説明

BRCA介在性疾患における使用のための非ステロイド系抗エストロゲンを伴ったプロゲステロン受容体拮抗薬の組み合わせ

本発明は、プロゲステロン受容体拮抗薬11β(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、又は医薬的に許容し得るその誘導体又は類似体と、少なくとも1種類の純粋非ステロイド系抗エストロゲンとの組み合わせ、並びに、BRCA1又はBRCA2介在性疾患の予防及び治療のための上記組み合わせの使用に関する。プロゲステロン受容体拮抗薬11β(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと組み合わせて使用し得る非ステロイド系抗エストロゲンは、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、アルゾキシフェン、GW5638、EM−800、イドキシフェン、及びバセドキシフェンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロゲステロン受容体拮抗薬11β(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、又は医薬的に許容し得るその誘導体又は類似体と、少なくとも1種類の純粋非ステロイド系抗エストロゲンとの組み合わせ、並びに、BRCA1又はBRCA2介在性疾患の予防及び治療のための上記組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、別名ZK230211又はZK−PRA:
【化1】

は、高い抗プロゲスターゲン活性を有し、他の内分泌学的影響をほとんど、或いは全く伴わない(Fuhrmann, U. et al., J. Med. Chem. 2000, 43, 5010-5016)。
【0003】
BRCA1及びBRCA2はいわゆる腫瘍抑制遺伝子(tumuppressors)、すなわち、正常型において癌を防ぐ遺伝子である。かかる作用が発揮される経路の一つとして、発癌性の突然変異を生じ得るDNA損傷の細胞修復の補助が挙げられる。Poole et al., Science, Vol. 314, 12/2006には、腫瘍抑制遺伝子遺伝子BRCA1又はBRCA2がプロゲステロン受容体の分解に関与すること、前記遺伝子のタンパク質産物が胸部組織のプロゲステロン成長促進作用を制御している可能性が記載されている。
【0004】
非特異的抗プロゲスチンであるミフェプリストンが、乳腺における齧歯動物型のBRCA1又はBRCA2を不活性化したマウスにおいて、乳房腫瘍の発症を妨げることが示されている。更には、斯かるBrca1/p53欠損モデルにおける乳房腫瘍形成のミフェプリストン媒介性抑制から、将来の抗プロゲステロンの臨床評価の分子構成が、BCRA1又はBRCA2変異を有する女性用の化学的予防策として提供されるとも主張されている。しかし、11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンを、純粋非ステロイド系抗エストロゲンと組み合わせた場合の活性及び反応に関しては、なんら記載されていない。
【0005】
Rosenらは、正常なBRCA1又はBRCA2がプロゲステロン受容体の作用を抑制すると述べているが、その機序についてはなんら触れていない。
【0006】
内分泌療法は、効果的であり、毒性が最小であり、且つ苦痛を緩和し得る、転移乳癌の治療の柱である。手術不可能な乳癌の標準的な緩和療法として、更には乳癌の一次治療後のアジュバント療法に、非ステロイド系抗エストロゲンであるタモキシフェンなどの抗エストロゲンが使用される。しかし、タモキシフェンは乳癌を治癒するものではない。このため、二次療法のプロゲスチンが一般的に使用される。閉経前女性の卵巣摘出においては、タモキシフェン及びLHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)類似体によって、同様の結果が達成される(H.T. Mouridson et al., Eur. J. Cancer Clin. Oncol., 24, pp. 99-105,1988)。タモキシフェンは乳癌のアジュバント療法に広く使用されるが、その化学的予防薬としての使用は、子宮内膜癌の発生の増加をもたらすことが示されており、問題がある(I.N. White, Carcinogenesis, 20(7): 1153-60, 1999; L. Bergman et al., The Lancet, Vol. 356, Sept. 9, 2000)。
【0007】
選択的プロゲステロン受容体拮抗薬(別名抗プロゲスチン)は、比較的新しく、有望な治療薬群であり、癌治療に大きな影響を与える可能性がある。プロゲステロン受容体拮抗薬の一部は近年、プロゲステロン受容体を有する癌の内分泌療法における重要性を増している(Nathalie Chabbert-Buffet et al, Human Reproduction Update, Vol. 11, No. 3, 293-307, 2005)。
