説明

COX−関連胃損傷を予防するための非−選択的COX阻害剤との組み合わせ療法

本発明は、単独のまたはNSAIDと組み合わせた、ニコチンアミド、ニコチンアミド誘導体およびプロスタグランジン擬似物質、並びに疼痛、炎症、および/または胃腸毒性の処置におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、引用することにより本発明の内容となる「COX−関連胃損傷を予防するための非−選択的COX阻害剤との組み合わせ療法」の名称の2006年3月8日に出願された代理人記録番号PRI−004−1である米国特許暫定出願第60/780,264号に対する優先権を主張する。さらに、この明細書を通して引用されるいずれかの特許、特許出願、および参考文献の内容はそれにより引用することにより本発明の内容となる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
例えばイブプロフェン(ibuprofen)、ケトプロフェン(ketoprofen)およびジクロフェナック(diclofenac)の如き化合物を包含する非−ステロイド系抗−炎症薬(NSAID類)は抗−炎症作用を有しそしてプロスタグランジン類および炎症の他の媒介物の放出に関係する疼痛に対して有効である。例えば、ジクロフェナックは鎮痛および抗−炎症剤として非常に効力がありそして有効である。ジクロフェナックは米国において慢性関節リウマチ、変形性関節症および強直性脊椎炎の長期症状処置に関して認可されている。急性筋骨格損傷、急性肩疼痛、手術後疼痛および月経困難症の短期処置にも有用であると考えられる。さらに、NSAID類は数年間にわたり関節炎療法において広く使用されてきた。
【0003】
NSAID類は疼痛を抑制するための有効な剤として広く認められており、それらの投与は過敏性の個体では胃十二指腸病変、例えば、潰瘍および糜爛、の発生をもたらしうる。これらの病変の発生に寄与する因子は罹病体の胃および上部小腸内の酸の存在であることが示唆されていた。この見解は、罹病体(patients)が独立した服用量の酸阻害剤も摂取する時のNSAID耐性における改良を示す臨床試験により支持される(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。NSAID−関係の胃疾患に寄与する他の主な因子はNSAID類の局部的な有毒効果および保護プロスタグランジン類の阻害(非特許文献6および非特許文献7)を包含し、それらは他の有害刺激の潰瘍誘発効果に対してある種の罹病体をより敏感性にさせうる。
【0004】
胃腸管に対して元来毒性が少ないNSAID類を開発する試みだけが限定された成功をもたらした。例えば、最近開発されたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤は胃腸潰瘍および糜爛を生ずる傾向の減少を示すが、特に罹病体が他の潰瘍誘発剤に露呈される場合には、有意な危険性が依然として存在する(非特許文献8、非特許文献9)。さらに、COX−2阻害剤はある種の疼痛の緩和においては他のNSAID類ほど有効でなくそして有意な心臓血管問題と関係していた(非特許文献10、非特許文献11)。
【0005】
より少ない胃腸毒性を有するNSAID療法を提示する他の試みは細胞保護剤の共存(concomitant)投与を包含していた。1998年に、サール(Searle)はGI潰瘍発生の危険性のある罹病体における関節症の処置用にArthrotecTMを販売し始めた。この製品はミソプロストール(misoprostol)(細胞保護プロスタグランジン)およびNSAIDジクロフェナックを含有する。ArthrotecTMを投与された罹病体はより少ない潰瘍発生の危険性を有するが、彼らは多くの他の重篤な副作用、例えば下痢、重篤な痙攣および、妊娠女性の場合には、胎児に対する損傷可能性、を受けうる。
【0006】
別の方法は腸溶性被覆NSAID製品を製造することであった。しかしながら、これらは短期試験では胃十二指腸損傷における中程度の低下を示したが(非特許文献12および非特許文献13)、慢性処置中の長期利点の首尾一貫した証拠はない。
【0007】
全体として、胃炎、消化性糜爛、潰瘍、GI出血などの形態の胃腸毒性の危険性がNSAID類の投与に関係する認識された問題であること並びに相当な努力にもかかわらず理想的な解決法はまだ見出されていないことを結論しうる。
【非特許文献1】Dig.Dis.12:210−222(1994)
【非特許文献2】Drug Safety 21:503−512(1999)
【非特許文献3】Aliment.Pharmacol Ther.12:135−140(1998)
【非特許文献4】Am.J.Med.104(3A):67S−74S(1998)
【非特許文献5】Clin.Ther.17:1159−1173(1995)
【非特許文献6】Can.J.Gastroenterol 13:135−142(1999)
【非特許文献7】Pract.Drug Safety 21:503−512,(1999)
【非特許文献8】JAMA 284:1247−1255(2000)
【非特許文献9】N.Eng.J.Med.343:1520−1528(2000)
【非特許文献10】JADA 131:1729−1737(2000)
【非特許文献11】SCRIP 2617,pg.19,Feb.14,2001
【非特許文献12】Scand.J.Gastroenterol.20:239−242(1985)
【非特許文献13】Scand.J.Gastroenterol.25:231−234(1990)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
一面で、本発明はNSAIDおよびプロスタグランジン擬似物質を含んでなる製薬学的組成物を提供する。1つの態様では、プロスタグランジン擬似物質はゲニステイン(genistein)、ダイドゼイン(daidzein)、タモキシフェン(tamoxifen)、テトランドリン(tetrandrine)、サプシガルジン(thapsigargin)および式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、nは0または1であり、RはH、FまたはClであり、Rはアジド、−C(
O)CHN、−N(H)C(O)NH、−N(H)C(O)H、−C(O)Rまたは以下の5−員の複素環:
【0011】
【化2】

【0012】
であり、ここでRはNRまたはORであり、RおよびRはそれぞれ、独立して、水素またはC1−4アルキルであり、Rは水素、C1−4アルキルまたはCHOHであり、WおよびZは、独立して、C(H)またはNであり、AはO、SまたはNHであり、そしてXは生理学的に適する対−アニオンである]
の化合物よりなる群から選択される。
【0013】
別の態様では、プロスタグランジン擬似物質はプロスタシクリン擬似物質である。さらに別の態様では、プロスタグランジン擬似物質はプロスタグランジン作用物質である。さらに別の態様では、プロスタグランジン作用物質はPGI作用物質またはPGE作用物質から選択される。別の態様では、作用物質はU46619、I−BOP、STA、BW245C、L−644698、ZK110841、13,15−ジヒドロ−15−ケト−PGD、インドメタシン(indomethacin)、15−R−メチル−PGD、15d−PGI、ONO−KI−004、イロプロスト(iloprost)、17−フェニル−トリノル(trinor)PGE、スルプロストン(sulprostone)、ブタプロスト(butaprost)、11−デオキシPGE、AH13205、ONO−AEI−259、スルプロストン(sulprostone)、MB28767、ミソプロストル(misoprostol)、SC46275、ONO−AE−249、PGE−OH、ONO−AEI−329、シカプロスト(cicaprost)、カルバシクリン(carbacyclin)、フルプロステノール(fluprostenol)、ラタノプロスト(latanoprost)、トラボプロスト(travoprost)、ビマトプロスト(bimatoprost)、ベラプロスト(beraprost)、クロプロステノール・ソジウム(cloprostenol sodium)、エイコソペンタン酸、ドコソヘキサン酸、セラミド、酪酸ナトリウムおよび弗化アルミニウムよりなる群から選択される。
【0014】
別の態様では、本発明は被験体におけるNSAID投与に関係する有害影響の処置または予防のための、本発明の製薬学的組成物の使用を提供する。1つの態様では、被験体におけるNSAID投与に関係する有害影響は胃腸管内のいずれかにおける1種もしくはそれ以上のプロスタグランジンの減少に関連する。別の態様では、被験体におけるNSAID投与に関係する有害影響は胃内における1種もしくはそれ以上のプロスタグランジンの減少に関連する。さらに別の態様では、プロスタグランジンはPGEおよび/またはPGIである。別の態様では、被験体におけるNSAID投与に関係する有害影響はGI毒性である。さらに別の態様では、GI毒性は胃炎、消化性糜爛、潰瘍、胃病変およびGI出血よりなる群から選択される。
【0015】
別の態様では、本発明における使用のためのNSAIDはアスピリン(aspirin)、インドメタシン(indomethacin)、ボルタレン(voltaren)、ナプロシン(naprosyn)、イブプロフェン(ibuprofen)、ナプロキセン(naproxen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、トルメチン(tolmetin)、スリンダック(sulindac)、メクロフェナメート(meclofenamate)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ピロキシカム(piroxicam)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、ジクロフェナック(diclofenac)、アセチルサリチル酸、アセチルサリチル酸ナトリウム、アセチルサリチル酸カルシウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、サルサレート(salsalate)、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル(diflunisal)、ケトロラック(ketorolac)、カルプロフェン(carprofen)、メフェナミック・アシド(mefenamic acid)、メロキシカム(meloxicam)およびニメスリド(nimesulide)よりなる群から選択される。
【0016】
別の面で、本発明はそれを必要とする被験体にNSAIDおよびプロスタグランジンの放出を選択的に刺激する分子を含んでなる治療的に有効な量の製薬学的組成物を投与することを含んでなる、被験体において疼痛および/または炎症を処置する方法を提供する。1つの態様では、分子はゲニステイン、ダイドゼイン、タモキシフェン、テトランドリン、サプシガルジンおよび式(I)の化合物よりなる群から選択される。
【0017】
別の面で、本発明はそれを必要とする被験体にNSAIDおよびプロスタグランジン作用物質を含んでなる治療的に有効な量の製薬学的組成物を投与することを含んでなる、被験体において疼痛および/または炎症を処置する方法を提供する。1つの態様では、プロスタグランジン作用物質はPGI作用物質またはPGE作用物質から選択される。別の態様では、作用物質はU46619、I−BOP、STA、BW245C、L−644698、ZK110841、13,15−ジヒドロ−15−ケト−PGD、インドメタシン、15−R−メチル−PGD、15d−PGJ、ONO−KI−004、イロプロスト、17−フェニル−トリノルPGE、スルプロストン、ブタプロスト、11−デオキシPGE、AH13205、ONO−AEI−259、スルプロストン、MB28767、ミソプロストル、SC46275、ONO−AE−249、PGE−OH、ONO−AEI−329、シカプロスト、カルバシクリン、フルプロステノール、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、ベラプロスト、クロプロステノールナトリウム、エイコソペンタン酸、ドコソヘキサン酸、セラミド、酪酸ナトリウムおよび弗化アルミニウムよりなる群から選択される。別の態様では、炎症は熱病、関節炎、喘息、気管支炎、月経痛、腱炎、滑液包炎、皮膚の炎症性疾患、胃腸症状、血管疾病、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、無形成貧血、ホジキン病、強皮症、リウマチ熱、重症筋無力症、類肉腫症、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、過敏症、結膜炎、歯肉炎、損傷後の腫張発生および心筋虚血よりなる群から選択される。さらに別の態様では、関節炎は慢性関節リウマチ、脊椎関節症、痛風関節炎、全身性紅斑性狼瘡、変形性関節症および若年性関節炎から選択される。さらに別の態様では、皮膚の炎症性疾患は乾癬、湿疹、火傷および皮膚炎よりなる群から選択される。別の態様では、胃腸症状は炎症性腸症候群、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群および潰瘍性大腸炎よりなる群から選択される。さらに別の態様では、疼痛は月経痛、下方背部疼痛、頸部疼痛、骨格疼痛、分娩後疼痛、頭痛、片頭痛に関係する疼痛、歯痛、捻挫、過労、関節炎、変性関節疾病、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、照射および腐食性化学的損傷を包含する火傷、日焼け、骨折、免疫および自己免疫疾病、細胞新生物変態または転移性腫瘍成長、並びに手術および歯科処置後の疼痛よりなる群から選択される。別の態様では、関節炎は慢性関節リウマチ、脊椎関節症、痛風関節炎、全身性紅斑性狼瘡、変形性関節症および若年性関節炎から選択される。さらに別の態様では、NSAIDおよび式(I)の化合物を含んでなる治療的に有効な量の製薬学的組成物を被験体における胃病変、GI毒性の徴候、虚血、再灌流、結直腸癌および胃粘膜に対する損傷を処置するために使用する。さらに別の態様では、GI毒性の徴候は胃炎、消化性糜爛、潰瘍およびGI出血よりなる群から選択される。
【0018】
別の面で、本発明はそれを必要とする被験体に治療的に有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる、被験体において疼痛および/または炎症を処置する方法を提
供する。
【0019】
