説明

CB2受容体を選択的に調節するテトラゾール化合物

式(I)の化合物が開示される。本発明による化合物は、CB2受容体に結合し、CB2受容体のアゴニスト、アンタゴニストまたはインバースアゴニストであり、炎症の治療に有用である。アゴニストであるこれらの化合物は、疼痛の治療のためにさらに有用である。
【化1】


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願データ
本出願は、2010年3月5日に出願された米国特許仮出願第61/310,743号の優先権を主張する。
本発明は、CB2受容体を調節する新規な化合物、および医薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2008014199、WO2008039645は、CB2受容体、およびそこに開示されているCB2受容体アゴニスト化合物の治療用途について論じている。アゴニストによるCB2受容体の非常に選択的な活性化は、デュアルCB1/CB2カンナビノイド受容体アゴニストで見出される有害作用を回避する一方、有益な効果を用いる手段を提供し得ると考えられる(例えば、Expert Opinion on Investigational Drugs(2005)、14(6)、695〜703を参照されたい)。したがって、最小限に抑えたCB1活性を有するCB2のアゴニストを提供することが望ましい。
WO2008014199、WO2008039645およびWO2009061652は、CB2アゴニスト活性を有するスルホン誘導体を開示している。本発明の化合物、例えば、本明細書において下記で開示する本発明の式(I)のテトラゾールは、上記の開示された化合物と構造的に異なる。さらに、本発明の化合物は、本明細書に記載のような、引用された技術分野において開示されている化合物よりも改善された医薬品特性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、CB2受容体に結合しそれを調節し、より低いCB1受容体活性を有し、さらにHLM安定性、溶解性およびエイムスについての望ましい特性を有する新規な化合物を提供する。本発明はまた、治療量の本発明の化合物を投与することによって炎症を治療するための方法および医薬組成物を提供する。最後に、本発明は、治療量の本発明の化合物を投与することによって疼痛を治療するための方法、および医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
最も広範な一般的実施形態1において、本発明は、式の化合物
【化1】

(I)
(式中、
1は、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3〜10員の飽和複素環またはアリールであり、各々は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C1-4アルキルスルホニル、アシル、オキソ、シアノ、フェニル、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基で独立に置換されていてもよく、
2およびR3は、C1-4アルキルまたは水素であり、ただしR2およびR3の両方は、水素でなくてもよく、またはR2およびR3は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6員のシクロアルキルまたは複素環を形成し、
4は、水素またはメチルであり、
5は、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3〜10員の飽和複素環、5〜6員のヘテロアリール環およびアリールから選択され、各々は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C1-4アルキルスルホニル、アシル、オキソ、シアノ、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基で独立に置換されていてもよく、
nは、0、1または2であり、
式(I)上のいずれかの炭素原子、または上記に列挙したいずれかのR置換基が、可能であれば部分的にまたは完全にハロゲン化されていてもよい)、
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0005】
別の実施形態2において、本発明は、前述の実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
1は、C1-5アルキル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピペリジニル;ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、およびジヒドロ−2H−キノリニルであり、各々は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびヒドロキシルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
2およびR3は、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、または水素であり、ただしR2およびR3の両方は、水素でなくてもよく、またはR2およびR3は、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチル環を形成し、
4は、水素であり、
5は、C1-5アルキルである。
別の実施形態3において、本発明は、前述の実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
2およびR3は、メチルである。
【0006】
別の実施形態4において、本発明は、前述の実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
1は、C1-4アルキル、フェニル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルまたはジオキサニルであり、各々は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびヒドロキシルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
5は、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはt−ブチルである。
別の実施形態5において、本発明は、前述の実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
5は、t−ブチルである。
別の実施形態6において、本発明は、前述の実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
組合せR1(CH2n−は、
【0007】
【化2】

である。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、一般スキーム、例および当技術分野において公知の方法を考慮して作製することができる表Iにおける作製された化合物
【0009】
【表1】



または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0010】
上記の化合物のうち、下記は、好ましいCB2アゴニストである。
【0011】
【表2】



【0012】
本出願において上記で開示した全ての化合物において、命名法が構造と矛盾する場合、化合物は構造によって定義されると理解されるものとする。
本発明はまた、通常の賦形剤および/または担体と合わせてもよい、活性物質として1種または複数の式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその誘導体を含有する医薬調製物に関する。
本発明の化合物にはまた、それらの同位体標識された形態が含まれる。本発明の組合せの活性剤の同位体標識された形態は、前記活性剤と同一であるが、前記活性剤の1個または複数の原子が、自然に通常見出される前記原子の原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子(複数可)によって置き換えられているという事実がある。商業的に容易に利用可能であり、確立した手順に従って本発明の組合せの活性剤中に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば、各々、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clが含まれる。本発明の組合せの活性剤、そのプロドラッグ、またはこれらのいずれかの薬学的に許容される塩は、上記の同位体の1つまたは複数を含有し、かつ/あるいは他の原子の他の同位体は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0013】
本発明には、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして出現し得る、1個または複数の不斉炭素原子を含有する上記の任意の化合物の使用が含まれる。異性体は、エナンチオマーおよびジアステレオマーであると定義されるものとする。これらの化合物の全てのこのような異性体形態は、本発明に明らかに含まれる。各不斉炭素は、R配置またはS配置、または立体配置の組合せでよい。
式(I)の化合物のいくつかは、複数の互変異性型で存在することができる。本発明には、全てのこのような互変異性体を使用する方法が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
全ての用語は本明細書において使用する場合、特に明記しない限り、当技術分野において公知のそれらの通常の意味で理解されるものとする。例えば、「C1-4アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの、末端酸素を有するC1-4アルキルである。全てのアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、構造的に可能でありかつ他に特定しない限り、分岐状または枝分かれしていないと理解されるものとする。他のより特定の定義は下記の通りである。
炭素環には、3〜12個の炭素原子を含有する炭化水素環が含まれる。これらの炭素環は、芳香環または非芳香環系でよい。非芳香環系は、一不飽和または多価不飽和でよい。好ましい炭素環には、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニルおよびベンゾシクロヘプテニルが含まれる。シクロアルキルについての特定の用語(シクロブタニルおよびシクロブチルなど)は、互換的に使用されるものとする。
「複素環」という用語は、飽和または不飽和でよい、安定的な非芳香族3〜10員(しかし、好ましくは、5員または6員)の単環式、または非芳香族8〜11員の二環式複素環基を意味する。各複素環は、炭素原子、ならびに窒素、酸素および硫黄から選択される1個または複数、好ましくは1〜4個のヘテロ原子からなる。複素環は、環の任意の原子によって結合されていてもよく、これによって安定的な構造がもたらされる。
「ヘテロアリール」という用語は、N,OおよびSなどの1〜4個のヘテロ原子を含有する芳香族5〜10員の単環式または二環式環を意味することが理解されるものとする。
【0015】
特に明記しない限り、複素環およびヘテロアリールには、これらに限定されないが、例えば、アゼチジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、チエニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、プリニル、キノリニル、ジヒドロ−2H−キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、チエノ[2,3−d]ピリミジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニルおよびベンゾジオキソリルが含まれる。
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書において使用する場合、O、N、SおよびPなどの炭素以外の原子を意味すると理解されるものとする。
【0016】
1個または複数の炭素原子をヘテロ原子であるO、SまたはNによって置き換えることができる全てのアルキル基または炭素鎖において、Nが置換されていない場合、これはNHであると理解され、またヘテロ原子を、末端炭素原子、または分岐状もしくは枝分かれしていない炭素鎖内の内部炭素原子と置き換えてもよいと理解されるものとする。このような基は、本明細書において上記で記載されているように、オキソなどの基で置換され、これらに限定されないがアルコキシカルボニル、アシル、アミドおよびチオキソなどの定義をもたらすことができる。
「アリール」という用語は、本明細書において使用する場合、本明細書に定義されている芳香族炭素環またはヘテロアリールを意味すると理解されるものとする。各アリールまたはヘテロアリールには、他に特定しない限り、その部分的または完全に水素化された誘導体が含まれる。例えば、キノリニルには、デカヒドロキノリニルおよびテトラヒドロキノリニルが含まれてもよく、ナフチルには、テトラヒドロナフチルなどのその水素化誘導体が含まれてもよい。本明細書に記載されているアリールおよびヘテロアリール化合物の他の部分的または完全に水素化された誘導体は、当業者には明らかであろう。
本明細書において使用する場合、「窒素」および「硫黄」には、窒素および硫黄の任意の酸化された形態、ならびに任意の塩基性窒素の四級化された形態が含まれる。例えば、−S−C1-6アルキル基について、他に特定しない限り、これには、−S(O)−C1-6アルキルおよび−S(O)2−C1-6アルキルが含まれると理解されるものとする。
「ハロゲン」という用語は、本明細書に使用されるように、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素、好ましくはフッ素を意味すると理解すべきである。「部分的または完全にハロゲン化された」、部分的または完全にフッ素化された、「1個または複数のハロゲン原子で置換されている」という定義には、例えば、1個または複数の炭素原子上のモノ、ジまたはトリハロ誘導体が含まれる。アルキルについて、非限定的例は、−CH2CHF2、−CF3などである。
【0017】
本発明の化合物は、当業者であれば認識するであろうが、「化学的に安定的」であると意図されるもののみである。例えば、「ダングリング原子価」、または「カルボアニオン」を有する化合物は、本明細書において開示されている本発明の方法によって意図される化合物ではない。
【0018】
本発明には、式(I)の化合物の薬学的に許容される誘導体が含まれる。「薬学的に許容される誘導体」とは、任意の薬学的に許容される塩もしくはエステル、または患者への投与によって、本発明に有用な化合物を(直接もしくは間接に)提供することができる任意の他の化合物、またはその薬理学的活性代謝物もしくは薬理学的活性残基を意味する。薬理学的活性代謝物は、酵素的または化学的に代謝されることができる任意の本発明の化合物を意味することを理解すべきである。これには、例えば、式(I)のヒドロキシル化または酸化誘導体化合物が含まれる。
薬学的に許容される塩には、薬学的に許容される無機酸および有機酸および塩基に由来するものが含まれる。適切な酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−硫酸およびベンゼンスルホン酸が含まれる。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は薬学的に許容されるものではないが、化合物およびこれらの薬学的に許容される酸付加塩を得ることにおいて中間体として有用な塩の調製において用いてもよい。適当な塩基に由来する塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1−C4アルキル)4+塩が含まれる。
さらに、本発明の範囲内であるのは、式(I)の化合物のプロドラッグの使用である。プロドラッグには、単純な化学的転換によって、修飾されて本発明の化合物を生成するこれらの化合物が含まれる。単純な化学的転換には、加水分解、酸化および還元が含まれる。具体的には、プロドラッグが患者に投与されるとき、プロドラッグは、本明細書の上記で開示されている化合物に転換され、それによって所望の薬理効果を与え得る。
式Iの化合物は、また本発明の部分を構成する下記に記載する一般合成法を使用して作製し得る。
【0019】
一般合成法
本発明はまた、式(I)の化合物を作製する方法を提供する。全ての方法において、他に特定しない限り、下記の式中のR1、R2、R3、R4、R5およびnは、本明細書の上記に記載する本発明の式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5およびnの意味を有するものとする。最適の反応条件および反応時間は、使用する特定の反応によって変化し得る。他に特定しない限り、溶媒、温度、圧力、および他の反応条件を、当業者は容易に選択し得る。特定の手順は、合成例の節で提供する。典型的には、反応進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターしてもよく、必要に応じて、中間体および生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーおよび/または再結晶によって精製し得る。
下記の例は例示的であり、当業者が認識するように、特定の試薬または条件は、個々の化合物のために必要に応じ過度の実験なしに変更することができる。下記の方法において使用される出発物質および中間体は、市販であるか、または当業者によって市販の材料から容易に調製される。WO2008098025、WO2008014199、WO2008039645、およびWO2009061652に開示されている合成法はまた、本発明の化合物の調製において使用し得る。
式(I)の化合物は、スキーム1に例示される方法によって合成し得る。
【0020】
【化3】

