説明

CETP阻害剤による治療方法

【課題】 本発明は、哺乳動物における心臓血管疾患、狭心症、虚血、卒中、高血圧、肥満、冠状動脈疾患などの障害または症状の治療方法を提供するものである。
【解決手段】 コレステロールエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤、このような阻害剤を含む医薬組成物、一定の疾患/症状を治療するための、場合により一定の治療剤、例えばHMG CoA還元酵素阻害剤と組み合わせた、このような阻害剤を使用することよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステロールエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤、このような阻害剤を含有する医薬組成物、及び場合により一定の治療剤、例えばHMG CoA阻害剤と組み合わせた一定の疾患/症状を治療するためのこのような阻害剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化症及びそれに関連する冠状動脈疾患(CAD)は、先進工業世界における主要な死亡原因である。二次的危険因子(喫煙、肥満、運動不足)を緩和しようとする試み、及び食事の変更及び薬物療法による異常脂血症(dyslipidemia)の治療にもかかわらず、冠状動脈性心疾患(coronary hard disease)(CHD)は米国で最も普通の死亡原因のままであり、心臓血管病は全死亡の44%を占めており、これらの53%がアテローム性硬化冠状動脈疾患に関連している。
【0003】
この症状が発症する危険性は、或る種の血漿脂質レベルと強く相関することが示されている。高まったLDL−Cは異常脂血症の最も認められた形態であり得るが、それは決してCHDへの唯一の有意な脂質に関連する寄与因子ではない。低いHDL−CもまたCHDの既知危険因子である(Gordon, D.J., et al.,: “High-density Lipoprotein Cholesterol and Cardiovascular Disease”, Circulation, (1989), 79: 8-15)。
【0004】
高いLDL−コレステロール及びトリグリセリドレベルは、心臓血管病の発症する危険性と正の相関を有するが、高いHDL−コレステロールは負の相関を有する。従って、異常脂血症が、CHDの単一のリスクプロフィールではなく、一つ又はそれ以上の脂質異常からなり得る。
【0005】
これらの疾患依存性成分の血漿レベルを制御する多くの因子のうち、コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)活性は、三つの全てをもたらす。多数の動物種(ヒトを包含する)に見出されるこの70,000ダルトン血漿糖タンパク質の役割は、コレステリルエステル及びトリグリセリドを、高比重リポタンパク質(HDL)、低比重リポタンパク質(LDL)、超低比重リポタンパク質(VLDL)、及びカイロミクロンを含むリポタンパク質粒子の間で輸送することにある。CETP活性の最終結果は、HDLコレステロールの低下及びLDLコレステロールの上昇である。リポタンパク質プロフィールのこの効果は、脂質プロフィールがCHDへの危険性の上昇をもたらす被験者では特に、前粥腫発生状態であると信じられる。
【0006】
高められたHDLと広く関連する有益な効果のために、ヒトにおけるCETP活性を阻害する物質は、そのHDL上昇能により、多数の他の疾患分野においても治療のための貴重な道を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、哺乳動物における心臓血管疾患、狭心症、虚血、心虚血、卒中、再かん流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、糖尿病の血管合併症、肥満、内毒素血症、脳血管疾患、冠状動脈疾患、高血圧、心室機能障害、心不整脈、肺血管疾患、末梢血管疾患、腎血管性疾患、腎臓疾患、内臓血管疾患、血管うっ血疾患、糖尿病、炎症性疾患、自己免疫障害及び他の全身性疾患適応症、免疫機能変調、肺疾患、抗酸化疾患、性機能障害、認知機能障害、住血吸虫症及び癌から選択される障害又は症状の治療方法に関し、該方法は、該哺乳動物に、治療上有効量の式1
【化1】

[式中;
1は、Y、W−O−Y又はW−Yであり;ここで、Wは、カルボニルであり;それぞれ存在するYは、独立して、Z又は(C1−C10)アルキルであり、ここで、炭素の1個はS、O又はNで置き換えられていてもよく、そしてYが(C1−C10)アルキルである場合には、Yは、場合によりハロ、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、アミド、カルボキシ及びZから独立して選択される1〜9個の置換基で置換されており;ここで、Zは、場合によりO、S及びNから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する部分飽和、完全飽和又は完全不飽和の3〜8員環又は二環式環系であり、ここで、Zは、場合によりハロ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C1−C6)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−及びジ−N,N−(C1−C6)アルキルアミノから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており、ここで、該(C1−C6)アルキル置換基は、場合によりハロ、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシ、シアノ、オキソ、アミノ、アミド、カルボキシ、モノ−N−及びジ−N,N−(C1−C6)アルキルアミノ、並びに(C1−C6)アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており、該(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシ置換基はまた、場合により1〜9個のフッ素で置換されており;
2は、(C1−C4)アルキル又は(C3−C6)シクロアルキルであり;
4は、V0、−COO(C1−C4)アルキル、シアノ、−CHO、−CONH2又は−CO(C1−C4)アルキルであり;ここで、V0は、テトラゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、フラニル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、チオフェニル、ピリミジニル又はピリジニルであり、ここで、V0は、場合により(R0)nで置換されており、ここで、nは、1、2、3又は4であり、そして各R0は、独立して、ハロ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、カルボキサモイル、カルボキシ又は(C1−C6)アルキルオキシカルボニルであり、ここで、該(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシ置換基は、場合により1若しくは2個のオキソ、1若しくは2個のヒドロキシ又は1〜9個のハロで独立して置換されており;そして
5、R6、R7及びR8は、独立して、水素、シアノ、ハロ、(C1−C4)アルコキシ又は(C1−C4)アルキルであり、ここで、該(C1−C4)アルキル及び(C1−C4)アルコキシは、場合により1〜7個のハロで独立して置換されており;但し、R4がV0以外である場合には、R1は(C1−C6)アルキルではなく、そしてR1はアミド置換基又はカルボキシ置換基を有するものとする]
の化合物又は該化合物の医薬上許容される塩を、場合によりHMG CoA還元酵素阻害剤又はその医薬上許容される塩と組み合わせて、この活性な薬剤をして該障害又は症状の治療において有効にする量で投与することを含む。
【0008】
本発明の別の態様は、
a) (2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド;トランス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド;シス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド; [2R,4S]−4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−メトキシカルボニル−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル;(2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール;及び(2R,4R,4aS)−4−[アミノ−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸イソプロピルエステル、又は該化合物の医薬上許容される塩からなる群から選択されるCETP阻害剤;並びに
b) (3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;及び(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、又は該化合物の医薬上許容される塩からなる群から選択されるHMG CoA還元酵素阻害剤
を含む医薬組み合わせ組成物を包含する。
【0009】
もう一つの態様において、本発明は、哺乳動物におけるアテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、冠状動脈性疾患、冠血管疾患、末梢血管疾患、異常脂質血症、高ベータリポタンパク質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症又は心筋梗塞の治療方法に関し、該方法は、このような治療が必要な哺乳動物に、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、冠状動脈性疾患、冠血管疾患、末梢血管疾患、異常脂質血症、高ベータリポタンパク質血症、低アルファリポタンパク質血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症又は心筋梗塞を治療する量の組み合わせ組成物を投与することを含む。
【0010】
上記の一般的な記載及び下記の詳細な記載の両方は、例示及び説明のためにすぎず、そして特許請求した本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0011】
本発明は、本明細書に含まれる本発明の例示的な実施形態及び実施例についての下記の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解することができるであろう。
【0012】
本発明の化合物、組成物及び方法を開示及び説明する前に、本発明は製造の特定の合成方法に限定されるものでなく、それらは当然のことながら変更し得るものであると理解すべきである。また、本明細書で用いられる命名法は、個々の実施形態を説明する目的のためのものにすぎず、そして限定する意図はないことを理解すべきである。
【0013】
本発明はまた、本発明の化合物の医薬上許容される酸付加塩に関する。本発明の上記の塩基化合物の医薬上許容される酸付加塩を製造するために用いられる酸は、無毒性酸付加塩(すなわち、薬理学的に許容されるアニオンを含有する塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、重酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(すなわち、1,1'−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))を形成する酸である。
【0014】
本発明はまた、本発明の化合物の塩基付加塩に関する。酸性の性質を有する本発明の化合物の医薬上許容される塩基塩を製造するための試薬として使用できる化学塩基は、このような化合物と無毒性塩基塩を形成する塩基である。このような無毒性塩基塩は、薬理学的に許容されるカチオン、例えばアルカリ金属カチオン(例えば、カリウム及びナトリウム)及びアルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウム及びマグネシウム)から誘導される塩、アンモニウム又は水溶性アミン付加塩、例えば N−メチルグルカミン−(メグルミン)、及び低級アルカノールアンモニウム塩、並びに医薬上許容される有機アミンの他の塩基塩を包含するが、これらに限定されない。
【0015】
化学の当業者は、本発明の一定の化合物が、特定の立体化学的又は幾何学的配置をとり得る1個又はそれ以上の原子を含有し、立体異性体及び立体配置異性体が生じることを認識するだろう。このような全ての異性体及びそれらの混合物は本発明に包含される。本発明の化合物の水和物及び溶媒和物もまた包含される。
【0016】
本発明の化合物が2個又はそれ以上の立体中心を有し、そして絶対又は相対立体化学が名称で与えられる場合には、記号表示R及びSはそれぞれ、各分子のための従来のIUPAC番号体系による番号昇順(1、2、3等)にある各立体中心を指す。本発明の化合物が1個又はそれ以上の立体中心を有し、そして立体化学が名称又は構造で与えられない場合には、その名称又は構造は、ラセミ形態を含めて全ての化合物の形態を包含することを意図するものと理解される。
【0017】
本発明の化合物は、オレフィン様二重結合を含有し得る。このような結合が存在する場合には、本発明の化合物はシス及びトランス立体配置、並びにそれらの混合物として存在する。「シス」という用語は、2個の置換基の相互及び環平面に関する方向(両方とも「上方」又は両方とも「下方」の何れかである)を指す。同様に、「トランス」という用語は、2個の置換基の相互及び環平面に関する方向(置換基は環の反対側にある)を指す。アルファ及びベータは、置換基の環平面に関する方向を指す。ベータは環平面の上であり、そしてアルファは環平面の下である。
【0018】
本発明はまた、同位体標識された化合物を包含し、それらは、1個又はそれ以上の原子が特定の原子質量又は質量数を有する1個又はそれ以上の原子で置き換えられているという事実を除いて、式I及びIIで記載される化合物と同一である。本発明の化合物に導入できる同位体の例は、それぞれ水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素及び塩素の同位体、例えば2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、18F及び36Clを包含する。上記の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物、それらのプロドラッグ、及び該化合物又は該プロドラッグの医薬上許容される塩は、本発明の範囲内にある。一定の同位体標識された本発明の化合物、例えば3H及び14Cのような放射性同位体が導入された化合物は、薬剤及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム(すなわち、3H)及び炭素−14(すなわち、14C)同位体は、それらの製造及び検出が容易であるために特に好ましい。更に、より重い同位体、例えばジュウテリウム(すなわち、2H)による置換は、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の延長又は必要投与量の減少に起因する一定の治療上の利益を与え、従って事情によっては好ましいことがある。同位体標識された本発明の化合物及びそれらのプロドラッグは、以下のスキーム及び/又は実施例に開示された手順により、同位体標識されていない試薬の代わりに入手容易な同位体標識された試薬を用いることによって一般的に製造することができる。
【0019】
本明細書及び請求項において、多数の用語について述べるが、これらの用語は下記の意味を有すると定義されるものとする:
本明細書で用いられる「a」又は「an」は、一つ又はそれ以上を意味し得る。「含む」という語と連結して用いられる場合に、請求項で用いられる「a」又は「an」という語は、一つ又は二つ以上を意味し得る。本明細書で用いられる「別の」は、少なくとも第二又はそれ以上を意味し得る。
【0020】
「約」という用語は、名目値のプラス又はマイナス10%の近似値を示す相対語を指し、それは、一つの実施形態ではプラス又はマイナス5%、別の実施形態ではプラス又はマイナス2%を指す。本明細書の分野において、この近似値レベルは、具体的に述べられた値がより狭い範囲を必要としない限り、適切である。
【0021】
本明細書で用いられる「加齢関連黄斑変性」という用語は、約50歳を過ぎた個体における湿潤型及び乾燥型の形態両方の早期又は後期の黄斑変性を指す。一つの特定的形態において、それは、中心視野の減少と、進行した症例では法的盲(legal blindness)をもたらす網膜の黄斑領域における光受容体の破壊及び損失に関連する。
【0022】
本明細書で用いられる「ブルック膜」という用語は、網膜色素上皮、RPEから脈絡膜毛細血管層を分離する5層構造を指す。
本明細書で用いられる「黄斑」という用語は、網膜の中心領域の光感覚細胞又は光受容体を指す。
本明細書で用いられる「黄斑変性」という用語は、網膜の中心部分、黄斑の変性を指す。
【0023】
本明細書で用いられる「脳血管疾患」という用語は、虚血性発作(例えば、一過性)、虚血性卒中(一過性)、急性卒中、脳溢血、出血性卒中、卒中後神経脱落症状、初回卒中、再発性卒中、卒中後の回復時間の短縮及び卒中のための血栓溶解療法の準備からなる群から選択されるが、これらに限定されない。好ましい患者集団は、既存の卒中又は冠状動脈性疾患を有するか又は有しない患者を包含する。
【0024】
本明細書で用いられる「冠状動脈疾患」という用語は、動脈硬化性プラーク(予防、退縮、安定化)、不安定プラーク(予防、退縮、安定化)、不安定プラーク面積(減少)、動脈石灰化(例えば、石灰沈着大動脈狭窄)、冠状動脈カルシウムスコアの上昇、機能不全性血管反応性、血管拡張障害、冠状動脈痙攣、初回心筋梗塞、再心筋梗塞、虚血性心筋症、ステント再狭窄、PTCA再狭窄、動脈再狭窄、冠状動脈バイパス移植片再狭窄、血管バイパス再狭窄、運動トレッドミル時間の減少、狭心症/胸痛、不安定狭心症、労作性呼吸困難、運動能力の低下、虚血(までの時間の短縮)、無症候性虚血(までの時間の短縮)、虚血性症状の重症度及び頻度の上昇、急性心筋梗塞のための血栓溶解療法後の再かん流からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で用いられる「高血圧」という用語は、高血圧を伴う脂質障害、収縮期高血圧及び拡張期高血圧からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書で用いられる「心室機能不全」という用語は、収縮期機能不全、拡張期機能不全、心不全、うっ血性心不全、拡張型心筋症、特発性拡張型心筋症及び非拡張型心筋症からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で用いられる「心不整脈」という用語は、心房性不整脈、上室性不整脈、心室性不整脈及び突然死症候群からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で用いられる「肺血管疾患」という用語は、肺高血圧、末梢動脈閉塞及び肺塞栓からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で用いられる「末梢血管疾患」という用語は、末梢血管疾患及び跛行からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で用いられる「腎血管性/腎疾患」という用語は、腎血管性疾患、腎性高血圧及び腎大動脈狭窄からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で用いられる「内臓血管疾患」という用語は、虚血性腸疾患からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で用いられる「血管血流遮断疾患」という用語は、深部静脈血栓症、鎌状赤血球貧血の血管閉塞性合併症、静脈瘤、肺塞栓、一過性虚血性発作、人工心臓弁を有する患者における卒中を含む塞栓イベント、右心室又は左心室補助装置を有する患者における卒中を含む塞栓イベント、動脈内バルーンポンプ支持器を有する患者における卒中を含む塞栓イベント、人工心臓を有する患者における卒中を含む塞栓イベント、心筋症を有する患者における卒中を含む塞栓イベント、心房細動又は心房粗動を有する患者における卒中を含む塞栓イベントからなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で用いられる「糖尿病」という用語は、多数の糖尿病誘発性状態の何れをも指し、それらは、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、メタボリック症候群、インスリン抵抗性に関連する脂質障害、グルコーストレランスの障害、非インスリン依存性糖尿病、微小血管糖尿病合併症、神経伝導速度の低下、視力の低下又は失明、糖尿病性網膜症、切断術のリスク上昇(increased risk of amputation)、腎機能の低下、腎不全、インスリン抵抗性症候群、多メタボリック症候群、中枢脂肪過多症(central adiposity)(内臓)(上半身)、糖尿病性異常脂質血症、インスリン感受性の低下、糖尿病性網膜症/神経障害、糖尿病性神経障害/ミクロ及びマクロ血管症並びにミクロ/マクロタンパク尿症、糖尿病性心筋症、糖尿病性胃不全麻痺、肥満、ヘモグロビングリコシル化の上昇(HbA1Cを含む)、グルコース制御の改善、腎機能障害(透析、末期)及び肝機能障害(軽度、中等度、重度)を包含する。
【0034】
本明細書で用いられる「炎症性疾患、自己免疫障害及び他の全身性疾患」という用語は、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、骨関節炎、過敏性腸症候群、過敏性腸疾患、クローン病、大腸炎、血管炎、紅斑性狼瘡、サルコイドーシス、アミロイド症、アポトーシス、及び補体系の障害からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で用いられる「免疫機能疾患」という用語は、移植片血管障害、充実臓器移植拒絶反応、移植片拒絶反応、トキシン隔離/除去障害、CXCケモカイン、インターロイキン(インターロイキン−1、6及び8を含む)、好中球活性化タンパク質−2(NAP−2)、メラノーマ成長刺激活性タンパク質(MGSA)レベルの上昇、CCケモカイン、RANTES、MIP−1アルファ及びベータ、MCP−1、2、3、4、5、エオタキシン−1、2、3、C−反応性タンパク質(高感受性C−反応性タンパク質を含む)及びTNFアルファレベルの上昇からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で用いられる「肺疾患」という用語は、肺線維症、肺気腫、閉塞性肺疾患、慢性低酸素性肺疾患、抗酸化剤欠乏症、過剰酸化剤障害及び喘息からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で用いられる「アンチ−オキシダント疾患」という用語は、加齢、死亡、アポトーシス及び酸化的ストレスの上昇からなる群から選択されるが、これらに限定されない。本明細書で用いられる「性機能障害」という用語は、男性の性機能障害、勃起障害、並びに女性の性機能障害、女性の性的興奮障害からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で用いられる「認知機能障害」という用語は、アテローム性動脈硬化症、神経変性、神経欠損、及び遅発性又は進行性アルツハイマー病に続発する認知症からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0039】
更に、CETP化合物及びそれらを含む組み合わせはまた、神経変性性疾患、例えばパーキンソン病、ハンチントン病、アミロイド沈着及び筋萎縮側索硬化症のために有用である。
【0040】
本明細書で用いられる「癌」という用語は、化学療法抵抗性、無秩序な細胞成長、過形成(例えば、良性前立腺肥大)、及び組織中に正常に配置している多数の正常細胞の多数の異常な増殖又は増加の何れをも指すが、これらに限定されない。本明細書に包含される化合物及び組み合わせはまた、癌の予防のために有用である。
【0041】
本明細書で用いられる哺乳動物という用語は、それらの血漿中にCETPを含有する全ての哺乳動物、例えば、ウサギ並びに霊長類、例えばサル及びヒトを指すことを意味する。いくつかの他の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ及びウマは、それらの血漿中にCETPを含有しないので、ここには包含されない。
【0042】
本明細書で用いられる「治療すること」「治療する」及び「治療」という用語は、防止的(例えば、予防的)及び一次緩和的治療を含めて、既存の症状に対する治療効果である、疾患、障害及び/又はそれらの一つ又はそれ以上の症状を緩和、軽減、排除又はそのほかに調節することを包含する。「防止的治療」という用語は、被験者が疾患、障害及び/又はそれらの症状を獲得することからの危険性を妨げるか又は減少させることを指す。
【0043】
「治療上有効量」という用語は、治療しない場合に生じる症状と比較して、治療される状態又は障害の症状の一つ又はそれ以上の発症又は再発を改善するか又は結果として防止するのに十分な活性成分の量を指す。改善は一時的又は永続的であってよい。
【0044】
「医薬上許容される」とは、担体、希釈剤、賦形剤及び/又は塩が、製剤の他の成分と適合しなければならず、そしてそれらのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0045】
「プロドラッグ」という表現は、薬剤前駆体であって、これが投与後にインビボで何らかの化学的又は生理学的過程によりその薬剤を放出する化合物を指す(例えば、プロドラッグは、生理的pHにされるとき又は酵素作用により所望の薬剤形態に変換される)。
【0046】
「医薬上許容される塩」という表現は、アニオンを含有する無毒性アニオン性塩、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩及び4−トルエンスルホン酸塩を指す(しかし、これらに限定されない)。この表現はまた、無毒性カチオン性塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩又はプロトン化ベンザチン(N,N'−ジベンジルエチレンジアミン)塩、コリン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、メグラミン(N−メチル−グルカミン)塩、ベネタミン(N−ベンジルフェネチルアミン)塩、ピペラジン塩又はトロメタミン(2−アミノ−2-ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)塩を指す(しかし、これらに限定されない)。
【0047】
本明細書で用いられる「反応不活性溶剤」及び「不活性溶剤」という表現は、所望の生成物の収率に有害作用を及ぼす方法で出発材料、試薬、中間体又は生成物と相互作用しない溶剤又はその混合物を指す。
【0048】
「シス」という用語は、2個の置換基の相互及び環平面に関する方向(両方とも「上方」又は両方とも「下方」の何れかである)を指す。同様に、「トランス」という用語は、2個の置換基の相互及び環平面に関する方向(置換基は環の反対側にある)を指す。
【0049】
アルファ及びベータは、置換基の環平面(すなわち、紙面)に関する方向を指す。ベータは環平面(すなわち、紙面)の上であり、そしてアルファは環平面(すなわち、紙面)の下である。
【0050】
一つに実施形態では、式1の化合物において、
1は、W−Yであり;R2は、メチル、エチル、2−プロピル、シクロプロピル、tert−ブチル又はシクロブチルであり;R4は、場合により(C1−C4)アルキルでそれぞれ置換されたテトラゾリル又はオキサジアゾリルであり、ここで、(C1−C4)アルキルは、場合により1〜6個のフッ素で置換されており;R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、メチル、シアノ、OCF3又はCF3であり;Yは、Z又は(C1−C10)アルキルであり、ここで、該(C1−C10)アルキル置換基は、場合によりハロ、オキソ、アミノ、アミド、(C1−C6)アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ及び(C1−C6)アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており;そしてZは、(C3−C6)シクロアルキルであって場合により1又は2個のオキソ、アミノ、アミド、カルボキシ、(C1−C6)アルコキシ又は(C1−C6)アルキルから独立して選択される置換基で置換されており、ここで、該(C1−C6)アルキル置換基は、場合によりハロ、オキソ、アミノ、アミド、(C1−C6)アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ及び(C1−C6)アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されている。
【0051】
別の実施形態では、式1の化合物において、R4は、2−メチル−テトラゾール−5−イルである。
【0052】
別の実施形態において、式1の化合物は、
【化2】

