説明

CO2回収装置およびCO2回収方法

【課題】脱炭酸排ガスに残存する塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減する。
【解決手段】排ガス101と塩基性アミン化合物吸収液103とを接触させて排ガス101中のCOを塩基性アミン化合物吸収液103に吸収させるCO吸収部21、およびCO吸収部21でCOを除去された脱炭酸排ガス101Aと洗浄水104A,104Bとを接触させて脱炭酸排ガス101Aに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する少なくとも一つ以上の水洗部22を有する吸収塔2と、COを吸収した塩基性アミン化合物吸収液103からCOを放出させる再生塔3とを備え、水洗部22の脱炭酸排ガス101Aの流れの後段に、脱炭酸排ガス101Aと循環する酸性水105とを接触させて脱炭酸排ガス101Aに同伴する塩基性アミン化合物類をさらに除去する吸収液処理部23を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収液と接触してCOを除去された脱炭酸排ガスに残存して放出される塩基性アミン化合物類の濃度を低減するCO回収装置およびCO回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球の温暖化現象の原因の一つとして、COによる温室効果が指摘され、地球環境を守る上で国際的にもその対策が急務となってきた。COの発生源としては、化石燃料を燃焼させるあらゆる人間の活動分野に及び、その排出抑制への要求が一層強まる傾向にある。これに伴い、大量の化石燃料を使用する火力発電所などの動力発生設備を対象に、ボイラの排ガスをアミン化合物水溶液などのアミン系吸収液と接触させ、排ガス中のCOを除去し回収する方法が精力的に研究されている。
【0003】
このような吸収液を用いて排ガスからCOを回収する場合、COが回収された脱炭酸排ガスにアミン化合物が同伴してしまう。そして、アミン化合物による大気汚染が発生する事態を防ぐため、脱炭酸排ガスと共に放出されるアミン化合物の放出量を低減する必要がある。
【0004】
従来、特許文献1では、吸収液との気液接触によりCOが吸収除去された脱炭酸排ガスに対して洗浄水を気液接触させることで、脱炭酸排ガスに同伴されたアミン化合物を回収する水洗部を複数段設け、この複数段の水洗部にて、順次、脱炭酸排ガスに同伴するアミンの回収処理を行うことが示されている。この特許文献1の洗浄水は、COを吸収したアミン系吸収液からCOを除去してアミン系吸収液を再生する処理において、COに含まれる水分を凝縮して分離した凝縮水が用いられている。
【0005】
また、従来、特許文献2では、吸収液との気液接触によりCOが吸収除去された脱炭酸排ガスを冷却する冷却部と、冷却部で凝縮した凝縮水と脱炭酸排ガスとを向流接触させる接触部を設けたものが示されている。さらに、特許文献2では、吸収液との気液接触によりCOが吸収除去された脱炭酸排ガスに対して洗浄水を気液接触させることで、脱炭酸排ガスに同伴されたアミン化合物を回収する水洗部を設けたものが示され、洗浄水は、COが回収される前の排ガスを冷却する冷却塔で凝縮された凝縮水が用いられている。
【0006】
また、従来、特許文献3では、吸収液との気液接触によりCOが吸収除去された脱炭酸排ガスに対して硫酸を噴霧させることで、脱炭酸排ガスに同伴されたアミン化合物を塩基性アミン化合物硫酸塩にした後、塩基性アミン化合物硫酸塩を含む脱炭酸排ガスをデミスタに通過させることで、脱炭酸排ガスから塩基性アミン化合物硫酸塩を捕集することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−126439号公報
【特許文献2】特開平8−80421号公報
【特許文献3】特開平10−33938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年では、環境保全の見地から、脱炭酸排ガスに残存して放出される吸収液成分の濃度をより一層低減することが望まれている。特に、将来予想される処理ガス流量の多い火力発電所などの排ガスに対して、CO回収装置を設置する場合、排ガスの放出量が多量であることから、脱炭酸排ガスに残存して放出される吸収液成分の放出量が増加する傾向にあり、放出される吸収液成分の濃度をより一層低減することが必要である。
【0009】
なお、特許文献3では、脱炭酸塔排出ガスに硫酸を噴霧させ、排ガス中で硫酸と塩基性アミン化合物を接触させることで、排ガス中に塩基性アミン化合物硫酸塩を生成させ、塩基性アミン化合物硫酸塩を含むミストをデミスタで捕集することにより、脱炭酸塔排出ガス中の塩基性アミン化合物を回収している。しかし、硫酸と塩基性アミン化合物との接触効率や、塩基性アミン化合物硫酸塩の生成効率を考慮すると、より高度に塩基性アミン化合物を除去する場合には、排ガス中の塩基性アミン化合物の除去量に対し,硫酸噴霧量の調整が困難であり、等量に対して過剰量の硫酸噴霧量が必要となる。さらに、特許文献3では、排ガス中に硫酸(希硫酸水溶液)を噴霧するため、排ガス中のミスト量が増加してデミスタのミスト負荷が増加するため、高性能なデミスタが必要になったり、デミスタ充填量が増加したりするおそれがある。
【0010】
本発明は上述した課題を解決するものであり、脱炭酸排ガスに残存して放出される塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減することのできるCO回収装置およびCO回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明のCO回収装置では、排ガスと塩基性アミン化合物吸収液とを接触させて前記排ガス中のCOを前記塩基性アミン化合物吸収液に吸収させるCO吸収部、および前記CO吸収部でCOを除去された脱炭酸排ガスと洗浄水とを接触させて前記脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する少なくとも一つ以上の水洗部を有する吸収塔と、COを吸収した前記塩基性アミン化合物吸収液からCOを放出させる再生塔と、を備えるCO回収装置において、前記水洗部の脱炭酸排ガスの流れの後段に、前記脱炭酸排ガスと循環する酸性水とを接触させて前記脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類をさらに除去する吸収液処理部を備えることを特徴とする。
【0012】
このCO回収装置によれば、水洗部を経た脱炭酸排ガスに塩基性アミン化合物類が残存していても、この塩基性アミン化合物類を酸性水の酸と反応させて脱炭酸排ガスから分離することができるため、脱炭酸排ガスに残存して放出される塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減できる。特に、このCO回収装置によれば、循環する酸性水中に脱炭酸排ガスを接触させて塩基性アミン化合物類を酸性水中に溶解させるため、酸性水のpH値を、塩基性アミン化合物塩を得るのに適した範囲に容易に調整することが可能であり、当量以上の酸を使用することなく、効率よく脱炭酸排ガス中に残存した塩基性アミン化合物類を除去できる。
【0013】
また、本発明のCO回収装置では、前記酸性水を、前記脱炭酸排ガスとの接触により塩基性アミン化合物塩を得る所望のpH値に調整する制御部を備えたことを特徴とする。
【0014】
このCO回収装置によれば、脱炭酸排ガス中の塩基性アミン化合物類を塩基性アミン化合物塩として酸性水に適宜溶解させることができる。
【0015】
また、本発明のCO回収装置では、前記再生塔の前記塩基性アミン化合物吸収液に塩基性ナトリウムを添加する副再生装置を設け、前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水の一部を前記副再生装置に供給する酸性水排出管を備えたことを特徴とする。
【0016】
このCO回収装置によれば、副再生装置において、塩基性アミン化合物を含む酸性水に、塩基性ナトリウムを添加することにより、塩基性アミン化合物吸収液、酸とナトリウムの塩に分離させ、塩基性アミン化合物吸収液は吸収塔にリサイクルし、酸とナトリウムの塩は系外に取り出せる。この場合、塩基性アミン化合物は、大気中に放散されずに系内に回収されることとなるため、消費量を減少させることができる。
【0017】
また、本発明のCO回収装置では、前記塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を、前記副再生装置に至る前で濃縮する濃縮部を備えたことを特徴とする。
【0018】
このCO回収装置によれば、濃縮部により塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水を濃縮することで、副再生装置に至る酸性水の量を減らせるため、副再生装置の処理を助勢することができる。換言すると、副再生装置に供給する液量が減少するので、副再生装置の小型化および副再生に伴う蒸気消費量の低減を図ることができる。
【0019】
また、本発明のCO回収装置では、前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を無害化する排水処理部を備えたことを特徴とする。
【0020】
このCO回収装置によれば、塩基性アミン化合物類を含む酸性水を、排水処理部に供給し、無害化することにより、塩基性アミン化合物類を適宜無害化することができ、アンモニアなど塩基性アミン化合物類以外の塩基性物質も同時に無害化することができる。
【0021】
また、本発明のCO回収装置では、前記塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を、前記排水処理部に至る前で濃縮する濃縮部を備えたことを特徴とする。