スキーム1
【0021】
スキーム1に示すように、式IIまたはIIAの酸と試薬(塩化チオニルまたは塩化オキサリルなど)とを反応させることによって、酸塩化物が得られ、これは次いで適切な溶媒中で適切な塩基の存在下で式IIIのアミンと反応し、式(I)またはIAの化合物が得られる。代わりに、式IIまたはIIAの酸はまた、標準的カップリング条件下で式IIIのアミンとカップリングし、式(I)またはIAの化合物を提供し得る。当技術分野において公知の標準的ペプチドカップリング反応(例えば、M. Bodanszky、1984、The Practice of Peptide Synthesis、Springer−Verlagを参照されたい)をこれらの合成において用いてもよい。適切なカップリング条件の一例は、適切な溶媒(EDC、HOBTを有するDMFなど)、および塩基(ジイソプロピルエチルアミンなど)中のカルボン酸の溶液、続いて所望のアミンの処理である。
【0022】
適切な溶媒中での酸化剤(オキソンなど)による式IAの化合物の酸化によって、式(I)の化合物が得られる。
当技術分野において公知であり、下記の例に例示されている方法による、式(I)の最初の生成物のさらなる修飾を行って、本発明のさらなる化合物を調製し得る。
中間体酸IIは、スキーム2に概要を述べた方法によって作製し得る。
【0023】
【化4】

スキーム2
【0024】
上記に例示するように、適切な溶媒中適切な塩基の存在下で、式IVのチオールと式Vのブロモエチルエステルとの反応によって、式VIのチオエーテルが得られる。式VIのチオエーテルと適切な酸化剤との反応によって、式VIIの相当するスルホンが得られる。適切な溶媒中適切な塩基(水酸化リチウムなど)の存在下で、式VIIのスルホンのエステル基の加水分解によって、式IIの相当する酸が得られる。
中間体酸IIはまた、スキーム3に概要を述べた方法によって作製し得る。
【0025】
【化5】

スキーム3
適切な溶媒中での式Vの出発ブロモエステルと試薬(チオ酢酸カリウムなど)との反応によって、式VIIIのチオ酢酸エステルが得られる。適切な溶媒中適切な塩基の存在下でのチオ酢酸エステルVIIIと式IXのブロミドとの反応によって、式VIの相当するスルファニル酸エチルエステルが得られる。適切な溶媒中適切な塩基の存在下でのVIIIのチオ酢酸エステルと式Xのトシレートとの反応によって、式VIのスルファニル酸エチルエステルが得られる。式VIのスルファニル酸エチルエステルは、スキーム2に示される一連のステップによって式IIの中間体酸に変換し得る。式VIのスルファニル酸エチルエステルは、スキーム1において標準条件下で加水分解されて、式IIAの酸を得ることができる。
中間体酸IIは、スキーム4に概要を述べた方法によって作製し得る。
【0026】
【化6】

スキーム4
スキーム4に例示するように、適切な溶媒中適切な塩基の存在下で式XIのアルコールとp−トルエンスルホニルクロリドとの反応によって、式Xのスルホン酸エステルが得られる。適切な溶媒中での式Xの化合物とチオ酢酸カリウムとの反応によって、式XIIの化合物が得られる。適切な溶媒中適切な塩基の存在下での式XIIの中間体と式Vのブロモエステルとの反応によって、式VIの中間体が得られ、これはスキーム2に示される反応順序によって式IIの所望の中間体酸に変換し得る。例の節に記載されているように、p−トルエンスルホニルクロリドの代わりに塩化メタンスルホニルをまた、第1のステップにおいて使用し得る。
中間体酸IIは、スキーム5に概要を述べた方法によって作製し得る。
【0027】
【化7】

スキーム5
スキーム5に例示するように、適切な溶媒中での式IXのブロモ化合物と試薬(チオ酢酸カリウムなど)との反応によって、式XIIのアセチルスルファニル化合物が得られる。適切な溶媒中適切な塩基の存在下での式XIIの化合物と式Vのブロモエチルエステルとの反応によって、式VIのチオエーテルが得られる。式VIのチオエーテルは、スキーム2に示される反応順序によって式IIの相当する酸に変換し得る。
中間体アミンIIIは、スキーム6に概要を述べた方法によって作製し得る。
【0028】
【化8】

スキーム6
スキーム6において上記で示すように、適切な溶媒中適切な試薬(ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび塩化第二銅など)の存在下での式XIIIのアミンと式XIVのアルコールとの反応によって、式IIIのアミン(R4=Hである)が得られる。
合成例
本発明の化合物を作製することができる態様は、下記の例によってさらに理解される。
酸による方法A:
化合物A7の合成
【0029】
【化9】

ステップ1:化合物A2の合成
化合物A1(75g(0.75mol))のTHF(150mL)溶液に、氷浴を用いて温度を30℃未満に維持しながら、LiAlH4(28.4g(0.75mol))のTHF(600mL)懸濁液を窒素雰囲気下にて加える。次いで、反応物を室温に温め、5時間撹拌する。泡立ちが止むまで飽和NH4Cl水溶液を加えることによって反応物をクエンチする。このように得られた沈殿物を、Celite(登録商標)を通す濾過によって除去し、THF(150mL)で洗浄する。濾液を減圧下で濃縮し、71.1gの化合物A2を淡黄色の油として得る。収率:92%、1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.54 (2H, m, J=13.37, 9.55, 9.55, 4.22Hz), 1.81-1.92 (2H, m), 2.11 (1H, br. s.), 3.38-3.47 (2H, m), 3.83 (1H, tt, J=9.10, 4.38Hz), 3.94 (2H, dt, J=11.88, 4.15Hz)
【0030】
ステップ2:化合物A3の合成
化合物A2(133g(1.31mol))のピリジン(1.5L)溶液に、373g(1.95mol)のp−トルエンスルホニルクロリドを少しずつ10℃で加える。完全な添加の後、反応物を室温に温め、18時間撹拌する。反応物をHCl水溶液/氷の撹拌した混合物上に注ぐ。このように得られた沈殿物を濾過によって単離し、DCM(1L)に溶解する。有機層を1MのHCl水溶液(1L)、続いて飽和NaHCO3水溶液(1L)で洗浄し、次いでNa2SO4上で乾燥させる。濾過および減圧下での濾液の濃縮によって、300gの化合物A3をオレンジ色の油として得る。収率:90%、ES−MS:m/z:257[M+H]、279[M+Na]
この手順によって、下記の化合物を合成する。
【0031】
【表3】

*[α]25578 -12.36 (3, CCl4) (lit. [α]25578 -10.9 (2-4, CCl4),Allenら、J. Org. Chem、2003、48、4527〜4530)
【0032】
ステップ3:化合物A4の合成
化合物A3(300g(1.175mol))のDMF(3L)溶液に、268g(2.35mol)のチオ酢酸カリウム、続いて触媒量のNaI(0.12g、10mol%)を室温で加える。完全な添加の後、反応物を50℃に20時間加熱する。反応混合物をTBME(3L)および水(3L)に分配し、水層をTBME(2L)で抽出し、次いでNaClで飽和させ、TBME(2×2L)で再び抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、153gの化合物A4を得る。収率:81%;ES−MS:m/z161[M+H]。
この手順によって、下記の化合物を合成する。
【0033】
【表4】

【0034】
ステップ4:化合物A5の合成
化合物A4(153g(0.96mol))のエタノール(3.5L)溶液を、0.5時間に亘り窒素で脱気し、125g(2.23mol)のKOHを加える。次いで、エチルα−ブロモイソブチレート(250mL(1.68mol))のEtOH(1L)溶液を、0.5時間に亘り加え、その間温度は40℃に上昇する。反応物を、室温で窒素雰囲気下にて18時間撹拌する。反応混合物を濾過し、固体をエタノール(0.5L)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮する。粗材料をシリカ上に乾燥充填し、乾燥フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:n−ヘプタン、2〜10%酢酸エチル)によって精製し、158gの化合物A5を橙褐色の油として得る。収率:71%;ES−MS:m/z233[M+H]
この手順によって、下記の化合物を合成する。
【0035】
【表5】

【0036】
ステップ5:化合物A6の合成
化合物A5(158g(0.68mol))のジオキサン/水(4/1、1.6L)溶液に、835g(1.35mol)のoxone(登録商標)を50分に亘り数回で加える。反応混合物を室温で18時間撹拌する。固体を濾過によって除去し、ジオキサン(1L)で洗浄する。合わせた濾液を減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチル(1.5L)に溶解し、水(1L)で洗浄する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、166gの化合物A6を黄色の油として得る。収率:92%、ES−MS:m/z265[M+H]、287[M+Na]。
この手順によって、下記の化合物を合成する。
【0037】
【表6】

【0038】
ステップ6:化合物A7の合成
化合物A6(166g(0.63mol))のTHF/水(4/1、1.66L)溶液に、50.5g(1.26mol)のNaOHペレットを20分に亘り数回で加える。反応物を室温で2.5日間撹拌する。有機溶媒を減圧下で除去し、水性残渣を水(2L)で希釈し、DCM(2L)で洗浄する。水層を濃HClでpH1〜2に酸性化し、次いでDCM(3×2L)で抽出する。酸性水をNaClでさらに飽和させ、DCM(6×2L)で再び抽出する。合わせた有機抽出物を減圧下で濃縮し、123gの化合物A7を白色の固体として得る。収率:83%、ES−MS:m/z235[M−H]
この手順によって、下記の化合物を合成する。
【0039】
【表7】

