説明

CNS障害の処置における5HT2インヒビターとしての複素環式四環式テトラヒドロフラン誘導体

【化1】


本発明は、セロトニン受容体、特に5−HT2Aおよび5−HT2C受容体、およびドーパミン受容体、特にドーパミンD2受容体に対する結合親和力を有し、かつノルエピネフリン再吸収抑制特性を有する新規な置換複素環式四環式テトラヒドロフラン誘導体、本発明による化合物を含んでなる製薬学的組成物、特に、ある範囲の精神医学的および神経学的障害、特にある種の精神病、心臓血管および胃運動障害の予防および/または処置のための医薬としてのその使用、ならびにそれらの製造方法に関する。本発明による化合物は、一般式(I)によって表すことができ、そしてまた、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグを含み、この場合、すべての置換基は請求項1におけるように定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロトニン受容体、特に5−HT2Aおよび5−HT2C受容体、およびドーパミン受容体、特にドーパミンD受容体に対する結合親和力を有し、かつノルエピネフリン再吸収抑制特性を有する新規な置換複素環式四環式テトラヒドロフラン誘導体、本発明による化合物を含んでなる製薬学的組成物、特に、ある範囲の精神医学的および神経学的障害、特にある種の精神病、心臓血管および胃運動障害の予防および/または処置のための医薬としてのその使用、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、CNS障害、心臓血管障害または胃腸障害の処置または予防における治療作用物として使用されてもよい置換四環式テトラヒドロフラン誘導体を開示する。特に、この化合物は、セロトニン5−HT受容体、特に5−HT2Aおよび5−HT2C受容体に対する親和力を示す。
【0003】
特許文献2は、ジベンゾアゼピン、ジベンゾオキセピン(diazooxepine)、ジベンゾチエピン(diazothiepine)またはジベンゾスベラン(dibenzosuberane)環において特定のハロゲン置換パターンを有する置換四環式テトラヒドロフラン誘導体を開示する。この化合物は、CNS障害、心臓血管障害または胃腸障害の処置または予防において有用であり、そして特許文献1において開示された化合物以上の作用の迅速な開始を示す。
【0004】
両特許文献3および特許文献4は、単一の鏡像異性的に純粋な前駆物質から立体化学的に純粋な形態におけるシス−、それぞれトランス−縮合3,3a,8,12b−テトラヒドロ−2H−ジベンゾ[3,4:6,7]シクロヘプタ[1,2−b]フラン誘導体の4ジアステレオマーの各々の製造方法を開示する。
【0005】
特許文献5は、特許文献1および特許文献2による化合物のマンデル酸塩を開示する。該塩は、驚くべきことに、特許文献1および特許文献2に開示された化合物よりも、高い温度と相対湿度においてより安定であることが見出された。
【0006】
さらに、複素環式四環式イソオキサゾリジン(isoxazolidine)誘導体を開示し、かつ5−HT受容体に対する親和力を示す特許文献6が述べられるべきであろう。
【特許文献1】WO97/38991、1997年10月23日公開(Janssen Pharmaceutica N.V.)
【特許文献2】WO99/19317、1999年4月22日公開(Janssen Pharmaceutica N.V.)
【特許文献3】WO03/048146、2003年6月12日公開(Janssen Pharmaceutica N.V.)
【特許文献4】WO03/048147、2003年6月12日公開(Janssen Pharmaceutica N.V.)
【特許文献5】WO03/040122、2003年5月15日公開(Janssen Pharmaceutica N.V.)
【特許文献6】WP97/39001、1997年10月23日公開(Janssen Pharmaceutica N.V.)
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、WO97/38991およびWO99/19317の四環式テトラヒ
ドロフラン誘導体の新規な複素環式類似体を提供することであり、これらは、5−HT2Aおよび5−HT2C受容体およびノルエピネフリン再吸収トランスポーターに対する改良された親和力に関して前者の化合物以上の驚くべき有利な点を有することが見出された。
【0008】
驚くべきことに、また本発明の化合物は、ドーパミンに調節される症状、特に精神分裂病の処置のための興味ある化合物をもたらす高度ないし中度のドーパミンD活性を示した。先行技術の化合物のいずれも該ドーパミンD活性を示すことは報告されてなく、そして先行技術文書のいずれも、5−HT2Aおよび5−HT2C受容体に対する親和力を保持しつつ、5−HT2Aおよび5−HT2C受容体に対する該親和力を有する分子中に該活性をいかにして導入するかは指摘しなかった。
【0009】
この目的は、式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
{式中:
nは、0;1;2;3;4;5または6に等しい整数であり;
i,jは、互いに独立して、0;1;2;3または4に等しい整数であり;
rは、0;1;2;3または4に等しい整数であり;
およびRは、各々互いに独立して、水素;アルキルカルボニル;アルキル;アルキルオキシアルキル;アルキルカルボニルオキシアルキル;アルキルオキシカルボニルアルキル;アリールアルキル;アリールカルボニル;アルキルオキシカルボニル;アリールオキシカルボニル;アリールアルキルカルボニル;アルキルオキシ−カルボニルアルキルカルボニル;モノ−またはジ(アルキル)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アリール)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アリールアルキル)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アルキルオキシカルボニルアルキル)アミノカルボニル;アルキルスルホニル;アリールスルホニル;アリールアルキルスルホニル;モノ−またはジ(アルキル)アミノチオカルボニル;モノ−またはジ(アリール)アミノチオカルボニル;モノ−またはジ(アリールアルキル)アミノチオカルボニル;モノ−、ジ−またはトリ(アルキル)アミジノ;モノ−、ジ−またはトリ(アリール)アミジノおよびモノ−、ジ−またはトリ(アリールアルキル)アミジノであり;あるいはRおよびRは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、式:
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、
pは、0;1;2;3または4に等しい整数であり;
qは、1または2に等しい整数であり;
mは、0;1;2または3に等しい整数であり;
各Rは、互いに独立して、ハロ;ヒドロキシ;シアノ;アルキル;アルキルオキシアルキル;アリールオキシアルキル;モノ−またはジ(アルキル)アミノアルキル;ヒドロキシカルボニルアルキル;アルキルオキシカルボニルアルキル;モノ−またはジ(アルキル)アミノカルボニルアルキル;モノ−またはジ(アリール)アミノカルボニルアルキル;モノ−またはジ(アルキル)アミノカルボニルオキシアルキル;アルキルオキシカルボニルオキシアルキル;アリールアミノカルボニルオキシアルキル;アリールアルキルアミノカルボニルオキシアルキル;アリール;アルキルオキシ;アリールオキシ;アルキルカルボニルオキシ;アリールカルボニルオキシ;アリールアルキルカルボニルオキシ;アルキルカルボニル;アリールカルボニル;アリールオキシカルボニル;ヒドロキシカルボニル;アルキルオキシカルボニル;モノ−またはジアルキルアミノ;アルキルカルボニルアミノ;アリールアルキルカルボニルアミノ;アリールカルボニルアミノ;アルキルオキシカルボニルアミノ;アミノカルボニルアミノ;モノ−またはジ(アリールアルキル)アミノカルボニルアミノ;アルキルスルホニルアルキルアミノカルボニルアミノの群から選ばれ;あるいは、
2個のR基は、一緒になって、二価の基
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Rは、水素;ハロ;ヒドロキシ;アルキルオキシおよびアルキルの群から選ばれる)
を形成してもよく;
は、水素;アルキル;アリールアルキル;アルキルオキシアルキル;アルキルカルボニルオキシアルキル;アルキルオキシカルボニルアルキル;アリールカルボニルアルキル;アルキルスルホニルオキシアルキル;アリールオキシアリール;アルキルオキシカルボニルアリール;アルキルカルボニル;アリールアルキルカルボニル;アルキルオキシカルボニルアルキルカルボニル;アリールカルボニル;アルキルオキシカルボニル;アリールオキシカルボニル;アリールアルキルオキシカルボニル;モノ−またはジ(アルキル)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アリール)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アリールアルキル)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アルキルオキシカルボニルアルキル)アミノカルボニル;アルキルオキシアルキルアミノカルボニル;モノ−、ジ−またはトリ(アルキル)アミジノ;モノ−、ジ−またはトリ(アリール)アミジノ;モノ−、ジ−またはトリ(アリールアルキル)アミジノ;アルキルスルホニル;アリールアルキルスルホニルまたはアリールスルホニルの群から選ばれる]
の基を形成してもよく;
各R10は、互いに独立して、アルキルまたはシアノであり;
AおよびBは、各々互いに独立して、中心の環に縮合されたアリールまたはヘテロアリール基であり、そしてフリル;チエニル;ピロリル;オキサゾリル;チアゾリル;イミダゾリル;イソオキサゾリル;イソチアゾリル;オキサジアゾリル;トリアゾリル;ピリジニル;ピリダジニル;ピリミジニル;ピラジニル;インドリル;インドリジニル;イソインドリル;ベンゾフリル;イソベンゾフリル;ベンゾチエニル;インダゾリル;ベンズイミダゾリル;ベンズチアゾリル;キノリジニル;キノリニル;イソキノリニル;フタラジニル;キナゾリニル;キノキサリニル;クロメニル;ナフチリジニルおよびナフタレニルの群から選ばれ;ただし、ここでAおよびBの少なくとも1個は、上記ヘテロアリール基の1つであり
各Rは、互いに独立して、水素;ハロ;シアノ;ヒドロキシ;カルボキシル;ニトロ;アミノ;モノ−またはジ(アルキル)アミノ;アルキルカルボニルアミノ;アミノスルホニル;モノ−またはジ(アルキル)アミノスルホニル;アルキル;アルケニル;アルキルオキシ;アルキルカルボニルおよびアルキルオキシカルボニルの群から選ばれ;
Yは、O;S;S(=O);S(=O)またはNRを表し;
Xは、CR;O;S;S(=O);S(=O)またはNRを表し;この場合、RおよびRは、各々独立して、水素;ヒドロキシ;アルキルおよびアルキルオキシの群から選ばれるか;あるいは
およびRは、一緒になって、メチレン(すなわち、=CH);モノ−またはジ(シアノ)メチレンの群から選ばれる基;式−(CH−;−(CH−;−(CH−;−(CH−;−O−(CH−O−;−O(CHO−の二価の基;またはそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、カルボニルを形成してもよく;
は、水素;アルキル;アルキルカルボニル;アリールカルボニル;アリールアルキル;アリールアルキルカルボニル;アルキルスルホニル;アリールスルホニルおよびアリールアルキルスルホニルの群から選ばれ;
アリールは、ハロ;ニトロ;シアノ;ヒドロキシ;アルキルオキシまたはアルキルの群から選ばれる1、2または3個の置換基により場合によっては各々が置換されているフェニルまたはナフチルであり;
アルキルは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基、3〜8個の炭素原子を有する環式飽和炭化水素基または1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖部分および3〜8個の炭素原子を有する環式部分を含有する飽和炭化水素基を表し;各々の基は、1個以上のハロ;シアノ;オキソ;ヒドロキシ;ホルミル;カルボキシルまたはアミノ基により場合によっては置換されており;
アルケニルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素基または3〜6個の炭素原子を有する環式不飽和炭化水素基を表し;該基は1個以上の二重結合を
有し、そして該基は1個以上のハロ;シアノ;オキソ;ヒドロキシ;ホルミル;カルボキシルまたはアミノ基により場合によっては置換されており;そして
ハロは、フルオロ;クロロ;ブロモおよびヨードを表す}
による本新規化合物、それらのN−オキシド形態物、製薬学的に許容できる付加塩または立体化学的異性形態物によって達成される。
【0016】
また本発明は、医薬としての使用のための本発明による化合物に関する。
【0017】
また本発明は、製薬学的に許容できる担体または希釈剤、および有効成分として、本発明による化合物の治療学的有効量を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【0018】
また本発明は、予防的でも、治療的でも、または両方でも、5−HTおよびD受容体をとおして、ならびにノルエピネフリン再吸収抑制をとおして媒介される症状の予防および/または処置用薬物の製造のための本発明による化合物の使用に関する。
【0019】
特に、本発明は、不安、鬱病および軽症鬱病、双極性障害、睡眠および性的障害、精神病、境界性精神病、精神分裂病、片頭痛、人格障害または強迫反応障害、社会恐怖症またはパニック発作、有機的精神障害、子供における精神障害、攻撃、老人における記憶障害および態度障害、耽溺、肥満症、食欲亢進および類似の障害のような中枢神経系障害の処置および/または予防用の薬物の製造のための本発明による化合物の使用に関する。
【0020】
より特に、本発明は、不安、鬱病、精神病、精神分裂病、片頭痛および薬物濫用という耽溺性質の処置および/または予防用の薬物の製造のための本発明による化合物の使用に関する。
【0021】
好適な実施態様では、本発明は、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグに関し、この場合、RおよびRは、各々互いに独立して、水素またはアルキルであり、各アルキル基は、ヒドロキシにより場合によっては置換されており;あるいはRおよびRは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、式(a−3)または(a−5)[式中、m=1または2に等しい整数]の基を形成する。好ましくは、アルキルはメチルまたはエチルである。
【0022】
