説明

C型肝炎ウイルスの感染の治療に有用なアントラニル酸誘導体

本発明は、式(I)(式中、R1は、−C(O)Rおよび(a)からなる群より選択され、R6およびR7は独立に、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく、Gは、Hまたはヒドロキシルから選択され、Yは、O、NHまたはSであり、Xは、H、ハロ、アルキル、シクロアルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され、かつ、nは、0、1、2、または3である)の化合物、あるいはそのプロドラッグ、製薬上許容される塩、または薬学的に活性な代謝物に向けられる。本発明はまた、本発明の化合物を含む組成物、ならびに、本発明の化合物およびその組成物の両方を用いる、C型肝炎ウイルス感染を治療または予防するため、あるいはC型肝炎ウイルスの複製を阻害するための方法にも向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス感染の治療に有用な一連のアントラニル酸化合物に向けられる。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎は、慢性肝炎、硬変、肝不全、および肝細胞癌を引き起こし得る一般的なウイルス感染である。C型肝炎ウイルス(HCV)の感染は、症例の少なくとも85%で慢性肝炎を引き起こし、肝臓移植の主要な原因であり、米国においては毎年少なくとも10,000件の死亡例の原因である(Hepatology, 1997, 26 (Suppl. 1), 2S-10S)。
【0003】
C型肝炎ウイルスはフラビウイルスファミリーのメンバーであり、HCVのゲノムはプラスセンスの一本鎖線状RNAである(Hepatology, 1997, 26 (Suppl. 1), 11S-14S)。HCVは広範な遺伝子異質性を示す;少なくとも6つの遺伝子型と50を超えるサブタイプが同定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HCV感染症を防ぐための有効なワクチンは存在しない。現在利用できる唯一の治療法は、インターフェロン−α(INF−α)を用いる治療、またはINF−αとヌクレオシド類似体リバビリンとの併用療法である(Antiviral Chemistry and Chemotherapy, 1997, 8, 281-301)。しかし、治療を受けた患者の約40%しか持続的な応答を示さない、従ってより効果的な抗HCV治療薬に対する必要性がある。
【0005】
HCVゲノム、多数の非構造タンパク質:NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5Bを含有する(J. General Virology, 2000, 81, 1631-1648)。NS5Bは、ウイルス複製に必須のRNA依存性RNAポリメラーゼであり、従って、NS5Bの阻害は、治療薬の開発に適した標的である。
【0006】
米国特許第5,741,926号では、下式のアントラニル酸を含むアニリン誘導体が主張され、これらの化合物は抗高血糖活性を有することが記載されている。
【化7】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は独立に、水素、ハロゲン、OR11、CX3、C1−C6アルキル基、(CH2nCH2OH、(CH2nCO212および(CH2n−5−テトラゾリルからなる群より選択され、R1、R2、R3、R4またはR5の1個以下が、(CH2nCO212および(CH2n−5−テトラゾリルからなる群より選択される;R11およびR12は独立に水素およびC1−C6アルキル基からなる群より選択され;Xは、ハロゲンであり;nは、0または1であり;R6、R7、R8、R9およびR10は独立に水素、ハロゲン、OR13、SR14、C(Y)3、C1−C6アルキル基およびフェニルからなる群より選択され;Yは、ハロゲンであり;Aは、C=Oであり;かつ、Bは、NH、酸素および硫黄からなる群より選択される)。この参照文献は、これらの化合物がC型肝炎ウイルス感染を治療または予防するために用いられ得ることを教示または示唆するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I)
【化8】

(式中、R1は、−C(O)R6および
【化9】

からなる群より選択され、
6およびR7は独立に、H、C1−C12アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリールまたはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく、Gは、Hまたはヒドロキシルから選択され、Yは、O、NHまたはSであり、XはH、ハロ、C1−C12アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C12パーフルオロアルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルチオ、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、C2−C12ジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され、かつ、nは、0、1、2または3である)の化合物、あるいは、そのプロドラッグ、製薬上許容される塩、または薬学的に活性な代謝物に向けられる。
【0008】
本発明はまた、式(II)
【化10】

(式中、
1は、−C(O)R6および
【化11】

から選択され、R6およびR7は独立に、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリールまたはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく、Xは、H、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、1〜4個の炭素原子のパーフルオロアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、アミノ、1〜4個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜8個の炭素原子のジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され、かつ、Gは、Hまたはヒドロキシルから選択される)の化合物、あるいは、そのプロドラッグ、製薬上許容される塩、または薬学的に活性な代謝物も含む。
【0009】
本発明はまた、式(III)
【化12】

