説明

AV伝送装置

【課題】ストリーミングを行うAV機器において、クライアントは、サーバの状態にかかわらずAVデータの送信要求を出す。コンテンツをサーバから他の機器に移動している場合、サーバは、コンテンツを送信できないことをエラーレスポンスとしてクライアントに送信するが、どの機器に、いつどの時点でアクセスすればよいかはクライアント側では把握できない。
【解決手段】コンテンツをサーバから他の機器に移動中に、クライアントから移動対象のコンテンツの再生要求があった場合、サーバでは、自機器の状態を判定する機器状態判定手段12で自機器の状態を判定し、移動状態検知手段13で移動状態を検出し、移動先、および移動が完了する時間をエラーレスポンスに付加して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介してサーバ等のある機器からクライアント等の別の機器へコンテンツを転送する際のAV機器の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットを介してクライアントとサーバの間でコンテンツを送受信するAV機器において、クライアントでは、コンテンツの再生要求を送信する。サーバでは、クライアントからのコンテンツの再生要求を受信することでコンテンツの送信をはじめる。クライアントは、サーバから送信されたコンテンツを受信しデコードすることで再生を行う。
しかしながら、クライアントでは、サーバの状態にかかわらずコンテンツの再生要求を送信するため、サーバは、クライアントの再生要求に対しコンテンツを送信できない状態が発生する。例えば、再生要求のあったコンテンツを別の機器に移動している場合等であり、その場合コンテンツを送信できないことをレスポンスとして送信することは可能である。
しかしながら、クライアントが再び、再生要求を送信しても、移動後であればコンテンツはサーバに存在しないため再生できない。また、クライアントは、どの機器に移動したかを知ることができない。
特に、著作権保護を必要とするコンテンツにおいては、コンテンツの移動後はそのサーバにコンテンツは存在してはいけない場合が多く、その場合には、移動後は、コンテンツをサーバで再生できず、また、どの機器に移動したかも知ることが出来ない。
例えば、特許文献1において、著作権保護を必要とするコンテンツの移動を命じられた場合、コンテンツの管理情報を削除することで再生を無効としている。
この方法では、コンテンツの削除中は再生ができなくなり、また、削除後、コンテンツの移動先が不明となり再生ができなくなってしまう。
【特許文献1】特開2004−5816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上説明したように、従来のネットワークを介してサーバ等のある機器からクライアント等の別の機器へコンテンツを転送する機器においては、サーバからコンテンツを移動した場合、クライアントは移動した先の機器を知ることができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、サーバがコンテンツを他の機器に移動中にクライアントから再生要求があった場合、レスポンスのデータに、移動先の機器を示す情報、および移動先の機器にコンテンツを転送し終わるまでの時間を含めてクライアントに通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のAV伝送装置は、コンテンツがサーバから他の機器に移動しても、クライアントとなる機器が、コンテンツの移動先の他の機器を知ることができ、クライアントは移動先の他の機器にアクセスし再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本願発明は、サーバとなる機器は、コンテンツの移動中に再生要求を受信したら、レスポンスとして移動先の機器を示す情報、および移動先の機器にコンテンツを転送し終わる時間することで、クライアントとなる機器が、コンテンツの移動先となる機器を知ることを実現するものである。
【0007】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係るAV伝送装置および他の機器とコンテンツを送受信する様子を示した図である。
サーバ1は、AVデータを蓄積しネットワーク4を介してクライアントからの再生要求に応じて蓄積されたAVデータ(例えば著作権保護を必要とするMPEG2等のコンテンツ)を送信する装置である。例えば、ネットワークを介して動画を送信するDVDレコーダである。
【0008】
第2の機器2は、ネットワークを介して転送された動画を再生する装置である。例えば、ネットワークを介して動画を送信するDVDレコーダやPCである。