さらなる好適な実施態様では、本発明は、AおよびBが、各々互いに独立して、アリールか、またはチエニルおよびピリジニルから選ばれるヘテロアリール基であり、ただし、ここでAおよびBの少なくとも1個がヘテロアリール基である、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグに関する。好ましくは、Aはフェニル部分であり、そしてチエニル部分は、Sが位置9または11に存在するチエニル部分である。
【0023】
さらなる好適な実施態様では、本発明は、XがSであり、Aがフェニル部分であり、そしてBが、Sが位置9または11に存在するチエニル部分である、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグに関する。もっとも好ましくは、Sは位置9に存在する。
【0024】
さらなる好適な実施態様では、本発明は、YがOである、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグに関する。
【0025】
さらなる好適な実施態様では、本発明は、Yが、CR、O、S、S(=O)、S(=O)またはNRである、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグに関する。好ましくは、CRはCHである。好ましくは、NRはN−ベンジルである。
【0026】
さらなる好適な実施態様では、本発明は、
nが1に等しい整数であり;
iが0に等しい整数であり;
jが0または1に等しい整数であり;
rが0に等しい整数であり;
およびRが、各々互いに独立して、水素、メチル、エチルまたはヒドロキシエチルであり;
Aがフェニルであり;
Bがチエニルまたはピリジニルであり;
が水素であり;
10が水素、ヒドロキシメチル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルであり;
YがOであり;
XがCH、SまたはN−ベンジルである、
一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグに関する。
【0027】
本出願の枠組みでは、アルキルは、1〜10個の炭素原子を有する一価の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシルとして定義され;さらに、アルキルは、3〜8個の炭素原子を有する一価の環式飽和炭化水素基、例えばシクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを定義する。またアルキルの定義は、1個以上のフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基によって1個以上の炭素原子において場合によっては置換されているアルキル基、例えばヒドロキシアルキル、特にヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル、およびポリハロアルキル、特にジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルを含む。
【0028】
本出願の枠組みでは、アルケニルは、1個以上の二重結合をさらに含む先に定義されたアルキル基、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロプロペニル、メチルシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルとして定義される。またアルケニルの定義は、1個以上のフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基によって1個以上の炭素原子において場合によっては置換されているアルケニル基、例えばヒドロキシアルケニル、特にヒドロキシエテニルを含む。
【0029】
本出願の枠組みでは、ハロは、一般にフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードである。
【0030】
本出願の枠組みでは、「本発明による化合物」については、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグが意味される。
【0031】
本出願の枠組みでは、「本発明による化合物」については、一般式(I)による化合物
、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグが意味される。
【0032】
本出願の枠組みでは、元素は、特に式(I)による化合物に関して述べられる場合、天然に存在しても、また合成的に製造されても、天然に豊富であっても、また同位元素として強化された形態においても、すべてのこの元素の同位元素および同位元素混合物を含む。特に、水素が述べられる場合、それは、H、H、Hおよびそれらの混合物を指すと理解され;炭素が述べられる場合、それは、11C、12C、13C、14Cおよびそれらの混合物を指すと理解され;窒素が述べられる場合、それは、13N、14N、15Nおよびそれらの混合物を指すと理解され;酸素が述べられる場合、それは、14O、15O、16O、17O、18Oおよびそれらの混合物を指すと理解され;そしてフルオロが述べられる場合、それは、18F、19Fおよびそれらの混合物を指すと理解される。
【0033】
したがって、また本発明による化合物は、1種以上の非放射性原子がその放射性同位元素の1種によって置換された放射性化合物、またいわゆる放射能標識化合物を含む、1種以上の元素の1種以上の同位元素を有する化合物、およびそれらの混合物を含む。用語「放射能標識化合物」とは、少なくとも1種の放射性原子を含有する、すべての式(I)による化合物、それらのN−オキシド形態物、製薬学的に許容できる付加塩または立体化学的異性形態物が意味される。例えば、化合物は、陽電子またはγ線放出放射性同位元素により標識されてもよい。放射性リガンド結合技術(膜受容体アッセイ)では、H原子または125I原子が、置換されるように選ばれる原子である。想像では、もっとも普通に使用される陽電子放出(PET)放射性同位元素は、11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらのすべては加速器で産生され、そして、それぞれ20、100、2および10分の半減期を有する。これらの放射性同位元素の半減期が非常に短いので、それらの産生のための場所に加速器を有する研究所においてそれらを使用することのみが可能であり、したがってそれらの使用は限定される。これらのもっとも広く使用されるものは、18F、99mTc、201Tlおよび123Iである。これらの放射性同位元素の取り扱い、それらの生産、分離および分子中への組み入れは当業者には既知である。
【0034】
特に、放射性原子は、水素、炭素、窒素、硫黄、酸素およびハロゲンの群から選ばれる。好ましくは、放射性原子は、水素、炭素およびハロゲンの群から選ばれる。
【0035】
特に、放射性同位元素は、H、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選ばれる。好ましくは、放射性同位元素は、H、11Cおよび18Fの群から選ばれる。
【0036】
製薬学的に許容できる塩は、式(I)による化合物が形成することができる治療学的に活性のある非毒性酸付加塩形態物を含むと定義される。該塩は、式(I)の化合物の塩基形態物を、適当な酸、例えば、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸およびマンデル酸とともに処理することによって得ることができる。
【0037】
反対に、該酸付加塩形態物は、適当な塩基による処理によって遊離塩基形態物に転化することができる。
【0038】
また、酸性プロトンを含有する式(I)による化合物は、適当な有機および無機塩基による処理によってそれらの治療学的に活性のある非毒性金属またはアミン付加塩形態物に
転化されてもよい。適当な塩基塩形態物は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、有機塩基、例えばベンザシン、N−メチル−D−グルカミンとの塩、ヒブラミン(hybramine)塩、およびアミノ酸、例えばアルギニンおよびリジンとの塩を含む。
【0039】
反対に、該塩形態物は、適当な酸による処理によって遊離形態物に転化することができる。
【0040】
式(I)による化合物の第四級アンモニウム塩は、式(I)による化合物の塩基性窒素と、適当な第四級化作用物、例えば、場合によっては置換されるハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールアルキル、特にヨウ化メチルおよびヨウ化ベンジルとの間の反応によって形成することができる該化合物を定義する。良好な脱離基をもつ他の反応物、例えばトリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキルおよびp−トルエンスルホン酸アルキルがまた使用されてもよい。第四級アンモニウム塩は正電荷の窒素を有する。製薬学的に許容できる対イオンは、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロ酢酸および酢酸イオンを含む。
【0041】
また、本出願の枠組みにおいて使用される用語付加塩は、式(I)の化合物ならびにそれらの塩が形成できる溶媒和物を含む。そのような溶媒和物は、例えば水和物およびアルコラートである。
【0042】
式(I)による化合物のN−オキシド形態物は、1または数個の窒素原子が、いわゆるN−オキシド、特には1個以上の第三級窒素(ピペラジニルまたはピペリジニル基の)がN−オキシド化されるそれらのN−オキシドに酸化される式(I)のそれらの化合物を含むことを意味する。そのようなN−オキシドは、いかなる発明的技術もなしに当業者によって容易に得ることができ、そしてそれらの化合物は吸収によりヒトの体内で酸化により生成される代謝物であるので、それらは式(I)による化合物に関する明白な代替物である。一般に知られているように、酸化は、通常、薬物代謝に伴われる第1段階である(Textbook of Organic Medical and Pharmaceutical Chemistry,1977,pages 70−75))。また、一般に知られているように、化合物の代謝形態物は、ほとんど同じ効果をもって、それ自体化合物の代わりにヒトに投与することができる。
【0043】
本発明による化合物は、少なくとも1個の酸化可能な窒素(すなわち、RおよびRが共にHに等しくない場合の第三級アミン部分)を保持してもよい。この場合には、N−オキシドがヒトの代謝において生成されることは大いにあり得るであろう。
【0044】
式(I)の化合物は、三価の窒素をそのN−オキシド形態物に転化するための技術上既知の手順にしたがって対応するN−オキシド形態物に転化されてもよい。該N−酸化反応は、一般に、式(I)の出発物質を適当な有機または無機過酸化物と反応させることによって実施されてもよい。適当な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含み;適当な有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸を含んでもよい。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルカノール、例えばエタノールおよびそれに類するもの、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
【0045】
先に使用されたような用語「立体化学的異性形態物」は、式(I)の化合物が保持してもよいすべての可能な立体異性形態物を定義する。別の方法で記述または指示されなければ、化合物の化学的名称は、すべての可能な立体化学的異性形態物の混合物を指し、該混合物は、塩基性分子構造のすべてのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含む。より特別には、立体形成中心は、R−もしくはS−立体配置を有してもよく;二価の環式(部分的)飽和基における置換基は、cis−もしくはtrans−立体配置のいずれを有してもよい。二重結合を包含する化合物は、該二重結合においてEもしくはZ−立体化学をもつことができる。式(I)の化合物の立体化学的異性形態物は、明らかに、本発明の範囲内に包含されるように意図される。
【0046】
CAS命名協定にしたがえば、既知の絶対配置の2つの立体形成中心が分子中に存在する場合、RもしくはS記述子は、最低番号のキラル中心、基準中心(reference
center)(Cahn−Ingold−Prelog sequence ruleに基づいて)に指定される。RおよびS各々は、場合によっては、未決定の絶対配置をもつ純粋な立体形成中心を示す。「α」および「β」が使用される場合:最低環番号を有する環系における不斉炭素原子における最高優先置換基の位置は、任意には、環系によって決定される平均面の「α」位に常に存在する。参照原子における最高優先置換基の位置に較べて、環系の他の不斉炭素原子における最高優先置換基(式(I)による化合物における水素原子)の位置は、それが環系によって決定される平均面の同じ側面に存在するならば、「α」、あるいはそれが環系によって決定される平均面の他の側面に存在するならば、「β」と命名される。
【0047】
式(I)の化合物は、アルキルアミノ側鎖に結合された5員環の炭素原子において少なくとも不斉中心を有する。該不斉中心および存在してもよいいずれか他の不斉中心(例えば、ある種のX基)は、記述子RおよびSによって指示される。
【0048】
また、本発明は、本発明による薬理学的活性化合物の誘導化合物(普通には「プロ・ドラッグ」と呼ばれる)を含み、これはインビボで分解されて本発明による化合物を生じる。プロ・ドラッグは、通常は(常にではないが)それらが分解された化合物よりも標的受容体における低い能力をもつ。プロ・ドラッグは、所望の化合物が、その投与を困難もしくは無効にさせる化学的または物理的性質を有する場合に特に有用である。例えば、所望の化合物はわずかしか可溶性ではないかもしれず、それは粘膜上皮をわずかしか通過しないかもしれず、あるいはそれは望ましくない短い血漿半減期を有するかもしれない。プロ・ドラッグに関するさらなる議論は、Stella,V.J.et al.,“Prodrugs”,Drug Delivery Systems,1985,pp.112−176、およびDrugs,1985,29,pp.455−473において見出すことができる。
【0049】
本発明による薬理学的活性化合物のプロ・ドラッグ形態物は、一般に、エステル化またはアミド化される酸基を有する式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸または塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物およびそれらのN−オキシド形態物であろう。そのようなエステル化される酸基には、式−COOR[式中、RはC1−6アルキル、フェニル、ベンジルまたは次の基:
【0050】
【化4】