式(I)の化合物の1つの態様では、nは1である。別の態様では、Rは−C(O)Rであり、そしてRはNRである。さらに別の態様では、Rは−C(O)Rであり、RはNRであり、そしてRはメチルまたは水素を表す。さらに別の態様では、Rは−C(O)Rであり、RはNRであり、そしてRはCHOHまたは水素を表す。別の態様では、Rは−C(O)Rであり、そしてRは基ORを表し、そしてRはC1−4アルキルを表す。さらに別の態様では、Rは−C(O)Rであり、Rは基ORを表し、そしてRはプロピルまたはエチルを表す。さらに別の態様では、式(I)の化合物は1−メチルニコチンアミド塩または1−メチル−N’−ヒドロキシメチルニコチンアミド塩から選択される。別の態様では、式(I)の化合物は1−メチルニコチン酸エチルエステル塩またはl−メチルニコチン酸プロピルエステル塩から選択される。さらに別の態様では、式(I)の化合物は1−メチルニコチン酸塩から選択される。さらに別の態様では、nは1でありそしてXは塩化アニオン、安息香アニオン、サリチルアニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオンまたは乳酸アニオンである。別の態様では、式(I)の化合物は塩化1−メチルニコチンアミド、クエン酸1−メチルニコチンアミド、乳酸1−メチルニコチンアミド、塩化1−メチル−N’−ヒドロキシメチルニコチンアミド、塩化1−メチル−ニコチン酸、塩化1−メチル−ニコチン酸エチルエステルまたは塩化1−メチル−ニコチン酸プロピルエステルから選択される。さらに別の態様では、Rは5−員の複素環であり、ここでAはOであり、そしてWおよびZはCHであるか、AはSであり、そしてWおよびZはCHであるか、AはNHであり、そしてWおよびZはCHであるか、AはOであり、WはNでありそしてZはCHであるか、AはSであり、WはNでありそしてZはCHであるか、AはNHであり、WはNでありそしてZはCHであるか、AはOであり、WはCHでありそしてZはNであるか、AはSであり、WはCHでありそしてZはNであるか、AはNHであり、WはCHでありそしてZはNであるか、AはOであり、WおよびZはCHであるか、AはSであり、WおよびZはCHであるか、またはAはNHでありそしてWおよびZはNである。さらに別の態様では、nは1である。別の態様では、nは1であり、RはHでありそしてRはアジドである。
【0020】
別の面で、本発明はそれを必要とする被験体において被験体にNSAIDおよび1−メチルニコチンアミド塩を含んでなる製薬学的組成物を投与することにより胃病変、GI毒性の徴候、虚血、再灌流、結直腸癌または胃粘膜に対する損傷を処置する方法を提供する。特定の態様では、GI毒性の徴候は胃炎、消化性糜爛、潰瘍およびGI出血よりなる群から選択される。
【0021】
別の面で、本発明はNSAIDおよび1−メチルニコチンアミド塩、およびその製薬学的に許容可能な塩類を含んでなる製薬学的組成物を被験体に投与することにより炎症−関係疾患および/または疼痛をそれを必要とする被験体において処置する方法を提供する。
【0022】
発明の詳細な記述
本発明はニコチンアミドおよびニコチンアミド誘導体に関する。さらに、本発明は1種もしくはそれ以上のNSAIDおよびプロスタグランジン擬似物質を含んでなる製薬学的組成物、並びに疾病および疾患、例えば疼痛および炎症に関連するもの、の処置におけるその使用に関する。1つの態様では、プロスタグランジン擬似物質はPGIまたはPGEの放出を選択的に刺激する。特定の態様では、プロスタグランジン擬似物質はニコチンアミドまたはニコチンアミド誘導体である。別の態様では、プロスタグランジン擬似物質はプロスタグランジン(例えば、PGIまたはPGE)作用物質である。別の態様では、プロスタグランジン擬似物質はNSAID投与に関係する有害副作用を妨害するように機能する。特に、本発明の具体的な態様はここでは例示態様として記載されておりそして限定する意図はない。
【0023】
長期にわたるNSAID使用から生ずる合併症は普遍的でありそして主として、例えば、胃炎、消化性糜爛、潰瘍、胃病変およびGI出血の形態の胃腸(gastrointestinal;GI)毒性による。このGI毒性は、胃内の細胞保護プロスタグランジン類(PGEおよびPGI)の製造の原因となる一次イソフォーム(isoform)であるイソフォームシクロ−オキシゲナーゼ(COX)−1の遮断の原因となっていた。しかしながら、この仮説は簡素化しすぎのようである。
【0024】
選択的および非選択的COX阻害剤を取り扱う一連の文献(“COX inhibition and NSAID−induced gastric damage−roles in various pathogenic events.”Curr Top Med Chem.2005;5(5):475−86で論評されている)で、Takeuchi他は齧歯動物におけるCOX阻害と病原性事象との間の関連性を検討した。Takeuchi他は、(1)NSAID類の胃潰瘍誘発性質はCOX−1の阻害だけにより説明されるものでなくそしてCOX−1およびCOX−2の両方の阻害を必要とし、(2)COX−1の阻害は胃の過剰運動性に関係するCOX−2発現を上方調整し、そして(3)COX−2により製造されるプロスタグランジン類はCOX−1阻害の有害影響を妨害すると結論づけた。
【0025】
これらの観察を鑑みて、そうでなければNSAID類の投与により枯渇する罹病体における1種もしくはそれ以上のプロスタグランジンの製造を刺激するように設計された方策が是認されており、そして本発明の主題である。理論により拘束しようとするものではないが、これらのプロスタグランジン類の刺激は胃腸管の損傷に対するNSAID−誘発性COX阻害の寄与を妨害するように機能することが信じられている。そのような枯渇したプロスタグランジン類の製造をプロスタグランジン擬似物質の使用により増加させうる。1つの態様では、プロスタグランジン擬似物質はPGIまたはPGEの放出を選択的に刺激する。特定の態様では、プロスタグランジン擬似物質は式(I)のニコチンアミドまたはニコチンアミド誘導体である。別の態様では、プロスタグランジン擬似物質はプロスタグランジン(例えば、PGIまたはPGE)作用物質である。ある態様では、プロスタグランジン擬似物質は1種もしくはそれ以上のNSAID(例えば、ナプロシン、ボルタレン、またはインドメタシン)と共に被験体に製薬学的組成物として投与される。
【0026】
例えば、限定しようとするものではないが、COX−2により製造される主要なプロスタグランジン類はPGEおよびPGIである。以上で論じられたように、これらのプロスタグランジン類のいずれかのNSAID−誘発性枯渇がGI毒性をもたらしうる。従って、これらのプロスタグランジン類のいずれかまたは両者の濃度の補充はこれらの悪影響を妨害するであろう。例えば、N−メチルニコチンアミド(MNA、1−メチルニコチンアミドとも称する)が血栓崩壊検定においてPGIの分泌を刺激することが示された(引用することにより本発明の内容となる、国際公開第05067927A3号パンフレット)。それ故、MNAは適当な割合で1種もしくはそれ以上のNSAIDと共同投与(co−administered)されてPGIの増加した製造によりGI管内の悪影響を妨害する。この種類の製薬学的組成物はNSAID−関係疾病および疾患、例えば疼痛および炎症、の処置にも有効であろう。
【0027】
同様に、1種もしくはそれ以上のNSAIDおよびプロスタグランジン擬似物質を含んでなる製薬学的組成物をNSAID−関係疾病および疾患、例えば疼痛および炎症、の処置のために使用することができる。
【0028】
定義
本発明のこれらのおよび他の態様を、簡便さのためにここにまとめられている以下の定
義を参照しながら記載する。
【0029】
ここで使用される用語「NSAID」はプロスタグランジン類の生合成に寄与する酵素であるシクロオキシゲナーゼを阻害する作用剤(agent)並びにシクロオキシゲナーゼの種々のイソ酵素(シクロオキシゲナーゼ−1および−2を包含するがそれらに限定されない)の阻害剤を包含するある種のオートコイド(autocoid)阻害剤、例えば市販のNSAID類であるアセクロフェナック(aceclofenac)、アセメタシン(acemetacin)、アセトアミノフェン(acetaminophen)、アセトアミノサロール(acetaminosalol)、アセチル−サリチル酸(acetyl−salicylic acid)、アセチル−サリチリック−2−アミノ−4−ピコリン−酸(acetyl−salicylic−2−amino−4−picoline−acid)、5−アミノアセチルサリチル酸(5−aminoacetylsalicylic acid)、アルコフェナック(alclofenac)、アミノプロフェン(aminoprofen)、アムフェナック(amfenac)、アムピロン(ampyrone)、アムピロキシカム(ampiroxicam)、アニレリジン(anileridine)、ベンダザック(bendazac)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ベルモプロフェン(bermoprofen)、α−ビサボロール(α−bisabolol)、ブロムフェナック(bromfenac)、5−ブロモサリチル酸酢酸エステル(5−bromosalicylic acid acetate)、ブルモサリゲニン(bromosaligenin)、ブクロキシック・アシド(bucloxic acid)、ブチブフェン(butibufen)、カルプロフェン(carprofen)、セレコキシブ(celecoxib)、クロモグリケート(chromoglycate)、シンメタシン(cinmetacin)、クリンダナック(clindanac)、クロピラック(clopirac)、ソジウム・ジクロフェナック(sodium diclofenac)、ジフルニサル(diflunisal)、ジタゾール(ditazol)、ドロキシカム(droxicam)、エンフェナミック・アシド(enfenamic acid)、エトドラック(etodolac)、エトフェナメート(etofenamate)、フェルビナック(felbinac)、フェンブフェン(fenbufen)、フェンクロジック・アシド(fenclozic acid)、フェンドサル(fendosal)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フェンチアザック(fentiazac)、フェプラジノール(fepradinol)、フルフェナック(flufenac)、フルフェナミック・アシド(flufenamic acid)、フルニキシン(flunixin)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、グルタメタシン(glutametacin)、サリチル酸グリコール(glycol salicylate)、イブフェナック(ibufenac)、イブプロフェン(ibuprofen)、イブプロキサム(ibuproxam)、インドメタシン(indomethacin)、インドプロフェン(indoprofen)、イソフェゾラック(isofezolac)、イソキセパック(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ケトロラック(ketorolac)、ロルノキシカム(lornoxicam)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、メクロフェナミック・アシド(meclofenamic acid)、メフェナミック・アシド(mefenamic acid)、メロキシカム(meloxicam)、メサラミン(mesalamine)、メチアジニック・アシド(metiazinic acid)、モフェゾラック(mofezolac)、モンテルカスト(montelukast)、ミコフェノーリック・アシド(mycophenolic acid)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、ニフルミック・アシド(niflumic acid)、ニメスリド(nimesulide)、オルサラジン(olsalazine)、オキサセプロール(oxaceprol)、オキサプロジン(oxaprozin)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、パラセタモール(paracetamol)、パルサルミド(parsalmide)、ペリソキサル(perisoxal)、サリチル酸フェニル−アセチル(phenyl−acethyl−salicylate)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、サリチル酸フェニル(phenylsalicylate)、ピラゾラック(pyrazolac)、ピロキシカム(piroxicam)、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プロチジニック・アシド(protizinic acid)、レセルベラトール(reserveratol)、サラセタミド(salacetamide)、サリチルアミド(salicylamide)、サリチルアミド−O−アセチル酸(salicylamide−O−acetyl acid)、サリチル硫酸(salicylsulphuric acid)、サリシン(salicin)、サリチルアミド(salicylamide)、サルサレート(salsalate)、スリンダック(sulindac)、スプロフェン(suprofen)、スキシブタゾン(suxibutazone)、タモキシフェン(tamoxifen)、テノキシカム(tenoxicam)、テオフィリン(theophylline)、チアプロフェニック・アシド(tiaprofenic acid)、チアラミド(tiaramide)、チクロプリジン(ticlopridine)、チノリジン(tinoridine)、トルフェナミック・アシド(tolfenamic acid)、トルメチン(tolmetin)、トロペシン(tropesin)、キセンブシン(xenbucin)、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)、ゾメピラック(zomepirac)、トモキシプロール(tomoxiprol)、ザフィルルカスト(zafirlukast)およびシクロスポリン(cyclosporine)、を包含するがそれらに限定されない。別のNSAID群および特定のNSAID化合物は、引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,297,260号明細書(特にその請求項1の一般式およびそこに含まれるNSAID類の具体的なリストの引用並びに請求項3、並びに引用することにより本発明の内容となる国際特許出願国際公開第01/87890号パンフレットに開示されたチアズリデンNSAID類)に開示されている。好ましいNSAID類はインドメタシン、フルフェナミック・アシド、フルニキシンおよびテオフィリンである。インドメタシン、ボルタレンおよびナプロシンが最も好ましい。ある種の態様では、NSAID副単位はアセチルサリチル酸またはミコフェノーリック・アシドのいずれかでない。さらに、The Merck Manual,16th Edition,Merck Research Laboratories(1990)pp 1308−1309、並びにThe Pharmacological Basis of Therapeutics,9th edition,Macmillan Publishing Co.,1996,pp 617−655がNSAID類の既知の例を与える。
【0030】
ここで使用される用語「プロスタグランジン擬似物質」はプロスタグランジンの性質を擬するかまたはプロスタグランジンを擬する分子、例えば化合物、薬品、酵素活性化剤またはホルモン、をさす。プロスタグランジン擬似物質の例は選択的なプロスタグランジン擬似物質、例えばニコチンアミド、または本発明のニコチンアミド誘導体、例えばMNA、およびプロスタグランジン作用物質、を包含するがそれらに限定されない。理論により拘束しようとするものではないが、特定のプロスタグランジン類の放出の刺激がNSAID使用に関係する有害影響(または有害影響の徴候)(例えばGI毒性)を妨害すると信じられている。
【0031】
