説明

COX−2介在疾患を治療及び/又は予防するための乳分画及び乳調製品

本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療及び予防するための栄養及び医薬組成物、並びに製品のシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を増大させるための方法に関する。それに加えて本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の活性を阻害するため、特にシクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療及び予防するための医薬品又は機能食品を調製するための、1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療及び/又は予防するための栄養及び医薬組成物、及び製品のシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を増大させるための方法に関する。詳細には本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2の活性を阻害するため、特にシクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療及び/又は予防するための食品又は医薬品を調製するための、1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素は、アラキドン酸をプロスタグラジン(PG)に転換するのに必要とされる重要な酵素である。COXの2つのイソ型、COX−1及びCOX−2がこれまで同定されており、これらは多くの点で異なっている。COX−1は大部分の組織で構成的に発現され、胃粘膜の維持及び腎血流の調節などの正常な生理機能を制御するプロスタグラジンの生成を担うと推定される。第2のイソ型COX−2は、大部分の正常組織において構成的に発現されないようであるが、非常に誘導性であり、特定の位置のみで、例えば炎症の部位及び癌細胞において発見することができる。
【0003】
COX酵素は膜と結合することが見出されており、それらは従来の膜貫通領域を有していない。その代りにCOX酵素は、疎水性領域を形成するための並列する4個の両親媒性ヘリックスを含む。この疎水性領域は、膜中の酵素の「下側」部分を固定する。シクロオキシゲナーゼの活性部位は、両親媒性ヘリックス近くの疎水性領域中に位置する。酵素の基質及び阻害剤は、脂質二重層中に含まれるチャンネルを介して活性部位に達すると考えられる(W.Krause、R.N.Dubois、「プロスタグラジン及び他の脂質メディエーター(Prostaglandins and other Lipid Mediators)」61(2000)、145〜161)。
【0004】
COX阻害剤、特にCOX−2阻害剤は、炎症疾患などのさまざまな異なる疾患を治療するために使用されており、鎮痛剤としても使用されている。さらに、COX−2は前悪性及び悪性組織中で一般に過剰発現されることが見出されてきており、COX−2阻害剤を用いた治療は、動物の腸、食道、舌、乳、皮膚、肺及び膀胱の腫瘍の形成を減らすことが示されている(K.Subbaramaiah、A.J.Dannenberg、「薬理科学の傾向(TRENDS in Pharmacological Sciences)」24(2003)、96〜102)。
【0005】
例えばアスピリン及びイブプロフェンなどの、さまざまなよく知られている非ステロイド抗炎症薬(いわゆるNSAID)は、COX−1及びCOX−2を阻害する。近年、COX−2酵素のみを特異的に阻害する、新たなクラスの阻害剤(COXIB)が記載されている(M.E.Turini、R.N.Dubois、「生理学及び疾患(Physiology and Diseases.)」Annu.Rev.Med.53(2002)、35〜57)。しかしながらNSAIDは、重大な副作用、例えば腎臓の問題並びに十二指腸及び胃潰瘍を引き起こすことが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、シクロオキシゲナーゼ、特にCOX−2を阻害するための他の手段を提供することであり、それらの手段は有害な副作用の危険性が低いことと結び付かなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、COX−2によって介在される疾患を治療及び/又は予防するための、COX−2阻害活性を示す特異的な乳の分画及び/又は調製品を提供することによって解決された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一態様によれば、本発明はシクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療及び/又は予防するための栄養及び/又は医薬組成物を提供し、前記組成物は治療上有効量の1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品を含み、シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える。
【0009】
本出願中で使用する用語「シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療及び/又は予防する」は、発現、特にシクロオキシゲナーゼ−2の増大した発現と関係がある疾患を治療すること、及び個体の身体の特定部位におけるシクロオキシゲナーゼ−2のレベルを低下させることによって、或いは個体の身体中の特定部位におけるシクロオキシゲナーゼ−2のレベルの上昇を防ぐことによって影響を受ける可能性がある疾患を予防することを含む。シクロオキシゲナーゼ−2の増大したレベルは、健康な個体中の特定部位に平均して統計的に存在するシクロオキシゲナーゼ−2のレベルを上回る量を示す。
【0010】
本発明に従い予防及び治療することができる、シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患及び/又はその発症の第一群は、その前癌性状態のいずれかを含めた癌である。手元の科学データに従い、前悪性及び悪性組織中でCOX−2が過剰発現され、このようなCOX−2の増大した発現は腫瘍形成の誘導の際に少なくとも部分的に関係があると現在仮定されている。実際、COX−2のこのような過剰発現は、例えば結腸、胃、食道、肝臓、胆管(biliary stem)、膵臓、頭部及び首部、肺、乳、膀胱、女性生殖器及び皮膚などの器官中の幾つかの前悪性及び悪性状態において観察されてきている。さらに、従来技術のCOX−2阻害剤に基づく腫瘍の首尾よい治療は既に達成されている。したがって、本発明の組成物の投与は、癌及び/又は前癌性状態を治療及び/又は予防する際に役立つであろう。
【0011】
さらにCOX−2阻害剤は、その存在が疼、熱及び炎症の発症及び進行と関係があるプロスタグラジンの形成を阻害することが示されてきている。本発明に従い治療及び/又は予防を目的とする、シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患の他の標的群は、関節炎、リウマチ熱、インフルエンザ又は他のウイルス感染に伴う症状、月経困難症、頭痛、歯痛、変形性関節疾患などである。さらにアルツハイマー病は、本発明の標的疾患であるとみなされる。何故ならCOX−2阻害剤は、この疾患の発症に対して予防効果があることが示されてきているからである。
【0012】
本発明の栄養及び/又は医薬組成物は、必要性のある任意の個体、好ましくは哺乳動物、特にヒト及び動物、例えばペットに投与するように設計する。
【0013】
本明細書で言及する「シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性」は、以下で実施例中に示すHUV−EC−C細胞に基づいて、且つ当分野で知られている他のアッセイにも基づいてCOX−2スクリーニング法に従い測定することができる。
【0014】
