺におけるCl濃度の測定、または体外における生化学的または組織化学的技術を用い細胞表面密度を監視することによってABC輸送体活性を特定する。例えば、これらの方法を用い、様々の異なる突然変異についてヘテロまたはホモ接合体を有する患者において、例えば、もっとも一般的な突然変異ΔF508についてホモまたはヘテロ接合体を持つ患者において、ABC輸送体の残留活動を簡単に検出することが可能である。
【0158】
別の実施態様では、本発明の化合物および組成物は、薬理学的方法または遺伝子治療によって、CFTRの残留活性を誘発または増強された患者において、嚢胞性線維症を治療するか、またはその重度を緩和するのに有用である。この方法は、細胞表面に存在するCFTRの量を増し、そうすることによって患者においてこれまで見られなかったCFTR活性を誘発するか、または、患者におけるCFTRの残留活性の既存レベルを増強する。
【0159】
一実施態様では、本発明の化合物および組成物は、CFTRの残留活性を示すある種の遺伝型、例えば、クラスIII突然変異(調節またはゲート開閉障害)、クラスIV突然変異(コンダクタンス変化)、またはクラスV突然変異(合成の低下)内に納まる患者の嚢胞性線維症を治療するか、またはその重度を緩和するのに有用である(Lee R.Choo−Kang,Pamela L.,Zeitlin,Type I,II,III,and V cystic fibrosis Transmembrane Conductance Regulator Defects and Opportunities of Therapy;Current Opinion in Pulmonary Medicine 6:521−529,2000)。CFTRの残留活性を示す、他の、患者遺伝子型として、上記クラスの内のひとつに対してホモ接合体を持つ患者、または、クラスI突然変異、クラスII突然変異を含む、他の任意の突然変異、あるいは、分類を欠く突然変異についてヘテロ接合体を持つ患者が挙げられる。
【0160】
一実施態様では、本発明の化合物および組成物は、ある種の臨床的表現型、例えば、通常、上皮の頂側膜におけるCFTRの残留活性の量と相関する、中等から低度の臨床的表現型内に納まる患者の嚢胞性線維症を治療するか、またはその重度を緩和するのに有用である。そのような表現型としては、すい臓の十分な機能性を示す患者、または、特発性すい臓炎および両側精管の先天的欠損、または軽度の肺疾患と診断された患者が挙げられる。
【0161】
正確な必要量は、被検体によってまちまちであり、その動物種、年齢、該被検体の一般的状態、感染の重度、特定の薬剤、その投与方式などに応じて変動する。本発明の化合物は、投与のやり易さおよび用量の均一性のために、単位剤形として処方されるのが好ましい。本明細書で用いる「単位剤形」という表現は、治療される患者にとって適切な、薬剤の、物理的不連続単位を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の、日々の合計使用量は、主治医によって、健全な医学的判断の範囲内において決定されることが理解される。ある特定の患者または生物体における特定の有効用量レベルは、治療される障害、および障害の重度;用いられる特定化合物の活性;用いられる特定組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別、および食事;投与時間、投与ルート、および用いられる特定化合物の排泄速度;治療の持続時間;用いられる特定化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬剤、を含む、様々の要因、および、医学分野において周知の類似の要因に依存する。本明細書で用いる「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、もっとも好ましくはヒトを意味する。
【0162】
本発明の製薬学的に受容可能な組成物は、ヒトおよび他の動物に対し、経口的に、直腸内に、非経口的に、クモ膜下槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏、または滴下によって)、頬内に、口内または鼻腔内噴霧としてなど、治療される感染の重度に応じて投与することが可能である。ある実施態様では、本発明の化合物は、所望の治療作用を実現するために、1日に1回以上、1日当たり被検体の体重1kg当たり、約0.01mgから約50mg、好ましくは約1mgから約25mgの用量レベルで、経口的に、または非経口的に投与してよい。
【0163】
経口投与用の液体剤形としては、製薬学的に受容可能な乳液、ミクロ乳液、溶液、縣濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。活性化合物の外に、液体剤形は、従来技術において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水、またはその他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、カルボン酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルフォルムアミド、油類(特に、綿実油、落花生、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシ油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含んでもよい。不活性希釈剤の外に、経口組成物はさらに、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化および縣濁剤、甘味剤、芳香剤、および香料を含んでもよい。
【0164】
注入可能な調剤、例えば、注入可能な、水性または油性の滅菌縣濁液を、適切な分散または湿潤剤、および縣濁剤を用い、既知の技術にしたがって処方してよい。注入可能な滅菌調剤はさらに、非経口的投与において受容可能な非毒性希釈液または溶媒に溶解させて、注入可能な滅菌液、縣濁液、または乳剤として、例えば、1,3−ブタンジオールに溶かした溶液として存在させてもよい。使用してもよい、受容可能なビヒクルおよび溶媒としては、水、米国薬局方のリンゲル液、および等張の塩化ナトリウム液が挙げられる。さらに、滅菌された不揮発性油が、溶媒または縣濁媒体として常習的に使用される。この目的のために、任意の、無味の不揮発性油、例えば、合成のモノ−、またはトリ−グリセリドを含む油を使用することが可能である。さらに、注入剤の調製には、オレイン酸などの脂肪酸が使用される。
【0165】
注入可能処方は、例えば、細菌保有フィルターを通過するろ過によって、または、滅菌剤を、固体の滅菌組成物として取り込むことによって滅菌することが可能である。後者では、使用の前に、滅菌水、または他の、滅菌性注入媒体に、該組成物を溶解または分散させることが可能である。
【0166】
本発明の化合物の作用を延長させるために、皮下または筋肉内注入において該化合物の吸収を遅らせることが好ましい場合がよくある。水溶性の劣る結晶性または非晶性物質の液体縣濁液を用いることによって、これを実現してもよい。その際、化合物の吸収速度は、溶解速度に依存するが、この溶解速度は、次いで、結晶のサイズおよび結晶形に依存する場合がある。それとは別に、非経口的に投与される化合物形の吸収遅延は、該化合物を油状ビヒクルに溶解または縣濁することによって実現される。ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生物分解性ポリマーの中に化合物を納めてマイクロカプセル基質を形成することによって、注入可能なデポ形態が作製される。ポリマーに対する化合物の比率、および使用する特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を調節することが可能である。他の、生物分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエーテル)、およびポリ(無水物)が挙げられる。注入可能なデポ形態はまた、生体組織と適合するリポソームまたはミクロ乳剤の中に化合物を捕捉することによっても調製される。
【0167】
直腸または膣内投与用の組成物は、適切な非刺激性賦形剤または担体、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または座剤ワックスと本発明の化合物を混ぜ合わせることによって調製することが可能な座剤であることが好ましい。これらの賦形剤または担体は、周囲温度では固体で、体温では液体となり、したがって、直腸または膣腔において溶解して活性化合物を放出するからである。