ここで使用される用語「NSAID使用に関係する有害影響」は、プロスタグランジン擬似物質が被験体においてプロスタグランジンを、例えば被験体においてプロスタグランジンの性質または作用方式を、擬する点において、本発明のプロスタグランジン擬似物質により処置または予防しうる疾病および疾患(または軽減しうるそのような疾病もしくは疾患の兆候)を記載するものである。プロスタグランジン擬似物質は、プロスタグランジ
ンの放出、または被験体におけるプロスタグランジン濃度の上昇、または被験体におけるプロスタグランジン類のレベルを上昇させうる遺伝子の発現増加の直接の原因である分子でありうる。プロスタグランジン擬似物質の別の例は、プロスタシクリン受容体に直接作用する分子、例えばプロスタグランジン作用物質、例えばプロスタグランジンI(IP)受容体作用物質、である。
【0032】
或いは、「NSAID使用に関係する有害影響」は、プロスタグランジン擬似物質がプロスタグランジンの放出を選択的に刺激するかまたはプロスタグランジン類のレベルを上昇させうる遺伝子の発現増加をもたらす点において、本発明のプロスタグランジン擬似物質により処置または予防しうる疾病および疾患(または軽減しうるそのような疾病もしくは疾患の兆候)を記載できる。「プロスタグランジンの放出を選択的に刺激する」プロスタグランジン擬似物質はプロスタグランジン類を結合する受容体に直接作用しないが、そのプロスタグランジンとその1種もしくは複数の標的受容体との結合増加に利用可能な特定のプロスタグランジンの上昇したレベルを生ずる。そのようなプロスタグランジン擬似物質はここでは「選択的なプロスタグランジン擬似物質」と称する。選択的なプロスタグランジン擬似物質の非−限定例は本発明のニコチンアミド誘導体(例えば、ニコチンアミド、MNA)、ゲニステイン、ダイドゼイン(例えば、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics Fast Forward;DOI:10.1124/jpet.105,090456参照)、タモキシフェン(例えば、BMC Cancer 2003,3:24;DOI:10.1186/1471−2407−3−24参照)、テトランドリン、サプシガルギン(例えば、BMC Pharmacol.2005;5:12.;DOI:10.1186/1471−2210−5−12参照)、並びに米国特許第5,530,001号明細書に記載されたPGI生成促進剤を包含するがそれらに限定されず、全ての文献は引用することにより本発明の内容となる。
【0033】
ある種の態様では、プロスタグランジン擬似物質はプロスタシクリンの性質または作用方式を擬する。
【0034】
ある種の態様では、本発明のプロスタグランジン擬似物質によるプロスタグランジンの放出の刺激はNSAID使用に関係する有害影響の徴候の処置、予防、または軽減の10%より多くを、例えば20%より多くを、例えば30%より多くを、例えば40%より多くを、例えば50%より多くを、説明することができる。ある種の態様では、プロスタグランジンの放出の刺激はNSAID使用に関係する有害影響の徴候の処置、予防、または軽減の該百分率を説明する1つもしくはそれ以上の影響をもたらしうる。同様に、NSAID使用に関係する有害影響は枯渇したプロスタグランジンの量をNSAID投与前レベルに補充するために本発明のプロスタグランジン擬似物質を用いて軽減することができる。別の態様では、枯渇したプロスタグランジンレベルはNSAID投与前レベルより高い、例えばNSAID投与前レベルの100%より高い、レベルにされる。他の態様では、枯渇したプロスタグランジンレベルはNSAID投与前レベルより1%高い、例えば5%高い、例えば10%高い、例えば20%高い、例えば30%高い、例えば40%高い、例えば50%高い、例えば60%高い、例えば70%高い、例えば80%高い、例えば90%高いレベルにされる。
【0035】
用語「プロスタグランジン作用物質」は、インビボでプロスタグランジン受容体と結合し(例えば、An S.et al.,Cloning and Expression
of the EP Subtype of Human Receptors for Prostaglandin E,Biochemical and Biophysical Research Communications,1993,197(1):263−270)そして少なくとも1種のプロスタグランジンの作用を擬する化
合物をさす。プロスタグランジン作用物質はプロスタグランジンI(IP)受容体作用物質も包含する。そのようなIP受容体作用物質の例は、引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,998,414号明細書および第6,335,459号明細書に見出すことができる。さらに、プロスタグランジン作用物質は核受容体であるペロオキシソーム増殖剤−活性化された受容体(PPAR;例えば、Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.,34,(2),2006,242−246参照)に結合する化合物を包含する。PPAR作用物質はPPAR 副単位のいずれかの作用物質またはそれらの組み合わせも包含する。例えば、PPAR作用物質はPPARα、PPARγ、PPARδ、PPARα+γ、またはPPARα+δの作用物質、例えばチアゾリンジオンまたはフィブレート、を包含しうる。本発明のプロスタグランジン擬似物質との組み合わせ使用のためのチアゾリジンジオン類は5−((4−(2−(メチル−2−ピリジニルアミノ)エトキシ)フェニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン、トログリタゾン(troglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、シグリタゾン(ciglitazone)、WAY−120,744、エングリタゾン(englitazone)、AD 5075、ダルグリタゾン(darglitazone)、およびロシグリタゾン(rosigliatzone)を包含するがそれらに限定されない。本発明のプロスタグランジン擬似物質との組み合わせ使用のためのフィブレートはゲムフィブロジル(gemfibrozil)、フェノフィブレート(fenofibrate)、クロフィブレト(clofibrate)、または(ciprofibrate)を包含するがそれらに限定されない。
【0036】
プロスタグランジン作用化合物は、天然プロスタグランジン類、例えばPGI、PGD、PGD、PGE、PGE、PGFおよびPGFα、並びにPPARに結合する化合物を包含する天然プロスタグランジン類の同族体、PGI受容体(IP)、PGE受容体(EP,EP,EPおよびEP)、TXA受容体(TP)、PGD受容体(DPおよびCRTH2)並びにPGF2α受容体(FP)を包含する。本発明の目的のために有用なプロスタシクリン同族体の例はU−68,215(例えば、J
Pharmacol Exp Ther.1992 Mar;260(3):1023−7参照)である。好ましい態様では、プロスタグランジン作用物質はPGI受容体(IP)並びに/またはPGE受容体(EP、EP、EPおよびEP)に結合する化合物である。ある種のプロスタグランジン作用物質は英国特許第1478281号明細書、英国特許第1479156号明細書および米国特許第4,175,203号明細書、第4,055,596号明細書、第4,175,203号明細書、第3,987,091号明細書、第3,991,106号明細書、第6,498,172号明細書、並びにPharmacol Ther.2004 103,147−66(それらの全ては引用することにより本発明の内容となる)に開示されている。本発明の目的のために有用なプロスタグランジン作用物質の例はU46619、I−BOPおよびSTA(TXAの作用物質)、BW245C、L−644698、ZK110841、13,15−ジヒドロ−15−ケト−PGD、インドメタシン、15−R−メチル−PGD、15d−PGJ(PGDの作用物質)、ONO−KI−004、イロプロスト、17−フェニル−トリノルPGE、スルプロストン、ブタプロスト、11−デオキシPGE、AH13205、ONO−AEI−259、スルプロストン、MB28767、ミソプロストール、SC46275、ONO−AE−249、PGE−OH,、およびONO−AEI−329(PGE作用物質)、イロプロスト、シカプロストおよびカルバシクリン(PGIの作用物質)、フルプロステノールおよびラタノプロスト(PGF2αの作用物質))、並びにトラボプロスト、ビマトプロスト、ベラプロスト、カルバシクリン、クロプロステノール・ソジウム、エイコソペンタン酸、ドコソヘキサン酸、セラミド、酪酸ナトリウムおよび弗化アルミニウムを包含するがそれらに限定されない。本発明の好ましいプロスタグランジン作用物質はPGIおよびPGEの作用物質を包含する。本発明の特に好ましいプロスタグランジン作用物質はPGIの作用物質である。
【0037】
「作用物質」は、別の分子または受容体部位の活性を増加させる分子、例えば化合物、薬品、酵素活性化剤またはホルモン、をさす。
【0038】
「NSAID−関係疾病および疾患」は、それを必要とする被験体においてNSAID投与で処置できるいずれかの疾病、疾患または症状をさす。NSAID−関係疾病および疾患の例は疼痛および炎症を包含するがそれらに限定されない。
【0039】
ここで使用される用語「疼痛」は全てのタイプの疼痛を包含する。疼痛は慢性疼痛、例えば関節炎疼痛(例えば、変形性関節症および慢性関節リウマチに関係する疼痛)、神経障害疼痛、および手術後疼痛、慢性下方背部疼痛、群発性頭痛、ヘルペス神経痛、幻肢疼痛、中枢疼痛、歯科疼痛、神経痛疼痛、オピオイド−耐性疼痛、内臓疼痛、手術疼痛、骨損傷疼痛、出産および分娩中の疼痛、日焼けを包含する火傷から生ずる疼痛、パルツム(partum)後疼痛、片頭痛、アンギナ疼痛、および膀胱炎を包含する尿生殖器−関連疼痛を包含するがそれらに限定されない。この用語は侵害受容(nociceptive)疼痛または侵害受容もさす。この用語は持続性疼痛、例えば限定するものではないが神経障害疼痛、糖尿病性神経障害、線維筋肉痛、身体形態疾患に関係する疼痛、関節炎疼痛、癌疼痛、頸部疼痛、肩部疼痛、背部疼痛、群発性頭痛、緊張型頭痛、片頭痛、ヘルペス神経痛、幻肢疼痛、中枢疼痛、歯科疼痛、NSAID類を用いる処置に常習的に耐性である疼痛、および手術後疼痛、をさすであろう。疼痛の用語はここに記載された炎症−関連疾病および疾患に関係する疼痛もさす。
【0040】
用語「炎症」および「炎症−関連疾病および疾患」は、以上で挙げられた原因のいずれかから生ずる組織の損傷または破壊により引き起こされる局在化された保護応答により特徴づけられそして熱、膨潤、疼痛、赤化、血管の拡張および/もしくは増加した血液流、白血球により影響される領域の侵襲、機能の損失、並びに/または炎症症状に関係することが知られるいずれかの他の徴候により影響される症状を包含することは当業者により理解されるであろう。この用語はそれ故、とりわけ、急性、慢性、潰瘍性、特異的、アレルギー性および壊死性炎症、並びに当業者に既知である他の形態の炎症を包含することを理解するであろう。この用語は関節炎(変形性関節症および慢性関節リウマチを包含する)、炎症性腸疾病、湿疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、乾癬性関節症および喘息、手術後炎症、歯科炎症、急性および慢性の眼の炎症疾病、結膜炎も包含する。本発明の化合物および組成物は免疫炎症経路を有利に遮断することができ、それにより免疫誘発性炎症を抑制する方法を提供する。従って、本化合物および組成物は被験体、好ましくは哺乳動物、より好ましくは人間、において種々の過程で存在する神経原性炎症、例えば糖尿病、喘息、膀胱炎、歯肉炎、片頭痛、皮膚炎、鼻炎、乾癬、坐骨および腰椎神経の炎症、胃腸過程、眼の炎症、および急性アレルギー反応、喘息、慢性関節リウマチ、変形性関節症並びに急性および/または慢性関節炎症に関与する他の炎症症状の処置において有用でありうる。
【0041】
ここで使用される用語「胃腸毒性」(または「GI毒性」)は被験体に対する1種もしくはそれ以上のNSAIDの投与に関係する胃腸副作用、例えば、早期および後期−発生下痢および鼓腸、悪心、吐き気、食欲不振、白血球減少症、貧血、好中球減少症、無力症、腹部痙攣、熱病、疼痛、体重減少、脱水、脱毛症、呼吸困難、不眠症、眩暈、粘膜炎、口内乾燥症、および腎不全、並びに炎症性腸疾病、クローン病、胃炎、刺激性腸症候群、潰瘍性大腸炎、便秘、消化性潰瘍、部分性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎、胃腸出血、局限性腸炎、憩室炎、胃腸病変、胃腸出血、凝固疾患、低プロトロンビン血症、血友病または他の出血問題、腎臓疾病など、を包含するが、それらに限定されない。さらに、用語「胃腸毒性」は胃腸管のいずれかでの1種もしくはそれ以上のプロスタグランジン(例えば、PGFおよびPGI)における減少に関連する疾病、症状、もしくは疾患または疾病、症状、もしくは疾患の徴候をさす。特定の態様では、用語「胃腸毒性」は胃内の1種もしくはそれ以上のプロスタグランジン(例えば、PGFおよびPGI)における減少に関連する疾病、症状、もしくは疾患または疾病、症状、もしくは疾患の徴候をさす。
【0042】
本発明の組成物は「疼痛緩和性質」、「炎症緩和性質」、並びに「GI毒性緩和性質」を有する。本発明は現存する疼痛の緩和、並びにそうでなければ切迫した疼痛−誘発事象から続いて起きるであろう疼痛の抑制または制止に適用可能であるため、用語「疼痛緩和性質」は一般的にここでは表現「疼痛−抑制」、「疼痛−軽減」、および「疼痛−制止」を包含するように定義される。同様に、本発明は現存する炎症の緩和、並びにそうでなければ切迫した炎症−誘発事象から続いて起きるであろう炎症の抑制または制止に適用可能であるため、用語「炎症緩和性質」は一般的にここでは表現「炎症−抑制」、「炎症−軽減」、および「炎症−制止」を包含するように定義される。さらに、本発明は現存するGI毒性の緩和、並びにそうでなければ切迫したGI毒性−誘発事象(例えば、被験体に対するNSAIDの投与)から続いて起きるであろうGI毒性の抑制または制止に適用可能であるため、用語「GI毒性緩和性質」は一般的にここでは表現「GI毒性−抑制」、「GI毒性−軽減」、および「GI毒性−制止」を包含するように定義される。
【0043】
ここで使用される用語「処置」または「処置する」は、疼痛および/または炎症、疼痛および/または炎症の徴候、或いは疼痛および/または炎症自体を治療、治癒、緩和、軽減、変化、療治、改善、改良または作用する目的で疼痛および/または炎症、疼痛および/または炎症の徴候、或いは疼痛および/または炎症の素因に罹っている被験体に対する、治療剤、例えば本発明の製薬学的組成物、の適用もしくは投与、または被験体から単離された組織もしくは細胞系統(例えば、診断用もしくはエクスビボ適用)に対する治療剤の適用もしくは投与であると定義される。さらに、この用語はGI毒性、GI毒性の徴候またはGI毒性自体を治療、反作用、治癒、緩和、軽減、変化、療治、改善、改良または作用する目的でGI毒性、GI毒性の徴候、或いはGI毒性の素因に罹っている被験体に対する、治療剤、例えば本発明の製薬学的組成物、の投与、または被験体から単離された組織もしくは細胞系統(例えば、診断用もしくはエクスビボ適用)に対する治療剤の適用もしくは投与もさす。特定の態様では、処置しようとするGI毒性は1種もしくはそれ以上のNSAIDの投与に関係する。そのような処置は、薬理遺伝学の分野から得られる知識に基づき、具体的に調整または変更されうる。
【0044】