(式中、
1は、−C(O)R6および
【化13】

から選択され、R6およびR7は独立に、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリールまたはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく、Xは、H、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、1〜4個の炭素原子のパーフルオロアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜12個の炭素原子のジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され、かつ、Gは、Hまたはヒドロキシルから選択される)の化合物、あるいは、そのプロドラッグ、製薬上許容される塩、または薬学的に活性な代謝物に向けられる。
【0010】
本発明はまた、式(I)、(II)および(III)の化合物を含む組成物、ならびに、C型肝炎ウイルス感染を治療または予防するため、あるいはC型肝炎ウイルスの複製を阻害するために、これらの化合物およびその組成物を用いる方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の目的において、用語「アルキル」には、12個もの炭素原子を含有することのできる、直線状および分枝状の両方のアルキル部分が含まれる。アルキル部分は1〜6個の炭素原子を含有することが好ましいが、1〜4個の炭素原子を含有することがより好ましい。用語「シクロアルキル」とは、3〜12個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基を指すが、より好ましくは3〜6個の炭素原子を含有し、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、またはアダマンチルが含まれる。これらの部分はさらに置換されていてもよい。
【0012】
本発明の目的において、用語「ヘテロシクロアルキル」とは、その部分がS、N、およびOからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環系(単環式または二環式)を指し、それには、限定されるものではないが、ピロリジン、ピロリン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピラン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ジチオキサン(dithioxane)、チオモルホリン、ピペラジン、アゼチジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル(dihydropyrrazinyl)、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロ−1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびインドリンが挙げられる。ヘテロシクロアルキル部分は、1〜11個の炭素原子を含有することが好ましい。これらの部分は、さらに置換されていてもよい。
【0013】
本発明の目的において、用語「アリール」は、芳香族炭化水素部分と定義され、置換されていても非置換であってもよい。アリール基は、6〜12個の炭素原子を含有することが好ましく、限定されるものではないが、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、ビフェニル、アントリル、テトラヒドロナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インダニル、ビフェニレニル、アセナフテニル、アセナフチレニル、またはフェナントレニル基の群から選択されてよい。アリール基は、場合により、限定されるものではないが、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロプロピル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオ、−SO3H、−SO2NH2、−SO2NHアルキル、−SO2N(アルキル)2、−CO2H、CO2NH2、CO2NHアルキル、および−CO2N(アルキル)2からなる群より選択される置換基でモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ置換されてよい。アリール部分に好ましい置換基としては、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシが挙げられる。
【0014】
本発明の目的において、用語「ヘテロアリール」は、ヘテロアリール部分がS、N、およびOからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5員または6員環である芳香族複素環系(単環式または二環式)と定義され、それには、限定されるものではないが、(1)フラン、チオフェン、インドール、アザインドール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、N−メチルピロール、ピラゾール、N−メチルピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、ベンズイソキサゾール、ベンズイミダゾール、N−メチルベンズイミダゾール、アザベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノリン、ピロリジニル;(2)フェニル、ピリジン、ピリミジンまたはピリジジン環が、(i)1個の窒素原子を有する6員の芳香族(不飽和)複素環と縮合している;(ii)2個の窒素原子を有する5員または6員の芳香族(不飽和)複素環と縮合している;(iii)1個の窒素原子を1個の酸素原子または1個の硫黄原子のいずれかとともに有する5員の芳香族(不飽和)複素環と縮合している;または(iv)O、N、またはSから選択される1個のヘテロ原子を有する5員の芳香族(不飽和)複素環と縮合している、二環式の芳香族複素環が挙げられる。複素環は2〜9個の炭素原子を含有することが好ましい。これらの部分は、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロプロピル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオ、−SO3H、−SO2NH2、−SO2NHアルキル、−SO2N(アルキル)2、−CO2H、CO2NH2、CO2NHアルキル、および−CO2N(アルキル)2からなる群より選択される置換基でさらに置換されていてもよい。ヘテロアリール部分に好ましい置換基としては、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシが挙げられる。ヘテロアリール部分は1〜9個の炭素原子を含有することが好ましい。
【0015】
本発明の目的において、用語「アルコキシ」は、C1−C6−アルキル−O−と定義される;用語「アリールオキシ」は、アリール−O−と定義される;用語「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール−O−と定義される;アルキル、アリール、およびヘテロアリールは上に定義されるとおりである。
【0016】
本発明の目的において、用語「アリールアルキル」は、アリール−C1−C6−アルキル−と定義される;アリールアルキル部分としては、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピルなどが挙げられる。
【0017】
本発明の目的において、用語「アルキルアリール」は、C1−C6−アルキル−アリール、例えばトリル基などと定義される。
【0018】
本発明の目的において、用語「アルキルチオ」は、C1−C6−アルキル−S−と定義される。本発明の目的において、用語「チオ」およびメルカプト」とは、−SH基を指す。
【0019】
本発明の目的において、「アルキルチオアルキル」、および「アルキルオキシアルキル」は、上記定義のアルコキシまたはアルキルチオでさらに置換されている上記定義のアルキル基を意味する。
【0020】
本発明の目的において、「アリールチオ」および「ヘテロアリールチオ」は、上記定義のアリールまたはヘテロアリール基でさらに置換されているチオ基を意味する。
【0021】
用語「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」とは、1または2個のアルキル基を含む部分を指し、アルキル鎖は1〜6個の炭素または1〜4個の炭素であり、該基は同じであっても異なっていてもよい。用語「アミノアルキル」とは、アミノ基でさらに置換されている、本明細書に定義されるアルキル基を指す。用語「モノアルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」とは、1〜6個の炭素原子のアルキル基と結合している窒素原子と結合されている(同一または異なる)1または2のアルキル基を含む、モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノ部分を指す。
【0022】
「アシル」は、式−(C=O)−アルキルまたは−(C=O)−パーフルオロアルキルのラジカルであり、アルキルラジカルまたはパーフルオロアルキルラジカルは1〜6個の炭素原子である;好ましい例としては、限定されるものではないが、アセチル、プロピオニル、ブチリル、およびトリフルオロアセチルが挙げられる。
【0023】
本発明の目的において、用語「アルキルスルフィニル」は、R’が1〜6個の炭素原子のアルキルラジカルであるR’SO−ラジカルと定義される。アルキルスルホニルはR’SO2−ラジカルであり、R’は、1〜6個の炭素原子のアルキルラジカルである。
【0024】
本発明の目的において、用語「ハロアルキル」は、少なくとも1個のハロゲン原子で置換されている、本明細書に定義されるアルキル基と定義される。この部分はまた、例えばトリフルオロメチル基のように、ハロゲン原子で完全に置換されていてもよい。
【0025】
本発明の目的において、用語「パーフルオロアルキル」は、フッ素原子で完全に置換されている、本明細書に定義されるアルキル基と定義され、従って、式−Cn2n+1により定義される。例としては、−CF3および−CF2CF3が挙げられる。
【0026】
本発明の目的において、用語「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されている、本明細書に定義されるアルキル基と定義される。
【0027】
本発明の目的において、用語「ハロアルコキシ」および「ハロアルキルチオ」は、少なくとも1つのハロ原子でさらに置換されている、本明細書に定義されるアルコキシまたはアルキルチオ基と定義される。
【0028】
本発明の目的において、用語「アルコキシアルコキシ」および「アルキルチオアルコキシ」は、別のアルコキシ基、例えばCH3−O−CH2CH2−O−、またはアルキルチオ基でさらに置換されているアルコキシ基と定義される。本発明の目的において、用語「アルコキシアルキルチオ」および「アルキルチオアルキルチオ」は、別のアルコキシ基またはアルキルチオ基でさらに置換されているアルキルチオ基と定義される。
【0029】
本発明の目的において、用語「オキソ」は、カルボニル基(すなわち、C=O)と定義される。
【0030】
用語「置換基」は、本明細書において、分子上の水素ラジカルを置換する原子ラジカル、官能基ラジカルまたは部分ラジカルを指すために用いられる。明確に別のものが記載されている場合を除いて、本明細書に記載されるいずれの部分も、当然、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルチオアルコキシ、アルコキシアルキルチオ、アルキルチオアルキルチオ、オキソ、アルキルチオ、−SH、ハロアルキルチオ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、アシル、−CO2−アルキル、−SO3H、−SO2NH2、−SO2NH−アルキル、−SO2NH−(アルキル)2、−CO2H、−CO2NH2、−CO2NH−アルキル、および−CO2N−(アルキル)2から選択される1またはそれ以上の基で置換され得ると考えられる。