図1では、サーバ1に対してサーバ1に格納されているコンテンツの移動の要求を送信し、サーバ1からコンテンツを移動している状態を示している。
また、第3の機器3も同様に、ネットワークを介して転送された動画を再生する装置である。例えば、ネットワークを介して動画を送信するDVDレコーダやPCである。
【0009】
図1では、サーバ1に対してサーバ1に格納されているコンテンツを視聴するために、ネットワーク4を介して再生要求を送信している状態を示している。
ネットワーク4は、例えば、宅内に敷設されたローカルエリアネットワークであり、スイッチングHUBやEthernet(登録商標)ケーブル、無線アクセスポイント等から構築される。
サーバ1において、送受信手段15は、ネットワーク4を介してクライアントからの再生要求等の受信、コンテンツの送信を行う。
【0010】
送受信手段15では、例えば、ネットワーク4を介して受信した再生要求をIP(Internet Protocol)のパケットから抽出し上位のアプリケーションに渡し、上位のアプリケーションから渡されたAVデータをネットワークに送信できるようIPパケット化し送信する。送受信手段15の送信方法、受信方法は、一般的な方法でよいので、ここでは特に限定しない。
【0011】
機器状態管理手段11は、自機器(サーバ1)の状態を管理する。
例えば、他機器(第2の機器2、第3の機器3)へコンテンツの移動している状態である、コンテンツを再生している状態であるといった自機器の状態を保持している。
機器状態判定手段12は、機器状態管理手段11で管理されている自機器の状態からコンテンツを送信してよいかどうかを判定する。
【0012】
移動状態検知手段13は、ネットワーク4を介して自機器内のコンテンツを他機器に移動している場合の状態を検知する。
例えば、コンテンツの移動が終了する時間の測定を行ったり、コンテンツの移動に成功したかどうかを確認する。ここで、コンテンツの移動が終了する時間の測定方法やコンテンツの移動に成功したかどうかを確認する方法は特に限定しない。
【0013】
機器状態通知手段14は、再生要求を受信した場合、機器状態判定手段12の判定結果と移動状態検知手段13で得られた情報を送受信手段15を経て、再生要求を送信したクライアントに通知する。
【0014】
次に図2を用いサーバ1、第2の機器2、第3の機器3の動作に関して説明する。
図2(a)は、サーバ1から第2の機器2(クライアント)にサーバ1に格納されたコンテンツを移動する場合のシーケンス図である。
サーバ1に対して、第2の機器2(クライアント)からコンテンツの移動要求5を送信する。例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)のGETメソッドを用いてコンテンツの移動要求を送信する。これに対し、サーバ1はコンテンツ6を送信する。例えば、HTTPのレスポンス“200 OK”を用いて応答し、続いてコンテンツ(図2でdataと表示)を送信する。
移動の要求なので、コンテンツの送信後、移動対象のコンテンツはサーバ1から再生できないよう制御される。例えば、移動したコンテンツをサーバ1から削除する。ここで、移動後の再生できないようにするための制御に関しては特に限定しない。
このような方法で、サーバ1から第2の機器2にコンテンツの移動を行うことができる。
図2(b)は、サーバ1に格納されたコンテンツを第3の機器3(クライアント)で再生する場合のシーケンス図である。
【0015】
サーバ1に対して、第3の機器3からコンテンツの再生要求7を送信する。例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)のGETメソッドを用いて動画再生の要求を送信する。
例えば、再生要求のHTTP GETの場合、Rangeヘッダを用いて、特定のサイズ分のコンテンツを要求する。
再生要求7に対し、サーバ1はコンテンツ6を送信する。例えば、HTTPのレスポンス“206PartialContent”を用いて応答し、続いてコンテンツを送信する。
第3の機器3(クライアント)は、受信したコンテンツをデコードし動画像として再生できる。
さらに上記の動作を繰り返す。(第3の機器3からHTTP GETを送信し、コンテンツを取得し再生する。)
このような方法で、サーバ1のコンテンツを第3の機器3で再生を行うことができる。
コンテンツの移動と再生はいずれもHTTP GETを用いているが、移動と再生の区別の仕方に関しては特に限定しない。例えば、HTTPのヘッダに拡張ヘッダとして、移動、再生の区別ができる識別子を付ける等でよい。
【0016】
図3は、第3の機器3からコンテンツの再生要求を送信したが、再生対象のコンテンツがその時、第2の機器2に移動中でコンテンツを送信できないため、エラー通知を送信する場合のシーケンス図である。
【0017】