【0168】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒が挙げられる。このような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも一つの不活性な、製薬学的に受容可能な賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウム、またはリン酸二カルシウム、および/または、a)充填剤または増量剤、例えば、でん粉、ラクトース、蔗糖、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニールピロリドン、蔗糖、およびアカシア、c)保湿剤、例えば、グリセロール、d)崩壊剤、例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、じゃがいもまたはタピオカでん粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、f)吸収加速剤、例えば、四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロール、h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ、および、i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および、それらの混合物と混ぜ合わせられる。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形はさらにバッファー剤を含んでもよい。
【0169】
同様のタイプの固体組成物はさらに、ラクトースまたは乳糖を始め、高分子量ポリエチレングルコールなどの賦形剤を用いた、軟および硬充填性ゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用してもよい。錠剤、糖剤、カプセル、丸剤、および顆粒から成る固体剤形は、製薬処方技術で周知のコーティングおよび被覆、例えば、腸吸収コーティングおよびその他のコーティングと共に調製することが可能である。これらの剤形は、X線不透過剤を任意に含んでもよく、さらに、腸管のある特定部位のみに、またはその部位に優先的に、任意に遅延的に、活性成分(単複)を放出するような組成物として構成することも可能である。使用が可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物はさらに、ラクトースまたは乳糖を始め、高分子量ポリエチレングルコールなどの賦形剤を用いた、軟および硬充填性ゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用してもよい。
【0170】
この活性化合物はさらに、前述の一つ以上の賦形剤と共にミクロカプセル形として存在させることも可能である。錠剤、糖剤、カプセル、丸剤、および顆粒から成る固体剤形は、製薬処方技術で周知のコーティングおよび被覆、例えば、腸吸収コーティング、放出調節コーティング、およびその他のコーティングと共に調製することが可能である。これらの固体剤形では、活性化合物を、少なくとも一つの不活性希釈剤、例えば、蔗糖、ラクトース、またはでん粉と混ぜ合わせてもよい。この剤形はさらに、通常の慣行として行われるように、不活性希釈剤以外の添加物質、例えば、錠剤潤滑剤、およびその他の錠剤支援剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびミクロ結晶セルロースを含んでもよい。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形はさらにバッファー剤を含んでもよい。これらの剤形は、X線不透過剤を任意に含んでもよく、さらに、腸管のある特定部位のみに、またはその部位に優先的に、任意に遅延的に、活性成分(単複)を放出するような組成物として構成することも可能である。使用が可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0171】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液、噴霧、吸引剤、またはパッチが挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で、製薬学的に受容可能な担体、および、必要に応じて任意の防腐剤またはバッファーと混ぜ合わされる。眼科用処方、点耳薬、および点眼薬も、本発明の範囲内にあると思量される。さらに、本発明は、生体に対し化合物の調節的送達を実現する新たな利点を提供する、経皮パッチの使用も考慮の対象とする。このような剤形は、適切な媒体に化合物を溶解または滴下することによって調製される。皮膚を横切る化合物のフラックスを増すために、吸収強化剤を使用することも可能である。この速度は、速度調節膜を供給するか、または、化合物をポリマー基質またはゲルの中に分散させることによって調節することが可能である。
【0172】
上に概説したように、本発明の化合物は、ABC輸送体の調節因子の薬剤前駆体として有用である。したがって、ただし、いずれのものであれ、ある特定の理論に縛られることを望むものではないが、本化合物および組成物は、ABC輸送体の、過度の活性または不活性が関与する、疾患、病態、または障害の治療、またはその重度の緩和のために特に有用である。ある特定の疾患、病態、または障害にABC輸送体の過度の活性または不活性が関与する場合、その疾患、病態、または障害は、別に「ABC輸送体媒介性疾患、病態、または障害」と呼んでもよい。したがって、別の局面では、本発明は、ABC輸送体の過度の活性または不活性が、その病状に関与する、疾患、病態、または障害を治療するための、またはその重度の緩和するための方法を提供する。一実施態様では、前記ABC輸送体はCFTRである。
【0173】
さらに、本発明の薬剤前駆体および製薬学的に受容可能な組成物は、併用療法にも使用が可能であること、すなわち、化合物および製薬学的に受容可能な組成物は、他の、一つ以上の所望の治療剤、または医学的処置と同時に、その前に、またはその後に投与することが可能であることが理解されよう。併用処方において使用される治療剤(治療剤または処置)の特定の組み合わせは、所望の治療剤同士および/または処置同士、および、達成される所望の治療効果同士の適合性を考慮に入れる。さらに、使用される治療剤同士は、同じ障害に対し所望の作用を実現してもよいし(例えば、本発明の化合物は、同じ障害を治療するために、もう一つの薬剤と同時に投与されてもよい)、あるいは、それらは、異なる作用(例えば、任意の副作用の調節)を達成してもよいことが理解される。本明細書で用いる場合、通常、ある特定の疾患または病態を治療または予防するために投与される、添加治療剤は、「治療される疾患または病態に対し適切である」ことが知られる。
【0174】
一実施態様では、添加薬剤は、粘液分解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のABC輸送体調節因子、または栄養剤から選ばれる。
【0175】
本発明の組成物に存在する、添加治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として含む組成物として通常投与される量を超えない。ここに開示される組成物における添加治療剤の量は、その治療剤を唯一の治療的活性剤として含む組成物において通常存在する量の約50%から100%までの範囲である。
【0176】
本発明の化合物、または、製薬学的に受容可能な、その組成物はさらに、埋め込み可能な医用装置、例えば、人工器官、人工弁、移植血管、ステント、およびカテーテルにコーティングするための組成物の中に取り込ませてもよい。したがって、もう一つの局面では、本発明は、埋め込み可能な装置をコーティングするための組成物であって、上に概説した本発明の化合物で、本明細書のクラスおよびサブクラスに属する化合物、および、前記埋め込み可能な装置をコーティングするのに好適な担体を含む組成物を含む。さらに別の局面では、本発明は、上に概説した本発明の化合物で、本明細書のクラスおよびサブクラスに属する化合物、および、前記埋め込み可能な装置をコーティングするのに好適な担体を含む組成物によってコートされた埋め込み可能装置を含む。コートされた埋め込み可能装置の好適なコーティング、および一般的調製法が、米国特許第6,099,562;5,886,026;および5,304,121号に記載されている。コーティングは、通常、生物適合性ポリマー材料、例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニール、およびそれらの混合物である。組成物に放出調節性を付与するために、このコーティングをさらに、フルオロシリコン、ポリサッカリド、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはそれらの組み合わせによって被覆してもよい。
【0177】
本明細書に記載される本発明がさらに十分に理解されるように、下記の実施例が記載される。これらの実施例は、単に例示目的のためだけのものであって、いかなるやり方でも本発明を限定するものと見なしてはならないことを理解しなければならない。
【実施例】
【0178】
(一般的スキーム)
【化58】