用語「被験体」は、疼痛および/または炎症が起きうるかまたは疼痛、炎症および/またはGI毒性を受けやすい生存有機体を包含する。用語「被験体」は哺乳動物(例えば、哺乳動物、例えば、猫、犬、馬、豚、牛、山羊、羊、齧歯動物、例えばマウスまたはラット、兎、リス、熊、霊長類(例えば、チンパンジー、猿、ゴリラ、および人間))、並びに鶏、アヒル、ガチョウ、およびそれらのトランスジェニックニック種、並びにそれらから由来する細胞を包含する。好ましい態様では、用語「被験体」は人間をさす。1つの態様では、被験体はGI毒性の増加した危険性を有する人間、例えば糖尿病に罹っている人間、である。
【0045】
処置しようとする被験体に対する本発明の組成物の投与は既知の工程を用いて、被験体において疼痛および/もしくは炎症、またはGI毒性を処置するのに有効な薬用量でそして期間にわたり、行うことができる。ある種の態様では、被験体におけるGI毒性はNSAID使用に関係する。治療効果を得るために必要な治療用組成物の有効量は、例えば被験体における疾病もしくは疾患の状態、被験体の年令、性別、および体重、並びに治療用組成物が被験体における疼痛および/または炎症を制止する能力の如き因子に応じて変動しうる。最適な治療応答を与えるために薬用量処方を調節することができる。例えば、1日に数回の分割服用量を投与することができ、或いは治療症状の状態に応じて服用量を比例して減ずることができる。本発明の治療組成物または化合物(例えば、NSAIDと組み合わせたN−メチルニコチンアミド)に関する有効服用量範囲の非−限定例は0.25
〜500mg/kgの間の体重/日である。当業者は関連因子を試験することができそしてめんどうな実験なしに治療用化合物の有効量に関して判定することができる。
【0046】
本発明の製薬学的組成物中の活性成分の実際の薬用量レベルを変動させて、特定の罹病体、組成物、および投与の方式に関して所望する治療応答を罹病体にとって有毒でない方法で達成するのに有効である活性成分の量を得ることができる。
【0047】
特に、選択される薬用量レベルは使用される本発明の特定化合物の活性、投与の時間、使用される特定のNSAIDの排泄速度、処置の期間、使用される特定組成物と組み合わされて使用される他の薬品、化合物または物質、処置される罹病体の年令、性別、体重、症状、全体的な健康およびこれまでの病歴および医学において既知の同様な因子を包含する種々の因子に依存するであろう。
【0048】
専門知識を有する医学従事者、例えば、医師または獣医師、は必要な製薬学的組成物の有効量を容易に判定しそして予測することができる。例えば、医師または獣医師は製薬学的組成物中で使用される本発明の化合物の服用量を所望する治療効果を達成するために必要なものより低いレベルで始めそして所望する効果が達成されるまで薬用量を徐々に増加させることができる。
【0049】
投与の処方は有効量を構成するものに影響しうる。治療用調剤を被験体に疼痛および/もしくは炎症またはGI毒性の開始の前または後に投与することができる。例えば、N−メチルニコチンアミド塩をNSAIDと共に投与してNSAID使用に関係するGI毒性を阻止することができ、或いはN−メチルニコチンアミドを単独で、例えば、NSAIDの投与後に、投与することもできる。さらに、数個に分割された薬用量並びにずらした薬用量を毎日もしくは順次投与することもでき、或いは服用量を連続的に灌注(infused)することもでき、または大型丸剤注入(bolus injection)でもありうる。さらに、治療用調剤の薬用量は治療または予防症状の危急性による指示に応じて比例して増減することができる。
【0050】
特定の態様では、投与の容易さおよび薬用量の均一性のために組成物を薬用量単位形態に調合することが特に有利である。ここで使用される薬用量単位形態は処置される被験体に関する単位薬用量として適する物理的に分離している単位をさし、各単位は必要な製薬学的賦形剤と一緒になって所望する治療効果を生ずるように計算された予め決められた量の治療用化合物を含有する。本発明の薬用量単位形態に関する仕様は(a)治療用化合物の独特な特性および達成しようとする特定の治療効果、並びに(b)混和/調合に固有の制限、例えば被験体における疼痛、炎症および/またはGI毒性の処置のための治療用化合物、によりそしてそれらに直接依存して指定される。
【0051】
本発明の化合物
ニコチンアミド、並びに本発明のニコチンアミド誘導体は、有機合成の専門家に既知である技術を用いて合成することができる。
【0052】
一面で、本発明のニコチンアミド誘導体は式I:
【0053】
【化3】

【0054】
(I)
[式中、nは0または1であり、RはH、FまたはClであり、Rはアジド、−C(O)CHN、-C(O)Rまたは以下の5−員の複素環:
【0055】
【化4】

【0056】
であり、ここでRはNRまたはORであり、RおよびRはそれぞれ、独立して、水素またはC1−4アルキルであり、Rは水素、C1−4アルキルまたはCHOHであり、WおよびZは、独立して、C(H)またはNであり、AはO、SまたはNHであり、そしてXは生理学的に適する対−アニオンである]
により表示される。
【0057】
式Iの特定の態様では、nは1である。式Iのさらに別の態様では、Rは−C(O)Rであり、そしてRはNRである。式Iのさらに別の態様では、Rは−C(O)Rであり、RはNRであり、そしてRはメチルまたは水素を表す。式Iの別の態様では、Rは−C(O)Rであり、RはNRであり、そしてRはCHOHまたは水素を表す。式Iのさらに別の態様では、Rは−C(O)Rであり、Rは基ORを表し、そしてRはC1−4アルキルを表す。式Iのさらに別の態様では、Rは−C(O)Rであり、RはORであり、そしてRはプロピルまたはエチルを表す。
【0058】
好ましい態様では、式Iの化合物は1−メチルニコチンアミド塩または1−メチル−N’−ヒドロキシメチルニコチンアミド塩から選択される。別の好ましい態様では、式Iの化合物は1−メチルニコチン酸エチルエステル塩または1−メチルニコチン酸プロピルエステル塩から選択される。別の好ましい態様では、式Iの化合物はメチルニコチン酸塩から選択される。式Iの別の態様では、nは1であり、そしてXは塩化物アニオン、安息香酸アニオン、サリチル酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオンまたは乳酸アニオンである。
【0059】
さらに別の好ましい態様では、式Iの化合物は塩化1−メチルニコチンアミド、クエン酸1−メチルニコチンアミド、乳酸1−メチルニコチンアミド、塩化1−メチル−N’−ヒドロキシメチルニコチンアミド、塩化1−メチル−ニコチン酸、塩化1−メチル−ニコチン酸エチルエステルまたは塩化1−メチル−ニコチン酸プロピルエステルから選択される。
【0060】
式Iの別の態様では、Rは5−員の複素環であり、ここでAはOであり、そしてWおよびZはCHであるか、AはSであり、そしてWおよびZはCHであるか、AはNHであり、そしてWおよびZはCHであるか、AはOであり、WはNでありそしてZはCHであるか、AはSであり、WはNでありそしてZはCHであるか、AはNHであり、WはNでありそしてZはCHであるか、AはOであり、WはCHでありそしてZはNであるか、AはSであり、WはCHでありそしてZはNであるか、AはNHであり、WはCHでありそしてZはNであるか、AはOであり、WおよびZはCHであるか、AはSであり、WおよびZはCHであるか、またはAはNHでありそしてWおよびZはNである。Rは5−員の複素環である式Iの好ましい態様では、nは1である。
【0061】
式Iの別の態様では、nは1であり、RはHでありそしてRはアジドである。
【0062】
本発明は、ここに開示されている式Iのニコチンアミドおよびニコチンアミド誘導体のプロドラッグ類、並びにそのようなプロドラッグ類を含んでなる製薬学的組成物にも関する。例えば、酸またはヒドロキシル官能基を含む本発明の化合物を適当なアルコールまたは酸との対応するエステルとして製造しそして投与することもできる。エステルを次に被験体内で内因性酵素により分解して活性剤を製造することができる。
【0063】
本発明の好ましい態様では、式Iのニコチンアミド誘導体は、単独でまたは1種もしくはそれ以上のNSAIDと組み合わされて、被験体において疼痛および/または炎症緩和性質を示す。本発明の別の好ましい態様では、式Iのニコチンアミド誘導体は、単独でまたは1種もしくはそれ以上のNSAIDと組み合わされて、NSAID類の投与に関係するGI毒性を妨害する。好ましい態様では、被験体は哺乳動物である。別の好ましい態様では、被験体は人間である。
【0064】
特定の態様では、ニコチンアミド、N−メチルニコチンアミドおよびその誘導体が細胞保護剤(すなわち、「消化管−節約作用剤(gut−sparing)」)として使用される。
【0065】
本発明の特に好ましい製薬学的組成物は、それを必要とする被験体における疼痛および/または炎症の処置における使用のためのN−メチルニコチンアミド塩およびナプロシンよりなる。
【0066】
本発明の別の特に好ましい製薬学的組成物は、それを必要とする被験体における疼痛および/または炎症の処置における使用のためのN−メチルニコチンアミド塩およびボルタレンよりなる。
【0067】
本発明の別の特に好ましい製薬学的組成物は、それを必要とする被験体における疼痛および/または炎症の処置における使用のためのN−メチルニコチンアミド塩およびインドメタシンよりなる。
【0068】
本発明の別の特に好ましい製薬学的組成物は、それを必要とする被験体における疼痛および/または炎症の処置における使用のためのN−メチルニコチンアミド塩およびジクロフェナックよりなる。
【0069】
別の態様では、式Iの化合物は選択的なプロスタグランジン擬似物質である。
【0070】
さらに別の態様では、式Iの化合物を使用して被験体における胃腸毒性を処置することができる。
【0071】
本発明の別の特に好ましい製薬学的組成物は、それを必要とする被験体における疼痛および/または炎症の処置における使用のためのN−メチルニコチンアミド塩およびアスピリンよりなる。
【0072】
本発明の別の特に好ましい製薬学的組成物は、それを必要とする被験体における胃腸毒性の処置における使用のためのN−メチルニコチンアミド塩およびアスピリンよりなる。
【0073】
別の態様では、式Iの化合物を被験体に投与してNSAIDの悪性副作用、例えば、胃腸毒性、を妨害することができる。さらに別の態様では、NMAの塩化物塩を被験体に投与してNSAIDの悪性副作用、例えば、胃腸毒性、を妨害する。さらに別の態様では、NMAを被験体に投与して胃腸毒性を処置することができる。
【0074】
ここで使用される用語「製薬学的に許容可能な塩」は、無機酸類、有機酸類、溶媒和物、水和物、またはそれらのクラスレイト類(clathrates)を包含する製薬学的に許容可能な無毒な酸類から製造される投与される化合物の塩をさす。そのような無機酸類の例は塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、および燐酸である。適する有機酸類は、例えば、脂肪族、芳香族、カルボン酸およびスルホン酸種の有機酸類から選択され、それらの例は蟻酸、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、粘液酸、酒石酸、パラ−トルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシレート)、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸などである。「製薬学的に許容可能な塩」の製造が、「生理学的に適する対−アニオン」、例えば、Cl、を有する式(I)の化合物を生ずる。
【0075】
用語「アルキル」は、直鎖状アルキル基、分枝鎖状アルキル基、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル基、およびシクロアルキル置換されたアルキル基を包含する飽和脂肪族基をさす。好ましい態様では、直鎖もしくは分枝鎖状アルキルはその骨格内に30個もしくはそれより少ない炭素原子を有し(例えば、直鎖に関してはC−C30、分枝鎖に関してはC−C30)、そしてより好ましくは骨格内に20個もしくはそれより少ない炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキル類はそれらの環構造内に3−10個の炭素原子を有し、そしてより好ましくはそれらの環構造内に3−8個の炭素原子を有し、そしてさらにより好ましくはそれらの環構造内に5、6もしくは7個の炭素を有する。さらに、xが1−5でありそしてyが2−10である「C−C−アルキル」の表示は特定炭素範囲の特定アルキル基(直鎖もしくは分枝鎖状)を示す。例えば、C−C−アルキルの表示はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチルおよびイソブチルを包含するが、それらに限定されない。
【0076】
さらに、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)は「未置換のアルキル」および「置換されたアルキル」の両者を包含し、それらの後者は分子がその意図する機能を行うために炭化水素骨格の1個もしくはそれ以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分をさす。
【0077】
限定することを意図しないが本発明の置換基の例は、全てが直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル(好ましくはC−C)、シクロアルキル(好ましくはC−C)、アルコキシ(好ましくはC−C)、チオアルキル(好ましくはC−C)、アルケニル(好ましくはC−C)、アルキニル(好ましくはC−C)、複素環、炭素環、アリール(例えば、フェニル)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、アラルキル(例えば
、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェニルオキシアルキル)、アリールアセトアミドイル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニルおよびアリールカルボニル、または例えばアシル基、ヘテロアルキルカルボニル、もしくはヘテロアリール基の如き他のもの、(CR’R”)0−3NR’R”(例えば、−NH)、(CR’R”)0−3CN(例えば、−CN)、−NO、ハロゲン(例えば、−F、−Cl、−Br、もしくは−I)、(CR’R”)0−3C(ハロゲン)(例えば、−CF)、(CR’R”)0−3CH(ハロゲン)、(CR’R”)0−3CH(ハロゲン)、(CR’R”)0−3CONR’R”、(CR’R”)0−3(CNH)NR’R”、(CR’R”)0−3S(O)1−2NR’R”、(CR’R”)0−3CHO、(CR’R”)0−3O(CR’R”)0−3H、(CR’R”)0−3S(O)0−3R’(例えば、−SOH,−OSOH)、(CR’R”)0−3O(CR’R”)0−3H(例えば、−CHOCHおよび−OCH)、(CR’R”)0−3S(CR’R”)0−3H(例えば、−SHおよび−SCH)、(CR’R”)0−3OH(例えば、−OH)、(CR’R”)0−3COR’、(CR’R”)0−3(置換されたもしくは未置換のフェニル)、(CR’R”)0−3(C−Cシクロアルキル)、(CR’R”)0−3COR’(例えば、−COH)、または(CR’R”)0−3OR’基、或いはいずれかの天然産出アミノ酸の側鎖から選択される部分を包含し、ここでR’およびR”は各々独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリール基である。そのような置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(全てのアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを包含する)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを包含する)、アミジノ、イミノ、オキシム、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート類、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を包含しうる。ある種の態様では、カルボニル部分(C=O)をオキシム部分でさらに誘導体化してもよく、例えば、アルデヒド部分をそのオキシム(−C=N−OH)同族体として誘導体化してもよい。炭化水素連鎖上で置換された部分はそれら自体、適宜、置換されうることは当業者により理解されるであろう。シクロアルキル類は、例えば、上記の置換基でさらに置換されうる。「アラルキル」部分はアリールで置換されたアルキル(例えば、フェニルメチル(すなわち、ベンジル))である。
