説明

ACF貼り付け装置

【課題】ACFテープをハーフカットしたACFを圧着ヘッドにより圧着する際に有効に加圧力を受承させる。
【解決手段】ACF貼り付け機構側の取付プレート10はX軸ステージ24,Y軸ステージ23及びZ軸ステージ22を備えており、また液晶セル1の支持機構であるテーブル25にもX軸ステージ28と、Y軸ステージ27及びZ軸ステージ26を持たせる構成となし、取付プレート10にはACF9を加圧する圧着ヘッド37が設けられており、この加圧ヘッド37を下降させて、液晶セル1に貼り付ける際に、この加圧ヘッド37の加圧力を受承する支持台39を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等を構成する基板にドライバ回路等からなる半導体回路装置を搭載するために、この基板にACF(Anisotropic Conductive Film)の貼り付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置における液晶パネルは、液晶封入空間を形成した上下2枚の透明基板からなる液晶セルに半導体装置を介して印刷回路基板を接続する構成としたものである。ここで、半導体回路装置は液晶パネルを駆動するドライバ回路であって、このドライバ回路はインナ側及びアウタ側の電極を備えており、インナ側の電極は液晶セルを構成する一方の基板に、またアウタ側の電極は印刷回路基板に、それぞれ電気的に接続されるようになっている。ドライバ回路の搭載方式の代表的なものとしては、チップ状のICパッケージを直接液晶セルの基板に搭載すると共に、印刷回路基板を液晶セルに接続するCOG(Chip On Glass)方式と、フィルム状の基板にドライバ回路を搭載したTCP(Tape Carrier Package)を液晶セルと印刷回路基板とに接続するTAB(Tape Automated Bonding)方式とがある。いずれにしろ、液晶セルを構成する一方の基板の表面には、少なくとも2辺に配線パターンが形成されており、この配線パターンとドライバ回路のインナ電極とが電気的に接続されるが、液晶セルの各辺には複数のドライバ回路が搭載されることになる。従って、液晶セルには微小ピッチ間隔で配線パターンが形成されているが、それに搭載される半導体装置毎に所定数の配線パターンが群として形成され、複数の配線群を構成する。従って、液晶セルは、複数の配線群と、相隣接する配線群間の空白領域とを有している。なお、ドライバ回路は印刷回路基板とも接続され、従って印刷回路基板側にも、液晶セル側と同様、所定数の配線からなる配線群が複数群形成されている。なお、印刷回路基板側の配線群を構成する配線の数は、通常、液晶セル側の配線群の配線数より少ない。
【0003】
半導体回路装置としてのドライバ回路と、液晶セルなり印刷回路基板なりとを接続するに当っては、微小間隔で形成した多数の電極と配線との間を確実に電気的に接続すると共に、ドライバ回路を固定しなければならない。このために、ACFが用いられる。ACFは粘着性のあるバインダ樹脂に微小な導電粒子を均一に分散させたものであり、このACFを熱圧着することによって、導電粒子を介して電極と配線とが電気的に接続され、かつ加熱によりバインダ樹脂が硬化することによって、ドライバ回路が液晶セルや印刷回路基板に固定される。
【0004】
従って、例えば液晶セルの一方の基板における配線パターンが設けられている部位にACFを貼り付けた上でドライバ回路としてのTCPをこの基板にTAB搭載することになる。ACFは粘着物質であるから、所定幅を有するACFが台紙テープに剥離層を介して積層されてACFテープを構成する。このACFテープを供給リールに巻回させておき、この供給リールから送り出されて、貼り付け機により基板表面に貼り付けられる。このために、ACF貼り付け機には、供給リールの装架部が設けられ、またこの供給リールから供給されるACFテープを所定の経路を沿って引き回すために、適宜の箇所にガイドローラ等からなるガイド部材が配置される。
【0005】
基板へのACFの貼り付けは、基板の1辺における全長にわたって連続的に貼り付ける一括貼りと、各々の配線群毎に分割し、空白領域にはACFを付着しないように貼り付ける分割貼りとがある。一括貼りは、不必要な空白領域にもACFが貼り付けられる関係から、材料に無駄が生じることになり、しかも空白領域ではACFを構成する粘着性のある樹脂と導電粒子とが露出したままになるので、半導体装置の搭載後の処理や加工にとって不都合が生じることもある。従って、分割貼りの方が望ましい。
【0006】