【0179】
実施例1
【0180】
【化59】

[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸ジベンジルエステル
テトラゾール(CHCNに溶解した0.45M溶液、1.24mL、0.56mmol)を、ジクロロメタン(2mL)に溶解した、N−(5−ヒドロキシ−2,4−ditert−ブチル−フェニル)−4−オキソ−1H−キノリン−3−カルボキサミド(78mg、0.2mmol)、およびジベンジルジイソプロピルフォスフォルアミダイト(184μL、0.56mmol)の混合物に加え、この反応物を室温で2時間攪拌し、次いで、tert−ブチルヒドロペルオキシド(デカンに溶解した5.5M溶液、102μL、0.56mmol)を加え、この反応物を室温で一晩攪拌した。次に、この反応混合物を、酢酸エチル液と飽和NaHCO液の間で区分した。有機層を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮した。残留物を、シリカゲルに吸着させ、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50−100%酢酸エチル−ヘキサン)で精製したところ、[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸ジベンジルエステルが透明油状物として得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ13.04(br s,1H),12.05(s,1H),8.91(s,1H),8.35(dd,J=8.1,1.0Hz,1H),7.88(s,1H),7.82(m,1H),7.77(d,J=7.7Hz,1H),7.53(m,1H),7.37−7.31(m,11H),5.19(m,4H),1.44(s,9H),1.33(s,9H);HPLC保持時間3.77分、30−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 653.4m/z[M+H]
[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸
[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸ジベンジルエステルを、エタノール(2mL)に溶解し、反応フラスコをN(気体)によって噴射した。次に、Pd−C(5重量%、20mg)を加え、フラスコを再びN(気体)によって噴射した。次に、反応フラスコをH(気体)で噴射し、室温で3時間H(気体、大気圧)下に攪拌しながら放置した。この反応物をCeliteを通過させてろ過し、さらに再び0.2μmフィルター円盤を通過させた。この溶液を濃縮したところ、[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸が白色固体(40mg、85%)として得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ13.37(br s,1H),11.85(s,1H),8.93(s,1H),8.31(d,J=8.0Hz,1H),7.79−7.74(m,3H),7.49(m,1H),7.26(s,1H),1.37(m,18H);HPLC保持時間3.07分、10−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 473.0m/z[M+H]
【0181】
[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸二ナトリウム塩
脱イオン水(15mL)に溶解した、[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸の縣濁液に、NaOH溶液(0.1024N、12.4mL、1.27mmol)を加えた。この混合物を超音波処理し、さらに水(15mL)を加え、固形物を溶解した。次に、この水溶液を凍結し、解凍したところ、二ナトリウム塩が、白色綿状固体として得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ13.27(s,1H),8.95(s,1H),8.22(d,J=8.0Hz,1H),7.74(s,1H),7.58(d,J=8.1Hz,1H),7.45(m,1H),7.20−7.16(m,2H),1.40(s,9H),1.38(s,9H);HPLC保持時間3.11分、10−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 473.3m/z[M+H]
【0182】
実施例2
【0183】
【化60】

[4−(3−エトキシフェニル)−5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2−tert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸ジベンジルエステル
テトラゾール(CHCNに溶解した0.45M溶液、12.4mL、5.6mmol)を、氷水浴で冷却したジクロロメタン(2mL)に溶解した、N−[2−(3−エトキシフェニル)−5−ヒドロキシ−4−tert−ブチル−フェニル)]−4−オキソ−1H−キノリン−3−カルボキサミド(912mg、2mmol)、およびジベンジルジイソプロピルフォスフォルアミダイト(1.84mL、5.6mmol)の混合物に加えた。この反応物を室温で温めながら2時間攪拌し、さらにジベンジルジイソプロピルフォスフォルアミダイト(1.00mL、3.0mmol)を加え、この反応物を加熱して3時間還流した。次いで、tert−ブチルヒドロペルオキシド(デカンに溶解した5.5M溶液、1.02mL、5.6mmol)を加えながら、この反応物を氷水浴で冷却し、室温で一晩攪拌した。この反応混合物を、酢酸エチル液と飽和NaHCO液の間で区分した。有機層を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮した。残留物を、セライトに吸着させ、逆相カラムクロマトグラフィー(C−18、副産物を溶出するため30−50%アセトニトリル−水、次いで、産物を溶出するため50−95%)で精製したところ、5−tert−ブチル−3′−エトキシ−2−[(4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボニル)−アミノ]−ビフェニル−4−イルエステルが白色固体(1.2g、83%)として得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ12.17(s,1H),8.86(s,1H),8.68(s,1H),8.11(dd,J=8.2,1.1Hz,1H),7.77(m,1H),7.71(d,J=7.8Hz,1H),7.49−7.34(m,12H),7.18(d,J=1.3Hz,1H),6.99−6.96(m,3H),5.24(m,4H),4.10(q,J=7.0Hz,2H),1.34(s,9H),1.30(t,J=7.0Hz,3H);;HPLC保持時間4.20分、30−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 717.3m/z[M+H]
【0184】
[4−(3−エトキシフェニル)−5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2−tert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸
[4−(3−エトキシフェニル)−5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2−tert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸ジベンジルエステル(50mg、0.07mmol)を、エタノール(2mL)に溶解し、反応フラスコをN(気体)によって噴射した。次に、Pd−C(5重量%、5mg)を加え、フラスコを再びN(気体)によって噴射した。次に、反応フラスコをH(気体)で噴射し、室温で2.5時間H(気体、大気圧)下に攪拌しながら放置した。この反応物をろ過し、濃縮したところ、[4−(3−エトキシフェニル)−5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2−tert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸が白色固体(35mg、93%)として得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ13.21(br s,1H),11.95(s,1H),8.87(d,J=6.5Hz,1H),8.48(s,1H),8.10(d,J=8.0Hz,1H),7.75−7.67(m,2H),7.44(m,1H),7.32(m,1H),7.10(s,1H),6.92−6.90(m,3H),4.06(q,J=7.0Hz,2H),1.39(s,9H),1.28(t,J=7.0Hz,3H);HPLC保持時間3.20分、10−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 537.4m/z[M+H]
【0185】
[4−(3−エトキシフェニル)−5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2−tert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸二ナトリウム塩
脱イオン水(2mL)に溶解した、[4−(3−エトキシフェニル)−5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2−tert−ブチル−フェノキシ]フォスフォン酸(28mg、0.052mmol)の縣濁液に、NaOH溶液(0.1024N、1.02mL、0.104mmol)を加えた。この混合物を超音波処理し、固形物を溶解した。次に、この水溶液を凍結し、解凍したところ、二ナトリウム塩が、白色綿状固体として得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ13.32(s,1H),8.91(s,1H),8.25(s,1H),8.06(d,J=6.9Hz,1H),7.53(d,J=8.0Hz,1H),7.41(m,1H),7.26(t,J=7.9Hz,1H),7.13(m,1H),7.02−7.01(m,2H),6.96(d,J=7.7Hz,1H),6.82(dd,J=8.2,2.0Hz,1H),4.10(q,J=7.0Hz,2H),1.40(s,9H),1.26(t,J=7.0Hz,3H);HPLC保持時間3.22分、10−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 537.5m/z[M+H]
【0186】
一般的スキーム
【0187】
【化61】