所与の個体に具体的に必要とされる、1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の治療上有効量は、例えば体重、年齢、一般的な健康状態、性別、食事、投与の時間、投与の経路、排出率、薬剤の組合せなどのさまざまな要因を考慮して当業者の当分野の一般知識に従って、当業者により容易に決定することができる。基本的に、特定の個体に関する特別な投薬方式は、疾患の一般的予防又は急性治療が目的とされるかどうかという事実に依存するであろう。例えば、前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の1日量は、70kgの人間の場合7mgと70gの間から選択することができる、すなわち1日量が体重1キロ当たり約0.1mg〜約1gに相当する量から選択してよく、約0.5mg〜約100mgに相当する量から選択することが好ましく、約5mg〜約70mgに相当する量から選択することがさらに好ましく、約10mg〜約50mgに相当する量から選択することが一層さらに好ましい。
【0015】
本発明の栄養組成物は、水、タンパク質及び/又はペプチド、炭水化物、脂肪からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含むヒト又は動物が消費するのに適した任意の組成物である。
【0016】
本発明の医薬組成物は、本明細書で詳細に述べる少なくとも1つの治療上活性がある化合物を含む任意の組成物である。
【0017】
さらに本発明は、栄養及び/又は医薬組成物を提供し、この組成物はシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える多量の前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品を含み、前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の量が増大していない栄養及び/又は医薬組成物のシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性より高い、シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える。
【0018】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える、このような多量の前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品は、さらなる量の前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品を加えることによって、且つ/或いは乳分画と生物学的活性がある化合物が濃縮された乳分画を置換することによって得ることができる。濃縮は当分野でよく知られている物理、化学及び生物技法に従い得ることができ、例えば実施例中に記載するアッセイに基づいて行うことができる。
【0019】
前に概略した濃縮又は添加から生じる生成物のシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性は、関連栄養/医薬組成物、即ち添加及び/又は濃縮された1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の一部を有する栄養/医薬組成物、増大したシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を有する栄養/医薬組成物と同じ組成物のシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性より、例えば少なくとも1%、さらに好ましくは少なくとも5%、最も好ましくは少なくとも10%高く、詳細には25%高くなければならない。
【0020】
広範囲にわたる研究中に本発明者は、特定の乳タンパク質分画は、このような乳において本来見ることができずこのような乳の活性を超える、シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与えることを実証した。何らかの理論に縛られることは望まずに、ヒト乳中で観察される低い最初の活性は、血清タンパク質と関係があるようであると仮定することができる。カゼイン自体が阻害効果を有する可能性があり、酸性化又はレンネット処理によって活性化される(したがってホエー分画中で見られる)「潜在的な生物活性」を含む可能性がある。
【0021】
増大したCOX−2阻害活性を示すことが分かった前記乳分画として、ヒト乳、ウシ乳、水牛乳、又は他の哺乳動物乳のホエー分画、ヒト乳、ウシ乳、水牛乳、ウシ乳、又は他の哺乳動物乳のスキムミルク分画、ウシ乳の酸性カゼイン分画、ウシ乳の甘味カゼイン分画など、或いはこれらの組合せを言及することができる。ホエー分画として、例えば酸性ホエー分画、甘味ホエー分画、可溶性ホエー分画及びこれらの組合せを使用することができる。
【0022】
可溶性ホエータンパク質のさらなる亜分画化及びスクリーニングによって、ウシ乳由来の可溶性ホエータンパク質の幾つかの亜分画が好ましいことが明らかになっている。
【0023】
原則として、可溶性ホエータンパク質の亜分画の分離及び単離は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって、或いは疎水性相互作用高速液体クロマトグラフィー(HI−HPLC)、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)などによって行うことができ、例えばこれらは全て同じ分離原則に基づくものである。HICの原則は当業者に知られている。一般には、そのサンプルを有する疎水性物質を含む平衡化カラム(固定相)上にサンプルを載せる。疎水性物質は、例えばRohmandHassからAmberlite Xad16 XAD16として商品化されているマクロ多孔質架橋ポリスチレンであってよい。またAmershamからの15RPCTN17−0727−02(ポリスチレン−ジビニルベンゼン)、或いは相当物も使用することができる。
【0024】
タンパク質をカラムに載せる前に、カラムはバッファーを用いて平衡状態にすることができる。分画を載せた後、バッファー又はバッファーの混合物(移動相)はカラム中を移動させることができ、それによってバッファーの混合物は変化し、したがってカラムからのそれらの疎水性に従い溶出タンパク質亜分画はさまざまな性質を有する可能性がある。この方法に従うホエータンパク質の分離は、「ポリスチレン−ジビニルベンゼンの逆相高速液体クロマトグラフィーによる、プロテオースペプトン及びカゼイノマクロペプチドを含む主要なウシホエータンパク質の同時分離及び定量化(Simultaneous separation and quantitation of the major bovine whey proteins including proteose peptone and caseinomacropeptide by reversed−phase high−performance liquid chromatography on polystyrene−divinylbenzene)」、D.F.Elgarら、「クロマトグラフィージャーナル(Journal of Chromatography)」A878(2000)183〜196中に記載されている。
【0025】
カラムから溶出したタンパク質の亜分画は、固定相からの亜分画の溶出に影響を与えた、バッファーの混合物の組成又はアセトニトリル含量によって正確に記載することができる。例えば可溶性ホエータンパク質は、ポリスチレン−ジビニルベンゼンビーズ(Amershamからの15RPC TN 17−0727−02)を充填したカラムに載せることができ、バッファーAは0.1vol%トリフルオロ酢酸(TFA)水中として定義することができ、バッファーBは80vol%アセトニトリル及び0.85vol%TFA(vol%)として定義することができる。次いで、バッファーAとBの混合及び移動は、特定の系、例えばFPLC(迅速なタンパク質液体クロマトグラフィー)UNICORNステーション(Pharmacia/Amersham)によって調節することができ、カラムを介して流すことができる。
【0026】