例えば、特許文献1にACFの配線群毎の分割貼りを行う方式が開示されている。この特許文献1においては、台紙テープを接合させたままのACFテープを貼り付け長さ毎に切断して、液晶セルの各配線群を設けた部位に圧着させて、粘着テープを台紙テープ上に貼り付けて、この粘着テープを引き上げることによって、台紙テープをこの粘着テープ側に固着させてACFから引き剥がすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−83114号公報
【発明の概要】
【0008】
前述した特許文献1では、ACFテープにおける台紙テープのACF貼り付け面とは反対側の面に粘着力を作用させて液晶セルから台紙テープを引き剥がすようにするが、台紙テープのACF貼り付け面には剥離を容易にする剥離層が設けられていることから、台紙テープを剥離する粘着テープの粘着力を十分強くしておけば、台紙テープを確実にACFから剥ぎ取ることができる。
【0009】
この特許文献1の方式では、ACFテープを所定ピッチ間隔毎に切断して、これらACFテープの小片を真空吸着により保持した状態で、液晶セルに押圧するようになし、その後に独立して粘着テープを用いた台紙テープの引き剥がしを行うことになる。従って、ACFテープの液晶セルへの貼り付け後に台紙テープの引き剥がしを行うという工程が必要になり、その分だけ貼り付け工程が複雑になり、かつACF貼り付け機の構成も複雑になる等といった不都合が生じる。
【0010】
ACFテープをハーフカットして、ACFのみを切断し、台紙テープを連続状態のまま保持し、このACFテープを液晶セルに押圧してACFを貼り付けるようになし、台紙テープを液晶セルから引き上げることによってACFから台紙テープを剥離して回収する方式を採用すれば、前述した剥離用の粘着テープを用いる必要がなくなるので、工数の削減及び構成の簡略化が図られる。ところで、前述した一括貼りの場合には、ACFが広い粘着面を有しているので、台紙テープを安定的にACFから引き剥がすことができる点で有利である。しかしながら、分割貼りのように、狭い範囲分だけ貼り付ける場合には、台紙テープの剥離時に、この台紙テープに作用する引っ張り力でACFが基板から浮き上がる可能性があることから、貼り付け精度の点で問題がある。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ACFテープをハーフカットしたACFを圧着ヘッドにより圧着する際に有効に加圧力を受承させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明は、複数の電極が形成された基板に対して、これら複数の電極をそれぞれ1枚のACFが貼り付けられる電極群に分割して、複数箇所の貼り付け領域を設定し、これら貼り付け領域毎に個別的にACFを貼り付けるACF貼り付け装置であって、Y軸ステージ及びX軸ステージに装着したZ軸ステージに設けられ、台紙テープの剥離層にACFを積層させたACFテープを送り出す供給リールと、この供給リールから送り出される前記ACFテープの前記台紙テープには連続性を持たせ、前記基板の1つの電極群に貼り付けられる長さ分毎にACFを切断するハーフカット手段と、ACFの貼り付け始端位置と終端位置との近傍にそれぞれ配置した鍔付きのガイドローラと、これら両ガイドローラ間に昇降可能に設けられ、前記ハーフカット手段により切断されたACFを前記基板の表面に圧着させる圧着ヘッドとからなる貼り付け機構と、Y軸ステージ及びX軸ステージに装着したZ軸ステージに設けられ、前記基板を固定的に保持するテーブルと、前記Z軸ステージに保持された前記基板の圧着領域を下方から支持する支持台とから構成したことをその特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上によって、圧着ヘッドでACFテープを基板に圧着する動作と圧着後の台紙テープの剥離との動作を繰り返すだけで、ACFを基板に対して有効に加圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ACFが貼り付けられる基板としての液晶セルと、この基板に搭載されるドライバ回路とを示す要部外観図である。
【図2】ACF貼り付け機の概略構成を示す正面図である。
【図3】図2の右側面図である。
【図4】水平送りローラの構成説明図である。
【図5】図4のX−X断面図である。
【図6】カッタユニットの構成説明図である。
【図7】ハーフカット工程を示す説明図である。
【図8】ACFテープ下降状態を示す説明図である。
【図9】圧着工程を示す説明図である。
【図10】圧着ブロックの引き上げ状態を示す説明図である。
【図11】台紙テープのACFからの剥離を行う動作の説明図である。