【0031】
本発明の目的において、用語「置換された」とは、分子上の水素ラジカルが別の原子ラジカル、官能基ラジカルまたは部分ラジカルで置換されていることを指す;これらのラジカルは一般に「置換基」と称される。
【0032】
本発明の化合物は、不斉炭素原子を含有してよく、従って立体異性体、例えば鏡像異性体およびジアステレオマーを生じ得る。本発明の立体異性体は、カーン・インゴルド・プレローグ順位則に従って命名されている。式(■)、(II)および(III)において
立体化学を考慮せずに示されているが、本発明は、あらゆる個別の可能性のある立体異性体を含む;ならびにラセミ混合物およびその他のRおよびS立体異性体の混合物(同等でない量の鏡像異性体の混合物であるスケールミック(scalemic)混合物)、およびそのプロドラッグ、製薬上許容される塩および薬学的に活性な代謝物を含む。注目すべきは、キラル中心で同一の相対配置を有する本発明の立体異性体が、それでもなお、示されたキラル中心での置換に応じて、異なるRおよびSの呼称(designation)を有し得ることである。
【0033】
本発明の実施形態は、式(I)の化合物が、独立にH、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリールまたはC6−C12アリールから選択されるR6およびR7により定義される形態であり、そのいずれも場合により置換されていてもよく、Xは、H、ハロ、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C1−C6パーフルオロアルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、C2−C12ジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され、さらに、任意選択の置換基は、C1−C6アルキル、ハロゲン、C1−C6ハロアルキル、C1−C6ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、C1−C6アルキルアミノ、C2−C12ジアルキルアミノ、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、C2−C12アルコキシアルキル、C2−C12アルコキシアルコキシ、オキソ、C1−C6アルキルチオ、メルカプト、C1−C6ハロアルキルチオ、C6−C12アリール、C6−C12アリールオキシ、C6−C12アリールチオ、C2−C9ヘテロアリール、C2−C9ヘテロアリールオキシ、C2−C9ヘテロアリールチオ、アシル、−CO2−C1−C6アルキル、−SO3H、−SO2NH2、−SO2NH−C1−C6アルキル、−SO2NH−(C1−C6アルキル)2、−CO2H、−CO2NH2、−CO2NH−C1−C6アルキル、および−CO2N−(C1−C6アルキル)2からなる群より選択される。
【0034】
式(I)の化合物の別の実施形態は、Yが、OまたはNHであり、Xが、H、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、およびC1−C4ハロアルキルからなる群より選択される形態である。
【0035】
式(I)の化合物のより具体的な実施形態は、nが、0、1、または2であり、GがHである形態である。別の具体的な実施形態は、R6およびR7が(存在する場合)C1−C4アルキルであり、メチルが好ましく、YがNHである形態である。別のより具体的な実施形態は、nが2であり、Xが、ハロ、好ましくは、ClまたはFである形態である。特により好ましいものは、一方のXがClであり、他方のXがFである形態である。
【0036】
式(II)の化合物の実施形態は、R6およびR7が独立に、H、C1−C6アルキル、C3-12シクロアルキル、またはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよい形態であるが、R6またはR7がC1−C4アルキルであることがより好ましい。
【0037】
式(II)の化合物の別の実施形態は、GがHである形態である。式(II)の化合物の別の実施形態は、Xが、H、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキルおよびC1−C4アルコキシの群から選択される形態であり、Xはハロであることが最も好ましい。より具体的な実施形態は、nが、0、1、または2であり、最も具体的な実施形態は、式(II)の化合物が、−{[N−(2−アセチル−5−クロロ−4−フルオロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸または2−(2−([5−クロロ−4−フルオロ−2−(1−メトキシイミノ−エチル)−フェニルアミノ]アセチルアミノ}安息香酸である形態である。
【0038】
式(III)の化合物の実施形態は、R6およびR7が独立に、H、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、またはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよい形態であるが、R6またはR7がC1−C4アルキルであることがより好ましい。
【0039】
式(III)の化合物のより具体的な実施形態は、GがHである形態である。式(III)の化合物の別の実施形態は、Xが、H、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキルおよびC1−C4アルコキシの群から選択される形態であり、Xはハロであることが最も好ましい。より具体的な実施形態は、nが、1、2、または3であり、少なくとも1つのXが、ハロである形態であるが、nが1または2であることがより好ましい。
【0040】
本発明の好ましい化合物は、
2−{[N−(6−アセチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−({[N−[2−アセチル−4−クロロ−5−(メチルチオ)フェニル]グリシル}アミノ)安息香酸;
2−({[N−[2−アセチル−4−クロロ−5−(ジメチルアミノ)フェニル]グリシル}アミノ)安息香酸;
2−({[N−[2−アセチル−4−クロロ−5−(メチルアミノ)フェニル]グリシル}アミノ)安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−5−クロロ−4−フルオロフェニル−N−メチルグリシル]アミノ}安息香酸;
2−({[N−[2−アセチル−4−クロロ−5−(メチルスルフィニル)フェニル]グリシル}アミノ)安息香酸;
2−{[N−(2−アセチルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(5−クロロ−4−メチル−2−プロピオニルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4,5−ジメチルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−ブロモ−5−クロロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(5−クロロ−4−フルオロ−2−プロピオニルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4,5−ジフルオロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロ−5−エトキシフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロ−5−フルオロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4,5−ジクロロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロ−5−メトキシフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−フルオロ−5−メチルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−5−クロロ−4−フルオロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(4−クロロ−2−プロピオニルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−(2−([5−クロロ−4−フルオロ−2−(1−メトキシイミノ−エチル)−フェニルアミノ]−アセチルアミノ}−安息香酸;
2−({[4,5−ジメチル−2−(トリフルオロアセチル)フェノキシ]アセチル}アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4,5−ジメトキシフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−[2−(2−アセチル−5−メチルフェノキシ)アセチルアミノ]−安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−エチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−フルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−メトキシフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−クロロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−ベンゾイル4−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4,5−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ}−5−ヒドロキシ安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4,5−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−イソブチリル−4,5−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−エチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(4,5−ジメチル−2−ペンタノイフェノキシ(pentanoyphenoxy))アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−ブチリル−4,5−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(4,5−ジメチル−2−プロピオニフェノキシ(propionyphenoxy))アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−クロロ−5−フルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−フルオロ−5−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4,5−ジフルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(4−クロロ−2−プロピオニルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
2−{[(2−アセチル−4−クロロ−5−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