【0051】
の1つである]の基が含まれる。
【0052】
アミド化される基は、式−CONR[式中、RはH、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルであり、そしてRは、−OH、H、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルである]の基を含む。アミノ基を有する本発明による化合物は、ケトンまたはホルムアルデヒドのようなアルデヒドにより誘導化されてMannich塩基を形成することができる。この塩基は、水溶液において一次反応速度により加水分解する。
【0053】
薬理学
本発明の化合物、特に一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグは、5−HT受容体、特に5−HT2Aおよび5−HT2C受容体(“Serotonin(5−HT)in neurologic and psychiatric disorder”edited by M.D.FerrariにおいてD.Hoyerによって記述され、そしてthe Boerhaave Commission of the University of Leidenによって1944年に出版されたように命名)に対する親和力、およびD受容体に対する親和力、ならびにノルエピネフリン再吸収抑制活性を示す。本化合物のセロトニン拮抗特性は、Drug Dev.Res.,13,237−244(1988)において記述される“5−hydroxytryptophan Test on Rats”においてそれらの抑制効果によって例証されてもよい。
【0054】
本発明の化合物、特に一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグは、また、好ましい物理化学的性質を有する。例えば、それらは化学的に安定な化合物である。
【0055】
5−HT受容体をブロック、特に5−HT2Aおよび5−HT2C受容体、ならびにD受容体をブロックし、かつまたノルエピネフリン再吸収抑制活性に影響を与えるそれらの能力に鑑みて、本発明の化合物、特に一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグは、特に、これらの受容体を通して媒介される症状の予防および治療処置において、医薬として有用である。
【0056】
したがって、本発明は、医薬として使用するための、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグに関する。
【0057】
また、本発明は、5−HT受容体、特に5−HT2Aおよび5−HT2C受容体およびD受容体、ならびにノルエピネフリン再吸収抑制をとおして媒介される症状の予防および/または処置用の薬物の製造のための、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグの使用に関する。
【0058】
これらの薬理学的および物理化学的性質に鑑みて、一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグは、不安;鬱病および軽症鬱病;双極性躁病および鬱病を含む双極性障害;睡眠および性的障害;精神病;境界性精神病;精神分裂病;片頭痛;人格障害;強迫反応障害;社会恐怖症;パニック発作;注意欠陥多動性障害(ADHD)を含む注意障害;有機的精神障害;ADHDのような子供における精神障害;攻撃;特に老人における記憶障害および態度障害;耽溺;肥満症;食欲亢進および類似の障害のような中枢神経系障害の処置および/または予防における治療作用物として有用である。
【0059】
特に、本化合物は、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗精神分裂病薬、抗片頭痛薬および薬物濫用という耽溺性質を打ち消す能力を有する作用物として使用されてもよい。
【0060】
本発明の化合物、特に一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグは、また、運動障害の処置において治療作用物として使用されてもよい。そのような障害のための古典的な治療作用物と組み合わせて本化合物を使用することは有利であろう。
【0061】
本発明の化合物、特に一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグは、また、外傷、卒中、神経変性疾患、認識障害、例えば痴呆およびアルツハイマー病などによって惹起される神経系に対する損傷;心臓血管障害、例えば高血圧、血栓症、卒中、など;および胃腸障害、例えば胃腸系の運動の機能不全などの処置または予防において役立つであろう。
【0062】
前記使用に鑑みて、本発明は、そのような疾病を罹患している温血動物を処置する方法であって、該方法が、前述の障害の処置、特に、不安、精神病、鬱病、双極性鬱病を含む双極性障害、片頭痛および薬物濫用という耽溺性質の処置において有効な、本発明の化合物、特に一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグの治療学的量の全身投与を含んでなる方法をまた提供することが続いて起る。
【0063】
かくして、また本発明は、医薬として使用するための本発明の化合物、特に一般式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグに関し、特に、式(I)の化合物が、不安、精神病、鬱病、双極性鬱病を含む双極性障害、片頭痛および薬物濫用という耽溺性質の処置用の薬物の製造のために使用されてもよい。
【0064】
そのような疾病の処置における熟達者は、この後に提示される試験結果から有効な治療学的1日量を決定することができるであろう。有効な治療学的1日量は、約0.01mg/kg〜約10mg/kg体重、より好ましくは約0.05mg/kg〜約1mg/kg体重であろう。
【0065】
また本発明は、製薬学的に許容できる担体および有効成分として、本発明による化合物、特に式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグの治療学的有効量を含んでなる製薬学的に組成物に関する。
【0066】
本発明による化合物、特に式(I)による化合物、それらの製薬学的に許容できる酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学的異性形態物、それらのN−オキシド形態物およびそれらのプロドラッグ、またはそれらのすべてのサブグループもしくは組み合わせ物は、投与目的のための種々の製薬学的形態物に調合されてもよい。適当な組成物として、全身性投与薬物のために通常用いられるすべての組成物が引用されてもよい。本発明の製薬学的組成物を製造するためには、有効成分として、場合によっては付加塩形態物における特定の化合物の有効量が、製薬学的に許容できる担体との緊密な混合物において合わされるが、この担体は、投与のために所望される調製物の形態に応じて広範な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に、経口的、直腸内、経皮的に、非経口的注射または吸入によって投与するために適当な単位用量形態物において所望される。例えば、経口用量形態物における組成物の製造では、経口液状調製物、例えば懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤の場合には、水、グリコール、オイル、アルコールなど;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、固形担体、例えば澱粉、糖、カオリン、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような通常の製薬学的媒質のいかなるものが使用されてもよい。投与の際のそれらの容易さのために、錠剤およびカプセル剤がもっとも有利な経口用量単位形態物を表し、この場合、明らかに固形の製薬学的担体が用いられる。非経口組成物では、通常は、少なくとも大部分は無菌水を含むが、例えば溶解性を助長するための他の成分が含まれてもよい。例えば、担体が、生理食塩溶液、グルコース溶液または生理食塩溶液とグルコース溶液の混合液を含む注射用液剤が製造されてもよい。また、注射用懸濁剤が製造されてもよく、この場合、適当な液状担体、懸濁化剤などが使用されてもよい。また、使用直前に、液状形態調製物に変換することが意図される固形形態調製物が含まれる。経皮投与に適当な組成物では、担体は、場合によっては、添加物が皮膚に対して有意な悪影響を及ぼさない少い比率でいずれかの性質をもつ適当な添加物と組み合わせて、場合によっては浸透増進剤および/または適当な湿潤剤を含む。該添加物は、皮膚への投与を促進し、そして/または所望される組成物を製造するために役立つものであってもよい。これらの組成物は種々の方法、例えば、経皮パッチ剤、スポットオン剤、軟膏剤として投与されてもよい。
【0067】
投与の容易さおよび用量の均一性のために単位用量形態物において前述の製薬学的組成物を調合することが、特に有利である。ここで使用される単位用量形態物は、単位用量として適当な物理的に区別される単位を指し、各単位は、必要な製薬学的担体と合わせて所望される治療学的効果を生じるように計算された有効成分の予定量を含有する。そのような単位用量形態物の例は、錠剤(刻み目を付けた錠剤または皮膜を施された錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、散剤小包、ウエファース(wafers)剤,坐剤、注射用液剤または懸濁剤など、およびそれらの分離された複合物(multiples)である。
【0068】
本発明による化合物は、有力な経口投与可能な化合物であるので、経口投与のための該化合物を含んでなる製薬学的組成物は、特に有利である。
【0069】
製薬学的組成物における式(I)の化合物の溶解度および/または安定性を増進するために、α−、β−またはγ−シクロデキストリンまたはそれらの誘導体、特にヒドロキシアルキル置換シクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを用いることは得策である。また、アルコールのような助溶媒は、製薬学的組成物における本発明による化合物の溶解度および/または安定性を改良するであろう。
【0070】
製造
本発明による化合物は、一般に、当業者には既知である各段階の連続によって製造することができる。
【0071】
下記の工程において製造される式(I)の化合物は、技術的に既知の分割手順にしたが
って互いに分離できる鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成されてもよい。式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸との反応によって対応するジアステレオマー塩形態物に転化されてもよい。該ジアステレオマー塩形態物は、続いて、例えば選択的または分別晶出によって分離され、そして鏡像異性体がアルカリによってそこから遊離される。式(I)の化合物の鏡像異性形態物を分離する代替方式は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを必要とする。また、該純粋な立体化学的異性形態物は、反応が立体化学的に起きるならば、適当な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性形態物から誘導されてもよい。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合は、該化合物は、立体特異的な製造方法によって合成することができるであろう。これらの方法は、有利には、鏡像異性的に純粋な出発材料を用いることができる。
【0072】
本発明の化合物のための適当な製造スキームは、次に示すスキームを含む:
【0073】
【化5】

