説明

CMT及び関連疾患の処置のための新規な治療的アプローチ

本発明は、シャルコー・マリー・トゥース病及び関連疾患の処置のための組成物及び方法に関する。より特定すると、本発明は、被験体におけるPMP22の発現に影響を及ぼすことにより前記疾病を処置するための組合せ療法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャルコー・マリー・トゥース病及び関連疾患の処置のための組成物及び方法に関する。
【0002】
シャルコー・マリー・トゥース病(「CMT」)は、稀な遺伝性末梢性の多発性神経炎である。およそ2,500人に1人が罹患しており、この疾病は、遺伝性の末梢神経系疾患の中で最も一般的なものである。その発症は、典型的には、生後から10年目まで又は10年目から20年目までの間に起こるが、乳児期にも検出され得る。疾病の経過は慢性的であり、徐々に神経筋の変性が起こる。この疾病に、神経痛及び極度の筋肉不能状態を伴う場合には病弱となる。CMTは、最もよく研究されている遺伝病の1つであり、フランスでは約30,000件の症例がある。大半のCMT患者が、ミエリン遺伝子(PMP22)を含む第17染色体断片の重複を有しているが(CMT1A型)、一方で24個の遺伝子が様々な型のCMTに関与している。従って、この病態は、一遺伝子起源のものであるが、存在し得るモデュレーター遺伝子に因り臨床的な異質性を示す。CMT患者において突然変異した遺伝子は、緊密に連関した分子経路の周辺にクラスターを形成し、シュワン細胞又はニューロンの分化に影響を与えるか、又は末梢神経でこれらの細胞の相互作用を変化させる。
【0003】
PMP22は、末梢神経系の実質的に全ての有髄線維の緻密な部分において発現されているミエリンの主要な成分であり、主にシュワン細胞により産生されている。1.5倍という控えめな程度での正常なPMP22タンパク質の過剰発現が、重複に対してヘテロ接合型であるCMT患者のシュワン細胞においても観察されている(いくつかの稀な場合において、CMT1A様の表現型もまた、PMP22タンパク質の構造的突然変異に連関している場合がある)(Lupski et al.,1992; Suter et al, 1992; Roa et al, 1993; Thomas et al., 1997; Suter & Scherer, 2003; Nave & Sereda, 2007)。異常なPMP22遺伝子量がCMT1A様の表現型を引き起こすという直接的な証拠は、PMP22タンパク質を過剰発現しているげっ歯類モデルにおけるトランスジェニック実験により提供された(Niemann et al,. 1999; Perea et al., 2001; Robaglia-Schlupp et al., 2002; Meyer et al., 2006; Sereda & Nave, 2006)。更に、プロゲステロンレセプターの特異的阻害剤であるオナプリストン(Sereda et al., 2003; Meyer zu Horste et al, 2007)及びアスコルビン酸(Passage et al., 2004)による治療介入により、トランスジェニック動物におけるこの発現は減少し、疾病表現型を回復させるか又はその進行を遅延させる。
【0004】
既存の実験データにより、PMP22タンパク質はミエリン鞘の構造成分であるだけでなく、シュワン細胞における多数の表現型特徴に影響を及ぼす重要な調節タンパク質でもあることが示されている。突然変異CMT1Aグリア細胞における異常なタンパク質レベルと、その機能の改変とを連結する正確な機序は、完全に解明されていないが、シュワン細胞生物学に対するその有害な作用を説明する可能性があるいくつかの細胞機序は出現し始めている。
【0005】
CMT1A病の分子的機序及び病的徴候が記載された公共に入手できるデータの発掘により、我々は、CMT関連の治療介入のための可能性ある正当な標的として、いくつかの機能的細胞要素(PMP22遺伝子の転写調節、PMP22タンパク質フォールディング/分解、シュワン細胞増殖及びアポトーシス、細胞外マトリックス沈着及び再構築、免疫応答)に優先順位を付けることができた。シャルコー・マリー・トゥースの病的徴候の発症及び進行に対する、これらの機能的要素の脱調節による複合的なインパクトにより、組合せCMT処置に効力がある可能性があることが正当化される。
【0006】
CMT動的病態モデルが最初に構築された後、CMT1A病に関連した細胞経路の機能的調節にターゲティングした市販の一般的な薬物の選択が行なわれた。
【0007】
発明の要約
本発明の目的は、CMT及び関連疾患を処置するための新規な治療的アプローチを提供することである。本発明はまた、被験体におけるPMP22発現をモデュレーションするための組成物及び方法にも関する。
【0008】
本発明者らは、CMT及び関連疾患を回復するために、被験体において調節できる様々な経路を同定した。本発明者らはまた、組み合わせて又は単独で、CMT及び関連疾患に至るこのような経路に効果的に影響を及ぼすことのできるいくつかの薬物を同定し、そして、これらの疾患の処置のための新規治療法を提示する。
【0009】
本発明は、それ故、CMT病及び関連疾患を処置するための新規組成物及び方法を提供する。
【0010】
本発明の目的はまた、より具体的には、CMT又は関連疾患を処置するための(その処置用の医薬品を製造するための)化合物の組合せの使用に関し、前記化合物は、GABA−Bレセプターアゴニスト、ムスカリンレセプターアゴニスト、ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、D−ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト又は部分アゴニスト、甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤、ERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)アクチベーター及びpAktキナーゼ阻害剤、COX阻害剤、並びにその任意の組合せから選択される。
【0011】
前記化合物は、薬物又は抗体(又はその断片もしくは誘導体)、タンパク質、又はペプチドであり得る。
【0012】
本発明の他の目的は、CMT又は関連疾患の処置のための(その処置用の医薬品の製造のための)、化合物A:D−ソルビトール(CAS50−70−4)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;化合物B:バクロフェン(CAS1134−47−0、及びバクロフェン塩酸塩ではCAS63701−56−4)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;化合物C:ピロカルピン(CAS92−13−7、及びピロカルピン塩酸塩ではCAS54−71−7)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;化合物D:ナルトレキソン(CAS16590−41−3、及びナルトレキソン塩酸塩ではCAS16676−29−2)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;化合物E:メチマゾール(CAS60−56−0)並びにその可能な塩及び誘導体;化合物F:ミフェプリストン(CAS84371−65−3)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;モンテルカスト(CAS158966−92−8)並びにその可能な塩及び誘導体;ケトプロフェン(CAS22071−15−4、及びケトプロフェンナトリウムではCAS57495−14−4)並びにその可能な塩及び誘導体;化合物G又はその個々の化合物、から選択される化合物の組合せの使用に関する。
【0013】
本発明の他の目的は、CMT又は関連疾患の処置のための(その処置用の医薬品の製造のための)、アセタゾラミド(CAS59−66−5、及びナトリウム形ではCAS1424−27−7)並びにその可能な塩及び誘導体;アミノグルテチミド(CAS125−84−8)並びにその可能な塩及び誘導体;アズトレオナム(CAS78110−38−0、及びアズトレオナム二ナトリウムではCAS80581−86−8)並びにその可能な塩及び誘導体;バクロフェン(CAS1134−47−0、及びバクロフェン塩酸塩ではCAS63701−56−4)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;バルサラジド(CAS80573−04−2、150399−21−6(二ナトリウム形)、213594−60−6(二ナトリウム形)、及び82101−18−6)並びにその可能な塩及び誘導体;ビカルタミド(CAS90357−06−5)並びにその可能な塩及び誘導体;ブロモクリプチン(CAS25614−03−3、及びメシレート形ではCAS22260−51−1)並びにその可能な塩及び誘導体;ブメタニド(CAS28395−03−1)並びにその可能な塩及び誘導体;ブスピロン(CAS36505−84−7、及び塩酸塩形ではCAS33386−08−2)並びにその可能な塩及び誘導体;シプロフロキサシン(CAS85721−33−1、及び塩酸塩形ではCAS86393−32−0)並びにその可能な塩及び誘導体;クロニジン(CAS4205−90−7、及び塩酸塩形ではCAS4205−91−8)並びにその可能な塩及び誘導体;シクロスポリンA(CAS59865−13−3)並びにその可能な塩及び誘導体;ジスルフィラム(CAS97−77−8)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;エキセメスタン(CAS107868−30−4)並びにその可能な塩及び誘導体;フェルバメート(CAS25451−15−4)並びにその可能な塩及び誘導体;フェノフィブラート(CAS49562−28−9)並びにその可能な塩及び誘導体;フィナステリド(CAS98319−26−7)並びにその可能な塩及び誘導体;フルマゼニル(CAS78755−81−4)並びにその可能な塩及び誘導体;フルニトラゼパム(CAS1622−62−4)並びにその可能な塩及び誘導体;フロセミド(CAS54−31−9)並びにその可能な塩及び誘導体;ガバペンチン(CAS60142−96−3)並びにその可能な塩及び誘導体;ガランタミン(CAS357−70−0、及び臭化水素酸塩形ではCAS1953−04−4)並びにその可能な塩及び誘導体;ハロペリドール(CAS52−86−8)並びにその可能な塩及び誘導体;イブプロフェン(CAS15687−27−1、及びナトリウム塩ではCAS31121−93−4)並びにその可能な塩及び誘導体;イソプロテレノール(CAS7683−59−2、塩酸塩形ではCAS51−30−9、CAS5984−95−2(イソプロテレノール(−)塩酸塩))並びにその可能な塩及び誘導体;L−カルニチン(CAS541−15−1、及び塩酸塩形ではCAS6645−46−1)並びにその可能な塩及び誘導体;リオチロニン(T3)(CAS6893−02−3、及びナトリウム形ではCAS55−06−1)並びにその可能な塩及び誘導体;ロサルタン(CAS114798−26−4、及びカリウム形ではCAS124750−99−8)並びにその可能な塩及び誘導体;ロキサピン(CAS1977−10−2、及びそれぞれコハク酸塩及び塩酸塩形ではCAS27833−64−3及びCAS54810−23−0)並びにその可能な塩及び誘導体;メタプロテレノール(CAS586−06−1、及び硫酸塩形ではCAS5874−97−5)並びにその可能な塩及び誘導体;メタラミノール(CAS54−49−9、及び酒石酸水素塩形ではCAS33402−03−8)並びにその可能な塩及び誘導体;メトホルミン(CAS657−24−9、及び塩酸塩形ではCAS1115−70−4)並びにその可能な塩及び誘導体;メチマゾール(CAS60−56−0)並びにその可能な塩及び誘導体;メチルエルゴノビン(CAS113−42−8、及びマレイン酸塩に対応するCAS57342−61−8)並びにその可能な塩及び誘導体;メトピロン(CAS54−36−4)並びにその可能な塩及び誘導体;メトプロロール(CAS37350−58−6、CAS51384−51−1及びCAS56392−17−7(酒石酸塩形))並びにその可能な塩及び誘導体;ミフェプリストン(CAS84371−65−3)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;ナドロール(CAS42200−33−9)並びにその可能な塩及び誘導体;ナロキソン(CAS465−65−6、及び塩酸塩二水和物ではCAS51481−60−8)並びにその可能な塩及び誘導体;ナルトレキソン(CAS16590−41−3、及びナルトレキソン塩酸塩ではCAS16676−29−2)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;ノルフロキサシン(CAS70458−96−7)並びにその可能な塩及び誘導体;ペンタゾシン(CAS359−83−1、ペンタゾシン(+)形ではCAS7361−76−4、乳酸塩形ではCAS17146−95−1、塩酸塩形ではCAS64024−15−3)並びにその可能な塩及び誘導体;フェノキシベンザミン(CAS59−96−1、塩酸塩形ではCAS63−92−3)並びにその可能な塩及び誘導体;フェニルブチレート(ナトリウム形に相当するCAS1716−12−7、4−フェニル酪酸に相当するCAS1821−12−1)並びにその可能な塩及び誘導体;ピロカルピン(CAS92−13−7、及びピロカルピン塩酸塩ではCAS54−71−7)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;ピオグリタゾン(CAS111025−46−8、塩酸塩形ではCAS112529−15−4)並びにその可能な塩及び誘導体;プラゾシン(CAS19216−56−9、塩酸塩形ではCAS19237−84−4)並びにその可能な塩及び誘導体;ラロキシフェン(CAS84449−90−1、塩酸塩形ではCAS82640−04−8)並びにその可能な塩及び誘導体;リファンピン(CAS13292−46−1)並びにその可能な塩及び誘導体;シンバスタチン(CAS79902−63−9)並びにその可能な塩及び誘導体;D−ソルビトール(CAS50−70−4)並びにその可能な塩、プロドラッグ及び誘導体;化合物スピロノラクトン(CAS52−01−7)並びにその可能な塩及び誘導体;タモキシフェン(CAS10540−29−1、クエン酸塩形ではCAS54965−24−1)並びにその可能な塩及び誘導体;トリロスタン(CAS13647−35−3)並びにその可能な塩及び誘導体;バルプロ酸(CAS99−66−1、それぞれナトリウム形及びジバルプロエクスナトリウム形ではCAS1069−66−5及びCAS76584−70−8)並びにその可能な塩及び誘導体;カルバマゼピン(CAS298−46−4、二水和物形ではCAS85756−57−6)並びにその可能な塩及び誘導体;ケトプロフェン(CAS22071−15−4、ケトプロフェンナトリウムではCAS57495−14−4)並びにその可能な塩及び誘導体;フルルビプロフェン(CAS5104−49−4、S及びRエナンチオマーに相当するCAS51543−39−6及びCAS51543−40−9;ナトリウム形に相当するCAS56767−76−1)並びにその可能な塩及び誘導体;ジクロフェナク(CAS15307−86−5、ナトリウム形ではCAS15307−79−6;カリウム形ではCAS15307−81−0)並びにその可能な塩及び誘導体;メロキシカム(CAS71125−38−7)並びにその可能な塩及び誘導体;タクロリムス(CAS104987−11−3、一水和物固体形ではCAS109581−93−3)並びにその可能な塩及び誘導体;ジアゼパム(CAS439−14−5)並びにその可能な塩及び誘導体;デュタステリド(CAS164656−23−9)並びにその可能な塩及び誘導体;インドメタシン(CAS53−86−1、2つのナトリウム形ではCAS74252−25−8及び7681−54−1)並びにその可能な塩及び誘導体;ジノプロストン(CAS363−24−6)並びにその可能な塩及び誘導体;カルバコール(CAS51−83−2、コリンカルボネート(エステル)に相当するCAS462−58−8)並びにその可能な塩及び誘導体;エストラジオール(それぞれβ及びα形でのCAS50−28−2及び57−91−0)並びにその可能な塩及び誘導体;クルクミン(CAS458−37−7)並びにその可能な塩及び誘導体;リチウム(CAS7439−93−2、炭酸塩及びクエン酸無水物形でのCAS554−13−2及び919−16−4;塩化物形でのCAS7447−41−8)並びにその可能な塩及び誘導体;ラパマイシン(CAS53123−88−9)並びにその可能な塩及び誘導体;ベタイン(クロラールベタインではCAS2218−68−0;ベタイン、ベタイン一水和物、ベタイン塩酸塩及びベタイン一水和物形に相当するCAS107−43−7、17146−86−0、590−46−5、590−47−6)並びにその可能な塩及び誘導体;トレハロース(CAS4484−88−2)並びにその可能な塩及び誘導体;アミロライド(塩酸塩無水物に相当するCAS2016−88−8;アミロライド(IPAで同定)に相当するCAS2609−46−3)並びにその可能な塩及び誘導体;アルブテロール(CA18559−94−9、硫酸塩形ではCAS51022−70−9)並びにその塩及び誘導体;あるいはその組合せから選択される化合物の使用に関する。