溶出したタンパク質の亜分画は、前述のバッファーAとBの混合比の溶出範囲によって定義することができる。特定のバッファー組成を使用して(溶出順はpH依存性なので)、タンパク質亜分画の溶出時間又は間隔は、本発明のタンパク質分画の溶出時に存在するアセトニトリルの相対量によって簡単に記載することができる。
【0027】
望むならば、このようにして得た亜分画は蒸発、限外濾過などの当分野でよく知られている技法によって濃縮することができ、或いは例えば真空、凍結、スプレー、流動床、オーブン、又は任意の他の適切な乾燥法による乾燥前に透析して有機溶媒を除去することができる。
【0028】
実施例中及び表7中に列挙する亜分画は、COXII阻害を促進する際に非常に有効であることが示されてきている。一層さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、非常に有効である表5中に示す亜分画1、9、10、及び14に関する。
【0029】
一般に、任意の哺乳動物起源(ヒト、ウシ、水牛、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウマなど)の乳は、本発明の乳タンパク質分画又はタンパク質調製品を調製するために使用することができる。
【0030】
スキムミルク、酸性ホエー及び甘味ホエーは、実施例中に記載する方法に従い調製することができる。本発明の文脈で使用する用語「可溶性ホエータンパク質」又は「可溶性タンパク質」は、超遠心分離(例えば1時間、100.000g)後、或いは当業者に知られている他の方法に従い、水溶液中で回収したタンパク質を意味する。用語「非可溶性タンパク質」又は「ミセルカゼイン」は、(例えば実施例1に示すステップに従う、或いは当業者に知られている他の方法に従う)このような超遠心分離の後に沈殿から回収した洗浄済み物質を示す。
【0031】
特に、高いシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性は、ヒト乳由来の甘味ホエーによって、及びウシ乳由来の幾つかの分画、即ち天然の、スキムミルク、甘味ホエー、可溶性ホエー、甘味カゼインによって与えられる。実施例中で調べた全3種の乳種(ヒト、ウシ、水牛)に関しては、甘味ホエーを用いて最高のCOX−2阻害率を得て、これはしたがって本発明の好ましい実施形態を表す。
【0032】
ホエータンパク質調製品は良い結果をもたらしたが、しかしながら幾つかの乳タンパク質分画ほど有効ではなかった。したがって、本発明の乳タンパク質分画において、COX−2阻害活性を増大させるプラスの相乗効果が与えられると仮定することができる。望むならば、乳タンパク質分画とホエータンパク質調製品を組み合わせることもできる。
【0033】
本発明の乳タンパク質分画中に存在する、シクロオキシゲナーゼ−2阻害化合物の同定を対象とする研究は、これらの化合物はタンパク質状でなければならないことを示した。知られている化合物であるラクトフェリンは、いかなるシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性も有していないことが示されている。
【0034】
前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の、生物分解に関する生物学的利用能及び安定性は、前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品中に存在する化合物の、例えば−OH、−NH、−SH、−COOHなどの1つ又は複数の官能基を保護することによってさらに増大させることができる。例えば1つ又は複数の糖又は炭水化物、例えばラクトースなどとの反応によって、このような保護を行うことができる。例えば、ラクトースの存在下で乳タンパク質を加熱することによって、ラクトシル化タンパク質が生成する。保護後、化合物は分解、特に身体中のタンパク質分解に対する高い耐性をもたらし、したがって高い生物学的利用能を一般にもたらす。誘導体化を使用して望ましい溶解度、したがって望ましい調節された生物学的利用能を得ることもできる。
【0035】
他の態様によれば、本発明はシクロオキシゲナーゼ−2の活性を阻害することによって、COX−2介在疾患を治療するための栄養又は医薬組成物を調製するための、1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の使用に関する。
【0036】
COX−2阻害活性を与える、1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品は、例えば従来の非毒性の薬剤として許容可能な担体、賦形剤、アジュバント及び賦形薬を含む経口、局所、非経口、又は直腸投与形態で投与することができる。本明細書で使用する用語、非経口は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技法を含む。
【0037】
本発明の栄養又は医薬組成物は、シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患、例えば癌又は前癌性状態、特に結腸、胃、食道、肝臓、胆管、膵臓、頭部及び首部、肺、乳、膀胱、女性生殖器及び皮膚の癌又は前癌性状態、並びに/或いは炎症性疾患、関節炎、リウマチ熱など、インフルエンザ又は他のウイルス感染に伴う症状、月経困難症、頭痛、歯痛、変形性関節疾患など、並びに/或いはアルツハイマー病を治療又は予防するために使用することができる。
【0038】
さらに、本発明の栄養又は医薬組成物は、従来の癌治療及び/又は前癌性状態の治療、化学療法、放射線療法、生物療法中、並びに/或いは炎症性疾患の治療中並びに/或いはアルツハイマー病の治療中に、同時治療剤として施すことができる。
【0039】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える、1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品は、例えばNSAIDなどの従来の医薬品の部分的又は完全な代用としても有用である可能性がある。したがって本発明は、治療上有効量の前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品、並びに1つ又は複数の治療上有効な成分、例えば疼痛寛解物質、増強剤、H2−アンタゴニスト、充血緩和剤、鎮咳薬、利尿薬、鎮痛性又は非鎮痛性抗ヒスタミン、癌及び/又は前癌状態を治療又は予防するための物質などを含む、前に定義したシクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療するための医薬組成物を含む。
【0040】
活性成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、薬用ドロップ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、乳濁液、硬質又は軟質カプセル、或いはシロップ又はエリキシル剤などの、経口使用に適した任意の形であってよい。
【0041】
経口使用を目的とする組成物は、医薬組成物を製造するための当分野で知られている任意の方法に従って調製することができ、このような組成物は、薬剤として上質で口に合う調製品を与えるために、甘味剤、着香剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選択される1つ又は複数の物質を含むことができる。
【0042】
錠剤を製造するのに適した、不活性希釈剤、顆粒剤、崩壊剤、及び潤滑剤などの非毒性の薬剤として許容可能な賦形剤と混合された活性成分を、錠剤は含む。錠剤は非コーティング状態であってよく、或いは知られている技法によって錠剤をコーティングして、胃腸管内での分解及び吸収を遅らせ、それによって長期間持続的作用をもたらすことができる。
【0043】
経口使用するための配合物は、活性成分が不活性な固体希釈剤と混合された硬質ゼラチンカプセルとして、或いは活性成分が水又は油状媒体と混合された軟質ゼラチンカプセルとして存在することもできる。
【0044】
水性懸濁液は、水性懸濁液を製造するのに適した賦形剤、例えば懸濁剤、分散剤又は湿潤剤、防腐剤、着色剤、着香剤、及び甘味剤などと混合された活性物質を含む。
【0045】