2−{[(2−アセチル−4−フルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−クロロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−ブロモフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;および
2−{[(2−アセチル−4−エチル-3−ヒドロキシフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
である。
【0041】
本発明の化合物は酸であり、所望の塩は、無機または有機塩基、例えば(一級、二級、または三級)アミン;アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物などによる遊離酸の処理を含む、当分野に公知の任意の適した方法により調製してよい。適した塩の例証的な例としては、アミノ酸(例えば、グリシンおよびアルギニンなど);アンモニア;一級、二級、および三級アミン;および環状アミン(例えば、ピペリジン、モルホリン、およびピペラジンなど)に由来する有機塩;ならびに、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウムに由来する無機塩が挙げられる。
【0042】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などによる遊離塩基の処理、あるいは、有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(pyranosidyl acid)(グルクロン酸またはガラクツロン酸など)、α−ヒドロキシ酸(クエン酸または酒石酸など)、アミノ酸(アスパラギン酸またはグルタミン酸など)、芳香族酸(安息香酸または桂皮酸など)、スルホン酸(p−トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸など)などによる遊離塩基の処理を含む、当分野で公知の任意の適した方法により調製してよい。
【0043】
「プロドラッグ」は、生理的条件下で、または加溶媒分解により、または代謝によって、薬学的に活性な特定の化合物へ変換される化合物を意味することを意図する。プロドラッグは、生理的条件下で、または加溶媒分解により切断され得る部分、例えば−CO2R、−PO(OR)2または−C=NRなどを含有する、本発明の化合物の一形態の誘導体であってよい。製薬上許容される加溶媒分解または切断産物をもたらす任意の適したR置換基を用いてよい。そのような部分を含有するプロドラッグは、例えば、アミド、カルボン酸、またはヒドロキシル部分を含有する本発明の化合物を、適した試薬で処理することによる従来手順に従って調製してよい。「薬学的に活性な代謝物」は、特定の化合物の身体での代謝により生じた、薬理学的に活性な化合物を意味することを意図する。上記の式の本発明の化合物のプロドラッグおよび活性代謝物は、例えば、代謝研究による、当分野で公知の技法を用いて決定してよい。例えば、「Design of Prodrugs」, (Bundgaard, ed.), 1985, Elsevier Publishers B. V., Amsterdam, The Netherlands参照。「製薬上許容される塩」は、特定の化合物の遊離酸および塩基の生物学的効果を保持し、生物学的にまたはほかの点で有害でない塩を意味することを意図する。製薬上許容される塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオアート、ヘキシン−1,6−ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩(メシル酸塩)、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホナート、ナフタレン−2−スルホナート、およびマンデル酸塩が挙げられる。化合物または塩が固体である場合、本発明の化合物または塩が異なる結晶形態で存在し得ることは当業者に理解され、その全ては本発明および指定された式の範囲内にあることが意図される。
【0044】
一実施形態では、本発明は、C型肝炎のRNA依存性RNAポリメラーゼNS5Bを阻害する方法も提供する。この方法は、NS5B機能を低下または阻止するのに効果的な式(I)、(II)または(III)の化合物の量と細胞を接触させることを含む。細胞は、哺乳類細胞、より具体的には、ヒト細胞であってよい。細胞はまた、細菌細胞、例えば大腸菌などであってもよい。細胞としては、限定されるものではないが、神経細胞、内皮細胞、グリア細胞、ミクログリア細胞、平滑筋細胞、体細胞、骨髄細胞、肝細胞、腸細胞、生殖細胞、筋細胞、単核食細胞、内皮細胞、腫瘍細胞、リンパ球細胞、メサンギウム細胞、網膜上皮細胞、網膜血管細胞、神経節細胞または幹細胞が挙げられる。細胞は正常細胞、活性化細胞、新生細胞、罹患細胞、または感染細胞であってよい。
【0045】
本発明は、C型肝炎感染を治療または予防するための活性治療物質としての使用のための本発明の化合物をさらに提供する。式(I)、(II)および(III)の化合物は、C型肝炎ウイルスの感染の治療または予防に特に役立つ。
【0046】
本発明の方法の好ましい実施形態は、哺乳類に少なくとも1種類の式(I)、(II)または(III)の化合物の有効量を供給することを含む、哺乳類においてC型肝炎ウイルス感染を治療または予防することを含む。この実施形態は、少なくとも1種類の生物学的に活性な薬剤を哺乳類に供給することをさらに含んでよく、その薬剤は、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、免疫調節薬、肝保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、および抗感染症化合物からなる群より選択され得る。このリストは単なる例を提供するものであり、完全に網羅することを意図しない。
【0047】
本発明の方法のもう1つの実施形態では、C型肝炎ウイルスを有効量の少なくとも1つの式(I)、(II)、または(III)の化合物と接触させることを含む、C型肝炎ウイルスの複製を阻害することが含まれる。この実施形態は、哺乳類に少なくとも1種類の生物学的に活性な薬剤を供給することをさらに含んでよく、その薬剤は、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、免疫調節薬、肝保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、および抗感染症化合物からなる群より選択され得る。このリストは単なる例を提供するものであり、完全に網羅することを意図しない。
【0048】
本発明の化合物、あるいはそのプロドラッグ、薬学的に活性な代謝物または製薬上許容される塩、および医薬組成物は、好ましくは、経口的にまたは皮下に供給される。化合物は、病巣内、腹腔内、筋肉内または静脈内注射;注入;リポソーム媒介送達;局所、鼻腔、肛門、膣、舌下、尿道、経皮、くも膜下腔内、眼または耳送達により供給され得る。本発明の化合物を供給する際に一貫性を得るために、本発明の化合物は単位用量の形態であることが好ましい。適した単位用量形としては、錠剤、カプセル剤および小袋またはバイアル中の粉剤が挙げられる。このような単位用量形は0.1〜100mgの本発明の化合物、好ましくは、2〜50mgを含有してもよい。さらに一層好ましい単位投与形は、5〜25mgの本発明の化合物を含有する。本発明の化合物は、経口的に、約0.01〜100mg/kgの用量範囲で、好ましくは、0.1〜10mg/kg用量範囲で投与してよい。このような化合物は、1日に1〜6回、より通例には1日に1〜4回投与してよい。効果的な量は、当業者には分かる;それはまた、化合物の形態によっても決まる。当業者であれば、生物検定において化合物の生物活性を測定するための経験的な活性試験を日常的に行うことができ、従って投与する投薬量を決定することができる。
【0049】
本発明の化合物、あるいはそのプロドラッグ、薬学的に活性な代謝物または製薬上許容される塩、および医薬組成物は、従来の賦形剤、例えば増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、香味料、着色添加物、または担体とともに処方されてよい。担体は、例えば、希釈液、エアロゾル、局所用担体、水溶液、非水溶液または固体担体であってよい。担体は、ポリマーまたは練り歯磨き粉であってもよい。本発明において担体は、任意の標準的な製薬上許容された担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩水溶液、酢酸緩衝生理食塩水溶液、水、エマルジョン(油/水エマルジョンまたはトリグリセリドエマルジョンなど)、様々な種類の湿潤剤、錠剤、コーティング錠およびカプセル剤を包含する。
【0050】
経口的にまたは局所的に供給される場合、このような化合物は様々な担体における送達により被験体に供給される。一般に、このような担体は、賦形剤、例えばデンプン、乳、糖、特定の種類の粘土、ゼラチン、ステアリン酸、タルク、植物性脂肪または植物油、ゴム類、またはグリコール類を含有する。特定の担体は、所望の送達方法に応じて選択される必要がある。例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)は静脈内または全身の送達に用いることができ、植物性脂肪、クリーム、軟膏(salves)、軟膏(ointments)、またはゲルは局所送達に用いてよい。
【0051】
本発明の化合物、あるいはそのプロドラッグ、薬学的に活性な代謝物または製薬上許容される塩、および医薬組成物は、C型肝炎ウイルス感染の治療または予防に有用な、適した希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または担体とともに送達することができる。このような組成物は液体または凍結乾燥したまた別の方法で乾燥した処方物であり、様々なバッファー内容の希釈剤(例えば、Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pHおよびイオン強度、表面への吸収を妨げる添加剤(アルブミン類またはゼラチンなど)、界面活性剤(例えば、TWEEN 20、TWEEN 80、プルロニックF68、胆汁酸塩類)、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン類)、充填剤または張力調節剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、ポリマーの共有結合(ポリエチレングリコールなど)、金属イオンとの錯体、あるいは、ヒドロゲルもしくはリポソームからなる粒状製剤、マイクロエマルジョン、ミセル、単層もしくは多層小胞、赤血球ゴースト、またはスフェロプラスト中またはその上への化合物の組み込みが含まれる。このような組成物は、化合物または組成物の物理的状態、溶解度、安定性、インビボ放出速度、およびインビボクリアランス速度に影響を及ぼす。組成物の選択は、C型肝炎ウイルス感染を治療または予防する能力のある化合物の物理的特性および化学的特性によって決まる。
【0052】
本発明の化合物、あるいはそのプロドラッグ、薬学的に活性な代謝物または製薬上許容される塩、および医薬組成物は、一定の時間をかけて化合物を持続放出させるカプセル剤を介して局所的に送達され得る。制御放出または持続放出組成物としては、親油性デポー(例えば、脂肪酸、ワックス、オイル)中の製剤が挙げられる。
【0053】
本発明は、組成物が送達系に組み込まれている、本医薬組成物のための制御放出の治療用投薬形態をさらに提供する。この投薬形態は、血液中の組成物の有効濃度が長期間にわたって維持され得るような方法で医薬組成物の放出を制御するが、組成物の放出はまた、血液中の濃度が長期間にわたり比較的一定であって治療結果を改善する、かつ/または副作用を最小限に抑えるものでなければならない。さらに、制御放出系は医薬組成物の血漿レベルの最小ピーク対トラフ変動に影響を及ぼし得る。
【0054】
本発明は、感染した個体に本発明の有効量の化合物または医薬組成物を投与することを含む、ヒトにおいてC型肝炎感染を治療する方法をさらに提供する。
【0055】
本発明はまた、式(I)
【化14】