【0008】
内分泌療法におけるこの新たな方策は、インビトロ(in vitro)におけるプロゲステロン受容体陽性ヒト乳癌細胞株、並びにインビボ(in vivo)におけるマウス及びラットの数種類のホルモン依存性乳房腫瘍に対する、プロゲステロン受容体拮抗薬の抗腫瘍活性に基づく。特に、プロゲステロン受容体拮抗薬オナプリストン及びミフェプリストン(RU486)の抗癌機序が、マウスのホルモン依存性MXT乳房腫瘍モデル、並びにラットのDMBA及びMNU誘発型乳房腫瘍モデルを用いて検討された(M. R. Schneider et al., Eur. J. Cancer Clin. Oncot., Vol. 25, No. 4, pp. 691-701, 1989; H. Michna et al., Breast Cancer Research and Treatment 14: 275-288,1989; H. Michna, J. Steroid. Biochem. Vol. 34, Nos 1-6, pp. 447-453, 1989)。しかし、ミフェプリストン等の活性の低さと有害な副作用ゆえに、これらの化合物は乳癌の管理における単剤としては推奨されていなかった(D. Perrauit et al., J. Clin. Oncol. 1996 Oct, 14(10), pp.2709-2712)。
【0009】
Ru486は、その強力な抗グルココルチコイド活性ゆえに、重篤な副作用を引き起こすため、長期使用はできない。Ru486を使用する場合の更なる課題として、経口投与時の生物学的利用能の低さが挙げられる。このために本化合物は高投与量で投与しなければならず、有害な副作用を生じさせる可能性があった。また、患者の利便性や服薬遵守の点でも、経口投与が望ましい。
【0010】
更には、乳癌やその他のホルモン依存性疾患に対して、治療に活性を示すのみならず、予防にも活性を示す組み合わせが、依然として求められている。
【0011】
ホルモン依存性腫瘍の増殖が、特にエストロゲン、プロゲステロン、更にはテストステロンにも依存することが明らかになった。例えば、殆どの乳癌が、エストロゲン及びプロゲステロン受容体を提示する。よって、抗エストロゲンを伴ったプロゲステロン受容体拮抗薬の組み合わせが、閉経前及び閉経後の乳癌の治療に有効であると考えられる。
【0012】
タモキシフェンと抗プロゲスチンとの組み合わせは開示されていない。これは、前記組み合わせの抗エストロゲン部分の活性の低さ、及び、一部の抗エストロゲン(タモキシフェン等の)の部分的エストロゲン作動作用の結果と思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、本発明者等は、意外なことに、本発明に係る組み合わせが相乗効果を有することを見出した。更なる利点の1つは、プロゲステロン拮抗薬との組み合わせが、タモキシフェンの子宮に対する増殖促進効果を阻害することである。アナストラゾール(anastrazole)とタモキシフェンとの組み合わせは、これらの化合物の一方による単独療法に比べて有効性が低いと考えられてきた(参考:ATAC Trial results 2005)。しかし、本発明者等の知見は、タモキシフェン等の非ステロイド系抗プロゲスチンの組み合わせが、腫瘍増殖阻害及び生存に対する相乗効果を有することを証明している。
【0014】
よって、本発明の目的は、特にBRCA1又はBRCA2変異を担持する女性における乳癌発生、並びにプロゲステロン依存性のその他の疾患、例えば、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、胃癌、子宮内膜症、骨髄腫、筋腫、及び髄膜腫等の予防及び治療のための、極めて有効なツールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
今回、意外なことに、11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンが、少なくとも1種類の純粋非ステロイド系抗エストロゲンとの組み合わせで、BRCA1又はBRCA2介在性乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、胃癌、子宮内膜症、骨髄腫、筋腫及び髄膜腫の予防及び治療に使用できることが見出された。
【0016】
更に今回、最も意外なことには、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと非ステロイド系抗エストロゲンとの組み合わせが、プロゲステロン受容体拮抗薬又は純粋抗エストロゲンの単独による阻害と比べて、相乗効果を示すことが見出された。
【0017】