実施例3
【0188】
【化62】

[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェニル]2−ジエチルアミノアセテート.HCl
ジクロロメタン(35mL)に溶解した、N−(5−ヒドロキシ−2,4−ditert−ブチル−フェニル)−4−オキソ−1H−キノリン−3−カルボキサミド(3.92g、10mmol)とジメチルアミノ酢酸(2.62g、20mmol)の混合物に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド(5.75g、30mmol)を加えた。この反応物を、室温で3日間攪拌した。反応混合物を水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮した。残留物をDMSOに溶解し、逆相HPLC(0.5%TFA含有の、10−99%CHCH−HO)で精製したところ、問題の産物がTFA塩として得られた。この産物の一部(130mg)をジクロロメタンに溶解し、飽和NaHCO溶液で抽出し、MgSO上で乾燥し、濃縮したところ、遊離塩基が得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ12.93(brs,1H),12.05(s,1H),8.87(s,1H),8.33(dd,J=8.2,1.1Hz,1H),7.82(m,1H),7.75(d,J=7.8Hz,1H),7.52(m,1H),7.42(s,1H),7.39(s,1H),3.63(s,2H),2.66(q,J=7.1Hz,4H),1.45(s,9H),1.32(s,9H),1.02(t,J=7.1Hz,6H);HPLC保持時間2.99分、10−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 506.5m/z[M+H]。次に、この遊離塩基をジエチルエーテルに溶解し、HCl溶液(ジエチルエーテルの2M液、2当量)を加え、溶液を濃縮したところ、[5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2,4−ditert−ブチル−フェニル]2−ジエチルアミノアセテート塩酸が、薄いピンク色固体として得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ13.15(d,J=6.8Hz,1H),12.09(s,1H),10.13(s,1H),8.83(d,J=6.8Hz,1H),8.33(d,J=7.6Hz,1H),7.85−7.78(m,2H),7.58(s,1H),7.53(m,1H),7.44(s,1H),4.66(m,2H),3.28(m,4H),1.46(s,9H),1.34(s,9H),1.27(t,J=7.3Hz,6H);HPLC保持時間3.01分、10−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 506.5m/z[M+H]
【0189】
実施例4
【0190】
【化63】

[4−(4−エトキシフェニル)−5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2−tert−ブチル−フェニル]2−ジエチルアミノアセテート.HCl
ジクロロメタン(2.5mL)に溶解した、N−[2−(3−エトキシフェニル)−5−ヒドロキシ−4−tert−ブチル−フェニル)−4−オキソ−1H−キノリン−3−カルボキサミド(228mg、0.5mmol)、DMAP(610mg、5mmol)、およびジエチルアミノ酢酸(328mg、2.5mmol)の混合物に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド(480mg、2.5mmol)を加えた。この反応物を、室温で一晩攪拌した。溶媒除去後、残留物を逆相HPLC(1.0%HCOOH含有の、10−50%CHCN−HO)で精製したところ、問題の産物がギ酸塩として得られた。;HPLC保持時間3.05分、10−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 570.4m/z[M+H]。次に、この産物の一部(5mg)をクロロフォルム(200μL)に溶解し、HCl溶液(ジエチルエーテルの2M液、12μL)を加えた。この溶液を濃縮し、クロロフォルム(200μL)およびHCl液(ジエチルエーテルの2M液、12μL)に再度溶解した。この溶液を蒸発乾固させたところ、[4−(4−エトキシフェニル)−5−[(4−オキソ−1H−キノリン−3−イル)カルボニルアミノ]−2−tert−ブチル−フェニル]2−ジエチルアミノアセテート塩酸が得られた。H−NMR(400MHz,d−DMSO)δ12.14(bs,1H),11.68(s,1H),8.84(s,1H),8.33(s,1H),8.26(s,1H),8.20−8.18(m,1H),7.48(t,J=7.7Hz,1H),7.35−7.23(m,4H),6.93−6.90(m,1H),6.85−6.83(m,2H),4.02(q,J=7.0Hz,2H),3.98(s,2H),3.07(q,J=7.2Hz,4H),1.37−1.34(m,12H),1.26(t,J=7.2Hz,6H);HPLC保持時間3.07分、10−99%CHCN、5分間計測;ESI−MS 570.4m/z[M+H]
【0191】
表1の化合物の特性解明データを、下記の表2に示す。
【0192】
表2
【0193】
【化64】