又はその医薬上許容される塩である。
【0053】
一つの実施形態において、脳血管疾患は、虚血性発作、虚血性卒中、急性卒中、出血性卒中、卒中後神経脱落症状からなる群から選択され、この場合に治療は卒中後の回復時間を短縮し、そして卒中のための血栓溶解療法を提供するだろう。
【0054】
一つの実施形態において、冠状動脈疾患は、動脈硬化性プラーク、不安定プラーク、不安定プラーク領域(vulnerable plaque area)、動脈石灰化、冠状動脈カルシウムスコアの上昇、機能不全性血管反応性、血管拡張障害、冠状動脈痙攣、初回心筋梗塞、再心筋梗塞、虚血性心筋症、ステント再狭窄、PTCA再狭窄、動脈再狭窄、冠状動脈バイパス移植片再狭窄、血管バイパス再狭窄、運動トレッドミル時間の減少、狭心症/胸痛、労作性呼吸困難、運動能力の低下、虚血、無症候性虚血、虚血性症候群の重症度及び頻度の上昇、急性心筋梗塞のための血栓溶解療法後の再かん流からなる群から選択される。
【0055】
一つの実施形態において、高血圧は、高血圧を伴う脂質障害、収縮期高血圧及び拡張期高血圧からなる群から選択される。
一つの実施形態において、血漿低密度LDL、酸化LDL、VLDL、アポ(a)又はLp(a)が減少しているか又はプレ−ベータHDL、HDL−1、2及び3粒子が増加している。
【0056】
一つの実施形態において、糖尿病は、II型糖尿病、X症候群、メタボリック症候群、インスリン抵抗性に関連する脂質障害、非インスリン依存性糖尿病、膵島ベータ細胞アポトーシス、膵島ベータ細胞機能障害、グルコース制御の障害、微小血管糖尿病合併症、神経伝導速度の低下、視力の低下又は失明、糖尿病性網膜症、切断の危険の上昇、腎機能の低下、腎不全、メタボリック症候群、インスリン抵抗性症候群、多メタボリック症候群、中枢性脂肪症(内臓)(上半身)、糖尿病性異常脂質血症、インスリン感作の低下、糖尿病性網膜症/神経障害、糖尿病性神経障害/ミクロ及びマクロ血管症並びにミクロ/マクロタンパク尿症、異常脂質血症、糖尿病性心筋症、糖尿病性胃不全麻痺、肥満、ヘモグロビンのグリコシル化の上昇、腎機能障害及び肝機能障害からなる群から選択される。
【0057】
一つの実施形態において、認知機能障害は、アテローム性動脈硬化症、一過性脳虚血発作、神経変性、神経欠損、及び遅発性又は進行性アルツハイマー病に続発する認知障害からなる群から選択される。一つの実施形態において、心室機能不全は、収縮期機能不全、拡張期機能不全、心不全、うっ血性心不全、拡張型心筋症、特発性拡張型心筋症及び非拡張型心筋症からなる群から選択される。
一つの実施形態において、心不整脈は、心房性不整脈、上室性不整脈、心室性不整脈及び突然死症候群からなる群から選択される。
一つの実施形態において、肺血管疾患は、肺高血圧及び肺塞栓からなる群から選択される。
一つの実施形態において、腎血管性/腎疾患は、腎血管性疾患、腎性高血圧及び腎大動脈閉塞からなる群から選択される。
一つの実施形態において、内臓血管疾患は、虚血性腸疾患からなる群から選択される。
【0058】
一つの実施形態において、血管血流遮断疾患は、深部静脈血栓症、鎌状赤血球貧血の血管閉塞性合併症、静脈瘤、肺塞栓、一過性虚血性発作、人工心臓弁を有する患者における塞栓イベント(卒中を含む)、右心室又は右心室補助装置を有する患者における塞栓イベント(卒中を含む)、動脈内バルーンポンプ支持器を有する患者における塞栓イベント(卒中を含む)、人工心臓を有する患者における塞栓イベント(卒中を含む)、心筋症を有する患者における塞栓イベント(卒中を含む)、心房細動又は心房粗動を有する患者における塞栓イベント(卒中を含む)からなる群から選択される。
【0059】
一つの実施形態において、炎症性疾患、自己免疫障害及び他の全身性疾患は、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、骨関節炎、過敏性腸症候群、過敏性腸疾患、クローン病、大腸炎、血管炎、紅斑性狼瘡、サルコイドーシス、アミロイドーシスびアポトーシスからなる群から選択される。
一つの実施形態において、肺疾患は、肺線維症、肺気腫、閉塞性肺疾患、慢性低酸素性肺疾患、抗酸化剤欠乏症、過剰酸化剤障害及び喘息からなる群から選択される。
一つの実施形態において、抗酸化疾患は、加齢、死及びアポトーシスからなる群から選択される。
一つの実施形態において、性機能障害は、男性の性機能障害、勃起障害、及び女性の性機能障害からなる群から選択される。
一つの実施形態において、癌は、化学療法抵抗性である。
一つの実施形態において、加齢関連黄斑変性又は関連する障害若しくは形態は、湿潤型、乾燥型、早期及び後期のものを包含する。
【0060】
一つの実施形態において、本発明の組成物及び方法は、加齢関連黄斑変性又は関連障害を、その徴候又は症状を有する被験者において治療するためのものである。加齢関連黄斑変性(ARMD)は、視覚障害及び拡張した眼の検査での特徴的な所見の存在に基づく臨床的診断である。乾燥型ARMDの患者では、拡張した眼の検査でドルーゼ腔が目に見える。このような患者では、網膜が地図状に萎縮した円形又は長円形斑点が明らかであり、RPE色素モデリングでは増大した色素沈着が見られる。湿潤型ARMDの患者では、拡張検査は網膜下液、出血及び脂質滲出を示すことがある。このような患者では、血管新生が網膜部分の灰色変色として現れる。加齢関連黄斑変性(ARMD)に関する更なる情報は、疫学、病因論/危険因子、臨床的徴候、診断、治療及び予防を含めて、Jorge G. Arroyo, “Age-related macular degeneration-I and II,” UpToDate (on-line service) (last modified September 19, 2005)に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
一つの実施形態において、本発明の組成物及び方法は、ARMDを発症する危険性のある患者における加齢関連黄斑変性又は関連障害の治療を提供する。多数の危険因子が同定されており、そのうち年齢及び喫煙は危険性を決定的に上昇させると思われる。更なる情報は、上記で引用した Jorge G. Arroyo, “Age-related macular degeneration-I and II,” UpToDate (on-line service)に記載されている。
【0062】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物は、冠状動脈疾患の予防及び治療のために、並びに包括的な心臓血管の危険性及び包括的な危険スコアを低下させるために有用である。
【0063】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物は、治療的血管形成及び内皮前駆細胞の動員を含めて(これらに限定されない)、血管壁修復の促進を行うために有用である。
【0064】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物はまた、血漿及び/又は血清又は組織の脂質又はリポタンパク質の調節、例えば、沈降法又はアポタンパク質の含有量、サイズ、密度、NMRプロフィール、FPLC及び電荷並びに粒子数及びその成分により測定したHDL(例えば、増加、プレ−ベータHDL、HDL−1、−2及び3粒子を含む);及び沈降法又はアポタンパク質の含有量、サイズ、密度、NMRプロフィール、FPLC及び電荷により測定したLDLサブタイプ(例えば、LDLサブタイプを含む、例えば、低密度LDL、酸化LDL、VLDL、アポ(a)及びLp(a)の増加);IDL及び残留物(増加);リン脂質(例えば、HDLリン脂質の増加);アポ−リポタンパク質(A−I、A−II、A−IVの増加、総及びLDL B-100の減少、B−48の減少、C−II、C−III、E、Jの調節);パラオキソナーゼ(増加、抗酸化効果、抗炎症
効果);食後(高)脂血の減少;残留リポタンパク質粒子(RLP)の減少;トリグリセリドの減少;非HDLの減少;CETP質量又は活性の増加による低HDLを有する患者におけるHDLの上昇、並びにHDL対LDL比の最適化及び増加(例えば、0.25より大)のために有用である。
【0065】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物はまた、糖尿病を予防及び治療するために有用である。HDLは、その酸化窒素刺激性、抗酸化性、抗炎症性及び抗アポトーシス性効果により、臓器保護作用を発揮する。なかでも、それは膵島ベータ細胞アポトーシスを直接阻害し、従ってCETP阻害剤は膵島ベータ細胞の保存及び糖尿病の予防/治療のために有用である。更に、HDLは酸化窒素の形成を刺激する。ヒトにおいて、酸化窒素が骨格筋グルコース取り込みに関与することを示唆する証拠がある。従って、CETP阻害剤はグルコース制御を改善する。更に、CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物は、インスリン感受性を高めることができ、そしてトリグリセリド及び遊離脂肪酸の低下、グルコース処理の刺激、及び肝臓グルコース生成の減少を含む機構によって血漿グルコースレベルを調節することができる。
【0066】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物はまた、ステロール流出/胆汁酸生成の増加、例えば逆コレステロール輸送;病巣からの流出の減少;肝臓へのコレステロール輸送の増加;胆汁酸生成の増加;胆汁酸/ステロール分泌の増加;胆汁酸流量の増加 − 痛風コリスタシス、胆石、膵臓炎の減少のために有用である。
【0067】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物はまた、心臓血管適応症、例えば、心臓血管イベントによる死亡率の低下、心臓血管イベントによる発病率(入院、救急外来受診、再入院を含む)の低下;心臓血管疾患を有する患者のクオリティー・オブ・ライフの改善のために有用である。
【0068】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物は、心不全を有する患者の運動能力を改善し、心不全を有する患者の酸素消費を改善し、心不全を有する患者の歩行距離を改善し(例えば6分)、トレッドミル運動時間を延長する。
【0069】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物はまた、ヒト血清C−反応性タンパク質レベル、血清アミロイドA(SAA)レベル、誘導性細胞接着分子(ICAM)レベル、血管細胞接着分子(VCAM)レベル、E−セレクチンレベル、フィブリノゲン、ケモカインを低下させ、そしてプロスタグランジン代謝(プロスタサイクリン、PGIを含む)を調節する。CETP阻害剤はまた、アジポネクチンレベルを上昇させる。
【0070】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物はまた、それらの抗炎症効果、並びにそれらの肝臓脂肪酸及びトリグリセリドレベルを低下させる能力により、アルコール性及び非アルコール性脂肪肝疾患を治療するために有用である。
【0071】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物はまた、抗凝固作用及び抗血栓活性を有し、そしてCETP阻害剤はまた、血小板凝集を減少させ、フィブロゲンレベル(fibrogen levels)を低下させ、PAI−1レベルを低下させ、かつ組織因子を減少させる。
【0072】
HDLは種々の臓器モデル(例えば心臓、腎臓)において虚血−再かん流損傷を減少させるので、CETP阻害剤は、臓器移植、心臓切開術、他の種類の手術等に先立って組織保護剤として適応される。HDLは脈管形成(酸化窒素の導入によるものを含む)を促進する。従って、CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物は、傷の治癒(例えば心筋障害、卒中後、皮膚の傷、潰瘍等)に適用される。
【0073】
CETP阻害剤、それらの組み合わせ及び関連する医薬組成物はまた、睡眠時呼吸障害の治療に有用である。睡眠時呼吸障害(例えば睡眠時無呼吸)は、肥満、全身性炎症、及び危険性の上昇した心臓血管疾患(アテローム性動脈硬化症、卒中、高血圧)に関連している。
【0074】
本発明は、CETP阻害剤の何れの特定構造及びグループにも限定されない。むしろ、本発明は、クラスとしてのCETP阻害剤への一般的適用性を有する。本発明の対象とし得る化合物は、多数の特許及び公開出願に見出すことができ、それらは DE 19741400 A1;
DE 19741399 A1; WO 9914215 A1; WO 9914174; DE 19709125 A1; DE 19704244 A1; DE 19704243 A1; EP 818448 A1; WO 9804528 A2; DE 19627431 A1; DE 19627430 A1; DE 19627419 A1; EP 796846 A1; DE 19832159; DE 818197; DE 19741051; WO 9941237 A1;
WO 9914204 A1; WO 9835937 A1; JP 11049743; WO 200018721; WO 200018723; WO 200018724; WO 200017164; WO 200017165; WO 200017166; EP 992496; EP 987251; WO2004/085401; 2005年9月12日出願の PCT/IB2005/002880; 2005年9月12日出願の PCT/IB2005/002890; 及び2005年11月21日出願の PCT/IB2005/003500 を包含し;それらの全ては全体として全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
CETP阻害剤の例には、[2R,4S]−4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−メトキシカルボニル−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル;(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド;トランス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド;シス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド;(2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール;及び(2R,4R,4aS)−4−[アミノ−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸イソプロピルエステル、又は該化合物の医薬上許容される塩が含まれる。
【0076】
最初の注意として、本明細書に記載する化合物の製造のために有用な製造方法の幾つかは、遠い官能基(例えば、中間体の第一級アミン、第二級アミン、カルボキシル)の保護を必要とし得ることが認められる。このような保護の必要性は、遠い官能基の性質及び製造方法の条件に応じて変化するだろう。このような保護の必要性は、当業者により容易に決定することができる。このような保護/脱保護方法の使用はまた、当業者によく知られている。保護基及びそれらの使用の一般的記載については、T.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991 を参照されたい。
【0077】
例えば、或る化合物は、第一級アミン又はカルボン酸官能基を含有するとしてこれが未保護のままに置かれるならば分子の他の部位での反応を妨害し得る。従って、このような官能基は、後続の段階で除去し得る適切な保護基で保護することができる。アミン又はカルボン酸官能基のための好適な保護基は、記載する反応条件下で一般的に化学的に反応せず、そして化合物中の他の官能基を化学的に変化させることなく除去できる、ペプチド合成に用いられる保護基(例えば、アミンのためには N−t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル、並びにカルボン酸のためには低級アルキル又はベンジルエステル)を含んでいる。
【0078】
本発明の化合物のプロドラッグは、当業者に公知の方法により製造することができる。例示的な方法を以下に記載する。
【0079】
化合物のカルボン酸中のカルボキシル基がエステルで置き換えられている本発明のプロドラッグは、カルボン酸と適切なハロゲン化アルキルとを、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下に、不活性溶剤、例えばジメチルホルムアミド中で、約0〜100℃の温度で約1〜約24時間反応させることによって製造することができる。別法として、酸を溶剤としての適切なアルコールと、触媒量の酸、例えば濃硫酸の存在下に約20〜100℃の温度、好ましくは還流温度で約1〜約24時間反応させる。別の方法は、酸と化学量論的量のアルコールとを、触媒量の酸の存在下に不活性溶剤、例えばトルエン又はテトラヒドロフラン中で、物理的手段(例えばディーン−スタークトラップ)又は化学的手段(例えばモレキュラーシーブ)により生成した水を同時に除去しながら反応させることである。
【0080】
アルコール官能基がエーテルとして誘導体化された本発明のプロドラッグは、アルコールと適切な臭化又はヨウ化アルキルとを、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下に不活性溶剤、例えばジメチルホルムアミド中で約0〜100℃の温度で約1〜約24時間反応させることによって製造することができる。アルカノイルアミノメチルエーテルは、アルコールとビス−(アルカノイルアミノ)メタンとを、触媒量の酸の存在下に不活性溶剤、例えばテトラヒドロフラン中で、US 4,997,984 に記載の方法により反応させることによって得ることができる。別法として、これらの化合物は、Hoffman et al. により J. Org. Chem. 1994, 59, 3530 に記載された方法によって製造することができる。
【0081】
グリコシドは、アルコール及び炭水化物を、不活性溶剤、例えばトルエン中で酸の存在下に反応させることにより製造される。典型的には、反応中に生成した水を、それが生成している最中に、上記のように除去する。別の手順は、アルコールと適切に保護されたハロゲン化グリコシルとを塩基の存在下に反応させ、次いで脱保護することである。
【0082】
N−(1−ヒドロキシアルキル)アミド、N−(1−ヒドロキシ−1−(アルコキシカルボニル)メチル)アミドは、親のアミドと適切なアルデヒドとを、中性又は塩基性条件(例えば、エタノール中のナトリウムエトキシド)下に25〜70℃の温度で反応させることによって製造することができる。N−アルコキシメチル又は N−1−(アルコキシ)アルキル誘導体は、N−非置換の化合物と必要なハロゲン化アルキルとを、塩基の存在下に不活性溶剤中で反応させることによって得ることができる。
【0083】
本発明の化合物はまた、他の医薬品(例えば、LDL−コレステロール低下剤、トリグリセリド低下剤)と一緒に、本明細書に記載の疾患/症状の治療のために使用することができる。例えば、それらは、HMG−CoA還元酵素阻害剤、コレステロール合成阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、別のCETP阻害剤、MTA/アポB分泌阻害剤、PPARモジュレーター、並びに他のコレステロール低下剤、例えばフィブレート、ナイアシン、イオン交換樹脂、抗酸化剤、ACAT阻害剤、及び胆汁酸抑制剤と一緒に使用することができる。他の医薬品はまた、次のもの:胆汁酸再取り込み阻害剤、回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、ACC阻害剤、抗高血圧剤(例えば NORVASC(登録商標)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター、抗生物質、抗糖尿病剤(例えばメトフォルミン、PPARγ活性化因子、スルホニル尿素、インスリン、アルドース還元酵素阻害剤(ARI)及びソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤(SDI))、並びにアルピリン(アセチルサリチル酸又は酸化窒素放出性アスピリン)と一緒に使用することができる。本明細書で用いられる「ナイアシン」は、全ての利用可能な形態、例えば速放性、徐放性、持続放出性及び低フラッシング性ナイアシンを包含する。ナイアシンはまた、他の治療剤、例えばプロスタグランジン及び/又はスタチン、すなわち、ロバスタチン若しくはシムバスタチンと組み合わせることができ、これらはHMG−CoA還元酵素阻害剤であり、以下に更に記載される。この併用療法剤は ADVICOR(登録商標)(Kos Pharmaceuticals Inc.)として知られている。併用療法による治療において、本発明の化合物及び他の薬物療法剤の両者は、哺乳動物(例えば、ヒト、男性及び女性)に従来法により投与される。
【0084】
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)のメバロネートへの変換は、コレステロール生合成経路における早期及び後期−律速段階である。この段階は、酵素HMG−CoA還元酵素により触媒される。スタチンは、HMG−CoA還元酵素をこの変換の触媒作用から阻害する。例示的なスタチンは、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、(3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;及び(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、並びにそれらの医薬上許容される塩を包含する。
【0085】
米国特許第 5,273,995 号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたアトルバスタチンカルシウム(すなわち、アトルバスタチンヘミカルシウム)は、現在 Lipitor(登録商標)として販売されており、そして下記式
【化3】

を有する。アトルバスタチンカルシウムは、HMG−CoAの選択的、競合的阻害剤である。それ自体として、アトルバスタチンカルシウムは強力な脂質低下化合物である。アトルバスタチンの遊離カルボン酸形態は、主に下記式のラクトン
【化4】

