説明

CCI−779の凍結乾燥処方

CCI−779と、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノールまたはt−ブチルアルコールから選択される溶媒とからなるフリーズドライさせたCCI−779処方を調製するのに有用な凍結乾燥させたCCI−779処方および溶液が記載される。凍結乾燥させたCCI−779処方、その復元方法およびその使用も提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明はCCI−779を処方する前の望ましくない物理化学的性質を克服する凍結乾燥させたCCI−779処方に関する。
【0002】
(従来技術)
CCI−779は、癌、多発性硬化症および関節リウマチに対する活性についての臨床実験にて評価されているラパマイシンの42−ビス−ヒドロキシメチルプロピオン酸エステルである。CCI−779は、細胞障害性とは対極をなす、細胞増殖抑制作用を示し、腫瘍の進行に至るまでの時間または腫瘍の再発までの時間を遅らせる。CCI−779はシロリムス(ラパマイシン)の作用機序と類似する作用機序を有すると考えられる。CCI−779は細胞質蛋白FKBPと結合してその複合体を形成し、酵素であるmTOR(ラパマイシンの哺乳動物標的、FKBP12−ラパマイシン結合蛋白[FRAP]としても知られている)を阻害する。mTORのキナーゼ活性の阻害は、サイトカイン刺激性細胞増殖、細胞周期のG1期を調節するいくつかの重要な蛋白のmRNAの翻訳、およびG1からSへの細胞周期の進行の阻害を導くIL−2起因性転写を含む、種々の信号変換経路を阻害する。G1からS期への遮断をもたらすCCI−779の作用機序は抗癌剤については新しいものである。
【0003】
インビトロにて、CCI−779が多くの組織学的に多様な腫瘍細胞の増殖を阻害することが明らかにされた。中枢神経系(CNS)癌、白血病(T−細胞)、乳癌、前立腺癌、およびメラノーマ系統がとりわけCCI−779に対して感受的であった。該化合物は細胞を細胞周期のG1期に留まらせた。
ヌードマウスにおけるインビボ実験はCCI−779が多様な組織型のヒト腫瘍異種移植片に対して活性を有することを立証した。神経膠腫は特にCCI−779に対して感受的であり、該化合物はヌードマウスの同所神経膠腫モデルにおいて活性であった。インビトロにおけるヒト神経膠芽腫細胞系の増殖因子(血小板由来)起因性刺激はCCI−779によって著しく抑制された。インビボにて実験したヌードマウスのいくつかのヒト膵臓腫瘍ならびに2つの乳癌系統のうち1つの増殖もまたCCI−779によって阻害された。
経口および液体剤形の処方の成功に対して問題となるCCI−779の物理化学的性質として、水難溶性およびいくつかの作用機構による化学安定性の欠如が挙げられる。
【0004】
(発明の開示)
本発明はCCI−779を処方する前の望ましくない物理化学的性質を克服する凍結乾燥させたCCI−779処方を提供する。得られた物質は非経口経路を介する投与に適する剤形を生成するのに用いられるか、または経口的にデリバリーされるべき中間体として用いられうる。
本発明の他の態様および利点は以下の本発明の詳細な記載から明らかであろう。
【0005】
(発明の詳細な記載)
本発明は貯蔵条件下での効能の保持および安定性の改善された本発明のフリーズドライさせたCCI−779を含む処方を付与する、凍結乾燥前の処方(pre-lyophilization formulation)を提供する。さらに詳しくは、本発明の凍結乾燥前の処方を用いると、フリーズドライCCI−779は、40℃での1ヶ月貯蔵および室温での6ヶ月貯蔵の後で95%以上の初期の効能を保持することが判明した。本発明はまた、非経口的デリバリーまたは他のデリバリー経路に適する復元されるCCI−779処方を提供する。
CCI−779の調製は、出典明示により本明細書の一部とされる、米国特許第5362718号に記載されている。CCI−779の位置選択的調製は、出典明示により本明細書の一部とされる、米国特許第6277983号に記載されている。
【0006】
本発明のCCI−779の凍結乾燥前の溶液は、CCI−779を適当な有機溶媒または有機溶媒と水の混合液に溶かすことで形成される。適当には、該溶媒は市販されているフリーズドライヤーにて使用される典型的な温度および圧力の条件下で除去されるように十分に揮発性である。加えて、CCI−779の有機溶媒または溶媒−水の混合液における溶解性は十分に高いものであり、薬物の実際の適用を可能とするのに十分に濃縮される物質を生成する。典型的には、凍結乾燥させる前の溶液中のCCI−779の濃度は0.1ないし250mg/mLの範囲にあり、1から500mgの用量のCCI−779を調製するのに適する凍結乾燥させた形態のCCI−779を提供する。有効な溶媒として、例えば、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、その同じものだけ含有する、または水と一緒に含有するブレンドが挙げられる。これらの溶媒のうち、t−ブチルアルコールが好ましい。t−ブチルアルコールと同様に、毒性が相対的に低位にあり、水と合わせることができ、真空下低温で除去されうるため、エタノールもまた、特に望ましいと考えられる。