【0078】
組み合わせ療法
本発明のプロスタグランジン擬似物質(例えば、PGI作用物質もしくはPGE作用物質またはニコチンアミド誘導体、例えば、MNA)は、例えば、本発明の方法において、単独でまたは疼痛および/または炎症−関連疾病および疾患の処置に有用な1種もしくはそれ以上の追加の化合物(例えば、NSAID類)と組み合わせて、有用であることが意図される。本発明のプロスタグランジン擬似物質(例えば、PGI作用物質もしくはPGE作用物質またはニコチンアミド誘導体、例えば、MNA)は、NSAID投与に関係する有害副作用を妨害するために有用であることが意図される。これらの追加の化合物は本発明の化合物または疼痛および/または炎症−関連疾病および疾患の徴候を処置、予防、または軽減することが知られる化合物、例えば市販の化合物、を含んでなりうる。
【0079】
さらに、本発明のニコチンアミド誘導体は、例えば本発明の方法において、単独でまたはGI毒性を処置するために有用な1種もしくはそれ以上の追加の化合物と組み合わせて
、有用であることが意図される。本発明はまた、プロスタグランジン擬似物質(例えば、PGI作用物質もしくはPGE作用物質またはニコチンアミド誘導体、例えばMNA)とGI毒性を処置するために有用な1種もしくはそれ以上の追加の化合物との組み合わせも提供する。これらの追加の化合物は本発明の化合物または疼痛および/または炎症−関連疾病および疾患の徴候を処置、予防、または軽減することが知られる化合物、例えば市販の化合物、を含んでなりうる。
【0080】
特に、式Iのニコチンアミド誘導体はNSAIDと共同投与することができる。本発明にとって有用なNSAID類の例はアセクロフェナック、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセチル−サリチル酸、アセチル−サリチリック−2−アミノ−4−ピコリン−酸、5−アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナック、アミノプロフェン、アムフェナック、アムピロン、アムピロキシカム、アニレリジン、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、α−ビサボロール、ブロムフェナック、5−ブロモサリチル酸酢酸塩、ブルモサリゲニン、ブクロキシック・アシド、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、クロモグリケート、シンメタシン、クリンダナック、クロピラック、ソジウム・ジクロフェナック、ジフルニサル、ジタゾール、ドロキシカム、エンフェナミック・アシド、エトドラック、エトフェナメート、フェルビナック、フェンブフェン、フェンクロジック・アシド、フェンドサル、フェノプロフェン、フェンチアザック、フェプラジノール、フルフェナック、フルフェナミック・アシド、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルタメタシン、サリチル酸グリコール、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラック、イソキセパック、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラック、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナミック・アシド、メフェナミック・アシド、メロキシカム、メサラミン、メチアジニック・アシド、モフェゾラック、モンテルカスト、ミコフェノーリック・アシド、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルミック・アシド、ニメスリド、オルサラジン、オキサセプロール、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パラセタモール、パルサルミド、ペリソキサル、サリチル酸フェニル−アセチル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、ピラゾラック、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジニック・アシド、レセルベラトール、サラセタミド、サリチルアミド、サリチルアミド−O−アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン、サリチルアミド、サルサレート、スリンダック、スプロフェン、スキシブタゾン、タモキシフェン、テノキシカム、テオフィリン、チアプロフェニック・アシド、チアラミド、チクロプリジン、チノリジン、トルフェナミック・アシド、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラック、トモキシプロール、ザフィルルカストおよびシクロスポリンを包含するがそれらに限定されない。インドメタシン、ボルタレンおよびナプロシンが最も好ましい。
【0081】
引用することにより本発明の内容となる以下の文献はここに記載された発明における使用に適するNSAID類およびそれらの製造方法を記載している:1971年に発行されたSallmannおよびPfisterに対する米国特許第3,558,690号明細書(チバ・ガイギー(Ciba Geigy)に譲渡された);1974年に発行された米国特許第3,843,681号明細書(アメリカン・ホーム・プロダクツ(American Home Products)に譲渡された);1973年に発行されたGodfreyに対する米国特許第3,766,263号明細書(レキット・アンド・コールマン(Reckitt and Colman)に譲渡された);1974年に発行されたGodfreyに対する米国特許第3,845,215号明細書(レキット・アンド・コールマンに譲渡された);1971年に発行されたMarshallに対する米国特許第3,600,437号明細書(エリ・リリー(Eli Lilly)に譲渡された);1966年に発行されたNicholsonおよびAdamsに対する米国特許第3,228,831号明細書(ブーツ・ピュア・ドラッグ(Boots Pure Drug)に譲渡された);1968年に発行されたNicholsonおよびAdamsに対する米国特許第3,385,886号明細書(ブーツ・ピュア・ドラッグに譲渡された);1964年に発行されたShenに対する米国特許第3,161,654号明細書(メルク・アンド・カンパニー(Merck & Co.)に譲渡された);1975年に発行されたFriedおよびHarrisonに対する米国特許第3,904,682号明細書(シンテックス(Syntex)に譲渡された);1977年に発行されたFriedおよびHarrisonに対する米国特許第4,009,197号明細書(シンテックスに譲渡された);1971年に発行されたLombardinoに対する米国特許第3,591,584号明細書(ファイザー(Pfizer)に譲渡された);1991年11月26日にDales他に発行された米国特許第5,068,458号明細書(ビーチャム・グループ・PLC(Beecham Group,PLC.)に譲渡された);1991年4月16日に発行されたBlackburn他に発行された米国特許第5,008,283号明細書(ファイザー・インコーポレーテッド(Pfizer,Inc.)に譲渡された);並びに1991年4月9日に発行されたLooseに対する米国特許第5,006,547号明細書(ファイザーに譲渡された)。
【0082】
好ましいNSAID類は市販されている剤である。
【0083】
本発明の一面によると、治療的に有効な量の(i)プロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iのニコチンアミド、またはその許容可能な塩)および(ii)NSAIDまたはその製薬学的に許容可能な塩を活性成分として含んでなる製薬学的組み合わせを罹病体に投与することを含んでなる、疼痛および/または炎症−関連疾病または疾患に罹っている罹病体を処置するための治療効果を得る方法が提供される。
【0084】
本発明の別の面によると、治療的に有効な量の(i)プロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iのニコチンアミド、またはその許容可能な塩)および(ii)NSAIDまたはその製薬学的に許容可能な塩を活性成分として含んでなる製薬学的組み合わせを罹病体に投与することを含んでなる、GI毒性並びにNSAID‐関係疾病または疾患に罹っている罹病体を処置するために治療効果を得る方法が提供される。本発明の別の面によると、治療的に有効な量の(i)プロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iのニコチンアミド、またはその許容可能な塩)および(ii)NSAIDまたはその製薬学的に許容可能な塩を活性成分として含んでなる製薬学的組み合わせを罹病体に投与することを含んでなる、GI毒性に罹っている罹病体を処置するために治療効果を得る方法が提供される。
【0085】
本発明のこの面の別の態様では、治療効果が活性成分の別個の投与により得られる治療効果の合計より大きい点で、治療効果は相乗的である。
【0086】
ある種の態様では、プロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iのニコチンアミド、またはその許容可能な塩)および1種もしくはそれ以上のNSAIDが単一組成物中に含まれ、それは疼痛および/もしくは炎症、またはGI毒性を体験している被験体に投与される。別の態様では、式Iのニコチンアミド誘導体および1種もしくはそれ以上のNSAIDが別個にそのような被験体に投与される。さらに別の態様では、プロスタグランジン作用物質(例えば、PGI作用物質またはPGE作用物質)および1種もしくはそれ以上のNSAIDが単一組成物中に含まれ、それは疼痛および/もしくは炎症、またはGI毒性を体験している被験体に投与される。別の態様では、プロスタグランジン作用物質(例えば、PGI作用物質またはPGE作用物質)および1種もしくはそれ以上のNSAIDが別個にそのような被験体に投与される。第一のおよび少なくとも1種の第二の化合物を被験体に(同時に)共同投与することもでき、または順次に(すなわち、一方の後に他方)投与することもできる。
【0087】
ここに記載された化合物の組み合わせは、単独使用時の各化合物の投与後の効果と比べて、疼痛および/または炎症に対する効果における相乗的な増加をもたらすことができ、或いはそのような増加が付加的であってもよい。ここに記載された組成物は典型的には組成物中のより少ない各化合物の薬用量を含んでおり、それにより同様な化合物に関して報告されているような化合物および/または有害副作用の間の悪性相互作用を回避する。さらに、組み合わせて与えられる時の各化合物の通常量は単独使用時では各化合物に対して非応答性であるかまたは最少応答性である被験体においてより大きな効果を与え得る。
【0088】
相乗効果は、例えば、適当な方法、例えばシグモイド−エマックス(Sigmoid−Emax)式(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429−453(1981))、ロエベ(Loewe)付加の式(Loewe,S.and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313−326(1926))および中位−効果式(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27−55(1984))、を用いて計算することができる。以上で引用された式を実験データに適用して対応するグラフを作成して薬品組み合わせの効果の評価を手助けしうる。以上で引用された式と関係する対応するグラフは、それぞれ、濃度−効果曲線、イソボログラム(isobologram)曲線および組み合わせ指数曲線である。
【0089】
投与のための本発明の製薬学的組成物の成分の各々((i)プロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iのニコチンアミド、またはその許容可能な塩)、および(ii)NSAID)は個別に、約1ng〜約10,000mg、約5ng〜約9,500mg、約10ng〜約9,000mg、約20ng〜約8,500mg、約30ng〜約7,500mg、約40ng〜約7,000mg、約50ng〜約6,500mg、約100ng〜約6,000mg、約200ng〜約5,500mg、約300ng〜約5,000mg、約400ng〜約4,500mg、約500ng〜約4,000mg、約1μg〜約3,500mg、約5μg〜約3,000mg、約10μg〜約2,600mg、約20μg〜約2,575mg、約30μg〜約2,550mg、約40μg〜約2,500mg、約50μg〜約2,475mg、約100μg〜約2,450mg、約200μg〜約2,425mg、約300μg〜約2,000,約400μg〜約1,175mg、約500μg〜約1,150mg、約0.5mg〜約1,125mg、約1mg〜約1,100mg、約1.25mg〜約1,075mg、約1.5mg〜約1,050mg、約2.0mg〜約1,025mg、約2.5mg〜約1,000mg、約3.0mg〜約975mg、約3.5mg〜約950mg、約4.0mg〜約925mg、約4.5mg〜約900mg、約5mg〜約875mg、約10mg〜約850mg、約20mg〜約825mg、約30mg〜約800mg、約40mg〜約775mg、約50mg〜約750mg、約100mg〜約725mg、約200mg〜約700mg、約300mg〜約675mg、約400mg〜約650mg、約500mg、or約525mg〜約625mgの範囲内でありうる。
【0090】
ある種の態様では、疼痛および/もしくは炎症またはGI毒性の処置用の本発明のニコチンアミド誘導体の服用量は約0.0001mg〜約25mgの間である。ある種の態様では、ここに記載された組成物中で使用される本発明のニコチンアミド誘導体の服用量は約100mgより少なく、または約80mgより少なく、または約60mgより少なく、または約50mgより少なく、または約30mgより少なく、または約20mgより少なく、または約10mgより少なく、または約5mgより少なく、または約2mgより少なく、または約0.5mgより少ない。同様に、ある種の態様では、ここに記載されているような第二の化合物(すなわち、NSAID)の服用量は約1000mgより少なく、または約800mgより少なく、または約600mgより少なく、または約500mgより