【0014】
本発明の更なる目的は、CMT又は関連疾患の処置のための(その処置用の医薬品の製造のための)、D−ソルビトール(化合物A);バクロフェン(化合物B);ピロカルピン(化合物C);ナルトレキソン(化合物D);メチマゾール(化合物E);ミフェプリストン(化合物F)、及びケトプロフェン(化合物G)、又はその塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも2つの化合物の組合せの使用に関する。
【0015】
本発明の更なる目的は、CMT又は関連疾患の処置のための(その処置用の医薬品の製造のための)、D−ソルビトール(化合物A);バクロフェン(化合物B);ピロカルピン(化合物C);ナルトレキソン(化合物D);メチマゾール(化合物E);ミフェプリストン(化合物F)、及びケトプロフェン(化合物G)、又はその塩、プロドラッグもしくはアゴニストから選択される化合物の使用に関する。
【0016】
本発明の更なる目的は、CMT又は関連疾患の処置のための(その処置用の医薬品の製造のための)、アセタゾラミド;アミノグルテチミド;アズトレオナム;バクロフェン;バルサラジド;ビカルタミド;ブロモクリプチン;ブメタニド;ブスピロン;シプロフロキサシン;クロニジン;シクロスポリンA;ジスルフィラム;エキセメスタン;フェルバメート;フェノフィブラート;フィナステリド;フルマゼニル;フルニトラゼパム;フロセミド;ガバペンチン;ガランタミン;ハロペリドール;イブプロフェン;イソプロテレノール;L−カルニチン;リオチロニン(T3);ロサルタン;ロキサピン;メタプロテレノール;メタラミノール;メトホルミン;メチマゾール;メチルエルゴノビン;メトピロン;メトプロロール;ミフェプリストン;モンテルカスト;ナドロール;ナルトレキソン;ナロキソン;ノルフロキサシン;ペンタゾシン;フェノキシベンザミン;フェニルブチレート;ピロカルピン;ピオグリタゾン;プラゾシン;ラロキシフェン;リファンピン;シンバスタチン;スピロノラクトン;タモキシフェン;トリロスタン;バルプロ酸;カルバマゼピン;ケトプロフェン;フルルビプロフェン;ジクロフェナク;メロキシカム;D−ソルビトール;タクロリムス;ジアゼパム;デュタステリド;インドメタシン;ジノプロストン;カルバコール;エストラジオール;クルクミン;リチウム;ラパマイシン;ベタイン;トレハロース;アミロライド;アルブテロール、又はその塩、プロドラッグ、もしくはアゴニストから選択される少なくとも2つの化合物の組合せの使用に関する。
【0017】
本発明の他の目的は、CMT又は関連疾患を有する被験体においてPMP22の発現を低減させるための(低減させる医薬品の製造のための)、D−ソルビトール(化合物A);バクロフェン(化合物B);ピロカルピン(化合物C);ナルトレキソン(化合物D);メチマゾール(化合物E);ミフェプリストン(化合物F);ケトプロフェン(化合物G)、又はその塩、プロドラッグもしくはアゴニストから選択される少なくとも2つの化合物の組合せの使用に関する。
【0018】
本発明の他の目的は、CMT又は関連疾患を有する被験体においてPMP22の発現を低減させるための(低減させる医薬品の製造のための)、アセタゾラミド;アミノグルテチミド;アズトレオナム;バクロフェン;バルサラジド;ビカルタミド;ブロモクリプチン;ブメタニド;ブスピロン;シプロフロキサシン;クロニジン;シクロスポリンA;ジスルフィラム;エキセメスタン;フェルバメート;フェノフィブラート;フィナステリド;フルマゼニル;フルニトラゼパム;フロセミド;ガバペンチン;ガランタミン;ハロペリドール;イブプロフェン;イソプロテレノール;L−カルニチン;リオチロニン(T3);ロサルタン;ロキサピン;メタプロテレノール;メタラミノール;メトホルミン;メチマゾール;メチルエルゴノビン;メトピロン;メトプロロール;ミフェプリストン;モンテルカスト;ナドロール;ナルトレキソン;ナロキソン;ノルフロキサシン;ペンタゾシン;フェノキシベンザミン;フェニルブチレート;ピロカルピン;ピオグリタゾン;プラゾシン;ラロキシフェン;リファンピン;シンバスタチン;スピロノラクトン;タモキシフェン;トリロスタン;バルプロ酸;カルバマゼピン;ケトプロフェン;フルルビプロフェン;ジクロフェナク;メロキシカム;D−ソルビトール;タクロリムス;ジアゼパム;デュタステリド;インドメタシン;ジノプロストン;カルバコール;エストラジオール;クルクミン;リチウム;ラパマイシン;ベタイン;トレハロース;アミロライド;アルブテロール、又はその塩、プロドラッグ、もしくはアゴニストから選択される少なくとも2つの化合物の組合せの使用に関する。
【0019】
本発明の更なる目的は、D−ソルビトール、バクロフェン、ピロカルピン、ナルトレキソン、メチマゾール、ミフェプリストン及びケトプロフェン、その塩又はプロドラッグから選択される少なくとも2つの化合物の組合せと、薬学的に適切な賦形剤とを含む、薬学的組成物である。
【0020】
好ましい態様において、前記薬物は組み合わせて使用されることにより最も有効な結果を提供する。この点において、本発明の更なる目的は、CMT又は関連疾患を処置するための薬物組合せの使用に存し、ここでの前記組合せは、
−ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、並びに、ムスカリンレセプターアゴニスト、GABA−Bレセプターアゴニスト、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達に影響を及ぼす薬物、D−ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤から選択される化合物;
−ムスカリンレセプターアゴニスト、並びに、GABA−Bレセプターアゴニスト、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達に影響を及ぼす薬物、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤から選択される化合物;
−GABA−Bレセプターアゴニスト、並びに、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達に影響を及ぼす薬物、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、及びCOX阻害剤から選択される化合物;
−ERKアクチベーター、並びに、pAktキナーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達に影響を及ぼす薬物、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤から選択される化合物;
−pAktキナーゼ阻害剤及び甲状腺ホルモンシグナル伝達に影響を及ぼす薬物;ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、及びCOX阻害剤から選択される化合物;
−甲状腺ホルモンシグナル伝達に影響を及ぼす薬物;及びソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物及びオピオイドレセプターアンタゴニスト又はCOX阻害剤;
−ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物及びオピオイドレセプターアンタゴニスト又はCOX阻害剤;
−オピオイドレセプターアンタゴニス及びCOX阻害剤
から選択される。
【0021】
特定の局面において、本発明は、CMT処置のための前記化合物又は組成物又は組合せの使用に関する。
【0022】
本発明は更に、前記に開示したような任意の化合物又は化合物の組合せ又は組成物の有効量をそれを必要とする被験体に投与することを含む、CMT又は関連疾患、特にCMTを処置する方法を提供する。好ましい方法は、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、化合物F、及び化合物G、又はその塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも2つの化合物の組合せの投与を含む。
【0023】
この点において、本発明の特定の目的は、前記に開示したような化合物又は化合物の組合せの有効量を被験体に投与することを含む、被験体におけるCMT1aを処置する方法である。
【0024】
本明細書に開示した様々な使用又は処置法のいずれもが、CMTもしくは関連疾患、特にCMT1Aに罹患しているとして患者を診断する、又はCMTもしくは関連疾患、特にCMT1Aを発症する危険性があるとして個体を同定する任意選択の工程も含み得る。
【0025】
この点から、本発明の更なる目的は、CMT、特にCMT1aの処置法であり、前記方法は、(1)被験体がCMT、特にCMT1aに罹患しているかどうかを評価し、(2)CMT、特にCMT1aに罹患している患者を、有効量の前記した化合物の組合せで処置することを含む。被験体がCMT、特にCMT1aに罹患しているかどうかの決定は、それ自体当技術分野において公知の様々な試験、例えばDNAアッセイにより行なわれ得る。このような診断は、例えば、治療法の前又は治療中に患者における(患者の試料中の)PMP22の発現又は機能を評価することにより行ない得る。
【0026】
本発明の更なる目的は、患者のワクチン接種のための免疫原としてのPMP22又はPMP22断片を含む組成物である。
【0027】
本発明の更なる目的は、抗PMP22抗体、又はそのような抗体の断片もしくは誘導体を含むワクチンである。
【0028】
本発明は、任意の哺乳動物被験体、特にヒト被験体におけるCMT又は関連疾患、より好ましくはCMT1aを処置するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】PMP22mRNA発現レベルに対する選択された薬物の効果。
【図2】PMP22mRNA発現レベルに対する選択された薬物の効果。
【図3】PMP22mRNA発現レベルに対する様々な用量の選択された薬物の効果。
【図4】PMP22タンパク質発現レベルに対する選択された薬物の効果。
【図5】PMP22タンパク質発現レベルに対するピロカルピン及びナルトレキソンの組合せの効果。
【図6】動向の形態で提示された処置試験全期間中における棒試験(Bar-test)での雌ラットの運動評価の結果。A:メチマゾール;B:ピロカルピン。
【図7】処置から16週間後のこの試験で記録された平均的な棒試験(Bar-test)挙動。A:メチマゾール;B:ピロカルピン。
【図8】20週間の間に薬物で処置されたCMTラットにおける感受性神経電位振幅の電気生理学的評価。
【0030】
本発明は、CMT又は関連疾患を処置するための新規な治療的アプローチを提供する。本発明は、このような疾病の効果的な是正を可能とし、任意の哺乳動物被験体に使用され得る、薬物又は薬物組合せの新規使用を開示する。
【0031】
本発明の脈絡において、用語「CMT関連疾患」は、PMP22を含むミエリンタンパク質の異常発現に関連した他の疾患を示す。これらの疾患の多様性は、PMP22の役割の多様性に起因する。
【0032】
PMP22は、まず第一に、末梢神経系の実質的に全ての有髄線維の緻密な部分において発現されているミエリンの主要な成分である。PMP22タンパク質は、別の構造ミエリンタンパク質P0と相互作用し、それ故、PMP22/P0タンパク質の比率の変化は、ミエリン鞘の圧密に影響を及ぼす可能性がある(Vallat et al.,1996;D'Urso et al.,1999)。インビトロ試験により実証されたように、PMP22タンパク質はまた、Rho依存的に細胞の伝播の調節に関与しており、従って軸索の鞘形成(axonal ensheathment)に影響を及ぼし得る(Brancolini et al., 1999)。更に、PMP22はα6β4インテグリンと複合体を形成し、シュワン細胞と細胞外マトリックスとの相互作用を媒介し得る(Amici et al., 2006; Amici et al., 2007)。更に、PMP22タンパク質レベルの上昇は、Arf6により調節される原形質膜エンドソーム再循環経路を変化させ得、後期エンドソームへのPMP22の蓄積をもたらし得る(Chies et al., 2003)。また、PMP22タンパク質の過剰発現は、細胞内タンパク質選別を撹乱し、シュワン細胞におけるタンパク質分解機構に過負荷をかけることが実証された(Notterpek et al., 1997; Tobler et al., 2002; Fortun et al., 2003; Fortun et al., 2006; Fortun et al., 2007; Khajavi et al., 2007)。最後に、PMP22は、細胞増殖の制御及びプログラム化された細胞死に直接関与しており(Sancho et al., 2001; Atanasoski et al., 2002)、突然変異PMP22タンパク質は、著名な再構築及び軸索イオンチャネルの異常発現を誘発することが示された(Ulzheimer et al.,2004; Devaux & Scherer, 2005)。PMP22はまた、ヒト脳のいくつかの部分でも発現されている(Ohsawa Y et al, 2006)。気分障害(Le-Niculescu H et al, 2008)及び統合失調症(Dracheva S et al, 2006)において関与している証拠が存在する。PMP22は、脳/血液関門の確立に役割を果たしており(Roux KJ et al, 2004)、それは多発性硬化症及び神経変性疾病において欠陥が見られることが多い。