【0007】
これらの溶媒、またはこれらの溶媒を含有するブレンドは約30%ないし約40%、約50%まで、約60%まで、約70%まで、約80%まで、約90%まで、約95%まで、約100%v/vまでの量にて存在してもよいが、個々の溶媒をさらに低量にて選択してブレンドを提供し、溶媒の量の合計が所定の範囲にあるようにしてもよい。水は溶媒ブレンドの約0%ないし約70%v/vの量にて存在してもよい。しかしながら、好ましくは、溶媒ブレンドは、溶液全体(v/v%)に基づいて、40%v/v未満の水(すなわち、0%v/vないし40%v/vの水)、好ましくは30%v/v未満の水(すなわち、0%v/vないし30%v/vの水)を含有する。
【0008】
望ましくは、十分な量の水(例えば、40%v/vまたはそれ以上)が凍結乾燥させる前の溶液の溶媒ブレンド中に存在する場合、pHを4ないし6に、これがCCI−779についての最大の安定性の範囲であるため、この範囲に調整することが有利である。一の実施形態において、そのpHを約5.5に調整する。
特定の実施形態において、凍結乾燥させる前の溶液はさらに充填剤または酸化防止剤を含有してもよい。これらの成分は、選択される溶媒または溶媒ブレンドを考慮して、当業者であれば容易に選択することができる。特に、典型的な水可溶性充填剤、例えばショ糖またはポリオールの溶解性は有機溶媒の存在により低下する。これらの実施形態においては、有機溶媒と水とのブレンドを用いて、薬物の適当な濃度と添加物質の適当な濃度との平衡を保たせるために、その組成を調整する。適当な充填剤はマンニトールおよびシュークロースを包含する。加えて、付加的な物質は、ポリビニルピロリドン、デキストラン、澱粉、ラクトース、トレハロースまたはヒドロキシエチル澱粉およびグリセロールを包含する。上記した充填剤の組み合わせは用いられうる。充填剤は凍結乾燥させる前の溶液中0.5ないし10%w/vの範囲にて用いることができる。
【0009】
所望により、本発明の凍結乾燥させる前の溶液は、0.001%ないし1%w/vまたは0.01%ないし0.5%w/vの範囲の濃度にて酸化防止成分を含有してもよいが、より低いまたは高い濃度が望ましい。適当な酸化防止剤および最適濃度として、例えば、BHT(0.005−0.02%w/v)、BHA(0.005−0.02%w/v)、α−トコフェロール(0.05−0.075%w/v)、アスコルビン酸(0.02−0.5%w/v)、エリソルビン酸(0.1−1.0%w/v)、ジチオスレイトール(0.01−0.1%w/v)、ジチオエリスレイトール(0.01−0.1%w/v)、グルタチオン(0.01−0.1%w/v)、アスコルビルパルミタート(0.01−0.02%w/v)、モノチオグリセロール(0.1−0.5%w/v)、プロピルガラート(0.05−0.1%w/v)、亜硫酸水素ナトリウム(0.05−1.0%w/v)、メタ亜硫酸水素ナトリウム(0.025−0.1%w/v)が挙げられる。
【0010】
特定の実施形態において、本発明の処方の酸化防止成分はまた、キレート化活性を示す。かかるキレート化剤として、例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸が挙げられる。金属触媒反応を阻害するが、必ずしもキレート化剤として作用するわけではない、他の酸性化剤は、酢酸およびアスコルビン酸(0.001−0.0.1%w/v)(古典的な酸化防止剤および処方中での金属触媒作用の阻害剤として機能してもよい)を包含する。他のキレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩(0.002−0.1%w/v)、グリシン、グルタミン酸または他のアミノ酸(0.002−0.1%w/v)などの金属イオンとの結合能を有し、CCI−779の安定性の強化能を有するようなかかる物質を包含する。
【0011】
ある実施形態において、キレート化活性を有する成分は、唯一の「酸化防止成分」として本発明の処方に含まれる。典型的には、かかる金属結合成分は、キレート化剤として作用する場合、本明細書に記載の酸化防止成分の濃度範囲の下端にある濃度にて使用される。一例では、クエン酸は、0.01%w/v未満の濃度で使用されると、CCI−779の安定性を強化した。濃度が高ければ高いほど、安定した溶液は得られず、かくして、液体形態にて長期間の貯蔵に供される生成物の場合、あまり望ましくはない。加えて、かかるキレート化剤は本発明の酸化防止成分の一部として他の酸化防止剤と組み合わせて使用されうる。例えば、許容可能な処方はクエン酸とd,l−α−トコフェロールの両方を含有してもよい。選択される酸化防止剤の最適濃度は、本明細書の開示に従って当業者であれば容易に決定することができる。パーセントはすべて凍結乾燥させる前の溶液中の%w/vで表される。
【0012】