として存在し、そして米国特許第 4,681,893 号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0086】
スタチンは、U.S. RE37,314 E に開示されたロスバスタチン、EP 304063 B1 及び US 5,011,930 に開示されたピチバスタチン、U.S. 4,444,784(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたシムバスタチン;U.S. 4,346,227(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたプラバスタチン;U.S. 5,502,199(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたセリバスタチン;U.S. 3,983,140(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたメバスタチン;U.S. 4,448,784 及び U.S. 4,450,171(これらの両者は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたベロスタチン;U.S. 4,739,073(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたフルバスタチン;U.S. 4,804,770(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたコムパクチン;U.S. 4,231,938(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたロバスタチン;欧州特許出願公開第 738510 A2 号に開示されたダルバスタチン;欧州特許出願公開第 363934 A1 号に開示されたフルインドスタチン;米国特許第 4,681,893 号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたアトルバスタチン;米国特許第 5,273,995 号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたアトルバスタチンカルシウム(これはアトルバスタチンのヘミカルシウム塩である);及び U.S. 4,450,171(これは参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたジヒドロコムパクチンのような化合物を包含する。
【0087】
更なるHMG CoA還元酵素阻害剤は、2005年11月14日出願の国際公開第 WO 2005/105079;及び PCT/IB2005/003461 号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されており、(3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;及び(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;並びにこれら化合物の医薬上許容される塩を包含する。
【0088】
何れのPPARモジュレーターも、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。PPARモジュレーターという用語は、哺乳動物、特にヒトにおけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)活性を調節する化合物を指す。このような調節は、当業者よって文献で公知の標準的アッセイにより容易に決定することができる。このような化合物は、PPAR受容体の調節により、脂質及びグルコース代謝、例えば脂肪酸酸化に関与する重要遺伝子、そしてまた高比重リポタンパク質(HDL)集合に関与する重要遺伝子の転写(例えば、アポリポタンパク質AI遺伝子転写)を調節し、従って体脂肪全体を低下させ、そしてHDLコレステロールを上昇させる。それらの活性により、これらの化合物はまた、哺乳動物、特にヒトにおけるトリグリセリド、VLDLコレステロール、LDLコレステロール及びそれらの関連成分、例えばアポリポタンパク質Bのレベルを低下させると共に、HDLコレステロール及びアポリポタンパク質AIを上昇させる。従って、これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症及び心臓血管疾患の発生及び発病率に関連することが観察される種々の異常脂質血症を治療及び補正するために有用である。種々のこれらの化合物は以下に説明及び引用されるが、他の化合物は当業者に公知であろう。国際公開第 WO 2004/048334;WO 2005/092845;及び WO 2006/003495号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、PPARα活性化因子であるいくらかの化合物を開示しており、これらは、3−[3−(1−カルボキシ−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸 3−トリフルオロメチル−ベンジルエステル; 3−[3−(1−カルボキシ −1−メチル−エトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸 4−トリフルオロメチル−ベンジルエステル;5−[4−(4−エチル−ベンジルスルファニル)−フェニルスルファモイル]−2−メチル−安息香酸;及び 5−{2−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−エチルスルファモイル}−2−メチル−安息香酸;並びにこれら化合物の医薬上許容される塩を包含する。
【0089】
他の何れのPPARモジュレーターも、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。特に、PPARβ及び/又はPPARγのモジュレーターは、本発明の化合物との組み合わせに有用であり得る。例示的なPPAR阻害剤は、国際公開第 WO 2003/084916 号に、{5−メトキシ−2−メチル−4−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ベンジルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸及び {5−メトキシ−2−メチル−4−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ベンジルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸;並びにこれら化合物の医薬上許容される塩として記載されている。他のPPARモジュレーターは、フェノフィブレート及びゲムフィブロジル、並びにこれら化合物の医薬上許容される塩を包含する。
【0090】
何れのHDLタンパク質又はHDL模倣体、例えばアポA−I又はアポA−I模倣タンパク質も、本発明に使用することができる。例えば、ヒトアポA−I Milano は、野生型アポリポタンパク質、アポA−1の自然変異体である (Weisgraber et al., 1980)。アポA−I Milano において、アミノ酸のアルギニン(Arg173)はアミノ酸のシステイン(Cys173)で置き換えられている。アポA−I Milano 分子当たり1個のシステイン残基の存在は、類似の又は異なるポリペプチド鎖間でのジスルフィド結合の形成を可能にする。従って、リポタンパク質粒子内には、アポA−I Milano は、単量体形態、同種2量体形態、又は異種2量体形態で存在し得る (例えば、米国特許第 5,876,968 号参照)。これらの形態は化学的に互換可能であり、そしてポA−I Milano という用語は、これらの形態を区別するものではない。DNAレベルでは、この変異形態は遺伝子配列中のCがTに置換することに起因し、すなわち、コドンCGCがTGCに変わり、アミノ酸の位置173においてアルギニン(Arg)の代わりにシステイン(Cys)の翻訳をさせることになる。
【0091】
ポA−I Milano を得る方法は当技術分野で周知である。例えば、ポA−I Milano は血漿から、例えば、密度勾配遠心分離、次いでリポタンパク質の脱脂、還元、変性及びゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性の、例えばフェニルセファロースインタラクションクロマトグラフィー若しくは免疫親和性クロマトグラフィーによって分離できるか、又は合成的に、半合成的に、若しくは組換えDNA技術と、次いで当業者に公知の精製技術を用いて製造することができる(例えば、米国特許第 6,107,467; 6,559,284; 6,423,830; 6,090,921; 5,834,596; 5,990,081; 6,506,879; 5,059528; 5,876,968; 及び 5,721,114 号; Mulugeta et al., 1998; Chung et al., 1980; Cheung et al., 1987; Persson et al., 1998, 並びに PCT 公開 WO 86/04920 及び WO 87/02062 参照)。
【0092】
HDLタンパク質及び模倣体は、種々の形態で投与することができ、これらは非経口、皮下、経口、経筋肉、経粘膜及び直腸内投与を包含する。一つの実施形態において、組成物は常法により非経口投与に適応した医薬組成物として製剤される。非経口投与は、消化管を通さない任意の投与経路を指し、注射投与(すなわち、本明細書に記載する静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、眼内等)を包含するが、これらに限定されない(一般的には、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Gennaro et al., eds., Mack Printing Company, Easton, Pennsylvania, 1990 を参照されたい)。
【0093】
HDL機能は、幾つかの組織、循環及びHDL関連タンパク質により調節することができる。従って、これらのタンパク質のレベルまたは活性に影響を及ぼす物質は、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。このようなタンパク質は、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ、PAF−AHとしても知られている)、分泌ホスホリパーゼA2(sPLA2)、パラオキソナーゼ(PON)、血清アミロイドA(SAA)、ApoJ、ミエロペルオキシダーゼ、GSHペルオキシダーゼ、セルロプラスミン、及びレシチン・コレステロール・アシル転移酵素(LCAT)を包含するが、これらに限定されない。
【0094】
何れのMTP/Apo B(ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質及び/又はアポリポタンパク質B)分泌阻害剤も、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。MTP/Apo B分泌阻害剤という用語は、トリグリセリド、コレステリルエステル及びリン脂質の分泌を阻害する化合物を指す。このような阻害は当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、Wetterau, J. R. 1992; Science 258:999 参照)。これらの種々の化合物は以下に記載及び引用されるが、他のMTP/Apo B分泌阻害剤は当業者に公知であり、イムプリタピド(Bayer)、並びに更なる化合物、例えば WO 96/40640 及び WO 98/23593(二つの例示的刊行物)に開示された化合物を包含する。
【0095】
例えば、下記のMTP/Apo B分泌阻害剤が特に有用である:
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸 [2−(1H−[1,2,4,]トリアゾール−3−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド;
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸 [2−(2−アセチルアミノ−エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド;
(2−{6−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル}−エチル)−カルバミン酸メチルエステル;
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸 [2−(1H−イミダゾール−2−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド;
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸 [2−(2,2−ジフェニル−エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド;
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸 [2−(2−エトキシ−エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド;
(S)−N−{2−[ベンジル (メチル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニルエチル}−1−メチル−5−[4'−(トリフルオロメチル)[1,1'−ビフェニル]−2−カルボキサミド]−1H−インドール−2−カルボキサミド;
(S)−2−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−キノリン−6−カルボン酸 (ペンチルカルバモイル−フェニル−メチル)−アミド;
1H−インドール−2−カルボキサミド,1−メチル−N−[(1S)−2−[メチル(フェニルメチル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニルエチル]−5−[[[4'−(トリフルオロメチル)[1,1'−ビフェニル]−2−イル]カルボニル]アミノ];及び
N−[(1S)−2−(ベンジルメチルアミノ)−2−オキ−1−フェニルエチル]−1−メチル−5−[[[4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]カルボニル]アミノ]−1H−インドール−2−カルボキサミド。
【0096】
何れのHMG−CoAシンターゼ阻害剤も、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。HMG−CoAシンターゼ阻害剤という用語は、酵素HMG−CoAシンターゼにより触媒される、アセチル−補酵素A及びアセトアセチル−補酵素Aからのヒドロキシメチルグルタリル−補酵素Aの生合成を阻害する化合物を指す。このような阻害は当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(Meth Enzymol. 1975; 35:155-160: Meth. Enzymol. 1985; 110:19-26 及びそこで引用された文献)。これらの種々の化合物は以下に記載及び引用されるが、他のHMG−CoAシンターゼ阻害剤は当業者に公知であろう。米国特許第 5,120,729 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は特定のベータ−ラクタム誘導体を開示している。米国特許第 5,064,856 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は微生物(MF5253)の培養により製造された特定のスピロ−ラクトン誘導体を開示している。米国特許第 4,847,271号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は特定のオキセタン化合物、例えば 11−(3−ヒドロキシメチル−4−オキソ−2−オキセタニル)−3,5,7−トリメチル−2,4−ウンデカ−ジエン酸誘導体を開示している。
【0097】
HMG−CoA還元酵素遺伝子発現を減少させる何れの化合物も、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。これらの物質は、DNA転写を遮断するHMG−CoA還元酵素転写阻害剤、又はHMG−CoA還元酵素をタンパク質中にコードするmRNAの翻訳を防止若しくは減少させる翻訳阻害剤であってよい。このような化合物は、転写若しくは翻訳に直接影響を及ぼし得るか、又はコレステロール生合成カスケードの1種又はそれ以上の酵素による上記活性を有する化合物に生体内変換され得るか、又は上記活性を有するイソプレン代謝産物の蓄積に導き得るかの何れかである。このような化合物は、部位−1プロテアーゼ(S1P)の活性を阻害するか、又は酸素受容体若しくはSCAPを作動させ(agonizing)てSREBP(ステロール受容体結合タンパク質)レベルを低下させることによって、この効果を生じさせることができる。このような調節は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される (Meth. Enzymol. 1985; 110:9-19)。幾つかの化合物は以下に記載及び引用されるが、他のHMG−CoA還元酵素遺伝子発現の阻害剤は当業者に公知であろう。米国特許第 5,041,432号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は特定の 15−置換ラノステロール誘導体を開示している。HMG−CoA還元酵素の合成を抑制する他の酸化されたステロールは E.I. Mercer により開示されている (Prog. Lip. Res. 1993;32:357-416)。
【0098】
メガリン及びキューブリン受容体は腎臓による脂質分泌(HDLを含む)に関与する。従って、何れのメガリン又はキューブリン/無羊膜受容体遮断剤も、本発明と組み合わせて使用することができる。
【0099】
何れの血栓溶解剤(例えばプラスミノゲン活性化剤、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、ヒルジン、又はそれらの誘導体及び組み合わせ)、抗凝固剤(例えばヘパリン、ワルファリン、レピルジン又はそれらの誘導体)、又は抗血小板剤(例えばアスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、エプチフィバチド、サリチル酸塩、チクロピジン、チロフィバン又はそれらの誘導体)も、本発明と組み合わせて使用することができる。
【0100】
何れのスクアレン合成酵素阻害剤も、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。スクアレン合成酵素阻害剤という用語は、酵素スクアレン合成酵素により触媒される、2分子のファルネシルピロリン酸が縮合してスクアレンを形成する反応を阻害する化合物を指す。このような阻害は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(Meth. Enzymol. 1969; 15: 393-454 and Meth. Enzymol. 1985; 110:359-373 及びそこで引用された文献)。これらの種々の化合物は以下に記載及び引用されるが、他のスクアレン合成酵素阻害剤は当業者に公知であろう。米国特許第 5,026,554号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は微生物 MF5465 (ATCC 74011) のザラゴジック酸を含む発酵生成物を開示している。他のスクアレン合成酵素阻害剤特許の要約はこれ迄にまとめられている(Curr. Op. Ther. Patents (1993) 861-4)。
【0101】
何れのスクアレンエポキシダーゼ阻害剤も、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。スクアレンエポキシダーゼ阻害剤という用語は、酵素スクアレンエポキシダーゼにより触媒される、スクアレンと分子状酸素とのスクアレン−2,3−エポキシドへのバイオ変換反応を阻害する化合物を指す。このような阻害は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(Biochim. Biophys. Acta 1984; 794:466471)。これらの種々の化合物は以下に記載及び引用されるが、他のスクアレンエポキシダーゼ阻害剤は当業者に公知であろう。米国特許第 5,011,859 及び 5,064,864 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)はスクアレンの特定のフルオロ類似体を開示している。EP 公開 395,768 A(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は特定の置換アリルアミン誘導体を開示している。PCT 公開 WO 9312069 A(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は特定のアミノアルコール誘導体を開示している。米国特許第 5,051,534 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は特定のシクロプロピルオキシ−スクアレン誘導体を開示している。
【0102】
何れのスクアレンシクラーゼ阻害剤も、本発明の組み合わせ態様における第二成分として使用することができる。スクアレンシクラーゼ阻害剤という用語は、酵素スクアレンシクラーゼにより触媒される、スクアレン−2,3−エポキシドのラノステロールへのバイオ変換反応を阻害する化合物を指す。このような阻害は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(FEBS Lett. 1989;244:347-350)。加えて、以下に記載及び引用される化合物はスクアレンシクラーゼ阻害剤であるが、他のスクアレンシクラーゼ阻害剤も当業者に公知であろう。PCT 公開 WO9410150(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は特定の1,2,3,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−5,5,8(ベータ)−トリメチル−6−イソキノリンアミン誘導体、例えば N−トリフルオロアセチル−1,2,3,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−2−アリル−5,5,8(ベータ)−トリメチル−6(ベータ)−イソキノリンアミンを開示している。フランス特許公開 2697250(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は特定のベータ,ベータ−ジメチル−4−ピペリジンエタノール誘導体、例えば 1−(1,5,9−トリメチルデシル)−ベータ,ベータ−ジメチル−4−ピペリジンエタノールを開示している。
【0103】
何れの複合スクアレンエポキシダーゼ/シクラーゼ阻害剤も、本発明の組み合わせ態様における第二成分として使用することができる。複合スクアレンエポキシダーゼ/シクラーゼ阻害剤という用語は、スクアレンがスクアレン−2,3−エポキシド中間体を経てラノステロールになるバイオ変換反応を阻害する化合物を指す。幾つかのアッセイにおいては、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤とスクアレンシクラーゼ阻害剤とを区別することは不可能であるが、これらのアッセイは、当業者に認められている。従って、複合スクアレンエポキシダーゼ/シクラーゼ阻害剤の阻害は、当業者により、スクアレンシクラーゼ阻害剤及びスクアレンエポキシダーゼ阻害剤のための上記の標準的なアッセイによって容易に決定される。これらの種々の化合物は以下に記載及び引用されるが、他の複合スクアレンエポキシダーゼ/シクラーゼ阻害剤は当業者に公知であろう。米国特許第 5,084,461 及び 5,278,171 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は一定のアザデカリン誘導体を開示している。EP 公開 468,434(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は一定のピペリジルエーテル及びチオ−エーテ誘導体、例えば 2−(1−ピペリジル)ペンチル イソペンチルスルホキシド及び 2−(1−ピペリジル)エチル エチルスルフィドを開示している。米国特許第 5,102,915 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は一定のシクロプロピルオキシ−スクアレン誘導体を開示している。
【0104】
本発明の化合物はまた、血漿コレステロールレベルを低下させる作用を有する天然由来の化合物と組み合わせて投与することができる。これらの天然由来の化合物は、一般的に栄養補助物質と呼ばれ、例えば、ニンニク抽出物及びナイアシンを包含する。ナイアシンの徐放性形態が入手可能であり、そして Niaspan として知られている。ナイアシンはまた、他の治療剤、例えばロバスタチンと組み合わせることができ、又は別の治療剤はHMG−CoA還元酵素阻害剤である。ロバスタチンとのこの併用療法剤は、ADVICORTM(Kos Pharmaceuticals Inc.) として知られている。
【0105】
何れのコレステロール吸収阻害剤も、本発明の組み合わせ態様における追加成分として使用することができる。コレステロール吸収阻害剤という用語は、腸内腔に含まれるコレステロールが腸内細胞中に入るのを、そして/又はリンパ系及び/又は血流中を通過するのを防止する能力を指す。このようなコレステロール吸収阻害活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、J. Lipid Res. (1993) 34: 377-395)。コレステロール吸収阻害剤は当業者に公知であり、そして例えば PCT WO 94/00480 に記載されている。最近承認されたコレステロール吸収阻害剤は ZETIATM(エゼチミベ) (Schering-Plough/Merck) である。
【0106】
何れのACAT阻害剤も、本発明の併用療法態様に使用することができる。ACAT阻害剤という用語は、酵素アシルCoA:コレステロールアシル転移酵素により食事性コレステロールの細胞内エステル化を阻害する化合物を指す。このような阻害は、当業者により標準的なアッセイ、例えばHeider等によるJournal of Lipid Research., 24:1127 (1983) に記載された方法よって容易に決定することができる。これらの種々の化合物は当業者に公知であり、例えば、米国特許第 5,510,379 号は、特定のカルボキシスルホン酸塩を開示しているが、他方WO 96/2694 及び WO 96/10559 の両方にはACAT阻害活性を有する尿素誘導体が開示されている。ACAT阻害剤の例は、Avasimibe (Pfizer)、CS-505 (Sankyo) 及び Eflucimibe (Eli Lilly and Pierre Fabre) のような化合物を包含する。
【0107】
リパーゼ阻害剤は、本発明の併用療法態様に使用することができる。リパーゼ阻害剤は、食事性トリグリセリド又は血漿リン脂質を代謝的に切断して遊離脂肪酸及び相当するグリセリド(例えばEL、HL等)にするのを阻害する化合物である。正常な生理的条件において、脂肪分解は、リパーゼ酵素の活性化されたセリン部分のアシル化を伴う2段階過程により生じる。これは脂肪酸−リパーゼヘミアセタール中間体に導き、後者は次いで切断されてジグリセリドを放出する。更なる脱アシルの後に、リパーゼ−脂肪酸ヘミアセタール中間体が切断され、結果として遊離リパーゼ、グリセリド及び脂肪酸が生成する。腸内では、生成した遊離脂肪酸及びモノグリセリドは胆汁酸−リン脂質ミセルに取り込まれ、これらは続いて小腸の刷子縁のレベルで吸収される。ミセルは最終的にカイロミクロンとして末梢循環に入る。このようなリパーゼ阻害活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、Methods Enzymol. 286: 190-231)。
【0108】
膵臓リパーゼは、トリグリセリドからの1−及び3−炭素位置での脂肪酸の代謝的切断を仲介する。摂取された脂肪の代謝の主要な部位は、上部小腸での脂肪の分解に必要な量の大過剰で分泌される膵臓リパーゼによる十二指腸及び近位空腸にある。膵臓リパーゼは食事性トリグリセリドの吸収に必要な主要酵素であるので、阻害剤は肥満及び他の関連症状の治療において有用性を有する。このような膵臓リパーゼ阻害活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、Methods Enzymol. 286: 190-231)。
【0109】
胃リパーゼは、食事性脂肪の消化の約10〜40%を遂行する免疫学的に区別されるリパーゼである。胃リパーゼは、機械的刺激、食物の摂取、脂肪食の存在に反応して、又は交感神経作用剤によって分泌される。摂取された脂肪の胃脂肪分解は、腸内で膵臓リパーゼ活性を誘発させるために必要な脂肪酸の供給において生理的に重要であり、そしてまた膵臓機能不全に関連する種々の生理的及び病理的症状における脂肪吸収にとって重要である。例えば、C.K. Abrams, et al., Gastroenterology, 92,125 (1987) を参照されたい。このような胃リパーゼ阻害活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、Methods Enzymol. 286: 190-231)。
【0110】
種々の胃及び/又は膵臓リパーゼ阻害剤が当業者に公知である。好ましいリパーゼ阻害剤は、リプスタチン、テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット)、バリラクトン、エステラチン、エベラクトンA、及びエベラクトンBからなる群から選択される阻害剤である。化合物テトラヒドロリプスタチンが特に好ましい。リパーゼ阻害剤、N−3−トリフルオロメチルフェニル−N'−3−クロロ−4'−トリフルオロメチルフェニル尿素、及びそれに関連する種々の尿素誘導体は、米国特許第 4,405,644 号に開示されている。リパーゼ阻害剤、エステラシンは、米国特許第 4,189,438 及び 4,242,453 号に開示されている。リパーゼ阻害剤、シクロ−O,O'−[(1,6−ヘキサンジイル)−ビス−(イミノカルボニル)]ジオキシム、及びそれに関連する種々のビス(イミノカルボニル)ジオキシムは、Petersen et al., Liebig's Annalen, 562, 205-229 (1949) に記載されたようにして製造することができる。
【0111】
種々の膵臓リパーゼ阻害剤が本明細書で以下に記載される。膵臓リパーゼ阻害剤リプスタチン、(2S,3S,5S,7Z,10Z)−5−[(S)−2−ホルムアミド−4−メチル−バレリルオキシ]−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−7,10−ヘキサデカン酸ラクトン、及びテトラヒドロリプスタチン(オルリスタット)、(2S,3S,5S)−5−[(S)−2−ホルムアミド−4−メチル−バレリルオキシ]−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−ヘキサデカン 1,3 酸ラクトン、並びに種々の置換された N−ホルミルロイシン誘導体及びそれらの立体異性体は、米国特許第 4,598,089 号に開示されている。例えば、テトラヒドロリプスタチンは、例えば米国特許第 5,274,143; 5,420,305; 5,540,917; 及び 5,643,874 号に記載されたようにして製造される。膵臓リパーゼ阻害剤、FL-386、1−[4−(2−メチルプロピル)シクロヘキシル]−2−[(フェニルスルホニル)オキシ]−エタノン、及びそれに関連する種々に置換されたスルホネート誘導体は、米国特許第 4,452,813号に開示されている。膵臓リパーゼ阻害剤、WAY-121898、4−フェノキシフェニル−4−メチルピリジン−1−イル−カルボキシレート、及び種々のカルバメートエステル、並びにそれらに関連する医薬上許容される塩は、米国特許第 5,512,565; 5,391,571 及び 5,602,151号に開示されている。膵臓リパーゼ阻害剤、バリラクトン、及びアクチノマイセテス株 MG147-CF2 の微生物培養によるその製造方法は、Kitahara, et al., J. Antibiotics, 40 (11), 1647-1650 (1987) に開示されている。膵臓リパーゼ阻害剤、エベラクトンA及びエベラクトンB、並びにアクチノマイセテス株 MG7-G1 の微生物培養によるそれらの製造方法は、Umezawa, et al., J. Antibiotics, 33, 1594-1596 (1980) に開示されている。モノグリセリド生成の抑制におけるエベラクトンA及びBの使用は、1996年6月4日公開の日本公開 08-143457 に開示されている。
【0112】
高コレステロール血症を含む高脂血症のために市販されており、そしてアテローム性動脈硬化症の予防又は治療に役立てることを意図している他の化合物は、胆汁酸封鎖剤(sequestrants)、例えば Welchol(登録商標)、Colestid(登録商標)、LoCholest(登録商標) 及び Questran(登録商標); 並びにフィブリン酸誘導体、例えば Atromid(登録商標)、Lopid(登録商標) 及び Tricor(登録商標) を包含する。
【0113】
糖尿病は、糖尿病(特にII型糖尿病)、インスリン抵抗性、グルコース耐性障害、メタボリック症候群等、又は任意の糖尿病合併症、例えば神経障害、網膜症若しくは白内障を有する患者に、治療上有効量の本発明の化合物を、糖尿病の治療に使用し得る他の物質(例えばインスリン)と組み合わせて投与することによって治療することができる。これは本明細書に記載する抗糖尿病剤のクラス(及び特定の薬剤)を包含する。
【0114】
何れのグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤も、本発明の化合物との組み合わせにおける第二薬剤として使用することができる。グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤という用語は、酵素グリコーゲンホスホリラーゼにより触媒される、グリコーゲンのグルコース−1−リン酸へのバイオ変換を阻害する化合物を指す。このようなグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、J. Med. Chem. 41 (1998) 2934-2938)。種々のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤は当業者に公知であり、WO 96/39384 及び WO 96/39385 に記載されているものを包含する。
【0115】
何れのアルドース還元酵素阻害剤も、本発明の化合物との組み合わせに使用することができる。アルドース還元酵素阻害剤という用語は、酵素アルドース還元酵素により触媒される、グルコースのソルビトールへのバイオ変換を阻害する化合物を指す。アルドース還元酵素阻害は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、J. Malone, Diabetes, 29:861-864 (1980). “Red Cell Sorbitol, an Indicator of Diabetic Control”)。種々のアルドース還元酵素、例えば米国特許第 6,579,879 号に記載されたものは当業者に公知であり、それらは 6−(5−クロロ−3−メチル−ベンゾフラン−2−スルホニル)−2H−ピリダジニル−3−オンを包含する。
【0116】
何れのソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤も、本発明の化合物との組み合わせに使用することができる。ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤という用語は、酵素ソルビトールデヒドロゲナーゼにより触媒される、ソルビトールのフルクトースへのバイオ変換を阻害する化合物を指す。このようなソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、Analyt. Biochem (2000) 280: 329-331)。種々のソルビトールデヒドロゲナーゼが公知であり、例えば、米国特許第 5,728,704 及び 5,866,578 号は酵素ソルビトールデヒドロゲナーゼの阻害により糖尿病合併症を治療又は予防するための化合物及び方法を開示している。
【0117】
何れのグルコシダーゼ阻害剤も、本発明の化合物との組み合わせに使用することができる。グルコシダーゼ阻害剤は、複合炭水化物をグリコシド加水分解酵素、例えばアミラーゼ又はマルターゼにより生体内利用可能な単糖にする酵素加水分解を阻害する。高レベルの炭水化物の摂取の後に特に、グルコシダーゼの急速な代謝作用は、結果として食事性高血糖をもたらし、これは脂肪性又は糖尿病性被験者において、インスリン分泌の上昇、脂肪合成の増加及び脂肪分解の減少に導く。このような高血糖に続いて、存在するインスリンレベルが増大するために、低血糖がしばしば起きる。加えて、胃に残った糜粥が胃液分泌を促進し、これが胃炎又は十二指腸潰瘍を起こすか又は進行させることが知られている。従って、グルコシダーゼ阻害剤は、胃からの炭水化物の通過の促進及び腸からのグルコースの吸収の阻害において有用性を有することが知られる。更に、炭水化物が脂肪組織の脂質に変換されること、及び続いて食事性脂肪が脂肪組織蓄積に取り込まれることが結果的に減少されるか又は遅延され、これから起る有害な異常が減少又は抑制される付随的な効果を伴うのである。このようなグルコシダーゼ阻害活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、Biochemistry (1969) 8: 4214)。
【0118】
一般的に好ましいグルコシダーゼ阻害剤は、アミラーゼ阻害剤を包含する。アミラーゼ阻害剤は、澱粉又はグリコーゲンのマルトースへの酵素分解を阻害するグルコシダーゼである。このようなアミラーゼ阻害活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、Methods Enzymol. (1955) 1: 149)。このような酵素分解の阻害は、グルコース及びマルトースを含む生体内利用可能な糖の量、並びにそれらに起因する付随的有害症状の減少に有益である。
【0119】
種々のグルコシダーゼ阻害剤が当業者に公知であり、その例を以下に記載する。好ましいグルコシダーゼ阻害剤は、アカルボース、アジポシン、ボグリボース、ミグリトール、エミグリテート、カミグリボース、テンダミステート、トレスタチン、プラジミシン−Q及びサルボスタチンからなる群から選択される阻害剤である。グルコシダーゼ阻害剤、アカルボース、及びそれに関連する種々のアミノ糖は、それぞれ米国特許第 4,062,950 及び 4,174,439 号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤、アジポシンは米国特許 4,254,256 号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤、ボグリボース、3,4−ジデオキシ−4−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]−2−C−(ヒドロキシメチル)−D−エピ−イノシトール、及びそれに関連する N−置換されたプソイド−アミノ糖は米国特許第 4,701,559号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤、ミグリトール、(2R,3R,4R,5S)−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヒドロキシメチル)−3,4,5−ピペリジントリオール、及びそれに関連する種々の 3,4,5−トリヒドロキシピペリジンは米国特許第 4,639,436 号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤、エミグリテート、p−[2−[(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジノ]エトキシ]−安息香酸エチル、それに関連する種々の誘導体、及びそれらの医薬上許容される酸付加塩は米国特許第 5,192,772 号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤、MDL-25637、2,6−ジデオキシ−7−O−β−D−グルコピラノシル−2,6−イミノ−D−グリセロ−L−グルコ−ヘプチトール、それに関連する種々のホモ二糖、及びそれらの医薬上許容される酸付加塩は米国特許第 4,634,765号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤、カミグリボース、メチル 6−デオキシ6−[(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジノ]−α−D−グルコピラノシドのセスキ水和物、それに関連するデオキシ−ノジリマイシン、それらの医薬上許容される塩、及びそれらを製造するための合成方法は米国特許第 5,157,116 及び 5,504,078号に開示されている。グルコシダーゼ阻害剤、サルボスタチン及びそれに関連する種々のプソイドサッカライドは米国特許第 5,091,524 号に開示されている。
【0120】
種々のアミラーゼ阻害剤が当業者に公知である。アミラーゼ阻害剤、テンダミスタット及びそれに関連する種々の環状ペプチドは米国特許第 4,451,455 号に開示されている。アミラーゼ阻害剤、AI-3688 及びそれに関連する種々の環状ペプチドは米国特許第 4,623,714 号に開示されている。トレスタチンA,トレスタチンB及びトレスタチンCの混合物からなるアミラーゼ阻害剤、トレスタチン、並びにそれに関連する種々のトレハロース含有アミノ糖は米国特許第 4,273,765 号に開示されている。
【0121】
本発明の化合物との組み合わせにおける第二薬剤として使用できる更なる抗糖尿病化合物は、例えば、次のもの:ビグアニド(例えば、メトホルミン)、インスリン分泌促進剤(例えばスルホニル尿素及びグリニド)、グリタゾン、ノン−グリタゾンPPARγ作動剤、PPARβ作動剤、PPARα作動剤、混合PPARα/β作動剤、混合PPARα/γ作動剤、混合PPARβ/γ作動剤、混合PPARα/β/γ作動剤、DPP−IVの阻害剤、DPE5の阻害剤、GSK−3の阻害剤、グルカゴン拮抗剤、f−1,6−BPaseの阻害剤(Metabasis/Sankyo)、GLP−1/類似体(AC 2993、エキセジン−4としても知られている)、インスリン及びインスリン模倣体(Merck の天然製品)を包含する。他の例は、PKC−β阻害剤及びAGEブレーカーを包含するだろう。
【0122】
本発明の化合物は、脂肪組織由来のホルモン(例えばアジポネクチン及びアジポネクチン類似体)と組み合わせて、そして抗肥満剤と組み合わせて使用することができる。何れの抗肥満剤も、このような組み合わせにおける第二薬剤として使用することができ、その例は本明細書に記載されている。このような抗肥満活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される。
【0123】
好適な肥満剤は、オピオイド拮抗剤(例えばナロキソン及びナルトレキソン)、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミン、β3アドレナリン作動性受容体作動剤、アポリポプロテイン−B分泌/ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(アポ−B/MTP)阻害剤、MCR−4作動剤、コレシストキニン−A(CCK−A)作動剤、モノアミン再取り込み阻害剤(例えばシブトラミン)、交感神経様作用剤、セロトニン作動性剤、カンナビノイド受容体(CB−1)拮抗剤(例えば、米国特許第 5,624,941 号に記載されたリモナバント (SR-141,716A)、プリン化合物、例えば米国特許公開第 2004/0092520 号に記載された化合物;ピラゾロ[1,5−a][1,3,5]トリアゾール化合物、例えば2004年1月21日出願の米国非仮特許出願第10/763105 号に記載された化合物;並びにビシクロピラゾリル及びイミダゾリル化合物、例えば2003年11月7日出願の米国仮出願第 60/518280 号に記載された化合物)、ドーパミン作動剤(例えば、ブロモクリプチン)、メラノサイト刺激ホルモン受容体類似体、5HT2c作動剤、メラニン濃縮ホルモン拮抗剤、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体作動剤、ガラニン拮抗剤、リパーゼ阻害剤(例えば、テトラヒドロリプスタチン、すなわち、オルリスタット)、ボムベシン作動剤、食欲抑制剤(例えば、ボムベシン作動剤)、神経ペプチド−Y拮抗剤、チロキシン、甲状腺ホルモン模倣剤、デヒドロエピアンドロステロン又はそれらの類似体、グルココルチコイド受容体作動剤又は拮抗剤、オレキシン受容体拮抗剤、ウロコルチン結合タンパク質拮抗剤、グルカゴン様ペプチド−1受容体作動剤、毛様体神経栄養因子(例えば、AxokineTM)、ヒト−アグーチ関連タンパク質(AGRP)、ゲレリン受容体拮抗剤、ヒスタミン3受容体拮抗剤又は逆作動剤、ニューロメジンU受容体作動剤、その他を包含する。
【0124】
リモナバント(SR141716A 、Sanofi-Synthelabo から入手可能な商品名 AccompliaTMとしても知られている)は、米国特許第 5,624,941号に記載されたようにして製造することができる。他のCB−1拮抗剤は、米国特許第 5,747,524, 6,432,984 及び 6,518,264 号;米国特許公開第 US2004/0092520、US2004/0157839、US2004/0214855 及び US2004/0214838 号;2004年10月22日出願の米国特許出願第10/971599 号;並びに PCT 特許公開第 WO 02/076949、WO 03/075660、WO04/048317、WO04/013120、及び WO 04/012671号に記載されたものである。
【0125】
抗肥満剤として使用するために好ましいアポリポプロテイン−B分泌/ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(アポ−B/MTP)阻害剤は、消化管選択的MTP阻害剤、例えば米国特許第 6,720,351 号に記載されたジルロタピド;米国特許第 5,521,186 及び 5,929,075号に記載された 4−(4−(4−(4−((2−((4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルチオ)メチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−2−sec−ブチル−2H−1,2,4−トリアゾール−3(4H)−オン(R103757);及び米国特許第 6,265,431号に記載されたイムプリタビド(BAY 13-9952)である。本明細書で用いられる「消化管選択的」という用語は、MTP阻害剤が全身暴露と比較して高い胃腸組織暴露を有することを意味する。
【0126】
何れの甲状腺ホルモン模倣体も、本発明の化合物との組み合わせにおける第二薬剤として使用することができる。このような甲状腺ホルモン模倣活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、Atherosclerosis (1996) 126: 53-63)。種々の甲状腺ホルモン模倣体、例えば米国特許第 4,766,121; 4,826,876; 4,910,305; 5,061,798; 5,284,971; 5,401,772; 5,654,468; 及び 5,569,674号に記載されたものが当業者に公知である。他の抗肥満剤は、米国特許第 4,929,629号に記載されたようにして製造できるシブトラミン、及び米国特許第 3,752,814 及び 3,752,888号に記載されたようにして製造できるブロモクリプチンを包含する。
【0127】
本発明の化合物はまた、他の抗高血圧剤と組み合わせて使用することができる。何れの抗高血圧剤も、このような組み合わせにおける第二薬剤として使用することができ、その例は本明細書に記載されている。このような抗高血圧活性は、当業者により標準的なアッセイによって容易に決定される(例えば、血圧測定)。
【0128】
抗高血圧剤を含有する現在市販されている製品の例は、カルシウムチャンネル遮断剤、例えば Cardizem(登録商標)、Adalat(登録商標)、Calan(登録商標)、Cardene(登録商標)、Covera(登録商標)、Dilacor(登録商標)、DynaCirc(登録商標)、Procardia XL(登録商標)、Sular(登録商標)、Tiazac(登録商標)、Vascor(登録商標)、Verelan(登録商標)、Isoptin(登録商標)、Nimotop(登録商標)、Norvasc(登録商標) 及び Plendil(登録商標);アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば Accupril(登録商標)、Altace(登録商標)、Captopril(登録商標)、Lotensin(登録商標)、Mavik(登録商標)、Monopril(登録商標)、Prinivil(登録商標)、Univasc(登録商標)、Vasotec(登録商標) 及び Zestril(登録商標) を包含する。
【0129】
アムロジピン及び関連するジヒドロピリジン化合物は、米国特許第 4,572,909号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に強力な抗虚血及び抗高血圧剤として記載されている。米国特許第4,879,303号(これは参照により本明細書に組み込まれる)はアムロジピンのベンゼンスルホン酸塩(アムロジピンベシレートとも呼ばれる)を開示している。アムロジピン及びアムロジピンベシレートは、強力かつ長期持続性のカルシウムチャンネル遮断剤である。それら自体として、アムロジピン、アムロジピンベシレート、アムロジピンマレイン酸塩及びアムロジピンの他の医薬上許容される酸付加塩は、抗高血圧剤として及び抗虚血剤としての有用性を有する。アムロジピンベシレートは現在 Norvasc(登録商標)として販売されている。アムロジピンは下記式を有する。
【化5】