【0033】
結果として、用語「CMT関連疾患」とは、アルツハイマー病(AD)、AD型の老年性認知症(SDAT)、パーキンソン病、ルイスボディ認知症、血管性認知症、自閉症、軽度認知障害(MCI)、加齢性記憶障害(AAMI)、及び加齢に関連した問題、脳炎後パーキンソン症、統合失調症、うつ病、双極性障害及び他の気分障害、ハンチントン病、運動ニューロン疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、特発性ニューロパシー、糖尿病性ニューロパシー、中毒性ニューロパシー(薬物処置により誘導されるニューロパシーを含む)、HIV、放射能、重金属及びビタミン欠乏状態により誘発されるニューロパシー、及びプリオンに基づいた神経変性(例えばクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ウシ海綿状脳症(BSE)、GSS、FFI、クールー病を含む)及びアルパース症候群などをいう。
【0034】
好ましい態様において、CMT関連疾患とは、ニューロパシー、例えば脱髄性ニューロパシー、HNPP(圧迫性麻痺傾向を伴う遺伝性ニューロパシー)、CMT1B、CMT1C、CMT1D、CMT1X、CMT2A、CMT2B、CMT2D、CMT2E、CMT2−P0、重度の脱髄ニューロパシーDSS(デジュリン・ソッタス症候群)、CHN(先天的低ミエリン形成性ニューロパシー)、CMT4A、CMT4B1、CMT4B2、CMT4D、CMT4F、CMT4、AR−CMT2A、HSN1などをいう。
【0035】
本明細書に使用される疾患の「処置」には、疾患により誘発される疼痛の治療、阻止、予防、遅延、又は減退が含まれる。処置なる用語には、特に、疾病の進行及び関連した症状の制御が含まれる。
【0036】
また、化合物なる用語は、出願書で特に命名した化学的化合物、並びに、許容されるその塩、水和物、エステル、エーテル、異成体、ラセミ体、コンジュゲート、プロドラッグとの薬学的な組成物のことをいう。
【0037】
抗体なる用語は、モノクローナル又はポリクローナル抗体のことをいう。断片なる用語は、免疫グロブリン鎖、FabもしくはFab'断片、又はCDR領域のことをいうが、それらに限定されるわけではない。抗体の誘導体には、一本鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体などが含まれる。抗体断片又は誘導体は、抗体のエピトープ特異性を保持すべきである。
【0038】
また、用語「組合せ」とは、生物学的効果を引き起こすために少なくとも2つの薬物が被験体に同時に投与される処置のことをいう。組合せ療法では、少なくとも2つの薬物が一緒に又は別々に、同時に又は連続的に投与され得る。また、少なくとも2つの薬物が異なる経路及びプロトコルにより投与され得る。
【0039】
本発明は、末梢ミエリンタンパク質の機能性が、ムスカリンレセプター、GABA−Bレセプター、ステロイドホルモンレセプター、オピオイドレセプター、ソルビトールシグナル伝達経路、又は活性化ERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)に影響を及ぼす薬物、COX阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤及び/又はpAktキナーゼ阻害剤によりモデュレーション(modulated)されることができ、これによりCMT及び関連疾患の新規な治療的アプローチの設計が可能となることを示す。
【0040】
更に、本発明は、組み合わせて又は単独で前記の経路をモデュレーション(modulated)でき、前記疾病の処置に使用され得る、特定の薬物の同定及び活性を開示する。
【0041】
更に具体的には、本発明は、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、化合物F、及び化合物Gを組み合わせて又は単独で、好ましくは組み合わせて使用することにより、CMT又は関連疾患を処置することができることを示す。
【0042】
D−ソルビトール(化合物A)
この薬物、C14は、膀胱洗浄剤、緩下剤及び高浸透圧剤のクラスに属する。
【0043】
i)前立腺手術又は他の尿路手術の間の感染を阻止するための膀胱(成人)洗浄の処置に、ii)活性炭と混合されて中毒(成人)の処置に、及びiii)高浸透圧性緩下剤として作用する便秘症(成人)の処置に認可されている。それは大腸中に液体を保持し、これにより腸間内での筋肉運動が高まることにより作用する。
【0044】
CMT1A疾病においてターゲティングされた代謝経路:
細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)及びAkt経路は、対立する様式で、PMP22遺伝子の発現を制御する:PMP22遺伝子の転写は、活性化PI3K/pAkt/GSK−3βシグナル伝達経路により増強され、Ras/MEK/ERKキナーゼカスケードにより抑制される。化合物Aは、ERK/JNK/p38キナーゼを活性化することができ、おそらく、ERKキナーゼ活性をモデュレーションすることによりPMP22遺伝子の発現を低下させることができる(Bogoyevitch et al.,1995; Galvez et al.,2003)。
【0045】
PMP22遺伝子の過剰発現により誘起されるミスフォールディングされたPMP22タンパク質凝集物は、CMT1Aシュワン細胞に特徴的な複合的な表現型であり、細胞内膜動態、タンパク質選別及び分解に影響を及ぼし得る。従って、D−ソルビトールは、シャペロン活性を有する細胞浸透圧調節物質として、タンパク質フォールディング及びクリアランスに関与する細胞内機構の能力を増大させることにより、過剰発現されたPMP22遺伝子の有害な作用を更に抑制することができる(Fortun et al.,2005; Fortun et al.,2006; Welch & Brown, 1996)。
【0046】
化合物Aはまた、化合物Aが特異的に結合するムスカリン2型レセプターの刺激を介して増強した効果を奏功し得る。これによりPMP22の発現が低下する。
【0047】
最後に、化合物Aは、アルドースレダクターゼ経路のフィードバック阻害によりアポトーシス及び酸化ストレスを抑制する。D−ソルビトールは、アルドースレダクターゼ代謝経路において産生される。アルドースレダクターゼ遺伝子の減衰は、ラット細胞におけるアポトーシス及び酸化ストレスを抑制する(Nambu H et al, 2008)。
【0048】
バクロフェン(化合物B)
この薬物、C1012ClNOは、経口療法に応答しないか又は耐性がない患者における、多発性硬化症から生じる可逆的な痙攣の徴候及び症状の緩和に、特に屈筋痙縮及び同時に起こる疼痛、クローヌス、及び筋固縮の軽減に、並びに脊髄を起源とする重度の痙攣の髄腔内処置に認可されている。
【0049】
化合物Bは、GABA−Bレセプターの直接的なアゴニストである。その正確な作用機序は、完全に分かっていない。それは、おそらく求心性神経終末の過分極により脊髄レベルで単シナプス反射及び多シナプス反射の両方を阻害できるが、脊髄上位部位での作用も起こり得、その臨床作用に寄与し得る。
【0050】
CMT1A疾病においてターゲティングされた代謝経路:
GABA(B)レセプターは、GPCRと相互作用する足場タンパク質(GISP)を介してERK1/2キナーゼを活性化し、これにより、PI3K−Akt−GSK−3βシグナル伝達経路、並びに、シュワン細胞においてPMP22遺伝子の正の転写調節に関与しているステロイドホルモンレセプターの活性を負に調節することができる(Kantamneni et al.,2007; Lange et al.,2007; Miller et al.,2007; Tu et al.,2007)。更に、GABABレセプターは、発達状況に依存的に、PMP22発現の正のモデュレーターとして認識されているGABAAレセプターの活性を減少させることができる(Obrietan & van den Pol, 1998)。
【0051】
ピロカルピン(化合物C)
この薬物、C1116は、i)頭部及び頸部の癌のための放射線療法により引き起こされる唾液腺の機能低下に由来する口渇の症状の処置に、及びii)シェーグレン症候群患者における口渇の症状の処置に認可されている。
【0052】
ムスカリンレセプターのアゴニストは、平滑筋線維収縮(消化管、眼、気管支)を引き起こし、発汗、唾液分泌、気管支分泌及び胃液分泌を刺激する。更に、それは複雑な心血管作用を示し、両方の副交感神経刺激様(血管拡張)興奮性神経節経路を刺激する。
【0053】
CMT1A疾病においてターゲティングされた代謝経路:
我々は、ムスカリンレセプターアゴニストであるピロカルピンにより、インビトロのシュワン細胞においてPMP22タンパク質の発現が低下することを実証した。ムスカリンレセプターは、様々な細胞設定においてAkt及びErk経路の両方をモデュレーションすることができ、従って、それぞれPMP22タンパク質の正及び負の転写調節に関与しているこれらの2つのシグナル伝達経路の微細なスイッチ制御に関与し得る。我々は、ピロカルピンによるムスカリンレセプターの刺激により、複雑な分子機序のセットを通じて、Erk/Akt活性の細胞内バランスが、より顕著なErkシグナル伝達へとシフトされ、PMP22遺伝子の発現が阻害されることを提案する。例えば、ムスカリンレセプターは、刺激されたIGF−1レセプターからIRS−1を脱共役させるIRS−1チロシン脱リン酸化を促進することにより、pAkt/GSK−3β機能的モジュールにより媒介されるIGF−1によるシグナル伝達を選択的に遮断することができる(Batty et al.,2004; Stirnweiss et al.,2006)。
【0054】
ナルトレキソン(化合物D)
この薬物、C2023NOは、アルコール依存症の処置に、及び、外来的に投与されたオピオイドの作用を遮断するために認可されている。
【0055】
この薬物はオピオイドミューレセプターに拮抗的に結合し、これにより従来のオピエート(ヘロイン、モルヒネ)薬物が結合しオピオイド神経応答を誘導することを防ぐ。静脈内に投与されたオピオイドの自覚的な作用を顕著に減弱させるか又は可逆的に完全に遮断する。モルヒネと同時投与される場合、慢性的に、モルヒネ、ヘロイン及び他のオピオイドに対する身体的依存を遮断する。オピオイドに身体的に依存している被験体においては、それは退薬症候を誘発する。
【0056】
アルコール依存症の作用機序は解明されていないが、前臨床データにより内因性オピオイド系が示唆されている。それはこのようなレセプターに競合的に結合し、内因性オピオイドの作用を遮断し得る。
【0057】
CMT1A疾病においてターゲティングされた代謝経路:
細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)及びAkt経路は、対立する様式でPMP22の発現を制御する:PMP22遺伝子の転写は、活性化PI3K/pAkt/GSK−3βシグナル伝達経路により上昇し、Ras/MEK/ERKキナーゼカスケードにより抑制される。化合物Cは、σオピオイドレセプターの負の調節を介して、pAktキナーゼの活性を遮断し得、それ故、PMP22遺伝子の転写を減少させ得る。
【0058】
シュワン細胞は、低いレベルではあるが、全ての種類のオピオイド及びシグマレセプター並びにその天然リガンドであるプロダイノルフィン及びプロエンケファリンを発現しており、この観察により、自己分泌オピオイドシグナル伝達は、これらのグリア細胞の生態において重要な役割を果たし得ることが示される。
【0059】
オピオイドレセプターを通じてのシグナル伝達は、極めて複雑であり、急性と慢性のアゴニスト適用形態の間で異なっている。我々は、ナルトレキソンが、急性モルヒネ適用により、いくつかの神経細胞で実証されたように、誘起された、pAktキナーゼの活性化及びErkキナーゼ媒介シグナル伝達のダウンレギュレーションを減衰し得ることを示唆する(Muller & Unterwald, 2004)。
【0060】
細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)及びAkt経路は、対立する様式でPMP22の発現を制御する。PMP22遺伝子の転写は、活性化PI3K/pAkt/GSK−3βシグナル伝達経路により上昇し、Ras/MEK/ERKキナーゼカスケードにより抑制される。化合物Cは、σオピオイドレセプターの負の調節を介して、pAktキナーゼの活性を遮断し、Erkキナーゼを介したシグナル伝達を増大することができ、それ故、PMP22遺伝子の転写を減少し得る。
【0061】
メチマゾール(化合物E)
この薬物は、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、グレーブス病及び乾癬の処置に認可されている。
【0062】
メチマゾールは、ヨウ化物をヨウ素に変換する甲状腺ホルモンの合成における律速酵素である甲状腺ペルオキシダーゼに結合しその活性を遮断する。従って、メチマゾールは、新しい甲状腺ホルモンの産生を効果的に阻害する。
【0063】
CMT1A疾病においてターゲティングされた代謝経路:
シュワン細胞は、インタクトな成人坐骨神経において甲状腺ホルモンレセプターを発現していないが、損傷した末梢神経における軸索−グリアの正常な相互作用の破壊により、シュワン細胞においてこれらのレセプターの発現が急速に誘導され、このことから、PNS損傷の誘導性修復にとって甲状腺ホルモンシグナル伝達が重要であることが示される(Walter, 1993)。この提案は、損傷した坐骨神経が甲状腺レセプターだけでなく、甲状腺ホルモンの代謝に関与する酵素、2型脱ヨード酵素(チロキシン(T4)をトリヨードチロニン(T3)に変換)及び3型脱ヨード酵素(甲状腺ホルモンの分解に関与する)の代謝にも関与している酵素も発現しているという観察により更に支持される(Walter et al.,1995; Li et al.,2001)。シュワン細胞におけるPMP22遺伝子の過剰発現により、損傷されたCMT患者の末梢神経において正常な軸索−グリア相互作用が破壊されているので、甲状腺レセプターシグナル伝達もまた、シャルコー・マリー・トゥース病の進行に重要な役割を果たしているのかもしれない。
【0064】
トリヨードチロニンT3は、シュワン細胞においてEGR2発現の強力なアクチベーターであり;EGR2転写因子は、シュワン細胞における前ミエリン化の転写プログラムの主要な正の調節因子として認識されているので、甲状腺ホルモンレセプターを介したシグナル伝達は、PMP22遺伝子の転写に影響を及ぼし得る(Mercier et al.,2001)。我々は、メチマゾールが、損傷されたシュワン細胞において甲状腺ホルモンシグナル伝達を減衰することによりPMP22遺伝子の転写を低下させ得ると推定した。
【0065】
ミフェプリストン(化合物F)
この薬物、C2935NOは、49日間の妊娠期間中の子宮内妊娠の医学的中断に認可されている。
【0066】
化合物Fの抗プロゲステロン活性は、プロゲステロンレセプター部位におけるプロゲステロンとの競合的相互作用から生じる。いくつかの動物種(マウス、ラット、ウサギ及びサル)における様々な経口用量を用いた研究に基づくと、前記化合物は、内因性又は外因性のプロゲステロンの活性を阻害する。