【0194】
【化65】

化合物のΔF508−CFTR活性を検出および測定するためのアッセイ
I)化合物のΔF508−CFTR調節性を定量するための、膜電位光学測定法
膜電位光学アッセイは、Gonzarez and Tsien(Gonzalez,J.E.and R.Y.Tsien(1995)“Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells”Biophys J 69(4):1272−80、およびGonzalez,J.E.and R.Y.Tsien(1997)“Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer”Chem Biol 4(4):269−77を参照されたい)によって記載される、電圧感受性FRETセンサーを、蛍光変化を測定するための装置設定と、例えば、Voltage/Ion Probe Reader(VIPR)(Gonzalez,J.E.,K.Oades,et al.(1999)“Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets”Drug Discov Today 4(9):431−439を参照されたい)と組み合わせて用いた。
【0195】
これらの電圧感受性アッセイは、膜に可溶で、電圧感受性を持つ染料DiSBAC(3)と、原形質膜の外方リーフレットに付着し、FRETドナーとして活動する蛍光性リン脂質CC2−DMPEとの間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の変化に基づく。膜電位(Vm)の変化は、陰性荷電DiSBAC(3)の、原形質膜横断面における再分布を引き起こし、したがって、CC2−DMPEからのエネルギー転移量も変化する。この、蛍光発射の変化は、96−、または384−ウェルマイクロタイタープレートにおける一体的液体操作器であり、かつ、細胞性スクリーンとなるように設計されたVIPR(登録商標)IIを用いて監視した。
【0196】
増強化合物の特定
ΔF508−CFTRの増強因子を特定するために、二重加算HTSアッセイ方式を開発した。第1加算の際、試験化合物含有または非含有の、Cl無添加媒体を各ウェルに加えた。22秒後、ΔF508−CFTRを活性化するために、2−10μMフォースコリンを含むCl無添加媒体の第2回添加を加えた。ΔF508−CFTR活性化に反応してClの流出フラックスを増進する2回の添加後のClの細胞外濃度は28mMであり、得られた膜の脱分極は、FRETによる電圧感受性染料を用いて光学的に監視された。
【0197】
溶液
浴槽液#1:(mM)NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、pH NaOHによって7.4。
【0198】
塩化物非含有浴槽液:浴槽液#1の塩化物を、グルコン酸塩で置換する。
【0199】
CC2−DMPE:DMSOに溶解した10mM保存液として調製、−20℃で保存。
【0200】
DiSBAC(3):DMSOに溶解した10mM保存液として調製、−20℃で保存。
【0201】
細胞培養
膜電位の光学的測定のために、ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を用いる。細胞は、175cm培養フラスコにおいて、2mMグルタミン、10%ウシ胎児血清、1X NEAA、β−ME、1X pen/strep、および25mM HEPESを添加した、Dulbecco改定のEagle培地において、5%COおよび90%湿度の下で37℃に維持する。全ての光学的アッセイにおいて、細胞は、384ウェルの、マトリジェル塗布プレートに、ウェル当たり30,000個の割合で撒き、37℃で2時間培養し、その後、27℃で24時間培養して増強因子アッセイに用いた。補正アッセイでは、細胞は、化合物添加または無添加条件において、27℃または37℃で、16−24時間培養した。B)化合物のΔF508−CFTR調節特性を定量するための電気生理学的アッセイ。
【0202】
Ussingのチェンバーアッセイ
光学アッセイで特定されたΔF508−CFTR調節因子の特性をさらに解明するために、ΔF508−CFTRを発現する、極性上皮細胞に対しUssingのチェンバー実験を行った。Coster Snapwell細胞培養挿入体の上で培養した、FRTΔF508−CFTR上皮細胞を、Ussingチェンバー(Physiologic Instruments,Inc.,San Diego、カリフォルニア州)に登載し、電位固定システム(Department of Bioengineering,University of Iowa,アイオワ州、およびPhysiologic Instruments,Inc.,San Diego、カリフォルニア州)を用いて、単層を連続的に短絡した。2−mVパルスを印加することによって経皮抵抗を測定した。この条件下で、FRT上皮は、4KΩ/cm以上の抵抗を示した。溶液は27℃に維持し、空気を通気させた。電極のオフセット電位および流体抵抗は、細胞無添加挿入体を用いて補正した。この条件下では、電流は、頂側膜に発現されるΔF508−CFTRを通過するClの流れを反映する。ISCは、MP100A−CEインターフェイス、およびAcqKnowledgeソフトウェア(バージョン3.2.6;BIOPAC Systems,Santa Barbara、カリフォルニア州)を用いてディジタルデータとして得た。
【0203】
増強因子化合物の特定
典型的プロトコールでは、側底から頂側膜へのCl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するために、側底膜には正常リンゲルを用い、ニスタチン(360μg/ml)によって膜を透過させ、一方、頂側のNaClは、等モルのグルコン酸ナトリウム(NaOHでpH7.4に調整した)で置換し、上皮を横切る、大きなCl濃度勾配を形成した。実験は全て、ニスタチンによる膜透過の30分後に行った。フォースコリン(10μM)および全ての試験化合物を、細胞培養挿入体の両側に加えた。ΔF508−CFTR増強因子候補の効力を、既知の増強因子、ゲニスタインのものと比較した。
【0204】
溶液
側底液(mM):NaCl(135)、CaCl(1.2)、MgCl(1.2)、KHPO(2.4)、KHPO(0.6)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルフォン酸(HEPES)(10)、およびデキストロース(10)。この溶液は、NaOHによってpH7.4に調整した。
【0205】
頂側液(mM):NaClがグルコン酸Na(135)によって置換されることを除いては、側底液と同じ。
【0206】
細胞培養
われわれの光学アッセイによって特定された、ΔF508−CFTR調節因子候補に対するUssingチェンバー実験のために、ΔF508−CFTRを発現する、Fisherラットの上皮(FRT)細胞(FRTΔF508−CFTR)を用いた。細胞は、Coster Snapwell細胞培養挿入体の上で培養し、5%ウシ胎児血清、100 U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを添加した、Coon改定HamのF−12培養液において37℃、5%CO下で5日間培養した。化合物の増強活性定量のために使用する前に、ΔF508−CFTRについて補正するために、細胞を27℃で16−48時間インキュベートした。補正化合物の活性を定量するために、化合物の添加および無添加の条件下に細胞を27℃または37℃で24時間インキュベートした。
【0207】
III.全体細胞記録
安定にΔF508−CFTRを発現する、温度および試験化合物について補正したNIH3T3細胞における、ΔF508−CFTRの巨視的電流(IΔF508)を、多孔性パッチ全体細胞記録を用いて監視した。簡単に言うと、Axopatch 200Bパッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc.,Foster City、カリフォルニア州)を用いて、室温でIΔF508の電圧固定記録を行った。記録は全て、10kHzのサンプリング頻度で、1kHzで低域濾波して得た。ピペットは、細胞内液で満たした場合5−6MΩの抵抗を有していた。これらの記録条件において、室温におけるClについて計算された逆転電位(ECl)は、−28mVであった。記録は全て、>20GΩの絶縁抵抗、および<15MΩの直列抵抗を有していた。パルス発生、データ入手、および分析は、Digidata 1320 A/Dインターフェイスを搭載したPCを、Clampex 8(Axon Instruments Inc.)と組み合わせて用いて実行した。水浴は、<250μlの生食液を含み、重力駆動還流システムを用い2ml/分の速度で連続的に還流した。