水を加えることによって水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1つ又は複数の防腐剤と混合された活性成分を与える。他の賦形剤、例えば甘味剤、着香剤、及び着色剤が存在してもよい。
【0046】
前に示した乳タンパク質分画及び/又は乳タンパク質調製品は、任意の栄養、医薬又は機能食品組成物において使用することができ、これらの組成物は例えば水、タンパク質及び/又はペプチド、脂肪及び炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含むことができる。前記組成物はミネラル及びビタミンを、例えばU.S.RDAに従い1日の用量の30%〜150%の量でさらに含むことができる。これに加えて、このような組成物は、繊維状物質、着香剤、乳化剤、ラジカルスカベンジャー、防腐剤、酸、脂質、フルーツ及びフルーツジュース、茶などを含むことができる。
【0047】
特に、本発明の組成物は、例えば乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、乳系発酵製品、アイスクリーム、シリアル系製品、乳系粉末、乳児用調製粉乳又はペットフードから選択される食品組成物を含むことができる。
【0048】
例えば、消費者によって非常に容認されると予想することができる配合物は、例えば乳製品を主成分とする飲料、本発明の乳タンパク質分画及び/又は調製品を含む水、フルーツジュース又は茶などの従来の飲料である。
【0049】
有利な配合物の他の例は、例えばデザート調製品、ゲル又は泡状物質(例えば「ムース」(「泡状物質」)、ブラマンジェ、ゼリー、フラン、ヨーグルトを主成分とする調製品など)の形、或いは本発明の乳タンパク質分画及び/又は調製品を含む充填物又は芯を有するベーカリー食品を含むスナックの形の組成物である。本発明の乳タンパク質分画及び/又は調製品は、例えば任意の従来の食品上に上層又はコーティングの形で施してもよく、任意の従来の食品中に充填物質として含まれてよい。
【0050】
他の態様によれば、本発明は、製品のシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を増大させるための方法を提供し、前記方法は、前記製品においてシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の量を増大させるステップを含む。
【0051】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性が増大している製品は、例えば栄養及び/又は医薬及び/又は機能食品組成物、特に乳製品であってよい。
【0052】
本発明者は、良い収率を与え前記乳タンパク質分画中の活性成分のシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を本質的に保つ、乳タンパク質分画を単離するための方法も見出した。
【0053】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える、甘味ホエータンパク質又は酸性ホエータンパク質を単離するための方法は、クリーム層及びスキムミルクの層を得るために乳を13.600gで30分間遠心分離にかけるステップと前記クリーム層を分離させるステップと、前記スキムミルクを単離するステップと、2mmol/lCa2+の濃度を有する混合物が得られるような量のCaClの水溶液をスキムミルクに加えるステップと、前記混合物を35℃まで加熱し、1リットル当たり50mgの活性キモシンの活性を有するレンネットを前記混合物に加えるステップ(例えばスキムミルク1リットル当たり0.4〜0.6、好ましくは0.5μlのレンネットの量)、又は前記混合物を25℃まで加熱し、前記混合物をHCl(32%)の水溶液を用いてpH4.6まで酸性化するステップと、30分間13600gで混合物を遠心分離にかけて相分離を得るステップと、甘味ホエータンパク質又は酸性ホエータンパク質をそれぞれ単離するステップとを含む。
【0054】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える可溶性ホエータンパク質を単離するための方法は、クリーム層及びスキムミルクの層を得るために乳を13.600gで30分間遠心分離にかけるステップと、前記クリーム層を分離させるステップと、前記スキムミルクを単離するステップと、2mmol/lCa2+の濃度を有する混合物が得られるような量のCaClの水溶液をスキムミルクに加えるステップと、非可溶性ミセルカゼイン相から可溶性ホエータンパク質相を分離するために100.000gで1時間遠心分離にかけるステップと、可溶性ホエータンパク質相を単離するステップとを含む。
【0055】
さらに他の態様によれば、本発明はシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える乳分画に関するものであり、前記乳分画は前に概略した方法の1つに従って入手可能である。
【0056】
そのシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性のため、本発明の乳タンパク質分画は、特にNSAIDが禁忌であるような場合、例えば潰瘍、凝固障害、腎臓疾患などに罹患している個体の場合、従来のNSAIDの代替品となるであろう。さらに、このような製品には本質的に有害な副作用がなく、したがってさらに長期間消費される可能性があると予想することができる。このことは、シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患の予防が望まれるとき、例えばその遺伝的素因のため或いはよく知られている危険因子への露出のために(例えば典型的な「西洋食」、高脂肪及び低繊維などの危険性の高い栄養食品、化学物質への露出など)、癌を発症する高い危険性を有すると推測される人間の場合、特に関心が高いであろう。
【0057】
乳製品は人類によって長年消費されてきているので、本発明の機能食品又は医薬品は、消費者によって非常に容認されるであろうと予想することができる。
【0058】
以下の実施例は、言及する特定の実施形態に本発明を制限することなく本発明を例示する。
【実施例】
【0059】
全ての溶媒は分析又はHPLC等級であり、Merck(Dietikon、スイス)から購入した。水はMillipore Milli−Q水精製システム(Millipore、Volketswil、スイス)を使用して室内で精製したか、或いはHPLC等級であった(Merck、Darmstadt、ドイツ)。CaCl×2HO、HCl(32%)、水酸化ナトリウム、ペルヒドロール30%Hp.A.は、全てMerckからのものであった。
【0060】
レンネット(「圧縮成分(pressure simple)」)はTEXEL(38470 Vinay、フランス)によって生成し、1リットル当たり50mgの活性キモシンの活性で、Rhone Poulenc Rohrer(Cooperation Pharmaceutique Francaise、77000 Melun、フランス;バッチ番号101089007)から得た。
【0061】
(実施例1)
乳サンプル調製
他に明確に示さない限り、C.Alais、Science du Lait、Principe des Techniques Laitieres.SEPAIC、パリ、第4版、1984、p.29〜35及び159〜178中に記載されたのと同様の、乳分画を調製するための標準的なステップを行った。
【0062】
示した研究室規模の分画化ステップは、従来の産業用の乳の方法から開始して開発した。驚くことに、選択性及び分離効率は、以下に示した方法のステップを行うことによって、特に大きな加速度での遠心分離及び具体的に適合させた洗浄ステップを行うことによって有意に増大させることができた。
【0063】
1.1 ウシ乳
ウシ乳は地方の市場(「Toni lait」、スイス)から得た。
【0064】
第一のステップでは、固定アングルローターSorval GS3(9000rpm、30分間)を使用して、13600gまでの加速度を有する遠心分離によって全乳からクリームを抽出した。2.200mlの全乳から開始して、上層において90gのクリームを回収した。上層の分離後、2090mlのスキムミルクを得た。
【0065】