【0067】
CMT1A疾病においてターゲティングされた代謝経路:
化合物Fは、プロゲステロン及び糖質コルチコイドレセプターのアンタゴニストであり、これらのレセプターは、PMP22転写の正の調節因子である。
【0068】
化合物Fは、プロゲステロンレセプターアンタゴニストとして開発されたが、それはまた糖質コルチコイドホルモンレセプターアンタゴニストとしても認識され;更に、それは弱い抗アンドロゲン活性も示し、エストロゲンレセプター又は鉱質コルチコイドレセプターには結合しない。
【0069】
PMP22タンパク質の転写は、シュワン細胞において発現されている数個の核レセプター(ステロイドホルモンレセプターを含む)により正に調節されている(Robert et al.,2001; Schumacher et al.,2001)。
【0070】
我々は、プロゲステロン及び糖質コルチコイドレセプターの両方の活性を同時に減少させる非特異的なアンタゴニストであるミフェプリストンは、PMP22転写のより強力な負のモデュレーターであり得、従って、特に長期の処置系列ではむしろ僅かな治療効果しか実証しなかった、以前に試験されたプロゲステロンレセプター特異的アンタゴニストよりも有望なCMT1A関連薬物開発の候補となり得ることを示唆し(Sereda et al.,2003; Meyer zu Horste et al.,2007);この結論はまた、シュワン細胞において、糖質コルチコイドレセプターは、プロゲステロンレセプターよりも少なくとも50倍強く発現されていることを示す最近公開されたデータによっても支持される(Groyer et al.,2006)。
【0071】
ケトプロフェン(化合物G)
ケトプロフェンは、関節リウマチ及び骨関節炎の処置に認可されている。化合物Gは、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の両方の活性を阻害し、この効果により、プロスタグランジン及びロイコトリエンの合成を阻害する、非ステロイド系抗炎症薬である。
【0072】
CMT1A疾病においてターゲティングされた代謝経路:
シュワン細胞は、いくつかの種類の機能的なプロスタグランジンEP、プロスタサイクリンIP、トロンボキサン、システイニルロイコトリエン及びロイコトリエンB4レセプターを発現し、誘導性COX−2活性を有し、プロスタグランジンE2、トロンボキサンA2及びロイコトリエンLTC4を産生することができることが以前に実証された(Constable et al.,1999; Muja et al.,2001; Woodhams et al.,2007)。
【0073】
プロスタグランジンは、その同族GPCRレセプターを通じて、ミエリン関連タンパク質(PMP22を含む)の発現を促進するAtkシグナル伝達経路の活性を増大し得る。例えば、近年の所見により、PGE2プロスタグランジンは、シュワン細胞におけるβ−カテニン、pAktシグナル伝達の下流エフェクター、及び前ミエリン化転写プログラムのアクチベーターの代謝に密接に関与していることが示唆されている(Ogata et al.,2004)。PGE2によるEPレセプターの活性化時に、Gαsサブユニットは、Axin/GSK−3β複合体に結合し、GSK−3βにより媒介されるリン酸化及びβ−カテニンの分解を減少させることが実証された。同時に、EPレセプターへのPGE2の結合により、Gβγサブユニットの放出が誘起され、これは、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)を通じてAktタンパク質を直接刺激する(Castellone et al.,2006)。
【0074】
従って、cox−阻害剤のケトプロフェン(化合物G)は、β−カテニンの活性を増強するシュワン細胞におけるプロスタグランジンレセプターを通じて自己分泌シグナル伝達を抑制することにより、PMP22遺伝子の転写を減少させ得る。
【0075】
更に、本発明は、CMT又は関連疾患を処置するための、組合せ又は単独での以下の化合物の使用に関する:アセタゾラミド;アミノグルテチミド;アズトレオナム;バクロフェン;バルサラジド;ビカルタミド;ブロモクリプチン;ブメタニド;ブスピロン;シプロフロキサシン;クロニジン;シクロスポリンA;ジスルフィラム;エキセメスタン;フェルバメート;フェノフィブラート;フィナステリド;フルマゼニル;フルニトラゼパム;フロセミド;ガバペンチン;ガランタミン;ハロペリドール;イブプロフェン;イソプロテレノール;L−カルニチン;リオチロニン(T3);ロサルタン;ロキサピン;メタプロテレノール;メタラミノール;メトホルミン;メチマゾール;メチルエルゴノビン;メトピロン;メトプロロール;ミフェプリストン;モンテルカスト;ナドロール;ナルトレキソン;ナロキソン;ノルフロキサシン;ペンタゾシン;フェノキシベンザミン;フェニルブチレート;ピロカルピン;ピオグリタゾン;プラゾシン;ラロキシフェン;リファンピン;シンバスタチン;スピロノラクトン;タモキシフェン;トリロスタン;バルプロ酸;カルバマゼピン;ケトプロフェン;フルルビプロフェン;ジクロフェナク;メロキシカム;D−ソルビトール;タクロリムス;ジアゼパム;デュタステリド;インドメタシン;ジノプロストン;カルバコール;エストラジオール;クルクミン;リチウム;ラパマイシン;ベタイン;トレハロース;アミロライド;アルブテロール。
【0076】
前記で考察したように、本発明は更に、CMT又は関連疾患を効果的に処置するために特定の細胞経路をモデュレーションできることを示す。より具体的には、本発明は、PMP22の機能(末梢ミエリンタンパク質のその発現、フォールディング又は輸送を含む)を、ムスカリンレセプター、GABA−Bレセプター、ステロイドホルモンレセプター、オピオイドレセプター、ソルビトールシグナル伝達経路、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、又はERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)を活性化もしくはpAktキナーゼを阻害する薬物及び/又はCOX阻害剤によりモデュレーションでき、これにより、CMT及び関連疾患の新規な治療的アプローチの設計が可能となることを示す。このような経路は、可能な最善の治療効果を提供するために、独立的に又は組み合わせてモデュレーションされ得る。
【0077】
一般に、PMP22遺伝子の発現を正常化する種類の薬物組合せが、CMT又は関連疾患の治療処置に提案される:
(I)PMP22遺伝子及びそのタンパク質の機能に関与する同じ細胞経路に影響を及ぼす薬物の組合せ、
(II)PMP22遺伝子及びそのタンパク質の機能に収束する、様々なシグナル伝達経路をモデュレーションする薬物の組合せ
(III)PMP22遺伝子及びそのタンパク質産物の機能を制御する、様々なシグナル伝達経路をモデュレーションする薬物の組合せ。
【0078】
これらの組合せは、PMP22遺伝子の転写に対して相加又は相乗効果を生じ、それ故、選択された薬物の有効治療量を有意に減少させることができ、その望ましくない副作用を最小限にすることができるはずである。
【0079】
本発明によれば、好ましい薬物組合せは、
−ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、並びに、ムスカリンレセプターアゴニスト、GABA−Bレセプターアゴニスト、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達を阻害する薬物、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤から選択される化合物;
−ムスカリンレセプターアゴニスト、並びに、GABA−Bレセプターアゴニスト、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達を阻害する薬物、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤から選択される化合物;
−GABA−Bレセプターアゴニスト、並びに、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達を阻害する薬物、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、及びCOX阻害剤から選択される化合物;
−ERKアクチベーター、並びに、pAktキナーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達を阻害する薬物、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、及びCOXから選択される化合物;
−pAktキナーゼ阻害剤、並びに、甲状腺ホルモンシグナル伝達を阻害する薬物、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、及びCOX阻害剤から選択される化合物;
−甲状腺ホルモンシグナル伝達を阻害する薬物、並びに、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物及びオピオイドレセプターアンタゴニスト又はCOX阻害剤から選択される化合物;
−ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、並びに、オピオイドレセプターアンタゴニスト又はCOX阻害剤から選択される化合物;
−オピオイドレセプターアンタゴニスト及びCOX阻害剤
から選択される。
【0080】
好ましい薬物組合せの例は、
−ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト及びムスカリンレセプターアゴニスト;
−ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト及びGABA−Bレセプターアゴニスト;
−ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト及びERKアクチベーター;
−ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト及びpAktキナーゼ阻害剤;
−ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤;
−ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト及びCOX阻害剤;
−ムスカリンレセプターアゴニスト及びGABA−Bレセプターアゴニスト;
−ムスカリンレセプターアゴニスト及びERKアクチベーター;
−ムスカリンレセプターアゴニスト及びpAktキナーゼ阻害剤;
−ムスカリンレセプターアゴニスト及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤;
−ムスカリンレセプターアゴニスト及びCOX阻害剤;
−GABA−Bレセプターアゴニスト及びERKアクチベーター;
−GABA−Bレセプターアゴニスト及びpAktキナーゼ阻害剤;
−GABA−Bレセプターアゴニスト及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤;
−GABA−Bレセプターアゴニスト及びCOX阻害剤;
又は−ERKアクチベーター及びpAktキナーゼ阻害剤;
−ERKアクチベーター及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤;
−ERKアクチベーター及びCOX阻害剤;
−又は甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤及びCOX阻害剤
から選択される。
【0081】
特定の態様において、ステロイドホルモンレセプターアンタゴニストは化合物Fであり、ムスカリンレセプターアゴニストは化合物A又は化合物Cであり、GABA−Bレセプターアゴニストは化合物B又は化合物Eであり、pAktキナーゼ阻害剤は化合物Dであり、ERKアクチベーターは化合物Aである。
【0082】
本発明の特定の態様は、CMT又は関連疾患の処置のための組合せ療法に存し、ここでの前記組合せ療法は、化合物A、並びに、ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、ムスカリンレセプターアゴニスト、GABA−Bレセプターアゴニスト、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、又はオピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤、及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤から選択される少なくとも1つの第二化合物を含む。
【0083】
本発明の特定の態様は、CMT又は関連疾患の処置のための組合せ療法に存し、ここでの前記組合せ療法は、化合物B、並びに、ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、ムスカリンレセプターアゴニスト、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤、及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤から選択される少なくとも1つの第二化合物を含む。
【0084】
本発明の特定の態様は、CMT又は関連疾患の処置のための組合せ療法に存し、ここでの前記組合せ療法は、化合物C、並びに、ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、GABA−Bレセプターアゴニスト、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤、及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤から選択される少なくとも1つの第二化合物を含む。
【0085】
本発明の特定の態様は、CMT又は関連疾患の処置のための組合せ療法に存し、ここでの前記組合せ療法は、化合物D、並びに、ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、ムスカリンレセプターアゴニスト、GABA−Bレセプターアゴニスト、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、ERKアクチベーター、COX阻害剤、及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤から選択される少なくとも1つの第二化合物を含む。
【0086】
本発明の特定の態様は、CMT又は関連疾患の処置のための組合せ療法に存し、ここでの前記組合せ療法は、化合物E、並びに、ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、ムスカリンレセプターアゴニスト、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤、及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤から選択される少なくとも1つの第二化合物を含む。