*水酸化リチウム一水和物を、NaOHペレットの代わりに使用する。
代わりの酸による方法A:
化合物A7の合成
【0040】
【化10】

ステップ1:化合物A3aの合成
10kgの化合物A2を50Lのトルエンおよび10.4kgのトリエチルアミンの混合物に溶解する。100mlのトルエン中の11.55kgのメタンスルホニルクロリドを加え、その間冷却することによって内部温度を20℃未満に維持し、添加漏斗を50mlのトルエンですすぐ。撹拌を1時間続ける。沈殿物を濾過し、濾過ケークを各々20Lのトルエンで2回洗浄する。濾液を真空蒸発によって濃縮し(60Lを蒸留して取り除いた)、種結晶および50Lのメチルシクロヘキサンを加える。懸濁液を2℃に冷却する。1時間後、生成物を濾過によって単離し、30Lのメチルシクロヘキサンで洗浄し、30℃で乾燥させる。16.6kgの化合物A3aを白色の固体として得る。収率:94%;1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.62-1.73 (2H, m), 1.92-2.00 (2H, m), 3.19 (3H, s), 3.42-3.49 (2H, m), 3.77-3.83 (2H, m), 4.80-4.88 (1H, m).
【0041】
ステップ2:化合物A7の合成
30gの化合物A3aを270mlの脱気エタノールに溶解する。19.96gのチオ酢酸カリウムを加え、反応混合物を77℃で12〜18時間撹拌する。20℃に冷却すると、沈殿物を濾過し、90mlの脱気エタノールで2回すすぐ。6.66gの水酸化ナトリウム溶液(50%)を濾液に加え、添加漏斗を15mlの水ですすぐ。反応混合物を25℃で1時間撹拌する。32.47gの2−ブロモ−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルエチルを混合物に加え、添加漏斗を30mlのエタノールですすぐ。撹拌を25℃で1時間続ける。その後、450mlの溶媒を真空蒸発によって除去する。240mlのトルエンを加え、120mlの溶媒を蒸留する。90mlの水を加え、相を分離する。有機層に、引き続いて90mlの水、2.75gのタングステン酸ナトリウム二水和物および2.83gの硫酸水素テトラブチルアンモニウムを加える。反応混合物を85℃に加熱し、1時間の期間に亘り80.88gの過酸化水素溶液(35%)を加える。添加漏斗を30mlの水ですすぐ。撹拌を85℃で1時間続ける。反応混合物を濾過し、相を分離する。有機相を、続いて114mlの水に溶解した12.66gのメタ重亜硫酸ナトリウムで、および再び126mlの水で洗浄する。19.98gの水酸化ナトリウム溶液(50%)を有機層に加え、添加漏斗を45mlの水ですすぐ。反応混合物を50℃に1時間温める。相を分離する。水相を5℃に冷却し、27.07gのHCl(37%)で酸性化する。5℃での撹拌を1時間続ける。沈殿物を濾過し、37.5mlの水ですすぎ、50℃で乾燥させる。14.03gの化合物A7を、白色の固体として得る。収率:35%。ES−MS:m/z237[M+H];1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.53 (6H, s), 1.62-1.75 (2H, m), 1.85-1.92 (2H, m), 3.39 (2H, dt, 3JH,H = 2.1Hz, 3JH,H = 11.7Hz), 3.88-3.98 (3H, m), 13.63 (1H. s).
【0042】
酸による方法B:
化合物B6の合成
【0043】
【化11】

ステップ1:化合物B2の合成
LiAlH4(250mL)(THF中の2.3M溶液、0.575mol)のTHF(200mL)溶液に、化合物B1(130mL(0.974mol))のTHF(900mL)溶液を窒素雰囲気下にて滴下で添加する(注意:非常な発熱反応!)。温度を氷浴で40〜45℃に維持する。添加が完了すると、反応物を室温で1.5時間撹拌する。反応物を氷浴中で冷却し、水(22mL)、15%NaOH水溶液(21mL)および水(66mL)を加えることによってクエンチする。このように得られた沈殿物を、Celite(登録商標)を通す濾過によって除去し、THF(300mL)ですすぐ。濾液を減圧下で濃縮し、102.5gの化合物B2を透明な油として得る。収率:91%;1H-NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.20-1.39 (2H, m), 1.56-1.83 (3H, m), 2.03 (1H, br. s.), 3.29-3.52 (4H, m), 3.89-4.05 (2H, m)
【0044】
ステップ2:化合物B3の合成
下記の参照文献を適応することによって記載した通りに調製する。
Radziszewski,J.G.ら、J.Am.Chem.Soc.1993、115、8401。
化合物B2(97g(810mmol))の2−メチルテトラヒドロフラン(190mL)溶液に、165mLの50%NaOH水溶液を加える。この撹拌した懸濁液に、p−トルエン−スルホニルクロリド(283g、1.46mol)の2−メチルテトラヒドロフラン(280mL)溶液を冷却しながら滴下で添加する。反応物を30〜35℃で18時間撹拌する。懸濁液を、氷−水(280mL)およびHCl水溶液(37%、203mL)の混合物に注ぐ。メチルシクロヘキサン(1.4L)およびさらなる氷−水(0.2L)を加えた後、反応混合物を氷浴中で2時間撹拌する。このように得られた結晶性沈殿物を濾過によって単離し、メチルシクロヘキサン(0.5L)および水(0.5L)で洗浄する。40℃にて減圧下での乾燥によって、216gの化合物B3を白色の結晶性固体として得る。収率:99%、ES−MS:m/z271[M+H];1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.19-1.35 (2H, m), 1.54-1.63 (2H, m), 1.85-2.02 (1H, m), 2.45 (3H, s), 3.28-3.39 (2H, m), 3.86 (2H, d, J=6.60Hz), 3.93 (2H, dd, J=11.37, 4.52Hz), 7.35 (2H, d, J=9.29Hz), 7.78 (2H, d, J=8.31Hz)
【0045】
ステップ3:化合物B4の合成
下記の参照文献を適応することによって記載した通りに調製する。
Watson, R.J.ら、Tetrahedron Lett. 2002、43、683〜685。
化合物B3(224g(0.83mol))のメチルイソブチルケトン(1.6L)溶液に、189g(1.66mol)のチオ酢酸カリウムを加える。ベージュ色の懸濁液を70℃で4.5時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、水(1.8L)を加える。有機層を10%K2CO3水溶液(1.8L)および水(1L)で洗浄する。有機層をcelite(登録商標)(20g)、活性炭(20g)およびNa2SO4(20g)を通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。残留した油をメチルシクロヘキサン(200mL)およびn−ヘプタン(250mL)と共に共沸させ、138gの化合物B4を黄色がかっているオレンジ色の油(注意:悪臭!)として得る。収率:96%;ES−MS:m/z175[M+H];1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.23-1.40 (2H, m), 1.59-1.78 (3H, m), 2.33 (3H, d, J=4.16Hz), 2.82 (2H, dd, J=6.24, 3.79Hz), 3.27-3.39 (2H, m), 3.88-4.02 (2H, m)
【0046】
ステップ4:化合物B5の合成
化合物B4(90g(516mmol))のトルエン(500mL)溶液を、窒素雰囲気下にて氷浴中で冷却する。ナトリウムエトキシドのエタノール(21%、231mL)溶液を加え、反応物を50分間撹拌する。次いで、76mL(516mmol)のエチルα−ブロモイソブチレートを加え、反応物を1時間撹拌する。反応混合物に、氷酢酸(8.9mL)および水(500mL)を加える。有機層を分離し、水(500mL)で洗浄する。三つ口丸底フラスコに水(500mL)、oxone(登録商標)(477g、775mmol)および硫酸水素テトラブチルアンモニウム(5g、15mmol)を充填し、有機層を加える。二相性反応混合物を室温で2日間撹拌する。固体を濾過によって除去し、濾液の層を分離する。有機層を水(2×500mL)で洗浄する。溶媒を減圧下で除去し、トルエンと共にさらに共沸させ、125gの化合物B5を得る。収率:87%;ES−MS:m/z279[M+H];1H NMR (250MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.32 (3H, t, J=7.16Hz), 1.39-1.59 (2H, m), 1.64 (6H, s), 1.81-1.97 (2H, m), 2.29-2.53 (1H, m), 3.15 (2H, d, J=6.55Hz), 3.45 (2H, dd, J=1.83, 0.30Hz), 3.88-4.03 (2H, m), 4.26 (2H, d, J=7.16Hz)
【0047】
ステップ5:化合物B6の合成
化合物B5(123g(0.44mol))のTHF(450mL)溶液に、2Mの水酸化ナトリウム水溶液(1.33mol)(663mL)を加える。反応物を室温で1時間撹拌する。反応混合物に、TBME(1.25L)を加え、層を分離する。水層を氷浴中で冷却し、次いで37%HCl水溶液(123mL)で酸性化する。このように得られた沈殿物を濾過によって単離し、水(200mL)で洗浄し、減圧下で50℃にて乾燥させ、101gの化合物B6を白色の結晶性固体として得る。収率:91%;ES−MS:m/z251[M+H];1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.31-1.45 (2H, m), 1.49 (6H, s), 1.70-1.79 (2H, m), 2.13-2.28 (1H, m), 3.24 (2H, d, J=6.60Hz), 3.28-3.38 (2H, m), 3.76-3.85 (2H, m), 13.65 (1H, br. s.)
酸による方法C:
化合物C5の合成
【0048】
【化12】