【0074】
段階1: 式(V)の中間化合物の式(VI)の試薬との反応。この反応は、酸性または塩基性反応条件下において位置αのケトンのアルキル化のための技術的に既知の手順のいずれか1つによって実施することができ(例えば、反応は、塩基、例えば水素化ナトリウムまたはリチウムN,N−ジイソプロピルアミンを含有する有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で、かつアルキル化剤として臭化アルキルを使用して実施できる)、そして式(IV)[式中、R、i、j、環A、環BおよびXは、すべて式(I)による最終化合物についての前記意味を有する]による中間化合物を得る。式(VI)の化合物では、Mは、アルキル化反応のための適当な基、例えばハロ、ヒドロキシまたはアセトキシである。
【0075】
段階2: 式(III)の化合物を生成するための、有機溶媒、例えばテトラヒドロフランまたはメタノール中、典型的には室温における、例えばホウ水素化ナトリウムを用いる式(IV)の化合物の還元。
【0076】
段階3: 有機溶媒、例えばアセトニトリルまたはジクロロメタン中、環化作用物、例えば炭酸水素ナトリウムを含むヨウ素と式(III)の中間化合物の反応は、式(II)の中間化合物を生成するが、これは新規であり、この場合、Wは適当な脱離基、好ましく
はハロ、アルキル−もしくはアリールスルホニルオキシ、特に4−(メチルフェニル)スルホニルオキシまたはヨードを表す。
【0077】
段階4: 技術的に既知の手順のいずれかによる、式HNR[式中、RおよびRは式(I)におけるように定義される]のアミンを用いる式(II)の中間化合物のN−アルキル化は、新規である式(I)による最終化合物を生成する。例えば、該アルキル化は、便利には、反応に不活性な溶媒、例えばメタノール、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシド中、場合によっては適当な塩基の存在下で、WO97/38991に記述されているように実施することができる。撹拌および高温、例えば還流温度は、反応速度を増進するであろう。典型的な反応条件は130℃で8時間である。
【0078】
あるいはまた、該N−アルキル化は、加圧反応容器の使用を伴うMonkovicら(J.Med.Chem.(1973),16(4),p.403−407)によって記述された手順を用いて実施されてもよい。
【0079】
あるいはまた、該N−アルキル化は、加圧反応容器において、有機溶媒、例えばTHF中で、式(II)の中間化合物、式NHRのアミンおよび塩基、例えば酸化カルシウムを、高温、例えば120℃で加熱することによって実施されてもよい。
【0080】
また、式(I)の化合物は、技術的に既知の変換反応により互いに転化されてもよい。例えば、
a)RおよびRが、それらが結合されている窒素原子と一緒になって式(b)の基を形成する式(I)による化合物は、ヒドラジンまたは水性アルカリによる処理によって対応する一級アミンに転化されてもよい;
b)RおよびRがトリフルオロメチルカルボニルである式(I)による化合物は、水性アルカリによる加水分解によって対応する一級もしくは二級アミンに転化されてもよい;
c)RおよびRが、C1−6アルキルカルボニルオキシにより置換されたC1−6アルキルである式(I)による化合物は、RおよびRが、ヒドロキシにより置換されたC1−6アルキルである式(I)による化合物に加水分解されてもよい;
d)RおよびRが、共に水素である式(I)による化合物は、対応するアミン形態物にモノ−またはジ−N−アルキル化されてもよい;
e)RおよびRが共に水素であるか、またはRもしくはRが水素である式(I)による化合物は、対応するアミドにN−アシル化されてもよい;
f)C1−6アルキルオキシカルボニル基を含有する式(I)による化合物は、対応するカルボン酸に加水分解されてもよい;
g)Rが水素である、すなわちiおよび/またはjが0である式(I)による化合物は、有機溶媒、例えばテトラヒドロフランを用いて、ヘキサン中ブチルリチウムの存在下で適当なアシル化作用物、例えば適当な塩化アルキルオキシカルボニルによる処理によって対応するアルキルオキシカルボニル化合物に転化されてもよい;あるいは
h)Rがアルキルオキシカルボニルである式(I)による化合物は、例えば、有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で、例えばLiAlHを用いる還元によって、対応するヒドロキシメチル化合物に転化されてもよい。
【0081】
前述の中間化合物は市販されているし、また技術的に既知の手順にしたがって作成されてもよい。例えば、式(II)の中間化合物は、Monkovicら(J.Med.Chem.(1973),16(4),p.403−407)によって記述された手順にしたがって製造されてもよい。
【0082】
下記の式(V−a)によって表される、XがCHであり、Aがフェニル基であり、そしてBがチエニル基である式(V)の中間化合物は、市販されているし、また技術的に既知の手順にしたがって作成されてもよい。例えば、式(V−a)の中間化合物は、Protivaら(Collection of Czechoslovak Chemical Communications 1969,34(2),468−478)によって記述された手順にしたがって製造されてもよい。
【0083】
【化6】