【0087】
本発明の特定の態様は、CMT又は関連疾患の処置のための組合せ療法に存し、ここでの前記組合せ療法は、化合物F、並びに、ムスカリンレセプターアゴニスト、GABA−Bレセプターアゴニスト、ERKアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト、COX阻害剤、及び甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤から選択される少なくとも1つの第二化合物を含む。
【0088】
薬物組合せの具体的かつ好ましい例は、活性物質として、少なくとも
(I)化合物F及び化合物E
(II)化合物C及び化合物B
(III)化合物F及び化合物C
化合物F及び化合物B
化合物F及び化合物A
化合物F及び化合物D
化合物C及び化合物A
化合物C及び化合物D
化合物B及び化合物A
化合物B及び化合物D
化合物A及び化合物D
化合物G及び化合物D
を含む。
【0089】
本発明による療法は、薬物組合せとしてもしくは単独で、及び/又は任意の他の療法と併用して行なってもよい。それは家で、診療所で、クリニックで、病院の外来部門で、又は病院で施し得、これにより医師は治療の効果を綿密に観察することができ、必要とされるあらゆる調整を行ない得る。
【0090】
治療期間は、処置される疾病の状態、患者の年齢及び状態、並びにどのように患者が処置に応答するかに依存する。
【0091】
更に、更なる神経障害を発症する危険性のより高い人(例えば、例えば糖尿病の遺伝的素因があるか糖尿病に罹患しているか、あるいは、発癌症状のために処置を受けている人)は、最終的な神経障害応答を緩和又は遅延するための予防的処置を受け得る。
【0092】
組合せの各成分の投与の用量、頻度及び形態は、独立して制御できる。例えば、ある薬物を経口的に投与し、一方で、第二の薬物を筋肉内に投与してもよい。組合せ療法は、患者の身体が任意のまだ予見されない副作用から回復する機会が得られるように、休止期間を含む断続的なサイクルで投与されてもよい。薬物はまた、1回の投与で両方の薬物が送達されるように、一緒に製剤化されていてもよい。
【0093】
薬学的組成物の製剤
組合せの各薬物の投与は、他の成分と合体した場合に、末梢神経に到達したときにPMP22の発現上昇の効果を修正することができる薬物の濃度となるような任意の適切な手段により行ない得る。
【0094】
組合せの活性成分を純粋な化学物質として投与することも可能であるが、それらを薬学的組成物(この脈絡では薬学的製剤とも称する)として提示することが好ましい。可能な組成物には、経口、直腸、局所(経皮、頬側、及び舌下を含む)、又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内)投与に適したものが含まれる。
【0095】
より一般的には、これらの薬学的製剤は、1つのパッケージに、通常ブリスターパックに、それぞれの処置期間中に使用される一定単位量の投与のための多数の投与単位又は他の手段を含む、「患者パック」が患者に処方される。患者パックは、薬剤師が原体供給物から患者の医薬品供給分を分割していた従来の処方に優る利点を有しており、ここでは患者は、通常は従来の処方には含まれていなかった、患者パックに含まれる添付文書を見ることができる。添付文書の包含により、医師の指示に対する患者のコンプライアンスが向上することが示されている。従って、本発明は、更に、前記製剤に適したパッケージング材料と併せて、本明細書において前記したような薬学的製剤も含む。このような患者パックにおいては、組合せ処置のための製剤の意図する使用は、処置において最も適切に製剤が使用されることを補助する説明書、器具、規定、適応及び/又は他の手段により推測され得る。このような基準により、患者パックは、本発明の組合せによる処置における使用に特に適したものとなり、またその使用に適応したものとなる。
【0096】
薬物は、任意の適切な量で、任意の適切な担体物質中に含まれていてもよく、組成物の全重量の1〜99重量%の量で存在し得る。前記組成物は、経口、非経口(例えば静脈内、筋肉内)、直腸内、経皮、鼻腔内、膣内、吸入、皮膚(パッチ)、又は眼内投与経路に適した投与形で提供され得る。従って、前記組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、液剤、ゲル剤(ヒドロゲルを含む)、ペースト、軟膏、クリーム、硬膏剤、浸剤、浸透圧送達装置、坐剤、浣腸、注射剤、インプラント、スプレー、又はエアゾールの形態であり得る。
【0097】
薬学的組成物は、慣用的な薬学的慣行に従って製剤化し得る(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(第20版)ed.A.R.Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000 and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York参照)。
【0098】
本発明による薬学的組成物は、投与してすぐに、又は投与後の任意の予め決められた時点又は期間に、実質的に活性薬物を放出するように製剤化され得る。
【0099】
徐放製剤には、(i)長い時間におよび体内に実質的に一定濃度の薬物を与える製剤;(ii)予め決められた遅れ時間の後、長い時間にわたり体内に実質的に一定濃度の薬物を与える製剤;(iii)活性薬物物質の血漿中レベルの変動に関連した望ましくない副作用を同時に最小限としつつ、体内での比較的一定した有効薬物レベルを維持することにより、予め決められた期間の間、薬物作用を維持する製剤;(iv)例えば疾病組織又は臓器の近くに又はそこに徐放組成物を空間的に配置することにより薬物作用を局在化させる製剤;及び(v)薬物を特定のターゲット細胞型に送達するための担体又は化学誘導体を使用することにより薬物作用をターゲティングする製剤が含まれる。
【0100】
徐放製剤の形態での薬物の投与は、薬物が、単独で又は組み合わせて、(i)狭い治療係数(すなわち、有害な副作用又は毒性反応をもたらす血漿中濃度と、治療効果をもたらす血漿中濃度の間の差異が小さい;一般に、治療係数TIは、半致死量(LD50)と半有効量(ED50)の比として定義される);(ii)消化管における狭い吸収域;又は、(iii)非常に短い生物学的半減期を有しており、これにより、血漿中レベルを治療レベルに維持するために1日の間に頻繁な投与が必要とされる場合、特に好ましい。
【0101】
数多くの中でいずれかの戦略を探求し、放出速度が、問題の薬物の代謝速度を上回るような徐放を得ることができる。徐放は、様々な製剤パラメーター及び成分(例えば、様々な種類の徐放組成物及びコーティングを含む)を適切に選択することにより得ることができる。従って、薬物は、適切な賦形剤を用いて、投与時に薬物を制御された様式で放出する薬学的組成物へと製剤化される(1単位又は複数単位の錠剤又はカプセル組成物、油剤、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル、ミクロスフィア、ナノ粒子、パッチ、及びリポソーム)。
【0102】
経口使用のための固体投与形
経口使用の製剤には、無毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含む錠剤が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤又は充填剤(例えば、スクロース、微結晶セルロース、でんぷん(ジャガイモでんぷんを含む)、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム);造粒剤及び崩壊剤(例えば、セルロース誘導体(微結晶セルロースを含む)、でんぷん(ジャガイモでんぷんを含む)、クロスカルメロースナトリウム、アルギネート、又はアルギン酸);結合剤(例えば、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、でんぷん、アルファ化でんぷん、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール);及び潤滑剤、流動促進剤、及び抗粘着剤(例えば、ステアリン酸、シリカ、又はタルク)であり得る。他の薬学的に許容される賦形剤は、着色剤、芳香剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであり得る。
【0103】
錠剤はコーティングされていなくても、又は公知の技術によりコーティングされることにより所望により消化管での崩壊及び吸収を遅延させ、これにより、より長い時間持続した作用を付与してもよい。コーティングは予め決められたパターンで活性薬物物質を放出するように適合させ得るか(例えば、徐放製剤を達成するために)、又は胃の通過後まで活性薬物物質を放出しないように適合させてもよい(腸溶性コーティング)。コーティングは糖衣、フィルムコーティング(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルピロリドン)、又は腸溶性コーティング(例えばメタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、シェラック、及び/又はエチルセルロース)であり得る。時間遅延材料、例えばモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルが使用され得る。
【0104】
固体錠剤組成物には、望ましくない化学的変化(例えば、活性薬物物質の放出前の化学的分解)から組成物を保護するのに適合したコーティングが含まれ得る。コーティングは薬剤学技術百科事典(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology)に記載されているのと同じような方法で固体投与形に施し得る。
【0105】
2つの薬物を錠剤中で一緒に混合しても、又は分割してもよい。例えば、第一の薬物が錠剤の内側に含まれ、第二の薬物が外側にあり、これにより、第二の薬物のかなりの部分が、第一の薬物が放出される前に放出される。
【0106】
経口使用の製剤はまた、チュアブル錠として、又は硬ゼラチンカプセルとして(ここでの活性成分は、不活性固体希釈剤(例えばジャガイモでんぷん、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリン)と混合されている)、又は軟ゼラチンカプセルとして(ここでの活性成分は、水又は油媒体と、例えば流動パラフィンもしくはオリーブオイルと混合されている)提示されてもよい。散剤及び顆粒剤は、慣用的な方法で錠剤及びカプセル剤の下で前記した成分を使用して調製され得る。
【0107】
経口使用のための徐放組成物は、例えば、活性薬物物質の溶解及び/又は拡散を制御することにより活性薬物を放出するように構築され得る。
【0108】
溶解又は拡散の制御された放出は、錠剤、カプセル剤、丸剤、もしくは顆粒製剤の薬物の適切なコーティングにより、又は薬物を適切な基質に取り込むことにより達成され得る。徐放コーティングは、前記した1つ又は複数のコーティング物質、及び/又は例えばシェラック、蜜蝋、グリコワックス(glycowax)、ヒマシワックス(castor wax)、カルナバワックス、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリアクチン酸(polyactic acid)、酢酸酪酸セルロース、塩化ポリビニル、酢酸ポリビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、メタクリル酸エチレングリコール、及び/又はポリエチレングリコールを含み得る。徐放基質製剤では、基質材料はまた、例えば、水和メチルセルロース、カルナバワックス及びステアリルアルコール、カルボポール(carbopol)934、シリコン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル、塩化ポリビニル、ポリエチレン、及び/又はハロゲン化フルオロカーボンを含んでいてもよい。
【0109】
特許請求した組合せ薬物の1つ又は複数を含む徐放組成物はまた、浮揚性錠剤又はカプセル剤の形態であり得る(すなわち経口投与されると特定の時間の間、胃内含有物の上に浮遊する)。浮揚性の薬物錠剤製剤は、薬物と賦形剤の混合物を、20〜75%w/wの親水コロイド、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて造粒することにより調製できる。次いで、得られた顆粒は、錠剤へと圧縮し得る。胃液と接触すると、錠剤は実質的に水に不透過性のゲルバリアをその表面周囲に形成する。このゲルバリアは、1未満の密度を維持するのに関与し、これにより錠剤は胃液中で浮揚物を維持することができる。
【0110】
経口投与のための液剤
水の添加による水性懸濁液の調製に適した散剤、分散性散剤、又は顆粒は、経口投与のための慣用的な投与形である。懸濁剤としての製剤は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つもしくは複数の保存剤との混合物中に活性成分を提供する。適切な懸濁化剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
【0111】
非経口用組成物
薬学的組成物はまた、注射、点滴、又はインプラント(静脈内、筋肉内、皮下、又は同種のもの)により非経口的に、従来の無毒性の薬学的に許容される担体及び補助剤を含む投与形、製剤、又は適切な送達装置もしくはインプラントを介して投与され得る。このような組成物の製剤及び調製は、薬学的製剤の分野の専門家には周知である。
【0112】
非経口使用の組成物は、単位投与形で(例えば1回量アンプルで)又は複数回用量を含むバイアルで提供され得、この中には適切な保存剤が添加されていてもよい(下記参照)。前記組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、点滴装置、又はインプラント用の送達装置の形態であっても、あるいは、水又は別の適切な媒体で使用前に復元する乾燥粉末として提示されていてもよい。活性薬物とは別に、前記組成物は、適切な非経口的に許容される担体及び/又は賦形剤を含み得る。活性薬物は、放出制御のために、ミクロスフィア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム又は同種のものに取り込まれ得る。前記組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定化剤、pH調整剤、及び/又は分散剤を含んでいてもよい。
【0113】
本発明による薬学的組成物は、無菌注射に適した形態であってもよい。このような組成物を調製するために、適切な活性薬物は、非経口的に許容される液体媒体に溶解又は懸濁される。使用され得る許容可能な媒体及び溶媒には、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウム、もしくは適切な緩衝液の添加により適切なpHに調整した水、1,3−ブタンジオール、リンガー液、及び等張塩化ナトリウム溶液である。水性製剤はまた、1つ又は複数の保存剤も含み得る(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチル、又はn−プロピル)。薬物の1つが水中にほんの控えめにもしくは僅かに可溶性である場合、溶解増強剤又は可溶化剤を添加してもよく、あるいは溶媒は10〜60%w/wのプロピレングリコールもしくは同種のものを含んでいてもよい。