(式中、R1は、−C(O)R6および
【化15】

からなる群より選択され、R6およびR7は独立に、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく、Gは、H、またはヒドロキシルから選択され、Yは、O、NH、またはSであり、Xは、H、ハロ、アルキル、シクロアルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され、かつnは、0、1、2、または3である)の化合物、または、そのプロドラッグ、製薬上許容される塩、もしくは薬学的に活性な代謝物と、製薬上許容される担体とを含む医薬組成物に向けられる。
【0056】
本発明はまた、式(II)
【化16】

(式中、R1は、−C(O)R6および
【化17】

から選択され、R6およびR7は独立に、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリール、またはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく、Xは、H、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、パーフルオロアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、アミノ、1〜4個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜8個の炭素原子のジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され、かつ、Gは、H、またはヒドロキシルから選択される)の化合物、または、そのプロドラッグ、製薬上許容される塩、もしくは薬学的に活性な代謝物と、製薬上許容される担体とを含む医薬組成物に向けられる。
【0057】
本発明はまた、式(III)
【化18】

(式中、R1は、−C(O)R6および
【化19】

から選択され、R6およびR7は独立に、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリール、またはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく、Xは、H、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、パーフルオロアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜12個の炭素原子のジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され、かつ、Gは、H、またはヒドロキシルから選択される)の化合物、またはそのプロドラッグ、製薬上許容される塩、もしくは薬学的に活性な代謝物と、製薬上許容される担体とを含む医薬組成物に向けられる。
【0058】
本発明は、有効量の少なくとも1種類の医薬組成物を哺乳類に供給することを含む、哺乳類においてC型肝炎ウイルス感染を治療または予防する方法を提供し、その少なくとも1種類の医薬組成物は式(I)、(II)、または(III)の化合物を含む。
【0059】
本発明の方法は、有効量の少なくとも1種類の生理活性物質を哺乳類に供給することをさらに含む。本発明の方法の一実施形態において、少なくとも1種類の生理活性物質は、少なくとも1種類の医薬組成物より前に、少なくとも1種類の医薬組成物と同時に、または少なくとも1種類の医薬組成物の後に供給され、該生理活性物質は、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、免疫調節薬、肝保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、および抗感染症化合物からなる群より選択される。
【0060】
本発明の化合物、またはそのプロドラッグ、薬学的に活性な代謝物、もしくは製薬上許容される塩、またはその異性体はまた、互いに組合せて用いられる(すなわち、この化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩を含む医薬組成物が、それぞれ同時に、またはどちらの順序でも順次投与される)場合に、ウイルス感染症、特にC型肝炎感染症、および生きている宿主の疾患の治療および予防に有用である。本明細書で提供される化合物の組合せは、それぞれの医薬組成物の形で、他の生理活性物質と同時に、または連続して、被験体にさらに供給されてよく、それには、限定されるものではないが、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、免疫調節薬、肝保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、および抗感染症化合物からなる群が含まれる。本発明は、1またはそれ以上のアントラニル酸誘導体との併用療法、すなわち、少なくとも2つの医薬組成物(それぞれが本発明の異なる化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩を含む)が、治療を必要とする被験体に互いに同時にまたは連続して供給される併用療法をさらに提供し、このような治療法は、アシクロビル、ファミシクロビル、バルガンシクロビルおよび関連化合物、リバビリンおよび関連化合物、アマンタジンおよび関連化合物、様々なインターフェロン(例えばインターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γなど)、ならびにインターフェロンの他の形態(ペグ化インターフェロンなど)などの、他の薬剤または増強剤を同時に、または連続して供給することをさらに含んでよい。さらに、例えばリバビリンおよびインターフェロンの組合せを、少なくとも1種類の本発明の化合物との多剤併用療法のためのさらなる組合せとして投与してもよい。
【0061】
上記の生理活性物質のいずれかを用いる併用療法はまた、連続的なものであってよい。つまり、本発明の化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩を含む第1の医薬組成物での治療の後に続いて本発明の第2の化合物を含む第2の医薬組成物での治療が行われてよく、第2の化合物は第1の化合物とは異なる;あるいは、治療は2種類両方またはそれ以上の医薬組成物を用いてよく、それぞれの医薬組成物は、本発明の異なる化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩を同時に含む。この連続治療は、医薬組成物を用いる第1の治療の完了後、妥当な時間内に行ってよい。各々本発明の異なる化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩を同時に含む個々の医薬組成物での治療は、同じ日用量で、または別の用量で提供されてよい。併用療法はまた、本発明の少なくとも1つの化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩を含む医薬組成物が、少なくとも1種類の生理活性物質をさらに含む組成物の形で、すなわち単一用量として投与される場合にも提供され得る。同時および連続併用療法の両方のための(本発明の少なくとも2種類の化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩を含む、混合された医薬組成物、あるいは、本発明の少なくとも1種類の化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩と少なくとも1種類の生理活性物質を含む組成物のための)用量は、医薬組成物の成分の吸収、分布、代謝および排出速度、ならびに当業者に公知の他の因子によって決まる。医薬組成物の用量値はまた、軽減される予定の疾患の重篤度によっても変動する。さらに、任意の特定の被験体に関して、個別の投与計画およびスケジュールは、個体が必要とするもの、および医薬組成物の投与または投与の管理を行う人物の専門的判断に従って、時間をかけて調節されてよいことは当然理解される。
【0062】
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、HCVポリメラーゼのその他の阻害剤との併用療法の様式でヒトにおけるHCVの治療に用いることができる。
【0063】
なおさらなる実施形態では、本発明の化合物またはそのプロドラッグ、薬学的に活性な代謝物もしくはその製薬上許容される塩は、HCV生活環の他の阻害剤(例えば、HCV細胞の付着またはウイルス侵入、HCVの翻訳、HCVのRNA転写もしくは複製、HCVの成熟、集合もしくはウイルス放出の阻害剤、あるいはHCV酵素活性、例えばHCVヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ヘリカーゼ、プロテアーゼまたはポリメラーゼの阻害剤など)と共に、併用療法の様式で、ヒトにおけるHCVの治療に用いることができる。
【0064】
医薬組成物の併用療法には、その組合せが本発明群の化合物の抗ウイルス活性または医薬組成物自体の抗ウイルス活性を排除しない限り、本発明群の化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩と、本発明群のその他の化合物またはそのプロドラッグもしくは製薬上許容される塩、または本発明群を除くその他の化合物との、任意の化学的に適合性のある組合せが含まれることが意図される。
【0065】
本明細書において使用される用語「インターフェロン−α」とは、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を調節する、高度に相同な種特異的タンパク質のファミリーを意味する。典型的な適したインターフェロン−αとしては、限定されるものではないが、組換え型インターフェロンα−2b、例えばSchering Corporation,Kenilworth,NJから入手可能なINTRON−A INTERFERON、組換え型インターフェロンα−2a、例えばHofman−La Roche,Nutley,NJから入手可能なRoferonインターフェロン、組換え型インターフェロンα−2C、例えばBoehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.,Ridgefield,Conn.から入手可能なBEROFOR ALPHA 2 INTERFERON、天然αインターフェロンの精製混合物であるインターフェロンα−n1、例えば住友(日本)から入手可能なSUMIFERON、またはGlaxo−Wellcome Ltd.,London,Great Britainから入手可能なWellferonインターフェロンα−n1(INS)、あるいはコンセンサスαインターフェロン、例えば米国特許第4,897,471号および同第4,695,623号(参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、詳細には、その実施例7、8または9)に記載のものおよびAmgen,Inc.,Newbury Park、Calif.から入手可能な特定の製品、またはInterferon Sciencesにより製造され、ALFERONという商標でPurdue Frederick Co.,Norwalk,Conn.から入手可能な天然インターフェロンの混合物であるインターフェロンα−n3などが挙げられる。インターフェロンα−2aまたはα2bの使用が好ましい。全てのインターフェロンの中でも、インターフェロンα2bは、慢性C型肝炎感染症の治療について世界中で最も広く認められているので最も好ましい。インターフェロンα2bの製造は米国特許第4,503,901号に記載されている。
【0066】
本明細書において使用される用語「ペグ化インターフェロン」とは、インターフェロン、好ましくは、インターフェロンα−2aおよびα−2bのポリエチレングリコール修飾複合体を意味する。好ましいポリエチレン−グリコール−インターフェロンα−2b複合体は、PEG.sub.12000−インターフェロンα2bである。本明細書において使用される「PEG.sub.12000−IFNα」という語句は、国際出願第WO95/13090号の方法に従って調製され、インターフェロンα−2aまたはα−2bアミノ基と平均分子量12000のポリエチレングリコールの間にウレタン結合を含有する複合体を意味する。
【0067】
以下の実験の詳細は、本発明の理解を助けるために示されるものであり、後述の請求項に示される本発明を何らかの形で制限することを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0068】
本発明の化合物は、以下の反応スキームまたはその変法に従って容易に調製することができる。
【0069】
1がカルボニル含有部分である本発明の化合物は、以下のスキーム(スキーム1および2)に記載される通り合成することができる。その後に、これらの化合物は、下のスキーム3〜6に記載された方法により、または当業者に公知の他の方法により、R1
【化20】