図3においてまず最初に、図2(a)を用いて説明した方法と同様の方法で、第2の機器2の移動要求によりサーバ1からコンテンツが移動される。この移動の途中で、サーバ1に対して、第3の機器3からコンテンツの再生要求7が送信されるとする。例えば、HTTPのGETメソッドを用いて動画再生の要求が送信される。しかし、再生対象のコンテンツは第2の機器2に移動中のため、サーバ1は第3の機器3に対しエラー通知を送信する。ここでは、例えばHTTPのレスポンス“301 Moved Permanently”を用いてエラー通知を行う。
コンテンツのデータサイズによって移動時間が変化するので、コンテンツに応じた移動時間を知らせるためHTTPのレスポンスヘッダの「Retry-After」を用いる。
また、移動先の情報として、URI(Uniform Resource Identifier)を知らせるためHTTPのレスポンスヘッダの「Location」を用いる。
第3の機器3(クライアント)は「Retry-After」、「Location」に従って、コンテンツの移動先の機器、具体的には第2の機器を知ることができ、その移動先の機器に対して、再生要求をすることによってコンテンツを再生することが可能となる。
【0018】
次に、図3のシーケンスにおいて、サーバ1の各構成手段がどのように動作するのかを図4のフローチャートを用いて説明する。
図4はサーバ1における動作を示したフローチャートである。
ここでは、ネットワークを介したストリーミングを行うDVDレコーダを想定して説明する。
サーバ1は、第3の機器3(クライアント)からコンテンツの再生要求を送受信手段15を経て受信する(ステップS401)。
コンテンツの再生要求を受信したら機器状態判定手段12で、すぐにコンテンツの送信が可能かどうかを判定するため、機器状態管理手段11から自機器(サーバ1)の状態を取得する(ステップS402)。機器の状態としては、例えば、他クライアントのコンテンツ再生中、他クライアントのコンテンツ移動中、録画中、節電モード等が考えられる。
自機器の状態が、例えば、第2の機器2(他のクライアント)にコンテンツ移動中、節電モード等の状態では無く送信可能な状態であれば(ステップS403)、ネットワークを介したコンテンツの再生を開始する(ステップS408)。
再生可能でない状態、例えば、第2の機器2(他のクライアント)にコンテンツ移動中であった場合、移動状態検知手段13でコンテンツの移動が終了するまでの時間を検知する。(ステップS404)コンテンツの移動が終了するまでの時間を例えば1200秒とする。
また、移動状態検知手段13では、移動先の機器のURIを確認する。(ステップS405)
次に、機器状態通知手段14では、移動状態検知手段13で検知した時間、及びコンテンツの移動先のURIを含めてエラー通知を生成する(ステップS406)。エラー通知の生成は、アプリケーション層でHTTPのエラーレスポンスを生成することで実現することができる。例えば、図5のようなHTTPのエラー通知を生成する。
そして、送受信手段15を経て第3の機器に送信する(ステップS407)。アプリケーションは、通常、ソケット通信で行われている方法を用いてエラーレスポンスとして送信することが可能であるので、ここでは、特に送受信手段の送受信方法は限定しない。
【0019】
以上のような方法で第3の機器3(クライアント)にコンテンツの移動先、および移動先でのコンテンツ再生が可能となる時刻を知らせることができ、第3の機器3(クライアント)は、移動先の機器にアクセスし再生することが可能となる。
また、上記説明においては、第3の機器3(クライアント)から再生要求を送信することを例にしたが、第3の機器3(クライアント)からコンテンツの移動要求を行う場合も同様の方法で実施できる。
次に第2の機器2へのコンテンツの移動に失敗したときに、その移動途中で第3の機器から再生要求が発生したときの動作について説明する。
図6は、第2の機器2へのコンテンツの移動に失敗したときに、移動途中で第3の機器3から再生要求が発生したときのシーケンス図である。
【0020】
図6において、最初図2(a)を用いて説明したのと同様の方法で、第2の機器2に移動要求によりサーバ1からコンテンツが移動する。
次に、サーバ1に対して、第3の機器3からコンテンツの再生要求7を送信する。
例えば、HTTPのGETメソッドを用いて動画再生の要求を送信する。しかし、再生対象のコンテンツは第2の機器2に移動中のため、サーバ1は第3の機器3に対しエラー通知を送信する。ここでは、例えばHTTPのレスポンス“301 Moved Permanently”を用いてエラー通知を行う。
ここでサーバ1から第2の機器2へのコンテンツの移動が失敗したとする。例えば、コンテンツを移動中、ネットワーク4上の機器の故障、ケーブルの断線などでコンテンツの移動に失敗することが考えられる。