【0114】
放出制御非経口組成物は、水性懸濁液、ミクロスフィア、マイクロカプセル、磁気ミクロスフィア、油剤、油懸濁剤、又は乳剤の形態であり得る。又は、活性薬物は、生分解性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、又は点滴装置に取り込まれていてもよい。ミクロスフィア及び/又はマイクロカプセルの調製に使用される材料は、例えば、生分解性/生体内分解性ポリマー、例えばポリガラクチン、ポリ−(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)である。放出制御非経口製剤を製剤化する場合に使用され得る生分解性担体は、炭水化物(例えばデキストラン)、タンパク質(例えばアルブミン)、リポタンパク質又は抗体である。インプラントに使用される材料は、生分解性でなくても(例えばポリジメチルシロキサン)、又は生分解性(例えばポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)又はポリ(オルトエステル))であってもよい。
【0115】
直腸用組成物
直腸適用のために適切な組成物の投与形には、坐剤(乳剤又は懸濁剤の種類)及び直腸ゼラチンカプセル(液剤又は懸濁剤)が含まれる。典型的な坐剤製剤では、活性薬物は、適切な薬学的に許容される坐剤基剤、例えばココアバター、エステル化脂肪酸、グリセリン処理ゼラチン、及び様々な水溶性もしくは分散性基剤、例えばポリエチレングリコールと配合される。様々な添加剤、増強剤、又は界面活性剤を取り込み得る。
【0116】
皮膚及び局所組成物
薬学的組成物はまた、従来の無毒性の薬学的に許容される担体及び賦形剤を含む投与形又は製剤で(ミクロスフィア及びリポソームを含む)、皮膚吸収のために皮膚に局所的に投与され得る。前記製剤には、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、リニメント剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、液剤、懸濁剤、粘着剤、スプレー剤、ペースト剤、硬膏剤、及び他の種類の経皮薬物送達システムが含まれる。薬学的に許容される担体又は賦形剤には、乳化剤、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、湿潤剤、浸透増強剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料、及び皮膚保護剤が含まれ得る。
【0117】
乳化剤は、天然ゴムであってもよい(例えばアカシアゴム又はトラガカントゴム)
保存剤、湿潤剤、浸透増強剤は、パラベン、例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピル、及び塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、尿素などであり得る。
【0118】
皮膚への局所投与で前記した薬学的組成物はまた、処置される生体の部分上又はその部分の近くへの局所投与に関連して使用され得る。前記組成物は、直接的な適用に、又は、包帯もしくは代替的には硬膏剤、パッド、スポンジ、ストライプ、又は他の形態の適切な屈曲性材料を用いての適用に適合させ得る。
【0119】
遅延放出製剤
前記化合物は、遅延放出製剤において使用されてもよく、及び/又は組織分布もしくはバイオアベイラビリティーを改変する薬剤と共に製剤化されてもよい。より特定すると、好ましい態様において、組織分布もしくはバイオアベイラビリティーを改変するように、少なくとも2つの化合物の組合せが、経口もしくは非経口もしくは髄腔内投与のための、薬物溶出ポリマーもしくは生体分子もしくはミセルもしくはリポソーム形成脂質もしくは水中油滴型乳剤、又はPEG化もしくは固体ナノ粒子もしくはマイクロ粒子を用いて製剤化される。
【0120】
このような製剤化剤の具体例には、PGA、PLGA、シクロデキストリン、アルブミン、又はタンパク質担体、ナノ及びマイクロ粒子、リポソーム、乳剤、及びPEGが含まれる。
【0121】
コンジュゲート
本発明の組合せ療法において、前記化合物は、薬学的組成物と様々な方法で会合させ得る。それらは別々の実体として一緒に混合されてもよい。それらは別々に製剤化されてもよい。それらは、リンカーを伴い又は伴わずに、共有結合的に又は非共有結合的に連結されていてもよい。特定の態様において、少なくとも2つの化合物が、好ましくは切断可能な又は切断不可能なリンカーを通して連結されている。
【0122】
処置の用量及び期間
組合せの薬物は、当然のことながら同じ又は異なる薬学的製剤で同時に投与しても、又は連続的に投与してもよい。連続的な投与である場合、第二(又は追加の)活性成分の投与の遅れは、活性成分の組合せの効果的な作用の利点が失われないものとすべきである。本記載による組合せの最低必要条件は、組合せが、活性成分の組合せの効果的な作用の利点をもった組合せ使用となるべきことである。意図する組合せの使用は、本発明に記載の組合せの使用を補助する、器具、規定、適応及び/又は他の手段により推測できる。
【0123】
本発明の主題である2つ以上の薬物の治療有効量を、上昇したPMP22遺伝子発現の作用を低下させ、CMT1A疾病を発症する危険性を阻止又は低下させ、一旦臨床的に顕現するとCMT1A疾病の進行を停止又は遅延させ、そして初回又はその後の神経病理学的事象の発生の危険性を阻止又は低減するのに有用な医薬品の調製のために、一緒に使用することができる。
【0124】
本発明の活性薬物は、分割した用量で、例えば1日に2又は3回投与してもよいが、組合せの各々の薬物において1日1回量が好ましく、単一の薬学的組成物(単一投与形)中の全ての薬物が1日1回量であることが最も好ましい。
【0125】
投与は、1日1回から数回、数日間から数年間におよぶことがあり、患者の一生におよぶ場合さえあり得る。殆どの場合において慢性又は少なくとも周期的に繰り返される長期投与が指示される。
【0126】
用語「単位投与形」とは、ヒト被験体への単位投与量として適した物理的に別個の単位(例えば、カプセル剤、錠剤、又は満たされたシリンジシリンダー)のことをいい、各々の単位が、必要とされる薬学的担体と共に、所望の治療効果を生じるように計算された予め決められた量の活性材料又は材料群を含む。
【0127】
単位投与量に好ましい組合せ中の各薬物の量は、処置される人の全身健康状態を考慮しつつ、投与法、患者の体重及び年齢、CMT1A疾病により引き起こされる神経病理学的損傷の重度、又は可能性ある副作用の危険性を含むいくつかの因子に依存する。
【0128】
更に、特定の患者に関する薬理ゲノミクス(治療薬の薬物動態、薬力学、又は効力プロファイルに対する遺伝子型の効果)情報も、使用される投与量に影響を及ぼし得る。
【0129】
より高用量が必要とされ得る特に重度のCMT疾病の症例に対応する場合や、又はより低用量が選択されるべきである小児を処置する場合を除いて、組合せ中の各薬物の好ましい投与量は、通常、長期維持処置に通常処方される量を超えない範囲内の用量、又は大規模な第3期臨床試験において安全であると認められた量を超えない範囲内の用量である。
【0130】
例えば、
・化合物Fでは、経口摂取される場合には1日あたり約2〜約100mg
局所投与する場合には特別な用量を選択すべきである。
・化合物Dでは、経口摂取される場合には1日あたり約1〜約20mg
・化合物Bでは、経口摂取される場合には1日あたり約2〜約20mg。ナノ粒子又は類似の製剤の形態で投与される場合には異なる用量が適切かもしれない。
・化合物Eでは、経口摂取される場合には1日あたり約125〜約500mg
・化合物Cでは、経口摂取される場合には1日あたり約1〜約20mg
・化合物Aでは、経口摂取される場合には1日あたり約1〜約50g。注射の場合には特別な量を選択すべきである。
【0131】
最も好ましい用量は、長期維持処置に通常処方される量の1%から10%までの量に相当する。
【0132】
実際に投与される薬物の量は、処置される状態又は状態群、投与される正にその組成物、個々の患者の年齢、体重及び応答、患者の症状の重篤度、並びに選択される投与経路を含む関連環境を鑑みて、医師により決定されることが理解されるだろう。それ故、前記の用量範囲は、本明細書の教義のための一般的な指針及び支援を提供するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0133】
以下の実施例は、説明のために示されており、限定するためのものではない。
【0134】
実施例
1.細胞培養
1.1:市販のラット一次シュワン細胞
ラット・シュワン細胞(SC)一次培養液(Sciencell R1700番)のバイアルを解凍し、ポリ−L−リジンで前以ってコーティングされた75cmのフラスコ中の「サイエンセル(Sciencell)シュワン細胞培地」(Sciencell R1701番の基礎培地)に10000細胞/cm(cells/cm2)の密度で播種する。培養培地は、その増殖を促進するための、基礎培地、5%ウシ胎児血清(3H-Biomedical AB 1701-0025番)、1%シュワン細胞増殖上清(3H Biomedical AB 1701-1752番)、1%ゲンタマイシン(Sigma G1397番)、及び10μMのフォルスコリン(Sigma F6886番)からなる。
【0135】
集密状態(confluency)に達した後(細胞バッチにより4〜10日後)、シュワン細胞を、付着した線維芽細胞からのSC細胞の単離を可能とする穏やかな撹拌又はthy1.1イムノパニング(thy1.1 immunopanning)により精製することによって、少なくとも95%純粋な培養液を作製する。次いで、SCを計測し(トリプタンブルー法)、ポリ−L−リジンで前以ってコーティングされた75cmのフラスコ中の同じSC培地中に播種する。集密状態(confluency)時に細胞を濯ぎ、トリプシン処理し(Invitrogen 1540054番のトリプシン−EDTA1倍希釈)、カルシウム及びマグネシウムの非存在下でPBSで希釈し、計測し、5%のFBS、1%の細胞増殖補助剤(CGS)、40μg/mlのゲンタマイシン及び4μMのフォルスコリンを含むサイエンセルシュワン細胞培地の入った12ウェル皿に蒔く(140000細胞/ウェル(cells/well))。
【0136】
1.2 注文に応じて作られるラット一次シュワン細胞
一次シュワン細胞培養液(SC)をSprague-Dawley新生児ラット(P0とP2の間)の坐骨神経から確立する。全ての新生児ラットを賭殺し、ペトリ皿に単離する。解剖は無菌条件下で行なう。
【0137】
背面皮膚を、後足及び下部胴体から取り出す。坐骨神経を単離し、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(それぞれ50UI/ml及び50μg/ml;Invitrogen 15070番)及び1%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma A6003)の補充された氷冷Leibovitz(L15、Invitrogen 11415番)を含む培養皿に移す。ラットの両方の神経を、氷冷L15を含む15mlのチューブに移す。次いで、L15培地を取り出し、10mg/mlのコラゲナーゼ(Sigma A6003番)を含む2.4mlのDMEM(Invitrogen 21969035番)で置き換える。神経をこの培地中で30分間37℃でインキュベーションする。次いで培地を取り出し、両方の神経を、カルシウム及びマグネシウムを含まないPBS(Invitrogen 2007-03番)中に希釈したトリプシン(10%トリプシンEDTA10倍(×)、Invitrogen 15400054番)により20分間かけて37℃で解離する。反応は、DNaseIグレードII(0.1mg/mlRoche diagnostic 104159番)及びウシ胎児血清(FCS10%、Invitrogen 10270番)を含むDMEMの添加により停止させる。細胞懸濁液を10mlのピペットを用いて粉砕し、フィルターを通過させ、50mlチューブに入れる(Swinnex 13mmフィルター単位、Millipore、20μmのナイロンメッシュフィルターを有する、Fischer)。細胞懸濁液を350gで10分間室温(RT)で遠心分離にかけ、ペレットを、10%FCS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEMに懸濁する。細胞を計測し(トリパンブルー法)、Falcon100mmのPrimaria組織培養プレートに5×10〜10細胞/皿(cells/dish)の密度で播種する。
【0138】
1日間の培養後、培地を、DMEM、10%FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10μMのシトシンb−D−アラビノフラノシド(Sigma C1768番)と交換する。48時間後、培地を排除し、細胞をDMEMで3回洗浄する。次いで、DMEM、10%FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、2μMのフォルスコリン(Sigma F6886番)、10μg/mlのウシ下垂体抽出物(PEX、Invitrogen 13028番)からなるSC増殖培地を加える。培地は2〜3日毎に交換する。
【0139】
8日間培養した後(細胞バッチにより4〜10日間)、シュワン細胞は集密状態(confluency)に達し、大量の混入線維芽細胞を含む培養液を、thy1.1イムノパニング(thy1.1 immunopanning)法により精製する。この精製後、細胞を、ポリ−L−リジンで前以ってコーティングされた75cmのフラスコ中の増殖培地に10000細胞/cm(cells/cm2)で懸濁する。一旦集密状態(confluency)に達すると、細胞を濯ぎ、トリプシン処理し(トリプシン−EDTA)、計測し、12ウェル皿に播種する(100000細胞/ウェル(cells/well))。
【0140】
1.3:薬物インキュベーション
細胞を12ウェル皿に播種した後、培地を、1%のN2補助剤(Invitrogen 17502番)、1%のL−グルタミン(Invitrogen 25030024番)、2.5%FBS(Sciencell 0025番)、0.02μg/mlのコルチコステロン(Sigma C2505番)、4μMのフォルスコリン及び50μg/mlのゲンタマイシンにより補完されたDMEM−F12(Invitrogen 21331020番)の混合液からなる規定の培地と交換する。SC分化を促進するための増殖因子はこの培地に加えない。
【0141】
24時間後、培地を、1%インシュリン−トランスフェリン−セレニウム−X(ITS、Invitrogen 51300番)、16μg/mlのプトレシン(Sigma P5780番)、0.02μg/mlのコルチコステロン及び50μg/mlのゲンタマイシンにより補完された規定の培地(DMEM−F12)と交換する。この工程では、プロゲステロンもフォルスコリンも培地に存在していない。
【0142】