である、対応するオキシムに変換することができる。
【化21】

【化22】

【0070】
本発明のフェニルアミン誘導体は、スキーム1に記載されるように、方法1により調製される。従って、メチルアントラニラート誘導体は式L1−CH2C(O)L2の試薬を用いてアシル化されて化合物2を生じ、L1は脱離基、例えばハロ、O−メシル、O−トリル、またはO−トリフラートであり、L2は脱離基、例えばハロである。好ましくは、該試薬はブロモアセチルブロミドである。化合物3のオルトアシル化は、スガサワの方法に従って(Sugasawa, Tsuotomu, Toyoda, Tatsuo, Adachi, Makoto; Sasakura, Kazuyuki. Aminohaloborane in Organic Synthesis. 1. Specific Ortho Substitution Reaction of Anilines. J. Am. Chem. Soc. (1978), 100(15), 4842-52)、化合物をルイス酸、またはルイス酸の組合せ、例えばボロントリブロミド、アルミニウムトリクロリド、および相当するニトリルを用いて処理し、それに続いて酸加水分解してアミノケトン4を生じることにより達成される。塩基、好ましくは三級アミン塩基、例えばN、N−ジエチルイソプロピルアミン、トリエチルアミンおよびピリジンなどの存在下でのメチルN−アセチルアントラニラート2とアミノケトン4の反応により、アルキル化生成物5が得られる。当業者であれば、このアルキル化を達成するために用いられ得るその他の塩基に精通している。標準条件下でのエステルの加水分解から、最終生成物1が得られる。これらの化合物は、さらに誘導体化して対応するオキシム(スキーム3および4を参照)を形成することができる。
【0071】
本発明のフェノキシおよびチオフェニル誘導体は、スキーム2に示されるように、方法2により調製される。従って、オルト−アシルフェノールまたはオルト−アシルチオフェノール誘導体7は、対応する酸塩化物およびルイス酸と置換フェノールまたはチオフェノール6を反応させることにより調製される。この方法論は、ミューショーらにより記載されている(Mewshaw, R.E.; Marquis, K.L.; Shi, X.; McGaughey, G.; Stack, G.; et al.; Tetrahedron; EN; 54; 25; 1998; 7081-7108)。式R’OC(O)L2の試薬を用いるアルキル化により(R’はアルキルまたはアリールから選択され、L2はハロである)、エステル8が得られる。好ましくは、該試薬はエチルヨードアセタートである。次に、エステル8は塩基性加水分解により、酸9へと変換される。次に、化合物9を、標準的なペプチド結合法を用いてアントラニル酸誘導体と結合させ、最終生成物10を得る。標準的な結合法の例としては、化合物9を対応する酸ハロゲン化物に変換し、次に、非反応性溶媒中でアントラニル酸誘導体と反応させる方法である。この変換は、オキサリルクロリド、チオニルクロリド、リン酸トリクロリド、リン酸ペンタクロリド、Ph3PBr2、Ph3P/CBrCl3、Ph3P/CCl4などの試薬を用いて達成され得る。当業者であれば、カルボン酸から酸ハロゲン化物を形成するために用いることのできるその他の類似の試薬も承知している。次に、これらの化合物は、対応するオキシムを形成するために、スキーム5および6に示されるように、さらに誘導体化することもできる。
【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【0072】
スキーム3は、対応するアミノケトン4から出発するオキシム誘導体13を調製する一般法を図示する。アミノケトン4は、ヒドロキシルアミン、またはその誘導体、例えばアルコキシアミン(すなわち、CH3ONH2)、H2NOSO3HまたはHON(SO3Na)と、酸または塩基の存在下で反応させるとオキシム11が得られる。酸、例えばHClの使用が好ましい。次に、オキシムをベンジルエステル2と、既に本明細書に記載されるように、塩基性条件下で反応させるとオキシムエステル12を形成し、それを次に鹸化すると最終生成物13が得られる。
【0073】
スキーム4は、スキーム1に記載される合成の異なるポイントでオキシム官能基を導入することにより最終生成物13を得る別の方法を示す。従って、エステル5を、最初に、本明細書に記載されるヒドロキシルアミン、またはその誘導体と反応させてオキシムを形成することができ、それを次に鹸化させて最終化合物13を得ることができる。あるいは、酸化合物1(スキーム1に示される最終生成物であったもの)を、本明細書に記載されるヒドロキシルアミン、またはその誘導体と反応させて、オキシム最終生成物を形成してよい。
【0074】
スキーム5は、本発明のフェノールまたはチオフェノール誘導体の対応するオキシムを調製する方法を示す。2−アシルフェノールまたは2−アシルチオフェノール7を、ヒドロキシルアミン、またはその誘導体、例えばアルコキシアミン(すなわちCH3ONH2)、H2NOSO3HまたはHON(SO3Na)と、酸または塩基の存在下で反応させ、次に、既に本明細書に記載されるルイス酸の存在下で適当な酸ハロゲン化物と反応させてオキシム14を得る。酸、例えばHClの使用が好ましい。次に、オキシムを、既に本明細書に記載されるように塩基性条件下で加水分解してオキシム酸15を得、次にそれを、本明細書に記載される標準的なペプチド結合法を用いてアントラニル酸誘導体と結合させて最終生成物16を得る。
【0075】
スキーム6は、対応する酸10(スキーム2の最終生成物であったもの)から、それをヒドロキシルアミン、またはその誘導体、例えばアルコキシアミン、H2NOSO3HまたはHON(SO3NA)と、酸または塩基の存在下で反応させることにより、オキシム16を調製する方法を図示する。酸、例えばHClの使用が好ましい。
【0076】
スキーム7は、スキーム1に説明される一般的な方法を用いる、2−{[N−(2−アセチル−5−クロロ−4−フルオロフェニル)グリシル(glycl)]アミノ}安息香酸の具体的な合成を示す。
【0077】
以下は、本発明の化合物の実施例である。これらの実施例は本発明の範囲全体を包含することを意図するものではなく、本発明の範囲の制限とみなされるべきではない。
【表1】

【表2】

【表3】

【0078】
生物学
本発明の化合物がC型肝炎ポリメラーゼを阻害する能力は、以下の試験手順により立証された。
【0079】
BK株に由来するNS5B(遺伝子型1b)を、大腸菌で21個のC末端アミノ酸が短いリンカーとヘキサヒスチジンタグ(GSHHHHHH;配列番号1)に置き換えられているタンパク質として発現させる。精製タンパク質を放射性ヌクレオチドと混合し、内在性の短いヘアピンにより刺激された、ヘテロポリマーRNA基質を複製させ、結果としておよそ760ntの産物を得た。放射性生成物を膜で捕獲し、組み込まれなかったヌクレオチドを除去した後に定量する。
試薬:
10mM ウリジン5’−トリホスファート(UTP)(Promega #p116B)
10mM アデニン5’−トリホスファート(ATP)(Promega #p113B)
10mM シチジン5’−トリホスファート(CTP)(Promega #p114B)
10mM グアニン5’−トリホスファート(GTP)(Promega #p115B)
ウシ血清アルブミン(BSA)10mg/ml NEB(10mg/mlにて100X)#007−BSA
RNasein(Promega #N251X)40U/μl
A−[33P]−GTP(NEN−easytides NEG/606H 3000 Ci/mmol、370MBq/ml、10mCi/ml)
Falconポリプロピレン96ウェルプレート(Becton Dickinson ♯351190)
Millipore社マルチスクリーンアッセイシステム−96ウェル−濾過プレート #MADE NOB 50
Optiphase Supermix(Wallac)Fisher処方
Microbeta1450−106カセットで用いるためのMillipore Multiscreenライナー[(Wallac)Perkin Elmer #1450−433]
1M (N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸])(HEPES)、pH7.3 Amersham Pharmacia Biotec社(US16924−500ml)
1M MgCl2(SIGMA #M1028)
ジチオトレイトール(DTT)(固体)(SIGMA #D9779)
RNaseフリー水(GIBCO−BRL #10977−023)
ジメチルスルホキシド(Aldrich #27685−5)
Basilen Blue(Sigma、B5520)
0.5M エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、pH8(GIBCO−BRL #15575−020)
第2リン酸ナトリウム(7水和物)(Na2HPO4.7H2O;Baker #3824−07)
リン酸(Baker、#0262.02)
【0080】
さらなる試薬調製:
−0.5M リン酸ナトリウムバッファー。1リットル当たり、134gmのNa2HPO4.7H2Oを秤量、900mlまで水を添加。pHをリン酸で7.0に調整。1Lになるまで水を添加。
−RNaseフリー水中にヌクレオチドを1:1000で希釈して10μMとする(GTPおよびCTP)。または1:100で希釈して100μMとする(ATPおよびUTP)。
【0081】
手順:
(1)15% ジメチルスルホキシド(DMSO)中10μg/mlの化合物10μl
【0082】
1% DMSO中100μg/mlの化合物ストックから出発する場合:
1ウェルあたり5μlの30% DMSOを分注する
1ウェルあたり5μlの化合物(100μg/ml)を分注する。
【0083】
15% DMSO中50μg/mlの化合物ストックから出発する場合:
1ウェルあたり10μlの化合物を添加する。
(2)酵素ミックス:
【表4】