【0084】
下記の式(V−b)によって表される、XがSであり、Aがフェニル基であり、そしてBがチエニル基である式(V)の中間化合物は、有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で適当な還元剤、例えば水素化アルミニウムによる式(VI)の中間化合物の還元によって製造されてもよい。
【0085】
【化7】

【0086】
式(VI)による中間化合物は、Michal Majchrzak(Journal
of Heterocyclic chemistry 1985,22(5),1203−4;Journal of Heterocyclic chemistry 1985,22(5),1205−6)および特許公表物ドイツ特許第2625642号およびポーランド特許第158223号において記述された手順によって製造されてもよい。下記の式(V−c)によって表される、XがSであり、Aがフェニル基であり、そしてBがチエニル基である式(V)の中間化合物は、市販されているし、また技術的に既知の手順にしたがって作成されてもよい。例えば、式(V−c)の中間化合物は、特許公表物チェコスロバキア特許第142473号、チェコスロバキア特許第217949号および/またはチェコスロバキア特許第200271号に記述された手順にしたがって製造されてもよい。
【0087】
【化8】

【0088】
下記の式(V−d)によって表される、XがNRであり、Aがフェニル基であり、そしてBがピリジニル基である式(V)の中間化合物は、スキームCにおいて示される反応順序にしたがって製造されてもよい。
【0089】
【化9】

【0090】
段階1: 式(VII)による化合物と式(VIII)による化合物との高温、例えば200℃における反応は、式(IX)[式中、R、R、R、i、jは、式(I)による最終化合物についての前記意味を有する]による中間化合物を生成する。
【0091】
段階2: 有機溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中、塩基、例えば水素化ナトリウムの存在下で式(X)の化合物と式(IX)の化合物の反応。あるいはまた、反応は、アニリン誘導体のアルキル化に関する技術的に既知の手順のいずれかによって実施することができる。式(X)による化合物では、Xはアルキル化反応のための適当な基、例えばハロ、ヒドロキシまたはアセトキシであり、そしてRは、式(I)による最終化合物についての前記意味を有する。
【0092】
段階3: 式(XI)による中間化合物の環化は、R、R、i、jが、式(I)による最終化合物についての前記意味を有する式(V−d)の化合物を生成する。環化反応は、技術的に既知の手順、例えばLohseら(Tetrahedron Letters,2001,42,385−389)によって記述される手順によって実施することができる。
【0093】
式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性形態物は、技術的に既知の手順の応用によって得ることができる。ジアステレオマーは、選択的晶出およびクロマトグラフィー技術、
向流分配、液体クロマトグラフィーなどのような物理的方法によって分離されてもよい。
【0094】
前述の工程において製造される式(I)の化合物は、一般に、技術的に既知の分割手順にしたがって互いに分離できる鏡像異性体のラセミ混合物である。十分に塩基性または酸性である式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸とそれぞれ適当なキラル塩基との反応によって対応するジアステレオマー塩形態物に転化されてもよい。該ジアステレオマー塩形態物は、続いて、例えば選択的または分別晶出によって分離され、そして鏡像異性体がアルカリまたは酸によってそこから遊離される。式(I)の化合物の鏡像異性形態物を分離する代替方式は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを必要とする。また、該純粋な立体化学的異性形態物は、反応が立体化学的に起きるならば、適当な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性形態物から誘導されてもよい。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合は、該化合物は、立体特異的な製造方法によって合成することができる。これらの方法は、有利には、鏡像異性的に純粋な出発材料を用いることができる。
【0095】
次の実施例は、本発明の範囲を具体的に説明するものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0096】
実験の部
これ以降、「DCM」はジクロロメタンとして定義され;「THF」はテトラヒドロフランとして定義され;「BuLi」はn−ブチル−リチウムとして定義され;「EtOAc」は酢酸エチルとして定義され;そして「MeOH」はメタノールとして定義される。
【0097】
A.中間化合物の製造
例A1
a)中間化合物1の製造
【0098】
【化10】