【図12】図11のY−Y断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1にACFが貼り付けられる基板の一例として液晶セルを示し、またACFを介して搭載される半導体装置の一例として、基板にTAB搭載されるTCPからなるドライバ回路を示す。なお、基板は液晶セルだけでなく、印刷回路基板等であっても良く、またこの基板に搭載されるのはドライバ回路に限らず、ACFを介して電気的に接続されるものであれば良い。
【0016】
図1において、1は液晶セルであって、この液晶セル1は、共にガラス薄板からなる下基板2と上基板3とで構成され、両基板2,3間には液晶が封入される。下基板2は、その少なくとも2辺において、上基板3から所定幅分だけ張り出しており、この張り出し部2aにフィルム基板4aに集積回路素子4bを実装したドライバ回路4が複数枚搭載される。
【0017】
下基板2の張り出し部2aには、両基板2,3が重ね合わせられた部位に形成されているTFT(Thin Film Transistor)から引き出された所定数の配線が設けられており、これらの配線は、図中に符号5で示したように、ドライバ回路4の搭載部毎に所定数の配線が群として形成されている。そして、各配線群5の左右両側にはアライメントマーク6が形成されている。従って、相隣接する配線群5,5間には所定幅を有する空白領域が形成されている。一方、ドライバ回路4には、これら配線群5を構成する各配線と電気的に接続される複数の電極が設けられており、配線群5と接続される電極群は符号7で示されている。また、ドライバ回路4にも、電極群7の左右両側にアライメントマーク8が形成されており、ドライバ回路4が液晶セル1に搭載される際には、これらアライメントマーク6,8を基準として電極群7を構成する各電極と配線群5を構成する各配線とが一致するように位置調整がなされる。
【0018】
ドライバ回路4はACF9を介して液晶セル1に搭載される。ACF9は、周知のように、接着機能を有するバインダ樹脂に微小な導電粒子を多数分散させたものであり、ドライバ回路4と液晶セル1との間でACF9を加熱及び加圧することによって、導電粒子を介して配線群5を構成する各配線と電極群7を構成する各電極とが電気的に導通状態となり、かつバインダ樹脂が熱硬化することによって、ドライバ回路4を液晶セル1に固着させることになる。ここで、ACF9は下基板2の張り出し部2aに設けた配線群5の位置毎に分割され、長さL分毎に貼り付けられる。これによって、ACF9を無駄なく使用することができ、しかも貼り付けられたACF9はほぼ完全にドライバ回路4により覆われることになる。
【0019】
図2及び図3に下基板2の張り出し部2aにACF9を貼り付けるための貼り付け機の概略構成を示す。図中において、10はACF9の液晶セル1への貼り付け機構が装着されている取付プレートであって、この取付プレート10には供給リール11が着脱可能に装着されている。後述するように、ACF9は台紙テープ12の剥離層上に積層されてACFテープ13を構成し、このACFテープ13が供給リール11に巻回されている。このACFテープ13は、取付プレート10に装着したローラ14〜17からなる走行経路に沿って走行ガイドされるようになっている。さらに、18は駆動用ローラであり、ACF9を液晶セル1に貼り付けた後の台紙テープ12を挟持して、排出部19に送り込むように駆動される。
【0020】
ローラ14,15は、ACFテープ13のフィーダ用のガイドローラであり、ガイドローラ15はスイングアーム20に装着されており、このスイングアーム20は回動軸21を中心として揺動するようになっている。回動軸21にはモータ等からなる駆動手段(図示せず)が接続されて、スイングアーム20を矢印F方向に揺動させることによって、供給リール11から少なくとも1回の貼り付け分、つまり図1に示した長さL分のACFテープ13が送り出されて、ローラ14,15間に供給される。その結果、ACFテープ13を送る際に作用する反力が常に一定となり、供給リール11の巻回量の差により送り力に対する抵抗が変動することはない。
【0021】
ローラ16,17は、図4及び図5に示したように、ACFテープ13を、その走行経路において、水平方向にガイドし、ACF9の液晶セル1への1回分の貼り付け長さを規定するための水平ガイドローラであり、水平ガイドローラ17がACF9の貼り付け始端位置を、また水平ガイドローラ16はACF9の貼り付け終端位置を規定するものであって、これらによってACF9の貼り付け領域が設定される。これら水平ガイドローラ16,17は、円筒部16a,17aの両側部に鍔部16b,17bを形成したものであり、この鍔部16b,17bの円筒部16a,17aから突出する部位の高さはACFテープ13における台紙テープ12の厚み分とほぼ同じか、それより僅かに大きい寸法となっている。
【0022】