【0022】
このCO回収装置によれば、濃縮部により塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水を濃縮することで、排水処理部に至る酸性水の量を減らせるため、排水処理部の処理を助勢することができる。換言すると、排水処理部に供給する液量が減少するので、排水処理部の小型化を図ることができる。
【0023】
また、本発明のCO回収装置では、前記塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスに同伴するミスト状の前記酸性水を捕集するデミスタを備えたことを特徴とする。
【0024】
このCO回収装置によれば、脱炭酸排ガスと共に、塩基性アミン化合物類を含有するミスト状の酸性水が排出される事態を防止できる。
【0025】
また、本発明のCO回収装置では、前記酸性水への補給水として、前記塩基性アミン化合物吸収液から回収されたCOガスを冷却した際の凝縮水、または前記CO吸収部に供給される前記排ガスを冷却する凝縮水を供給することを特徴とする。
【0026】
このCO回収装置によれば、CO回収装置内で発生する凝縮水を利用することで、CO回収系外から水を補給することなく、塩基性アミン化合物類の捕集を行える。
【0027】
また、本発明のCO回収装置では、前記塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスにおける前記塩基性アミン化合物類の濃度を測定する排ガス測定部と、前記排ガス測定部にて測定された前記塩基性アミン化合物類の濃度に基づいて、前記酸性水のpH値、または前記酸性水の流量を調整する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
このCO回収装置によれば、CO回収装置(吸収塔)外に排出される脱炭酸アミン排ガスに残存する塩基性アミン化合物類の濃度に応じ、この塩基性アミン化合物類を捕集するために適正なpH値、または塩基性アミン化合物類を捕集するために適正な循環流量に調整することができる。
【0029】
また、本発明のCO回収装置では、前記脱炭酸排ガスと前記酸性水とを接触させて前記塩基性アミン化合物類と共に前記脱炭酸排ガスに同伴する揮発性有機化合物類を除去する揮発性有機化合物類除去部を備えたことを特徴とする。
【0030】
このCO回収装置によれば、水洗部を経た脱炭酸排ガスに揮発性有機化合物類が残存していても、この揮発性有機化合物類を塩基性アミン化合物類と共に酸性水に溶解させ脱炭酸排ガスから分離させるので、脱炭酸排ガスに残存して放出される揮発性有機化合物類の濃度をより一層低減できる。
【0031】
また、本発明のCO回収装置では、前記塩基性アミン化合物類と共に前記揮発性有機化合物が除去された後の脱炭酸アミン排ガスにおける前記揮発性有機化合物類の濃度を測定する排ガス測定部と、前記排ガス測定部にて測定された前記揮発性有機化合物類の濃度に基づいて、前記揮発性有機化合物類除去部への前記酸性水の供給流量を調整する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0032】
このCO回収装置によれば、CO回収装置(吸収塔)外に排出される脱炭酸排ガスに残存する揮発性有機化合物類の濃度に応じ、この揮発性有機化合物類を捕集するために揮発性有機化合物類処理部への供給液流量を調整することができる。
【0033】
上述の目的を達成するために、本発明のCO回収方法では、排ガスと塩基性アミン化合物吸収液とを接触させて前記排ガス中のCOを前記塩基性アミン化合物吸収液に吸収させる工程と、COを除去された脱炭酸排ガスと洗浄水とを接触させて前記脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する工程と、COを吸収した前記塩基性アミン化合物吸収液からCOを放出させる工程と、を含むCO回収方法において、前記洗浄水と接触する工程を経た前記脱炭酸排ガスに対し、循環する酸性水を接触させて前記脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類をさらに除去する工程を含むことを特徴とする。
【0034】
このCO回収方法によれば、COを除去された脱炭酸排ガスに洗浄水を接触させて脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する工程を経た脱炭酸排ガスに塩基性アミン化合物類が残存していても、この塩基性アミン化合物類を酸性水と反応させて脱炭酸排ガスから分離させるので、脱炭酸排ガスに残存して放出される塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減することが可能になる。特に、このCO回収方法によれば、循環する酸性水に脱炭酸排ガスを接触させて塩基性アミン化合物類を酸性水中に溶解させるため、酸性水のpH値を、塩基性アミン化合物塩を得るのに適した範囲に容易に調整することが可能であり、当量以上の酸を使用することなく、効率よく脱炭酸排ガス中に残存した塩基性アミン化合物類を除去できる。
【0035】
また、本発明のCO回収方法では、前記脱炭酸排ガスに前記酸性水を接触させる工程は、前記酸性水を、脱炭酸排ガスとの接触により塩基性アミン化合物塩を得る所望のpH値に調整する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0036】
このCO回収方法によれば、脱炭酸排ガス中の塩基性アミン化合物類を塩基性アミン化合物塩として酸性水に適宜溶解させることができる。
【0037】
また、本発明のCO回収方法では、前記塩基性アミン化合物吸収液からCOを放出させる工程は、前記塩基性アミン化合物吸収液に塩基性ナトリウムを添加する工程を含み、前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物が含まれる前記酸性水の一部を、前記塩基性ナトリウムを添加する工程に供給することを特徴とする。
【0038】
このCO回収方法によれば、塩基性アミン化合物を含む酸性水105に、塩基性ナトリウムを添加することにより、塩基性アミン化合物吸収液、酸とナトリウムの塩に分離させ、塩基性アミン化合物吸収液は吸収塔2にリサイクルし、酸とナトリウムの塩は系外に取り出すことができる。この場合、塩基性アミン化合物は、大気中に放散されずに系内に回収されることとなるため、消費量を減少させることができる。
【0039】
また、本発明のCO回収方法では、前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物が含まれる前記酸性水の一部を、前記塩基性ナトリウムを添加する工程に供給する工程に至る前に、前記酸性水を濃縮する工程を含むことを特徴とする。
【0040】
このCO回収方法によれば、塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水を濃縮することで、脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物が含まれる酸性水の一部を、塩基性ナトリウムを添加する工程に供給する工程に至る酸性水の量を減らせるため、塩基性アミン化合物類を無害化する処理を助勢することができる。
【0041】
また、本発明のCO回収方法では、前記脱炭酸排ガスに前記酸性水を接触させる工程の後、前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を無害化する工程を含むことを特徴とする。
【0042】
このCO回収方法によれば、塩基性アミン化合物類を含む酸性水を、排水処理部に供給し、無害化することにより、塩基性アミン化合物類を適宜無害化することができ、アンモニアなど塩基性アミン化合物類以外の塩基性物質も同時に無害化することができる。
【0043】
また、本発明のCO回収方法では、塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を無害化する工程に至る前記酸性水を濃縮する工程を含むことを特徴とする。
【0044】
このCO回収方法によれば、塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水を濃縮することで、排水処理部に至る酸性水の量を減らせるため、排水処理部の処理を助勢することができる。
【0045】
また、本発明のCO回収方法では、前記脱炭酸排ガスに前記酸性水を接触させる工程は、前記塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスに同伴するミスト状の前記酸性水を捕集する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0046】
このCO回収方法によれば、脱炭酸排ガスと共に、塩基性アミン化合物類を含有するミスト状の酸性水が排出される事態を防止できる。
【0047】
また、本発明のCO回収方法では、前記脱炭酸排ガスに前記酸性水を接触させる工程は、前記酸性水への補給水として、前記塩基性アミン化合物吸収液から回収されたCOガスを冷却した際の凝縮水、またはCOを吸収させる工程以前に前記排ガスを冷却する凝縮水を供給する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0048】
このCO回収方法によれば、CO回収装置内で発生する凝縮水を利用することで、CO回収系外から水を補給することなく、塩基性アミン化合物類の捕集を行える。
【0049】