【0099】
雰囲気下での反応:乾燥THF(750ml)中チエノ[2,3−b][l]ベンゾチエピン−4(5H)−オン(0.03998mol)の溶液を0℃まで冷却し、次いで鉱油中60%水素化ナトリウム(0.040mol)を少量づつ添加した。反応混合液を0℃で45分間、次いで室温で1時間撹拌した。0℃まで冷却後、乾燥THF(250ml)中3−ブロモ−1−プロペン(0.40mol)の混合液を滴下し、得られる混合液を一夜放置して室温にした。水を添加し、そして有機溶媒を蒸発させた。水性濃縮液をDCMで2回抽出し;有機層を合わせ、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を蒸発(真空)させて、中間化合物1の10.22gを得た。
【0100】
b)中間化合物2の製造
【0101】
【化11】

【0102】
THF(200ml)中中間化合物1(0.03744mol)の溶液を0℃まで冷却し、そしてテトラヒドロホウ酸ナトリウム(0.045mol)を少量づつ添加した。10分後、MeOH(100ml)を滴下し、反応混合液を室温まで温め、さらに一夜撹拌した。混合液を飽和塩化アンモニウム水溶液により反応停止させ、そして有機溶媒を蒸発(真空)させた。水性濃縮液をDCMで2回抽出し;有機層を合わせ、ブラインおよび水で洗浄し、次いで乾燥(NaSO)させた。溶媒を蒸発(真空)させ、残渣を短いオープンカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて、(異性体の混合物:シス/トランス 90/10)中間化合物2を得た。
【0103】
c)中間化合物3の製造
【0104】
【化12】

【0105】
THF(q.s.)中トリフェニル−ホスフィン(0.073mol)の溶液を0℃でN下で撹拌し、ビス(1−メチルエチル)ジアゼンジカルボン酸(0.071mol)を添加し、そして得られる懸濁液を0.5時間撹拌した。THF(q.s.)中中間化合物2(0.036mol)および4−ニトロ−安息香酸(0.073mol)の溶液を滴下し、反応混合液を室温まで徐々に加温し、そして16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、水およびブラインで洗浄し、次いで乾燥(NaSO)した。溶媒を蒸発させ、残渣を調製用高速液体クロマトグラフィー(溶出液:EtOAc/ヘプタン2/8)によって精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させて、中間化合物3を得た。
【0106】
d)中間化合物4の製造
【0107】
【化13】

【0108】
THF(200ml)中中間化合物3(0.018mol)の混合液を0℃で撹拌し、次いで水(50ml)中水酸化リチウム(0.020mol)の混合液を滴下した。反応混合液を16時間放置して室温まで到達させ、有機溶媒を蒸発させた。水性濃縮液をDCMで洗浄し;有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を減圧下で蒸発させて、中間化合物4の5.43gを得た。
【0109】
e)中間化合物5および6の製造
【0110】
【化14】

【0111】
テトラフルオロホウ酸ビス(ピリジン)ヨウ素(iodinium)(0.0186mol)を、室温、N雰囲気下でDCM(q.s.)中中間化合物4(0.0169mol)の混合液に少量づつ添加し、得られる溶液を1時間撹拌し、次いでチオ硫酸ナトリウム水溶液を添加した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を調製用高速液体クロマトグラフィーによって精製した。2つの生成物画分を回収し、そして溶媒を蒸発させて、中間化合物5の2.5gおよび中間化合物6の2.1gを得た。
【0112】
B.最終化合物の製造
例B1
最終化合物1(遊離塩基)および2の製造
【0113】
【化15】

【0114】
THF(10ml)中、中間化合物5(0.00127mol)、ジメチルアミン(0.020mol,THF中2M)および酸化カルシウム(0.100g)の混合液を、Parr反応容器中で120℃(油浴温度)8時間加熱し、次いで反応混合液を室温まで冷却した。固形物を濾別し、そして有機溶媒を蒸発させた。かくして得られた残渣をSepPakシリカカートリッジ(溶出液:DCM/(MeOH/NH)混合液)を用いてマニホールド(manifold)(真空)において精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて、化合物1、すなわち化合物2の遊離塩基を得た。残渣を、ジエチルエーテル中でエタン二酸による処理によってエタン二酸塩に転化した。得られる沈殿物を濾別し、冷ジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥させて、最終化合物2(ジアステレオマーの混合物80/20)を得た。
【0115】
例B2
化合物3の製造
【0116】
【化16】

【0117】
THF(20ml)中、中間化合物6(0.00145mol),THF中2Mジメチルアミン(0.020mol)および酸化カルシウム(0.200g)の混合液を、Parr反応容器中で120℃(油浴温度)10時間加熱し、次いで反応混合液を室温まで冷却し、そして固形物を濾別した。有機溶媒を蒸発させ、かくして得られた残渣をDCM中に採取し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)し、濾別し、そして溶媒を蒸発させた。残留油状物をSep−Pakシリカカートリッジ(溶出液:DCM/(MeOH/NH))を用いてマニホールド(真空)において精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて、最終化合物3を得た。
【0118】
例B3
最終化合物4の製造
【0119】
【化17】

【0120】
雰囲気下での反応:乾燥THF(15ml)中最終化合物3(0.00104mol)の溶液をー78℃に冷却し、次いでヘキサン中1.6M BuLi(0.0011mol)を滴下した。反応混合液をー78℃で35分間撹拌し、炭酸ジメチル(0.003mol)を添加した。得られる混合液を1時間で室温まで到達させ、水を添加し、そして有機層を蒸発させた。かくして得られた残渣をDCM中に採取し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)し、濾別し、そして溶媒を蒸発さ
せた。得られる残渣をSep−Pakシリカカートリッジを用いてマニホールド(真空)において精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。さらに残渣を高速液体クロマトグラフィーによって精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて、最終化合物4を得た。
【0121】
例B4
最終化合物5の製造
【0122】
【化18】

【0123】
THF(q.s.)中最終化合物4(0.0004mol)の混合液をN下で室温において撹拌し、そしてテトラヒドロアルミン酸リチウム(0.00044mol)を添加し、次いで反応混合液を2時間撹拌し、そして飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、濾別し、そして溶媒を蒸発させた。残渣を、シリカゲル上で短いオープンカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH97/3)によって精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて、最終化合物5の0.153gを得た。
【0124】
【表1】

【0125】
【表2】

【0126】
【表3】

【0127】
【表4】

【0128】
【表5】

【0129】
【表6】

【0130】
【表7】

【0131】
表4において示されるLCMSデータは次の方法によって得られた:
HPLC勾配は、40℃に設定されたカラムヒーターを有するAgilent製のHP
1100によって供給された。カラムからの流出液は、ホトダイオードアレイ(PDA)検出器を通過され、次に、Light Scattering detector(ELSD)と、正負イオン化様式で同時に作動されるエレクトロスプレーイオン化ソースを有するWater−Micromass Time of Flight(ToF)質量分析計とに分配された。
【0132】
逆相HPLCは、流速1ml/minにより、Agilent製XDB−C18カートリッジ(3.5μm、4.6x30mm)において実施された。3種の移動相(移動相A:0.5g/lの酢酸アンモニウム溶液、移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)が用いられて、6.0分で80%A,10%B,10%Cから50%Bおよび50%Cまで、6.5分において100%Bまで,7.0分まで維持され、そして7.6分において80%A,10%Bおよび10%Cで再平衡化され、これが9.0分まで維持された。5μlの注入容量が使用された。
【0133】
高分解能質量スペクトルは、1秒のdwell timeを使用して1秒で100から750までのスキャニングによって得られた。キャピラリーニードル電位は3kVであり、そしてsource温度は140℃に維持された。窒素はネブライザーガスを使用した。コーン電位は両正負イオン化様式では30Vであった。ロイシン−エンケファリンが、ロックスプレーのために使用された標準であった。データの取得は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynx deta systemにより実施された。すべての親ピーク質量は遊離塩基+H+に対応する。
【0134】
【表8】