従って、水平ガイドローラ16,17間でACF9が液晶セル1に貼り付けられ、台紙テープ12から分離される。また、水平ガイドローラ17より下流側の位置で、ACF9が剥離された後の台紙テープ12が回収される。そして、水平ガイドローラ16,17により区画されているACF9の貼り付け領域より下流側の位置に駆動用ローラ18が設けられており、この駆動用ローラ18は駆動ローラ18aとピンチローラ18bとからなり、台紙テープ12はこれら駆動ローラ18aとピンチローラ18bとの間に挟持されるようになっている。そして、駆動ローラ18aを回転駆動することによって、ACFテープ13を長さL分毎にピッチ送りがなされることになる。
【0023】
図3から明らかなように、取付プレート10はZ軸ステージ22に装着されており、このZ軸ステージ22はY軸ステージ23に装着され、さらにY軸ステージ23はX軸ステージ24に装着されている。従って、ACFテープ13の引き回し経路における水平ガイドローラ16−17間により規定されるACF9の貼り付け部のX,Y方向、つまり水平面での位置はY軸ステージ23及びX軸ステージ24により調整を行うことができ、またZ軸ステージ22を作動させることによって、貼り付け機構を装着した取付プレート10全体を昇降駆動できるようになっている。なお、これらZ軸,Y軸及びX軸の各ステージ22〜24は、従来から周知の構成のものを使用することができるものであるから、それらについての詳細な説明は省略する。
【0024】
また、液晶セル1はテーブル25上に載置されて、真空吸着により固定的に保持されている。そして、このテーブル25には、ACF9の貼り付け機側と同様に、Z軸ステージ26,Y軸ステージ27及びX軸ステージ28が設けられている。なお、テーブル25は水平回転方向の位置調整ステージ(θステージ)や、傾き方向の調整ステージ(チルトステージ)等を設けるようにしても良い。また、液晶セル1が装着されているテーブル25をピッチ送りさせるようにしているが、液晶セル1へのACF9の貼り付け領域毎のピッチ送りを貼り付け機側のX軸ステージ24を駆動することにより行うようにすることもできる。
【0025】
前述した各ステージのいずれかまたは全てを駆動することによって、ACF9の貼り付け機と液晶セル1との間で位置調整を行った上で、ACFテープ13を液晶セル1の所定の位置に圧着させて、ACF9を下基板2の張り出し部2aに設けた配線群5の位置に貼り付けて、台紙テープ12が回収される。このために、ACFテープ13において、台紙テープ12は連続性を保持させるようになし、ACF9を貼り付け長さL毎に切断する、所謂ハーフカットが行われる。このために、ACFテープ13の走行経路において、水平ガイドローラ16の位置より僅かに下流側の位置にハーフカット手段としてのカッタユニット30が設けられており、このカッタユニット30は取付プレート10に水平方向に移動可能に装着されている。このカッタユニット30は、図6に示したように、カッタ31とカッタ受け32とを備え、カッタ受け32はスライダ33に固定的に保持されており、カッタ31は、同図に矢印で示したように、軸34を中心としてカッタ受け32に近接・離間する方向に回動可能となっている。そして、常時にはカッタ31に作用するばね35の付勢力によりカッタ受け32から離間した状態に保持されており、押動ローラ36によって、ばね35に抗する方向にカッタ31を押動して、カッタ受け32に近接する方向に揺動変位させるようになっている。そして、カッタ31がカッタ受け32に最も近接した位置では、その間にACFテープ13の台紙テープ12の厚みと同じか、それより僅かに短い間隔が形成されるようになっている。これによって、ACF9のみをハーフカットすることができるようになる。
【0026】
さらに、ACF9を下基板2における張り出し部2aに貼り付けるために、ACFテープ13は、水平ガイドローラ16,17間の位置で、圧着ヘッド37により上部から所定の加圧力で押圧されるようになっている。圧着ヘッド37は取付プレート10に、昇降駆動手段38により昇降可能に装着されており、この昇降駆動手段38によってACFテープ13を液晶セル1に対して所定の加圧力を作用させるようにしている。また、この圧着ヘッド37には図示しないヒータが内蔵されている。従って、圧着ヘッド37はACFテープ13を液晶セル1に熱圧着させることになる。ただし、加熱の度合いはACF9のバインダ樹脂が軟化する程度の比較的低いものとする。そして、圧着ヘッド37は、ACFテープ13の幅を十分カバーできる幅寸法を有し、かつ長さ方向の寸法はACF9の貼り付け長さLを有するものである。なお、圧着ヘッド37は直接ACFテープ13に接触するのではなく、その間に図示しない保護シートが介装されるようになっている。そして、この圧着ヘッド37によるACFテープ13の液晶セル1への圧着時に、この液晶セル1における圧着領域を下方から支持する支持台39が設けられている。