少なく、または約400mgより少なく、または約300mgより少なく、または約200mgより少なく、または約100mgより少なく、または約50mgより少なく、または約40mgより少なく、または約30mgより少なく、または約25mgより少なく、または約20mgより少なく、または約15mgより少なく、または約10mgより少なく、または約5mgより少なく、または約2mgより少なく、または約1mgより少なく、または約0.5mgより少ない。
【0091】
1つの態様では、プロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iの化合物、例えば、MNA)が最初に投与され、引き続きNSAIDが投与される。別の態様では、NSAIDが最初に投与され、引き続きプロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iの化合物、例えば、MNA)が投与される。さらに別の態様では、プロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iの化合物、例えば、MNA)およびNSAIDが同時に投与される。
【0092】
投与用の調剤
別の態様では、本発明は、単独でまたは1種もしくはそれ以上のNSAIDと組み合わせた、治療的に有効な量のプロスタグランジン擬似物質(例えば、式Iのニコチンアミド、またはその許容可能な塩)、並びに被験体において1種もしくはそれ以上の疼痛、炎症および/またはGI毒性関連症状の1つもしくはそれ以上の徴候を処置、予防、または軽減するための化合物の使用に関する指示書を有する容器を含んでなる包装された製薬学的組成物に関する。
【0093】
用語「容器」は製薬学的組成物を有するための入れ物を包含する。例えば、1つの態様では、容器は製薬学的組成物を含有する包装である。別の態様では、容器は製薬学的組成物を含有する包装ではなく、すなわち、容器は包装された製薬学的組成物または包装されていない製薬学的組成物および製薬学的組成物の使用に関する指示書を含有する入れ物、例えば箱または瓶、である。さらに、包装技術は当該技術において既知である。製薬学的組成物の使用に関する指示書は製薬学的組成物を含有する包装上に含有されていてもよく、そしてその状態で指示書は包装された製品との機能的な関係を高める。しかしながら、指示書は化合物がその意図する機能、例えば被験体における1種もしくはそれ以上の疼痛、炎症および/またはGI毒性−関連異常の処置、予防、または軽減、を行うための化合物の能力に関する情報を含有しうることを理解すべきである。
【0094】
本発明の別の態様は治療的に有効な量の式Iのニコチンアミド化合物および製薬学的に許容可能な担体を含んでなる製薬学的組成物である。
【0095】
用語「治療的に有効な量」は、被験体において疼痛および/または1つもしくはそれ以上の徴候を処置するために有効である本発明の式Iのニコチンアミド誘導体の量を記載するものである。
【0096】
用語「製薬学的に許容可能な担体」は、本発明の1種もしくは複数の化合物を被験体内にまたはそれに対して運んでそれがその意図する機能の実施に関与する製薬学的に許容可能な物質、組成物または担体、例えば液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質、を包含する。典型的には、そのような化合物は身体の1つの器官または部分から身体の別の器官または部分に運ばれまたは移送される。各々の担体は調剤の他の成分と相容性であり且つ罹病体に有害でない意味で「許容可能」でなければならない。製薬学的に許容可能な担体として機能しうる物質の数例は、糖類、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;澱粉類、例えばトウモロコシ澱粉およびポテト澱粉;セルロース、およびその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバターおよび坐剤ワックス類;油類、例えばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;グリコール類、例えばプロピレングリコール;ポリオール類、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル類、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;燐酸塩緩衝溶液;並びに製薬学的調剤中で使用される他の無毒の相容性化合物を包含する。ここで使用される「製薬学的に許容可能な担体」は、化合物の活性と相容性がありそして被験体にとって生理学的に許容可能なすべてのコーティング、抗細菌および抗カビ剤、並びに吸収遅延剤なども包含する。補助的な活性化合物を組成物中に加えることもできる。
【0097】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適当な混合物、並びに植物油を含有する溶媒または分散媒体でありうる。例えば、レシチンの如きコーティングの使用により、分散液の場合に要求される粒子寸法の維持により、そして界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。種々の抗細菌および抗カビ剤、例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど、により微生物の作用の予防を行うことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウム、またはポリアルコール類、例えばマンニトールおよびソルビトール、を組成物中に含むことが好ましい。組成物中に吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチン、を含むことにより、注射可能組成物の長期吸収を行うことができる。1つの態様では、製薬学的に許容可能な担体はDMSO単独でない。
【0098】
本発明における使用のための化合物は、適当な経路による投与、例えば経口もしくは非経口、例えば、経皮、経粘膜(例えば、舌下、舌、(経)頬、(経)尿道、膣(例えば、経膣および膣周囲)、鼻(内)および(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、髄腔内、皮下、筋肉内、皮膚内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入、および局部投与、用に調合することができる。
【0099】
適当な組成物および剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット(caplets)、丸剤、ゲルキャップ剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、溶液剤、シロップ剤、顆粒剤、ビーズ剤、経皮パッチ剤、ゲル剤、散剤、ペレット剤、マグマ剤、ロゼンジ剤、クリーム剤、ペースト剤、プラスター(plasters)、ローション剤、ディスク剤、坐剤、鼻もしくは口投与用の液体スプレー剤、吸入用の乾燥散剤もしくはエーロゾル化された調剤、膀胱内投与用の組成物および調剤などを包含する。本発明で有用であろう調剤および組成物はここに記載された特定の調剤および組成物に限定されないことを理解すべきである。
【0100】
経口投与
例えば、経口投与用には、化合物は従来手段により製薬学的に許容可能な賦形剤、例えば結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、トウモロコシ澱粉、ラクトース、微結晶性セルロースまたは燐酸カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ)、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウム澱粉)、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、を用いて製造される錠剤またはカプセル剤の形態でありうる。所望するなら、錠剤を適当な方法およびコーティング物質、ペンシルバニア州、ウエストポイントのカラーコン(Colorcon)から入手可能な例えばOPADRYTMフィルムコーティングシステム(例えば、OPADRYTM OY Type,OY−C Type、Organic Enteric OY−P Type、Aqueous Enteric OY−A Type、OY−PM TypeおよびOPADRYTM White,32K18400)を用いてコーティングすることができる。
経口投与用の液体調剤は溶液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態でありうる。液体調剤は従来手段により製薬学的に許容可能な添加剤、例えば懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化された食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム)、非−水性べヒクル(例えば、アーモンド油、油状エステル類またはエチルアルコール)、および防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)を用いて製造することができる。
【0101】
非経口投与
非経口投与用には、本発明の方法における使用のための化合物は注射または注入、例えば、静脈内、筋肉内もしくは皮下注射または注入、または大型丸剤服用および/または連続的注入、用に調合することができる。場合により他の調合剤、例えば懸濁化、安定化および/または分散化剤を含有していてもよい油状または水性ベヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤を使用することができる。
【0102】
経粘膜投与
経粘膜投与は、粘膜組織への適用に適するいずれかのタイプの調剤または薬用量単位を用いて行われる。例えば、選択された活性剤を頬粘膜に付着錠剤またはパッチ剤で投与することができ、固体の剤形を舌の下に置くことにより舌下投与することができ、固体の剤形を舌の上に置くことにより舌に投与することができ、滴下剤または鼻スプレー剤として鼻に投与することができ、吸入およびエーロゾル調剤、非−エーロゾル液体調剤、もしくは乾燥散剤により投与することができ、直腸内もしくは付近に置くことができ(「経直腸」調剤)、または尿道に坐剤、軟膏剤などとして投与することができる。
【0103】
経尿道投与
経尿道投与に関しては、調剤は活性剤および1種もしくはそれ以上の選択された担体または賦形剤、例えば、水、シリコーン、ワックス類、石油ゼリー、ポリエチレングリコール(「PEG」)、プロピレングリコール(「PG」)、リポソーム類、糖類、例えばマンニトールおよびラクトース、並びに/または種々の他の物質、を含有する尿道剤形を含んでなりうる。経尿道透過促進剤を剤形内に含むことができる。適当な経尿道透過促進剤の例は、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、N,N−ジメチルアセトアミド(「DMA」)、デシルメチルスルホキシド(「C10 MSO」)、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(「PEGML」)、モノラウリン酸グリセロール、レシチン、1−置換されたアザシクロヘプタン−2−オン類、特に1−n−ドデシルシクラザシクロヘプタン−2−オン(カリフォルニア州、アーバインのネルソン・リサーチ・アンド・デベロップメント・カンパニー(Nelson Research & Development Co.)から商標AzoneTMで入手可能である)、SEPATM(マサチュセッツ州、レキシントンのマクロヘム・カンパニー(Macrochem Co.)から入手可能である)、例えば、TergitolTM、Nonoxynol−9TMおよびTWEEN−80TMを包含する以上で論じた界面活性剤、並びに低級アルカノール類、例えばエタノール、を包含する。
【0104】
経直腸投与
経直腸剤形は直腸坐剤、クリーム剤、軟膏剤、および液体調剤(浣腸剤)を包含しうる。経直腸分配用の坐剤、クリーム剤、軟膏剤または液体調剤は治療的に有効な量の選択された活性剤および1種もしくはそれ以上の経直腸薬品投与に適する普遍的な無毒担体を含んでなる。本発明の経直腸剤形は普遍的な方法を用いて製造することができる。経直腸薬用量単位は急速にまたは数時間の期間にわたり崩壊するように作成することができる。完全な崩壊にかかる時間は約10分間〜約6時間、例えば、約3時間以内、の範囲内でありうる。
【0105】
膣または膣周囲投与
膣または膣周囲剤形は膣坐剤、クリーム剤、軟膏剤、液体調剤、ペッサリー剤、タンポン剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤を包含しうる。膣または膣周囲送達用の坐剤、クリーム剤、軟膏剤、液体調剤、ペッサリー剤、タンポン剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤は治療的に有効な量の選択された活性剤および膣または膣周囲薬品投与に適する1種もしくはそれ以上の普遍的な無毒の担体を含んでなる。本発明の膣または膣周囲形態(forms)は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,A.Gennaro(ed.)(米国特許第6,515,198号明細書、第6,500,822号明細書、第6,417,186号明細書、第6,416,779号明細書、第6,376,500号明細書、第6,355,641号明細書、第6,258,819号明細書、第6,172,062号明細書および第6,086,909号明細書に記載し直された薬品調剤も参照のこと)に開示されている普遍的な方法を用いて製造することができる。膣または膣周囲薬用量単位は急速にまたは数時間の期間にわたり崩壊するように製作することができる。完全な崩壊にかかる時間は約10分間〜約6時間、例えば、約3時間以内、の範囲内でありうる。
【0106】
鼻内または吸入投与