また、本発明のCO回収方法では、前記塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスにおける前記塩基性アミン化合物類の濃度を測定する工程と、測定された前記塩基性アミン化合物類の濃度に基づいて、前記酸性水のpH値、または前記酸性水の流量を調整する工程と、を含むことを特徴とする。
【0050】
このCO回収方法によれば、CO回収装置(吸収塔)外に排出される脱炭酸アミン排ガスに残存する塩基性アミン化合物類の濃度に応じ、この塩基性アミン化合物類を捕集するために適正なpH値、または塩基性アミン化合物類を捕集するために適正な循環流量に調整することができる。
【0051】
また、本発明のCO回収方法では、前記脱炭酸排ガスと前記酸性水とを接触させて前記塩基性アミン化合物類と共に前記脱炭酸排ガスに同伴する揮発性有機化合物類を除去する工程を含むことを特徴とする。
【0052】
このCO回収方法によれば、脱炭酸排ガスに揮発性有機化合物類が残存していても、この揮発性有機化合物類を塩基性アミン化合物類と共に酸性水に溶解させ脱炭酸排ガスから分離させるので、脱炭酸排ガスに残存して放出される揮発性有機化合物類の濃度をより一層低減できる。
【0053】
また、本発明のCO回収方法では、前記塩基性アミン化合物類と共に前記揮発性有機化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスにおける前記揮発性有機化合物類の濃度を測定する工程と、測定された前記揮発性有機化合物類の濃度に基づいて、前記揮発性有機化合物類を除去する工程への前記酸性水の供給流量を調整する工程と、を含むことを特徴とする。
【0054】
このCO回収方法によれば、CO回収装置(吸収塔)外に排出される脱炭酸排ガスに残存する揮発性有機化合物類の濃度に応じ、この揮発性有機化合物類を捕集するために揮発性有機化合物類処理部への供給液流量を調整することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、脱炭酸排ガスに残存して放出される塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るCO回収装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態2に係るCO回収装置の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態3に係るCO回収装置の概略図である。
【図4】図4は、図3に示す揮発性有機化合物類処理部の一例(減圧ストリッピング方式)の概略図である。
【図5】図5は、図3に示す揮発性有機化合物類処理部の一例(スチームストリッピング方式)の概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施例に係るCO回収装置において脱炭酸排ガスに残存する塩基性アミン化合物類および揮発性有機化合物類の濃度の試験結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0058】
[実施の形態1]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、実施の形態1に係るCO回収装置の概略図である。
【0059】
図1に示すように、CO回収装置は、例えば、ボイラなどの産業設備(図示せず)から排出される排ガス101を、冷却水102により冷却する冷却塔1と、排ガス101に、COを吸収する塩基性アミン化合物の水溶液である塩基性アミン化合物吸収液103のリーン溶液103aを向流接触させて排ガス101中のCOを塩基性アミン化合物吸収液103に吸収させ、COを除去した排ガス101を排出する吸収塔2と、COを吸収した塩基性アミン化合物吸収液103のリッチ溶液103bからCOを放出してリーン溶液103aに再生する再生塔3とを備える。
【0060】
冷却塔1は、COを含有する排ガス101が、排ガス送風機(図示せず)により昇圧されて内部に送られ、ここで冷却水102と向流接触させて排ガス101を冷却する。
【0061】
冷却水102は、冷却塔1内の下部に溜まっており、冷却水循環ポンプ1aにより冷却塔1の外部の冷却水管1bを経て冷却塔1内の上部に供給される。そして、冷却水102は、冷却塔1内の上部に設けられたノズル1cから流下されつつ、冷却塔1内の下部に至る過程に設けられた充填層1dの位置で、上昇する排ガス101と向流接触する。また、冷却水管1bには、冷却器1eが設けられており、冷却水102を排ガス101の温度よりも低い温度まで冷却することで、冷却塔1内で排ガス101中の水分の一部が凝縮し、凝縮水となる。この冷却塔1にて冷却された排ガス101は、排ガス管1fを経て冷却塔1から排出され吸収塔2に供給される。
【0062】
吸収塔2は、その下部にCO吸収部21、中央部に水洗部22、上部に吸収液処理部23を有している。CO吸収部21は、冷却塔1から供給された排ガス101と、塩基性アミン化合物吸収液103のリーン溶液103aとを向流接触させ、排ガス101中のCOを塩基性アミン化合物吸収液103に吸収させる。
【0063】
塩基性アミン化合物吸収液103のリーン溶液103aは、再生塔3から供給され、ノズル21aから流下されつつ、吸収塔2の下部に至る過程に設けられた充填層21bの位置で、上昇する排ガス101と向流接触した後、COを吸収したリッチ溶液103bとなり吸収塔2の底部に貯留される。そして、吸収塔2の底部に貯留された塩基性アミン化合物吸収液103のリッチ溶液103bは、吸収塔2の外部のリッチ溶液管21cに設けられたリッチ溶液排出ポンプ21dにより圧送されて再生塔3に供給される。また、COを除去された脱炭酸排ガス101Aは、上昇しつつデミスタ21eを通過し、同伴するミスト状の塩基性アミン化合物吸収液103が回収される。
【0064】
水洗部22は、本実施の形態では第一水洗部22Aと第二水洗部22Bとが上下に2段で配置されている。下段側の第一水洗部22Aは、CO吸収部21にてCOを除去された脱炭酸排ガス101Aと、洗浄水104Aとを向流接触させ、脱炭酸排ガス101Aに同伴された塩基性アミン化合物類を洗浄水104Aで除去するようにしている。
【0065】
洗浄水104Aは、ノズル22Aaから流下されつつ、下方に至る過程に設けられた充填層22Abの位置で、上昇する脱炭酸排ガス101Aと向流接触した後、水受22Acに貯留される。そして、水受22Acに貯留された洗浄水104Aは、吸収塔2の外部の洗浄水管22Adに設けられた洗浄水循環ポンプ22Aeにより圧送循環されつつ冷却器22Afで冷却されてノズル22Aaから再び流下される。すなわち、洗浄水104Aは、脱炭酸排ガス101Aと向流接触しながら塩基性アミン化合物類を脱炭酸排ガス101Aから除去しつつ循環されている。なお、脱炭酸排ガス101Aは、塩基性アミン化合物類を洗浄水104Aにより除去された後、さらに上昇しつつデミスタ22Agを通過し、同伴するミスト状の洗浄水104が回収される。なお、塩基性アミン化合物類には、吸収液として使用する塩基性アミン化合物そのもの以外に、分解により生じた低分子量の塩基性アミン化合物も含まれる。
【0066】
上段側の第二水洗部22Bは、第一水洗部22Aを経て上昇する脱炭酸排ガス101Aと、洗浄水104Bとを向流接触させ、脱炭酸排ガス101Aに同伴された塩基性アミン化合物類を洗浄水104Aでさらに除去するようにしている。
【0067】
洗浄水104Bは、ノズル22Baから流下されつつ、下方に至る過程に設けられた充填層22Bbの位置で、上昇する脱炭酸排ガス101Aと向流接触した後、水受22Bcに貯留される。そして、水受22Bcに貯留された洗浄水104Bは、吸収塔2の外部の洗浄水管22Bdに設けられた洗浄水循環ポンプ22Beにより圧送循環されつつ冷却器22Bfで冷却されてノズル22Baから再び流下される。すなわち、洗浄水104Bは、脱炭酸排ガス101Aと向流接触しながら塩基性アミン化合物類を脱炭酸排ガス101Aから除去しつつ循環されている。なお、脱炭酸排ガス101Aは、塩基性アミン化合物類を洗浄水104Bにより除去された後、さらに上昇しつつデミスタ22Bgを通過し、同伴するミスト状の洗浄水104Bが回収される。
【0068】
第二水洗部22Bには、再生塔3にて塩基性アミン化合物吸収液103より分離されたCOガスを冷却した際の凝縮水(※1)、または冷却塔1にて排ガス101を冷却する際の凝縮水(※2)が、洗浄水104Bとして冷却器22Bf前の洗浄水管22Bdに一部供給される。また、第二水洗部22Bの水受22Bcで溢れた洗浄水104Bは、吸収塔2の外部のオーバーフロー管22Bhに排出され、第一水洗部22Aの水受22Acに供給される。また、第一水洗部22Aの水受22Acで溢れた洗浄水104Aは、吸収塔2の外部のオーバーフロー管22Ahに排出され、CO吸収部21の底に供給される。なお、水洗部22は、1段であってもよく、2段以上あってもよい。
【0069】
吸収液処理部23は、水洗部22(22A,22B)を経た脱炭酸排ガス101Aと、酸性水105とを向流接触させ、脱炭酸排ガス101に残存する塩基性アミン化合物類を、酸性水105の酸と反応させ塩基性アミン化合物塩として酸性水105に溶解させることで脱炭酸排ガス101Aから分離させ、さらに塩基性アミン化合物類が溶解された酸性水105の一部を、副再生装置31dに供給する(※3)。副再生装置31dでは、塩基性アミン化合物を含む酸性水105に、塩基性ナトリウムを添加することにより、塩基性アミン化合物吸収液、酸とナトリウムの塩に分離し、塩基性アミン化合物吸収液は吸収塔2にリサイクルし、酸とナトリウムの塩は系外に取り出すことが可能になる。例えば、酸として硫酸を使用した場合、副再生装置31dでは、主として塩基性アミン化合物吸収液と硫酸ナトリウムとを生成する。また、塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水105の一部を排水処理部23jに供給し、CO回収装置の系外に排出して塩基性アミン化合物類を無害化することも可能である。