【0130】
本発明の範囲内にあるカルシウムチャンネル遮断剤は、次のものを包含するが、これらに限定されない:ベプリジル、これは米国特許第 3,962,238号又は米国再発行第 30,577号に開示されたようにして製造できる;クレンチアゼム、これは米国特許第 4,567,175号に開示されたようにして製造できる;ジルチアゼム、これは米国特許第 3,562号に開示されたようにして製造できる、フェンジリン、これは米国特許第 3,262,977号に開示されたようにして製造できる;ガロパミル、これは米国特許第 3,261,859号に開示されたようにして製造できる;ミベフラジル、これは米国特許第 4,808,605号に開示されたようにして製造できる;プレニルアミン、これは米国特許第 3,152,173号に開示されたようにして製造できる;セモチアジル、これは米国特許第 4,786,635号に開示されたようにして製造できる;テロジリン、これは米国特許第 3,371,014号に開示されたようにして製造できる;ベラパミル、これは米国特許第 3,261,859号に開示されたようにして製造できる;アラニピン、これは米国特許第 4,572,909号に開示されたようにして製造できる;バルニジピン、これは米国特許第 4,220,649号に開示されたようにして製造できる;ベニジピン、これは欧州特許出願公開第 106,275号に開示されたようにして製造できる;シルニジピン、これは米国特許第 4,672,068号に開示されたようにして製造できる;エフォニジピン、これは米国特許第4,885,284号に開示されたようにして製造できる;エルゴジピン、これは米国特許第 4,952,592号に開示されたようにして製造できる;フェロジピン、これは米国特許第 4,264,611号に開示されたようにして製造できる;イスラジピン、これは米国特許第 4,466,972号に開示されたようにして製造できる;ラシジピン、これは米国特許第 4,801,599号に開示されたようにして製造できる;レルカニジピン、これは米国特許第 4,705,797号に開示されたようにして製造できる;マニジピン、これは米国特許第 4,892,875号に開示されたようにして製造できる;ニカルジピン、これは米国特許第 3,985,758号に開示されたようにして製造できる;ニフェジピン、これは米国特許第 3,485,847号に開示されたようにして製造できる;ニルバジピン、これは米国特許第 4,338,322号に開示されたようにして製造できる;ニモジピン、これは米国特許第 3,799,934号に開示されたようにして製造できる;ニソルジピン、これは米国特許第 4,154,839号に開示されたようにして製造できる;ニトレンジピン、これは米国特許第 3,799,934号に開示されたようにして製造できる;シンナリジン、これは米国特許第 2,882,271号に開示されたようにして製造できる;フルラリジン、これは米国特許第 3,773,939号に開示されたようにして製造できる;リドフラジン、これは米国特許第 3,267,104号に開示されたようにして製造できる;ロメリジン、これは米国特許第 4,663,325号に開示されたようにして製造できる;ベンシクラン、これはハンガリー特許 151,865号に開示されたようにして製造できる;エタフェノン、これはドイツ特許 1,265,758号に開示されたようにして製造できる;及びペルヘキシリン、これは英国特許第 1,025,578号に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
本発明の範囲内にあるアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)は、次のものを包含するが、これらに限定されない:アラセプリル、これは米国特許第 4,248,883号に開示されたようにして製造できる;ベナゼプリル、これは米国特許第 4,410,520 号に開示されたようにして製造できる;カプトプリル、これは米国特許第 4,046,889 及び 4,105,776 号に開示されたようにして製造できる;セロナプリル、これは米国特許第 4,452,790 号に開示されたようにして製造できる;デラプリル、これは米国特許第 4,385,051 号に開示されたようにして製造できる;エナラプリル、これは米国特許第 4,374,829 号に開示されたようにして製造できる;フォシノプリル、これは米国特許第 4,337,201 号に開示されたようにして製造できる;イマダプリル、これは米国特許第 4,508,727 号に開示されたようにして製造できる;リシノプリル、これは米国特許第 4,555,502 号に開示されたようにして製造できる;モベルトプリル、これはベルギー特許第 893,553 号に開示されたようにして製造できる;ペリンドプリル、これは米国特許第 4,508,729 号に開示されたようにして製造できる;キナプリル、これは米国特許第 4,344,949 号に開示されたようにして製造できる;ラミプリル、これは米国特許第 4,587,258 号に開示されたようにして製造できる;スピラプリル、これは米国特許第 4,470,972 号に開示されたようにして製造できる;テモカプリル、これは米国特許第 4,699,905 号に開示されたようにして製造できる;及びトランドラプリル、これは米国特許第 4,933,361 号に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
本発明の範囲内にあるアンギオテンシン−II 受容体拮抗剤(A−II拮抗剤)は、次のものを包含するが、これらに限定されない:カンデサルタン、これは米国特許第 5,196,444 号に開示されたようにして製造できる;エプロサルタン、これは米国特許第 5,185,351 号に開示されたようにして製造できる;イルベサルタン、これは米国特許第 5,270,317 号に開示されたようにして製造できる;ロサルタン、これは米国特許第 5,138,069 号に開示されたようにして製造できる;及びバルサルタン、これは米国特許第 5,399,578 号に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
本発明の範囲内にあるベータ−アドレナリン作動性受容体遮断剤(ベータ−又はβ−遮断剤)は、次のものを包含するが、これらに限定されない:アセブトロール、これは米国特許第 3,857,952 号に開示されたようにして製造できる;アルプレノロール、これはオランダ特許出願第 6,605,692 号に開示されたようにして製造できる;アモスラロール、これは米国特許第 4,217,305 号に開示されたようにして製造できる;アロチノロール、これは米国特許第 3,932,400 号に開示されたようにして製造できる;アテノロール、これは米国特許第 3,663,607 又は 3,836,671 号に開示されたようにして製造できる;ベフノロール、これは米国特許第 3,853,923 号に開示されたようにして製造できる;ベタキソロール、これは米国特許第 4,252,984 号に開示されたようにして製造できる;ベバントロール、これは米国特許第 3,857,981 号に開示されたようにして製造できる;ビソプロロール、これは米国特許第 4,171,370 号に開示されたようにして製造できる;ボピンドロール、これは米国特許第 4,340,541 号に開示されたようにして製造できる;ブクモロール、これは米国特許第 3,663,570 号に開示されたようにして製造できる;ブフェトロール、これは米国特許第 3,723,476 号に開示されたようにして製造できる;ブフラロール、これは米国特許第 3,929,836 号に開示されたようにして製造できる;ブニトロロール、これは米国特許第 3,940,489 及び 3,961,071 号に開示されたようにして製造できる;ブプランドロール、これは米国特許第 3,309,406 号に開示されたようにして製造できる;ブチリジン塩酸塩、これはフランス特許第 1,390,056 号に開示されたようにして製造できる;ブトフィロロール、これは米国特許第 4,252,825 号に開示されたようにして製造できる;カラゾロール、これはドイツ特許第 2,240,599 号に開示されたようにして製造できる;カルテオロール、これは米国特許第 3,910,924 号に開示されたようにして製造できる;カルベジロール、これは米国特許第 4,503,067 号に開示されたようにして製造できる;セリプロロール、これは米国特許第 4,034,009 号に開示されたようにして製造できる;セタモロール、これは米国特許第 4,059,622 号に開示されたようにして製造できる;クロラノロール、これはドイツ特許第 2,213,044 号に開示されたようにして製造できる;ジレバロール、これは Clifton et al., Journal of Medicinal Chemistry, 1982, 25, 670 に開示されたようにして製造できる;エパノロール、これは欧州特許公開出願第 41,491 号に開示されたようにして製造できる;インデノロール、これは米国特許第 4,045,482 号に開示されたようにして製造できる;ラベタロール、これは米国特許第 4,012,444 号に開示されたようにして製造できる;レボブノロール、これは米国特許第 4,463,176 号に開示されたようにして製造できる;メピンドロール、これは Seeman et al., Helv. Chim. Acta, 1971, 54, 241 に開示されたようにして製造できる;メチプラノロール、これはチェコスロバキア特許出願第 128,471 号に開示されたようにして製造できる;メトプロロール、これは米国特許第 3,873,600 号に開示されたようにして製造できる;モプロロール、これは米国特許第 3,501,769l 号に開示されたようにして製造できる;ナドロール、これは米国特許第 3,935,267 号に開示されたようにして製造できる;ナドキソロール、これは米国特許第 3,819,702 号に開示されたようにして製造できる;ネビバロール、これは米国特許第 4,654,362 号に開示されたようにして製造できる;ニプラジロール、これは米国特許第 4,394,382 号に開示されたようにして製造できる;オキシプレノロール、これは英国特許第 1,077,603 号に開示されたようにして製造できる;ペルブトロール、これは米国特許第 3,551,493 号に開示されたようにして製造できる;ピンドロール、これはスイス特許第 469,002 及び 472,404 号に開示されたようにして製造できる;プラクトロール、これは米国特許第 3,408,387 号に開示されたようにして製造できる;プロネタロール、これは英国特許第 909,357 号に開示されたようにして製造できる;プロプラノロール、これは米国特許第 3,337,628 及び 3,520,919 号に開示されたようにして製造できる;ソタロール、これは Uloth et al., Journal of Medicinal Chemistry, 1966, 9, 88 に開示されたようにして製造できる;スフィナロール、これはドイツ特許第 2,728,641 号に開示されたようにして製造できる;タリンドール、これは米国特許第 3,935,259 及び 4,038,313 号に開示されたようにして製造できる;テルタトロール、これは米国特許第 3,960,891 号に開示されたようにして製造できる;チリソロール、これは米国特許第 4,129,565 号に開示されたようにして製造できる;チモロール、これは米国特許第 3,655,663 号に開示されたようにして製造できる;トリプロロール、これは米国特許第 3,432,545 号に開示されたようにして製造できる;及びキシベノロール、これは米国特許第 4,018,824 号に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
本発明の範囲内にあるアルファ−アドレナリン作動性受容体遮断剤(アルファ−又はα−遮断剤)は、次のものを包含するが、これらに限定されない:アモスラロール、これは米国特許第 4,217,307 号に開示されたようにして製造できる;アロチノロール、これは米国特許第 3,932,400 号に開示されたようにして製造できる;アジプラゾール、これは米国特許第 4,252,721 号に開示されたようにして製造できる;ドキサゾシン、これは米国特許第4,188,390 号に開示されたようにして製造できる;フェンスピリド、これは米国特許第 3,399,192 号に開示されたようにして製造できる;インドラミン、これは米国特許第 3,527,761 号に開示されたようにして製造できる;ラベトロール、これは米国特許第 3,997,666 号に開示されたようにして製造できる;ニセルゴリン、これは米国特許第 3,228,943 号に開示されたようにして製造できる;プラゾシン、これは米国特許第 3,511,836 号に開示されたようにして製造できる;タムスロシン、これは米国特許第 4,703,063 号に開示されたようにして製造できる;トラゾリン、これは米国特許第 2,161,938 号に開示されたようにして製造できる;トリマゾシン、これは米国特許第 3,669,968 号に開示されたようにして製造できる、及びヨヒンビン、これは当業者に周知の方法により天然源から単離できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
本明細書で用いられる「血管拡張剤」という用語は、脳血管拡張剤、冠状動脈血管拡張剤及び末梢血管拡張剤を包含することを意味する。本発明の範囲内にある脳血管拡張剤は、次のものを包含するが、これらに限定されない:ベンシクラン;シンナリジン;シチコリン、これらは Kennedy et al., Journal of the American Chemical Society, 1955, 77, 250に開示されたようにして天然源から単離できるか又は Kennedy, Journal of Biological Chemistry, 1956, 222, 185に開示されたようにして合成できる;シクランデレート、これは米国特許第 3,663,597号に開示されたようにして製造できる;シクラニケート、これはドイツ特許第 1,910,481号に開示されたようにして製造できる;ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸塩、これは英国特許第 862,248号に開示されたようにして製造できる;エブルナモニン、これは Hermann et al., Journal of the American Chemical Society, 1979, 101, 1540に開示されたようにして製造できる;ファスジル、これは米国特許第 4,678,783号に開示されたようにして製造できる;フェノキセジル、これは米国特許第 3,818,021号に開示されたようにして製造できる;フルナリジン、これは米国特許第 3,773,939号に開示されたようにして製造できる;イブジラスト、これは米国特許第 3,850,941号に開示されたようにして製造できる;イフェンプロジル、これは米国特許第 3,509,164号に開示されたようにして製造できる;ロメリジン、これは米国特許第 4,663,325号に開示されたようにして製造できる;ナフロニル、これは米国特許第 3,334,096号に開示されたようにして製造できる;ニカメテート、これは Blicke et al., Journal of the American Chemical Society, 1942, 64, 1722 に開示されたようにして製造できる;ニセルゴリン、これは上記に開示されたようにして製造できる;ニモジピン、これは米国特許第 3,799,934号に開示されたようにして製造できる;パパベリン、これは Goldberg, Chem. Prod. Chem. News, 1954, 17, 371に開示されたようにして製造できる;ペンチフィリン、これはドイツ特許第 860,217号に開示されたようにして製造できる;チノフェドリン、これは米国特許第 3,563,997号に開示されたようにして製造できる;ビンカミン、これは米国特許第 3,770,724号に開示されたようにして製造できる;ビンポセチン、これは米国特許第 4,035,750号に開示されたようにして製造できる;及びビキジル、これは米国特許第 2,500,444号に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0136】
本発明の範囲内にある冠状動脈血管拡張剤は、次のものを包含するが、これらに限定されない:アモトリフェン、これは米国特許第 3,010,965号に開示されたようにして製造できる;ベンダゾール、これは J. Chem. Soc. 1958, 2426に開示されたようにして製造できる;ベンフロジル、これは米国特許第 3,355,463号に開示されたようにして製造できる;ベンジオダロン、これは米国特許第 3,012,042号に開示されたようにして製造できる;クロラシジン、これは英国特許第 740,932号に開示されたようにして製造できる;クロモナル、これは米国特許第 3,282,938号に開示されたようにして製造できる;クロベンフラル、これは英国特許第 1,160,925号に開示されたようにして製造できる;クロニトレート、これは当業者に周知の方法により製造できる、例えば、Annalen, 1870, 155, 165 参照;クロリクロメン、これは米国特許第 4,452,811号に開示されたようにして製造できる;ジラゼプ、これは米国特許第 3,532,685号に開示されたようにして製造できる;ジピリダモール、これは英国特許第 807,826号に開示されたようにして製造できる;ドロプレニルアミン、これはドイツ特許第 2,521,113 号に開示されたようにして製造できる;エフロキセート、これは英国特許第 803,372 及び 824,547 号に開示されたようにして製造できる;四硝酸エリスリチル、これは当業者に周知の方法によりエリスリトールのニトロ化によって製造できる;エタフェノン、これはドイツ特許第 1,265,758 号に開示されたようにして製造できる;フェンジリン、これは米国特許第 3,262,977 号に開示されたようにして製造できる;フロレジル、これはドイツ特許第 2,020,464 号に開示されたようにして製造できる;ガングレフェン、これは U.S.S.R.特許第 115,905 号に開示されたようにして製造できる;ヘキセストロール、これは米国特許第 2,357,985 号に開示されたようにして製造できる;ヘキソベンジン、これは米国特許第 3,267,103 号に開示されたようにして製造できる;イトラミントシレート、これはスイス特許第 168,308 号に開示されたようにして製造できる;ケーリン、これは Baxter et al., Journal of the Chemical Society, 1949, S 30 に開示されたようにして製造できる;リドフラジン、これは米国特許第 3,267,104 号に開示されたようにして製造できる;六硝酸マンニトール、これは当業者に周知の方法によりマンニトールのニトロ化によって製造できる;メジバジン、これは米国特許第 3,119,826 号に開示されたようにして製造できる;ニトログリセリン;四硝酸ペンタエリスリトール、これは当業者に周知の方法によりペンタエリスリトールのニトロ化によって製造できる;ペントリニトロール、これはドイツ特許第638,422-3号に開示されたようにして製造できる;ペルヘキシリン、これは上記に開示されたようにして製造できる;ピメフィリン、これは米国特許第 3,350,400号に開示されたようにして製造できる;プレニルアミン、これは米国特許第 3,152,173号に開示されたようにして製造できる;硝酸プロパチル、これはフランス特許第 1,103,113号に開示されたようにして製造できる;トラピジル、これは東ドイツ特許第 55,956号に開示されたようにして製造できる;トリクロミル、これは米国特許第 2,769,015号に開示されたようにして製造できる;トリメタジジン、これは米国特許第 3,262,852号に開示されたようにして製造できる;トロルニトレートホスフェート、これは当業者に周知の方法によりトリエタノールアミンのニトロ化に続いてリン酸で沈殿させることによって製造できる;ビスナジン、これは米国特許第 2,816,118 及び 2,980,699号に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0137】
本発明の範囲内にある末梢血管拡張剤は、次のものを包含するが、これらに限定されない:ニコチン酸アルミニウム、これは米国特許第 2,970,082号に開示されたようにして製造できる;バメタン、これは Corrigan et al., Journal of the American Chemical Society, 1945, 67, 1894 に開示されたようにして製造できる;ベンシクラン、これは上記に開示されたようにして製造できる;ベタヒスチン、これは Walter et al.; Journal of the American Chemical Society, 1941, 63, 2771 に開示されたようにして製造できる;ブラジキニン、これは Hamburg et al., Arch. Biochem. Biophys., 1958, 76, 252 に開示されたようにして製造できる;ブロビンカミン、これは米国特許第 4,146,643 号に開示されたようにして製造できる;ブフェニオド、これは米国特許第 3,542,870 号に開示されたようにして製造できる;ブフロメジル、これは米国特許第 3,895,030 号に開示されたようにして製造できる;ブタラミン、これは米国特許第 3,338,899 号に開示されたようにして製造できる;セチエジル、これはフランス特許第 1,460,571 号に開示されたようにして製造できる;シクロニケート、これはドイツ特許第 1,910,481 号に開示されたようにして製造できる;シネパジド、これはベルギー特許第 730,345 号に開示されたようにして製造できる;シンナリジン、これは上記に開示されたようにして製造できる;シクランデレート、これは上記に開示されたようにして製造できる;ジクロル酢酸ジイソプロピルアミン、これは上記に開示されたようにして製造できる;エレドイシン、これは英国特許第 984,810 号に開示されたようにして製造できる;フェノキシジル、これは上記に開示されたようにして製造できる;フルナリジン、これは上記に開示されたようにして製造できる;ヘプロニケート、これは米国特許第 3,384,642 号に開示されたようにして製造できる;イフェンプロジル、これは上記に開示されたようにして製造できる;イロプロスト、これは米国特許第 4,692,464 号に開示されたようにして製造できる;ナイアシン酸イノシトール、これは Badgett et al., Journal of the American Chemical Society, 1947, 69, 2907 に開示されたようにして製造できる;イソクススプリン、これは米国特許第 3,056,836 号に開示されたようにして製造できる;カリジン、これは Biochem. Biophys. Res. Commun., 1961, 6, 210 に開示されたようにして製造できる;カリクレイン、これはドイツ特許第 1,102,973 号に開示されたようにして製造できる;モキシシライト、これはドイツ特許第 905,738 号に開示されたようにして製造できる;ナルロニル、これは上記に開示されたようにして製造できる;ニカメテート、これは上記に開示されたようにして製造できる; ニセルゴリン、これは上記に開示されたようにして製造できる;ニコフラノース、これはスイス特許第 366,523 号に開示されたようにして製造できる;ニリドリン、これは米国特許第 2,661,372 及び 2,661,373 号に開示されたようにして製造できる;ペンチフィリン、これは上記に開示されたようにして製造できる;ペントキシフィリン、これは米国特許第3,422,107 号に開示されたようにして製造できる;ピリベジル、これは米国特許第 3,299,067 号に開示されたようにして製造できる;プロスタグランジンE1、これ Merck Index, Twelfth Edition, Budaveri, Ed., New Jersey, 1996, p. 1353 に引用された何れの方法によっても製造できる;スロクチジル、これはドイツ特許第 2,334,404 号に開示されたようにして製造できる;トラゾリン、これは米国特許第 2,161,938 号に開示されたようにして製造できる;及びナイアシン酸キサンチノール、これはドイツ特許第 1,102,750 号又は Korbonits et al., Acta. Pharm. Hung., 1968, 38, 98 に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