ステップ1:化合物C2の合成
化合物C1(62g、0.32mol)のDMF(500mL)溶液に、室温でチオ酢酸カリウム(72g、0.63mol)を加える。反応物を16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。残渣を2Mの塩酸水溶液(500mL)で希釈し、酢酸エチル(3×500mL)で抽出する。有機画分を合わせ、ブライン(300mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。ヘプタン/ジクロロメタンで溶出するシリカ上のクロマトグラフィーによる精製によって、44gの化合物C2を得る。収率:73%;m/z191[M+H];1H NMR (250MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.18-1.30 (3H, m), 1.57 (6H, s), 2.27 (3H, s), 4.19 (2H, q, J=7.16Hz)
【0049】
ステップ2:化合物C3の合成
化合物C2(149g(0.785mol))のエタノール(1.2L、窒素下で1時間脱気)溶液に、169.7g(0.105mol)のナトリウムメトキシド、続いて150g(0.785mol)の4−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−ブタンの溶液を加える。反応物を85℃に3日間加熱する。溶媒を減圧下で除去する。残渣をDCM(1L)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(2×1L)で洗浄する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、171gの化合物C3を茶色の油として得る。収率:84%;ES−MS:m/z259[M+H];1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.29 (3H, t, J=7.17Hz), 1.51 (6H, s), 1.76-1.86 (2H, m), 2.12-2.27 (2H, m), 2.69 (2H, t, J=7.17Hz), 4.18 (2H, q, J=7.17Hz)
【0050】
ステップ3:化合物C4の合成
化合物C3(220g(0.852mol))のジオキサン/水(1/1、4L)溶液に、1047g(1.703mol)のOxone(登録商標)を0.5時間に亘り室温にて数回で加える。反応混合物を室温で18時間撹拌する。固体を濾過によって除去し、ジオキサン(0.5L)ですすぐ。濾液を減圧下で濃縮し、有機溶媒を除去する。水性残渣をDCM(2×1L)で抽出する。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液(2L)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、226gの化合物C4を暗い黄色の油として得る。収率92%;ES−MS:m/z291[M+H];1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.32 (3H, t, J=7.17Hz), 1.66 (6H, s), 2.20 (2H, 五重線, J=7.59Hz), 2.28-2.41 (2H, m), 3.34 (2H, t, J=7.48Hz), 4.27 (2H, q, J=7.17Hz)
【0051】
ステップ4:化合物C5の合成
化合物C4(170g(0.59mol))のTHF(3.4L)溶液に、225.4g(1.76mol)のカリウムトリメチルシラノレートを0.5時間に亘り一部ずつ加える。反応物を室温で18時間撹拌する。反応混合物を2MのHCl水溶液(2L)でpH2に酸性化し、DCM(2×2L)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、143gの化合物C5を黄色の固体として得る。収率:93%;ES−MS:m/z261[M−H]。1H-NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.71 (6H, s), 2.18-2.28 (2H, m), 2.30-2.42 (2H, m), 3.38 (2H, t, J=7.48Hz), 6.96 (1H, br. s.)
酸による方法D:
化合物D6の合成
【0052】
【化13】

ステップ1:化合物D2の合成
LiAlH4(13.9mmol、0.55g)のTHF(10mL)懸濁液に、化合物D1(2g、13.9mmol)のTHF(10mL)溶液を窒素雰囲気下にて滴下で添加する(注意:非常な発熱反応!)。添加が完了すると、反応物を室温で18時間撹拌する。反応物を氷浴中で冷却し、1MのNH4Cl水溶液(2mL)を加えてクエンチする。このように得られた沈殿物を、Celite(登録商標)を通す濾過によって除去し、酢酸エチル(3×100mL)ですすぐ。濾液をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、1.63gの化合物D2を無色の油として得る。収率:90%;ES−MS、m/z131[M+H];1H-NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.29 (2H, qd, J=12.08, 4.04Hz), 1.50 (2H, qd, J=6.71, 1.37Hz), 1.55-1.73 (3H, m), 1.95-2.07 (1H, m), 3.37 (2H, t, J=11.83Hz), 3.66 (2H, t, J=6.03Hz), 3.92 (2H, dd, J=11.44, 4.12Hz)
【0053】
ステップ2:化合物D3の合成
化合物D2(1.63g(12.5mmol))のピリジン(15mL)溶液に、3.58g(18.8mmol)のp−トルエンスルホニルクロリドを加える。反応物を室温で5時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮する。残渣を2MのHCl水溶液(20mL)に溶解し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去し、1.9gの化合物D3をオフホワイトの結晶性固体として得る。収率:53%;ES−MS:m/z285[M+H];1H-NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.17-1.29 (2H, m), 1.45-1.52 (2H, m), 1.57-1.67 (3H, m), 2.46 (3H, s), 3.32 (2H, td, J=11.78, 1.93Hz), 3.91 (2H, dd, J=11.28, 4.13Hz), 4.08 (2H, t, J=6.14Hz), 7.36 (2H, d, J=8.07Hz), 7.80 (2H, d, J=8.44Hz)
【0054】
ステップ3:化合物D4の合成
化合物D3(1.9g(6.7mmol))のエタノール(20mL)溶液に、1.4g(26.8mmol)のナトリウムメトキシド、続いて1.27g(6.7mmol)の2−アセチルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルを加える。反応混合物をマイクロ波中で130℃にて0.5時間加熱する。溶媒を減圧下で除去する。残渣を飽和NaHCO3水溶液(25mL)およびDCM(25mL)に分配する。層を分離し、水相をDCM(2×25mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、1.9gの化合物D4を得る。収率:100%;ES−MS:m/z261[M+H];1H NMR (250MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.15-1.38 (5H, m), 1.42-1.70 (12H, m), 2.59-2.71 (1H, m), 3.37 (2H, td, J=11.73, 1.98Hz), 3.95 (2H, ddd, J=11.04, 3.88, 0.91Hz), 4.18 (2H, q, J=7.16Hz)
この手順によって、下記の化合物を合成する。
【0055】
【表8】

a)反応は、油浴中で120℃にて密封したチューブにおいて行う。
【0056】
ステップ4:化合物D5の合成
三つ口丸底フラスコに、1.9g(7.3mmol)の化合物D4を充填し、1,4−ジオキサン/水(4/1、40mL)に溶解する。Oxone(登録商標)(9g、14.6mmol)を1度に加える。二相性反応混合物を室温で2時間撹拌する。固体を濾過によって除去し、濾液を減圧下で濃縮する。残渣を飽和NaHCO3水溶液(50mL)で洗浄し、DCM(3×50mL)で抽出する。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、1.34gの化合物D5を得る。収率:63%;ES−MS:m/z293[M+H]、315[M+Na];1H NMR (250MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.28-1.45 (5H, m), 1.59-1.71 (9H, m), 1.79-1.95 (2H, m), 3.20-3.31 (2H, m), 3.38 (2H, td, J=11.76, 1.90Hz), 3.93-4.04 (2H, m), 4.27 (2H, q, J=7.06Hz)
この手順によって、下記の化合物を合成する。
【0057】
【表9】

【0058】
ステップ5:化合物D6の合成
化合物D5(1.34g(4.6mmol))のTHF(40mL)溶液に、1.17g(9.2mmol)のカリウムトリメチルシラノレートを加える。反応物を室温で2時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去する。残渣をDCM(50mL)および1MのHCl水溶液(10mL)に分配する。水層をDCM(2×50mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、1.02gの化合物D6を得る。収率:84%、ES−MS:m/z263[M−H];1H NMR (500MHz, MeOD) δ ppm 1.29 (2H, dt, J=12.17, 2.08Hz), 1.56-1.85 (11H, m), 3.35-3.45 (4H, m), 3.88-3.97 (2H, m)
この手順によって、下記の化合物を合成する。
【0059】
【表10】

酸による方法E:
化合物E4の合成
下記の参照文献を適応することによって記載した通りに調製する。WO2008014199、Boehringer Ingelheim。
【0060】
【化14】

ステップ1:化合物E1の合成
化合物E1(50g(390mmol))のエタノール(400mL)溶液に、21.9g(390mmol)のKOHペレット、続いて57mL(390mmol)のエチルα−ブロモイソブチレートを加える。反応物を2時間加熱還流させ、次いで室温に冷却する。固体(KBr)を濾過によって分離し、エタノール(20mL)ですすぐ。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をDCM(500mL)に溶解する。有機層を飽和NaHCO3水溶液(250mL)で洗浄する。水性洗液をDCM(2×500mL)で逆抽出する。合わせた有機物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させる。濾過および減圧下での濃縮によって、74.9gの化合物E2を黄色の油として得る。収率:79%、ES−MS:m/z243[M+H];1H-NMR: (400MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.22 (3H, t, J=7.09Hz), 1.47 (6H, s), 4.11 (2H, q, J=7.25Hz), 7.01 (2H, t, J=8.68Hz), 7.39-7.50 (2H, m)
【0061】
ステップ2:化合物E3の合成
化合物E2(71g(293mmol))の1,4−ジオキサン/水(6/1、700mL)溶液に、294g(479mmol)のOxone(登録商標)を数回で加える。白色の懸濁液を室温で17時間撹拌する。白色の固体を濾過によって分離し、1,4−ジオキサン(200mL)で洗浄する。濾液を減圧下で濃縮し、有機溶媒を除去する。このように得られた水溶液をDCM(3×1L)で抽出する。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液(500mL)、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、70gの化合物E3を黄色の油として得る。収率:87%、ES−MS:m/z275[M+H];1H-NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.15 (3H, t, J=7.09Hz), 1.55 (6H, s), 4.08 (2H, q, J=7.17Hz), 7.13-7.22 (2H, m), 7.78-7.86 (2H, m)
【0062】
ステップ3:化合物E4の合成
化合物E3(70g(255mmol))のTHF/水(6/1、700mL)溶液に、21.4g(510mmol)の水酸化リチウム一水和物を加える。反応物を室温で18時間撹拌する。反応物を2MのHCl水溶液(500mL)でpH1まで酸性化する。酸性水層をDCM(3×1000mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過する。減圧下での濾液の濃縮によって、60.5gの化合物E4を得る。収率:96%、ES−MS:m/z247、264[M+H2O];1H-NMR (500MHz, MeOD) δ ppm 1.57 (6H, s), 7.35 (2H, t, J=8.85Hz), 7.94 (2H, dd, J=9.00, 5.04Hz)
酸による方法F:
化合物F5の合成
【0063】
【化15】