【0070】
酸性水105は、ノズル23aから流下されつつ、下方に至る過程に設けられた充填層23bの位置で、上昇する脱炭酸排ガス101Aと向流接触した後、塩基性アミン化合物類が溶解されて水受23cに貯留される。そして、水受23cに貯留された酸性水105は、吸収塔2の外部の酸性水管23dに設けられた酸性水循環ポンプ23eにより圧送循環されてノズル23aから再び流下される。すなわち、酸性水105は、脱炭酸排ガス101Aと向流接触しながら循環する経路をなすように、ノズル23a、吸収塔2内部、充填層23b、水受23c、酸性水管23d、および酸性水循環ポンプ23eにより構成される水循環部を通過する。また、酸性水管23dには、循環する酸性水105の一部を抜き出す酸性水排出管23iが接続されている。この酸性水排出管23iは、2方に分岐して設けられ、分岐した一方が副再生装置31dに接続され、分岐した他方が排水処理部23jに接続されている。すなわち、循環する酸性水105の一部は、副再生装置31dや排水処理部23jに供給される。
【0071】
酸性水105は、副再生装置31dや排水処理部23jに一部抜き出されるため、液(補給水)の補給が必要となる。補給水として、再生塔3にて塩基性アミン化合物吸収液103より分離されたCOガスを冷却した際の凝縮水(※1)、または冷却塔1にて排ガス101を冷却する際の凝縮水(※2)を使用することが好ましい。これにより、CO回収系外から水を補給することなく、塩基性アミン化合物類の捕集を行うことが可能になる。
【0072】
また、酸性水105は、酸水溶液が貯留された酸タンク23f、酸水溶液管23g、および酸水溶液ポンプ23hから構成される酸添加部により、酸が供給される。酸の供給は、酸性水105のpHを計測し、塩基性アミン化合物塩を得るpHとなるように調整する。具体的には、酸性水のpHを4.0〜6.5になるように酸の供給量を調整する。酸水溶液には、希釈された硫酸、ホウ酸、シュウ酸、炭酸、塩酸などが適用される。
【0073】
なお、塩基性アミン化合物吸収液103を回収された脱炭酸アミン排ガス101Bは、さらに上昇しつつデミスタ23kを通過し、同伴するミスト状の塩基性アミンを含む酸性水(塩基性アミン化合物類が溶解された酸性水)105が回収された後、吸収塔2の外部の排ガス排出管23mから排出される。
【0074】
排水処理部23jに送られる排水は、塩基性アミンを含む酸性水であり、排水中に高濃度のN(窒素)、CODを含むため、無害化処理が必要となる。この無害化の方法としては、生物処理、触媒酸化法、廃液燃焼法などを採用することができる。生物処理は、常温、常圧で有機体窒素(塩基性アミン)を主に窒素ガスとする処理が可能であるが、設備設置面積が大きいこと、副生成物として汚泥が発生するため汚泥処理が必要となる。
【0075】
触媒酸化法は、高温、高圧条件化で、窒素ガスと水に分解することが可能であり、設備設置面積が小型であること、副生成物が発生しないことなどの利点はあるが、塩基性アミン化合物を完全に分解することが困難であり、一部残存することが懸念される。
【0076】
廃液燃焼法は、高温条件化で補助燃料とともに廃液を噴霧燃焼させるもので、有機分が多くCODの高い排水の処理に適している。燃焼器にて補助燃料を燃焼させて生成した高温の燃焼生成ガスを炉内へ吹きこみ、当該炉に塩基性アミン化合物類が溶解された酸性水105を噴霧することにより、高温下で、有機物のC(炭素)がCO(二酸化炭素)に、H(水素)がHO(水)に分解され、塩分はダストとなる。ダストは、後段の水吸収設備で捕集され、溶解し、中和処理を行った後、放流する。
【0077】
また、吸収液処理部23には、吸収塔2から脱炭酸アミン排ガス101BをCO回収装置外に排出する排ガス排出管23mに、脱炭酸アミン排ガス101Bにおける塩基性アミン化合物の濃度を測定する排ガス測定部23nが設けられている。また、吸収液処理部23には、酸性水105が循環される酸性水管23dに、酸性水105のpH値を測定するpH測定部23oが設けられている。また、吸収液処理部23には、酸性水105が循環される酸性水管23dに、酸性水105の流量を測定する流量測定部23pが設けられている。そして、排ガス測定部23n、pH測定部23o、流量測定部23p、酸水溶液ポンプ23h、および酸性水循環ポンプ23eは、制御部23qに接続されている。
【0078】
排ガス測定部23nには、全炭化水素濃度計と、アルカリ濃度計と、ガス中全窒素濃度計とのいずれかを使用することができる。全炭化水素濃度計は、試料ガスを水素炎イオン化検出器に導入して測定するもので、メタンをガスクロマトグラフ分離管で試料ガスから分離した後に水素炎イオン化検出器に導入して測定し、非メタン炭化水素を両者の差として求める。この全炭化水素濃度計では、主に、アミン化合物および揮発性有機化合物(例えばアルデヒド)の濃度を測定できる。
【0079】
アルカリ濃度計は、容器に吸収液(HSO(硫酸),HBO(ホウ酸))を導入し、この吸収液に試料ガスを所定量通してアルカリ成分を吸収させた後、NaOH(水酸化ナトリウム)規定液にて中和滴定してアルカリ量を求める。このアルカリ濃度計では、主に、アミン化合物およびアミン分解物(例えばアンモニア)の濃度を測定できる。
【0080】
ガス中全窒素濃度計は、試料ガスを酸化触媒層へ導入し、塩基性アミン化合物をすべてNO(一酸化窒素)またはNO(二酸化窒素)に酸化した後、コンバータへ導入し、NOをNOに変換して、検出器(化学発光法)で全窒素濃度(NO+NO)を検出する。一方、試料ガスを酸化触媒層に通さず、コンバータへ導入し、NOをNOに変換して、検出器(化学発光法)で排ガス中の全窒素濃度を検出する。そして、酸化触媒層に導入した場合の全窒素濃度から酸化触媒相に導入しない場合の全窒素濃度を差し引くことにより、塩基性アミン由来の窒素濃度を計測することが可能になる。
【0081】
制御部23qは、マイコンなどで構成され、プログラムやデータが格納されたRAMやROMなどから構成される記憶部(図示せず)を有している。記憶部には、ガス中の塩基性アミン化合物類を塩基性アミン化合物塩として溶解させるための酸性水105の循環流量を決める酸性水循環ポンプ23eの流量のデータが格納されている。また、記憶部には、脱炭酸アミン排ガス101Bに残存する塩基性アミン化合物類の濃度に基づいて、ガス中の塩基性アミン化合物類を塩基性アミン化合物塩として溶解させるための酸性水105の所望のpH値、またはガス中の塩基性アミン化合物類を所望の除去率とするための酸性水105の循環流量を決める酸性水循環ポンプ23eの流量のデータが格納されている。この制御部23qは、排ガス測定部23nにて測定された濃度に基づき、記憶部に予め格納されたプログラムやデータに従って、塩基性アミン化合物類を塩基性アミン化合物塩とする所望のpH値に酸性水105を調整する態様で、酸水溶液ポンプ23hの供給流量を制御する。または、制御部23qは、排ガス測定部23nにて測定された濃度に基づき、記憶部に予め格納されたプログラムやデータに従って、塩基性アミン化合物類を所望の除去率となる態様で、酸性水循環ポンプ23eの供給流量を制御する。
【0082】
再生塔3は、その下半部に吸収液再生部31を有している。吸収液再生部31は、塩基性アミン化合物吸収液103を、リッチ溶液103bからCOを回収してリーン溶液103aとして再生することで、COを吸収した塩基性アミン化合物吸収液103からCOを放出させる。
【0083】
塩基性アミン化合物吸収液103のリッチ溶液103bは、吸収塔2におけるCO吸収部21のリッチ溶液管21cから供給されノズル31aから流下される。そして、リッチ溶液103bは、再生塔3の下部に至る過程に設けられた下部充填層31bを通過しつつ、再生塔3の下部に接続された再生加熱器31cによる吸熱反応により、ほぼ全てのCOが放出されたリーン溶液103aとなり再生塔3内の底部に貯留される。再生塔3の下部には、副再生装置31dが接続されており、リーン溶液103aの一部を加熱することにより、劣化物などが濃縮されてスラッジとして回収すると共に、発生する蒸気は再生塔3の下部に戻される。そして、再生塔3の下部に貯留されたリーン溶液103aは、リーン溶液管31eに設けられたリーン溶液排出ポンプ31fにより圧送されて吸収塔2に供給される過程で、リッチ溶液管21cを経て再生塔3に供給される過程のリッチ溶液103bとリッチ・リーン熱交換器4により熱交換され、かつ冷却器31gで冷却される。
【0084】
一方、放出されたCOは、再生塔3内を上昇し、上部充填層31hを経て、再生塔3の頂部より排出される。このとき、COには水分が含まれているため、CO排出ライン32aに設けられたコンデンサ32bにおいて冷却することにより、COに含まれる水分を凝縮し、この凝縮水106とCOとをCO分離器32cによって分離する。凝縮水106と分離された高純度のCOはCO放出ライン32dから脱炭酸プロセス系外へと放出され、後の工程において利用または処分される。凝縮水106は、凝縮水ポンプ32eにより輸送され、その一部は再生塔還流水ライン32fを経て再生塔3の塔頂のノズル32gから再生塔3内に供給される。この凝縮水106は、アミン濃度が非常に低いため、吸収液処理部23および水洗部22の補給水として使用可能である。
【0085】