本発明の範囲内にある「利尿剤」は、利尿性ベンゾチアジアジン誘導体、利尿性有機水銀化合物、利尿性プリン、利尿性ステロイド、利尿性スルホンアミド誘導体、利尿性ウラシル及び他の利尿剤を包含することを意味し、これらは例えば次のものである:アマノジン、これはオーストリア特許第 168,063 号に開示されたようにして製造できる;アミロリド、これはベルギー特許第 639,386 号に開示されたようにして製造できる;アルブチン、これは Tschitschibabin, Annalen, 1930, 479, 303 に開示されたようにして製造できる;クロラザニル、これはオーストリア特許第 168,063 号に開示されたようにして製造できる;エタクリン酸、これは米国特許第 3,255,241号に開示されたようにして製造できる;エトゾリン、これは米国特許第 3,072,653 号に開示されたようにして製造できる;ヒドラカルバジン、これは英国特許第 856,409 号に開示されたようにして製造できる;イソソルビド、これは米国特許第 3,160,641 号に開示されたようにして製造できる;マンニトール;メトカルコン、これは Freudenberg et al., Ber., 1957, 90, 957 に開示されたようにして製造できる;ムゾリミン、これは米国特許第 4,018,890 号に開示されたようにして製造できる;ペルヘキシリン、これは上記に開示されたようにして製造できる;チクリナフェン、これは米国特許第 3,758,506 号に開示されたようにして製造できる;トリアムテレン、これは米国特許第 3,081,230 号に開示されたようにして製造できる;及び尿素。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0139】
本発明の範囲内にある利尿性ベンゾチアジアジン誘導体は、次のものを包含するが、これらに限定されない:アルチアジド、これは英国特許第 902,658 号に開示されたようにして製造できる;ベンドロフルメチアジド、これは米国特許第 3,265,573 号に開示されたようにして製造できる;ベンゾチアジド、McManus et al., 136th Am. Soc. Meeting (Atlantic City, September 1959), Abstract of papers, pp 13-O に開示されたようにして製造できる;ベンジルヒドロクロロチアジド、これは米国特許第 3,108,097 号に開示されたようにして製造できる;ブチアジド、これは英国特許第 861,367 及び 885,078号に開示されたようにして製造できる;クロロチアジド、これは米国特許第 2,809,194 及び 2,937,169 号に開示されたようにして製造できる;クロロタリドン、これは米国特許第 3,055,904 号に開示されたようにして製造できる;シクロペンチアジド、これはベルギー特許第 587,225 号に開示されたようにして製造できる;シクロチアジド、これはWhitehead et al., Journal of Organic Chemistry, 1961, 26, 2814 に開示されたようにして製造できる;エピチアジド、これは米国特許第 3,009,911 号に開示されたようにして製造できる;エチアジド、これは英国特許第 861,367 号に開示されたようにして製造できる;フェンキゾン、これは米国特許第 3,870,720 号に開示されたようにして製造できる;インダパミド、これは米国特許第 3,565,911 号に開示されたようにして製造できる;ヒドロクロロチアジド、これは米国特許第 3,164,588 号に開示されたようにして製造できる;ヒドロフルメチアジド、これは米国特許第 3,254,076 号に開示されたようにして製造できる;メチクロチアジド、これは Close et al., Journal of the American Chemical Society, 1960, 82, 1132 に開示されたようにして製造できる;メチクラン、これはフランス特許第 M2790 及び 1,365,504 号に開示されたようにして製造できる;メトラゾン、これは米国特許第 3,360,518 号に開示されたようにして製造できる;パラフルチジド、これはベルギー特許第 620,829 号に開示されたようにして製造できる;ポリチアジド、これは米国特許第 3,009,911 号に開示されたようにして製造できる;キネタゾン、これは米国特許第 2,976,289 号に開示されたようにして製造できる;テクロチアジド、これは Close et al., Journal of the American Chemical Society, 1960, 82, 1132 に開示されたようにして製造できる;及びトリクロメチアジド、これは deStevens et al., Experientia, 1960, 16, 113 に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
本発明の範囲内にある利尿性スルホンアミド誘導体は、次のものを包含するが、これらに限定されない:アセタゾラミド、これは米国特許第 2,980,679 号に開示されたようにして製造できる;アムブシド、これは米国特許第 3,188,329 号に開示されたようにして製造できる;アゾセミド、これは米国特許第 3,665,002 号に開示されたようにして製造できる;ブメタニド、これは米国特許第 3,634,583 号に開示されたようにして製造できる;ブタゾラミド、これは英国特許第 769,757 号に開示されたようにして製造できる;クロラミノフェナミド、これは米国特許第 2,809,194、2,965,655 及び 2,965,656 号に開示されたようにして製造できる;クロフェナミド、これは Olivier, Rec. Trav. Chim., 1918, 37, 307 に開示されたようにして製造できる;クロパミド、これは米国特許第 3,459,756 号に開示されたようにして製造できる;クロレキソロン、これは米国特許第 3,183,243 号に開示されたようにして製造できる;ジスルファミド、これは英国特許第 851,287 号に開示されたようにして製造できる;エトキソラミド、これは 英国特許第 795,174 号に開示されたようにして製造できる;フロセミド、これは米国特許第 3,058,882 号に開示されたようにして製造できる;メフルシド、これは米国特許第 3,356,692 号に開示されたようにして製造できる;メタゾラミド、これは米国特許第 2,783,241 号に開示されたようにして製造できる;ピレタニド、これは米国特許第 4,010,273 号に開示されたようにして製造できる;トラセミド、これは米国特許第 4,018,929 号に開示されたようにして製造できる;トリパミド、これは日本特許第 7 305,585 号に開示されたようにして製造できる;及びキシパミド、これは米国特許第 3,567,777 号に開示されたようにして製造できる。これら全ての米国特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
骨粗鬆症は、低い骨量及び骨組織の劣化を特徴とする全身性骨疾患であり、結果として骨の脆弱性及び骨折のしやすさが増大する。米国では、この症状は2,500万を超える人々を冒し、そして毎年130万を超える骨折を引き起こし、これは年間500,000の脊椎骨折、250,000の股関節骨折及び240,000の手首骨折を含む。股関節骨折は骨粗鬆症の最も重症な結果であり、患者の5〜20%が1年以内に死亡し、そして生存者の 50%より多くが再起不能になる。
【0142】
高齢者は骨粗鬆症の危険性が最も大きく、従って問題は人口の高齢化に伴って著しく増加すると予想される。全世界の骨折事故は、この先60年間にわたって3倍に増加すると予測され、そして一つの研究は2050年の全世界の股関節骨折は450万になるだろうと推定している。
【0143】
女性は男性よりも骨粗鬆症の危険性が大きい。女性は閉経後5年間に骨量減少の鋭い加速を経験する。この危険性を高める他の要因には、喫煙、アルコール乱用、座りがちなライフスタイル及び低いカルシウム摂取量が含まれる。
【0144】
当業者は、抗再吸収剤(例えばプロゲスチン、ポリホスホネート、ビスホスホネート、エストロゲン作動剤/拮抗剤、エストロゲン、エストロゲン/プロゲスチンの併用剤、Premarin(登録商標)、エストロン、エストリオール、又は17α−若しくは17β−エチニルエスタラジオール)を本発明の化合物と一緒に使用できることを認識するだろう。
【0145】
例示的なプロゲスチンは市場の入手源から入手することができ、そして次のものを包含する:アロゲストンアセトフェニド、アルトレノゲスト、酢酸アマジノン、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、シンゲストール、酢酸クロゲストン、酢酸クロメゲストン、酢酸デルマジノン、デソゲストレル、ジメチステロン、ジドロゲステロン、エチネロン、二酢酸エチノジオール、テトノゲストレル、酢酸フルロゲストン、ゲスタクロン、ゲストデン、カプロン酸ゲストノロン、ゲストリノン、ハロプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メレンゲストロール、二酢酸メチノジオール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストメト、ノルゲストレル、フェンプロピオン酸オキソゲストン、プロゲステロン、酢酸キンゲスタノール、キンゲストロン、及びチゲストール。
【0146】
好ましいプロゲスチンは、メドロキシプロゲストロン、ノルエチンドロン及びノルエチノドレルである。
【0147】
例示的な骨吸収阻害性ポリホスホン酸は、米国特許第 3,683,080 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示された型のポリホスホネートを包含する。好ましいポリホスホネートは、ジェミナルジホスホネート(ビス−ホスホネートとも呼ばれる)である。チルドロネート二ナトリウムは、特に好ましいポリホスホネートである。イバンドロン酸は、特に好ましいポリホスホネートである。アレンドロネート及びレシンドロネートは、特に好ましいポリホスホネートである。ゾレドロン酸は特に好ましいポリホスホネートである。他の好ましいポリホスホネートは、6−アミノ−1−ヒドロキシ−ヘキシリデン−ビスホスホン酸及び 1−ヒドロキシ−3(メチルペンチルアミノ)−プロピリデン−ビスホスホン酸である。ポリホスホネートは酸の形態、又は可溶性のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の形態で投与することができる。ポリホスホネートの加水分解可能なエステルも同様に包含される。特定の例は、エタン−1−ヒドロキシ 1,1−ジホスホン酸、メタンジホスホン酸、ペンタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、メタンジクロロジホスホン酸、メタンヒドロキシジホスホン酸、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホン酸、エタン−2−アミノ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−3−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−N,N−ジメチル−3−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−3,3−ジメチル−3−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、フェニルアミノメタンジホスホン酸、N,N−ジメチルアミノメタンジホスホン酸、N(2−ヒドロキシエチル)アミノメタンジホスホン酸、ブタン−4−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、ペンタン−5−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、ヘキサン−6−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、並びにそれらの医薬上許容されるエステル及び塩を包含する。
【0148】
特に、本発明の化合物は、哺乳動物のエストロゲン作動剤/拮抗剤と組み合わせることができる。何れのエストロゲン作動剤/拮抗剤も、本発明の組み合わせ態様に使用することができる。エストロゲン作動剤/拮抗剤という用語は、エストロゲン受容体に結合し、骨代謝回転を阻害し、そして/又は骨量減少を予防する化合物を指す。特に、エストロゲン作動剤は、ここで、化合物が哺乳動物の組織におけるエストロゲン受容体部位に結合でき、そして一つ又はそれ以上の組織においてエストロゲンの作用を模倣する化合物と定義される。エストロゲン拮抗剤は、ここで哺乳動物の組織におけるエストロゲン受容体に結合することができ、そして一つ又はそれ以上の組織においてエストロゲンの作用をブロックする化合物と定義される。このような活性は、当業者により、エストロゲン受容体結合アッセイを含めた標準的なアッセイ、骨組織学的方法及び骨密度測定法、並びに Eriksen E.F. et al., Bone Histomorphometry, Raven Press, New York, 1994, pages 1-74; Grier S.J. et. al., The Use of Dual-Energy X-Ray Absorptiometry In Animals, Inv. Radiol., 1996, 31(1):50-62; Wahner H.W. and Fogelman I., The Evaluation of Osteoporosis: Dual Energy X-Ray Absorptiometry in Clinical Practice., Martin Dunitz Ltd., London 1994, pages 1-296) によって決定することができる。これらの種々の化合物は以下に記載し、引用される。
【0149】
別の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、3−(4−(1,2−ジフェニル−ブタ−1−エンイル)−フェニル)−アクリル酸であり、これは Willson et al., Endocrinology, 1997, 138, 3901-3911 に開示されている。
【0150】
別の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、タモキシフェン:(エタンアミン、2−(−4−(1,2−ジフェニル−1−ブテニル)フェノキシ)−N,N−ジメチル, (Z)−2−, 2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート(1:1))及び関連する化合物であり、これらは米国特許第 4,536,516 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0151】
別の関連する化合物は、4−ヒドロキシタモキシフェンであり、これは米国特許第 4,623,660 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0152】
好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、ラロキシフェン:(メタノン、(6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾ[b]チエン−3−イル)(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)−塩酸塩)であり、これは米国特許第 4,418,068 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0153】
別の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、トレミフェン:(エタナミン、2−(4−(4−クロロ−1,2−ジフェニル−1−ブテニル)フェノキシ)−N,N−ジメチル−, (Z)−, 2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート(1:1))であり、これは米国特許第 4,996,225 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0154】
別の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、セントクロマン: 1−(2−((4−(−メトキシ−2,2, ジメチル−3−フェニル−クロマン−4−イル)−フェノキシ)−エチル)−ピロリジンであり、これは米国特許第 3,822,287 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。同様に好ましいものは、レボルメロキシフェンである。
【0155】
別の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、イドキシフェン: (E)−1−(2−(4−(1−(4−ヨード−フェニル)−2−フェニル−ブタ−1−エンイル)−フェノキシ)−エチル)−ピロリジノンであり、これは米国特許第 4,839,155 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0156】
別の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、2−(4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェノキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−6−オールであり、これは米国特許第 5,488,058 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0157】
別の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−5−(4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−ナフタレン−2−オールであり、これは米国特許第 5,484,795 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0158】
別の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、(4−(2−(2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−エトキシ)−フェニル)−(6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ベンゾ [b]チオフェン−3−イル)−メタノンであり、これは Pfizer Inc. に譲渡された PCT 公開第 WO 95/10513 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に製造方法と共に開示されている。
【0159】
他の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、化合物、TSE-424 (Wyeth-Ayerst Laboratories) 及びアラゾキシフェンである。
【0160】
他の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、同一出願人の米国特許第 5,552,412 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示された化合物を包含する。そこに記載された特に好ましい化合物は、下記のものである:
シス−6−(4−フルオロ−フェニル)−5−(4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール;
(-)−シス−6−フェニル−5−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール(ラソフォキシフェンとしても知られている);
シス−6−フェニル−5−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール;
シス−1−(6'−ピロロジノエトキシ−3'−ピリジル)−2−フェニル−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン;
1−(4'−ピロリジノールエトキシフェニル)−2−(4"−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン;
シス−6−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール;及び
1−(4'−ピロリジノールエトキシフェニル)−2−フェニル−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン。
【0161】
他の好ましいエストロゲン作動剤/拮抗剤は、米国特許第 4,133,814 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。米国特許第 4,133,814 号は2−フェニル−3−アロイル−ベンゾチオフェン及び 2−フェニル−3−アロイルベンゾチオフェン−1−オキシドの種々の誘導体を開示している。
【0162】
本発明の化合物との組み合わせにおける第二薬剤として使用できる他の抗骨粗鬆症剤は、例えば、次のものを包含する:副甲状腺ホルモン(PPH)(骨同化剤);副甲状腺ホルモン(PPH)分泌促進剤(例えば、米国特許第 6,132,774 号参照)、特にカルシウム受容体拮抗剤;カルシトニン;並びにビタミンD及びビタミンD類似体。
【0163】
何れの選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)も、本発明の化合物との組み合わせに使用することができる。選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)は、アンドロゲン活性を有し、そして組織選択的効果を発揮する化合物である。SARM化合物は、アンドロゲン受容体の作動剤、部分的作動剤、部分的拮抗剤又は拮抗剤として機能することができる。好適なSARMは、酢酸シプロテロン、クロルマジノン、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、スピロノラクトン、4−(トリフルオロメチル)−2(1H)−ピロリジノ[3,2−g]キノリン誘導体、1,2−ジヒドロピリジノ [5,6−g]キノリン誘導体及びピペリジノ[3,2−g]キノリノン誘導体のような化合物である。
【0164】
(1b,2b)−6−クロロ−1,2−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3'H−シクロプロパ[1,2]プレグナ−1,4,6−トリエン−3,20−ジオンとしても知られているシプテロンは、米国特許第 3,234,093 号に開示されている。17−(アセチルオキシ)−6−クロロプレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンとしても知られているクロルマジノンは、その酢酸塩の形態で、抗アンドロゲン剤として作用し、そして米国特許第 3,485,852号に開示されている。5,5−ジメチル−3−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4−イミダゾリジンジオンとして及び商品名 Nilandron(登録商標) によっても知られているニルタミドは、米国特許第 4,097,578号に開示されている。2−メチル−N−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドとして及び商品名 Eulexin(登録商標) によっても知られて
いるフルタミドは、米国特許第 3,847,988号に開示されている。4'−シアノ−a',a',a'−トリフルオロ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオノ−m−トルイジンとして及び商品名 Casodex(登録商標) としても知られているビカルタミドは、EP-100172 に開示されている。ビカルタミドのエナンチオマーは、Tucker and Chesterton, J. Med. Chem. 1988, 31, 885-887 により論議されている。大部分の組織における公知のアンドロゲン受容体拮抗剤のヒドロキシフルタミドは、Hofbauer et al. J. Bone Miner. Res. 1999, 14, 1330-1337 に開示されているように、骨芽細胞によるIL−6産生への効果のためにSARMとして機能すると示唆されている。更なるSARMは、米国特許第 6,017,924号;WO 01/16108、WO 01/16133、WO 01/16139、WO 02/00617、WO 02/16310号、米国特許出願公開第US 2002/0099096号、米国特許出願公開第 US 2003/0022868号、WO 03/011302 及び WO 03/011824号に論議されている。上記文献の全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【0165】
上記の化合物のための出発材料及び試薬はまた、容易に入手できるか又は当業者により有機合成の従来法を用いて容易に合成することができる。例えば、本発明に用いられる化合物の多くは、化学的関心度及び商業的需要の高い化合物に関連するか又はそれらから誘導され、従って多くのこのような化合物は商業的に入手できるか、又は文献に報告されているか、又は他の商業的に入手できる化合物から文献に報告されている方法により容易に製造される。