カゼインからの甘味ホエーの分離は、カゼイン凝固を誘導するスキムミルクの酵素処理によって行う。520μlの200mM(200mmol/l)のCaClの水溶液を520mlのスキムミルクに加えて、2mM(mmol/l)のCa2+の最終濃度を有する混合物に到達させた。このスキムミルク混合物を35℃に加熱し、次いで250μlのレンネットを適度な磁気攪拌の下ですぐに加えた。1分後、水浴中において35℃で50min(分間)混合物をインキュベートし、遠心分離用のボトルに注ぎ、その後13.600gで30分間遠心分離にかけて(固定アングルローターSorval GS3;9000rpm、30分間)、非可溶性レンネットカゼインから甘味ホエーを分離した。
【0066】
476mlの上清(即ち「甘味ホエー」)は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(甘味ホエー)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0067】
レンネットカゼイン(45g)を2mM(mmol/l)のCaClの水溶液286ml中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%のNaClを補い、次いで遠心分離にかけ、上清(246ml)を容器中に等分試料に分け、これらは標識し(レンネットカゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0068】
31gの回収した洗浄済みレンネットカゼインを、2mM(mmol/l)のCaClの水溶液中に分散させ、前記CaCl溶液に、250mlの体積が得られるように0.9重量%のNaClを補った。次いで混合物を容器中に等分試料に分け、これらは標識し(レンネットカゼイン)凍結させた。
【0069】
カゼインからの酸性ホエーの分離は、カゼイン凝固を誘導するスキムミルクの化学的酸性化によって行う。520μlの200mM(mmol/l)のCaClの水溶液を520mlのスキムミルクに加えて、2mM(mmol/l)のCa2+の最終濃度を有する混合物に到達させた。この混合物は、適度な磁気攪拌の下でpH6.6〜pH4.6のHCl(32%)の水溶液を加えることによって、25℃において酸性化させた。1分間の攪拌の後、混合物を25℃で60分間インキュベートし、遠心分離用のボトルに注ぎ、その後13600gで30分間遠心分離にかけて(固定アングルローターSorval GS3;9000rpm、30分間)、非可溶性酸性カゼインから酸性ホエーを分離した。
【0070】
503mlの上清(即ち酸性ホエー)は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(酸性ホエー)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0071】
酸性カゼイン(41g)を、pH4.6を有する20mM(mmol/l)の酢酸ナトリウムの水溶液233ml中に分散させた。このようにして得た混合物を遠心分離にかけ、上清(250ml)を分離し、その後容器中に等分試料に分け、これらは標識し(酸性カゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0072】
28.6gの回収した洗浄済み酸性カゼインを水中に分散させた。この混合物のpHは、NaClを加えることによって4.67〜6.6に調整した。その後、体積を250mlに調整し、このようにして得た混合物は容器中に等分試料に分け、これらは標識し(酸性カゼイン)凍結させた。
【0073】
可溶性(ホエー)タンパク質と洗浄済み非可溶性タンパク質(ミセルカゼイン)を分離するために、以下のステップを行った:
【0074】
250μlの200mM(mmol/l)のCaClの水溶液を250mlのスキムミルクに加えて、2mM(mmol/l)のCa2+の最終濃度を有する混合物を得た。この乳を超遠心分離にかけて(固定アングルローター45TI中、Beckman L8−60M超遠心分離機中においてチューブの中央部の100000gに対応する32000rpmの速度で、42.1gのスキムミルクを含む6本のチューブを1時間遠心分離にかけた)、非可溶性ミセルカゼインから可溶性ホエータンパク質を分離した。
【0075】
228mlの上清(即ち可溶性ホエータンパク質)は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(可溶性ホエータンパク質)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0076】
ミセルカゼイン(24g)を、2mM(mmol/l)のCaClの水溶液220ml中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%のNaClを補った。混合物は超遠心分離にかけた(Beckman L8−60M超遠心分離機中において1時間、チューブの中央部の100.000gに対応する32.000rpmの速度で)。上清(229ml)を分離し、次いで容器中に等分試料に分け、これらは標識し(ミセルカゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0077】
22gの回収した洗浄済みミセルカゼインを、2mM(mmol/l)のCaClの水溶液中に分散させ、前記CaCl溶液に、250mlの最終体積が得られるように0.9重量%のNaClを補った。この混合物を容器中に等分試料に分け、これらは標識し(ミセルカゼイン)凍結させた。
【0078】
1.2 ヒト母乳
ヒト母乳は、母乳サンプルを提供することに賛成した健康な母親から、赤ん坊の栄養供給を危険にさらさなかった量(10〜60ml)得た。サンプルは乳のポンプ圧搾によって、或いは時折手作業による圧搾によって産後70日までに得て、回収後2時間以内に処理した。他に明確に示さなかったときは、全ての手順のステップは、前の1.1に記載したのと同様に行った。
【0079】
200mM(mmol/l)CaClの水溶液7.2mlを715mlの全乳に加えて、2mM(mmol/l)Ca2+の最終濃度の混合物を得た。(前の1.1に記載したのと同様の)クリームを分離するための遠心分離後、26.6gのクリームを上層として回収し、713gのスキムミルクを分離した。
【0080】
分離甘味ホエー/カゼインは、カゼイン凝固を誘導するスキムミルクの酵素処理によって得る。スキムミルク(200g)を35℃で加熱し、次いで100μlのレンネットを適度な磁気攪拌の下ですぐに加えた。1分後、水浴中において35℃で50分間混合物をインキュベートし、遠心分離用のボトルに注ぎ、その後13.600gで30分間遠心分離にかけて(1.1に記載したのと同様に)、非可溶性レンネットカゼインから甘味ホエーを分離した。
【0081】
199mlの上清(即ち「甘味ホエー」)は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(甘味ホエー)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0082】
レンネットカゼイン(2g)を2mM(mmol/l)のCaClの水溶液98ml中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%のNaClを補った。生成した混合物を遠心分離にかけ、上清(99ml)を分離し、次いで容器中に等分試料に分け、これらは標識し(レンネットカゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0083】
1.15gの回収した洗浄済みレンネットカゼインを、2mM(mmol/l)のCaClの水溶液中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%体積のNaClを補って、100mlの体積を得た。生成した混合物は次いで容器中に等分試料に分け、これらは標識し(レンネットカゼイン)凍結させた。
【0084】