望ましくは、凍結乾燥させる前の溶液はpHが4ないし6の範囲にあり、発明者らはかかる範囲でCCI−779の安定性が改善されることを見出した。凍結乾燥させる前の溶液の成分に応じて、必要ならば、適当な無機酸または有機酸、あるいは塩基を用いてそのpHを調整しうる。その後、その凍結乾燥させる前の溶液をフリーズドライに付す。
【0013】
フリーズドライは、製造業者の推奨するセッティングを用い、種々の供給源より入手可能な市販のフリーズドライヤーを用いて行いうる。望ましくは、凍結乾燥させた生成物が1%w/v未満の溶媒/希釈剤を含有するようにフリーズドライさせる。一例において、生成物を約20℃でローディングし、約30℃/時間で約−40℃にまでフローズンさせ、−40℃で6時間保持し、そのフローズン溶液を棚温度を−20℃まで昇温させ、2ないし8時間保持することで熱処理した。別法として、そのフローズン溶液を温度を−40℃から−5℃とし、−20℃に戻すサイクリングに付すことで熱処理することもできる。その後、コンデンサーを開始させ、真空度を(例えば、100mTorrまで)調節し、棚温度を+10℃にまで昇温させた。生成物温度が+10℃に達した場合、該生成物を所望により第二乾燥に付してもよい。かかる第二乾燥は棚温度が約40℃に達した場合に始めることができる。第二乾燥は、例えば100mTorrの圧の下、一夜(例えば、約12ないし18時間)にて、あるいは約24時間までの間行われる。また、この工程はより短期または長期の間行われてもよい。フリーズドライにより、凍結乾燥させたCCI−779中最終固体重量の1重量%未満の量の残留溶媒を有する生成物が得られるのが適当である。第二工程に加えて、または第二工程とは別に、他の処理技法を用いてその得られる凍結乾燥させた物質中の残留溶媒をさらに減らすこともできる。かかる処理技法は窒素スイープを包含する。
【0014】
本発明の凍結乾燥させたCCI−779は、種々の貯蔵条件下、長期に及ぶ期間、95%より多くの効能を保持することが有利である。この凍結乾燥させた組成物は対象にデリバリーするための種々の剤形を調製するのに有用であり、液体および経口剤形の処方に特に有利である。
【0015】
フリーズドライされた復元用のCCI−779を調製する場合、適当な溶媒が選択される。復元用の有効な溶媒は生体適合性があり、適量の薬物を相対的に少量にて溶かし、体液に注入するか、または静脈内注入液に希釈する間の薬物の沈殿を防止する。一例において、非経口的に許容される両親媒性化合物を水、有機溶媒または水と有機溶媒の混合液と組み合わせる。適当な両親媒性化合物の例として、ポリソルベート20、60または80、PEG−35ヒマシ油(例えば、クレモホールEL)などのエトキシル化油、ソルトールHSなどの脂肪酸−PEGエステル、ビタミンEトコフェロールプロピレングリコールスクシナート(ビタミンE TPGS)、シュークロース脂肪酸エステル、胆汁塩、リン脂質および胆汁塩とリン脂質の組み合わせが挙げられる。両親媒性物質の濃度は復元用溶媒中約2%から100%w/vの範囲とすることができる。また、特定の実施形態において、両親媒性物質は凍結乾燥前の処方中のCCI−779と一緒にすることができる。このような実施形態において、復元は水または水と有機溶媒の組み合わせのいずれかを用いて達成されうる。
【0016】
CCI−779が本発明に従って復元される場合、その復元された処方は、0.05mg/mLから、2.5mg/mLから、5mg/mLから、または10mg/mLからおよそ50mg/mLまでの濃度のCCI−779を含有しうる。その濃縮物を希釈剤を用いて1部の希釈剤に対して約1部の濃縮物にまで混合し、1mg/mLから、5mg/mLから、10mg/mLから、20mg/mLから、およそ25mg/mLまでのCCI−779の濃度を有する処方を得る。本発明はまた、共溶媒濃縮物中のCCI−779の濃度がより低い処方を、1部の濃縮物を1部より多くの希釈剤と混合する処方、例えば、濃縮物:希釈剤の割合が1:1.5、1:2、1:3、1:4または1:5v/vなどの処方、CCI−779濃度が検出最低濃度まで低下したCCI−779処方を包含する。適当な希釈剤は、デリバリー経路を考慮して、当業者であれば容易に選択しうる。例えば、希釈剤は、水性の、主として水性の、例えばグルコース溶液、セイライン、セイライン緩衝液、0.9%塩化ナトリウム液、5%デキストロース液、乳酸加リンガー液、あるいは非水性としうる。
【0017】
一の実施形態において、凍結乾燥させたCCI−779は、5ないし10%w/vのポリソルベート80、または約8%w/vのポリソルベート80、35ないし45%w/vの無水アルコールまたは約40%w/vの無水アルコールと、残りが水の希釈剤で5ないし10mg/mLのCCI−779の濃縮物を形成する、非経口経路の投与用に復元される。また、凍結乾燥させたCCI−779は約5ないし10%w/vのポリソルベート80と水を用いて非経口経路の投与用に復元される。所望により、復元された濃縮物を塩化ナトリウム溶液で希釈し、注射用の所望の濃度のCCI−779を得てもよい。
本発明の復元された処方を用いて非経口用剤形を造ることができる。かかる剤形は、直接注射するか、静脈内注入用の滅菌注入液を添加することで投与するのに適する。
【0018】