【0166】
本発明の化合物又はそれらの合成中間体の幾つかは、不斉炭素原子を有し、従ってエナンチオマー又はジアステレオマーである。ジアステレオマー混合物は、それらの物理化学的差異に基づいて本来公知の方法により、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶により、それらの個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、例えば、キラルHPLC法によるか、又はエナンチオマー混合物を適切な光学活性化合物(例えば、アルコール)と反応させてジアステレオマー混合物に変換し、このジアステレオマーを分離し、そして個々のジアステレオマーを相当する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことによって分離することができる。同様に、酸性又は塩基性基を有する化合物又はそれらの合成中間体のエナンチオマー混合物は、光学的に純粋なキラル塩基又は酸(例えば、1−フェニル−エチルアミン、酒石酸ジベンジル又は酒石酸)とのジアステレオマー塩を形成し、そして分別結晶に続いて中和して塩を分解し、こうして相当する純粋なエナンチオマーを与えることによって、それらの相当する純粋なエナンチオマーに分離することができる。ジアステレオマー、エナンチオマー及びそれらの混合物を含めたこれら全ての異性体は、本発明の化合物を含めた全ての本発明の化合物のために本発明の一部であると考えられる。同様に、本発明の化合物の幾つかは、アトロプ異性体(例えば、置換されたビアリール)であり、そして本発明の一部と考えられる。
【0167】
より具体的には、本発明の化合物は、不斉樹脂(好ましくは ChiralcelTM AD 又は OD(Chiral Technologies, Exton, Pennsylvania から得られる))上でのクロマトグラフィー(好ましくは高速液体クロマトグラフィー[HPLC])を用い、0〜50%のイソプロパノール(好ましくは2〜20%)及び0〜5%のアルキルアミン(好ましくは0.1%のジエチルアミン)を含有する炭化水素(好ましくはヘプタン又はヘキサン)からなる移動相を用いて、最終化合物又はその合成中間体のラセミ体を分割することによって、エナンチオマーが富化した形態で得ることができる。生成物を含有する分画の濃縮は、所望の物質を与える。
【0168】
本発明の化合物の幾つかは酸性であり、そしてそれらは医薬上許容されるカチオンとの塩を形成する。本発明の化合物の幾つかは塩基性であり、そしてそれらは医薬上許容されるアニオンとの塩を形成する。これら全ての塩は本発明の範囲内にあり、そしてそれらは従来法により、例えば、必要に応じて水性、非水性若しくは部分的に水性の媒質中の何れかで、酸性及び塩基性の構成要素を、通常は化学量論的量で結合させることによって製造することができる。塩は、必要に応じて濾過、非溶剤での沈殿に続く濾過、溶剤の蒸発、又は水溶液の場合には凍結乾燥の何れかによって回収される。本化合物は、適切な溶剤、例えばエタノール、ヘキサン又は水/エタノール混合物に溶解することによって結晶形態で得ることができる。
【0169】
加えて、本発明の化合物が水和物又は溶媒和物を形成する場合には、それらもまた本発明の範囲内にある。
【0170】
本発明の化合物、それらのプロドラッグ、並びにこのような化合物及びプロドラッグの塩は全て、哺乳動物、特にヒトにおけるコレステロールエステル転移タンパク質活性を阻害する薬剤としての治療的使用に適合している。このように、本発明の化合物は、哺乳動物、特にヒトにおける血漿HDLコレステロール、その関連成分、及びそれらにより行われる機能を上昇させる。それらの活性によって、これらの薬剤はまた、哺乳動物、特にヒトにおけるトリグリセリド、VLDLコレステロール、Apo−B、LDLコレステロール及びそれらの関連成分の血漿レベルを低下させる。更に、これらの化合物は、LDLコレステロール及びHDLコレステロールの等化に有用である。従って、これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症及び心臓血管疾患の発生及び発病率に関連することが観察される種々の異常脂質血症を治療及び補正するために有用であり、これらは冠状動脈疾患、冠状動脈性疾患、冠血管疾患、末梢血管疾患、低アルファリポタンパク質血症、高ベータリポタンパク質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、低HDL及び関連成分、LDL及び関連成分の上昇、Lp(a)の上昇、低密度LDLの上昇、VLDL及び関連成分の上昇、並びに食後高脂血症を包含する。
【0171】
更に、CETP欠損動物(マウス)への機能性CETP遺伝子の導入は、結果としてHDLレベルの低下(Agellon, L.B., et al: J. Biol. Chem. (1991) 266: 10796-10801.)及びアテローム性動脈硬化症に対する感受性の上昇(Marotti, K.R., et al: Nature (1993) 364: 73-75.)をもたらす。同様に、阻害抗体によるCETP活性の阻害は、HDL−コレステロールをハムスター(Evans, G.F., et al: J. of Lipid Research (1994) 35: 1634-1645.)及びウサギ(Whitlock, M.E., et al: J. Clin. Invest. (1989) 84: 129-137)において上昇させる。CETP mRNAに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの静脈内注射による血漿CETPの上昇の抑制は、コレステロールで飼育したウサギにおけるアテローム性動脈硬化症を低減させた(Sugano, M., et al: J. of Biol. Chem. (1998) 273: 5033-5036.)。重要なことには、血漿CETPが欠乏したヒト被験者は、遺伝子の変異により、著しく上昇したHDL−コレステロールレベル及びHDLの主要アポタンパク質成分であるアポリポタンパク質A−Iを有する。加えて、大部分は、著しく低下した血漿LDLコレステロール及びアポリポタンパク質B(LDLの主要アポリポタンパク質成分)を示す(Inazu, A., Brown, M.L., Hesler, C.B., et al.: N. Engl. J. Med. (1990) 323: 1234-1238.)。
【0172】
心臓血管、脳血管及び末梢血管疾患が発生した血液中において、HDLコレステロール及HDL関連リポタンパク質のレベルの間の逆相間、並びにトリグリセリド、LDLコレステロール及びそれらの関連アポリポタンパク質の間の正相関を前提として、本発明の化合物、それらのプロドラッグ、並びにこのような化合物及びプロドラッグの塩は、それらの薬理学的作用により、アテローム性動脈硬化症及びその関連疾患状態の予防、抑制及び/又は退縮のために有用である。これらは、心臓血管障害(例えば、狭心症、虚血、心虚血及び心筋梗塞)、心臓血管疾患療法による合併症(例えば、再かん流損傷及び血管形成再狭窄)、高血圧、高血圧に関連する心血管危険性の上昇、卒中、臓器移植に関連するアテローム性動脈硬化症、脳血管障害、認知機能障害(アテローム性動脈硬化症、一過性脳虚血、神経変性、神経欠損、及びアルツハイマー病の発症又は進行に続発する認知症を包含するが、これらに限定されない)、酸化性ストレスレベルの上昇、C−反応性タンパク質レベルの上昇、メタボリック症候群及びHbA1Cレベルの上昇を包含する。
【0173】
HDLレベルの上昇に広く関連する有益な効果のために、ヒトにおけるCETP活性を阻害する薬剤は、そのHDL上昇能により、多数の他の疾患分野においても治療のための貴重な手段を提供する。
【0174】
従って、本発明の化合物、それらのプロドラッグ、並びにこのような化合物及びプロドラッグの塩がコレステロールエステル輸送の阻害によりリポタンパク質組成を変更する能力を前提として、それらは糖尿病に関連する血管合併症、糖尿病に関連するリポタンパク質異常、並びに糖尿病及び血管疾患に関連する性機能障害の治療に有用である。大部分の真性糖尿病患者には高脂血症が存在する(Howard, B.V. 1987. J. Lipid Res. 28, 613)。正常脂質レベルが存在したとしても、糖尿病患者はより大きな心臓血管疾患の危険性を経験する(Kannel, W.B. and McGee, D.L. 1979. Diabetes Care 2, 120)。CETPで仲介されるコレステリルエステル輸送は、インスリン依存性糖尿病(Bagdade, J.D., Subbaiah, P.V. and Ritter, M.C. 1991. Eur. J. Clin. Invest. 21, 161)及び非インスリン依存性糖尿病(Bagdade. J.D., Ritter, M.C., Lane, J. and Subbaiah. 1993. Atherosclerosis 104, 69)の両者で異常に増加することが知られている。コレステロール輸送の異常増加は、より粥腫発生性であるリポタンパク質組成の変化、特にVLDL及びLDLに関する変化をもたらすことが示唆されている(Bagdade, J.D., Wagner, J.D., Rudel, L.L., and Clarkson, T.B. 1995. J. Lipid Res. 36, 759)。これらの変化は、日常的な脂質スクリーニング中では必ずしも観測されないだろう。従って、本発明は、糖尿病症状の結果としての血管合併症の危険性の低下に有用であろう。
【0175】
記載した薬剤は、肥満及び肥満に関連する心臓血管危険性の治療に有用である。ヒト(Radeau, T., Lau, P., Robb, M., McDonnell, M., Ailhaud, G. and McPherson, R., 1995. Journal of Lipid Research. 36 (12):2552-61)及びヒト以外の霊長類(Quinet, E., Tall, A., Ramakrishnan, R. and Rudel, L., 1991. Journal of Clinical Investigation. 87 (5):1559-66)の両方において、CETPのためのmRNAは脂肪細胞中で高レベルに発現される。この脂肪細胞のメッセージは脂肪の食事と共に増大し(Martin, L. J., Connelly, P. W., Nancoo, D., Wood, N., Zhang, Z. J., Maguire, G., Quinet, E., Tall, A. R., Marcel, Y. L. and McPherson, R., 1993. Journal of Lipid Research. 34 (3):437-46)、そして機能性輸送タンパク質に翻訳され、そして分泌によって血漿CETPレベルに有意に寄与する。ヒト脂肪細胞において、コレステロールの大部分は血漿LDL及びHDLにより供給される(Fong, B. S., and Angel, A., 1989. Biochimica et Biophysica Acta. 1004 (1):53-60)。HDLコレステリルエステルの取り込みは、主にCETPに依存する(Benoist, F., Lau, P., McDonnell, M., Doelle, H., Milne, R. and McPherson, R., 1997. Journal of Biological Chemistry. 272 (38):23572-7)。肥満患者における脂肪細胞へのHDLの増加した結合(Jimenez, J. G., Fong, B., Julien, P., Despres, J. P., Rotstein, L., and Angel, A., 1989. International Journal of Obesity. 13 (5):699-709)と結びついた、HDLコレステリル取り込みを刺激するこの能力は、CETPが低HDL表現型の生成に果たす役割だけでなく、コレステロール蓄積の促進による肥満それ自体の発生にも果たす役割を示唆する。従って、この過程を遮断するCETP活性は、体重減量を引き起こす食事療
法の有用な補助剤として役立つ。
【0176】
CETP阻害剤は、グラム陰性敗血症及び敗血性ショックによる炎症の治療に有用である。例えば、グラム陰性敗血症の全身毒性は、主として、広範な炎症反応を引き起こす内毒素、すなわち細菌の外表面から放出されるリポ多糖(LPS)によるものである。リポ多糖はリポタンパク質と複合体を形成することができる(Ulevitch, R.J., Johnston, A.R., and Weinstein, D.B., 1981. J. Clin. Invest. 67, 827-37)。インビトロ研究は、LPSがHDLに結合することが炎症のメディエーターの産生及び放出を実質的に減少させることを示した(Ulevitch, R.J., Johhston, A.R., 1978. J. Clin. Invest. 62, 1313-24)。インビトロ研究は、ヒトアポ−AI及び上昇したHDLレベルを発現する形質転換マウスが敗血性ショックから保護されることを示している(Levine, D.M., Parker, T.S., Donnelly, T.M., Walsh, A.M., and Rubin, A.L. 1993. Proc. Natl. Acad. Sci. 90, 12040-44)。重要なことには、内毒素でチャレンジしたヒトに再構成HDLを投与すると、結果として炎症反応の減少をもたらす(Pajkrt, D., Doran, J.E., Koster, F., Lerch, P.G., Arnet, B., van der Poll, T., ten Cate, J.W., and van Deventer, S.J.H. 1996. J. Exp. Med. 184, 1601-08)。CETP阻害剤は、それらがHDLレベルを高めるという事実により、炎症及び敗血性ショックの発生を弱める。これらの化合物はまた、内毒素血症、自己免疫疾患及び他の全身性疾患の適応症、臓器又は組織移植拒絶反応、並びに癌の治療に有用であろう。
【0177】
種々の疾患/症状、例えば心臓血管、脳血管及び末梢血管疾患が発生した血液における脂質調節及び脂質分画調節の間の正相関を前提として、本発明の化合物及びこのような化合物の塩/組み合わせ/医薬組成物は、それらの薬理学的作用により、上記の疾患状態/症状の予防、進行停止及び/又は治療のために有用である。これらは、心臓血管障害(例えば、狭心症、心臓虚血及び心筋梗塞)及び心臓血管疾患による合併症を包含する。特に、HDL調節及び上記の疾患/症状の間の相関を前提として、本明細書に記載したCETP化合物及びそれらの医薬組成物は、それらがHDLを調節する薬理学的作用(例えば、HDL上昇)により、上記の疾患状態/症状の予防、進行停止及び/又は治療のために有用である。
【0178】
本発明の化合物、それらのプロドラッグ、並びにこのような化合物及びプロドラッグの塩が哺乳動物(例えばヒト、男性又は女性)における上記の疾患状態/症状の治療において医薬としての実用性を有することは、以下に記載する従来のアッセイ及びインビボアッセイにおける本発明の化合物の活性によって示される。インビボアッセイ(当業者の範囲内で適切に変更した)は、他の脂質又はトリグリセリド制御剤、並びに本発明の化合物の活性を決定するために使用することができる。このようなアッセイはまた、本発明の化合物、それらのプロドラッグ、並びにこのような化合物及びプロドラッグの塩(又は本明細書に記載した他の薬剤)の活性を相互に又は公知化合物の活性と比較できる手段を提供する。これらの比較の結果は、このような疾患の治療のための、ヒトを含めた哺乳動物への投与レベルを決定するために有用である。
【0179】
下記のプロトコールは、当然のことながら当業者により変更することができる。
【0180】
本化合物の低アルファコレステロール血活性は、本質的に、Morton により J. Biol. Chem. 256, 11992, 1981 に及び Dias により Clin. Chem. 34, 2322, 1988 に先に記載されたようにして、リポタンパク質分画間の放射性標識脂質の相対的輸送比を測定することにより、コレステリルエステル輸送タンパク質の作用に対するこれらの化合物の効果を評価することによって決定することができる。
【0181】
CETPのインビトロアッセイ
下記は、97%(全)又は希釈ヒト血漿(インビトロ)及び動物血漿(エクスビボ)におけるコレステリルエステル輸送のアッセイに関する簡単な説明である:それぞれヒト血漿における外因性トレーサーHDL若しくはLDLから非HDL若しくはHDLリポタンパク質分画への、又は動物血漿における3H−標識LDLからHDL分画への3H−標識オレイン酸コレステリル(CO)の移動を測定することによって、薬剤の存在下又は非存在下のCETP活性をアッセイする。標識ヒトリポタンパク質基質は、Morton により記載された方法と同様にして調製したが、ここで血清中の内因性CETP活性を用い3H−COがリン脂質リポソームから血漿中のリポタンパク質分画の全てに移動させた。次いで3H−標識LDL及びHDLを、それぞれ 1.019〜1.063及び 1.10〜1.21g/mlの密度カットで連続的超遠心分離により単離した。
【0182】
97%又は全血漿活性アッセイのために、3H−標識HDLを10〜25nmoles CO/mlで血漿に加え、そしてサンプルを37℃で2.5〜3時間インキュベートした。次いで非HDLリポタンパク質を、等量の20% (wt/vol) ポリエチレングリコール8000 (Dias) の添加により沈殿させた。サンプルを750g×20分で遠心分離し、そしてHDL含有上澄み液に含まれる放射能を液体シンチレーション計数によって測定した。本発明の化合物の変化量をジメチルスルホキシド中の溶液としてヒト血漿に導入した後、放射性標識オレイン酸コレステリルを加え、そして阻害剤化合物を含まないインキュベーション物と対照して放射性標識の移動量を比較すると、コレステリルエステル輸送阻害活性を決定することができる。
【0183】
より高感度のアッセイが望ましい場合には、希釈ヒト血漿を用いるインビトロアッセイが利用される。このアッセイのために、3H−標識HDLを50nmoles CO/mlで血漿に加え、そしてサンプルを37℃で7時間インキュベートする。次いで非HDLリポタンパク質を、最終濃度100mMまでのリン酸カリウムの添加と次いで最終濃度20mMまでの塩化マンガンにより沈殿させる。渦巻き攪拌した後、サンプルを750g×20分で遠心分離し、そしてHDL含有上澄み液に含まれる放射能を液体シンチレーション計数によって測定する。本発明の化合物の変化量をジメチルスルホキシド中の溶液として希釈ヒト血漿に導入した後、放射性標識オレイン酸コレステリルを加え、そして阻害剤化合物を含まないインキュベーション物と対照して放射性標識の移動量を比較すると、コレステリルエステル輸送阻害活性を決定することができる。このアッセイは、 Wallac プレートリーダーを用いて遂行される液体シンチレーション計数を備えたマイクロタイタープレートフォーマットに合わせて実行された。
【0184】
CETPのインビボアッセイ
これらの化合物のインビボ活性は、対照に対して、コレステリルエステル輸送活性をエクスビボで種々の時点で50%だけ阻害するために、又はCETP含有動物種においてHDLコレステロールを所定のパーセンテージだけ上昇させるために投与すべき薬剤の必要量によって測定することができる。ヒトCETP及びヒトアポタンパク質AIの両者を発現する形質転換マウス(Charles River, Boston, MA)は、化合物をインビボでアッセイするために使用することができる。試験すべき化合物は、20% (v:v) オリーブ油及び80%タウロコール酸ナトリウム(0.5%)を含むエマルジョン賦形剤中で強制経口投与される。投与前の血液サンプルが必要な場合には、投与する前にマウスの眼窩後から採血する。4〜24時間にわたる投与後の種々の時点で動物を犠牲にし、心臓穿刺により血液を取得し、そして総コレステロール、HDL及びLDLコレステロール、並びにトリグリセリドを含めた脂質パラメーターを測定する。CETP活性は、HDLの代わりに3H−オレイン酸コレステロール含有LDLをドナー源として用いる以外は上記の方法と同様にして測定する。脂質及び輸送活性について得られた値が、投与前に得られた値及び/又は賦形剤だけを与えたマウスからの値と比較される。
【0185】
血漿脂質のアッセイ
これらの化合物の活性はまた、特定の哺乳動物、例えばCETP活性及びヒトと類似のリポタンパク質プロフィールを有するマーモセット(Crook et al. Arteriosclerosis 10, 625, 1990)の血漿中の血漿脂質レベル、例えばHDLコレステロールレベル、LDLコレステロールレベル、VLDLコレステロールレベル又はトリグリセリドを変化させるための薬剤必要量の決定によって決定することができる。成熟マーモセットを、各グループがHDL及び/又はLDL血漿コレステロール濃度について類似の平均±SDを有するように処置グループに割り当てる。グループを割り当てた後、マーモセットに毎日、化合物を混合飼料として又は胃内挿管により1〜8日間投与する。対照マーモセットには賦形剤だけを投与する。血漿の総、LDL、VLDL及びHDLコレステロールレベルは、研究中の任意の時点で、肘中静脈から採血して血漿リポタンパク質を密度勾配遠心分離によりそれらのサブクラスに分離し、そしてコレステロール濃度を上記のようにして(Crook et al. Arteriosclerosis 10, 625, 1990)測定することによって決定することができる。
【0186】
インビボでのアテローム性動脈硬化症のアッセイ
化合物の抗アテローム性動脈硬化効果は、ウサギ動脈における脂質蓄積を減少させるために必要な化合物量によって測定することができる。雄ニュージーランド白ウサギを、0.2% コレステロール及び10%ヤシ油を含む規定食で4日間飼育する(毎日1回ミールを与える)。ウサギの辺縁耳静脈から採血し、そして総血漿コレステロールレベルをこれらの血漿から決定する。次いでウサギを、各グループが総血漿コレステロール濃度、HDLコレステロール濃度、トリグリセリド濃度、コレステリルエステル輸送タンパク質活性について類似の平均±SDを有するように処置グループに割り当てる。グループを割り当てた後、ウサギに毎日、混合飼料として又はゼラチン菓子の小片に載せて与えられる化合物を投与する。対照ウサギには投与賦形剤(飼料又はゼラチン菓子)だけを投与する。研究を通して化合物と共にコレステロール/ヤシ油規定飼料を続ける。血漿コレステロール値及びコレステリルエステル輸送タンパク質活性は、研究中の任意の時点で、辺縁耳静脈から採血することによって測定することができる。3〜5ヶ月の後、ウサギを犠牲にし、腸骨動脈の胸郭弓から分枝部までの動脈を摘出する。動脈から外膜を除去し、動脈を縦方法に切開し、次いで Holman et. al. (Lab. Invest. 1958, 7, 42-47) に記載されたようにして、染色しないか又はスーダンIV で染色して分析する。病巣表面積のパーセントを、Optimas Image Analyzing System (Image Processing Systems) を用いる濃度測定法によって定量する。脂質蓄積の減少は、対照ウサギと比較した傷害をうけた表面積のパーセントの減少によって示される。
【0187】
抗肥満プロトコール
CETP阻害剤が体重減量を引き起こす能力は、ボディー・マス・インデックス(BMI)≧30kg/m2の肥満ヒト被験者において評価することができる。結果としてHDLコレステロールレベルの≧25%の増加をもたらす阻害剤用量を投与する。BMI及びウエスト(W)対ヒップ(H)比(VHR)として定義される体脂肪分布を、3〜6ヶ月の研究期間中モニターし、そして治療グループの結果をプラセボ投与の結果と比較する。
【0188】
インビボ敗血症アッセイ
インビボ研究は、ヒトアポ−AI及び高HDLコレステロールレベルを発現する形質転換マウスが敗血性ショックから保護されることを示している。このように、CETP阻害剤が敗血性ショックから保護する能力は、ヒトアポ−AI及びヒトCETPトランス遺伝子の両者を発現する形質転換マウスにおいて示すことができる(Levine, D. M., Parker,
T.S., Donnelly, T. M., Walsh, A. M. and Rubin, A.L., 1993. Proc. Natl. Acad. Sci. 90, 12040-44)。CETPが結果としてHDLの上昇を生じさせるために適切な用量が投与された動物に、大腸菌由来のLPSを30mg/kgの量で腹腔内投与する。生存マウスの数をLPS投与後48時間まで測定し、そして賦形剤(マイナスCETP阻害剤)だけを投与したマウスの生存数と比較する。
【0189】
本発明の化合物及びこのような化合物(又は本明細書に記載した他の薬剤)/組み合わせ/医薬組成物の試験を容易にする従来の臨床計画及び方法は、当業者に公知である。
【0190】