カゼインからの酸性ホエーの分離は、カゼイン凝固を誘導するスキムミルクの化学的酸性化によって行う。200mlのスキムミルクを、適度な磁気攪拌の下でpH6.6〜pH4.6のHCl(32%)の水溶液を加えることによって、25℃において酸性化させた。1分間の攪拌の後、混合物を25℃で60分間インキュベートし、遠心分離用のボトルに注ぎ、その後13600gで30分間遠心分離にかけて(実施例1.1に記載したのと同様に)、非可溶性酸性カゼインから酸性ホエーを分離した。
【0085】
195mlの上清(即ち酸性ホエー)は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(酸性ホエー)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0086】
酸性カゼイン(4.9g)を、pH4.6を有する20mM(mmol/l)の酢酸ナトリウムの水溶液95ml中に分散させ、混合物を遠心分離にかけた。上清(96ml)を容器中に等分試料に分け、これらは標識し(酸性カゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0087】
2.9gの回収した洗浄済み酸性カゼインを95mlの水中に分散させた。この混合物のpHは、NaOHを加えることによって6.2に調整した。その後、体積を100mlに調整した。混合物は次いで容器中に等分試料に分け、これらは標識し(酸性カゼイン)凍結させた。
【0088】
可溶性(ホエー)タンパク質と洗浄済み非可溶性タンパク質(ミセルカゼイン)を分離するために、以下のステップを行った:
【0089】
スキムミルクは、1.1に記載したのと同様に超遠心分離にかけた。
【0090】
198mlの上清は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(可溶性ホエータンパク質)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0091】
ミセルカゼイン(0.5g)を、2mM(mmol/l)のCaClの水溶液32ml中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%のNaClを補い超遠心分離にかけた(実施例1.1に記載したのと同様に)。このようにして得た上清(32.8ml)を容器中に等分試料に分け、これらは標識し(ミセルカゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0092】
0.4gの回収した洗浄済みミセルカゼインを、2mM(mmol/l)のCaClの水溶液中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%のNaClを補って、33mlの体積を得た。生成した混合物は容器中に等分試料に分け、これらは標識し(ミセルカゼイン)凍結させた。
【0093】
1.3 水牛乳
純粋で新鮮な水牛乳をパキスタンのラホール地方で入手し、近隣の研究室に供給冷蔵し、そこでそれを凍結乾燥させた。凍結温度は約−20℃〜約−25℃、乾燥温度は40℃であった。真空圧は2トール未満に保ち、最終的な圧力は0.2トールであった。乾燥粉末はアルミニウムコーティングしたプラスチックバッグ中に密封し、出荷して次いで室温で保存した。他に明確に示さなかったときは、全ての手順のステップは実施例1.1に記載したのと同様に行った。
【0094】
70gの粉末を468mlのHO中に溶かし、200mM(200mmol/l)CaClの水溶液5.4mlを加えることによって、凍結乾燥させた水牛乳を13%の全固形物(TS)で還元した。Ca2+2mMの最終濃度を有する還元水牛乳543mlを得た。実施例1.1に概略したのと同様のクリームを分離するための遠心分離後、46gのクリームを上層として回収し、485mlのスキムミルクを分離した。
【0095】
カゼインからの甘味ホエーの分離は、カゼイン凝固を誘導するスキムミルクの酵素処理によって行った。145mlのスキムミルクを35℃で加熱し、次いで73μlのレンネットを適度な磁気攪拌の下ですぐに加えた。1分後、水浴中において35℃で50分間混合物をインキュベートし、遠心分離用のボトルに注ぎ、その後13600gで30分間遠心分離にかけて(実施例1.1に記載したのと同様に)、非可溶性レンネットカゼインから甘味ホエーを分離した。
【0096】
130mlの上清(即ち「甘味ホエー」)は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(甘味ホエー)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0097】
レンネットカゼイン(14g)を2mM(mmol/l)のCaClの水溶液140ml中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%のNaClを補い、遠心分離にかけた(実施例1.1に概略したのと同様に)。このようにして得た上清(130ml)を容器中に等分試料に分け、これらは標識し(レンネットカゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0098】
13gの回収した洗浄済みレンネットカゼインを、2mM(mmol/l)のCaClの水溶液中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%体積のNaClを補って、145mlの体積を得た。生成した混合物は次いで容器中に等分試料に分け、これらは標識し(レンネットカゼイン)凍結させた。
【0099】
分離酸性ホエー/カゼインは、カゼイン凝固を誘導するスキムミルクの化学的酸性化によって行う。145mlのスキムミルクを、適度な磁気攪拌の下でpH6.74〜pH4.6のHCl(32%)の水溶液0.6mlを加えることによって、25℃において酸性化させた。1分間の攪拌の後、混合物を25℃で60分間インキュベートし、遠心分離用のボトルに注ぎ、その後13600gで30分間遠心分離にかけて(実施例1.1に記載したのと同様に)、非可溶性酸性カゼインから酸性ホエーを分離した。
【0100】
129mlの上清は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(酸性ホエー)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0101】
酸性カゼイン(13g)を、pH4.6を有する20mM(mmol/l)の酢酸ナトリウムの水溶液130ml中に分散させ、混合物は遠心分離にかけた(実施例1.1参照)。上清(129ml)を容器中に等分試料に分け、これらは標識し(酸性カゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0102】
12gの回収した洗浄済み酸性カゼインを水中に分散させ、NaOHを加えることによってpHを6.7に調整した。その後、体積を145mlに調整した。混合物は次いで容器中に等分試料に分け、これらは標識し(酸性カゼイン)凍結させた。
【0103】
可溶性タンパク質と洗浄済み非可溶性タンパク質(ミセルカゼイン)を分離するために、以下のステップを行った:
【0104】
145mlの水牛のスキムミルクを超遠心分離にかけて(実施例1.1に記載したのと同様に)、非可溶性ミセルカゼインからホエーを分離した。132mlの上清は、10×1.3mlの等分試料(エッペンドルフ)及び40mlのプラスチックチューブに分画化し、これらは標識し(可溶性ホエータンパク質)、液体窒素中に浸すことによって凍結させ、プラスチックバッグ中に−20℃で保存した。
【0105】
ゼラチン状ミゼルカゼイン(11.4g)を2mM(mmol/l)のCaClの水溶液133ml中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%のNaClを補った。この混合物を超遠心分離にかけた(前の1.1参照)。このようにして得た上清(125ml)を容器中に等分試料に分け、これらは標識し(ミセルカゼイン洗浄物)、液体窒素中に凍結させた。
【0106】
11gの回収した洗浄済みミセルカゼインを、2mM(mmol/l)のCaClの水溶液中に分散させ、前記CaCl溶液に0.9重量%体積のNaClを補って、145mlの体積を得た。生成した混合物は次いで容器中に等分試料に分け、これらは標識し(ミセルカゼイン)凍結させた。
【0107】
(実施例2)