活性剤は鼻内にまたは吸入により投与することもできる。鼻内投与用組成物は一般的にはスプレー剤または滴下剤としての投与用には液体調剤であるが、鼻内投与用の粉末調剤、例えば通気剤、鼻ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤もしくは軟膏剤、または他の適当な調剤を使用することもできる。液体調剤用には、活性剤を緩衝されたもしくは緩衝されない溶液剤、例えば、水もしくは等張性食塩水、にまたは懸濁剤として調合することができる。ある種の態様では、そのような溶液剤または懸濁剤は鼻分泌液に関して等張性でありそして例えば約pH4.0〜約pH7.4または約pH6.0〜約pH7.0の範囲にわたるほぼ同じpHを有する。緩衝液は生理学的に相容性であり且つ例えば燐酸塩緩衝液を包含しなければならない。さらに、滴下剤、ドロップレット剤およびスプレー剤の製造技術では、滴下器、絞り瓶、並びに手動および電動鼻内ポンプ分配器を包含する種々の装置が利用可能である。活性剤含有鼻内担体は、鼻粘膜表面との所望する持続的接触により例えば約10〜約6500cps、またはそれより高い粘度を有するような鼻ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤または軟膏剤も包含しうる。そのような担体粘着性調剤は、例えば、当該技術で既知である高粘度のアルキルセルロース類および/または他の生相容性(biocompatible)担体をベースとすることができる(例えば、上記のRemington:The Science and Practice of Pharmacyを参照のこと)。調合物に追加の粘度、水分保持性並びに快適な性質(texture)および臭気を与えるために、他の成分、例えば防腐剤、着色剤、滑沢もしくは粘着性の鉱油または植物油、香料、天然もしくは合成植物抽出物、例えば芳香族油類、並びに湿潤剤および粘度増加剤、例えば、グリセロール、を含むこともできる。吸入用調剤はエーロゾル剤として、活性剤が担体(例えば、噴射剤)中に溶解されている液体エーロゾル剤または活性剤が担体および場合により存在する溶媒中に懸濁もしくは分散されている懸濁エーロゾル剤のいずれかで、製造することができる。吸入用の非−エーロゾル調剤は液体、典型的には水性懸濁液、の形態をとりうるが、水溶液も使用できる。そのような場合には、担体は典型的には調剤が正常な体液に関して等張性であるような濃度を有する塩化ナトリウム溶液である。担体の他に、液体調剤は水並びに/または抗微生物防腐剤(例えば、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、チメロサールおよびそれらの組み合わせ)、緩衝剤(例えば、クエン酸、メタ燐酸カリウム、燐酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせ)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、モノパルミチン酸ソルビタンおよびそれらの混合物)、並びに/または懸濁化剤(例えば、寒天、ベントナイト、微結晶性セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラガカント、ビーガムおよびそれらの組み合わせ)を包含する賦形剤を含有しうる。吸入用の非−エーロゾル調剤は乾燥粉末調剤、特に粉末が約0.1μm〜約50μm、例えば、約1μm〜約25μm、の平均粒子寸法を有する通気剤、も含んでなりうる。
【0107】
局部調剤
局部調剤は身体表面への適用に適するいずれの形態であることもでき、そして例えば、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、溶液剤、ペースト剤などを含んでなることができ、並びに/またはリポソーム類、ミセル類、および/もしくは微球を含有するように製造することができる。ある種の態様では、局部調剤はここでは軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤である。
【0108】
経皮投与
本発明の化合物は皮膚または粘膜組織を通して普遍的な経皮薬品送達システムを用いて投与することもでき、ここで剤は皮膚に固定される薬品送達装置として機能する積層構造(典型的には経皮「パッチ剤」と称する)内に含有される。経皮薬品送達は受動拡散を伴うこともでき或いはそれは電気移送(electrotransport)、例えば、イオン泳動法、を用いて促進させうる。典型的な経皮「パッチ剤」では、薬品組成物は層内にまたは上方の裏打ち層の下にある「入れ物(reservoir)」内に含有される。積層構造は単一の入れ物を含有することも、またはそれは複数の入れ物を含有することもできる。「一層(monolithic)」システムと称するパッチ剤の1つのタイプでは、入れ物は薬品送達中にシステムを皮膚に固定するために機能する製薬学的に許容可能な接触接着物質の重合体状マトリックスより構成される。適当な皮膚接触接着物質の例はポリエチレン類、ポリシロキサン類、ポリイソブチレン類、ポリアクリレート類、ポリウレタン類などを包含するが、それらに限定されない。或いは、薬品を含有する入れ物および皮膚接触接着剤は別個のそして分離している層であり、接着剤は入れ物の下にあり、それはこの場合には上記の重合体状マトリックスであってもよくまたはそれは液体もしくはヒドロゲル入れ物であってもよく、或いはある種の他の形態をとることもできる。
【0109】
髄腔内投与
髄腔内投与用に利用される1つの普遍的なシステムはメドトロニック・インコーポレーテッド(Medtronic,Inc.)から入手可能なAPT髄腔内処置システムである。APT髄腔内システムは小型ポンプを使用し、それは外科的に腹部皮膚下に置かれて薬品を髄腔内空間に直接送達する。薬品はこれも外科的に置かれるカテーテルと称する小管を通して分配される。薬品を下部尿管疾患に関係する感覚および運動信号の移動に関与する脊椎内の細胞に直接投与することができる。
【0110】
膀胱内投与
膀胱内投与の用語はその普遍的な意味において薬品を膀胱内に直接送達することを意味するためにここでは使用される。膀胱内投与に適する方法は、例えば、米国特許第6,207,180号明細書および第6,039,967号明細書に見出すことができる。
【0111】
別の投与形態
本発明の別の剤形は米国特許第6,340,475号明細書、米国特許第6,488,962号明細書、米国特許第6,451,808号明細書、米国特許第5,972,389号明細書、米国特許第5,582,837号明細書、および米国特許第5,007,790号明細書に記載されているような薬用量形態を包含する。本発明の別の薬用量形態は米国特許出願番号20030147952号明細書、米国特許出願番号20030104062号明細書、米国特許出願番号20030104053号明細書、米国特許出願番号20030044466号明細書、米国特許出願番号20030039688号明細書、および米国特許出願番号20020051820号明細書に記載されているような薬用量形態も包含する。本発明の別の薬用量形態はPCT特許出願国際公開第03/35041号パンフレット、PCT特許出願国際公開第03/35040号パンフレット、PCT特許出願国際公開第03/35029号パンフレット、PCT特許出願国際公開第03/35177号パンフレット、PCT特許出願国際公開第03/35039号パンフレット、PCT特許出願国際公開第02/96404号パンフレット、PCT特許出願国際公開第02/32416号パンフレット、PCT特許出願国際公開第01/97783号パンフレット、PCT特許出願国際公開第01/56544号パンフレット、PCT特許出願国際公開第01/32217号パンフレット、PCT特許出願国際公開第98/55107号パンフレット、PCT特許出願国際公開第98/11879号パンフレット、PCT特許出願国際公開第97/47285号パンフレット、PCT特許出願国際公開第93/18755号パンフレット、およびPCT特許出願国際公開第90/11757号パンフレットに記載されているような薬用量形態も包含する。
【0112】
調節放出調剤および薬品送達システム
ある種の態様では、本発明の調剤は短期、急速−補充(rapid−offset)、並びに調節放出、例えば、持続放出、遅延放出および拍動放出、調剤を包含しうるが、それらに限定されない。
【0113】
持続放出の用語は普遍的な意味において長期間にわたり薬品の漸次放出を与え且つ必ずしも必要でないが長期間にわたり実質的に一定の血液薬品レベルを生ずる薬品調剤をさす。この期間は1ヶ月もしくはそれ以上の長さであることができ、そして大型丸剤形態で投与される同量の剤より長く放出されなければならない。
【0114】
持続放出用には、化合物を化合物に持続放出性質を与える適当な重合体または疎水性物質と調合することができる。ここで、本発明の方法における使用のための化合物を例えば注射用微粒子の形態でまたは移植用ウェファー剤もしくはディスク剤の形態で投与することができる。
【0115】
本発明の好ましい態様では、式Iのニコチンアミド化合物を被験体に、単独でまたはNSAIDと組み合わせて、持続放出調剤を用いて投与する。
【0116】
遅延放出の用語はここでは普遍的な意味において薬品投与後から幾らかの遅延後に薬品の初期放出を与える薬品調剤をさすために使用され、それは必ずしも必要ではないが約10分間〜約12時間までの遅延を包含する。
【0117】
拍動放出の用語はここでは普遍的な意味において薬品投与後に薬品の拍動血漿プロフィルを生ずるような方法で薬品の放出を与える薬品調剤をさすために使用される。
【0118】
即時放出の用語はここでは普遍的な意味において薬品投与直後に薬品の放出を与える薬品調剤をさすために使用される。
【0119】
ここで使用される短期は、薬品投与後約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分間、約20分間、または約10分間までのいずれかの期間をさす。
【0120】
ここで使用される急速−補充は、薬品投与後約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分間、約20分間、または約10分間までのいずれかの期間をさす。
【0121】
投薬
本発明の化合物の治療的に有効な量または服用量は、罹患体の年令、性別および体重、罹患体の最近の医学的状態、並びに処置する疼痛、炎症および/またはGI−毒性の性質に依存するであろう。当業者は、これらのおよび他の因子によって適切な薬用量を決めることができよう。本発明の化合物の適切な服用量は1日当たり約0.001mg〜約1000mg、例えば1日当たり0.001mg〜約500mg、例えば1日当たり0.01mg〜約100mg、例えば、約0.05mg〜約50mg、例えば約0.5mg〜約25mg、の範囲内でありうる。服用量は単一薬用量または複数薬用量で、例えば1日当たり1〜4回、投与することができる。複数薬用量が使用される時には、各薬用量の量は同一もしくは相異なりうる。例えば、1日当たり1mgの服用量は服用間の約12時間の時間間隔で2回の0.5mg服用量で投与することができる。
【0122】
1日当たりに投薬される化合物の量は毎日、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき、5日おきなどで投与できることを理解すべきである。例えば、1日おきの投与では、1日当たり5mgの服用量は月曜日の1日当たり5mgで始まり、引き続き水曜日に第一回目の次の1日当たり5mgが投与され、金曜日に第二の次の1日当たり5mgが投与されるなどである。
【0123】
本発明の方法における使用のための化合物は単位剤形に調合することができる。用語「単位剤形(unit dosage form)」は、各単位が場合により適当な製薬学的担体と一緒になって所望する治療効果を生ずるように計算された予め決められた量の活性成分を含有する、処置を受ける被験体用の単位薬用量として適する物理的に分離している単位をさす。単位剤形は単一服用量または複数の1日服用量の1回分(例えば、1日当たり約1〜4回もしくはそれ以上の回数)でありうる。複数の1日服用量が使用される時には、単位剤形は各服用量に関して同一もしくは相異なりうる。
【実施例】
【0124】
発明の例示
本発明を、本発明の化合物のプロスタグランジン−放出活性を試験するために使用できる以下の実施例によりさらに説明する。実施例を通して使用された動物モデルは認可された動物モデルでありそしてこれらの動物モデルにおける効果の証明が人間における効果を予言する。
【0125】
実施例1:
本発明のプロスタグランジン擬似物質の血栓崩壊活性は国際公開第2005/067927号パンフレットに記載された検定を用いて評価することができる。この検定は、1−メチル−3−アセチルピリジニウム塩、塩化1−メチルニコチンアミドおよび1−メチル−N’−(ヒドロキシメチル)ニコチンアミドが動物モデルにおいてプロスタシクリンの放出を誘発する能力を有することを示すために、使用された。
【0126】
実施例2:
この試験では、ストレプトゾシン(腹腔内注射された70mg/kg)を使用して真性糖尿病を誘発させそして非−糖尿病および糖尿病ラットをアスピリン(ASA;0.1N
HCl中150mg/kg、i.g.)または3.5時間の水浸漬および拘束ストレス(WRS)に対する露呈の30分前に1)賦形剤(食塩水)または2)MA(2.5−50mg/kg i.g.)で予備処置した。胃病変の面積および数をプラニメーター法により測定し、胃の血流(GBF)をH−気体クリアランス技術により測定し、そしてミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性、スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD)の活性および脂質過酸化の指数としてのマロニルジアルデヒド(MDA)濃度をエリザ(ELISA)を用いて胃粘膜内で測定した。胃粘膜内の遺伝子発現IL−1βおよびTNF−α並びにそれらの血漿水準を、それぞれ、RT−PCRおよびエリザにより評価した。ASAおよびWRSは典型的な胃病変を引き起こしそしてGBFを有意に(基準から35%および28%)減少させそしてMPO活性(2−3倍)および胃粘膜MDA含有量を増加させ、そしてこれらの効果は糖尿病ラットにおいて有意に増加した(血漿グルコース400mg/dL)。ASAまたはWRSの潰瘍誘発効果には、GBFにおける低下並びにTNF−αおよびIL−1βに関するmRNA類の過剰発現、並びにそれらの血漿水準における顕著な増加が伴う。MNAは糖尿病および非−糖尿病動物において無傷のおよび損傷した胃粘膜内のGBFを、それぞれ、約22%および33%ほど上昇させながら、ASA−およびWRS−誘発性の胃糜爛を服用量−依存的に減少させ、そしてIL−1βおよびTNF−αの下方調整を引き起こした。糖尿病のないおよびあるASA−およびWRS−露呈動物において粘膜SOD活性は有意に減少しながらMDA活性は有意に増加し、そしてこれらの効果はMNAにより顕著に減少した。これらの試験は、1)糖尿病はGBFにおける低下、SOD活性の過剰発現、脂質過酸化における増加並びに前炎症性サイトカイン類IL−1βおよびTNF−αの過剰発現を促進させること、並びに2)MNAがASA−およびWRS−誘発損傷に対する保護を与えることを示す。この実験はDigestive Disease Week 2006(May 20−25,2006,Los Angeles,California;http://www.medscape.com/viewprogram/5452)に関して発表された要旨にも記載されている。
【0127】
等価物
当業者は、普遍的な実験だけを用いて、ここに記載された具体的な工程、態様、請求項、および実施例の多数の等価物を認識するであろうし、または確認しうるであろう。そのような等価物は本発明の範囲内に入りそしてここに添付された請求項により包括されると考えられる。例えば、反応時間、反応寸法/容量、並びに実験試薬、例えば溶媒、触媒、圧力、大気条件、例えば、窒素雰囲気、および還元/酸化剤など、を包含する反応条件における変更は、当該技術で認識される代替法でそして普遍的な実験だけを用いて、本出願の範囲内であることは理解すべきである。
【0128】
ここで、例えば被験体集団の年令、薬用量、および血液レベルにおいて、値および範囲が示されている場合には常に、これらの値および範囲により包括される全ての値および範囲は本発明の範囲内に包括されることを意味すると理解すべきである。さらに、これらの範囲内に入る全ての値並びにある範囲の値の上限または下限も本出願により意図される。
【0129】
参考文献による導入