ステップ1:化合物F2の合成
化合物F1(3.90g(30mmol))(Ghosh, A. K.ら、J. Med. Chem.1993、36、2300〜2310に記載されているように調製)の無水THF(30ml)溶液に、3.03mlのボラン(48mmol)をゆっくりと0℃で加える。反応物を室温に温め、6時間撹拌し、次いで3MのNaOH水溶液(26mL)を加え、混合物を1時間撹拌する。次いで、6MのHCl水溶液でpHを11に調整し、水性混合物を炭酸カリウムで飽和させる。塩基性水溶液をジエチルエーテル(3×100mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、2.54gの化合物F2を得る。収率:73%;1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.47-1.73 (3H, m), 1.98 (1H, br. s.), 2.02-2.12 (1H, m), 2.31 (1H, dt, J=14.80, 7.40Hz), 3.37 (1H, t, J=7.78Hz), 3.59-3.79 (3H, m), 3.85 (1H, td, J=8.32, 4.58Hz), 3.91 (1H, t, J=7.78Hz).
【0064】
ステップ2:化合物F3の合成
化合物F2(1.86g(16mmol))の無水THF(28mL)溶液に、トリエチルアミン(2.48mL、17.6mmol)およびメタンスルホニルクロリド(1.36mL、17.6mmol)をゆっくりと0℃で加える。反応物を室温で2時間撹拌する。混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液(2×50mL)および1MのHCl水溶液(2×50mL)で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、3.1gの化合物F3を得る。収率:100%;1H NMR (250MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.48-1.62 (1H, m), 1.78-1.93 (1H, m), 2.01-2.20 (1H, m), 2.24-2.43 (1H, m), 3.02 (3H, s), 3.40 (1H, t, J=7.69Hz), 3.73-3.99 (3H, m), 4.26 (2H, t, J=6.47Hz)
【0065】
ステップ3:化合物F4の合成
化合物C2(3.0g(16mmol))(酸による方法C、ステップ1によって調製)のエタノール(50mL、脱気)溶液に、3.45g(54mmol)のナトリウムメトキシド、続いて3.1g(16mmol)の化合物F3を窒素雰囲気下にて加える。反応物を80℃に16時間加熱する。溶媒を減圧下で除去する。残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(2×15mL)および1MのHCl水溶液(2×15mL)で洗浄する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:ヘプタン、酢酸エチル)によって2回精製し、0.43gの化合物F4を得る。この中間体(67%純度)を、次のステップにかける。収率:29%;m/z247[M+H]
【0066】
ステップ4:化合物F5の合成
1.68g(6.82mmol)の化合物F4のTHF溶液に、6.82mL(13.64mmol)の2Mの水酸化ナトリウム水溶液を加える。反応物を室温で18時間撹拌する。次いで、メタノール(0.5mL)および水酸化リチウム一水和物(572mg、13.64mmol)を加え、反応物を45℃に16時間加熱する。さらなる水酸化リチウム一水和物(572mg、13.64mmol)を加え、反応物を55℃に3時間加熱する。反応混合物をDCM(8mL)および水(10mL)に分配する。水層を氷浴中で冷却し、6MのHCl水溶液でpH1に酸性化し、DCM(3×15mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、1.51gの化合物F5を得る。収率:85%;m/z219[M+H];1H NMR (250MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.43-1.73 (9H, m), 1.98-2.15 (1H, m), 2.31 (1H, 五重線, J=7.35Hz), 2.58-2.74 (2H, m), 3.37 (1H, dd, J=8.30, 7.23Hz), 3.68-3.99 (3H, m), 7.71 (1H, br. s.)
酸による方法G:
化合物G3の合成
【0067】
【化16】

ステップ1:化合物G2の合成
化合物C1(0.27g(1.42mmol))のエタノール(4mL、脱気)溶液に、0.31g(5.7mmol)のナトリウムメトキシド、続いて0.39g(1.42mmol)の化合物G1(WO2008/119663、F.Hoffmann−La Roche AGによって調製)を窒素雰囲気下にて加える。反応物をマイクロ波中で130℃に0.5時間加熱する。溶媒を減圧下で除去する。残渣をDCM(10mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(10mL)で洗浄する。水層をDCM(10mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:ヘプタン、20%酢酸エチル)によって精製し、0.17gの化合物G2(UV純度:77%)を得る。収率:61%、m/z271[M+Na];1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.29 (3H, t, J=7.17Hz), 1.49-1.54 (6H, m), 2.59-2.66 (1H, m), 2.70-2.77 (1H, m), 3.28-3.36 (1H, m), 3.55-3.63 (1H, m), 3.64-3.76 (3H, m), 3.77-3.85 (2H, m), 4.18 (2H, q, J=7.17Hz)
【0068】
ステップ2:化合物G3の合成
化合物G2(169mg(0.68mmol))のTHF/水(1/1、10mL)溶液に、102mg(1.36mmol)の水酸化リチウム一水和物を加える。反応物を室温で18時間撹拌する。次いで、さらなるTHF/水(1/1、10mL)を加え、反応物をさらに48時間。反応混合物を減圧下で濃縮する。水性残渣をジエチルエーテル(10mL)で洗浄し、次いで6MのHCl水溶液で酸性化し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、147mgの化合物G3を得る。収率:86%;ES−MS:m/z243[M+Na];1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.55 (6H, s), 2.65-2.72 (1H, m), 2.73-2.81 (1H, m), 3.32-3.41 (1H, m), 3.57-3.64 (1H, m), 3.68-3.77 (3H, m), 3.77-3.86 (2H, m)
アミンによる方法a:
化合物a3の合成
【0069】
【化17】

化合物a3の合成は、下記の文献の手順を適用することによる:Henry,R.A.J.、Heterocyclic Chem.、1976、13、391。
撹拌した化合物a2(28.7g(388mmol))およびジシクロヘキシルカルボジイミド(72.7g(353mmol))のDCM(300mL)溶液に、0.411gのCuCl2を室温で加える。反応混合物を96時間撹拌し、次いでDCM中の30g(353mmol)の化合物a1を加え、反応物を室温で48時間撹拌する。反応混合物を濾過し、固体をDCMで洗浄する。有機濾液を水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させる。濾過および減圧下での濾液の濃縮。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液、DCM、5%メタノール)によって精製し、6gの化合物a3をオフホワイトの粉末として得る。収率12%;ES−MS:m/z142[M+H];mp114〜119℃(lit.116〜117℃);1H NMR (250MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.68 (9H, s), 3.91 (2H, br. s.)
アミドによる方法A:
例1の合成:
【0070】
【化18】

相当する酸塩化物としての150mg(0.68mmol)の化合物A7の活性化は、50℃で2時間の塩化チオニル(2mL)による処理によって達成される。反応物を室温に冷却し、過剰な塩化チオニルを減圧下で除去する。
【0071】
化合物a1(113mg、0.8mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(348μL、2.0mmol)を、無水テトラヒドロフラン(2mL)に溶解する。粗酸塩化物(102mg、0.4mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、アミン溶液に加える。反応物をオービタルシェーカー中に50℃で16時間入れる。反応物を室温に冷却し、濃縮する。粗生成物を10%H2O/DMSO(2mL)に溶解する。分取HPLCによる精製によって、例1(31mg、0.087mmol)を得る。収率:13%;ES−MS:m/z360.1[M+H]、保持時間(LC法a):0.70分
表X、アミドによる方法Aにおける化合物は、この手順によって作製する。
【0072】
アミドによる方法B:
例5の合成:
【0073】
【化19】

相当する酸塩化物としての421mg(1.59mmol)の化合物D6の活性化は、50℃で3時間の塩化チオニル(3mL)による処理によって達成される。反応物を室温に冷却し、過剰な塩化チオニルを減圧下で除去する。
粗酸塩化物を無水THF(5mL)に溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.37mL、2.1mmol)、続いて化合物a1(150mg、1.06mmol)を加える。反応物を70℃で3時間撹拌する。反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。残渣をDCM(10mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(10mL)で洗浄する。水層をDCM(5mL)で逆抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:ヘプタン:0〜50%酢酸エチル)によって精製し、239mgの例5を得る。収率:58%;ES−MS:m/z388.2[M+H];保持時間(LC法b):3.67分;1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.20-1.41 (2H, m), 1.57-1.65 (3H, m), 1.76 (9H, s), 1.78 (6H, s), 1.82-1.94 (2H, m), 3.02-3.18 (2H, m), 3.25-3.46 (2H, m), 3.86-4.04 (2H, m), 9.30 (1H, s)
表X、アミドによる方法Bにおける化合物は、この手順によって作製するが、下記の変更に留意されたい。例2について、酸塩化物形成は、100℃で2時間、トルエン中の塩化チオニルを使用して達成され、アミド形成のために、THFの代わりにトルエンをまた使用する。例3および4について、酸塩化物形成は、50℃で3時間、トルエン中で塩化チオニル(2当量)、DMF(触媒量)を使用して達成され、アミド形成のために、THFの代わりにトルエンをまた使用する。例6を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:ヘプタン、0〜50%酢酸エチル)、続いて質量に基づいた分取LCMS(中性法)によって2回精製する。例8〜9について、酸塩化物形成は、室温で18時間、DCM中で塩化オキサリル(2当量)、DMF(触媒量)を使用して達成される。
【0074】
アミドによる方法C:
例7の合成:
【0075】
【化20】

アルミニウムトリブロミド(206mg(0.77mmol))のエタンチオール(2.5mL)溶液に、例6(100mg(0.26mmol))のエタンチオール(2.5mL)溶液を加える。反応物を室温で3時間撹拌する。反応物を6MのHCl水溶液(3mL)を加えることによってクエンチし、水(10mL)で希釈する。層を分離し、水層をDCM(3×20mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。残留した固体をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:ヘプタン、0〜50%酢酸エチル)によって精製し、70mgの例7を得る。収率:73%、ES−MS:m/z374.3[M+H];保持時間(LC法b):3.30分;1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.45-1.66 (3H, m), 1.69-1.82 (15H, m), 1.84-1.99 (4H, m), 2.03-2.22 (2H, m), 3.16-3.38 (1H, m), 4.05 (1H, d, J=2.59Hz), 9.62 (1H, s)
表X、アミドによる方法Cにおける化合物は、この手順によって作製する。
【0076】
アミドによる方法D:
例10の合成:
【0077】
【化21】

ステップ1:化合物F6の合成
相当する酸塩化物としての92mg(0.42mmol)の化合物F5の活性化は、室温で3時間のDCM(3mL)中の塩化オキサリル(0.07mL、0.84mmol)およびDMF(触媒量、1滴)による処理によって達成される。反応混合物を減圧下で濃縮する。残渣を無水THF(2mL)に溶解し、減圧下で濃縮する。この工程を繰り返す。
次いで、粗酸塩化物を無水THF(3mL)に溶解し、0.22mL(1.26mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミン、続いて59mg(0.42mmol)の化合物a1を加える。完全な添加の後、反応物を60℃に17時間加熱する。反応物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去する。残渣を酢酸エチル(20mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(2×5mL)および1MのHCl水溶液(2×5mL)で洗浄する。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液、ヘプタン、0〜20%酢酸エチル)によって精製し、64mgの化合物F6を得る。収率:44%;ES−MS:m/z342[M+H]、保持時間(LC法c):1.91分;1H NMR (250MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.39-1.57 (1H, m), 1.58-1.73 (8H, m), 1.76 (9H, s), 1.94-2.11 (1H, m), 2.20-2.37 (1H, m), 2.58 (2H, td, J=7.61, 2.89Hz), 3.32 (1H, dd, J=8.38, 7.01Hz), 3.64-3.93 (3H, m), 9.44 (1H, s).
上記の方法によって、下記の化合物を合成する。
【0078】
【表11】