適当な非経口用剤形の例が米国特許出願番号10/626943およびその対応する国際特許出願WO2004/011000に開示されている。
3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸でのラパマイシン42−エステルの特に適する注射可能な処方が、出典明示により本明細書の一部とされる、米国特許出願番号10/626943および国際特許出願WO2004/011000に開示されている。
【0019】
この実施形態において、本発明にて有用な注射可能な処方は、非経口的に許容される溶媒と、上記した酸化防止剤と、CCI−779を含有する非経口用処方とを含有するCCI−779共溶媒濃縮物であって、CCI−779と、非経口的に許容される共溶媒と、酸化防止剤と、希釈溶媒と、界面活性剤とからなるCCI−779共溶媒濃縮物を提供する。本発明にて有用な所定のいずれの処方も各種構成要素の中の複数の成分を含有してもよい。例えば、非経口的に許容される溶媒は、非アルコール性溶媒、アルコール性溶媒またはそれらの混合液を包含しうる。適当な非アルコール性溶媒の例は、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドまたはその混合液を包含する。アルコール性溶媒」は処方のアルコール性溶媒成分として1またはそれ以上のアルコールを含有してもよい。本発明の処方にて有用な溶媒として、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000またはその混合液が挙げられるが、これに限定されない。酸化およびラクトン切断を介する分解がエタノールおよびプロピレングリコールではより低い程度でしか生じないため、これらの共溶媒が特に望ましい。さらには、エタノールとプロピレングリコールを組み合わせることもできる。
【0020】
本発明にて有用な非経口用処方の特定の実施形態において、注入水溶液または血液での希釈の際に、CCI−779の沈殿が希釈溶液中に含まれる界面活性剤の使用を介して防止されることが有利である。一の特に望ましい界面活性剤がポリソルベート20またはポリソルベート80である。しかしながら、当業者であれば、他の適当な界面活性剤を容易に選択することができる。希釈剤の他の成分として、水、エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000あるいは1またはそれ以上のこれらのポリエチレングリコールを含有するブレンド、プロピレングリコール、および他の非経口的に許容される共溶媒または塩化ナトリウム、ラクトース、マンニトールまたは他の非経口的に許容されるショ糖、ポリオールおよび電解質などの溶液の浸透圧を調節する物質が挙げられる。界面活性剤は、希釈溶液の2ないし100%w/v、希釈溶液の5ないし80%w/v、10ないし75%w/v、15ないし60%w/v、好ましくは少なくとも5%w/v、または少なくとも10%w/vからなるであろうと考えられる。
【0021】
本発明において有用な非経口用処方は、その後で希釈溶媒および適当な界面活性剤を含有する希釈剤と組み合わされる、単一溶液として調製され得、あるいは好ましくはCCI−779、アルコール性溶媒、および酸化防止剤を含有する共溶媒濃縮物として調製されうる。
本発明において有用な非経口用処方を用いて、直接注射するか、静脈内注入用の滅菌注入液を添加することで投与するのに適する剤形を生成することができる。
ある場合には、エアロゾルの形態にて化合物を気道に直接投与することが望ましい。
また、本発明の復元された処方を用いて経口投与に適する剤形を生成することもできる。適当な経口用剤形の例が、出典明示により本明細書の一部とされる、米国特許出願番号10/663506およびその対応する国際特許出願WO2004/026280;米国特許第6197781号および米国特許第6004973号に記載されている。かかる経口用処方はCCI−779、水可溶性ポリマー、pH修飾剤、界面活性剤および酸化防止剤を含有する。
【0022】
本発明の組成物はキットの部材の形態にて生成されうる。かかるキットは水性医薬組成物の調製に有用である。典型的には、該キットは、最低限、本発明の凍結乾燥させたCCI−779組成物を有する第一の容器、およびCCI−779組成物用の生理学的に許容される溶媒を有する第二の容器を含有するであろう。他の構成要素として、バイアル、スターラー、蓋、ならびに復元、混合および/または使用のための取扱説明書を挙げることができる。凍結乾燥させたCCI−779または復元されたCCI−779と一緒に投与計画にて投与される他の活性成分もまた提供されることが望ましい。本発明はまた、個々の哺乳動物の治療コースにて使用される医薬用パックであって、CCI−779および1またはそれ以上の上記したキット構成要素を含有するパックを包含する。
【0023】
以下の実施例は本発明の例示である。本発明は本明細書に記載のパーセント、成分および技法により限定されるものではない。
【0024】
実施例
実施例1ないし8は、本発明の方法に従ってフリーズドライさせる、本発明の凍結乾燥させる前の処方を提供する。
実施例1:
【表1】