このように、上述した実施の形態1のCO回収装置は、排ガス101と塩基性アミン化合物吸収液103とを接触させて排ガス101中のCOを塩基性アミン化合物吸収液103に吸収させるCO吸収部21、およびCO吸収部21でCOを除去された脱炭酸排ガス101Aと洗浄水104A,104Bとを接触させて脱炭酸排ガス101Aに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する少なくとも一つ以上の水洗部22(22A,22B)を有する吸収塔2と、COを吸収した塩基性アミン化合物吸収液103からCOを放出させる再生塔3とを備えたものである。そして、このCO回収装置において、水洗部22の脱炭酸排ガスの流れの後段に、脱炭酸排ガス101Aと循環する酸性水105とを接触させて脱炭酸排ガス101Aに同伴する塩基性アミン化合物類をさらに除去する吸収液処理部23を備えている。
【0086】
このCO回収装置によれば、水洗部22を経た脱炭酸排ガス101Aに塩基性アミン化合物類が残存していても、この塩基性アミン化合物類を酸性水105の酸と反応させて脱炭酸排ガス101Aから分離させるので、脱炭酸排ガス101Aに残存して放出される塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減することが可能になる。
【0087】
特に、このCO回収装置によれば、循環する酸性水105に脱炭酸排ガス101Aを接触させて塩基性アミン化合物類を酸性水105中に溶解させるため、酸性水105のpH値を、塩基性アミン化合物塩を得るのに適した範囲に容易に調整することが可能であり、当量以上の酸を使用することなく、効率よく脱炭酸排ガス中に残存した塩基性アミン化合物類を除去することが可能になる。
【0088】
また、実施の形態1のCO回収装置では、酸性水105を、脱炭酸排ガス101Aとの接触により塩基性アミン化合物塩を得る所望のpH値に調整する制御部23qを備えている。
【0089】
制御部23qは、酸性水循環ポンプ23eを制御し、酸性水管23dを介して循環する酸性水105の流量を調節する。このため、pH測定部23oで測定されるpH値が所望のpH値に調整される。この結果、脱炭酸排ガス101A中の塩基性アミン化合物類を塩基性アミン化合物塩として酸性水105に適宜溶解させることが可能になる。
【0090】
また、実施の形態1のCO回収装置では、再生塔3の塩基性アミン化合物吸収液103に塩基性ナトリウムを添加する副再生装置31dを設け、脱炭酸排ガス101Aから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる酸性水105の一部を副再生装置31dに供給する酸性水排出管23iを備えている。
【0091】
このCO回収装置によれば、副再生装置31dにおいて、塩基性アミン化合物を含む酸性水105に、塩基性ナトリウムを添加することにより、塩基性アミン化合物吸収液、酸とナトリウムの塩に分離させ、塩基性アミン化合物吸収液は吸収塔2にリサイクルし、酸とナトリウムの塩は系外に取り出すことが可能になる。この場合、塩基性アミン化合物は、大気中に放散されずに系内に回収されることとなるため、消費量を減少させることが可能になる。
【0092】
また、実施の形態1のCO回収装置では、脱炭酸排ガス101Aから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる酸性水105を無害化する排水処理部23jを備えている。
【0093】
このCO回収装置によれば、塩基性アミン化合物類を含む酸性水を、排水処理部に供給し、無害化することにより、塩基性アミン化合物類を適宜無害化することができ、アンモニアなど塩基性アミン化合物類以外の塩基性物質も同時に無害化することが可能になる。
【0094】
また、実施の形態1のCO回収装置では、塩基性アミン化合物類が分離された後の脱炭酸排ガス101Aに同伴するミスト状の酸性水105を捕集するデミスタを備えている。
【0095】
このCO回収装置によれば脱炭酸排ガス101Aと共に、塩基性アミン化合物類を含有するミスト状の酸性水105が排出される事態を防ぐことが可能になる。
【0096】
また、実施の形態1のCO回収装置では、酸性水105への補給水として、塩基性アミン化合物吸収液103から回収されたCOガスを冷却した際の凝縮水106、またはCO吸収部21に供給される排ガス101を冷却する冷却水(凝縮水)102を、水循環部で循環される循環水として供給する。
【0097】
このCO回収装置によれば、CO回収装置内で発生する凝縮水を利用することで、CO回収系外から水を補給することなく、塩基性アミン化合物類の捕集を行うことが可能になる。
【0098】
また、実施の形態1のCO回収装置では、塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガス101Bにおける塩基性アミン化合物類の濃度を測定する排ガス測定部23nと、排ガス測定部23nにて測定された塩基性アミン化合物類の濃度に基づいて、酸性水105のpH値、または酸性水105の流量を調整する制御部とを備えている。
【0099】
このCO回収装置によれば、CO回収装置(吸収塔2)外に排出される脱炭酸アミン排ガス101Bに残存する塩基性アミン化合物類の濃度に応じ、この塩基性アミン化合物類を捕集するために適正なpH値、または塩基性アミン化合物類を捕集するために適正な循環流量に調整することが可能になる。
【0100】
実施の形態1のCO回収方法は、排ガス101と塩基性アミン化合物吸収液103とを接触させて排ガス101中のCOを塩基性アミン化合物吸収液103に吸収させる工程と、COを除去された脱炭酸排ガス101Aと洗浄水104A,104Bとを接触させて脱炭酸排ガス101Aに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する工程と、COを吸収した塩基性アミン化合物吸収液103からCOを放出させる工程とを含む。このCO回収方法において、洗浄水104A,104Bと接触する工程を経た脱炭酸排ガス101Aに対し、循環する酸性水105を接触させて脱炭酸排ガス101Aに同伴する塩基性アミン化合物類をさらに除去する工程を含む。
【0101】
このCO回収方法によれば、COを除去された脱炭酸排ガス101Aに洗浄水104A,104Bを接触させて脱炭酸排ガス101Aに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する工程を経た脱炭酸排ガス101Aに塩基性アミン化合物類が残存していても、この塩基性アミン化合物類を酸性水105と反応させて脱炭酸排ガス101Aから分離させるので、脱炭酸排ガス101Aに残存して放出される塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減することが可能になる。
【0102】
特に、このCO回収方法によれば、循環する酸性水105に脱炭酸排ガス101Aを接触させて塩基性アミン化合物類を酸性水105中に溶解させるため、酸性水105のpH値を、塩基性アミン化合物塩を得るのに適した範囲に容易に調整することが可能であり、当量以上の酸を使用することなく、効率よく脱炭酸排ガス中に残存した塩基性アミン化合物類を除去できる。
【0103】
また、実施の形態1のCO回収方法では、脱炭酸排ガス101Aに酸性水を接触させる工程は、酸性水を、脱炭酸排ガスとの接触により塩基性アミン化合物塩を得る所望のpH値に調整する工程をさらに含む。
【0104】
ここでは、酸性水を、脱炭酸排ガスとの接触により塩基性アミン化合物塩を得る所望のpH値に調整する工程では、循環する酸性水105の流量を調節する。この結果、脱炭酸排ガス101A中の塩基性アミン化合物類を塩基性アミン化合物塩として酸性水105に適宜溶解させることが可能になる。
【0105】
また、実施の形態1のCO回収方法では、塩基性アミン化合物吸収液103からCOを放出させる工程は、塩基性アミン化合物吸収液103に塩基性ナトリウムを添加する工程を含み、脱炭酸排ガス101Aから除去した塩基性アミン化合物が含まれる酸性水105の一部を、塩基性ナトリウムを添加する工程に供給する工程を含む。
【0106】
このCO回収方法によれば、塩基性アミン化合物を含む酸性水105に、塩基性ナトリウムを添加することにより、塩基性アミン化合物吸収液103、酸とナトリウムの塩に分離させ、塩基性アミン化合物吸収液103は吸収塔2にリサイクルし、酸とナトリウムの塩は系外に取り出すことが可能になる。この場合、塩基性アミン化合物は、大気中に放散されずに系内に回収されることとなるため、消費量を減少させることが可能になる。
【0107】
また、実施の形態1のCO回収方法では、脱炭酸排ガス101Aに酸性水105を接触させる工程の後、脱炭酸排ガス101Aから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる酸性水105を無害化する工程を含む。
【0108】
このCO回収方法によれば、塩基性アミン化合物類を含む酸性水を、排水処理部に供給し、無害化することにより、塩基性アミン化合物類を適宜無害化することができ、アンモニアなど塩基性アミン化合物類以外の塩基性物質も同時に無害化することが可能になる。
【0109】
また、実施の形態1のCO回収方法では、脱炭酸排ガス101Aに酸性水105を接触させる工程は、塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガス101Bに同伴するミスト状の酸性水105を捕集する工程をさらに含む。
【0110】
このCO回収方法によれば、脱炭酸アミン排ガス101Bと共に、塩基性アミン化合物類を含有するミスト状の酸性水105が排出される事態を防ぐことが可能になる。
【0111】
また、実施の形態1のCO回収方法では、脱炭酸排ガス101Aに酸性水105を接触させる工程は、酸性水105への補給水として、塩基性アミン化合物吸収液103から回収されたCOガスを冷却した際の凝縮水106、またはCOを吸収させる工程以前に排ガス101を冷却する冷却水(凝縮水)102を供給する工程をさらに含む。
【0112】