【0135】
C.薬理学的実施例
例C.1: 5−HT2Aおよび5−HT2C受容体に対するインビトロ結合親和力
式(I)の化合物の5−HT2Aおよび5−HT2C受容体との相互作用は、インビトロの放射性リガンド結合実験において調査された。一般に、受容体に対する高い結合親和力を有する低濃度の放射性リガンドが、バッファー媒質(0.2〜5ml)中特定の受容体において強化された組織調製物のサンプル(1〜5mg組織)とともにインキュベートされる。インキュベーションの間に、放射性リガンドは受容体に結合する。結合の平衡が達成された時点で、受容体結合放射能が非結合放射能から分離され、そして受容体結合放射能がカウントされる。試験化合物の受容体との相互作用は、競合結合実験において調査される。種々の濃度の試験化合物が、組織調製物と放射性リガンドを含有するインキュベーション混合液に添加される。放射性リガンドの結合は、その結合親和力とその濃度に比例して試験化合物によって阻害されるであろう。5−HT2A結合親和力のために使用された放射性リガンドは、H−ケタンセリン(ketanserin)であり、そして使用された組織はラットの前頭皮質である。5−HT2C結合親和力のために使用された放射性リガンドは、H−メスレルギン(mesulergine)であり、そして使用された組織はブタの脈絡叢である。
【0136】
例C.2: NET再吸収抑制のインビトロ定量
ラット脳からの皮質を収集し、そしてTris,NaClおよびKCl(それぞれ、50mM,120mMおよび5mM、pH7.4)を含有する氷冷ホモジナイジングバッファー中でUltra−Turrax T25およびDualホモジナイザ−を用いてホモジナイズし、その後、特異的および非特異的結合について最適化された適当なタンパク質濃度に希釈した。結合は,Tris,NaClおよびKCl(それぞれ、50mM,300mMおよび5mM、pH7.4)を含有する氷冷アッセイバッファー中で20nmol/Lの濃度において希釈された放射性リガンド[H]Nixosetine(NEN,NET−1084,比活性〜70Ci/mmol)を用いて実施された。次いで、調製された放射性リガンド(50μl)が、適当なタンパク質濃度に予め希釈された膜調製物(400μl)、および10%DMSO対照、Mazindol(10−6mol/L最終濃度)または関心のある化合物のいずれかの50μlとともにインキュベートされた(60分、25℃)。膜結合活性は、GF/B Unifilterplate上にPackard Filtermate harvesterをとおして濾過し、NaClおよびKCl(120mMおよび4mM)を含有する氷冷Tris−HClバッファー(50mM;pH7.4;6x0.5ml)により洗浄することによって検出された。フィルターは、シンチレーション液を添加する前に24時間放置して乾燥された。シンチレーション液は、24時間フィルターを飽和させ、その後Topcountシンチレーションカウンターにおいてカウントされた。特異的結合パーセントおよび競合結合曲線が、S−Plusソフトウェア(Insightful)を用いて計算された。
【0137】
例C.3: ヒトD2L受容体に対するインビトロの結合親和力
ヒト・ドーパミンD2L受容体をトランスフェクトされたCHO細胞の凍結膜が解凍され、Ultra−Turrax T25ホモジナイザ−を用いて短くホモジナイズされ、そしてNaCl、CaCl、MgCl、KCl(それぞれ、120、2、1、および5mM)を含有するTris−HClアッセイバッファー(50mM、HClでpH7.7に調整)において、特異的および非特異的結合について最適化された適当なタンパク質濃度に希釈された。放射性リガンド[H]Spiperone(NEN,比活性〜70Ci/mmol)がアッセイバッファー中で2nmol/Lの濃度に希釈された。次いで、10%DMSO対照、Butaclamol(10−6mol/L最終濃度)または関心のある化合物のいずれかの50μlとともに,調製された放射性リガンド(50μl)が、調製された膜溶液の400μlとインキュベートされた(30分、37℃)。膜結合活性は、GF/B Unifilterplate上にPackard Filtermate harvesterをとおして濾過され、そした氷冷Tris−HClバッファー(50mM;pH7.7;6x0.5ml)により洗浄された。フィルターは、シンチレーション液を添加する前に乾燥され、Topcountシンチレーションカウンターにおいてカウントされた。特異的結合パーセントおよび競合結合曲線が、S−Plusソフトウェア(Insightful)を用いて計算された。
【0138】
結果
上記アッセイからの結果が、次の表において(pIC50)値として示される:「n.d.」は「未決定」を意味する。
【0139】
【表9】

【0140】
D.組成物実施例
これらの実施例をとおして使用される「有効成分」(A.I.)は、式(I)による化合物、製薬学的に許容できる酸付加塩、それらの立体化学的異性形態物またはそれらのN−オキシド形態物に関する。
【0141】
例D.1: 経口液剤
4−ヒドロキシ安息香酸メチル(9g)および4−ヒドロキシ安息香酸プロピル(1g)を沸騰精製水(4 l)に溶解した。この溶液3l中に最初に2,3−ジヒドロキシブタン二酸(10g)を、その後A.I.(20g)を溶解した。後者の溶液を前者の溶液の残部分と合わせ、そして1,2,3−プロパントリオール(12 l)およびソルビトール70%溶液(3 l)をそれに添加した。サッカリンナトリウム(40g)を水(500ml)に溶解し、そしてラズベリー(2ml)およびセイヨウスグリの実エッセンス(2ml)を添加した。後者の溶液を前者の溶液と合わせ、水を20 lの容量までq.s.添加して、1ティースプーン(5ml)当たり有効成分5mgを含んでなる経口液剤を提供した。得られる液剤は適当な容器に充填された。
【0142】
例D.2: 剤皮を施された錠剤
錠剤コアの製造
A.I.(100g)、ラクトース(570g)および澱粉(200g)の混合物を十分に混合し、その後、水(200ml)中ドデシル硫酸ナトリウム(5g)およびポリビニルピロリドン(10g)の溶液で湿潤化した。湿潤粉末混合物を篩にかけ、乾燥し、そして再び篩にかけた。次いで、微結晶セルロース(100g)および水素化植物油(15g)を添加した。全体を十分に混合し、そして錠剤に圧縮して、各々が有効成分10mgを含有する10,000個の錠剤を得た。
【0143】
コーティング
変性エタノール(75ml)中メチルセルロース(10g)の溶液に、ジクロロメタン(150ml)中エチルセルロース(5g)の溶液を添加した。次いで、ジクロロメタン(75ml)および1,2,3−プロパントリオール(2.5ml)を添加した。ポリエチレングリコール(10g)を融解し、そしてジクロロメタン(75ml)中に溶解した。後者の溶液を前者に添加し、次いで、オクタデカン酸マグネシウム(2.5g)、ポリビニルピロリドン(5g)および濃縮彩色懸濁液(30ml)を添加し、そして全体をホモジネートした。錠剤コアを、かくして得られた混合物によりコーティング装置において剤皮を施した。
【0144】
例D.3: 注射用液剤
4−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.8g)および4−ヒドロキシ安息香酸プロピル(0.2g)を注射用の沸騰水(500ml)に溶解した。約50℃に冷却後、乳酸(4g)、ポリエチレングリコール(0.05g)およびA.I.(4g)を撹拌しながら添加した。溶液を室温まで冷却し、そして1000mlまで注射用水q.s.を補足して、A.I.の4mg/mlを含んでなる液剤を生成した。この液剤を濾過により無菌化し、そして無菌容器に充填した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

{式中:
nは、0;1;2;3;4;5または6に等しい整数であり;
i,jは、互いに独立して、0;1;2;3または4に等しい整数であり;
rは、0;1;2;3または4に等しい整数であり;
およびRは、各々互いに独立して、水素;アルキルカルボニル;アルキル;アルキルオキシアルキル;アルキルカルボニルオキシアルキル;アルキルオキシカルボニルアルキル;アリールアルキル;アリールカルボニル;アルキルオキシカルボニル;アリールオキシカルボニル;アリールアルキルカルボニル;アルキルオキシ−カルボニルアルキルカルボニル;モノ−またはジ(アルキル)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アリール)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アリールアルキル)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アルキルオキシカルボニルアルキル)アミノカルボニル;アルキルスルホニル;アリールスルホニル;アリールアルキルスルホニル;モノ−またはジ(アルキル)アミノチオカルボニル;モノ−またはジ(アリール)アミノチオカルボニル;モノ−またはジ(アリールアルキル)アミノチオカルボニル;モノ−、ジ−またはトリ(アルキル)アミジノ;モノ−、ジ−またはトリ(アリール)アミジノおよびモノ−、ジ−またはトリ(アリールアルキル)アミジノであり;あるいはRおよびRは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、式:
【化2】