化合物11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと組み合わせ得る抗エストロゲンは、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifen)、トレミフェン(toremifen)、ラソフォキシフェン(lasofoxifen)、アルゾキシフェン(arzoxifen)、GW5638*)、EM−800**)、イドキシフェン(idoxifen)、及びバセドキシフェン(basedoxifene)である。
*)化学構造は Wilson et al., Endocrinology 138, 3901, (1997) 及び Wu et al., Mol. Cell, 18, 413, (2005) に開示されている。
**)化学構造は Labrie et al., J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 79,213, (2001) に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン及びタモキシフェン(1mg/kgの経口投与)を含んでなる組み合わせの効果を、NMU誘発ラット乳癌の増殖に対する単独処置及び卵巣摘出と比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
更に、11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと、非ステロイド系抗エストロゲンとの組み合わせが、腫瘍細胞のアポトーシスを増加させたことが分かった。かかる作用機序は、細胞サイクルS期にある腫瘍細胞数の増加が高リスクの指標となる、乳癌やその他のホルモン依存性疾患の予防及び治療にとりわけ有用である。その他のホルモン依存性疾患としては、卵巣癌、子宮内膜癌、骨髄腫、肺癌、髄膜腫、すなわち、ホルモン受容体及び/又はホルモン依存経路の存在に実質的に起因するか、或いはそれによって影響を受ける疾患が挙げられる。
【0020】
また、プロゲステロン受容体拮抗薬の添加によって、タモキシフェンの子宮に対する増殖促進効果が阻害される。
【0021】
更に、本発明は、BRCA1及びBRCA2変異を担持する女性の癌、並びにその他のホルモン依存性病態の予防及び治療用の医薬品の調製における、前記組み合わせの使用に関する。具体的には、11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと、純粋非ステロイド系抗エストロゲンとの組み合わせが、プロゲステロン受容体拮抗薬又は純粋抗エストロゲン単独の場合と比較して、前述の腫瘍の増殖をより有効に抑制することが示された。
【0022】
他の側面によれば、本発明は、BRCA1又はBRCA2遺伝子の突然変異により、斯かる治療が必要な哺乳動物、特にヒトの、乳癌及びその他のホルモン依存性疾患の予防及び治療方法であって、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、又は医薬的に許容し得るその誘導体又は類似体、及び、少なくとも1種類の純粋非ステロイド系抗エストロゲンを含んでなる組成物の医薬的に有効な量を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含んでなる方法を提供する。11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、又は医薬的に許容し得るその誘導体又は類似体は、本発明に従って、少なくとも1種類の純粋非ステロイド系抗エストロゲンとの組み合わせで使用することができる。
【0023】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンは、本発明の目的に好適なプロゲステロン受容体拮抗薬であるが、これは他の好適なプロゲステロン受容体拮抗薬の使用可能性を排除するものではない。
【0024】
従来技術に対する本発明の組み合わせの優位性に関しては、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンは、アンドロゲン、エストロゲン、又は抗グルココルチコイド活性等の内分泌副作用を殆ど、或いは全く示さないことが特に好ましい。
【0025】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと、純粋抗エストロゲンとを含んでなる、本発明に係る組み合わせは、医薬的に許容し得るその誘導体又はその類似体を含め、高い生物学的利用能を有するので、経口投与することが可能である。
【0026】