例えば、このような臨床研究において、動脈硬化性プラークのレベルは、種々の画像技術、例えば心臓内超音波法(ICE)、定量的冠動脈造影法、血管内超音波法(IVUS)によって測定することができ、これらは冠血管内超音波法、コロチド(corotid)内膜内側厚(CIMT)測定法、磁気共鳴(MRI)画像法、磁気共鳴冠血管造影法、流量仲介拡張法、陽電子放射断層撮影法、マルチスライス断層撮影法、電子ビーム・コンピュータ断層撮影法(EMT)、マルチスライス・コンピュータ断層撮影法(MSCT)、エコー心拍記録法、冠動脈造影法、放射線撮影法及び放射性核種画像法を包含する。
【0191】
これらの画像技術及びそれらの解釈は公知であり、そして更に、例えば、“Measurement of Subclinical Atherosclerosis:beyond risk factor assessment”, Current Opinion in Lipidology 13, 595-603 (2002);“A Comparison of Intravascular Ultrasound With Coronary Angiography for Evaluation of Transplant Coronary Disease in Pediatric Heart Transplant Recipients”, Journal of Heart & Lung Transplantation 22, 44-49 (2003); and “Assessment of Calcium Scoring Performance in Cardiac Computed Tomography”, European Radiology 13, 484-97 (2003) に記載されている。
【0192】
これらの方法及び組み合わせは、適応症/症状に応じて、ヒトを含む哺乳動物のための評価、診断、治療及び治療の評価に有用である。加えて、それらは種々の患者サブグループを有利に及び/又は選択的に治療するために有用であり、これらは、男性、女性、高齢者(>60)、幼児(<2)、小児、糖尿病(I及び/又はII型)、冠動脈イベントの病歴のない患者(すなわち、一次予防)、少なくとも一つの冠動脈イベントの病歴を経験した患者(すなわち、二次予防)、脳血管イベント(例えば、卒中又は一過性虚血イベント)を経験した患者、総コレステロールが250の患者、総コレステロールが200を超える患者、総コレステロールが200未満の患者、HDLが<30/40/50/60の患者、高HDLの患者、異なる民族亜母集団(アフリカ人、トルコ人、ヒスパニック、アジア人)、女性±HRT(閉経の前/後)、喫煙者、規定食による低HDLの患者、他の薬剤投与(例えば、アンドロゲン作動剤)によりHDLが二次的に低下した患者、末梢血管疾患の患者、正常HDL−C、例えば、40および60mg/decの患者、冠状動脈疾患の病歴のない患者(異常コレステロールレベルを有するか又は有しない)、メタボリック症候群の患者、アポ−E4対立遺伝子を有する患者、30を超えるBMIの患者を包含する。
【0193】
本発明の化合物の投与法は、本発明の化合物を全身的及び/又は局所的に送出する任意の方法であってよい。これらの方法は、経口経路、非経口、十二指腸内経路等を包含する。一般的に、本発明の化合物は、単独で又は一緒に、経口用、経皮用、直腸内用を含む任意の製剤として投与することができ、そして非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は皮内)は、経口投与が標的にとって適切でない場合に、又は薬剤を摂取できない場合に利用することができる。
【0194】
一般的に、本発明の化合物/組み合わせは、所望の治療効果を達成するために十分である量で用いられる。この量は、当然のことながら、治療される被験者、病気の重症度、投与方法及び処方する医師の判断に依存するだろう。
【0195】
一般的に、本発明の化合物の有効用量は、約0.001〜100mg/kg/日の化合物、そのプロドラッグ又は該化合物若しくは該プロドラッグの医薬上許容される塩である。特に好ましい用量は、約0.01〜10mg/kg/日の化合物、そのプロドラッグ又は該化合物若しくは該プロドラッグの医薬上許容される塩である。トランス−(2R,4S)− 2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミドの特に好ましい用量は、1日当たり約1mg〜1日当たり約1000mg、好ましくは1日当たり約10mg〜1日当たり約250mg である。CETP阻害剤と一緒に使用すべき併用医薬品(例えば、抗高血圧剤、スタチン)は、治療される適応症のために有効である用量で用いられる。
【0196】
例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤の有効用量は、典型的には約0.01〜約100mg/kg/日の範囲にある。一般的に、PPARモジュレーターの有効用量は、0.01〜100mg/kg/日の範囲にある。
【0197】
例えば、アトルバスタチンカルシウム(アトルバスタチンヘミカルシウム又は LIPITOR として知られている)の有効用量は、典型的には1日当り約5〜80mg(例えば、5mg、10mg、20mg、40mg、80mg)である。
【0198】
例えば、抗高血圧剤の有効用量は、典型的には約0.01〜約100mg/kg/日の範囲にある。
【0199】
例えば、アムロジピン又はその医薬上許容される塩(例えば、アムロジピンベシレート又はアムロジピンメシレート)の有効用量は、典型的には1日当たり約5mg〜約10mgの範囲にある。
【0200】
アムロジピン又はその医薬上許容される塩(例えば、アムロジピンベシレート)/アトルバスタチン及びその医薬上許容される塩(例えば、アトルバスタチンヘミカルシウム)/及びトランス−(2R,4S)− 2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミドの3成分組み合わせの例示的な用量は、1日当たり約5〜10mg/5〜80mg/10〜250mgである。
【0201】
経口投与のためには、医薬組成物は溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、粉末等の形態を取ってよい。種々の賦形剤、例えばクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムを含有する錠剤は、種々の崩壊剤、例えば澱粉、好ましくはジャガイモ澱粉又はタピオカ澱粉及び一定の複合ケイ酸塩と共に、結合剤、例えばポリビニルピロリドン、蔗糖及びアカシアと一緒に用いることができる。加えて、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクは、製錠方法のためにしばしば有用である。同様の種類の固体組成物はまた、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルの充填物として使用され;これに関して好ましい材料はまた、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールを包含する。好ましい製剤は、油、例えば、オリーブ油のような植物油;商品名 MiglyolTMで市販されているようなトリグリセリド;又は商品名 CapmulTMで市販されているのようなモノ−若しくはジグリセリドの中の溶液又は懸濁液を、例えば軟質ゼラチンカプセルに入れたものである。必要によっては、長期の変質を防止するために抗酸化剤を加えることができる。水性懸濁液及び/又はエリキシルが経口投与のために望ましい場合には、本発明の化合物は、種々の甘味料、香味料、着色剤、乳化剤及び/又は懸濁剤、並びに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンのような希釈剤及びそれらの種々の同様の組み合わせと組み合わせることができる。
【0202】
本発明の化合物及び組み合わせ及び医薬組成物はまた、制御放出製剤、例えば徐放性及び速放性製剤として投与することができる。本発明の組み合わせのこのような制御放出製剤は、当業者に周知の方法を用いて製造することができる。投与方法は、被験者の症状及び要件を評価した後、担当医又は当業者によって決定されるだろう。
【0203】
本発明のCETP阻害剤の多くは水中溶解度が低いので、溶解度を高める投与形態はこのような化合物の投与を容易にする。一つのこのような投与形態は、(1)コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤及び酸性の濃度上昇重合体を含む固体無定形分散物;並びに(2)酸感受性HMG−CoA還元酵素阻害剤を含む投与形態である。この投与形態は、“Dosage Forms Comprising a CETP Inhibitor and an HMG−CoA Reductase Inhibitor”と題する米国特許公開第 2004-0197398A1 号(その詳述は参照により本明細書に組み込まれる)により十分に記載されている。
【0204】
コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤及び酸性の濃度上昇重合体を含む固体無定形分散物を含む医薬組成物は、国際公開第 WO 02/11710 号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤の自己乳化性製剤は、国際公開第 WO 03/000295 号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。薬剤の小結晶を賦形剤上に沈着させる方法は、J. Pharm. Pharmacol. 1987, 39:769-773号(これは参照により本明細書に組み込まれる)のような文献に記載されている。更に、本発明は、CETP阻害剤及び高表面積物質の製剤を包含し、この製剤ではCETP阻害剤及び物質は一体となって吸着物を形成している。
【0205】
噴霧乾燥法により形成された分散物を含めて、固体無定形分散物はまた、難溶性の本発明の化合物のための好ましい投与形態である。「固体無定形分散物」とは、難溶性化合物の少なくとも一部が無定形の形態にあり、そして重合体中に分散している固形物を意味する。「無定形」とは、難溶性化合物が結晶性でないことを意味する。「結晶性」とは、化合物が各次元に少なくとも100の繰り返し単位からなる三次元の長距離秩序を示すことを意味する。このように、無定形という用語は、本質的に秩序を持たない物質だけでなく、ある程度の小さい秩序を有しうるが、この秩序が三次元未満であり、そして/又は短距離のみに及ぶ材料をも包含することを意図している。無定形物質は、当技術分野で公知の技術、例えば粉末X線回折(PXRD)結晶学、固体NMR、又は示差走査熱量測定(DSC)のような熱的技術によって特性決定することができる。固体無定形分散物中の難溶性化合物の少なくとも主要な部分(すなわち、少なくとも約60質量%)は無定形である。好ましくは、固体無定形分散物中の薬剤の少なくとも約75質量%、より好ましくは薬剤の少なくとも約90質量%は無定形である。
【0206】
化合物は、固体無定形分散物内の比較的純粋な無定形ドメイン又は領域に、重合体全体にわたって均一に分布した化合物の固溶体、又はこれらの状態の任意の組み合わせ、又はそれらの中間にある状態として存在し得る。好ましくは、薬剤及び重合体の少なくとも一部は固溶体として存在する。好ましくは、固体無定形分散物は、重合体全体にわたってできるだけ均一に分散するように実質的に均一である。本明細書で用いられる「実質的に均一」は、固体無定形分散物内の比較的純粋な無定形ドメイン又は領域に存在する化合物の分画が比較的小さく、薬剤の総量のおよそ20質量%未満、好ましくは10質量%未満であることを意味する。このような実質的に均一な固体無定形分散物は、当技術分野では時として固溶体又は分子分散物と呼ばれる。
【0207】
固体無定形分散物に用いられる重合体は、それらが難溶性化合物と有害な方法で化学的に反応しないという意味で不活性であるべきであり、医薬上許容されるものであり、そして生理的に適切なpH(例えば、1〜8)の水溶液に少なくとも若干の溶解性を有する。重合体は中性又はイオン性であってよく、そしてpH範囲1〜8の少なくとも一部にわたり少なくとも0.1mg/mLの水溶性を有するべきである。
【0208】
本発明に用いるために適する重合体は、セルロース系又は非セルロース系であってよい。重合体は水溶液中で中性又はイオン性であってよい。当然のことながら、イオン性及びセルロース系の重合体が好ましく、イオン性セルロース系重合体がより好ましい。
【0209】
例示的な重合体は、ヒドロキシメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロック共重合体(PEO/PPO、ポロキサマーとしても知られている)、及びそれらの混合物を包含する。特に好ましい重合体は、HPMCAS、HPMC、HPMCP、CMEC、CAP、CAT、PVP、ポロキサマー、及びそれらの混合物を包含する。最も好ましいものは、HPMCASである。米国公開特許出願公開第 2002/0009494 号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0210】
固体無定形分散物は、難溶性化合物の少なくとも主要な部分(少なくとも60%)を結果として無定形状態にする、固体無定形分散物を形成する何れの方法によっても製造することができる。例示的な機械的方法は、粉砕及び押出し;高温融合、溶剤改変融合及び溶融凝結法を包含する溶融法;並びに非溶剤沈殿及び、吹き付け乾燥及び噴霧乾燥を包含する溶剤法を包含する。例えば、下記の米国特許(その関連する開示は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい:第 5,456,923 及び 5,939,099 号、これらは押出し法による分散物の形成を記載している;第 5,340,591 及び 4,673,564号、これらは粉砕法による分散物の形成を記載している;並びに第 5,707,646 及び 4,894,235号、これらは溶融凝結法法による分散物の形成を記載している。好ましい方法において、固体無定形分散物は、米国公開特許出願公開第 2005/0031692 号に開示されたようにして、噴霧乾燥によって形成される。 この方法において、化合物及び重合体を溶剤、例えばアセトン又はメタノールに溶解し、次いで噴霧乾燥により溶液から溶剤を急速に除去して固体無定形分散物を形成する。
【0211】
固体無定形分散物は、一般的に小さい粒子の形態にある。粒子はしばしば500ミクロン未満であり、そして200ミクロン未満、又は100ミクロン未満であってもよい。
【0212】
固体無定形分散物は、約99質量%までの化合物、例えば、所望のように1質量%、5質量%、10質量%、25質量%、50質量%、75質量%、95質量%、又は98質量%の化合物を含有するように製造することができる。一般的に、5質量%〜75質量%の化合物を含有する固体無定形分散物が好ましく、そして10質量%〜50質量%がより好ましい。
【0213】
固体無定形分散物粒子は大部分が薬剤及び重合体からなり、任意の添加物、例えば界面活性剤は少量である。薬剤及び重合体は合計で、固体無定形分散物の少なくとも50質量%を占め、そして固体無定形分散物の少なくとも60質量%、少なくとも75質量%、又は少なくとも 90質量%を占めることができる。一つの実施形態において、固体無定形分散物粒子は本質的に薬剤及び重合体からなる。
【0214】
別の実施形態において、投与形態は高表面積材料上への無定形化合物の吸着物を含む。固体無定形分散物中の難溶性化合物の少なくとも主要な部分(すなわち、少なくとも60質量%)は無定形である。好ましくは、固体無定形分散物中の薬剤の少なくとも75質量%、より好ましくは薬剤の少なくとも90質量%は無定形である。
【0215】
吸着物はまた、高表面積基剤を含む。基剤は、不活性であり(これは基剤が許容できない程度まで薬剤と有害な相互作用しないことを意味する)、そして医薬上許容される、任意の材料であってよい。基剤はまた、高い表面積を有し、これは基剤が少なくとも20m2/g、好ましくは少なくとも50m2/g、より好ましくは少なくとも100m2/g、最も好ましくは少なくとも180m2/gの表面積を有することを意味する。基剤の表面面積は標準的方法を用いて測定しうる。一つの例示的な方法は、当技術分野で周知の Brunauer法、Emmett法及び Teller (BET) 法に基づく低温窒素吸着による。従って、有効な基剤は200m2/gまで、400m2/gまで及び600m2/gまで又はそれ以上の表面積を有しうる。基剤はまた、10nm〜1μmの粒径範囲、好ましくは20nm〜100nmの粒径範囲の小粒子の形態であるべきである。次に粒子は10nm〜100μmの粒径範囲の凝集物を形成する。基剤はまた、吸着物の形成に用いられる方法環境に不溶性である。すなわち、吸着物を溶剤法により形成する場合には、基剤は溶剤に溶解しない。吸着物を溶融又は熱的方法により形成する場合には、吸着物はそれが溶融しない十分に高い融点を有する。
【0216】
基剤のために適する例示的な材料は、次のものを包含する:酸化物、例えばSiO2、TiO2、ZnO2、ZnO、Al23、ケイ酸MgAl、ケイ酸カルシウム(ZeodorTM)及び Zeopharm(登録商標))、AlOH2、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化珪素(Cab-O-Sil(登録商標)又は Aerosil(登録商標))、ゼオライト、及び他の無機モレキュラーシーブ;無機材料、例えばシリカ、ヒュームドシリカ、(例えば Degussa, Parsippany, New Jersey からの Aeroperl(登録商標)及び Aerosil(登録商標))、二塩基性リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、及びタルク;クレー、例えばカオリン(水和ケイ酸アルミニウム)、ベントナイト(水和ケイ酸アルミニウム)、ヘクトライト及び Veegum(登録商標); Na−、Al−、及びFe−モンモリロナイト;水
不溶性重合体、例えば架橋セルロースアセテートフタレート、架橋ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドンとしても知られている)、微結晶性セルロース、ポリエチレン/ポリビニルアルコール共重合体、ポリエチレンポリビニルピロリドン共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース、グリコール酸ナトリウム澱粉、架橋ポリスチレンジビニルベンゼン;並びに活性炭(重合体、例えばポリイミド、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、酢酸セルロース、再生セルロース、及びレーヨンの炭化により製造されたものを包含する)。ケイ酸カルシウムおよび二酸化ケイ素のような高度に多孔性の材料が好ましい。
【0217】
一つの実施形態において、吸着物はポリマーを更に含む。吸着物に導入するために適する重合体は、固体無定形分散物に使用するために適するものを包含する。好ましい重合体はポリビニルピロリドンである。
【0218】
吸着物は、難溶性化合物の少なくとも主要な部分(少なくとも 60%)を結果として無定形状態にする、吸着物を形成する何れの方法によっても製造することができる。このような方法は、機械的、熱的及び溶剤方法を包含する。例示的な方法は、米国公開特許出願公開第 2003/0054037 号に開示されている。
【0219】
吸着物は、約99質量% までの化合物、例えば、所望のように1質量%、5質量%、10質量%、25質量%、50質量%、75質量%、95質量%、又は98質量%の化合物を含有するように製造することができる。一般的に、5質量%〜75質量%の化合物を含む吸着物が好ましく、そして 10質量%〜50質量%がより好ましい。
【0220】
吸着物は大部分が薬剤及び基剤からなり、任意の添加物、例えば上記の基剤又は界面活性剤は少量である。薬剤及び基剤は合計で、吸着物の少なくとも 50質量%を占め、そして吸着物の少なくとも 60質量%、少なくとも 75質量%、又は少なくとも 90質量%を占めることができる。一つの実施形態において、吸着物は本質的に薬剤及び基剤からなる。重合体を含む実施形態のためには、吸着物は 50質量%の重合体を含むことができる。
【0221】
経口投与の目的のためには、ゴマ油若しくは落花生油中の又は水性ポリエチレングリコール中の溶液、並びに相当する水溶性塩の滅菌水溶液を使用することができる。このような水溶液を必要に応じて適切に緩衝することができ、そして液体希釈剤を最初に十分な食塩水又はグルコースで等張性にすることができる。これらの水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内注射の目的のために特に適している。これに関して、用いられる滅菌水性媒質は全て、当業者に周知の標準的な技術により容易に得られる。
【0222】
経皮(例えば、局所)投与の目的のためには、希釈して滅菌した水性又は部分水性の溶液(普通は約 0.1%〜5%濃度)、そのほかに上記の非経口用溶液と同様のものが好ましい。
【0223】
一定量の活性成分を含む種々の医薬組成物の製造方法は公知であるか、又はこの開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。医薬組成物の製造方法の例については、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easter, Pa., 15th Edition (1975) を参照されたい。
【0224】
本発明に係る医薬組成物は、0.1%〜95%、好ましくは1%〜70%の本発明の化合物を含有することができる。いずれにしても、投与すべき組成物又は製剤は、ある量の本発明に係る化合物を、治療される被験者の疾患/症状、例えばアテローム性動脈硬化症を治療するために有効な総量で含有するだろう。
【0225】
本発明は、本明細書に記載した疾患/症状を、別個に投与できる他の活性成分と組み合わせて治療することに関する態様を有するので、本発明はまた、別個の医薬組成物をキットの形態で組み合わせることに関する。キットは、二つの別個の医薬組成物:本発明の化合物、そのプロドラッグ又はこのような化合物若しくはプロドラッグの塩、及び上記の第二化合物を含む。キットは、別個の組成物を入れるための手段、例えば容器、分割ボトル又は分割ホイル包みを含む。典型的には、キットは、別個の成分の投与のための指示を含む。キット形態は、別個の成分を異なる投与形態(例えば、経口及び非経口)で投与し、異なる投与間隔で投与することが好ましい場合に、又は処方する医師が組み合わせの個々の成分の力価測定を望む場合に、特に有利である。
【0226】
このようなキットの例は、いわゆるブリスター包装である。ブリスター包装では包装業で周知であり、そして医薬単位投与形態(錠剤、カプセル等)の包装のために広く用いられる。ブリスター包装は、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた、比較的堅い材料のシートから一般的に構成される。包装工程中に、プラスチックホイルに凹部が形成される。凹部は包装すべき錠剤又はカプセルの大きさ及び形状を有する。次に、錠剤又はカプセルを凹部に入れ、そして比較的堅い材料のシートがプラスチックホイルに対して、凹部が形成された方向とは反対側のホイル面で密封される。結果として、錠剤又はカプセルは、プラスチックホイルとシートの間の凹部に密封される。好ましくは、シートの強度は、凹部を手で押すことによりシートに凹部の位置で開口を形成することによって、錠剤又はカプセルをブリスター包装から取り出し得るような強度である。次いで錠剤又はカプセルは上記の開口から取り出される。
【0227】
キット上には記憶補助を、例えば錠剤又はカプセルの隣に付けた番号(これらの番号は投薬計画の日と一致し、指定された錠剤又はカプセルはその日に摂取すべきである)の形式で提供することが望ましい場合がある。このような記憶補助の別の例は、カードに印刷したカレンダー、例えば、次の通りである:「第1週、月曜日、火曜日、...など...第2週、月曜日、火曜日、...」等。記憶補助の他の変化は、直ちに明らかであろう。「1日量」は、所定の日に服用すべき1個の錠剤若しくはカプセル又は数個のピル又はカプセルであってよい。また、本発明の化合物の1日量は1個の錠剤又はカプセルからなっていてよく、一方、第二化合物の1日量は数個の錠剤又はカプセルからなっていてよく、その逆もそうである。記憶補助はこれを反映すべきである。
【0228】
本発明の別の特定の実施形態において、1日量をそれらの意図された使用の順に一度に分配するように設計されたディスペンサーが提供される。好ましくは、ディスペンサーには、投薬計画の遵守を更に容易にするように記憶補助が備えられる。このような記憶補助の例は、分配された1日量の数を示す機械的計数器である。このような記憶補助の別の例は、液晶読み出し又は音声注意信号(これは、例えば、最後の1日量が取り出された日付けを読み出し、そして/又は次の用量を取り出すべき時にそれを催促する)と一体となった電池動力式マイクロチップである。
【0229】
本発明の化合物は、相互に又は他の化合物と組み合わせて、従来の製剤として投与されるだろう。下記の製剤例は、説明のためにすぎず、そして本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【実施例】
【0230】
以下に記載する製剤において、「活性成分」は、本発明の化合物を意味する。
【0231】
製剤1:ゼラチンカプセル
下記の成分を用いて硬質ゼラチンカプセルを製造する:
【表1】