【0079】
ステップ2:例10の合成
化合物F6(64mg(0.19mmol))の1,4−ジオキサン/水(5/1、6mL)溶液に、230mg(0.38mmol)のOxone(登録商標)を加える。反応物を室温で3時間撹拌する。反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液(2×2mL)で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:ヘプタン、0〜20%酢酸エチル)によって精製し、48mgの例10を得る。収率:69%;ES−MS:m/z374[M+H];保持時間(LC法b):3.51分;1H NMR (500MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.45-1.60 (1H, m), 1.68-1.84 (15H, m), 1.88-2.13 (3H, m), 2.24-2.37 (1H, m), 3.01-3.17 (2H, m), 3.37 (1H, dd, J=8.39, 6.71Hz), 3.70-3.80 (1H, m), 3.81-3.93 (2H, m), 9.25 (1H, s)
表X、アミドによる方法Dにおける化合物は、この手順によって作製する。
【0080】
LC法a:
Waters UPLC−ESI+/−イオンモード、BEH C18 1.7mm、2.1×50mmカラム;勾配:1.19分で90%Aから5%A、5%Aで1.70分まで保持。流量0.8mL/分。A=(95%水、5%アセトニトリル+0.05%ギ酸)、B=(アセトニトリル+0.05%ギ酸)、ダイオードアレイ検出器。
LC法b:
HPLC−MS装置
HPLCポンプ:Agilent G1312A
自動注入装置:CTC PAL HTC
検出器:MS:Waters ZQ
UV:Waters2996フォトダイオードアレイ
付属物:Waters2420蒸発光散乱検出器(ELS)
【0081】
【表12】

LC法c:
HPLC−MS装置:
Shimadzu LCMS−2010EVシステム:(MS、ポンプ、PDA)
自動注入装置CTC PAL HTSオートサンプラー
【0082】
【表13】

【0083】
【表14】

【0084】
生物学的特性の評価
式Iの化合物の生物学的特性を、下記のアッセイを使用して評価する。
A.ヒトCB1およびCB2受容体結合:
実験法:
CB2膜は、購入し、ヒトCB2受容体cDNAを安定的にトランスフェクトされたHEK293EBNA細胞から作製する(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences)。CB1膜は、ヒトCB1受容体およびGα16cDNAを安定的に同時トランスフェクトされたHEK細胞から単離する。膜調製物は、50mMのTris(pH7.5)、2.5mMのEDTA、5mMのMgCl2、0.8%脂肪酸非含有ウシ血清アルブミンを含有するアッセイ緩衝液中で、シンチレーションビーズ(Ysi−ポリ−L−リシンSPAビーズ、GE Healthcare)に室温で4時間結合させる。アッセイ緩衝液中で洗浄することによって、非結合膜を除去する。膜−ビーズ混合物を、ウェル毎に15ugの膜(CB2)またはウェル毎に2.5ug(CB1)、およびウェル毎に1mgのSPAビーズの量で96ウェルアッセイプレートに加える。化合物を、0.25%DMSO(最終)と共に1×10-5M〜1×10-10Mの範囲の用量反応濃度で膜−ビーズ混合物に加える。競合反応は、1.5nM(CB2)または2.5nM(CB1)の最終濃度で、3H−CP55940(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences)を加えることによって開始させる。反応物を室温で18時間インキュベートし、TopCount NXTプレートリーダーで読み取る。総結合および非特異的結合を、1.25uMのWin55212(Sigma)の非存在下および存在下で決定する。各化合物についてのIC50値は、XLFit4.1 4パラメーターロジスティックモデルを使用して、受容体への放射活性物質で標識したリガンドの特異的結合を50%阻害する化合物の濃度として計算する。IC50値は、チェン−プルソフ式を使用して阻害定数(Ki)値に変換する。
【0085】
B.CB2Rが媒介するcAMP合成の調節:
本発明の化合物を、下記の実験法によって、これらのCB2アゴニストまたはインバースアゴニスト活性について評価する。上記の結合アッセイによってCB2に結合することが示されるが、このアッセイによってCB2Rが媒介するcAMP合成を調節することが示されない化合物は、CB2アンタゴニストであると推定される。
【0086】
実験法:
ヒトCB2Rを発現しているCHO細胞(Euroscreen)を、384ウェルプレートのウェル毎に5000個の細胞の密度で蒔き、37℃で一晩インキュベートする。培地を除去した後、細胞を、1mMのIBMX、0.25%BSAおよび10uMのフォルスコリンを含有する刺激緩衝液で希釈した試験化合物で処理する。アッセイ物を37℃で30分間インキュベートする。細胞を溶解し、メーカーのプロトコルに従ってDiscoverX−XS cAMPキットを使用してcAMP濃度を測定する。この設定において、アゴニストはフォルスコリンによって誘発されるcAMPの産生を減少させ、一方インバースアゴニストはフォルスコリンによって誘発されるcAMPの産生をさらに増加させる。アゴニストのEC50は下記のように計算する。1uMのCP55940によって阻害されるcAMPのレベルと比較した、フォルスコリンによって産生されるcAMPの最大量は、100%と定義する。各試験化合物のEC50値は、フォルスコリンによって刺激されるcAMP合成の50%が阻害される濃度であると決定する。データは、4パラメーターロジスティックモデルを使用して分析する(XLfit4.0のモデル205)。
【0087】
C.CB1Rが媒介するcAMP合成の調節:
本発明の化合物を、下記の実験法によって、これらのCB1アゴニストまたはインバースアゴニスト活性について評価する。上記の結合アッセイによってCB1に結合することが示されるが、このアッセイによってCB1Rが媒介するcAMP合成を調節することが示されない化合物は、CB1アンタゴニストであると推定される。
【0088】
実験法:
ヒトCB1Rを発現しているCHO細胞(Euroscreen)を、384ウェルプレートのウェル毎に5000個の細胞の密度で蒔き、37℃で一晩インキュベートする。培地を除去した後、細胞を、1mMのIBMX、0.25%BSAおよび10uMのフォルスコリンを含有する刺激緩衝液で希釈した試験化合物で処理する。アッセイ物を37℃で30分間インキュベートする。細胞を溶解し、メーカーのプロトコルに従ってDiscoverX−XS cAMPキットを使用してcAMP濃度を測定する。この設定において、アゴニストはフォルスコリンによって誘発されるcAMPの産生を減少させ、一方インバースアゴニストはフォルスコリンによって誘発されるcAMPの産生をさらに増加させる。アゴニストのEC50は下記のように計算する。1uMのCP55940によって阻害されるcAMPのレベルと比較した、フォルスコリンによって産生されるcAMPの最大量は、100%と定義する。各試験化合物のEC50値は、フォルスコリンによって刺激されるcAMP合成の50%が阻害される濃度であると決定する。データは、4パラメーターロジスティックモデルを使用して分析する(XLfit4.0のモデル205)。
アゴニスト活性を有する化合物
上記のアッセイの使用によって、化合物は、アゴニスト活性を示し、したがって疼痛の治療のため、および炎症の治療のために特に適合することが見出される。本発明の好ましい化合物は、CB2(<500nM)およびCB1(>20000)の活性範囲を有する。
【0089】
D.ヒトミクロソーム安定性アッセイ
ヒト肝臓ミクロソーム代謝安定性のための2時点ハイスループットスクリーニングを使用して、ヒト肝臓ミクロソーム酵素による試験化合物のインビトロの代謝を測定する。集めたデータを分析し、試験化合物についての半減期(t1/2、分)およびクリアランス(肝血流量パーセント、%QHとして表す)を計算する。50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)および2.5mMのNADPH中でアッセイを行う。1uMの最終アッセイ濃度のために、試験試料をDMSOおよびアセトニトリルに溶解する。ヒト肝ミクロソームを、1mgタンパク質/mlの最終アッセイ濃度までアッセイ緩衝液に希釈する。化合物溶液およびミクロソーム懸濁液を、350ulの最終インキュベーション容量のためのアッセイ緩衝液に加える。調製物を、37℃の水浴中で5分間インキュベートする。NADPHを加えることによって反応を開始させる。反応の開始後0分、5分、および30分で、80ulの容量をインキュベーションミックスから取り出し、160ulのアセトニトリルに加える。上清を0.25mmガラス繊維フィルタプレートに移し、3000rpmで5分間遠心分離する。10ulの注入量を典型的には、水またはアセトニトリル中のギ酸と共に0.3ml/分の流量でHPLCカラムに加える。親化合物の減少パーセントは、各時点下の面積から計算し、半減期およびクリアランスを決定する。本発明の好ましい化合物は、<25%QHのヒト肝臓ミクロソームの安定性を有する。
【0090】
E.水溶性アッセイ
化合物の平衡溶解度は、pH2、4.5、6.8の緩衝液中で決定する。溶解度測定の前に、試料の結晶性/アモルファスの特徴は、偏光顕微鏡下で粉末形態を観察することによって決定する。溶解度は、化合物が結晶性であるときのみに測定する。
概ね2mgの化合物をバイアル中に秤量し、1〜2mlの緩衝液をバイアルに加える(pH2および4.5のために、1mlを使用し、pH6.8および7.4のために、2mlの緩衝液を使用する)。バイアルを、光から保護して48時間回転させる。48時間後、試料をエッペンドルフチューブに移し、14,000RPMで10分間遠心分離し、上清が透明でない場合、濾過を行う(PVDFフィルター)。透明な上清を必要に応じて希釈し、その後HPLCによって分析する。上清または濾液の最終pHを測定し、報告する。外部較正曲線を使用して、溶解度値を決定する。親ピークに対する異質なピークの割合を、標準液および溶解性試料中でモニターする。本発明の好ましい化合物は、>100μg/mlの溶解度を有する。
【0091】
F.エイムス変異原性アッセイ:細菌復帰突然変異スクリーニングアッセイ
省略されたスクリーニングアッセイ(2)において使用するエイムス(1)サルモネラ菌種は、TA98およびTA100である。活発に増殖している(対数期)細菌を、試験化合物および極微量のヒスチジンと共にS9の存在下または非存在下で最少寒天プレート上48時間インキュベートする。試験化合物を、100mg/mlの最終濃度までDMSOに溶解する。ストックを段階希釈し、100、50、25、12.5および6.3mg/mlの濃度を得る。50マイクロリットルの投与溶液を上層寒天および緩衝液(またはS9ミックス)と合わせ、二連プレート上に注ぎ、5000、2500、1250、625および313μg/プレートの有効用量を得る。陽性および陰性対照プレートを含める。37℃での48時間のインキュベーション後のコロニーの形成は、自発的に起こる、または試験化合物によってもたらされる遺伝子復帰変異の指標である。対照プレート上に増殖する自発的コロニーの平均数を、試験プレート上のコロニーの数と比較する。バックグラウンドに対して2〜3倍の増加は、変異原性について陽性の反応であると一般に考える。
1.Maron, D. M.およびAmes, B. N.(1983)、「Revised Methods for the Salmonella Mutagenicity Test」、Mutat. Res.、113、173〜215。
2.D.A. Burke、D.J. Wedd、およびB. Burlinson (1996)、「Use of the Miniscreen assay to screen novel compounds for bacterial mutagenicity in the pharmaceutical industry」、Mutagenesis、11:201〜205。
【0092】
本発明の化合物は、CB1受容体の低い活性化を示す。アゴニストによるCB2受容体の非常に選択的な活性化は、デュアルCB1/CB2カンナビノイド受容体アゴニストにおいて見出される有害作用を回避する一方、有益な効果を用いる手段を提供し得ると考えられる(例えば、Expert Opinion on Investigational Drugs(2005)、14(6)、695〜703を参照されたい)ため、最小限に抑えたCB1活性を有するCB2のアゴニストを提供することが望ましい。化合物の遅い代謝は、化合物の長期の曝露を確実にするのに望ましい。これは、ヒト肝ミクロソームにおけるインビトロでの低いクリアランスによって示すことができる(好ましくは<25%QH)。さらに、経口バイオアベイラビリティーおよび直線的PKを確実にするために、化合物が良好な溶解性を有することが必要とされる(好ましくは>100μg/ml)。本発明の化合物は、表XIに示すように、CB2、CB1、HLM安定性およびエイムスについて本明細書の上記に記載されている4つの望ましい特性全てを有する。
【0093】
【表15】