経口投与によって、利便性や患者の服薬遵守の改善といった利点がある。更なる好ましい結果として、本発明の組み合わせは優れた耐容性を示す。部分的な作動作用は通常、好ましくない副作用を伴う。例えば、部分的な抗エストロゲンのタモキシフェンの場合、子宮内膜癌の発生の増加等を伴う(I. N. White, Carcinogenesis, 20(7): 1153-60,1999; L. Bergman et al., The Lancet, Vol. 356, Sept. 9, 2000, 881-887 参照)。また、従来のプロゲステロン受容体拮抗薬であるミフェプリストンの投与は、抗グルココルチコイド作用や特定の毒性副作用を伴う(D. Perrault et al., J. Clin. Oncol. 1996 Oct. 14(10), pp.2709-2712; LM. Kettel et al., Fertii. Steril. 1991 Sep, 56(3), pp.402-407; X. Bertagna, Psychoneuroendocrinology 1997, 22 Suppl. 1; pp. 51-55 参照)。純粋抗エストロゲンを本発明に係る量で使用すれば、部分的抗エストロゲンに関連する望ましくない副作用を示さないであろう。
【0027】
なお、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン及び純粋非ステロイド系抗エストロゲンを、更に細胞毒性薬等の他の薬理活性物質と組み合わせてもよい。
【0028】
医薬品/医薬組成物の製造は、本技術分野で公知の方法に従って実施できる。通常使用される周知のアジュバントや、その他の好適な担体又は希釈剤を使用することが可能である。
【0029】
好適な担体及びアジュバントとしては、Ullmann's Encyclopedia of Technical Chemistry, Vol. 4, (1953), pp. 1-39; Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 52 (1963), p. 918ff; H.v.Czetsch-Lindenwald, "Hilfsstoffe fur Pharmazie und angrenzende Gebiete"; Pharm. Ind. 2, 1961, p.72ff; Dr. H.P. Fiedler, Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete, Cantor KG, Aulendorf in Wurttemberg, 1971 において、調剤、化粧品及び関連分野に推奨されているものが挙げられる。
【0030】
また、本発明の組み合わせは医薬組成物も含んでなる。これは、薬を調製するための公知の方法によって、経口、腸管外、例えば腹腔内、筋肉内、皮下又は経皮投与用に調製することが可能である。本発明の組み合わせを組織内に埋め込んでもよい。
【0031】
また、本発明の組み合わせは、錠剤、丸薬、糖衣錠、ゲルカプセル、顆粒剤、坐剤、インプラント、注射用無菌水性又は油性溶液、懸濁液又は乳濁液、軟膏、クリーム、ゲル、経皮投与用パッチ、吸入投与(例えば鼻内スプレー)に適した剤形、又は腟内系(例えば膣リング)又は子宮内系(ペッサリー、ループ)に適した剤形として投与してもよい。
【0032】
経口投与用の医薬組成物の調製の場合、上記規定の本発明の目的に適した活性物質を、通常使用される周知のアジュバント及び担体、例えばアラビアゴム、タルカム、デンプン、マンニトース(mannitose)等の糖、メチルセルロース、ラクトース、ゼラチン、界面活性剤、ステアリン酸マグネシウム、水性又は非水性賦形剤、パラフィン誘導体、架橋剤、分散剤、乳化剤、滑沢剤、保存料及び着香料(例えば精油)と混合することができる。医薬組成物において、プロゲステロン受容体拮抗薬及び純粋抗エストロゲンを、微小粒子組成物、例えばナノ粒子組成物に分散してもよい。
【0033】
活性物質の生物学的利用能を更に高めるために、上記規定の本発明の目的に適した活性物質を、PCT/EP95/02656に開示される方法に従って、α−、β−又はγ−シクロデキストリン、又はそれらの誘導体と反応させ、シクロデキストリンのクラスレートとして製剤してもよい。
【0034】
非経口投与の場合は、上記規定の本発明の目的に好適な活性物質を、オイル等の生理学的に許容し得る希釈剤に、可溶化剤、界面活性剤、分散剤、又は乳化剤等の存在又は不在下で溶解又は懸濁することができる。オイルの例としては、限定されるものではないが、オリブ油、ラッカセイ油、綿実油、ダイズ油、ヒマシ油、及びゴマ油が使用できる。
【0035】
また、本発明による医薬組成物は、蓄積注射又はインプラント調製物を介して、任意により(1又は2以上の)活性物質を徐放しながら投与してもよい。
【0036】
インプラントは、不活性材料として、生物学的に分解可能な重合体である合成シリコーン、例えばシリコーンゴム等を含んでいてもよい。
【0037】
経皮適用の場合、(1又は2以上の)活性物質を、粘着剤に処方してもよい。
【0038】
好ましい投与様式は、経口投与である。本発明に係る組み合わせは、特に経口投与に好適である。
【0039】
本発明の組み合わせは、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンを非ステロイド系抗エストロゲンと一緒に適用することにより投与してもよく、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンを非ステロイド系抗エストロゲンと別個に適用することにより投与してもよい。例えば、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンを皮下又は筋肉内投与し、非ステロイド系抗エストロゲンを経口投与してもよく、その逆としてもよい。