【0232】
下記の成分を用いて錠剤製剤を製造する:
製剤2:錠剤
【表2】

成分を混合し、圧縮して錠剤を形成する。
【0233】
別法として、それぞれ0.25〜100mgの活性成分を含有する錠剤を下記のようにして製造する:
製剤3:錠剤
【表3】

活性成分、澱粉及びセルロースを No. 45 メッシュ U.S. 篩に通してよく混合する。ポリビニルピロリドンの溶液を生成した粉末と混合し、これを次いで No. 14 メッシュ U.S. 篩に通す。こうして製造した顆粒を50〜60℃で乾燥し、No. 18 メッシュ U.S. 篩に通す。次いで、予め No. 60 メッシュ U.S. 篩に通したカルボキシメチル澱粉ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及びタルクを顆粒に加え、これを混合した後に製錠機で圧縮して錠剤を得る。
【0234】
5mL投与量当たりそれぞれ0.25〜100mgの活性成分を含有する懸濁剤を下記のようにして製造する:
製剤4:懸濁剤
【表4】

活性成分を No. 45 メッシュ U.S. 篩に通し、カルボキシメチル澱粉ナトリウム及びシロップと混合して滑らかなペーストを形成する。安息香酸溶液、香味料及び着色剤を若干量の水で希釈し、攪拌しながら加える。次いで十分な水を加えて必要な体積にする。
【0235】
下記の成分を含有するエアゾール溶液を製造する:
製剤5:エアゾール
【表5】

活性成分をエタノールと混合し、この混合物を噴射剤 22 の一部に加え、30℃に冷却し、充填装置に移す。次いで必要量をステンレススチール容器に入れ、残りの噴射剤で希釈する。次いで容器にバルブ装置を取り付ける。
【0236】
下記のようにして坐剤を製造する:
製剤6:坐剤
【表6】

活性成分を No. 60 メッシュ U.S. 篩に通し、最小必要熱を用いて予め溶融した飽和脂肪酸グリセリドに懸濁させる。次いでこの混合物を名目2g容量の坐剤型に注ぎ、放置して冷却させる。
【0237】
下記のようにして静脈内製剤を製造する:
製剤7:静脈内溶液
【表7】

上記の成分の溶液を患者に毎分約1mLの速度で静脈内投与する。
【0238】
下記の成分を用いて軟質ゼラチンカプセルを製造する:
製剤8:油状製剤を充填した軟質ゼラチンカプセル
【表8】

【0239】
上記の活性成分は薬剤の組み合わせであってもよい。
【0240】
本願を通して種々の刊行物が引用されている。これらの刊行物の開示は、全体として全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0241】
当業者には、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく、種々の改変及び変更を行い得ることが明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示した詳細な記載及び慣例を考慮すれば当業者に明らかであろう。詳細な記載及び実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲及び精神は請求項により示されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における心臓血管疾患、狭心症、虚血、心虚血、卒中、再かん流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、糖尿病の血管合併症、肥満、内毒素血症、脳血管疾患、冠状動脈疾患、高血圧、心室機能障害、心不整脈、肺血管疾患、末梢血管疾患、腎血管性疾患、腎臓疾患、内臓血管疾患、血管うっ血疾患、糖尿病、炎症性疾患、自己免疫障害及び他の全身性疾患適応症、免疫機能変調、肺疾患、抗酸化疾患、性機能障害、認知機能障害、住血吸虫症及び癌から選択される障害又は症状の治療方法であって、該哺乳動物に、治療上有効量の式1
【化1】

[式中、
1は、Y、W−O−Y又はW−Yであり;ここで、Wは、カルボニルであり;Yはそれぞれにおいて、独立して、Z又は(C1−C10)アルキルであり、ここで、炭素の1個はS、O又はNで置き換えられていてもよく、そしてYが(C1−C10)アルキルである場合には、Yは、場合によりハロ、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、アミド、カルボキシ及びZから独立して選択される1〜9個の置換基で置換されており;ここで、Zは、場合によりO、S及びNから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する部分飽和、完全飽和又は完全不飽和の3〜8員環又は二環式環系であり、ここで、Zは、場合によりハロ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、カルボキシ、(C1−C6)アルキルオキシカルボニル、モノ−N−及びジ−N,N−(C1−C6)アルキルアミノから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており、ここで、該(C1−C6)アルキル置換基は、場合によりハロ、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシ、シアノ、オキソ、アミノ、アミド、カルボキシ、モノ−N−及びジ−N,N−(C1−C6)アルキルアミノ、並びに(C1−C6)アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており、該(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシ置換基はまた、場合により1〜9個のフッ素で置換されており;
2は、(C1−C4)アルキル又は(C3−C6)シクロアルキルであり;
4は、V0、−COO(C1−C4)アルキル、シアノ、−CHO、−CONH2又は−CO(C1−C4)アルキルであり;ここで、V0は、テトラゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、フラニル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、チオフェニル、ピリミジニル又はピリジニルであり、ここで、V0は、場合により(R0)nで置換されており、ここで、nは、1、2、3又は4であり、そして各R0は、独立して、ハロ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、カルボキサモイル、カルボキシ又は(C1−C6)アルキルオキシカルボニルであり、ここで、該(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシ置換基は、場合により1若しくは2個のオキソ、1若しくは2個のヒドロキシ又は1〜9個のハロで独立して置換されており;そして
5、R6、R7及びR8は、独立して、水素、シアノ、ハロ、(C1−C4)アルコキシ又は(C1−C4)アルキルであり、ここで、該(C1−C4)アルキル及び(C1−C4)アルコキシは、場合により1〜7個のハロで独立して置換されており;但し、R4がV0以外である場合には、R1は(C1−C6)アルキルではなく、そしてR1はアミド置換基又はカルボキシ置換基を有する]
の化合物又は該化合物の医薬上許容される塩を、場合によりHMG CoA還元酵素阻害剤又はその医薬上許容される塩と組み合わせて、この活性な薬剤を該障害又は症状の治療において有効な量で投与することを含む、上記障害又は症状の治療方法。
【請求項2】
式1の化合物において、
1が、W−Yであり;
2が、メチル、エチル、2−プロピル、シクロプロピル、tert−ブチル又はシクロブチルであり;
4が、(C1−C4)アルキルで場合によりそれぞれ置換されたテトラゾリル又はオキサジアゾリルであり、ここで、(C1−C4)アルキルは、場合により1〜6個のフッ素で置換されており;
5、R6、R7及びR8が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、メチル、シアノ、OCF3又はCF3であり;
Yが、Z又は(C1−C10)アルキルであり;ここで、該(C1−C10)アルキル置換基は、場合によりハロ、オキソ、アミノ、アミド、(C1−C6)アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ及び(C1−C6)アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されており;そして
Zが、場合により1又は2個のオキソ、アミノ、アミド、カルボキシ、(C1−C6)アルコキシ又は(C1−C6)アルキルで独立して置換されており、ここで、該(C1−C6)アルキル置換基は、場合によりハロ、オキソ、アミノ、アミド、(C1−C6)アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ及び(C1−C6)アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1、2又は3個の置換基で置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
4が、2−メチル−テトラゾール−5−イルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式1の化合物が、トランス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド又は該化合物の医薬上許容される塩である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
HMG CoA還元酵素阻害剤が、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、(3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;若しくは(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、又は該化合物の医薬上許容される塩である、請求項1〜4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
HMG CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチン又は該化合物の医薬上許容される塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
HMG CoA還元酵素阻害剤が、(3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;若しくは(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、又は該化合物の医薬上許容される塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
抗高血圧剤を投与することを更に含む、請求項1〜4の何れかに記載の方法。
【請求項9】
抗高血圧剤が、カルシウムチャンネル遮断剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
抗高血圧剤が、アムロジピン又はその医薬上許容される塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
HMG CoA還元酵素阻害剤が、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、(3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;若しくは(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、又は該化合物の医薬上許容される塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
HMG CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチン又は該化合物の医薬上許容される塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
a) [2R,4S]−4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−メトキシカルボニル−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル;トランス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド; (2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール;(2R,4R,4aS)−4−[アミノ−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸イソプロピルエステル、及び該化合物の医薬上許容される塩からなる群から選択されるCETP阻害剤;並びに
b) (3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸;(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、及び該化合物の医薬上許容される塩からなる群から選択されるHMG CoA還元酵素阻害剤
を含む医薬組み合わせ組成物。
【請求項14】
CETP阻害剤が、トランス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド又は該化合物の医薬上許容される塩である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
CETP阻害剤が、(2R,4R,4aS)−4−[アミノ−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸イソプロピルエステル又は該化合物の医薬上許容される塩である、請求項13に記載の組成物。

【公開番号】特開2007−254466(P2007−254466A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−71833(P2007−71833)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】