このCO回収方法によれば、CO回収系内で発生する凝縮水を利用することで、CO回収系外から水を補給することなく、塩基性アミン化合物類の捕集を行うことが可能になる。
【0113】
また、実施の形態1のCO回収方法では、塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガス101Bにおける塩基性アミン化合物類の濃度を測定する工程と、測定された塩基性アミン化合物類の濃度に基づいて、酸性水105のpH値、または酸性水105の流量を調整する工程とを含む。
【0114】
このCO回収方法によれば、CO回収系外に排出される脱炭酸アミン排ガス101Bに残存する塩基性アミン化合物類の濃度に応じ、この塩基性アミン化合物類を捕集するために適正なpH値、または塩基性アミン化合物類を捕集するために適正な循環流量に調整することが可能になる。
【0115】
[実施の形態2]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図2は、実施の形態2に係るCO回収装置の概略図である。
【0116】
図2に示すように、実施の形態2のCO回収装置は、上述した実施の形態1のCO回収装置に対し、さらに濃縮部23rを備えている。そして、実施の形態2のCO回収装置の他の構成は、上述した実施の形態1のCO回収装置と同じであることから、同一符号を付してその説明を省略する。
【0117】
濃縮部23rは、吸収液処理部23において、水循環部の酸性水管23dから酸性水105を排水処理部23jに供給する酸性水排出管23iに設けられ、副再生装置31dまたは排水処理部23jに至る酸性水105を濃縮する。
【0118】
濃縮部23rには、多重効用蒸発装置と、蒸気圧縮式濃縮装置とのいずれかがある。多重効用蒸発装置は、酸性水105を蒸発缶にて貯留しつつ加熱して蒸発させ、濃縮された酸性水105を次の蒸発缶に供給すると共に蒸気を次の蒸発缶での加熱源として用い、蒸発缶を複数設けたものである。
【0119】
蒸気圧縮式濃縮装置は、蒸発缶で発生した蒸気を圧縮機で加圧して、温度を高くすることにより、加熱用熱源として利用するものであり、濃縮の際の動力消費量を低減できるものである。
【0120】
このような濃縮部23rにて、濃縮された酸性水105は、酸性水排出管23iを経て副再生装置31dまたは排水処理部23jに供給される。一方、酸性水105の濃縮により発生した蒸気は、冷却されて凝縮水となり、返水管23sを経て水循環部の水受23cに供給される。
【0121】
このように、実施の形態2のCO回収装置では、上述した実施の形態1のCO回収装置において、塩基性アミン化合物類が含まれる酸性水105を、副再生装置31dまたは排水処理部23jに至る前で濃縮する濃縮部23rを備えている。
【0122】
このCO回収装置によれば、上述した実施の形態1のCO回収装置による効果に加え、濃縮部23rにより塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水105を濃縮することで、副再生装置31dに至る酸性水105の量を減らせるため、副再生装置31dの処理を助勢することが可能になる。換言すると、副再生装置31dに供給する液量が減少するので、副再生装置31dの小型化および副再生に伴う蒸気消費量の低減を図ることが可能になる。
【0123】
また、このCO回収装置によれば、上述した実施の形態1のCO回収装置による効果に加え、濃縮部23rにより塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水105を濃縮することで、排水処理部23jに至る酸性水105の量を減らせるため、排水処理部23jの処理を助勢することが可能になる。換言すると、排水処理部23jに供給する液量が減少するので、排水処理部23jの小型化を図ることが可能になる。
【0124】
特に排水処理方法として、触媒酸化法や廃液燃焼法を採用する場合には、濃縮することにより処理対象液量が減少するため、装置が小型化するとともに補助燃料の消費量も低減することが可能となる。例えば、濃縮部23rで濃縮倍率を10倍とすることにより、排水処理部23jへの供給流量を1/10とすることができ、廃液燃焼法の場合は補助燃料の使用量を1/10以下とすることが可能になる。
【0125】
実施の形態2のCO回収方法では、上述した実施の形態1のCO回収方法において、脱炭酸排ガス101Aから除去した塩基性アミン化合物が含まれる酸性水105の一部を、塩基性ナトリウムを添加する工程に供給する工程に至る前に、酸性水105を濃縮する工程を含む。
【0126】
このCO回収方法によれば、上述した実施の形態1のCO回収方法による効果に加え、塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水105を濃縮することで、脱炭酸排ガス101Aから除去した塩基性アミン化合物が含まれる酸性水105の一部を、塩基性ナトリウムを添加する工程に供給する工程に至る酸性水105の量を減らせるため、塩基性アミン化合物類を無害化する処理を助勢することが可能になる。
【0127】
実施の形態2のCO回収方法では、上述した実施の形態1のCO回収方法において、塩基性アミン化合物類が含まれる酸性水105を無害化する工程に至る酸性水105を濃縮する工程を含む。
【0128】
このCO回収方法によれば、上述した実施の形態1のCO回収方法による効果に加え、塩基性アミン化合物類が溶解した酸性水105を濃縮することで、塩基性アミン化合物類を無害化する工程に至る酸性水105の量を減らせるため、塩基性アミン化合物類を無害化する処理を助勢することが可能になる。
【0129】
[実施の形態3]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図3は、実施の形態3に係るCO回収装置の概略図であり、図4は、図3に示す揮発性有機化合物類処理部の一例(減圧ストリッピング方式)の概略図であり、図5は、図3に示す揮発性有機化合物類処理部の一例(スチームストリッピング方式)の概略図である。
【0130】
図3に示すように、実施の形態3のCO回収装置は、上述した実施の形態2のCO回収装置に対し、さらに揮発性有機化合物類処理部(VOC類処理部)23tを備えている。そして、実施の形態3のCO回収装置の他の構成は、上述した実施の形態2のCO回収装置と同じであることから、同一符号を付してその説明を省略する。なお、図3では、上述した濃縮部23rを備えた実施の形態2のCO回収装置(図2参照)に対し、さらに揮発性有機化合物類処理部23tを備えた形態として示しているが、濃縮部23rを備えていない実施の形態1のCO回収装置(図1参照)や、排水処理部23jおよび濃縮部23rを備えていない実施の形態1のCO回収装置に対し、さらに揮発性有機化合物類処理部23tを備えた形態でもよい。
【0131】
揮発性有機化合物類処理部(VOC類処理部)23tは、塩基性アミン化合物類と共に酸性水105中に溶解したアルデヒドなどの揮発性有機化合物類を、脱炭酸排ガス101Aから分離するものである。揮発性有機化合物類処理部23tは、吸収液処理部23において、酸性水管23dと排水処理部23jとに接続された酸性水排出管23uに設けられている。
【0132】
この揮発性有機化合物類処理部23tには、減圧ストリッピング方式と、スチームストリッピング方式とのいずれかがある。減圧ストリッピング方式は、図4に示すように、放散塔23t1と濃縮塔23t2とを有している。放散塔23t1は、その上方にノズル23t3が設けられている。ノズル23t3は、絞弁23t4が設けられた酸性水排出管23uを介して水循環部における酸性水管23d側に接続されている。また、放散塔23t1は、その底部が水循環部における水受23cに対して戻管23vを介して接続されている。戻管23vには、返送ポンプ23t5が設けられている。濃縮塔23t2は、上方にノズル23t6が設けられている。ノズル23t6は、濃縮塔23t2自身の下方の外部と濃縮排水管23t7を介して接続されている。濃縮排水管23t7は、濃縮排水ポンプ23t8および冷却器23t9が設けられていると共に、酸性水排出管23uの排水処理部23j側に接続されている。また、放散塔23t1の頂部と濃縮塔23t2の中央部下方とは、放散ガス管23t10を介して接続されている。この放散ガス管23t10には、放散ガスポンプ23t11が設けられていると共に、放散塔23t1の頂部圧力を計測する圧力計23t12が設けられている。また、濃縮塔23t2の頂部と、放散塔23t1の下方とは、濃縮ガス管23t13を介して接続されている。この濃縮ガス管23t13には、絞弁23t14が設けられている。なお、放散塔23t1および濃縮塔23t2の内部は段塔方式にすることも可能である。
【0133】
この減圧ストリッピング方式の揮発性有機化合物類処理部23tは、放散塔23t1の上段に、水循環部に循環される酸性水105の一部が供給される。放散塔23t1内で、放散ガス管23t13より供給されるガスにより、酸性水105中に含まれている揮発性有機化合物類は液側からガス側に移行し、戻管23vの液中の揮発性有機化合物濃度は低下し、吸収液処理部23に返送される。一方、放散塔23t1の塔頂からは、揮発性有機化合物類を含むガスが放散ガスポンプ23t11を経て、濃縮塔23t2に供給される。濃縮塔23t2では、放散塔23t1と比較して圧力が高いこと、および温度が低いことから、揮発性有機化合物類はガス側から液側に移行することとなり、濃縮塔23t2内の循環水中に揮発性有機化合物類が濃縮される。揮発性有機化合物類を含む液は、排水処理部23jに供給され無害化処理される。また、濃縮塔23t2の塔頂からは、揮発性有機化合物濃度が低下したガスが得られ、放散ガス管23t13より放散塔23t1に供給される。
【0134】