ウシ乳由来の可溶性ホエータンパク質の亜分画化
実施例1に記載したのと同様に得た15mlの可溶性ホエータンパク質を、37℃の水浴中において20分間で解凍し、攪拌によって混合し、5415エッペンドルフ遠心分離機中で13.000rpmにおいて1分間遠心分離にかけた。0.45μmのMilliporeフィルター(306/GSWPO4700.GS)上での濾過の後、10mlのこの調製物は、100mlのSource15RPCTN17−0727−02(ポリスチレン−ジビニルベンゼン)を充填し、UNICORNステーション(Amersham Pharmacia Biotech)によって調節されるEPLCシステムと結合させたHR16×50カラム中に注入した。
【0108】
クロマトグラフィー条件は以下の通りであった:
Aバッファー:TFA0.1%水中(0.45μmのMilliporeシステム上で濾過した2000mlのmiliQ水、及び2mlのTFA(Sigma91699、100ml);
Bバッファー:アセトニトリル80%、TFA0.85%(0.45μmのMilliporeシステム上で濾過した400mlのmiliQ水、及び1.600mlのアセトニトリル、超音波浴中で15分間脱気し、最終的に1.7mlのTFAを補った)。
【0109】
カラムは20%のBバッファーを用いて平衡状態にした。次いで、1カラム体積(CV)のサンプルを注入した後、Bバッファーを75%15CV及び100%2.5cVで増大させた。最終的に、勾配は20%Bバッファー0.4CVまで低下させた。流速は3ml/分に固定した。
【0110】
96個の18ml分画をプラスチックチューブ中に回収した。分画は−20℃で保存した。HIC−HPLC分析後、96の回収したチューブは、HPLC概略の類似性によって14の分画に集め、後のスクリーニングのための凍結乾燥前に蒸発によって濃縮させた。
【0111】
表1は、亜分画が溶出している、バッファーBの体積パーセンテージ範囲又はアセトニトリル範囲による14のホエータンパク質亜分画を示す。
【表1】

【0112】
(実施例3)
COX−2スクリーニング
2.1 材料及び方法
HUV−EC−C細胞(正常なヒトへその緒の静脈に由来する永久内皮細胞系;ATCC CRL1370;M.Miralpeix、M.Camachoら、Brit.J.Pharmacol.121(1997)、171〜180)を、96ウエルプレート(RPMI1640+10%FCS)上に接種し、100nM(nmol/l)ホルボール12−ミリスチン酸エステル13−酢酸塩で6時間37℃において処理して、COX−2イソ酵素を誘導した。50μM(μmol/l)アラキドン酸を次いで加え、試験化合物又は混合物の存在下で37℃において30分間、細胞をインキュベートした。プロスタグラジンE2の生成はラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定し、液体シンチレーションカクテル(Packard)を使用しシンチレーションカウンター(Topcount、Packard)を用いて放射能を測定した。
【0113】
得られた結果は対照値の割合として、及び試験化合物の存在下で得られた対照値の阻害率として表す。対照値は、試験化合物の不在下における37℃で6時間のホルボールミリスチン酸エステル酢酸塩(PMA)を用いた刺激後の(腫瘍壊死因子α型:TNFαを用いて行うこともできる)、HUV−EC−C細胞のCOX−2活性に対応する。
【0114】
対照値(IC50)の最大の半分の阻害を引き起こした濃度及びヒル係数(nH)を、それらの阻害曲線の非線形回帰分析によって、参照化合物(シクロヘキシイミド)に関して測定した。これらのパラメータは、ヒルの式の曲線との適合によって得た。参照化合物に関して得たIC50値は、得られた過去の平均値±0.5log単位の許容制限値内であった。
【0115】
全てのCOX−2スクリーニング実験は一度行った。以下では、10%未満の阻害値は考慮せず、「0」として示している。
【0116】
2.2 ヒト乳分画のCOX−2スクリーニング
ヒトスキムミルクは、有意なCOX−2阻害を示す(25%;表2)。酸性化又はレンネットによってカゼインを除去すると(それぞれ酸性ホエー及び甘味ホエーが生じる)、51%及び58%のCOX−2阻害の値を得た。したがって、カゼインを除去することによって、COX−2阻害が大幅に改善される。さらに、カゼイン単独(酸性、甘味、ミセル)では、COX−2に対するいかなる阻害効果も示さない。
【0117】
ヒト乳由来の可溶性ホエーは、出発産物(即ちヒトスキムミルク)と全く同様に働いた。
【表2】

【0118】
2.3 水牛乳のCOX−2スクリーニング
水牛のスキムミルクは、並の阻害効果を示す(36%;表3)。ヒト乳とは対照的に、カゼインの酸性除去は、おそらく酸性化後の酸誘導型の活性の消失のために、その活性の3分の2の消失をもたらす(12%に低下)。pHを一定に保つ場合(即ちレンネット処理及び超遠心分離の場合)、活性は両方の場合44%に増大する。
【0119】
ヒト乳と同様に、ミセル水牛乳カゼインはいかなる活性も示さなかった。酸性カゼイン及び甘味カゼインは、それらの溶解性の欠如のために試験しなかった。
【表3】

【0120】
2.4 ウシ乳のCOX−2スクリーニング
ウシの生乳及びウシのスキムミルクの高い活性(52〜53%;表4)は、クリームの除去はCOX−2阻害に対していかなる影響もないことを示す。活性は可溶性ホエー中では一定の状態であり(53%)、酸性ホエー中ではわずかに低下し(45%)、甘味ホエー中では増大する(68%)。何らかの理論に縛られることは望まずに、酸性ホエー中の活性の低下は、水牛乳の場合と同様に酸の影響と関係がある可能性があり、一方レンネット処理による活性の増大は、カゼインの不安定化が幾らかの「潜在的な」生物活性を誘導するという理論によって説明することができると思われ、同様にこれは100%を超える収率をもたらす「分画化の失敗」中に時々記載される。
【表4】

【0121】
2.5 ホエータンパク質調製品のCOX−2スクリーニング
2つの市販のホエータンパク質調製品も、COX−2スクリーニングに施した:
多量のラクトシルβ−ラクトグロブリン形を含むLacprodan80(MD Foods Ingredients、Viby、デンマーク);
ラクトシルβ−ラクトグロブリンを実質的に欠いているWPI95、未処理ホエータンパク質の単離品(質量分析法によって確認)。WPIはDavisco Foods International.Inc.620 North Main、Le Sueur、MN56058 米国から入手可能である;BIPRO batch JE251−0−420。
【表5】

【0122】
表4から明らかにすることができるように、さらにこれらの化合物は、それぞれ23%及び33%の相当なCOX−2阻害活性を示す。これとは対照的に、トリプシンによるタンパク質分解は、ホエータンパク質のCOX−2阻害活性を害する。さらに、天然の「抗酸化剤アミノ酸」システインは、COX−2阻害に対していかなる影響も有していない。
【0123】
2.5 酸化したウシの乳のCOX−2スクリーニング
新鮮なウシの乳のサンプル(50ml)にペルヒドロール(30%H)を補って、生成した混合物中に0.1mM、1mM、10mM、100mM(mmol/l)のHの最終濃度を得た。全てのサンプルは30℃で4時間インキュベートした。
【表6】

【0124】
未処理のウシの乳、及び0.1mMのHで処理した乳は、COX−2阻害に対して同程度の「並の」影響を示す(41%)。1mMのHでは、阻害はわずかに低下し(35%まで)、さらに10mMまで増大させることによってCOX−2阻害は27%まで低下し、100mMのHでは−これはしかしながら生理的条件とはほど遠いが−それを超える阻害活性は全く観察されない。
【0125】
これらの結果は、ウシの乳中の活性、即ちCOX−2阻害成分は0.1〜10mMのレベルでHに耐性があることを示す。阻害効果の低下はタンパク質酸化の増大に対応し、このことはCOX−2阻害活性はタンパク質に基づいており、タンパク質の元の状態と強く関係していることを示す。
【0126】
2.6 可溶性ホエータンパク質の亜分画のCOX−2スクリーニング
可溶性ホエータンパク質の亜分画によるCOX−2阻害の結果を表7に示す。正の値は、対照と比較して良い性能を示す。