【0040】
組み合わせ対象の活性物質の投与すべき量(「医薬的に有効な量」)は、治療対象の病態及び投与方法に依存し、広範な値を取り得る。かかる量は、意図される治療に有効な任意の量を包含する。組み合わせ対象の活性物質の「医薬的に有効な量」の決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0041】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンの(1又は2以上の)純粋非ステロイド系抗エストロゲンに対する重量比は、上記規定のとおり、広範な値を取り得る。これらの成分は等量でもよく、一方の成分が他方の成分より多くてもよい。好ましくは、0.1〜200mgの純粋非ステロイド系抗エストロゲンと、0.1〜100mgのプロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンを単位用量とし、より好ましくは、それぞれ10〜150mgの純粋非ステロイド系抗エストロゲン及びプロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンからなる単位用量として投与される。特殊な場合には、最大200mgのプロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンを投与してもよい。純粋非ステロイド系抗エストロゲンとプロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンとの存在比は、好ましくは100:1〜1:100である。より好ましくは、4:1〜1:4の比で存在する。
【0042】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと非ステロイド系抗エストロゲンとは、一緒に投与しても個別に投与してもよく、後者の場合は同時に投与しても連続して投与してもよい。好ましくは、これらを1つの単位用量に組み合わせて投与する。連続して投与する場合、好ましくは、上記規定のとおり、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンを、純粋非ステロイド系抗エストロゲンの前に投与する。
【0043】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと、純粋非ステロイド系抗エストロゲン、又はこれらの成分の医薬的に許容し得る誘導体又は類似体の組み合わせは、ホルモン依存性乳癌モデルのパネルにおいて、非常に強力な腫瘍阻害効果を発揮している(実施例1参照)。この阻害は、これらの化合物を単独で用いた場合に達成される阻害と比べて、相乗的である。
【0044】
例えば本発明の種々の側面に係る組み合わせ等の医薬品は、腫瘍細胞の場合、G01期の進行を妨げて細胞のアポトーシスを誘発することから、様々な病態を治療及び予防に適用し得る可能性がある。例えば、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと(1又は2以上の)純粋非ステロイド系抗エストロゲンとの組み合わせは、細胞サイクルのS期にある腫瘍細胞量の増加が高い危険性の指標となる癌(例えば乳癌等)の治療に使用できる(G. M. Clark et al., N. Engl. J. Med. 320,1989, March, pp.627-633; L. G. Dressier et al., Cancer61 (3), 1988, pp. 420-427、及び、本文献中で引用された文献を参照)。
【0045】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、実施例に示す結果は、本発明に係るプロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと非ステロイド系抗エストロゲンの組み合わせが試験モデルにおいて示した抗腫瘍作用の主要な機構が、最終細胞死を伴う最終分化の誘導を介した、腫瘍細胞レベルでの直接的なエストロゲン受容体及び/又はプロゲステロン受容体媒介型の抗増殖効果であることを示唆している。かかる機序によって、本発明に係る組み合わせは、プロゲステロン受容体陽性及びエストロゲン受容体陽性腫瘍において、悪性腫瘍細胞に本来備わっている終末分化の内因性障害を除去し得るものと思われる。
【0046】
細胞培養の使用によって、BRCA1又はBRCA2活性をノックダウンすると、プロゲステロン受容体の分解が減少することが明らかになった。結果として、プロゲステロンによるプロゲステロン受容体の転写活性が延長され、且つ増強される。
【0047】