1日後、シュワン細胞を、24時間の間に、薬物の組合せ又は薬物単独により刺激する(1つの条件につき3つのウェル(3 wells/condition))。各化合物の調製は、細胞培養培地にそれを添加する直前に行なわれる。
【0143】
薬物を、DMEM−F12と、1%インシュリン−トランスフェリン−セレニウム−X(ITS、Invitrogen 51300番)、16μg/mlのプトレシン、0.02μg/mlのコルチコステロン、10nMのプロゲステロン及び50μg/mlのゲンタマイシンからなる規定の培地に加える。薬物による刺激の間にフォルスコリンが存在していないことにより、アデニル酸シクラーゼの飽和が回避される。
【0144】
2.Thy1.1イムノパニング(Thy1.1 immunopanning)によるシュワン細胞の精製
線維芽細胞培養物の混入を防ぐために、シュワン細胞を、クローンThy1.1(ATCC T1B-103(商標))イムノパニングプロトコルを使用して精製する。
【0145】
抗体で前以ってコーティングされた100mmの細菌ペトリ皿は以下のように調製する:これらの皿をPBSで3回洗浄し、20mlのトリスHCl溶液50mM(pH9.5)と10μg/mlのヤギ抗マウスIgM MU抗体(Jackson ImmunoResearch 115-005-020番)により一晩4℃で処理し;次いで、PBSで3回濯ぎ、0.02%のBSAと、Thy1.1IgM抗体を含むT11D7e2ハイブリドーマ培養液(ATCC TIB-103番)から得られた上清とを含むPBS溶液により2時間かけて室温で処理する。最後に、細胞懸濁液を加える前に、プレートをPBSで3回洗浄する。
【0146】
SCをトリプシンEDTAを用いて脱着させる。大半の細胞が懸濁液中に存在するとすぐに、トリプシンをDMEM−10%FBSで中和し、細胞を遠心分離にかける。解離した細胞のペレットを、0.02%BSAを含む15mlの培地に0.66×10細胞/ml(cells per ml)(最大)の密度で再度懸濁し、ペトリ皿に移す(約660万細胞/10ml/100mmの皿(cells/10ml/dish of 100mm))。
【0147】
細胞懸濁液を、非特異的結合を防ぐために、Thy1.1でコーティングされたペトリ皿中で45分間かけて37℃で15分毎に穏やかに撹拌しながらインキュベートする。Thy1.1を発現している大半の線維芽細胞が皿に接着している。インキュベーションの終了時に、細胞懸濁液を回収し、遠心分離にかける。この細胞懸濁液は理論的にシュワン細胞のみを含んでいる。細胞を遠心分離にかけ、細胞ペレットを、ポリ−L−リジンで処理されたT75cmのフラスコ中の、10μMのフォルスコリンを含む増殖培地中に16000細胞/cm(cells/cm2)の密度で懸濁する。
【0148】
3.定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(Q−RT−PCR)
定量的RT−PCRを使用することにより、ラットシュワン細胞一次培養液中のハウスキーピングリボソームL13AmRNAと、薬物刺激後のPMP22mRNAレベルを比較する。
【0149】
冷えた滅菌PBSを用いて濯いだ後、各細胞試料の全RNAを抽出し、Qiagen RNeasy マイクロキット(Qiagen 74004番)を使用してSCから精製する。核酸を1μlのRNA試料を使用してNanodrop分光光度計により定量する。RNAの完全性はBioAnalyzer(Agilent)装置により決定される。
【0150】
RNAを、標準的なプロトコルに従ってcDNAへと逆転写する。PCR増幅のためのcDNA鋳型は、最終容量20μl中、SuperScript II逆転写酵素(Invitrogen 18064-014番)を使用して60分間かけて42℃でオリゴ(dT)の存在下で200ngの全RNAから合成される。
【0151】
cDNAは、「LightCycler(登録商標)480」システム(Roche Molecular Systems Inc.)を使用してPCR増幅にかける。PCR増幅に使用する前に各cDNAを5倍希釈する。2.5μlのこのcDNAが、PCR反応溶液に用いられる(最終容量10μl)。以前の実験により、両方の配列における定量は指数関数的増幅期において行なわれ、参照遺伝子の発現は様々な培養条件下で均一であることが確認された。
【0152】
PCR反応は、500nMのラットPMP22(NM_017037)の順方向プライマー(foward primer)5-GGAAACGCGAATGAGGC-3、及び500nMの逆方向プライマー(reverse primer)5-GTTCTGTTTGGTTTGGCTT-3の増幅により行なわれる(148bpの増幅)。500nMの順方向プライマー5-CTGCCCTCAAGGTTGTG-3、及び500nMの逆方向プライマー5-CTTCTTCTTCCGGTAATGGAT-3を使用することにより結果を正規化するために、RPL13Aリボソーム(NM_173340)RNAの152bp断片が別々の反応で平行的に増幅される。
【0153】
我々はFRET化学作用を使用することにより、RT−Q−PCR解析を行なう。FRETプローブは、その3'末端がドナー蛍光団染料(donor fluorophore dye)(フルオレセイン)で標識されている、0.3μMのPmp22-FL-5-GCTCTGAGCGTGCATAGGGTAC又はRpl13A-FL-5-TCGGGTGGAAGTACCAGCCから構成される。0.15μMのRed640プローブは、以下のように定義される:その5'末端がアクセプター蛍光団染料(acceptor fluorophore dye)(ローダミンレッド640)で標識されている、Pmp22-red-5'-AGGGAGGGAGGAAGGAAACCAGAAA-又はRpl13A-red-5'-TGACAGCTACTCTGGAGGAGAAACGGAA。
【0154】
各PCR反応は、10μlの最終容量のマスターミックスキット(master mix kit)(Roche 04-887301001番)中に2.5μlのcDNA鋳型を含んでいた。
【0155】
以下のPCR条件を使用する:95℃で10秒間、63℃で10秒間及び72℃で12秒間及び40℃で30秒間(40回の増幅サイクル)。PMP22遺伝子発現の相対レベルは、標的遺伝子PMP22から生じる産物と、内因性内部標準物質のRPL13Aの間の比率を決定することにより測定される。
【0156】
4.フローサイトメトリー(FACS)によるPMP22タンパク質発現解析
薬物インキュベーションから8時間後、24時間後及び48時間後に、上清を回収し、遠心分離にかけ、凍結する。SCをトリプシン−EDTAを用いて脱着させる。大半の細胞が懸濁液中に存在するとすぐに、トリプシンを10%FCSを含むDMEMを使用して中和する。
【0157】
細胞を含む上清を回収し遠心分離にかける。細胞ペレットをマイクロチューブに移し、PBS中で1回洗浄し、特定の溶液(AbCys Reagent番号 A BUF09B)で固定した。10分後、細胞をPBSで1回濯ぎ4℃に維持した。
【0158】
細胞固定から5日後、インキュベーション時間の異なる全ての細胞調製物を、以下のプロトコルを使用して標識する。
【0159】
細胞を7000rpmで5分間遠心分離にかけ、ペレットを透過溶液(AbCys Reagent番号B BUF09B)中に懸濁し、一次PMP22抗体(Abcam ab61220番、1/50)で1時間かけて室温で標識する。次いで、細胞を7000rpmで5分間かけて遠心分離にかけ、細胞ペレットをPBS中で1回濯ぐ。Alexa Fluor 488(ヤギ抗ウサギIgG、Molecular Probes A11008番、1/100)に結合した二次抗体を1時間かけて室温で加える。次いで、細胞を7000rpmで5分間遠心分離にかけ、細胞ペレットをPBS中で1回濯ぐ。Alexa Fluor 488(ニワトリ抗ヤギIgG、Molecular Probes A21467番、1/100)に結合した三次抗体を1時間のインキュベーションで室温で加えることにより標識は増加する。次いで、細胞をPBS中で1回濯ぐ。全く抗体を含まない対照(非標識細胞)を実施して、自己蛍光レベルを決定し、光電子増倍管(photomultiplicator)の感度に適合させる。二次抗体及び三次抗体の両方を含むが一次抗体は含まない対照を実施して、抗体の非特異的結合を評価する。
【0160】
データ取得及び解析は、5000個の細胞に対してFACS Arrayサイトメーター及びFACS Arrayソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて行なわれる。細胞容量(サイズ)に相関する前方散乱光(FSC)及び細胞の内部の複雑さ(顆粒度)に依存する側方散乱光(SSC)を解析する。PMP22の発現について、全細胞内の解析を行ない、陽性細胞の比率を計算する。陽性細胞は、二次抗体を有する対照よりも高い蛍光強度を有する細胞である。
【0161】
SCの数を定量するために、対照培地中の細胞を抗S−100タンパク質抗体を使用して解析する。
【0162】
細胞を以下のプロトコルに従って調製する:シュワン細胞を抗S−100タンパク質抗体(Dako S0311番、1/100)で1時間かけて室温で染色する。この抗体を、三次抗体とインキュベーションすることなくPMP22免疫染色について前記したプロトコルに従って標識する。
【0163】
5.薬物インキュベーション及び活性
薬物を、24時間又は48時間、前記したのと同じ規定培地中で(3ウェル/条件(wells/condition))、フォルスコリンの非存在下で、ただし10nMのプロゲステロンの存在下でインキュベーションすることにより、アデニル酸シクラーゼの刺激飽和(stimulation saturation)を回避する。薬物のインキュベーション後、上清を回収しシュワン細胞をRT−Q−PCR解析のために凍結させる。
【0164】
我々は、対照と比べてPMP22レベルを有意に低下させる場合にPMP22発現に対する薬物の活性を決定する。以下の表1は、PMP22発現の低下を引き起こした20個の活性薬物の結果を要約する。
【0165】
【表1】

【0166】
24時間のインキュベーション後にPMP22mRNA発現の有意な低下をもたらした18個の薬物のデータを、図1〜3に示す。これらのデータは、非常に低い用量の場合でさえ、PMP22mRNAレベルのかなりの低下を示す。
【0167】
6.24時間のインキュベーション後のPMP22タンパク質レベル
我々は、いくつかの薬物の、PMP22タンパク質発現の阻害能について試験した(FACS解析)。図4は、6個の薬物の結果を記載し、培養培地にそれを添加してから24時間後にPMP22タンパク質発現を有意に減少することができることを示す。PMP22のタンパク質レベルに対するいくつかの個々の薬物の作用の結果はまた上記表1にも示されている。
【0168】
図5では、24時間のインキュベーション後のPMP22タンパク質発現に対する、ピロカルピン及びナルトレキソンの組合せの効果が示されている。タンパク質発現レベルは非処置対照と比較した。これらの差異は、統計学的に有意であることが示された。
【0169】
以下の表2は、PMP22タンパク質発現に対する、様々な濃度における様々な薬物の組合せを用いて得られた結果を要約している。これらの結果は統計学的に有意であり、提案された薬物組合せの利点及び有益な効果を実証する。
【0170】
【表2】

【0171】
7.インビボでのCMT動物モデルにおける実験
我々は、CMTトランスジェニックラットモデル(マウスPMP22遺伝子の3つの追加のコピーを有するヘミ接合性PMP22トランスジェニックラット)(Sereda et al.,1996; Grandis et al.,2004)における治療効果について化合物を試験した。このCMTラットモデルは、臨床的な観点からヒトCMT1A疾病と良好に近似している。成体CMTラットは、遅い運動神経伝導速度を示し、この数値はCMT1A患者と類似し、すなわち50%未満である。坐骨神経刺激後、複合筋活動電位は、振幅の減少及び脱同期化を示す。組織学的及び電気生理学的変化が、明白な運動障害の臨床兆候よりも先に起こる(Sereda et al.,1996, 2003)。組織学的に顕著な筋萎縮により確認される軸索消失はヒトCMT1A症状と適合する。
【0172】
4週令のラットであるトランスジェニックPMP22ラットを試験全体を通じて使用した。試験設計の局面(無作為化、複数の比較のための統計、試料サイズなど)は、生物医学的研究における実験設計及び統計の分野での総説を提供する、第4版第43巻のILAR Journal(2002)に提供される推奨に沿って確認した。
【0173】
実験群は、両方の性別の若いラットを用いて別々に形成される。ラットは、体重に基づいて無作為化スケジュールに従って群に割り当てる。いくつかの実験において無作為化は、棒試験(bar test)でのラットの挙動に基づく。
【0174】
両方の性別は、処置群と数字的に等しいかより多い別々の対照群により示される。
【0175】
ラットを、10〜20週間の間に各薬物のバイオアベイラビリティー(bioavailability)に応じて、薬物で慢性的に処置する(強制的に食べさせるか、又は、Alzet浸透圧皮下ポンプ(DURECT Corporation Cupertino, CA)により注入)。
【0176】
動物の体重を1週間に2回測定し、成長する体重に対して投与量を調整する。浸透圧ポンプが投与処置に選択された場合、薬物の用量は、ポンプ持続期間におよび(6週間)その年齢において予期される動物の推定平均体重に基づいて計算される。ポンプは、必要であれば適切な麻酔プロトコルを用いて再度インプラントする。
【0177】
挙動試験
3又は4週間毎に、動物に挙動試験を受けさせる。各試験は、同じ研究者により同じ部屋で1日の同じ時刻に行なわれ;この均一性は全実験期間を通じて維持される。全ての処置は研究者には知らせていない。「棒試験(Bar test)」及び「握力」は、主に、試験期間全体を通じて挙動を評価するために使用される。棒試験のスケジュールは動物が成長するにつれて変化させてもよい(例えば、学習に起因する偏りを避けるために)。
【0178】
握力のアッセイにより、筋肉力、感受性状態(例えば、痛みの触感覚は、力の測定値を変化させ得る)、挙動成分(「モチベーション」)から成るようである握りしめ挙動における僅かな差異の検出が可能となる。数値は、前足及び後足の間で異なり、動物の年齢に大きく依存する。
【0179】
握力試験は、動物が取っ手をその前足又は後足で別々につかむ強度を測定する。握力計が取っ手に配置されており、これにより強度が測定される(Foece Gauge FG-500A)。実験者によりラットが取っ手をその前足又はその後足でつかむように保たれ、ラットが取っ手を放すまでラットを穏やかに後ろに引っ張る。動物が取っ手を放した時に測定される力を記録する。
【0180】
1匹の動物あたり前足の強度を測定する2回の連続的な試験と、後足の強度を測定する2回の連続的な試験との処理が行われる;最大のスコアのみを(Nで)書きとめる(前足について1つ、後足について1つ)。
【0181】
棒試験(Bar test)は、固定棒につかまるラットの能力を評価する。筋肉の弱さを示すPmp22ラットは、この試験で挙動欠陥を示す(Sereda et al, 1996)。ラットのその4つの足を棒の真ん中に置く(直径:2.5cm;長さ:50cm;机の30cm上)。試験は連続的に行ない;我々の実験における試験の回数及び期間は、動物のバッチにより異なる。試験にこのような変化を導入して、実験経過におけるCMTラットの運動欠陥を最善に検出するに適したスケジュールを決定する。