本出願を通して引用された全ての参考文献、発行された特許、および公開された特許出願は引用することにより本発明の内容となる。ここに記載された化合物のいずれの使用も本発明の範囲内にありそして本発明により包括されることが意図されそして全ての目的のためにここに強調して導入されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NSAIDおよびプロスタグランジン擬似物質を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項2】
プロスタグランジン擬似物質がゲニステイン(genistein)、ダイドゼイン(daidzein)、タモキシフェン(tamoxifen)、テトランドリン(tetrandrine)、サプシガルジン(thapsigargin)および式(I):
【化1】

[式中、
nは0または1であり、
はH、FまたはClであり、
はアジド、−C(O)CHN、−N(H)C(O)NH、−N(H)C(O)H、−C(O)Rまたは以下の5−員の複素環:
【化2】

であり、
ここで
RはNRまたはORであり、
およびRはそれぞれ、独立して、水素またはC1−4アルキルであり、
は水素、C1−4アルキルまたはCHOHであり、
WおよびZは、独立して、C(H)またはNであり、
AはO、SまたはNHであり、そして
は生理学的に適する対−アニオンである]
の化合物よりなる群から選択される、請求項1の製薬学的組成物。
【請求項3】
プロスタグランジン擬似物質がプロスタシクリン擬似物質である、請求項1の製薬学的組成物。
【請求項4】
プロスタグランジン擬似物質がプロスタグランジン作用物質である、請求項1の製薬学的組成物。
【請求項5】
プロスタグランジン作用物質がPGI作用物質またはPGE作用物質から選択される、請求項4の組成物。
【請求項6】
作用物質がU46619、I−BOP、STA、BW245C、L−644698、ZK110841、13,15−ジヒドロ−15−ケト−PGD、インドメタシン(indomethacin)、15−R−メチル−PGD、15d−PGJ、ONO−
KI−004、イロプロスト(iloprost)、17−フェニル−トリノル(trinor)PGE、スルプロストン(sulprostone)、ブタプロスト(butaprost)、11−デオキシPGE、AH13205、ONO−AEI−259、スルプロストン(sulprostone)、MB28767、ミソプロストル(misoprostol)、SC46275、ONO−AE−249、PGE−OH、ONO−AEI−329、シカプロスト(cicaprost)、カルバシクリン(carbacyclin)、フルプロステノール(fluprostenol)、ラタノプロスト(latanoprost)、トラボプロスト(travoprost)、ビマトプロスト(bimatoprost)、ベラプロスト(beraprost)、クロプロステノール・ソジウム(cloprostenol sodium)、エイコソペンタン酸、ドコソヘキサン酸、セラミド、酪酸ナトリウムおよび弗化アルミニウムよりなる群から選択される、請求項4の組成物。
【請求項7】
被験体におけるNSAID投与に関係する有害影響の処置または予防のための、請求項1または4のいずれか1項の製薬学的組成物の使用。
【請求項8】
被験体におけるNSAID投与に関係する有害影響が胃腸管内のいずれかにおける1種もしくはそれ以上のプロスタグランジンの減少に関連する、請求項7の使用。
【請求項9】
被験体におけるNSAID投与に関係する有害影響が胃内における1種もしくはそれ以上のプロスタグランジンの減少に関連する、請求項8の使用。
【請求項10】
プロスタグランジンがPGEおよび/またはPGIである、請求項8または9の使用。
【請求項11】
被験体におけるNSAIDに関係する有害影響がGI毒性である、請求項7の使用。
【請求項12】
GI毒性が胃炎、消化性糜爛、潰瘍、胃病変およびGI出血よりなる群から選択される、請求項11の使用。
【請求項13】
NSAIDがアスピリン(aspirin)、インドメタシン(indomethacin)、ボルタレン(voltaren)、ナプロシン(naprosyn)、イブプロフェン(ibuprofen)、ナプロキセン(naproxen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、トルメチン(tolmetin)、スリンダック(sulindac)、メクロフェナメート(meclofenamate)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ピロキシカム(piroxicam)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、ジクロフェナック(diclofenac)、アセチルサリチル酸、アセチルサリチル酸ナトリウム、アセチルサリチル酸カルシウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、サルサレート(salsalate)、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル(diflunisal)、ケトロラック(ketorolac)、カルプロフェン(carprofen)、メフェナミック・アシド(mefenamic acid)、メロキシカム(meloxicam)およびニメスリド(nimesulide)よりなる群から選択される、請求項1または4の製薬学的組成物。
【請求項14】
それを必要とする被験体にNSAIDおよびプロスタグランジンの放出を選択的に刺激する分子を含んでなる治療的に有効な量の製薬学的組成物を投与することを含んでなる被験体において疼痛および/または炎症を処置する方法。
【請求項15】
分子がゲニステイン、ダイドゼイン、タモキシフェン、テトランドリン、サプシガルジ
ンおよび式(I):
【化3】

[式中、
nは0または1であり、
はH、FまたはClであり、
はアジド、−C(O)CHN、−N(H)C(O)NH、−N(H)C(O)H,-C(O)Rまたは以下の5−員の複素環:
【化4】

であり、
ここで
RはNRまたはORであり、
およびRはそれぞれ、独立して、水素またはC1−4アルキルであり、
は水素、C1−4アルキルまたはCHOHであり、
WおよびZは、独立して、C(H)またはNであり、
AはO、SまたはNHであり、そして
は生理学的に適する対−アニオンである]
の化合物よりなる群から選択される、請求項14の方法。
【請求項16】
プロスタグランジンがプロスタシクリンである、請求項14の方法。
【請求項17】
それを必要とする被験体にNSAIDおよびプロスタグランジン作用物質を含んでなる治療的に有効な量の製薬学的組成物を投与することを含んでなる、被験体において疼痛および/または炎症を処置する方法。
【請求項18】
プロスタグランジン作用物質がPGI作用物質またはPGE作用物質から選択される、請求項17の組成物。
【請求項19】
作用物質がU46619、I−BOP、STA、BW245C、L−644698、ZK110841、13,15−ジヒドロ−15−ケト−PGD、インドメタシン、15−R−メチル−PGD、15d−PGJ、ONO−KI−004、イロプロスト、17−フェニル−トリノルPGE、スルプロストン、ブタプロスト、11−デオキシPGE、AH13205、ONO−AEI−259、スルプロストン、MB28767、ミソプロストル、SC46275、ONO−AE−249、PGE−OH、ONO−AEI−329、シカプロスト、カルバシクリン、フルプロステノール、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト、ベラプロスト、クロプロステノールナトリウム、エイコソペンタン酸、ドコソヘキサン酸、セラミド、酪酸ナトリウムおよび弗化アルミニウムよりなる群から選択される、請求項17の組成物。
【請求項20】
NSAIDがアスピリン、インドメタシン、ボルタレン、ナプロシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロシン、ボルタレン、フェノプロフェン、トルメチン、スリンダック、メクロフェナメート、ケトプロフェン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ジクロフェナック、アセチルサリチル酸、アセチルサリチル酸ナトリウム、アセチルサリチル酸カルシウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル、ケトロラック、カルプロフェン、メフェナミック・アシド、メロキシカムおよびニメスリドよりなる群から選択される、請求項14または17の方法。
【請求項21】
炎症が熱病、関節炎、喘息、気管支炎、月経痛、腱炎、滑液包炎、皮膚の炎症性疾患、胃腸症状、血管疾病、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、無形成貧血、ホジキン病、強皮症、リウマチ熱、重症筋無力症、類肉腫症、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、過敏症、結膜炎、歯肉炎、損傷後の腫張発生および心筋虚血よりなる群から選択される、請求項14または17の方法。
【請求項22】
関節炎が慢性関節リウマチ、脊椎関節症、痛風関節炎、全身性紅斑性狼瘡、変形性関節症および若年性関節炎から選択される、請求項21の方法。
【請求項23】
皮膚の炎症性疾患が乾癬、湿疹、火傷および皮膚炎よりなる群から選択される、請求項21の方法。
【請求項24】
胃腸症状が炎症性腸症候群、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群および潰瘍性大腸炎よりなる群から選択される、請求項21の方法。
【請求項25】
疼痛が月経痛、下方背部疼痛、頸部疼痛、骨格疼痛、分娩後疼痛、頭痛、片頭痛に関係する疼痛、歯痛、捻挫、過労、関節炎、変性関節疾病、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、照射および腐食性化学的損傷を包含する火傷、日焼け、骨折、免疫および自己免疫疾病、細胞新生物変態または転移性腫瘍成長、並びに手術および歯科処置後の疼痛よりなる群から選択される、請求項14または17の方法。
【請求項26】
関節炎が慢性関節リウマチ、脊椎関節症、痛風関節炎、全身性紅斑性狼瘡、変形性関節症および若年性関節炎から選択される、請求項25の方法。
【請求項27】
NSAIDおよび式(I)の化合物を含んでなる治療的に有効な量の製薬学的組成物を被験体における胃病変、GI毒性の徴候、虚血、再灌流、結直腸癌および胃粘膜に対する損傷を処置するために使用する、請求項15の方法。
【請求項28】
GI毒性の徴候が胃炎、消化性糜爛、潰瘍およびGI出血よりなる群から選択される、請求項27の方法。
【請求項29】
nが1である、請求項2または15で請求された式。
【請求項30】
が−C(O)Rであり、そしてRがNRである、請求項2または15で請求された式。
【請求項31】
が−C(O)Rであり、RがNRであり、そしてRがメチルまたは水素を表す、請求項2または15で請求された式。
【請求項32】
が−C(O)Rであり、RがNRであり、そしてRがCHOHまたは水素を表す、請求項2または15で請求された式。
【請求項33】
が−C(O)Rであり、そしてRが基ORを表し、そしてRがC1−4アルキルを表す、請求項2または15で請求された式。
【請求項34】
が−C(O)Rであり、Rが基ORを表し、そしてRがプロピルまたはエチルを表す、請求項33で請求された式。
【請求項35】
式(I)の化合物が1−メチルニコチンアミド塩または1−メチル−N’−ヒドロキシメチルニコチンアミド塩から選択される、請求項2または15で請求された式。
【請求項36】
式(I)の化合物が1−メチルニコチン酸エチルエステル塩またはl−メチルニコチン酸プロピルエステル塩から選択される、請求項2または15で請求された式。
【請求項37】
式(I)の化合物が1−メチルニコチン酸塩から選択される、請求項2または15で請求された式。
【請求項38】
nが1でありそしてXが塩化物アニオン、安息香酸アニオン、サリチル酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオンまたは乳酸アニオン塩である、請求項2または15で請求された式。
【請求項39】
式(I)の化合物が塩化1−メチルニコチンアミド、クエン酸1−メチルニコチンアミド、乳酸1−メチルニコチンアミド、塩化1−メチル−N’−ヒドロキシメチルニコチンアミド、塩化1−メチル−ニコチン酸、塩化1−メチル−ニコチン酸エチルエステルまたは塩化1−メチル−ニコチン酸プロピルエステルから選択される、請求項2または15で請求された式。
【請求項40】
が5−員の複素環であり、ここでAがOであり、そしてWおよびZがCHであるか、AがSであり、そしてWおよびZがCHであるか、AがNHであり、そしてWおよびZがCHであるか、AがOであり、WがNでありそしてZがCHであるか、AがSであり、WがNでありそしてZがCHであるか、AがNHであり、WがNでありそしてZがCHであるか、AがOであり、WがCHでありそしてZがNであるか、AがSであり、WがCHでありそしてZがNであるか、AがNHであり、WがCHでありそしてZがNであるか、AがOであり、WおよびZがCHであるか、AがSであり、WおよびZがCHであるか、またはAがNHでありそしてWおよびZがNである、請求項2または15で請求された式。
【請求項41】
nが1である、請求項40の式。
【請求項42】
nが1であり、RがHでありそしてRがアジドである、請求項2または15で請求された式。
【請求項43】
それを必要とする被験体において被験体にNSAIDおよび1−メチルニコチンアミドを含んでなる製薬学的組成物を投与することにより胃病変、GI毒性の徴候、虚血、再灌流、結直腸癌または胃粘膜に対する損傷を処置する方法。
【請求項44】
GI毒性の徴候が胃炎、消化性糜爛、潰瘍およびGI出血よりなる群から選択される、請求項43の方法。
【請求項45】
NSAIDおよび1−メチルニコチンアミド、およびその製薬学的に許容可能な塩類を含んでなる製薬学的組成物を被験体に投与することにより炎症−関係疾患および/または疼痛をそれを必要とする被験体において処置する方法。
【請求項46】
NSAIDがアスピリン、インドメタシン、ボルタレン、ナプロシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロシン、ボルタレン、フェノプロフェン、トルメチン、スリンダック、メクロフェナメート、ケトプロフェン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ジクロフェナック、アセチルサリチル酸、アセチルサリチル酸ナトリウム、アセチルサリチル酸カルシウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル、ケトロラック、カルプロフェン、メフェナミック・アシド、メロキシカムおよびニメスリドよりなる群から選択される、請求項27または45の方法。

【公表番号】特表2009−529057(P2009−529057A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558409(P2008−558409)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/006004
【国際公開番号】WO2007/103540
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508267934)コートリア・コーポレーシヨン (1)
【Fターム(参考)】