本発明者等は、本発明の化合物及び組み合わせを用いた予防的治療によって、BRCA1又はBRCA2ノックダウン細胞におけるPRシグナリングの促進を抑制できたことを示した。その結果、乳房細胞の増殖が減少する。
【0048】
PR転写の制御喪失は、なぜBRCA1又はBRCA2遺伝子が全身の細胞で変異しているにもかかわらず、PRに特異的に依存する臓器である乳房、卵巣及び子宮内膜、髄膜(meningio)において腫瘍が特異的に発生するかに対し、1つの説明となり得る。
【0049】
ヒトBRCA1又はBRCA2変異の類似体を有する(更にはp53遺伝子がノックアウトされた)雌マウスの乳房組織は、細胞増殖の増加、及びプロゲステロン受容体発現を示し、そして、乳癌を発症した。しかし、本発明の化合物の各組み合わせを用いて処置されたマウスには、腫瘍が存在しなかった。
【0050】
本発明の化合物の各組み合わせの効果は、単に腫瘍組織に制限されるというよりは、むしろ、正常乳房由来の組織と比べて高いプロゲステロン発現をも示すBRCA1又はBRCA2変異を有する「ヒト」乳房腫瘍に隣接した組織に制限されると考えられる。
【0051】
本発明を実施例により更に説明する。しかし、以下の実施例は、限定として解すべきではない。
【実施例1】
【0052】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンとタモキシフェンとの組み合わせは、BRCA1及びBRCA2ノックダウンを有する乳房細胞の増殖を阻害する。
【0053】
ATCCから得たMCF−10乳腺細胞を、BRAC1及びBRCA2遺伝子をノックダウンしたsiRNAを用いて処理した。
【0054】
未トランスフェクト細胞及び偽トランスフェクト細胞との対照で、細胞増殖を比較した。第2の工程では、細胞を、プロゲステロン、及び/又はエストロゲンで刺激した。プロゲステロンの存在下、BRCA1及びBRCA2 ko細胞において、増殖の増加が見られた。11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンを単独で、又は抗エストロゲンと組み合わせて用いた共処理によって、BRCA1ノックダウンの効果に拮抗することができた。プロゲステロン受容体タンパク質の発現に対する効果を更に調査した。BRCA1のノックダウンにsiRNAを使用することによって、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンによって拮抗され得るプロゲステロン受容体の安定性の増強を発見した。
【0055】
即ち、本結果は、本発明に係るプロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンとタモキシフェンとの組み合わせが、BRCA1ノックダウン細胞の増殖を強力に阻害することを示している。
【実施例2】
【0056】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オンと、非ステロイド系抗エストロゲンのタモキシフェンとの組み合わせ
【0057】
本発明に係るプロゲステロン受容体拮抗薬(11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン)とタモキシフェンとの組み合わせは、雌ラットに化学的に誘発した腫瘍(NMU−(ニトロソ−メチル−尿素)DMBA−(ジメチル−ベンズ−アントラセン)モデル)の治療でも相乗効果を示している。
【0058】
雌Sprague-Dawleyラット(Tierzucht Schonwalde、50〜55日齢)にNMU(50mg/kg)を単回静脈内投与して、腫瘍を誘発した。最小サイズ150mm2の少なくとも1つの定着した腫瘍を有するラットを、以下に従って4週間、毎日処理した。
1)溶媒対照、
2)卵巣摘出(処置開始時)、
3)プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、1mg/kgの経口投与、
4)タモキシフェン、1mg/kgの経口投与、
5)プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、1mg/kgの経口投与とタモキシフェン、1mg/kgの経口投与。
【0059】
キャリパー測定で腫瘍面積のパーセント変化を毎週測定し、増殖阻害のパラメーターとして使用した。平均値の群間差の統計解析にはクラスカル−ワリス検定を使用した。
【0060】
NMU乳癌モデルでは、対照での急速な増殖に比べ、卵巣摘出によって腫瘍増殖はほぼ完全に阻害された。標準的なタモキシフェン処置(1mg/kgの経口投与)及び11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン単独での処置(1mg/kgの経口投与)による腫瘍増殖の阻害は、未処置対照群と比べて有意な違いはなかった。11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4.9−ジエン−3−オンとタモキシフェンの組み合わせ(両方とも1mg/kgの経口投与)による対比処理は、対照と比較して、腫瘍増殖の有意な阻害をもたらした。