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】実施例1.1.に概略するウシ乳分画の調製を示す図である。
【図2】実施例1.2.に概略するヒト乳分画の調製を示す図である。
【図3】実施例1.3.に概略する水牛乳分画の調製を示す図である。及び
【図4】ヒト乳(HM)、ウシの乳(CM)及び水牛乳(BM)由来のさまざまな乳タンパク質分画及び乳タンパク質調製品の、COX−2阻害活性の比較を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療及び/又は予防するための栄養及び/又は医薬組成物であって、治療上有効量の1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品を含み、前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品がシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える、栄養及び/又は医薬組成物。
【請求項2】
1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品が、ホエー分画、スキムミルク分画、ラクトシル化ホエータンパク質調製品、ヒト乳、ウシ乳、水牛乳の未処理ホエータンパク質の単離調製品、ウシ乳の酸性カゼイン分画及び/又は甘味カゼイン分画、及び/又はこれらの組合せ、或いは表7の亜分画1及び8〜17からなる群から選択される、請求項1に記載の栄養及び/又は医薬組成物。
【請求項3】
ホエー分画が酸性ホエー、甘味ホエー及び可溶性ホエーからなる群から選択される、請求項2に記載の栄養及び/又は医薬組成物。
【請求項4】
前記1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の生物学的利用能及び/又は生物分解安定性が、その中に含まれる1つ又は複数の成分の1つ又は複数の官能基を保護することによって増大される、前記請求項のいずれかに記載の栄養及び/又は医薬組成物。
【請求項5】
乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、乳系発酵製品、アイスクリーム、シリアル系製品、乳系粉末、乳児用調製粉乳又はペットフードから選択される食材を含む、前記請求項のいずれかに記載の栄養組成物。
【請求項6】
経口、局所、非経口、又は直腸投与形態である、前記請求項のいずれかに記載の栄養及び/又は医薬組成物。
【請求項7】
シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患を治療及び/又は予防するための栄養及び/又は医薬組成物を調製するための、シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を示す1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の使用。
【請求項8】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を示す乳タンパク質分画及び/又は乳タンパク質調製品が、ホエー分画、スキムミルク分画、ラクトシル化ホエータンパク質調製品、ヒト乳、ウシ乳、水牛乳の未処理ホエータンパク質の単離調製品、ウシ乳の酸性カゼイン分画及び/又は甘味カゼイン分画、及び/又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
栄養及び/又は医薬組成物が経口、局所、非経口、又は直腸投与形態で与えられる、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
シクロオキシゲナーゼ−2介在疾患が、癌及び/又は前癌性状態、特に結腸、胃、食道、肝臓、胆管、膵臓、頭部及び首部、肺、乳、膀胱、女性生殖器及び皮膚の癌及び/又は前癌性状態、並びに/或いは炎症性疾患、特に関節炎、リウマチ熱、インフルエンザ又は他のウイルス感染に伴う症状、月経困難症、頭痛、歯痛、変形性関節疾患、並びに/或いはアルツハイマー病からなる群から選択される、請求項7から9までに記載の使用。
【請求項11】
医薬及び/又は栄養組成物が、癌治療及び/又は前癌性状態の治療中、特に化学療法、放射線療法、生物療法中、及び/又は疼痛の治療中、並びに/或いは炎症性疾患の治療中並びに/或いはアルツハイマー病の治療中に同時治療をもたらす、請求項7から9までのいずれかに記載の使用。
【請求項12】
栄養組成物が乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、乳系発酵製品、アイスクリーム、シリアル系製品、乳系粉末、乳児用調製粉乳から選択される食材を含む、請求項7から10までのいずれかに記載の使用。
【請求項13】
製品のシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を増大させるための方法であって、前記製品においてシクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品の量を増大させることを含む方法。
【請求項14】
1つ又は複数の乳タンパク質分画及び/又は1つ又は複数の乳タンパク質調製品が、ホエー分画、スキムミルク分画、ラクトシル化ホエータンパク質調製品、ヒト乳、ウシ乳、水牛乳の未処理ホエータンパク質の単離調製品、ウシ乳の酸性カゼイン分画及び/又は甘味カゼイン分画、及び/又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記製品が栄養及び/又は医薬及び/又は機能食品組成物である、請求項13又は14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える乳タンパク質分画を単離するための方法であって、
クリーム層及びスキムミルクの層を得るために乳を13.600gで30分間遠心分離にかけるステップと、
前記クリーム層を分離し、前記スキムミルクを単離するステップと、
2mmol/lCa2+の最終濃度が得られるような量のCaClの水溶液をスキムミルクに加えるステップと、
前記混合物を35℃まで加熱し、1リットル当たり50mgの活性キモシンの活性を有するレンネットを前記混合物に加えるステップと、
30分間13.600gで混合物を遠心分離にかけて相分離を得るステップと、
甘味ホエータンパク質相を単離するステップ、
又は
前記混合物を25℃まで加熱し、前記混合物をHCl(32%)の水溶液を用いて4.6のpHまで酸性化して酸性ホエータンパク質相を得るステップと
を含む方法。
【請求項17】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える乳タンパク質分画を単離するための方法であって、
クリーム層及びスキムミルクの層を得るために乳を13.600gで30分間遠心分離にかけるステップと、
前記クリーム層を分離するステップと、
前記スキムミルクを単離するステップと、
2mmol/lCa2+の濃度を有する混合物が得られるような量のCaClの水溶液をスキムミルクに加えるステップと、
非可溶性ミセルカゼイン相から可溶性酸性ホエータンパク質相を分離するために100000gで1時間遠心分離にかけるステップと、
可溶性酸性ホエータンパク質相を単離するステップとを含む方法。
【請求項18】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害活性を与える乳分画であって、請求項16又は17に記載の方法に従って入手可能である乳分画。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505078(P2007−505078A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525784(P2006−525784)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010200
【国際公開番号】WO2005/025335
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】