[式中、
pは、0;1;2;3または4に等しい整数であり;
qは、1または2に等しい整数であり;
mは、0;1;2または3に等しい整数であり;
各Rは、互いに独立して、ハロ;ヒドロキシ;シアノ;アルキル;アルキルオキシアルキル;アリールオキシアルキル;モノ−またはジ(アルキル)アミノアルキル;ヒドロキシカルボニルアルキル;アルキルオキシカルボニルアルキル;モノ−またはジ(アルキル
)アミノカルボニルアルキル;モノ−またはジ(アリール)アミノカルボニルアルキル;モノ−またはジ(アルキル)アミノカルボニルオキシアルキル;アルキルオキシカルボニルオキシアルキル;アリールアミノカルボニルオキシアルキル;アリールアルキルアミノカルボニルオキシアルキル;アリール;アルキルオキシ;アリールオキシ;アルキルカルボニルオキシ;アリールカルボニルオキシ;アリールアルキルカルボニルオキシ;アルキルカルボニル;アリールカルボニル;アリールオキシカルボニル;ヒドロキシカルボニル;アルキルオキシカルボニル;モノ−またはジアルキルアミノ;アルキルカルボニルアミノ;アリールアルキルカルボニルアミノ;アリールカルボニルアミノ;アルキルオキシカルボニルアミノ;アミノカルボニルアミノ;モノ−またはジ(アリールアルキル)アミノカルボニルアミノ;アルキルスルホニルアルキルアミノカルボニルアミノの群から選ばれ;あるいは、
2個のR基は、一緒になって、二価の基
【化3】

(式中、Rは、水素;ハロ;ヒドロキシ;アルキルオキシおよびアルキルの群から選ばれる)
を形成してもよく;
は、水素;アルキル;アリールアルキル;アルキルオキシアルキル;アルキルカルボニルオキシアルキル;アルキルオキシカルボニルアルキル;アリールカルボニルアルキル;アルキルスルホニルオキシアルキル;アリールオキシアリール;アルキルオキシカルボニルアリール;アルキルカルボニル;アリールアルキルカルボニル;アルキルオキシカルボニルアルキルカルボニル;アリールカルボニル;アルキルオキシカルボニル;アリールオキシカルボニル;アリールアルキルオキシカルボニル;モノ−またはジ(アルキル)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アリール)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アリールアルキル)アミノカルボニル;モノ−またはジ(アルキルオキシカルボニルアルキル)アミノカルボニル;アルキルオキシアルキルアミノカルボニル;モノ−、ジ−またはトリ(アルキル)アミジノ;モノ−、ジ−またはトリ(アリール)アミジノ;モノ−、ジ−またはトリ(アリールアルキル)アミジノ;アルキルスルホニル;アリールアルキルスルホニルまたはアリールスルホニルの群から選ばれる]
の基を形成してもよく;
各R10は、互いに独立して、アルキルまたはシアノであり;
AおよびBは、各々互いに独立して、中心の環に縮合されたアリールまたはヘテロアリール基であり、そしてフリル;チエニル;ピロリル;オキサゾリル;チアゾリル;イミダゾリル;イソオキサゾリル;イソチアゾリル;オキサジアゾリル;トリアゾリル;ピリジニル;ピリダジニル;ピリミジニル;ピラジニル;インドリル;インドリジニル;イソインドリル;ベンゾフリル;イソベンゾフリル;ベンゾチエニル;インダゾリル;ベンズイミダゾリル;ベンズチアゾリル;キノリジニル;キノリニル;イソキノリニル;フタラジニル;キナゾリニル;キノキサリニル;クロメニル;ナフチリジニルおよびナフタレニルの群から選ばれ;ただし、ここでAおよびBの少なくとも1個は、上記ヘテロアリール基の1つであり
各Rは、互いに独立して、水素;ハロ;シアノ;ヒドロキシ;カルボキシル;ニトロ;アミノ;モノ−またはジ(アルキル)アミノ;アルキルカルボニルアミノ;アミノスルホニル;モノ−またはジ(アルキル)アミノスルホニル;アルキル;アルケニル;アルキルオキシ;アルキルカルボニルおよびアルキルオキシカルボニルの群から選ばれ;
Yは、O;S;S(=O);S(=O)またはNRを表し;
Xは、CR;O;S;S(=O);S(=O)またはNRを表し;この場合、RおよびRは、各々独立して、水素;ヒドロキシ;アルキルおよびアルキルオキシの群から選ばれるか;あるいは
およびRは、一緒になって、メチレン(すなわち、=CH);モノ−またはジ(シアノ)メチレンの群から選ばれる基;式−(CH−;−(CH−;−(CH−;−(CH−;−O−(CH−O−;−O(CHO−の二価の基;またはそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、カルボニルを形成してもよく;
は、水素;アルキル;アルキルカルボニル;アリールカルボニル;アリールアルキル;アリールアルキルカルボニル;アルキルスルホニル;アリールスルホニルおよびアリールアルキルスルホニルの群から選ばれ;
アリールは、ハロ;ニトロ;シアノ;ヒドロキシ;アルキルオキシまたはアルキルの群から選ばれる1、2または3個の置換基により場合によっては各々が置換されているフェニルまたはナフチルであり;
アルキルは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基、3〜8個の炭素原子を有する環式飽和炭化水素基または1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖部分および3〜8個の炭素原子を有する環式部分を含有する飽和炭化水素基を表し;各々の基は、1個以上のハロ;シアノ;オキソ;ヒドロキシ;ホルミル;カルボキシルまたはアミノ基により場合によっては置換されており;
アルケニルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素基または3〜6個の炭素原子を有する環式不飽和炭化水素基を表し;該基は1個以上の二重結合を有し、そして該基は1個以上のハロ;シアノ;オキソ;ヒドロキシ;ホルミル;カルボキシルまたはアミノ基により場合によっては置換されており;そして
ハロは、フルオロ;クロロ;ブロモおよびヨードを表す}
による化合物、それらのN−オキシド形態物、製薬学的に許容できる付加塩または立体化学的異性形態物。
【請求項2】
およびRは、各々互いに独立して、水素またはアルキルであり、各アルキル基は、ヒドロキシにより場合によっては置換されているか;あるいはRおよびRは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、式(a−3)または(a−5)[式中、m=1または2に等しい整数である]の基を形成することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
AおよびBが、各々互いに独立して、アリールか、またはチエニルおよびピリジニルから選ばれるヘテロアリール基であり、ただし、ここでAおよびBの少なくとも1個がヘテロアリール基であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項4】
Aはアリールであり、そしてBは、Sが位置9または11に存在するチエニルであることを特徴とする、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
XがSであることを特徴とする、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
YがOであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
Yが、CR、O、S、S(=O)、S(=O)またはNRであることを特徴
とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
nが1に等しい整数であり;
iが0に等しい整数であり;
jが0または1に等しい整数であり;
rが0に等しい整数であり;
およびRが、各々互いに独立して、水素、メチル、エチルまたはヒドロキシエチルであり;
Aがフェニルであり;
Bがチエニルまたはピリジニルであり;
が水素であり;
10が水素、ヒドロキシメチル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルであり;
YがOであり;
XがCH、SまたはN−ベンジルである
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
医薬としての使用のための、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
製薬学的に許容できる担体または希釈剤、および有効成分として、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物の治療学的有効量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項11】
5HT受容体、特に5HT2A受容体および5HT2C受容体,およびD受容体をとおして、ならびにノルエピネフリン再吸収抑制をとおして媒介される症状の予防および/または処置のための薬物の製造のための、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項12】
不安;鬱病および軽症鬱病;双極性障害;睡眠および性的障害;精神病;境界性精神病;精神分裂病;片頭痛;人格障害;強迫反応障害;社会恐怖症;パニック発作;注意障害;有機的精神障害;子供における精神障害;攻撃;特に老人における記憶障害および態度障害;耽溺;肥満症;食欲亢進および類似の障害のような中枢神経系障害の処置および/または予防用薬物の製造のための、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項13】
不安、精神病、鬱病、双極性鬱病を含む双極性障害、片頭痛および薬物濫用という耽溺性質の処置および/または予防用の薬物の製造のための、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項14】
反応に不活性な溶媒中、場合によっては適当な塩基の存在下で、式(II)[式中、R、i、j、環A、環BおよびXは、すべて式(I)において定義された意味を有し、そしてWは適当な脱離基を表す]の中間体を、式HNR[式中、RおよびRは式(I)におけるように定義される]のアミンを用いてN−アルキル化し;
【化4】

そして所望であれば、式(I)の化合物を、技術的に既知の変換反応により互いに転化し、そしてさらに所望であれば、式(I)の化合物を、酸による処理によって治療学的に活性な非毒性酸付加塩か、または塩基による処理によって治療学的に活性な非毒性塩基付加塩に転化するか、あるいは反対に、酸付加塩形態物をアルカリによる処理によって遊離塩基に転化するか、または塩基付加塩を酸による処理によって遊離酸に転化し;そして所望であれば、立体化学的異性形態物、そのN−オキシドおよびその第四級アンモニウム塩を製造する
ことを特徴とする、式(I)による化合物の製造方法。

【公表番号】特表2008−528548(P2008−528548A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552640(P2007−552640)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050444
【国際公開番号】WO2006/079637
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】