【0182】
挙動指数は、各セッションで記録する:
−棒に60秒間(又はバッチ1、セッション1及び2では30秒間)つかまることが必要とされる試験の数
−各試験で棒上で過ごす時間(すなわち落下までの待ち時間)及びセッションでの平均。ラットがカットオフ時間の間、すなわち30又は60秒間の間、棒上に留まっていた後にセッションが終了する実験手順では、カットオフ時間(30又は60秒間)の成績は、完了していない試験に割り当てられる(例えば、バッチ8では、棒上に試験1、2及び3では10秒未満の間、その後試験4及び5では60秒間留まっていた動物では、試験6〜10には60秒間が割り当てられる)。
−落下数
【0183】
全身健康評価
動物の体重、明白な兆候(皮膜の外見、体の姿勢、歩調、振戦など)を実験期間全体を通じてモニタリングする。記録のために尺度スケールを使用する:0=正常、1=異常。
【0184】
更なる試験
適切である場合、ラットを電気生理学的評価及び組織学的測定にかける。
【0185】
結果
メチマゾールは、全処置手順を通じて棒試験挙動を改善したが(図6)、化合物PXT25(ここに比較のためだけに提示する)は、殆ど全く改善を示さない。
【0186】
同様に、ピロカルピンは、全処置手順を通じて棒試験挙動を改善した(図6)。
【0187】
運動挙動は、野生型(WT)群と比べて、プラセボで処置した様々なCMTラットにおいては平均で3倍も成功率が低かった。メチマゾール又はピロカルピンでの処置により、この点で動物が改善され、強制的に食べさせてから早くも8週間後に統計学的に有意になった。この効果は、処置から16週間後に明確に実証される(図7)。動物はプラセボ群と比べて有意により行動するようになり、WTプラセボ群ともはや有意差がないレベルの挙動にまで回復した。
【0188】
尾の末端部分で測定された電位振幅は、TGプラセボ群では有意に消失していることが判明し、このことは重要な軸索損失を反映している可能性があり、この軸索損失は脱ミエリン化に起因している。この電気生理学的パラメータはメチマゾールでの処理時に有意に向上し(図8)、一方、神経伝導速度(NCV)は有意には影響を受けなかった。
【0189】
この観察により、我々は、末梢神経のミエリン化状態が測定可能なほどまで改善してはいなくても、メチマゾールの作用は軸索の損失を阻止し得ると仮定することができる。ピロカルピンの効果は、群内でのばらつきのために、プラセボ群パラメーターとの差異は統計学的な有意には到達しなかったけれども、実質的に同じであるようである。CMT1Aでは、感覚神経活動電位(SNAP)振幅はより減少し、SNAP持続期間はCMT2よりも延長した。CMT1Aにおける複合筋活動電位(CMAP)及びSNAP振幅の減少は、おそらく、脱ミエリン化及び軸索機能不全の複合作用である。
【0190】
試験の終了時に形態計測学的解析を行なった。後足組織の測定により、坐骨神経及びヒラメ筋が、対照WTラットに比べてプラセボで処理したCMT雌ラットでは有意に減少していることが判明する。これらの欠乏はメチマゾール処置により完全に修正されるようである:筋肉及び神経の絶対的な質量は、対照WTラットよりも更に高いが、全体重は、プラセボ群と比べてメチマゾール群ではかなり減少している(データは示さず)。
【0191】
これらのデータにより、本発明の化合物により効果的なCMTの処置が可能となることが示される。更に、各薬物について活性であると示された最初の用量は、基準の適応症(the canonical indications)でヒトに使用される投与量に等価である用量の4分の1(メチマゾール)及び2分の1(ピロカルピン)である。
【0192】
8.治療スキーム、投与量、及び投与経路
以下に、ヒトにおける2つの組合せ(投与経路が異なる)の用量が記載されている。
(1)化合物F及び化合物D
1 単一の薬学的組成物として経口投与:数ヶ月間におよび経口による毎日約0.1〜約20mgの化合物D、及び約0.2〜約50mgの化合物F、組成物中の両方の薬物の最も好ましい投与量は、1単位あたり0.1〜5mgの範囲である(1日あたり)。
2 数ヶ月間経口で同時投与:1週間に1回約5〜約200mgの化合物F(最も好ましい投与量は1週間あたり50mgまでである)、毎日約0.1〜約20mgの化合物D(この薬物の最も好ましい投与量は1日あたり0.1〜5mgである)
3 数か月間同時投与:経口による毎日約0.1〜約20mgの化合物D(この薬物の最も好ましい投与量は、1日あたり0.1〜5mgである)、薬物を好ましくは1日あたり約0.2〜約2mgの速度で放出する皮膚パッチとしての化合物F
【0193】
(2)化合物A及び化合物F
1 慢性的に経口で1日2回又は3回、飲料(好ましくはミルク)に溶解しなければならないカプセル剤又は液滴の形態での単一薬学的組成物として投与:化合物Fの好ましい全1日量は、約0.1〜約5mgであり、化合物Aは約1〜約50gである。
2 数ヶ月間同時に投与:1週間に1回約5〜約200mgの化合物F(最も好ましい投与量は1週間に50mgまで)、飲料中1日2回の化合物A、化合物Aの全1日量は約1〜約50gである。
3 長期処置のために連続的及び同時に投与:単一の塊の化合物F(約200〜600mg)を最初に経口で、次いで組み合わせて併用して:薬物**を放出する皮膚パッチとしての化合物F(最も好ましくは1日あたり約0.2〜約2mgの速度で)及び飲料水中で1日2回7日間の間、化合物Aを投与、その後、14日間は全く化合物Aを投与せず、その後、飲料水中で1日2回7日間の間、間欠的に化合物Aを投与(化合物Aの好ましい全1日量は約1〜約50gである)など
*本発明で開示された中での任意の組合せ中のこの薬物の投与量は、男性又は女性の処置に提案された製剤において有意に異なり得る。
**化合物F及び化合物A(3)と同じ治療スキームであるが、皮膚パッチの代わりに、低用量の化合物Fの直腸/膣内投与を使用し得る
【0194】
【表3】


















【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャルコー・マリー・トゥース病又は関連疾患の処置のために同時に、別々に、又は連続的に投与するための、D−ソルビトール、バクロフェン、ピロカルピン、ナルトレキソン、メチマゾール、ミフェプリストン、及びケトプロフェン、その塩、又はプロドラッグ、又はアゴニストから選択される少なくとも2つの化合物を含む組成物。
【請求項2】
シャルコー・マリー・トゥース病又は関連疾患の処置のための医薬品の製造における、D−ソルビトール、バクロフェン、ピロカルピン、ナルトレキソン、メチマゾール、ミフェプリストン、及びケトプロフェン、その塩、又はプロドラッグ、又はアゴニストから選択される少なくとも2つの化合物の組合せの使用。
【請求項3】
疾病が、CMT、好ましくはCMT1Aである、請求項1又は2記載の組成物又は使用。
【請求項4】
D−ソルビトール、バクロフェン、ピロカルピン、ナルトレキソン、メチマゾール、ミフェプリストン、及びケトプロフェン、その塩、又はプロドラッグ、又はアゴニストから選択される少なくとも2つの化合物の組合せと薬学的に適切な賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項5】
追加の活性化合物を更に含む、請求項4記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記組合せは、
−ミフェプリストン及びメチマゾール、
−ピロカルピン及びバクロフェン、
−ミフェプリストン及びピロカルピン、
−ミフェプリストン及びバクロフェン、
−ミフェプリストン及びケトプロフェン、
−ミフェプリストン及びナルトレキソン、
−ピロカルピン及びケトプロフェン、
−ピロカルピン及びナルトレキソン、
−バクロフェン及びケトプロフェン、
−バクロフェン及びナルトレキソン;又は、
−ケトプロフェン及びメチマゾール、
又はその塩もしくはプロドラッグもしくはアゴニストを含む、請求項1〜5のいずれか1項の組成物又は使用。
【請求項7】
GABA−Bレセプターアゴニスト、ムスカリンレセプターアゴニスト、ステロイドホルモンレセプターアンタゴニスト、ソルビトールシグナル伝達経路に影響を及ぼす薬物、オピオイドレセプターアンタゴニスト又は部分アゴニスト、細胞外シグナル調節キナーゼアクチベーター、pAktキナーゼ阻害剤、COX阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達阻害剤の群より選択される少なくとも2つの化合物の組合せと、薬学的に適切な賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項8】
前記化合物の少なくとも1つが、抗体又はその断片もしくは誘導体、タンパク質、又はペプチドである、請求項7の組成物。
【請求項9】
シャルコー・マリー・トゥース病又は関連疾患の処置のために同時に、別々に、又は連続的に投与するための、アセタゾラミド;アミノグルテチミド;アズトレオナム;バルサラジド;ビカルタミド;ブロモクリプチン;ブメタニド;バクロフェン、ブスピロン;シプロフロキサシン;クロニジン;シクロスポリンA;D−ソルビトール、ジスルフィラム、エキセメスタン;フェルバメート;フェノフィブラート;フィナステリド;フルマゼニル;フルニトラゼパム;フロセミド;ガバペンチン;ガランタミン;ハロペリドール;イブプロフェン;イソプロテレノール;L−カルニチン;ケトプロフェン、リオチロニン(T3);ロサルタン;ロキサピン;ミフェプリストン、メタプロテレノール;メタラミノール;メトホルミン;メチマゾール;メチルエルゴノビン;メトピロン;メトプロロール;モンテルカスト;ナドロール;ナロキソン;ナルトレキソン、ノルフロキサシン;ペンタゾシン;フェノキシベンザミン;フェニルブチレート;ピオグリタゾン;ピロカルピン、プラゾシン;ラロキシフェン;リファンピン;シンバスタチン;スピロノラクトン;タモキシフェン;トリロスタン;バルプロ酸;カルバマゼピン;フルルビプロフェン;ジクロフェナク;メロキシカム;タクロリムス;ジアゼパム;デュタステリド;インドメタシン;ジノプロストン;カルバコール;エストラジオール;クルクミン;リチウム;ラパマイシン;ベタイン;トレハロース;アミロライド;及びアルブテロール、その塩又はプロドラッグから選択される少なくとも2つの化合物の組合せを含む組成物。
【請求項10】
シャルコー・マリー・トゥース病又は関連疾患の処置のための医薬品の製造における、アセタゾラミド;アミノグルテチミド;アズトレオナム;バルサラジド;ビカルタミド;ブロモクリプチン;ブメタニド;バクロフェン、ブスピロン;シプロフロキサシン;クロニジン;シクロスポリンA;D−ソルビトール、ジスルフィラム、エキセメスタン;フェルバメート;フェノフィブラート;フィナステリド;フルマゼニル;フルニトラゼパム;フロセミド;ガバペンチン;ガランタミン;ハロペリドール;イブプロフェン;イソプロテレノール;L−カルニチン;ケトプロフェン、リオチロニン(T3);ロサルタン;ロキサピン;ミフェプリストン、メタプロテレノール;メタラミノール;メトホルミン;メチマゾール;メチルエルゴノビン;メトピロン;メトプロロール;モンテルカスト;ナドロール;ナロキソン;ナルトレキソン、ノルフロキサシン;ペンタゾシン;フェノキシベンザミン;フェニルブチレート;ピオグリタゾン;ピロカルピン、プラゾシン;ラロキシフェン;リファンピン;シンバスタチン;スピロノラクトン;タモキシフェン;トリロスタン;バルプロ酸;カルバマゼピン;フルルビプロフェン;ジクロフェナク;メロキシカム;タクロリムス;ジアゼパム;デュタステリド;インドメタシン;ジノプロストン;カルバコール;エストラジオール;クルクミン;リチウム;ラパマイシン;ベタイン;トレハロース;アミロライド;及びアルブテロール、その塩又はプロドラッグから選択される少なくとも2つの化合物の組合せの使用。
【請求項11】
前記化合物は、一群の投与又は別々の投与のために、同時に又は連続的に組み合わせられている、請求項7〜10のいずれか1項記載の組成物又は使用。
【請求項12】
アセタゾラミド;アミノグルテチミド;アズトレオナム;バクロフェン;バルサラジド;ビカルタミド;ブロモクリプチン;ブメタニド;ブスピロン;シプロフロキサシン;クロニジン;シクロスポリンA;D−ソルビトール、エキセメスタン;フェルバメート;フェノフィブラート;フィナステリド;フルマゼニル;フルニトラゼパム;フロセミド;ガバペンチン;ガランタミン;ハロペリドール;イブプロフェン;イソプロテレノール;ケトプロフェン、L−カルニチン;リオチロニン(T3);ロサルタン;ロキサピン;メタプロテレノール;メタラミノール;メトホルミン;メチマゾール;メチルエルゴノビン;メトピロン;メトプロロール;ミフェプリストン、モンテルカスト;ナドロール;ナロキソン、ナルトレキソン、ノルフロキサシン;ペンタゾシン;フェノキシベンザミン;フェニルブチレート;ピオグリタゾン;ピロカルピン、プラゾシン;ラロキシフェン;リファンピン;シンバスタチン;スピロノラクトン;タモキシフェン;トリロスタン;バルプロ酸;カルバマゼピン;フルルビプロフェン;ジクロフェナク;メロキシカム;タクロリムス;ジアゼパム;デュタステリド;インドメタシン;ジノプロストン;カルバコール;エストラジオール;クルクミン;リチウム;ラパマイシン;ベタイン;トレハロース;アミロライド;アルブテロール、その塩又はプロドラッグから選択される少なくとも2つの化合物の組合せと、薬学的に適切な賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項13】
前記の少なくとも2つの化合物は、リンカーを伴い又は伴わずに、共有結合的に又は非共有結合的に連結されている、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物又は使用。
【請求項14】
前記化合物は、切断可能な又は切断不可能なリンカーを用いて連結されている、請求項13の組成物又は使用。
【請求項15】
前記の少なくとも2つの化合物は、組織分布又はバイオアベイラビリティーを改変するために、経口もしくは非経口もしくは髄腔内投与のための、薬物溶出ポリマー、生体分子、ミセルもしくはリポソーム形成脂質もしくは水中油滴型エマルション、又はPEG化もしくは固体状のナノ粒子もしくはミクロ粒子を用いて製剤化されている、請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物又は使用。
【請求項16】
CMT又は関連疾患に罹患している又は発症する危険性があるとして患者を診断する工程を更に含む、請求項2、6、9又は10のいずれか1項の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−504915(P2011−504915A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535399(P2010−535399)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066468
【国際公開番号】WO2009/068668
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510149471)
【氏名又は名称原語表記】PHARNEXT
【Fターム(参考)】