【0084】
20μlの酵素ミックスをアッセイプレートの各ウェルに添加する。化合物および酵素を室温にて15分間インキュベートする。
(3)鋳型ミックス−事前に準備
【0085】
RNAの管(75% エタノールおよび0.3M 酢酸ナトリウム中に保存したもの5μg/管)を、微量遠心機中で20分間4℃にて遠沈する。1本の管は1〜1.5プレートに対して十分な量である。管を反転させることにより、管からできる限り多くのエタノールを除去する。ペレットRNAが管に付着しないように、穏やかに行う。RNAを真空乾燥する。1mlのDEPC水を添加してRNAを再懸濁し、管のキャップを固く締める。RNAを溶解するため、RNA溶液を氷上で約60分間インキュベートし、穏やかにボルテックスする。短時間回転させて、キャップを開ける前に確実に全てのRNA溶液が管の底に下りているようにする。RNA溶液を5mlまたはそれよりも大きな管に穏やかに移す。別の3mlのDEPC水を添加する(合計容積4ml)。
【0086】
以下の容積の試薬を添加する。
【表5】

【0087】
1回の反応あたり20μlの鋳型ミックスを添加する(すなわち、1回の反応あたり20ngのpOFまたは約3nM)
(4)反応物を室温(22〜25℃)にて2時間インキュベートする。
(5)50μlの170mM EDTAを添加することにより反応を停止させる。
EDTAの終濃度は85mMである。
(6)Millipore社マルチスクリーンアッセイプレートのフィルターを、200μlの0.5M リン酸ナトリウムバッファー、pH7.0を各ウェルに添加することにより予め湿らせる。室温にて2〜3分間そのままにしておく。
(7)マルチスクリーンフィルタープレートをMillipore Manifold上に置き、真空をオンにしてバッファーを貫流させる。真空をオフにする。80μlの反応生成物をフィルタープレートの各ウェルに移す。2〜3分間そのままにしておく。真空をオンにして反応生成物を濾過する。
(8)真空をオフにする。200μlの0.5M リン酸ナトリウムバッファー、pH7.0を各ウェルに添加してフィルターを洗浄する。真空をオンにする。
(8)の段階をさらに3回繰り返す。
(9)ポリプロピレン底を取り出す。ペーパータオルで底のフィルターをスポットドライさせる。フィルタープレートをベンチで1時間風乾する。40μlのSuper Mixシンチラントを添加する。プレートの上部をテープで密封する。プレートをPackardキャリヤーまたはmicrobetaキャリヤーに置く。
(10)Packard Topcountまたはmicro−betaカウンターを用いてプレートを計数する。Top countまたはmicrobetaの33Pプログラムで33Pについて(例えばProgram 10を用いて)計数する。
【0088】
阻害率は、バックグラウンドを差し引いた後、陽性対照(陰性対照を除くプレートの平均値)に対する活性の減少率として計算される。一次スクリーニングのヒットには75%以上の阻害を示すものが選択された。
【0089】
Ferrari et al. 1999. J. Virology 73: 1649-1654:「Characterization of soluble Hepatitis C virus RNA-dependent RNA polymerase expressed in E. coli およびTakamizawa et al 1991」 および J. Virology 65:1105−1113:「Structure and characterization of the Hepatitis C virus genome isolated from human carriers」を参照、両参照文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
本発明の化合物は、表IIに要約されるようにC型肝炎ポリメラーゼを阻害した。
【表6】

【表7】

【0091】
本発明の化合物が、ヒト肝細胞株に構成的に発現したC型肝炎ウイルスレプリコンを阻害する能力は、以下の試験手順により立証された。
【0092】
クローンA細胞(Apath,LLCよりライセンス認可)はHuh−7細胞(ヒト肝癌細胞株)から誘導され、HCVレプリコン(1b)ゲノムを同時増幅しながらHCV複製タンパク質を構成的に発現する。細胞をDMEM/10% FCS/1mg/ml G418(Gibco社製Geneticin #11811−023;その他の培地の成分は、以下の「elisa培地」で説明されている通りである)中で維持し、継代する。3〜4日毎に1:3または1:4の継代によって、細胞単層をサブコンフルエントの状態に維持するよう注意を払わなければならない。レプリコンは細胞の代謝/増殖状態に極めて敏感であり、コンフルエントな単層(静止細胞)ではレプリコンのコピー数が急速に減少する。理想的な条件下では、各細胞は平均して1000コピーのHCVレプリコンゲノムを有する。
【0093】
試薬:
Elisa培地:
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco #12430−047)
2%ウシ胎児血清(FCS)(HyClone #SH30070.03)
1X pen/strep(Gibco #15140−122)
1X 非必須アミノ酸(NEAA)(Gibco #11140−050)
G418なし
グルタルアルデヒド(Fisher #02957−4)
TWEEN−20、10%(Roche #1332465)
TRITON X−100(Sigma #T−8787)
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のSuperblock(Pierce #37515)
NS5aモノクローナル抗体(Virostat #1873)
ヤギ抗マウス−HRPモノクローナル抗体(BioRad #172−1011)
3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Sigma #T−0440)
【0094】
化合物の希釈/細胞のプレート装填:
薬剤プレート調製(母プレート)
10μlの化合物(DMSO中)を母プレートのカラム3に添加する。5μlのDMSOを残りのカラムに添加する。母プレートは、連続希釈を行う準備ができるまでおいておく。
【0095】
対照薬物
薬物および細胞の添加:
それぞれのプレートに対する方法は、以下を含む。
細胞プレート(娘プレート)を、52μlのElisa培地を各ウェルに加えることにより準備する。
母プレートにおいて、50μl/ウェルをカラム3からカラム12まで連続的に移す。
8μlを母プレートから娘プレートへ移す(全て96ウェル)。
細胞が準備されるまで娘プレートをインキュベーター中に置く。
クローンA細胞を回収し、娘プレートに0.7×105細胞/ml、100μl/ウェル直接でプレート装填する。
全てのプレートを37℃、5% CO2中で3日間インキュベートする。
【0096】
Elisaアッセイ:
培地を、シンクに振り出すことにより96ウェルプレートから除去する(細胞は約80%コンフルエントでなければならない)。
130μl/ウェルの1X PBS+0.05%のグルタルアルデヒドを添加する。
37℃にて1時間インキュベートする。
シンクに振り出すことにより除去する。
300μl/ウェルのPBSで3回洗浄し、各洗浄について5分間振盪する。シンクに振り出すことにより除去する。
130μl/ウェルのPBS+0.05%のTWEEN−20+0.1%のTRITON X−100を加える。
37℃にて10分間インキュベートする。
シンクに振り出すことにより除去する。
PBS中300μl/ウェルのSuperblockを加える。
37℃にて1時間インキュベートする。
シンクに振り出すことにより除去する。
300μl/ウェルのPBSで3回洗浄し、各洗浄について5分間振盪する。シンクに振り出すことにより除去する。
最後の洗浄の間に、NS5aモノクローナル抗体(Mab)をSuperblock+0.02%のTWEEN−20中に1:100希釈する。
最後の洗浄の後、50μl/ウェルの希釈Mabを添加する。
37℃にて1時間インキュベートする。
シンクに振り出すことにより除去する。
300μl/ウェルのPBS+0.02%のTWEEN−20で3回洗浄し、各洗浄について5分間振盪する。
シンクに振り出すことにより除去する。
最後の洗浄の間に、ヤギ抗マウス−HRP MabをSuperblock+0.02%のTWEEN−20中に1:500希釈する。
最後の洗浄の後、50μl/ウェルの希釈Mabを添加する。
37℃にて1時間インキュベートする。
シンクに振り出すことにより除去する。
300μl/ウェルのPBS+0.02%のTWEEN−20で5回洗浄し、各洗浄について5分間振盪する。シンクに振り出すことにより除去する。
300μl/ウェルのPBSで3回、各洗浄について5分間振盪して洗浄する。シンクに振り出すことにより除去する。
最後の洗浄の後、130μl/ウェルの室温のTMB基質を添加する。
青色が発色するまでインキュベートする。
130μl/ウェルの1N HClを添加して反応を停止させる(色は青色から黄色に変わる)。
プレートを光学濃度(O.D.)450のフィルターで読み取る。
結果の分析:IC50(μM);IC50(μg/ml);阻害%
対照化合物:インターフェロン−a2;4〜30U/mlのIC50