【0208】
ΔF508−CFTRを安定的に発現するNIH3T3細胞において、ΔF508−CFTR増強因子が、巨視的ΔF508−CFTR Cl電流(IΔF508)を増大させる能力について、さらに多孔性パッチ記録法を用いて調べた。光学アッセイで特定された増強因子は、IΔF508において用量依存性の増加を誘発するが、その能力および効力は光学アッセイで観察されたものと同じであった。調べた全ての細胞において、増強因子印加前、および印加中の逆転電位は、−30mV前後であり、これは、ECl計算値(−28mV)である。
【0209】
溶液
細胞内液(mM):アスパラギン酸Cs(90)、CsCl(50)、MgCl(1)、HEPES(10)、および240μg/mlのアンフォテリシン−B(pHを、CsOHによって7.35に調整)。
【0210】
細胞外液(mM):N−メチル−D−グルタミン(NMDG)−Cl(150)、MgCl(2)、CaCl(2)、HEPES(10)(pHを、HClによって7.35に調整)。
【0211】
細胞培養
全体細胞記録のために、ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を用いる。細胞は、175cm培養フラスコにおいて、2mMグルタミン、10%ウシ胎児血清、1X NEAA、β−ME、1X pen/strep、および25mM HEPESを添加した、Dulbecco改定のEagle培地において、5%COおよび90%湿度の下で37℃に維持する。全体細胞記録のために、2,500−5,000個の細胞を、ポリ−L−リシン塗布ガラスカバースリップに撒き、その後、増強因子活性を試験する前に37℃で24−48時間培養し、かつ、補正因子の活性を測定するために、補正化合物添加または無添加条件において37℃でインキュベートした。
【0212】
IV.単一チャンネル記録
NIH3T3細胞において安定に発現される、温度補正ΔF508−CFTRの単一チャンネル活性、および増強因子化合物の活性を、摘出膜の裏返しパッチを用いて観察した。簡単に言うと、単一チャンネル活性の電圧固定記録を、Axopatch 200Bパッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc.)を用いて室温で行った。記録は全て、10kHzのサンプリング頻度で、400Hzで低域濾波して得た。パッチピペットは、Corning Kovar Sealing #7052ガラス(World Precision Instruments,Inc.,Sarasota、フロリダ州)から製造したもので、細胞外液で満たした場合5−6MΩの抵抗を有していた。摘出後、1mM Mg−ATP、および75nMのcAMP−依存性タンパクキナーゼ、触媒サブユニット(PKA;Promega Corp.Madison、ウィスコンシン州)を添加することによって、ΔF508−CFTRを活性化した。チャンネル活性が安定化した後、重力駆動還流システムを用いパッチを還流した。流入フラックスをパッチに近接して設置したので、完全な溶液交換が1−2秒以内に得られた。高速還流時ΔF508−CFTR活性を維持するために、非特異的フォスファターゼ阻害剤F(10mM NaF)を、水浴液に加えた。これらの記録条件下で、チャンネル活性は、パッチ記録の期間を通じて(最大60分)定常状態を維持した。細胞内液から細胞外液へ移動する陽性電荷(反対方向に移動する陰イオン)によって生成される電流を、陽性電流として示す。ピペット電位(Vp)は80mVに維持された。
【0213】
チャンネル活性は、≦2活動チャンネルを含む膜パッチに基づいて分析した。同時的開口の最大数が、実験時における活動チャンネルの数を決めた。単一チャンネル電流振幅を定量するために、120秒間のΔF508−CFTR活動から記録されたデータを、100Hzを「足きり」として濾過し、次にこれを用いて全点振幅ヒストグラムを構築し、これを、Bio−Patch Analysisソフトウェア(Bio−Logic Comp.フランス)を用いて多数ガウス関数に適合させた。120秒のチャンネル活動について、全微小電流および開放確率(P)を定量した。Pは、Bio−Patchソフトウェアを用いるか、または関係式P=I/i(N)から求めた。前式において、I=平均電流、i=単一チャンネル電流振幅、およびN=パッチにおける活動チャンネルの数である。
【0214】
溶液
細胞外液(mM):NMDG(150)、アスパラギン酸(150)、CaCl(5)、MgCl(2)、HEPES(10)(pHを、Tris塩基によって7.35に調整)。
【0215】
細胞内液(mM):NMDG−Cl(150)、MgCl(2)、EGTA(5)、TES(10)、およびTris塩基(pHを、HClによって7.35に調整)。
【0216】
細胞培養
摘出膜パッチクランプ記録のために、ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を用いる。細胞は、175cm培養フラスコにおいて、2mMグルタミン、10%ウシ胎児血清、1X NEAA、β−ME、1X pen/strep、および25mM HEPESを添加した、Dulbecco改定のEagle培地において、5%COおよび90%湿度の下で37℃に維持する。単一チャンネル記録のために、2,500−5,000個の細胞を、ポリ−L−リシン塗布ガラスカバースリップに撒き、37℃で24−48時間培養して使用に備えた。
【0217】
上記のアッセイの内の一つ以上を用いたところ、本発明の化合物が、CFTRの活性を増強することが判明した。
【0218】
以上、本発明は、その詳細な説明と関連して記載されてきたわけであるが、前記説明は、本発明を例示することを意図するものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は、付属の特許請求項の範囲によって定義される。他の局面、利点、および改変は、下記の特許請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩であって;
Xは、結合、または任意に置換されるC−Cアルキリデン鎖であって、Xの最大二つのメチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR′−、CONR′NR′−、−CO−、−OCO−、−NR′CO−、−O−、−NR′CONR′−、−OCONR′−、−NR′NR′、−NR′NR′CO−、−NR′CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR′−、−SONR′−、NR′SO−、または−NR′SONR′−によって任意に、独立に置換され;
は、独立に、R′、ハロ、NO、CN、CF、またはOCFであり;
yは0−4であり;
およびRは、それぞれ独立に、水素、CN、CF、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、3−12員の脂環、フェニル、C5−C10ヘテロアリールまたはC3−C7ヘテロ環から独立に選ばれ、該ヘテロアリールまたはヘテロ環は、O、S、またはNから選ばれる、最大3個のヘテロ原子を有し、該RおよびRは、−OR′、−CF、−OCF、SR′、S(O)R′、SOR′、−SCF、ハロ、CN、−COOR′、−OC(O)R′、−COR′、−O(CHN(R′)(R′)、−O(CH)N(R′)(R′)、−CON(R′)(R′)、−(CHOR′、−(CHOR′、CHCN、任意に置換されるフェニルまたはフェノキシ、−N(R′)(R′)、−NR′C(O)OR′、−NR′C(O)R′、−(CHN(R′)(R′)、または−(CH)N(R′)(R′)から選ばれる、最大三つの置換基によって、独立に、任意に置換され;
は水素であり;
XYは、下記:
【化2】