スチームストリッピング方式は、図5に示すように、蒸気ストリッピング塔23t21、リボイラ23t22、凝縮器23t23、および濃縮液タンク23t24から構成される。蒸気ストリッピング塔23t21は、その中央にノズル23t25が設けられている。ノズル23t25は、絞弁23t26が設けられた酸性水排出管23uを介して水循環部における酸性水管23d側に接続されている。また、蒸気ストリッピング塔23t21は、その底部が水循環部における水受23cに対して戻管23vを介して接続されている。戻管23vには、返送ポンプ23t27、および返送液冷却器23t28が設けられている。また、酸性水管23d側に接続された酸性水排出管23uと、水受23cに接続された戻管23vとの間には、熱交換器23t29が設けられている。リボイラ23t22は、蒸気ストリッピング塔23t21の底部に貯留された酸性水105を蒸気により加熱するためのもので、蒸気ストリッピング塔23t21の外部下方に設置されている。蒸気ストリッピング塔23t21の頂部は、酸性水排出管23uの排水処理部23j側に接続されている。かかる酸性水排出管23uには、凝縮器23t23および濃縮液タンク23t24が設けられている。また、酸性水排出管23uには、濃縮液タンク23t24の後段に濃縮液ポンプ23t30が設けられている。さらに、酸性水排出管23uは、濃縮液ポンプ23t30の後段で環流管23t31により分岐している。この環流管23t31は、蒸気ストリッピング塔23t21内の上部に設けられたノズル23t32に接続されている。また、蒸気ストリッピング塔23t21の内部には、ノズル23t25,23t32の下部に、充填層23t33がそれぞれ設けられているが、段塔方式にすることも可能である。
【0135】
このスチームストリッピング方式の揮発性有機化合物類処理部23tは、蒸気ストリッピング塔23t21の上段に、水循環部に循環される揮発性有機化合物類を含む酸性水105の一部が供給される。蒸気ストリッピング塔23t21の内部では、底部に貯留された酸性水105がリボイラ23t22により加熱されることで、揮発性有機化合物類は酸性水105から蒸発し、蒸気とともに塔頂部に送られる。揮発性有機化合物類を除去した酸性水105は、返送ポンプ23t27により、熱交換器23t29、返送液冷却器23t28を順に経て、吸収液処理部23に返送される。一方、揮発性有機化合物類を含む蒸気は、蒸気ストリッピング塔23t21の頂部から排出されつつ、凝縮器23t23により冷却され、揮発性有機化合物含有液107となる。揮発性有機化合物含有液107は、濃縮液タンク23t24に貯留されつつ濃縮液ポンプ23t30で、一部が蒸気ストリッピング塔23t21に還流されると共に、排水処理部23jに送られ、無害化処理される。
【0136】
このように、実施の形態3のCO回収装置では、上述した実施の形態1のCO回収装置、および実施の形態2のCO回収装置に加え、脱炭酸排ガス101Aと酸性水105とを接触させて塩基性アミン化合物類と共に脱炭酸排ガス101Aに同伴する揮発性有機化合物類を除去する揮発性有機化合物類除去部23tを備えている。
【0137】
このCO回収装置によれば、上述した実施の形態1のCO回収装置、および実施の形態2のCO回収装置による効果に加え、水洗部22を経た脱炭酸排ガス101Aに揮発性有機化合物類が残存していても、この揮発性有機化合物類を塩基性アミン化合物類と共に酸性水105中に溶解させ脱炭酸排ガス101Aから分離させるので、脱炭酸排ガス101Aに残存して放出される揮発性有機化合物類の濃度をより一層低減することが可能になる。
【0138】
また、実施の形態3のCO回収装置では、CO回収装置外に排出される脱炭酸アミン排ガス101B、すなわち揮発性有機化合物類が分離された後の脱炭酸アミン排ガス101Bにおける揮発性有機化合物類の濃度を測定する排ガス測定部23nと、排ガス測定部23nにて測定された揮発性有機化合物類の濃度に基づいて揮発性有機化合物類を除去する揮発性有機化合物類処理部23tを制御する制御部23qとを備えている。
【0139】
排ガス測定部23nは、CO回収装置(吸収塔2)外に排ガス(脱炭酸排ガス)101が排出する排ガス排出管23mに設けられている。排ガス測定部23nには、全炭化水素濃度計がある。全炭化水素濃度計は、試料ガスを水素炎イオン化検出器に導入して測定するもので、メタンをガスクロマトグラフ分離管で試料ガスから分離した後に水素炎イオン化検出器に導入して測定し、非メタン炭化水素を両者の差として求める。この全炭化水素濃度計では、主に、アミン化合物および揮発性有機化合物(例えばアルデヒド)の濃度を測定できる。
【0140】
制御部23qは、マイコンなどで構成され、プログラムやデータが格納されたRAMやROMなどから構成される記憶部を有している。記憶部には、排ガス(脱炭酸排ガス)101に残存する揮発性有機化合物類の濃度に基づいて、揮発性有機化合物類を無害化する揮発性有機化合物類処理部23tの処理能力を制御するためのデータが格納されている。この制御部23qは、排ガス測定部23nにて測定された濃度に基づき、記憶部に予め格納されたプログラムやデータに従って、揮発性有機化合物処理部23tへの酸性水105の供給流量を制御する。そして、揮発性有機化合物類処理部23tが減圧ストリッピング方式の場合、制御部23qは、供給流量の変化に合わせて、放散塔23t1の内圧力および濃縮塔23t2からの返送ガス流量を追従させるように制御する。一方、揮発性有機化合物類処理部23tが蒸気ストリッピング方式の場合、制御部23qは、供給流量の変化に合わせて、リボイラ23t22への蒸気供給量を追従させるように制御する。
【0141】
このCO回収装置によれば、排ガス測定部23nにて測定された濃度に基づいて揮発性有機化合物類を無害化する揮発性有機化合物類処理部23tを制御することで、CO回収装置(吸収塔2)外に排出される脱炭酸アミン排ガス101Bに残存する揮発性有機化合物類の濃度に応じ、この揮発性有機化合物類を捕集するために揮発性有機化合物類処理部23tへの供給液流量を調整することが可能になる。
【0142】
また、実施の形態3のCO回収方法では、上述した実施の形態1のCO回収方法、および実施の形態2のCO回収方法に加え、脱炭酸排ガス101Aと酸性水105とを接触させて塩基性アミン化合物類と共に脱炭酸排ガス101Aに同伴する揮発性有機化合物類を除去する工程を含む。
【0143】
このCO回収方法によれば、上述した実施の形態1のCO回収方法、および実施の形態2のCO回収方法による効果に加え、脱炭酸排ガス101Aに揮発性有機化合物類が残存していても、この揮発性有機化合物類を塩基性アミン化合物類と共に酸性水105に溶解させ脱炭酸排ガス101Aから分離させるので、脱炭酸排ガス101Aに残存して放出される揮発性有機化合物類の濃度をより一層低減することが可能になる。
【0144】
また、実施の形態3のCO回収方法では、CO回収系外に排出される脱炭酸アミン排ガス101B、すなわち塩基性アミン化合物類と共に揮発性有機化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガス101Bにおける揮発性有機化合物類の濃度を測定する工程と、測定された揮発性有機化合物類の濃度に基づいて、揮発性有機化合物類を除去する工程への酸性水105の供給流量を調整する工程とを含む。
【0145】
このCO回収方法によれば、CO回収系外に排出される脱炭酸アミン排ガス101Bにおける揮発性有機化合物類の濃度に応じ、この揮発性有機化合物類を捕集するために供給液流量を調整することが可能になる。
【実施例】
【0146】
本実施例では、CO回収装置において、脱炭酸排ガスに残存する塩基性アミン化合物類および揮発性有機化合物類の濃度について試験が行われた(図6参照)。
【0147】
この試験において、従来例は、上述した吸収液処理部23を備えていないCO回収装置を用いたもので、吸収塔から排出された塩基性アミン化合物類は、8[ppm]であり、揮発性有機化合物類の濃度は、5[ppm]であった。一方、実施例は、上述した図3に示すCO回収装置を用いたもので、酸性水のpHは5.0に設定され、酸性水排出ポンプからの酸性水循環流量が、液/ガス比=2.5に設定されている。また、揮発性有機化合物処理部には、循環流量に対して20[%]に相当する液を供給している。この際、吸収塔から排出された塩基性アミン化合物類は0.2[ppm]以下であり、揮発性有機化合物類の濃度は0.5[ppm]以下であった。このように、実施例のCO回収装置では、従来例と比較して、吸収塔から排出された塩基性アミン化合物類は1/40以下、揮発性有機化合物類の濃度が1/10以下となった。
【0148】
この結果、図6に示すように、本実施例では、塩基性アミン化合物類の濃度及び揮発性有機化合物濃度を脱炭酸排ガスに残存する塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
以上のように、本発明に係るCO回収装置およびCO回収方法は、脱炭酸排ガスに残存する塩基性アミン化合物類の濃度をより一層低減することに適している。
【符号の説明】
【0150】
1 冷却塔
2 吸収塔
21 CO吸収部
22 水洗部
22A 第一水洗部
22B 第二水洗部
23 吸収液処理部
23a ノズル
23b 充填層
23c 水受
23d 酸性水管
23e 酸性水循環ポンプ
23f 酸タンク
23g 酸水溶液管
23h 酸水溶液ポンプ
23i 酸性水排出管
23j 排水処理部
23k デミスタ
23m 排ガス排出管
23n 排ガス測定部
23o pH測定部
23p 流量測定部
23q 制御部
23r 濃縮部
23s 返水管
23t 揮発性有機化合物類処理部
23Ta 放散塔
23Tb 濃縮塔
23Tc ノズル
23Td 戻管
23Te 戻ポンプ
23Tf ノズル
23Tg 濃縮排水管
23Th 濃縮排水ポンプ