第3の機器3は、先ほど説明したようにコンテンツの移動先の機器である第2の機器2を知ることが出来、その情報を元に第3の機器3は、第2の機器2に再生要求を送信する。しかし、第2の機器2には、コンテンツが存在しないため、コンテンツがもともと存在していた移動元の情報としてURI(Uniform Resource Identifier)を知らせるため、HTTPのレスポンスヘッダの「Location」に移動元のURIを設定する。
第3の機器3(クライアント)は「Location」に従って、コンテンツの移動元の機器を知ることができ、コンテンツを再生することが可能となる。
【0021】
以上のようにして、サーバ1から第2の機器2へのコンテンツの移動が途中で失敗した場合でも、第3の機器3は第2の機器2から移動元の情報を知ることにより、移動元から再度コンテンツを再生することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明にかかるAV伝送装置では、宅内ネットワークに接続されたAV機器間のコンテンツの移動、特に、著作権保護が必要となるコンテンツの移動処理の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係るAV伝送装置および他の機器とコンテンツを送受信する様子を示した図
【図2】本発明の実施の形態1に係るAV伝送装置および他の機器とコンテンツを送受信する際の動作シーケンス(その1)を示す図
【図3】本発明の実施の形態1に係るAV伝送装置および他の機器とコンテンツを送受信する際の動作シーケンス(その2)を示す図
【図4】本発明の実施の形態1に係るAV伝送装置(サーバ)の動作を示すフローチャート
【図5】本発明本発明の実施の形態1に係るAV伝送装置(サーバ)の送信するエラーレスポンスの一例を示す図
【図6】本発明の実施の形態1に係るAV伝送装置および他の機器とコンテンツを送受信する際の動作シーケンス(その3)を示す図
【符号の説明】
【0024】
1 サーバ
2 第2の機器
3 第3の機器
4 ネットワーク
5 移動要求
6 コンテンツ送信
7 再生要求
11 機器状態管理手段
12 機器状態判定手段
13 移動状態検知手段
14 機器状態通知手段
15 送受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して他の機器にコンテンツの伝送を行うAV伝送装置であって、
当該AV伝送装置の状態を管理する機器状態管理手段と、
前記機器状態管理手段で管理している当該AV伝送装置の状態に応じてコンテンツの送信が可能かどうかを判定する機器状態判定手段と、
当該AV伝送装置から前記他の機器にコンテンツを移動する場合、コンテンツの移動状態を検知する移動状態検知手段とを有し、
当該AV伝送装置から前記他の機器の一つである第2の機器へコンテンツを移動中に、前記他の機器の一つである第3の機器から、移動中のコンテンツに対する再生要求を受信した場合、
前記機器状態判定手段は、前記機器状態管理手段で管理している当該AV伝送装置の状態を取得し、コンテンツが移動中のため送信できないと判定すれば、移動先の機器の情報を第3の機器に通知する
ことを特徴とするAV伝送装置。
【請求項2】
第3の機器から移動中のコンテンツに対する移動要求を受信した場合、
前記機器状態判定手段は、前記機器状態管理手段で管理している当該AV伝送装置の状態を取得し、コンテンツが移動中のため送信できないと判定すれば、移動先の機器の情報を第3の機器に通知する
ことを特徴とする請求項1記載のAV伝送装置。
【請求項3】
第3の機器に通知する移動先の機器の情報は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)のヘッダに格納することを特徴とする請求項1または2記載のAV伝送装置。
【請求項4】
ネットワークを介してAV伝送装置からコンテンツを受信する第2の機器であって、
当該第2の機器からAV伝送装置に対しコンテンツの移動要求をし、AV伝送装置から当該第2の機器へのコンテンツの移動に失敗していた場合において、
前記AV伝送装置以外の機器である第3の機器から、移動に失敗したコンテンツの再生要求を受信したとき、移動元である前記AV伝送装置の情報を通知する
ことを特徴とする第2の機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−135126(P2007−135126A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328384(P2005−328384)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】