【0025】
上記の溶液を濾過し、ガラスバイアルに入れ、フリーズドライさせてt−ブチルアルコール−水の混合液を除去した。栓をする前にバイアルを窒素気体で埋め戻した。X−線回折パターンは得られた物質が大部分非晶質であることを示した。フリーズドライさせた物質は40℃で5ヶ月経過後に98%以上の効能を保持していることがわかった。
【0026】
実施例2:
【表2】

【0027】
上記の溶液を濾過し、ガラスバイアルに入れ、フリーズドライさせてt−ブチルアルコール−水の混合液を除去した。栓をする前にバイアルを窒素気体で埋め戻した。X−線回折パターンは、結晶性薬物の痕跡がなく、フリーズドライさせたマンニトールのプラセボ処方のパターンと密接に合致した。フリーズドライさせた物質は40℃で1ヶ月貯蔵し、そして室温で6ヶ月貯蔵した後で95%以上の初期効能を保持していることが判明した。
【0028】
実施例3:
【表3】

【0029】
上記の処方において、低濃度のt−ブチルアルコールは広範囲の充填剤、マンニトールを凍結乾燥させる前の溶液に配合することを可能とする。一の実施形態において、2%w/vのマンニトールを含有する溶液を濾過し、ガラスバイアルに入れ、フリーズドライさせてt−ブチルアルコール−水の混合液を除去した。栓をする前にバイアルを窒素気体で埋め戻した。X−線回折パターンは、結晶性薬物の痕跡がなく、フリーズドライさせたマンニトールのプラセボ処方のパターンと密接に合致した。
【0030】
実施例1および3(実施例3は5%w/vマンニトールを用いた)において、100mTorr圧の下、24時間までの間、40℃の第二の乾燥温度を用いて固体の最終重量を1%未満のレベルまでt−ブチルアルコールの残留物を減少させた。
【0031】
実施例4−8は本発明の他の凍結乾燥前の処方を記載する。
実施例4:
【表4】