【0094】
治療用途
上記のアッセイによって示すことができるように、本発明の化合物は、CB2受容体機能の調節において有用である。この事実によって、これらの化合物は、CB2受容体機能によって媒介される、またはCB2受容体機能の調節から恩恵を受ける病態および状態の治療において治療用途を有する。
【0095】
本発明の化合物はCB2受容体機能を調節するため、非常に有用な抗炎症性および免疫抑制活性を有し、病態および状態の治療のため、薬物として、特に下記に記載する医薬組成物の形態で患者において使用することができる。
上記のように、CB2アゴニストであるこれらの化合物はまた、疼痛の治療のために用いることができる。
【0096】
本発明によるアゴニスト、アンタゴニストおよびインバースアゴニスト化合物は、炎症過程を伴う下記の病態または徴候の治療のための薬物として患者において使用することができる。
(i)肺疾患:例えば、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、気腫、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、ハト愛好者病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息(アレルギー性喘息(アトピー性または非アトピー性)を含めた)、および運動誘発性気管支収縮、職業性喘息、喘息のウイルスまたは細菌増悪、他の非アレルギー性喘息および「喘鳴乳児症候群」、塵肺症(アルミニウム沈着症、炭粉症、石綿症、石粉症、睫毛脱落症、鉄沈着症、ケイ肺症、タバコ肺症および綿肺症を含めた);
(ii)リウマチ性疾患または自己免疫疾患または筋骨格系疾患:全ての形態のリウマチ性疾患、特に、関節リウマチ、急性リウマチ熱、およびリウマチ性多発筋痛症;反応性関節炎;リウマチ性軟部組織疾患;他の起源の炎症性軟部組織疾患;変性性関節疾患における関節炎症状(関節症);腱炎、滑液包炎、骨関節炎、外傷性関節炎;任意の起源の膠原病、例えば、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、スティル病、フェルティ症候群;ならびに骨粗鬆症および他の骨吸収疾患;
【0097】
(iii)アレルギー性疾患:全ての形態のアレルギー反応、例えば、血管運動神経性浮腫、枯草熱、虫刺され、薬物、血液製剤、造影剤などに対するアレルギー反応、アナフィラキシーショック(アナフィラキシー)、じんま疹、血管運動神経性浮腫、および接触性皮膚炎;
(iv)血管性疾患:結節性汎動脈炎、結節性多発性動脈炎、結節性動脈周囲炎、側頭動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞関節炎、アテローム性動脈硬化症、再潅流傷害および結節性紅斑;
(v)皮膚科疾患:例えば、皮膚炎、乾癬;日焼け、火傷、湿疹;
(vi)腎疾患:例えば、ネフローゼ症候群;および全てのタイプの腎炎、例えば、糸球体腎炎;膵臓炎;
(vii)肝疾患:例えば、急性肝細胞分解;様々な起源の急性肝炎、例えば、ウイルス、毒性、薬物誘発;ならびに慢性活動性および/または慢性間欠性肝炎;
(viii)胃腸疾患:例えば、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、限局性腸炎(クローン病)、潰瘍性大腸炎;胃炎;アフタ性潰瘍、セリアック病、限局性回腸炎、胃食道逆流性疾患;
【0098】
(ix)神経保護:例えば、脳卒中後の神経変性の治療における;心停止;肺バイパス;外傷性脳損傷;脊髄損傷または同様のもの;
(x)眼疾患:アレルギー性角膜炎、ブドウ膜炎、または虹彩炎;結膜炎;眼瞼炎;眼神経炎;脈絡膜炎;緑内障および交感性眼炎;
(xi)耳、鼻、および喉(ENT)領域の疾患:例えば、耳鳴;アレルギー性鼻炎または枯草熱;外耳炎;接触性湿疹、感染症などによってもたらされる;および中耳炎;
(xii)神経系疾患:例えば、脳浮腫、特に、腫瘍が関連する脳浮腫;多発性硬化症;急性脳脊髄炎;髄膜炎;急性脊髄損傷;外傷;認知症、特に、変性性認知症(老人性認知症、アルツハイマー病;パーキンソン病およびクロイツフェルトヤコブ病;ハンチントン舞踏病、ピック病;運動ニューロン疾患を含めた)、血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含めた)、および頭蓋内占拠性病変が関連する認知症;感染症および関連する状態(HIV感染症を含めた);ギランバレー症候群;重症筋無力症、脳卒中;ならびに様々な形態の発作、例えば、点頭痙攣;
(xiii)血液疾患:後天性溶血性貧血;再生不良性貧血、および特発性血小板減少症;
【0099】
(xiv)腫瘍疾患:急性リンパ性白血病;ホジキン病、悪性リンパ腫;リンパ肉芽腫症;リンパ肉腫;固形悪性腫瘍;広範な転移;
(xv)内分泌疾患:内分泌性眼障害;内分泌眼窩疾患;甲状腺クリーゼ;ドケルバン甲状腺炎;橋本甲状腺炎;バセドー病;肉芽腫性甲状腺炎;リンパ腫性甲状腺腫;およびグレーブス病;I型糖尿病(インスリン依存性糖尿病);
(xvi)臓器および組織移植、ならびに移植片対宿主病;
(xvii)重度のショック状態、例えば、敗血症性ショック、アナフィラキシーショック、および全身性炎症反応症候群(SIRS);
(xviii)急性疼痛、例えば、歯痛、周術期疼痛、術後痛、外傷痛、筋肉痛、熱傷した皮膚の疼痛、日焼け、三叉神経痛、日焼け;胃腸管または子宮の痙攣、仙痛;
(xix)内臓痛(慢性骨盤痛、膵臓炎、消化性潰瘍、間質性膀胱炎、腎仙痛、狭心症、月経困難症、月経、婦人科痛、過敏性腸症候群(IBS)、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、心筋虚血と関連する疼痛など);
(xx)神経因性疼痛、例えば、腰痛、非ヘルペス神経痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、神経損傷、後天性免疫不全症候群(AIDS)関連神経因性疼痛、頭部外傷、有痛性外傷性モノニューロパシー、毒素および化学療法が誘発する疼痛、幻肢痛、有痛性多発ニューロパシー、視床痛症候群、卒中後痛、中枢神経系損傷、手術後疼痛、断端痛、反復性運動痛;乳房切除術後症候群、多発性硬化症、神経根引き抜き損傷、開胸術後症候群によって誘発される疼痛;痛覚過敏およびアロディニアと関連する神経因性疼痛;
【0100】
(xxi)障害、例えば、骨関節炎、関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘炎、痛風、外陰部痛、筋筋膜疼痛(筋肉損傷、線維筋痛症)、腱炎、骨関節炎、若年性関節炎、脊椎炎、痛風性関節炎、乾癬性関節炎、筋骨格痛、線維筋痛症、捻挫および筋挫傷、交感神経によって維持される疼痛、筋炎;片頭痛、歯痛と関連する疼痛;インフルエンザおよび他のウイルス感染(感冒、リウマチ熱など)、全身性エリテマトーデスによって誘発される、または関連する炎症性/侵害受容性疼痛;
(xxii)腫瘍(リンパ性白血病;ホジキン病、悪性リンパ腫;リンパ肉芽腫症;リンパ肉腫;固形悪性腫瘍;広範な転移など)によって誘発される、または関連する癌疼痛;
(xxiii)頭痛、例えば、群発性頭痛、前兆があるおよび前兆がない片頭痛、緊張型頭痛、異なる起源を有する頭痛、頭痛障害(予防的使用および急性使用を含めた);
(xxiv)経皮的冠動脈形成術の後の再狭窄、急性および慢性疼痛、アテローム性動脈硬化症、再潅流傷害、うっ血性心不全、心筋梗塞、熱傷、外傷に続発する多臓器損傷、壊死性腸炎および血液透析と関連する症候群、白血球フェレーシス、顆粒球輸血、サルコイドーシス、歯肉炎、発熱;打撲傷、捻挫または骨折と関連する外傷から生じる浮腫;脳浮腫および血管性浮腫、糖尿病、例えば、糖尿病性脈管障害、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性網膜症、後毛細管抵抗、または膵島炎と関連する糖尿病症状(例えば、高血糖、多尿、タンパク尿、ならびにニトリットおよびカリクレイン尿中排泄の増加)を含めた様々な他の病態または状態。
【0101】
他の徴候には、てんかん、敗血症性ショック、例えば、抗血液量減少剤および/または抗低血圧剤、癌、敗血症、骨粗鬆症、良性前立腺肥大症および過活動膀胱、そう痒症、白斑、一般的胃腸障害;呼吸器、尿生殖器、胃腸または血管領域における内臓の運動性の障害;創傷、火傷、組織の損傷および術後発熱、そう痒と関連する症候群が含まれる。
ヒトの治療に有用である以外に、これらの化合物はまた、ペット動物、外来の動物および家畜(哺乳動物、げっ歯類などを含めた)の動物の治療に有用である。
【0102】
上記の疾患および状態の治療のために、治療有効用量は一般に、本発明の化合物の投与量毎に約0.01mg〜約100mg/kg体重、好ましくは、投与量毎に約0.1mg〜約20mg/kg体重の範囲である。例えば、70kgの人への投与のために、投与量範囲は、本発明の化合物の投与量毎に約0.7mg〜約7000mg、好ましくは、投与量毎に約7.0mg〜約1400mgである。ある程度の通例の用量最適化は、最適な投与レベルおよびパターンを決定するために必要であり得る。活性成分は、1日1〜6回で投与し得る。
【0103】
一般投与および医薬組成物
医薬品として使用されるとき、本発明の化合物は典型的には、医薬組成物の形態で投与される。このような組成物は、製薬技術分野において周知の手順を使用して調製することができ、少なくとも1種の本発明の化合物を含む。本発明の化合物はまた、単独で、あるいは本発明の化合物の安定性を増強し、特定の実施形態において本発明の化合物を含有する医薬組成物の投与を促進し、溶解または分散の増加、阻害活性の増加を実現し、補助治療を実現するなどのアジュバントと組み合わせて投与し得る。本発明による化合物は、これら自体で、またはまた他の薬理学的活性物質と併せてもよい、本発明による他の活性物質と併せて使用し得る。一般に、本発明の化合物は、治療有効量または医薬有効量で投与されるが、診断または他の目的のためにより低い量で投与し得る。
【0104】
純粋な形態のまたは適当な医薬組成物中の本発明の化合物の投与は、医薬組成物の許容された投与方法のいずれかを使用して行うことができる。したがって、投与は、例えば、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体剤形の形態(例えば、錠剤、坐剤、丸剤、軟質弾性および硬質ゼラチンカプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、またはエアゾール、または同様のものなど)で、好ましくは正確な投与量の単純な投与に適した単位剤形で、経口的、口腔(例えば、舌下)、経鼻、非経口的、局所的、経皮的、経膣的、または直腸でよい。医薬組成物には一般に、通常の医薬担体または賦形剤、および活性剤として本発明の化合物が含まれ、さらに、他の薬剤、医薬品、担体、アジュバント、希釈剤、ビヒクル、またはこれらの組合せが含まれてもよい。このような薬学的に許容される賦形剤、担体、または添加物、および様々なモードまたは投与のための医薬組成物を作製する方法は、当業者には周知である。現況技術は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、A. Gennaro(編)、Lippincott Williams & Wilkins、2000;Handbook of Pharmaceutical Additives、Michael & Irene Ash(編)、Gower、1995;Handbook of Pharmaceutical Excipients、A.H. Kibbe(編)、American Pharmaceutical Ass’n、2000;H.C. AnselおよびN.G. Popovish、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第5版、Lea and Febiger、1990(現況技術をよりよく記載するためにそれらの各々は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている)によって証明されている。
当業者が期待するように、製剤が効果的であるのに必要とされる適切な物理的特性(例えば、水溶性)を有する、特定の医薬製剤において用いられる本発明の化合物の形態が選択される(例えば、塩)。
口腔(舌下)投与に適した医薬組成物には、香味を付けた基剤(通常、スクロース、およびアカシアまたはトラガカント)中の本発明の化合物を含むロゼンジ剤、および不活性な基剤(ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなど)中に化合物を含む香錠が含まれる。
【0105】
非経口投与に適した医薬組成物は、本発明の化合物の無菌の水性調製物を含む。投与はまた、皮下、筋内、または皮内注射によって行うことができるが、これらの調製物は、好ましくは静脈内に投与される。注射可能な医薬製剤は一般に、注射可能な無菌食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、油性懸濁液、または当技術分野において公知の他の注射可能な担体をベースとしており、一般に無菌および血液と等張にされる。したがって、注射可能な医薬製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤(1,3−ブタンジオール、水、リンゲル液、等張食塩液、不揮発性油(合成モノまたはジグリセリドなど)、脂肪酸(オレイン酸など)などを含めた)中の無菌の注射可能な溶液剤または懸濁剤として提供し得る。このような注射可能な医薬製剤は、適切な分散剤または硬化剤および懸濁化剤を使用して公知技術によって製剤される。注射可能な組成物は一般に、0.1〜5%w/wの本発明の化合物を含有する。
【0106】
化合物の経口投与のための固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が含まれる。このような経口投与のために、本発明の化合物(複数可)を含有する薬学的に許容される組成物は、通常用いられる賦形剤、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、スクロース、シトレート、没食子酸プロピルなどのいずれかを組み込むことによって形成される。このような固形医薬製剤には、いくつかの機序(これらに限定されないが、小腸の変化するpHに基づいた剤形からのpH感受性放出、錠剤もしくはカプセル剤の遅い浸食、製剤の物理的性質に基づいた胃内での保持、腸管の粘膜内層への剤形の生体接着、または剤形からの活性薬物の酵素的放出が含まれる)によって胃腸管への薬物の長期送達または持続送達を実現する、当技術分野において周知のような製剤が含まれてもよい。
化合物の経口投与のための液体剤形には、担体(例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなど)中に医薬アジュバントを含有してもよい、乳剤、マイクロ乳剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。これらの組成物はまた、さらなるアジュバント(湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、および香料など)を含有することができる。
【0107】
化合物の局所剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、溶液剤、スプレー剤、吸入剤、眼軟膏剤、点眼剤または点耳剤、含浸被覆材およびエアゾールが含まれ、適当な通常の添加物(保存剤、薬物浸透を補助する溶剤、ならびに軟膏剤およびクリーム剤中の皮膚軟化剤など)を含有し得る。局所適用は、通常の医学的考慮に応じて1日1回または2回以上でよい。さらに、本発明のための好ましい化合物は、適切な鼻腔内ビヒクルの局所使用によって鼻腔内形態で投与することができる。製剤はまた、適合性の通常の担体(クリームまたは軟膏基剤、およびローション剤のためのエタノールまたはオレイルアルコールなど)を含有し得る。このような担体は、製剤の約1%から約98%までで存在してもよく、より通常には、製剤の約80%までを形成する。
経皮的投与もまた可能である。経皮的投与に適した医薬組成物は、長時間レシピエントの表皮と密接に接触し続けるようになされた分離したパッチとして提示することができる。経皮的送達系の形態で投与されるために、用量投与は当然ながら、投与計画を通して断続的というよりむしろ連続的である。このようなパッチは、接着剤に溶解および/もしくは分散した、またはポリマーに分散した、緩衝化されていてもよい水溶液中に、本発明の化合物を適切に含有する。活性化合物の適切な濃度は、約1%〜35%、好ましくは約3%〜15%である。
【0108】
吸入による投与のために、本発明の化合物は、噴射剤ガスを必要としないポンプスプレー装置から、または適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、二酸化炭素、もしくは他の適切なガス)を使用する加圧されたパックもしくはネブライザーから、エアゾールスプレーの形態で好都合に送達される。いずれにせよ、エアゾールスプレー投与単位は、このように得られた定量吸入器(MDI)を使用して、再現性があり制御された方法で本発明の化合物を投与するために、定量を送達する弁を備えることによって決定し得る。このような吸入器、ネブライザー、またはアトマイザー装置は、従来技術において、例えば、PCT国際公開番号第WO97/12687号(特に、その図6、市販のRESPIMAT(登録商標)ネブライザーのベースである);WO94/07607;WO97/12683;およびWO97/20590(これによってこれらへの参照を行い、それらの各々は参照により本明細書中にその全体が組み込まれている)において公知である。
【0109】
直腸投与は、化合物を低融点の水溶性または不溶性固形物(脂肪、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、様々な分子量のポリエチレングリコールの混合物、またはポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、または同様のものなど)と混合する、単位用量坐剤を用いて行うことができる。活性化合物は通常、約0.05〜10質量%であることが多い微量成分であり、残りは基剤成分である。
【0110】
上記の医薬組成物の全てにおいて、本発明の化合物は許容される担体または賦形剤と共に製剤される。使用される担体または賦形剤は、当然ながら、組成物の他の成分と適合性であるという意味で許容されなくてはならず、患者に対して有害であってはならない。担体または賦形剤は、固体もしくは液体、または両方でよく、好ましくは0.05%〜95質量%の活性化合物を含有することができる単位用量組成物、例えば、錠剤として本発明の化合物と共に製剤される。このような担体または賦形剤には、不活性な充填剤または希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解遅延剤、再吸収促進剤、吸収剤、および着色剤が含まれる。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖(グルコースまたはβ−ラクトースなど)、トウモロコシ甘味剤、天然および合成のガム(アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。
【0111】
薬学的に許容される担体および賦形剤は、全ての上記の添加物などを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