【0027】
本実施の形態は以上のように構成されるものであって、次にACF9の貼り付け動作の手順について、図7乃至図12を参照して説明する。而して、このACF9の貼り付け動作の手順は、図3に示した制御装置40により制御されるようになっている。
【0028】
まず、図7に示したのは、ACFテープ13のハーフカット工程である。取付プレート10を上昇位置に保持し、テーブル25上に設置されている液晶セル1における配線群5にACF9が貼り付けられるべき位置に配置する。このときに、先行する配線群5には既にACF9が貼り付けられているものとする。従って、駆動用ローラ18を構成する駆動ローラ18aとピンチローラ18bとの間には、既にACF9の貼り付けが終了し、このACF9が剥離された台紙テープ12が挟持されており、ACF9が積層されているACFテープ13の端部は配線群5の貼り付け始端位置に対応している。なお、供給リール11から最初にACF9を貼り付ける場合には、ACFテープ13の先端にはリーダテープが連結されているので、このリーダテープとACFテープ13との境界部が貼り付け始端位置と対面することになる。従って、この場合では、駆動用ローラ18を構成する駆動ローラ18aとピンチローラ18bとの間にはリーダテープが挟持されており、ACF9が挟み込まれるようなことはない。
【0029】
この状態で、当該配線群5における貼り付け終端位置にハーフカットを入れるために、カッタユニット30を作動させる。カッタユニット30は取付プレート10の表面(供給リール11等が装着されている面)から後方に退避した位置に配置されており、この位置から前進する。このときには、カッタ31はカッタ受け32から離間した位置に保持されている。このカッタユニット30のスライダ33が前進することによって、カッタ受け32はACFテープ13の台紙テープ12の上面に当接するようになる。そして、スライダ33が最前進した後に、押動ローラ36が前進することによって、カッタ31がばね35に抗して軸34の軸回りに回動することによって、ACFテープ13におけるACF9の面に当接し、このACF9が切り込まれる。このときには、台紙テープ12は切断されることがなく、連続性を保っている。このようにしてACFテープ13がハーフカットされると、カッタユニット30が取付プレート10側に退避する。
【0030】
以上のようにしてACFテープ13のハーフカットが行われると、このハーフカットされた位置が貼り付け終端位置であり、前回ACF9を貼り付けた端部が貼り付け始端位置となり、水平ガイドローラ17は貼り付け始端位置に、また水平ガイドローラ16は貼り付け終端位置に配置されている。この状態で、図8に示したように、Z軸ステージ22を作動させて、取付プレート10を下降させる。この取付プレート10の最下降位置は、水平ガイドローラ16,17間に位置するACFテープ13のACF9の面が液晶セル1の下基板2における張り出し部2aと僅かな隙間、例えば1乃至数mm程度離間した位置となるように設定する。
【0031】
次いで、図9に示したように、圧着ヘッド37を下降させて、ACFテープ13を下基板2に圧着する。これが圧着工程である。このときには、圧着ヘッド37は所定温度まで加熱されていることが望ましい。そして、昇降駆動手段38により設定した所定荷重がACFテープ13に作用することになる。ここで、ACFテープ13における貼り付け始端位置から終端位置までの間には均等な加圧力が作用し、しかもハーフカットされた貼り付け終端位置より基端側には圧着ヘッド37による加圧力が作用しない。なお、このときには、液晶セル1の下基板2における張り出し部2aのうち、少なくともACF9が貼り付けられる位置の下面は支持台39に当接しており、これによって有効に加圧力を受承することになる。
【0032】
ここで、ACFテープ13が下基板2に極めて接近した位置まで取付プレート10を下降させた後に圧着ヘッド37を作動させるので、この間に水平ガイドローラ16,17間のACFテープ13は殆ど移動することがなく、圧着ヘッド37はACFテープ13に対して、そのACF9の貼り付け領域の全長にわたって確実に、しかも均一に加圧力が作用することになり、かつそれ以外の部位には加圧力が作用することはない。また、圧着ヘッド37の作動によって、ACFテープ13に張力の変化が生じることはない。
【0033】