これらの実施例にて用いる場合の無水アルコール(USP)は少なくとも98容量のエタノール(エチルアルコール)からなる。
【0032】
実施例5:
【表5】

【0033】
実施例6:
【表6】

【0034】
実施例7:
【表7】

【0035】
実施例8:
【表8】

【0036】
上記の溶液を濾過し、ガラスバイアルに入れ、フリーズドライさせてアルコール−水の混合液を除去する。栓をする前にバイアルを窒素気体で埋め戻す。X−線回折パターンは得られた物質が大部分非晶質であることを示すと予想される。フリーズドライさせた物質は40℃で数ヶ月貯蔵した後で効能を保持していると考えられる。
【0037】
実施例9および10は非経口経路で投与するための凍結乾燥させたCCI−779処方の復元について説明する。
実施例9:
【表9】

【0038】
上記した希釈剤を実施例3に加え、10mg/mLのCCI−779の復元された溶液を製造した。この復元された溶液は0.9%塩化ナトリウム液で1:10に希釈し、バイアル沈殿物のない混合物を得ることができた。
ある場合には、水高含量の希釈剤を用い、凍結乾燥させた溶液よりも低い濃度でフリーズドライさせた物質を復元することができる。
【0039】
実施例10:
【表10】

【0040】
上記した希釈剤を実施例2に加え、5mg/mLのCCI−779の復元された溶液を製造した。この溶液は、直接注射されてもよく、あるいは静脈内注射用に0.9%塩化ナトリウム液で希釈されてもよい。
【0041】
本明細書にて同定されている文献はその内容を出典明示により本明細書の一部とする。本明細書に記載の技法および成分の種々の修飾は当業者に明らかであるし、添付した特許請求の範囲に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーズドライさせたCCI−779を調製するのに有用な溶液であって、0.1mg/mLないし250mg/mLのCCI−779と、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコールおよびそのブレンドからなる群より選択される、さらに水を含有していてもよい、少なくとも30%v/vの溶媒とを含む、溶液。
【請求項2】
40%v/vの水を含み、pHが4ないし6の範囲にあるところの、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
40%ないし70%v/vの溶媒を含むところの、請求項1記載の溶液。
【請求項4】
t−ブチルアルコールを含むところの、請求項1記載の溶液。
【請求項5】
溶媒がエタノールであるところの、請求項1記載の溶液。
【請求項6】
溶媒が水中40ないし60v/v%の範囲にてt−ブチルアルコールを含むところの、請求項4記載の溶液。
【請求項7】
水を含有し、pHが約5.5であるところの、請求項1記載の溶液。
【請求項8】
10mg/mLないし100mg/mLのCCI−779を含む、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項9】
さらに2ないし5%w/vの充填剤を含むところの、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項10】
充填剤がマンニトールであるところの、請求項9記載の溶液。
【請求項11】
さらに酸化防止剤を含むところの、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項12】
凍結乾燥させたCCI−779処方を調製する方法であって、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の溶液をフリーズドライさせる工程を含む、方法。
【請求項13】
凍結乾燥させたCCI−779処方を調製する方法であって、
(a)pHが4ないし6であって、10mg/mLないし100mg/mLのCCI−779、2ないし5%w/vのマンニトールおよび水中t−ブチルアルコールを含む、溶液を調製する工程;および
(b)該溶液をフリーズドライさせて、凍結乾燥させたCCI−779を形成する工程
を含む、方法。
【請求項14】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の溶液をフリーズドライさせることで形成された凍結乾燥させたCCI−779処方。
【請求項15】
液体形態にてデリバリーするためのCCI−779を調製する方法であって、CCI−779を非経口的に許容される溶媒で復元し、濃縮物のCCI−779溶液を形成させ、該濃縮溶液を水を含む希釈液と混合し、CCI−779の液体剤形を形成させる工程を含む、方法。
【請求項16】
希釈液がさらに5ないし8%w/vのポリソルベート80を含むところの、請求項15記載の方法。
【請求項17】
希釈液がさらに無水アルコールを含むところの、請求項15または請求項16記載の方法。
【請求項18】
濃縮溶液が0.9%塩化ナトリウム溶液で1:9に希釈されるところの、請求項15記載の方法。
【請求項19】
請求項15ないし18のいずれかに記載の方法により形成されるCCI−779の液体剤形。
【請求項20】
CCI−779を貯蔵安定性を強化する方法であって、25mg/mLないし100mg/mLのCCI−779およびt−ブチルアルコールを含む、pH4ないし6の溶液を凍結乾燥させる工程を含む、方法。
【請求項21】
溶液がさらに2ないし5%w/vのマンニトールを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
請求項14に記載の凍結乾燥させたCCI−779用の容器と、その復元用の溶媒とを含むキット。

【公表番号】特表2007−500191(P2007−500191A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521942(P2006−521942)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/023773
【国際公開番号】WO2005/011688
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】