から選ばれる基であり、
上式の基(A)および基(B)において、
、W、W、およびWは、それぞれ独立に、0または1であり;
各Mは、水素、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、−N(R、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、または−Rから独立に選ばれ;ここで、Zに結合する−CH以外の、アルキルまたはアルケニル基の1から4個の−CH基は、O、S、S(O)、S(O)、またはN(R)から選ばれるヘテロ原子基によって任意に置換され;そして、該アルキル、アルケニル、またはR中の任意の水素は、オキソ、OR、R、N(R、N(R、(C1−C4アルキリデン)−OH、CN、CO、C(O)N(R、S(O)−N(R、N(R)C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、OCF、−S(O)−R、N(R)−S(O)(R)、ハロ、−CF、または−NOから選ばれる置換基によって任意に置換され;
nは0−2であり;
M′は、H、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、または−Rであり;ここで、該アルキルまたはアルケニル基の1から4個の−CH基は、O、S、S(O)、S(O)、またはN(R)から選ばれるヘテロ原子基によって任意に置換され;そして、該アルキル、アルケニル、またはR中の任意の水素は、オキソ、−OR、−R、−N(R、N(R、−ROH、−CN、−CO、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−N(R)−C(O)−R、−C(O)R、−S(O)−R、−OCF、−S(O)−R、−N(R)−S(O)(R)、ハロ、−CF、または−NOから選ばれる置換基によって任意に置換され;
Zは、−CH−、−O−、−S−、−N(R−であるか;あるいは、
Mが存在しない場合、Zは、水素、=O、または=Sであり;
YはPまたはSであり、ここで、YがSである場合、ZはSではなく;
XはOまたはSであり;
各Rは、水素、またはC−C脂肪族から独立に選ばれ、最大二つのQによって任意に置換され;
各Qは、3−7員の、飽和、部分飽和または不飽和の炭素環系から独立に選ばれるか、または、O、N、NH、S、SO、またはSOから選ばれる、一つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む、4−7員の、飽和、部分飽和または不飽和のヘテロ環であり;Qは、オキソ、−OH、−O(C−C脂肪族)、−C−C脂肪族、−NH、NH(C−C脂肪族)、−N(C−C脂肪族)、−N(C−C脂肪族)−C(O)−C−C脂肪族、−(C−C脂肪族)−OH、−CN、−COH、−CO(C−C脂肪族)、−OCO(C−C脂肪族)、−C(O)−NH、−C(O)−NH(C−C脂肪族)、−C(O)−N(C−C脂肪族)、ハロ、または−CFから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
は、4−6員の、飽和、部分飽和または不飽和の炭素環またはヘテロ環系であるか、あるいは、8−10員の、飽和、部分飽和または不飽和の二環系であり;該ヘテロ環系はいずれも、O、N、S、S(O)、またはN(R)から選ばれる一つ以上のヘテロ原子を含み;前記環系はいずれも、OH、C−Cアルキル、O−(C−Cアルキル)、またはO−C(O)−(C−Cアルキル)から独立に選ばれる、1から4個の置換基を任意に含み;
は、C(R、O、またはN(R)であり;
上式の基(C)において:
は、C1−C6アルキルから選ばれ;
およびRは、それぞれ、Qによって任意に置換されるC1−C6脂肪族から選ばれ;
R′は、水素、または、任意に置換される基から独立に選ばれ、該基は、C−C脂肪族基、あるいは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−3個のヘテロ原子を有する3−8員の飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の単環、あるいは、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−5個のヘテロ原子を有する8−12員の飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の二環系から選ばれるか;あるいは、R′の二つの出現が、それらの結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる0−4個のヘテロ原子を有する任意に置換される3−12員の飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の単環または二環を形成し;
各Rは、独立に、水素であるか、または最大4個のハロゲン置換基によって任意に置換されるC1−C6アルキルである、化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
yが0−2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
yが0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、水素、CN、CF、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、3−12員の脂環、またはフェニルからそれぞれ独立に選ばれ、前記RおよびRは、−OR′、−CF、−OCF、−SCF、ハロ、−COOR′、−OCOR′、−COR′、−O(CHN(R′)(R′)、−O(CH)N(R′)(R′)、−CON(R′)(R′)、−(CHOR′、−(CH)OR′、任意に置換されるフェニル、−N(R′)(R′)、−NC(O)OR′、−NC(O)R′、−(CHN(R′)(R′)、または−(CH)N(R′)(R′)から選ばれる最大三つの置換基によって、独立に、かつ任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、−OR′、−CF、−OCF、SR′、S(O)R′、SOR′、−SCF、ハロ、CN、−COOR′、−OCOR′、−COR′、−O(CHN(R′)(R′)、−O(CH)N(R′)(R′)、−CON(R′)(R′)、−(CHOR′、−(CHOR′、CHCN、任意に置換されるフェニルまたはフェノキシ、−N(R′)(R′)、−NR′C(O)OR′、−NR′C(O)R′、−(CHN(R′)(R′)、または−(CH)N(R′)(R′)から選ばれる最大三つの置換基によって任意に置換されるフェニル環であり;Rが、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが、それぞれ、CFまたはハロから独立に選ばれる、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
およびRが、それぞれ独立に、水素、または任意に置換されるC1−C6直鎖または分枝鎖アルキルから選ばれる、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
およびRが、それぞれ独立に、任意に置換されるn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−(エトキシカルボニル)−エチル、1,1−ジメチル−3−(t−ブトキシカルボニル−アミノ)プロピル、またはn−ペンチルから選ばれる、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
が水素であり、Rが、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項10】
が水素であり、Rが、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項11】
およびRが、それぞれ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項12】
およびRが共にt−ブチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項13】
が、水素、またはC1−C6直鎖または分枝鎖アルキルであり、RがCFである、請求項4に記載の化合物。
【請求項14】
両Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
両Rが、最大4個のハロ置換基によって任意に置換されるC1−C6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
一方のRが水素であり、他方のRが、最大4個のハロ置換基によって任意に置換されるC1−C6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC6−C10脂環であり;
iii)RXYは:
【化3】