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
1は、−C(O)R6および
【化2】

からなる群より選択され、
6およびR7は独立に、H、C1−C12アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリール、またはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく;
Gは、Hまたはヒドロキシルから選択され;
Yは、O、NHまたはSであり;
Xは、H、ハロ、C1−C12アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C12パーフルオロアルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルチオ、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、C2−C12ジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され;かつ
nは、0、1、2、または3である)の化合物;
または、そのプロドラッグ、製薬上許容される塩、もしくは薬学的に活性な代謝物。
【請求項2】
6およびR7が独立に、H、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリールまたはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく;
Xが、H、ハロ、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C1−C6パーフルオロアルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、C2−C12ジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され;かつ
任意選択の置換基が、C1−C6アルキル、ハロゲン、C1−C6ハロアルキル、C1−C6ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、C1−C6アルキルアミノ、C2−C12ジアルキルアミノ、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、C2−C12アルコキシアルキル、C2−C12アルコキシアルコキシ、オキソ、C1−C6アルキルチオ、メルカプト、C1−C6ハロアルキルチオ、C6−C12アリール、C6−C12アリールオキシ、C6−C12アリールチオ、C2−C9ヘテロアリール、C2−C9ヘテロアリールオキシ、C2−C9ヘテロアリールチオ、C2−C7アシル、−CO2−C1−C6アルキル、−SO3H、−SO2NH2、−SO2NH−C1−C6アルキル、−SO2NH−(C1−C6アルキル)2、−CO2H、−CO2NH2、−CO2NH−C1−C6アルキル、および−CO2N−(C1−C6アルキル)2からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが、OまたはNHであり;かつ
Xが、H、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、およびC1−C4ハロアルキルからなる群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
nが0、1、または2であり、GがHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
6がC1−C4アルキルであり;
7が、存在する場合、C1−C4アルキルであり;かつ
YがNHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
nが2であり、Xがハロである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
6がCH3であり、存在する場合、R7がCH3である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
XがClおよびFから選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
一方のXがClであり、他方のXがFである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式(II)
【化3】

(式中、
1は、−C(O)R6および
【化4】

から選択され、R6およびR7は独立に、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリール、またはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく;
Xは、H、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、1〜4個の炭素原子のパーフルオロアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜4個の炭素原子のアルキルチオ、アミノ、1〜4個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜8個の炭素原子のジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され;かつ
Gは、Hまたはヒドロキシルから選択される)の化合物;
または、そのプロドラッグ、製薬上許容される塩、もしくは薬学的に活性な代謝物。
【請求項11】
6およびR7が、独立に、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、またはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよい、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
GがHである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
化合物が、
2−{[N−6−アセチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−({[N−[2−アセチル−4−クロロ−5−(メチルチオ)フェニル]グリシル}アミノ)安息香酸;
2−({[N−[2−アセチル−4−クロロ−5−(ジメチルアミノ)フェニル]グリシル}アミノ)安息香酸;
2−({[N−[2−アセチル−4−クロロ−5−(メチルアミノ)フェニル]グリシル}アミノ)安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−5−クロロ−4−(フルオロフェニル)−N−メチルグリシル]アミノ}安息香酸;および
2−({[N−[2−アセチル−4−クロロ−5−(メチルスルフィニル)フェニル]グリシル}アミノ)安息香酸
である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Xが、H、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキルおよびC1−C4アルコキシの群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
6およびR7がC1−C4アルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
化合物が、
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロ−5−エトキシフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロ−5−メトキシフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−フルオロ−5−メチルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(5−クロロ−4−メチル−2−プロピオニルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−[2−(4,5−ジメチル−2−プロピオニル−フェニルアミノ)−アセチルアミノ]−安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−5−クロロ−4−メチルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;および
2−{[N−(2−アセチル−4,5−ジメチルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸
である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Xが存在する場合、ハロである、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
nが、0、1、または2である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
化合物が、
2−{[N−(2−アセチル−4−ブロモ−5−クロロ(choloro)フェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(5−クロロ−4−フルオロ−2−プロピオニルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4,5−ジフルオロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロ−5−フルオロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4,5−ジクロロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−5−クロロ−4−フルオロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(4−クロロ−2−プロピオニルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロ−5−メチルフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;
2−{[N−(2−アセチル−4−クロロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸;および
2−{[N−(2−アセチル−4−ブロモフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸
である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
化合物が、2−{[N−(2−アセチル−5−クロロ−4−フルオロフェニル)グリシル]アミノ}安息香酸である、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
化合物が、2−(2−([5−クロロ−4−フルオロ−2−(1−メトキシイミノ−エチル)−フェニルアミノ]アセチルアミノ}安息香酸である、請求項15に記載の化合物。
【請求項22】
式(III)
【化5】

(式中、
1は、−C(O)R6および
【化6】

から選択され、R6およびR7は独立に、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキル、C1−C11ヘテロシクロアルキル、C2−C9ヘテロアリールまたはC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよく;
Xは、H、ハロ、1〜4個の炭素原子のアルキル、3〜6個の炭素原子のシクロアルキル、1〜4個の炭素原子のCパーフルオロアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、2〜12個の炭素原子のジアルキルアミノ、およびCNからなる群より選択され;かつ
Gは、Hまたはヒドロキシルから選択される)の化合物;
または、そのプロドラッグ、製薬上許容される塩、もしくは薬学的に活性な代謝物。
【請求項23】
6およびR7が独立に、C1−C6アルキル、C3−C12シクロアルキルおよびC6−C12アリールから選択され、そのいずれも場合により置換されていてもよい、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
GがHである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
化合物が、2−{[(2−アセチル−5−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
Xが、H、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群より選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
6およびR7がC1−C4アルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
化合物が、
2−{[(2−アセチル−5−エチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(4,5−ジメチル−2−ペンタノイフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−ブチリル−4,5−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(4,5−ジメチル−2−プロピオニフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−({[4,5−ジメチル−2−(トリフルオロアセチル)フェノキシ]アセチル}アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4,5−ジメトキシフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−エチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−メトキシフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−ベンゾイル4−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4,5−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ}−5−ヒドロキシ安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4,5−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;および
2−{[(2−イソブチリル−4,5−ジメチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
nが、1、2、または3であり、少なくとも1つのXが、ハロである、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】
nが、1または2である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
化合物が、
2−{[(2−アセチル−4−クロロ−5−フルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−クロロ−4−フルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−フルオロ−5−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4,5−ジフルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(4−クロロ−2−プロピオニルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−クロロ−5−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−フルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−5−クロロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;
2−{[(2−アセチル−4−フルオロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸;および
2−{[(2−アセチル−4−クロロフェノキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
C型肝炎ウイルスを、有効量の請求項1、10または22のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物と接触させる段階を含む、C型肝炎ウイルスの複製を阻害する方法。
【請求項33】
C型肝炎ウイルスを、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、免疫調節薬、肝保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、および抗感染症化合物からなる群より選択される少なくとも1種類の生理活性物質と接触させる段階をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
哺乳類に、有効量の請求項1、10または22のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を供給する段階を含む、哺乳類においてC型肝炎ウイルス感染を治療または予防する方法。
【請求項35】
哺乳類に、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、免疫調節薬、肝保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、および抗感染症化合物からなる群より選択される少なくとも1種類の生理活性物質を供給する段階をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
細胞を有効量の請求項1に記載の化合物と接触させてNS5B機能を低下または阻止する段階を含む、C型肝炎のRNA依存性RNAポリメラーゼNS5Bを阻害する方法。
【請求項37】
請求項1、10または22のいずれか一項に記載の化合物、および製薬上許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項38】
哺乳類に、有効量の少なくとも1種類の請求項37に記載の医薬組成物を供給する段階を含む、哺乳類においてC型肝炎ウイルス感染を治療または予防する方法。
【請求項39】
哺乳類に、有効量の、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、免疫調節薬、肝保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、および抗感染症化合物からなる群より選択される少なくとも1種類の生理活性物質を供給する段階をさらに含む、請求項38に記載の方法。

【公表番号】特表2009−519240(P2009−519240A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543479(P2008−543479)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/045950
【国際公開番号】WO2008/051244
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】