(I)
(式中、
1は、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3〜10員の飽和複素環またはアリールであり、各々は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C1-4アルキルスルホニル、アシル、オキソ、シアノ、フェニル、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基で独立に置換されていてもよく、
2およびR3は、C1-4アルキルまたは水素であり、ただしR2およびR3の両方は、水素でなくてもよく、またはR2およびR3は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6員のシクロアルキルまたは複素環を形成し、
4は、水素またはメチルであり、
5は、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3〜10員の飽和複素環、5〜6員のヘテロアリール環およびアリールから選択され、各々は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C1-4アルキルスルホニル、アシル、オキソ、シアノ、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基で独立に置換されていてもよく、
nは、0、1または2であり、
式(I)上のいずれかの炭素原子、または上記に列挙したいずれかのR置換基が、可能であれば部分的にまたは完全にハロゲン化されていてもよい)
または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
1が、C1-5アルキル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピペリジニル;ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、およびジヒドロ−2H−キノリニルであり、各々は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびヒドロキシルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
2およびR3が、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、または水素であり、ただしR2およびR3の両方は、水素でなくてもよく、またはR2およびR3が、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチル環を形成し、
4が、水素であり、
5が、C1-5アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
2およびR3が、メチルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1が、C1-4アルキル、フェニル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルまたはジオキサニルであり、各々は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびヒドロキシルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
5が、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはt−ブチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
5が、t−ブチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
組合せR1(CH2n−が、
【化2】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
【化3】

から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
【化4】

から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
治療有効量の請求項1に記載の化合物、ならびに1種または複数の薬学的に許容される担体および/またはアジュバントを含む医薬組成物。
【請求項10】
治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、疼痛を治療する方法。
【請求項11】
治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、肺疾患、リウマチ性疾患、自己免疫疾患、筋骨格系疾患、アレルギー性疾患、アレルギー反応、血管性疾患、皮膚科疾患、腎疾患、肝疾患、胃腸疾患、神経変性眼疾患、耳、鼻、および喉の疾患、神経系疾患、血液疾患、腫瘍、内分泌疾患、臓器および組織移植ならびに移植片対宿主病、重度のショック状態、急性疼痛、内臓痛、胃腸管または子宮の痙攣、仙痛、神経因性疼痛、炎症性および侵害受容性疼痛、癌疼痛、頭痛、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、再潅流傷害、うっ血性心不全、心筋梗塞、熱傷、外傷に続発する多臓器損傷、壊死性腸炎および血液透析と関連する症候群、白血球フェレーシス、顆粒球輸血、サルコイドーシス、歯肉炎、ならびに発熱から選択される疾患または状態を治療する方法。

【公表番号】特表2013−521291(P2013−521291A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556149(P2012−556149)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/026574
【国際公開番号】WO2011/109324
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】