23Ti 冷却器
23Tk 放散ガス管
23Tm 放散ガスポンプ
23Tn 圧力計
23Tp 濃縮蒸気管
23Tq 絞弁
23u 酸性水排出管
3 再生塔
4 リッチ・リーン熱交換器
101 排ガス
101A 脱炭酸排ガス
101B 脱炭酸アミン排ガス
102 冷却水
103 塩基性アミン化合物吸収液
103a リーン溶液
103b リッチ溶液
104A,104B 洗浄水
105 酸性水
106 凝縮水
107 揮発性有機化合物含有液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスと塩基性アミン化合物吸収液とを接触させて前記排ガス中のCOを前記塩基性アミン化合物吸収液に吸収させるCO吸収部、および前記CO吸収部でCOを除去された脱炭酸排ガスと洗浄水とを接触させて前記脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する少なくとも一つ以上の水洗部を有する吸収塔と、
COを吸収した前記塩基性アミン化合物吸収液からCOを放出させる再生塔と、
を備えるCO回収装置において、
前記水洗部の脱炭酸排ガスの流れの後段に、前記脱炭酸排ガスと循環する酸性水とを接触させて前記脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類をさらに除去する吸収液処理部を備えることを特徴とするCO回収装置。
【請求項2】
前記酸性水を、前記脱炭酸排ガスとの接触により塩基性アミン化合物塩を得る所望のpH値に調整する制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のCO回収装置。
【請求項3】
前記再生塔の前記塩基性アミン化合物吸収液に塩基性ナトリウムを添加する副再生装置を設け、
前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水の一部を前記副再生装置に供給する酸性水排出管を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のCO回収装置。
【請求項4】
前記塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を、前記副再生装置に至る前で濃縮する濃縮部を備えたことを特徴とする請求項3に記載のCO回収装置。
【請求項5】
前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を無害化する排水処理部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のCO回収装置。
【請求項6】
前記塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を、前記排水処理部に至る前で濃縮する濃縮部を備えたことを特徴とする請求項5に記載のCO回収装置。
【請求項7】
前記塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスに同伴するミスト状の前記酸性水を捕集するデミスタを備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のCO回収装置。
【請求項8】
前記酸性水への補給水として、前記塩基性アミン化合物吸収液から回収されたCOガスを冷却した際の凝縮水、または前記CO吸収部に供給される前記排ガスを冷却する凝縮水を供給することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のCO回収装置。
【請求項9】
前記塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスにおける前記塩基性アミン化合物類の濃度を測定する排ガス測定部と、
前記排ガス測定部にて測定された前記塩基性アミン化合物類の濃度に基づいて、前記酸性水のpH値、または前記酸性水の流量を調整する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のCO回収装置。
【請求項10】
前記脱炭酸排ガスと前記酸性水とを接触させて前記塩基性アミン化合物類と共に前記脱炭酸排ガスに同伴する揮発性有機化合物類を除去する揮発性有機化合物類除去部を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のCO回収装置。
【請求項11】
前記塩基性アミン化合物類と共に前記揮発性有機化合物が除去された後の脱炭酸アミン排ガスにおける前記揮発性有機化合物類の濃度を測定する排ガス測定部と、
前記排ガス測定部にて測定された前記揮発性有機化合物類の濃度に基づいて、前記揮発性有機化合物類除去部への前記酸性水の供給流量を調整する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項10に記載のCO回収装置。
【請求項12】
排ガスと塩基性アミン化合物吸収液とを接触させて前記排ガス中のCOを前記塩基性アミン化合物吸収液に吸収させる工程と、
COを除去された脱炭酸排ガスと洗浄水とを接触させて前記脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類を除去する工程と、
COを吸収した前記塩基性アミン化合物吸収液からCOを放出させる工程と、
を含むCO回収方法において、
前記洗浄水と接触する工程を経た前記脱炭酸排ガスに対し、循環する酸性水を接触させて前記脱炭酸排ガスに同伴する塩基性アミン化合物類をさらに除去する工程を含むことを特徴とするCO回収方法。
【請求項13】
前記脱炭酸排ガスに前記酸性水を接触させる工程は、前記酸性水を、脱炭酸排ガスとの接触により塩基性アミン化合物塩を得る所望のpH値に調整する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のCO回収方法。
【請求項14】
前記塩基性アミン化合物吸収液からCOを放出させる工程は、前記塩基性アミン化合物吸収液に塩基性ナトリウムを添加する工程を含み、
前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物が含まれる前記酸性水の一部を、前記塩基性ナトリウムを添加する工程に供給することを特徴とする請求項12または13に記載のCO回収方法。
【請求項15】
前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物が含まれる前記酸性水の一部を、前記塩基性ナトリウムを添加する工程に供給する工程に至る前に、前記酸性水を濃縮する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載のCO回収方法。
【請求項16】
前記脱炭酸排ガスに前記酸性水を接触させる工程の後、前記脱炭酸排ガスから除去した塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を無害化する工程を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれか一つに記載のCO回収方法。
【請求項17】
塩基性アミン化合物類が含まれる前記酸性水を無害化する工程に至る前記酸性水を濃縮する工程を含むことを特徴とする請求項16に記載のCO回収方法。
【請求項18】
前記脱炭酸排ガスに前記酸性水を接触させる工程は、前記塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスに同伴するミスト状の前記酸性水を捕集する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12〜17のいずれか一つに記載のCO回収方法。
【請求項19】
前記脱炭酸排ガスに前記酸性水を接触させる工程は、前記酸性水への補給水として、前記塩基性アミン化合物吸収液から回収されたCOガスを冷却した際の凝縮水、またはCOを吸収させる工程以前に前記排ガスを冷却する凝縮水を供給する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12〜18のいずれか一つに記載のCO回収方法。
【請求項20】
前記塩基性アミン化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスにおける前記塩基性アミン化合物類の濃度を測定する工程と、
測定された前記塩基性アミン化合物類の濃度に基づいて、前記酸性水のpH値、または前記酸性水の流量を調整する工程と、
を含むことを特徴とする請求項12〜19のいずれか一つに記載のCO回収方法。
【請求項21】
前記脱炭酸排ガスと前記酸性水とを接触させて前記塩基性アミン化合物類と共に前記脱炭酸排ガスに同伴する揮発性有機化合物類を除去する工程を含むことを特徴とする請求項12〜20のいずれか一つに記載のCO回収方法。
【請求項22】
前記塩基性アミン化合物類と共に前記揮発性有機化合物類が除去された後の脱炭酸アミン排ガスにおける前記揮発性有機化合物類の濃度を測定する工程と、
測定された前記揮発性有機化合物類の濃度に基づいて、前記揮発性有機化合物類を除去する工程への前記酸性水の供給流量を調整する工程と、
を含むことを特徴とする請求項21に記載のCO回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−115724(P2011−115724A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275616(P2009−275616)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】