であり、式中、Rは、C1−C3アルキリデンであり;そして
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである、
のうち、一つ、一つより多く、または好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;
iii)RXYは:
【化4】

であり、式中、Rは、C1−C3アルキリデンであり;そして
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである、
のうち、一つ、一つより多く、またはより好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)RはCFであり;
iii)RXYは:
【化5】

であり、式中、Rは、C1−C3アルキリデンであり;
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、またはより好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、CF、CN、またはフェニルであり、該フェニルは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
ii)Rは、CF、ハロ、C1−C6アルキル、またはC6−C10脂環であり;、
iii)RXYは:
【化6】

であり、Rは、C1−C3アルキリデンであり;
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは、ハロ、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、CF、CN、またはフェニルであり、該フェニルは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;
iii)RXYは:
【化7】

であり、式中、Rは、C1−C3アルキリデンであり;
およびRはそれぞれC1−C4アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC1−C6直鎖または分枝鎖アルキル、あるいはC6−C10脂環であり;
iii)RXYは:
【化8】

であり:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、またはフェニルであり、該フェニルは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
ii)Rは、CF、ハロ、C1−C6アルキル、またはC6−C10脂環であり;
iii)RXYは:
【化9】

であり:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;
iii)RXYは:
【化10】

であり:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)RはCFであり;
iii)RXYは:
【化11】

であり:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、またはフェニルであり、該フェニルは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;
iii)RXYは:
【化12】

であり:
は0であり;
は0または1であり;
Mは、Na、K、またはCaから独立に選ばれる、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換される、C1−C6直鎖または分枝鎖アルキルあるいはC6−C10脂環であり;
iii)RXYは:
【化13】

であり:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′は、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換されるC1−C8アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、またはフェニルであり、該フェニルは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
ii)Rは、CF、ハロ、C1−C6アルキル、またはC6−C10脂環であり;、
iii)RXYは:
【化14】

であり:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′は、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換されるC1−C8アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;
iii)RXYは:
【化15】

であり:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′は、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換されるC1−C8アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)RはCFであり;
iii)RXYは:
【化16】

であり:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′は、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換されるC1−C8アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
iv)Rは、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、またはフェニルであり、該フェニルは、C1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)、またはハロから選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換され;
v)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;
vi)RXYは:
【化17】

であり:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′は、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換されるC1−C8アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
i)Rは水素であり;
ii)Rは、C1−C4アルキルまたは−O(C1−C4アルキル)から選ばれる最大3個の置換基によって任意に置換されるC3−C5脂環であり;
iii)RXYは:
【化18】

であり:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′は、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換されるC1−C8アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
前記式Iの化合物が、下記の特性:
iv)Rは水素であり;
v)RはCFであり;
vi)RXYは:
【化19】

であり:
は0または1であり;
は0または1であり;
は、−CH−、O、またはNHであり;
M′は、最大3個の−CH−基が、O、NH、またはNMeによって任意に置換されるC1−C8アルキルである、
のうち、一つ、好ましくは一つより多く、または、より好ましくは全てを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
Xが、キノリニル環の6位にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
Xは、一緒になってC1−C6アルキル、−O−(C1−C6アルキル)、またはハロである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
Xが、キノリニル環の5位置にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
Xは、一緒になってOHである、請求項33または35に記載の化合物。
【請求項37】
XYが:
【化20】

;またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
がC1−C3アルキリデンである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
およびRが共に、C1−C6脂肪族である、請求項37に記載の化合物。
【請求項40】
およびRが共に、C1−C4アルキルである、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
およびRが共に、メチルまたはエチルである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
XYが:
【化21】

から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項43】
が0である、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
各Mが、Na、K、またはCaから独立に選ばれる、請求項42に記載の化合物。
【請求項45】
が0であり;
が1であり;
各MがNaである、
請求項42に記載の化合物。
【請求項46】
が0であり;
が0であり;
MがCaである、
請求項42に記載の化合物。
【請求項47】
XYが:
【化22】

【化23】

PO−スペルミン、PO−(スペルミン)、またはPO−(メグラミン)から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項48】
XYが:
【化24】

【化25】

から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項49】
式II:
【化26】

の化合物であって、上式において:
X、y、R、R、R、R、R、R、およびRは、請求項1に定義した通りであり;
Yは、薬学的に受容可能な陰イオンである、化合物。
【請求項50】
前記Yが、ハロ、カルボキシレート、サルフェート、メシレート、またはトシレートから選ばれる、請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
前記Yが、クロロまたはブロモである、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
前記化合物が、表1から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項53】
請求項1に記載の化合物、および、薬学的に受容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを含む、薬学的組成物。
【請求項54】
前記組成物が、粘液分解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、CFTR調節因子、または栄養剤から選ばれる添加剤を含む、請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項55】
患者の病気を治療するか、またはその重傷度を緩和する方法であって、該病気が、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、タンパクC欠乏症などの凝固性フィブリン溶解欠乏症、1型遺伝血管性浮腫、家族性高コレステロール血症などの脂質処理障害、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク血症、I細胞病/擬似フルラー病などのリソソーム蓄積病、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャー病II型、多発性内分泌症/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、炭水化物欠乏糖タンパク症候群1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏症、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコーマリートゥス症候群、ペルリゼウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病などの神経変性疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントンなど数種のポリグルタミン性神経障害、脊髄小脳運動失調I型、脊髄延髄性筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球リュイ体筋緊張性ジストロフィー、ならびに遺伝性クロイツフェルトヤコブ病(プリオンタンパク処理欠陥による)などの海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ病、またはシェーグレン病から選ばれ、該方法は、請求項1に記載の式Iの化合物の有効量を、該患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項56】
生物サンプルにおけるCFTRまたはその断片の活性の、インビトロまたはインビボ測定において使用するためのキットであって、
(i)請求項1に記載の式(I)の化合物を含む組成物;
(ii)下記:
a)該生物サンプルと該組成物を接触させること;
b)該CFTRまたはその断片の活性を測定すること;
のための指示、
を含む、キット。
【請求項57】
下記:
a)前記生物サンプルと添加組成物を接触させること;
b)該添加組成物の存在下で、前記CFTRまたはその断片の活性を測定すること;および、
c)該添加化合物の存在下での該CFTRまたはその断片の活性を、式(I)の組成物の存在下でのCFTRの密度と比較すること、
のための指示をさらに含む、請求項56に記載のキット。

【公表番号】特表2009−521468(P2009−521468A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547552(P2008−547552)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/048810
【国際公開番号】WO2007/075901
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】