【0061】
結果を表Iに示す。
結果は、単独の化合物と比べて、組み合わせが相乗効果を有することを示している。
【0062】
【表1】

【0063】
11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン及びタモキシフェン(1mg/kgの経口投与)を含んでなる組み合わせの効果を、NMU誘発ラット乳癌の増殖に対する単独処置及び卵巣摘出と比較して、図1/1に示した。
【0064】
ZK64467=タモキシフェン
ZK230211=11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α(1,1,2,2,2ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、又は医薬的に許容し得るその誘導体又は類似体を、少なくとも1種の純粋非ステロイド系抗エストロゲンと共に含んでなる、BRCA1又はBRCA2介在性乳癌の予防及び治療のための組み合わせ医薬。
【請求項2】
前記純粋抗エストロゲンが、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、アルゾキシフェン、GW5638、EM−800、イドキシフェン、及びバセドキシフェンである、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項3】
前記のプロゲステロン受容体拮抗薬と非ステロイド系抗エストロゲンとの重量比が、1:100〜100:1である、請求項1又は2に記載の組み合わせ医薬。
【請求項4】
前記のプロゲステロン受容体拮抗薬と非ステロイド系抗エストロゲンとの重量比が、1:4〜4:1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項5】
前記プロゲステロン受容体拮抗薬が、0.1〜100mgの単位用量で存在し、前記非ステロイド系抗エストロゲンが、0.1〜200mgの単位用量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項6】
前記プロゲステロン受容体拮抗薬が、10〜150mgの単位用量で存在し、前記非ステロイド系抗エストロゲンが、10〜150mgの単位用量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項7】
前記のプロゲステロン受容体拮抗薬及び非ステロイド系抗エストロゲンが、錠剤、丸薬、糖衣錠、ゲルカプセル、顆粒剤、坐剤、インプラント、注射用無菌水性又は油性溶液、懸濁液、乳濁液、軟膏、クリーム、ゲル、経皮投与用パッチ、又は吸入投与に適した製剤の形態で投与される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項8】
前記組み合わせが、プロゲステロン受容体拮抗薬11β−(4−アセチル−フェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン、非ステロイド系抗エストロゲン、及び薬理活性物質を含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項9】
薬理活性物質が、細胞毒性薬である、請求項8に記載の組み合わせ医薬。
【請求項10】
経口投与用である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項11】
BRCA1又はBRCA2介在性の乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、胃癌、結腸直腸癌、子宮内膜症、骨髄腫、筋腫、又は髄膜腫の治療用又は予防用の医薬としての、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組み合わせの使用。
【請求項12】
BRCA1又はBRCA2介在性の乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、胃癌、結腸直腸癌、子宮内膜症、骨髄腫、筋腫、又は髄膜腫の治療用の医薬の製造のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組み合わせの使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−524998(P2010−524998A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504552(P2010−504552)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003335
【国際公開番号】WO2008/128792
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】