このようにしてACF9が下基板2に圧着されると、図10に示したように、圧着ヘッド37を上昇させて、ACFテープ13に対する加圧力を解除する。ACF9は下基板2に貼り付けられているが、このACF9にはなお台紙テープ12が積層されたままとなっている。そこで、図11に示したように、取付プレート10を上昇させて、台紙テープ12をACF9から剥離させる。このときに、台紙テープ12を真っ直ぐ上方に持ち上げるようにすると、ACF9を下基板2から浮き上がらせる方向、つまり下基板2から剥離させる方向の力が作用して、圧着したACF9が下基板2から捲れたり、部分的に浮き上がったりする可能性がある。
【0034】
台紙テープ12の剥離時に、ACF9が浮き上がるのを防止するために、圧着が終了して、圧着ヘッド37がACFテープ13から離間した後に、Z軸ステージ22を作動させて、取付プレート10を上昇させて、台紙テープ12を剥離する台紙剥離工程の際に、このZ軸ステージ22と共にY軸ステージ23も駆動して、図12に矢印で示したように、ACFテープ13の幅方向において、斜め上方に引き上げるように動作させる。これによって、台紙テープ12はACF9から擦り切られるようにして剥離される。そして、このときには、台紙テープ12には、水平ガイドローラ16,17への巻回部に対して横方向にずらそうとする力が作用するが、これら水平ガイドローラ16,17には鍔部16b,17bが形成されているので、台紙テープ12が円筒部16a,17aへの巻回部で横ずれを起こして、水平ガイドローラ16,17から脱落することがなく、これら水平ガイドローラ16,17の動きに伴って台紙テープ12が斜め上方に移動する。この結果、台紙テープ12の剥離時にACF9を下基板2から浮き上がらせる方向の力が抑制されることになり、圧着ヘッド37による加圧によりACF9が下基板2に密着した状態に保持される。
【0035】
以上により1つの配線群5に対してACF9の貼り付けが行なわれたことになる。そこで、駆動用ローラ18を作動させて、ACFテープ13を1ピッチ分だけ送り、また、Z軸ステージ26によりテーブル25上の液晶セル1を上昇させて、支持台39から離間させ、次いでX軸ステージ28を作動させて、液晶セル1を1ピッチ分移動させた後に、液晶セル1を再び支持台39に当接させる。この状態から、ACF9のハーフカット、圧着ヘッド37による圧着、取付プレート10を斜め上方に引き上げることによる台紙テープ12の剥離を繰り返す。これにより、下基板2の張り出し部2aに複数設けた配線群5の位置に限定して、ACF9の貼り付けを順次円滑かつ迅速に行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 液晶セル 2 下基板
2a 張り出し部 3 上基板
4 ドライバ回路 5 配線群
9 ACF 10 取付プレート
11 供給リール 12 台紙テープ
13 ACFテープ
16,17 水平ガイドローラ
16a,17a 円筒部
16b,17b 鍔部
22 Z軸ステージ
23 Y軸ステージ
24 X軸ステージ
30 カッタユニット
31 カッタ 32 カッタ受け
37 圧着ヘッド 38 昇降駆動手段
40 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が形成された基板に対して、これら複数の電極をそれぞれ1枚のACFが貼り付けられる電極群に分割して、複数箇所の貼り付け領域を設定し、これら貼り付け領域毎に個別的にACFを貼り付けるACF貼り付け装置であって、
Y軸ステージ及びX軸ステージに装着したZ軸ステージに設けられ、台紙テープの剥離層にACFを積層させたACFテープを送り出す供給リールと、この供給リールから送り出される前記ACFテープの前記台紙テープには連続性を持たせ、前記基板の1つの電極群に貼り付けられる長さ分毎にACFを切断するハーフカット手段と、ACFの貼り付け始端位置と終端位置との近傍にそれぞれ配置した鍔付きのガイドローラと、これら両ガイドローラ間に昇降可能に設けられ、前記ハーフカット手段により切断されたACFを前記基板の表面に圧着させる圧着ヘッドとからなる貼り付け機構と、
Y軸ステージ及びX軸ステージに装着したZ軸ステージに設けられ、前記基板を固定的に保持するテーブルと、
前記Z軸ステージに保持された前記基板の圧着領域を下方から支持する支持台と
から構成したことを特徴とするACF貼り付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−67996(P2010−67996A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282400(P2009−282400)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【分割の表示】特願2005−244555(P2005−244555)の分割
【原出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】